2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2020年4月9日更新)


【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】 【映画レビュー】

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2020年4月30日 (木)

2020年1月〜2月のアクセスランキング

ここでは2020年1月1日から2月29日までの各エントリーへのアクセス数から、上位30エントリーを紹介します。

内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いたトップ30。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2019年11〜12月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日更新/→1位)

2位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新/NEW!)

3位:CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)(※2019年6月19日更新/↑4位)

4位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新/Re)

5位:2019年総括:①洋楽アルバム編(※2019年12月31日更新/NEW!)

6位:BLOOD INCANTATION『HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE』(2019)(※2019年12月1日更新/↑20位)

7位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↑21位)

8位:THE OFFSPRING『AMERICANA』(1998)(※2018年9月7日更新/↑28位)

9位:LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020)(※2020年2月1日更新更新/NEW!)

10位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新/↓2位)

 

11位:2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編(※2019年12月31日更新/NEW!)

12位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↑25位)

13位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新/↓6位)

14位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/↓8位)

15位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN』(1984)(※2017年3月2日更新/Re)

16位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新/↓11位)

17位:OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)(※2020年2月22日更新/NEW!)

18位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新/↓9位)

19位:KISS THE FAREWELL TOUR JAPAN 2001@東京ドーム(2001年3月13日)(※2001年3月25日更新/↓3位)

20位:ANDY McCOY『THE WAY I FEEL』(2017)(※2018年4月12日更新/↓16位)

 

21位:2019年総括:②邦楽アルバム編(※2018年12月31日更新/NEW!)

22位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新/↓5位)

23位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓13位)

24位:RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)(※2017年7月21日更新/Re)

25位:ANNIHILATOR『BALLISTIC, SADISTIC』(2020)(※2020年2月2日更新/NEW!)

25位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新/Re)

27位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新/Re)

28位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新/Re)

28位:祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)(※2020年1月12日更新/NEW!)

28位:2019年総括:④楽曲編&印象的なライブ編(※2019年12月31日/↑29位)

28位:BLACK SABBATH『HEAVEN AND HELL』(1980)(※2020年1月26日更新/NEW!)

28位:SEPULTURA『QUADRA』(2020)(※2020年2月12日更新/NEW!)

2020年4月のお仕事

2020年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※4月5日更新)

 

[WEB] 4月5日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション連載Code Orange、オジー・オズボーン、5FDP、In This Moment……良作続きのメタル/ラウドシーンで注目すべき7作が公開されました。

[紙] 4月3日発売「日経エンタテインメント!」2020年5月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[紙] 4月1日発売「ぴあ Movie Special 2020 Spring」にて、乃木坂46齋藤飛鳥×山下美月×梅澤美波インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

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また、3月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2003号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2020年4月10日 (金)

RIOT『THE PRIVILEGE OF POWER』(1990)

1990年2月にリリースされたRIOTの7thアルバム。

トニー・ムーア(Vo)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr)など新メンバーを迎え、起死回生の前作『THUNDERSTEEL』(1988年)で劇的な復活を果たしたRIOT。マーク・リアリ(G)、ドン・ヴァン・スタヴァン(B)という編成で制作したこのアルバムは日本で高い評価を受け、1989年12月には待望の初来日公演が実現(来日前にベーシストがスタヴァンからピート・ペレスに交代)。その際にセカンドギタリストとしてマイク・フリンツ(G)が加入し、初期の楽曲を再現可能なツインギター編成が再び完成します。

この来日前に制作していたのが、この『THE PRIVILEGE OF POWER』というコンセプチュアルな作品集。全10曲で58分という当時としては比較的長めのアルバムは、良い意味で前作を踏襲しつつも、バンドとしての新たな挑戦も多数詰め込まれた1枚です。

レコーディング自体はムーア、リアリ、スタヴァン、ジャーゾンベクという『THUNDERSTEEL』と同じ編成で実施。それに加え、本作には豪華なゲストプレイヤーが多数参加していることでも当時話題になりました。そのメンツもジョー・リン・ターナー(Vo)というHR/HM界隈から、T.M.スティーヴンス(B)、G.E.スミス(G)、ジェイムズ・“ブラッド”・ウルマー(G)などジャズ/ファンク畑のプレイヤー、さらにはTOWER OF POWERなどのブラスセクションまで……「えっ?」って人選ですよね。

コンセプトアルバムということで、本作には曲間に長めのSEが多々挿入されています。オープニング「On Your Knees」からしてすぐには始まりませんし、1曲終わると間にテレビのニュース番組みたいなナレーションが挿入されて、すぐ曲に入らない。かと思えば、「Killer」みたいにゴージャズなホーンセクションが後ろで鳴ってる曲まであるんですから(苦笑/ジョー・リン・ターナーとのツインボーカルは最高なんですけどね)。

本作と前後して、EXTREMEがファンクメタルというスタイルでブレイクを果たし、「Get The Funk Out」のようにブラスをフィーチャーした楽曲で支持を集めますが、別にRIOT自身はファンクをやっているつもりもなければ、単純に味付けとしてブラスを入れただけ。楽曲自体はストレートなパワーメタルだし、リズムも跳ねていませんし。だからこそ、当時このアルバムを聴いて困惑したんですよ、「え、何がやりたいの?」って。

HR/HMが多様化した現在ならこういう作風も理解できますし、曲間のSEさえ気にならなければ1曲1曲のカッコよさや完成度の高さを素直に楽しむことができると思います。「Dance Of Death」や「Black Leather And Glittering Steel」のスピードメタル感も「Runaway」や「Maryanne」の叙情的スタイルも最高ですし。ですが……「Storming The Gates Of Hell」のラッパ……お前だけは解せないんだ(苦笑)。進軍ラッパを表現しているんでしょうけど、挿入の仕方含めて気の抜けた法螺貝みたいで……うん。曲自体は本当にカッコいいんですけどね。

もしSEなしのバージョンとか存在したら、もしブラスなどの装飾を排除した“Nakedバージョン”が存在したら……このアルバムの評価、もっと違ったはずなんですよ。いや、今となってはこれはこれで全然ありなんですけど。個人的には最後まで真顔で聴き通すのが難しい1枚です。

 


▼RIOT『THE PRIVILEGE OF POWER』
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2020年4月 9日 (木)

TESTAMENT『SOULS OF BLACK』(1990)

1990年10月にリリースされた、TESTAMENTの4thアルバム。

3rdアルバム『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(1989年)が全米77位まで上昇し、まずまずの成功を収めることができたTESTAMENTは、その成功を維持しようと、前作の成功を踏襲した作品作りに短期間で臨みます。しかし、単に前作を模倣するのではなく、プロデューサーをアレックス・ペリアラス(S.O.D.、NUCLEAR ASSAULT、OVERKILLなど)からマイケル・ローゼン(FORBIDDEN、LAAZ ROCKIT、MORDREDなど)へと変更。マイケルはミックスまで含め手がけていますが、サウンド的には前作をより抜けの良いものへと進化(いや、退化か?)させたものになっています。

進化という点では、ギターのザクザク感に呼応するようなドラムの抜けの良さが軽やかさを強調しているところ。退化と書いたのは、その軽いドラムサウンドのせいでメタルバンドらしい重厚感が減退していることでしょうか。ちょうど同時期にMEGADETH『RUST IN PEACE』を、SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』を、ANTHRAX『PERSISTENCE OF TIME』を発表しており、それらの傑作たちと比較するとチープさは否めず。いわゆる“ベイエリア・クランチ”を意識した結果、どことなく中途半端な音作りで終わってしまったところは残念でなりません。

また、楽曲に関してもいわゆるスラッシュメタル的なスピードチューンよりも王道メタル的なアップチューン中心で、要所要所でミディアム/スロウナンバーも用意するという前作をなぞった作風。ですが、突出した楽曲は正直少なく、個人的にはタイトルトラック「Souls Of Black」とバラード「The Legacy」くらいかな。「Practice What You Preach」の二番煎じみたいな「Absence Of Light」も悪くはないけど、メロディがピンとこない。だからこそ、「Love To Hate」のようなどストレートなスラッシュナンバーが逆に活きてしまうという逆効果を生んでします。どこまでいってもちぐはぐさが拭えない、中途半端な1枚です。

早くも訪れた過渡期を経て、バンドは制作により時間をかけて次作『THE RITUAL』(1992年)を完成されるのですが、そこでは我々が思いもしなかった変化を遂げることになります。

……なんてネガティブなことばかり書いたけど、個人的にはこの時期のTESTAMENTは意外と印象に残っていて。なにせ、初めて観た彼らのライブがこのアルバムを携えたツアーでしたからね。生でいろいろ聴いたこともあって、実は嫌いになれないアルバムでもあるのでした。

 


▼TESTAMENT『SOULS OF BLACK』
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2020年4月 8日 (水)

TESTAMENT『TITANS OF CREATION』(2020)

TESTAMENTが2020年4月初頭にリリースした、通算12作目のオリジナルアルバム。セルフカバーアルバム『FIRST STRIKE STILL DEADLY』(2001年)を含めると、通算13枚目のスタジオ作品となります。

『THE FORMATION OF DAMNATION』(2008年)以降、『DARK ROOTS OF EARTH』(2012年)、『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』(2016年)とほぼ4年間隔で新作を発表し続けているTESTAMENT。今作も前作『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』から3年半というスパンを経て届けられています。特に直近の2作は全米12位(『DARK ROOTS OF EARTH』)、20位(『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』)と80〜90年代にも成し遂げることのできなかったチャートアクションを得られていること、またSLAYERの事実上解散、デイヴ・ムステイン(MEGADETH)のガンなどオールドスクール・スラッシュメタル・シーンにネガティブな話題が続いていたこともあり、TESTAMENTに対するリスナーの期待は少なからず大きなものがあったと思います。

そんな中、我々の手元に届けられた新作はチャック・ビリー(Vo)、エリック・ピーターソン(G)、アレックス・スコルニック(G)という全盛期メンバーにスティーヴ・ディジョルジオ(B)、ジーン・ホグラン(Dr)の元DEATHリズム隊が加わった、前作と同じメンバーで制作。ひたすらヘヴィで攻撃的という“ハードコアなTESTAMENT”を表現した前作から一転、今作ではいわゆる“オールドスクールなスラッシュメタル”が現代的なサウンドで展開されています。

例えば、前作は4分前後とコンパクトにまとめられた楽曲中心で、全10曲/45分という比較的スルスルと聴き進められる内容でしたが(ゴリゴリのヘヴィサウンドでしたので、これくらいの長さがちょうどよかったわけですが)、今回は全12曲で約60分。4〜5分台の楽曲中心という作風は一緒なのですが、80年代の彼らが持っていた“キャッチーさと怪しさが混在するメロディ”が復調しているのです。キャッチーさはチャックの歌メロにわかりやすく現れていますが、後者の怪しさはアレックスのギターフレーズによるものが非常に大きく、随所で大々的に用意された長尺のギターソロは「これぞTESTAMENT!」と膝を叩きたくなるくらいに往年の彼らをイメージさせるものばかりなのです。

楽曲自体もひたすら直線的に突き進むハードコア路線とは異なり、複雑な展開を要する80年代的なスラッシュメタルの王道パターンが復活。ミドルからファストへ、ファストからミドルへという構成や、その合間に挿入される不穏なギターソロや印象的なツインリード。中には6分超えの大作も用意されているのですが、それらに対して「長い!」と感じることなく、むしろすべてに対して「そうそう、これこれ!」と声高に叫びたくなるものなのです。

ドラマチックさすら感じられる「Children Of The Next Level」から始まり、いかにもTESTAMENTらしい怪しげな「Code Of Hammurabi」、激烈スラッシュチューン「Curse Of Osiris」でクライマックスを迎え、2分程度のインスト「Catacombs」で不穏さを残したまま幕を降ろす構成、まったく長いと感じませんでした。これ、TESTAMENTの集大成であると同時に彼らの最高傑作じゃないでしょうか。オールドスクール・スラッシュメタル、まだまだ捨てたもんじゃないよね。

最後に。日本盤のみ2017年2月の来日公演@TSUTAYA O-EASTをまるまる収録したライブアルバム同梱の初回限定盤も用意。これ聴いたら、また早く彼らのライブを観たくなるはず……。

ところが3月下旬、TESTAMENTとDEATH ANGELEXODUSのベイエリア・スラッシュバンド3組でヨーロッパツアーを行ったあと、チャックが新型コロナウイルス感染を発表。幸い現在は回復しているようですが、その余波は同じメンバーのスティーヴやDEATH ANGELのウィル・キャロル(Dr)、EXODUSのゲイリー・ホルト(G)にも広がっています。みんな、早く回復してまた元気な姿を見せてください……。

 


▼TESTAMENT『TITANS OF CREATION』
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2020年4月 7日 (火)

IN THIS MOMENT『MOTHER』(2020)

IN THIS MOMENTが2020年3月下旬に発表した7thアルバム。

2005年結成以来、紅一点のマリア・ブリンク(Vo)のパワフルかつ妖艶な歌声を軸にしたメタルコア/ゴシックメタル・サウンドで人気を拡大し続けている彼ら。メジャーのAtlantic Records移籍以降に発表した『BLACK WIDOW』(2014年)、『RITUAL』(2017年)ではブレント・スミス(SHINEDOWN)、ロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)をフィーチャーした楽曲が話題になったことも記憶に新しく、特に『RITUAL』ではフィル・コリンズのカバー「In The Air Tonight」も注目を集めました。

前作『RITUAL』から約3年ぶりとなる新作は、2ndアルバム『THE DREAM』(2008年)からタッグを組むケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンFIVE FINGER DEATH PUNCHDISTURBEDなど)がプロデュースを続投。出世作となった4thアルバム『BLOOD』(2012年)あたりから表出し始めたインダストリアル・メタルのテイストはより強固なものとなり、このバンドがストレートなヘヴィメタル/メタルコアを信条としていた初期のスタイルはもはや完全に過去のものになってしまったんだなと、ちょっと寂しさを覚えたりします。

まあ過去の思い出に浸っても意味がないので、新作の話題を続けます。ミディアム/スロウナンバーを軸に、エレクトロ/インダストリアル色を強めたゴシックメタル・サウンドはもはやこのバンドの大きな武器と呼べるものであり、そういった楽曲群に乗せられたキャッチーなメロディもさらに磨きがかかっている。ぶっちゃけ、ここで展開されている歌/音/メロディって今のメタルシーンにおいて王道と呼べるものだと思うんです。ゼロ年代こそオルタナティヴな存在だったIN THIS MOMENTが、テン年代に発表した過去3作で得た経験を最高の形で昇華させた、2020年代のスタートにふさわしい新たなスタンダード。それが本作『MOTHER』という傑作ではないでしょうか。

時にパワフルに歌い上げ、時に気怠さを表現するマリアの歌唱法は、もはやスクリームで攻撃性をプッシュしていた過去と完全に決別しているし、むしろそういったスクリームは味付け程度に使われるのみ。うん、それでいいんだと思います。

フィーチャリング・ボーカルの採用やカバー曲のピックアップなど、前作でN成功をそのまま踏襲している点も本作の注目点。カバー曲として選ばれたのがQUEEN「We Will Rock You」という手垢つきまくりの1曲なのは当初「?」でしたが、その曲をリジー・ヘイル(HALESTORM)、テイラー・モムセン(THE PRETTY RECKLESS)の女帝3人で歌い分けると知り、妙に納得。うん、それなら全然あり! で、これがまたカッコいいわけですよ(ボーカルパフォーマンスが)。

サウンドによる直接的な激しさを求めるリスナーには刺激が足りないかもしれませんが、ボーカルワークで感情に訴えかける激しさが表現されているという点においては、本作は志向の1枚だと断言できます。ロックやメタルがチャート的に衰退気味な今、こういう作品こそ広く親しまれてほしいと願っております。

 


▼IN THIS MOMENT『MOTHER』
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2020年4月 6日 (月)

PEARL JAM『GIGATON』(2020)

2020年3月末にリリースされたPEARL JAMの11thアルバム。

彼らの新作発売は2013年10月発売の前作『LIGHTNING BOLT』以来、実に6年半ぶりのこと。ここ最近は4年くらい感覚が空くことが続いていたけど、約7年というのは思った以上に長いスパンでして。その間、バンドはツアーをしたりライブ作品『LET'S PLAY TWO』を発表したり、マット・キャメロン(Dr)はソロアルバム『CAVEDWELLER』(2017年)をリリースしたりなどの活動がありましたが、やっぱり長かったよね。

ブレンダン・オブライエン(STONE TEMPLE PILOTSRED HOT CHILI PEPPERSRAGE AGAINST THE MACHINEなど)の手を離れ、新たにジョシュ・エヴァンス(THUNDERPUSSYSOUNDGARDEN、エース・フレーリーなど)とタッグを組んで制作された本作は、良い意味でマンネリ感の続いたここ数作を打破するような、若干のフレッシュさを感じらせる意欲的な内容に仕上がっています。

まず、リードトラックとなったM-3「Dance Of The Clairvoyants」を初めて聴いたとき、誰もがその変化に驚いたのではないでしょうか。ニューウェイヴ色の強まった質感とアレンジは、確かに過去の彼らのサウンドにも包括されていたものですが、このタイミングにここまであからさまな形で表現するのか、しかも7年ぶり新作のリードトラックとして……と良い意味で期待を裏切ってくれました。

アルバム自体は肩の力が抜けたロックチューン「Who Ever Said」から始まり、キャッチーなメロディが印象的な「Superblood Wolfmoon」、そして新境地の「Dance Of The Clairvoyants」、ヘヴィ&グルーヴィーな「Quick Escape」へ。意外とバラエティに富んだ構成なんですよね。

その後、彼ららしいムーディーなースローナンバー「Alright」へと続くのですが、この曲もアレンジ(サウンドメイキング)が新鮮で、このへんの味付けの妙は新プロデューサーの手腕によるものなんでしょうか。「Seven O'Clock」のアレンジも興味深いし(楽曲のテイスト自体はいつもどおりなんですが)、7年空いたことでリフレッシュされたのかなど含め非常に気になります。

アルバム後半は「Never Destination」「Take The Long Way」を筆頭に、タイトなロックチューンが並びます。このへんは従来のPEARL JAMファンが喜びそうな楽曲・構成かな。そんな中、ほぼアコギのみで構成された「Comes Then Goes」をはじめとするスローナンバーも充実しており、エディ・ヴェダー(Vo)の成熟しまくったボーカルを思う存分味わうことができます。

アレンジ面での斬新さが要所要所に散りばめられることで、“PEARL JAMらしい楽曲”に新たなフックを与えることができた本作。ある意味では“いつもどおり”安心安全の内容なんだけど、ここからの10年(2020年代)に向けて新たなステップを踏み出したと捉えることができるんじゃないかな。これはまだほんの序章にすぎないんだろうな、と“これから”が楽しみになる1枚です。

 


▼PEARL JAM『GIGATON』
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2020年4月 5日 (日)

ALICE IN CHAINS『SAP』(1992)

ALICE IN CHAINSが1992年2月に発表した4曲入りEP。日本盤は海外からだいぶ遅れ、初来日公演に合わせて1993年10月下旬に初リリースされました。

1stアルバム『FACELIFT』(1990年)のツアーを終えたバンドは、キャメロン・クロウ監督による映画『シングルス』のために新曲を制作することになりスタジオ入り。ここで翌1992年初夏に発表される「Would?」(のちに2ndアルバム『DIRT』にも収録)や、『DIRT』収録曲の「Rooster」、そしてこの『SAP』収録曲を含む10曲前後のデモが完成します。バンドはこの機会を無駄にすることなく、1991年11月に再びスタジオ入り。PEARL JAMのデビューアルバム『TEN』(1991年)を手がけたばかりのリック・パラシャーとともに、4〜5日でこのEP収録曲をレコーディングしたのでした。

“樹液”を意味するタイトルの本作(アルバムジャケットが、まさに樹液を採取する様を表現したものです)は、まさにバンドの根幹となる歌に焦点を当てた楽曲が並び、それらをシンプルなアコースティックサウンドで表現するという、その後のALICE IN CHAINSにとって必要不可欠なスタイルがここでひとつ完成します。

レコーディングには同郷シアトル出身のHEARTからアン・ウィルソンがゲスト参加。またSOUNDGARDENクリス・コーネルMUDHONEYのマーク・アームといった気心知れた仲間たちも加わり、リラックスした環境の中で制作されたことが伺えます。

アン・ウィルソンはオープニングトラック「Brother」で主張の強い歌声を響かせ、ジェリー・カントレル(G, Vo)が初めてリードボーカルを担当した「Am I Inside」でも美しいコーラスを聴かせてくれます。また、クリス&マークが参加した「Right Turn」はALICE IN CHAINS、SOUNDGARDEN、MUDHONEYの合体ということで“ALICE MUDGARDEN”名義による楽曲となり、それとわかるボーカルを耳にすることができます。

アコースティック主体といいながらも、「Got Me Wrong」では適度に歪んだギタープレイも楽しむことがで、その不穏なメロディ運び含め、続く『DIRT』や『JAR OF FLIES』(1994年)への布石を見つけることができるはず。たった4曲しか収録されていないものの、実はバンドの歴史上非常に重要な作品ではないかと思っています。

なお、本作のCDではラストナンバー「Am I Inside」終了後にお遊びナンバー「Love Song」を隠しトラックとして収録しています。こちら、Apple Musicなどでは単独楽曲として聴くことができますが、Spotifyでは未収録。できれば配信版でも隠しトラックとして通してほしかったですね。

 


▼ALICE IN CHAINS『SAP』
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NIRVANA『NIRVANA』(2002)

2002年10月下旬にリリースされた、NIRVANAのベストアルバム。日本盤は1週間ほど遅れて、同年11月初旬に発売されました。

1994年4月のカート・コバーン逝去後、『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』(1996年)という2枚のライブ作品が発表され、ともに全米1位を獲得。特に前者はオリジナル作品と並ぶほどのセールス(全米のみで800万枚)を記録しました。とはいえ、これら2作品はライブアルバム。前者はMTVで放送されたものを音源化したもので、後者はライブ・コンピレーション作品ということで、スタジオ音源の未発表楽曲はこれまで発表されていませんでした。

ところが、2000年代に突入してからカートが亡くなる直前に行われたレコーディング・セッション(1994年1月)の音源の扱いについて、ボックスセットの一部として発表したいデイヴ・グロール&クリス・ノヴォセリック側とシングル・ディスクのベスト盤収録曲として売り出したいコートニー・ラヴ側とで揉め始めます。結局、コートニー側の主張が認められて2002年秋、シンプルに『NIRVANA』と題されたベストアルバムがリリースされ、未発表曲「You Know You're Right」が世に出ることとなるわけです。

そもそもNIRVANAはオリジナルアルバムを3枚しか発表していないし、いわゆるシングルヒットと呼べる楽曲も「Smells Like Teen Spirit」(全米6位)と「Come As You Are」(同32位)ぐらい。『NEVERMIND』(1991年)全曲に『BLEACH』(1989年)『IN UTERO』(1993年)からそれぞれ数曲ずつ追加すればそれでいいんじゃないかと思うのですが、カートの死から8年経ち、NIRVANAやグランジ・ムーブメントを知らない世代も増え始めた時期ということもあって、このベストアルバムは全米3位まで上昇、現在までに200万枚以上もの売り上げを残しています(思ったよりも売れてないのね)。

これまでに正式リリースされたオリジナルアルバム、ライブアルバム、およびコンピ盤『INCESTICIDE』(1992年)を所有している人にとっては、目当ては「You Know You're Right」ぐらい。あとはシングルのみで発表された「Been A Son」スタジオテイク(インディ盤「Blew」収録)と、「Pennyroyal Tea」のシングルミックスぐらいでしょうか。

その「You Know You're Right」は、いかにもNIRVANAらしい強弱のダイナミズムを効果的に用いたミドルナンバー。『IN UTERO』以降の流れを汲む楽曲で、適度なキャッチーさを備えた“らしい”1曲で、一応シングルカットもされ全米45位まで上昇しました。

以前はこれ1曲のためにCDを買うというカロリーの高さが気になりましたが、その後デジタル主流になったことで、この曲のみダウンロード購入したりストリーミングで手軽に聴くことができるようになりました。NIRVANA初心者は普通にオリジナルアルバムから手を出せばいいと思いますが、本作の日本盤にはボーナストラックとして「Something In The Way」と「Where Did You Sleep Last Night」の“MTV UNPLUGGED”バージョンが追加されているので、もしCD購入するなら日本盤をオススメします(ダウンロード&ストリーミング版はUS仕様なので、これら2曲は含まれていないので)。

 


▼NIRVANA『NIRVANA』
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2020年4月 4日 (土)

HEAVEN SHALL BURN『OF TRUTH AND SACRIFICE』(2020)

2020年3月後半にリリースされたHEAVEN SHALL BURNの9thアルバム。日本盤は同年4月初頭に発売されています。

ドイツ出身の5人組メタルコア/デスコア・バンドが前作『WANDERER』(2016年)から3年半ぶりに発表した本作は、初の2枚組アルバム。いや、HEAVEN SHALL BURNってここ数作は毎回ボーナスディスクを付けた複数枚組でアルバムを発表してたじゃん? 何を今さら? って思うファンも多いかもしれません。いま手元にある近作を確認してもても、7thアルバム『VETO』(2013年)にはライブアルバムが付いていましたし、前作『WANDERER』なんてカバー曲だけで構成されたボーナスディスク付き(さらに日本限定盤には別ミックスを収めたDISC 3が付いた3枚組仕様)でしたしね。

でも、今作はそれらの“おまけ”的な観点とまったく異なり、純粋な新作アルバム2枚で構成された内容なのです。つまり、9作目と謳っているものの、「9thアルバムと10thアルバムを同時リリース。別売りも出来たけど、こんなご時世だしまとめて1作品として出してやったぜ」的スタンスでひとまとめになったようなものなのです(半分冗談です)。

各ディスクに『OF TRUTH』(DISC 1)、『OF SACRIFICE』(DISC 2)と異なるタイトルが付けられた本作。それぞれ10曲、9曲(日本盤のみボーナストラック「Battle Of Attrition」追加で10曲)収録と、ガチなフルアルバム2枚から構成された本作は、“真実(=Truth)”と“犠牲(=Sacrifice)”をテーマに、現代社会における問題提起をヘヴィな楽曲でリスナーに届ける、ある種のコンセプトアルバムでもあるわけです。

本作には4〜5分台のコンパクトなメタルチューンから8分超のエピカルな大作まで、多様性に富んだ楽曲を多数収録。「Expatriate」「The Ashes Of My Enemies」(『OF TRUTH』収録)、「Weakness Leaving My Heart」(『OF SACRIFICE』収録)では生オーケストラをフィーチャーすることでドラマチックさを強めることに成功し、デジタル色を加えた「Übermacht」や「La Résistance」ではメタルコアという枠を飛び越えダンステイストが強まり(その色合いは、どこか同郷のRAMMSTEINのようでもあり)、8分半にもおよぶ長編ナンバー「The Sorrows Of Victory」はMANOWAR的なパワーメタルをメタルコア的観点から再構築したような勇ましさと壮大さも感じられます。

しかも、これだけ長い(トータル100分前後)作品にも関わらず、するする聴き進められてしまう。(良い意味で)偉大なるマンネリズムこそが魅力だと思っていたHEAVEN SHALL BURNが、ここまでバラエティ豊かな作品集を、しかも2枚組という形で発表する日が来るとは、正直夢にも思いませんでした。おそるべし。

そんな意欲作が、本国で初のチャート1位を獲得したというのも、また痛快じゃないですか。世の中が不安定で自宅待機することが続く今だからこそ、本作とじっくり(爆音で!)向き合ってもらいたいな(できれば、歌詞対訳が用意された日本盤で)。

 


▼HEAVEN SHALL BURN『OF TRUTH AND SACRIFICE』
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2020年4月 3日 (金)

TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』(2009)

2009年4月に発売されたTINTED WINDOWS唯一のオリジナルアルバム。日本盤は1ヶ月遅れでリリースされています。

TINTED WINDOWSはテイラー・ハンソン(Vo/HANSON)、ジェイムズ・イハ(G/THE SMASHIN PUMPKINS、ex. A PERFECT CIRCLE)、アダム・シュレシンジャー(B/FOUNTAINS OF WAYNE、IVY)、バン・E・カルロス(Dr/ex. CHEAP TRICK)という名うてのプレイヤー/ミュージシャンたちによって結成されたスーパーグループ。テイラーとアダムは90年代半ばから親交があり、またイハとアダムも各バンドのツアーなどで顔を合わせる機会が多く、2000年代に入ってからはイハがIVYのレコーディングに参加したり、共同でレーベルやスタジオを設立していました。そんな3人が意気投合し、それぞれが影響を受けた70〜80年代のパワーポップやニューウェイヴをモダンな形で表現するバンドとして結成されたのがこのTINTED WINDOWSでした。

彼らは大切なルーツのひとつであるレジェンド・CHEAP TRICKからバン・Eを迎え、アダム&イハのプロデュースで完成したのが本作。ボーナストラックを除く全11曲中、「Back With You」をイハ、「Nothing To Me」をテイラー、「Take Me Back」をテイラー&アダムが手がけ、残りの8曲すべてをアダムが単独で書き下ろしています。

HANSONが持つ突き抜けるようなポップネス、FOUNTAINS OF WAYNEのベースにあるオルタナティヴロック経由のパワーポップ感、そしてバン・Eを除く3人が多大な影響を受けたであろうCHEAP TRICKの香り。本作はそのすべてが凝縮された、終始ストレートに突き進むキャッチーなギターロックを堪能できる1枚と言えるでしょう。

FOWが持つカントリーテイストやCHEAP TRICKに備わっていたサイケデリック感は残念ながらここには含まれておらず(いわゆるハードロック的側面もだいぶ弱いかと)、どちらかというと「テイラー・ハンソンというフロントマンを、才能ある作曲家アダムが調理してみました」という印象が強い内容かもしれません。聴く人によってはそこに物足りなさを感じるかもしれませんが、個人的にはそこを抜きにしてもよく出来たパワーポップ/ギターロックアルバムだと断言したいな。だって、何度聴いて飽きがこないですからね。爆音で、気持ちよく楽しめる1枚です。

本作を携えた来日公演(2010年1月)にも足を運びましたが、当日は本作からの楽曲にTHE KNACK「Let Me Out」、BUZZCOCKS「I Don't Mind」のカバーを披露したことが特に印象に残っています。本作に参加したメンバーの各メインバンド、そしてカバーでピックアップしたバンド。ここにTINTED WINDOWSの本質があるのではないでしょうか。

テイラーは近年、TINTED WINDOWSは決して解散したわけではないと名言していましたが、結局2作目が制作されることなくアダムは新型コロナウイルスが原因で4月1日(現地時間)、この世を去りました。アダムといえばFOWかIVY、もしくは彼が手がけた映画『すべてをあなたに』の劇中曲「That Thing You Do!」が有名でしょうけど、僕的にはこのスーパーバンドも忘れたくないな……。

 


▼TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』
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2020年4月 2日 (木)

PARKWAY DRIVE『VIVA THE UNDERDOGS』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたPARKWAY DRIVEのライブアルバム。日本盤未発売。

PARKWAY DRIVEは2003年にオーストラリアで結成された5人組メタルコア・バンド。すでに6枚のスタジオアルバムを発表済みの、海外では高い人気を誇る存在で、ここ日本での評価との落差が非常に大きいバンドのひとつとしてマニアの間で知られているのではないでしょうか。事実、僕自身もなぜ彼らがここまで海外で支持されているのか、今日までいまひとつ掴めずにいますから。

そんなタイミングに発表されたこのライブアルバム。彼らの“リアル”な姿を知る/体感するにはうってつけの1枚ではないでしょうか。

本作は今年1月に1夜限定で公開された彼らの同名ドキュメンタリー映画のサウンドトラックとして制作されたもの。映画自体はバンドの15年におよぶ歴史を振り返るような内容とのことですが、このライブ盤にはその歴史におけるクライマックスと言える、2019年8月の『WACKEN OPEN AIR 2019』でのヘッドライン公演の模様が収められています。

彼らが出演したのはフェス最終日の8月3日、メインステージの最終アクトとして。歴史あるWACKENの、しかも30回目となる記念すべき年の大トリという大役を任されたPARKWAY DRIVE。これだけでも、彼らがヨーロッパ圏で絶大な人気を誇ることが伺えます。

アルバムには当日披露された全16曲のうち、厳選された11曲を収録。この時期、メンバーのジア・オコーナー(B)が膝を骨折しており、当日は車椅子に乗ってプレイしていたようです(その様子は、YouTubeで公開されている当日の映像からも確認できます)。

まあとにかく、客が歌う歌う。メロディアスなリードギターのフレーズや、エモいツインリードの数々を、それこそIRON MAIDENJUDAS PRIESTの名曲でファンがそうするように、会場にいる数万人のメタルヘッズたちが高らかに歌い上げる様がそのまま収めらているわけです。

楽曲自体は確かにメタルコアそのものなのですが、もともと2000年代初頭に登場した同系統のバンドってオールドスクールなメタルバンドをモダンに仕立て直した印象が強かっただけに、彼らの楽曲からもそういった匂いはプンプン漂っているわけです。そりゃあ嫌いになれるわけがない。現時点での最新オリジナルアルバム『REVERENCE』(2018年)なんて良い意味でメタルコアから脱却していますし、もはやゼロ〜テン年代を代表するメタルバンドのひとつとして、ここ日本でも高く評価されるべきでは……とライブ作品を聴いてより強く感じました。そういう意味でも、本作は入門編的な1枚としてうってつけではないでしょうか

また、本作には「Vice Grip」「The Void」「Shadow Boxing」という直近2作人に収録された楽曲をドイツ語で歌い直したスペシャルトラックを追加収録(タイトルもドイツ語に変換されています)。WACKENでのオーディエンスからの声援に対する、バンド側からお礼の意味が込められたプレゼントなんでしょうね。英語とは異なるドイツ語の勇ましい響きは、こういったメタルサウンドにホントぴったり。これはこれとして新鮮な気持ちで楽しめるはずです。

こういう作品を聴くと、日本人に彼らの魅力を伝えるにはやはり来日してライブを見せてもらうしかないんだろうな、と改めて思うわけです。そういった意味では、メタル系やパンク系を中心に扱うフェスやイベントでの招聘が一番なんでしょうけど……早く彼らが安心して日本を訪れることができる、平和な世の中になってほしいものですね。

 


▼PARKWAY DRIVE『VIVA THE UNDERDOGS』
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2020年4月 1日 (水)

TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたTESLAのライブアルバム。日本盤未発売。

本作はTESLAが1990年に発表したライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から30周年を祝して、2019年6月12日にロンドンのAbbey Road Studioで行った公開ライブレコーディングを収めたもの。少数ながらも観客を入れて行われたスタジオライブの模様は4K収録され、ライブアルバムのみならずBlu-rayでも発売されています。

BON JOVIを筆頭とした「ハードロックバンドのアコースティック要素の強調」が広く行きわたり、『MTV Unplugged』の誕生および大ヒットを経て、TESLAもアコースティックライブを行い、それを録音&映像収録した『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』が大ヒット。同作からはFIVE MAN ELECTLICAL BANDのカバー「Signs」が全米TOP10入り(最高8位)も果たすなど、彼らにとって代表作のひとつと言っていい1枚です。

本作では『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』に収録された楽曲は5曲程度に抑え、最新アルバム『SHOCK』(2019年)からのナンバーや、『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』以降に発表された『PSYCHOTIC SUPPER』(1991年)や『INTO THE NOW』(2004年)といった「30年前に披露されていない楽曲」が大半を占める構成。チューニング(キー)も現在のスタイルに合わせて低く設定されており、最初こそ80〜90年代の楽曲(特に『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』でも披露されたナンバー)には多少の違和感を覚えるものの、「California Summer Song」や「Forever Loving You」といった『SHOCK』収録曲のアコースティック・バージョンの新鮮さに耳が慣れるとそこまで気にならなくなる……のでは? 何度か聴いていると慣れてきた自分に気づくはずです。

スタジオライブ収録ということで、30年前の『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』ほどの臨場感はないかもしれません。が、このバンドの場合はこういった肩の力が抜けた演奏が魅力のひとつだったりするので、これはこれでアリなのかなと思ったりして。それでも、「Into The Now」あたりに漂う緊張感もTESLAらしくて、こういうのもいいよね?と思ったりするわけですが。そういう、リラックスした中に突如訪れるスリリングさも意外と随所に散りばめられた1枚ではないでしょうか。

圧巻はやはりラストナンバー「Love Song」でしょうか。この曲に関してはアコースティクを通り越して、途中からエレキギターを多用して原曲に近いアレンジで演奏されてしますからね(笑)。で、感動的なエンディングを迎えたと思ったのもつかの間、最後の最後にレコーディング場所にちなんだカバー(フレーズ)も飛び出して、やっぱりユルく締めくくり。あ、そうか。『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から引き続き「We Can Work It Out」をセレクトしたのもそれが理由か(って、ここまで書けばおわかりかと思いますが、何を演奏したかはその耳でお確かめください)。

全米21位のヒットとなった最新オリジナル作『SHOCK』はUniversal Music経由でリリースされたにも関わらず、ここ日本では未発売。おそらくこのアコースティック・ライブ盤も余程のことがない限り、日本盤化されることはないでしょう(こんなご時世ですが、来日が決まるとかね)。だからこそ、海外盤CDやBlu-ray(リージョンフリーとのこと)を購入するとか、ストリーミングサービスで再生しまくるとかしてフォローしてあげたいものです。

 


▼TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』
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2020年3月31日 (火)

2020年3月のお仕事

2020年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※3月30日更新)

 

[紙] 3月30日発売「月刊エンタメ」2020年5月号にて、欅坂46石森虹花×尾関梨香、井上梨名×関有美子インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 3月25日発売「CONTINUE」Vol.64にて、『ゾンビランドサガ』特集内フランシュシュ 1万字座談会およびアニメ第2話レビュー、『ラブライブ!フェス』披露全楽曲レビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月25日、「リアルサウンド」にて乃木坂46インタビュー乃木坂46 高山一実&樋口日奈&中田花奈が語る、白石麻衣の卒業と変わりゆくグループの今が公開されました。

[WEB] 3月23日、「リアルサウンド」にて工藤晴香インタビュー工藤晴香が語る、『KDHR』に至る音楽遍歴とソロへの強い意志 「『バンドリ!』で今まで知らなかったことを知れた」が公開されました。

[WEB] 3月16日、「RedBull Japan」にて2016年公開のコラム日本を代表するラウドロック10選改訂版が公開されました。

[紙] 3月11日発売「ヘドバン Vol.26」にて、LOVEBITES asami 2万字インタビュー、FIVE FINGER DEATH PUNCHクリス・ケール インタビュー、オジー・オズボーン ディスコグラフィー、新譜ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月6日、「リアルサウンド」にてGALNERYUSライブ評GALNERYUS、現状維持ではなく最高を更新する 観る者を惹きつける技術と表現力の進化が公開されました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年4月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

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また、2月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2002号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

WHITE STONES『KUARAHY』(2020)

2020年3月上旬に発表されたWHITE STONESの1stアルバム。日本盤は約1ヶ月遅れ、同年4月上旬にリリース予定です。

このバンドはOPETHのベーシスト、マーティン・メンデスによるソロ・プロジェクトで、メンバーは彼のほかエロイ・ボウシェリー(Vo)、ジョルディ・ファッレ(Dr)という布陣。マーティンはベースのほか、ギターもプレイしており、ソロパートのみゲストとしてOPETHのフレドリック・オーケソンが担当しています(「The One」のみBLOODBATHやKATATONIAのメンバーだったパー・エリクソンがプレイ)。

デスメタル期であった1997年にOPETH加入という、ミカエル・オーカーフェスト(Vo, G)に次ぐバンド在籍歴を持つマーティン。ウルグアイ出身の彼はOPETH加入前もデスメタルバンドに在籍しており、当時はボーカルも担当していたんだとか。そんな経歴の持ち主の彼が、OPETHの12thアルバム『SORCERESS』(2016年)に伴うツアーを終えたあと、遊びでデスメタル・ナンバーを1曲制作。その勢いで数曲完成させると、当初はそれらを自身で歌うプロジェクトとしてこのアルバム制作に取り掛かり始めたそうです。

が、スペインのブラックメタル/デスメタルバンドVIDRES A LA SANGのシンガーであるエロイと出会ったことで、考えを一変。彼にボーカルのすべてを任せることで、WHITE STONESの大枠が完成することになります。

本作で展開されているサウンドは、スラッシュメタルやスピードメタルの延長線上にあるデスメタルではなく、ミドルテンポ中心のドゥーミーでグルーヴィーなスタイルがメイン。ギターも思ったより歪んでおらず、そういった要素が80年代後半以降のデスメタルというよりも、さらにルーツとなるBLACK SABBATHやその周辺の“プログレッシヴな展開を信条とした、ダークな嗜好のハードロックバンド”を彷彿とさせるものとなっています。

とはいえ、エロイのボーカルはデスメタルそのもので、容赦ないグロウルが全編で展開されています。無骨なバンドアンサンブルはときにプログレッシヴな展開を見せ、それらは2000年代前半のOPETHにも通ずるものがあるのではないでしょうか。「Rusty Shell」や「Guyra」「Ashes」などで聴けるツーバス連打で突き進むパートでは、まさにそういった風景が脳内に投影されますしね。

そんな楽曲の上に、フレドリックの流麗なギターソロが乗ると世界観が一変。この切り替わりの気持ち良さがハンパないんですよ。また、アームプレイを多用したパーのプレイもなかなかのものがあり、ゴツゴツしたサウンドとの対比が非常に面白いです。

1曲1曲が4分前後というコンパクトさも本作の聴きやすさに拍車をかけており、全10曲41分があっという間に感じられるはず。OPETHが包括するいち要素をピックアップし、別の形に仕立て上げたと捉えることもできる本作は、単なるデスメタル・アルバムとして以上の意味を持つ重要な1枚と言えるでしょう。

 


▼WHITE STONES『KUARAHY』
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