2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2019年11月18日更新)


【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】 【映画レビュー】

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2019年12月31日 (火)

2019年9月〜10月のアクセスランキング

ここでは2019年9月1日から10月31日までの各エントリーへのアクセス数から、上位30エントリーを紹介します。

内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いたトップ30。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2019年7〜8月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日更新/NEW!)

2位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新/NEW!)

3位:MICHAEL SCHENKER FEST『REVELATION』(2019)(※2019年9月11日更新/NEW!)

4位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新/↓2位)

5位:ANDY McCOY『THE WAY I FEEL』(2017)(※2018年4月12日/↑23位)

6位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新更新/↑9位)

7位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE』(1989)(※2018年5月16日更新/↑16位)

8位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新/NEW!)

9位:PRINCE『BATMAN』(1989)(※2019年2月13日更新/Re)

10位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/↓6位)

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2019年11月30日 (土)

2019年11月のお仕事

2019年11月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※11月12日更新)

 

[WEB] 11月12日、「ぴあアプリ」にて乃木坂46秋元真夏インタビュー乃木坂46新キャプテン・秋元真夏が語る、WOWOWドラマの裏側と後輩たちへの想いが公開されました。

[WEB] 11月8日、「リアルサウンド」にてTHE PINBALLS古川貴之インタビューTHE PINBALLS 古川貴之の人生に影響を与えた4作品とは? ルーツから浮かぶ根底にある想いが公開されました。

[紙] 11月2日発売「日経エンタテインメント!」2019年12月号にて、=LOVE齊藤なぎさ、≠ME冨田菜々風の各インタビュー欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」構成を担当しました。(Amazon

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また、10月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1910号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2019年11月19日 (火)

PRETTY MAIDS『UNDRESS YOUR MADNESS』(2019)

PRETTY MAIDSが2019年11月初頭にリリースした、通算16作目のスタジオアルバム。

前作『KINGMAKER』(2016年)から3年ぶりの新作に当たりますが、前作制作中にバンドに正式加入したクリス・レイニー(G, Key)を初めて迎えた、ロニー・アトキンス(Vo)、ケン・ハマー(G)、レネ・シェイズ(B)、アラン・ソーレンセン(Dr)、クリスという5人編成での最初で最後の作品となります(というのも、リズムトラック録音後にドラムのアランがバンドを脱退してしまったため)。

ここ10年ほど、アルバム制作に携わっているヤコブ・ハンセン(DIZZY MIZZ LIZZY、VOLBEAT、AMARANTHEなど)がプロデュースを担当していることもあり、安心・安定のPRETTY MAIDS節炸裂しまくりの1枚。彼らに一度でもハマったことがあるリスナーなら、間違いなく楽しめる良作だと思います。

老いを感じさせないロニー・アトキンスのパワフルなボーカルと、その彼が歌うからこそ映えるグッドメロディ、ケン・ハマーのメロディアスでフラッシーな“らしい”ギタープレイ、キーボード兼セカンド・ギタリストを正式に迎えたことで、アレンジ含めて深みが加わったような印象を受ける、とにかく聴きどころの多い1枚。アルバム中盤に「If You Want Peace (Prepare For War)」といったアップテンポのメタルアンセムが1曲あるのみで、本当にミドルテンポの楽曲中心ですが、不思議と飽きが来ないのは各曲の完成度の高さがすべてを物語っているような気がしませんか?

個人的にはメジャーキーの「Firesoul Fly」や「Will You Still Kiss Me (If I See You In Heaven)」「Shadowlands」のような楽曲から受けるポジティブなイメージが、今このバンドが良好な状態にあることの象徴のように受け取れます(とかいって、ドラム抜けちゃったけど)。

あと、バラードが良いですね。先の「Will You Still Kiss Me (If I See You In Heaven)」や本編ラストを飾る「Strength Of A Rose」のような楽曲を説得力をしっかり持たせて表現できるのは、今の彼らならでは。もはや誰も、今の彼らに「Please Don't Leave Me」の幻影を求めたりはしないでしょう(はい僕ですね)。

ちなみに、日本盤にはオープニングトラック「Serpentine」のオーケストラ・バージョンをボーナストラックとして追加収録。こっちを本編に入れたらよかったのに……と思うほど良好な仕上がりなので、ぜひ聴き比べてみてはいかがでしょう。

これといって新鮮さもないし斬新な新境地も見受けられない、オールドスクールな正統派ヘヴィメタルですが、こういうバンドが30年以上にわたり活動を続けてくれているからこそ、今もシーンが続いており、血気盛んな若手が好き放題やれる。すべてはバランスなんですよね。これを素直に「良いね」「好き」と言い切れる自分でよかった。

2019年を代表する1枚……とは言わないまでも、ひたすら大音量で楽しみたい極上のヘヴィメタル作品です。

 


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2019年11月18日 (月)

ESKIMO CALLBOY『REHAB』(2019)

2019年11月初頭にリリースされた、ESKIMO CALLBOYの5thアルバム。前作『THE SCENE』(2017年)から約2年ぶりの新作となります。

前作での整理整頓された“進化”は本作でも拍車がかかっており、順調な形でバンドとして成長を重ねていることが伺えます。特にこのバンドは初期の頃、チャラさを売りにしていたところもあったと思うのですが、そのへんが前作あたりで希薄になりはじめ、本作では影を潜めているように思います。そこを良しと取るか否かで、このバンドに対する評価も少し変わってくるのかもしれませんね。

個人的には、前作でそのチャラ要素を消し始めたことで、このバンドならではの“絶対的な個性”が薄らいだ印象を受けたんですね。メロディセンスは相変わらず抜群ですし、そこで戦っていこうという前向きな意思も感じられたのですが、逆にそこだけで戦うにはロックバンドとして没個性すぎるんじゃ……とも思ったわけです。

では、この『REHAB』というアルバムでそこが完全に解消されたのかと言われると、答えはYESでもありNOでもあるのかな。

メロディセンスに磨きがかかり、またバンドアンサンブルの方向性的にも脱メタルコア、脱ポストハードアを図ることで、よりメインストリーム寄りのサウンド/楽曲へと近づいた。ここに彼らがどこで戦おうとしているのか、その強い意思が感じ取れるはずです。実際、その完成度の高さはかなりのものがありますしね。

そう、アルバムとしての完成度は前作以上なんですよ、このアルバム。EDMを通過したメタル/ラウドロック、さらにそこからメインストリームのポップシーンへと接近した作品としては一級品だと思うんです。1曲1曲のコンパクトさ、スルスルと聴き進めてしまう“聴きやすさ”は過去イチですし。

では、そういった高品質なクオリティを維持することで、彼らは新たなバンドのコア……“これ”という個性を見つけ出すことができたのか。残念ながら、このアルバムを聴く限りではESKIMO CALLBOYならではの“これ”に、今回も気づくことができませんでした。ちょっと言い方は悪いですが……優等生すぎて、ぶっちゃけ「これ、誰がやっても良くないかい?」と思ってしまうわけです。ゴメンなさい、言い過ぎですね。

きっと、ほんのひとひねりだと思うんですよ。それができるかできないか、すべてはそこで決まってくる。だけど、彼らはまだそこを模索している最中……だけど、このままクオリティの高いアルバムを作り続けることで、彼らは必ず“これ”というものを見つけてくれるはず。だって、これだけ最高なアルバムを作ってくれたんですから。

常にこれだけ期待させてくれるという意味では罪作りなバンドですが、この先現状よりも大きなブレイクを果たすことで、間違いなくさらに上を目指せるバンドだと信じているので、今はこの良作を素直に楽しんで、彼らの“爆発”を今か今かと待ちたいと思います。

 


▼ESKIMO CALLBOY『REHAB』
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2019年11月17日 (日)

SODOM『AGENT ORANGE』(1989)

1989年6月に発売された、SODOMの3rdアルバム。本作が日本デビュー盤にあたり、本国発売から4ヶ月遅れの同年10月に前作『PERSECUTION MANIA』(1987年)と併せてリリースされています。

KREATORDESTRUCTIONとともに“ジャーマン・スラッシュ三羽ガラス”なんて呼ばれてきたSODOMですが、ほかの2組と比べると日本ではマニアックな印象が強いイメージがあります(って、自分が勝手に持っているだけかしら)。

とはいえ本作はリリース当時、西ドイツ(ええ、東西ドイツ統一前の作品ですから)のナショナルチャート37位にランクインし、10万枚以上のセールスを記録。この手のバンドとしては破格の成功を収めています。

当時のメンバーはトム・エンジェルリッパー(Vo, B)、フランク・ブラックファイア(G)、クリス・ウィッチハンター(Dr)という布陣。ファミリーネームがブラックメタルチックといいますか……実際、本作における彼らのサウンドはスラッシュメタル的に変幻自在なアンサブルと、トムのメロディを無視して吐き捨てるようなボーカルが特徴なわけで、特に後者はブラックメタルのそれにも通ずるものがあります(というか、ごく初期のSLAYER的ともいいますが)。

アルバムタイトルの“エージェント・オレンジ”とはベトナム戦争で米軍が用いた枯葉剤のことで、猛毒を含んでいたことから化学兵器と捉えることもできます。実際、本作のタイトルトラックは同枯葉剤や地上攻撃機AC-47に魅せられたトムが書き下ろしたもので、サウンドの攻撃性と相まってSLAYER「Angel Of Death」にも通ずる残虐さや冷徹さが伝わってきます。うん、80'sスラッシュメタルの名曲中の名曲。

そのほかの楽曲もとにかくアグレッシヴで、ミドルテンポでまったりした印象の「Magic Dragon」ですら途中からいきなりアホほどテンポアップしますから(しかもなんの予兆もなく、いきなり)。かと思えば、MOTÖRHEADを彷彿とさせる爆走ナンバー「Ausgebombt」があったり(思えばベースボーカルのトリオ編成はMOTÖRHEADまんまだし)、TANKのカバー「Don't Walk Away」があったりと終始飽きさせない構成。知的に計算されたアレンジのようで、実はそこまで考えられていない唐突さ。勢いのみで作っちゃった感が強いのに、実はいろいろ細かなところまで考えられている。そんな不思議な魅力を放つ本作は、間違いなくSODOMの代表作と断言できる1枚です。

サウンドプロダクション的には90年代以降、もしくはここ10年くらいの作品が数歩勝りますが、この狂気にはそれ以前の作品もそれ以降も叶わないし超えられない。KREATOR『EXTREME AGGRESSION』(1989年)、DESTRUCTION『RELEASE FROM AGONY』(1988年)と並ぶジャーマンスラッシュの名盤です。

 


▼SODOM『AGENT ORANGE』
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2019年11月16日 (土)

FATES WARNING『PERFECT SYMMETRY』(1989)

1989年8月中旬リリースの、FATES WARNINGの5thアルバム。本作が日本デビュー作となり、海外から1ヶ月遅れの同年9月下旬に発表されました。

彼らの所属レーベルであるMetal Blade Recordsが当時、日本ではポニーキャニオン流通だったこともあり、その後しばらくは同社から日本盤が販売されていましたが、のちに流通先がMercury Recordsに移ったことで日本盤もマーキュリー・ミュージック(のちにユニバーサル・ミュージック)へと発売元が移籍しております。僕が購入したのは、このマーキュリー盤のようです。

最初に聴いたアルバムは次作『PARALLELS』(1991年)で、思い入れが強いのもそちらになるのですが、前回、前々回と1989年リリースのプログレッシヴ・メタルが続いていたので、無理くり探してこちらをピックアップ(笑)。いや、これも好きなんですけどね。

実は彼ら、先の『PARALLELS』でダークさが増すなど若干路線変更することになります。まあ、言っちゃえば当時流行っていたQUEENSRYCHEあたりの路線に近くことになるわけですが、よくよく聴くと本作の時点でそのダークさが至るところから感じ取れる。つまり、この時点で進化はスタートしていたわけです。

とはいえ本作は、それ以前の『NO EXIT』(1988年)までに近いテクニカルメタル路線が軸にあるのも事実。変拍子を要所要所にぶち込んだアンサンブルはどこか数学的でもあり、そこにかっちり作り込まれたフレージングとレイ・アルダー(Vo)によるメタル的ハイトーンボイスが絡んでくる。つまり、80年代と90年代の要素をつなぐ橋渡し的な1枚。言っちゃえば、過渡期的作品であるわけです。

しかし、そう書くと「じゃあ本作は名盤の影に隠れた中途半端な出来なのでは?」という声が挙がりそうですが、全然そんなこともなく。前回のDREAM THEATERや前々回のVOIVODが好きな人ならなんとなく気に入ってもらえるんじゃないかというテクニカルなメタルとフュージョン的なバンドアンサンブルが同時に楽しめる良作に仕上がっています。

それは『WHEN DREAM AND DAY UNITE』でDREAM THEATERが試みたシンフォニック系のノリは似て非なるもので(どちらかというと3rd『AWAKE』に近いかも)、冷たさという点においてはVOIVODの『NOTHINGFACE』にも通ずるものがあるけどちょっと違う。つまり上記2組とも、あるいはQUEENSRYCHEとも異なる個性を放っているわけです。彼らにしてはストレートな「The Arena」みたいな楽曲もあれば、センチメンタルな序盤からひたすらひねくれた展開へと続く長尺曲「At Fate's Hands」もある。まあとにかく、しのごの言わずい聴いてみることをオススメします。

あ、本作には当時DREAM THEATERのメンバーだったケヴィン・ムーア(Key)がゲスト参加しているので、そのへんはドリムシっぽさを醸し出していると言えるかも(ほんの少々ですが)。

 


▼FATES WARNING『PERFECT SYMMETRY』
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2019年11月15日 (金)

DREAM THEATER『WHEN DREAM AND DAY UNITE』(1989)

1989年3月に発売された、DREAM THEATERのデビューアルバム。日本では1ヶ月遅れ、同年4月上旬に発表されています。

昨日紹介したVOIVOD『NOTHINGFACE』(1989年)同様、MCA Records傘下のMechanic Recordsから唯一リリースされた本作は、現在も在籍するジェイムズ・ラブリエ(Vo)加入にチャーリー・ドミニシ(Vo)が唯一参加した作品でもあります。

プロデュースはバンドとテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENOVERKILLなど)が担当。ミックスもテリー・デイトが手がけており、それもあってか次作『IMAGES AND WORDS』(1992年)以降の作品と比較すると線が細く、迫力が足りない印象を受けます。

また、ケヴィン・ムーア(Key)のシンセの音色が前時代的といいますか、若干シンフォニックメタル系のそれに近く、そこも次作以上との違い(というか違和感)となっているのかな。

ただ、楽曲自体は以降の“らしさ”にも通ずる要素が見え隠れし、ここでの実験をブラッシュアップすることでのちの『IMAGES AND WORDS』へとつながっていったことは、聴けば容易に想像できると思います。

とはいっても、そこはDREAM THEATERのこと。6分近いスリリングなインストゥルメンタル・ナンバー「The Ytse Jam」は最高にカッコいいですし、2ndアルバム以降もライブで披露される機会が少なくなかった「A Fortune In Lies」や約9分におよぶ組曲「The Killing Hand」、スラッシーかつグルーヴィーな「Afterlife」など、今聴いても存分に楽しめる楽曲は少なくありません。うん、逆にこっちのほうが好きってリスナーも少なくないんじゃないでしょうか。

ラブリエのヘヴィメタルシンガー的歌い上げは苦手(自分含む)だけど、ゲディ・リー(RUSH)を彷彿とさせる“ハイトーンだけど、どこか淡々としている”チャーリー・ドミニシの歌唱は許せるっていうリスナー、少なくないのでは。自分もそうですから。

この軽くてペタペタしたドラムのサウンドプロダクションだけスルーできれば(いや、かなりハードル高いけど)、かなり楽しめる1枚だと思います。これはもはやリマスターの次元ではなく、今すぐリミックスしてもらいたい作品1位ですね(これまでも国内リマスター盤は発売されていますが、元の音質が音質なのでどうにもね)。

 


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2019年11月14日 (木)

VOIVOD『NOTHINGFACE』(1989)

1989年10月リリースの、VOIVOD通算5作目のオリジナルアルバム。MCA Records傘下のMechanic Recordsから(ドイツのみNoise Recordsから)発表され、日本盤は同年12月にワーナーミュージックから発売されました(その後、MCAの権利がワーナーから離れ、現在はユニバーサルミュージックから発売されています)。

3rdアルバム『KILLING TECHNOLOGY』(1987年)あたりから一気に評価を上げていたVOIVODが、満を辞してメジャーレーベルから発表した第一弾作品は、2000年代以降も彼らの作品を手がけることになるグレン・ロビンソン(ANNIHILATOR、GWAR、NASHVILLE PUSSYなど)を新たなプロデューサーに迎え制作されたもの。過去のスラッシー&ノイジーな諸作と比較すると非常に整理されたサウンドが印象に残り、テクニカル・スラッシュメタルやプログレッシヴ・メタルの範疇に属するのも納得の仕上がりです。

僕が最初に触れたVOIVODのアルバムも本作でした。が、初めて聴いたのはリリースから1年以上経ってから、次作『ANGEL RAT』(1991年)発売タイミングだったと記憶しています(確か『ANGEL RAT』を買いにCDショップに向かったら売っておらず、前作『NOTHINGFACE』を購入した気が)。けど、結果としてこのアルバムから入って正解だったかなと思っています。

今聴くと(メジャーのわりに)チープさが否めないサウンド・プロダクションではありますが、緊張があってタイトな演奏&アンサンブルと、どこかひんやりしたボーカルと音の質感は当時の自分にはかなり好みでした。ちょっと例えが正しいかわかりませんが、“RUSHを通過した『…AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)期のMETALLICA”みたいな。そういう印象を受けたんです(そもそも当時、『…AND JUSTICE FOR ALL』自体が当時RUSHと比較されていた気がするので、いろいろ間違えている気がしないでもないですが)。

あと、プログレッシヴな楽曲が大半にも関わらず、どの曲も6分を超えていないのも聴きやすさにつながっているのかな。ほぼ6分という楽曲(「The Unknown Knows」や「Missing Sequence」)もあるものの、基本的には4〜5分台で比較的コンパクトにまとめられていますし。全9曲で45分というトータルランニングは、当時としても至極まっとうなものだと思いました。

初期PINK FLOYDのカバー「Astronomy Domine」など注目ポイントは多数ありますが、オープニングの「The Unknown Knows」からラストの「Sub-Effect」までのすべてがピークだと思っているので。緊張感を持続させながら、至高の45分を楽しんでいただけたらと思います。

その前に、MCA時代の3作品……『NOTHINGFACE』と『ANGEL RAT』、そして『THE OUTER LIMITS』(1993年)を早く国内でもストリーミング解禁していただけたらと。

 


▼VOIVOD『NOTHINGFACE』
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2019年11月13日 (水)

MICHAEL SWEET『TEN』(2019)

2019年10月上旬にリリースされた、マイケル・スウィートSTRYPER)の8thソロアルバム。日本盤は1ヶ月遅れて、同年11月上旬に発売されています。

タイトルは10作目を表すってことで『TEN』なのかな。ジョージ・リンチとのSWEET & LYNCH名義の2作を含めると10作目ですしね。にしてもこの人、2013年から毎年何かしらアルバムを発表しているんですよね。2013年はSTRYPERで2作(リメイクアルバム『SECOND COMING』とオリジナルアルバム『NO MORE HELL TO PAY』)、2014年はソロアルバム『I'M NOT YOR SUICIDE』、2015年はSWEET & LYNCHで『ONLY TO RISE』とSTRYPERで『FALLEN』、2016年はソロ名義の『ONE SIDED WAR』、2017年がSWEET & LYNCHでの2作目『UNIFIED』、2018年はSTRYPERの最新作『GOD DAMN EVIL』、そして今年はこのソロアルバム。老いてなお盛ん。

さて、今回のソロアルバムですが、全12曲中11曲にフィーチャリングアーティストとしてゲストプレイヤーを迎えて制作しています。その内訳もジェフ・ルーミズ(G / ARCH ENEMY)、Marzi Montazeri(G / EXHORDER、ex. PHILIP H. ANSELMO & THE ILLEGALS)、ガスG.(G / FIREWIND)、ジョエル・ホークストラ(G / WHITESNAKE、ex. NIGHT RANGER)、トレイシー・ガンズ(G / L.A. GUNS)、リック・ワード(G / FOZZY)、トッド・ラ・トゥーレ(Vo / QUEENSRYCHE)、ウィル・ハント(Dr / EVANESCENCE)などと、とにかく豪華なメンツ。思えば前作『ONE SIDED WAR』にもウィル・ハントやジョエル・ホークストラは参加していたので、おなじみのメンツって感じですかね。

本作、元々は10曲入りの構成が基本で、「With You Till The End」と「Son Of Man」の2曲がボーナストラック扱いだったので、本来は10曲入りだから『TEN』って意味だったのかな。今となってはどうでもいい話ですが。

気になる中身ですが、2曲を除いてすべてマイケル・スウィート単独で書き下ろしたオリジナル曲。残り2曲もマイケルとジョエル・ホークストラとの共作なので、まあ全曲マイケルのオリジナルと言い切っても間違いではないでしょう。なので、従来のソロ作品の延長線上にある“メタリックで、かつポップで親しみやすいHR/HM路線”をキープしています。ファストナンバーやミドルヘヴィ、バラードとバランスよく配分されており、どの楽曲もツボを心得た作風です。が、最近のSTRYPERよりもシンプルさが際立つ楽曲が多い印象も。そこで好き嫌い(いや、嫌いはないな。好みから外れるくらいか)が分かれるかも。

ゲストプレイヤーに関しては……正直、“らしい”ものもあるし、別にクレジットがなければ気づかないといったものもある。セールスのための打ち出し方としては正しいんでしょうけど、個人的にはおまけ程度かな。とにかく曲が良くて、マイケルが力強く歌ってくれたらそれでよし。

そういった意味では、マイケルが関わる作品はどれも好きという人には間違いなく引っかかる1枚だし、STRYPERのように豪華なコーラスを重視するメロハー好きにはちょっと違うかな?と感じるんでしょうか。それはそれとして、純粋によく作り込まれたメロディアスハードロック作品のひとつであることには違いありません。うん、今回も力作でした。

 


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2019年11月12日 (火)

STRYPER『SOLDIERS UNDER COMMAND』(1985)

1985年5月にリリースされた、STRYPERの1stフルアルバム。日本では同年8月に発表されました。

デビュー作となった『THE YELLOW AND BLACK ATTACK』(1984年)は当初6曲入りのミニアルバム形式でしたが、のちに「My Love I'll Always Show」「Reason For The Season」などを追加した形で再発。こちらを1stアルバムと捉える方も多いようです。

とはいえ、STRYPERの人気や存在を決定づけたという点においては、本作『SOLDIERS UNDER COMMAND』に軍配が上がるのではないでしょうか(セールスなどトータル面では続く『TO HELL WITH THE DEVIL』なんでしょうけど)。

マイケル・ワグナー(ACCEPTDOKKENMETALLICAなど)をプロデューサーに迎えて制作された本作は、Enigma Recordsという当時さほど大きくなかったインディーズレーベルの制作にわりにはかなり完成度の高いヘヴィメタルアルバムに仕上がっています。彼らは次作『TO HELL WITH THE DEVIL』でミドルテンポの楽曲が軸の作風にシフトしてしまうのですが、本作に関しては疾走感の強いアップチューンも複数用意されており、メタルアルバムとしてはとてもバランス感に優れた構成/内容と言えるでしょう。

とにかく、オープニングを飾るタイトルトラック「Soldier Under Command」からしてパーフェクト。彼ら特有の美しいハーモニーもしっかり用意されており、メロディ自体は非常にキャッチーで親しみやすいものなのですが、ギターリフやソロプレイなどを含む演奏面でのアグレッシヴさが適度に保たれていることから、ヤワに感じることはゼロ。その流れから美メロ&美ハモの「Makes Me Wanna Sing」へと続いても違和感なしで、この爽快感こそがSTRYPERの醍醐味だと改めて実感することができるはず。

「First Love」や「Together As One」のような美しいバラードもあれば、メタリックで前のめりな「The Rock That Makes Me Roll」もポップな「(Waiting For) A Love That's Real」も軽やかな「Reach Out」もあるし、マイケル・スウィート(Vo, G)のハイトーンが印象的なミドルヘヴィ「Surrender」もある。ラストの「Battle Hymn Of The Republic」まで本当に捨て曲なし、完成度の高い美メロHR/HMアルバムだと断言できます。

確かに歌詞の面ではキリスト賛歌と呼べるような内容ばかりですし、「Soldier Under Command」にしても〈俺たちは神の使命を受けた兵隊だ〉って内容ですからね。普段ヘルやサタンだって歌詞にばかり触れてきた輩には敷居の高さを感じてしまうでしょうけど(笑)、これはこれで全然アリ。僕自身はクリスチャンでもなんでもありませんが、歌われている内容含めてスッと入ってくる、理解できるものなのでノー問題です。

とにかく、メロディックHR/HM作品として非常に高品質な1枚なので、偏見を捨てて一度触れてみてはいかがでしょう?(って言いながら、実は日本ではストリーミング配信されてないのですが。残念)

 


▼STRYPER『SOLDIERS UNDER COMMAND』
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2019年11月11日 (月)

IRON MAIDEN『POWERSLAVE』(1984)

IRON MAIDENが1984年9月にリリースした、通算5作目のオリジナルアルバム。全英2位、全米21位という成績を残しており、本作からは「2 Minutes To Midnight」(全英11位)、「Aces High」(同20位)というヒットシングルが生まれています。

ブルース・ディッキンソン(Vo)加入後3作目、そしてブルース、スティーヴ・ハリス(B)、エイドリアン・スミス(G)、デイヴ・マーレイ(G)、ニコ・マクブレイン(Dr)という黄金期の布陣が揃ってからは2作目となる本作は、プログレッシヴな大作志向に拍車がかかった最初の1枚。当時アナログでA面に5曲、B面に3曲でトータル51分強というトータルランニングで、確かそれまでの作品は46分テープを使っていたのに今作から54分テープを使うようになった記憶が強く残っています(今やどうでもいい話ですが。苦笑)。

本作というと、やはりオープニングを飾る名曲中の名曲「Aces High」と、それに続くキラーチューン「2 Minutes To Midnight」という2大シングルの存在感の強さにより、アルバムとしても名盤という印象が強く持たれているような気がします。というか、この2曲の完成度が突出しすぎていて、そこにアルバム全体の評価がボカされてしまっている印象も無きにしも非ず、と言いますか。僕自身、実はこの“マジック”に長い間翻弄され続け、本作に正当な評価を下せずにいたんです。

確かに良いアルバムなんですよ。サウンドの質感も前作『PEACE OF MIND』(1983年)までと異なり、一気に向上したイメージがありますし、80年代後半に彼らが歩むことになる大作志向の第一歩としてはかなり上出来な内容だとも思うんです。けど、すべての楽曲が本当に「Aces High」や「2 Minutes To Midnight」と並ぶ完成度の高さを誇る1枚なのか……そこに関しては、聴くタイミングによってYESでもあり、NOでもあったのは確か。

名曲2曲に続くのがインスト曲「Losfer Words (Big 'Orra)」という構成も当時は謎でしたし、それに続くアップチューン「Flash Of The Blade」も彼らにしては非常にシンプルで薄味に感じられた。続く「The Duellists」も然り。アナログA面に関しては冒頭2曲の出来が突出していたがために、その後の3曲のインパクトがどうしても薄味に思えて仕方なかったんです。これに関しては、正直異論はないんじゃないでしょうか。

ですが、6曲目以降……アナログB面の評価によって、本作の楽しみ方は大いに変わってくるんですよね。僕は前半のインパクトのせいで、正気後半をそこまで真剣に聴き込んでこなかったのも事実でして。だって、3曲で26分という構成は気軽に聴けるものではないですものね(苦笑)。

とはいえ、改めてちゃんと聴くと「Back In The Village」はキャッチーさがしっかり備わったアップチューンで、「Aces High」ほどではないものの、以降のメイデンらしさはしっかりここで確立されていたことに気づかされる。そして7分強におよぶタイトルトラック「Powerslave」と、約14分にわたる大作「Rime Of The Ancient Mariner」。この2曲はガキの頃こそ長尺すぎて(その濃ゆさに)追いつけなかった自分がいたわけですが、余裕を持って音楽を楽しめる年代になればなるほど、その奥深さや作り込みのこだわりに圧倒されることになるわけです。

で、幼い頃は全体としての評価は低かったこのアルバム。気づけば自分内でどんどん評価は高まっていき、今や上位クラスに入るお気に入りの1枚となっているわけです。確かに、その後の『SOMEWHERE IN TIME』(1986年)『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』(1988年)に比べたら一歩劣る出来かもしれませんが(いや、『SOMEWHERE IN TIME』とはどっこいどっこいかな)、それでもこの3作の並びは彼らの80年代中盤から後半を語る上でかなり重要なのではないかと。

頭2曲と後半3曲の完成度はかなりのものがある、今に至る“ディッキンソン's メイデン”の真の意味での幕開けを飾る1枚。2020年5月に控える4年ぶりの来日公演を前に、ぜひじっくり楽しんでほしいところです。

 


▼IRON MAIDEN『POWERSLAVE』
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2019年11月10日 (日)

GAMMA RAY『HEADING FOR TOMORROW』(1990)

1990年2月にリリースされた、カイ・ハンセン(ex. HELLOWEEN)率いるGAMMA RAYの1stアルバム。日本盤は数週遅れて同年3月に発売されています。

健康上の問題もあり「これ以上長期のツアーに加わるのは厳しい」という理由からHELLOWEENを1989年1月に脱退したカイ。それから1年でこのGAMMA RAYのアルバム発売まで漕ぎ着けていることを考えると、脱退自体はもう少し前から計画されていたこと、当初はソロアルバムの予定だったこの『HEADING FOR TOMORROW』の準備(曲作り)もその頃から手がけていたのでしょう。

事実、このアルバムの日本盤は当初KAI HANSEN名義のソロプロジェクト第1弾アルバムとしてリリースされていますし(カイとフロントマンのラルフ・シーパースが映ったジャケットの上に箱型のケースを被せ、そこに“KAI HANSEN / HEADING FOR TOMORROW”としっかり書いてしまっているという)。そのほうが売り出しやすい(HELLOWEENファンにも伝わりやすい)でしょうし。

結果としてはパーマネントバンドとなったGAMMA RAYですが、確かに本作レコーディングの時点ではプロジェクト色の強いものだったと思うんです。事実、レコーディングにはウヴェ・ヴェッセル(B)、マティアス・ブルヒャルト (Dr)が参加していますが、その後のツアーではウリ・カッシュ(Dr)に交代していたり、アルバムにはゲスト名義だったディルク・シュレヒター(G)もツアーから正式参加していますしね。

そんなアルバムの中身ですが、これがもう『守護神伝』シリーズにおけるHELLOWEENの正統的後継作品なわけです。いわゆる“ジャーマンメタル のパブリックイメージ”をそのまま継承しつつも、より純度の高い王道ヘヴィメタル路線を極めているといいますか。しかも、そういった楽曲をラルフ・シーパースというロブ・ハルフォードにも似た歌声/歌唱スタイルを持つシンガーが歌うわけですから、悪いわけがない。カイもさぞ制作が楽しかったんじゃないかな。それが伝わってくる内容ですしね。

「Lust For Life」や「Heaven Can Wait」などといった『守護神伝』タイプの楽曲もあれば、「Money」のように初期HELLOWEENを思わせる楽曲もあるし、「Silence」みたいなピアノバラードも存在する。さらには14分におよぶ大作「Heading For Tomorrow」もしっかり用意されており、それまでのHELLOWEENファンやジャーマンメタル愛好家、さらには正統派HR/HMファンにまでアピールする内容になったのではないでしょうか。

GAMMA RAYは作品を重ねていくごとに、その音楽性をより濃厚で、カイのルーツに立ち返った作風へと昇華させていきます。それは4作目『LAND OF THE FREE』(1995年)からカイ自身が再びボーカルを担当するところも大きかったのでしょう。それ以降の作品も悪くはないのですが、個人的にはラルフが歌っていた時代が非常に好きでして。思い入れでは3rdアルバム『INSANITY AND GENIUS』(1993年)までなんですよね……。

 


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2019年11月 9日 (土)

HELLOWEEN『PINK BUBBLES GO APE』(1991)

HELLOWEENが1991年3月にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム。日本では契約の関係上、1年遅れの1992年3月にようやく発売されています。

前作にあたる『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』(1988年)発表後、オリジナルメンバーのカイ・ハンセン(G, Vo)がバンドを脱退。1989年に行われたジャパンツアーには後任のローランド・グラポウが参加した新体制にて実施されました。

また、『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』リリース前後からバンドを取り巻く状況が好転します。IRON MAIDENなどを手がけるマネジメントSanctuaryと新たに契約、その流れからメジャーのEMIとのレーベル契約も獲得し、新体制による次作制作に取り組むことになります。

プロデューサーにクリス・タンガリーディス(BLACK SABBATHJUDAS PRIESTTHIN LIZZYなど)、アートワーク担当にHIPGNOSISの一員だったストーム・トーガソンを迎えて制作された今作は、そういった要素からも伺えるメジャー感の強い1枚。そのメジャー感は良くも悪くも“世間一般のジャーマンメタル のイメージからの脱却”という形に表れており、多くのHR/HMファンを困惑させることになるのでした。

カイ・ハンセンというバンドのソングライティング面における支柱のひとつを失ったHELLOWEENは、当然のようにマイケル・キスク(Vo)&マイケル・ヴァイカート(G)の2頭体制になるわけですが、特に本作に関してはキスクが全11中8曲のソングライティングに関わっており(うち4曲は単独名義での制作)、ヴァイカートは2曲のみ制作に関与(単独制作は「Number One」1曲のみ)。と同時に、ローランド・グラポウが4曲の制作に関わっており(うち2曲が単独制作)、早くもその個性をバンドに反映させ始めています。

確かに本作はヘヴィメタルアルバムだと思います。が、その向かう先が過去2作の『守護神伝』シリーズやカイ・ハンセンが歌っていた初期とは異なるもので、もっと広い地平を目指していることが伺えます。それがシンプルでソリッドな作風に反映されることで、従来の“ジャーマンメタル HELLOWEEN”を愛するリスナーから反感を買うわけです。

また、キスク自身がポップな作風を好む人間であること、どうやらステレオタイプのHR/HMから距離を置こうとしている人間であることなどが、このへんから表出し始めます。それが「Mankind」や「Your Turn」のような新しいタイプの楽曲ににじみ出ているわけです。アルバム自体はスピードメタル的ナンバーが数多く含まれているものの、特に後半に進むにつれて実験的な楽曲が増え始めます。そこに僕はPINK FLOYD、あるいはQUEENSRYCHE的な香りを感じるのですが……それはアートワークだけの問題ではないと思いますし、実際ソロになってからのキスクの作風を考えると(今となっては)それも頷けるものがあるではないでしょうか。つまり、メジャー化したHELLOWEENを普遍性と知的さを持つ、さらに一段上のバンドに仕立て上げようとしたんじゃないか。それが“脱ジャーマンメタル”であり、さらに言えば“脱ヘヴィメタル”だったのかなと。そのへんは続く『CAMELEON』(1993年)でより明確になるわけですが。

当時はいろいろ言われた1枚ですが、今聴くとそこまで悪いか?と感じる“隠れた良作”。確かに80年代半ばのHELLOWEENをイメージして接すると痛い目を見ますが、これはこれでよく作り込まれたHR/HMアルバムだと思います。

なお、先に書いたように本作は日本盤が発売されるまでに約1年を要しているのですが、これは1991年のリリース直前に前所属レーベルのNoise Rocordsが契約違反だと裁判を起こしたため、イギリス以外でのリリースにストップがかかってしまったため。確か1991年3月頃の『BURRN!』誌ではHELLOWEENが表紙を飾り本作について誌面で語っていましたし、アルバム発売の広告も載っていた記憶があります。が、上記のような理由で一部で出回ったUK盤を先に購入せざるを得ない状況になってしまったわけです(ちなみに、日本のみならずドイツやアメリカなど、イギリス以外の国では1992年3月に一斉リリース)。

それも影響してか、本作はチャート的に芳しい記録を残していません。『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』の独5位/英24位/米108位に対し、今作は独32位/英41位止まりでアメリカにいたってはチャートインせず。せっかく状況が良かったのに結果を出せなかった不運な1枚でもあるわけです。

 


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2019年11月 8日 (金)

UGLY KID JOE『AMERICA'S LEAST WANTED』(1992)

UGLY KID JOEが1992年9月にリリースした1stフルアルバム。

前年秋に6曲入りEP『AS UGLY AS THEY WANNA BE』をインディーズから発表していた彼らですが、年明け1991年春に同作からのシングル「Everything About You」が全米9位の大ヒットに。同作も最高4位、200万枚を超えるヒット作になったことから、そのままメジャーのMercury Recordsと契約を交わし、猛スピードでフルアルバムを完成させます。

マーク・ドッドソン(ANTHRAXMETAL CHURCHSUICIDAL TENDENCIESなど)をプロデューサーに迎えて制作された本作は、良くも悪くも“1992年という時代性”が反映された興味深い1枚となっています。

そもそもUGLY KID JOEはHR/HMバンドなのか、あるいはグランジと並列で語られるべきオルタナティヴ・ロックバンドなのか。当時はHR/HMの枠で語られていましたが、そのヴィジュアルはスラッシュメタル以降グランジ未満といった過渡期的なもので、実は“グランジ/モダン・ヘヴィネス以降”の枠で語るべき存在なのではと個人的には思っています。明らかにSOUNDGARDENALICE IN CHAINSからの影響が伺える楽曲も含まれていますしね。

また、グルーヴィーなリフ&リズムを重視した楽曲群は明らかにモダン・ヘヴィネス以降のそれだし、跳ねたリズムを用いたファンクロック的アレンジはレッチリ以降のそれ。中にはサイケ色が感じられる楽曲も複数あり、そのへんは『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991年)以降の流れを汲むものなのかなと。

そう、実はこのアルバムって『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』以降の作品でもっともあの空気感を体現した“HR/HMサイドからの回答”なんじゃないかという気がするんです。このユルさはメタルのそれではなく、確実にレッチリ以降のそれなんじゃないかなって。いかがでしょう?

とはいいながらも、プロデューサーの人選によるものなのか、「Goddamn Devil」にはロブ・ハルフォードがフィーチャーされていたり、SUICIDAL TENDENCIESのディーン・プレザンツ(G)がゲスト参加していたりと、鋼鉄要素も存分に味わえます(と同時に、JANE'S ADDICTIONのスティーヴ・パーキンスもゲスト参加しているので、その流れで考えても先の“レッチリ以降”につながるのかなと)。

全米6位の大ヒットとなったハリー・チェイビンのカバー「Cats In The Cradle」や、MVも制作されたグルーヴメタル「Neighbor」「So Damn Cool」、前EPからの流用となる「Everything About You」など初期の代表曲はここでほとんど楽しめるので、まずはこれを聴いておけば問題ないかと。むしろ、これ以外に聴くべき作品があるのかというと(以下略)。

当時は時代の徒花的存在として相当バカにされたバンドですが(もちろん今も重要視されていませんが)、上に書いた“『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』のHR/HMサイドからの回答”という観点で触れると違った見方ができる、今となっては歴史的価値の高い1枚だと思っています。

 


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2019年11月 7日 (木)

STEVE STEVENS『ATOMIC PLAYBOYS』(1989)

1989年秋にリリースされた、スティーヴ・スティーヴンス(G)初のリーダーアルバム。

ビリー・アイドルの相方として3rdアルバム『WHIPLASH SMILE』(1986年)およびシングル「Mony Mony」(1987年)まで活動をともにし、個人としても映画『トップガン』(1986年)のサウンドトラックで「Top Gun Anthem」をプレイしたり、マイケル・ジャクソンのメガヒットアルバム『BAD』(1987年)で個性的な演奏を披露したりと活躍した彼ですが、ビリーとのコンビを解消して初めて制作されたアルバムは完全なるソロ作品ではなく、ATOMIC PLAYBOYSというバンド形態として発表されたものでした。

レコーディングに参加したのはスティーヴのほかペリー・マッカーティ(Vo)、フィル・シュレー(Key)、トミー・プライス(Dr)、アントン・フィグ(Dr)、カシム・サルトン(B)などといった“知る人ぞ知る”名手ばかり。フィル・アシュリーやトミー・プライスはビリー・アイドルでのバンドで活動をともにした旧知の仲。ペリーは本作のプロデューサーであるボー・ヒル周りの人選でしょう(クレジットには当時すでにWINGERでデビューしていたキップ・ウィンガーや、当時ボー・ヒルの嫁だったフィオナの名前も)。

さて、本作の内容ですが……ハードロック寄りの派手なギタープレイを信条としたスティーヴらしく、非常に派手な楽曲が揃った1枚に仕上がっています。ビリー・アイドル自体はハードロックというよりはパンク以降のニューウェイヴを通過した若干ハードなロック/ポップスという音楽性でしたが、本作はそこに加えてハードロック色を強めた楽曲も多数含まれているので、HR/HMリスナーの耳にも十分に耐えうる内容となっているはずです。

事実、MVも制作されたオープニングトラック「Atomic Playboys」を初めて聴いたとき、誰もがリリース当時「そうそう、スティーヴ・スティーヴンスにこういう曲をプレイしてほしかった!」と思ったのではないでしょうか。1989年という時代性を反映させたハードロックサウンドと、ビリー・アイドルとの経験が反映されたクールさが共存するこの曲は、あの時代のステーヴにしか表現できないものだと思います。

が、2曲目にはブラスをフィーチャーしたAOR寄りのポップロック「Power Of Suggestion」、3曲目にはのちにDEF LEPPARDもカバーしたSWEETの名曲「Action」が飛び出したりと、一筋縄ではいかないバラエティに富んだ内容で、そのへんもスティーヴ・スティーヴンスらしいといいますか。

以降も“いかにもHR/HM”なアップチューン「Soul On Ice」や、ビリー・アイドルっぽいんだけどキーや歌メロはハードロック的な「Crackdown」、アダルトな空気を漂わせたファンクロック「Evening Eye」、スティーヴが唯一ボーカルを担当するLAメタル・チックな「Woman Of 1,000 Years」、スティーヴのテクニカルかつメランコリックなアコースティックギター演奏を堪能できるインスト「Run Across Desert Sands」など、多彩な楽曲群を楽しむことができます。

アルバムのアートワークにはスティーヴとペリーの2名しか載っていませんが、同作を携えたツアーはバンド形態で行われていたので、スティーヴ自身は本作以降もバンドとして続けていくつもりはあったんでしょうね。しかし、気分屋のスティーヴらしく(笑)、バンドは1年と経たずに空中分解。その後、スティーヴはマイケル・モンローJERUSALEM SLIMを結成するもアルバム発売前に脱退し、MOTLEY CRUEを脱退したヴィンス・ニールのバンドに加わり『EXPOSED』を完成させます。

ATOMIC PLAYBOYSとしては1989年末に行われた東京ドームでのカウントダウンイベント(ここにはマイケル・モンローも出演)で来日予定でしたが、直前にキャンセル(代わりにLOUDNESSが出演)。その後解散しているので、ATOMIC PLAYBOYSでの来日は一度も叶いませんでした。生で観てみたかったなぁ……。

 


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2019年11月 6日 (水)

THUNDER『THE GREATEST HITS』(2019)

2019年9月下旬に発表された、THUNDER結成30周年を記念したベストアルバム。2枚組仕様の通常盤とボーナスディスク付き3枚組特別仕様、アナログ盤の3形態が用意されており、今年1月発売の新作『PLEASE REMAIN SEATED』同様に日本盤のリリースは今のところ予定されておりません。

THUNDERのベストアルバム/コンピレーションアルバムはこれまでも多数リリースされていますが、その大半がEMI在籍時(1989年〜1995年頃)のアルバム3作品を中心にしたもの。かつ、最初のベスト盤『THEIR FINEST HOUR (AND A BIT)』(1995年)以外はバンドの意図とは別に、レーベル側が勝手に制作・発表していたものでした。

もちろん、THUNDERはEMIから離れた4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)以降もレーベルをいくつか変えながらアルバムを多数発表しています。特にここ日本では『THE THRILL OF IT ALL』から二度目の解散時ラスト作となった9thアルバム『BANG!』(2008年)までがビクターからのリリースでしたので、その時期の作品をまとめようと思えばまとめられるはずなのですが、なかなかこの頃の音源をまとまった形で聴くことは叶いませんでした。

そこで、今回のベスト盤です。先にも書いたとおり、結成30周年を記念して発表されたものですので、その内容もキャリアを総括したものとなっており、EMI時代+4thアルバム『THE THRILL OF IT ALL』&5thアルバム『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)と最初の解散前までの楽曲をまとめたDISC 1、2000年代の再結成、および二度目の再結成以降の楽曲を総括したDISC 2にて構成されています。基本的には既発曲ばかりで、特にDISC 1は過去のベストアルバムと被りまくりの選曲なので、すべてのオリジナルアルバムを所有しているリスナーにとっては購入にまで及ばない1作かもしれませんが、「Love Worth Dying For」や「Living For Today」「Just Another Suicide (You Wanna Know)」といった90年代の隠れた名曲、および2000年代の楽曲を手軽に楽しめるという点においては非常に便利なコンピレーションアルバムではないでしょうか。

そんな中、オリジナル作をすべて聴いているようなファンをも唸らせるのが、本作が初CD化となる「Your Time Is Gonna Come」。ご存知LED ZEPPELINのカバーですが、これは『PLEASE REMAIN SEATED』制作時にレコーディングされたアウトテイクとのことで、それもあってか非常にリラックスした空気感が伝わってくる今の彼ららしい仕上がりとなっています。

また、特別仕様にのみ付属のDISC 3には『PLEASE REMAIN SEATED』リリースを記念して今年1月18日に行われたアコースティックライブから、計6曲が収められています。「Bigger Than Both Of Us」「She's So Fine」「Blown Away」「River Of Pain」「Stand Up」は『PLEASE REMAIN SEATED』にも収められたリアレンジバージョンとなりますが、「Serpentine」(『WONDER DAYS』収録曲)のみ同作にも未収録となる貴重なアレンジ。このライブディスクは当然のように配信もされていないので、ぜひともフィジカル(CD)で購入していただきたいところです。

何度か解散/活動休止をしているバンドではありますが、この30年を振り返るとスタジオアルバムを12枚も発表しているロックバンドってそう多くないと思うんです。そんな勤勉なTHUNDERだからこその、バンドの成長/進化ぶりが伝わってくるこのベストアルバムはぜひいろんな人に聴いてほしいな。けど本作、残念ながらストリーミングサービスでは未配信。Spotifyのみ数曲欠けたプレイリスト形式で聴くことができますが、可能ならば盤として一家に1枚用意していただけたらと(笑)。

 


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2019年11月 5日 (火)

IN FLAMES『COLONY』(1999)

IN FLAMESが1999年5月に発表した、通算4作目のオリジナルアルバム。自国スウェーデンで初めてチャートイン(最高34位)した記念すべき1枚で、アメリカでも当時2万枚以上のセールスを残しています。

前作『WHORACLE』(1997年)がここ日本でも成功を収めた彼ら(僕も同作から本格的に彼らを聴くようになりました)。同作発表後にはその後長きにわたり在籍することになるピーター・イワース(B)が加入し、1998年初頭には念願の初来日公演も実現しましたが、帰国後にニクラス・エンゲリン(G)が解雇され、結成時からドラムを務めてきたビョーン・イエロッテがリードギタリストに転向。代わりにダニエル・スヴェンソンが加わり、アンダース・フリーデン(Vo)、イェスパー・ストロムブラード(G)ビョーン(G)、ピーター(B)、ダニエル(Dr)という黄金期ラインナップが完成します。

基本的には前作『WHORACLE』で掴んだひとつのスタイルをさらに推し進めたものですが、次作以降につながっていく「メロディック・デスメタルという枠からの離脱」の幕開けを飾った1枚とも言えます。もちろん、オープニングトラック「Embody The Invisible」などからもおわかりのように、メロディアスなツインリードギターを多用し、正統派ヘヴィメタル的な“わかりやすさ”を基盤に置いたアレンジはメロデスのそれなのですが、本作の楽曲はその“わかりやすさ”に拍車がかかり、当時我々がイメージしたメロデスの枠から少しはみ出し始めたのではないか……そんなことも思ったりしました。

その理由として、いわゆるクリーントーンで歌うパートが効果的に、かつ自然な形で取り入れられていることも大きいのではないでしょうか。前作ではDEPECHE MODEのカバーをしていましたが、その影響ではないでしょうけどちょっとゴシック調な「Ordinary Story」での感情を押し殺したような低音ボーカルや、「Coerced Coexistence」でのエモさが際立つクリーンボイス、さらには「Insipid 2000」のサビで飛び込んでくるメロウなボーカル……もうこれ、普通に歌っちゃえばいいじゃん!とツッコミを入れたくなるほど、自然と溶け込んでいるんです。

あとね、結果論になってしまいますが、本作での試みは多くのフォロワーたちを生み立つ結果につながったのではないでしょうか。それは、メロデス界隈への影響ではなく、そこを起点とした新たな波……ニューメタル以降のNew Wave Of American Heavy Metalへと脈々と受け継がれていくわけです。そして、当のIN FLAMES自身も『CLAYMAN』(2000年)を挟んで、続く『REROUTE TO REMAIN』(2002年)や『SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE』(2004年)でNWOAHMへと接近し、その完成形として『COME CLARITY』(2006年)を生み出すまでに至ります。

そういった意味での“産声”の1枚がこのアルバムなんじゃないかなと。過渡期の1枚と言えなくもないですが、この完成度は過渡期で済ませるには高すぎ。今の彼らみたいな終始歌メロ豊かな内容ではありませんが、2000年代中盤のUSメタルコアやモダン・ヘヴィメタルにこそ改めて触れていただきたい傑作です。

 


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2019年11月 4日 (月)

CYHRA『LETTERS TO MYSELF』(2017)

2017年10月にリリースされた、CYHRAのデビューアルバム。

CYHRAとは、AMARANTHEでクリーンボーカル・パートを担当していたジェイク・E(Vo)と元IN FLAMESのイェスパー・ストロムブラード(G)が新たに結成したバンド(プロジェクト)で、もともとジェイクはAMARANTHE在籍時からソロアルバムを計画しており、イェスパーもIN FLAMES脱退後にソロアルバムを制作しようとしていたところ、久しぶりに会った2人はそれぞれのソロについて話し合ったところ「じゃあ、一緒にやればいいじゃん」ということになったんだとか。やろうとしていたことが一致したわけですね。

結果、ジェイクは正式にAMARANTHEを脱退。イェスパーとのプロジェクトを本格化させ、ドラマーにアレックス・ランデンバーグ(ANNIHILATOR、LUCA TURILLI'S RHAPSODYなど)、ベーシストにIN FLAMES時代の盟友ピーター・イワースを迎え、この4人を軸にアルバム制作を開始。楽曲はジェイク&イェスパーが手がけ、イェスパーはギターのベーシックパートとメロディパート(ソロではなく)を中心にプレイし、ソロパートに関しては当時SHININGのメンバーだったオウゲ・ヴァロヴィルタがゲストプレイヤーとして演奏しています(その後、オウゲは正式メンバーとしてバンドに加入)。

AMARANTHEのメロディアスパートを担うフロントマンと、IN FLAMESのメンバー2人が参加していること、またアルバムジャケットの禍々しいアートワークから、聴く前は何となくメロデスからデスメタルの要素を差し引いたスタイルを想像したリスナーは少なくなかったはず……ってそれ、メロデスじゃなくてメロディアスなヘヴィメタルじゃんってツッコミはなしね(笑)。事実、僕も試聴するまではメロデスな方向を想像していたので。

で、公開されたリードトラック「Karma」はまさにその想像どおりの音。いや、純粋にカッコいい。ただ、バックトラックにメロデス的な要素は思ったよりもないよね。むしろ、後期IN FLAMESに寄ってるのかな。

アルバムを購入して、いざほかの楽曲も聴き進めていくと……あれ、めちゃめちゃカッコいいじゃん、これ。「Heartrage」も「Here To Save You」もすげえいい曲。だけどこれ、イェスパーの存在意義はどこにあるんだろう……と正直思ってしまいました。メロディにしろアレンジにしろ、明らかにAMARANTHEの流れを汲むものだし、ソロに関してはすべてオウゲが弾いているわけで。リフメイカーぶりは……うん、まあ確かにね。そこのみなのかなあ。抜群に優れた、モダンなメロディック・ヘヴィメタル作品だけにどこか歯がゆさが残ります。

長期的なツアー生活から距離を置きたくて始めたこのプロジェクト。イェスパーにとってこのCYHRAは安息の地になったのかなあ……なんてことを思いながら聴いていると、リリース半年後にピーターが脱退。ライブではベーストラックを同期で流していたそうですが、そのうちに今度はイェスパーがツアーを離脱。30数本程度のツアーでもダメだったか。

CYHRAはまもなく2ndアルバム『NO HALOS IN HELL』をリリース予定ですが、イェスパーはレコーディングに参加しているので、バンド脱退自体はまだのようです。が、ライブに関しては……ちょっと期待できないかも。もう一度、彼の勇姿を日本でも観てみたいんだけどねえ。

 


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2019年11月 3日 (日)

MICHAEL MONROE『ONE MAN GANG』(2019)

2019年10月中旬にリリースされた、マイケル・モンローの同名バンドによる4thオリジナルアルバム。マイケル個人としては通算9枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIMDEMOLITION 23.を含むと11枚目)。

前作『BLACKOUT STATES』(2015年)発表後、ソロキャリア20周年を記念した2枚組ベストアルバム『THE BEST』(2017年)を挟んだことで、オリジナル作品としては珍しく4年ものインターバルが空きましたが、メンバーは『BLACKOUT STATES』制作時と変わらずマイケル、スティーヴ・コンテ(G)、リッチ・ジョーンズ(G)、サミ・ヤッファ(B)、カール・ロックフィスト(Dr)の5人で完成させています。バンド編成になってから初めて、同じラインナップで2作制作できたことで、なんとなくアルバム自体にも前作以上の安定感が備わっているように感じられます。

プロデュースはマイケル、スティーヴ、リッチの3人で担当。これも先の安定感に強く影響を与えており、どの曲でも“適度にパンキッシュ、適度にポップ”という従来のマイケル・モンローらしい黄金比を保つことに成功。もちろんHANOI ROCKS時代からの個性もしっかり備わっており、ベスト盤で総決算したからといって新しいことを始めるのではなく、かといってマンネリ感満載の焼き直しでも終わっていない、最高を更新し続ける姿勢がしっかりと貫かれています。

また、楽曲の幅も過去3作以上に広く、非常にバラエティに富んだ楽曲群が揃ったのも本作最大のポイント。これまでもその非凡な才能を各アルバムで見せてきたスティーヴと、前作でもその片鱗を感じさせたリッチのソングライティング力が遺憾なく発揮されています。スティーヴ&リッチの才能は今のマイケルにとって欠かせないものであり、ようやくジュード・ワイルダー以来のパートナーシップを完璧な形で再構築できたのではないでしょうか。

また、本作にはゲストプレイヤーとしてTHE DAMNEDのキャプテン・センシブルが「One Man Gang」で、HANOI ROCKSやDEMOLITION 23.での盟友ナスティ・スーサイドが「Wasted Years」でそれぞれギターソロを披露しています。ナスティを哀愁味と男臭さがみなぎる後者に割り当てるあたりに、マイケルのセンスが伺えますね。

パンクありハードコアあり、ロックンロールあり、ポップスあり、バラードありとマイケル・モンローというシンガーを最高の楽曲群で表現した本作は、間違いなくキャリア最高峰の1枚。57歳にして到達した新たな高みも、最高のパートナーたちの協力あってこそですね。脂が乗りまくった“今が最高”の彼らを、ぜひ12月の来日公演にてたっぷり味わいたいところです。

 


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«THE HIVES『TYRANNOSAURUS HIVES』(2004)

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