2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2018年1月19日更新)

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投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2018/01/31

2018年1月のお仕事

あけましておめでとうございます。
2017年はこのサイトを楽しんでいただき、本当にありがとうございました。
2018年も昨年末から引き続き、バンバン更新していきます。また仕事のほうでも新しいことにバンバン挑戦していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2018年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※1月12日更新)


[WEB] 1月12日、「ぴあ映画生活」にて映画『あの頃、君を追いかけた』撮影レポートおよび山田裕貴&齋藤飛鳥インタビュー「山田裕貴&齋藤飛鳥『あの頃、君を追いかけた』撮影現場が公開、初共演を通して抱いた思いとは」が公開されました。

[紙] 1月10日発売「TV Bros.」2018年1月13日号にて、WANIMA『Everybody!!』、LINKIN PARK『ONE MORE LIGHT LIVE』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[紙] 1月9日から全国のタワーレコードで無料配布中の小冊子「tower+062」にて、Little Glee Monsterのインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月7日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション記事「スラッシュメタル、ブラックメタル、ジェント……“エクストリームメタルの進化”示す新譜5選」が公開されました。

[WEB] 1月5日、「リアルサウンド」にてフルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史鼎談「フルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史 特別鼎談 「やっぱり人のつながりが一番だ」」が公開されました。

[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2018年2月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥インタビュー、白石麻衣インタビュー、および特別付録「乃木坂46 アンダーパーフェクトガイド」内の乃木坂46樋口日奈・寺田蘭世・渡辺みり愛インタビュー、アンダーメンバーパーフェクト名鑑、アンダーアルバム『僕だけの君 〜Under Super Best〜』全曲解説を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月3日、「リアルサウンド」にてTHE YELLOW MONKEYのライブ評「THE YELLOW MONKEY、東京ドームで示した“再生”と“進化”」が公開されました。

[紙] 1月2日発売のDIR EN GREYベストアルバム『VISTIGE OF SCRATCHES』に関連した小冊子「勝手にDIR EN GREY」がCDショップなどで配布中。こちらにコメントを寄与しました。

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また、12月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各1〜2曲程度ピックアップして、40曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1712号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2018 01 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2018/01/19

THERAPY?『TROUBLEGUM』(1994)

北アイルランド出身のトリオバンドTHERAPY?が1994年初頭にリリースした、メジャー2ndアルバム(インディーズ盤含めると通算4作目)。『NURSE』(1992年)でメジャーデビューを果たした彼らでしたが、同作は全英38位止まり。が、本作『TROUBLEGUM』にも収録された「Screamager」がリード曲のEP『SHORTSHARPSHOCK E.P.』(1993年)が全英9位、続く『FACE THE STRANGE E.P.』(同年 / 「Turn」収録)が全英18位、『OPAL MANTRA』(同年 / アルバム未収録)が全英14位、さらにシングル「Nowhere」が全英18位と好状況を経てこのアルバムをドロップ。結果、全英5位という現在までの最高順位を獲得することとなりました。以降も「Trigger Inside」(全英22位)、「Die Laughing」(全英29位)とヒットシングルが生まれています。

本作では反復されるダンサブルなインダストリアルビートが魅力だった『NURSE』までの路線から一歩踏み出し、より直線的でエモーショナルな楽曲が増えた印象。オープニングのショートチューン「The Knives」や「Screamager」、「Nowhere」はまさにその代表例で、そういった新境地ナンバーが受け入れられた結果、ヒットにつながったのだから面白いものです。

かと思えば、前作までのダークな色合いを兼ね備えた「Unbeliever」「Lunacy Booth」、グランジやオルタナからの影響が強い「Femtex」「Unrequited」があったり、JOY DIVISIONのカバー「Isolation」もある。確かにリフの反復などには前作までの色合いが見え隠れしますが、全体的にはロックバンドとしての躍動感が強烈に強まった意欲作という気がします。

だからこそ、「Nowhere」や「Die Laughing」のようなメジャーキーのポップな楽曲が入っていても違和感なく楽しめるし、むしろそういった異色の楽曲が強い個性を放っているのだから不思議ですよね。ダークだけどエモーショナル、そしてキャッチーでポップ。このスタイルは次作『INFERNAL LOVE』(1995年)でさらに極まることになるわけです。

なお、本作は数年前にCD3枚組のデラックス盤も発売。シングルのカップリングやリミックス、ライブ音源などがまとめられています。このリミックスバージョンに、過去のインダストリアルテイストが生かされているので、この使い分けはさすがだな、わかってるなと思ったのは僕だけではないはずです。



▼THERAPY?『TROUBLEGUM』
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投稿: 2018 01 19 12:00 午前 [1994年の作品, Therapy?] | 固定リンク

2018/01/18

TERRORVISION『HOW TO MAKE FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』(1994)

イギリス出身の4人組バンドTERRORVISIONが1994年春に発表した2ndアルバム。PIXIESやTHROWING MUSESなどを手がけ、のちにFOO FIGHTERSHONEYCRACKFEEDERなどにも携わるギル・ノートンをプロデューサーに迎え制作された本作からは「Oblivion」(全英21位)を筆頭に、「Middleman」(同25位)、「Pretend Best Friend」(同25位)、「Alice What's The Matter?」(同24位)、「Some People Say」(同22位)と5曲ものヒットシングルが生まれ、アルバム自体も最高18位と好セールスを記録。知名度を一気に上げる起爆剤となりました。

彼らのサウンドは非常にカテゴライズが難しく、ハードロックと言ってしまえば確かにそう聴こえるし、RED HOT CHILI PEPPERSあたりのヘヴィなファンクロックと言われればそうとも受け取れる。ブリットロックの中に入ってしまえばそれっぽいと思えるし、グランジと言われれば確かにそれっぽい。要するに、1曲1曲が独立して際立った個性を持っているため、いざアルバムで接するとバンド本来の顔が見えてこなかったりするのです。そこが良い点でもあると同時に、ここ日本のようなシーンでは弱点にもなる。ある意味、評価の難しい存在かもしれません。

事実、僕自身もリアルタムで最初に彼らの楽曲に触れたのは、ちょっとグランジがかったミディアムナンバー「Middleman」から。次にオールディーズテイストのポップロック「Oblivion」を聴いたら頭に「?」の文字が浮かび上がり、さらに風変わりなハードロック「Alice What's The Matter?」やミクスチャーロック風の「Pretend Best Friend」を聴いてさらに疑問は大きくなるばかり。

アルバムを聴くと、ファンクロック的な「Stab In The Back」があったりヘヴィなギターリフがカッコイイ「Descotheque Wreck」があったり、リフだけ聴いたら完全にメタルなファストチューン「What The Doctor Ordered」、アコースティックギターやストリングスをフィーチャーしたもの悲しげなヘヴィバラード「Some People Say」と、とにかく一貫性が感じられない。

でも、視点を変えれば、この一貫性のなさこそがTERRORVISION最大の武器であるわけで。何度も聴き込むとこのアルバム、かなり芯の通ったアルバムだと気づかされるわけです。要するにミクスチャーロックバンドなんですよね。ブリティッシュロックバンドがミクスチャーに挑戦するとこうなる、という好例なのではないでしょうか。そう考えると、このひねくれっぷりこそがイギリス人そのものなんだなと改めて実感させられるはず。こんなアルバム、アメリカ人にはなかなか作れませんよ。



▼TERRORVISION『HOW TO MAKE FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』
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投稿: 2018 01 18 12:00 午前 [1994年の作品, Terrorvision] | 固定リンク

2018/01/17

THE YO-YO'S『UPPERS AND DOWNERS』(2000)

2000年夏にリリースされた、イギリスのポップパンクバンドTHE YO-YO'Sの1stアルバム。ダニー・マコーミック(Vo, G / 元THE WiLDHEATS)がTHE WiLDHEARTS解散後にトム・スペンサー(Vo, G / 元SUGARSNATCH、THE LURKERS)と結成したこのバンドは、BACKYARD BABIESなどとツアーを重ねながら自主制作EPを2枚発表。その結果、名門Sub Pop Rocordingsと契約することとなり、ワールドワイドデビューを飾ることとなりました。

当時の編成はダニー、トムに加えてニール・フィリップス(Vo, G / B-MOVIES HEROES)、ブラッズ(Dr / 元SUGARSNATCH)という“あの界隈”の面々。サウンド的にはTHE WiLDHEARTSのポップさやパンキッシュな部分をそのまま残しつつ、メタリックな要素を排除したもので、イギリスというよりもアメリカのバンドに近い作風と言えます。ちょうどGREEN DAYやTHE OFFSPRINGなどのポップパンク全盛後期だったこともあり、うまくその流れに乗れたのではないかという気もします。

プロデュースはBAD COMPANY『DANGEROUS AGE』(1988年)、『HOLY WATER』(1990年)、FOREIGNER『UNUSUAL HEAT』(1991年)などを手がけてきたテリー・トーマスが担当しています。THE YO-YO'Sのスタイルとはおよそ結びつかない人選ですが、テリー・トーマス自身がミュージシャンでもあり、BAD COMPANYの諸作品ではギタリストやキーボーディストとしても参加していることから、ミュージシャン視点でアルバム作りに加わったのではないでしょうか。

その成果もあってか、アルバム自体は本当によくできた、しっかり作り込まれた楽曲がずらりと並んでおり、インディーズから発表した「Rumble(d)」や「Out Of My Mind」といった楽曲も再録音で収録。オープニングの「1000 Miles From Me」なんてYARDBIRDSやAEROSMITHでおなじみの「Train Kept A Rolln'」を彷彿とさせるリフとパンキッシュな疾走感をあわせ持つサウンドですが、そこに乗るメロディやハーモニーはTHE BEACH BOYSばりに甘ったるいもの。シングルカットされた「Time Of Your Life」や「Sunshine Girl」なんて、これがヒットしなかったら何を売れというの?ってくらいの名曲ですしね。そういう意味では、ダニーがTHE WiLDHEATSで学んだ経験を、自身が中心となって発揮させた最良の形=アルバムではないでしょうか。

残念ながら、2001年にTHE WiLDHEATSが再結成されることになってTHE YO-YO'Sは自然消滅。その後、ダニーがTHE WiLDHEATSを離れたあとに不定期ながらもTHE YO-YO'Sはライブを行っていたようで、2005年にはダニー&トムに新メンバーを加えた編成でEP『GIVEN UP GIVING UP』をリリース。こちらは現在でも入手可能です。



▼THE YO-YO'S『UPPERS AND DOWNERS』
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投稿: 2018 01 17 12:00 午前 [2000年の作品, Wildhearts, The, Yo-Yo's, The] | 固定リンク

2018/01/16

THE HAUNTED『THE HAUNTED』(1998)

スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、AT THE GATESが1996年に解散したあと、元メンバーのアンダース・ビョーラー(G)、ヨナス・ビョーラー(B)、エイドリアン・アーランドソン(Dr)を中心に結成されたデスラッシュ(デスメタル+スラッシュメタル)バンドTHE HAUNTED。彼らが1998年初夏に発表したデビューアルバムが、本作『THE HAUNTED』。

デスラッシュというカテゴリーからもわかるように、本作で表現されているのは直線的なスラッシュメタルサウンドをデスメタル的解釈で表現したもの。ところどころでAT THE GATES時代の香りもするのですが、むしろあそこまでメロウな要素は薄く、SLYAERあたりの疾走ショートチューンに近い印象を受けます。

ボーカル(本作では初代シンガーのピータードルヴィングが担当)もデスメタルというよりもスラッシュメタルやハードコア的な歌唱法で、要所要所にメロディを感じさせる部分もある(とはいえ、メロディックデスメタルのそれとはまったく異なるもの)。そういった点もSLAYERに似てるのかな。

スラッシュメタルがオールドスクールとして捉えられ、メタルといえばヘヴィさとグルーヴ重視だった90年代後半にこういったスタイルのバンドが登場したことに当時驚かされたし、そこで展開されている内容も単なる焼き直しじゃなくてスラッシュ+デスという進化形だった。ああ、またメタルが新たな形で再編されていくんだなと感じさせられた1枚が本作でした。

とにかく1曲目「Hate Song」から、難しいことを考えずに頭を振れる(この曲、タイトルが最高じゃないですか)。アレンジもシンプルで、リズムチェンジなどの展開が変に加えられていない。もうバカみたいに突っ走るのみ。1曲1曲が2分台後半から4分台前半と、曲の長さからもその内容が想像できるというものです。

ちなみに本バンドのもうひとりのギタリスト、パトリック・ヤンセンはこのTHE HAUNTEDと同時期にWITCHERYというバンドも結成。こちらもTHE HAUNTEDに負けず劣らずのデスラッシュサウンドが展開されており、今日まで活動を続けております。WITCHERYに関しても後日、改めて紹介したいと思っているのでお楽しみに。

いやあ、こういうシンプルに楽しめるアルバムは頭をリセットするのに最適ですね。大音量で楽しみたい1枚です。



▼THE HAUNTED『THE HAUNTED』
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投稿: 2018 01 16 12:00 午前 [1998年の作品, Haunted, The] | 固定リンク

2018/01/15

FEAR FACTORY『DEMANUFACTURE』(1995)

FEAR FACTORYが1995年初夏にリリースした通算2枚目のスタジオアルバム。当時のHR/HMシーンはPANTERAを起点とするグルーヴメタルと、KORNなどのブレイクにより勃発したラップメタルに二分され、旧来のスラッシュメタルや王道スタイルは“オールドスークル”、あるいは時代遅れとして見放されていた時期した。

そんな中、そのどこにも属さないFEAR FACTORYはインダストリアルミュージックなどの要素を取り入れ、正確無比なビートの上でスラッシーなギターリフが刻まれ、さらに暴力的でどこか冷たさを持つボーカルが乗るという新たなスタイルを確立。その回答が、本作『DEMANUFACTURE』で示されていることは間違いないでしょう。

レイモンド・ヘレーラ(Dr)が生み出す機械的なドラミングはどこか打ち込み的で、どこか冷たさを感じさせる。なのに、聴いていると気持ち良くなってくる。そこにディーノ・カザレス(G)のヘヴィなギターリフが乗ることでモダンメタルの色合いが増すのですが、効果的に用いられるデジタルサウンドやシンセの音色、インダストリアルノイズなどの装飾により同時期に活躍したどのバンドとも違うカラーを打ち出すことに成功。バートン・C・ベル(Vo)のボーカルもただデスボイスでがなるだけでなく、淡々とメロディを歌ったりもする。そのどこか非人間的で感情を排除した歌唱法が先の機械的なビート&正確に刻まれるギターリフと相まって、より機械的な要素が強まるわけです。

この『DEMANUFACTURE』はコンセプトアルバムであり、機械文明に対する人間の怒りや闘争が描かれています。曲間がつながった大作志向ではないものの、歌詞で綴られている世界観はすべてひとつのテーマに沿って表現されているので、ぜひ国内盤(現在廃盤状態ですが)の対訳などを目にしつつ聴いてもらえるといいんじゃないかと。

本作の基盤となるのは、先にも書いたような機械的でひんやりしたモダンメタルなのですが、それ以外にも個性的な楽曲が多く含まれています。例えば「New Breed」あたりはのちのTHE MAD CAPSULE MARKETSに通ずるものが感じられるし(この曲名をバンド名にそのまま用いた国内バンドもいますし)、「Dog Day Sunrise」(80年代に活動したイギリスのメタルバンド、HEAD OF DAVIDのカバー)や「A Therapy For Pain」あたりからはゴシックメタルの香りもする。かと思えば「Body Hammer」のビートはエフェクトがかけられてマシンビートみたいで、MINISTRYとの共通点も見受けられる。いやいや、本当に面白い。

これが20数年前のアルバムなんだと考えると、いかに彼らが挑戦してきたサウンドが時代を先取りしたものだったかが伺えるのではないでしょうか。とにかく、今聴いても十分にカッコいいし、大きなブームは作れなかったかもしれないけど、いろんな形でフォロワーを生み出したという意味では、本作は90年代のメタルシーンを語る上で絶対に外せない1枚だと思います。



▼FEAR FACTORY『DEMANUFACTURE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / MP3

投稿: 2018 01 15 12:00 午前 [1995年の作品, Fear Factory] | 固定リンク

2018/01/14

SOULFLY『SOULFLY』(1998)

1998年春にリリースされた、マックス・カヴァレラ(元SEPULTURA)による新バンドSOULFLYのデビューアルバム。SEPULTURAを実質追い出されたマックスは、そのSEPULTURAの直近作『ROOTS』(1996年)で試みたトライバルなヘヴィロックをさらに進化させた音楽をこのバンドで表現。つまり、傑作と言われる『ROOTS』の直系の続編と呼べる内容が本作ということができるわけです。

プロデュースは『ROOTS』と同じくロス・ロビンソンが担当。この頃にはKORNでひと山当て、さらにLIMP BIZKITのデビュー作なども当てて知名度を高めたあと。そのロス・ロビンソンとマックス本人の人脈もあり、本作にはFEAR FACTORYのバートン・C・ベル&ディノ・カザレス、LIMP BIZKITのフレッド・ダースト&DJリーサル、DEFTONESのチノ・モレノ、SKINDREDのベンジー・ウェッブなどヘヴィ/ラウドロックシーンの著名アーティストたちがゲスト参加しています。

オープニングの「Eye For And Eye」のアグレッシヴさに、本作は『ROOTS』以上に激しいアルバムになるんじゃないか?とワクワクすることでしょう。「Tribe」「Bumba」のようなトライバルなビートを用いた楽曲もあれば、「First Commandment」のようにダンサブルな楽曲もある。そしてバンド名を冠した「Soulfly」では民族音楽に接近したインストゥルメンタルナンバーを楽しめる。確実に『ROOTS』の延長線上にあるのですが、そことは違う香りもする。

例えば『ROOTS』がヘヴィさという点に重きを置いたとするならば、この『SOULFLY』はもうちょっと軽やかさが重視されているように感じます。それはテンポ的なこともそうだし、リズムの取り方ひとつにしても『ROOTS』にはないものを感じる。もちろんマックス以外のメンバーが違うんだから、そのへんが変わってくるのは当たり前の話なのですが、ここからまた新しい何かが始まる。そういう変化の兆しを強く実感させる序章的作品集なのかもしれません。

事実、本作を起点にSOULFLYはさらなる変化を遂げていきますし、気づけばSEPULTURAとは異なる道を進み始めていた。一方のSEPULTURAも新たなシンガーを得たことで以前とは異なる道を歩み始める。良い意味で、誰ひとりとして『ROOTS』を引き継ごうとしていない。つまり視点を変えると、マックスにとって本作は『ROOTS』を引きずりつつも決別しようとしている、そんな転換期の1枚とも受け取ることができるわけです。

『ROOTS』が出来すぎたアルバムだっただけに、そこからどう進化させていくか。その問いかけとひとつの回答が、このアルバムの中に示されているのではないでしょうか。リリースから20年経った今、このアルバムを聴くと改めてそんなことを考えてしまいます。



▼SOULFLY『SOULFLY』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / MP3

投稿: 2018 01 14 12:00 午前 [1998年の作品, Deftones, Fear Factory, Limp Bizkit, Sepultura, Soulfly] | 固定リンク

2018/01/13

THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THIN LIZZY初のライブアルバム。本作は1976年のロンドン公演、および1977年のフィラデルフィア&トロントでのライブから抜粋された音源(一部、1978年にパリのスタジオで録り直されたものも収録)が、アナログ盤では2枚組として、CDになってからは1枚にまとめられリリースされております。

時期的には名盤『JAILBREAK』(1976年)から『JONNY THE FOX』(1976年)、『BAD REPUTATION』(1977年)といったアルバムが連発された期間のライブ録音であり、バンドとしては非常に脂の乗ったタイミングだったことは間違いありません。もちろん、だからこそ音源として残しておこうという思いも少なからずあったはずですから。特にイギリスでは当時の最新スタジオ作『BAD REPUTATION』が全英4位という過去最高位を記録したあとだけに、ここで過去の楽曲をひとまとめしたカタログ的1枚を作っておこうという思いもあったことでしょう。しかも、録音時期や状態が異なる楽曲の数々を勢いに乗ったバンドのライブ演奏で表現することで、このバンドの魅力が最大限に伝わるはずですしね。

だって、冒頭からいきなり「Jailbreak」「Emerald」の2連発ですよ。ライブのオープニングにふさわしいワイルドな「Jailbreak」から、このバンドの本質的部分が端的に表れた「Emerald」へとつなぐ流れは圧巻ですし、そこからポップで心地よい「Southbound」、ライブバンドTHIN LIZZYの魅力が遺憾なく発揮された「Rosalie (Cowgirl's Song)」、レゲエビートを導入したダンサブルな「Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)」と、本当に序盤5曲の流れは完璧。さらにそこから、中盤には名バラード「Still In Love With You」があったり、以降もドラマチックな「Cowboy Song」、さまざまなアーティストにカバーされてきた代表曲「The Boys Are Back In Town」、グルーヴィーな「Don't Believe A Word」など名曲が目白押しなわけですよ。

さらに、終盤にはアッパーな「Are You Ready」、軽快なブギー「Suicide」、コール&レスポンスが気持ちいい「Baby Drives Me Crazy」、ストレートなロックチューン「The Rocker」と続いて終了。ちなみに「Baby Drives Me Crazy」で登場するハーモニカは、かのヒューイ・ルイスが吹いていることで有名だったりします(HUEY LEWIS & THE NEWS結成前のヒューイが参加したCLOVERが当時THIN LIZZYのオープニングアクトを務めていたため実現)。

すでに『BAD REPUTATION』では3曲しかレコーディングに参加していなかったブライアン・ロバートソン(G)にとって、最後の参加作品となってしまった本作。そのサウンドからも当時のバンド内の緊張感が伝わってくるような気もしますし、だからこそ生み出すことができたバンドマジックも存在している、真の意味での絶頂期の1枚と言えるでしょう。もしTHIN LIZZYのアルバムをどれから聴いていいか迷ったら、まずは本作を手にすることをオススメします。



▼THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』
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投稿: 2018 01 13 12:00 午前 [1978年の作品, Thin Lizzy] | 固定リンク

2018/01/12

MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』(1980)

“ファスト”・エディ・クラークが亡くなりました。「へっ、誰?」という人もいるかもしれないけど、僕にとってはレミー・キルミスター(Vo, B / 2015年12月没)、フィルシー・“アニマル”・テイラー(Dr / 2015年11月没)、そして“ファスト”・エディ・クラーク(G)という黄金トリオは決して観ることができなかった布陣ということもあって、かなり憧れの強いラインナップでもあります。

MOTÖRHEADに対する思いは過去のテキストでも散々書いているので、ここでは割愛。今晩は急遽、このアルバムを爆音で聴きながら本作の魅力について触れてみたいと思います。

『ACE OF SPADES』はMOTÖRHEADが1980年晩秋にリリースした、通算4作目のスタジオアルバム。前年に発表した2枚のアルバム『OVERKILL』『BOMBER』がそれぞれ全英24位、12位と好記録を伸ばし続けるなか発表された、決定打的1枚が本作『ACE OF SPADES』であり、実際このアルバムは最高4位まで上昇するヒット作となりました。また、同作からのシングル「Ace Of Spades」も最高15位を記録し、バンドは名実ともに人気者の仲間入りを果たしました。

このアルバム、何が良いって、まずはそのジャケットでしょう。それまでのMOTÖRHEADのアートワークは牙をむいた豚(=War Pig)のキャラクターがデザインされていましたが、本作ではメンバー3人が砂漠だか岩場だかで佇む姿が収められています。もうね、これだけで最高じゃないですか? 革ジャンにタイトなパンツ、ハット、そしてガンベルト。この姿を目にしただけで、どんな音かが伝わってくる。

で、実際に1曲目さから再生すると、あのゴリゴリに歪みまくったベースリフ……名曲「Ace Of Spades」からスタートするわけですよ。最高ったらありゃしない。その後も速い曲、ミドルテンポのブギー、渋いロックが目白押し。メタリックだけどヘヴィメタルではなく、ハードロックかと言われるとそういうわけでもない、そしてパンキッシュなのにパンクとも違う。このMOTÖRHEAD以外の何者でもない証明がこの12曲でなされているわけですよ。

1980年というとパンクムーブメントも終わり、本国イギリスではニューウェイブが流行りだしたと同時に、それまで死にかかっていたヘヴィメタルが新たな波に乗って再編され始めた頃。New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)と呼ばれるムーブメントが勃発したタイミングですね。その時期に発表された『ACE OF SPADES』やMOTÖRHEADというバンドに対して「NWOBHMのオリジネーター」なんて声が多いのは、そういったいろんなタイミングが合致したのも大きいんでしょうね。

とにかく頭を無にして、ただひたすら大音量で楽しみたいアルバム。どのアルバムも最高だけど、今晩だけは「Ace Of Spades」から「The Hammer」までを通して聴いて、3人の鬼気迫るプレイに浸りたいと思います。



▼MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』
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投稿: 2018 01 12 01:00 午前 [1980年の作品, Motorhead, 「R.I.P.」] | 固定リンク

RAINBOW『DEFFICULT TO CURE』(1981)

リッチー・ブラックモア率いるRAINBOWが1981年初頭にリリースした、通算5枚目のスタジオアルバム。前作『DOWN TO EARTH』(1979年)から参加したグラハム・ボネット(Vo)、そして初期から屋台骨としてバンドを支えてきたコージー・パウエル(Dr)が脱退し、新たにジョー・リン・ターナー(Vo)、ボブ・ロンディネリ(Dr)を迎え、リッチー、ロジャー・グローヴァー(B)、ドン・エイリー(Key)という布陣で制作。全英3位、全米50位を記録したほか、シングル「I Surrender」は全英3位という好成績を残しました。

『DOWN TO EARTH』で「Since You Been Gone」「All Night Long」といった、今までになかったポップでコンパクトなシングル志向の楽曲が加わったことにより、プレイヤー至上主義的な初期のスタイルが少しずつ後退。そこにジョーというポピュラリティの強いシンガーを得たことで、前作のスタンスがさらに強まったのがこの『DEFFICULT TO CURE』というアルバムになります。

確かに「Spotlight Kid」やインストの2曲「Vielleicht Das Nächste Mal (Maybe Next Time)」「Difficult to Cure (Beethoven's Ninth)」には初期のスタンスが見え隠れしますが、歌モノである「Spotlight Kid」のメロディは以前のRAINBOWと比較すれば、やはりポップで親しみやすさが増していると言わざるをえません。そこを良しとするか否かで、本作に対する評価は変わってくるのかなと思います。

アルバム冒頭を飾る「I Surrender」はそれ以前のRAINBOWと比較したら完全に別モノですし(まあ曲自体が「Since You Been Gone」同様、ラス・バラッド作品ですからね)、「Magic」「Freedom Fighter」も産業ロック的な香りがするし、「Can't Happen Here」なんて軽すぎますからね。でも、以降の2作(1982年の『STRAIGHT BETWEEN THE EYES』、1983年の『BENT OUT OF SHAPE』)と比較すれば、本作でやっていたことなんてまだまだ序の口。今となっては中途半端だったと言わざるをえません。

そういう意味では、後期RAINBOWの完成形となる『BENT OUT OF SHAPE』への習作であり、さらにDEEP PURPLE 『PERFECT STRANGERS』(1984年)以降に続くリッチーのスタイルへの橋渡し的作品だったのかもしれませんね。

個人的にはRAINBOWの作品はどれも好きですが、一番好きな作品として挙げる機会がまずない本作は不思議と忘れた頃に聴きたくなるんですよね。最近も昨年末から年明けにかけて、何度も聴き返した1枚だったりします。



▼RAINBOW『DEFFICULT TO CURE』
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投稿: 2018 01 12 12:00 午前 [1981年の作品, Rainbow] | 固定リンク

2018/01/11

DEEP PURPLE『PERFECT STRANGERS』(1984)

1984年秋に発表された、DEEP PURPLE通算11枚目のスタジオアルバム。当時のメンバーはイアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)、ジョン・ロード(Key)という第5期編成(70年代の第2期と同じ)で、同編成としては『WHO DO WE THINK WE ARE』(1973年)以来11年ぶり、バンドとしても『COME TASTE THE BAND』(1975年)以来9年ぶりの新作となります。

当時RAINBOWでアメリカでも成功を収めていたリッチーが、元パープルの関係者から再結成を持ちかけられ、1984年4月には再結成が正式決定。あれだけ不仲だったリッチーとイアンが再びうまくやれるのか誰もが不安視しましたが、「Perfect Strangers」のMVで握手する姿が見られるように(あれは撮影用のポーズでしょうけどね。笑)2人は和解を果たし、その末に本作が完成したわけです。

作風的には「Mean Streak」のように70年代初頭の第2期時代を思わせる楽曲も含みつつ、全体的にはリッチーが後期RAINBOWで培ったポップなスタイルがそのまま踏襲されています。アルバム冒頭を飾るリード曲「Knocking At Your Back Door」やエルガー「威風堂々」が引用された「Under The Gun」、後期RAINBOWにありがちなアップテンポの「A Gypsy's Kiss」、タイトルトラック「Perfect Strangers」あたりは、RAINBOWの作風を受け継ぎつつも、パープルらしいリードプレイ(久しぶりにギターを自由に弾きまくっていたり)が大々的に含まれており、「本当にあのパープルが戻ってきたんだ」と実感させられます。

ただ、ボーカルがジョー・リン・ターナーでないため(当たり前ですが)、センスがイマイチといいますか。楽器隊のプレイやアレンジは文句なしなんですが、イアンの歌がなんとも頼りなくて。「Knocking At Your Back Door」も「Perfect Strangers」も「A Gypsy's Kiss」、グラハム・ボネットやジョー・リン・ターナーが歌メロを考えて歌っていれば、もっと違ったものになったはずなのに(それも当たり前の話ですが)。ここに関してはもう、好みの問題なんでしょうね。

とはいえ、そういったマイナス要素を含みつつも本作は非常にクオリティの高い1枚だと言いきれます。もうね、続く『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』(1987年)と比較したら……おっと、その話題はまた別の機会に。

ちなみに上記の「ジョー・リン・ターナーが歌メロを考えて歌っていれば」に関しては、ここから6年後に『SLAVES AND MASTERS』(1990年)で現実のものとなり、よりRAINBOWへの回帰が進むことなるなんて、当時は考えもしませんでした。

なお、僕が初めて聴いたパープルのアルバムは本作でした。ちょうどリアルタムで体験できたわけですが、当時はそこまでのめり込むことはありませんでした(苦笑)。中学生にはオッさん臭すぎたんですよ……。



▼DEEP PURPLE『PERFECT STRANGERS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤紙ジャケCD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 01 11 12:00 午前 [1984年の作品, Deep Purple] | 固定リンク

2018/01/10

DAVID BOWIE『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993)

今から25年前の1993年春にリリースされた、デヴィッド・ボウイ通算18枚目のスタジオアルバム。80年代末から自身がフロントマンを務める4人組バンドTIN MACHINEでの活動を中心に、1990年にはソロ曲を封印するために大々的なソロライブをここ日本でも東京ドームで実施しましたが、結局TIN MACHINEの2枚目『TIN MACHINE II』(1991年)が大コケしたことで、ボウイは再びソロに戻らざるをえない状況に追いつめられるのでした。

とはいえ、当時のボウイは私生活では1992年にイマンと結婚して順風満帆。商業的に失敗作と捉えられてしまったTIN MACHINEから再びソロに戻れたのも、こうした好状況が後押ししたのかもしれませんね。

アルバムは『LET'S DANCE』(1983年)を手がけたナイル・ロジャースが再びプロデュースを担当。レコーディングにはかつてSPIDERS FROM THE MARSでの盟友ミック・ロンソン(G)がゲスト参加し、CREAM「I Feel Free」やモリッシー「I Know It's Gonna Happn Someday」、THE WALKER BROTHERS「Nite Flights」のカバーを収録など、話題に事欠かない1枚となっています。

実際、本作は56分という長尺ながらも非常にノリが良く、コンパクトで聴きやすい印象なんです。80年代中盤から後半のボウイ的なノリも残しつつ、それが悪い方向に進むことなく90年代前半当時の音楽シーンと見事にシンクロしている。そして、ブラックミュージックのテイストとジャズのフィーリングが至るところに散りばめられており、それによって全体がボウイらしい大人のサウンドへと昇華されている。このバランス感はぶっちゃけ、『LET'S DANCE』以降でもっとも優れているのではないでしょうか。

アルバム中随所に登場するインストナンバーも実験的な要素よりも、モダンなテイストのほうが強く、しっかり時代に寄り添っている。かといって、それが売れ線にどっぷり浸かったものでもない。このさじ加減が絶妙なのが、本作の魅力だと思います。だからこそ、本作は『TONIGHT』(1984年)以来となる全英1位を獲得できたんでしょうね。

この好調ぶりが、『OUTSIDE』(1995年)以降の諸作品へと続いていくと考えると、ボウイに再びメジャーのど真ん中で好き放題やることの楽しさを思い出させてくれた重要作品と受け取ることもできます。実際、僕は90年代のボウイ作品の中では本作と『HOURS...』(1999年)がめちゃめちゃ好きなんですよ。まったくタイプは異なるんですけど、ボウイ“らしさ”という意味では実験的な『OUTSIDE』や『EARTHLING』(1997年)よりも“らしい”内容ですものね。



▼DAVID BOWIE『BLACK TIE WHITE NOISE』
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投稿: 2018 01 10 12:00 午前 [1993年の作品, David Bowie, 「R.I.P.」] | 固定リンク