2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2020年2月24日更新)


【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】 【映画レビュー】

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2020年2月29日 (土)

2019年11月〜12月のアクセスランキング

ここでは2019年11月1日から12月31日までの各エントリーへのアクセス数から、上位30エントリーを紹介します。

内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いたトップ30。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2019年9〜10月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日更新/→1位)

2位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新/→2位)

3位:KISS THE FAREWELL TOUR JAPAN 2001@東京ドーム(2001年3月13日)(※2001年3月25日更新/↑20位)

4位:CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)(※2019年6月19日更新/Re)

5位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新/↑8位)

6位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新/↓4位)

7位:11月24日、エリック・カーを偲んで。(※2005年11月25日更新/Re)

8位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/↑10位)

9位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新更新/↓6位)

10位:MICHAEL MONROE『ONE MAN GANG』(2019)(※2019年11月3日更新/NEW!)

 

11位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新/↑13位)

12位:MOTLEY CRUE『GREATEST HITS』(1998 / 2009)(※2019年11月22日更新/NEW!)

13位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓11位)

14位:MICHAEL SCHENKER FEST『REVELATION』(2019)(※2019年9月11日更新/↓3位)

15位:THE CULT『ELECTRIC』(1987)(※2017年9月22日更新/↑19位)

16位:ANDY McCOY『THE WAY I FEEL』(2017)(※2018年4月12日/↓5位)

17位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE』(1989)(※2018年5月16日更新/↓7位)

18位:DONNIE VIE『BEAUTIFUL THINGS』(2019)(※2019年5月13日更新/↑25位)

19位:IN FLAMES『COLONY』(1999)(※2019年11月5日更新/NEW!)

20位:BLOOD INCANTATION『HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE』(2019)(※2019年12月1日更新/NEW!)

 

21位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↓15位)

21位:BLACK VEIL BRIDES『VALE』(2018)(※2018年2月4日更新/Re)

23位:UGLY KID JOE『AMERICA'S LEAST WANTED』(1992)(※2019年11月8日更新/NEW!)

24位:IRON MAIDEN『POWERSLAVE』(1984)(※2019年11月1日更新/NEW!)

25位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/Re)

25位:UFO『WALK ON WATER』(1995)(※2017年8月10日更新/↓14位)

25位:FLYING COLORS『THIRD DEGREE』(2019)(※2019年12月12日更新/NEW!)

28位:THE OFFSPRING『AMERICANA』(1998)(※2018年9月7日更新/Re)

29位:THE WiLDHEARTS『DIAGNOSIS』(2019)(※2019年10月8日更新/↓25位)

29位:WHITESNAKE『FLESH & BLOOD』(2019)(※2019年5月11日更新/Re)

29位:U2『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984)(※2019年6月25日更新/Re)

29位:PRETTY MAIDS『UNDRESS YOUR MADNESS』(2019)(※2019年11月19日更新/NEW!)

29位:2019年総括:④楽曲編&印象的なライブ編(※2019年12月31日/NEW!)

29位:PRINCE『BATMAN』(1989)(※2019年2月13日更新/↓9位)

2020年2月のお仕事

2020年2月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※2月18日更新)

 

[WEB] 2月18日、「ENTAME next」にて前島亜美インタビュー『バンドリ!』声優としてブレイク 前島亜美「キャラクターの人生を背負っているから2倍感動できる」が公開されました。

[WEB] 2月17日、「Billboard Japan」にて和楽器バンドのライブ評和楽器バンド、エヴァネッセンスのエイミーをゲストに迎え一夜限りのコラボ オフィシャルレポート到着が公開されました。同様の記事はBARKSSPICECDジャーナルなどにも掲載中。

[WEB] 2月12日、「リアルサウンド」にてLittle Glee MonsterインタビューLittle Glee Monsterが語る、“輪”を広げるための新しい挑戦「今年もリトグリを好きって人たちをもっと増やしたい」が公開されました。

[WEB] 2月10日、「リアルサウンド」にてONE OK ROCKライブ評ONE OK ROCK、親密な空気感とアグレッシブなパフォーマンス 『Eye of the Storm』ツアー最終公演を徹底レポートが公開されました。

[WEB] 2月9日、「リアルサウンド」にて氷川きよしライブ評氷川きよしはシンガーとして新たな地平へと向かうーー”自分らしく”踏み出した21年目のコンサートツアーレポが公開されました。

[WEB] 2月8日、「NET ViVi」にて乃木坂46遠藤さくらインタビュー齋藤飛鳥とあだ名で呼び合う仲!乃木坂46・遠藤さくらが経験した濃厚な出来事が公開されました。

[WEB] 2月6日、ソニー・ミュージックレーベルズのイチオシ新人コンベンションイベントに個性あふれる有望株が勢揃い!が公開されました。

[紙] 2月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年3月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 2月2日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション連載LOVEBITES、Sons Of Apollo、BMTH……2020年もメタル/ラウドシーンの盛り上がりを期待させる新作8選が公開されました。

[WEB] 2月1日、「Rolling Stone Japan」公式サイトにてBABYMETALライブレポートBABYMETAL、光と闇を体現した幕張ライブ完全レポが公開されました。

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また、1月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2001号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2020年2月24日 (月)

BLACK SABBATH『DEHUMANIZER』(1992年)

1992年6月末にリリースされたBLACK SABBATHの16thアルバム。日本盤は約1週間遅れの、同年7月上旬に発売されました。

トニー・アイオミ(G)にトニー・マーティン(Vo)、コージー・パウエル(Dr)を中心とした布陣で14thアルバム『HEADLESS CROSS』(1989年)を制作し、同作のツアーからニール・マーレイ(B)が加入。その編成で15thアルバム『TYR』(1990年)を制作したBLACK SABBATHは、ロニー・ジェイムズ・ディオ時代の名盤『HEAVEN AND HELL』(1980年)を思わせる様式美スタイルでリスナーを喜ばせてくれました。

しかし、この布陣は長くは続きませんでした。「ロニー時代のサウンドに挑むなら、せっかくだし当の本人呼んじゃえよ!」ってことで(いや違うけど)、トニー・マーティンに代わりロニー御大を呼び戻したアイオミ。さらにベーシストをオリメンのギーザー・バトラーに交代し、ディオ/アイオミ/ギーザー/コージーという夢のような編成が実現します。

ところが、コージーが落馬により骨折。バンド離脱を余儀なくされ、後任にヴィニー・アピスが加わることになります。これにより10thアルバム『MOB RULES』(1981年)の編成が復活することになり、いわゆる“ディオ・サバス”としての3作目『DEHUMANIZER』が生まれるわけです。

アルバム発売前に、映画『ウェインズ・ワールド』のサウンドトラックに新曲「Time Machine」を提供。『HEAVEN AND HELL』に収録されていしょうなアップテンポのハードロックで、我々の期待を煽ってくれましたが、いざ届けられたアルバムは『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』とも、それこそ直近の『TYR』とも異なる、現代的なヘヴィさが強調された異色作でした。

様式美を意識した作風というよりは、当時流行り始めていたモダンヘヴィネス系を彷彿とさせる、リフでグイグイ引っ張り続けるダークなミドルチューンが中心。そこにディオのボーカルが乗ることで“らしさ”は若干維持されているものの、歌メロの抑揚が過去の名作ほど起伏に富んだものではない。この平坦さ(今聴くとそこまで平坦でもないけど)こそ1992年という時代ならではで、ディオにしろアイオミにしろ「過去の焼き直し」ではなく「今のシーンと対峙する」ことを念頭に置いたアルバム作りに臨んだことが伺えます。

アイオミのリフワークはさすがの一言だけど、オジー・オズボーン在籍時のヘヴィさとも異なる新たなダークさ、ヘヴィさを表現している。かつ、そこに従来らしさもにじませているもんだから、リリース当時は非常に複雑な新曲になったものです。「あれ、アイオミ先生……トニー・マーティンをクビにしてまでやりたかったことがこれなの?」と。

ところが。ディオ・サバスはこの1枚で再び頓挫。アイオミ先生は再びトニー・マーティンを呼び戻し、『HEADLESS CROSS』路線を推し進めた傑作『CROSS PURPOSES』(1994年)を完成させ、一方のディオ御大はモダンヘヴィネス路線に特化した『STRANGE HIGHWAYS』(1993年)をリリースするのでした……はい、戦犯が誰かおわかりですね(笑)。

でもね。本作のリリースから30年近くを経た今、このアルバムとしっかり向き合うと……めっちゃ良いんですよ。ディオらしさもしっかり表現できているし、アイオミのリフメイカー/ソングライターとしての才能も際立っている。むしろ、グランジやモダンヘヴィネス系が台頭し始めたタイミングに、HR/HMのオリジネイターとしてちゃんと“今”と向き合い、そこで自分ができることを提示してくれている。退屈な曲がゼロとまでは言いませんが、全体を通して普通に楽しめる1枚だと思います。

個人的にはイントロで異彩さを放つ「Master Of Insanity」や、途中での展開がいかにもな「Computer God」、サイケなメロディラインが新鮮な「Sins Of The Father」、もっともディオ・サバスらしい「Too Late」などお気に入り多数。まあ、ここでの経験がさらに10数年後にHEAVEN AND HELLという変名ディオ・サバスへとつながっていくわけですが、それはまた別の機会に。

 


▼BLACK SABBATH『DEHUMANIZER』
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2020年2月23日 (日)

コンテイジョン(2011)

あらすじ
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?

マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレットなどそうそうたる面々が一堂に会した、スティーブン・ソダーバーグ監督によるパンデミック系パニックムービー。冒頭10数分の感染する流れが、新型コロナウイルスを通じた今年1月末〜2月上旬の世界情勢と重なることから「予言では?」なんて噂され、公開から10年近く経ったこのタイミングに妙な形で注目を集めることになりました。

もちろん、映画の中で発症するウイルスと現実のコロナウイルスはまったく別モノですし、その拡散スピードや死者の数も映画の中では現実離れしたものがありますが、どこか他人事とは思えない部分も多く、興味深く最後まで観ました。

パニック映画としての側面よりも、ウイルスとどう向き合い感染経路を特定させるか、どうやってワクチンを生成するかに焦点が当てられた作品で、その過程で主要登場人物の一部が感染して死亡するというパンデミックの恐怖を表現する。また、現代的なのがネットを通じて、いわゆるYouTuber的存在が発言力を高めることで、どこか新興宗教じみたものへと進化していったり、完成したワクチンをまず“どの国”の“誰”に、“どういう順番”で投与するか、それによる国同士のやりとりなども描かれており、単なるホラーやパニック作品とは異なる醍醐味が感じられるはずです。

ここ日本で生活していると、日々伝わってくる最悪な現実と重ねて観てしまうため、どうしても娯楽作品として楽しむことができなくなってしまいがちですが、この時期だからこそ観ておいて損はない作品かなと。

個人的に胸糞悪かったのは、最初にベス(グウィネス・パルトロー)が不倫によってウイルスを別の土地にも広め、それによってワクチン生成に翻弄したエリン医師(ケイト・ウィンスレット)がウイルスに感染してしまう流れ。彼女がどうなったかは、ぜひ劇中で確認してもらいたいと思います。

(*78点)

 


▼コンテイジョン
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BLACK SABBATH『13』(2013年)

BLACK SABBATHが2013年6月に発表した、通算19作目にして最後のオリジナルアルバム。

オジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)のオリジナルメンバー3人が揃ってのレコーディングは、1998年リリースのライブアルバム『REUNION』に収められたスタジオ新録曲「Psycho Man」「Selling My Soul」以来15年ぶり、フルアルバムとしては1978年の8thアルバム『NEVER SAY DIE!』以来実に35年ぶり。残念ながらビル・ワード(Dr)は不参加となりましたが(そもそも「Psycho Man」「Selling My Soul」もクレジットこそされているものの、実際のレコーディングはリズムマシーンを使用したものでした)、代わりにRAGE AGAINST THE MACHINEのブラッド・ウィルク(Dr)が参加しています。

プロデュースを手がけたのはリック・ルービン(RED HOT CHILI PEPPERSLINKIN PARKMETALLICASLAYERなど)。その組み合わせかぁ……とうれしさ半分、残念さ半分でしたが、実際に完成したアルバムは“オジー・サバス”の良き時代を40年後に見事に復活させた、非常に“らしい”1枚に仕上がっていると思います。

本作は全8曲で構成されたスタンダード仕様と、ボーナストラック3曲を加えたCD 2枚組のデラックス仕様の2形態を用意。スタンダード盤が8曲と昨今の作品としてはボリューム的に弱い印象を受けますが、実際には1曲1曲が長尺なものばかり(4〜5分台が3曲、7分が3曲、8分台が2曲)なので、トータル約54分と満足のいくボリュームかと言えます。

「End Of The Beginning」「God Is Dead?」と長尺のリードトラック2曲が続くオープニングからして、“あのオジー・サバスが戻ってきた!”感の強いもので、特に初期4作の彼らをなぞったリフ、アレンジ、メロディは新しさこそ皆無ながらも、オジーらしさとトニーらしさ(もちろんギーザーらしさも)が見事にミックスされた“ナウなサバス”に仕上げられているんじゃないでしょうか。

続く「Loner」もそれらしい1曲ですし、冒頭にオジーの笑い声がフィーチャーされたサイケデリックなアコースティックナンバー「Zeigeist」も2ndアルバム『PARANOID』(1970年)期を思わせるテイスト。後半の「Age Of Reason」もトニーらしいギターリフを楽しめるし、「Live Forever」も冒頭の一音(というか、バンドが一斉に出す音)からしてサバスそのもの(途中からの展開含め、らしさ全開)。全8曲、比較的ドゥーミーなミドル/スローナンバーばかりで構築されているため、若干気怠く感じてしまうかもしれませんが、好きな人にはたまらない流れなんじゃないでしょうか。

一方、DISC 2にはオジーのソロ作に比較的近いアップテンポな「Methademic」や、グルーヴィーなリフを持つ「Pariah」みたいに、アルバム本編に入れたらフックとなるような曲が用意されている。あれ、なんでこっちを本編に入れなかったの?と不思議に感じてしまうほど、曲の出来は悪くない。きっと、プロデューサーが初期サバスにこだわりすぎた結果、こういった楽曲はボーナストラックに回されてしまったんでしょうかね。日本盤ボーナストラックとして用意されたアップチューン「Naivete In Black」も然り。ああ、勿体ない。

最初の8曲だけ聴いたら「ああ、これで最後なの……なんだか歯切れ悪い最後だな」と消化不良で終わりそうですが、「Methademic」や「Pariah」「Naivete In Black」みたいな曲のおかげでなんとか気持ちを持ち返すことができた。これはもう、プロデューサー(と、その意見に従ったバンド側)の采配ミスですね、完全に。

アルバム本編から長尺曲をひとつ間引いて、ボーナストラック扱いの4曲から2曲付け加えることで、もうちょっと完成度の高い“スワン・ソング”が生まれたんじゃないかな……1つひとつのパーツが素晴らしいだけに、そこだけが残念でなりません。

 


▼BLACK SABBATH『13』
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2020年2月22日 (土)

OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたオジー・オズボーンの11thオリジナルアルバム。カバー曲で構成されたアルバム『UNDER COVER』(2005年)を含めると、通算12作目のスタジオアルバムということになります。

前作『SCREAM』(2010年)が2010年6月発売だったので、ほぼ10年ぶりということになりますが、その10年の間にはBLACK SABBATHとしてのラストアルバム『13』(2013年)もあったので、実質7年ぶりの新作ということになるのかな。ま、どちらにせよオジークラスのリリース間隔としてはだいぶ空いたことには違いありません。

ここ数年、新作に向けた噂はいろいろ上がっては消え、上がっては消えを繰り返していました。個人的に記憶に残っているところではスティーヴ・スティーヴンス&ビリー・モリソン(ともにビリー・アイドルBANDのギタリスト)と共作しているなんて話もありました。しかし、新曲は一向にリリースされる気配はなく、2年前には『NO MORE TOURS』と題した最後のワールドツアーを行うことが発表され、日本にも昨年3月に『DOWNLOAD JAPAN』のヘッドライナーとして来日することが決まっていました。が、実際にはご存知のとおり。2015年秋の『OZZFEST JAPAN 2015』を最後に、オジーの来日公演は実現しておりません。

もともと、オジーはこの10年でスタジオ入りにだいぶ消極的だったようで、前作『SCREAM』は完成までに約1年半もの歳月を要したとのこと。これがあって、長期間スタジオにこもるのを嫌がったみたいなんです。ところが、ポスト・マローンとの共演曲「Take Me What You Want」で出会ったプロデューサー/マルチプレイヤーのアンドリュー・ワットにけしかけられ、ついに重い腰を上げアルバム制作に突入。ザック・ワイルド(G)をはじめとする現在のバンドメンバーではなく、アンドリュー側がお膳立てしたレコーディングメンバー……ダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)とチャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)、そしてギターはアンドリュー自身という布陣で曲作りを含む制作を実施。さらには、スラッシュ(G/GN'R)やトム・モレロ(G/RAGE AGAINST THE MACHINE)、エルトン・ジョン(Vo, Piano)という豪華ゲストまで迎え、これまでの躊躇が嘘みたいに待望のオリジナルアルバムは1年かからずして我々の手元に届けられたわけです。

昨年11月にリードトラック「Under The Graveyard」がまず配信されましたが、ぶっちゃけた話をすると僕、この曲に対してはまずネガティブな感情が溢れ出てしまいました。「ああ、なんだかわかんねえ若造プロデューサーにそそのかされて、ソロでもサバスみたいなことやらされて……10年待った結果がこれか」と。

ところが、その2週間後に発表された2ndシングル「Straight To Hell」を聴いて、気持ちを改めることになります。路線的には確かにサバス以降の流れにあるものでしたが、しっかりオジーのソロワークスらしさも感じられる。ポップさやキャッチーさは薄いものの、確かにこれはオジーのソロ曲だわ、と。

さらに年が明け、1月初頭には3rdシングル「Ordinary Man」も配信。エルトン・ジョンとのデュエットという話題もありましたが、何よりこれが“いかにも”なオジー流スローバラードで一聴して心を持っていかれたわけです。うん、これは期待できそうだなと。

あれから約1ヶ月。リリースより少々先にアルバムをまるまる聴く機会を得たのですが、最初の「Under The Graveyard」に対するネガティブな感情がまるでなかったかのように本作を全面的に受け入れる自分がいました。うん、どこからどう聴いてもオジー・オズボーンのニューアルバムだと、そう素直に思えたのです。

確かに、テイスト的にはソロよりもサバス時代に寄った作風かもしれません。しかし、リリースタイミング的にもBLACK SABBATHのレコードデビュー50周年(2020年2月13日)とかぶっていたり、ここ最近のオジーの体調面での問題なども相まって、「もしかしたらこれが最後かもしれない……」という不安も少なからず感じていた。だからこそ、本作をもっと前向きに捉えようと気持ちを持ち直したのかもしれませんね。

けど、作品への評価とそういった個人的感情はできるだけ切り離して楽しみたい。そう思って何度かリピートしてみましたが……やっぱりどうしても感傷的な気持ちは切り離すことはできませんでした。できなかったんだけど……それでも「ああ、オジーの新作カッコいい!」と思える自分が存在するのもまた事実。もうそれでいいじゃん!

スラッシュらしいギターソロがフィーチャーされた「Straight To Hell」から始まる本作は、序盤こそ8thアルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)以降の流れを汲む、“21世紀のオジー”らしいアルバムかと思いきや、ところどころに6thアルバム『NO MORE TEARS』(1991年)のテイストも散りばめられているし、もちろんサバスらしさもあるし、もっと言えばオジーのルーツであるビートルズからの影響もしっかり残されている。そこまで含めて、従来のオジーのソロらしいんですよね。しかも、その“らしさ”がセルフ・パロディで終わっていないし、しっかり新しいオリジナル作品にまで昇華されている。きっとザックを含むイツメンで作っていたら、セルフ・パロディとまでは言わないまでも焼き直し感を残したまま消化不良で終わっていたのかもしれない。だからこそ、スタジオワークに無駄な時間がかかりすぎてしまうのかな……いや、わからないけど。

アルバムの流れで聴くと、不思議と「Under The Graveyard」も悪くない。いや、むしろ「Ordinary Man」のあとにこの曲が続く必然が感じられるし、「Under The Graveyard」のあとに「Eat Me」が並ぶ意味も理解できる。個人的にはこの「Eat Me」以降のアルバム後半の流れがめっちゃツボで、トム・モレロらしいソロをフィーチャーした「Scary Little Green Men」、アンドリュー・ワットの素晴らしいギターソロと美しいメロディ&アレンジがオジーソロ史上ベストワークと思えるほどの「Holy For Tonight」、ポスト・マローンがゲスト参加したパンキッシュな「It's Raid」と、“らしさ”と“斬新さ”が共存する構成なのです。そこからボーナストラックの「Take What You Want」、日本盤ボーナストラックとなる短尺曲「Darkside Blues」へと続くエンディングまで含めて、しっかり楽しめました。

『NO MORE TEARS』でひとつの極みへと到達し、続く7thアルバム『OZZMOSIS』(1995年)以降は試行錯誤の繰り返しだったオジーでしたが、ようやく“やりたかったこと”を全うすることができたんじゃないか。こんなこと書いたら不吉だって思われるかもしれないけど、この集大成的な1枚はオジー流“辞世の句”であり、昨年12月に71歳になったばかりのアーティスト:オジー・オズボーンにとっての“スワン・ソング”なのかなと。そんな重みと凄みと説得力を感じずにはいられない、会心の1枚だと思います。

 


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2020年2月21日 (金)

LOVEBITES『GOLDEN DESTINATION』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたLOVEBITESの最新EP。

今年1月末に3rdアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』をリリースしたばかりのLOVEBITES。アルバムから1ヶ月と間隔を空けずに連続ドロップされる本作は、『ELECTRIC PENTAGRAM』収録曲「Golden Destination」をリードトラックに、アルバム未収録曲3曲を加えた全4曲、トータル約23分におよぶ聴き応えのある1枚に仕上がっています。

「Golden Destination」は6分超えのアップチューンですが、その長さを感じさせない流麗なメロディを持つ完成度の高い1曲。改めて『ELECTRIC PENTAGRAM』というアルバムに収録された楽曲群はどれをリードトラックとしてリカットしても通用する、強力な1枚だなと気づかされます。

さて、ここで特筆すべきはアルバム未収録の3曲についてですよね。完全未発表の新曲は2曲、残り1曲はアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』収録曲の別バージョンとなっています。

M-2「Spellbound」はシンセのリフが耳に残る、アルバムにそのまま収められていても不思議ではない世界観の美メロナンバー。メロディのキャッチーさ以上にアレンジ面での凝った作りが印象的で、途中で登場するギターソロのフレーズ含めとにかく“わかりやすい”1曲だなと。

M-3「Puppet On Strings」はミドルテンポ寄りながらもノリの良いナンバー。バスドラに合わせたストリングス隊の“刻み”が気持ちよく、そこにわかりやすいメロディが乗ることで独特のキャッチーさを生み出している、まさに『ELECTRIC PENTAGRAM』で体現したスタイルの流れにある良曲です。若干派手さに欠けるかなと思うものの、それはあくまで『ELECTRIC PENTAGRAM』という作品の中においてのこと。仮にアルバムに収録されていたとしても、箸休め的な役割を果たしてくれていたはずです。

M-4はアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』の幕開けを飾った「Thunder Vengeance」のオーケストラ・バージョン。ストリングスによるドラマチックなオープニング&エンディングを付け加えた本バージョンは、「実はこっちのほうがアルバムの1曲目っぽくない?」と思えてしまうような仕上がり。どこかSLAYER「Raining Blood」を思わせる雰囲気もあり、曲中に加わったストリングスにより壮大さは原曲以上にスケールアップ。ですが、結果としては現在アルバムに収録されているバージョンが正式採用されたわけですね。まあ、この曲だけストリングスを強調しても全体的に浮いてしまうかも……という懸念もあったのかしら。なんにせよ、こういうトライがあってこそ、あのアルバムが現在の形に落ち着いたという経緯を垣間見ることができた気がします。

未発表の2曲はどれもアルバムに負けず劣らずの完成度ですし、「Thunder Vengeance」の別バージョンも仕上がりとして興味深いし、LOVEBITESに少しでも興味を持っているリスナー、アルバムは持ってるけどEPまでは手を出さなくてもいいかなと迷っているファンにもぜひ聴いてもらいたい必携盤です。

 


▼LOVEBITES『GOLDEN DESTINATION』
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2020年2月20日 (木)

BLACK SWAN『SHAKE THE WORLD』(2020)

BLACK SWANが2020年2月中旬に発表したデビューアルバム。日本盤は海外に数日遅れでリリースされています。

BLACK SWANはロビン・マッコーリー(Vo/MICHAEL SCHENKER FEST、ex. MCAULEY SCHENKER GROUPなど)、レブ・ビーチ(G/WINGERWHITESNAKEなど)、ジェフ・ピルソン(B/FOREIGNER、ex. DOKKENなど)、マット・スター(Dr/MR. BIG、エース・フレーリーなど)という80年代以降のHR/HMシーンにてたびたび名前を目にする名手たちが一堂に会した“スーパーバンド”のひとつ。昨年の今頃、ジェフがこのバンドについて言及する場面があったそうで、もともとはロビン、レブ、ジェフの3人で進めていたプロジェクトからマットに声がかかり、その数日後にはレコーディングに参加したとのこと(すでにドラム以外のパートはレコーディング済みだったそう)。

ソングライティングは上記のようにマット以外の3人で進めたのでしょう。一体この3人でどんな曲/音が作れるのか……要はMSGとWINGERとDOKKENですからね。80年代的なスタジアム・ハードロックを想像した人、ある意味正解です。けど、思ったよりも湿り気の強いメロディの正統派HR/HMだったのは、良い意味で予想を裏切ってくれてうれしかったな。

ロビンの哀愁味が強い歌声を前面に打ち出しつつ、メジャー感の強いHR/HMを表現する。もちろん、親しみやすい歌メロを備えつつ、楽器隊(主にギター)の派手さを見せることも忘れない。BON JOVIやWHITESNAKE、DEF LEPPARDなどがヒットチャートを席巻した80年代後半のUSメタルシーンを彷彿とさせる楽曲群はどれもクオリティが高いもので、ぶっちゃけ2020年の今これをやる必要があるのか?と疑問を感じることもゼロではありませんが、“やれる”人たちが“やるべきこと”をやっただけのこと。逆に、“やれる”人たち今これをやっていないから、彼らがやったと考えればいいわけで、こういったバンドが今誕生してこういうアルバムを世に放ったことは必然だったのです。

マイナーキーのミドルナンバー中心ながらも、シャッフルビートが心地よい「Big Disaster」、疾走感の強い「Shake The World」や「Unless We Change」、HEARTにも通ずるポップバラード「Make It There」、じっくり聴かせるスローナンバー「Divided/United」など楽曲も緩急に富んでいる。全11曲(日本盤ボーナストラック除く)で約57分と決して短くなないトータルランニングながらも、最後まで飽きずに楽しめるのは1曲1曲の完成度の高さや個性が際立っているからこそ。さすが職人!と納得してしまう高品質の1枚です。

ロビンはMSFではゲイリー・バーデンやグラハム・ボネットに次ぐ3番手だし、レブはWHITESNAKEでは常に2番手的扱いで、ジェフは現在のFOREIGNERでも裏方的印象が強い。マットもMR. BIGではパット・トーピーのサポートという意味合い濃厚だったので、全員が現在のシーンの中で“日陰”的存在なわけです。そういった人たちがBLACK SWAN(=黒い白鳥、コクチョウ。「予測できないことが出来事が起こる」の意)という名前で再び日陽に飛び出していく。そりゃ応援したくなりますよね。各メンバーとも自身のメインバンドでの活動が忙しいので、ツアーや来日公演などは今のところ望めそうもありませんが、ぜひ機会があったら一度ライブを観てみたいものです。きっとそのときは、各バンドのカバーもあるでしょうしね(笑)。

 


▼BLACK SWAN『SHAKE THE WORLD』
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2020年2月19日 (水)

【振り返り記事】ROLLING STONES STEEL WHEELS JAPAN TOUR 1990@東京ドーム(1990年2月19日)

さて、振り返りライブ記事第2弾は今から30年前の記憶を掘り返そうというもの(笑)。ぶっちゃけ、かなり曖昧なところもありますが、なんとなく当時の思い出をよみがえらせて、ここに書き残してみたいと思います。

1990年2月14日から27日にかけて、全10公演という前代未聞の東京ドーム連続公演を成し遂げたTHE ROLLING STONES初来日公演。初めて実現した日本公演であると同時に、ストーンズにとっても1982年のヨーロッパツアー以来7年ぶりに実現した本格的なツアーとあって、1989年8月末にスタートした時点で世界中からかなりの注目が寄せられていました。

また、一時はミック・ジャガーキース・リチャーズの仲が修復不能とまで言われたあとだけに、同時期にリリースされた最新アルバム『STEEL WHEELS』も久々のヒット作となり、日本でも(来日効果もあり)かなりのヒットを記録しています。

実はこの東京ドーム公演、当初は9公演のみで、あとから2月19日の追加公演が発表されています。僕は当時高校3年生で、受験勉強まっただ中というタイミング。来日時期も大学受験シーズンとまるかぶりで、その1ヶ月後(1990年3月)に予定されていたポール・マッカートニー初来日のほうに心が動いたのですが、受験勉強でやさぐれた時期にストーンズばかり聴きまっくっていたこともあって、最終的にはストーンズのほうを選んだわけです。

しかし、当初の9公演は田舎に住む高校生にとってはプラチナ中のプラチナチケット。当時はネットが存在しいのはもちろんのこと、地元にもチケットぴあが存在しなかったので、新聞に載っていた特電にリダイアルしまくり。結局、一度もつながることなくソールドアウト。ところが、後日急遽決まった追加公演だけは30分もかからずして電話がつながり、見事チケットを確保できたのでした。

僕にとって生涯初の東京ドームは野球ではなく、ストーンズの初来日だったのです。

記憶では、確か1週間にわたる東京滞在の最終日、つまり最後の受験日が2月19日だったはず。それまでホテル住まいだったのですが、19日はもともと受験が終わったら電車で地元に帰る予定だったから宿もなく、親に頭を下げて親戚の家に一泊させてもらうことになりました。

都心からだいぶ離れた場所で受験を終え(結果は散々たるものでした。苦笑)、初めて水道橋へ……いや、ウソウソ。後楽園球場には行っているし、後楽園ゆうえんちにも行った経験があるから初めてではないんだけど、東京ドーム目的での水道橋下車はこれが初めて。周りにはストーンズグッズに身を包んだオッサンオバサン(18歳の自分にはそう見えたんだけど、今思えば30代前後が中心だったのかな)ばかり。たぶん高校生は自分だけなんじゃないか?と不安を抱えて入場するわけですが……実はこのとき、生涯初のドームアリーナを経験しています。そう、特電でアリーナ取れちゃったんですよ。中央から若干上手寄り、最前ブロックで19列目だったと記憶しています。

会場に入ってまず驚いたのが、そのセットのバカデカさ。最近のライブではまず考えられなほどのスケールのデカさに、思わず口があんぐり。当時の映像を見返してみても、やっぱりその大きさには驚かされます。イマドキ、ここまでセットに使うアーティストいないもんね(当のストーンズですら、どんどんシンプルになってますから)。

確か18時半スタートだったと思いますが(チケットの半券、当日購入したパンフレットと一緒に実家で保管しているはずです)、『STEEL WHEELS』収録のオリエンタルな異色ナンバー「Continental Drift」の後半パートがSEとして流れ始めると、これがライブが始まる合図。曲のクライマックにあわせてパイロ(音玉)が爆発すると、キースによるあの印象的なギターリフが……「Start Me Up」からライブがスタートしたわけです。

ハードロックやメタルに慣れた耳で聴く、初めての生ストーンズは……ぶっちゃけ下手クソに思えました(苦笑)。音はスカスカだし、ミックのボーカルも調子っぱずれで決して上手ではない。ドラムもところどころで走ったりもたったりと、正確無比なメタルを愛聴し続けた自分には厳しかったし、それこそAEROSMITHとも、RED WARRIORSのような日本のバンドとも全然演奏力が違う。すごく微妙な気持ちになりながら、「Start Me Up」を一緒に歌ったことだけは、非常に強い記憶として今も残っています。

ところが、続く「Bitch」でブラスセクションが加わると音の華やかさが一気に増す。そっか、厚みが足りなかったんだ……と、今になって振り返ると、そう思えてくるのですよ。それくら、全然違ったんですよ。もうね、このあたりからはあんまり記憶が……ただ楽しかった!ということしか覚えてないんです(笑)。のちに日本テレビで放送された2月26日の映像(2015年には別編集でDVD/Blu-ray化されましたね)を見返して「ああ、そうだそうだ、こんなだった!」と記憶が少しずつ蘇ってくるのですが……初めてドームで聴くロックサウンドの迫力のなさ(笑)と、放送やソフト化されたものがまったく異なることに戸惑う自分もいたり。それくらい、CDやレコードで聴いていたストーンズとのギャップがありすぎたんですよね。

バラード曲やキースの歌唱曲が公演日によって異なっていたようですが、僕が観た日は「Ruby Tuesday」と「Angie」だったりで、「Almost Hear You Sigh」がなかったり、キースは「Can't Be Seen」と「Happy」を歌ったりというオーソドックスな1日でした。「Angie」はちょっとグッと来たなあ。ミックの歌はボロボロだったけど(笑)。

「Honky Tonk Women」ではいかがわしい女性の巨大風船が膨らんだりというスタジアムクラスならではの演出もあって、そのケバケバしさに18歳の自分は苦笑い。けど、続く「Midnight Rambler」で空気が一変。これこそ自分が観たかったストーンズだったのです。ビル・ワイマンを含む“5人のストーンズ”にチャック・リーヴェル(Key)など可能な限りの最小編成で臨んだこの10分にもおよぶブルースナンバーは、僕が憧れたストーンズそのものだったのです。結局、ここまで来てようやく「ウマい下手じゃないんだ、味なんだ」とわかったような気になり始める自分。チョロいわ(笑)。(とはいえ、スカスカのアレンジの妙や、チャーリーの走ったりもたったりするリズムがグルーヴのゆらぎだと気づくのは、もっとあとになってからなんですけどね)

でもさ、それくらい「Midnight Rambler」でのミック(ブルースハープが最高!)やキース、ロニー、チャーリー、そしてビルがカッコよすぎたんです。「ああ俺、あのストーンズを今、肉眼で観てるんだ!」とアリーナ19列目から実感できた初めての瞬間だったんですよ。そこから「You Can't Always Get What You Want」へと続く構成といい、キースVo曲2連発といい、文句なしの流れでした。

キースのアコギをフィーチャーした、異様にキーの低い「Paint It Black」にキョトンとしつつ、サイケな「2000 Light Years From Home」、いろんな意味で狂気じみた「Sympathy For The Devil」や「Gimme Shelter」に発狂し、最後は定番のロックンロールナンバー連発。本編は「(I Can't Ge No) Satisfaction」、アンコールは「Jumpin' Jack Flash」というお約束で2時間半以上におよぶ初ストーンズ、初東京ドームは幕を降ろしました。終わったあとはどうやって親戚の家の最寄駅まで行ったか、記憶がおぼろげ。それくらい、終わったあとの充実感と「伝説を観た!」感が強かったのかも。そんな思いをしたの、初めて観たMETALLICAガンズ、そしてこのときのストーンズぐらいかもしれません。

結局、ここから数年後にビルがバンドを脱退。僕は受験した大学をすべて落ち、浪人生活を経て専門学生へ。ストーンズは1995年、1998年、2003年とその後も定期的に来日するのですが、95年と98年に関してはまったく行こうと思えなかったんです。理由はビルがいないストーンズだったから。「俺はビル・ワイマンのいるストーンズを観たんだ!」と優越感に浸りたかったんでしょうね(苦笑)。ただ、2003年のときは初の日本武道館公演が含まれていたので、このライブだけ抽選に申し込んだ記憶があります(当然のように外れましたが)。

そこから紆余曲折あり、2006年から音楽ライターとして再び東京で生活することになり、同年3月の東京ドーム公演で実に16年ぶりの生ストーンズを体験。「やっぱり、観れるときに観ておくべき!」という考えに変わり、次の2014年は3回の東京ドーム公演のうち2回観ることになったわけです。

年齢的には今の自分よりも若い46歳だったミックとキース。18歳の自分からしたら完全に親世代で、実年齢よりもおじいちゃんに見えた1990年のストーンズでしたが、2020年の今、あの頃の映像を見返すとその動き一つひとつが実に若々しいんですよね。ぶっちゃけ、ドーピングしてるんじゃないかって思えるほどにアクティブ(笑)。7年ぶりのツアー、しかもスタジアムクラスのバカでかいステージであんなに動き回れるなんて……今の自分なら絶対に無理(苦笑)。そう考えると、ものすごいことを成し遂げていたんだと改めて気づかされます。

選曲やアレンジ、演奏スタイルなどは1990年の来日よりも直近の2014年のほうが好みではあるものの、あの時代ならではのハイエナジーなストーンズも今となっては一周回ってカッコいい。あんなストーンズ、あとにも先にもあれ一回のみでしたしね。

結局、あのツアーを日本公演の映像で楽しめる2020年、最高かもしれない(笑)。

【セットリスト】
SE. Continental Drift
01. Start Me Up
02. Bitch
03. Sad Sad Sad
04. Harlem Shuffle
05. Tumbling Dice
06. Miss You
07. Ruby Tuesday
08. Angie
09. Rock And A Hard Place
10. Mixed Emotions
11. Honky Tonk Women
12. Midnight Rambler
13. You Can't Always Get What You Want
14. Can' Be Seen
15. Happy
16. Paint It Black
17. 2000 Light Years From Home
18. Sympathy For The Devil
19. Gimme Shelter
20. It's Only Rock 'N' Roll (But I Like It)
21. Brown Sugar
22. (I Can't Ge No) Satisfaction
<アンコール>
23. Jumpin' Jack Flash

 


▼THE ROLLING STONES『FROM THE VAULT: LIVE AT THE TOKYO DOME, TOKYO 1990』
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IHSAHN『TELEMARK』(2020)

2020年2月中旬にリリースされた、イーサーンEMPEROR)の最新EP。日本盤未発売。

7thアルバム『ÁMR』(2018年)からほぼ2年ぶりの新作にあたる今作は、今年発売が予定されているEP二部作の第1弾。彼が現在も生活しているノルウェーの故郷・テレマルク(Telemark)をタイトルに冠し、自身の音楽ルーツの根本のあるブラックメタルからの影響を表現した作品集に仕上げられています。

イーサーンは今回のEP二部作に関して、OPETHの『DELIVERANCE』(2002年)と『DAMNATION』(2003年)を例に挙げて「ノルウェーの音楽が持つふたつの側面」を表現したいと発言しており、今作では『DELIVERANCE』的なブルータルさ(=“動”)を前面に打ち出したスタイルに挑んだと考えられます。となると、続く次作では『DAMNATION』にも通ずるドラマチックな側面(=“静”)を表現するのかしら。あえて1枚のアルバムという形にまとめるのではなく、テーマが異なるふたつの小作品でまとめるというのは、作り手側としても偏った側面に集中することができるでしょうし、聴き手側にも心の余裕を与えてくれるので、現在のようなサブスク全盛の音楽シーンに合ったやり方かもしれませんね。

聴いてもらえばおわかりのように、本作に収録された5曲では大々的に部落セクションがフィーチャーされています。前半3曲(「Stridig」「Nord」「Telemark」)がオリジナル曲で、各曲とも至るところからEMPERORにも通ずるブラックメタルらしいブルータルさ、そしてプログレッシヴ・ロック的な曲展開を楽しむことがでます。かつ、ブラスがフィーチャーされることで全体的に柔らかさも加わっており、不思議と聴きやすくなっている印象も受けます。ブラックメタルが持つ特有の冷たさと、管楽器の温かみがミックスされたこの不思議な感覚、クセになりますね。それと、この手の音楽にブラスがミックスされると前衛的な方向に進みがちですが、こうやってキャッチーさを与えてくれる要因にもなるんだと、その意外さにも驚きを隠せません。

また、歌詞の面でも今回は初めてノルウェー語で書き下ろされており、デス声で歌っているからなんとなく聴き取りにくいものの(笑)、そういった点でもイーサーンが本作に対して込めた故郷への思いが伝わってきます。そういった要素も、本作が持つ温かみにつながっているのかもしれませんね

後半2曲はカバー曲で、レニー・クラヴィッツ「Rock And Roll Is Dead」とIRON MAIDEN「Wrathchild」という異色のセレクト。ともに原曲に忠実なアレンジで、このブラスを含む編成にぴったりな選曲となっています。特に前者はイーサーンの音楽性を考えると異色中の異色かもしれませんが、もしかしたらこの曲をやりたいがためにブラス導入したんじゃ?なんて探ってしまうほどにぴったりな1曲。しかも、このご時世に「ロックンロールは死んだ」なんて彼が歌うのもまた痛快ですし。こういったカバー曲を収録できるのも、フルアルバムではなくEPというスタイルならではこそ、うん、やっぱり今回のリリース形態は間違っていないと思います。

EP第2弾がどのタイミングで発表されるのかはわかりませんが、前作『ÁMR』リリース時(そもそも国内盤未発売でした……)には叶わなかった来日公演をぜひ2作揃った時点で実現させてほしいものです。今はEMPERORよりもソロアーティストのイーサーンを観たいんですよ、ええ。

 


▼IHSAHN『TELEMARK』
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2020年2月18日 (火)

MARK MORTON『ETHER』(2020)

2020年1月中旬にリリースされた、マーク・モートン(G/LAMB OF GOD)の最新EP。配信限定で、日本盤未発売。

昨年2月に初のソロアルバム『ANESTHETIC』を発表したマーク。同作はLAMB OF GODでは表現しきれないアーティスティックな側面、ソングライターとしての貪欲さを追求し、楽曲ごとに多彩なシンガーを迎えて表現するという手法が取られました。

続く今作も同じく、楽曲ごとに異なるシンガーをフィーチャーした作風。しかし、前作と異なるのはそのサウンドメイキングの手法で、今回はアコースティックギターをベースにした楽曲作り/アレンジが全面的に施されています。

全5曲中、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)が2曲、ハワード・ジョーンズ(LIGHT THE TORCH、ex. KILLSWITCH ENGAGE)、リジー・ヘイル(HALESTORM)、ジョン・カーボン(MOON TOOTH)がそれぞれ1曲ずつ参加。マーク・モラレスはMARK MORTON BANDのツアーでもフロントマンを務めたこともあり、今回2曲歌うことになったんでしょうね。

全編アコースティックがメインといいつつも、楽曲によってはエレクトリックギターもふんだんに使用されています。が、それはあくまで味付け程度。エレキがメインになることはなく、あくまで前面に打ち出されるのはアコギの音色とシンガーの歌声なわけです。

一方で、スクリームと歌い上げるイメージが強いハワードは「Love My Enemy」という楽曲でファルセットを取り入れた強くも優しい歌声を聞かせてくれます。あ、この曲のみエレキが大活躍していて、派手なギターソロも楽しめます。これは例外中の例外ですね。

ジョンが歌う「The Fight」は打ち込みリズムをフィーチャーした穏やかな1曲。アルバムの中でいうと、箸休め的な楽曲かな。けど、こういった地味めの楽曲が不思議とアメリカではヒットするからあなどれない。

そして、本作で注目してほしいテイクのひとつがリジー歌唱による「She Talks To Angels」。THE BLACK CROWESが90年代初頭にヒットされた楽曲で、原曲に比較的近いアレンジが施されています。リジーのボーカルもしゃリジーのボーカルもしゃがれた低音からパワフルな高音まで幅広く楽しめ、かつマークのスライドプレイも堪能できる、本作の肝かなと。

さらに、マーク・モラレスは適材適所という言葉がぴったりで、どんな楽曲もそつなく歌いこなす印象かな。適度なスモーキーさが良い味を出しています。オリジナル曲「All I Had To Lose」もさすがの一言ですが、ラストを飾るPEARL JAMのカバー「Black」も歌とアコギのみというシンプルなアレンジが功を奏し、曲の良さとシンガーの魅力を最大限に引き出しているんじゃないかな。

にしても、「She Talks To Angels」と「Black」という1990〜1991年の楽曲を選ぶあたり、さすが自分と同年代と思わずにはいられません。フルアルバム『ANESTHETIC』がソングライターとしての主張だとしたら、今回のEPはプレイヤー/ミュージシャンとしての主張が込められているのかな?なんて、この作風とカバーの選曲から感じ取ってしまいまいた。うん、ナイスな企画盤だと思います。

 


▼MARK MORTON『ETHER』
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2020年2月17日 (月)

GREEN DAY『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』(2020)

GREEN DAYが2020年2月初頭に発表した、通算13作目のオリジナルアルバム。なんて素敵なタイトルなんでしょう(笑)。そこだけで評価が上がります。

パワーポップやガレージロック色が強かった3部作(『¡UNO!』『¡DOS!』『¡TRÉ!』)を経てパンクロックへと原点回帰した前作『REVOLUTION RADIO』(2016年)から3年4ヶ月を経て届けられた本作。結局、前作を携えた来日は実現しませんでしたが、このニューアルバムリリースから2ヶ月経たずして久しぶりのジャパンツアーが実現します。ということは、このニューアルバムからの楽曲が中心になるわけですよね……。

さて、その待望の新作。今回も見事にそのスタイルを変化させています。ビリー・ジョー・アームストロング(Vo, G)はこのアルバムを表現する際、ソウルやモータウン、グラムというキーワードを用いています。と同時に、パンクやアンセム(anthemic)というワードも忘れていません。

間違いなく、ここで表現されているサウンドはパンクロックでしょう。しかも、GREEN DAYらしいポップパンクであると。しかし、そのテイストに上記の要素がミックスされることで、過去のポップパンク風作品……例えば代表作のひとつである『DOOKIE』(1994年)とは異なる歪さを見せているわけです。

ブラックミュージックからの強い影響、サウンドの質感や音使いが非常に現代的で昨今のモダンポップと比較してもなんら違和感がないこと、ミックスでひと昔前の北欧ガレージロック的な雰囲気を醸し出していることから、THE HIVESCAESARSあたりとの共通点も見つけられることでしょう。

ですが、この要素って急にポッと現れたものでしたっけ? 僕、本作を聴いたときに最初に思い浮かべたのが『AMERICAN IDIOT』(2004年)だったんですよね。思えば、ジャケットのアートワークも『AMERICAN IDIOT』がモチーフになっていますし。もちろん、『AMERICAN IDIOT』で奏でていたサウンドや楽曲を今っぽく焼き直ししているわけではなく、それ以降のアルバムで得た経験も反映させた、新しい形のモダン・ポップパンクが表現されているんじゃないか。そう思わずにはいられません。

よくよく考えてみると、GREEN DAYでもっとも好きなアルバムが『WARNING』(2000年)という人間なので、本作に対して「売れない」とか「駄作」と三行半を突きつける“ファン”と意見が合わないのは当たり前のこと。『¡UNO!』『¡DOS!』『¡TRÉ!』だって嫌いじゃないですし(さすがに3枚はやりすぎだと思ったけど)、この新作も意外とリピートしまくることになるんじゃないか……そんな気がしています。

あと、時代に合わせてなのか、それともパンク本来の形に戻ってなのか、10曲で26分強というトータルランニングも素敵。ますます応援したくなりました。これくらいでいいんだよ。だって、ロックバンドなんだから。

 


▼GREEN DAY『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』
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2020年2月16日 (日)

STONE TEMPLE PILOTS『PERDIDA』(2020)

2020年2月上旬にリリースされた、STONE TEMPLE PILOTSの8thアルバム。

前作『STONE TEMPLE PILOTS』(2018年)から加入したジェフ・グート(Vo)参加後2作目にあたる本作は、初の全編アコースティック・アレンジによるフルアルバム。2019年前半には本作の制作に取り組んでいたとのことで、レコーディングはエリック・クラッツ(Dr)所有のBomb Shelter Studioにて行われたそうです。

タイトルはスペイン語で“Loss”(喪失、損失)を意味する言葉ですが、聞こえてくる音色やサウンドからは彼ら特有のネガティヴさや内省的な雰囲気はあまり感じられません。いや、多少内省的な部分はあるんでしょうけど、それはダークさという意味ではなく、むしろ穏やかさや心の平穏さが表現されたものに近い印象を受けるのです。

曲によってはフルートやサックスなどの管楽器、あるいはチェロやバイオリンなどの弦楽器もフィーチャーされ、楽曲の持つ緩やかな世界観をより強調させている。そこに彼ら特有の美しいハーモニーが重なり合うのですが、メジャーキーで軽やかに奏でられるそれらの楽曲群は非常に心地よく響くものばかりで、これまでのアルバムだったら箸休め的に挿入されたトラッド調ナンバーやカントリーテイストの楽曲がアルバムの冒頭から最後まで、ぎっしり詰め込まれているわけです。

なので、ぶっちゃけ突き抜けるような爽快感や開放感を求めると痛い目を見る1枚かもしれません。豪快なギターリフもなければ、バカデカいビートも力強いシャウトも皆無なわけですから。

でもね。最初から最後まで気持ちよく楽しめるのもまた事実。だって、どこからどう聴いてもこれ、STONE TEMPLE PILOTSの音ですから。LED ZEPPLEINでいえば3rdアルバムALICE IN CHAINSでいえばEP『SAP』(1992年)や『JAR OF FLIES』(1994年)……というのは言い過ぎかしら。とにかく、そういう側面も心を広く持って楽しめるというリスナーにはうってつけの1枚です。

あとね。本作を聴いて思ったのは……結局、彼らも“アメリカのバンド”なんだな、と。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、やっぱりこういうこともやりたい人たちなんでしょうね。それはお国柄なのか、あるいはミュージシャンとしてのエゴや成長の表れなのかはわかりませんが、これが今後永久に続くわけでもなさそうですし、今はこのモードを素直に楽しみたいと思います。

 


▼STONE TEMPLE PILOTS『PERDIDA』
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2020年2月15日 (土)

DON DOKKEN『SOLITARY』(2020)

DOKKENのフロントマン、ドン・ドッケンが2020年1月末に発表したソロアルバム。日本盤未発売。

ドン・ドッケンはDOKKENの最初の解散(1989年)にソロプロジェクトから派生したバンドDON DOKKEN名義で『UP FROM THE ASHES』(1990年)というアルバムを発表していますが、今作は純粋なる個人名義での1枚となります。

もともとは2008年10月、当時行われたドンのソロツアーにあわせてライブ会場で限定販売された同タイトルの9曲入りアルバムがオリジナル。その後、2016年のDOKKENオリジナルラインナップでの日本公演でも同作品が限定販売されましたが、どちらも一般流通はなし。それが3曲の未発表トラックを追加&ジャケットのアートワークをリニューアルして、急遽一般発売されたわけです。

聴いてもらえばおわかりのとおり、本作はアコースティックサウンドをベースにした、HR/HMとは程遠い内容。もともとテクニックだったり歌唱力の高さが売りのシンガーではありませんでしたが、そこに加えてパワフルさや高音域がてんでダメになってしまった2000年代以降のドンにあわせた、中音域の魅力が存分に楽しめる楽曲が並んでいます。

でね、これがなかなか良いんですよ。パワー不足が否めない今のドンにはこの手のサウンドが本当にぴったりですし、この下手に歌い上げない(悪く言えば抑揚のあまりない)歌唱が隙間の多いアコースティック編成にも合っている。もっと言えば、ピアノとの相性がここまで良いんだと驚かされました。

演奏で参加している面々もなかなかのもので、トニー・フランクリン(B/ex. BLUE MURDERなど)やヴィニー・カリウタ(Dr/フランク・ザッパ、スティングMEGADETHなど)、マイケル・トンプソン(G)など普段の彼の作品からかけ離れた面々ばかり。そこに、『UP FROM THE ASHES』でもタッグを組んだウィン・デイヴィスがプロデュースや楽器演奏でも加わり、ドンの魅力を見事に引き出すことに成功しています。

ビートルズであったり、あるいはアコースティック編成のLED ZEPPELINだったり、いろいろルーツが垣間見える1枚ですが、唯一いただけないのがセリーヌ・ディオンの大ヒット曲カバー「My Heart Will Go On」。

映画『タイタニック』でおなじみの1曲ですが、これに関しては……忘年会の二次会で、酔っ払った上司が自分の歌にうっとりしながら聞かせるジャイアン・リサイタルのようで、ぶっちゃけ興醒めです(笑)。なんでもしっとり表現すればいいってものではないのですよ。特にこの曲に関しては、原曲のイメージおよびパワーが壮絶すぎるので、“歌えない”フロントマンにこういう形でカバーされても……これがパワーバラード調でがっつり歌い上げていたら、また違ったんでしょうね。残念極まりない。

でも、それ以外は平均点以上の出来だと思うので、心や耳を休めたいときにBGMとして楽しむのに最適な1枚です。

 


▼DON DOKKEN『SOLITARY』
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2020年2月14日 (金)

【振り返り記事】MOTLEY CRUE THE FINAL TOUR IN JAPAN: ALL BAD THINGS MUST COME TO AN END@さいたまスーパーアリーナ(2015年2月14日)

Img_0476最後の来日公演を観てから今日でまる5年。実は当時も文字に残そうとは思っていたのですが、本編で起きた“とある出来事”のせいで消化不良気味になり、最終的には「ないわー(白目)」ということでそのまま書かずに終わっていたMOTLEY CRUEの「THE FINAL TOUR」さいたまスーパーアリーナ公演初日。モトリーは1987年の2度目の来日@武道館から何度と観てきていますが、特に直近の10年近くはセトリの内容もほぼ変わらずだったので、最後とはいえ「もういいかな?」という気持ちもあり(だってヴィンス・ニールが……以下自主規制)、結構ギリギリまで悩んだんですよ。

でも、最後の来日ではトミー・リーのドラムセットをそのまま持ち込む……つまり、観客の頭上を移動するローラーコースター型セットが日本上陸することがわかり、「あ、ヤバ。観なきゃ」と心変わり。結局、3万円のいい席(プレミアム・シート/アリーナ前方、別入り口から入場&グッズプレゼント)を即決で購入し、ライブに臨んだわけです。

先に行われた神戸ワールド記念ホール公演、日本ガイシホール公演に続く3公演目。しかも土曜開催ということで、ライブはほぼ完売状態。そういえば、このさいたまスーパーアリーナでモトリーを観るの、ほぼ10年ぶりなのか(オリメン復活でBUCKCHERRYをオープニングに迎えて開催。詳しくはここを参照)。いろいろ感傷に浸りながら会場入り。グッズは安っぽい布製バッグ……うん、使わないよね(苦笑)。そのまますぐにリュックの中にしまい、アリーナへと一歩踏み込むと……。

あ、ホントにあるわ(笑)。レールの話ですね。自分の席を探すと……真ん中より前方で、レールの真下。コースター型ドラムセットに乗りながら移動するトミーを見上げる形になるわけですよ。そりゃあテンション上がりっぱなしですわ。

さ、ここからは手短に(笑)。ライブは「Saints Of Los Angeles」からスタート。トミーのドラミングは相変わらず派手(ドラムセットはシンプル)でカッコいい。ニッキー・シックスは若干ふっくらしたけど、相変わらずカッコいい。ミック・マーズはほぼ定位置で、あのザクザクしたリフと流麗なソロを弾きまくり。うん、カッコいい。

ヴィンスは……言わなくてもわかるよな。うん(笑)。声も相変わらず出てないし、歌詞をはしょりながら歌って、要所要所で客に歌わせまくる、相変わらずのスタイル。そこに関してはもう諦めているしお約束だと思っているからいいんだけど、やっぱりルックスだけは……せめて最後なんだし、もっとちゃんとしてよと思わずにはいられなかったな。

セトリは特に新鮮味のない、王道のグレイテスト・ヒッツ。ここ10年ちょっとで急に定番曲と化した1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)収録曲の「On With the Show」や「Too Fast For Love」があったり、ゲイリー・グリッター「Rock & Roll Part 2」をフィーチャーした「Smokin' In The Boys' Room」、これをやるならもっとほかのオリジナル曲やれよと思わずにはいられなかったSEX PISTOLSカバー「Anarchy in the U.K.」など、まあ2000年代のモトリーらしさをそのまま凝縮した感じです。

中盤のピークは、アルバム同様イントロダクションSEも用意された「Dr. Feelgood」や「Shout At The Devil」。特に後者はリアレンジ版じゃなくてオリジナルバージョンなのもよかったかな。そこから4人の絆を表現したMVがもはや苦笑もの(笑)の「Don't Go Away Mad (Just Go Away)」へと続き、いよいよドラムソロへ。

待ってました! ドラムセットがじわじわと動き出し、そのままレールに沿って上昇し始めるのですが、天井付近まで上がって僕のいるだいぶ手前くらいで動きが止まり……おお、じわじわと焦らすわけですね(笑)。しばらく止まったままドラム叩きまくり、そろそろ動くのかな……と思っていたら、レール付近にテクニカル・スタッフさんが近寄っていき……あれ、これってトラブル!?……トミー、なんか戸惑っている様子。そのまま「Fuck up!」と一言残し、ドラムセットがステージ方向に後退していく……あ、終わり?

すかさず、ミックがステージに登場してギターソロ開始。あ、マジか。本当にトラブってドラムソロ終了かよ……。

当時、僕はSNSにこういった感想を残しています。

「ドラムソロ、機材トラブルで中止。頭上に来ませんでした...」
「いやあ、最後までクソバンドだったなあw」
「ドラムソロに3万円払ったのにね!」
「ドラムソロ、レールの途中で止まったまま。トミー・リー、fuck upと叫んで中断。結局再開なし。レアだけどなんだかなあ。なんのアナウンスもなかったし。」
「以後、テンションだだ下がりで棒立ちでした。最後がこれかあ。まあ、らしいっちゃあらしいけど。」

Img_0474ホントこれ。「Live Wire」が始まろうが何しようが、最後までほぼ棒立ち。本編ラストの「Kickstart My Heart」でさえ、無感情でステージを見つめていた記憶があります。

でも、ちょっとだけ心が動かされ、気持ちが持ち返したのがアンコール。すぐ後ろにあるPA卓のさらに後ろにミニステージがあり、メンバーがそこに登場。ラストナンバー「Home Sweet Home」をここで演奏してくれたわけです。しかも、このミニステージがどんどんせり上がっていくわけです……ああ、そのままローラーコースターのレールを逆走してくれたらいいのに、なんて思ったことはここだけの話(笑)。こうして約100分にわたる僕にとってのMOTLEY CRUEラストステージは幕を降ろしたのでした。こういう終わり方、このバンドらしいよな(笑)。

きっと1万円の席にしていたら、次の日も当日券で入ったんだろうけど、さすがに3万円払ったあとなので……こういう終わり方もいいかな、と思ってしまった自分もまたいて。腐れ縁のバンドの最後としては、こういう最低な終わり方もまた最高かな(笑)。

あれから5年……映画があったり、新曲があったり、ライブ活動再開させたり、すべてが予想通りの流れで進み(笑)。そこも含めてダメで最低で最高。This is MOTLEY fuckin' CRUE!

 

【セットリスト】
01. Saints Of Los Angeles
02. Wild Side
03. Primal Scream
04. Same Ol' Situation (S.O.S.)
05. Looks That Kill
06. On With the Show
07. Too Fast For Love
08. Smokin' In The Boys' Room(feat.「Rock & Roll Part 2」)
09. Mutherfucker Of The Year
10. Anarchy in the U.K.
11. T.N.T. (Terror 'N Tinseltown) 〜 Dr. Feelgood
12. In The Beginning 〜 Shout At The Devil
13. Don't Go Away Mad (Just Go Away)
  〜 Tommy Lee Drum Solo
  〜 Mick Mars Guitar Solo
14. Live Wire
15. Too Young To Fall in Love
16. Girls, Girls, Girls
17. Kickstart My Heart
<アンコール>
18. Home Sweet Home

«NIGHTWISH『ONCE』(2004)

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