INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2024年11月10日更新)


【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】 【映画レビュー】

 

※PICK UP!
サブスクに存在する音源を通して1980年〜1994年のHR/HM(およびそれに付随するハード&ヘヴィな音楽)の歴史的推移を見る *NEW!Spotifyでもっとも再生されているIRON MAIDENの楽曲(2024年9月14日現在)2024年上半期総括 / 2003年4月〜2004年3月発売の洋楽アルバム20選2023年総括 / 1991 in HR/HM & Alternative Rock


» 続きを読む

2024年12月31日 (火)

2024年12月のお仕事

2024年12月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※12月6日更新)

 

[WEB] 12月6日、「音楽ナタリー」にてインタビュー Am Amp インタビュー|4人組ジャンルレスバンドの成り立ちと目指す場所が公開されました。

[WEB] 12月5日、「櫻坂46 10th Single BACKS LIVE!!」のオフィシャルライブレポートを執筆。 日刊エンタメクリップなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 12月5日、「音楽ナタリー」にてライブレポート ASTERISMがライブで再現する「PLANET OF METAL」の世界、演奏を通して“Enemy”と対決が公開されました。

[WEB] 12月4日、「billboard JAPAN」にてライブレポート 神はサイコロを振らない、特別なアレンジで届けた初ビルボードライブ公演――スペシャルゲストにasmiも登場が公開されました。

[WEB] 12月4日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 浪江女子発組合 1st EP「会いに行っていいですか」インタビュー|フレッシュな新体制だからこその新しい挑戦が公開されました。

[紙] 12月4日発売 日経エンタテインメント!2025年1月号 にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」、日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 12月3日、「リアルサウンド」にてライブレポート 櫻坂46、“個の確立”を強く打ち出した4周年ライブ 現在のフェーズで結果を残し、限界を超えた2日間が公開されました。

[WEB] 12月2日、「リアルサウンド」にてライブレポート ZIGGYが示した“挑戦者”としての矜持 新旧の魂を込めた『For Prayers』横浜公演の熱狂を振り返るが公開されました。

[WEB] 12月2日、「日向坂46丹生明里 卒業セレモニー」(12月1日開催)のオフィシャルライブレポートを執筆。 OTOTOYなど複数媒体で公開中です。

 

2024年11月30日 (土)

2024年11月のお仕事

2024年11月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※11月29日更新)

 

[WEB] 11月29日、「リアルサウンド」にてインタビュー 森重樹一が語る“ZIGGY”の看板を背負う意義、貫き続けるロックの本質 「残りの人生悔いなく音楽を」が公開されました。

[WEB] 11月29日、「ENJIN TSUBASA,TAIGA卒業LIVE〜Shining Your Life〜」(11月27日開催)のオフィシャルライブレポートを執筆。 FANY Magagineなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 11月27日、「音楽ナタリー」にてインタビュー Yobahi「ツララ」インタビュー|あなたの夜を奪う謎めいたスリーピースバンド──その原点と未来図を暴くが公開されました。

[WEB] 11月25日、「リアルサウンド」にてインタビュー Little Glee Monster、殻を破ってありのまま生きていくメッセージ 大ボリュームな10周年ライブも振り返るが公開されました。

[WEB] 11月24日、「櫻坂46 4th YEAR ANNIVERSARY LIVE」11月24日公演のオフィシャルライブレポートを執筆。 日刊エンタメクリップなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 11月22日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 9mm Parabellum Bullet菅原卓郎インタビュー|20年追求してきたオリジナリティが公開されました。

[WEB] 11月21日、「音楽ナタリー」にてインタビュー ちゃくら初CDリリース記念インタビュー|バンドを突き動かす情熱の源が公開されました。

[WEB] 11月21日、「乃木坂46 36thSGアンダーライブ」11月20日公演のオフィシャルライブレポートを執筆。 日刊エンタメクリップなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 11月20日、「音楽ナタリー」にてインタビュー kein特集|衝撃の復活劇から2年、新作でまさかのメジャーデビューが公開されました。

[WEB] 11月19日、Suspended 4thの新作「STORMED」特設サイトにて オフィシャルインタビューVol.3が公開されました。

[WEB] 11月13日、Suspended 4thの新作「STORMED」特設サイトにて オフィシャルインタビューVol.2が公開されました。

[WEB] 11月13日、「音楽ナタリー」にてインタビュー Reol×LiSA対談|異体同心な2人の愛とリスペクトに満ちた親密対談が公開されました。

[WEB] 11月11日、「billboard JAPAN」にてライブレポート りりあ。、初の全国ツアー完走 ニューアルバム&春ツアー発表で再会を“約束”が公開されました。

[WEB] 11月8日、Suspended 4thの新作「STORMED」特設サイトにて オフィシャルインタビューVol.1が公開されました。

[その他] 11月8日、BURRN!40周年記念のギャラリー&バーで開催の広瀬編集長によるQ&Aイベントにて司会進行を担当しました。

[WEB] 11月7日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 楠木ともりインタビュー|ありのままの感情を吐き出したデビュー5年目の5th EP「吐露」が公開されました。

[WEB] 11月5日、「音楽ナタリー」にてインタビュー ももいろクローバーZインタビュー|ももクロの歴史を彩るアニメタイアップ曲が公開されました。

[WEB] 11月3日、「超・乃木坂スター誕生!LIVE」11月2日公演のオフィシャルライブレポートを執筆。 イベント公式サイトなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 11月1日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 内田真礼×内田雄馬×オーイシマサヨシ クロストーク|コラボシングルで交差する内田姉弟のストーリーが公開されました。

[WEB] 11月1日、「リアルサウンド」にてコラム 竹内まりや、傑作アルバム『Precious Days』全曲解説 45年間表現し続けてきた普遍的な想いが公開されました。

[紙] 11月1日発売 日経エンタテインメント!2024年12月号 にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」、日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

 

2024年11月10日 (日)

サブスクに存在する音源を通して1980年〜1994年のHR/HM(およびそれに付随するハード&ヘヴィな音楽)の歴史的推移を見る

当サイトではかつて『1991 in HR/HM & Alternative Rock』というエントリーを公開しています。これは過去数年メインストリームだったHR/HMがグランジと入れ替わる絶妙なタイミングとなった1991年の音楽を、当時の世相とともに振り返りながらサブスクで聴いていくという内容でした。で、これと同じようなエントリーを1994年版で作ろうかと思っていたのですが、まとめながら歴史的観点(音楽以外を含む)ではそこまで大きくないような気がしまして……。

で、同じタイミングにこちらのイベントのためにプレイリストを共同制作していたのですが、その流れで「これを年代別に作ってみたいな」と思うようになり。だったら先の1994年までを年間プレイリストで辿っていくのはどうかな、という考えに至ったわけです。

ちゃんと始めるなら何年からがいいのかな……と熟考したところ、やはりNWOBHMが勃発したと言われる1980年から1年区切りで辿っていくのがいいんじゃないか、ということで、ここ数ヶ月ちまちまと作業しておりました。で、先ほど最後の1年となる1994年のプレイリストを完成させたので、こうしてエントリーとしてまとめるに至りました。

ぶっちゃけ、考察もなにもないです。これらを年代順に聴いていくことでそれぞれ見えてくるもの、気づくことは間違いなくあるでしょう。僕から「これがこうだから、こうなった」なんて細かいことはあえて言いませんが、もし何か付け加えるとしたら……意外とサブスク上に存在しない重要作品や楽曲が欠けているという事実と、HR/HMというジャンルが80年代後半からどんどん拡大していき、リリースアイテムも格段と増えたこと。例えば100曲でまとめる際、1980年と1994年とではその数に差がかなり出てしまったこと(1980年はHR/HMの絶対数が少なく、本来なら取り上げたいNWOBHMの名曲もサブスク上に存在せず、結果として無理やりパンクからの派生や1アーティストから2曲選んだりしている。一方で1994年のアイテムは国内外含め200曲近く集まり、そこから削っていくのにひと苦労した)。かつ、ジャンルとしてもどんどん洗練されていき、主流となるサウンドの方向性もどんどん変化していることにも気づくはず(結局言ってるし)。あと、90年代以降の音楽は今聴いても古さを感じないけど、80年代前半はまだ70年代の延長にあるんだなと再認識させられました。いろいろ面白かった。

ということで、ここから1年単位で作ったプレイリスト(各100曲)。それぞれ7〜8時間とかなり長尺ですが、暇なときにでもダダ流ししながらお楽しみいただけると幸いです。

 

■1980年

 

■1981年

 

■1982年

 

■1983年

 

■1984年

 

■1985年

 

■1986年

 

■1987年

 

■1988年

 

■1989年

 

■1990年

 

■1991年

 

■1992年

 

■1993年

 

■1994年

2024年10月31日 (木)

2024年10月のお仕事

2024年10月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※10月31日更新)

 

[紙] 10月末に発行された 伊藤美来 Official Fanclub「all yours」 最新会報にて、伊藤美来インタビューを担当しました。

[WEB] 10月27日、「リアルサウンド」にてインタビュー 櫻坂46 井上梨名&村井優、秘めた葛藤と悔しさを力に “BACKS”というもう一つの可能性と進化を語るが公開されました。

[WEB] 10月27日、「音楽ナタリー」にてレビュー記事 ASTERISM「METAL」 | インストメタルバンドが挑んだ“マスメタル”なボーカル曲、その4分半の中に凝縮されたフックの数々が公開されました。

[WEB] 10月25日、「音楽ナタリー」にてライブレポート ALBATROSSが現在地を提示したワンマンライブ、飛躍を遂げて2025年のアジアツアーへが公開されました。

[WEB] 10月25日、「billboard JAPAN」にてライブレポート 「マカロニえんぴつを握りしめて、またどこにでも出かけていってください」 マカロッカーと旅した【TRIP INSIDE】日本武道館で閉幕が公開されました。

[WEB] 10月24日、「Little Glee Monster 10th Anniversary Live」のオフィシャルライブレポート(10月19日、20日)が 公式特設サイト にて公開されました。10月20日に配信されたテキストに加筆した内容となります。

[WEB] 10月20日、「Little Glee Monster 10th Anniversary Live」のオフィシャルライブレポート(10月19日、20日)を執筆。POPSCENE など複数媒体で公開中です。

[WEB] 10月16日、YouTube「とーやまチャンネル」生配信にゲスト出演しました。当日の アーカイブも配信中です。

[WEB] 10月16日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 横山健は言った「パンクロックは生きるためのアイデンティティ」が公開されました。

[WEB] 10月16日、「WEBザテレビジョン」にてインタビュー 「自分が納得するものを妥協せずにやりたい」全10曲の作詞を手がけた青山なぎさの1stアルバムが公開されました。

[WEB] 10月15日、「リアルサウンド」にてインタビュー 小2の天才速弾きギタリスト そうちゃん、父が語る“好き”を伸ばす子育て術 音楽を通じた親子の絆が公開されました。

[WEB] 10月12日、「リアルサウンド テック」にてインタビュー THE YELLOW MONKEYのライブを“不滅”にするためにーーマネージャーらに聞く、アーティスト専用プラットフォームを作った真意が公開されました。

[WEB] 10月11日、「音楽ナタリー」にてインタビュー AIのような美貌のアイドル藤咲凪、ジェットコースターみたいな人生と2ndシングルを語るが公開されました。

[WEB] 10月11日、「音楽ナタリー」にてインタビュー GLAY×BAND-MAID対談|ロックバンドの夢を追い続ける2組が初対談が公開されました。

[WEB] 10月10日、「リアルサウンド」にてインタビュー 秋元康が手掛ける新アイドル・Rain Tree誕生! デビュー発表直後インタビュー「国民的なアイドルグループに」が公開されました(インタビューは2ページに掲載)。

[WEB] 10月9日、「櫻坂46 三期生ライブ」のオフィシャルライブレポートを執筆。billboard JAPANなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 10月9日、「billboard.com」にてインタビュー Wagakki Band Explains Decision to Take a Break after 10 Years, Process of Producing ‘Conceptual’ Best-Of Collection & More(「billboard JAPAN」掲載記事の英訳版)が公開されました。

[WEB] 10月9日、「billboard JAPAN」にてインタビュー 和楽器バンド 無期限活動休止前ラストインタビュー 10年分の感謝とバンドの成長がここにが公開されました。

[WEB] 10月9日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 浅井健一ソロアルバム「OVER HEAD POP」インタビュー|湧き出る“ポップ”をそのままにが公開されました。

[WEB] 10月7日、「音楽ナタリー」にてライブレポート しぐれうい、Vtuberデビュー5周年に作り上げた“最高の作品”「これが私の“masterpiece”です!」が公開されました。

[WEB] 10月4日、「SPICE」にてインタビュー 類稀なるワードセンスを武器に、いま最も注目されるシンガーソングライター矢作萌夏の世界に迫るが公開されました。

[紙] 10月4日発売 日経エンタテインメント!2024年11月号 にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」、日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 10月2日、「リアルサウンド」にてコラム HoneyWorks×monaが“リアル”アイドル界隈で響く理由 『超絶あざといお前らの姫』で示したさらなる親和性が公開されました。

[WEB] 10月1日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 水瀬いのり×カノエラナ|アニメ「アクロトリップ」主題歌で深まる2人の縁が公開されました。

[WEB] 10月1日、「音楽ナタリー」にてインタビュー カツヲ(THE CHERRY COKE$)×ヤマネヒロマサ(さらば青春の光マネージャー)|結成25周年、つないだ絆から生まれた新作が公開されました。

 

2024年9月30日 (月)

2024年9月のお仕事

2024年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※9月29日更新)

 

[WEB] 9月29日、「リアルサウンド」にてインタビュー 富田鈴花&髙橋未来虹、変わっていく日向坂46を牽引する想い 一人ひとりがグループの顔となる大切さが公開されました。

[WEB] 9月27日、『SPACE SHOWER TV x J:COM Little Glee Monster Precious Live』のオフィシャルライブレポートを執筆。イベント特設サイトなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 9月26日、「音楽ナタリー」にてインタビュー GALNERYUS特集|SYU、Masatoshi “SHO” Ono、YUHKIが語るメジャーデビュー20周年アルバムが公開されました。

[WEB] 9月25日、「リアルサウンド」にてコラム Yukihide “YT” Takiyama、新作で見せたB’zや氷室京介らレジェンドに愛される理由 プレイ/アレンジで活かす“歌心”が公開されました。

[WEB] 9月24日、「音楽ナタリー」にてインタビュー スパイラル・ラダー×ReoNaインタビュー|「FGO」最新エピソードの世界観詰まった「Wonderer」が公開されました。

[WEB] 9月24日、「リアルサウンド」にてライブレポート&インタビュー トゲナシトゲアリ、『BAYCAMP』独占レポ&舞台裏インタビュー 『ガルクラ』と重なり合う貴重なステージを目撃が公開されました。

[WEB] 9月19日、「リアルサウンド」にてライブレポート 日向坂46、初開催『ひなたフェス 2024』徹底レポ 地方創生やサステナビリティを重視した祭典にが公開されました。

[WEB] 9月18日、「リアルサウンド」にてコラム 松本孝弘、21年ぶりのカバー作品から伝わる力強いミュージシャンシップ LiSAやTERUらと共に紡いだ音楽への愛情と感謝が公開されました。

[WEB] 9月18日、「リアルサウンド」にてライブレポート トゲナシトゲアリ、『ガルクラ』とリアルが交差した特別なステージ “聖地”川崎CLUB CITTA’に残した成長の爪痕が公開されました。

[WEB] 9月13日、「リアルサウンド」にてコラム 秋元康が11人の少女たちに託したメッセージと未来 WHITE SCORPION『Caution』全曲解説が公開されました。

[WEB] 9月13日、「リアルサウンド」にてコラム トゲナシトゲアリ、『ガルクラ』からデビュー1年強でCDチャートも好成績 令和を代表するアニメ発バンドの地位を確立が公開されました。

[WEB] 9月12日、「リアルサウンド」にてライブレポート 日向坂46 四期生、武道館で見せた飛躍的な成長 グループを率いる11人の頼もしさが光るステージにが公開されました。

[WEB] 9月11日、「音楽ナタリー」にてインタビュー TENSONG & PAMインタビュー|新人TENSONGと手練のPAM、刺激を受け合い完成したコラボナンバーが公開されました。

[WEB] 9月5日、「SPICE」にてライブレポート いれいす 初のドーム公演・ベルーナドーム2DAYSをサプライズ発表、エンタメ精神に満ち溢れたツアーファイナル・ぴあアリーナMM公演をレポートが公開されました。

[WEB] 9月5日、『乃木坂46 真夏の全国ツアー2024』明治神宮野球場公演のオフィシャルライブレポートを執筆。Billboard JAPANなど複数媒体で公開中です。

[紙] 9月4日発売 日経エンタテインメント!2024年10月号 にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」、日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

 

2024年9月14日 (土)

Spotifyでもっとも再生されているIRON MAIDENの楽曲(2024年9月14日現在)

いよいよ来週9月22日から開催となる、IRON MAIDEN実に8年ぶりの来日公演『THE FUTURE PAST WORLD TOUR 2024』。筆者も9月26日公演と29日公演に足を運ぶ予定ですが、今回はタイトルやアートワークからなんとなく想像がつくと思いますが、2021年の最新作『SENJUTSU』に加え、1986年の名作『SOMEWHERE IN TIME』の楽曲を中心に展開されるというもの。ライブタイトル自体は『SENJUTSU』収録曲「Days of Future Past」にもじったものですが、戦国時代(=Past)にスポットを当てた『SENJUTSU』、サウンド的にもシンセギターを用いるなど近未来(=Future)を強く打ち出した『SOMEWHERE IN TIME』という対照的な2枚を並べており、個人的には面白い試みだなと感じています。

昨年から始まった今回のツアーは現在に至るまでセットリストを固定して進行しているので、事前に予習しておきたいという方はこのあたりでチェックしておくといいでしょう。僕自身も事前にライブの流れを把握しておきたくて、Spotifyにプレイリストを作ってみたのですが、いろいろ漁っているうちに過去作と近作の再生回数に目が行きまして。そこで思いました。

 

IRON MAIDENって世界中でどれくらい再生されているんだろう、と。

 

で、調べました。すると、興味深いデータが得られました。今回はオリジナルアルバムに絞って、それぞれの作品で再生回数が多い上位3曲を紹介してみたいと思います。なお、数字は2024年9月14日現在のもの。万単位基準で、1000以下は四捨五入しておりますのでご了承ください。

1stアルバム『IRON MAIDEN』(1980年)
・Phantom Of The Opera(4842万回)
・Running Free(2397万回)
・Prowler(2334万回)

2ndアルバム『KILLERS』(1981年)
・Wrathchild(3015万回)
・Killers(1732万回)
・Murder In The Rue Morgue(1062万回)

ポール・ディアノ(Vo)時代の2枚は、思っていたよりも再生されていない印象でした。1stアルバムが2ndアルバムより再生数が多いのは予想の範疇でしたが、それでもバンド名を冠した代表トラック「Iron Maiden」がTOP3入りしていないのは意外といいますか(ちなみに同曲は2173万回再生で、1stアルバムでは4番目)。

3rdアルバム『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982年)
・Run To The Hills(3億7798万回)
・The Number Of The Beast(2億2331万回)
・Hallowed Be Thy Name(1億7281万回)

4thアルバム『PIECE OF MIND』(1983年)
・The Trooper(4億5823万回)
・Fight of Icarus(5779万回)
・Where Eagles Dare(3217万回)

5thアルバム『POWERSLAVE』(1984年)
・2 Minutes To Midnight(1億4944万回)
・Aces High(1億1906万回)
・Powerslave(3408万回)

6thアルバム『SOMEWHERE IN TIME』(1986年)
・Wasted Years(1億5740万回)
・Caught Somewhere In Time(2395万回)
・Alexander The Great (356-323.B.C.)(2288万回)

7thアルバム『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』(1988年)
・Can I Play With Madness(5341万回)
・The Evil That Men Do(4499万回)
・Seventh Son Of A Seventh Son(2178万回)

ブルース・ディッキンソン(Vo)加入後の、いわゆる黄金期と呼ばれる80年代中盤から後半にかけて。『THE NUMBER OF THE BEAST』からは3曲、『PIECE OF MIND』からは1曲、『POWERSLAVE』からは2曲、『SOMEWHERE IN TIME』からは1曲と、それぞれ1億回を超える再生数の楽曲が複数生まれています。概ねシングルヒットが数多く再生されている印象ですが、そんな中で「Powerslave」「Caught Somewhere In Time」「Seventh Son Of A Seventh Son」と各アルバムのタイトルトラックがTOP3入りしているという意外な結果も。「Caught Somewhere In Time」のようにアルバムのオープニングトラックなら再生数が多くなるのもなっとくですが、「Powerslave」はアルバム終盤、「Seventh Son Of A Seventh Son」は中盤とそれぞれ異なる配置。アルバムタイトルトラックだから聴いてみるか……ということなのでしょうか。あと、「Alexander The Great」は昨年からのツアーで久しぶりに演奏されていることもあって、再生数が伸びたんでしょうかね。ライブの定番曲「Heaven Can Waite」(1353万回)よりも遥かに多い数字に驚かされます。

8thアルバム『NO PRAYERS FOR THE DYING』(1990年)
・Bring Your Daughter... To The Slaughter(1682万回)
・Holy Smoke(1123万回)
・No Prayer For The Dying(555万回)

9thアルバム『FEAR OF THE DARK』(1992年)
・Fear Of The Dark(3億3666万回)
・Wasting Love(9789万回)
・Afraid To Shoot Strangers(3832万回)

ヤニック・ガース(G)が加入、ブルース在籍時末期の90年代初頭の2枚。『NO PRAYERS FOR THE DYING』は作品の評価同様、黄金期の諸作品と比べると再生数が著しく劣ります。が、『FEAR OF THE DARK』からはライブ定番曲となったタイトルトラックの3億回再生を筆頭に、シングル曲とはいえライブで頻繁に演奏されるわけでもない、なのに1億回近い再生数を誇る「Wasting Love」、地味に人気の高い「Afraid To Shoot Strangers」が上位入り。面白い結果です。なお、同作からシングルヒットした「Be Quick Or Be Dead」は3646万回、「From Here To Eternity」は1248万回にとどまっています。

10thアルバム『THE X FACTOR』(1995年)
・Man On The Edge(886万回)
・Sign Of The Cross(862万回)
・Lord Of The Flies(270万回)

11thアルバム『VIRTUAL XI』(1998年)
・The Clansman(1655万回)
・Futureal(797万回)
・Como Estais Amigos(242万回)

ブレイズ・ベイリー(Vo)が参加した2作品は、やはりというかあまり再生されていない印象。ブルース復帰後も演奏される機会の多い「The Clansman」こそ1000万回再生を超えていますが、それ以外は低調気味。そういえば当サイトでもこの2枚はまだ紹介していませんでしたね……そのうち改めて書いてみようと思います。

12thアルバム『BRAVE NEW WORLD』(2000年)
・The Wicker Man(6090万回)
・Blood Brothers(4323万回)
・Brave New World(2655万回)

13thアルバム『DANCE OF DEATH』(2003年)
・Dance Of Death(3793万回)
・Rainmaker(1361万回)
・Raschendale(1173万回)

14thアルバム『A MATTER OF LIFE AND DEATH』(2006年)
・For The Greater Good Of God(1493万回)
・Different World(1212万回)
・These Colours Don't Run(1075万回)

15thアルバム『THE FINAL FRONTIER』(2010年)
・When The Wild Wind Blows(1096万回)
・Coming Home(997万回)
・El Dorado(731万回)

ブルースやエイドリアン・スミス(G)が復帰し、現在の6人体制になってから制作された2000年代のアルバム4作品。復帰一発目の『BRAVE NEW WORLD』はやはり注目度が高いのと、現在もライブで披露される機会の多い楽曲が複数含まれていることから、以降の3作品と比べると全体的に数字が高い。が、作品を重ねるごとに数字が落ち始めています。作品のクオリティはどれもそう変わらないはずですが、なかなか難しいものですね。

16thアルバム『THE BOOK OF SOULS』(2015年)
・Speed Of Light(3080万回)
・If Eternity Should Fail(1998万回)
・The Red And The Black(1498万回)

17th『SENJUTSU』(2021年)
・The Writing On The Wall(4136万回)
・Days Of Future Past(1977万回)
・Stratego(1811万回)

2010年代半ば以降の2作品。フィジカルではCD2枚組の長尺アルバムですが、ここ日本でもサブスクがスタートして以降のリリースとあってか再生数はかなり安定している印象。シングルカット曲、ライブで頻繁に披露される曲が多く再生されているのは納得でしょうか。

ちなみにライブアルバムに関してですが、どれも数百万回再生止まりで、億単位はゼロ。1000万回超えは『ROCK IN RIO』(2002年)収録の「Fear Of The Dark」(2116万回)と『A REAL LIVE DEAD ONE』(1993年)収録の「The Trooper」(1212万回)の2曲のみでした。

以上を踏まえて、2024年9月中旬時点での「Spotifyでもっとも再生されているIRON MAIDENの楽曲」上位20曲は下記のようになりました。

1位:The Trooper(4億5823万回)
2位:Run To The Hills(3億7798万回)
3位:Fear Of The Dark(3億3666万回)
4位:The Number Of The Beast(2億2331万回)
5位:Hallowed Be Thy Name(1億7281万回)
6位:Wasted Years(1億5740万回)
7位:2 Minutes To Midnight(1億4944万回)
8位:Aces High(1億1906万回)
9位:Wasting Love(9789万回)
10位:The Wicker Man(6090万回)
11位:Flight Of Icarus(5779万回)
12位:Can I Play With Madness(5341万回)
13位:Phantom Of The Opera(4842万回)
14位:The Evil That Men Do(4499万回)
15位:Blood Brothers(4323万回)
16位:The Writing On The Wall(4136万回)
17位:Afraid To Shoot Strangers(3832万回)
18位:Dance Of Death(3793万回)
19位:Children Of The Damned(3724万回)
20位:Be Quick Or Be Dead(3646万回)

億超えの上位8曲は納得の結果でしょうか。そういう意味では、億に届きそうで届かないライン(「Wasting Love」「The Wicker Man」をはじめとする楽曲群)が個人的には興味深かったです。40年以上のキャリアを持つヘヴィメタルバンドとして、この数字は順当なものなのかどうかは正直わかりませんが、我々のような80年代リアルタイム通過組のみならず、まだ彼らの音楽に触れたことがない世代にも少しは興味を持ってほしいな……と思わずにはいられません(まあ、安くても1万8000円という来日公演に足を運ぶ若年層は皆無かもしれませんが……)。

 

2024年8月31日 (土)

2024年8月のお仕事

2024年8月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※8月30日更新)

 

[WEB] 8月30日、『日向坂46 四期生ライブ』のオフィシャルライブレポートを執筆。日刊エンタメクリップなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 8月29日、「WebNewtype」にてインタビュー MindaRyn 2ndアルバム「Across Miles」発売記念インタビュー(後編) 「自身の“居場所”を求めて」が公開されました。

[WEB] 8月25日、櫻坂46『9th Single BACKS LIVE!!』のオフィシャルライブレポートを執筆。Billboard JAPANなど複数媒体で公開中です。

[WEB] 8月25日、「リアルサウンド」にてインタビュー 乃木坂46 中西アルノ、プレッシャーをチャンスに変えてきた2年半 タフさとギャップが新たな武器にが公開されました。

[WEB] 8月24日、「リアルサウンド」にてインタビュー 筒井あやめ&池田瑛紗、“先輩”として未来を形作る意識 乃木坂46の入り口になるべく重ねた成長が公開されました。

[WEB] 8月24日、「Rolling Stone Japan」にてインタビュー LiSAが語る、13年にわたり大切にしてきた、人と混ざり合うことで生まれる化学反応が公開されました。

[WEB] 8月23日、「WebNewtype」にてインタビュー MindaRyn 2ndアルバム「Across Miles」発売記念インタビュー(前編) 「タイトルには自分の名前の“マイ”も“smile”も含まれています!」が公開されました。

[WEB] 8月20日、「WEBザテレビジョン」にてインタビュー 「みんなの毎日がより素敵になるような、そんなアルバムを目指しました」小林愛香2ndアルバムを語るが公開されました。

[紙] 8月17日発売 「My Girl」Vol.40 にて、小林愛香インタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 8月15日、「音楽ナタリー」にてインタビュー TEAM SHACHI「待ち合わせに、飽きもと。」インタビュー|TikTokバズから生まれた“踊れる”EPが公開されました。

[WEB] 8月14日、「リアルサウンド」にてインタビュー Little Glee Monster、6人の個性がリトグリになるという自信 5年間の成長&5年後への展望も語るが公開されました。

[WEB] 8月9日、「リアルサウンド」にてインタビュー THE ALFEE「日本のメジャーの音楽シーンでは僕らは早すぎた」 50年の歩みと新たなシングルが示す現在地が公開されました。

[紙] 8月8日発売 「月刊ニュータイプ」2024年9月号 にて、下北沢SHELTER店長・義村智秋インタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 8月7日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 森口博子「ANISON COVERS 2」インタビュー|アニメソングとJ-POPの架け橋にが公開されました。

[WEB] 8月7日、「音楽ナタリー」にて TEAM SHACHI「のんあるすいけん feat.炒飯」レビューが公開されました。

[紙] 8月5日発売 Ani-PASS #26 にて、愛美インタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 8月2日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 「DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~」特集|SORA(DEZERT)×Ken(L'Arc-en-Ciel)の仲良し決起トークが公開されました。

[紙] 8月2日発売 日経エンタテインメント!2024年9月号 にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」、日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

 

2024年8月22日 (木)

2024年上半期総括

「そういえば年間ベスト上半期分まとめてなかった」

そう気づいたのは8月に入ってからのこと。例年7月頭に公開していた同エントリーですが、振り返ると昨年も8月11日更新なんですよね(笑)。コロナ禍を経て日常を取り戻し始めた2023年以降、別の意味で時間感覚がズレ始めていることに気付かされます。

ということで、通常より1ヶ月半以上遅れてとなりますが、ここに記録として残しておきたいと思います。今年も昨年同様に「洋楽5枚/作品、邦楽5枚/作品」という形で、アルバムにこだわらずシングル/EP/単曲含む10作品を紹介していきます。

 

AURORA『WHATE HAPPENED TO THE HEART?』(AL/amazon

 

BLEACHERS『BLEACHERS』(AL/amazon

 

BRING ME THE HORIZON『POST HUMAN: NeX GEn』(AL/amazon

 

JUDAS PRIEST『INVINCIBLE SHIELD』(AL/amazon

 

PEARL JAM『DARK MATTER』(AL/amazon

 

Crossfaith『AЯK』(AL/amazon

 

PALEDUSK『PALEHELL』(EP/amazon

 

THE YELLOW MONKEY『Sparkle X』(AL/amazon

 

キタニタツヤ『ROUNDABOUT』(AL/amazon

 

櫻坂46『自業自得』(EP/amazon

 

今年上半期、特に洋楽勢は良作揃いだったと思います。泣く泣く15枚まで絞った中で最終的に上記5枚を選んだのですが、PEARL JAMとBMTH以外は日によって変動があるかもしれません。ちなみに、次点となった10枚は下記のとおりです。

BEYONCE『COWBOY CARTER』
DUA LIPA『RADICAL OPTIMISM』
FRIKO『WHERE WE'VE BEEN, WHERE WE GO FROM HERE』
THE JESUS & MARY CHAIN『GLASGOW EYES』
KNOCKED LOOSE『YOU WON'T GO BEFORE YOU'RE SUPPOSED TO』
THE LAST DINNER PARTY『PRELUDE TO ECSTASY』
MANNEQUIN PUSSY『I GOT HEAVEN』
MICK MARS『THE OTHER SIDE OF MARS』
RIDE『INTERPLAY』
THE SMILE『WALL OF EYES』

 

国内勢に関しては下記の7作品(楽曲単位含む)が次点となります。

イヤホンズ『手紙』
サバシスター『覚悟を決めろ!』
トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』(楽曲)
日向坂46『君はハニーデュー』(EP)
雪国『pothos』
THE BAWDIES『POPCORN』
Ken Yokoyama『Indian Burn』

2024年8月21日 (水)

SUMMER SONIC 2024(2024年8月17日、8月18日)

昨年に続いて、今年も全日参加したサマソニ。2024年夏の野外フェスはこれ1本に集約させるつもりで臨みました。正直、ヘッドライナーとしてMÅNESKINBRING ME THE HORIZON(こちらは当初メインステージのトリと名言されていませんでしたが)が出演するとわかった時点で、行かない選択肢はゼロ。基本的に、それ以外の出演者に関しては“社会見学”という感覚が強いので、誰が出ようと関係ないというか。

そんなこんなで、初日から軽く振り返っていきたいと思います。

 

Ss2024a ●8月17日(土)

VIOLETTE WAUTIER(PACIFIC STAGE)

「タイとベルギーのハーフで横浜生まれ」というプロフィールを持つヴィオレット・ウォーティアですが、ビジュアル的にはセクシーというより可愛らしい印象。サウンドに関してもダンスミュージックというよりは、ダンサブルなポップスと解釈するのが正解か。華があるので、観ていて楽しかったです。

 

BAND-MAID(PACIFIC STAGE)

久しぶりにライブを観たけど、出音の重心がより低くなり、女王感に満ち溢れていた。何曲かでフィーチャーされたKANAMIさんとMISAさんのソロバトルも見応えあってライブ感が増していたけど、ただこういうフェスの場面で強く感じたのは似たり寄ったりの楽曲が多いこと(パターンの画一的な点)とエンディングのワンパターン化。いい感じに成長できているだけに、ここからさらにワンランク上へステップアップしていただきたい。

 

離婚伝説(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

数曲流し見。過去に一度ライブを観たことがありましたが、印象は大きく変わらず。もちろん極上のポップスが展開されており、歌を引き立てるための演奏という形ではなく、歌同様にすべての楽器が花形というイメージ。本当は最後まで観たかったけど、次が控えていたので早々に退散。

 

LAUFEY(SONIC STAGE)

予習なしで臨みましたが、遠目に上白石萌音っぽさがあって日本人が好きそうなヴィジュアルだなと。昨年に一度BLUE NOTEで来日公演を行なっているとのことからもわかるように、サウンド自体はジャズ寄り。ただ、かなりポップスとしての解釈が強めで、非常にとっつきやすい。ジャズの敷居を若干低くして、一般のポップスリスナーにも親しみやすくしてくれている印象。レイヴェイ自身は曲によってギター弾いたりピアノ弾いたりチェロ弾いたりと多才ぶりを発揮。声も良いし、これりゃ売れるわけだと納得。最後まで気持ちよく堪能しました。

 

NOTHING BUT THIEVES(MOUNTAIN STAGE)

たぶん8年前も観てるはずだけど、印象は変わらず。スケール感が大きくなったのはわかるんだけど、自分の好み的には今ひとつ、いや今ふたつかな。音源で十分といったところか。

 

BLEACHERS(SONIC STAGE)

初日の個人的目玉。新作音源はTHE 1975のDrity Hitから出ていることもあり、ステージ後方スクリーンのスタイリッシュさはモロにTHE 1975。サウンドのちょっとした味付けにもTHE 1975っぽさが感じられるんだけど、軸にあるのはニュージャージー出身バンドらしいオーソドックスなアメリカンロック。比較対象としてブルース・スプリングスティーンの名前が挙げられるみたいだけど、個人的にはサウスサイド・ジョニー的なのかなと解釈。そういうスタイリッシュさと泥臭さという相反する要素が絶妙なバランスでミックスされていて、しかもそれを極上のエンタテインメント色で表現するわけだから、楽しくないわけがない。プロデューサーとしても著名な存在となったフロントマンのジャック・アントノフの佇まいやアクションからは目が離せないし、6人編成のバンドが曲ごとにパートを次々と変えていくところも素敵。ツインドラム編成でベースレスかと思いきや、次の曲ではドラムのひとりがサックス吹き始めたり、また次の曲ではツインドラム&ベースにギター3本という。これはずっと観ていたい!ということで、最初から最後まで楽しんじゃいました。間違いなく初日のベストアクト! 次に来るときは、さらに大きなステージで観たいな。

セットリスト
01. I Am Right On
02. Modern Girl
03. Jesus Is Dead
04. How Dare You Want More
05. Chinatown
06. Rollercoaster
07. I Wanna Get Better
08. Tiny Moves
09. Don't Take The Money
10. Stop Making This Hurt

 

GLAY(MOUNTAIN STAGE)

デビュー30周年の節目に夏フェス初出演。しかも地元・北海道のライジングではなくサマソニを選ぶという。考えてみたら今年は1999年の幕張20万人ライブから25年という節目でもあるし、そこにデビュー30周年も重なり幕張にまた戻るというのがまた粋といいますか。選曲は1曲目こそ最新の「whodunit」で現役感を提示。そこはヒット曲じゃないのか……と思いきや、ギターソロ前にUNDERWORLD「Born Slippy」を挟んでくる遊び心。これ、以前もやってなかったっけ?(あれ、別のバンド?) サマソニらしさを意識したんでしょうね(前夜のソニマニで、同じステージでUNDERWORLDがプレイしてますしね)。

で、以降は「サバイバル」「口唇」を間髪入れずにぶち込んでくる。そりゃ大合唱になるわな。さらに「SOUL LOVE」からの「HOWEVER」コンボで昇天。ここで多くの人はマリンに移動したようですが、これは全部見ないとダメだと確信しそのまま居座ることに。以降は「夏らしい2曲」と「Blue Jean」「BLEEZE」と2000年代以降の楽曲を連発。MCではTERUさんが「名前だけでも覚えて帰ってください」って……新人か! 初々しいったらありゃしない。で、後半戦は最新曲「会心ノ一撃」を披露しつつも「FATSOUNDS」「SHUTTER SPEEDSのテーマ」と通常運転に戻り、「彼女の"Modern…"」(これを聴かないと帰れない)で盛り上がり、「誘惑」でクライマックス。お見事なセトリでした。あと、スクリーンに歌詞字幕が出てるあたりにも、彼らの優しさを感じました。

セットリスト
01.whodunit 〜 Born Slippy(UNDERWORLD cover)
02.サバイバル
03.口唇
04.SOUL LOVE
05.HOWEVER
06.Blue Jean
07.BLEEZE
08.会心ノ一撃
09.FATSOUNDS
10.SHUTTER SPEEDSのテーマ
11.彼女の"Modern..."
12.誘惑

 

MÅNESKIN(MARINE STAGE)

この日唯一のMARINE STAGE。GLAYを最後まで観てしまったために、移動時間などもあって中盤から参加することに(あとでセトリを確認したら、インストパートから「Gasoline」に入るあたりに会場周辺に到着したので、頭5曲を見逃したのみで3分の2くらいは観れたようです)。スタンド席は通路にまで人が溢れかえっていて、久しぶりにここまでパンパンの“サマソニのマリンスタジアム”を目にした気がします。そんなこんなで、なんとか自分の場所を確保して「Beggin'」あたりからじっくり堪能。

にしても……

 

MÅNESKIN、やっと観れたーっ!(笑)

過去2回の来日は「2022年8月→コロナ感染」「2023年12月→メニエル再発」と、それぞれ観る予定があったものの泣く泣く断念。ということで、2年越しに観ることができたわけです。バンドとしての佇まいなど含め、久しぶりにど真ん中のアリーナ/スタジアムロックバンドらしいヘッドライナーでした。客席を見渡しても、明らかに10代〜20代前半の若年層から自分みたいな高齢者(笑)まで、国籍や男女問わず幅広い層を集まり、マリンスタジアムを満員にしてしまうわけですから。しかも、サウンド的にはオーソドックスなロックサウンド。もっと言ってしまえば、古き良き時代のクラシックロックなわけですよね(もちろん現代的な解釈を施しているわけですが)。映像面などの演出に頼ることなく、メンバーのカリスマ性の高さや破天荒なステージング、曲間に用意された長尺ソロパート(特に、アンコールは5分前後におよぶギターソロから始めるという振り切れっぷり)、そして何より良質な楽曲の数々で90分のステージをやり切るその姿は、圧巻の一言でした。ここ10数年、日本の洋楽ロックフェスでトリを張れる若手バンドがなかなか出てこない中、たった数年でここまで到達できた事実は本当にすごいことだと思います。いやいや、久しぶりに胸がスカッとした夏フェスヘッドライナー公演でした。

セットリスト
01. Don't Wanna Sleep
02. Gossip
03. Zetti E Buoni
04. Honey (Are U Coming?)
05. Supermodel
〜Instrumental Solo〜
06. Gasoline
07. Coraline
08. Beggin'(THE FOUR SEASONS cover)
09. For Your Love
10. I Wanna Be Your Slave
〜Bass & Drum Solo〜
11. Mammamia
12. In Nome Del Padre
13. Bla Bla Bla
14. Kool Kids
アンコール
〜Guitar Solo〜
15. The Loneliest
16. I Wanna Be Your Slave

 

Ss2024b ●8月18日(日)

水曜日のカンパネラ(SONIC STAGE)

詩羽体制になってからライブを観るのは初めてかな。非常にステージ映えしたパフォーマンス含め好印象。前体制時代の「桃太郎」まで飛び出すわけですが、あのデカい透明バルーンに入って客の頭上を転がる演出まで踏襲されていたのには笑ったな。ただ、この日はこうしたクラシックよりも“今”の楽曲のほうが強い光を放っていて、そちらに惹きつけられた。「最新作がベスト」というのはアーティストとしてもっとも幸せなことじゃないですか。この編成でもうひとつ大きな山を迎える日も、そう遠くない印象でした。

 

BODYSLAM(PACIFIC STAGE)

タイのハードロックバンド。シングルギター&キーボードという編成なので、サウンド的にはポップな印象。本当はもっとエッジの効いた音なのかもしれないけど、ドラムやギターの出音含めちょっと引っ込みがちだったので、そこまでガツンと来なかった。事前告知されていたBABYMETALが登場し、「Leave It All Behind」が始まった途端にフロアの様子が一変。後ろからどんどん人が押し寄せ、この日一番の盛り上がりに。彼女たちが引っ込んだあとは、再び平常運転でした。

 

乃紫(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

可愛らしいビジュアルと相反し、演奏や楽曲は意外と骨太(いくつかはそのイメージに沿ったポップな楽曲もありましたが)。ステージ慣れしていることもあってか、ライブ自体が気持ちよく進行していくので、気がつけば長々と観ていました。

 

BOYNEXTDOOR(PACIFIC STAGE)

初見。音源のイメージで接したのですが、ライブはバンド編成でより躍動感が強いもの。パフォーマンスのキレ含め、なるほどこりゃカッコいいわと納得。観たのは頭数曲だけでしたが、“Japanese Version”で歌われると……ハングル特有のリズミカルさや刺々しさが気に入っているだけに、そこを奪われてしまうと個人的に感じていた魅力が減退してしまっている気がしました。

 

サバシスター(Spotify RADAR: Early Noise Stage)

裏がCreepy NutsやJO1やBOYNEXTDOORということで、始まる前はかなり客入りが厳しそう。なので進んで前方へ移動しjました。7月上旬のワンマン以来でしたが、この短期間でもバンドとしてのグルーヴ感がさらに増していることが伝わり、メジャーデビュー以降右肩上がりの成長がまだまだ続いていることがしっかり感じ取れました。1曲目とラスト2曲が2年前の初サマソニ出演時と一緒というポイントもエモかった。今年後半もまたさらに進化してくれることに大期待。

 

INI(PACIFIC STAGE)

初見。彼らもバンド編成でのパフォーマンスで、結果的にかなりハードロック的なアレンジに。特に国内のこの手のアーティストの場合、ライブだとこういうアレンジになってしまいがちで、それが良くも悪くもというところも。とはいえ、ここも頭数曲を観たのみなので、その後どういうアレンジだったのかはわかりませんが、個人的にはもっとしなやかさを強調したバンドアンサンブルでもよかったんじゃないかという気がしました。あ、メンバーのパフォーマンスに関しては文句なし。ひたすらカッコよかったです。

 

YVES TUMOR(SONIC STAGE)

去年のフジロックにも出演していたんですね。完全にノーマークで予習なしで臨みましたが、80年代後半から90年代序盤にかけての「エレクトロの要素を取り入れたオルタナ」ロックや、ジミヘンプリンスを彷彿とさせるカラー、時にはグラムロック的なテイストも見せるなど、完全に自分好みの音。曲中は「ぎゃーっ!」と叫んだりアグレッシヴに動いたりとかなり破天荒なのですが、曲間は意外と紳士的な印象。その落差もたまりません。なんだかんだで終盤まで観て、マリンステージへ移動。

 

GRETA VAN FLEET(MARINE STAGE)

この日は初日よりも気温抑えめで、16時くらいでもギリギリ野外ステージを楽しめる環境。日陰を選んで彼らのライブを観たのですが……もちろんパフォーマンス自体は極上なんですが、やはり高気温から生じる不快さが災いしてちゃんと楽しめなかった。曲中、長尺ギターソロなどもあったんだけど、これも環境のせいで心から満喫できたかと言われると……本当に勿体ない。彼らにはまったく罪はないんだけどね。やっぱり単独公演で、室内でじっくり楽しむべきかな。

セットリスト
01. The Falling Sky
02. Safari Song
03. Meeting The Master
04. Heat Above
05. Black Smoke Rising
06. The Archer
07. Highway Tune 〜 Runway Blues

 

CHRISTINA AGUILERA(MARINE STAGE)

ライブを観るのは初めて。1stアルバムリリースから今年で25周年という節目もあって、選曲的には文句なしの内容。しかも、ショーとしての見せ方も古き良き時代からのエンタメを踏襲しつつモダンにアップデート、かつ日本向け要素も随所に散りばめられており(アギレラのヘアアレンジも日本を意識したものでしたよね)、仮に1曲も知らなかったとしても最後まで楽しめたはず。個人的には「Lady Marmalade」でひとつのピークを迎えたあとに訪れる、エモーショナルな3曲の流れに食らいました。BMTHを除けば、2日目のベストアクトだったと断言しておきます。

セットリスト
01. Dirty
02. Can't Hold Us Down
03. Bionic
04. Vanity
05. Genie In A Bottle
06. What A Girl Wants
07. Your Body
08. Feel This Moment(PITBULL cover)
09. Ain't No Other Man
10. Say Something(IAN AXEL cover)
11. Express
12. Lady Marmalade(THE ELEVENTH HOUR cover)
13. Beautiful
14. Fighter
15. Let The Be Love

 

BRING ME THE HORIZON(MARINE STAGE)

昨年11月の『NEX_FEST』との大きな違いは、ジョーダン・フィッシュ(Key)正式脱退後であることと昨年発売されている予定だったニューアルバム『POST HUMAN: NeX GEn』がようやく世に出たこと。おそらく昨年のライブは新作の世界観を踏襲したコンセプチュアルなものになるはずだったところ、中途半端な形になってしまい本来伝えるべきものがちゃんとした形で伝わらなかったんじゃないでしょうか。あと、最近のインタビューでジョーダン中心の体制(オリヴァー・サイクスとジョーダンの2人ですべてのソングライティングとレコーディングを完結してしまうこと) に対してほかのメンバーが不満を持っていたことが明らかになり、ジョーダン離脱以降から着手した楽曲では現在のメンバー4人でまとめていく当初の形に戻り、より“バンドらしく”機能し始めた。そういうタイミングの来日だけに、期待値は昨年以上に高まるわけです。

今回でいえば、例えば家庭用ゲーム機の立ち上げムービー(PlayStationのパロディ)からゲームソフトの待機画面(絵面およびBGM含め、往年の『FINAL FANTASY』シリーズを彷彿とさせるものあり)へと続くオープニングムービー、そこからログインして前回のライブ同様にオペレーターとともにライブを交えた一連の“活動”を一緒に体験していくという形は、アルバムやそれにまつわるさまざまなプロモーションの甲斐もあってよりわかりやすくなっていたのではないでしょうか。そこから「DArkSide」で一気に『POST HUMAN: NeX GEn』の世界へと落とし込まれ、途中で「Happy Song」や「MANTRA」、冒頭にピアノアレンジを加えた「Sleepwalking」など往年の代表曲も交えて『POST HUMAN: NeX GEn』の世界をより深掘りしていく。しかも、それをスタジアムという広大な規模において、爆音で表現していくのだから圧巻以外の言葉が出てこない。

ただ、観客の入りは決してベストと言えるものではありませんでした。開演前はアリーナ(スタジアムのグランド部分)すら埋まっていませんでしたし、スタンド席においてはひとり2〜3席使えるほどの空きっぷりで、正直前日のMÅNESKINとは比較にならないほど。でも、あのゴリゴリのサウンドをマリンスタジアムで爆音にて鳴らし続け、フロアではモッシュやウォール・オブ・デスが発生する“いつも通り”の光景は、かつてサマソニで観たSLIPKNOTLINKIN PARK、あるいはNINE INCH NAILSあたりのステージと重なるものがありました。思えばLINKIN PARK以降この手のニューヒーローは登場しておらず、我々はフェスのトリを張れる次世代ヒーローの登場を待っていたはずなんです。でも、それがうまく機能せずにここまで来てしまった。そんな中、今年で20年選手となるBMTHがようやくそのポジションを掴もうとしている。本当なら満員のスタジアムでその成功を祝福したかったところですが、そこに至るまではもうちょっと時間がかかりそうです(特に今回に関しては、裏にBE:FIRSTがいたことも大きく影響しているんじゃないかな。加えて、隣のBEACH STAGEでは同系統のHOOBASTANKのステージがあったし。とにかく今年は各ステージのコンセプトの希薄さ、ライナップの下手くそな並べ方が目立ちました)。あと、みんなもっと彼らの曲を歌えるようになろうな。あれは前日と比べちゃって正直寂しかったよ。

ネガティブなことばかり書いちゃいましたが、ライブ自体は本当に素晴らしかった。本来のコンセプトをより濃厚に深掘りできるような構成なんだけど、ちゃんとフェスということも意識したセットリストは非常によいバランスで組まれていましたし、前日の大阪公演でライブ初披露となった『POST HUMAN: NeX GEn』収録曲「liMOusIne」も、大阪では出演時間の都合で実現しなかったオーロラとの共演をここで目にすることができたし、お昼にBODYSLAMとコラボしていたことから「これは匂わせでは?」と察したとおりBABYMETALも登場し、昨年の『NEX_FEST』に続いて「Kingslayer」での再共演も果たせたし。前者のダーク&ヘヴィさ、後者の多幸感とそれぞれ今のBMTHならではの見せ方が際立ちました。アンコールは「Doomed」「Drown」「Throne」と『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)からの3連発で完全昇天モード。そういえば、ライブ中何度か飛び出した紙テープ?は、往年のアイドルみたいでちょっと笑えました。

終演後のアナウンスを拒否したこと、客席からの撮影をNGにしたことなど規制も多いライブだったようですが、そういう要素を潰すことで観ている一人ひとりが自身と対峙し、この演出を通じてライブへの没入感を高めていく。その中でオリーやバンドと真正面から向き合っていき、自分は孤独じゃないことに気づかされる。今のBMTHはそういうスタンスで我々と“次の時代(=NeX GEn)”を作ろうとしているんだろうな。そう強く実感させてくれた、唯一無二のスタジアムロック公演でした。

セットリスト
01. DArkSide
02. Happy Song
03. Sleepwalking
04. MANTRA
05. Teardrops
06. Kool-Aid
07. Shadow Moses
08. liMOusIne(feat. AURORA)
09. AmEN!
10. Itch For The Cure (When Will We Be Free?)
  〜 Kingslayer(feat. BABYMETAL)
11. Anti-vist(feat. fan)
12. Follow You
13. LosT
14. Can You Feel My Heart
アンコール
15. Doomed
16. Drown
17. Throne

Ss2024c ●雑感

両日とも、それぞれいろんなジャンルのアーティストをいいとこ取りしながら楽しむことができました。初日は急務が発生し、会場到着が14時からだったにもかかわらず、それでも10組程度楽しむことができましたし、2日目は午前中入りでまったりしながら10組楽しんだ。例年通りのペースだったかなと思います。

もちろん、改善すべきポイントも少なくありませんでした。例えば、今年から幕張メッセの9〜10ホールを新たに借りて、そちらに物販スペースを移動させたほか、新たに休憩スペースを作っていました(僕は用がなかったので行きませんでしたが)。これで、飲食スペースがちょっとは余裕できるのかなと思いきや、新たにお笑いステージを復活させたことで午後遅い時間帯に大混雑する事象が発生。お笑いステージを観ている人が近くに座り込んでしまい、なかなか前に進めないなんてことがあったり、飲食物購入列もえげつないことになっていたりで、結局僕は2日間ここを使うことはありませんでした(食事はSpotify RADAR: Early Noise Stage周辺の餃子やマリンスタジアム周辺で済ませた)。あと、飲食スペースを使って休息する人もいる中で、場内に漫才やコントの叫び声が響き渡るのはどうしたものか。併設していたキッズコーナーでの催しと違って、神経を逆撫られますよねあれは。

あとは、BMTHのところでも書いたように、今年のステージ/アーティストの組み合わせの悪手ぶり。トリがうまく決まらない中でいろいろオファーした結果、パズルのように組み合わせていったんだろうけど、正直今年の並びは過去イチの悪さだと思いました。同ジャンルのアーティストが同じ時間帯に並んでいたり、それこそBMTHにようにサマソニの未来を占うであろう新たなヘッドライナーの裏に集客の固いK-POPやボーイズグループを置いたり。興行主としては正解なのかもしれないけど、特に今回はBMTH目当てのファンにとってあまり気持ちいものではなかったと思います。

ビールもまた値上がってましたね(苦笑)。特に今年はサントリーがスポンサーに入ったためか、オフィシャルバーや会場内で販売するビールがすべてサントリーのもので、会場外では「サントリー以外のビール持ち込み禁止」なんて看板もあったほど。そこまで徹底するならせめて安くしてよと思わずにはいられませんでした(なもんで、会場での飲酒は1日1杯のみ)。

最後くらいは明るい話題で締めくくりたいのですが……今年この形で成功したことが、来年以降にどう響くのか。フジロックがSZAキャンセルで新たな道を切り開けなかったぶん、サマソニは成功と言いたいところですが……サマソニ然りフジロック然り、来年のヘッドライナー選びは今年以上に苦労するんじゃないでしょうか。世界的にもフェスでのヘッドライナー選びが難しくなっている中、円安がまだまだ続くとなると若くて勢いのあるビッグネームは値踏みする可能性が高いし(フジでのSZAや、サマソニが今年オファーしていたトラヴィス・スコットのように)。かといって、旧来の大御所たち中心という過去の形に戻るならば、若者中心の集客観点ではますますK-POPやボーイズグループ頼りになる(フジロックはKやボーイズに頼らないだろうから、また別の悩みが生じるかもしれませんが)。後年「2024年が洋楽ロックフェスの分岐点だった」と言われるようになるのか否か、ここが正念場なのかもしれませんね。

2024年8月13日 (火)

ARCH ENEMY『STIGMATA』(1998)

1998年5月5日にリリースされたARCH ENEMYの2ndアルバム。日本盤は同年3月21日発売。

1枚限りのプロジェクト形態で制作されたデビューアルバム『BLACK EARTH』(1996年)から約1年半という短いスパンを経て、マイケル・アモット(G)を中心にヨハン・リーヴァ(Vo)、クリストファー・アモット(G)、マーティン・ベンソン(B)、ダニエル・アーランドソン(Dr)というバンド形態で制作された真の意味での1stアルバム。レコーディングにはダニエルが2曲しか参加できず、クリストファーの別プロジェクトARMAGEDDONのメンバーでありのちにDARKANEに参加するピーター・ウィルドアーが大半の楽曲でプレイすることとなります(ダニエルはアルバム完成後に行われたツアーから復帰)。

日本盤リリースが海外より1ヶ月以上早いことからも伺えるかもしれませんが、彼らは1997年の初来日時(CATHEDRALジャパンツアーのゲスト)に日本のファンから熱狂的な歓迎を受けたこともあり(それを理由に活動継続が決定)、日本のレーベルTOY'S FACTORYと独自契約を果たしており、そこで日本のスタッフからの声を反映しながらアルバムを完成させたといいます。それもあってか、当初発売された日本盤が全12曲入りだったのに対し、のちに海外でリリースされたものは全9曲入りとコンパクトな仕上がり(「Hydra」「Diva Satanica」「Damnation's Way」がカット)。日本盤に関しては、当初ミディアムテンポ中心だった作風に対して日本側から「もっと速い曲も欲しい」とリクエストしたことから2曲追加が決まったという話もあり(「Hydra」は1分欠ける程度のインストなので、歌モノということで)「Diva Satanica」「Damnation's Way」が追加されたのかもしれませんね。

とはいえ、そのミディアムヘヴィな楽曲中心の作風は決して前作より劣っているとは感じられず、むしろテクニカルで複雑な展開というARCH ENEMYらしい個性がここでようやく確立し始めたと、ポジティブに受け取ることができます。オープニングを飾る名曲「Beast Of Man」はアルバムスタートの景気付けとしては見事な役割を果たしているものの、本作の魅力が本格的に発揮されるのは続く2分強のインスト「Stigmata」からアグレッシヴな「Sinister Mephisto」へとつなぐこのパートから。そこまでミドル中心という印象は個人的にはなく、適度なスピード感と重さで聴き手をグイグイ引き込む説得力は前作以上だと思いました。

ヨハンのボーカルはデスメタルのそれとは異なる、ハードコアパンク的な咆哮歌唱。メロディアスなツインリードギターが活かされたアレンジとの相性もなかなかのもので、メロディックデスメタルというよりは“メロウな要素を強めたテクニカルスラッシュメタル”と呼ぶほうが合っている気がしないでもない。ただ、確かにこのボーカルスタイルだと表現の幅も限定されてしまうので、この形が長続きしなかったのも頷けるといいますか……。

マイケル・アモットは本作に対してネガティブな印象を持っているようですが(当時のベーシストの出来に不満があり、来日中に喧嘩したことも影響しているとのこと)、ファン目線では前作以上にもっと評価されるべき1枚だと断言したいです。

 


▼ARCH ENEMY『STIGMATA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2024年8月11日 (日)

THE SMASHING PUMPKINS『MONUMENTS TO AN ELEGY』(2014)

2014年12月9日にリリースされたTHE SMASHING PUMPKINSの9thアルバム。日本盤は翌2015年2月25日発売。

前作『OCEANIA』(2012年)から約2年半ぶりの新作。再結成以降、Warner(『ZEITGEIST』)〜EMI(『OCEANIA』)とアルバムごとに移籍を繰り返しているスマパン。それは今作も同様で、新たにBMGと契約(日本では新たにソニーからリリース)。ニコール・フィオレンティーノ(B)、マイク・バーン(Dr)と新メンバーが相次いで脱退する中、ビリー・コーガン(Vo, G)はジェフ・シュローダー(G)という再結成後の新たな右腕に、ゲストドラマーとしてMÖTLEY CRÜEトミー・リーを迎えて制作に取り組みます。

全9曲、大半の楽曲が4分に満たないコンパクトな構成で、トータル32分強という彼らのオリジナルアルバムとしてはもっとも短尺。その後に訪れるサブスク中心の音楽シーンを予兆するような内容と言えなくもありません。また、楽曲の作風自体も前作『OCEANIA』で確立した“新生スマパン”らしさの延長線上と言えるものではなく、キャッチーなオルタナロックという装いの楽曲が中心。どこか『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995年)前後の作風を彷彿とさせるものがあるも、かといって焼き直しというわけでもない。もちろん、聴きやすさという点においては前作にも負けず劣らずの仕上がりだと思います。

確かに、前作は名手ジミー・チェンバレンの後釜としてハタチそこそこの若手ドラマーを迎えたことで、リズム面に関しては若干地味だったのは否めません。そこを考慮して、今回は80'sスタジアムロックの象徴といえるMÖTLEY CRÜEのメンバーを迎えたのだとしたら、なるほどと言わざるを得ません。実際、リズム面に関しては前作よりも強調されている印象がありますし、そのノリのよさや軽やかさはトミーのドラミングによるものが大きいと思います。

また、サイケ色が強めに出ていた前作と比較すると、今作はニューウェイヴ的な色合いが強い。それはアレンジやサウンドメイクに顕著で、過去の『ADORE』(1998年)のようなゴシックテイストとはまた異なるものでもある。そう、ダークさよりも陽の印象が強い質感なんですよね。『ZEITGEIST』はビリー&ジミーの2人が中心となって作り上げたものでしたが、今作もビリー&ジェフの2人が中心と同じ傾向。しかし、そこにトミー・リーといよ陽の塊のような存在が加わることでこの軽やかさが生まれたのだとしたら、そのコラボレーションは大成功だったと言えるでしょう。ただ、バンドの新作というよりはスピンアウト的な実験作という印象も否めないので、個人的には評価が難しいところです。

個人的には前作の方向性がツボで、ここからどんな方向へと進化していくのかと楽しみにしていたのですが、結果は短命に終わってしまったため、また新たな形で仕切り直すことに。バンドって難しいですね。

 


▼THE SMASHING PUMPKINS『MONUMENTS TO AN ELEGY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2024年8月10日 (土)

THE SMASHING PUMPKINS『OCEANIA』(2012)

2012年6月19日にリリースされたTHE SMASHING PUMPKINSの8thアルバム。日本盤は『オセアニア〜海洋の彼方』の邦題で同年6月20日発売。

再結成後初のアルバムとなる『ZEITGEIST』(2007年)から約5年ぶりの新作。この5年の間には、ビリー・コーガン(Vo, G)が今後スマパンのとして新作を発表することはないと発言したり(2008年)、ジミー・チェンバレン(Dr)が再脱退したり(2009年)、再始動後初の来日公演およびサマソニに出演したり(2010年)といろいろ動きはありました。また、新曲に関しても2008年には『AMERICAN GOTHIC』と題した4曲入りEPを配信し、2010年には『TEARGARDEN BY KALEIDYSCOPE』と銘打った新曲プロジェクトを始動させるなど、いろいろありながらも精力的に動き続けていました。

この8枚目のオリジナルアルバムは、先の『TEARGARDEN BY KALEIDYSCOPE』プロジェクトから生まれたもの。当初、このプロジェクトは44曲入りのコンセプトアルバムを予定していましたが、先に2つのEPを発表したのちに、「コンセプトアルバム内アルバム」としてこの『OCEANIA』を単独作品として世に送り出すことになります。

レコーディングにはビリーに加え、前作のツアーからバンドに加わったジェフ・シュローダー(G)のほか、ニコール・フィオレンティーノ(B/ex. VERUCA SALT)、マイク・バーン(Dr)が参加。プロデューサーには『ADORE』(1998年)からスマパンのレコーディングに携わり、ZWANやビリーのソロアルバムにも共同プロデューサーとして名を連ねてきたビョルン・トルスルードを迎えて制作されています。

ジミーのダイナミックなドラミングを軸に、豪快なハードロック色で統一された前作『ZEITGEIST』から一転、今作では90年代の“あの”スマパンらしさが復調。とはいえ、単なる焼き直しというわけではなく、“あの頃”から20年経って立派な大人に成長したビリーが、今を生きる若者たちを一緒に音楽を一から作り上げるのだから、似て非なるものになるのは当たり前。方向性としての原点回帰かもしれないけど、そこで鳴らされている音や奏でられるメロディに関しては完全に2010年代のそれではないでしょうか。

前作も“新生スマパン”としては決して悪くなかった。だけど、良くも悪くも90年代の影を引きずっており、完全に2000年代のノリに合流できていなかったことでちぐはぐさが生じてしまった(と、個人的には感じている)。それ自体は正直悪いことではないんだけど、なんだかこちら側もうまくノリきれない。その点で、今作は正真正銘“新生スマパン”として、文字通り“新たな生きもの”としてすべてが有機的に機能している。力みすぎていないし、かといってユルすぎもしない。それが懐かしさと新鮮さ、聴きやすさといういろんな効用を発揮させてくれるのです。

もしかしたら、前作と今作を並列させることで初めて“新生スマパン”が完成するのでは……バランスという点では、それが一番正しいのかもしれません。5年というタイムラグはあるものの、実は復活後のスマパンを正当に評価する上では、『ZEITGEIST』と『OCEANIA』は対で語るべき作品集なのでしょうか(これもつい最近気づいたことなんですけどね)。

過去に縛られていない、かと言ってスマパン以外の何者でもなく、ビリーのソロといわけでもない。バンドとして正真正銘の再スタートを切ることに成功した、奇跡の1枚。この流れが以降も続けばよかったんですが、こうした瑞々しい輝きは本作を最後にしばらく途絶えることとなります。1曲1曲がこれこれこうと語るよりも、アルバム1枚をひとつの塊として捉え、堪能してほしい傑作です。

 


▼THE SMASHING PUMPKINS『OCEANIA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2024年8月 9日 (金)

THE SMASHING PUMPKINS『ZEITGEIST』(2007)

2007年7月10日にリリースされたTHE SMASHING PUMPKINSの7thアルバム。日本盤は同年7月11日発売。

THE SMASHING PUMPKINSは2000年末に解散。メンバーのビリー・コーガン(Vo, G)とジミー・チェンバレン(Dr)は新バンドZWANを結成するも、アルバム1枚を残して2003年に解散。ジェイムズ・イハ(G, Vo)はソロ活動と並行してA PERFECT CIRCLEに加入(2004年に活動停止)。それぞれ停滞気味だったところ、2006年春にビリーがTHE SMASHING PUMPKINS再結成をアナウンス。オリジナルメンバーはビリーとジミーのみで、ほかのメンバーに関しては未発表のままアルバム制作に突入します。

アルバムリリース前の2007年5月、ついに新生THE SMASHING PUMPKINSは初ライブを実施。ここでステージに立ったのはビリー&ジミーのほか、ジェフ・シュローダー(G)、ジンジャー・レイエス(B)という布陣でした(このほか、サポートキーボーディストとしてリサ・ハリトンも参加)。しかし、そこから1ヶ月強を経て届けられた7年ぶりのアルバムのクレジットに目をやると、レコーディングはビリー&ジミーのみで制作されたことが明らかになります(ドラム以外のパートはすべてビリーが担当)。

バンドとの共同プロデューサーにロイ・トーマス・ベイカー(QUEENCHEAP TRICKオジー・オズボーンなど)とテリー・デイト(DEFTONESPANTERASOUNDGARDENなど)を迎えた本作。ジミーの派手なドラミングから始まるオープニングトラック「Doomsday Clock」や3連ビートが新鮮な先行シングル「Tarantula」など、アルバム前半はメタリックでダイナミックなハードロックチューンで固められています。ある意味では解散直前の『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』(2000年)『MACHINA II: THE FRIENDS & ENEMIES OF MODERN MUSIC』(2000年)の延長線上にある作風と言えるでしょう。ただ、そのハード&ヘヴィ具合がよりプリミティヴなものへと昇華されている点が解散前とは大きく異なる。そこはバンドとして心機一転、再スタートを切るぞという意気込みにも感じられます。

そんな雰囲気が少々変わるのが、中盤に配置された約10分にもおよぶ大作「United States」から。トライバルなリズムをフィーチャーしたこの曲は聴き手に革命を促すような1曲で、本作のハイライトと言える重要なナンバーです。そこからグロッケンを取り入れたエモーショナルなロックチューン「Neverlost」、マイナーキーのパワーポップ的な「Bring The Light」、ゴシックロック調の「For God And Country」などの変化球を交えつつ、エレクトロとシンフォニックさを織り交ぜたスローナンバー「Pomp And Circumstance」で締めくくり。全12曲/50分強と彼らにしては比較的コンパクトにまとめられています。

アルバム後半にメランコリックな楽曲がいくつか用意されているものの、それでも印象に残るのはガッツのあるハードロックナンバーばかり。もちろんこれはこれで彼ららしくもあるのですが、やはりこのバンドはそこだけではないわけで。もっと繊細さだったり悲哀さだったりダークさだったり、そういったハードロックとの対比を生み出すようなテイストも重要なわけです。そこが足りないという意味で、バンドとして不完全と捉えるべきなのか、それとも新生スマパンはこういう形で進んでいくのか……どう受け取るかで、本作への評価は大きく変わる気がします。

決して悪いアルバムではないですし、2024年までの長い歴史の中で考えればこういうテイストのアルバムが1枚くらいあっても不思議じゃないわけですが、全キャリアの中でも印象が薄い作品に分類されてしまうのは仕方ないかな。だって、日本では本作のみサブスク配信されていないわけですから(本作やZWANのアルバム、ビリーの1stソロアルバムといった、Warnerから発表された作品群はすべて未配信のまま)。

 


▼THE SMASHING PUMPKINS『ZEITGEIST』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

 

2024年8月 8日 (木)

THE SMASHING PUMPKINS『MACHINA II: THE FRIENDS & ENEMIES OF MODERN MUSIC』(2000)

2000年9月5日に発表された、THE SMASHING PUMPKINSの6thアルバム。日本盤未発売(というか、一般発売されていない代物です)。

このアルバムは本来、同年2月に発売された『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』(2000年。以下、『MACHINA I』と記す)と同じセッションから生まれた楽曲を収めたもので(一部『ADORE』期のアウトテイクあり)、ビリー・コーガン(Vo, G)はダブルアルバムとしてのリリースを画策していたんだとか。しかし、レーベル側が難色を示したことで、単独アルバムの『MACHINA I』(とはいっても、このアルバム自体全16曲/77分とかなり長尺ですが)として発売。それでもビリーは『MACHINA I』の続編の正式リリースを渇望していたのですが、同作が前作『ADORE』(1998年)を大きく下回るセールスしか記録できなかったことで、最終的には続編の正式リリースは却下されてしまいます。

ところが、ビリーはこの音源を2LP(アルバム本編14曲)+3EP(計11曲)としてアナログ盤を25セットのみプレスし、自主レーベルConstantinople Records経由でラジオ局や身近な友人たち、著名なファンコミュニティに無料配布。ここからリッピングした音源をネット上で無料配布することを推奨したのです。今だったらサブスク経由で拡散できるんだろうけど、24年前はそうもいかなかったわけです。

現在もウェブ・アーカイブ経由でダウンロード可能なこのアルバム。アナログ盤からのリッピングということで音質的にはやや難ありですが、『MACHINA I』と同系統のハードロックやゴシックロック、シューゲイザー/ドリームポップ的な佳曲をたっぷり楽しめる、貴重な作品集となっています。

詳しい内容に関してはWikipediaを参考にしていただくとして……楽曲のバラエティ豊かさは『MACHINA II』のほうが一歩上ということもあり、個人的にはこちらのほうが好みだったりします。なにせ、冒頭3曲の飛ばしっぷりはキャリア随一ですしね。かと思えば、中盤にはドリームポップの流れを汲むキャッチーな楽曲や、ジェイムズ・イハ(G, Vo)がボーカルを執る楽曲もある(その後のソロの延長線上にある「Go」)。『MACHINA I』収録の「Blue Skies Bring Tears」の別バージョン(『MACHINA I』ではスローテンポでゴシック調、『MACHINA II』では前のめりなパンク/オルタナロック調)もあり、なかなか味わい深い内容ではないでしょうか。ですが、アルバムのまとまり/完成度は商品化された『MACHINA I』のほうが数歩上かな。そういう意味でも、ダブルアルバムとして出すことがやっぱり正解だったような気がします。

EP3枚のほうはアルバム本編から漏れた楽曲や、別バージョンなどで構成されており、あくまでアウトテイク集といったもの。しかし、本編から外すには惜しい良曲も少なくないので、こちらはこちらで楽しめるはずです。

本作収録曲はその後、ベストアルバム『ROTTEN APPLES: GREATEST HITS』(2001年)本編に「Real Love」が、同作初回盤に同梱されたボーナスディスク『JUDAS O』に「Lucky 13」「Slow Dawn」「Here's To The Atoic Bomb」「Saturnine」に収録。よりクリアな音質で貴重な良曲たちを耳にすることができるので、まずはこちらからチェックしてみてはいかがでしょう(とはいっても、『JUDAS O』はサブスク未配信なので中古ショップでCDを買わねばなりませんが。安価で入手可能なので、DISC 1の名曲群とともにお楽しみいただきたいところです)。

2018年頃、ビリーは『MACHINA』セッションで制作した作品群をリイシュー&ボックス化する計画がある、そこで『MACHINA II』も正式にCD化&サブスク配信される予定だと発言していましたが、あれから6年近く経った今もその予定は白紙のまま。『ADORE』まではリイシュー&ボックス化されているので、発売から25周年を迎える2025年あたりにはぜひ実現させていただきたいものです。

 


▼THE SMASHING PUMPKINS『MACHINA II: THE FRIENDS & ENEMIES OF MODERN MUSIC』
(Free Download:smashingpumpkins.com [web.archive.org]

2024年8月 7日 (水)

TURNSTILE Asia 2024 Tour@Zepp DiverCity(2024年7月30日)

Img_9065 今年のフジロック最終日WHITE STAGEの大トリとして、同フェスに初出演したTURNSTILE。過去に2度来日しているものの、どちらも数百人クラスの小箱だったこともあり、この大抜擢は一部音楽ファンからしたら驚きだったかもしれません。が、2021年にリリースされた3rdアルバム『GLOW ON』の傑作ぶりを考えれば、この選出は非常に納得のいくもの。むしろ、コロナ禍によって3年というタイムラグが生じてしまったことが悔やまれるばかり。

そんなですから、当然フジロック3日目は行こうと思っていたんですが、その後に単独公演が決定したこと、そして今のフジロックに何の価値も見出せない体になってしまったことも影響し、「単独があるなら無理して行かなくてもいいか」という結論に。とはいえ、ギリギリまで行こうか行くまいか少々悩んだりもしたのですが、配信も決定したことで潔く諦めることができました。よかったよかった。

で、配信で観たフジロックでのステージ。始まる前から当然のように「絶対に伝説になる!」と確信していましたが、予想通りの展開。ようやく見つかった……安心しました。これによって、単独公演のチケットも開催直前にソールドアウト。うれしいじゃないですか。ねえ。

ただ、懸念事項も勃発。Zeppといえば最近はクラウドサーフやモッシュなどの危険行為を厳しく取り締まっているという話もあり、そんな規制が厳しい会場で目下勢いに乗ったハードコアバンドがどんなステージをやらかしてくれるのか(というより、彼らを前にしたオーディエンスがどんなアクションを起こすのか)。そればかりが気になっていたんです。

当日はBLOW YOUR BRAINS OUT、そしてNUMBがサポートアクトとして出演。てっきり開演時間の19時からBLOW YOUR BRAINS OUTのステージが始まると思っていたら、移動中に開場時間の18:40からステージが始まることを知る。会場到着予定は18:50。完全にやらかした!

もうこうなったら余裕かまして19時に入場しようと、軽く食事を摂ってからZeppへ。しかし、入場口には大勢の人で溢れかえっていて。聞けば入場が今さっき始まったばかりとのこと。1時間押しで開場したおかげで、1組目のサポートアクトに間に合いました。自分は19:20くらいに入場できたのかな。フロアはかなり余裕があったのですが……よく見ると、会場前方のフロアに設置されているはずの柵がすべて外されている。ああ、なるほど。バンド側と会場がギリギリまで話し合った結果、柵を外すことに→開場も1時間遅れる、ってことか(このへんはサポートアクト2組がMCで説明していました)。

自分が入場して10分ほどでBLOW YOUR BRAINS OUTのステージ開始。20分ほどパフォーマンスをしてくれましたが、徐々に埋まっていくフロアをいい感じに温めてくれました(もっと入ってるはず……と思っていたお客の多くは、グッズ購入のため長蛇の列を作っていたようです)。その後も転換時間を短縮して続くNUMBへとバトンタッチ。さすが重鎮NUMB、TURNSTILEとの絆もあってか気迫のステージでオーディエンスをノックアウトしてくれました。こちらも終始動きまくりで楽しませてもらいました。

Img_9073 その後、当初予定していた転換時間を短縮して、20:30過ぎにはTURNSTILEのステージ開始。ここ最近のセトリを見ていると大枠は固定されているようなので、オープニングはフジロック同様「T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)」始まりかなと思っていたら……予想を大きく裏切り、アルバム『GLOW ON』同様に「MYSTERY」からスタート! やられた! そりゃアガらないわけがない! そのままアルバムと同じく「BLACKOUT」へとつなげ、この2曲のみで完全にノックアクトされましたわ。

ソールドアウトショーということもあってか、また先の柵の件もあってか、バンド側の気合いがビンビン伝わってくる。それは特別なセットリストにも表れているんじゃないでしょうか。初期のEP『STEP 2 RHYTHM』(2013年)からの「7」「Keep It Moving」や『PRESSURE TO SUCCEED』(2011年)からの「The Things You Do」がセレクトされたあたりからも十分に感じ取れました。ライブ中盤、特に「7」以降のオールドスクール・ハードコアのノリの気持ちよさといったら、たまらないものがありました。で、そこに『TIME & SPACE』(2018年)から『GLOW ON』にかけて進化を遂げた「ハードコアのその先」が描かれた現在進行形の音が加わることで、一筋縄ではいかない変幻自在ぶりを示してくれる。この過程が(『GLOW ON』リリース時、『ヘドバン』のコラムにも書きましたが)個人的にはBEASTIE BOYSと重なるんですよね。もちろん、今の彼らはヒップホップをやっているわけではないので、完全にそのまま重ねることはできませんが、バンドとしての生き方に関してはリンクしているのではないでしょうか。個人的にそこをより強く実感できたのも、今回のステージで得られた収穫だったと思います。

面白いものでTURNSTILEを例える際、その人がどんな音楽を聴いてきたか、どんな音楽人生をたどってきたかによってその例えに挙げるバンド、アーティストがまったく異なるんですよね。そこも、今回の来日を通じて興味深くて。「ふむふむ、なるほどね。そういう解釈もあるよね」とか「それは自分の中にはなかった!」とか「それだけは絶対に違う!」とか、いろいろ思うことがありました。で、そこでその人と自分の距離を測ることもできた。2024年に音楽を媒介して自分と他者との関係、距離を確かめる上で、TURNSTILEは非常に重要なバンドなのかもしれませんね。

Img_9075 さて、ライブの話題に戻りましょう。フジロックは1時間程度のステージでしたが、この日はアンコールなしの約90分。トータルで20曲前後披露していたのかな。フジ同様にダニエル(Dr)のドラムソロも用意されていましたが、ここでのドラミングが本当に気持ちよくて。スピード感やミドルテンポでの1音の重さだけでなく、軽やかさやリズミカルさもしっかり備わっていて、そこも単なるハードコアバンドとは一線を画するポイントではないでしょうか。で、そんなハードヒットなソロプレイからキャッチーなアップチューン「Blue by You」へとつなげる構成も完璧。しかも、その前の曲が「FLY AGAIN」ですからね。本当にいい流れだと思いました。

フジロックでは触り程度だった「ALIEN LOVE CALL」もこの日はしっかりフルで演奏し、そこから「HOLIDAY」でクライマックスに突入。しかし、観客をステージに上げることはせず、フロアが阿鼻叫喚の盛り上がり。ここで終わるのかと思いきや、ブレンダン(Vo)が「残り1曲、何をするかわかってるよな? お前らの助けが必要なんだよ!」と呼びかけると……通常はオープニングに演奏する「T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)」がラストナンバーとして用意され、イントロが始まると同時にオーディエンスが次々にステージへと上がっていく。やってくれた! こうじゃなくちゃ。2分にも満たないファストナンバーだから一瞬で終わってしまったけど、それでもZeppのステージを埋め尽くす大勢の観客。圧巻の光景でした。

エレクトロ調のBGMを流し、余韻を残して終了したTURNSTILEのソールドアウトワンマン公演は、先のフジロック同様新たな伝説を作り上げたと思います。彼らは今後、間違いなく今以上にビッグになることでしょう。もちろん、次に来日する際には会場の規模も大きくなっているだろうし、国内フェスに出演する際もメインステージでパフォーマンスするはず。そんな未来が訪れたとき、この日会場にいた人たちは胸を張って「伝説を観た」と自慢してほしい。そんな、2024年を語る上で絶対に欠かせないベストライブだったと断言しておきます。

Img_9076 Img_9083

 

セットリスト
01. MYSTERY
02. BLACKOUT
03. Come Back For More (Intro) 〜 Fazed Out
04. UNDERWTER BOI
05. DON'T PLAY
06. 7
07. Keep It Moving
08. Drop
09. Real Thing
10. Big Smile
11. The Things You Do
12. NEW HEART DESIGN
13. I Don't Wanna Be Blind
14. WILD WRLD
15. FLY AGAIN
16. Drum Solo 〜 Blue by You
17. ENDLESS
18. ALIEN LOVE CALL
19. HOLIDAY
20. T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)

 

«AEROSMITH『GREATEST HITS』(2023)

カテゴリー