2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000以上のエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

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投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2017/11/30

2017年11月のお仕事

2017年11月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※11月22日更新)


[WEB] 11月22日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterインタビュー「『紅白』初出演も決定! Little Glee Monsterが明かす『陸王』劇中歌起用の裏側&新作での挑戦」が公開されました。

[WEB] 11月21日、「リアルサウンド」にてGLAY HISASHIインタビュー「GLAY HISASHIが語る、“感覚”を信じた作品づくり「音楽がさらに自由に、みんなのものになった」」が公開されました。

[紙] 11月17日発売「月刊AKB48グループ新聞」11月号にて、乃木坂46「担当記者が振り返るドーム公演」座談会に参加しました。

[紙] 11月15日発売「TV Bros.」2017年11月19日号にて、SAM SMITH『THRILL OF IT ALL』、SONS OF APOLLO『PSYCHOTIC SYMPHONY』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[WEB] 11月15日、「別冊カドカワDirect×SILENT SIREN」特設ページにてSILENT SIRENすぅ(Vo, G)インタビュー「SILENT SIREN・すぅ、変革のタイミングである“今”を語る」が公開されました。」」

[WEB] 11月9日、「リアルサウンド」にてCrossfaithのライブ評「Crossfaithが10周年ツアーで見せた“信念” 初日公演をいち早く分析」が公開されました。

[WEB] 11月7日、「リアルサウンド」での連載「日本ヘヴィメタル/ラウドロック今昔物語」にて第7回「浜田麻里からLOVEBITESまでーーガールズHR/HM、波乱万丈の30年史」が公開されました。

[WEB] 11月4日、「BUBKA」公式サイトにて雑誌「BUBKA」12月号掲載分けやき坂46佐々木久美&井口眞緒インタビュー『もうひとつの夏』の一部が公開されました。

[WEB] 11月2日、「BUBKA」公式サイトにて雑誌「BUBKA」12月号掲載分欅坂46小林由依インタビュー『ここには私がいる』の一部が公開されました。

[紙] 11月1日発売「TV Bros.」2017年11月4日号にて、米津玄師『BOOTLEG』、EUROPE『WALK THE EARTH』アルバムレビューを担当・執筆しました。

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また、10月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各2曲程度ピックアップして、50曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1710号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。


投稿: 2017 11 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2017/11/24

QUEEN『NEWS OF THE WORLD』(1977)

1977年10月発売の、QUEEN通算7作目のスタジオアルバム。それまで音を重ねまくり、アレンジも緻密に作り込まれた印象の強かったQUEENの作品ですが、本作ではその余韻を残しつつも、全体的にシンプルな方向へと移行しています。思えば発売されたのが1977年秋。本国イギリスではすでにSEX PISTOLSTHE CLASHTHE DAMNEDなどのロンドンパンク勢がブレイクし始めた時期で、少なからずそこからの影響があったのでは……なんて想像もできちゃうような、QUEEN流“シンプル・イズ・ベスト”な1枚です。

思えば、オープニングから「We Will Rock You」というシンプル以外の何ものでもないショートチューンから始まるわけですから。そのまま「We Are The Champions」へと続く流れは、ロックファンならご存知のとおり。彼らのライブを知る者ならば、オープニングからエンディング(意味、わかりますよね?)な構成は、結果として非常に大きな“掴み”になっています。そういえば、本作からはこの2曲が先行シングルとしてリリースされたわけで、アルバム冒頭をシングル曲が飾るという構成も、QUEENというバンドが認知されて以降のオリジナルアルバムとしてはこれが初の試み。アルバムアーティストという印象も少なからずあったバンドだけに、このへんは“対アメリカ”という思いもあったのではないでしょうか。

そして、そこからパンキッシュなファストチューン「Sheer Heart Attack」へとなだれ込む。あれ、3rdアルバムと同タイトル? そう、同作からのアウトテイクなんですね、これ。かと思えば「All Dead, All Dead」「Spread Your Wings」のような従来のQUEENらしい曲もあるんだけど、驚くのは中盤の「Fight From The Inside」(ロジャー・テイラーVo曲)と「Get Down, Make Love」じゃないでしょうか。80年代以降のブラックミュージック路線を先取りした「Fight From The Inside」と、どこかポストパンクの香りすらする「Get Down, Make Love」は、それ以前のQUEENのイメージからすると少々異色かもしれませんね。ただ、後者はその後NINE INCH NAILSがカバーするなど、隠れた人気の1曲なんですよね。僕もお気に入りの1曲です。

そして、ブライアン・メイが歌うブルージーなロックンロール「Sleeping On The Sidewalk」、牧歌的なアコースティックナンバー「Who Needs You」、6分半にわたるロックンロールエピック「It's Late」、フレディ・マーキュリーらしさに満ち溢れたクラシカルなピアノバラード「My Melancholy Blues」でエンディングを迎えます。

確かに、前作『A DAY AT THE RACES』(1976年)や前々作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)あたりと比較すると、非常にラフでシンプルさが目立つ作風/楽曲群ですが、これがアメリカで当たったことでその後のQUEENの軸になっていくんですよね。それを良しとするか否かで、本作およびこれ以降のQUEENに対する評価が分かれるのかもしれません。個人的には産業ロック路線含め、このバンドの多面性が大好きなのでアリな1枚です。ていうか、どこが悪いのかわかりません。きっと、リアルタムで初期のQUEENに出会っていたら、こんなこと思いもしなかったんだろうけどね。



▼QUEEN『NEWS OF THE WORLD』
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投稿: 2017 11 24 12:00 午前 [1977年の作品, Queen] | 固定リンク

2017/11/23

METALLICA『MASTER OF PUPPETS: DELUXE EDITION』(2017)

1986年春に発表された、言わずと知れたMETALLICAの出世作(3rdアルバム)。前2作はインディーズのMegaforceからのリリースでしたが、本作からメジャーのElektraに移籍しての発表となり、当時全米29位まで上昇するという、MVも作らない、ラジオでもかかりにくい一介のスラッシュメタルバンドとしては異例の大ヒットを記録しました……なんていう、本作が当時いかに画期的だったかは、2003年5月に執筆した本作のレビューをご確認ください。

また、本作との出会いや1986年11月の初来日公演体験記などのエピソードが、11月24日発売の『ヘドバン Vol.16』に掲載されているので、そちらも併せてお読みいただけると幸いです。

さて、今回ここで紹介するのは、先日リリースされた『MASTER OF PUPPETS』の公式リマスター盤(これまで国内盤独自のリマスター盤は何度か発売済み)、未発表音源を豊富に収めた3枚組デラックスエディション、そしてCD10枚組+DVD2枚組+アナログ3枚組+カセットテープからなるデラックス・ボックスセットの3形態のうち、もっとも手軽に手に入って新規の音源も楽しめる3枚組デラックスエディションを紹介したいと思います。

実は僕自身、国内制作のリマスター盤を聴いておらず、手元にあるのは1986年に発表されたCBSソニー盤CDと、数年前にリイシューされたアナログ盤のみ。アナログ盤とCDでの音質や体感の違いについてはここでは省略しますが、あくまでオリジナル盤音源と比べて、最新のリマスタリングがどうかという視点で語っていきたいと思います。


【DISC 1:Remastered】

最初にヘッドフォンで聴いたときは、正直「そこまで音が良くなってるのかな?」と微妙に感じましたが、確かにオリジナル盤にあったモコモコした感触は払拭され、よりクリアになってる印象。スピーカーを通して聴くと、そのへんはよりわかりやすいと思います。

とにかく、ベースの音が非常に聴き取りやすいのが良いです。当時のミックスのせいなのか、『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)と本作ってベースがギターのザクザク感に負けていて、ところどころ聴き取りにくかったんですよね。特に楽器をやる者からすると、とても耳コピしにくい。それが、リマスター盤では「ここまで音の粒が認識できるのか!」と驚かされるわけです。

あと、「Battery」冒頭のアコギの音の粒やクリア感にも違いが感じられる。「Welcome Home (Sanitarium)」も違いが顕著かな。ラウドな曲よりも、実は繊細さを伴う楽曲のほうがそのへんの変化に気づきやすいような気がします。

ただ、オリジナル盤にあった「4つの楽器がひとつの塊になって襲ってくる感」は減ったように感じます。音の分離が良くなったせいで、そういう迫力が弱くなったのかもしれませんね。これは、先日のWHITESNAKE『WHITESNAKE』(1987年)の30周年リマスターでも感じたことですが、やっぱり“その時代の音”というのが存在するわけで、それを無理に現代的に仕切りなおそうとすると、当時のマジックが消え去ってしまうのかな。そこだけは残念です。


【DISC 2:Demo, Rough Mix & Interview】

アルバム『MASTER OF PUPPETS』収録曲全8曲と、アウトテイク「The Money Will Roll Right In」、次作『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)の日本盤や同作からのシングルに収められたカバー「The Price」のデモバージョンが収録されています。音質的には決して良くはないですが、リハーサルスタジオであの名曲たちがどういう過程を経て完成にたどりついたのかが、よくわかると思います。

曲によってはボーカル抜きだったりしますが、例えば「Master Of Puppets」が初期は『KILL'EM ALL』(1983年)っぽいヒステリックな歌メロだったり、初期の「Welcome Home (Sanitarium)」が発表されたスタジオ版以上にプログレッシブな展開だったり、「The Prince」のベースがくっきりと聴き取れたり(笑)と、慣れ親しんだ名曲たちの違う表情に驚かされることは間違いありません。

あと、未発表曲の「The Money Will Roll Right In」は「The Thing That Should Not Be」や「For Whom The Bell Tolls」あたりに通ずるミドルヘヴィナンバー。歌メロが乗ってないバックトラックのみなので、途中で完成させることを諦めた1曲なのかな。正直、『...AND JUSTICE FOR ALL』に入っていたとしても不思議じゃないけど、まぁ“捨て曲”っちゃあ捨て曲ですよね。

あ、最後に『Metal Madness』誌でのクリフ・バートンのインタビューが20分近くにわたり収録されていますが、まぁオマケってことでひとつ。


【DISC 3:Live From“The Damage Inc. Tour”】

当時収録されたらさまざまな場所でのライブ音源がボックスセットには収められていますが、このディスクではそこから抜粋して当時のセットリストに沿って並べた“擬似ライブ”を体験できます。正直、初来日公演時は『MASTER OF PUPPETS』からの楽曲しか知らなかったので、ライブで演奏されたうち半分以上知らない曲だったし、それ以上にライブが衝撃的すぎて記憶が定かでない部分もあるのですが、こうやって聴くと「ああ、こんな感じだったかな……」とうっすら記憶がよみがえってくる部分もあったり。

まあ音質は決して褒められるものではありません。当時FM局放送用に残されたもの、ライブミキサーからライン収録されたもの、あるいはカセットテープで簡易録音されたものなど、そもそもリリースを想定して収録されたものではないですからね。今みたいに全公演ライン録音で収録して、ライブから数日後にネット配信する時代になるなんて、30年前は想像もできなかったわけですから。単にこの貴重な音源の数々を手軽に楽しめるようになった現実を素直に受け入れ、楽しむことにしましょう。


【総評】

まだ『MASTER OF PUPPETS』を聴いたことがない……という奇特な方は本サイト読者には少ないかと思われますが、万が一まだ聴いたことがないという場合に、今回の3枚組エディションはうってつけかもしれません。輸入盤なら、国内盤の新品を買うよりも安いですしね。あるいは、もっと安く済ませたいのなら、アルバム本編のリマスター盤のみの1枚ものを購入するのもあり。

そして、「いや、音が悪くてもオリジナルにこだわる!」という奇特な方は……中古盤でさらにお安く、2017年以前に発売されたバージョンを購入することをオススメします。それもありっちゃあありでしょう。

ということで、今夜はこの名盤を久しぶりに大音量で楽しみたいと思います。


※Spotifyはリマスター盤単品かボックスセットの二択だったので、ボックスセットのほうを貼っておきます。



▼METALLICA『MASTER OF PUPPETS: DELUXE EDITION』
(amazon:国内盤3CD / 海外盤3CD / iTunes

投稿: 2017 11 23 12:00 午前 [1986年の作品, 2017年の作品, Metallica] | 固定リンク

2017/11/22

EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』(1992)

1992年秋に発表された、EXTREME通算3作目のオリジナルアルバム。1990年夏にリリースした前作『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』からのシングル「More Than Words」が全米1位、続く「Hole Hearted」も全米4位とヒット曲を連発し、アルバム自体も全米10位まで上昇し、200万枚以上も売り上げる結果に。続く本作はその成功を踏まえた、前作の延長線上にある内容になるかと思われました。

しかし、いざ届けられたアルバムはアナログ盤で2枚組に相当するコンセプチュアルな内容。確かに「More Than Words」的アコースティック/バラード路線も「Get The Funk Out」の流れを組むファンクメタル路線も引き継いでいるものの、よりやりたい放題でとっ散らかった作風と言えるような代物でした。

「Yours」「Mine」「The Truth」という3つの側面=III SIDESから構成された本作は、大雑把に言うと「Yours」がハードロック/ファンクロックサイド、「Mine」がメロウ/バラードサイド、「The Truth」はプログレッシヴロックサイド……といったところでしょうか。

「Yours」はヌーノ・ベッテンコート(G)のギタープレイが前面に打ち出されたファストナンバー「Warheads」からスタート。続く先行シングル「Rest In Peace」はファンキーでサイケデリックながらも歌メロがキャッチーな、いかにもシングル向きの1曲。ギターソロ終盤に登場するジミヘンの名フレーズ含め、彼らの遊び心が感じられる仕上がりです。「Politicalamity」「Cupid's Dead」は彼らのファンクロックサイドを強調させた楽曲で、それぞれ前作の延長線上にありながらもより深みを増した印象があります。そんな中で「Color Me Blind」はちょっと異色の1曲かな。ストレートなメロディアスハードロックなのですが、すごく引っかかりのある楽曲なんです。そういう意味では、彼らの新境地と言えるかもしれません。

続く「Mine」は、ギターレスのポップバラード「Seven Sundays」からスタート。これなんて、もろにQUEENですよね。そこから「Hole Hearted」の流れをくむ「Tragic Comic」続き、次の「Our Father」からの構成はまさに初期のQUEENのアルバム。大げさでドラマチックで、ロックの域を逸脱したポップさは、確かにハードロックを彼らに求める層にはちょっと疑問が残る楽曲群かもしれません。

で、そこをさらに激化させたのが「The Truth」サイド。全3曲から構成された「Everything Under The Sun」という組曲は、トータル22分におよぶ大作で、ストリングスや管楽器まで登場する……もはやハードロックの枠で語りたくなくなる壮大な交響曲です。「ああ、ヌーノはこれがやりたかったんだな」と、ここにたどり着いて納得させられました。つまり、メタルサイドもファンクサイドもポップサイドもちゃんと残して、それを序盤に詰め込んで、最後の最後に「ここからは好きにやらせてもらいます」と20分以上の組曲を投入する。見方次第では作り手のオナニーと受け取られてしまう可能性も高いですが、でもリスナーが求めるものもしっかり提供しているわけで、そこはちゃんとバランスが取れてると思うんですよね。

そういうオナニー的な部分が災いして、というわけではないでしょうが、本作は全米10位と前作同様の記録を残すものの、セールス的には50万枚止まり。というのも、世の中的にはNIRVANAをはじめとするグランジ勢がロックシーンを席巻し、ハードロック勢は“時代遅れ”として後ろに追いやられてしまったわけです。そんな状況下でもこれだけの数字を残せたのは、ある意味ラッキーだったのかもしれませんね。

ちなみに本作、収録時間の関係でCDバージョンだと「Mine」サイドラストナンバーの「Don't Leave Me Alone」がカット。アナログやカセット版には問題なく収録されているのですが……ということもあって、国内盤初版発売時は同曲のみが収められたオマケの8cmCDが付いていたりもしました。配信が主流になった今こそ、完全版で再発してほしいんですけどね。



▼EXTREME『III SIDES TO EVERY STORY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 11 22 12:00 午前 [1992年の作品, Extreme] | 固定リンク

2017/11/21

MICHAEL MONROE『PEACE OF MIND』(1996)

スティーヴ・スティーヴンスとのJERUSALEM SLIM空中分解、続いて結成したDEMOLITION 23.もメンバー脱退などを経て気づけば4分の3がHANOI ROCKSという中途半端な形となり、こちらもあえなく空中分解。そんな失敗を繰り返した90年代前半を経て、マイケル・モンローはニューヨークから故郷フィンランドへと戻ることになります。

そんな状況下で、文字どおり“心の平穏”を求めるかのように制作されたのが、ソロ名義では3作目のスタジオアルバムとなる本作『PEACE OF MIND』。本来なら「“あの”マイケル・モンローの新作!」と大々的にプッシュされてもおかしくないのに、当時は意外とひっそりリリースされたことをよく憶えています。

全10曲で33分というCD全盛時代にしては短いトータルランニング、10曲中3曲がカバー(THE DAMNED「Machine Gun Etiquette」、MC5「Kick Out The Jams」、THE DEAD BOYS「Not Anymore」という、マイケルにしてはわかりやすすぎる選曲)という内容も特にプラスに働くことはなかったのも、そういった大プッシュされなかった理由でしょうし、それ以上に本作のレコーディングにおいてドラム以外の楽器をほぼマイケルが演奏したという事実が、スタープレイヤー揃いだったバンド時代と比較して地味だという理由で足を引っ張ったのかもしれません。事実、リリース当時は「サウンド的にもボーカル的にも派手さに欠けるなぁ……」と感じ、あまり聴き返さなかった記憶があります。

が、あれから21年経った今聴き返してみたら、意外と良いんですよね。ドラムは全部DEMOLITION 23.のジミー・クラークが叩いていおり、ベースやギターなどのベーシックトラックはマイケルがプレイ。数曲で地元のギタープレイヤーが参加していますが、基本はマイケルが自身の“タイム感”をもとに演奏してるわけだから、悪いわけがない。

オリジナル曲は全体的にミディアムテンポ中心で、オープニングの「Where's The Fire John?」や「Always Right」あたりは2ndソロ『NOT FAKIN' IT』(1989年)にも通ずるものがあるし、マイケルらしいセンチメンタリズムは「Loneliness Loves Me More」で表現されている。かと思うとDEMOLITION 23.時代に制作したと思われる「Relationship Wrecked」ではあの世界観がそのまま展開され、肩の力が抜けたパンクチューン「Rent Free」もある。うん、全体的に悪くないんですよね。突出した1曲はないんだけど、まったり楽しめる1枚という印象です。

で、問題なのは本編ラストのタイトルトラック「Peace Of Mind」。これ、いわゆるコラージュトラックなんですが……“心の平穏”というより“心の混沌”が表現された2分間なんですよね。ああ、そうか。本当の意味での平穏を取り戻すために、マイケルはここで混沌を吐き出さなくちゃいけなかったのか。バンド編成をとらずに大半の楽曲を自分で演奏したのは、そこに到達するための通過儀礼だったのか……そんなことを感じました。けど、ここでの吐露があったからこそ、続く『LIFE GETS YOU DIRTY』(1999年)で復活の狼煙が上げられたわけですもんね。

なお、本作は2000年にボーナストラック2曲を追加したリイシュー盤が海外でリリースされています。こちらにはスティヴ・ベイターズ(THE DEAD BOYS)がゲスト参加したRASPBERRIESのカバー「I Wanna Be With You」と、ソロ1stアルバム『NIGHTS ARE SO LONG』(1987年)収録曲「It's A Lie」のスティヴ・ベイターズ参加バージョンが追加されています。後者は今年発売されたマイケルのソロベスト『THE BEST』でも聴くことが可能です。

また、残念ながら本作はデジタル配信&ストリーミング配信されておりません。先の『THE BEST』には本作から「Where's The Fire John?」「Make It Go Away」、そしてボーナストラックの「It's A Lie (feat. Stiv Bators)」の3曲が収録されているので、まずはそこから触れてみてはどうでしょう。



▼MICHAEL MONROE『PEACE OF MIND』
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投稿: 2017 11 21 12:00 午前 [1996年の作品, Michael Monroe] | 固定リンク

2017/11/20

HANOI ROCKS『BACK TO MYSTERY CITY』(1983)

初めて聴いたHANOI ROCKSのアルバムが本作『BACK TO MYSTERY CITY』でした。1983年5月に発表された通算3作目のオリジナルアルバム。スタジオアルバムとしては、前作にあたるコンピレーション盤『SELF DESTRUCTION BLUES』(1982年)を含めれば4作目となります。

本作は間違いなく、彼らの名をワールドワイドに知らしめるきっかけとなった第一歩。事実、本作の高評価がのちのメジャー契約けとつながったわけですからね。

で、実際にその内容も過去3作から格段にレベルアップしています。プロデュースを手がけたのは、元MOTT THE HOOPLEのデイル・グリフィンとピート・オヴァレンド・ワッツ(デイルは昨年1月、オヴァレンドは今年1月にそれぞれ亡くなっております。ご冥福をお祈りします)。前作までにあった“バタ臭さ”や“B級臭”が一気に薄らぎ、とても“北欧出身のインディーグラムロックバンド”なんて感じさせない音に仕上げられています。

そして、楽曲自体のクオリティ(主にアレンジ面)が格段に向上。オープニングのアコギ&フルートによるインスト「Strange Boys Play Weird Openings」から名曲「Malibu Beach Nightmare」へと続く構成は、ロック史屈指の名演と断言したいし、なによりその「Malibu Beach Nightmare」の名曲ぶりといったら……グラムロックとパンクの良さを絶妙にブレンドし、さらに自分たちのオリジナルへと昇華させたその技量に、改めて驚かされます。

そのほかにも「Mental Beat」や名バラード「Until I Get You」、ポップでキャッチーな「Ice Cream Summer」、ライブのクライマックスに相応しい「Back To Mystery City」など、今聴いても最高にクールな名曲が豊富。パンクロックのオリジネーターへのリスペクトも込められた「Tooting Bec Wreck」もあれば、どこかニューウェーブテイストの「Lick Summer Love」、ドラマチックなコード進行&アレンジが日本人好みな「Beating Gets Faster」もある。次作にして最初の解散前ラストアルバムとなってしまった『TWO STEPS FROM THE MOVE』(1984年)が第1期HANOI ROCKSの完成形だとすると、本作で表現されているのはそのプロトタイプであり、A級とB級の間にいる彼らのアンバランスさが色濃く表現されているんじゃないでしょうか。そして、そこが味わい深いし、すごく興味を惹かれるんですよね。

ハードロックでもないしパンクロックでもない、グラムロックでもない彼らの微妙な立ち位置がこのアルバムを聴けば理解できる。そんなオリジナリティに満ち溢れた傑作です。



▼HANOI ROCKS『BACK TO MYSTERY CITY』
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投稿: 2017 11 20 12:00 午前 [1983年の作品, Hanoi Rocks, Mott The Hoople] | 固定リンク

2017/11/19

AC/DC『BACK IN BLACK』(1980)

大ヒットした1979年のアルバム『HIGHWAY TO HELL』に続く、AC/DC通算7枚目のスタジオアルバム(1980年夏発売)。前作から引き続き、プロデュースをジョン・マット・ラングが担当。と、ここまで書くと前作の延長線上にある作風かと想像してしまいがちですが、前作との間にひとつの大事件が発生します。それがフロントマン、ボン・スコットの急逝(1980年2月)でした。バンドの顔ともいえるボンが亡くなったことで、本来はその歩みを止めてもおかしくないところを、AC/DCは前作からまる1年というハイペースで本作『BACK IN BLACK』を完成させるのでした。

新たに加入したシンガーは、イギリス生まれのブライアン・ジョンソン(元GEORDIE)。ボンの歌声はどこか気だるさや色っぽさ(エロさ)も感じられる独特の個性でしたが、ブライアンの歌声はもっと硬質。極論を言ってしまえば、ロックンロールシンガーからヘヴィメタルシンガーに交代したというくらい、バンドの顔が急に変わってしまったわけです。

当然、バンドが作り出すサウンド自体もブライアンの特性を生かしたものにシフトチェンジ。キャッチーで軽やかなイメージのあった『HIGHWAY TO HELL』とは異なり、この『BACK IN BLACK』ではヘヴィでソリッドなハードロックを奏でております。もう1曲目「Hells Bells」からして異質ですよね、それまでのAC/DCを考えれば。冒頭の鐘の音は、亡くなったボンへの鎮魂を意味するのでしょう(確実に『HIGHWAY TO HELL』へのアンサーと思われます)。そして不穏なギターリフから徐々にヒートアップして、いつになくシリアスな表情で、そしてヒステリックなサウンドで新生AC/DCの誕生を高らかに宣言する。こんなにもドラマチックで、聴き手をたぎらせるオープニング、そうはないですよね。

「Shoot To Thrill」のようなロックンロールもあるんだけど、やはりそれまでとはどこか違う。いや、ギターリフを聴けば間違いなくAC/DCなんだけど、やはり新しさを感じさせる。アナログB面1曲目のタイトルトラック「Back In Black」の、音の隙間を効果的に生かしたリフ&リズムワークはHR/HM史に残る名演のひとつです。かと思えば、前作からヒットした「Highway To Hell」の意思を受け継ぐ「You Shook Me All Night Long」もあるんだから……本当、すごいアルバムだと思います。

1曲1曲を抜き出して語るよりも、アルバムをひとつの音の塊として語りたい。『BACK IN BLACK』はそんな作品だと思います。HR/HMの教科書と言ってもいいくらい、まずはこれから聴け!と突きつけたいくらい、「知らなきゃモグリでしょ?」って言いたくなる1枚です。

ブライアン・ジョンソン(Vo)、アンガス・ヤング(G)、マルコム・ヤング(G)、クリフ・ウィリアムズ(B)、フィル・ラッド(Dr)。第二の黄金期を築き上げたこの布陣は、今後再び揃うことはありません。ブライアンの耳の不調によるツアー離脱、マルコムの認知症によるバンド活動休止、フィルの逮捕、クリフの引退……そして……残念でなりません。過去3回の来日中2度、この編成によるステージを観ることができたのは、もしかしたら幸運だったのかもしれませんね。



▼AC/DC『BACK IN BLACK』
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投稿: 2017 11 19 12:00 午前 [1980年の作品, AC/DC, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2017/11/18

WHITESNAKE『WHITESNAKE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2017)

1987年という年はHR/HMにとって象徴的な1年だったんだなと、あれから30年経った2017年に改めて感じさせられます。それは、今年に入って当時発表された名盤の30周年アニバーサリーエディションが次々とリリースされている事実からも伺えるはずです。MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』DEF LEPPARD『HYSTERIA』……記念盤の発売こそなかったものの、GUNS N' ROSES『APPETITE FOR DESTRUCTION』も1987年リリース。当ブログ右カラムのカテゴリから〈1987年の作品〉をクリックしてもらえば、ここで取り上げた名盤の数々を振り返ることができるので、ぜひ一度チェックしてみてください。

そんな1987年の名盤のひとつ、WHITESNAKE最大のヒット作である『WHITESNAKE』(ヨーロッパ圏では『1987』というタイトル)が先日、“30TH ANNIVERSARY EDITION”と銘打って新規リマスタリング&未発表テイクを追加した2枚組仕様とCD4枚組+DVDからなるボックスセットで新規リリースされました。「あれ、このアルバムって昔も“○○TH ANNIVERSARY EDITION”発売されてなかったっけ?」とお気付きのあなた、正解。本作は2007年に“20TH ANNIVERSARY EDITION”と銘打ったCD+DVDが発表済みで、その際にも音源のほうはリマスタリングされていました。

ところが今回、WHITESNAKEが新たにワーナーグループと契約したことで、その第1弾アイテムとしてこの30周年盤がリリースになったわけです。一体何枚買わせるんですか、同じアルバムを(苦笑)。

実は当ブログでも今年2月に本作および20周年盤について執筆しており、これまでに発表された曲順が異なるいくつものバージョン違いにも触れております。作品の素晴らしさについては、そちらを改めてご確認ください。

ちなみに気になる曲順ですが……各仕様ともCDのDISC 1は『WHITESNAKE』20周年盤から、スタジオていく部分のM-1〜M-11(「Still Of The Night」から「Don't Turn Away」まで)を収録。オリジナルのUS盤や日本盤の曲順が復活することなく、残念ながらあの違和感ありまくりの20周年盤と同じです。もうそこは諦めるしかないのかな。

ということで、今回のエントリでは2枚組CDおよびボックスセットで新たに聴ける音源について触れていきたいと思います。


【DISC 2(2枚組仕様およびボックスセット共通)】

「SNAKESKIN BOOTS [LIVE ON TOUR 1987-1988]」と題したこのディスクは、レーベルの説明によると「87年から88年にかけて行なわれたワールド・ツアーの未発表ライヴ音源を収録。デイヴィッド・カヴァデールに加え、エイドリアン・ヴァンデンバーグ、ヴィヴィアン・キャンベル、ルディ・サーゾ、トミー・アルドリッジ、ドン・エイリー(おそらく間違い)というラインナップでのパフォーマンスとなっている。全曲未発表音源」とのこと。当時のヘッドライナーツアーをほぼほぼまるっと音源化したものなんですが、すげえ聴き覚えがあるな……あれ、MCでデヴィッド・カヴァーデイルが「ウタッテ、トキオーッ!」って叫んでるよ……これ、1988年6月に実現したジャパンツアーの音源ですよね? 残念ながら僕、このツアーは生で観られなくて、後日TOKYO FMで深夜にオンエアされた代々木オリンピックプール(現在の国立代々木第一体育館)公演の音源をエアチェック(死語)して、カセットで聴きまくったんだよな。だからめっちゃ聴き覚えがあるわけですね。MCや音源と異なるアレンジやギターソロに違和感を覚えながらも、必死に追いつこうとした高2の夏……懐かしいですね。

この音源が当時オンエアされたものと同じかどうかは不明ですが、それにしては音が悪い……エアチェック音源のほうがもっとクリアで各パートの分離が良かった記憶があるんですが、それって時間が経ったことで美化されてるんですかね? なんにせよ、もっとクオリティの高いもの(音質や歌・演奏含め)は残されていなかったんでしょうか。こうやって当時の貴重な音源を今楽しめるのは嬉しいのですが、そこだけが残念でなりません。

ライブの最後に演奏されたZZ TOPのカバー「Tush」とかトミー・アルドリッジのドラムソロパートとかいろいろカットされているので完全盤ではないものの、まぁオマケとしては十分かなと。


【DISC 3(ボックスセットのみ)】

「87 EVOLUTIONS(DEMOS AND REHEARSALS)」と題されたこのディスクは、「『白蛇の紋章~サーペンス・アルバス』に収録されている楽曲のデモ音源やリハーサル音源など、それぞれの楽曲の原型とも言える貴重な音源ばかりを収録。全て未発表音源の貴重なテイクだ。こちらも全曲未発表音源」とのことで、デヴィッドとジョン・サイクス(G)がいかにしてあの名曲たちを完成させていったかが垣間見れる貴重な音源集。「Give Me All Your Love」が最初スローテンポのブルースロックだったり、「Is This Love」が今みたいなAORっぽくなかったり、「Straight For The Heart」もテンポがユルめでカッコ良かったり、「Don't Turn Away」が最初はもっとアップテンポだったりと、いろんな発見があるのは面白いですね。ただ、「Crying In The Rain」以外は歌とギターだけによるラフなものなので、過剰な期待は禁物ですが。


【ディスク4(ボックスセットのみ)】

「87 VERSIONS(2017 REMIX)」と銘打った本ディスクは、「今回の30周年記念作品の発売にあたり、新たにリミックスを行なったシングル曲4曲に加え、当時日本のみで発売されていたEP『87 VERSIONS』に収録されていた音源や、貴重なラジオ・ミックスなどを収録。2017リミックスは今回が初出の音源となる」ということで、ディスク1に未収録の“あの当時レコーディングされ公式リリースされた音源”を網羅したものとなっています。気になる最新リミックスですが、このアルバム特有のリバーブ感が取り除かれ、非常に生々しいミックスに生まれ変わっています。ただ、それによりドラムサウンドの厚みがなくなったり、ギターの音が細くなったりなどの弊害も。ボーカルも前に出すぎていて、メタルアルバムのミックスというよりは現代的なロック/ポップスのミックスという印象。あと、原曲にはなかった音やコーラスが追加されていたりと、印象もだいぶ異なるかな。「Still Of The Night」はあの仰々しさが薄れてしまったし、「Here I Go Again」もダイナミックさが激減したけど、逆に「Is This Love」は今回のバージョンのほうが気に入ったかな(フェードアウトせずに終わるのも、なお良し)。「Give Me All Your Love」は評価が分かれるところかもしれませんが、これはこれで好き。原曲とどっちが良いかと問われたら、原曲を選びますが(苦笑)。

そして、日本限定リリースだったミニアルバム『87 VERSIONS』の音源ですが、リマスタリングが施されているかは不明。つうか「Looking For Love」と「You're Gonna Break My Heart Again」に関してはディスク1とかぶり。そこは気を遣えよ、ちゃんと仕事しろよと力説したい。それ以外は、Geffen時代のベストアルバムで聴けた「Here I Go Again」ラジオミックスと、シングルのみで発表された「Give Me All Your Love」のリミックス(ヴィヴィアン・キャンベルのギターソロに差し替えられたバージョン)も収録されております。まあこのディスクの主役は最新リミックスの4曲ですね。どうせなら、アルバムまるまる1枚をこの音で聴いてみたいという気もしましたが(それはそれで、別モノとして楽しめるかもしれないので)。

というわけで、今回の最新バージョン。初めて本作に触れるビギナーは2枚組仕様で十分です。ボックスはマニア向け。とはいえ、そのマニアならいろいろ突っ込みたくなるんじゃないかと察しますが……。

以下、オマケ。今回の最新リマスタリング音源を使って、1987年発売当時の国内盤およびUS盤の曲順でプレイリストを作りました。「Crying In The Rain」から「Bad Boys」への曲間の違いはあるものの、やっぱりこのトラックリストに強い親しみがあるだけに、ぜひ現行のトラックリストと聴き比べてみることをオススメします。



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投稿: 2017 11 18 12:00 午前 [1987年の作品, 2017年の作品, Whitesnake] | 固定リンク

2017/11/17

RICHIE SAMBORA『STRANGER IN THIS TOWN』(1991)

『NEW JERSEY』(1988年)リリース後の2年近くにわたるワールドツアーを終えたBON JOVIは、そのまま長いオフ期間に突入。1990年8月にはジョン・ボン・ジョヴィが初のソロアルバム『BLAZE OF GROLY』を発表したことで、ファンは「ああ、しばらく活動再開はないかな?」と残念に感じたのではないでしょうか。それと前後して、相方のリッチー・サンボラ(G)は映画『フォード・フェアレーンの冒険』サウンドトラックに、初のソロトラック「The Wind Cries Mary」(ジミ・ヘンドリクス「風の中のマリー」のカバー)を提供。さらにそのまま本格的なソロ活動へと移行していき、1991年9月に1stソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』を発表します。

同作は、アーシーでカントリー寄りの方向性だったジョンのソロとは異なり、『NEW JERSEY』でのブルージーなハードロックをよりモダンに、かつダークに仕上げた内容。リッチーはソングライティングやギターのみならず、ボーカリストとしても大活躍しています。もともとBON JOVIのライブでシンガーとしての力量を遺憾なく発揮してきた彼だけに、いわゆる“ギタリストのソロアルバム”ではなく“シンガーソングライターのソロアルバム”になったのは頷ける話です。

レコーディングにはBON JOVIのメンバーであるデヴィッド・ブライアン(Key)とティコ・トーレス(Dr)に加え、KING CRIMSONなどで知られるジョン・レヴィンやランディ・ジャクソンなどのベーシスト、さらに1曲のみエリック・クラプトンがギターで参加。楽曲は先にも書いたようにリッチーがメインで書き、曲によってデズモンド・チャイルドなどの職業ライターが加わっており、そのへんもパーソナルな仕上がりだったジョンのソロと比較してよりBON JOVI寄りと言えるでしょう。

なので、『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)から『KEEP THE FAITH』(1992年)あたりまでのBON JOVIが好きなリスナーなら間違いなく気に入る内容だと思います。だって、中には『NEW JERSEY』のアウトテイク「Rosie」まで含まれているんですから。

もともと、リッチーはそこまで癖や個性が強いギタリストというイメージがあまりなく、曲に合った印象的なソロプレイ(というかフレーズ)を残してきた人。あくまで“曲ありき”のプレイヤーだと思うので、こういった楽曲がしっかり作り込まれたアルバムでこそ彼の魅力が光るんじゃないかと思うのです。そういう意味では、ソロデビュー作がこういう内容になったのは正解だったのかなと。ただし、シンガーとしては……ここまでめいっぱい歌っているのを聴いて思ったのは、うまいけどジョンのように強烈な個性はないかなと。やっぱりこの人は、強いフロントマンの隣に立ってこそ自らの魅力を発揮させるギタリストなんだと思いました。だからこそ、今の状況は残念でならないのですが……。

のちにBON JOVIのライブでも披露されてきた「Stranger In This Town」やシングルカットもされた「Ballad Of Youth」、クラプトンが参加した「Mr. Bluesman」、アコースティックバラードの名曲「The Answer」など、とにかく楽曲の出来は文句なし。ジョンの『BLAZE OF GLORY』との比較含め、ぜひあわせて聴いてもらいたい1枚です。



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投稿: 2017 11 17 12:00 午前 [1991年の作品, Bon Jovi, Eric Clapton, Richie Sambora] | 固定リンク

2017/11/16

JON BON JOVI『BLAZE OF GLORY』(1990)

1990年8月にリリースされた、ジョン・ボン・ジョヴィBON JOVI)初のソロアルバム。本作は当時公開されたアメリカ映画『YOUNG GUNS II』(邦題『ヤングガン2』)にインスパイアされて制作したもの。当初、映画サイドはBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」を劇中で使用したいと申し出たのですが、これに対してジョンは新曲を多数用意し、このうち「Blaze Of Glory」と「Billy Get Your Guns」のみが劇中で使用されることになりました。

海外盤ジャケットを観ておわかりのとおり、本作はアルバムを通して『YOUNG GUNS II』の世界観が描かれており、先の「Wanted Dead Or Alive」や『NEW JERSEY』(1988年)で表現してきた“カウボーイソング”が一気に開花しております。

そもそもBON JOVIの楽曲使用を申請されたのに、なぜジョンのソロだったのかと申しますと、この時期BON JOVIは2年近くにわたるワールドツアーを終えたばかりで、バンドとしての動きが一切ないタイミング。ぶっちゃけ、バンド内の状況も決して良好とは言い難いものであり、それもあってジョンはソロという“もうひとつの手段”を試してみたんでしょうね。

なもんで、楽曲自体はすべてジョンひとりで書かれたもの。メロディセンスはさすがですが、ちょっとシンプルかつコンパクトなものが多いかな。そういった楽曲をプロデューサーのダニー・コーチマーや、ケニー・アロノフ(Dr)、ランディ・ジャクソン(B)、ジェフ・ベック(G)といった名手たちと色付けしていくのですが、BON JOVIのような高性能ハードロック色皆無の、完全にレイドバックしたカントリー寄りのアメリカンロックが完成するわけです。もうこれ、完全にジョンが憧れるブルース・スプリングスティーンですね。もしくはジョン・メレンキャンプとか、ああいった“枯れた”ロックを奏でる人たち。納得です。

ゲストも豪華でキース・リチャーズのバンドでおなじみのワディ・ワクテル(G)やRATTのロビン・クロスビー(G)をはじめ、エルトン・ジョン(Piano, Vo)、リトル・リチャード(Piano, Vo)などなど。エルトンは「Dyin' Ain't Much Of A Livin'」でジョンとハモっているし(聴けばすぐにわかりますよね)、リトル・リチャードは「You Really Got Me Now」でジョンとデュエットしており、ホンイキの歌声を聴かせてくれてます。

中でも、ジェフ・ベックの存在感が別格すぎ。ミック・ジャガーのソロアルバムでもかなり好き放題弾いてましたが、本作でもやってくれてます。この人、ロッド・スチュワートといい、やっぱり存在感のあるフロントマンと一緒に何か作ると、自分のソロとはまた違った個性を発揮するんですよね。本当に面白い存在です。

あと、久しぶりに聴いて思ったのですが、「Santa Fe」って「Always」以降のBON JOVIピアノバラードに通ずる世界観がすでに存在するんですよね。思えば「Always」もジョン単独で書いた曲だし、改めて腑に落ちるものがありました。

アルバムは全米3位で200万枚以上のセールス、シングル「Blaze Of Glory」は全米1位を記録し、今でもBON JOVIのライブで披露される機会が多い1曲になりました。この成功があったから、数年後の「Always」(1994年)そして『THESE DAYS』(1995年)につながっていくわけです。




▼JON BON JOVI『BLAZE OF GLORY』
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投稿: 2017 11 16 12:00 午前 [1990年の作品, Bon Jovi, Jeff Beck, Jon Bon Jovi, Ratt] | 固定リンク

2017/11/15

YES『BIG GENERATOR』(1987)

YESで最初に取り上げるアルバムが本作なのは、何かいろいろ間違っている気がしますが……うん、気にしないで進めます。

YESが1987年初秋に発表した、通算12枚目のスタジオアルバム。初期のプログレッシヴロック路線からサンプリングなどデジタル要素を駆使した前作『90125』(1984年)へと移行し、アルバムは全米5位、同作からのシングル「Owner Of A Lonely Heart」が初の全米1位を獲得と新たな全盛期を迎えた彼らが、トレヴァー・ホーンからバンドメンバーのトレヴァー・ラビン(G)にプロデューサーを変更して制作されたのが今作です。

古くからのファンからは否定的な声も上がった『90125』ですが、それは本作も同様だったようです。もっとも、70年代の彼らを通過していない(本作が発売された当時もその頃のYESを知らなかった)僕にとっては、この『BIG GENERATOR』こそが初めてリアルタムで接するYESの新作だったのです(『90125』はもっとあとになってから聴いた記憶が)。

MTVなどでMVを目にした先行シングル「Love Will Find A Way」や「Rhythm Of Love」の印象が強かったためか、プログレというよりもギターロックというイメージで本作に接したのですが、どうやらそれは間違いではなかったようでした。例えばASIAGTRなどのような“古き良き時代のプログレをエッセンスに、テクノロジーを適度に駆使したハードポップ/ハードロック”に近い印象で、ところどころにYESらしい“こだわり”がちょっとだけ散りばめられている、決してプログレロックアルバムとは呼べない1枚でした。だからこそ、僕のような人間にとってはとっかかりとして良かったのかもしれません。

マニアやコアファンが何と言おうと、先に挙げたシングル曲は最高にカッコ良いし、そのほかにも「Shoot High, Aim Low」「Almost Like Love」みたいにイカす曲も豊富。個人的には『90125』よりもこっちのほうが“ロック”していて、気に入っています。トレヴァー・ラビンのギターワークも、トニー・ケイ(Key)のシンセもカッコ良いですしね。

あと、BEACH BOYSを彷彿とさせるハーモニーが要所要所でフィーチャーされているのも、個人的好みの理由かもしれません(「Love Will Find A Way」で使用されているブルースハープもね)。適度にプログレで適度にハードロック、だけどポップスとしては外さない。結局前作ほどのヒットには恵まれなかったし、本作が原因でジョン・アンダーソン(Vo)がバンドを脱退したとか曰く付きの1枚ですが、そういったこと関係なしに今でもよく聴くアルバムです。



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投稿: 2017 11 15 12:00 午前 [1987年の作品, Yes] | 固定リンク

2017/11/14

GTR『GTR』(1986)

ASIAを脱退したスティーヴ・ハウ(G)が、元GENESISのスティーヴ・ハケット(G)と結成した、プログレ界の新たな“スーパーグループ”GTR。彼らが1986年夏に発表した唯一のスタジオアルバムが本作『GTR』です。

ボーカルにはのちにPHENOMENAやマイク・オールドフィールドの作品に参加するマックス・ベーコン、ベースには同じくマイク・オールドフィールド流れのフィル・スポルディング、ドラムには元MARILLIONで幅広いジャンルでも活躍するセッションプレイヤーのジョナサン・ムーバーを迎えていますが、ギタリスト2名以外の知名度はそこまで高いものではありません。だからこそ、どんなサウンドになるのか未知数だったところもあると思うんです。

僕はMTVで先行シングル「When The Heart Rules The Mind」を観て(聴いて)、そのASIA譲りのドラマチックなハードロック調サウンドに心惹かれ、アルバムに手を出しました。シンガーのマックス・ベーコンが高音を張り上げて歌うタイプだったので、HR/HMリスナーにもかなり親しみやすかったんじゃないでしょうか。僕自身、ASIA以上にそっちの感覚で楽しめましたし。

それに、シンセはあくまで味付け程度で若干後ろに引っ込め、ギター2本を軸にした“適度にプログレッシヴ”なアレンジは、産業ロックやプログレポップとは呼び難いもの。いや、そんなことないか。とにかく、ボーカルとギターが豪快で、全体のトーンにも統一感が感じられる。しかも途中に登場するギターインスト(それぞれスティーヴ・ハウ、スティーヴ・ハケットによる2分程度の作品)がアルバム中で良いアクセントとなっているのも、また良いんですよね。

大半の楽曲はハウ&ハケットのペンによるもので、曲によってマックスや他メンバーが携わっているんですが、2曲目の「The Hunter」のみASIAのジェフ・ダウンズによる作品。かといって、ASIAっぽいかと言われると、全然そんなことないんですけどね。ちなみに、後年ASIAもこの曲をセルフカバーしているので、聴き比べてみてはいかがでしょう。ASIA版はジョン・ペインの歌声のせいもあって、全然印象が異なりますから。

YESらしさも、(ポップになる前の)GENESISらしさも混在しつつ、プログレッシヴなハードロックとして機能するクオリティの高い1枚。残念ながら全米11位と、ASIAほどの成功を収めることなく、バンドはこの1作で解散を迎えてしまいました。あのまま続いていたらどんな作品を作っていたのか想像もつきませんが、30年以上経った今も忘れ去られることなくこうやって本作を楽しめるのは、このバンドにとってはある意味幸せなことなのかもしれませんね。



▼GTR『GTR』
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投稿: 2017 11 14 12:00 午前 [1986年の作品, Asia, GTR] | 固定リンク