2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2020年9月19日更新)


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2020年10月 1日 (木)

2020年8月のアクセスランキング

ここでは2020年8月1日から8月31日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2020年7月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新更新/↑18位)

2位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新/↑19位)

3位:「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 1@苗場スキー場(1999年7月30日)(※1999年9月8日更新/Re)

4位:DEEP PURPLE『WHOOSH!』(2020)(※2020年8月7日更新/NEW!)

5位:ALCATRAZZ『BORN INNOCENT』(2020)(※2020年8月5日更新/NEW!)

6位:METALLICA『S&M2』(2020)(※2020年8月29日更新/NEW!)

7位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↓2位)

8位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新/↓1位)

9位:NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)(※2019年1月25日更新/↑14位)

10位:DREAM THEATER『FALLING INTO INFINITY』(1997)(※2020年8月3日更新/NEW!)

 

11位:JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』(2020)(※2020年8月22日更新/NEW!)

12位:RAINBOW『DOWN TO EARTH』(1979)(※2020年8月5日更新/NEW!)

13位:JUDAS PRIEST『BRITISH STEEL』(1980 / 2010)(※2020年8月8日更新/NEW!)

14位:THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』(1987)(※2019年1月12日更新/Re)

15位:BIFFY CLYRO『A CELEBRATION OF ENDINGS』(2020)(※2020年8月24日更新/NEW!)

16位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓9位)

17位:THE FALL OF TROY『MUKILTEARTH』(2020)(※2020年8月14日更新/NEW!)

18位:MIKE SHINODA『DROPPED FRAMES VOL.2』(2020)(※2020年8月14日更新/NEW!)

19位:THE WiLDHEARTS『STOP US IF YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE VOL.1』(2008)(※2020年8月10日更新/NEW!)

20位:NICKELBACK『ALL THE RIGHT REASONS』(2005)(※2020年8月1日更新/NEW!)

 

21位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新/Re)

22位:KISS『DRESSED TO KILL』(1975)(※2020年8月16日更新/NEW!)

23位:COVET『TECHNICOLOR』(2020)(※2020年7月8日更新/↓11位)

24位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新/↓4位)

25位:ALICE IN CHAINS『THE DEVIL PUT DINOSAURS HERE』(2013)(※2020年8月25日更新/NEW!)

26位:2020年上半期総括(ベストアルバム10)(※2020年7月3日更新/↓3位)

27位:SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996)(※2019年1月1日更新/Re)

28位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新/Re)

29位:追悼:足立“YOU”祐二 〜DEAD ENDディスコグラフィー②〜(※2020年6月24日更新/↓17位)

29位:THE ACACIA STRAIN『SLOW DECAY』(2020)(※2020年8月13日更新/NEW!)

29位:YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』(2020)(※2020年8月12日更新/NEW!)

29位:DAVID BOWIE『HUNKY DORY』(1971)(※2020年8月6日更新/NEW!)

29位:NINE INCH NAILS『BROKEN』(1992)(※2018年10月5日更新/Re)

 

8月は29位が5エントリーあったので、計33エントリーとなります。その33エントリー中、17エントリーが8月更新分にあたり、そのうち9エントリーが新作レビューでした。先月から引き続き、更新した記事がしっかり読まれており安心しております。

今月、特に印象的だったのが2〜3位のフジロックレポートの過去エントリー。これは8月末にオンラインで過去のフジロック映像が配信されたのを機に、アクセスが集中しました。こうやって20年前の記事を読んでもらえるのはありがたい限りです(書いた本人としては稚拙すぎて恥ずかしいところもありますが)。また、1位のNAILBOMBは定期的に上位に入っていましたが、1位は初めてじゃないかな。年間ランキングでもかなり上位に入りそうな予感です。

2020年9月30日 (水)

2020年9月のお仕事

2020年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※9月9日更新)

 

[WEB] 9月9日、「リアルサウンド」にてインタビューKAQRIYOTERROR、5人の結束強まった1年間の集大成 1stアルバム『アヴァンギャルド0チテン』で見せた意欲と挑戦が公開されました。

[WEB] 9月7日、「リアルサウンド」にてコラム『虹プロ』や『PRODUCE 101』に続くオーディションに? 清水翔太が審査委員長務める『ONE in a Billion』への期待が公開されました。

[紙] 9月4日公開の映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」の公式パンフレットにて、1期生×2期生の各対談を担当・執筆しました。

[紙] 9月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年9月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 9月2日、「リアルサウンド」にてインタビュー南條愛乃が語る、今だからこそ歌を介して伝えたいメッセージ「“みんなに”というよりは“あなたに”届けたい」が公開されました。

[WEB] 9月2日、「リアルサウンド」にてインタビューLittle Glee Monsterに聞く、歌で笑顔を届けるために模索した日々 2020年上半期から現在までの活動を振り返るが公開されました。

[WEB] 9月2日、「ぴあ」にてインタビュー衝撃の改名発表の裏側も! 欅坂46が語る、激動の5年間と再始動への思いが公開されました。

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また、8月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2008号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2020年9月19日 (土)

CHEAP TRICK『WOKE UP WITH A MONSTER』(1994)

1994年3月末にリリースされたCHEAP TRICKの12thアルバム。日本盤は同年4月上旬、『蒼い衝動』の邦題を付けて発表されています。

前々作『LAP OF LUXURY』(1988年)でセールス的に大復活を果たすものの、続く前作『BUSTED』(1990年)で『LAP OF LUXURY』ほどの成績を残すことができなかったCHEAP TRICK。折りからのHR/HMブームにも陰りが見え始めたことも影響し、1991年に発表した初のベストアルバム『THE GREATEST HITS』を最後にデビュー以来10数年にわたり在籍したEpic Recordsを離れることになります(その後、1993年にはロビン・ザンダーが初のソロアルバム『ROBIN ZANDER』をリリースしています)。

HR/HMブームが後押しして復活した彼らでしたが、今度はそのHR/HMを壊滅させたグランジ勢から「ルーツはCHEAP TRICK」という新たなバックアップが。これによりバンドは新たに老舗Warner Bro.と契約することになり、VAN HALENやTHE DOOBIE BROTHERSなどで知られるテッド・テンプルマンをプロデューサーに迎え、約4年ぶりの新作を完成させます。

「The Flame」的なバラードシングルやラジオヒットを目指した産業ロック路線にとらわれることなく、バンドはここで本来の自分たちらしさを取り戻します。オープニングを飾る「My Gang」のポップでキャッチーなギターロック、初期のダーク&サイケ感を取り戻したヘヴィな「Woke Up With A Monster」、そして黄金パワーポップチューン「You're All I Wanna Do」、「The Flame」を通過したことで生まれた自然体のスローバラード「Never Run Out Of Love」、キャッチーさの際立つミドルバラード「Didn't Know I Had It」など、アルバムは冒頭から中盤にかけて名曲目白押し。過去2作の産業ロック的な作りから脱却し、アルバム全体の音の抜けも非常によろしく、ボーカルと楽器隊のバランスの良さ、各楽器の音の粒までしっかり聞き取れそうなミックスなど含め、80年代以降のCHEAP TRICKの作品中もっとも高品質な1枚と言えるのではないでしょうか。

異色のダンスチューン「Ride The Pony」を筆頭に、硬質なギターロック「Girlfriends」「Let Her Go」、80年代後半の経験が見事に活きたミドルナンバー「Tell Me Everything」、70年代の彼らを思わせるヘヴィバラード「Cry Baby」、ハードなサウンドと軽やかなリズムがミックスされたダンスロック「Love Me For A Minute」と、アルバム後半も前半ほどではないにせよ完成度高め。個人的には前半5曲が鉄壁すぎるがゆえに、後半の楽曲群は若干質が落ちると感じてしまいます。といっても、平均点以上の出来なんですけどね。

日本盤はここにボーナストラック「Sabre Dance」(ハチャトゥリアンの「剣の舞」)のカバーを追加収録。異色のクラシックカバーではあるものの、意外とCHEAP TRICKというバンドに合っているから不思議です。

バンド本来の姿を取り戻した勝負作だったものの、過去2作には及ばない全米123位という結果を残し、結局Warner Bros.とは本作1枚で契約を終了。この時点ではグランジ経由の再評価は数字につながることなく、バンドは3年後に自主レーベルから2度目のセルフタイトルアルバム『CHEAP TRICK』(1997年)で再浮上に挑むことになります。

 


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2020年9月18日 (金)

HOUSE OF LORDS『HOUSE OF LORDS』(1988)

1988年10月にリリースされたHOUSE OF LORDSの1stアルバム。日本盤は同年12月、『神々の舘』という邦題を冠されて発売されています。

HOUSE OF LORDS は1987年にGIUFFRIAを解散させたグレッグ・ジェフリア(Key)を中心に、末期GIUFFRIAに在籍したラニー・コードラ(G)とチャック・ライト(B/ex. QUIET RIOT)、ケン・メリー(Dr/FIFTH ANGEL、CHASTAINなど)の3人にJASPER WRATH、EYESといったバンドで活躍したジェイムズ・クリスチャン(Vo)を加えた5人組ハードロックバンド。KISSジーン・シモンズが新たに設立したレーベルSimmons Reocrdsと契約し、同レーベル第1弾作品としてリリースされたのがこのアルバムでした。同作はシングル「I Wanna Be Loved」(全米58位)のヒットも手伝って、最高78位という好成績を残しています。

グレッグ・ジェフリア、アンディ・ジョーンズ(CINDERELLAMcAULLEY SCHENKER GROUPVAN HALENなど)、そしてジーンの共同プロデュースにより制作された本作は、80年代後半という時代性が反映されたメロディアスでAORライクなハードロックが展開されています。元GIUFFRIAのメンバーによるバンドということでシンセ中心のサウンドがイメージされますが、本作において軸になるのは歌とギターで、全体的にはGIUFFRIAよりもハードエッジな楽曲で占められています。

ジェイムズ・クリスチャンの適度にハスキーで湿り気のある歌声は、当時すでに大ブレイクしていたWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデイルを髣髴とさせるものがあります。もちろんそのへんはレーベル側(主にジーン)の狙いだったのでしょう。楽曲にしてもミドルテンポの王道産業ハードロックを軸にしながらも、「I Wanna Be Loved」のようにR&B的要素を若干含むメロウなロックや、GIUFFRIA時代を思わせる煌びやかなシンセが印象的な「Pleasure Palace」(楽曲クレジットにはGIUFFRIAのフロントマンだったデヴィッド・グレン・アイズレーの名も)、演奏力の高い各メンバーのプレイを大々的にフィーチャーしたアップチューン「Lookin' For Strange」「Slip Of The Tongue」、この時代ならではのパワーバラード「Love Don't Lie」など、比較的バラエティに富んだ楽曲群が並び、デビュー作にしては非常に完成度の高い内容となっています。

それもそのはず、ソングライター陣に目を向けるとマンディ・メイヤー(当時AISAのギタリスト。のちにGOTTHARDの一員に)やスタン・ブッシュ、CHEAP TRICKのリック・ニールセン、ジョニー・ワーマンなどといったアーティスト/職業作家の名前を見つけることができ、(バンド中心で執筆した楽曲に職業作家をコライトで入れたり、職業作家や別のソングライターが書いた楽曲をバンドで演奏する)いわゆるHEARTAEROSMITH方式を大々的に取り入れていることにも気づきます。このへんは策士ジーン・シモンズの手腕によるものでしょう。さすがです。

最初から最後まで、とにかく捨て曲なしの80'sハードロックの隠れた名盤。「隠れた〜」というのは、本作が現在国内盤廃盤状態であり、ストリーミングサービスなどデジタル配信がされていないという事実があるからです。バンドは1993年に一度解散し、2000年代に入ってから再結成。現在もジェイムズ・クリスチャン以外のメンバーを変えつつ、活動を継続しており、2020年6月には最新作『NEW WORLD - NEW EYES』も発表しています。これを機に、初期3作(本作と1990年の2nd『SAHARA』、1992年の3rd『DEMONS DOWN』)を再発してもらいたいところです。

 


▼HOUSE OF LORDS『HOUSE OF LORDS』
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2020年9月17日 (木)

BAD MOON RISING『OPIUM FOR THE MASSES』(1995)

1995年4月にリリースされたBAD MOON RISINGの3rdアルバムにしてラスト作。1996年夏には本作で初めてのUSリリースが実現しており、こちらのUS仕様(日本オリジナル盤未収録の3曲含む)も1996年9月に日本発売されています。

カル・スワン(Vo)&ダグ・アルドリッチ(G)、前作がほぼ完成したタイミングで加入したイアン・メイヨー(B)&ジャッキー・レイモス(Dr)が4人揃って初めて本格制作したアルバムであり、ソングライティングもBMR名義で制作されています(そうそう、本作ではバンド名を「B.M.R.」と記号的に表記するケースが増えていました。これはBAD MOON RISINGという“ビッグ・イン・ジャパン”的イメージを払拭するためと、グランジ以降の風潮に合わせたものだったのでしょうかね)。

プロデューサーとして新たにノエル・ゴールデン(TRIUMPH、NIGHT RANGERダフ・マッケイガンなど)を迎えた本作は、前作『BLOOD』(1993年)でのアメリカナイズされたダーク&ヘヴィ路線をさらに推し進めたもので、90年代前半のオルタナ・メタルからの影響を強く感じさせる1枚に仕上がっています。もはやデビューアルバム『BAD MOON RISING』(1991年)の頃とはまったく別のバンドです(苦笑)。

そういうこともあり、デビュー当時からのファンおよびLION時代からカル&ダグを応援してきたリスナーにとって本作は許しがたい“裏切りの1枚”だったのかもしれません。が、当時から思っていたことですが……これ、そんなに悪いアルバムでしょうか?

前作『BLOOD』ではカルの歌唱スタイルと乖離していた楽曲の方向性が修正されており、この抑揚の少ないボーカルパフォーマンスに合った楽曲がしっかり用意されている。オープニングを飾る「Belligerent Stance」なんてまさにその好例じゃないかな(どこか末期THIN LIZZY的で、それもカルのボーカルに似合っている)。ハードロック的リフメイカーとしては弱点の目立ったダグのプレイも、本作でのオルタナ・メタル的作風には絶妙にフィットしているし(グランジやオルタナ・メタルではHR/HMほど、かっちりしたアンセミックなギターリフがそこまで必要とされていませんでしたしね)。

以降も『BLOOD』でのスタイルをよりオルタナ側へと寄せることによって、もともと淡白だったカルのボーカルワークを活かすことに成功。ダグもジミ・ヘンドリクス直系のフリーキーなフレージングを活用することにより、90年代半ば前後の空気感を見事に捉えた印象深いプレイを楽しむことができる。「Into The Pit」や「Free」のような楽曲なんて、このタイミングじゃなか生まれなかったであろう異色作ではあるものの、非常にマッチしているんですよね。

『BAD MOON RISING』はLION時代に果たせなかった目的を消化するための「延長戦」であり、『BLOOD』は次のスタートへ向かう上での処女作、そして今作はメンバーが固定されようやく到達できたデビュー作だった。そう考えると、このアルバムがこういう内容になったのも納得いくのではないでしょうか(いや、古くからのファンにはそんなことまったくないかな)。一般的には駄作扱いの本作ですが、今も昔も変わらず愛聴できる「90年代半ばを象徴する」1枚です。

なお、先にも書いたように本作は日本盤とUS盤とで収録内容、曲順がまったく異なります。個人的には日本盤の収録内容および曲順がもっとも馴染む仕上がりではないかなと思っているので、これから購入する方にはぜひこちらをオススメします(残念ながらSpotifyなどストリーミングサービス未配信なので、中古CDショップで探してみてください)。

 


▼BAD MOON RISING『OPIUM FOR THE MASSES』
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2020年9月16日 (水)

BAD MOON RISING『BLOOD』(1993)

1993年3月にリリースされたBAD MOON RISINGの2ndアルバム。日本で先行リリースされたのち、同年5月にイギリスやヨーロッパ諸国にてUnder One Flag経由で発売されています。

1991年にデビューアルバム『BAD MOON RISING』をリリースしたのちに、ここ日本で初のライブツアーを実施したカル・スワン(Vo)&ダグ・アルドリッチ(G)。ツアーではアルバムレコーディング同様、チャック・ライト(B)&ケン・メリー(Dr)のHOUSE OF LORDS組が参加しましたが、続く今作でもほとんどの楽曲でチャック&ケンがリズムセクションをレコーディング。制作後期に元HURRICANE ALICEのイアン・メイヨー(B)とジャッキー・レイモス(Dr)が正式加入し、初めてパーマネントの4人バンド・BAD MOON RISINGが完成します(アルバムブックレットにはイアン&ジャッキーの姿も)。

プロデュースは前作同様、マック(QUEENEXTREMEBLACK SABBATHなど)が担当(カル&ダグも共同プロデューサーとしてクレジット)。レコーディングエンジニアとしてマックのほか、ジョー・バレシ(AVENGED SEVENFOLDQUEENS OF THE STONE AGEWEEZERなど)の名前も見つけることができます。基本的には前作の延長線上のあるスタイルなのですが、1作目をブリティッシュロック寄りとするなら、今作はよりアメリカナイズされた作風と言えるかもしれません。

適度に湿り気のあるブルージーなハードロックという点においてはまったく変化はないのですが、サウンドの質感が若干モノトーン寄りでダークさが増している。また、メジャーキーのアップチューンやミドルテンポのアンセミックな楽曲が良いアクセントとなっていた前作と比べると、今作は全編ミドル〜スロー中心で統一感が強い、そのぶん単調さが目立つ結果となっています。前作でのLION経由のヘアメタル〜正統派ハードロック路線から、時流に乗ってグランジ寄りのダーク&ヘヴィさが際立つスタイルへとシフト。これが従来のリスナーやファンには不評を買ったようです。

しかし、楽曲の出来はそこまで悪いものとは思えず、リリースから30年近く経った今、久しぶりに聴くと「意外と良いじゃない?」と思えるのです。リリース当時はあんなに落胆したのに。

で、何度か聴き返しているうちに気づきました。これ、曲とカル・スワンの声(歌唱スタイル)がマッチしていないんじゃないか?と。良く言えば味わい深い、悪く言えば抑揚があまりないカルのボーカルスタイルが、土着的なヘヴィロック路線に適していないような気がしてならないのです。もうちょっと派手な歌い手が歌唱したら、このメロディラインをうまく歌いこなせたのでは……今となっては後の祭りですが。

あと、やはりダグのリフメイカーとしての力量不足も目立ちますよね。こればかりは本当に仕方ないとはいえ……だからこそ、彼のようなギタリストには次作『OPIUM FOR THE MASSES』(1995年)のようなスタイルが適していた気がするのですが、それはまた別の機会に。

“ビッグ・イン・ジャパン”の名を欲しいままにし、海外ではまったく無名だった彼ら。残念ながら各種ストリーミングサービスでは配信されていないことから、今では中古CDショップで彼らの音源を手に入れるしかなさそうです(比較的安価で入手可能なので、この機会にぜひ)。

 


▼BAD MOON RISING『BLOOD』
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2020年9月15日 (火)

KITTIE『SPIT』(2000)

2000年1月にリリースされたKITTIEの1stフルアルバム。日本盤は同年7月に発売されました。

KITTIEは1996年にカナダ・オンタリオ州で結成された女性4人組ニューメタルバンド。メジャーのEpic Records傘下のArtemis Recordsと契約し、この『SPIT』というアルバムでメジャーデビューを果たしています。当時は平均年齢17歳というトピックと、女性ながらもKORNや同時期にシーンを席巻したSLIPKNOTに通ずるグルーヴメタルサウンドで注目を集め、アルバムは全米79位を記録(50万枚以上売り上げ)。『OZZFEST 2000』ではSOULFLYDISTURBEDらとともにセカンドステージに立ち、翌2001年には国内メタル系フェス『BEAST FEAST 2001』で初来日も果たしています。

ガース・リチャードソン(MUDVAYNERAGE AGAINST THE MACHINESICK OF IT ALLなど)をプロデューサーに迎えたそのサウンドは、まさに2000年前後のモダンメタル/ラウドシーンらしいゴリゴリかつグルーヴィーなもので、適度な浮遊感は初期KORNやCOAL CHAMBER、DEFTONES、SOULFLYあたりに通ずるものがあるような気がします。ただ、楽曲自体は今聴くとそこまで個性的というわけでもなく、上記バンドの亜流、もしくは影響下にあるもののまだオリジナリティを確立するまでには至っていないというところでしょうか。

しかし、そんなKITTIEの存在感を唯一無二のものにしているのは、女性ボーカルという点でしょう。クリーンパートでは線の細さが気になるものの、男性ボーカルにはない色気や妖しさ、華やかさは間違いなく大きな武器になっているし、この声で念仏調のラップボーカルやデスボイスなんてやられた日にゃ、最初こそ「おお、頑張ってるじゃん!」と生暖かい目で見守っているものの、何度か聴いているうちに「あれ……これ、カッコいいんじゃない?」と気づかされるはずです。

2020年の耳で聴くと、若干の古臭さは否めませんし、突出した個性はそこまで感じられない作品かもしれません。が、本作を当時17歳前後の女の子たちが魂削って作り上げたと考えただけで、オジさんは胸が熱くなるわけです(完全に親目線ですね、これ。苦笑)。まあ、そういう事実を抜きにしても、デカイ音で聴いたら意外とカッコいいんですよ、マジで。

あと、改めて聴くとニューメタルというよりはハードコアの色が強いのかな?という気がしてきました。どことなく初期RATMっぽい色合いも見え隠れしますし、90年代半ばのSEPULTURA的パーカッシヴさも含まれているし。10代の子たちがカッコいいと思ったものを全部詰め込んだミクスチャー感こそ、実は一番の初期衝動だったりするんですよね。そういう意味では2度と真似できない(したら怒られる)、奇跡の1枚なんじゃないでしょうか。

僕は当時、アルバムから入ったわけではなく、コンピ盤に収録されていた「Brackish」を聴いてハマったクチでして。そこから「Charlotte」のMVを観て「ああ、これはアリだわ」と気づき、慌ててアルバムに手を出したわけです。その頃にはもう、日本盤も出ていたんじゃないかな。よく足を運んでいたロック系クラブイベントでも彼女たちの曲が何度かかかっていましたし、当時局地的に盛り上がっていた記憶があります。

上に書いたように、女性ボーカルという点以外ではまだまだ未成熟ですが、続く2ndアルバム『ORACLE』(2001年)では「らしさ」を掴み始めているので、本作をチェックして気になった方はあわせて聴いてみることをオススメします(2作目も時間があったら取り上げようかな)。

 


▼KITTIE『SPIT』
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2020年9月14日 (月)

IHSAHN『PHAROS』(2020)

2020年9月11日にリリースされたイーサーンEMPEROR)の最新EP。

今年2月に発表された『TELEMARK』に続く、EP二部作の第2弾。前作はイーサーンが今も生活の拠点とするノルウェーの故郷・テレマルク(Telemark)をタイトルに冠し、自身のルーツであるブラックメタルの側面を強調させた内容に仕上げられていましたが、今作はその対極にあるソフトな側面……メロウなテイストを重視した作品集に仕上げられています。

全編でデス声を耳にすることができた前作から一変、今回は穏やかでメロディアスなボーカルを軸に、プログレッシヴロック的なテイストを強めた楽曲群が満載。およそヘヴィメタルからはかけ離れた、ジャジーでAOR的な香りもそこはかとなく感じられ、改めてイーサーンというミュージシャン/アーティストの懐の深さを体感することができるはずです。

個人的にグッときたのは、タイトルトラックのM-3「Pharos」。この曲ではクラシックからの影響を強く伝わってくるアレンジで、そこに大人びた味付けが散りばめられている、前作『TELEMARK』からは想像もできないような1曲。しかし、聴けばこれもイーサーンの色であることは明確で、いかに彼がソロ作品でメタルやプログレを基盤に、幅広いジャンルに挑んでいたかがこの1曲からご理解いただけるのではないでしょうか。

そんなクライマックスのあとには、今回もカバーが2曲用意されています。ひとつはPORTISHEADの「Roads」。90年代UKトリップホップの代名詞的バンドをここで取り上げるのも、なるほどと頷けるものがありますが、この曲がリリースされた当時ってイーサーンはEMPERORでの活動真っ只中だったはず。そう考えてみると、非常に面白いものがありますね。仕上がりも、しっかり原曲とイーサーン双方の「らしさ」が感じられるベストなものなので、原曲を知らない方はぜひ聴き比べてみるといいですよ。女性ボーカルをイーサーン流に解釈した歌唱法もたまらないです。

で、最後の1曲はa-haの「Manhattan Skyline」。そうきたか!と最初は驚きましたが、この曲ではイーサーンはリードボーカルではなく、代わりにLEPROUSのエイナル・スーベルグ(Vo, Key)が歌っているんです(イーサーンはサブでハモりなどを担当)。原曲に忠実なアレンジも好印象ですし、何よりも2人の美しく切ない歌声がぴったりなんです。このカバーを最初に聴いたとき、「ズルいわ……」と何度思ったことか。完璧な組み合わせによる、完璧な選曲。今年聴いたカバー曲の中でも突出した完成度だと思います。

『TELEMARK』と『PHAROS』、本来なら両作の収録曲をバランスよくミックスし、さらにその中間に位置する楽曲なんかも作ってトータル性の高いフルアルバムを作っていてもおかしくないのに、こうやって両極端に振り切った、タイプの異なる2作品を作ることに今回は重きを置いた。それにより、イーサーンの異端性がより際立ったわけですから、この実験は大成功だったと断言できます。特に、昨今サブスクを意識してあえてフルアルバムを作らないアーティストも増えていますし、こういう形で定期的に高品質の小作品を量産してくれるのなら、リスナーとしてもありがたい限りです。

ですが、イーサーン先生。今度はこの2枚をごちゃ混ぜにして、さらに訳のわからない異色作の完成を期待しています。だって、それをやれちゃう人なわけですからね。

 


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2020年9月13日 (日)

MARILYN MANSON『WE ARE CHAOS』(2020)

2020年9月11日にリリースされたMARILYN MANSONの11thアルバム。

デビュー時から在籍したInterscope Recordsを離れてからの3作(2012年の『BORN VILLAIN』、2015年の『THE PALE EMPEROR』2017年の『HEAVEN UPSIDE DOWN』)はどれも悪くないものの、往年の作品と比べると地味と言わざるを得ない内容でした。とはいえ、個人的には映画音楽を中心に手がけるタイラー・ベイツとタッグを組んだ直近2作のディープさは嫌いじゃなかったんですよね。でも、以前のように何度もリピートしたくなる作品でもなかった(前作はいい線いってたけど、数ヶ月で飽きてしまったし)。要は、MARILYN MANSONというバンド、そしてマリリン・マンソンというアーティストに何を求めるかで、近作の評価は大きく二分したのかもしれません。

で、前作『HEAVEN UPSIDE DOWN』から3年というスパンで届けられた本作は、新たなコラボレーターとしてシューター・ジェニングスを共同プロデューサーに迎えて制作した、心機一転の意欲作。シューターはカントリーやサザンロックを中心に手がけてきたアーティスト/プロデューサーですが、マンソンと彼はブライアン・イーノ期のデヴィッド・ボウイが好きという共通の趣味があり、そこで意気投合して2年前から本作に向けて準備を進めていたとのこと。楽曲制作およびレコーディングはコロナ禍に突入する前に終えており、内容的にはこの春以降の生活や環境は反映されていないようです。

さて、気になる内容ですが……リードトラック「We Are Chaos」がマンソンの諸作中もっともポップでキャッチーでわかりやすいという、異色の仕上がりだったので、おそらくそういう「わかりやすさ」に軸を置いた作品になるんだろうなと想像していたら、やはりそのとおりでした。オープニングの「Red Black And Blue」こそ従来のおどろおどろしさを残しているものの、全体的には先の「We Are Chaos」を中心にシンプルでわかりやすく、かつキャッチーな楽曲で占められています。とはいえ、そこはマンソンのこと、ヘヴィな音像やダークさはそのまま残されており、従来の「らしさ」は損なわれていません。むしろ、過去3作の延長線上にありながらキャッチーさだけを強めた、そんな印象すら受けます(ただ、地味さは過去イチですけどね)。

もはや90年代〜2000年代前半までのスタイルに戻ることはないようです。が、本作に限っては90年代の名作『MECHANICAL ANIMALS』(1998年)との共通点も至るところに見え隠れするんですよね。それが「イーノ期のボウイ」というキーワードでつながっているものなのかどうかはわかりませんが、あながち間違っていないような気もします。

あと、近作同様に本作もバンドの作品というよりはソロ色の強い作風かなと。特に日本盤ボーナストラックとして追加収録された「We Are Chaos」「Broken Needle」のアコースティックバージョンを聴くと、もはやマンソンはそれでいいような気がします。

願わくば、もう少し冒険的(というかアヴァンギャルド)なスタイルに挑戦してもらいたいところですが、昨年からのカントリー寄り/枯れたスタイルというのはもはや年齢的なものも大きいんでしょうか。ライブではあれだけバカやるんだから、音楽的にももうひと花咲かせてもらいたいんですが……なんて辛いことを言いながらも、本作はここ数作の中ではもっともリピートしそうな平均点以上、むしろ限りなく90点に近い高品質な1枚だと断言しておきたいと思います。初聴からこんなにリピートしたマンソンのアルバム、いつ以来だろう……。

 


▼MARILYN MANSON『WE ARE CHAOS』
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2020年9月12日 (土)

EN MINOR『WHEN THE COLD TRUTH HAS WORN ITS MISERABLE WELCOME OUT』(2020)

PANTERAのフィル・アンセルモ(Vo)が新たに立ち上げたプロジェクト、EN MINORが2020年9月4日にリリースした1stフルアルバム。

近年はSUPERJOINTのほかPHILIP H. ANSELMO & THE ILLIGALS、SCOURなど数々のプロジェクトで活動するフィル。ハードコアやエクストリームメタルを軸としたジャンルがベースになっていますが、このEN MINORはそれらとは一線を画するもので、フィルが80年代に影響を受けたゴシックロックを、自身ならではの形で踏襲したものとなっています。

つまり、攻撃的なシャウトやスクリームはゼロで、フィルはひたすら低音域でメロディを歌い上げる。演奏面でもディストーションのかかったギターリフやメタル的なテクニカル・ギターソロも皆無で、クリーントーンを中心に穏やかでムーディかつダークな世界観が展開されています。

メンバーにはフィルのほか、SUPERJOINTやTHE ILLIGALS、DOWNなどの一員でもあるスティーヴン・テイラー(G)やケヴィン・ボンド(G, B)、ジミー・バウワー(Dr)、THE DOVER BROTHERSのカルヴァン(Key)&ジョイナー(B)のドーヴァー兄弟、そしてスティーヴ・バーナル(Cello)という大所帯。チェリストを要する編成がこれまでのフィルの他のバンドとは異なり、彼がこのプロジェクトでどういった音を表現したいのかがここからも想像できるのではないでしょうか。

初めてEN MINORに触れる人にとっては、オープニングの「Mausoleums」でのスカスカな音像と絞り出すようなフィルの低音ボーカルにまず驚くことでしょう。このスタイルを事前に知らなかったら、きっとCDを間違えたと思うはずです(笑)。しかも、このスタイルは1曲のみではなく、2曲目も3曲目も続くわけですから。

しかし、アルバム中盤あたりから、ディストーションとまでいわないまでも、若干歪みのかかったギターフレーズが飛び出しはじめ、「This Is Not Your Day」前後の楽曲からはフィルのボーカルも少し肩の力が抜け、良い意味でレイドバックしたユルめの歌を楽しむことができます。このあたりになるとEN MINORの構築する世界観にも慣れ始め、ここで鳴らされている音やメロディが実はPANTERA時代にもほんの少しだけ表出していたことに気づくのではないでしょうか。

そうなんですよ、これは突発的なプロジェクトというわけではなく、過去のフィルが関わったバンドにも散りばめられていた要素のひとつでしかないわけです。そこを拡大させたのがこのアルバムなわけで、これもフィル・アンセルモという人間の個性だ……と、再確認できるわけですよ。まあパッと聴きでは、PANTERAやSUPERJOINTとは大きくかけ離れているので、なかなか気づかないかもしれませんが(むしろ、PANTERAにはこの色、随所から感じ取れるはずです)。

1990年代の、まだPANTERAに在籍していた頃のフィルがこれをやったら叩かれまくったでしょうけど、その後いろいろ炎上しまくって、もはや燃やす燃料すら見当たらない2020年の今だからこそ、正当評価されてほしい。と同時に80年代のゴシック、特にニック・ケイヴあたりが好きな人には届いてほしい良作です。

 


▼EN MINOR『WHEN THE COLD TRUTH HAS WORN ITS MISERABLE WELCOME OUT』
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2020年9月11日 (金)

CODE ORANGE『UNDER THE SKIN』(2020)

2020年9月4日に配信リリースされたCODE ORANGE初のライブアルバム。

今年3月に最新オリジナルアルバム『UNDERNEATH』(2020年)をリリースしたばかりの彼らですが、ご存知のとおり新型コロナウイルスの影響で本格的なライブ活動を行うことができず。しかし、リリースパーティをオンラインにて世界中に配信することで、予想以上の大勢のファンに観てもらうことができました。そのオンラインライブからヒントを得たのが、このアルバムに収録されたアコースティックライブでした。

このアコースティックライブ自体も、往年の『MTV Unplugged』をモチーフにしたもので、無観客ながらも彼らの楽曲をアコースティックベースでリアレンジされたものが、普段とはことなる編成で演奏されていきます。ハードコアバンドのアコースティックアレンジ、一体いかなるものなのか……。

全体を通して聴いて感じたのは、90年代前半から半ばにかけてグランジ勢が行なったアンプラグドライブを、今のCODE ORANGEらしいアレンジ&エフェクトでしっかり作品化されたものだなと。演奏されている楽曲は最新作『UNDERNEATH』と前作『FOREVER』(2017年)、その間に発表されたEPなどに収録された楽曲が中心となっており、楽曲が持つ空気やメロディの質感からは統一感が伝わってくるのではないでしょうか。この質感が非常にグランジ以降のオルタナティヴロックと共通するものがあるとわかり、改めてCODE ORANGEに対する理解が深まることでしょう。

それを強く実感させる要因として、ALICE IN CHAINSの代表曲のひとつ「Down In A Hole」(1992年の2ndアルバム『DIRT』収録)がカバーされている点が挙げられるでしょう。ALICE IN CHAIS版アンプラグドアルバムである『MTV UNPLUGGED』(1996年)で披露されたバージョンが元になったこの曲の世界観が、今作でCODE ORANGEが表現したかったそれと一致したこともあり、こういう貴重なテイクが世に送り出されることになったのならば、ファンとしてはうれしい限りです。

ボーカルに関してはジャミー・モーガン(Vo, Dr)よりもリーバ・マイヤーズ(Vo, G)が前面にフィーチャーされたことで、全体的に柔らかさや繊細さが強調された作風に。アコースティックギターをメインにしているものの、要所要所でデジタルエフェクトも施されており、このあたりに彼らなりのこだわりが感じられ、結果本作を“作品”たらしめているなど実感させられます。要するに、ライブアルバムとは言うものの、スタジオライブ音源を素材にした実験作という側面が強いのかなと。特にアルバムラスト「Under The Skin」「Hurt3」の流れはまさにその色がもっとも濃く表れた2曲で、そのリアレンジぶり含め本作の真骨頂と言えるのではないでしょうか。

『UNDER THE SKIN』を聴いてから改めて『UNDERNEATH』を聴き返すと、この2作は真の意味で表裏一体なんだなと気づかされます。コロナ禍がなかったら生まれなかったであろう本作ですが、このタイミングにCODE ORANGEをより深く理解する上で非常に重要な副読本だと断言できます。

 


▼CODE ORANGE『UNDER THE SKIN』
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2020年9月10日 (木)

YUNGBLUD『21ST CENTURY LIABILITY』(2018)

2018年7月6日にリリースされたYUNGBLUDの1stアルバム。日本盤未発売。

YUNGBLUDはこの8月に23歳になったばかりの鬼才ドミニク・ハリソンによるプロジェクトで、“若き血”を意味するプロジェクト名のごとく血気盛んで反骨心にあふれる型破りなスタイルで、若年層を中心に支持を集めています。ヒップホップやダブステップ以降の(広意義での)ロックをベースにしたそのサウンドからは、POST MALONEやTHE 1975あたりとの共通点も見受けられ、この今ならではのミクスチャー感が強いテイストはポップフィールドでも十分に戦える仕上がりと言えるでしょう。

僕自身そこまで熱心リスナーというわけではありませんが、時折耳に飛び込んでくる楽曲の数々は40超えたオッサンの耳にも馴染みやすく、同時に刺激的なものでもあり、その流れでアルバムもチェックしていました。聴いて感じたのは、ケイティ・ペリーあたりが登場したときと同じような感触で、オルタナティブ感をしっかりアピールしながらもメインストリームでも受け入れられる、そんな「随所に大衆性の強いフックが仕掛けられた、オルタナティブ作品」だなと。

鳴らされている音そのものは、40代以上のリスナーが想像する“真っ当なロック”とは言い難いですし、ボーカルスタールもラップ以降のそれです。でも……例えばマシン・ガン・ケリー然り、先のPOST MALONEやTHE 1975しかり、実践していることの先鋭性は間違いなく“ロック”なんですよね。そういう概念的な“ロック”を忘れずに、2010年代的な音を提示してくれる。それが近年における“ロック”の解釈なのかもしれません。

あと、アルバム冒頭を飾る「Die For The Hype」を筆頭に、そのサウンドは“EDM以降”の低音の鳴りが特徴的で、可能な限り大音量で鳴らせば鳴らすほど、アルバムが持つ暴力性が増すというのも興味深いポイント。「Psychotic Kids」のようなドラムンベース調のミドルナンバーも、「I Love You, Will You Marry Me」のようなアップテンポのロックチューンも、「Kill Somebody」みたいなアコースティック主体の楽曲も、「21st Century Liability」みたいにラウド寄りのナンバーも、この“EDM以降”の質感で構築されているからこそアルバムの中でも浮くことなく統一感を持って楽しむことができる。このミクスチャー感、個人的には非常に好みでグッとくるものがあります。だからこそ、ホールジーやマシン・ガン・ケリー、マシュメロ、BRING ME THE HORIZONのような幅広いアーティストからラブコールを受けるんでしょうね。

このアルバムは1st EP『YUNGBLUD』(2018年)からの楽曲も含む、どちらかというと処女作といった1枚であり、以降に発表されているシングルなどを通じてドミニク・ハリソンの本性があらわになり、それが最初に爆発したのが昨年のEP『THE UNDERRATED YOUTH』かなと。なので、ヒップホップに苦手意識がある方はまず『THE UNDERRATED YOUTH』から聴いてみるといいかもしれません。6曲とコンパクトで、サウンド的なロック色もフルアルバム以上に濃いですしね。

 


▼YUNGBLUD『21ST CENTURY LIABILITY』
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2020年9月 9日 (水)

BRING ME THE HORIZON『OBEY (with YUNGBLUD)』(2020)

2020年9月2日に配信リリースされたBRING ME THE HORIZONの新曲。

今年6月26日に配信された「Parasite Eve」に続く新曲は、若干23歳のUKロックアイコン、YUNGBLUD(ヤングブラッド)とのコラボレーションナンバー。BMTHとYUNGBLUDの組み合わせって、そりゃ悪くなるわけがない! 1ヶ月くらい前に2組のコラボを予感させるやりとりがSNS上で繰り広げられたときから「もしや……?」と思っていました。

いざヒップホップやダブステップ以降の(広意義での)ロックを鳴らすYUNGBLUDと、モダンメタル/ラウドロック以降の「メタルの枠をぶち壊す」今をときめく存在のBMTHがタッグを組むことが明らかになると、そりゃ過剰に興奮するわけでして。情報が解禁されてからずっと音源の到着を楽しみに待ち続けたわけです。

「Parasite Eve」は昨年のアルバム『amo』(2019年)以降のエレクトロニックミュージックをベースにした路線ながらも、若干ヘヴィさを復調させた路線でしたが、今回の「Obey」は『amo』というよりもそれ以前の『THAT'S THE SPIRT』(2015年)をさらにブラッシュアップ/ビルドアップさせた、メジャー感の強いモダンなヘヴィミュージック路線が打ち出されています。正直、YUNGBLUDと組むならもっとヒップホップ側に舵を切っても不思議じゃなかったものの、やはり近代のロックスター同士が組むのなら派手なサウンド&楽曲が似合いますものね。個人的にも、そしてパブリックイメージ的にも非常に納得の仕上がりではないでしょうか。

……と、ここまで読むとこの「Obey」は『THAT'S THE SPIRT』以前に後退したと受け取られそうですが、音像自体は『amo』以降の質感が保たれており、あくまで『amo』や続く大作EP『Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO』(2019年)の延長から生まれたことは明白。つまり、これは後退ではなく「進化の過程で、いくつもある武器の中からひとつ選んだだけ」なのです。過去を捨てたり否定するのではなく、すべてを抱えて前進し続ける、それが今のBMTMではないでしょうか。

バンドは現在、今年から来年にかけて4作連続リリースを予定しているEP『POST HUMAN』シリーズを制作中とのこと。この「Obey」もその一環で完成したもので、レコーディングはゲームミュージック作曲家のミック・ゴードンらも加えて進行中のようです。ここまで期待を煽る新曲を定期的に届けられたら、『POST HUMAN』という新作にも無駄に期待が高まってしまいそうです。年末年始には第1弾が聴けるのかな……なんにせよ、今もっとも到着が楽しみな新作です。

 


▼BRING ME THE HORIZON『OBEY (with YUNGBLUD)』
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2020年9月 8日 (火)

STRYPER『EVEN THE DEVIL BELIEVES』(2020)

2020年9月4日にリリースされたSTRYPERの13thアルバム(1984年の『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』含む。オリジナル作品としては11作目)。日本盤は海外に先駆け、9月2日に発売されました。

前作『GOD DAMN EVIL』(2018年)完成後にペリー・リチャードソン(B/ex. FIREHOUSE)が加入し、同作を携えた来日公演でもバンドの充実ぶりを提示したSTRYPER。昨年はマイケル・スウィート(Vo, G)がソロアルバム『TEN』(2019年)を発表しましたが、バンドとしても2年半という比較的短いスパンで新作を届けてくれました。

ペリー・リチャードソンがレコーディングに初参加した本作は、近年のアルバムの延長線上にあるストレートなHR/HMサウンドを軸に、ヘヴィさとメロディアスさをバランスよくミックスした彼らなりの“王道”感を重視した1枚に仕上がっています。マイケルのハイトーンも比較的伸びが良いですし、ロングトーンでは以前よりも歪みのかかったシャウトも織り交ぜ、ヘヴィさを強調させることに成功しています。このへんも、過去のSTRYPERやソロ作品と同様です。

楽曲に関しても、序盤に「Blood From Above」や「Let Him In」のようなアップチューンを配置しているものの、全体的に印象に残るのは「Do Unto Others」のようなミドルナンバー。特にこの「Do Unto Others」は往年の名曲にも通ずる良質なメロディアスさが際立つ1曲で、本作におけるキーポイントになるのではないでしょうか。

後半には本作唯一のバラードナンバー「This I Pray」や、アナログシンセの音色が懐かしさかつ新鮮さを味わせてくれる「Invitation Only」(こちらも良曲!)など、前半よりもポップ度が高まっており、硬質な印象が強い近作の中でも比較的80年代後半に寄ったテイストを楽しむことができます。しかし、そんな流れから最後は攻撃的なファストチューン「Middle Finger Messiah」で締めくくるあたり、今のSTRYPERの姿勢が伝わってきます。このタフさこそ2000年代のSTRYPERだ、と言ってしまえばそれまでですが、個人的にはポップ&キャッチーな80年代後半の路線も捨てがたいので、もうちょっとポップ度を色濃くしてくれてもいいのになあ……と思ってしまいます。まあ贅沢な悩みですけどね。

日本盤にはバラード「This I Pray」のアコースティックバージョン(ドラムトラックを抜き取ったテイク)を追加収録。オリジナルバージョンが4曲前とアルバムの配置的に間隔がそこまで空いていないので、どうしても2度聴かされている感は否めませんが、これはこれで良いバージョンなのでオマケとしてはアリかな。この曲でしっとり終わる日本盤と、「Middle Finger Messiah」で硬派に締めくくる海外盤、印象はだいぶ変わりますが、僕は前者も捨てがたいなと思いました。

特にここ数作は平均点以上の作品を量産し続けているSTRYPER。そういった作品に安心感を持って触れてきたリスナーには、今作も文句なしに楽しめるはずです。

 


▼STRYPER『EVEN THE DEVIL BELIEVES』
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2020年9月 7日 (月)

KING'S X『FAITH HOPE LOVE』(1990)

1990年10月下旬にリリースされたKING'S Xの3rdアルバム。日本盤は同年11月末に発売されました。

1988年に『OUT OF THE SILENT PLANET』でAtlantic Recordsからメジャーデビューを果たしたKING'S Xでしたが、日本デビューは次作『GRETCHEN GOES TO NEBRASKA』(1989年)から(『OUT OF THE SILENT PLANET』は1992年に日本盤化)。つまり、今作は日本2作目のアルバムにあたります。ちょうど前作で日本メディアでも取り上げられる機会がちょっと増えたこともあり、この『FAITH HOPE LOVE』が発売される頃には「ミュージシャンズ・ミュージシャン」だとか「70年代の本格派ロックを現代に蘇らせる期待のバンド」みたいな切り口でその名が広まり始めていた記憶があります(いわゆるヘアメタル流行に対するカウンターという意味で、こういう紹介をされていたのでしょうね)。

僕が初めて触れたKING'S Xの作品もこの『FAITH HOPE LOVE』でした。トリオ編成、プログレ的テクニカルさ、適度なハードロック感といった前情報からRUSHのようなサウンドを想像していましたが、半分は正解で半分は間違えだったのかなと聴いて実感しました。プログレハード感は確かに随所に散りばめられているものの、それよりも際立つのが後期ビートルズにも通ずるサイケポップ感。ストレートなようで随所にひねくれ感が散りばめられたハードロックサウンドに、美しいハーモニーがキラリと光るサイケデリア、そして一度聴いたら耳から離れないキャッチーなメロディ、本作の武器はこれだなと。

時にハード&ヘヴィ、時に甘美、時に浮遊感の強いサイケにと緩急をつけながら進む本作には、ダグ・ピニック(Vo, B)のほかにタイ・テイバー(G, Vo)、ジェリー・ガスキル(Dr, Vo)がリードボーカルを務める楽曲も多く含まれており、それらの要素が全13曲/約62分という長尺な内容を飽きさせないものにしています。曲によってはタイトルトラック「Faith Hope Love」のように9分半にもおよぶ大作も用意されていますが、不思議と飽きることなく楽しめるんですよね。むしろ、10代だったリリース時に聴いたときよりも、だいぶ歳をとった今のほうが腰を据えて楽しめる、そんな奥深さを持つ1枚だと断言できます。

あと、このバンドが非常に興味深いのはクリスチャンバンドだということ。当時、HR/HM系でクリスチャンバンドというと(良くも悪くも)STRYPERのイメージが強かったですが、KING'S Xはそのイメージを前面に打ち出していなかったことも偏見なく触れられた大きな要因だったのかな。まあ『FAITH HOPE LOVE』というタイトルも、今思えば「なるほどな」と納得なんですけどね。まあ、このへんは蛇足ですけどね(特に我々のような人種にとっては)。

初期ENUFF Z'NUFF『ENUFF Z'NUFF』(1989年)『STRENGTH』(1991年)EXTREMEの3rdアルバム『III SIDES TO EVERY STORY』(1992年)あたりを好むリスナーには、ぜひ一度触れてもらいたいバンドであり、そのとっかかりに最適な1枚かと思います。

 


▼KING'S X『FAITH HOPE LOVE』
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«U.D.O. & Das Musikkorps der Bundeswehr『WE ARE ONE』(2020)

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