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当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2021年9月25日更新)


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2021年9月30日 (木)

2021年8月のアクセスランキング

ここでは2021年8月1日から8月31日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↑●位)」の表記は、「更新日/2021年8月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:GUNS N' ROSES『ABSUЯD』(2021)(※2021年8月6日更新/NEW!)

2位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↑7位)

3位:DEE SNIDER『LEAVE A SCAR』(2021)(※2021年8月2日更新/NEW!)

4位:SEPULTURA『SEPULQUARTA』(2021)(※2021年8月13日更新/NEW!)

5位:元METAL CHURCHのデヴィッド・ウェイン、死去。(※2005年5月13日更新/↓1位)

6位:人間椅子『苦楽』(2021)(※2021年8月19日更新/NEW!)

7位:DEAFHEAVEN『INFINITE GRANITE』(2021)(※2021年8月20日更新/NEW!)

8位:NIGHT RANGER『ATBPO』(2021)(※2021年8月7日更新/NEW!)

9位:LINGUA IGNOTA『SINNER GET READY』(2021)(※2021年8月16日更新/NEW!)

10位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/Re)

 

11位:MEGADETH『UNPLUGGED IN BOSTON』(2021)(※2021年8月12日更新/NEW!)

12位:BRIAN MAY『BACK TO THE LIGHT: DELUXE EDITION』(2021)(※2021年8月10日更新/NEW!)

13位:JOHN MAYER『SOB ROCK』(2021)(※2021年8月9日更新/NEW!)

14位:DEE SNIDER『FOR THE LOVE OF METAL』(2018)(※2021年8月2日更新/NEW!)

15位:MORDRED『THE DARK PARADE』(2021)(※2021年8月3日更新/NEW!)

16位:AT THE GATES『THE NIGHTMARE OF BEING』(2021)(※2021年8月17日更新/NEW!)

17位:BETWEEN THE BURIED AND ME『COLORS II』(2021)(※2021年8月22日更新/NEW!)

18位:PRINCE『WELCOME 2 AMERICA』(2021)(※2021年8月11日更新/NEW!)

19位:SLAUGHTER TO PREVAIL『KOSTOLOM』(2021)(※2021年8月15日更新/NEW!)

20位:CREEPER『AMERICAN NOIR』(2021)(※2021年8月4日更新/NEW!)

 

21位:DREAM THEATER『TRAIN OF THOUGHT』(2003)(※2021年8月25日更新/NEW!)

22位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/Re)

23位:MORDRED『IN THIS LIFE』(1991)(※2021年8月3日更新/NEW!)

24位:OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』(2000)(※2021年8月1日更新/NEW!)

25位:MDOU MOCTAR『AFRIQUE VICTIME』(2021)(※2021年8月8日更新/NEW!)

26位:DREAM THEATER『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: TRAIN OF THOUGHT INSTRUMENTAL DEMOS (2003)』(2021)(※2021年8月26日更新/NEW!)

27位:KING WOMAN『CELESTIAL BLUES』(2021)(※2021年8月12日更新/NEW!)

28位:BOBBY GILLESPIE AND JEHNNY BETH『UTOPIAN ASHES』(2021)(※2021年8月23日更新/NEW!)

29位:BUDDERSIDE『SPIRITUAL VIOLENCE』(2021)(※2021年8月14日更新/NEW!)

30位:GEORGE LYNCH『SEAMLESS』(2021)(※2021年8月27日更新/NEW!)

2021年9月のお仕事

2021年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※9月25日更新)

 

[紙] 9月25日発売「CONTINUE」Vol.73にて、「マクロスにおける歌と音楽」コラム、Guilty Kiss 1st Full Album Disc Reviewなどを執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月22日、「リアルサウンド」にてインタビューLittle Glee Monster かれん&アサヒに聞く、5人で歌う喜び 芹奈復帰時の心境、ツアーを経た成長も語るが公開されました。

[WEB] 9月22日、「リアルサウンド」にてインタビュー乃木坂46 樋口日奈&岩本蓮加が語る、11年目の新たなスタート 継承しながら生まれ変わっていくグループの現在地が公開されました。

[WEB] 9月22日、Little Glee Monster公式サイト内「re-union」特設ページにて、ミニアルバム「re-union」ライナーノーツ、芹奈テキストインタビューが公開されました。

[WEB] 9月22日、「auスマートパスプレミアム」音楽ページにて特集企画Little Glee Monsterの最新作「re-union」とマルチアングルライブ映像をauスマプレで楽しもうが公開されました。

[紙] 9月下旬から配布中の「ジェイコムマガジン」2021年10月号にて、Little Glee Monsterインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 9月19日、「リアルサウンド」にてコラムペンタトニックスとLittle Glee Monster、距離や言語を超えた交流の歴史 二度目のコラボへと繋がる相思相愛な関係が公開されました。

[WEB] 9月14日、「BARKS」にてコラムLiSA、国民的ブレイク後に放つポップソング「HADASHi NO STEP」が公開されました。

[紙] 9月8日発売「B-PASS ALL AREA」Vol.11にて、矢野顕子インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月7日、「Rolling Stone Japan」にてコラムBABYMEATL、結成10周年の節目にプロデューサーが明かした秘話「メタルのハートのおかげ」が公開されました。

[WEB] 9月6日、「ぴあ」にてインタビュー純烈がスーパーヒーロー“純烈ジャー”に変身! 「究極の“ごっこ”遊びをやらせてもらいました」が公開されました。

[紙] 9月3日発売「日経エンタテインメント!」2021年10月号にて、櫻坂46菅井友香の連載「いつも凛々しく力強く」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

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また、2021年7月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2107号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2021年9月27日 (月)

NEW YORK DOLLS『'CAUSE I SEZ SO』(2009)

2009年5月5日にリリースされたNEW YORK DOLLSの4thアルバム。日本盤未発売。

2004年に再結成を果たし、2006年にはデヴィッド・ヨハンセン(Vo)とシルヴェイン・シルヴェイン(G)のオリジナルメンバーに元HANOI ROCKSサミ・ヤッファ(B)、菅野よう子とのコラボレーションで知られるスティーヴ・コンテ(G)、そしてブライアン・デラニー(Dr)にブライアン・クーニン(Key)の6人で制作した32年ぶりのオリジナルアルバム『ONE DAY IT WILL PLEASE US TO REMEMBER EVEN THIS』で完全復活を果たしたNEW YORK DOLLS。しかし、ブライアン・クーニーはアルバム発表後にバンドを脱退、以降は残された5人で活動を続けることになります。

レーベルをRoadrunner RecordsからAtlantic Records傘下のATCO Recordsに移籍して、約3年ぶりに届けられた再結成後2作目のアルバムは、バンドのデビュー作を手がけたトッド・ラングレンを再度プロデューサーに起用。前回は新たな門出を祝福するようにさまざまなゲストミュージシャンが参加していましたが、今回は5人のみでがっつりレコーディングに臨んでいます。この時点で、バンドが何を求めていたのかが想像できそうですね。

基本的には前作の延長線上にある、少々硬質感を強めたロックンロール/ガレージロックがベース。ただ、楽曲の質感や適度なユルさが前作以上といいますか、良い形で70年代の往年の雰囲気を取り戻し始めている。そこに楽曲の良さ(R&Bを下地にしたガレージロック)が加わり、良い作用を生み出しています。ぶっちゃけ、前作は30数年ぶりの復活ということもあり、力みも多少あったのかな。このナチュラルさ、随所に漂うユルさこそNEW YORK DOLLSだろうと膝を叩きたくなる仕上がりです。

基本的にはヨハンセン&シルヴェインがソングライティングの基礎を作っているのですが、そこにスティーヴ・コンテが4曲で名を連ねている。のちに加入するマイケル・モンロー・バンドでもその才能を遺憾なく発揮していますが、すでにこの時点で最高の仕事ぶりを見せていたことを再確認できます。

ヨハンセンのボーカルも加齢とともに深みが加わり、誰にも真似できないヘタウマぶりを展開。これに合わせて、バックの演奏も硬くなりすぎず、ヘタウマとまではいかないものの適度な緩やかさを漂わせる。このバランスの取り方が非常に的確で、正直今のAEROSMITHストーンズとは異なる魅力が伝わってきます。これがクセになって、たまらんのですよ。

なお、アルバムには1stアルバム『NEW YORK DOLLS』(1973年)収録の代表曲「Trash」を、レゲエアレンジでセルフカバーしたトラックも収録。こちらも今ならではの味わい深さがあります。この遊び心も嫌いになれません。

初期2作は別格として、再結成後ではベストワークでは?と当時は確信したものですが、実はそのあとにもう1枚、最高な1枚を届けてくれることになるとは……それについては、また別の機会に。

 


▼NEW YORK DOLLS『'CAUSE I SEZ SO』
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2021年9月26日 (日)

JOHNNY THUNDERS『SO ALONE』(1978)

1978年10月にリリースされたジョニー・サンダースの1stソロアルバム。

1975年のNEW YORK DOLLS脱退を経て、一緒に脱退したジェリー・ノーラン(Dr)とTHE HEARTBREAKERSを結成。パンクムーブメントがイギリスで勃発する1977年に唯一のアルバム『L.A.M.F.』を発表しますが、そこから1年に初のソロアルバムを完成させます。

スティーヴ・リリィホワイト(U2、XTC、ULTRAVOX、モリッシーなど)を共同プロディーサーに迎え、レコーディングにはSEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ(G)&ポール・クック(Dr)、フィル・ライノット(Ba, Vo/THIN LIZZY)、スティーヴ・マリオット(Harp, Piano, Vo/SMALL FACES、HUMBLE PIE)、クリッシー・ハインド(Vo/THE PRETENDERS)、ウォルター・ルー(G/THE HEARTBREAKERS)などジョニーの交友関係の幅広さを感じらせる面々が多数参加。『L.A.M.F.』の延長線上にありながらも、ソロならではのパーソナルな側面を感じさせる楽曲も含む、バランス感に優れた1枚に仕上がっています。

カバー曲が多いのも彼ならではといったところで、VENTURESの「Pipeline」のカッコよさ(HANOI ROCKSのカバーはこれが元でしょう)をはじめ、THE SHANGRI-LAS「Great Big Kiss」、オーティス・ブラックウェル(THE WHOなどもカバーした)「Daddy Rollin' Stone」、NEW YORK DOLL時代のセルフカバー「Subway Train」など彼らしいセレクト/アレンジで楽しませてくれます。

かと思えば、今日までマイケル・モンローGUNS N' ROSESなどさまざまなアーティストにカバーされてきた「You Can't Put Your Arms Around A Memory」や「Ask Me No Questions」といったミディアムスローのアコースティックナンバー、NEW YORK DOLLSの延長線上にありながらも時代に呼応したサウンドの「Leave Me Alone」、SEX PISTOLSに対するディスソング「London Boys」などオリジナルソングも魅力的。1992年のCD化の際にはオリジナルの10曲に加え、T. REX「The Wizard」のカバーなどを含む4曲が追加されており、こちらも捨て曲なしで楽しむことができるはずです。

『L.A.M.F.』はオリジナル版に音質面で難があり、のちに数々の“別ミックス”が続発するという珍事を生み出しましたが、そういった意味ではジョニー・サンダースのソロワークスにおける入門盤は本作がいいのかなと。『L.A.M.F.』も破壊力も捨てがたいですが、ソングライティング面、アレンジ面での総合力では本作のほうが数歩かなと感じています。事実、僕もジョニーのソロ作品は本作(1992年の初CD化時)からでしたしね。NEW YORK DOLLSからの流れで聴くにもちょうど良い気がします。

ジョニーのヘロヘロボーカルも、どこか初期のキース・リチャーズを彷彿とさせるものがありますし。そういった意味でも本作は“究極のヘタウマ芸術”における、ひとつの到達点ではないでしょうか。

 


▼JOHNNY THUNDERS『SO ALONE』
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2021年9月25日 (土)

GUNS N' ROSES『OH MY GOD』(1999)

1999年11月2日にリリースされた、当時のGUNS N' ROSESにとって『USE YOUR ILLUSION I』および『同 II』(ともに1991年)以来8年ぶりとなるオリジナル新曲。同年公開された映画『エンド・オブ・デイズ』のサウンドトラックアルバムのみに収録された、今となってはレアな1曲です。

スタジオ音源としては1994年末に発表された、映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』サウンドトラック提供曲「Sympathy For The Devil」(THE ROLLING STONES「悪魔を憐れむ歌」カバー)以来5年ぶり。しかし、その5年の間にスラッシュ(G)、ダフ・マッケイガン(B)、マット・ソーラム(Dr)が脱退し、この「Oh My God」のレコーディングにはアクセル・ローズ(Vo)のほかロビン・フィンク(G/NINE INCH NAILS)、スラッシュ脱退の引き金となったポール・トビアス(G)、トミー・スティンソン(B/THE REPLACEMENTS)、ディジー・リード(Key)、クリス・ピットマン(Key)、ジョシュ・フリース(Dr/THE VANDALS、DEVOなど)という布陣で制作に臨んでいます。さらに、ゲストギタリストとしてデイヴ・ナヴァロ(G/JANE'S ADDICTION、ex. RED HOT CHILI PEPPERS)も参加。ナヴァロはスラッシュ脱退後にガンズ加入が噂れていましたが、結局この1曲のみゲスト参加にとどまっています。

プロデューサーに初めてシーン・ビーヴァン(NINE INCH NAILS、MARILYN MANSONA PERFECT CIRCLEなど)を迎えて制作された本曲は、当時の空気感を切り取ったオルタナ色の強いハードロック仕様。アクセルのボーカルにはデジタルエフェクトが施されており、以前のようなスリージーなバッドボイーイズロックンロールを期待していたリスナーは肩透かしを喰らったのではないでしょうか。

事実、僕も当時「……えっ?」と最初は動揺しましたから。ただ、楽曲自体は非常にキャッチーで、アクセルらしいヒステリックなボーカルとトライバルなリズムセクション、デジロックを通過したサウンドとオルタナ以降のギタープレイなどの組み合わせに対し、徐々に新鮮さを感じるようになり、気づいたらクセになっていた(=何度もリピートしていた)わけです。言うほど悪くないじゃん、と。

そもそも僕自身1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)は大好きだけど信者というほどではなく、『USE YOUR ILLUSION』に対して好意的であり、進化していくガンズの姿に好印象を抱いていたリスナーなので、この変化には肯定的でした。むしろ、このテイストでアルバム1枚聴きたいと思ったくらい(笑)。

この曲はシングルカットされたわけではないですが、2000年からライブ活動を再開させたバンドはこの曲を演奏していた記録もあります(ライブ映像もYouTubeで探せばすぐに見つかるはず)。しかし、すぐに演奏されなくなり、レコード会社主導で制作されたベストアルバム『GREATEST HITS』(2004年)にも未選出。現在まで、国内ではストリーミングサービスでも未配信の1曲です。「ABSUЯD」(2021年)が新曲として発表された今だからこそ、たまには思い出してあげてください……(涙)。

というわけで、この曲を聴くには先の『エンド・オブ・デイズ』サウンドトラックアルバムを入手するのが一番。このサントラ、KORNLIMP BIZKITのアルバム未収録曲に加え、EVERLAST、THE PRODIGYロブ・ゾンビエミネムPOWERMAN 5000、SONIC YOUTH、CREEDなどの新録曲/既発曲満載の、オルタナ色の強い1枚。本作から生まれたヒット曲はひとつもありませんが、これはこれで(当時の空気を追体験できて)面白い内容だと思います。中古でも安価で見つけられるはずなので、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。

 


▼V.A.『END OF DAYS: MUSIC FROM AND INSPIRED BY MOTION PICTURE』
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GUNS N' ROSES『HARD SKOOL』(2021)

2021年9月24日に配信リリースされたGUNS N' ROSESの新曲。

今年8月6日に突如配信された、約13年ぶりの新曲「ABSUЯD」から2ヶ月経たずして届けられたGN'Rの新曲。いやいや、なんなのよこのスピード感。ストリーミングサービス全盛の2021年だからこそといったところでしょうか。

「ABSUЯD」同様、今回も現時点での最新アルバム『CHINESE DEMOCRACY』(2008年)レコーディングセッション時に着手していたアウトテイクを手直しした1曲。元ネタは「Jackie Chan」とか「Checkmate」などの仮タイトルで呼ばれていたナンバーで、僕はフルでは聴いたことがありませんでした。しかし、今回正式リリースされた楽曲を聴く限りでは、確かにこれは『CHINESE DEMOCRACY』の世界観からは外れるかなと。アルバムから漏れるのも仕方ないですね。

楽曲のスタイル的には「Nightrain」や「You Could Be Mine」などを筆頭に、1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)『USE YOUR ILLUSION I』および『同 II』(ともに1991年)で展開された、マイナーキーのストレートなハードロックチューンの延長線上にあるもの。そりゃあ『CHINESE DEMOCRACY』期のメンバーと演奏するよりも、スラッシュ(G)やダフ・マッケイガン(B)といった気心知れたメンバーと演奏するほうがハマりますよね。

「ABSUЯD」はスラッシュ&ダフ脱退後のデジタルな色合いを残したオルタナティヴロック・スタイルだったので、今回の曲のほうが往年のファンの琴線に触れるものがあるのではないでしょうか。事実、僕もイントロのベースリフを聴いた瞬間に「あ……VELVET REVOLVER 往年のガンズだ!」と思いましたから(笑)。また、スラッシュに関してもギターリフやそこに絡むギターソロで、「ABSUЯD」以上に“らしさ”を爆発させている。そうそう、聴きたかったのはこれなんですよ。

アクセル・ローズ(Vo)のボーカルは、「ABSUЯD」の時点では“そういう曲調だから”と思ってはいたものの、やはり若干の衰えは否めないかな。それでも、中音域からハイトーンへと移行する流れなどは非常に“らしさ”に満ち溢れており、個人的には合格点かな。

ドラムに関しては、誰のテイクが用いられているのかはわかりませんが、この手の曲にしてはペタペタ感の強い、重すぎるプレイ/ミックスなのが玉に瑕。もうちょっと軽やかで前のめりくらいが、この手の楽曲には合っている気がします。

まあ、そうはいっても……ガンズの新曲を2ヶ月連続で聴くことができる世界線って……ここまでくると、来月末〜11月頭くらいにもう1曲くらい新曲が届けられて、11月末くらいにはアルバムが出ちゃうんじゃないか?という気すらしてきました。いや、気がするというより確信しております。いやいや、出せ出せ出せ!(笑)

 


▼GUNS N' ROSES『HARD SKOOL』
(amazon:MP3

 

2021年9月24日 (金)

SAMI YAFFA『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』(2021)

2021年9月24日にリリースされたサミ・ヤッファの1stソロアルバム。日本盤は同年9月22日に先行発売。

HANOI ROCKSのベーシストとしてシーンに登場し、バンド解散後はジョニー・サンダース(ex. NEW YORK DOLLS)との活動を経てJETBOYに加入。90年代は盟友マイケル・モンローJERUSALEM SLIMDEMOLITION 23.といったバンドで活動し、以降はJOAN JETT & THE BLACKHEARTSNEW YORK DOLLSMICHAEL MONROEで活躍してきたサミ。40年以上のキャリアの中でソロ活動を一切行ってこなかった彼ですが、ここにきてついに重い腰を上げてソロアルバムを完成させました。

パンクの洗礼を経て、シンプルで生々しいロックンロール、レゲエやダブ、スカ、ラテンミュージックなどを通過したサウンドは、いかにも彼らしいもの。そこにマイケル・モンローやアンディ・マッコイといったHANOI ROCKS時代の仲間たちとの共通点も見つけられ、またサミならではの独自性も見つけられる。というか、ほかの2人と比べてかなり器用な人なんだなと驚かされました。

とにかく、ここで聴けるロックンロールの多彩さとそのナチュラルさ、そして完成度の高さには舌を巻くばかり。ソングライティング面では現在活動をともにするリッチ・ジョーンズ(G/MICHAEL MONROE、ex. THE BLACK HALOS、ex. AMEN、ex. THE YO-YO'Sなど)のサポートが非常に大きく、彼の手腕によるものもかなりあるようです。実際、マイケルのアルバムでも彼のソングライティング力は非凡なものがありますからね。

レコーディングは地元フィンランドの旧友たち、ヤンネ・ハーヴィスト(Dr)やラネ(G/ex. SMACK)、ティモ・カルティオ(G)、そしてクリスチャン・マルトゥッチ(G/STONE SOURコリィ・テイラーBLACK STAR RIDERS)、マイケル・モンロー(Sax, Harp)、リッチ・ジョーンズ(Cho)などが参加。サミもボーカルやベース以外に、ギターやグロッケン、メロディカとさまざまな楽器に挑戦しています。歌声も意外とサマになっており、この派手すぎない、けど地味すぎもしないサウンドと見事にマッチしています。

彼がこれまでに参加してきたバンドのテイストは随所から感じられるし、またそのルーツもしっかり伝わる仕上がり。2021年に聴くには古臭いと敬遠されそうな音かもしれませんが、裏を返せば時代を選ばないロックンロールサウンドでもあるのかなと。説得力とその重みが、同系統のバンドとはまったく違うものが感じられるのもこの人ならでは。HANOI ROCKSやマイケル・モンローのファンはもちろんのこと、1980年代のバッドボーイズ・ロックンロールや2000年代以降のリバイバル・ガレージロックのリスナーにも間違いなくヒットする、捨て曲ゼロのご機嫌な1枚です。

 


▼SAMI YAFFA『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』
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2021年9月23日 (木)

MANIC STREET PREACHERS『NATIONAL TREASURES - THE COMPLETE SINGLES』(2011)

2011年10月31日にリリースされたMANIC STREET PREACHERSのコンピレーションアルバム。日本盤は同年10月26日発売。

本作は『FOREVER DELAYED: THE GREATEST HITS』(2002年)『LIPSTICK TRACES: A SECRET HISTORY OF MANIC STREET PREACHERS』(2003年)に続く3作目のコンピアルバム。1作目は1stアルバム『GENERATION TERRORISTS』(1992年)から10年のタイミングに発表されたシングルコレクション、2作目はアルバム未収録のシングルカップリング曲をオリジナル/カバーで分けて収録した2枚組コンピでしたが、今回はバンドの知名度を(良くも悪くも)広める結果となった記念碑的シングル「Motown Junk」(1991年)から数えて20年という節目に制作された、文字通り“コンプリート・シングル集”となっております。

……が、いきなりですが。本作、すべてのシングル曲を網羅しているわけではありません。例えば、「Motown Junk」の前に発表しているEP『NEW ART RIOT』(1990年)や、正真正銘の1stシングル「Suicide Alley」(1989年)はスルーされていますし、「You Love Us」の“Heavenly Version”と呼ばれるインディーズバージョン(1991年)、「Love's Sweet Exile」との両A面曲「Repeat」(1992年)、「Faster」との両A面曲「P.C.P.」(1994年)や、日本限定シングルの「Further Away」(1996年)、「Nobody Loves You」(1998年)、突如無料配布された幻のEP『GOD SAVE THE MANICS』(2005年)、デジタル配信された「Underdog」(2007年)なども除外されています。要は、「全英チャートにランクインしたフィジカルシングル、かつ両A面曲の場合はリードトラックとなる1曲目」という基準で選ばれたようですね(本作のツアーではここらへんの楽曲もサービスでプレイされていましたが)。

というわけで、本作には「Motown Junk」や「Stay Beautiful」といった初期の楽曲から当時の最新シングル「Postcards From A Young Man」まで、および本作のために用意された新録曲「This Is The Day」(THE THEのカバー)の計38曲が収録された2枚組CDとなっています。本作からのリード曲として「This Is The Day」もシングル化されているので、結果収録曲すべてがシングル曲ということになるわけですね。なお、日本盤のみボーナストラックとして新曲「Rock 'n' Roll Genius」を追加収録。この曲はシングル「This Is The Day」HMV限定盤にのみ収録されていた貴重な1曲で、今作のストリーミング/デジタル盤には未収録。迷わず日本盤CDを手に入れておきたいところです。

ですが、このベスト盤。海外盤には2CD+DVDというデラックス盤も用意されていて、こちらの付属DVDには2CDに収められた全38曲のMV+ボーナス映像(「You Love Us (Heavenly Version)」「Autumn Song (Alternative Version)」、そして未シングル曲「Jackie Collins Existential Question Time」)を網羅。現在では希少価値の高いコレクターズアイテムとなっていますが、こちらもぜひとも手に入れておきたいところです。

『FOREVER DELAYED: THE GREATEST HITS』では一部楽曲がシングルエディットで収録されていましたが、こちらはたっぷり2枚組ということもあり、すべてオリジナルバージョン(アルバムサイズ)で楽しむことができます。すべてのアルバムを楽しんできたコアなファンには不必要っちゃあ不必要かもしれませんが、特に2000年代前半まではアルバムごとにスタイルを変化させ続けてきたマニックスの音楽的変遷を、時代を追って楽しめる手軽な内容ではないでしょうか。「マニックスの代表曲を押さえておきたい」というビギナーにはうってつけの入門盤だと断言しておきます。

ここ10年でシングルの価値がほぼなくなり、カップリングという言葉自体が死後となりつつある中、今年でメジャーデビュー30周年を迎えるマニックスが今後それを祝したベスト盤を制作するのかどうかは不明です。が、もし可能ならCD3枚組くらいでシングル曲/リードトラックを網羅した“真のコンプリート・シングルズ”に期待したいところです。

 


▼MANIC STREET PREACHERS『NATIONAL TREASURES - THE COMPLETE SINGLES』
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2021年9月22日 (水)

SPIRITBOX『ETERNAL BLUE』(2021)

2021年9月17日にリリースされたSPIRITBOXの1stアルバム。日本盤未発売。

SPIRITBOXはメタルコアバンドiwrestledabearonceの元メンバーであるコートニー・ラプランテ(Vo)&マイク・ストリンガー(G)を中心に結成された、カナダ出身のメタルコア/プログレッシヴメタルバンド。2016年から活動を開始し、2017年に1st EP『SPIRITBOX』をインディーズレーベルPale Chordから発表、翌2018年にはポップパンクバンドLIVING WITH LIONS出身のビル・クルック(B)が加入し、現在はこの3人を基盤に活動を行なっているようです。

2020年末にはPale Chordとのパートナーシップにより、世界的に有名なレーベルRise Recordsと契約。「Circle With Me」「Secret Garden」「Hurt You」といった楽曲がBillboardのHard Rock Digital Song Salesなどで高順位にランクインしました。

メタルコアをベースに、Djentを通過したプログメタルのテイストを散りばめたそのモダンなスタイルは、EVANESCENCEにも通ずるゴシック感もありつつ、全体的にはほかの同ジャンルバンドにも負けないガッツ、そして楽曲の良質さが伝わる高品質さを誇るもの。iwrestledabearonceからそのボーカルワークに定評があった、コートニーの男勝りなグロウルやデスボイスは圧巻の一言で、そんな中要所要所で聴かせる女性的な柔らかさに、その都度ドキッとさせられます。タイトルトラック「Eternal Blue」とか最高じゃないですか。個人的には同曲以降の流れで見せる、この緩急の付け方がたまらんです。

マイクのギタープレイもメタルコア的スタイル、Djent的プレイが混在したもので、非常に現代的。iwrestledabearonce時代に培った才能はここでもしっかり感じることができるものの、iwrestledabearonce時代よりもアグレッシヴさは減退したかな。むしろ、楽曲をいかに引き立てるかを大切にし、それぞれに合ったプレイを充てているといったところでしょうか。

どの曲も平均点以上で終始安心して楽しめる高水準なアルバム。さすが鳴り物入りの大型新人といったところでしょうか。ここにキラーチューンと呼べる、時代を象徴するような1曲が加われば99点レベルのアルバムになっていたと思いますが、そこはデビューアルバムということで次回に期待。それでも軽く90点超えの傑作だと思いますけどね。

なお、本作収録の「Yellowjacket」にはARCHITECTSのサム・カーター(Vo)がゲスト参加。ARCHITECTSを筆頭とするポスト・メタルコア勢にも十分にアピールする1曲なので、ぜひ同バンドやその界隈のリスナーにも届いてほしいところです。

 


▼SPIRITBOX『ETERNAL BLUE』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2021年9月21日 (火)

BRING ME THE HORIZON『DiE4u』(2021)

2021年9月17日に配信リリースされたBRING ME THE HORIZONの新曲。現時点ではフィジカルリリースの予定なし。

バンド名義による新曲としては、2020年10月30日デジタルリリースのEP『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』以来11ヶ月ぶり。同作のフィジカルリリースが今年1月末だったり、オリー・サイクス(Vo)がフィーチャリング参加した楽曲が複数公開されてきたので、意外と空いていない気がしたんですが、もう1年経っていたんですね。

『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』は同作を基盤にスタートする“POST HUMAN”EP4部作の第1弾という立ち位置で、そのEPに向けて同年前半から「Parasite Eve」「Obey (with YUNGBLUD)」といった新曲が随時配信されました。と考えると、この新曲「DiE4u」から数ヶ月後(おそらく2022年年明けあたり)にはEP第2弾が届けられるのかな?という気がしています。

さて、今回の新曲について。「DiE4u=Die for you」を意味するタイトルですが、コロナ禍突入後に立ち上げられた“POST HUMAN”というコンセプトしかり、BMTHにとって“生”と“死”はこれまで以上に大きな意味を持つテーマになってきたのではないでしょうか。そんな中で〈You know that I'd die for / I cry for / You know that I'd die for you〉とサビで歌われるこの曲、大切な人への献身的な愛情が伝わってくる、どこか優しげな1曲と言えるのではないでしょうか。

サウンド的には近作の延長線上にあるヘヴィ&ラウドなサウンドに甘いメロディを乗せたスタイルで、特に目新しさは感じませんが、ヒットチャートを席巻するモダンポップ/ダークポップとの共通点も多数見受けられ、単なるヘヴィロック/ラウドロックでは片付けられない仕上がりと言えるでしょう。

オリーが監督を務めたMVも、スプラッター映画を彷彿とさせるグロ寄りの仕上がり。ホラー/ゾンビものが大好物な自分にとってはドストライクな内容ですが、こちらからも先の“大切な人への献身的な愛情”が感じられるストーリー構成/演出となっており、単なるホラーMVの一言では済ませられない見応えのある1本となっています。相変わらず映像でも遊びまくっていて好印象。いいぞ、もっとやれ。

この1曲から来たる最新EPの内容を予想するのは難しさを伴いますが、なんとなく『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』以上に慈愛に満ちた1枚になるのでは……いや、そうなってほしいなと思っています。そうすれば、そこの反動でさらにエグい1枚も期待できそうですしね。

 


▼BRING ME THE HORIZON『DiE4u』
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2021年9月20日 (月)

MOTÖRHEAD『MARCH ÖR DIE』(1992)

1992年8月14日にリリースされたMOTÖRHEADの10thスタジオアルバム。日本盤は同年8月22日発売。

前作『1916』(1991年)でEpic RecordsのサブレーベルであるWTG Recordsにメジャー移籍したMOTÖRHEADでしたが、同作がリリースされた1991年初頭はちょうど湾岸戦争に突入したタイミング。これ以降、世の中の情勢が少しずつ悪化し、不景気の煽りも受けて思ったほどの成績を残せず(全米142位/全英24位)。さらに、JUDAS PRIESTアリス・クーパーMETAL CHURCH、DANGEROUS TOYSといったレーベルメイトとのパッケージツアー『Operation Rock'n'Roll』も途中で頓挫してしまいます。

バンドは『1916』から1年7ヶ月という、比較的短いスパンで次作を完成させます。プロデューサーには前作でエド・スタシアムと名を並べた、PROCOL HARUMなどにも所属したピーター・ソリーが単独で再着任。『1916』はハードロックというよりも荒々しい暴走ロックンロール/パンクロックと呼ぶにふさわしい仕上がりだったので、続く今作にもその路線を期待しますが……あれっ?と誰もが思うわけです。

まず、極力スピードを抑えたミディアムテンポ中心の作風が疑問のひとつ。アップテンポの楽曲も含まれてはいるものの、いわゆるパンク的な疾走感というよりはヘヴィメタルに近い重さとスピード感(しかもそこまで速くない)。さらに、カバー曲が2曲も収められている。ひとつはテッド・ニュージェントの代表曲「Cat Scratch Fever」で、もうひとつはオジー・オズボーン「Hellraiser」。まあ後者はレミー(Vo, B)がオジー&ザック・ワイルドと共作したオリジナル曲なので、カバーと呼んでしまうにはちょっと可哀想かな。

「Stand」とか「Asylum Choir」とか、確かにカッコいいですよ。でも、前作にあったスピード感が伝わらない。硬質なサウンドプロダクションと相まって、重さが強調されすぎているんです。確かに先のカバー2曲や「Bad Religion」、ブルース色を強めた「You Better Run」やダークな「March Or Die」など、ミディアムナンバーの仕上がりは上出来です。ただ、序盤にスピード曲が少なく、後半に固められている構成もよくなくて、せめて交互に並べるとか工夫が欲しかった(そのへんの失敗が次作『BUSTARDS』(1993年)につながるわけですが)。

とはいえ、本作にはGUNS N' ROSES的グルーヴ感を全面に打ち出した「Jack The Ripper」(前作にも似たテイストはありましたが)、オジーとのデュエットが楽しめる初の本格的パワーバラード「I Ain't No Nice Guy」、先の「March Or Die」など新たな魅力を伝える楽曲も用意されている。バンドとしての新たな挑戦と受け取ることもできるけど、果たしてファンはMOTÖRHEADにこういったスタイルを求めているのかどうか……そこは当時から謎でしたが。

あ、そうだ。今作ではフィル・“アニマル”・テイラー(Dr)は「I Ain't No Nice Guy」のみ参加で脱退(理由はなんとなく想像できる)。レコーディングではトミー・アルドリッジ(WHITESNAKE、オジーなど)が大半を叩き、「Hellraiser」にて当時DON DOKKENを抜けたか抜けないかの時期だったミッキー・ディーがプレイ。このへんのメタル勢がドラマーを務めたのも、ペタペタした重さの理由の一因かもね(結局、アルバム完成後にミッキーが加入。以後、解散まで席を置くことになります)。このほか、先のオジーやGN'Rのスラッシュ(G)が「I Ain't No Nice Guy」で客演しています。

以上のような要因を踏まえると、バンドが“やりた”かったというよりは、メジャーレーベルがいろいろ“やらせた”かった1枚なのかな。どことなく迷走感が伝わりますが、それは数字にもしっかり表れてしまいます(全英60位。全米ではチャートインせず)。その悔しさがすべて『BUSTARDS』につながったと考えれば、ここでの失敗も悪くはなかったのかな。

個人的には嫌いになれない1枚です。だって、出来が悪いわけではないので。ファットなサウンドプロダクションのMOTÖRHEADなんて、後にも先にもこれしかないですからね(笑)。

 


▼MOTÖRHEAD『MARCH ÖR DIE』
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2021年9月19日 (日)

OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS (30TH ANNIVERSARY EXPANDED EDITION)』(2021)

2021年9月17日に配信リリースされた、オジー・オズボーンの6thアルバム『NO MORE TEARS』(1991年)30周年記念エディション。

80年代後半にバンドに加わったザック・ワイルド(G, Vo)参加2作目のオリジナルアルバムにして、1stアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)にも匹敵する売り上げを誇る名盤。特に今作からは「No More Tears」(全米71位/全英32位)、「Mama, I'm Coming Home」(全米28位/全英46位)というヒットシングルに加え、「Time After Time」「Road To Nowhere」「Mr. Tinkertrain」というラジオヒットも生まれるほどで、以降の音楽活動においてひとつの基盤となった“多彩なサウンド/音楽性を詰め込んだハードロックアルバム”としても知られています。

なにげに30年前のリリースも9月17日だったようで、正真正銘の30周年を祝福する本作は全25トラックから構成されています。オリジナル盤に収録された11曲に加え、2000年代以降のリマスター盤にボーナストラックとして追加された「Don't Blame Me」「Party With The Animals」(この2曲は日本盤初出時からボーナストラックとして収録されていたので、日本のファンにはお馴染み)、『NO MORE TEARS』制作時のデモ音源6曲、アルバムリリースツアーからのライブ音源5曲、そして今回のアニバーサリー盤のために新編集された「Hellraiser」のオジー&レミー(MOTÖRHEAD)デュエットバージョンという内容。

まず、デモ音源6曲は1992年にプロモ用に制作された『THE NO MORE TEARS DEMO SESSIONS』という限定CDが初出で、のちに「Mrs J.」を除く5曲がボックスセット『PRINCE OF DARKNESS』(2005年)で一般流通されました。ストリーミングサービスでは今回が初出のようですね。どの曲もノーマルチューニングで録音されており、ザックのギタープレイも現行版とは若干異なっていたり、「I Don't Want To Change The World」の冒頭にオジーのハーモニーが追加されていたりと、違いを見つけるのも楽しいです。あと、個人的にはデモでのランディ・カスティロ(Dr)のドラム音が好み。

「Mrs J.」はザックによるアコースティックインスト。なんとなく『BLIZZARD OF OZZ』におけるランディ・ローズの「Dee」を彷彿とさせるものがありますが、「Mrs J.」のほうはもっとメロディアスで、このまま歌を乗せても成立する仕上がり。ドラムとシンセがかぶさっていることもあって、箸休め感が薄まっているのも好印象。ただ、アルバムに入れるスペースがなかったのもわかります。バラード多いですものね、『NO MORE TEARS』。

そして、ライブ音源。こちらはDVD『MEMOIRS OF A MADMAN』(2014年)に収められていた1992年のサン・ディエゴ公演(4曲)とMTVでのライブ(1曲)。音源化はこれが初となります。どれも今日までライブの定番ばかりなので、新鮮味は薄いかな。しっかりボーカルに修正(ダブルボーカル)も加わってますしね。

で、問題なのがラストナンバー「Hellraiser」。この曲はもともとオジー/ザック/レミーの共作曲で、レミーも『MARCH ÖR DIE』(1992年)にMOTÖRHEADバージョンを収録しています。今回の新バージョン、バックトラックはオジー版がベースで、若干リミックスも施されているようです(ドラムの出音やベースの質感が違いますしね……ってもしかして、ベースはレミーのプレイをミックスしてる?)。MOTÖRHEAD版もキーやアレンジがほぼ一緒なので、オジーのボーカルとミックスしたり、歌い分けているように編集したりしても違和感ゼロ。むしろ、このバージョンをもっと早くに聴いていてもおかしくなかったんじゃないの?というくらい自然な仕上がりなのです。オジーは健在だけど、レミーはすでに旅立って5年以上経ちますしね……「勝手なことをしやがって!」と向こうでニヤニヤしているといいな。

この「Hellraiser」新バージョンは年末にアナログ盤のリリースも予定されているようなので、ファンアイテムとしてそちらも手に入れておきたいところ。まずは名盤を改めて振り返りつつ、貴重なデモ音源と新たな共演曲(ライブはおまけ)を中心に楽しめたらと思います。

 


▼OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS (30TH ANNIVERSARY EXPANDED EDITION)』
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2021年9月18日 (土)

LEPROUS『APHELION』(2021)

2021年8月27日にリリースされたLEPROUSの7thアルバム。

新境地を伝える前作『PITFALLS』(2019年)から2年ぶりの新作は、前作をさらに推し進めた、より多彩さに満ちた1枚に仕上がりました。もはやHR/HMの範疇で語ることすら難しくなりつつありますが、むしろそれが彼らの多様性や今の進化ぶりにぴったりなのでは。

今作はコロナ禍での制作ということもあり、3つのスタジオで異なる時期にレコーディングされたとのこと。それもあってか、曲ごとにエンジニアやプロデューサーが異なるのも大きな特徴と言えます。バンドメンバーに加え、共同プロデューサーとして近作を手がけるデヴィッド・カスティロ(OPETHKATATONIAなど)、クライスター・セダーベルグ(ANATHEMAなど)などが名前を連ね、ミックスをこれまで同様にアダム・ノーブル(PLACEBOBIFFY CLYRO、NOTHING BUT THIEVESなど)が担当。デヴィッドとクライスターが各スタジオで中心となって録音を指揮しましたが、曲によっては1曲まるまる完成させたり、複数のスタジオで録ったテイクを合体させたりと、いろいろな工夫があったようです。

実際、今回のアルバムを聴くとストリングスを駆使した妖艶かつスリリングな楽曲があったり、エレクトロのテイストを強めた前作の延長線上にあるもの、ループするギターストロークを軸にしたオルタナティヴロック風、ヒップホップ以降のクラブミュージックを通過したモダンポップス風など、さまざまなカラーの楽曲にヘヴィなテイストを散りばめ、そこにエイナル・スーベルグ(Vo, Syn)のファルセットを駆使した透明感の強い歌声が乗る……実は、この最後の味付けによってどの曲もLEPROUSらしさが確立されているのでは?と感じるほど、強烈な個性を放っています。

方向性は少々異なるものの、意外とMUSEにも通ずるものがあるのでは……と、特に今作を聴いて感じました。ただ、MUSEがよりクラシカルなものを下地にしつつアバンギャルドな方向へ進むような「軸を見つける」活動に対して、LEPROUSはアバンギャルドなテイストをベースにしながらも、さらにさまざまな味付けを見つけていく「拡散していく」活動のような。また、MUSEがより派手さを身につけていったのに対し、LEPROUSはより内省的なスタイルへと突き進む。逆じゃん!と思いきや、そのミッシングリンクを見つけることができるのがLEPROUSの今作ではないでしょうか(そういえば、前作について書いたときもMUSEの名を挙げていましたね。今回のを書き終えて、前作のレビューを読み返して気づきました)。

もはやジャンル分けは不要だし、逆に何か形容詞をつけてしまうことで彼らの魅力が半減してしまいそうな気がする。それほどに今回のアルバムは繊細さとともに、さまざまな可能性が秘められているのです。言ってしまえば、僕の中ではロックであるのかどうかすらどうでもよくなっている、純粋に優れた音楽作品。初期の作品で展開されたサウンドを切り離しつつ、ビギナーには偏見や色眼鏡なしで触れてほしい傑作です。美しいったらありゃしない。

 


▼LEPROUS『APHELION』
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2021年9月17日 (金)

CARCASS『TORN ARTERIES』(2021)

2021年9月17日にリリースされたCARCASSの7thアルバム。

2007年にジェフ・ウォーカー(B, Vo)、ビル・スティアー(G)の初期メンバーに90年代前半に在籍したマイケル・アモット(G)とマイケルの盟友ダニエル・アーランドソン(Dr)というARCH ENEMY組の4人で再結成&ライブ活動を再開させたCARCASS。当初は過去の楽曲を演奏するだけにとどまりましたが、ジェフ&ビルは新ドラマーにダニエル・ワイルディング(Dr)を迎えて新作制作に突入。2013年に17年ぶりの新作『SURGICAL STEEL』を発表し、真の意味での復活を遂げます。同作リリースと同時に2ndギタリストとしてベン・アッシュが加入。2013&2015年秋に『LOUD PARK』出演、2014年春には1994年以来となる単独来日(初の本格的ジャパンツアー)と、3年連続来日を果たしました。

2018年にはベンが脱退し、ジェフ/ビル/ダニエルのトリオ編成でレコーディングに突入。2019年には再結成後2作目となるアルバムを完成させ、2020年夏のリリースを目指して活動していました。が、ご存知のとおり、コロナ禍の影響によるロックダウンで海外のプレス工場が閉鎖されたこともあり、リリースは1年延期に。こうして、前作から8年ぶりとなるニューアルバムが手元に届けられたわけです。

CARCASSに関しては、もはやこんな駄文を読むよりも『ヘドバン』での掟ポルシェ氏のテキストを参考にしていただくのが一番。もっとも信頼できる圧倒的な解説が展開されているので、まずはそちらを読んでいただいて……こちらは暇つぶし程度に。

『SURGICAL STEEL』がCARCASSの知名度を高める結果となった3rdアルバム『NECROTICISM – DESCANTING THE INSALUBRIOUS』(1991年)と4thアルバム『HEARTWORK』(1993年)でのサウンド……のちにメロディックデスメタルと呼ばれるようになるスタイルの原型となる楽曲/演奏を軸にしつつ、今のCARCASSらしく(良い意味で)整頓された、ガッチリしたメタル/エクストリームミュージックを楽しむことができました。しかし、これまでに1枚たりとも同じスタイルの作品を作ってこなかったCARCASS、続く本作では前作とまったく異なるスタイルにチャレンジしています。

サウンドや演奏のベースになるものは前作『SURGICAL STEEL』の延長線上にありつつも、楽曲の質感や音楽性はもっと別のもの……ぶっちゃけ、エクストリームミュージックとは一線を画するものが採用されているように感じました。ジェフのインタビューでは“Dad Rock”という例えが出てきましたが、70年代のハードロックなどHR/HMのルーツになるような音楽からの影響が、各曲の随所から感じ取ることができます。なのに、アルバムを通して聴いたときにしっかり感じられるエクストリーム感。本当に不思議です。

さらに、本作からはビルにとっての大切なルーツであるNWOBHM期のバンドたちからの影響もしっかり汲み取ることができる。例えば、「Eleanor Rigor Mortis」でのアレンジは80年代初頭のスラッシュメタルとそのルーツとなっているNWOBHM期のバンド、10分近くにおよぶ「Flesh Ripping Sonic Torment Limited」はDIAMOND HEADIRON MAIDENをはじめとするバンドからの影響も見つけることができるのが、これまでの作品との大きな違いかなと。

今作を語る上でもうひとつ重要になってくるのが、実はリリース時に酷評された5thアルバム『SWANSONG』(1996年)の存在。同作は『HEARTWORK』で試みたスタイルをよりシンプルかつピュアな形に昇華させたもので、ビルのNWOBHM趣味が前作以上に色濃く表れています。リリースから25年経った今聴くと同作は非常に聴きやすい、よく作り込まれたハードロックアルバムとして十分通用する1枚ですが、今回の『TORN ARTERIES』はその『SWANSONG』で試みたことをより純化させつつ、しっかりエクストリームミュージックとして機能するアルバムへと昇華させた。共通項はたくさんあるものの、似て非なる“オリジナル”な1枚だと思うんです。

初期のアグレッシヴさとは別ベクトルの攻撃性と、『SWANSONG』級の聴きやすさ/親しみやすさを伴った異色作。いや、CARCASSのアルバムは毎回、常に異色なんです。今回も我々の期待を遥かに上回る、予想の斜め上をいく傑作です。8年待った甲斐があった。本当にありがとうございます。

 


▼CARCASS『TORN ARTERIES』
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2021年9月16日 (木)

IRON MAIDEN『SENJUTSU』(2021)

2021年9月3日にリリースされた、IRON MAIDENの17thアルバム。

全英1位/全米4位を記録した前作『THE BOOK OF SOULS』(2015年)から6年ぶりのオリジナルアルバム。バンドはこの期間にも『THE BOOK OF SOULS: LIVE CHAPTER』(2017年)、『NIGHTS OF THE DEAD, LEGACY OF THE BEAST: LIVE IN MEXICO CITY』(2020年)とライブアルバム2作を発表しており、それぞれ全英17位/全米49位、全英7位/全米53位というまずまずの数字を残しています。

前作は初のCD2枚組/全11曲・92分という過去最長の内容でしたが、続く今作もCD2枚組という形態に。今作は全10曲・82分とボリューム的には前作には及ばないものの、CD1枚に収録するには2分ほど長すぎるということで2枚組になったようです。それでも70年代だったら、アナログ盤4枚組に相当するボリュームですけどね。

さて、内容について。リードトラック「The Writing On The Wall」が比較的地味なミディアムナンバーだったこともあり、個人的には「なんとなく『A MATTER OF LIVE AND DEATH』(2006年)の作風に似てるかな?」と感じていました。で、いざアルバムを通して聴いてみると……地味。前作『THE BOOK OF SOULS』も決して派手な作品ではなかったですし、あのときも「なんとなく『A MATTER OF LIVE AND DEATH』の作風に似てるかな?」という感想を抱きましたが、今作に関してはそれ以上。むしろ『A MATTER OF LIVE AND DEATH』をまた聴いているんじゃないか?というデジャブに陥ったほどです。

こういう作風のときって、間違いなくスティーヴ・ハリス(B)の創作意欲にブーストがかかっているときなんですよね。『A MATTER OF LIVE AND DEATH』然り、『THE BOOK OF SOULS』然り。『THE FINAL FRONTIER』(2010年)のときも比較的その傾向にありましたが、あのときはほかのメンバーの創作意欲も強まっていた時期だと思うので、もうちょっと全体的なバランスが整っていた気がしますが、今作に関してはスティーヴ・ハリス無双という表現がぴったり。80年代から90年代初頭にかけて、ファンが喜ぶことに徹しつつ自身の表現したいことも重ねてきた彼ら、そういったことを散々やってきたのだから、メンバー全員が60代に突入した今はもう余生。リスナーが、ファンが、過去のメイデンがといった外野の声を無視して、本当にやりたいことを、作りたい音楽を、表現したい芸術を形にするのがベストなのかもしれません。そういった意味で、このアルバムで表現されている内容は純度100%のIRON MAIDEN=スティーヴ・ハリスだと思います。文句なし。

ただ、そこに従来のファンが求めるであろう派手さ、尖った部分、わかりやすさが伴っていないだけ。商業作品としては間違っているのかもしれないけど、IRON MAIDENが2021年に表現すべき音楽としては大正解。この矛盾を孕んだ作品、果たしてどこまで正しく評価されるのかわかりません。きっとこの先、あと1枚2枚アルバムを作れるのかどうか。あるいは、何か突発的な事故が起こってこのアルバムがラストアルバムになる可能性だってある。年齢的に、そして時勢的に考えると、近年のメイデンは毎回「これがラストアルバム」という気持ちで制作と向き合っていると思うんです。

商業的に成功するような作品は『FEAR OF THE DARK』(1992年)でひとつ完結している。あるいは、6人になって最初の1、2枚(『BRAVE NEW WORLD』『DANCE OF DEATH』)でもう一度トライしてきた。もう昔のような「売れるアルバム」「大衆にアピールするアルバム」という鎖に縛られる必要はない。演奏していて楽しい音楽、自分たちが聴いて楽しい音楽を作ればいい。その答えが今回の『SENJUTSU』というアルバムなのかもしれません。

ブルース・ディッキンソン(Vo)は前作制作前に舌癌と向き合い、さらに加齢による声域減退から、ボーカリストとしては確実に下り坂へと折り返しています。それにより、メロディラインが以前と比べて単調になり始めている。これはもう仕方のないこと。楽曲のテンポ問題も一緒でしょう。そういった肉体的制限が以前よりも厳しい中で、ここまでまとめるのは相当苦労したはずです。

ですが、そういった問題は作品の質とは無関係。以前より地味だからダメ、サヨナラ、という人もいるはずです。実は、このアルバムを最初に聴いたときは自分もそっち側に行ってしまうのかな、と思っていました。しかし、二度三度とリピートしているうちに、嫌いになれない自分に気づく。むしろこれ、好きなやつじゃん、と気づくのです。そうか、自分『A MATTER OF LIVE AND DEATH』も『THE BOOK OF SOULS』も嫌いになれなかったもんな。じゃあ好きなわけだ。特にDISC 2(7分20秒、10分20秒、12分40秒、11分20秒という長尺曲4曲収録)がお気に入りです。

こんなのレビューでもなんでもないですし、単なる自己肯定のための戯言に過ぎません。しかし、現在進行形のIRON MAIDENが自分にとってどんな存在なのか、それを再認識する上で今回のアルバムは非常に重要な“踏み絵”になったような気がします。最高傑作ではないけれど、真ん中より2、3歩上に位置する「気づいたら手に取っているお気に入り」。そういうユルいポジションの良作だと断言しておきます。

最後に。本作はイギリスで3作連続1位を獲得することができませんでしたが(最高2位)、アメリカではキャリア最高位となる3位にランキングしたことを記して、この長い駄文を締めたいと思います。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 


▼IRON MAIDEN『SENJUTSU』
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2021年9月15日 (水)

DREAM THEATER『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: MASTER OF PUPPETS - LIVE IN BARCELONA, 2002』(2021)

2021年9月15日に日本先行リリースされた、DREAM THEATERのライブアルバム。海外では同年9月17日発売予定。

本作は今年6月に発売された『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: IMAGES AND WORDS - LIVE IN JAPAN, 2017』、7月発売の『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: A DRAMATIC TOUR OF EVENTS - SELECT BOARD MIXES』、8月発売の『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: TRAIN OF THOUGHT INSTRUMENTAL DEMOS (2003)』に続く、オフィシャル・ブートレッグシリーズ第4弾。過去に自主レーベルYsejam Recordsを通じてさまざまな貴重音源を限定販売してきたDTですが、現在バンドが所属するInsideOutMusic Recordsとのコラボレーションで2021年から定期的にオフィシャルリリースされることになったわけでね。

これまで同企画でリリースされてきた音源の多くは、過去にYsejam Recordsを通じて発表されてきたもののリマスタリング音源でしたが、今回もその流れにある1枚。2002年2月のバルセロナ公演にて披露された、METALLICAの出世作『MASTER OF PUPPETS』(1986年)を完全再現演奏したものとなります。当時のDTは同じ会場で2公演続けてライブがあると、2日目の公演では前日と異なるセットリストを……ということで、バンドが愛聴してきた他アーティストの名盤をまるまる完全再現していました。

Ysejam Records経由の初出盤も当時話題になりましたが、DT待望の新作発表目前、そしてMETALLICAが『ブラックアルバム』(1991年)の30周年記念盤を発表した同タイミングにリマスタリングが施された新規盤が一般流通されることは、非常に大きな意味があるような気がします。

プログレッシヴメタルバンドのDTにとって、元祖スラッシュメタルバンドが確変したタイミングの1枚をまるまるカバーするというのは、どういう意味を持つのか。それこそツインギターバンドのMETALLICAの楽曲を「シングルギター&キーボード含む」編成のDTがどうカバーするのか。聴いていただいたとおり、アコギやクリーントーンギターのパートをジョーダン・ルーデス(Key)がキーボードでカバーしたり、ギターソロパートもジョン・ペトルーシ(G)がある程度弾いたあとにジョーダンがシンセでソロをかましたり、ツインリードパートではギターとシンセがハモったりと、DT流のアレンジが見事に施されています。

もともとプログレッシヴな展開を持つ楽曲が多い『MASTER OF PUPPETS』ですが、こうやってDTが演奏すると意外にもプログメタル的に聴こえてくるんですから、本当に不思議なものです。当時のドラマー、マイク・ポートノイ(Dr)の活き活きとしたプレイ、プリミティヴなスラッシュメタルには不向きなジェイムズ・ラブリエ(Vo)のボーカルなど、プラス面/マイナス面ともにありますが、こと演奏に関しては文句なしではないでしょうか。「Battery」のイントロダクションや「Master Of Puppets」でのエフェクトなどオリジナルアルバムから流用したSEも多く、このカバーを披露したあとに本家のラーズ・ウルリッヒ(Dr)が完全再現ライブ音源をDTに求めたという逸話もあるくらいですから、最終的には本家公認のライブアルバムということなんでしょう。

DTがこういったプログレッシヴスラッシュに特化したアルバムを作る……なんて淡い夢を見ていた層が果たしてどれくらいいるかわかりませんが、個人的には「こんなDTもアリだな」とYsejam Records盤を初めて聴いたときに思った記憶があります。そこから10周年ぶりに本作に触れてみて、再び「こんなDTもアリだな」と同じ感想を抱くことになるとは。ということは、何年経っても良いものは良いし、その出典元となる『MASTER OF PUPPETS』は時代を超えて長く愛される傑作/名盤なのだなと再認識させてくれる、非常にありがたい1枚と言えるのではないでしょうか。

DTは10月22日にニューアルバム『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』をリリースするので、この『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES』シリーズはしばらくお休みするのかな(新作の売り上げの邪魔しちゃアレですものね)。DTは過去にIRON MAIDEN『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982年)PINK FLOYD『THE DARK SIDE OF THE MOON』(1973年)、DEEP PURPLE『MADE IN JAPAN』(1972年)の完全再現ライブ実施およびオフィシャル・ブートレッグでのCD化を手がけてきたので、2022年以降はこれらの音源の再リリースにも期待したいところです。

 


▼DREAM THEATER『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: MASTER OF PUPPETS - LIVE IN BARCELONA, 2002』
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