2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2019年3月19日更新)

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投稿: 2022 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2019年3月31日 (日)

2019年3月のお仕事

2019年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※3月15日更新)


[WEB] 3月15日、「MTV Japan」オフィシャルサイトにて日向坂46のライブレポート「新たなスタートを切った日向坂46、MTVのイベントで貴重なトーク&ライブを展開!」が公開されました。

[紙] 3月13日発売の欅坂46小林由依1st写真集「感情の構図」にて、巻末インタビューを担当しました。(Amazon

[紙] 3月11日発売「ヘドバン Vol.21」にて「ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの向き合い方」のススメ、LOVEBITES 2019.1.27 マイナビ赤坂BLITZ ライヴ・レポート、ANTHEM『NUCLEUS』、BUCKCHERRY『Warpaint』、BACKYARD BABIES『Sliver & Gold』、MARK MORTON『Anesthetic』、OVERKILL『The Wings Of War』の各ディスクレビューを執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月10日、「リアルサウンド」にて眩暈SIRENのライブ評「眩暈SIRENが表現する、暗闇に差す一筋の救済 楽曲を通した“感情の共有と共鳴”を見た」が公開されました。

[WEB] 3月7日、「リアルサウンド」にてTHE YELLOW MONKEYのアーティスト分析記事「THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説」が公開されました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年4月号にて、IZ*ONE宮脇咲良・ウォニョン・ユリ・チェヨン座談会を担当・執筆、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を構成・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月2日、「リアルサウンド」にて欅坂46武元唯衣&田村保乃インタビュー「欅坂46 2期生 武元唯衣&田村保乃が語る、1期生との共演で芽生えた自覚と覚悟」が公開されました。

[WEB] 3月1日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのライブ評「Little Glee Monster、2年ぶり日本武道館で見せた“新たな武器” キャリア最高峰のステージを目撃」が公開されました。


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また、2月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1902号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2019 03 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2019年3月19日 (火)

OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』(1981)

オジー・オズボーンが1981年11月に発表した、通算2作目のソロアルバム。BLACK SABBATH脱退を経て起死回生の一撃となったソロデビューアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)が全英7位、全米21位というヒットにつながり、バンドはそこから間髪入れずにレコーディングに突入。ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)という同じ布陣で制作されました。

聴いてもらえばわかるように、疾走感のあるオープニングトラック、ポップでキャッチーなシングル曲、メロディアスなスロー/ミディアムナンバー、ヘヴィなミドルナンバーという序盤の構成は前作『BLIZZARD OF OZZ』をなぞったもの。もちろんまったく同じというわけではないですが、作品の方向性としては何がやりたいかは一聴してすぐに理解できると思います。

ですが、このアルバムを聴き進めていくうちに、『BLIZZARD OF OZZ』を軸にした世界観がより広がりを見せていることにも気づかされます。パーカッシヴなドラミングから始まる「Little Dolls」は前曲「Believer」にも引けを取らないヘヴィでキャッチーな楽曲だし、オジーのビートルズ愛好家ぶりが反映されたメロディアスなバラード、ダイナミックなアレンジがひたすらカッコいいシャッフルナンバー「S.A.T.O.」、そしてクラシカルかつドラマチックな展開を見せる大名曲「Diary Of A Madman」。オジーの才能はもちろんですが、それを見事な形で具体化し、クオリティの高い作品へと昇華させたランディの才能も前作以上の形で開花しています。

もちろん、前作の延長線上と表現したアルバム前半の4曲も、1曲1曲のクオリティは前作以上。ランディのギタープレイも圧巻の一言で、個人的には「Over The Mountain」や「Flying High Again」のギターソロはいつ聴いても心踊るものがあります。「You Can't Kill Rock And Roll」のバラード調に始まりながらもサビで勢いをつけるアレンジも冴えまくっているし、サバス時代とは異なるヘヴィさがにじみ出た「Believer」のギターワークも最高。要するに文句の付けどころがない1枚なのです。

ランディ・ローズは本作発表後数ヶ月後の1982年3月19日に飛行機事故で此の世を去るわけですが、ランディ在籍時の本作収録曲の公式ライブ音源って「Flying High Again」「Believer」くらいしかなかったじゃないですか。そのせいもあってか、10代の頃はこのアルバムに対する印象が薄かったんです。ライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)にも上記2曲しか収められていませんでしたしね。

ところが、年をとってからオジーのカタログをひととおり聴いて、何度もリピートしていくうちに『DIARY OF A MADMAN』の完成度の高さに改めて気づかされる。そんな機会が年々増えていったわけです。ぶっちゃけ、『BLIZZARD OF OZZ』と比較するのが愚問かと思えるぐらい、初期2作はそれぞれに素晴らしいアルバムであって、僕の中では甲乙付け難いんです。そう思うリスナー、絶対に多いと思うんですよね。

今年も3月19日がやってきてしまいました。残念ながら2日後に控えた『DOWNLOAD JAPAN 2019』でのオジー来日はキャンセルになってしまいましたが、だからこそ今日はこのアルバムを爆音で楽しめたらと……。



▼OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』
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投稿: 2019 03 19 12:30 午前 [1982年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』(1993)

GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン(B)が1993年9月(日本では同年10月)に発表した、現時点で唯一のソロアルバム。当時はガンズが『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)に伴うワールドツアーが終了したあとで、バンドとしての活動が一時的に休止していたタイミング。本作の2ヶ月後には、事前にレコーディングされていたカバーアルバム『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)もリリースされています。

ガンズの在籍メンバーとしてはいち早くソロ活動に乗り出したダフ(元メンバーのイジー・ストラドリンは脱退後の1992年にアルバムを発表していますが、ガンズに所属したままでのソロ活動はこれが初)。このアルバムでダフはベースはもちろんのこと、リードボーカルやリズムギター、ドラム、ピアノなど大々的に挑戦。どこか“スリージーロック版レニー・クラヴィッツ”みたいなスタイルで、アルバム作りに臨んでいます。

曲によってはさまざまなゲストミュージシャンも多数参加。スラッシュ(G)やギルビー・クラーク(G)、ディジー・リード(Key)、マット・ソーラム(Dr)といった“アクセル・ローズ抜き”ガンズの面々に加え、ジェフ・ベック(G)やレニー・クラヴィッツ(Vo)、当時SKID ROWのメンバーだったセバスチャン・バック(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、ロブ・アフューソ(Dr)など、顔の広いダフらしい豪華な面々が華を添えています。

ダフ自身はガンズのアルバムやライブでも「So Fine」や「New Rose」「Attitude」などでその歌声を披露してきましたが、決して個性的で上手というタイプではない、雰囲気で聴かせる“ヘタウマ”タイプ。当然このアルバムでもそういったスタイルが全開で、ガンズのアルバムをパンク/オルタナ側に寄せたその作風に妙にフィットしています。スラッシュがリードギターを弾きまくるオープニング曲「Believe In Me」からして、そのカラー押しまくりですものね。

かと思えば、クラヴィネットを多用したファンキーな「(Fucked Up) Beyond Belief」があったり、オルガンやストリングスを被せたスローバラード「Could It Be U」があったりと、相変わらず器用さも提示している。なんて感心していると、1分半程度のタイトルまんまな疾走パンクチューン「Punk Rock Song」なんて曲もある。さすがダフ、我々の思い描くパブリックイメージを裏切りません。

さまざまなゲストミュージシャンのカラーも強く打ち出しながらも、それに消されることのないダフの個性。アルバムとしては決して完成度が高いとは言い難いラフな内容ですが、そこも含めて当時のガンズのメンバーが作ったソロアルバムという印象が強いかも。この春、久しぶりにソロライブを行うというダフ(※参照)、そのあとには本作以来となるソロ名義でのアルバムもリリース予定なんだとか。ガンズでの活動を経た今の彼がどんな作風のアルバムを作るのか、そしてどんなゲストが参加するのか、とても気になります。



▼DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』
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投稿: 2019 03 19 12:00 午前 [1993年の作品, Duff McKagan, Gilby Clarke, Guns n' Roses, Jeff Beck, Lenny Kravitz, Sebastian Bach, Skid Row, Slash] | 固定リンク

2019年3月18日 (月)

IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS『IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS』(1992)

4年ぶりのオリジナルアルバム『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)のリリースを待たずしてGUNS N' ROSESを事実上脱退したイジー・ストラドリン(G, Vo)。そんな彼が1992年10月、自身のメインバンドとなるTHE JU JU HOUNDSを携えて発表したのがこのアルバム。ガンズと同じGeffen Recordsからのリリースで、全米102位という記録を残しています。

THE JU JU HOUDSのメンバーはイジーのほか、元THE GEORGIA SATELLITESのリック・リチャーズ(G)、ジミー・アシュハースト(B)、チャーリー・クィンタナ(Dr)という布陣。ジミーはのちにBUCKCHERRY(2005〜2013年)の一員としても活躍しています。また、アルバムには元THE FACESのメンバーでストーンズのサポートでも知られるイアン・マクレガン(Key)や、レニー・クラヴィッツとのコラボレートでおなじみのクレイグ・ロス(G)、ニッキー・ホプキンス(Piano)、ロニー・ウッド(G, Vo)など豪華なメンバーがゲスト参加しています。

ガンズのメインソングライターのひとりだったイジーがほとんどの楽曲をひとりで書いていることもあり、どうしてもガンズと比較してしまいがちですが……ああ、この人はアクセル・ローズの管理下で窮屈な思いをしていたんだな、というのがこのアルバムを初めて聴いたときの印象でした。こんなに肩の力が抜けていて、それでいてクールさがしっかり保たれている極上のロックンロールアルバム、今のガンズには作れないよな、って。

かっちり作り込まれた『USE YOUR ILLUSION』シリーズというよりは、ラフさの目立ったデビューアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)をよりレイドバックさせたようなこのアルバム。オープニングの「Somebody Knockin'」のリラックス感からして、70年代のストーンズが戻ってきたかのような錯覚を覚えます。かと思えば、2曲目にレゲエの名曲「Pressure Drop」をパンキッシュにカバー(終盤に思いっきりレゲエになりますが)。「Shuffle It All」での哀愁漂うソウルフルな色合いや、「How Will I Go」でのレイドバックしたアコースティックテイストなど、とにかくすべてにおいて力み過ぎていない。だから、聴いてるこっちも曲が進むにつれてどんどん脱力していく。『USE YOUR ILLUSION』2作に窮屈さを覚えたリスナーには、こちらこそが“我々が望むもの”だったのかもしれませんね。

とはいえ、筆者的には『USE YOUR ILLUSION』での気が触れんばかりの完璧主義と、イジーのソロで聴けるレイドバック感、両方があってこその“初期ガンズ”なんですけど。そのさじ加減って本当に難しいんですね。そして、バンドって本当に難しい。このアルバムを何度も聴くにつれ、そう思わずにはいられませんでした。

クライマックスは、終盤に収められたロニー・ウッドのカバー「Take A Look At The Guy」。本家ロニーも歌とギターでゲスト参加していて、一瞬「あれ、今どっちが歌ってるの?」ってくらいイジーとロニーが似た雰囲気を醸し出している。ああ、イジーがもう少し心が強かったら、ガンズにおけるロニーみたいな存在になれたのに……(結局、その役割をダフ・マッケイガンが担っていくわけですが)。

THE JU JU HOUNDS名義はこの1枚のみで終了しますが、イジーはこのあとも不定期でソロアルバムを作り続けます。今や仙人のような立ち位置の彼。またこういったノリノリ(死後)のR&Rアルバムを作ってほしいところです。



▼IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS『IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS』
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投稿: 2019 03 18 12:00 午前 [1992年の作品, Georgia Satellites, the, Izzy Stradlin, Ronnie Wood] | 固定リンク

2019年3月17日 (日)

HOLLYWOOD ROSE『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』(2004)

アクセル・ローズやイジー・ストラドリンが在籍していたGUNS N' ROSESの前身バンド、HOLLYWOOD ROSE。そのバンドのデモ音源を軸にしたコンピレーションアルバムが、2004年にリリースされています。『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』と身も蓋もないタイトルのこのアルバム、当然アクセルは怒り狂い訴えるわけですが、最終的にその訴えを棄却。結果、現在もこうやってストリーミングサービスで手軽に聴くことができるわけです。便利な世の中になったもんだ。

というわけで本作。そのHOLLYWOOD ROSEのメンバーだったクリス・ウェバー(G)が持ち込んだデモテープがもとになっています。クリスといえば、ガンズの1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)に収録された「Anything Goes」や、次作『GN'R LIES』(1988年)収録の「Reckless Life」のクレジットにてその名前を見つけることができる知る人ぞ知る存在。小金欲しさに過去の遺産を売ったわけだ。わかりやすいぞ。

そのデモテープに収録されていたのは「Killing Time」「Anything Goes」「Rocker」「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」の5曲。そう、先に挙げたガンズの2作品に収録されている2曲に加え、昨年発売の『APPETITE FOR DESTRUCTION』デラックス盤にも収められた「Shadow Of Your Love」と計3曲のガンズクラシックのオリジナルバージョンが聴くことができるわけです。そりゃファンなら絶対に手を出したくなりますよね。

デモは1984年初頭に録音されたそうで、当時のメンバーはアクセル(Vo)、イジー(G)、クリス(G)、ジョニー・クリーズ(Dr)、スティーヴ・ダロウ(B)という布陣(のはず)。なぜかスティーヴの名前はクレジットに見当たりません。ベースの音はしっかり聴こえるので、もしかしたら別のメンバーが単発で弾いている可能性もありますが、ここでは特に大きな問題はないのでスルーします。

さすがに5曲だけだと商売にならんということで本作、かなりの水増しが施されております。実はCD自体は15曲入りなのですが、その内訳は「オリジナルデモ音源」「オリジナルデモ音源のギルビー・クラーク(ex. GUNS N' ROSES)によるリミックスバージョン」「オリジナルデモ音源のフレッド・コウリー(CINDERELLA)によるリミックスバージョン」というもの。おいおい……。

まず「オリジナルデモ音源」ですが、若々しいアクセルの歌声を聴けるというだけで満足。曲にもその後の片鱗が感じられるほか、「Anything Goes」や「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」のアレンジ違いでは若干拙さも感じられたりして興味深いものがあったりします。あれですね、リフワークがスラッシュが加わってからのものとは全然違っていて、ここにはその後の豪快さがまったくないんですね。こじんまりとしているといいますか。細かく刻むリフワークはクリスによるものなんでしょうかね(イジーっぽくもあるけど)。その違いでこうも雰囲気が変わるか、と。

で、リミックスですが……うん、確かにオリジナルデモより聴きやすく整理されてるわ。ギルビーのやつが一番クオリティ上がってる気がして聴きやすい。特に「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」の2曲はトレイシー・ガンズ(L.A. GUNS)がギターを追加しちゃってますからね(笑)。邪道すぎ!

フレッドは自身がドラマーということもあってか、ドラムサウンドが心地よくエッジが効いたミックス。バスドラのペタペタ感が軽減されて、若干メタリックさが増している気も。あと、ボーカルも前に出ていて、一方でギターが少し後ろに下がっている。このへんは完全に趣味なんでしょうね。

というわけで、3者3様のミックス違いを楽しみつつ……1回聴いたら十分なこのアルバム(笑)。それでも数年に1回は引っ張り出したくなる、そんな罪作りな1枚です。



▼HOLLYWOOD ROSE『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』
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投稿: 2019 03 17 12:00 午前 [Cinderella, Gilby Clarke, Guns n' Roses, Hollywood Rose, Izzy Stradlin, L.A.Guns] | 固定リンク

2019年3月16日 (土)

TESLA『SHOCK』(2019)

2019年3月発売の、TESLA通算8作目のオリジナルアルバム(2007年発売のカバーアルバム『REAL TO REEL』および『REAL TO REEL, VOL.2』を含むと10作目)。前作『SIMPLICITY』(2014年)から5年ぶり、再結成後4作目のオリジナル作品となります。ここ数作は自身の自主レーベルTesla RecordsやFrontiers Recordsから発表されていましたが、今作はメジャーのUMe(Universal Music Group)からのリリース。オリジナルアルバムのメジャー流通はGeffen Recordsから最後の作品となった4thアルバム『BUST A NUT』(1994年)以来、25年ぶりとなります。

プロデュースを手がけたのはDEF LEPPARDのギタリスト、フィル・コリン。フィルは2016年発売のライブアルバム『MECHANICAL RESONANCE LIVE!』に追加収録された新曲「Save That Goodness」のプロデュース&共作でクレジットされており、そこからの流れで今作も手がけることになったのかな。そもそも80年代から同じ事務所だったこともあり、付き合いも長いですからね。気心知れたメンツによる、リラックスした制作現場が想像できますし。

フィルは今作でもソングライターとして活躍(一部ギターやコーラスにも参加)。それも影響してか、どの曲も非常によく練り込まれた、ポップでキャッチーなものばかり。全体を通してバラードやミディアムテンポのメロウな楽曲が目立ち、このへんにフィルのポップセンスが反映されているのか、あるいはプロデューサー目線でそういった方向へと導いたのか気になるところです。

オープニングを飾る「You Won't Take Me Alive」のファンキーなギターワークやキャッチーなメロディは非常に耳障りも良く、なおかつTESLAらしいガッツのあるバンドサウンドも維持されており、なかなかの仕上がり。続く「Taste Like」も適度なレイドバック感のあるロックンロールで、そこからピアノ&ストリングスをフィーチャーしたバラード「We Can Rule The World」へと流れる構成は今までありそうでなかったもので、ハッとさせられます。

この曲を含むバラード調の楽曲に導入されたハーモニー/コーラスはこれまでのTESLAっぽくなく、むしろDEF LEPPARDのそれに近いもの。これも取って付けたものという感じではなく、自然とマッチしているので違和感なし。また、バラードも前半〜中盤にいくつかあるものの、後半はロック色の強い構成となっていて、従来のファンも納得させる内容ではないかと。特に初期を彷彿とさせる「The Mission」からラストの「Comfort Zone」までの流れは絶品だと思います。

良い意味での“80年代の黄金期”を現代的にポリッシュしたのが、この『SHOCK』という作品ではないでしょうか。従来の彼ららしさとは異なる、良い意味での“ショック”なポイントも含まれた良作。2019年にこういう作品がどこまで評価されるのか、楽しみなところです。



▼TESLA『SHOCK』
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投稿: 2019 03 16 12:00 午前 [2019年の作品, Def Leppard, Tesla] | 固定リンク

2019年3月15日 (金)

KIX『FUSE 30 REBLOWN (BLOW MY FUSE 30TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION)』(2018)

いやあ、こんなアルバム出ていたんですね。全然情報が追えてなくて、たまたま見つけてびっくりしました。

昨年11月に配信限定でリリースされていた、KIXの出世作『BLOW MY FUSE』(1988年)30周年を記念したデラックス盤。フィジカルでの一般流通はないようで、デジタル版とストリーミング版のみでの発表となります。

前作『MIDNITE DYNAMITE』(1985年)から3年ぶりに発表された通算4作目アルバムはKIXにとって起死回生の1枚となり、「Don't Close Your Eyes」(全米11位)のシングルヒットも手伝いアルバム自体も最高46位、100万枚を超えるヒット作となりました。

……なんていう説明は過去に書いた本作のレビューで触れられているので、このへんにして。ここではリミックス&リマスタリングが施されたアルバム本編と、ボーナストラックとして追加されたアルバム収録曲のデモ音源について触れていきたいと思います。

まず、リミックスを手がけたのがRATTの諸作品やKIX『MIDNITE DYNAMITE』などをプロデュースしてきたボー・ヒル。オリジナル盤はトム・ワーマン、デュエイン・バロン、ジョン・パーデルといった面々が担当していましたが、良い意味で80年代らしいチープさと小気味良さが残る質感でした。しかし、このリミックス盤は非常にガッツがある質感で、リバーブを抑えめにしたせいもあって非常に生々しさが前面に打ち出されています。正直、オープニングの「Red Lite, Green Lite, TNT」のイントロを聴いた瞬間に「あれ、全然違う?」と驚いたほど。ドラムやギターの太さ、ボーカルやコーラスの温かみなど、すべての音がグイグイ前に迫ってくる感じがあって、僕はとても現代的なミックスなのかなと思いました。曲によってはオリジナル盤ではあまり聴こえてこない音も鮮明に届くようになっているし、最後まで新鮮な気持ちで楽しめました。

後半のデモトラック集は各曲に録音データが入っているので、そのへんも踏まえて聴くとより興味深く楽しめるかも。古いもので1984年3月(『MIDNITE DYNAMITE』制作時期?)、それ以外が1986〜7年と、『BLOW MY FUSE』というアルバムが世に届けられるまでいかに時間がかかったかが伺えるし、アレンジの違い(「No Ring Around Rosie」なんて序盤、びっくりしますよね)からもいろいろ煮詰めていったんだなってことが見えてきます。個人的にはこれはこれでアリだなと思えました。

新鮮なサウンドで生まれ変わった名盤と、その完成までの変遷が見える副読本。このデラックス盤はそんな捉え方ができるのではないでしょうか。ついこないだもSKID ROW1stアルバムデラックス盤が出たばかりですが、1988〜9年ってHR/HMシーンにおいても最盛期から過渡期に差し掛かり始めたタイミングで面白い作品がたくさんあるので、今後も配信限定でこういったアイテムが次々発表されるのかもしれませんね。こういう企画なら大歓迎なので、このあとにも期待しておきます。



▼KIX『FUSE 30 REBLOWN (BLOW MY FUSE 30TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION)』
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投稿: 2019 03 15 12:00 午前 [1988年の作品, 2018年の作品, Kix] | 固定リンク

2019年3月14日 (木)

LYNCH MOB『LYNCH MOB』(1992)

1992年4月(日本では5月)にリリースされた、LYNCH MOBの2ndアルバム。デビューアルバム『WICKED SENSATION』(1990年)から1年半という比較的短いインターバルで発表されましたが、実はその間にボーカリストがオニー・ローガンからロバート・メイソンへと交代するというハプニングが発生しています。そういう人事異動があったからこそ、早く“次”を見せたかったのかもしれませんね。

オニーは決してテクニカルなシンガーではなかったけど、1stアルバムで表現されていたアグレッシヴなハードロックには最適だったと思います。しかし、新人ということもあってか、パワーで押し切るだけといった武器の少なさも見え隠れしていました。実際、初来日公演を観たときもそのへんの未熟さが露呈し、評価は微妙かな……と思いましたし。

ところが、2代目シンガーのロバートは(同じく無名ながらも)どんなタイプの楽曲でも無難にこなすタイプ。良く言えば器用、悪く言えば突出した個性に欠ける。なもんで、このアルバムも最初に聴いたときは『WICKED SENSATION』ほどのパンチが感じられませんでした。

しかし、ジョージ・リンチ(G)にとってはようやく「エゴを出しすぎず(ドン・ドッケン)、未熟さの感じられない(オニー)プロフェッショナル」なシンガーを手に入れられたわけで、なもんだから楽曲の幅も一気に広がっている。攻撃性は若干影を潜め、ギターも曲によっては少し引っ込むことを覚え始めました(笑)。

が、このバランス感が本当に絶妙で、よくやくここで“バンド”になれたのかな、と今聴くと感じるわけです。でなければ、ブラスセクションをフィーチャーした歌モノ「Tangled In The Web」やムーディーな「Dream Until Tomorrow」のような楽曲はやれなかったと思いますし。

いや、本当にどの曲もよくできているんですよ。オープニングの「Jungle Of Love」からして前作の路線をより洗練させ、そこにEXTREME的な“ハネ”を加えた新しさがあったり、「Heaven is Waiting」なんてDOKKENでもやれそうだし、前作にはなかったアップチューン「I Want It」もあるし。さらに、QUEENのカバー「Tie Your Mother Down」まである(タイミング的にフレディ・マーキュリーへのトリビュートなんでしょうか)。全10曲、非常にバランスが良くて、構成も練られている。ブルース色が減退したのも大きいのかな。この洗練された感にDOKKENでいうところの3rdアルバム『UNDER LOCK AND KEY』(1985年)に近いものがあると思うのは僕だけでしょうか。

チャート的にも前作の全米46位に次ぐ最高56位を記録。グランジ勢が台頭し始めたタイミングとはいえ、なかなか検討したと思うんです……なのに、このアルバムで一度解散するんですよね(苦笑)。その後、ジョージとミック・ブラウン(Dr)はDOKKEN再結成に参加することになるわけです。



▼LYNCH MOB『LYNCH MOB』
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投稿: 2019 03 14 12:00 午前 [1992年の作品, George Lynch, Lynch Mob] | 固定リンク

2019年3月13日 (水)

PRIMAL SCREAM『VANISHING POINT』(1997)

1997年のデジタルものが続いたので、もう1枚だけお付き合いください。こちらはPRIMAL SCREAMが1997年7月(日本では6月)にリリースした通算5枚目のスタジオアルバム。『GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP』(1994年)から3年ぶりの新作で、前作同様全英2位という好記録を残しています。

本作の制作期間に(当時)元THE STONE ROSESのマニ(B)が正式加入。レコーディングは「Kowalski」「Motorhead」の2曲のみでしたが、以降のライブには全面参加し、ローゼズ再結成までの15年近くにわたり在籍することになります。

前作での60年代末〜70年代前半のストーンズ/アメリカ南部サウンド路線から一転し、本作ではサンプリングを多用したダブからの影響が強いサウンドがベースになっており、それもあってかボビー・ギレスピー(Vo)が参加しないインストゥルメンタル曲(あるいはそれに準ずる楽曲)が複数含まれているのが特徴。「Get Duffy」や8分もの長尺曲「Trainspotting」(同名映画のサウンドトラックに提供したもの)や、ほぼつぶやきに近いボーカルを含む「Kowalski」「Stuka」がそれにあたります。

また、ボーカル入りの楽曲にしてもインストパートが大半を占める楽曲が多く、このあたりは代表作『SCREAMADELICA』(1992年)とはまた異なる“らしさ”が強調され、新たな独自性が開花するきっかけとなりました。

かと思えば、前作の延長線上にあるバンドサウンド構成のロックンロール「Medication」があったり、ダビーで牧歌的なバラード「Star」があったり、かのMOTÖRHEADのデジタルカバー「Motorhead」があったりと、相変わらずの無軌道さも示されており、そのアンバランスそうでしっかりバランスが取れた作風もさすがの一言。オープニングを飾る「Burning Wheel」にしろ60年代後期のストーンズを思わせるメロ&テイストですし、なんだかんだでこの色合いを捨てていないところにも好感が持てます。

とはいえ、ここ日本では前作『GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP』で一般的認知度を獲得し、「Rocks」や「Jailbird」のようなわかりやすい曲が評価されたあとだけに、このアルバムの作風は難解に映ったのもまた事実。雑誌やツウの間では高評価を獲得したものの、前作で寄って集まった“一見さん”は少しずつ離れていったのでした(まあ、それでよかったんですけどね)。

ここでの経験がさらに追求されたのが、続く“もうひとつの代表作”『XTRMNTR』(2000年)。本作から次々作『EVIL HEAT』(2002年)までの3作はある種の連作的な色合いもあるので、ぜひあわせて聴いてほしいところです。また、本作にはよりダブ色を強めたリミックスアルバム『ECHO DEK』(1997年)も用意されているので、そっち側の素養がある方はぜひこちらにもトライしてみてください。



▼PRIMAL SCREAM『VANISHING POINT』
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投稿: 2019 03 13 12:00 午前 [1997年の作品, Primal Scream, Stone Roses, the] | 固定リンク

2019年3月12日 (火)

「#平成の30枚」

Twitterのハッシュタグでよく目にする「#平成の30枚」という企画。これ、面白いですね。30年を30枚のアルバムで紹介するというのは、いろんな側面があると思うんですよ。一般的な名盤なのか、その年バカ売れしたものなのか、あるいはもっと私的な選出なのか。でも、そのどれを取ってもいろいろ見えてくるものがある。30枚くらいだからちょうどいいんでしょうね。これが昭和だったら……無理か(苦笑)。

ということで、こういうのに便乗するのが好きな私としては、とりあえず記録として残しておこうと。ただ、普通にTwitter上に残すのは違うよね、せっかくならこっちだよねってことで、無理くり1989年から2018年までの30年をすごい勢いで振り返ってみました。平成元年(1989年)っていうと、自分が高2〜高3の時期。音楽的にも多感だった10代後半の終盤ですね。特に90年代半ばまでは思い出深い作品がたくさんあるだけに1年1枚縛りはなかなかキツイものがありますが……あえて自分内でルールを作って選出しました。

① 同じアーティストのアルバムは複数枚選ばない(バンド/ソロは例外とする)
② 可能な限り今の自分の直感に従う(過去BEST OF企画の年間1位に選んだとしても今回も選ぶとは限らない。今の感覚で選ぶ)
③ 2枚同時発売など連作となっているものは例外として2枚選出も可(ガンズとかラルクみたいなね。ガンズは関係ないけど)

以上、これだけを守って選んだら……やっぱりキツかった(笑)。さて、個人的な思い入れ乱れまくりの30枚、ぜひご堪能あれ。


平成元年(1989年)
X『BLUE BLOOD』(Spotify

平成2年(1990年)
ユニコーン『ケダモノの嵐』(Spotify

平成3年(1991年)
BUCK-TICK『狂った太陽』(Spotify

平成4年(1992年)
佐野元春『sweet16』(Spotify

平成5年(1993年)
LUNA SEA『EDEN』(Spotify

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投稿: 2019 03 12 12:30 午前 [BABYMETAL, BOOM BOOM SATELLITES, BUCK-TICK, DEAD END, Hi-STANDARD, Ken Yokoyama, L'Arc-en-Ciel, LUNA SEA, Maison book girl, Mr.Children, OGRE YOU ASSHOLE, ONE OK ROCK, Perfume, Soul Flower Union, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT, X JAPAN, YELLOW MONKEY, THE, 「平成の30枚」, ももいろクローバーZ, エレファントカシマシ, ザ・クロマニヨンズ, スピッツ, ナンバーガール, ピーズ, The, フラワーカンパニーズ, ユニコーン, 中村一義, 佐野元春, 凛として時雨, 星野源, 銀杏BOYZ] | 固定リンク

THE CHEMICAL BROTHERS『DIG YOUR OWN HOLE』(1997)

1997年4月にリリースされた、THE CHEMICAL BROTHERSの2ndアルバム。前年9月に発売された、ノエル・ギャラガーOASIS)をフィーチャーしたシングル「Setting Sun」が全英1位を獲得(アメリカでも80位まで上昇)。続くアルバムからのリードシングル「Block Rockin' Beats」も全英1位に輝いたことで、アルバム自体も初登場1位という大記録を達成。アメリカでも最高14位/50万枚を売り上げる好成績を残しています。

前作『EXIT PLANET DUST』(1995年)での路線を踏襲しつつ、よりロック色を強めたこと。そして、前作でのティム・バージェス(THE CHARLATANS)やベス・オートンをフィーチャーした歌モノを、“時のバンド”だったOASISのノエル・ギャラガーを(さらには引き続きベス・オートンも)起用することで作品自体のメジャー感を強めることに成功した結果が、この1位という数字に表れているのかなと思います。

とはいえ、昨日取り上げたTHE PRODIGYの『THE FAT OF THE LAND』(1997年)同様に、このアルバムもシンプルでわかりやすく、かつロックファンにも訴求する魅力的な内容なんですよね。

ただ、それはビート的なお話であり、楽曲の構成としてはテクノならではの1コードで延々引っ張るスタイルがベース。THE PRODIGY以上にそういう側面が強いことから、全体的にデジロックと括るのはちょっと違うかなという気がします。まあ「Block Rockin' Beats」はデジロックと言われたらそうかもしれないけど、「Elektorobank」や「The Private Psychedelic Reel」あたりは違いますしね。

あと、THE PRODIGYは1曲1曲がコンパクトなものが多く、そのへんもロック的と捉えることができるかもしれないけど、THE CHEMICAL BROTHERSは4〜5分台の曲もあるにはあるけど、先の「Elektorobank」は8分台、「The Private Psychedelic Reel」にいたっては9分半もありますから。そういった点においても、リスナーの嗜好が分かれそうな気がします。

このアルバムや続く『SURRENDER』(1999年)が素直に楽しめるなら、“こっち側”にもすんなりと入っていけるんじゃないかな。個人的にはこの人たちの持つサイケデリックテイストが本当に大好きで、アルコールを入れて爆音で聴く「The Private Psychedelic Reel」や「Piku」「Where Do I Begin」あたりは気持ちいいって言葉だけでは片付けられないくらいの魅力と効力があるので。

間もなく4年ぶりの新作『NO GEOGRAPHY』がリリースされ、夏にはフジロックで再来日。ライブではハズレが一度もない彼らのこと、きっと今回も最高な“あっち側”を見せてくれるはずです。



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投稿: 2019 03 12 12:00 午前 [1997年の作品, Chemical Brothers, the, Noel Gallagher's High Flying Birds, Oasis] | 固定リンク

2019年3月11日 (月)

THE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』(1997)

THE PRODIGYが1997年6月に発表した3rdアルバムにして最大のヒット作。当時、ダンスミュージック好きのみならず洋楽ロックファンはみんな持ってたんじゃないかってくらい、バカ売れしたんですよ。だって、当時の日本盤はエイベックスからのリリースでしたからね。

本国イギリスではXL Recordingsからでしたが、アメリカではマドンナのレーベル・Marverick Recordsからのリリース。いろんな偶然が重なった結果、本国のみならずアメリカでも1位を獲得し、イギリスでは140万枚以上、アメリカでも300万枚近い売り上げに達し、全世界トータルで1000万枚を超えるメガヒット作となりました。

直前に発表されたTHE CHEMICAL BROTHERSの『DIG YOUR OWN HOLE』(1997年)とあわせて、特にヨーロッパや日本では“ビッグビート”や“デジロック”などと呼ばれるように。Wikiによると前者は「テクノの細分類のひとつであり、バンドサウンド重視の音作りとサンプリングによるループを多用したブレイクビーツが特徴」とのこと。後者はおそらく日本での造語だと思いますが、意味合い的にはビッグビートと一緒かな。つまり、最初に書いた「ダンスミュージック好きのみならず洋楽ロックファンはみんな持ってたんじゃないか」っていうのは、そういうテクノとロックの垣根を壊したという意味も大きいのかなと。そういえばこの年、初開催された『FUJI ROCK FESTIVAL』にもTHE PRODIGYは出演予定でしたしね(中止になった2日目に出演予定でした)。

このアルバム、今聴くと……確かにカッコいいんだけど、意外と単調なんですよね。シンプルなリズムとギターなどをサンプリングしたリフがループされ、その上に歌やラップが乗る。BPM的にも120〜130の楽曲が多いのかな(調べてみたら、ヒットシングルの「Breathe」が130なものの、「Smack My Bitch Up」が136、「Firestarter」が142と意外と高め。それ以外は110台後半から130台が中心でした)。このテンポ感がロック寄りのビッグビート特有なものなんでしょう。確かにノリやすいですしね。

けど、それ以上に楽曲としてよくできているものが多いのかな。上に挙げたヒットシングルはどれもキャッチーだし、KULA SHAKERのクリスピアン・ミルズ(Vo, G)をフィーチャーした「Narayan」も“っぽさ”が強いし。ラストに配置されたBPM170の「Fuel My Fire」なんてL7のカバーであって、完全にパンクロックですから。そりゃロックファンも入っていきやすいわけです。

ここ1週間くらい、移動中はこのアルバムをよく聴いてます。理由は言わなくてもわかりますよね。ホント、頭空っぽにして無心で楽しめる1枚。最後に彼らのライブを観たのはフジロックだったかな。昨年末にはニューアルバム『NO TOURISTS』(2018年)も発売されたので、この夏は苗場あたりでまた会えるのかなと思っていたんだけど……残念です。



▼THE PRODIGY『THE FAT OF THE LAND』
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投稿: 2019 03 11 12:00 午前 [1997年の作品, Kula Shaker, Prodigy, the] | 固定リンク

2019年3月10日 (日)

ALTITUDES & ATTITUDE『GET IT OUT』(2019)

MEGADETHのデヴィッド・エルフソンとANTHRAXのフランク・ベロというベーシスト2名が中心となり結成されたプロジェクト、ALTITUDES & ATTITUDE。彼らが2014年に発表したデビューEP『ALTITUDES & ATTITUDE』以来となるフルアルバムを、2019年1月に発表しました。

このプロジェクトはトリオ編成で、フランクがボーカル&ギター、エルフソンがベース、フェフ・フリーデル(DEVO、A PERFECT CIRCLEなど)がドラムというのが基本スタイルのようです(曲によってフランクがベース、エルフソンがギターを弾くことも)。アルバムはジェイ・ラストン(ANTHRAX、STONE SOURSTEEL PANTHERなど)がプロデュースを担当し、エース・フレーリー(ex. KISS)やガスG.(FIREWIND)、ニタ・ストラウス(ex. THE IRON MAIDENS)、クリスチャン・マルトゥッチ(STONE SOUR)などがゲスト参加しているとのこと。

フランクのボーカルは時に自身のバンド・ANTHRAXのジョーイ・ベラドナのような節回しをするときがあるものの(オープニングトラック「Get It Out」がまさにそれ)、声質そのものは意外とマイルド。がなるというよりはメロディを丁寧に歌いながら、ときどき激しさを見せるデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)的なカラーがあると思いました。嫌味のない、親しみやすさのある声ですよね。

音楽性自体は、MEGADETHとANTHRAXということでスラッシュメタル的なものをイメージしてしまいがちですが、もっとポップでオルタナティヴロックのようなスタイルと言えばいいのかな。「Leviathan」のようなインストにこそ両バンドのテクニカルなスタイルを重ねることができますが、それ以外の歌モノではパンクともメタルとも違う、ハードロック寄りのオルタナギターロックみたいな世界が展開されています。これもまた嫌味のないスタイルで、万人受けしそうな印象が。

アルバム日本盤にはデビューEP収録曲(「Booze And Cigarettes」「Tell The World」「Here Again」)がリミックスされて収録されていますが、この時点ですでに現在のスタイルは確立されていたんですね。なるほど、こういうことがやりたかったんだ、と。

例えばKISSのようなポップでキャッチーで適度にハードながらも、THE POLICEあたりの70年代末ニューウェイヴ的な色合いもある。結果、FOO FIGHTERSのようなバンドに一番近いという……これが正しい表現かどうかわかりませんが、僕は嫌いじゃないです。

ただ、メタルファンからしたらこの2人が揃っているのにこのスタイルでいいのか、正解なのかという声が上がってきそうですが、当人たちが今これをやりたいというんですから、いいじゃないですか。そのぶん、メインバンドのほうでは相変わらずアグレッシヴなことをやってくれているんですから。

にしても、MEGADETHのこともANTHRAXのことも知らないリスナーがこのアルバムを聴いたとき、果たしてどんなリアクションをするんでしょうね。むしろそっちのほうが気になります。



▼ALTITUDES & ATTITUDE『GET IT OUT』
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投稿: 2019 03 10 12:00 午前 [2019年の作品, Altitudes & Attitude, Anthrax, Megadeth] | 固定リンク

2019年3月 9日 (土)

BACKYARD BABIES『SLIVER & GOLD』(2019)

BACKYARD BABIES待望の8thアルバム。海外では新たにCentury Media Records(ソニー流通)と契約して発表される本作、海外では3月8日にリリース済みですが、ここ日本では4月3日と約1ヶ月遅れての発売となります。日本盤(これまでと変わらずビクターから発売)を待ちきれずに輸入盤を購入してしまったファンも少なくないのではないでしょうか。

今作はプロデューサーにチップ・キースビー(THE HELLACOPTERSMICHAEL MONROEなど)を迎えて制作。さらに、曲作りにはそのTHE HELLACOPTERSやIMPERIAL STATE ELECTRICの一員であるニッケ・アンダーソン(Vo, G)も参加し、「44 Undead」という曲を完成させています。

昨年発表された先行シングル「Shovin' Rocks」でのパーティ感の強いロックンロールにときめき、続くアルバムの完成に今か今かと心踊らせていたファンは自分含めたくさんいたはず。さらに今年に入ってからは、次なるリードトラックとしてアルバムのオープニング曲「Good Morning Midnight」が公開。疾走感に満ち溢れた“らしい”この曲で、次のアルバムも最高に決まってる!……そう実感したのは僕だけではないでしょう。

で、実際に届けられたこのアルバム。前作がリハビリに思えてしまうぐらいに活き活きとした、王道中の王道なBYBらしい1枚に仕上げられています。

前作『FOUR BY FOUR』(2015年)は今でも良作だと思っていますし、非常に“らしい”作品だとも信じています。ですが、こうやって新作を前にすると、前作はニッケ・ボルグ(Vo, G)やドレゲン(G, Vo)のソロアルバムに入ってそうな曲も含まれており、良くも悪くも「様子見感」があったのかなと思えてきます。つまり、今回はそれぐらい従来のBYBらしさが自然な形で戻ってきているのです。

と同時に、やはり2人のフロントマンによるソロ活動の成果もしっかり反映されており、それらが強く主張しすぎることなくBYBというバンドの枠内に絶妙なバランス感で収まっている。そのへんはBYBとしてのツアーを重ねた成果や、ドレゲンがTHE HELLACOPTERS再結成ライブで得た経験によるものも大きいのかなと。

全体的にコンパクトなのは前作同様で、全10曲で35分程度と前作同等なのにはさすがに驚きましたが、ところが通して聴いてみるとそんなこと微塵も感じさせないぐらいに濃厚なんです。無理やり舵を切ってる感がないぶん、自然体でロックンロールを楽しんでいる様子が目に浮かぶし、それがダイレクトに伝わってくる。文句の付けどころがないほど、完璧なまでにBYBしていて、さらに過去を軽々と飛び越えていく。これが結成30周年を迎えたバンドの新作か!と驚くぐらい、エネルギッシュで初期衝動に満ちた1枚です。

日本デラックス盤には、ニッケ&ドレゲンによるアコースティックライブ音源5曲を追加(日本盤はこちらを別ディスクに収めた2枚組仕様)。このリラックスした感じも今の彼ららしくて、非常に好感が持てます。このボーナストラックをプラスして、ようやく51分強(笑)。おまけとしては純分すぎるくらいの内容なので、輸入盤をお持ちの方も改めて日本デラックス盤を購入してみてはどうでしょう。



▼BACKYARD BABIES『SLIVER & GOLD』
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投稿: 2019 03 09 12:00 午前 [2019年の作品, Backyard Babies] | 固定リンク

2019年3月 8日 (金)

BUCKCHERRY『WARPAINT』(2019)

BUCKCHERRY通算8作目のオリジナルアルバム。前作『ROCK 'N' ROLL』(2015年)から3年半ぶりの新作で、本作から新たにCentury Media Recordsでのリリース(日本ではソニーから発売)。バンド編成も大きな変革があったあとの1作目ということで、ある種“三度目のデビューアルバム”とも言えるでしょう。

ご存知のとおり、前作リリースから2年ほど経った2017年春にジョシュ・トッド(Vo)とともにバンド創世記から活動してきたキース・ネルソン(G)と、再結成後からバンドを支えてきたイグザビエル・ムリエル(Dr)が相次いで脱退。こうして第2期BUCKCHERRYはあえなく解体となってしまうわけです。

その後、ジョシュとスティーヴィー・D(G)は別プロジェクト・JOSH TODD & THE CONFLICTとしてアルバム『YEAR OF THE TIGER』(2017年)を発表。BUCKCHERRYにあったパンキッシュな要素を強めたそのサウンドは、『ROCK 'N' ROLL』での“バック・トゥ・ルーツ”的路線に刺激を感じなかったリスナーには高く評価されたのではないでしょうか。

こういったガス抜きを経て、ジョシュ&スティーヴィーにケリー・レミュー(B)という前作までのメンバーに加え、ケヴィン・レントゲーン(G)&フランシス・ルイズ(Dr)という布陣にて制作されたBUCKCHERRY名義での新作は、原点回帰とも言える“毒々しさ”と“いかがわしさ”が混在した良作に仕上がっています。オープニングの「Warpaint」こそ1曲目にしてはインパクトが弱いものの、以降はヘヴィな「Right Now」やNINE INCH NAILSのカバー「Head Like A Hole」などアクが強い曲や、彼ららしいレイドバックしたバラード「Radio Song」などが続きます。

正直、本作からのリードトラック「Head Like A Hole」が初公開されたときはその選曲センスに「?」となりましたが、こうやってアルバムの中の1曲として聴くと実はまったく違和感なく楽しめるという。しかも、この1曲がアルバム内で非常に重要な役割を果たす“必要不可欠なピース”だったことに気づかされるわけです。

かと思えば、前作での経験もしっかり活かされた「Backdown」やど直球のパンクチューン「No Regrets」もあるし、豪快な「The Devil's In The Details」などとにかく曲者勢揃いといった印象。海外盤は全12曲で44分程度というコンパクトな内容ですが、日本盤のみそこに3曲追加。こちらにはTHE TIMEのカバー「Jungle Love」や、「Kamikaze」と題された疾走チューンなどが含まれており、正直「こっちをアルバム本編に入れたらよかったのに」と思うものもあったり。全15曲、トータル53分と若干ボリューミーとなり1曲1曲のインパクトが薄まる印象が無きにしも非ずですが、このバンドはこれくらいでもいいのかなと。

ただ、問題点がゼロというわけではありません。1曲1曲と取り上げるとアクが強いものの、アルバムとして通して聴くと意外とサラッと聴けてしまう。つまり、アルバムというまとまった形になるとインパクトが弱まるという、不思議な現象が生じているのです。

その理由も何度か聴いて気づいたのですが、これまでの作品に感じられた「ボーカルとギターがグイグイ引っ張る感」のうちギターのパワーが弱まっているからじゃないかなと。ミックスのせいも多少は関係しているでしょうけど、これまでのアルバムの中でもそのパンチが一番弱いんですよね。良い曲が多いだけに、そこだけがすごく勿体ないと思いました。



▼BUCKCHERRY『WARPAINT』
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投稿: 2019 03 08 12:00 午前 [2019年の作品, Buckcherry] | 固定リンク

2019年3月 7日 (木)

QUEENSRYCHE『THE VERDICT』(2019)

QUEENSRYCHE通算15作目のスタジオアルバム(オリジナル作品としては14作目)。トッド・ラ・トゥーレ(Vo)加入後3作目となり、前作『CONDITION HUMAN』(2015年)から3年半ぶりという待望の1枚です。

トッド加入後の2作(2013年の『QUEENSRYCHE』と続く『CONDITION HUMAN』)は、前任シンガーのジェフ・テイト主導期の退屈オルタナ路線(苦笑)から一転、初期(1988年の『OPERATION: MINDCRIME』まで)を思わせるメロディアスなヘヴィメタル路線に回帰し、多くのファンを喜ばせてくれました。

この新作も基本的にはその延長線上にあるのですが、そこからさらに『EMPIRE』(1990年)にあった側面までを包括した力作となっています。つまり、多くのファンが思い浮かべるQUEENSRYCHEのパブリックイメージどおりの内容と言えるのではないでしょうか。

実は本作、ドラマーのスコット・ロッケンフィールドが家庭の事情でレコーディングに参加しておらず、なんとトッドがすべて叩いているとのこと。この事実はリリース直前まで伏せられおり、先行リリースされていた楽曲を聴いただけでは誰かゲストドラマーが叩いているのかと思っていたのですが……そもそもトッドのキャリアはドラマーから始まっているそうですが、にしてもここまで叩けるとは正直驚きです。

だって、フルタイムのドラマー以外が叩くことで、従来のQUEENSRYCHEらしいテクニカルな要素を薄めなくてはいけないのでは?なんて思考になってもおかしくないところを、ちゃんと“らしい”楽曲とアレンジで固めているのですから。とはいえ、前作と比べたら1曲1曲が若干コンパクトになった印象もあるし、なんとなく『EMPIRE』っぽい色合いが増えたのはそういった理由もあるのかな?と邪推したくなったり……まあ考えすぎですかね。

勢いがあってメタリックで、という曲よりも「Bent」や「Inner Unrest」みたいにミドルテンポで凝ったアレンジが加えられた曲のほうに魅力を感じる。そんな自分みたいなひねくれ者なら、ツインリードがあったりダークなメロディ&コーラスがあったりというこの曲にこそ、往年のQUEENSRYCHEを見出してしまう。そういった意味では、「ようやく戻ってきたな」というのがこのアルバムなんじゃないでしょうか。

シンガーが変わってからアルバム2枚出したし、そろそろ変化を加えてもいいタイミングじゃない? だけどそれはリスナーが納得する“らしさ”を残しつつやっていかないとね。なんて話し合いがあったかどうかはわかりませんが、ここ数作の中ではもっともバランス感に優れた1枚だと思いました。全10曲で44分というボリュームもちょうど良いですしね(日本盤はアルバム1枚分のボーナストラックをまとめた特典ディスク付き仕様も用意。こちらは2枚で80分超えなんですが……長ければいいってもんじゃないんですよ、このご時世)。

なんとなくですが、『OPERATION: MINDCRIME』や『EMPIRE』が好きなリスナーは過去2作よりも今回のほうが気に入るんじゃないか……なんて気がするんですが、いかがでしょう。僕はトッド加入後で一番好きです。



▼QUEENSRYCHE『THE VERDICT』
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投稿: 2019 03 07 12:00 午前 [2019年の作品, Queensryche] | 固定リンク