2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2020年4月1日更新)


【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】 【映画レビュー】

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2020年4月30日 (木)

2020年1月〜2月のアクセスランキング

ここでは2020年1月1日から2月29日までの各エントリーへのアクセス数から、上位30エントリーを紹介します。

内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いたトップ30。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2019年11〜12月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日更新/→1位)

2位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新/NEW!)

3位:CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)(※2019年6月19日更新/↑4位)

4位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新/Re)

5位:2019年総括:①洋楽アルバム編(※2019年12月31日更新/NEW!)

6位:BLOOD INCANTATION『HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE』(2019)(※2019年12月1日更新/↑20位)

7位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↑21位)

8位:THE OFFSPRING『AMERICANA』(1998)(※2018年9月7日更新/↑28位)

9位:LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020)(※2020年2月1日更新更新/NEW!)

10位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新/↓2位)

 

11位:2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編(※2019年12月31日更新/NEW!)

12位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↑25位)

13位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新/↓6位)

14位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/↓8位)

15位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN』(1984)(※2017年3月2日更新/Re)

16位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新/↓11位)

17位:OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)(※2020年2月22日更新/NEW!)

18位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新/↓9位)

19位:KISS THE FAREWELL TOUR JAPAN 2001@東京ドーム(2001年3月13日)(※2001年3月25日更新/↓3位)

20位:ANDY McCOY『THE WAY I FEEL』(2017)(※2018年4月12日更新/↓16位)

 

21位:2019年総括:②邦楽アルバム編(※2018年12月31日更新/NEW!)

22位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新/↓5位)

23位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓13位)

24位:RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)(※2017年7月21日更新/Re)

25位:ANNIHILATOR『BALLISTIC, SADISTIC』(2020)(※2020年2月2日更新/NEW!)

25位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新/Re)

27位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新/Re)

28位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新/Re)

28位:祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)(※2020年1月12日更新/NEW!)

28位:2019年総括:④楽曲編&印象的なライブ編(※2019年12月31日/↑29位)

28位:BLACK SABBATH『HEAVEN AND HELL』(1980)(※2020年1月26日更新/NEW!)

28位:SEPULTURA『QUADRA』(2020)(※2020年2月12日更新/NEW!)

2020年4月 1日 (水)

TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたTESLAのライブアルバム。日本盤未発売。

本作はTESLAが1990年に発表したライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から30周年を祝して、2019年6月12日にロンドンのAbbey Road Studioで行った公開ライブレコーディングを収めたもの。少数ながらも観客を入れて行われたスタジオライブの模様は4K収録され、ライブアルバムのみならずBlu-rayでも発売されています。

BON JOVIを筆頭とした「ハードロックバンドのアコースティック要素の強調」が広く行きわたり、『MTV Unplugged』の誕生および大ヒットを経て、TESLAもアコースティックライブを行い、それを録音&映像収録した『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』が大ヒット。同作からはFIVE MAN ELECTLICAL BANDのカバー「Signs」が全米TOP10入り(最高8位)も果たすなど、彼らにとって代表作のひとつと言っていい1枚です。

本作では『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』に収録された楽曲は5曲程度に抑え、最新アルバム『SHOCK』(2019年)からのナンバーや、『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』以降に発表された『PSYCHOTIC SUPPER』(1991年)や『INTO THE NOW』(2004年)といった「30年前に披露されていない楽曲」が大半を占める構成。チューニング(キー)も現在のスタイルに合わせて低く設定されており、最初こそ80〜90年代の楽曲(特に『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』でも披露されたナンバー)には多少の違和感を覚えるものの、「California Summer Song」や「Forever Loving You」といった『SHOCK』収録曲のアコースティック・バージョンの新鮮さに耳が慣れるとそこまで気にならなくなる……のでは? 何度か聴いていると慣れてきた自分に気づくはずです。

スタジオライブ収録ということで、30年前の『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』ほどの臨場感はないかもしれません。が、このバンドの場合はこういった肩の力が抜けた演奏が魅力のひとつだったりするので、これはこれでアリなのかなと思ったりして。それでも、「Into The Now」あたりに漂う緊張感もTESLAらしくて、こういうのもいいよね?と思ったりするわけですが。そういう、リラックスした中に突如訪れるスリリングさも意外と随所に散りばめられた1枚ではないでしょうか。

圧巻はやはりラストナンバー「Love Song」でしょうか。この曲に関してはアコースティクを通り越して、途中からエレキギターを多用して原曲に近いアレンジで演奏されてしますからね(笑)。で、感動的なエンディングを迎えたと思ったのもつかの間、最後の最後にレコーディング場所にちなんだカバー(フレーズ)も飛び出して、やっぱりユルく締めくくり。あ、そうか。『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から引き続き「We Can Work It Out」をセレクトしたのもそれが理由か(って、ここまで書けばおわかりかと思いますが、何を演奏したかはその耳でお確かめください)。

全米21位のヒットとなった最新オリジナル作『SHOCK』はUniversal Music経由でリリースされたにも関わらず、ここ日本では未発売。おそらくこのアコースティック・ライブ盤も余程のことがない限り、日本盤化されることはないでしょう(こんなご時世ですが、来日が決まるとかね)。だからこそ、海外盤CDやBlu-ray(リージョンフリーとのこと)を購入するとか、ストリーミングサービスで再生しまくるとかしてフォローしてあげたいものです。

 


▼TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』
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2020年3月31日 (火)

2020年3月のお仕事

2020年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※3月25日更新)

 

[紙] 3月25日発売「CONTINUE」Vol.64にて、『ゾンビランドサガ』特集内フランシュシュ 1万字座談会およびアニメ第2話レビュー、『ラブライブ!フェス』披露全楽曲レビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月25日、「リアルサウンド」にて乃木坂46インタビュー乃木坂46 高山一実&樋口日奈&中田花奈が語る、白石麻衣の卒業と変わりゆくグループの今が公開されました。

[WEB] 3月23日、「リアルサウンド」にて工藤晴香インタビュー工藤晴香が語る、『KDHR』に至る音楽遍歴とソロへの強い意志 「『バンドリ!』で今まで知らなかったことを知れた」が公開されました。

[WEB] 3月16日、「RedBull Japan」にて2016年公開のコラム日本を代表するラウドロック10選改訂版が公開されました。

[紙] 3月11日発売「ヘドバン Vol.26」にて、LOVEBITES asami 2万字インタビュー、FIVE FINGER DEATH PUNCHクリス・ケール インタビュー、オジー・オズボーン ディスコグラフィー、新譜ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月6日、「リアルサウンド」にてGALNERYUSライブ評GALNERYUS、現状維持ではなく最高を更新する 観る者を惹きつける技術と表現力の進化が公開されました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年4月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

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また、2月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2002号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

WHITE STONES『KUARAHY』(2020)

2020年3月上旬に発表されたWHITE STONESの1stアルバム。日本盤は約1ヶ月遅れ、同年4月上旬にリリース予定です。

このバンドはOPETHのベーシスト、マーティン・メンデスによるソロ・プロジェクトで、メンバーは彼のほかエロイ・ボウシェリー(Vo)、ジョルディ・ファッレ(Dr)という布陣。マーティンはベースのほか、ギターもプレイしており、ソロパートのみゲストとしてOPETHのフレドリック・オーケソンが担当しています(「The One」のみBLOODBATHやKATATONIAのメンバーだったパー・エリクソンがプレイ)。

デスメタル期であった1997年にOPETH加入という、ミカエル・オーカーフェスト(Vo, G)に次ぐバンド在籍歴を持つマーティン。ウルグアイ出身の彼はOPETH加入前もデスメタルバンドに在籍しており、当時はボーカルも担当していたんだとか。そんな経歴の持ち主の彼が、OPETHの12thアルバム『SORCERESS』(2016年)に伴うツアーを終えたあと、遊びでデスメタル・ナンバーを1曲制作。その勢いで数曲完成させると、当初はそれらを自身で歌うプロジェクトとしてこのアルバム制作に取り掛かり始めたそうです。

が、スペインのブラックメタル/デスメタルバンドVIDRES A LA SANGのシンガーであるエロイと出会ったことで、考えを一変。彼にボーカルのすべてを任せることで、WHITE STONESの大枠が完成することになります。

本作で展開されているサウンドは、スラッシュメタルやスピードメタルの延長線上にあるデスメタルではなく、ミドルテンポ中心のドゥーミーでグルーヴィーなスタイルがメイン。ギターも思ったより歪んでおらず、そういった要素が80年代後半以降のデスメタルというよりも、さらにルーツとなるBLACK SABBATHやその周辺の“プログレッシヴな展開を信条とした、ダークな嗜好のハードロックバンド”を彷彿とさせるものとなっています。

とはいえ、エロイのボーカルはデスメタルそのもので、容赦ないグロウルが全編で展開されています。無骨なバンドアンサンブルはときにプログレッシヴな展開を見せ、それらは2000年代前半のOPETHにも通ずるものがあるのではないでしょうか。「Rusty Shell」や「Guyra」「Ashes」などで聴けるツーバス連打で突き進むパートでは、まさにそういった風景が脳内に投影されますしね。

そんな楽曲の上に、フレドリックの流麗なギターソロが乗ると世界観が一変。この切り替わりの気持ち良さがハンパないんですよ。また、アームプレイを多用したパーのプレイもなかなかのものがあり、ゴツゴツしたサウンドとの対比が非常に面白いです。

1曲1曲が4分前後というコンパクトさも本作の聴きやすさに拍車をかけており、全10曲41分があっという間に感じられるはず。OPETHが包括するいち要素をピックアップし、別の形に仕立て上げたと捉えることもできる本作は、単なるデスメタル・アルバムとして以上の意味を持つ重要な1枚と言えるでしょう。

 


▼WHITE STONES『KUARAHY』
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2020年3月30日 (月)

STARMEN『WELCOME TO MY WORLD』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたSTARMENの1stアルバム。日本盤は1ヶ月遅れ、同年3月下旬に発売されました。

メンバー4人全員が顔を白塗り&4色の星をペイントしたSTARMENは、2018年の結成されたスウェーデンのハードロック/グラムロック・バンド。メンバーはスターメン・レッド(Vo, G)、スターメン・パープル(G, Vo)、スターメン・ゴールド(B, Vo)、スターメン・シルバー(Dr, Vo)……RAMONESというよりも日本の戦隊ヒーローのそれですね(笑)。ブルーやピンクを差し置いて、本来なら追加戦士であるゴールドやシルバーが最初からいる設定が海外っぽいですが(苦笑)、そこ含めてのチープさが嫌いじゃない。

“スターマン”といえばデヴィッド・ボウイ。白塗りに星のペイントといえばKISSポールス・スタンレー(あちらは“スターチャイルド”ですが)。このへんからもおわかりのとおり、彼らはKISSやボウイ、SWEET、アリス・クーパーなどのグラムロック/ハードロックへのリスペクトを体現したバンドであり、そのサウンドも上記3組のほかにDEF LEPPARDWHITESNAKEなどの80's組、WIG WAMやTHE POODLESといったゼロ年代以降のグラム・メタルを彷彿とさせるものがあります。

どちらかというと、産業ハードロックやグラム・メタルなのかな。僕が昨年彼らを知ったきっかけとなった「Ready To Give Me Your Love」なんて80年代前半のメタル化前後のKISSみたいだし(しかもひとりでポールとジーン・シモンズのパートを歌い分けたような歌唱スタイルも好印象)、オープニングの「Dreaming」もAOR調ハードロックの香りがプンプンしますしね。

なのに、そこまで歪みまくっていないけどソロになると弾き倒すギタースタイル、シャープなようで意外ともっさりもしているリズム隊など70年代のKISSっぽい部分も多く、要所要所に挿入されるハーモニーやコーラスもそういった要素を強めるファクターになっています(「Warrior」なんてまさにですよね)。そのへんは、スターメン・パープル以外の3人がKISSのトリビュートバンドに在籍していることも大きいのでしょう(パープル、メイク含めて無理してやらせれてるのかな。苦笑)

とはいえ、全体的にはアメリカン・ハードロックみたいなバカっぽさや破天荒さは皆無。マイナー調のキラーチューン「Warrior」やムーディなバラード「Stay The Night」からもおわかりのように、北欧のバンドらしい適度な湿り気と繊細さも至るところから感じられる、非常に高品質なポップ・メタル/グラム・メタルを堪能することができます。

バンドの雑なコンセプトをはじめ、ジャケットのアートワークやMVのチープさなど、どこを取ってもどインディーズからのリリースだとわかる点を含め、その微笑ましさが愛くるしいバンド。40代以上のおっさんリスナーにはど真ん中かもしれません(逆に10代〜20代のリスナーにはどう響くのか、ちょっと怖いですが)。上に挙げたアーティスト名にピンと来た方なら、間違いなく引っかかるものがあると思いますよ?

 


▼STARMEN『WELCOME TO MY WORLD』
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2020年3月29日 (日)

KVELERTAK『SPLID』(2020)

KVELERTAKが2020年2月中旬に発表した4thアルバム。日本盤未発売。

Roadrunner Records経由で2ndアルバム『MEIR』(2013年)、3rdアルバム『NATTESFERD』(2016年)と2作品を発表し、世界的知名度を上げることに成功した彼ら。2018年夏に前任シンガーErlend Hjelvikが、2019年にはドラマーのKjetil Gjermundrødが相次いで脱退するという大きな転換期を迎えましたが、新たにIvar Nikolaisen(Vo)、Håvard Takle Ohr(Dr)という新メンバーを迎え、Rise Records移籍第1弾となる3年9ヶ月ぶりの新作を完成させます。

キャッチーさを強めつつ、初期2作の混沌さから若干の落ち着きを見せた前作『NATTESFERD』は賛否分かれる作風でしたが、今作ではプロデューサーをニック・テリーから初期2作を手がけたカート・バルー(CONVERGE)へと戻して制作。それもあってか、初期の爆発感や破天荒さが若干戻ってきており、前作に苦手意識を持ってしまっていたリスナーを引き戻す効果もあるのではと思っています。

最初こそ新ボーカリストの歌声に若干の違和感を覚えますが、楽曲の熱量が上がるに連れてあまり気にならなくなるはずです。事実、僕自身2曲目「Crack Of Doom」で早くも気にならなくなっていましたから(笑)。

ちなみに、その「Crack Of Doom」ではMASTODONのトロイ・サンダース(Vo, B)をゲストボーカルに迎え、初の英語詞ナンバーに挑戦。もともとデス声やスクリームを多用することで言語的にはあまり気になっていなかったKVELERTAKですが(笑)、この哀愁味を強めた爆走ロックンロールナンバーでは良い意味での“聴きやすさ”が強まっており、それは耳馴染みの良い英語詞の響きと相まって、前作とはまた異なるキャッチーさを強めることに成功しています。

また、「Discord」ではCONVERGEやCAVALERA CONSPIRACY、CAVE INなどで活躍するネイト・ニュートン(B)もゲストボーカルで参加。タイトルからおわかりのとおり、こちらも英語詞ナンバーですが終始スクリームの嵐なので、「Crack Of Doom」ほど英語詞である強みは表れてないかな(苦笑)。曲中やエンディングにフィーチャーされたギターのハーモニーは相変わらず気持ち良いですけどね。

前作から長尺の楽曲が増え始め、曲数のわりにトータルランニングが長くなりだしましたが、本作もその傾向は続いており、全11曲で約58分と過去最長の仕上がりに。とはいえただ長いだけではなく、爆走ロックと70年代のクラシックロックが融合したような「Bråtebrann」や、80年代のスラッシュメタル的側面を強めた「Fanden ta Dette Hull!」、悲哀さに満ちたギターフレーズ&メロディとクリーントーンでのボーカルが不思議な世界へと誘う8分超えのプリグレッシヴな大作「Delirium Tremens」など新境地を見せる楽曲も含まれており、単に初期2作へ回帰するのではなく、過去を抱えつつも前進することを選んだバンドの強い意思が感じられる力作と言えるのではないでしょうか。

本作を聴いたあとに『NATTESFERD』へと戻っていくと、実は意外と無理なく楽しめることにも気づくはず。そういった意味では、前作での実験も見事に回収した、「第2期KVELERTAKの始まり(第1期KVELERTAKの総集編も含む)」を示す1枚と言えるでしょう。僕は大好きですよ、これ。

 


▼KVELERTAK『SPLID』
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2020年3月28日 (土)

BRKN LOVE『BRKN LOVE』(2020)

2020年2月中旬にリリースされた、BRKN LOVEの1stアルバム。日本盤未発売。

BRKN LOVE(Broken Loveと読むのでしょう)はカナダ・トロント出身のフロントマン、ジャスティン・ベンロロ(Vo, G)を中心にアメリカ・ロサンゼルスにて結成された4人組ロックバンド。昨年3月にメジャーのSpinefarm Records(Universal Music傘下)と契約した時点でジャスティンは21歳というその若さに驚かされますが、LED ZEPPELINを筆頭としたクラシックロックや、SOUNDGARDENやROYAL BLOODなど90年代〜テン年代のグランジ/オルタナティヴ・ロックをベースにしたストレートなハードロック・サウンドにも驚くのではないでしょうか。

海外メディアではすでに「SOUNDGARDENの再来」と騒がれているようですが、確かにジャスティンのルックスやカリスマ性はクリス・コーネルに通ずるものがあるように思います。サウンド自体もSOUNDGARDENの影響下にある、オルタナ経由のオーソドックスなハードロックですし。それに、現在の音楽シーンにおいてロックがここまで“オルタナティヴ”な存在になってしまったからこそ、新たなロックアイコンが必要なのも理解できます。

実際、年齢のわりに渋みを感じさせる、それでいて若さならではの躍動感もにじみ出た(と同時に適度なセンチメンタリズムの携えた)ロックナンバーの数々は僕個人としても大好物な部類ですし、現在までかなりの頻度でリピートしております。ただ、安直に「SOUNDGARDENの再来」と言い切ってしまうのは如何なものか?とも思うわけでして。「SOUNDGARDENの再来」と言い切るには、ちょっと多彩さに欠ける面も否めないんですよね。

デビューアルバムなので焦点を絞ったと言えばそれまでですが、SOUNDGARDENって結局「単なるツェッペリンの再来ではなく、80年代のアリーナロックに対するアンチテーゼ」的側面も大いにあったわけで、そこがあの当時のシーンにマッチしたと思うんです。ところが、このBRKN LOVEはここ数年のクラシックロック・リバイバルの潮流に乗って現れ、サウンドメイキングがここ5年くらいのオルタナティヴ・ロックをなぞったものである。つまり、メジャー感が強く、フォロワー的側面も非常に濃厚な存在なんですよ。

それ自体は決して悪いことではないですし、事実グランジ・ムーブメント真っ只中のシーンから(シアトルではなくロスから)STONE TEMPLE PILOTSというメガブレイクを果たすバンドも登場したくらいですから。そういった点では、このBRKN LOVEは「第二のストテン」的存在になってもおかしくないと思っています。実際、それくらいの魅力や才能は感じられますしね。

ただ、あの頃とまったく状況が異なりますし、そもそもロック自体が下火という世の中ですから、なかなか前途多難だと思います。それでも、こういう活きのいいバンドがメジャーから登場すると、ちょっとうれしいんですよ。まだまだ捨てたもんじゃないな、って思えるから。

衝撃は一切受けなかったけど、デビュー作としては平均点以上の出来。気づけばリピートしているという意味では、実は意外とスルメ度の高い1枚かもしれません。

 


▼BRKN LOVE『BRKN LOVE』
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2020年3月27日 (金)

THE CULT『CEREMONY』(1991)

THE CULTが1991年9月下旬に発表した、通算5作目のスタジオアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの、同年10月末にリリースされています。

3rdアルバム『ELECTRIC』(1987年)で時代の寵児、リック・ルービンをプロデューサーに迎えハードロック・バンドへの転化を成功させたTHE CULT。続く4作目『SONIC TEMPLE』(1989年)では、これまた当時の人気プロデューサーであるボブ・ロックを迎え、よりタフでファット&ヘヴィに進化したサウンド、楽曲でリスナーを惹きつけ、全英3位/全米10位という大成功を収めました。

大ヒット作『SONIC TEMPLE』から2年半を経て発表された今作は、プロデューサーを新たにリッチー・ズィトー(CHEAP TRICKHEARTBAD ENGLISHなど)へと変更。いわゆる産業ロック的サウンドを得意とする人選ですが、展開されているサウンドそのものは『SONIC TEMPLE』の延長線上にある、より“深化”させたハードロックを楽しむことができます。

長年在籍したベーシスト、ジェイミー・スチュアートの脱退を経て、イアン・アストベリー(Vo)&ビリー・ダフィー(G)の2人体制で制作に臨み、リズム隊には前作にも参加のミッキー・カリー(Dr/ブライアン・アダムスなどでおなじみ)、キース・リチャーズのソロ作で知られるチャーリー・ドレイトン(B)を迎えてレコーディング。それもあってか、硬質なハードロックサウンドにも関わらず“ノリ”にしなやかさが加わっている印象を受け、聴きやすさという点においては前作以上のものがあります。

また、本作は全11曲で63分という長尺な作品で、5〜6分台の楽曲が中心。中には「White」のようにほぼ8分もある大作も含まれています。ミディアム〜スローな楽曲が大半ということもあり、これだけの長さになったのかな。オープニングの「Ceremony」からして6分半もあるのですが、このLED ZEPPELIN的な空気感/リズム感を持つヘヴィチューンで大体の雰囲気は掴めるはずです(前作の延長線上にあるという点において)。続く「Wild Hearted Son」も前作における「Fire Woman」的な作風ですし、「Earth Mofo」みたいなアップチューンも「If」のようにエモーショナルな泣メロナンバーも「Heart Of Soul」のように壮大さを持つ歌モノ・ミドルナンバーも含まれている。ただ、これらがすべて良い意味でカッチリ作り込まれすぎていないナチュラルさを放っているおかげで、前作の二番煎じでは終わらない新鮮味を感じながら楽しむことができるのです。

チャート的には全英9位/全米25位と前作から数字を落としていますが、アメリカでは100万枚超えと前作並みのセールスを残しています。音楽的な充実度という点においては、実は本作こそが“ハードロックバンド”THE CULTのピークだったのかな、と。HR/HMからグランジへとシフトしていく時代の間に産み落とされた、今こそじっくり聴くべき1枚です。

 


▼THE CULT『CEREMONY』
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2020年3月26日 (木)

THE MISSION『CHILDREN』(1988)

1988年2月初頭にリリースされたTHE MISSIONの2ndアルバム。日本盤は少々遅れ、同年5月下旬に発表されました。

1stアルバム『GODS OWN MEDICINE』(1986年)、活動初期に発表したEP収録曲をまとめたコンピ盤『THE FIRST CHAPTER』(1987年)に続いて制作された本作は、プロデューサーに元LED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズを迎え、ゴシック・テイストを残しつつも少々硬質化させたサウンドが時代にフィットしたこともあり、全英2位という好成績を残しています。さらに、「Tower Of Strength」(全英12位)、「Beyond The Pale」(同32位)というヒットシングルも生まれており、個人的には1stアルバムに並ぶ代表作のひとつと思っております。

いわゆる80年代的なニューウェイヴがかった、薄皮1枚被せたようなどんより感と、メジャーシーンで活動するバンドらしいキラキラ感も散りばめられた、“ちょうどいい塩梅”のハードさとポップさを併せ持つゴシックロックは、僕らのようなハードロック耳のリスナーにも十分親しめるもの。80年代はまだ賛否分かれたところでしょうけど、何周もして、いろんな要素を飲み込んで勢力を拡大させてきた今のヘヴィロック/ハードロック・シーンに片足を突っ込んだ人なら、間違いなく受け入れられやすい内容だと思います。

そりゃあイマドキのゴシックメタルなどと比べたら音は薄っぺらいですし、ボーカルも弱々しいかもしれません。が、そういったジャンルのルーツと考えれば十分に楽しめる作品ですし、むしろジョン・ポール・ジョーンズらしいオーケストレーションが加えられたアレンジの数々、ウェイン・ハッセイ(Vo, G)による哀愁味の強いボーカルは2000年代以降のゴシックメタル、ゴシックパンクを愛聴するリスナーにこそ聴いていただきたいなと。

また、「Heaven On Earth」や「Tower Of Strength」で鳴り響くパーカッション、および全体的に漂うトラッド色はツェッペリンにも共通するものがありますし、AEROSMITHの原曲をよりゴシック色豊かかつ壮大にバージョンアップさせた「Dream On」のカバーなど含め、クラシックロックをベースに深化したニューウェイヴのひとつの進化する道として、オーソドックスなハードロック・リスナーにも触れてほしい1枚です。

にしても、10代の頃はここまで好意的に受け取ることができなかった本作。単純に「Dream On」のカバー目当てで手を出したものの、ほかの曲にはそこまで惹きつけられなかったんだよな。ところが、大人になった今では「Beyond The Pale」や「A Wing And A Prayer」「Kingdom Come」「Child's Play」など、聴きどころ満載なことに気づかされるわけですから(「Child's Play」なんて完全にメタルファン向けの1曲ですものね)。改めて、「いろんなジャンルに触れてから昔苦手だったものに再び手を出すと、意外とイケたりする」の、大事ですね。

 


▼THE MISSION『CHILDREN』
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2020年3月25日 (水)

MYRKUR『FOLKESANGE』(2020)

MYRKURが2020年3月下旬に発表した3rdアルバム。日本盤未発売。

ここ日本でも一部メディアを中心に、大きな注目を集めた前作『MARERIDT』(2017年)。女性シンガー/アーティストのアマリエ・ブルーンによるブラックメタルとヨーロッパ民謡/ダークフォークをミックスさせたスタイルは、ブラックゲイズ以降のメタル/ラウドロックの新たな潮流に目が向いていた層のみならず、80年代のゴシックロックやポジパン好きにも高く評価されました。

2年半ぶりに発表されたこの新作は、前作にあったヨーロッパ民謡の要素を前面に押し出した作風で、デンマーク、ノルウェー、ドイツ出身のメンバーで構成されたネオフォーク・バンドHEILUNGのメンバー、クリストファー・ジュールとの共同作業で制作。レコーディングにスウェーデンの民族楽器ニッケルハルパ、古代ギリシャの竪琴ライアー(リュラー)、マンドラといった楽器を用いた、北欧の伝統的なフォークミュージック(民族音楽)を追求した1枚です。

聴いておわかりのとおり(いや、ジャケットのアートワークを観ておわかりのとおり、と言ってもいいかも)、本作ではブラックゲイズなどメタリックな要素は完全に払拭されています。メタル系アーティストの系譜でMYRKURに触れてきたリスナーにはそこで評価が大きく二分されるかもしれませんが、本サイトでも過去に取り上げてきたWARDRUNAチェルシー・ウルフあたりの近作にも通ずる作風なこともあり、意外と昨今の流れに敏感な方ならすんなり入っていける内容ではないかと思っています。

アマリエの美しい歌声が全編にわたりフィーチャーされたこのスタイルは、聴く者を存分に癒してくれるはず。Kulningと呼ばれる「北欧などで日中放牧されている家畜を、高山の牧草地から呼ぶ出すために使われる放牧コールおよび歌」もふんだんに取り入られており、それが我々人間にも心地よく響いているのかな、と。いわゆる古典を彼女なりに、現代的に昇華させたものが本作だと考えると、この荒んだ現代(苦笑)にこういった作品が発表されるのは必然だったのかもしれません。

もちろん、MYRKURは今後もこのスタイルを押し通すことはないと思います。あくまで、この時点でトライしておきたかったことが本作というだけで、前作のようなスタイルに戻るかどうかは別として、今後もさらに進化したダークフォークに取り組んでいくことでしょう。逆に、こういったスタイルを追求したあとだからこそ、再びヘヴィなサウンドと導入した際にどんな化学反応を起こすのかは、個人的にも楽しみなところです。

四六時中ヘビロテするような内容ではありませんが、心も体もどうにも言うことを聞かないとき、あるいは不安で押しつぶされそうな夜にふと聴きたくなる。そんな“心の隙間”を埋めてくれる“お薬”のようなアルバムかもしれませんね。

 


▼MYRKUR『FOLKESANGE』
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2020年3月24日 (火)

DECKARD『DREAMS OF DYNAMITE AND DIVINITY』(2003)

2003年に発表されたDECKARDの2ndアルバムにして最終作。日本盤未発売。

本作は当初、オフィシャルサイトから購入可能な限定商品でしたが、2004〜5年頃から一般流通が開始。現在は各デジタル音源販売サイトおよびストリーミングサービスにて手軽に聴くことができます。

BABY CHAOSからDECKARDへと改名し、満を辞してのデビューアルバム『STEREODREAMSCENE』(2000年)をメジャーのReprise Recordsから発表したものの、大したプロモーションを受けることもなくすぐに契約終了。それからしばらくしてこの2作目の制作に取り掛かったものの、バンドは本作をリリースすることなく2002年に活動休止。メンバーはそれぞれの道を歩むことになります。

この2作目のプロデュースを手がけたのは、メンバーのクリス・ゴードン(Vo, G)。基本的な作風は前作の延長線上にある、良い意味でアメリカナイズされたパワーポップ。ですが、穏やかさの中にもキラキラしたメジャー感がにじみ出ていた前作とは異なり、全体的にどことなくダークさが漂っているのが大きな特徴かもしれません。

もちろんどの曲も非常に練り込まれた、完成度の高いナンバーばかりなのですが、なんとなく“突き抜け”感が足りないような……良い意味で受け取れば、BABY CHAOS時代の魅力が復調していると見ることもでき、「Holy Rolling」を筆頭に(アレンジや演奏面で)ハードロック的な色合いが戻ってきているのはその影響もあるのかなと思いました。

一方で、悪い意味で受け取るとならば……せっかくアメリカに渡ったのに、レーベルからは思ったようなサポートを受けられず、あげくリリースから間もなく契約解除。そういったネガティブな要素が作品にも暗い影を落とした……そう考えられなくもないのかなと。

本来彼らが持ち合わせていた要素の復活と、状況がままならない不安。これらが複合的に作用して、この空気感を生み出した……だとしたら、こういう作品こそ多くのリスナーのもとに行き届くようにして「ダークだけどカッコいいじゃん。あれ、前にも1枚出してるの? だったら聴いてみようかな?」と思わせることもできたはずなのに。悪い状況はいつになっても復調することなく、結果としてバンドは事実上の解散へと向かうわけです。

事実、僕自身このアルバムがリリースされていることを知ったのはかなりあとになってからで、当時まだ生きていたDECKARDのオフィシャルサイトでダウンロード購入して「もっと早くに聴いておくべきだった!」と思ったくらいですから。

結果として、2013年にBABY CHAOSが再結成したおかげで、DECKARD時代の2作品も「歴史のひとつ」として受け取れるようになりましたので、あのまま埋もれずに本当によかったです。『STEREODREAMSCENE』ほどの鉄壁さはないものの、影の要素を強めたこの作風もかなりクセになるはず。『STEREODREAMSCENE』を気に入った方、BABY CHAOSの近作から彼らを知ったというリスナーにもぜひ触れてもらいたい1枚です。

 


▼DECKARD『DREAMS OF DYNAMITE AND DIVINITY』
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2020年3月23日 (月)

BABY CHAOS『APE CONFRONTS COSMOS』(2020)

2020年3月初頭にリリースされたBABY CHAOSの4thアルバム。日本盤未発売。

1998年にDECKARDへと改名し2002年に解散。そこから11年を経て、2013年にBABY CHAOS名義で再結成を果たした彼らは、2015年に同名義では『LOVE YOUR SELF ABUSE』(1996年)から19年ぶりの新作となる3rdアルバム『SKULLS, SKULLS, SKULLS, SHOW ME THE GLORY』(2015年)をリリース。同作は日本盤もリリースされ、一部マニアの間で喜ばれました。

5年ぶりの新作となる本作の制作には、“5人目のメンバー”としてアラン・イーストン(G, Cho)が全面参加。トリプル・ギター編成となった彼らですが、90年代のBABY CHAOS〜DECKARDの流れを汲んだパワーポップ/ハードロック・サウンドとひねくれたメロディ&アレンジを随所に織り込んだ楽曲は本作でも健在。むしろ、『SKULLS, SKULLS, SKULLS, SHOW ME THE GLORY』以上にそのへんの魅力がブラッシュアップされた印象を受けます。

オープニングの「Out Of The Blue」でストレートなパワーポップ感を提示したかと思えば、続く「The Wild Beast」では英国バンドらしい“ひねくれ”感、ストレンジ感を散りばめた豪快なハードロックを聴かせてくれる。かと思えば、「You Won, You Won」ではパワフルなビートを強調させた“ゼロ年代以降”のガレージロック色を漂わせ、「I Belong In Battle」では音響処理が印象的なアコースティック・ソングを響き渡らせる。そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!という“痒いところに手が届く”楽曲群が次々と繰り出される構成は、さすがの一言です。

クリス・ゴードン(Vo, G)は本作に対し「過去3作とは大きく異なる挑戦に取り組んだ」と発言していますが、本当にそのとおりの内容です。事実、1曲1曲の個性が良い意味でバラバラなのは、もしかしたらこれまで以上と言えるでしょう。しかも、どの曲もしっかりBABY CHAOSらしさを維持しつつ、高い完成度を追求している。それにより、想像以上に高品質のロックアルバムに仕上がっていますし、むしろ“2020年のポップシーン/メインストリームで語られるべき”1枚と断言できるほどの内容なんじゃないかと言いたくなる。いや、本当に。

日本ではまだその傾向は見えていませんが、海外ではすでにギターロックはオルタナティヴな存在になってしまっている。しかも本作は、どマイナーなインディーズからのリリース。注目したくてもその機会がほぼ皆無な現状ですが、ハードなギターが鳴り響き、ポップで甘いメロディが乗せられたロックナンバーに一度でも心が揺さぶられたことがあるリスナーなら、間違いなく響く1枚だと思います。

 


▼BABY CHAOS『APE CONFRONTS COSMOS』
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2020年3月22日 (日)

DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたDEF LEPPARDの最新ボックスセット。

今年2020年にアルバムデビュー40周年を迎えたDEF LEPAPRDがこれを記念して、デビュー前夜の1979年から世界的メガヒット目前の1981年までの3年間に焦点を当てた5枚組ボックスセットを制作。1stアルバム『ON THROUGH THE NIGHT』(1980年)、2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』(1981年)のリマスター音源に加え、1980年4月26日のオックスフォード公演を収めた未公開ライブアルバム『WHEN THE WALLS CAME TUMBLING DOWN - LIVE IN OXFORD』(DISC 3)、インディーズから発表した『THE DEF LEPPARD E.P.』(1979年)を筆頭に同時期のシングル収録音源(カップリング曲含む)や未公開だったデモ音源を含むDISC 4『TOO MANY JITTERBUGS - B-SIDES AND RARITIES』、1980年のレディング・フェス出演のライブテイクやBBC Radio Oneで放送されたスタジオ・ライブ音源をまとめたDISC 5『RAW - EARLY BBC RECORDINGS』という貴重な音源/楽曲をたっぷり楽しむことができます。

リマスター化された『ON THROUGH THE NIGHT』と『HIGH 'N' DRY』に関しては、2018年に発表された最初のボックスセット『THE COLLECTION: VOLUME ONE』で使用された音源と同じものかなと。初期のCD音源と比較すれば格段に音が良くなっており、ともに迫力の違いが感じられるはずです。

ここで特に注目しておきたいのがDISC 3のオックスフォード公演のライブアルバムでしょう。今やさまざまな時期のライブ音源/アルバムが手に入るDEF LEPPARDですが、デビュー初期のライブアルバムがこういう形で正式リリースされるのはこれが初めてのこと。聴いてもらえばご理解いただけると思いますが、こんなに綺麗な形で録音された音源がなぜ今まで正式に発表されることがなかったのか、本気で理解に苦しみます(笑)。ぶっちゃけ、あとから録音し直したんじゃないの?ってくらい今の耳で聴いてもそのクリアさ、迫力は商品化にふさわしい内容だと思いました。

公演時期(1stアルバム発売から1ヶ月後)からもおわかりのように、演奏されている楽曲は『ON THROUGH THE NIGHT』収録曲が中心。というか、全収録曲(11曲)がすべて披露されております。ですが、このライブCDに収められているのは16曲。つまり、5曲が『ON THROUGH THE NIGHT』未収録曲ということになります。その内訳は、『THE DEF LEPPARD E.P.』のみに収録された「Ride Into The Sun」、シングル「Hello America」のカップリング曲「Good Morning Freedom」といった既発曲に加え、翌年発売の『HIGH 'N' DRY』に収録されることになる「Lady Strange」、本作で初公開となる「Medicine Man」「When The Rain Falls」……後者3曲は、当時ライブでしか聴くことができなかった貴重な楽曲ということになるわけです。

「Lady Strange」は大まかなアレンジはほぼアルバムテイクと同様ですが、コーラスが入らないところなどスタジオテイクとの細かな違いを見つけることができるはずです。で、問題なのが「Medicine Man」「When The Rain Falls」の2曲。これ、聴いてもらえばわかると思いますが、前者が「Rock! Rock! (Till You Drop)」(3rdアルバム『PYROMANIA』収録)、後者が「Let It Go」(2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』収録曲)の元ネタなのです。ぶっちゃけギターリフ以外は完全に別モノなので、のちの新作時にメンバー発かプロデューサー発でボツにされ、リフだけを生かして別の曲を作ったということなんでしょう。歌メロは完全に初期のDEF LEPPARDそのものなのですが、のちの完成版と比べるとメロディの抑揚やキーなどの違いに驚くはずです。個人的には「Medicine Man」のイントロ〜メインリフのもっさり加減がツボだったりします(笑)。

DISC 4にはシングルのみで発売された「Wasted」「Hello America」のニック・タウバー・プロデュース版、同じくニック・タウバーが手がけた「Rock Brigade」と「Glad I'm Alive」のアーリー・バージョン(後者は未発表曲かな)という貴重なテイクを収録。「Let It Go」や「Switch 625」「Bringin' On The Heartbreak」の各シングル・エディットというレア・テイクも楽しむことができます。

さらに、DISC 5のBBC音源集も1979年6月および同年10月という、1stアルバム制作前のスタジオ・ライブ音源を聴くことができるので、のちのスタジオ盤やライブ音源と聴き比べてみると面白いのではないでしょうか。さらに、1980年8月のレディング・フェスの音源も聴きどころのひとつ。ここでも「Medicine Man」や「Lady Strange」といった当時の未発表曲が披露されているので、この頃のバンドにとっては気合いの入った新曲だったのかもしれませんね。

『PYROMANIA』以降のレア音源はCD再発時のデラックス盤や『HYSTERIA』(1987年)ボックスセットなどで小出しにされてきたので、あれ以上のものは出てこないと思うので、こういった“作品として楽しめる”ボックスセットはこれが最初で最後かもしれませんね。あとは……ライブ音源か。これはもっとありそうな気がするので、忘れた頃にリリースしてくれるとうれしいかも(笑)。

 


▼DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』
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2020年3月21日 (土)

DIZZY MIZZ LIZZY『ALTER ECHO』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたDIZZY MIZZ LIZZYの4thアルバム。

2009〜10年の単発復活を経て、2014年に本格的な再結成を果たした彼らは、2016年に約20年ぶりの新作『FORWARD IN REVERSE』をリリース。本国デンマークではデビューアルバム『DIZZY MIZZ LIZZY』(1994年)以来となるチャート1位を獲得し、好意的に受け入れられした。

あれから4年ぶりに発表された本作は、前作で見せた“従来のDIZZY MIZZ LIZZYらしさ”と“20年の積み重ねて得た音楽的進歩”の程よいブレンド感が、良い意味で後者側へと振り切った意欲作に。とはいうものの、同じメンバーが作っているのだから当然のように“らしさ”は至るところから感じ取ることができますし、むしろティム・クリステンセン(Vo, G)がこの声、この節回しで歌えばしっかりDIZZY MIZZ LIZZYとして成立するのですから、違和感のようなものは皆無だと思います。

確かに、オープニングの「The Recochet」や全5楽章で構成された組曲「Amelia」の最終楽章「Part 5: Alter Echo」がインストナンバーで飾られるという異色の構成は気になるものの、思えばその前兆は前作の後半パートに見え隠れしていたわけなので、突然こんなことを始めました的な驚きはないはず。それよりも、前作で見せた新境地がいよいよ本格稼働し、90年代からの続きを良い意味で表現した『FORWARD IN REVERSE』以上に“ナウ”な彼らが凝縮されているのではないでしょうか。

いわゆるアップテンポの楽曲はないに等しい作風で、歌モノの1曲目にあたる「In The Blood」からして重々しい空気感を放っている。けれど、ティムの歌うメロディはDIZZY MIZZ LIZZY以外の何者でもないわけですから、このインスト流れのオープニングからも「いよいよ本格的に新章に突入した」ことがう伺える。以降も同じようなテンポ感で、アレンジで味付けを変えながらグイグイと聴き手を惹きつけ続ける。昨年秋にリードトラックとして先行配信された5曲目「California Rain」までたどり着くと、そのディープな世界観にどっぷりハマってしまっている自分に気づくはずです。

そこから、後半5曲が計23分にもわたる組曲「Amelia」。もちろん1曲1曲を単独で楽しむことも可能ですが、ここはぜひ5曲続けて(いや、アルバムまるまる46分)途切れることなく向き合ってもらいたい。ティムが往年のプログレから影響を受けていることはデビューアルバムの時点からなんとなく想像できましたし、特にその傾向が前作あたりから強まっていることも理解できました。そういう意味では、本作は作家性とアーティスト性が絶妙なバランスで共存する、奇跡の1枚なのではないでしょうか。

個人的にはラストのインスト「Part 5: Alter Echo」で余韻に浸って終わりたいところですが、日本盤のみこのあとにボーナストラックとして「Madness」という楽曲が追加されています。正直、このエンディングのあとに歌モノ曲が追加されたらアルバムの世界観台なしだな……そう思っていたのですが、いざ届けられたボートラを聴くと、アルバムのエピローグ的な、泣きのミドルチューンだったりするもんだから、非常にベストな形でアルバムにもうひとつのエンディングを加えてくれたことに気づく。うん、この終わり方も全然アリだ。

配信版での「Part 5: Alter Echo」終わりがベストっちゃあベストですが、この日本盤フィジカルでのラストも捨てがたい。要するに、気になる人はCDも買って、ストリーミングでも楽しめってことです(笑)。

4月末には本作を携えた一夜限りの来日公演も控えていますが、このご時世ですから無事敢行されるのかどうか……。せっかくなのでアルバムまるまる、この曲順どおりに演奏してもらいたいところです。

 


▼DIZZY MIZZ LIZZY『ALTER ECHO』
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2020年3月20日 (金)

DAVID ELLEFSON『SLEEPING GIANTS』(2019)

MEGADETHのベーシスト、デヴィッド・“ジュニア”・エレフソンが2019年7月中旬に発表した初のソロアルバム。日本ではボーナストラックを多数追加して、2020年3月下旬に発売されました。

これまでもF5やMETAL ALLEGIANCEといったプロジェクトへの参加、ANTHRAXのフランク・ベロ(B)とのバンド・ALTITTUDES & ATTITUDEなどがありましたが、純粋なソロアルバムはMEGADETHとして『KILLING IS MY BUSINESS… AND BUSINESS IS GOOD!』(1985年)でデビューして以来初めてのこと。大佐(デイヴ・ムステイン)の咽頭がん発症などもあって、2019年は年初にALTITTUDES & ATTITUDEのアルバム『GET IT OUT』、夏にこのソロアルバムと活発な課外活動が続きました。

ですが、ジュニアのビジネス・パートナーであるトム・ハザートとの共同作業で完成した本作は、実は純粋なオリジナルアルバムというわけではありません。本作のために制作されたスタジオ録音新曲(リミックス含む)やそのデモ音源、そしてF5の未発表デモ音源から構成されたもので、完成度や音質の違いこそあれど、ジュニアのカラーが色濃く表れた、非常に聴き応えのある内容に仕上がっています。

ジュニアは本作のスタジオ音源では歌っておらず、ベースとソングライティングに専念。基本はトム・ハザートが歌っていますがが、曲ごとにさまざまなゲストボーカルもフィーチャーされており、例えば「Sleeping Giants」ではRUN D.M.C.のDMCが、「Hammer (Comes Down)」ではエリック・A.K.(FLOTSAM AND JETSAM)の歌声も聴くことができます。また、これらの楽曲ではアディショナル・ボーカルとしてロン・“バンブルフット”・サール(SONS OF APOLLO、ex. GUNS N' ROSES)やコリー・グローヴァー(LIVING COLOURULTRAPHONIX)の名前も見つけることができます。

さらにデモ音源ではありますが、「If You Were God」ではジョン・ブッシュ(ARMORED SAINT、ex. ANTHRAX)がそのパワフルな歌声を響かせており、ALTITTUDES & ATTITUDEに続いてここでも“MEGADETH meets ANTHRAX”なコラボレーションを堪能できます。このほかにもデヴィッド・グレン・アイズレー(Vo/ex. GIUFFRIAなど)やマーク・トレモンティ(G/ALTER BRIDGE、CREED)、デイヴ・マクレイン(Dr/SACRED REICH、ex. MACHINE HEAD)、そしてMEGADETHの初代ギタリストでもあるクリス・ポーランドなどといった豪華な布陣との共演を楽しむことができるはずです。

ELLEFSON名義によるオリジナル曲は、どこか初期〜中期(90年代前半)のMEGADETHを彷彿とさせる曲調、スタイルで懐かしさと新鮮さを同時に楽しめるものばかり。ここ最近のMEGADETHにはない“何か”が確実にここには存在しており、その違いは何なのかといろいろ考えるきっかけにもなりそうです。と同時に、あのMEGADETHのスタイルは何も大佐だけのものではなく、ちゃんとジュニアの中にも脈々と受け継がれている(あるいは血として流れている)ということがはっきり確認できます。ぶっちゃけ、これらの曲を今のMEGADETHでやってくれてもいいのに……なんて思っちゃったりもしますが、けどそれも違うんでしょうね。

F5のデモ音源は音質的にまちまちですが、楽曲的には2000年代のモダン・ヘヴィネスの延長線上にあるものばかり。ぶっちゃけ、ソロ名義の楽曲と並んだときに違和感覚えるんじゃないかと不安でしたが、まったくそんなこともなく、むしろジュニアのソングライターとしての一貫性を再確認できるいい素材となりました。これ、ちゃんとスタジオレコーディングしてあげればよかったのにね。勿体ない。

日本盤のみ、初CD化となる「Vultures」「If You Were God」のライブテイクも収録。「If You Were God」ではトム・ハザートとジュニアのデュエット(笑)も楽しむことができる、貴重なテイクとなっておりますので、ぜひチェックしてみてください(全19曲と海外盤よりも4曲多いですし、「Vultures」のスタジオテイクはマックス・ノーマンMIXに差し替えられていますしね)。

でも、海外盤は海外盤で特別感のある2枚組仕様となっており、ジュニアが所属するレーベル・EMP / Combat RecordsのスペシャルサンプラーCD(全18曲入り)がDISC 2として付属。何気にこっちも聴き応えがあって、興味深い内容なのですよ(マーク・スローターのソロや、ジョー・ペリーがゲスト参加したCO-OPなど面白いテイク満載)。ジュニアの曲だけ聴きたいって人は少々お高い日本盤を、おまけが欲しいって人は輸入盤を購入してみてはいかがでしょう。

 


▼DAVID ELLEFSON『SLEEPING GIANTS』
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