2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2018年7月23日更新)

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投稿: 2022 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2018年7月31日 (火)

2018年7月のお仕事

2018年7月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※7月18日更新)


[WEB] 7月18日、「リアルサウンド」にてましのみインタビュー「ましのみ、1stシングルで描いた“夏”の鮮明な情景「ただ浅いだけの恋愛を描いても退屈だと思った」」が公開されました。

[WEB] 7月15日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション記事「5FDP、Halestorm、Shinedown…モダンとクラシックが交差するアメリカンHR/HMの新たな潮流」が公開されました。

[WEB] 7月13日、「リアルサウンド」にて乃木坂46のライブ評「乃木坂46、6度目にして生まれ変わったバースデーライブ “シンクロニシティLIVE”の全貌を解説」が公開されました。

[紙] 7月10日発売「ぴあ Movie Special 2018 Summer」にて、元木聖也インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 7月5日、「BUBKA WEB」にてけやき坂46加藤史帆×齊藤京子×佐々木美玲インタビュー「幸せが集まる場所」の序文が公開されました。

[紙] 7月4日発売「日経エンタテインメント!」2018年8月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 7月3日発売「別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180703」にて、欅坂46渡邉理佐巻頭インタビュー、菅井友香巻末インタビュー、青空とMARRY(菅井友香・守屋茜・渡辺梨加・渡邉理佐)インタビュー、AM1:27(鈴本美愉・小林由依・小池美波)インタビュー、長濱ねるインタビュー、バスルームトラベル(長濱ねる・小池美波・尾関梨香)インタビュー、ゆいちゃんず(今泉佑唯・小林由依)インタビュー、TAKAHIRO(振付師)インタビュー、野村裕紀(ライブ演出担当)インタビューなどを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 7月2日、「BUBKA WEB」にてけやき坂46井口眞緒インタビュー「私はここに就職した」の序文が公開されました。

[WEB] 7月2日、「BUBKA WEB」にてけやき坂46高本彩花×東村芽依インタビュー「ひらがなだけの何かを目指して」の序文が公開されました。

[WEB] 7月2日、「リアルサウンド」にてけやき坂46小坂菜緒・丹生明里・渡邉美穂インタビュー「けやき坂46 小坂菜緒×渡邉美穂×丹生明里 “2期生トリオ”が語る、激動の10カ月と自身の成長」が公開されました。

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また、6月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1806号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2018 07 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2018年7月23日 (月)

BLACK SABBATH『VOL.4』(1972)

1972年9月に海外で発表された、BLACK SABBATH通算4作目のオリジナルアルバム。前作『MASTER OF REALITY』(1971年)は素晴らしい作品でしたが、全8曲で歌モノが6曲(残り2曲のインストもそれぞれ30秒、1分半程度の短尺)でトータル34分という、それ以前の彼らの作品と比べれば短いもので、急ごしらえで発表した感も拭えませんでした。すでにこの頃から、オジー・オズボーン(Vo)などメンバーのドラッグ癖が悪化していたのも関係していたのでしょう。

当然、この4作目の制作期間も決して良好なものだったわけではなく、そういったドラッグの影響は作られる楽曲やサウンドにも少なからず影響を与えています。

本作は全10曲収録、うち2曲がインスト(それぞれ2分、3分を欠けるものの単独の楽曲として成立する長さ)。トータルで42分程度と『MASTER OF REALITY』以前のボリュームにまで復活。その中身に目を向けると、バンドとして変化を求め始めた時期だったのかな……と感じます。

オープニングの「Wheels Of Confusion」は8分にもおよぶ大作で、展開に次ぐ展開でとにかくスリリング。初期からの大作志向がここで完成したかのような印象すら受けます。とにかくカッコいい。

比較的キャッチーな「Tomorrow's Dream」があったかと思うと、オジーが朗々と歌うピアノバラード「Changes」でびっくり。文字どおり、本当に変化を求めていたんでしょうね。ただ、そこに体も気持ちも付いていけないメンバーもいたりして、なかなかうまくいかない。そんな時期だったのかなと。

実験的なインスト「FX」に続くのは、グルーヴィーかつダンサブルなヘヴィロック「Supernaut」。このリフとリズムが一丸となる感じがとにかく気持ちいい。かと思えば、王道のサバス流ヘヴィロック「Snowblind」や「Cornucopia」もある。「Snowblind」はこれぞドラッグソングと断言できる1曲ですね……。

トニー・アイオミ(G)のアコースティックプレイを存分に堪能できるインスト「Laguna Sunrise」で小休止したあとは、サバスにしては珍しい陽気なイントロを持つ「St. Vitus' Dance」。どことなくストレートなロックンロール風で、ここらへんも新境地と言えるのでは。そしてラストは、ドゥーミーさとグルーヴィーさが融合したヘヴィチューン「Under The Sun」で締めくくり。

サバス本来の“らしさ”を維持しつつも、バンドとしてもっと幅を広げようとする努力が垣間見られる、そんな1枚ではないでしょうか。前作『MASTER OF REALITY』や本作を指して「もっともサバスらしい作品」なんて声も少なくもないですし、中には大ヒット作の2ndアルバム『PARANOID』(1970年)や原点的なデビュー作『BLACK SABBATH』(1970年)のほうが「らしい」という声もあるでしょう。ただ、個人的にはこの初期4枚にオジー時代のサバスの“すべて”が詰まっている……そう思っているのですが、いかがでしょうか。



▼BLACK SABBATH『VOL.4』
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投稿: 2018 07 23 12:00 午前 [1972年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

2018年7月22日 (日)

LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN IV』(1971)

1971年11月にリリースされたLED ZEPPELIN通算4作目のスタジオアルバム。4枚目のアルバムということで『LED ZEPPELIN IV(4)』と名付けられていますが、実はこのタイトルは正式なものではありません。正しくはタイトルが付けられていない“無題”アルバムであり、アルバム内に描かれた4つのシンボルマークから『FOUR SYMBOLS』などと呼ばれることもあります。

前作『LED ZEPPELIN III』(1970年)で新境地と言えるトラッドミュージック/アコースティックサイドを強調した作風で、それ以前のハードロックサイドのファンを驚かせた彼ら。続く本作でもトラッド色の強い楽曲は含まれているものの、バランス的にはよりハードロック的なものに回帰しています。

ただ、そのハードロック的な路線もより拡大方向に向かっており、オープニングを飾る「Black Dog」こそ印象的なギターリフとヘヴィなドラムで引っ張るという“らしさ”を見せつつ、続く「Rock And Roll」は文字どおりシンプルな3コードのロックンロールを展開。ただ、そこはこのバンドのこと、シンプルながらもラウドなサウンド(特にドラムのビシバシ感、ハンパなし)で自己流のロックンロールを作り上げています。

前作の延長線上にあるトラッドナンバー「The Battle Of Evermore」もこういった流れで聴くと非常に印象深いものになっていますし、そこから名曲「Stairway To Heaven」へと続く流れは、構成としても完璧なんじゃないでしょうか。「Stairway To Heaven」については、今さら説明は必要ないでしょう。この起承転結のきっちり作り込まれたアレンジとロバート・プラント(Vo)のボーカルワーク、ジミー・ペイジ(G)のアコギ/エレキを使い分けたギターアンサンブル、地味ながらも「これがなくちゃこの曲の意味がない」くらい重要なジョン・ポール・ジョーンズ(B, Key)のメロトロン、そして後半から入ってくるジョン・ボーナム(Dr)のスイングするドラム。8分にもわたる大作ですが、長さをまったく感じさせない名演だと思います。

この4曲でアナログA面となっており、B面は落ち着いたテンポ/空気感の「Misty Mountain Hop」から緩やかにスタート。そこからパーカッシヴなリズムがグルーヴィーで強烈な「Four Sticks」、アコースティックナンバー「Going To California」、ひたすらヘヴィな大作「When The Levee Breaks」で締めくくり。全8曲と曲数は少ないものの、42分という程よいボリューム。完璧なまでにコントロールされた、非常に「計算づく」の1枚だと思います。

衝動的なデビューアルバム『LED ZEPPELIN』(1969年)と、その流れを継ぐ『LED ZEPPELIN II』(1969年)。バンドとしてのスケールアップを図るために新機軸を打ち出した『LED ZEPPELIN III』。この3作での経験がここにすべて落とし込まれた、そんな初期の集大成的傑作だと思います。

ちなみに、本作は全米だけで2000万枚以上を超える売り上げを誇り、当然彼らの作品の中でもっとも売れたアルバムでもあります。さらに本作からは「Black Dog」と「Rock And Roll」がシングルカットされ、それぞれ全米15位、全米47位を記録しております。そして、本作リリースの2ヶ月前(1971年9月)には待望の初来日公演も実現。ひと足先に本作からの新曲群も披露されました。



▼LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN IV』
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投稿: 2018 07 22 12:00 午前 [1971年の作品, Led Zeppelin] | 固定リンク

2018年7月21日 (土)

CATS IN BOOTS『KICKED & KLAWED』(1989)

聖飢魔IIのギタリストとして活躍していたジェイル大橋こと大橋隆志が1987年にバンドを脱退し、旧友・畑江康弘(B)とともに渡米。ロサンゼルスでジョエル・エリス(Vo)、ランディ・メアース(Dr)ともに結成した4人組バンドCATS IN BOOTSの、最初で最後のフルアルバム。メジャーのEMIと契約し、日本で1989年9月、海外で同年10月にリリースされています。

AC/DCやROSE TATTOO、INXSSTEELHEARTなどに携わってきたマーク・オピッツをプロデューサーに迎えた本作。ジェイル大橋と聞くと聖飢魔IIでの「FIRE AFTER FIRE」や「アダムの林檎」といった正統派メタルチューンのイメージが強いのですが、ここでは大橋が本気でやりたかった、あの時代ならではのスタイルによる「当時のLAの空気感をそのまま表したかのようなルーズでスリージーなハードロック」が展開されています。

オープニングの「Shot Gun Sally」を筆頭に、とにかくスリリングでひたすらカッコいいハードロックばかり。日本人臭はまったく感じられず、言われなければ絶対に「80年代にヒットし損ねたLA出身のB級バンド」と信じてしまうはずです(まあそれも間違いではないのですが)。

今聴いても、どの曲にもキャッチーさが感じられ、いろんなところからフックが感じられる。ちょっとDEVOを思わせるリフの「Long, Long Way From Home」とか、VAN HALEN的なハードブギー「Nine Lives (Save Me)」、どことなくサイケデリックなロッカバラード「Every Sunrise」、AEROSMITHをLAメタル風にしたような「Judas Kiss」など、印象に残る曲も多数だし、とにかくアルバムとしてのテンポ感が良いんですね。

もしあの時代のUSハードロックバンドが好きならば、絶対に気に入る1枚だと思います。騙されたと思って、ぜひチェックしてみてください。

ちなみに彼ら、いきなりアルバム8枚契約と鳴り物入りでデビューを果たし、ラジオやMTVでのオンエアも好調だったにも関わらず、翌1990年には解散。国籍が違えばそれだけ価値観も異なるわけですからね。難しいものです。

当時は今と異なり日本人臭さがにじみ出てしまえば、間違いなく海外で受け入れられなかったし、メジャー契約もできていなかったでしょう。LOUDNESSだって、『THUNDER IN THE EAST』(1985年)や『LIGHTNING STRIKES』(1986年)だったからこそ、アメリカで受け入れられたわけですから。これはこれで大正解だと思います。



▼CATS IN BOOTS『KICKED & KLAWED』
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投稿: 2018 07 21 12:00 午前 [1989年の作品, Cats in Boots] | 固定リンク

2018年7月20日 (金)

VAIN『NO RESPECT』(1989)

デイヴィ・ヴェイン(Vo)率いるサンフランシスコ出身の5人組バンド、VAINが1989年夏頃にリリースしたメジャーデビューアルバム。爬虫類的な佇まい&アクションで見る者の目を惹くデイヴィ・ヴェインですが、その声も非常に個性的で、本作の聴きどころのひとつもそんなフロントマンのカリスマ性であることは間違いありません。

本作のプロデュースを手がけたのはポール・ノースフィールド(RUSHASIAQUEENSRYCHESTEELHEARTなど)で、全米154位の小ヒットを記録しています。実はデイヴィ自身もベイエリアではそこそこ名の知れたレコーディングプロデューサーで、かのDEATH ANGELのデビュー前のデモレコーディングなども手がけています。

そんな彼ですから、本作にもコ・プロデューサーとして名を連ねています。なんというか、カリスマ性もありながら、職人的な作業も得意とする。いわば、全部自分が関わっておきたい、自分が作るものには全部自分が目を通しておきたい、そんなワンマン主義なところがある人なのかもしれません。

そんなデビューアルバムですが、意外にも直線的で適度にヘヴィなハードロックが満載。あれ、作る作品自体は結構まともなものなんですね。

オープニングを飾る「Secrets」やMVも制作された「Beat The Bullet」など、どの曲も適度なキャッチーさと、適度なヘヴィさ&軽やかさが共存しており、スラスラと聴き進めてしまう。ある意味ではAC/DC的と言えるかもしれませんが、あそこまでクセも強くないのが弱点かもしれません。

あと、12曲あるうち似たタイプの楽曲が少なくないことも、デビュー作にしては弱点かもしれません。冒頭数曲の強さは申し分ないのですが、後半に進むに連れて印象に残る曲があまり見受けられないのは、50数分もあるアルバムをすべて聴くにはちょっと厳しいかも。

そんなだから、終盤にバラードタイプの「Without You」があったり、最後の最後に軽快な疾走ロックンロール「Ready」が飛び込んでくると、ちょっとホッとするのですが。なんとなく、最初と最後に救われる。そんなアルバムです。

そういえば当時、TBS『PURE ROCK』で「Beat The Bullet」のMVをよく目にしたなあ。個人的にはこの1曲のインパクトだけでも十分でしたけどね。

そんなVAIN、90年代前半に解散してしまうものの、すぐに再結成して現在も活動中。昨年2017年には新作『ROLLING WITH THE PUNCHES』も発表しております。機会があったらこのへんもしっかり聴いてみたいと思います。



▼VAIN『NO RESPECT』
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投稿: 2018 07 20 12:00 午前 [1989年の作品, Vain] | 固定リンク

2018年7月19日 (木)

FASTER PUSSYCAT『WAKE ME WHEN IT'S OVER』(1989)

海外で1989年8月末、日本では1ヶ月遅れ同年9月末に発売されたFASTER PUSSYCATの2ndアルバム。全米トップ100入り(最高97位)を果たし50万枚以上のセールスを記録したデビューアルバム『FASTER PUSSYCAT』(1987年)からはチャートインするようなヒットシングルは生まれませんでしたが、今作では彼ららしいバラードナンバー「House Of Pain」が全米28位のヒットとなり、アルバムも全米48位&50万枚以上のセールスを記録しました。

プロデュースを手がけたのはBANG TANGO、LOVE/HATE、CINDERELLAなどを手がけるジョン・ジャンセン。薄っぺらくてグラマラスでスリージーなサウンドが良くも悪くも個性につながった前作から一変、本作では骨太で重心の低いハードロックサウンドが楽しめます。

演奏も決して上手ではないという印象だった彼らも、そのイメージを払拭しようと本作ではかなりプレイに力を入れたようで、そういったネガティブな部分があまり目に/耳に入ってきません。むしろオープニングの「Where There's A Whip, There's A Way」「Little Dove」での音の太さとタフさがにじみ出たプレイからは、同時期にリリースされたAEROSMITH『PUMP』MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD』的な匂いすら感じられます。

最初にラジオだったかMTVだったかで先行シングルの「Poison Ivy」を聴いたとき、ぶっちゃけカバー曲だと思ったんですよ。それくらい、彼らにしては良くできた楽曲だと思ったから(実際、そういうタイトルの楽曲ありますしね)。ところが、アルバムを購入して気づいたのですが、これオリジナル曲なんですよね。びっくりしました。で、続く「House Of Pain」を聴いてもっとびっくりするわけですが。こんな素敵な曲が作れるんだ、作れるようなバンドになったんだ、と。

その後も「Gonna Walk」や「Pulling Weeds」など、リズムでかなり遊んでいる曲が並びます。で、思うわけですよ……「これ、ちゃんとライブで演奏できるのかな?」って(苦笑)。それくらい“出来過ぎ感”が強すぎる内容だったので。彼らの場合、褒めることや感心することを通り過ぎると心配になってくるんですよね……なぜでしょうか。

思えばこの頃から、80年代後半を覆っていた軽やかな空気を求める感覚は、どんどんヘヴィなものを欲するようになっていくわけで、1989年ってその転換期だったのかなと思っています。先に挙げたようなバンドのヒット作がまさにその幕開けを飾り、1991年にMETALLICAブラックアルバムという“ヘヴィロックの教科書”を完成させてしまう。そこから、ハードロックバンドもヘヴィメタルバンドもそっち側に寄せていき、そんなことをしている間にシアトルからは新たな刺客が現れたと。そんな微妙な時期に生まれた、時代の徒花によるまさしく“時代の徒花”らしい1枚。パーティ感の強い「Slip Of The Tongue」「Tattoo」ですらヘヴィさを伴っているんですから、本当に面白い時代に生まれた名(迷?)作です。



▼FASTER PUSSYCAT『WAKE ME WHEN IT'S OVER』
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投稿: 2018 07 19 12:00 午前 [1989年の作品, Faster Pussycat] | 固定リンク

2018年7月18日 (水)

MOTLEY CRUE『DECADE OF DECADENCE '81-'91』(1991)

1991年10月にリリースされた、MOTLEY CRUEの結成&デビュー10周年記念コンピレーションアルバム。初の全米No.1獲得&600万枚を超えるメガヒットとなった5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)に続くアイテムということもあってか、本作は全米2位&200万枚以上もの売り上げを記録しました。

気になる内容はといいますと、この10年間に発表された5枚のオリジナルアルバムから2曲ずつピックアップして収録+コンピレーションアルバムや映画のサントラに提供したアルバム未収録曲や本作のために録り下ろした新曲&カバー3曲を加えた全15曲で構成。こう聞くとベストアルバム的な印象を受けるかもしれませんが、まあだいたい正解です。

1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)からは「Live Wire」「Piece Of Your Action」の2曲をセレクト。しかしこの2曲、インディーズバージョンともメジャーバージョンとも異なる、新たにリミックスされた“第3のバージョン”なのです。2作目以降の音に近づけようとして、かなりエフェクトがかけられてますが……ちょっと“トゥー・マッチ”すぎます。

2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)からは「Shout At The Devil」と「Looks That Kill」を選出。こちらは本作用にリマスタリングされたのみで、原曲と大きく変わりません。で、3rdアルバム『THEATRE OF PAIN(1985年)からは「Home Sweet Home」「Smokin' In The Boys Room」の2曲。無難ですね。

こちらは前者のみ「Home Sweet Home '91」と題したリミックスバージョンとなっておりますが、リミックスとは名ばかりで、ボーカル&ギター以外のバックトラックが再録音されているのです。トミー・リー(Dr, Piano)のピアノはよりアコースティック色が強くなり、リズム隊はボブ・ロックの手によって“『DR. FEELGOOD』以降”のサウンドに生まれ変わっています。また、コーラスパートも一部追加録音されているようで、サビに厚みが加わっています。こちらの再録バージョンは本作からシングルカットされ、チャート上では原曲(全米89位)を超える全米37位を記録しました。

4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)からは「Girls, Girls, Girls」と「Wild Side」の2曲で、特に手を加えた形跡なし。で、5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)からは「Dr. Feelgood」と「Kickstart My Heart」の2曲が選ばれ、後者は1990年7月のUSツアーからライブ音源が採用されています。この曲だけライブってどうなのよ?っていう考えもありますが、当時ライブアルバム未制作だったこのバンドにとっては、貴重なテイクだったかなと。

以上10曲、セレクトからも単なるグレイテストヒッツではないことが伺えます。それだったら『DR. FEELGOOD』からもっと曲を増やすでしょうし。

で、本作はここからが本編といっても過言ではないわけでして。サントラやコンピ収録の「Teaser」「Rock 'N' Roll Junkie」は『DR. FEELGOOD』の流れからレコーディングされたものなので、どちらもボブ・ロックがプロデュースしたもの。前者はDEEP PURPLEでも活躍したギタリスト、トミー・ボーリンのカバーです。後者はニッキー・シックス(B)のリフとミック・マーズ(G)のカッティングがカッコいい1曲です。

新たにレコーディングされた新曲「Primal Scream」なんですが(本作からの1stシングルで、全米63位を記録)、メロディがキャッチーではない地味な曲という印象。ですがこれ、ライブで聴くとめちゃめちゃカッコいいんですよね。トミー・リーが生み出すグルーヴ感とミック・マーズのスライドギターが絶妙で、不思議と飽きがこないんですよ。サビのコール&レスポンスも明らかにライブをイメージして作ったものでしょうしね。

さらにもう1曲、オリジナルの新曲「Angela」はパワーポップ寄りのメロディアスなロックナンバー。「Primal Scream」との対比が面白い。あんまりライブで披露されたことのないレア曲じゃないかなと。この曲もドラムとギターがカッコいいったらありゃしない。

そして、最後の最後にカバー曲……ベタ中のベタ、SEX PISTOLSの「Anarchy In The U.K.」です。彼らにしては手垢のついた曲に手を出したなと。なぜ今これを選んだ!?と当時は疑問に思ったものですが(数年前にMEGADETHがカバーしたばかりじゃん!って)……まあ、普通のカバーです。以降のライブでは定番化してしまいましたが、個人的にはどうでもいい1曲です。

ちなみに、本作はワーナー(本国のElektra Records)との契約が終了し、権利を自身のレーベルに移行させてからは廃盤状態に。大半の新曲/コンピ収録曲は『SUPERSONIC AND DEMONIC RELICS』(1999年)で聴くことができるので、CDを中古盤で安く購入するか配信で『SUPERSONIC AND DEMONIC RELICS』をチェックするかしてみてください。


※念のため、こっちも貼っておきますね。



▼MOTLEY CRUE『DECADE OF DECADENCE '81-'91』
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投稿: 2018 07 18 12:00 午前 [1991年の作品, Motley Crue] | 固定リンク

2018年7月17日 (火)

L.A.GUNS『COCKED & LOADED』(1989)

1989年8月に発表された、L.A.GUNS通算2作目のオリジナルアルバム。デビューアルバム『L.A. GUNS』(1988年)完成後に加入したスティーヴ・ライリー(Dr)がレコーディングに初参加した作品で、フィリップ・ルイス(Vo)、トレイシー・ガンズ(G)、ミック・クリプス(G)、ケリー・ニッケルズ(B)、スティーヴという全盛期メンバーがレコーディングのみならず曲作りにも本格的に参加した1枚でもあります。

プロデュースを手がけたのは、MOTLEY CRUECHEAP TRICKPOISONDOKKENなどでおなじみのトム・ワーマンと、デュアン・バロン&ジョン・パーデル(オジー・オズボーンアリス・クーパーDREAM THEATERなど)というゴールデンチーム。演奏や音質含め初期衝動の塊だった前作とは異なり、かなり“整理された”ハードロックアルバムに仕上げられています。

パンキッシュな疾走感はできる限り抑えられ、代わりにメロディや演奏面が非常に練りこまれている。1曲1曲の仕上がりは非常に高品質で、かつ楽曲のタイプの幅も広がっている。このへん、上記プロデューサー陣がかなりテコ入れしたんじゃないかと想像できます。

例えば「Rip And Tears」のような曲も、前作に入っていてもおかしくないんだけど、要所要所にフックが仕込まれている。その一番わかりやすい形が、エンディングですね。こういった仕掛けはMOTLEY CRUEの楽曲にも存在しましたが、ライブ感を強めるという意味でもこの仕掛けは成功しと言えるでしょう。

アレンジという点においては、「Malaria」や「Magdalaine」といった楽曲が生まれたことも、このバンドにとって非常に大きかったと思います。ヘヴィさやサイケデリック感を打ち出したこれらの楽曲は、アルバムの中でも異彩を放っているし、ライブにおいても見せ場のひとつになったのは間違いありません。事実、前者はいまでもライブで披露される機会が多いですし、そういう意味でも本作中盤、「Never Enough」〜「Magdalaine」の流れは以降の“L.A.GUNSらしさ”にもつながる重要な要素になったのではないでしょうか。

また、この時期のHR/HMバンドにとって重要なファクターだった“パワーバラード”、“アコースティックテイスト”もしっかり備わっており、その2つを効果的に用いた「The Ballad Of Jayne」というヒットシングル(全米33位)も生まれました。これを受けてアルバムも最高38位まで上昇し、無事ミリオンセールスを記録したわけですから。

さて、L.A.GUNSのメジャー時代(80年代後半〜90年代前半)の諸作品って、一切デジタル配信&ストリーミング配信されてないんですね。しかも、本作に関しては国内外で廃盤状態みたいですし(5年くらい前に、ボーナストラックが追加されたものが再発レーベルRock Candy経由で流通していましたが、今はどうなんでしょう)。つい先日、1枚目のほうは国内盤が1000円で限定再発されましたが、むしろこっちのほうを再発してほしいんですよね。同企画の第2弾の際にはぜひお願いします!(いや、むしろあの企画の選盤に関わりたいくらいですけどね)


※代わりに2000年にリリースされたオリジナル編成での再録バージョンを。



▼L.A.GUNS『COCKED & LOADED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2018 07 17 12:00 午前 [1989年の作品, L.A.Guns] | 固定リンク

2018年7月16日 (月)

TESLA『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』(1990)

海外で1990年11月に、日本では1991年7月にリリースされたTESLAのアコースティックライブアルバム。2ndアルバム『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』(1989年)が全米だけで200万枚を超えるヒット作となり、同作からのバラード「Love Song」がシングルとして全米10位を記録。また、アコースティックギターを効果的に用いた「Heaven's Trail (No Way Out)」もラジオヒットしていたし、それ以前にもアコースティックギターを前面に打ち出した「Little Suzi」がシングルヒット(全米91位)と、なんとなくTESLAというバンドの印象の中にアコースティック楽器が存在していました。

そして、『MTV UNPLUGGED』のスタートと同時にアコースティック主体のアレンジが支持を集め始める(これはBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」のヒットが大きいと言われています)。バンドのスタイルと時代が見事合致したわけです……そりゃあアコースティックライブ、やりますよね? やらないほうがおかしい。というわけで、バンドは1990年7月にアコースティックツアーを小箱中心に敢行。自身のオリジナル曲のみならず、バンドのルーツとなるカバー曲もたっぷり披露されました。

まず驚かされるのが、オープニングの「Comin' Atcha Live / Truckin'」。自身のオリジナルナンバーとGRATEFUL DEADカバーのメドレーなのですが、ライブのオープニングで披露されることの多い前者が完全に別モノに生まれ変わっている。このアレンジ力にまず圧倒されるし、そこからGRATEFUL DEADへとつなげるアイデアもさすが(きっとこちらに合わせてアレンジしたんでしょうね)。

本作ではほかにも、シングルカットされ全米8位のヒットとなった「Signs」(原曲はFIVE MAN ELECTRIC BAND。本アルバムタイトルの元ネタですね)や、THE BEATLESの「We Can Work It Out」、THE ROLLING STONESの「Mother's Little Helper」、CCRの「Lodi」といったカバーも披露されています。いわゆるHR/HM的な楽曲は皆無で、このセレクトからもTESLAというバンドがどういう流れで生まれたのかが伺えるのではないでしょうか。

もちろん、オリジナル曲のアコースティックアレンジも新鮮かつ斬新なものが多く、聴きごたえバッチリ。ハードロックバラード的なドラマチックさを持つ原曲とは異なる趣の「Paradise」、王道ハードロック的代表曲をアコギのみで表現した「Modern Day Cowboy」、途中からエレキギターソロが加わる10分近くにもおよぶ名演を楽しめる「Love Song」……やっぱり元となる楽曲のメロディがいかに優れているか、それがすべてなわけですよ。なんでもかんでもアコギでやればいいってわけではないのです。

本作はアルバム自体も全米12位まで上昇し、ミリオンセールスを記録。海外でのヒットをよそに、ここ日本ではリリースが半年以上遅れたわけですが……これは国内配給元の変更などが災いしたわけで……ちゃんとプロモーションしてほしかったですね。1990年って、HR/HMシーンにとっては本当に重要な1年だったので。ここ日本においてはそれだけが残念でなりません。



▼TESLA『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』
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投稿: 2018 07 16 12:00 午前 [1990年の作品, Tesla] | 固定リンク

2018年7月15日 (日)

GREAT WHITE『...TWICE SHY』(1989)

1989年4月発売の、GREAT WHITE通算4作目のスタジオフルアルバム。前作『ONCE BITTEN...』(1987年)が100万枚を超えるヒット作となったことを受け、同作で垣間見せたブルースロック路線をより強めた続編的な作風に仕上がっています。それはタイトルの関連性(2作あわせて「Once Bitten, Twice Shy」=日本の「あつものにこりてなますを吹く」と同意のことわざ)からも伺えると思います。

オープニングを飾る「Move It」の、どこか洗練されたクールさにまず度肝を抜かれる本作は、モダンさとブルージーさを併せ持つ「Heart The Hunter」、ヘヴィなんだけどちょっとしたフレーズにジャズっぽさすら感じさせる「Hiway Nighs」など、前作にありそうでなかった新たなタイプの楽曲がずらりと並びます。

かと思うと、儚さと美しさを兼ね備えた名バラード「The Angel Song」があったり、ヘヴィなブルースロック「Mista Bone」、ファンキーなギターフレーズ&アレンジが気持ち良い「Baby's On Fire」と緩急に富んだ流れも楽しめる。さらに「House Of Broken Love」みたいにブルージーなロッカバラードもあれば、泣きのアコースティックバラード「She Only」もある。どの曲もかなりアレンジやメロディが練られており、本当に捨て曲がないから驚きです。

で、アルバムラストを締めくくるのがアルバムの表題曲ともいえる「Once Bitten, Twice Shy」。元MOTT THE HOOPLEのイアン・ハンターがソロでヒットさせた名曲のカバーですが、オリジナルに比較的近いアレンジなものの、それでもGREAT WHITEらしさに満ち溢れているという好カバーです。実際、この曲はアルバムからの先行シングルとして全米5位のヒットを記録しています。また同曲のヒットに導かれ、アルバム自体も全米9位まで上昇。200万枚を超えるヒット作となりました。『ONCE BITTEN...』で得た経験と成功をうまく活かせたわけですね。

全9曲とコンパクトなアルバムですが、CDのみ5曲目に「Bitches And Other Women」、ラストに「Wasted Rock Ranger」が追加されています。前者はTHE ROLLING STONESの「Bitch」とFOREIGNERの「Women」をメドレーにしたアコースティックカバー、後者はブラッド・ベイカー作のカントリーナンバー。カバー曲や他者の楽曲が多くなってしまうことから、アナログ盤では省かれたのでしょうか(そもそもアルバム自体、9曲でも約50分というボリュームでしたし)。CD世代の我々にとっては、この2曲を加えた11曲バージョンのほうが馴染みが強く、今の配信バージョン(オリジナルの9曲入り)は少々物足りなかったりもします。

なお、「Wasted Rock Ranger」はベストアルバムなどで聴くことができるので、ストリーミングサービスで探してみてください。1990年の初来日公演でもアンコールで最後に演奏された、ファンには馴染み深い1曲ですので。



▼GREAT WHITE『...TWICE SHY』
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投稿: 2018 07 15 12:00 午前 [1989年の作品, Great White] | 固定リンク

2018年7月14日 (土)

CINDERELLA『HEARTBREAK STATION』(1990)

1990年11月に発表されたCINDERELLA通算3作目のスタジオアルバム。トム・キーファー(Vo, G)とジョン・ジャンセン(BANG TANGO、LOVE/HATE、BRITNY FOX、FASTER PUSSYCATなど)との共同プロデュースで制作された本作は、前作『LONG COLD WINTER』(1988年)で垣間見せたレイドバック路線をより推し進めた、ルーツミュージック色の強い作風に仕上がっています。

オープニングを飾る「The More Things Change」や「Love's Got Me Doin' Time」ではブラスをフィーチャーしており、ギタープレイもHR/HMのそれとは異なるアーシーなスタイル。ボーカルさえ違えば、例えばTHE BLACK CROWES周辺のバンドと言われても不思議じゃないくらい。もはやデビュー作『NIGHT SONGS』(1986年)とは別モノになってしまった印象すらあります。

さらにアルバムでは、シングルカットされた「Shelter Me」(全米36位)や「Heartbreak Station」(全米44位)などでサザンロックやブルースロック的な側面も提示。特に「Shelter Me」ではサックスがソロを取ったり女性コーラス隊をフィーチャーすることで、完全にハードロックの枠から飛び抜けることに成功しています。「Sick For The Cure」のオープニングなんて、完全にストーンズの「Honky Tonk Women」ですものね。

また、トム・キーファーも前作のオープニング曲「Bad Seamstress Blues」で少しだけ聴かせてくれた“地声”での歌唱を、本作中でも「Heartbreak Station」や「One For Rock & Roll」「Dead Man's Road」「Electric Love」「Winds Of Change」(名曲!)といった楽曲でフィーチャー。ジャニス・ジョプリン並みに暑苦しいハイトーンが減ったことで、また作風的にもアコースティックテイストが増したことで、過去2作以上にリラックスして楽しむことができます。トムの地声、僕は好きなんですけどね。

ちょうど本作リリースと前後して、先に名前を挙げたTHE BLACK CROWESがデビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)で大ブレイクしたり、イギリスからはTHE QUIREBOYSが登場したり、また音楽シーン的にも『MTV UNPLUGGED』がヒットしたりと、時代がより“生音”を求める方向にシフトしていたこともあり、チャート的には全米19位、100万枚のヒットと過去2作には及ばなかったものの、それでも好意的に受け入れられた印象が強い1枚なのです。

個人的ベストは、『NIGHT SONGS』と本作の中間に位置する2ndアルバム『LONG COLD WINTER』ですが、この『HEARTBREAK STATION』も非常に好みの作品です。

あ、最後に。過去2枚では散々な扱いを受けてきたドラマーのフレッド・コウリー、本作では初めてすべてのドラムパートを担当しております。おめでとう!(これが最初で最後でしたが。苦笑)



▼CINDERELLA『HEARTBREAK STATION』
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投稿: 2018 07 14 12:00 午前 [1990年の作品, Cinderella] | 固定リンク

2018年7月13日 (金)

WARRANT『CHERRY PIE』(1990)

1990年9月にリリースされたWARRANTの2ndアルバム。前年1月に発売されたデビューアルバム『DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH』(1989年)が全米10位、200万枚を超えるヒット作となり、シングルカットされた「Heaven」も全米2位という大ヒットを記録。これを受けて早くも制作された次作では、引き続きボー・ヒル(RATTWINGEREUROPEなど)をプロデューサーに迎え、よりタフになったサウンドを聴かせてくれます。

日本盤には『いけないチェリー・パイ』というLAメタル/ヘアメタルらしい“いかにも”なタイトルが付けられています。実際、このアートワークを目にしたら、まあそういうアルバムなんだろうなと思われてしまうでしょう。

しかし、アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Cherry Pie」の、前作までのキャッチーさを兼ね備えつつもよりハードになったそのスタイルに驚かされるのではないでしょうか。QUEENの「We Will Rock You」やDEF LEPPARDの大ヒット曲「Pour Some Sugar On Me」を彷彿とさせるリズムとテイストは、まさにスタジアムロックと呼ぶにふさわしい仕上がりで、この曲自体も全米10位のヒットシングルとなります。

アルバムはその後も枯れたギターフレーズと激しくタイトなアンサンブルな単純にカッコいい「Uncle Tom's Cabin」(全米78位)、アコギとピアノの相性も抜群の大人びたバラード「I Saw Red」(全米10位)と、前作にあったパーティロック感が薄らいでいることを感じさせる作風が続きます。

かと思えば、ポップなメロディが印象に残るストレートな「Bed Of Roses」、アップテンポのハードロック「Sure Feels Good on Me」、前作の延長線上にあるパーティチューン「Love In Stereo」など、1stアルバムをイメージさせる楽曲も混在。そういった従来のカラーと、渋みの増したバラード「Blind Faith」(全米88位)などが共存することで、前作までのファンを維持しつつ、WARRANTにネガティブな印象を持つリスナーを“音楽的に”取り込もうとする新境地も見せる。バンドとしても今後の生き残りを賭けて、「ただ楽しいだけじゃない」側面をしっかりここでアピールしているわけです。それが、本作を覆うクールな空気感なわけです(ラストの「Ode To Tipper Gore」は完全に蛇足ですけどね。自己満足でしかないし、我々はこれをあなたたちには求めていないのに、って伝えたい)。

思えば本作より数ヶ月先に発表されたPOISONの新作『FLESH & BLOOD』もそういう作風でしたし、パーティに明け暮れた80年代を終え、あの時代を華やかに彩ったHR/HMバンドたちが次の10年を駆け抜けるために次のステップに向かった……その足がかりだったんでしょうね。

しかし、時代は80年代の生き残りよりも新たなヒーローを求めた。それが“アンチ・ヒロイズム”的なグランジシーンへとつながったわけですから……クールやシリアスまでは正解だったんだけど。うん、残念でしたね。

にしてもこのアルバム、本当によく考えられています。デビューアルバムの完成度の高さも策士ジェイニー・レイン(Vo)によるものが大きかった気がしますが、本作の方向性も彼のアイデアだったんですかね。だとしたら、いい線行ってたわけですよ。彼らの登場ももう5年早かったら、その後の結果もまた違ったのかもしれませんが……。

とはいえ、本作は前作を上回る全米7位まで上昇し、200万枚を超えるセールスを達成しています。時代の変化もあり、彼らの全盛期は本作までということになるのでしょうか。あ、大きなヒットにはならなかった次作『DOG EAT DOG』(1992年)もなかなかの力作ですよ。機会があったら、こちらもぜひ。



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投稿: 2018 07 13 12:00 午前 [1990年の作品, Warrant] | 固定リンク

2018年7月12日 (木)

EUROPE『PRISONERS IN PARADISE』(1991)

1991年9月にリリースされた、EUROPE通算5作目のスタジオアルバム。3作目『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)が世界中で記録的な大ヒット作となり、続く4thアルバム『OUT OF THIS WORLD』(1988年)も前作には及ばないものの、それなりのヒットを記録しましたが、その2作をフォローするアルバム作りは非常に難航したようです。

当初このアルバムはBON JOVIAEROSMITHMOTLEY CRUEなどで知られるボブ・ロックをプロデューサーに迎えて制作する予定でしたが、METALLICAブラックアルバム制作に時間がかかりすぎたため白紙に。と同時に、アメリカのレコード会社から「『THE FINAL COUNTDOWN』に続くヒット作を!」というプレッシャーをかけられ続けたバンドは、ひたすら曲作りに没頭します。その中には、メンバーの望まない外部ライターとの共作も含まれていました。

この時期のデモ音源の数はかなりのものがあり、それは日本盤を含めのちにシングルやベスト盤などのボーナストラックとして登場する未発表曲群で一目瞭然です(このとき制作された楽曲の一部は、再結成後にも流用されているとのこと)。

最終的にRATTWINGERなどで知られるボー・ヒルをプロデューサーに迎えて完成させた本作は、“アメリカナイズされた”と揶揄された『OUT OF THIS WORLD』以上にアメリカナイズされた内容に仕上がりました。初期2作のヨーロッパのHR/HMバンド然とした佇まいはもはやそこには存在せず、それどころか『THE FINAL COUNTDOWN』の頃ともまた違うバンドに進化していました。

ですが、1曲1曲の完成度は異常に高く、良質な美メロハードロックアルバムとして捉えるとかなり充実した内容なのです。これ、EUROPEというバンドに対して偏見や固定概念を持っていない人なら思う存分楽しめる1枚ではないでしょうか。

ソングライター人に目を向けると、エリック・マーティン(MR. BIG)やジム・ヴァランス(ブライアン・アダムスなどでおなじみ)、ニック・グラハム(CHEAP TRICK「The Flame」共作者)、フィオナ(女性ロックシンガーで当時ボー・ヒルの奥さん)など、かなり気合いを入れて曲作りに臨んだことが伺えます(メンバーではなく、レコード会社が)。しかも、その大半は作詞に携わっていることからも、彼らをいかにアメリカで再成功させたかったかが理解できるのではないでしょうか。

とにかく本作は、アンセミックなタイトルトラック「Prisoners In Paradise」に尽きるでしょう。再結成以降もこの曲だけは本作からはちょくちょく演奏されていますし、ジョーイ・テンペスト(Vo)自身にとっても思い入れが強い1曲なんだと思います。

もちろん、それ以外にもシングルカットされたポップな「I'll Cry For You」、爽快感の強い「Halfway To Heaven」、ダイナミックなハードロック「Seventh Sign」「Girl From Lebanon」、本作唯一のバラード(のわりに地味な印象の)「Homeland」など聴きどころは多いのですが、1991年という時代を考えるとちょっと不幸な1枚かもしれませんね。

あ、本作は国内盤だと2曲のボーナストラックが追加されており、その中でも「Yesterday's News」が本当に素晴らしいので、ぜひCDで購入する際には中古でもいいので日本盤をオススメしておきます。この曲がなるとないとでは大違いなので。

最後に。このアルバムはアメリカではチャートインすらせず黙殺され、バンドは1992年に事実上の解散と言える無期限活動休止に突入。再びメンバーがステージ上に揃うまで、そこから7年もの歳月を要することになります。



▼EUROPE『PRISONERS IN PARADISE』
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投稿: 2018 07 12 12:00 午前 [1991年の作品, Europe] | 固定リンク

2018年7月11日 (水)

SCORPIONS『CRAZY WORLD』(1990)

1990年11月にリリースされた、SCORPIONS通算11枚目のオリジナルアルバム。それまで同郷のエンジニアであるディーター・ダークスとともに制作を進めてきたバンドが、初めてアメリカのプロデューサーであるキース・オルセン(オジー・オズボーンWHITESNAKEEUROPEなど)を迎えて完成させた1枚です。

サウンドや楽曲の質感は、大成功を収めた『LOVE AT FIRST STING』(1984年)と、それに続く『SAVAGE AMUSEMENT』(1988年)の延長線上にあるもの。ですが、本作では過去2作に残っていたヘヴィメタル的側面を極力排除し、「良質なメロディに重点を置いたハードロック」という点に注力した内容になっています。もしかしたらポップでメロウな楽曲を好むものの『LOVE AT FIRST STING』路線が好きだったというリスナーには、若干“軽く”感じるかもしれません。

楽曲制作面では、ブライアン・アダムスHEARTなどで知られるジム・ヴァランスを迎えています。そう知ると「なるほど」と納得できるものがあるかもしれません。実際、僕はジム・ヴァランスが参加していることを知らずに本作を聴いて、「なんだかHEARTみたいになってきたなぁ」と思ったものですから……彼らの中にそういった意図があったかどうかはわかりませんけど。

ですが、楽曲の完成度やアルバムとしてのまとまりは非常に高いものがあります。「Tease Me Please Me」「Don't Believe Her」というオープニング2曲の軽やかさ、メロディアスさはさすがの一言だし、全米4位のみならず世界中で大ヒットした名バラード「Wind Of Change」もポップソングとして非常に優れた1曲ですし。かと思えばアップテンポなロックチューン「Kicks After Six」「Hit Between The Eyes」のような疾走感も兼ね備えている。メタリックなノリとは異なるロックンロールなノリだけど、これはこれで良いじゃないですか。で、ラストには“以前の”SCORPIONSらしさを引き継ぐ泣きメロバラード「Send Me An Angel」も用意されている。どの曲も過剰なドラマチックさは皆無だけど、幅広い層を取り込む求心力がたっぷり感じられる。そういった意味での“非の打ち所のなさ”は抜群すぎるものがあると思います。

正直言えば、リリース当時はそこまで好きなアルバムではありませんでした。が、ベルリンの壁崩壊をはじめとした世界情勢の大きな変動を踏まえた上で、なぜ「Wind Of Change」が世界中でヒットしたのか、そしてドイツのバンドである彼らがなぜこのアルバムに『CRAZY WORLD』というタイトルを冠したのか。そういったことを考えてから再び本作と接すると、また感じ方が変わってきたのも確か。90年代初頭という時代に産み落とされたからこそ意味のある、そんな1枚なのかもしれませんね。



▼SCORPIONS『CRAZY WORLD』
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投稿: 2018 07 11 12:00 午前 [1990年の作品, Scorpions] | 固定リンク