2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2020年9月26日更新)


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2020年10月 1日 (木)

2020年8月のアクセスランキング

ここでは2020年8月1日から8月31日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2020年7月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新更新/↑18位)

2位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新/↑19位)

3位:「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 1@苗場スキー場(1999年7月30日)(※1999年9月8日更新/Re)

4位:DEEP PURPLE『WHOOSH!』(2020)(※2020年8月7日更新/NEW!)

5位:ALCATRAZZ『BORN INNOCENT』(2020)(※2020年8月5日更新/NEW!)

6位:METALLICA『S&M2』(2020)(※2020年8月29日更新/NEW!)

7位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↓2位)

8位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新/↓1位)

9位:NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)(※2019年1月25日更新/↑14位)

10位:DREAM THEATER『FALLING INTO INFINITY』(1997)(※2020年8月3日更新/NEW!)

 

11位:JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』(2020)(※2020年8月22日更新/NEW!)

12位:RAINBOW『DOWN TO EARTH』(1979)(※2020年8月5日更新/NEW!)

13位:JUDAS PRIEST『BRITISH STEEL』(1980 / 2010)(※2020年8月8日更新/NEW!)

14位:THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』(1987)(※2019年1月12日更新/Re)

15位:BIFFY CLYRO『A CELEBRATION OF ENDINGS』(2020)(※2020年8月24日更新/NEW!)

16位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓9位)

17位:THE FALL OF TROY『MUKILTEARTH』(2020)(※2020年8月14日更新/NEW!)

18位:MIKE SHINODA『DROPPED FRAMES VOL.2』(2020)(※2020年8月14日更新/NEW!)

19位:THE WiLDHEARTS『STOP US IF YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE VOL.1』(2008)(※2020年8月10日更新/NEW!)

20位:NICKELBACK『ALL THE RIGHT REASONS』(2005)(※2020年8月1日更新/NEW!)

 

21位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新/Re)

22位:KISS『DRESSED TO KILL』(1975)(※2020年8月16日更新/NEW!)

23位:COVET『TECHNICOLOR』(2020)(※2020年7月8日更新/↓11位)

24位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新/↓4位)

25位:ALICE IN CHAINS『THE DEVIL PUT DINOSAURS HERE』(2013)(※2020年8月25日更新/NEW!)

26位:2020年上半期総括(ベストアルバム10)(※2020年7月3日更新/↓3位)

27位:SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996)(※2019年1月1日更新/Re)

28位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新/Re)

29位:追悼:足立“YOU”祐二 〜DEAD ENDディスコグラフィー②〜(※2020年6月24日更新/↓17位)

29位:THE ACACIA STRAIN『SLOW DECAY』(2020)(※2020年8月13日更新/NEW!)

29位:YEAR OF THE KNIFE『INTERNAL INCARCERATION』(2020)(※2020年8月12日更新/NEW!)

29位:DAVID BOWIE『HUNKY DORY』(1971)(※2020年8月6日更新/NEW!)

29位:NINE INCH NAILS『BROKEN』(1992)(※2018年10月5日更新/Re)

 

8月は29位が5エントリーあったので、計33エントリーとなります。その33エントリー中、17エントリーが8月更新分にあたり、そのうち9エントリーが新作レビューでした。先月から引き続き、更新した記事がしっかり読まれており安心しております。

今月、特に印象的だったのが2〜3位のフジロックレポートの過去エントリー。これは8月末にオンラインで過去のフジロック映像が配信されたのを機に、アクセスが集中しました。こうやって20年前の記事を読んでもらえるのはありがたい限りです(書いた本人としては稚拙すぎて恥ずかしいところもありますが)。また、1位のNAILBOMBは定期的に上位に入っていましたが、1位は初めてじゃないかな。年間ランキングでもかなり上位に入りそうな予感です。

2020年9月30日 (水)

2020年9月のお仕事

2020年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※9月24日更新)

 

[WEB] 9月24日、「ザテレビジョン」にてインタビュー長濱ねる、仕事に対するマイルールと今やりたいこと「素直に生きていくのは難しいけど、すごく大事」が公開されました。

[紙] 9月23日発売『週刊ザテレビジョン』2020年10月2日号にて、長濱ねるインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月20日、「NIKKEI STYLE」にてインタビュー乃木坂46の齋藤飛鳥 『映像研』で恥じらい取り払えたが公開されました。

[紙] 9月18日発売『映像研には手を出すな!』〜手を出した人専用オフィシャルブック〜にて、乃木坂46山下美月、英勉監督、東宝の上野さん、高野水登(脚本家)、伊藤沙莉、chelmicoの各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 9月17日発売「日経エンタテインメント!乃木坂46 Special 2020」にて、白石麻衣、生田絵梨花、齋藤飛鳥、高山一実、北野日奈子、新内眞衣、伊藤理々杏、賀喜遥香、田村真佑、早川聖来、弓木奈於の各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月9日、「リアルサウンド」にてインタビューKAQRIYOTERROR、5人の結束強まった1年間の集大成 1stアルバム『アヴァンギャルド0チテン』で見せた意欲と挑戦が公開されました。

[WEB] 9月7日、「リアルサウンド」にてコラム『虹プロ』や『PRODUCE 101』に続くオーディションに? 清水翔太が審査委員長務める『ONE in a Billion』への期待が公開されました。

[紙] 9月4日公開の映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」の公式パンフレットにて、1期生×2期生の各対談を担当・執筆しました。

[紙] 9月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年9月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 9月2日、「リアルサウンド」にてインタビュー南條愛乃が語る、今だからこそ歌を介して伝えたいメッセージ「“みんなに”というよりは“あなたに”届けたい」が公開されました。

[WEB] 9月2日、「リアルサウンド」にてインタビューLittle Glee Monsterに聞く、歌で笑顔を届けるために模索した日々 2020年上半期から現在までの活動を振り返るが公開されました。

[WEB] 9月2日、「ぴあ」にてインタビュー衝撃の改名発表の裏側も! 欅坂46が語る、激動の5年間と再始動への思いが公開されました。

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また、8月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2008号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2020年9月26日 (土)

SUICIDE SILENCE『THE BLACK CROWN』(2011)

2011年7月12日にリリースされたSUICIDE SILENCEの3rdアルバム。日本盤は同年7月20日に発売されています。

1stアルバム『THE CLEANSING』(2007年)、2ndアルバム『NO TIME TO BLEED』(2009年)と着実に成長を続けてきた彼らにとって、その人気を確実なものへと決定づけたダメ押しの1枚。前作の時点で全米TOP40入り(最高32位)を果たしていたものの、本作ではついにTOP30入り(最高28位)を記録。本作で彼らに触れたというリスナーも少なくないのかもしれません。

僕は前作『NO TIME TO BLEED』をたまたま購入し彼らに音に触れていたのですが、デスコア然としていた前作の要素を残しつつも、ミドルテンポに比重を置いたメタルコア路線の楽曲が増え始めたことで、少しメジャー感が増したなという印象を受けました。とはいっても、ミッチ・ラッカー(Vo)の咆哮は相変わらず激しいままなので、そこに対して「日和った」なんて一切感じませんでしたが(コアなデスコアリスナーの中には、そう感じた方もいたのかもしれません)。

しかし、そんな本作から「You Only Live Once」というメタルコア寄りの楽曲が代表曲のひとつとして支持を集めるようになるのですから、結果としてはこの進化は好意的に受け入れられたということなのでしょう。同曲に続く「Fuck Everything」や「March To The Black Crown」といったナンバーも同系統ですが、ブラストビートを多用したブルータルな「Slaves To Substance」や「Human Violence」といった楽曲を配置したアルバム序盤から「You Only Live Once」以降の流れ、再びアグレッションが増す「Witness The Addiction」や「Smashed」などを用意した後半という流れは不思議と聴いていて疲れませんし、むしろ良い流れだなとポジティブに感じるほど。僕自身デスコアというジャンルに思いっきり傾倒していたわけではなかったので、逆に過去2作よりも本作のほうがリピートしやすい、聴きやすいと感じていたほどでした(MVはゴア感満載でしたけどね)。

終盤には不穏なギターフレーズを織り交ぜたミドルナンバー「The Only Thing That Sets Us Apart」というフックの効いた曲がありつつも、ラストはやはりこれ!と言わんばかりの「Cancerous Skies」で終了。なお、「Witness The Addiction」にジョナサン・デイヴィス(Vo/KORN)、「Cross-Eyed Catastrophe」にアレクシア・ロドリゲス(Vo/EYES SET TO KILL)、「Smashed」にフランク・ミューレン(Vo/ex. SUFFOCATION)がゲスト参加。「Cross-Eyed Catastrophe」で聴けるアレクシアの女性クリーンボイスは良いアクセントになっており、このへんも本作のメジャー感アップに貢献しているのかもしれません。

「これはハードコアなのか、それともヘヴィメタルの進化系なのか」なんて愚問は置いておいて、ヘヴィなサウンドを愛聴するリスナーにとっては「新しい波が来た!」とうれしくなるような1枚だったことだけは間違いありません。実際、そう感じていましたし。

だからこそ、カリスマ的な存在感を放っていたミッチが本作を最後にこの世を去ることになるなんて、リリース当時は想像もしていませんでした(ミッチは本作リリースから1年以上経った2012年11月1日、バイク事故で急逝)。改めて「You Only Live Once」という楽曲の歌詞が胸に沁みます。

 


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2020年9月25日 (金)

BRING ME THE HORIZON『SUICIDE SEASON』(2008)

2008年11月中旬にリリースされたBRING ME THE HORIZONの2ndアルバム。日本盤は翌2009年1月下旬に発売されました。

BRING ME THE HORIZONの名を幅広く知らしめる最初の結果を生み出した、記念すべき1枚。ジャケットのグロさから、知らない人にはデスメタルとかゴアグランドのバンドかと間違えられそうですが(デビュー作を知らなかった僕も、店頭でそう勘違いして手にしたひとりです)、1stアルバム『COUNT YOUR BLESSINGS』(2006年)で提示したデスコアサウンドをさらに一歩推し進めた、モダンなメタルコアサウンドを楽しむことができます。

プロデュースを手がけたのは、北欧メロディックデスメタルシーンで知られるフレドリック・ノルドストローム(ARCH ENEMYDIMMU BORGIRSOILWORKなど)。前作でのアンダーグラウンド感が良い意味で薄れ、鋭角で低音重視ながらも全体的に聴きやすい/聞き取りやすいバランス感でまとめられています。初めて聴いたときは冒頭2曲「The Comedown」「Chelsea Smile」のアグレッションに若干引きつつも、それでも不思議と聴きやすいその作風に違和感を覚えたものです(もちろん、良い意味での違和感なんですけどね)。

緩急の起伏が激しいアレンジ/バンドアンサンブルと、デジタルテイストを随所に散りばめた味付けは、前作での(良くも悪くも)アングラの帝王感から一線を画するものがあり、短期間でメジャー感を強めることに成功。今思えば、次々作『SEMPITERNAL』(2013年)の片鱗と言えなくもないですが、この時点ではあくまで「アグレッシヴなバンドサウンドとの対比」という意味での味付けだったはず。なので、デジタル感をバンドの軸足に起き始めた『SEMPITERNAL』とは直接的な関連性はそこまで考えなくてもいいのかなと。むしろそれよりは、楽曲のプログレッシヴ度が急激に増す次作『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010年)とのつながりを考えたほうが正しいのかもしれません。

1作目から順に追っていくと、5作目『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)までは非常に真っ当で正しい進化の仕方をしているなという事実に、改めて気づかされるはず。とはいっても、前作『COUNT YOUR BLESSINGS』と本作との差は一番大きなものがあり、そういった意味では今作を真のスタート地点と捉えることもできるのかなと。この『SUICIDE SEASON』から『THAT'S THE SPIRIT』までの流れ/成長は非常にわかりやすいものがありますしね。

リリースから12年経った今の耳で聴くと、当時は激しすぎると若干の拒否反応を示した本作も不思議とキャッチーに思えてくる。慣れって恐ろしいですね(笑)。なお、本作中の「Football Season Is Over」にはメルボルンのハードコアバンドDEEZ NUTSからJJ・ピーターズ(Vo)が、「The Sadness Will Never End」ではイギリスのメタルコアバンドARCHITECTSからサム・カーター(Vo)がそれぞれゲスト参加。本作から10数年後、BMTHもARCHITECTSもイギリスと代表するメタル/ラウドバンドにまで成長するとは、この頃には想像もしていませんでしたね。

BMTH初心者が初期の作品に触れる際、本作から入っていくと現在とのあまりの違いに拒否反応を示すかもしれません。そういう意味では次作『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』のほうが入りやすいのかな? 同作が問題なくいけたら、こちらにさかのぼってみるのがベストかもしれませんよ。

 


▼BRING ME THE HORIZON『SUICIDE SEASON』
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2020年9月24日 (木)

WEAR YOUR WOUNDS『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』(2019)

CONVERGEのフロントマン、ジェイコブ・バノン(Vo)による別バンドWEAR YOUR WOUNDSが2019年7月12日にリリースした2ndアルバム。日本盤は2日先行の同年7月10日に発売されています。

アートブックなどミックスメディア・プロジェクトの一環として発表された『DUNEDEVIL』(2017年)を含めれば3作目のアルバムとなる今作(アルバム『DUNEDEVIL』は1stアルバム『WYW』日本盤にボーナスディスクとして付属。サブスクなどでも手軽に聴くことができます)。過去2作はあくまでジェイコブのソロ/サイドプロジェクトとして制作されたものでしたが、『WYW』制作に参加したメンバーを軸にバンド形態として始動。ジェイコブがベースやピアノなどを兼任しつつ、マイク・マッケンジー(G/THE RED CHORD、STOMACH EARTH)、ショーン・マーティン(G/TWITCHING TONGUES、ex. HATEBREED)、アダム・マッグラス(G/CAVE IN、NOMAD STONES)、クリス・マッジオ(Dr/ex. TRAP THEM、ex. SLEIGH BELLS)というUSハードコア界の重鎮たちが一堂に会するスーパーバンドへと進化したわけです。

ですが、ここで展開されているのは現代的なハードコアとは一線を画する、シューゲイザーやスラッジの影響下にあるアートロックのようなサウンド。アッパーなサウンドで攻めたり叫んだりすることはなく、ダウナーなボーカル&サウンドで悲しみや絶望など負の感情が時にメランコリックに、時にエモーショナルに表現されていく……そういった意味では、CONVERGEの最新作『THE DUSK IN US』(2017年)の中で芽生え始めた方向性を一歩推し進めたものと言えるかもしれません。

トリプルギターを用いた音の厚み、ピアノやエレクトロニクスを効果的に用いた叙情性、ボーカルラインやギターが奏でるメロディの多彩さはCONVERGEでは表現できなかった世界観でしょうか。そのサウンドをエンジニアリング&プロデュースするのが当のCONVERGEの一員であるカート・バルーというのも、また興味深いところです。

『WYW』が良くも悪くも実験性の強い1枚であったことを考えると、本作で展開されているのは紛れもなく“バンドのアルバム”だということ。この違いは非常に大きく、特にCONVERGEからの流れでジェイコブのソロに触れるというリスナーには今作のほうがとっつきやすいと言えるでしょう。もちろん、CONVERGEそのものを求めると痛い目を見ることになりますが……。ただ、『THE DUSK IN US』という作品を好意的に受け入れることができたファンには間違いなく響く良作であり、ある意味では『THE DUSK IN US』と表裏一体の1枚と断言できます。

楽曲の良さや世界観、演奏面など、どれを取っても高品質な1枚。今みたいな季節に、深夜に適度な音量で楽しみたいアルバムです。

 


▼WEAR YOUR WOUNDS『RUST ON THE GATES OF HEAVEN』
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2020年9月23日 (水)

DEFTONES『KOI NO YOKAN』(2012)

2012年11月9日にリリースされたDEFTONESの7thアルバム。日本盤は同年11月14日に発売されています。

前作『DIAMOND EYES』(2010年)から2年半ぶりの新作は、引き続きベーシストにセルジオ・ヴェガ、プロデューサーにニック・ラスクリネクツ(ALICE IN CHAINSHALESTORMMASTODONなど)を迎えて制作。2008年11月にチ・チェン(B)が交通事故で意識不明の重体に陥ってから、2作目の「不完全な形」でのアルバム制作となりました。

アルバムタイトルに日本語の「恋の予感」をそのまま用いた本作は、玉置浩二率いる安全地帯が如くメランコリックなAORを思わせるような……作品にはまったくなっておらず(笑)、前作からの流れを良い意味で引き継いだ、ヘヴィさとソフトさをバランスよく織り交ぜたエモーショナルな1枚に仕上がっています。チ・チェンを交えて制作する予定だった『EROS』という作品が怒りに満ちたヘヴィな作品になる予定だったところを、『DIAMOND EYES』では“Optimistic(=楽観的)”な作風を意識したと語られていましたが、そういった意味ではこの『KOI NO YOKAN』も“Optimistic”な1枚と言えるでしょう。

ただ、ゴリゴリした側面は若干後退したような印象も受けます。「Leathers」や「Poltergeist」のように味つけてエフェクトを多用した楽曲も含まれているものの、それらはポストロック的な用法というよりもヘヴィロック/ラウドロックの延長線上で用いられており、特に後者では楽曲を引き立てる上で良いフックになっているように感じました。

かと思えば、オルタナティヴロック/UKロック的なギターリフ/フレーズを取り入れた「Entombed」、ゴシックロック的なダークさを醸し出す「Rosemary」、ニューウェイヴ的な側面も見受けられる「Goon Squad」や「What Happened To You?」のような変化球もしっかり用意されている。轟音で力強く推し進めるというよりも、メロウさや気だるさを強調するためにヘヴィな音像を要所要所に配置する、むしろヘヴィさはおまけのようにすら感じ取れる。そういった意味では、これまでの作品とはスタート地点が真逆にあるような、不思議な印象を与えてくれるアルバムかもしれません。

なんというか、完全にひとつ完成してしまった……そんな1枚なわけですが、実はリリース当時は本作に対してあまりポジティブなイメージがありませんでした。なんというか……「コレジャナイ」感を抱いてしまったんです。「ああ、そっちに舵切ったか」と。次作『GORE』(2016年)を経た今聴くと、非常に前向きに受け取れるし、むしろ好みの音なんですけど。単純に2012年の自分の心境とフィットしなかっただけなんでしょうかね。謎です。

 


▼DEFTONES『KOI NO YOKAN』
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2020年9月22日 (火)

MASTODON『MEDIUM RARITIES』(2020)

2020年9月11日にリリースされたMASTODONのコンピレーションアルバム。日本盤未発売。

フルアルバムとしては『EMPEROR OF SAND』(2017年)以来3年半ぶりとなりますが、本作は新曲/アルバム未収録の既発曲/ライブ音源/バージョン違いなどで構成された作品で、録音された時期もまちまち。ですが、70分以上におよぶ長尺でも不思議と統一感が感じられるのは、彼らのスタイルが一切ブレていないという証明なのかもしれません。

新曲はリードトラックとして先行配信されていた「Fallen Torches」のみ。王道のMASTODONぶりを発揮したヘヴィなナンバーで、安心して楽しめるはずです。まあ、本作においてはこの新曲のほうがおまけ的なポジションかもしれませんが(笑)。

カバーは3曲用意。過去に雑誌付録のコンピレーションアルバムやRecords Store Dayの限定アナログ盤などで発表されていたものですが、ファイストの「A Commotion」、THE FLAMING LIPSの「A Spoonful Weighs A Ton」、METALLICAのインストナンバー「Orion」とどれもバラエティに富んだ選曲&アレンジ。「Orion」は想定内かつ“いかにも”なセレクト&演奏ですが、ファイストとTHE FLAMING LIPSは原曲のイメージを残しつつもMASTODONらしいヘヴィさ&プログレ感が強調された良カバーと言えるのではないでしょうか。

また、個人的にこのアルバムにおける大きな収穫は、既発曲のインストバージョンでしょうか。選曲は「Asleep In The Deep」「Halloween」(ともに2014年の『ONCE MORE 'ROUND THE SUN』収録)、「Toe To Toes」(2017年のEP『COLD DARK PLACE』収録)、「Jaguar God」(『EMPEROR OF SAND』収録)とどれも直近の作品からですが、インストゥルメンタルナンバーとしても十分に楽しめる演奏力とアレンジ力はさすがの一言。個人的には『EMPEROR OF SAND』のハイライトである「Jaguar God」がボーカルなしでもここまで“泣ける”ことに驚かされました。

そのほか、「Capillarian Crest」「Circle Of Cysquatch」「Crystal Skull」(2006年の『BLOOD MOUNTAIN』収録)、「Blood & Thunder」「Iron Tusk」(2004年の『LEVIATHAN』収録)と比較的初期の楽曲のライブ音源では、ムーディーさよりもアグレッシヴさに比重を置いたプレイを楽しむことができるし、映画などのサントラに提供した楽曲も聴くことができる。今やサブスクで手軽に楽しめる曲も少なくありませんが、先のカバー曲やインストバージョンのようにここでしか聴くことができないテイクも豊富な本作は、MASTODONというバンドをよりディープに理解する上で意外と重要な1枚かもしれません。

 


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2020年9月21日 (月)

RAVEN『METAL CITY』(2020)

2020年9月18日にリリースされたRAVENの14thアルバム。

2019年1月発売のライブアルバム『SCREAMING MURDER DEATH FROM ABOVE: LIVE IN AALBORG』、および同作を携えた2019年3月の来日公演にてバンドとしての健在ぶりをアピールしたRAVEN。その来日時のインタビューにて「すでに新作は完成している」的な発言を残していましたが、ついにそのオリジナル作品が世に届けられることになりました。オリジナルアルバムとしては日本盤がキングレコードから発売された『EXTERMINATON』(2015年)以来5年4ヶ月ぶりになるようです。

『EXTERMINATON』からの大きな変化として挙げられるのが、30年近くにわたり在籍したジョー・ハッセルヴァンダーからFEAR FACTORYのマイク・ヘラーへとドラマーが交代したこと。ライブアルバムの時点ですでに演奏は耳にすることができましたが、そのパワフルで手数の多いプレイは高カロリーなRAVENの音にぴったりだし、むしろ往年の輝きを取り戻したんじゃないか、そう思えるほどのハイエナジーぶりを発揮していました。

で、このオリジナルアルバムでもそのハイカロリー/ハイエナジーぶりは健在で、ファスト&ヘヴィなドラミングに導かれるかのように新曲自体も良い方向に導かれている印象を受けます。「The Power」「Top Of The Mountain」のように王道スピードメタル(しかもキャッチー)が全体で貫かれつつ、タイトルトラック「Metal City」や「When Worlds Collide」のようなミドルヘヴィナンバーも随所に配置されている。中には「Human Race」のようにブラストビートを味付けに取り入れた変化球も用意されており、メタリックで統一されながらも緩急の差をつける構成はただただ気持ちよくき、全10曲/38分があっという間に過ぎ去っていきます。

楽曲の方向性やギターの演奏スタイル、ボーカルの歌唱スタイルこそ80年代の王道HR/HMのノリですが、ドラミングの手数やちょっとしたフィーリングから90年代以降のモダンさも伝わる。しかし、だからといって時代に媚びを売るような雰囲気はゼロで、むしろアメコミ風アートワーク同様に往年の良きものをそのまま2020年に持ってきたような潔さすら感じられるわけで、RAVENというバンドにとって今が何年なんていうのはまったく関係ないんでしょうね。

うん、彼らはそれでいいと思いますし、むしろこのまま世間の評価や流行り廃りに惑わされずバンド人生を全うしてほしい(90年代の迷いをリアルタイムで体験しているからこそ、余計にね)。そう思わずにはいられない、ど直球/ど真ん中の豪速球的HR/HMアルバムです。難しいことは考えずに、「Play Loud!」でひとつお願いします。

 


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2020年9月20日 (日)

CHIP Z'NUFF『STRANGE TIME』(2015)

2015年2月3日にリリースされたチップ・ズナフの1stソロアルバム。日本盤未発売。

ドニー・ヴィ(Vo, G)と並び、初期からENUFF Z'NUFFの主要メンバーとして知られるチップ・ズナフ(B, Vo)。ドニー脱退後は自身がリードボーカルを兼任し活動を継続していますが、ドニーがバンドを再脱退してしばらくバンド活動がままならなかった時期に、こんなソロアルバムを出していたんですね。実はつい最近まで未チェックでした。

本作はTHE KINKSのカバー「All Day And All Of The Night」を含むアルバム本編10曲に、元GUNS N' ROSESのスティーヴン・アドラー(Dr)とタッグを組んだEP『ADLER Z'NUFF』収録の5曲をボーナストラックとして追加した全15曲入り。アルバムとしては約70分とかなり長尺ですが、ひとまずここでは本編10曲とボートラ5曲を分けて考えたいと思います。

まずは、アルバム本編から。気心知れた仲間とともに、自身のスタジオなどで制作された本作は、基本的にENUFF Z'NUFFの延長線上にある作風。穏やかでダークでサイケデリック……という点においては初期や90年代半ばのENUFF Z'NUFFを髣髴とさせ、大半の楽曲がチップひとりで書かれたものだという事実に驚かされます。というのも、どの曲もチップ&ドニー名義で制作されたENUFF Z'NUFFのアルバムに収録されていても不思議じゃないくらい、完成度が高いのです。

オープニングを飾るダウナーな「Sunshine」からして、王道のENUFF Z'NUFF流サイケナンバーだし、中にはNINE INCH NAILSのトレント・レズナーと共作&リック・ルービンがプロデュースしたヘヴィな「Strange Time」という異色作まで存在する。で、その異色作から続く「Dragonfly」のダウナー感もたまらない。なにこれ、なんでENUFF Z'NUFFで出してくれなかったの? っていうか、ドニーばかりが天才だと思い込んでいて、バンドを守り続けるチップのことを過小評価していて本当にゴメン! そう思わずにはいられない内容でした。

90年代後期の作品に収録されていても不思議じゃないシャッフルビートのポップナンバー「Still Love Your Face」、ファンクの影響が強いダンサブルなオルタナチューン「F..Mary..Kill」、ダウナー感強めのパワーポップ「Strike Three」や「Hello To The Drugs」など、派手めの演奏でアレンジされたら確実にENUFF Z'NUFFナンバーとして通用する良曲ばかり。しかし、チップのボーカルの地味さが悪い方向に手伝って、この良曲たちをうまく生かせていない。そこだけが本当に勿体ない! ドニーのアクが強いボーカルで表現されていたら、どれだけ名作になっていたことか……。

ちなみに、「All Day And All Of The Night」にはゲストとしてCHEAP TRICKのロビン・ザンダー、そして元ガンズのスティーヴン・アドラーがゲスト参加。これもロビンがリードをとればよかったのに……と思わずにはいられません。それくらい、コーラス&ハモリでのロビンの声が特徴的すぎるんですよ。はあ。

一方、スティーヴン・アドラーと完全共作で挑んだEP5曲は、元ガンズのアドラーらしい派手さが加わった、非常にハードロック色の強い作風。オープニングを飾る「My Town」なんて完全にソレですよね。そこに、チップらしいパワーポップ感(美メロハーモニーやアナログシンセを使ったフレージングなど)が加わることで、デビュー時のENUFF Z'NUFFをちょっとだけ思い出させてくれます。全体の音作りもファットでキラキラ感が強く、アルバム本編のダーク&シンプルと対極にある構成です(メロディライン自体は同じくらい良質なのに。不思議です)。なお、「Tonight We Met (And Now We're Going To Fuck)」にはアドラーの盟友スラッシュがゲスト参加。いかにもなギタープレイを聴かせてくれます。

アルバム本編然りEP然り、楽曲を軸にした作品評価は高くなりますが、ボーカルを軸にした場合はどうしてもそこよりも劣るものになってしまう。頭では「もうドニーとは決別したんだ……」と理解していても、体がドニーの声を求めてしまう。チップって、つくづく不幸な人だなと思います。と同時に、ドニーをいつまでも求め続けてしまう僕らもね(苦笑)。

 


▼CHIP Z'NUFF『STRANGE TIME』
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2020年9月19日 (土)

CHEAP TRICK『WOKE UP WITH A MONSTER』(1994)

1994年3月末にリリースされたCHEAP TRICKの12thアルバム。日本盤は同年4月上旬、『蒼い衝動』の邦題を付けて発表されています。

前々作『LAP OF LUXURY』(1988年)でセールス的に大復活を果たすものの、続く前作『BUSTED』(1990年)で『LAP OF LUXURY』ほどの成績を残すことができなかったCHEAP TRICK。折りからのHR/HMブームにも陰りが見え始めたことも影響し、1991年に発表した初のベストアルバム『THE GREATEST HITS』を最後にデビュー以来10数年にわたり在籍したEpic Recordsを離れることになります(その後、1993年にはロビン・ザンダーが初のソロアルバム『ROBIN ZANDER』をリリースしています)。

HR/HMブームが後押しして復活した彼らでしたが、今度はそのHR/HMを壊滅させたグランジ勢から「ルーツはCHEAP TRICK」という新たなバックアップが。これによりバンドは新たに老舗Warner Bro.と契約することになり、VAN HALENやTHE DOOBIE BROTHERSなどで知られるテッド・テンプルマンをプロデューサーに迎え、約4年ぶりの新作を完成させます。

「The Flame」的なバラードシングルやラジオヒットを目指した産業ロック路線にとらわれることなく、バンドはここで本来の自分たちらしさを取り戻します。オープニングを飾る「My Gang」のポップでキャッチーなギターロック、初期のダーク&サイケ感を取り戻したヘヴィな「Woke Up With A Monster」、そして黄金パワーポップチューン「You're All I Wanna Do」、「The Flame」を通過したことで生まれた自然体のスローバラード「Never Run Out Of Love」、キャッチーさの際立つミドルバラード「Didn't Know I Had It」など、アルバムは冒頭から中盤にかけて名曲目白押し。過去2作の産業ロック的な作りから脱却し、アルバム全体の音の抜けも非常によろしく、ボーカルと楽器隊のバランスの良さ、各楽器の音の粒までしっかり聞き取れそうなミックスなど含め、80年代以降のCHEAP TRICKの作品中もっとも高品質な1枚と言えるのではないでしょうか。

異色のダンスチューン「Ride The Pony」を筆頭に、硬質なギターロック「Girlfriends」「Let Her Go」、80年代後半の経験が見事に活きたミドルナンバー「Tell Me Everything」、70年代の彼らを思わせるヘヴィバラード「Cry Baby」、ハードなサウンドと軽やかなリズムがミックスされたダンスロック「Love Me For A Minute」と、アルバム後半も前半ほどではないにせよ完成度高め。個人的には前半5曲が鉄壁すぎるがゆえに、後半の楽曲群は若干質が落ちると感じてしまいます。といっても、平均点以上の出来なんですけどね。

日本盤はここにボーナストラック「Sabre Dance」(ハチャトゥリアンの「剣の舞」)のカバーを追加収録。異色のクラシックカバーではあるものの、意外とCHEAP TRICKというバンドに合っているから不思議です。

バンド本来の姿を取り戻した勝負作だったものの、過去2作には及ばない全米123位という結果を残し、結局Warner Bros.とは本作1枚で契約を終了。この時点ではグランジ経由の再評価は数字につながることなく、バンドは3年後に自主レーベルから2度目のセルフタイトルアルバム『CHEAP TRICK』(1997年)で再浮上に挑むことになります。

 


▼CHEAP TRICK『WOKE UP WITH A MONSTER』
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2020年9月18日 (金)

HOUSE OF LORDS『HOUSE OF LORDS』(1988)

1988年10月にリリースされたHOUSE OF LORDSの1stアルバム。日本盤は同年12月、『神々の舘』という邦題を冠されて発売されています。

HOUSE OF LORDS は1987年にGIUFFRIAを解散させたグレッグ・ジェフリア(Key)を中心に、末期GIUFFRIAに在籍したラニー・コードラ(G)とチャック・ライト(B/ex. QUIET RIOT)、ケン・メリー(Dr/FIFTH ANGEL、CHASTAINなど)の3人にJASPER WRATH、EYESといったバンドで活躍したジェイムズ・クリスチャン(Vo)を加えた5人組ハードロックバンド。KISSジーン・シモンズが新たに設立したレーベルSimmons Reocrdsと契約し、同レーベル第1弾作品としてリリースされたのがこのアルバムでした。同作はシングル「I Wanna Be Loved」(全米58位)のヒットも手伝って、最高78位という好成績を残しています。

グレッグ・ジェフリア、アンディ・ジョーンズ(CINDERELLAMcAULLEY SCHENKER GROUPVAN HALENなど)、そしてジーンの共同プロデュースにより制作された本作は、80年代後半という時代性が反映されたメロディアスでAORライクなハードロックが展開されています。元GIUFFRIAのメンバーによるバンドということでシンセ中心のサウンドがイメージされますが、本作において軸になるのは歌とギターで、全体的にはGIUFFRIAよりもハードエッジな楽曲で占められています。

ジェイムズ・クリスチャンの適度にハスキーで湿り気のある歌声は、当時すでに大ブレイクしていたWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデイルを髣髴とさせるものがあります。もちろんそのへんはレーベル側(主にジーン)の狙いだったのでしょう。楽曲にしてもミドルテンポの王道産業ハードロックを軸にしながらも、「I Wanna Be Loved」のようにR&B的要素を若干含むメロウなロックや、GIUFFRIA時代を思わせる煌びやかなシンセが印象的な「Pleasure Palace」(楽曲クレジットにはGIUFFRIAのフロントマンだったデヴィッド・グレン・アイズレーの名も)、演奏力の高い各メンバーのプレイを大々的にフィーチャーしたアップチューン「Lookin' For Strange」「Slip Of The Tongue」、この時代ならではのパワーバラード「Love Don't Lie」など、比較的バラエティに富んだ楽曲群が並び、デビュー作にしては非常に完成度の高い内容となっています。

それもそのはず、ソングライター陣に目を向けるとマンディ・メイヤー(当時AISAのギタリスト。のちにGOTTHARDの一員に)やスタン・ブッシュ、CHEAP TRICKのリック・ニールセン、ジョニー・ワーマンなどといったアーティスト/職業作家の名前を見つけることができ、(バンド中心で執筆した楽曲に職業作家をコライトで入れたり、職業作家や別のソングライターが書いた楽曲をバンドで演奏する)いわゆるHEARTAEROSMITH方式を大々的に取り入れていることにも気づきます。このへんは策士ジーン・シモンズの手腕によるものでしょう。さすがです。

最初から最後まで、とにかく捨て曲なしの80'sハードロックの隠れた名盤。「隠れた〜」というのは、本作が現在国内盤廃盤状態であり、ストリーミングサービスなどデジタル配信がされていないという事実があるからです。バンドは1993年に一度解散し、2000年代に入ってから再結成。現在もジェイムズ・クリスチャン以外のメンバーを変えつつ、活動を継続しており、2020年6月には最新作『NEW WORLD - NEW EYES』も発表しています。これを機に、初期3作(本作と1990年の2nd『SAHARA』、1992年の3rd『DEMONS DOWN』)を再発してもらいたいところです。

 


▼HOUSE OF LORDS『HOUSE OF LORDS』
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2020年9月17日 (木)

BAD MOON RISING『OPIUM FOR THE MASSES』(1995)

1995年4月にリリースされたBAD MOON RISINGの3rdアルバムにしてラスト作。1996年夏には本作で初めてのUSリリースが実現しており、こちらのUS仕様(日本オリジナル盤未収録の3曲含む)も1996年9月に日本発売されています。

カル・スワン(Vo)&ダグ・アルドリッチ(G)、前作がほぼ完成したタイミングで加入したイアン・メイヨー(B)&ジャッキー・レイモス(Dr)が4人揃って初めて本格制作したアルバムであり、ソングライティングもBMR名義で制作されています(そうそう、本作ではバンド名を「B.M.R.」と記号的に表記するケースが増えていました。これはBAD MOON RISINGという“ビッグ・イン・ジャパン”的イメージを払拭するためと、グランジ以降の風潮に合わせたものだったのでしょうかね)。

プロデューサーとして新たにノエル・ゴールデン(TRIUMPH、NIGHT RANGERダフ・マッケイガンなど)を迎えた本作は、前作『BLOOD』(1993年)でのアメリカナイズされたダーク&ヘヴィ路線をさらに推し進めたもので、90年代前半のオルタナ・メタルからの影響を強く感じさせる1枚に仕上がっています。もはやデビューアルバム『BAD MOON RISING』(1991年)の頃とはまったく別のバンドです(苦笑)。

そういうこともあり、デビュー当時からのファンおよびLION時代からカル&ダグを応援してきたリスナーにとって本作は許しがたい“裏切りの1枚”だったのかもしれません。が、当時から思っていたことですが……これ、そんなに悪いアルバムでしょうか?

前作『BLOOD』ではカルの歌唱スタイルと乖離していた楽曲の方向性が修正されており、この抑揚の少ないボーカルパフォーマンスに合った楽曲がしっかり用意されている。オープニングを飾る「Belligerent Stance」なんてまさにその好例じゃないかな(どこか末期THIN LIZZY的で、それもカルのボーカルに似合っている)。ハードロック的リフメイカーとしては弱点の目立ったダグのプレイも、本作でのオルタナ・メタル的作風には絶妙にフィットしているし(グランジやオルタナ・メタルではHR/HMほど、かっちりしたアンセミックなギターリフがそこまで必要とされていませんでしたしね)。

以降も『BLOOD』でのスタイルをよりオルタナ側へと寄せることによって、もともと淡白だったカルのボーカルワークを活かすことに成功。ダグもジミ・ヘンドリクス直系のフリーキーなフレージングを活用することにより、90年代半ば前後の空気感を見事に捉えた印象深いプレイを楽しむことができる。「Into The Pit」や「Free」のような楽曲なんて、このタイミングじゃなか生まれなかったであろう異色作ではあるものの、非常にマッチしているんですよね。

『BAD MOON RISING』はLION時代に果たせなかった目的を消化するための「延長戦」であり、『BLOOD』は次のスタートへ向かう上での処女作、そして今作はメンバーが固定されようやく到達できたデビュー作だった。そう考えると、このアルバムがこういう内容になったのも納得いくのではないでしょうか(いや、古くからのファンにはそんなことまったくないかな)。一般的には駄作扱いの本作ですが、今も昔も変わらず愛聴できる「90年代半ばを象徴する」1枚です。

なお、先にも書いたように本作は日本盤とUS盤とで収録内容、曲順がまったく異なります。個人的には日本盤の収録内容および曲順がもっとも馴染む仕上がりではないかなと思っているので、これから購入する方にはぜひこちらをオススメします(残念ながらSpotifyなどストリーミングサービス未配信なので、中古CDショップで探してみてください)。

 


▼BAD MOON RISING『OPIUM FOR THE MASSES』
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2020年9月16日 (水)

BAD MOON RISING『BLOOD』(1993)

1993年3月にリリースされたBAD MOON RISINGの2ndアルバム。日本で先行リリースされたのち、同年5月にイギリスやヨーロッパ諸国にてUnder One Flag経由で発売されています。

1991年にデビューアルバム『BAD MOON RISING』をリリースしたのちに、ここ日本で初のライブツアーを実施したカル・スワン(Vo)&ダグ・アルドリッチ(G)。ツアーではアルバムレコーディング同様、チャック・ライト(B)&ケン・メリー(Dr)のHOUSE OF LORDS組が参加しましたが、続く今作でもほとんどの楽曲でチャック&ケンがリズムセクションをレコーディング。制作後期に元HURRICANE ALICEのイアン・メイヨー(B)とジャッキー・レイモス(Dr)が正式加入し、初めてパーマネントの4人バンド・BAD MOON RISINGが完成します(アルバムブックレットにはイアン&ジャッキーの姿も)。

プロデュースは前作同様、マック(QUEENEXTREMEBLACK SABBATHなど)が担当(カル&ダグも共同プロデューサーとしてクレジット)。レコーディングエンジニアとしてマックのほか、ジョー・バレシ(AVENGED SEVENFOLDQUEENS OF THE STONE AGEWEEZERなど)の名前も見つけることができます。基本的には前作の延長線上のあるスタイルなのですが、1作目をブリティッシュロック寄りとするなら、今作はよりアメリカナイズされた作風と言えるかもしれません。

適度に湿り気のあるブルージーなハードロックという点においてはまったく変化はないのですが、サウンドの質感が若干モノトーン寄りでダークさが増している。また、メジャーキーのアップチューンやミドルテンポのアンセミックな楽曲が良いアクセントとなっていた前作と比べると、今作は全編ミドル〜スロー中心で統一感が強い、そのぶん単調さが目立つ結果となっています。前作でのLION経由のヘアメタル〜正統派ハードロック路線から、時流に乗ってグランジ寄りのダーク&ヘヴィさが際立つスタイルへとシフト。これが従来のリスナーやファンには不評を買ったようです。

しかし、楽曲の出来はそこまで悪いものとは思えず、リリースから30年近く経った今、久しぶりに聴くと「意外と良いじゃない?」と思えるのです。リリース当時はあんなに落胆したのに。

で、何度か聴き返しているうちに気づきました。これ、曲とカル・スワンの声(歌唱スタイル)がマッチしていないんじゃないか?と。良く言えば味わい深い、悪く言えば抑揚があまりないカルのボーカルスタイルが、土着的なヘヴィロック路線に適していないような気がしてならないのです。もうちょっと派手な歌い手が歌唱したら、このメロディラインをうまく歌いこなせたのでは……今となっては後の祭りですが。

あと、やはりダグのリフメイカーとしての力量不足も目立ちますよね。こればかりは本当に仕方ないとはいえ……だからこそ、彼のようなギタリストには次作『OPIUM FOR THE MASSES』(1995年)のようなスタイルが適していた気がするのですが、それはまた別の機会に。

“ビッグ・イン・ジャパン”の名を欲しいままにし、海外ではまったく無名だった彼ら。残念ながら各種ストリーミングサービスでは配信されていないことから、今では中古CDショップで彼らの音源を手に入れるしかなさそうです(比較的安価で入手可能なので、この機会にぜひ)。

 


▼BAD MOON RISING『BLOOD』
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2020年9月15日 (火)

KITTIE『SPIT』(2000)

2000年1月にリリースされたKITTIEの1stフルアルバム。日本盤は同年7月に発売されました。

KITTIEは1996年にカナダ・オンタリオ州で結成された女性4人組ニューメタルバンド。メジャーのEpic Records傘下のArtemis Recordsと契約し、この『SPIT』というアルバムでメジャーデビューを果たしています。当時は平均年齢17歳というトピックと、女性ながらもKORNや同時期にシーンを席巻したSLIPKNOTに通ずるグルーヴメタルサウンドで注目を集め、アルバムは全米79位を記録(50万枚以上売り上げ)。『OZZFEST 2000』ではSOULFLYDISTURBEDらとともにセカンドステージに立ち、翌2001年には国内メタル系フェス『BEAST FEAST 2001』で初来日も果たしています。

ガース・リチャードソン(MUDVAYNERAGE AGAINST THE MACHINESICK OF IT ALLなど)をプロデューサーに迎えたそのサウンドは、まさに2000年前後のモダンメタル/ラウドシーンらしいゴリゴリかつグルーヴィーなもので、適度な浮遊感は初期KORNやCOAL CHAMBER、DEFTONES、SOULFLYあたりに通ずるものがあるような気がします。ただ、楽曲自体は今聴くとそこまで個性的というわけでもなく、上記バンドの亜流、もしくは影響下にあるもののまだオリジナリティを確立するまでには至っていないというところでしょうか。

しかし、そんなKITTIEの存在感を唯一無二のものにしているのは、女性ボーカルという点でしょう。クリーンパートでは線の細さが気になるものの、男性ボーカルにはない色気や妖しさ、華やかさは間違いなく大きな武器になっているし、この声で念仏調のラップボーカルやデスボイスなんてやられた日にゃ、最初こそ「おお、頑張ってるじゃん!」と生暖かい目で見守っているものの、何度か聴いているうちに「あれ……これ、カッコいいんじゃない?」と気づかされるはずです。

2020年の耳で聴くと、若干の古臭さは否めませんし、突出した個性はそこまで感じられない作品かもしれません。が、本作を当時17歳前後の女の子たちが魂削って作り上げたと考えただけで、オジさんは胸が熱くなるわけです(完全に親目線ですね、これ。苦笑)。まあ、そういう事実を抜きにしても、デカイ音で聴いたら意外とカッコいいんですよ、マジで。

あと、改めて聴くとニューメタルというよりはハードコアの色が強いのかな?という気がしてきました。どことなく初期RATMっぽい色合いも見え隠れしますし、90年代半ばのSEPULTURA的パーカッシヴさも含まれているし。10代の子たちがカッコいいと思ったものを全部詰め込んだミクスチャー感こそ、実は一番の初期衝動だったりするんですよね。そういう意味では2度と真似できない(したら怒られる)、奇跡の1枚なんじゃないでしょうか。

僕は当時、アルバムから入ったわけではなく、コンピ盤に収録されていた「Brackish」を聴いてハマったクチでして。そこから「Charlotte」のMVを観て「ああ、これはアリだわ」と気づき、慌ててアルバムに手を出したわけです。その頃にはもう、日本盤も出ていたんじゃないかな。よく足を運んでいたロック系クラブイベントでも彼女たちの曲が何度かかかっていましたし、当時局地的に盛り上がっていた記憶があります。

上に書いたように、女性ボーカルという点以外ではまだまだ未成熟ですが、続く2ndアルバム『ORACLE』(2001年)では「らしさ」を掴み始めているので、本作をチェックして気になった方はあわせて聴いてみることをオススメします(2作目も時間があったら取り上げようかな)。

 


▼KITTIE『SPIT』
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2020年9月14日 (月)

IHSAHN『PHAROS』(2020)

2020年9月11日にリリースされたイーサーンEMPEROR)の最新EP。

今年2月に発表された『TELEMARK』に続く、EP二部作の第2弾。前作はイーサーンが今も生活の拠点とするノルウェーの故郷・テレマルク(Telemark)をタイトルに冠し、自身のルーツであるブラックメタルの側面を強調させた内容に仕上げられていましたが、今作はその対極にあるソフトな側面……メロウなテイストを重視した作品集に仕上げられています。

全編でデス声を耳にすることができた前作から一変、今回は穏やかでメロディアスなボーカルを軸に、プログレッシヴロック的なテイストを強めた楽曲群が満載。およそヘヴィメタルからはかけ離れた、ジャジーでAOR的な香りもそこはかとなく感じられ、改めてイーサーンというミュージシャン/アーティストの懐の深さを体感することができるはずです。

個人的にグッときたのは、タイトルトラックのM-3「Pharos」。この曲ではクラシックからの影響を強く伝わってくるアレンジで、そこに大人びた味付けが散りばめられている、前作『TELEMARK』からは想像もできないような1曲。しかし、聴けばこれもイーサーンの色であることは明確で、いかに彼がソロ作品でメタルやプログレを基盤に、幅広いジャンルに挑んでいたかがこの1曲からご理解いただけるのではないでしょうか。

そんなクライマックスのあとには、今回もカバーが2曲用意されています。ひとつはPORTISHEADの「Roads」。90年代UKトリップホップの代名詞的バンドをここで取り上げるのも、なるほどと頷けるものがありますが、この曲がリリースされた当時ってイーサーンはEMPERORでの活動真っ只中だったはず。そう考えてみると、非常に面白いものがありますね。仕上がりも、しっかり原曲とイーサーン双方の「らしさ」が感じられるベストなものなので、原曲を知らない方はぜひ聴き比べてみるといいですよ。女性ボーカルをイーサーン流に解釈した歌唱法もたまらないです。

で、最後の1曲はa-haの「Manhattan Skyline」。そうきたか!と最初は驚きましたが、この曲ではイーサーンはリードボーカルではなく、代わりにLEPROUSのエイナル・スーベルグ(Vo, Key)が歌っているんです(イーサーンはサブでハモりなどを担当)。原曲に忠実なアレンジも好印象ですし、何よりも2人の美しく切ない歌声がぴったりなんです。このカバーを最初に聴いたとき、「ズルいわ……」と何度思ったことか。完璧な組み合わせによる、完璧な選曲。今年聴いたカバー曲の中でも突出した完成度だと思います。

『TELEMARK』と『PHAROS』、本来なら両作の収録曲をバランスよくミックスし、さらにその中間に位置する楽曲なんかも作ってトータル性の高いフルアルバムを作っていてもおかしくないのに、こうやって両極端に振り切った、タイプの異なる2作品を作ることに今回は重きを置いた。それにより、イーサーンの異端性がより際立ったわけですから、この実験は大成功だったと断言できます。特に、昨今サブスクを意識してあえてフルアルバムを作らないアーティストも増えていますし、こういう形で定期的に高品質の小作品を量産してくれるのなら、リスナーとしてもありがたい限りです。

ですが、イーサーン先生。今度はこの2枚をごちゃ混ぜにして、さらに訳のわからない異色作の完成を期待しています。だって、それをやれちゃう人なわけですからね。

 


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