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当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2022年12月6日更新)


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2022年12月 6日 (火)

KISS『ALIVE! THE MILLENNIUM CONCERT』(2006)

2006年11月26日リリースのライブボックスセット『ALIVE! 1975-2000』に同梱された、KISSの未発表ライブアルバム。その後、2014年10月14日にアナログ&デジタルで単品リリースされています。

本作はそのタイトルからもわかるように、1999年12月31日にカナダ・バンクーバーのBC Place Stadiumで実施された年越しコンサートの模様を収録したもの。今の若い世代の方には馴染みが薄いかと思いますが、当時は20世紀から21世紀に移り変わることがお祭り騒ぎだったんですよ(「2000年問題」とか知らないんでしょうね。苦笑)。

ポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、エース・フレーリー(G, Vo)、ピーター・クリス(Dr, Vo)のオリメンで制作した19年ぶりのスタジオアルバム『PSYCHO CIRCUS』(1998年)を携え、1年がかりで実施したワールドツアーのクライマックスとなったバンクーバー公演は、記録によると全20曲が披露されているとのこと(エースのギターソロ、ジーンのベースソロを除く)。しかし、アルバム本編には厳選された15曲が収録。現在出回っているデジタル盤は「2,000 Man」「God Of Thunder」がボーナストラックとして追加された17曲バージョンで、アナログ盤はさらに「Detroit Rock City」を加えた全18曲バージョンとなっています。なお、アルバム未収録となったのは「Shock Me」と「Cold Gin」。

この頃になるとオリメン編成にも関わらず「Heaven's On Fire」や「I Love It Loud」「Lick It Up」もセットリストに復活。『PSYCHO CIRCUS』という新作を制作したことで、全体的にバランスが取れるようになったことが大きいのかな。とはいえ、同作からはタイトルトラックとエース歌唱の「Into the Void」のみなんですよね。『PSYCHO CIRCUS』を引っ提げたジャパンツアーは実現しなかっただけに、記録としてもう少し残してほしかったなあ。

録音からリリースされるまでに6年以上かかっていること、その後エースもピーターも脱退していることなどもあり、あとから追加修正はあまりされていないんじゃないかな。ポールのボーカルも冒頭の「Psycho Circus」を聴く限りでは修正しているようには思えないし。せいぜい歓声を大きめに被せた程度かな。

ピーターの叩く「Psycho Circus」は若干もっさりした印象で、ライブのオープニングにしては弱いような。けど、「Into The Void」での歯切れよいリズムはカッコいいんだよなあ(レコーディングでピーターが叩いたのは「Into The Void」だけみたいですしね)。

内容に関しては“いつもどおり”が強くて、評価が難しいところなんだけど……本作に関しては、オリジナル編成で「Heaven's On Fire」や「I Love It Loud」「Lick It Up」をプレイしているという点に尽きるかな。「Heaven's On Fire」はリズムが若干ゆったりめだけど、「I Love It Loud」は想像以上にヘヴィだし、「Lick It Up」も軽やかさがしっかり伝わる。ピーターのみならず、エースも彼なりに頑張っているのが伝わりますしね。

そもそも本作が2000年に入ってから『ALIVE IV』としてリリースされていたら、また歴史も変わったのかな。本作がヒットしていたら、オリメン時代がもう少し続いていたのかもしれませんが、そんな「たられば」話を今さらしてもね。

 


▼KISS『ALIVE! THE MILLENNIUM CONCERT』
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2022年12月 5日 (月)

KISS『KISS SYMPHONY: ALIVE IV』(2003)

2003年7月22日にリリースされたKISSのライブアルバム。日本盤は『アライヴIV〜地獄の交響曲』の邦題で、2004年3月24日発売。

言わずと知れたKISSのライブ作品『ALIVE!』シリーズの第4弾は、2003年2月26日にメルボルンで開催されたスペシャルライブ『Kiss Symphony』の模様を完全収録したもの。この頃はピーター・クリス(Dr, Vo)が出戻り状態で、ポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、トミー・セイヤー(G, Vo)という不思議な編成による貴重なライブが記録されています。

KISS初のCD2枚組ライブ作品(『ALIVE!』『ALIVE II』も当初はCD2枚組でしたが、その後1枚ものも制作されています)で、ひとつのライブを完全収録するという形ではこれが初めてになるのかな。当初『ALIVE IV』と題されたアルバムは1999年12月31日のカナダ・バンクーバーでのカウントダウンライブを収めたものが発売される予定でしたが、ちょうどレーベルの親会社の吸収合併というトラブルに巻き込まれ、リリースが見送られることに。それもあってか、本作は彼らの作品で唯一Universal系列ではないインディーズのSanctuary Records(流通はBMG〜Sony系列)からの発売となりました。

ライブは3部構成で、第1部がKISSの4人による通常のライブ。70年代のヒット曲に「Lick It Up」「Psycho Circus」といった80年代以降の楽曲も交えたコンパクトなものです。このへんはいつも通りかな。

で、このライブのハイライトは第2部以降。ここからデヴィッド・キャンベルが指揮をとるMelbourne Symphony Ensembleとのコラボステージが展開さてます。第2部はアコースティック編成でのステージで、「Forver」や「Goin' Blind」「Sure Know Something」「Shandi」といった楽曲が『MTV Unplugged』(1996年)を彷彿とさせるアレンジで演奏されています。ただ、さすがに総勢70名ものストリングス隊が加わることで音の厚みは『MTV Unplugged』とは比較しようがない豪華さ。なもんだから、「Beth」なんてオリジナル音源を超えちゃってます(笑)。

第3部はエレクトリック編成とオーケストラとのコラボステージ。無駄に迫力のある「Detroit Rock City」から「King Of The Night Time World」の流れはこのコラボならではのアレンジで、カッコいいったらありゃしない(特に後者ね)。「God Of Thunder」も不気味さが一気に増し、ホラー映画のサントラのよう。そして、圧巻なのが「Black Diamond」。これ、もはや「紅」だよな(笑)。YOSHIKI先生にピアノで参加してほしかったなあ。

改めて思うのは、KISSの楽曲がいかにポップソングとして優れているかという点。もちろん、彼らはロックバンドであってポップスを量産する存在ではないですが、どの曲もメロディアスで親しみやすい。そこに多声ハーモニーが加わることで、激しいサウンドにも関わらず耳馴染みが良くなる。そういった楽曲をオーケストラアレンジを加えた形で表現すれば、そりゃあポップさがより際立つわけです。

たった1回限りの企画だからこそ許されたこのコラボレーション。歴史のひとつとして触れるもよし、楽曲の魅力を再確認するために聴くもよし。これはこれで全然アリですよね。

 


▼KISS『KISS SYMPHONY: ALIVE IV』
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2022年12月 4日 (日)

KISSのベストアルバムを総括する(2022年版)

ブライアン・アダムスAEROSMITHに続く「ベストアルバムを総括する」シリーズ第3弾(シリーズだったのか……)はKISS。まあとにかくベスト盤やコンピ盤、ボックスセットが多い方々ですが、今回は数あるベスト盤の中からレーベル主導で制作された『MILLENNIUM COLLECTION』シリーズを除く、バンド側の公式リリースに絞ってセレクトしております。中には新曲やレアトラックなど含まないもの、現在廃盤でサブスクでも配信されていないものも含まれていますが、あえて掲載してみます。

とにかく非常に長いエントリーなので、心してお読みください……(苦笑)。

 

 

『DOUBLE PLATINUM』(1978)

 

1978年4月2日にリリースされたKISS初のグレイテストヒッツアルバム。アナログ2枚組、CD1枚もの。

リリース当時のメンバーはポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、エース・フレーリー(G, Vo)、ピーター・クリス(Dr, Vo)のオリジナル編成。新曲こそ皆無ですが、既存楽曲に加え「Strutter」のリテイクバージョン「Strutter '78」やリミックステイクなどが豊富。サブスクではApple Musicはフルで楽しめますが、Spotifyでは「Calling Dr. Love」と「Black Diamond」が歯抜け状態。Amazon Musicでは配信すらされていないようなので、どうにかしていただきたいものです。

詳しくはこちらのエントリーを参照のこと。

 


▼KISS『DOUBLE PLATINUM』
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『KILLERS』(1982)

 

1982年6月15日にリリースされた、KISSにとって2作目の公式コンピレーションアルバム。アナログ/CDともに1枚もの。

当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、エース・フレーリー、エリック・カー(Dr, Vo)。日本やオーストラリアなどアメリカ以外の諸国で先行発売。当時はここでしか聴くことができなかった新曲4曲(「I'm A Legend Tonight」「Down On Your Knees」「Nowhere To Run」「Partners In Crime」)がかなり話題となりました。ジャケットにエースの姿はあるものの、当時はすでにバンドから脱退しており、新曲のレコーディングにはのちにバンドに加入するブルース・キューリック(G)の実兄ボブ・キューリック(G)がリードギターとして参加しています。

詳しくはこちらのエントリーを参照ください。

 


▼KISS『KILLERS』
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『CHIKARA』(1988)

 

1988年5月25日に日本限定でリリースされたコンピレーションアルバム。CD1枚もの。

当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック、エリック・カー。この年の春に10年ぶり(ノンメイクアップ時代としては初めて)の来日公演が決定したことを受け、それにあわせて日本のみ10万枚限定で制作されたレアアイテム。今となっては10万枚も刷ったのか!って驚きですけどね。内容は「Rock And Roll All Nite」や「Love Gun」などの70年代ヒットよりも、「Creatures Of The Night」や「Lick It Up」「Heaven's On Fire」「Tears Are Falling」などの80'sヘアメタル期が中心。主にシングルカット/MV制作された楽曲が中心で、そんな中に「I Was Made For Lovin' You」のリミックスバージョンという初CD化レア音源が含まれているのが売りかな(のちに「Psycho Circus」シングルのカップリングで世界的にCD化されました)。

枚数限定生産ということで、現在は廃盤。ただ、中古盤ショップを回れば意外と簡単に見つけられるはず。値段もそこまで張っていないので(Amazonは論外!)、気になる方はぜひチェックしてみてください。

 


▼KISS『CHIKARA』
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『SMASHES, THRASHES & HITS』(1988)

 

1988年11月15日にリリースされた、KISSにとって3作目の公式コンピレーションアルバム。CD1枚もの。

当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック、エリック・カー。日本では『CHIKARA』から間を空けずに発表されることになりましたが、『KILLERS』未発売だった北米などの海外諸国では『DOUBLE PLATINUM』以来10年ぶりのベスト盤。考えてみたら「I Was Made For Lovin' You」はもちろん、80年代の楽曲をまとめたコンピが10年も出ていなかった事実に驚かされます。

内容は「Let's Put The X In Sex」「(You Make Me) Rock Hard」の新曲2曲や、一部楽曲のリミックス、そしてエリック・カーが歌唱した「Beth」など、単なるベスト盤では片付けられない楽曲が多数。北米盤ではなぜか直近の新作『CRAZY NIGHTS』(1987年)からの楽曲が含まれていません(ヨーロッパ盤には「Crazy Crazy Nights」「Reason To Live」収録)。とはいえ、ヘアメタル期のヒットシングルが簡単におさらいできるので、実はもっとも手軽に楽しめる入門盤かもしれません。

詳しくはこちらのエントリーを参照ください。

 


▼KISS『SMASHES, THRASHES & HITS』
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『GREATEST KISS』(1997)

 

1997年4月8日にリリースされたKISSの公式コンピレーションアルバム第4弾。日本盤は1997年1月の来日公演にあわせて、1996年12月9日発売。CD1枚もの。

リリース当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、エース・フレーリー、ピーター・クリス(Dr, Vo)。オリジナル編成およびメイクアップ期へと回帰した彼らのワールドツアーにあわせて制作されたもので、北米、ヨーロッパ、日本とそれぞれ収録曲が一部異なるのが特徴。

これまでのコンピのように新曲やリミックス曲は皆無で、既発曲がリマスタリングされている程度。ただ、それだけでは売りがなさすぎるので、1996年6月28日のデトロイト公演から「Shout It Out Loud」のライブ音源を追加。こちらは当時MVも制作されています。

オリメン時代にこだわった選曲なので、『SMASHES, THRASHES & HITS』以降に生まれたヒット曲「Hide Your Heart」「Forever」「Unholy」などは未収録。ただ、北米盤以外では「God Gave Rock 'N' Roll To You II」が選出されているのが謎かも。なお、日本盤のみ海外盤未収録の「C'mon And Love Me」「Rock Bottom」がセレクトされております。このへん、いかにもですね。

サブスクでも聴くことができますが、Apple Musicでは日本盤バージョンで配信、Spotifyはヨーロッパバージョンでの配信のようです。

 


▼KISS『GREATEST KISS』
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2022年12月 3日 (土)

KISS『DOUBLE PLATINUM』(1978)

1978年4月2日にリリースされたKISS初のグレイテストヒッツアルバム。

当時、アナログ2枚組で発表された本作には、新たにレコーディングし直された「Strutter」や、リミックスが施された「Hard Luck Woman」「Calling Dr. Love」「Firehouse」など半数におよぶ10曲が未発表テイクで構成。原曲を知る人にはその斬新なリミックスに、当時はかなり驚かされたのではないでしょうか。後追いの自分にとっては、本作が初めて聴いたKISSのクラシックアルバムということもあり、ここで聴ける楽曲群が原点。なので、初めて「Strutter」のオリジナルバージョンを聴いたときはそのテンポの速さに驚きましたし、「Black Diamond」のエンディングの違いに動揺したことをよく覚えています。

「Strutter '78」と題されたリメイクバージョンはテンポダウンすることで、当時流行していたディスコビートに接近。思えば、のちの「I Was Made For Lovin' You」の布石はこの時点で存在していたことにも気づかされます。

その一方で、「Hard Luck Woman」はアコギのみをバックに歌唱するパートが増えていたり、「Detroit Rock City」では中盤がコンパクトにまとめられていたりと、リメイクに近いリミックスとなっています。そりゃあ、このバージョンの耳馴染みが強ければ、オリジナルバージョンを聴いたたら違和感覚えますわな。

本作で圧巻なのは、「Rock Bottom」のイントロ(アルペジオパート)に「She」をくっつけた新解釈。エンディングのリピート含め、これを先に聴いたら(以下同文)。あと、アルバムラストを飾る「Black Diamondのイントロとエンディングのアイデアも、様式美然としていてカッコいい。こういったアイデアどこから生まれたんだろう。ズルイわ。

いわゆる初期6作の代表曲はほぼ網羅されており、シンプルなロックンロールから華やかなハードロックへと進化する過程、さらにはHR/HMの原点でありグランジのオリジネーターである理由もこの20曲からしっかり感じとることができるはずです。

ちなみに本作、そのタイトルのように本国でダブルプラチナム(200万枚のセールス)は記録することはできず。最高22位、100万枚(2枚組なので50万セット)という結果を残しています。この年はメンバー4人がソロアルバムを同時リリースするなど、バンドとしても小休止状態だったので、つなぎにしては上々だったのではないでしょうか。ここでひと区切りつけたからこそ、続く『DYNASTY』(1979年)で本格的にディスコサウンド/ビートに取り組むことができたわけですしね。

 


▼KISS『DOUBLE PLATINUM』
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2022年12月 2日 (金)

KISS『YOU WANTED THE BEST, YOU GOT THE BEST!!』(1996)

1996年6月25日にリリースされたKISSのライブ・コンピレーションアルバム。日本盤は『ベスト・オブ・ベスト~KISS アライヴ』の邦題で、同年7月3日発売。

本作は同年6月15日からスタートしたオリジナルラインナップ(ポール・スタンレージーン・シモンズエース・フレーリー、ピーター・クリス)の全米ツアーに合わせて制作された、オリメン時代のライブ音源のみで構成されたライブベストアルバム。全12曲中4曲が未発表音源で、それ以外は『ALIVE!』(1975年)『ALIVE II』(1977年)から各4曲ずつピックアップされています。また、CDには17分にもおよぶKISSの最新インタビュー音源、日本盤CDおよびUSアナログ盤にのみエース歌唱の「New York Groove」(ドラムはエリック・カー)が追加されております。

アルバム冒頭に収録された未発表テイクの「Room Service」「Two Timer」「Let Me Know」は1975年録音で、かなりクリアな音質。もともと『ALIVE!』用にストックされていたものだったのでしょうか。全体の流れ的にも、アルバムタイトルにも用いられたライブ開始前のお決まりの合図「You wanted the best, you,got the best. The hardest band in the world, KISS!」からの引用で、当然このライブアルバムの冒頭にもこの前口上が用意されています。

もうひとつの未発表音源「Take Me」は1977年録音で、こちらも時期的に『ALIVE II』制作中のストックでしょう。たった1曲とは少ないですし、もっとほかにも発表できそうなテイクがあるような気がするのですが……この小出し感こそ商売上手なKISSらしいと言いますか(笑)。

ライブの定番曲といえる代表曲/シングル曲が少ない、裏ベスト的な選曲にも非難が集まりましたし、それ以上に未発表テイク4曲で集金しようとする愚かさも当時かなり叩かれた記憶があります。ただでさえオリメンツアーは集金ツアーにも受け取れるのに、CDでも……。まあ、当時は素直に買いましたけどね。翌1997年1月に決定したジャパンツアーへと、期待に胸を膨らませて。けど、来日公演までの半年で数回しか再生しませんでしたが(苦笑)。

ぶっちゃけ、ライブベストだからといって『ALIVE!』や『ALIVE II』より先に聴くべき作品だと思いませんし、希少価値も先の未発表音源4曲(「New York Groove」を含めると5曲か)程度しかありませんし。マニアだけが楽しむべき1枚だと断言しておきます。

 


▼KISS『YOU WANTED THE BEST, YOU GOT THE BEST!!』
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KISS『MTV UNPLUGGED』(1996)

1996年3月12日にリリースされたKISSのライブアルバム。日本盤は『停電(地獄の再会)~MTVアンプラグド』の邦題で、同年3月2日に先行発売。

本作は1995年8月9日に収録された『MTV Unplugged』の模様を音源化したもの。ライブ作品としては本作と同じくポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、ブルース・キューリック(G)、エリック・シンガー(Dr, Vo)という布陣で制作された『ALIVE III』(1993年)から4年ぶり、通算4作目となります。

文字通りアンプラグド(アコースティック)形態で演奏されたこの日のライブでは、「Comin' Home」「Goin' Blind」「Do You Love Me」など初期の楽曲から「Sure Know Something」「I Still Love You」といった中期楽曲、そして「Domino」「Every Time I Look At You」という最新楽曲まで幅広くセレクト。中には「A World Without Heroes」といったレア曲も含まれており、この特別な機会をバンド側も楽しんでいる様子が伺えます。

アレンジは基本的に原曲から大きく変わることなく、シンプルにエレキからアコースティックに持ち替えただけといった印象。しかし、これが異様にカッコいい。アンプラグドだからといって変にレイドバックすることなく、楽曲の持つシンプル&キャッチーさがより浮き彫りになり、かつバンドの巧みなコーラスワークの魅力にも改めて気づかせてくれる。正直、「KISSみたいにギミック満載のバンドがアンプラグドってどうなの?」と当時は疑問に思いましたが、こうして音源として聴くことでバンドの軸にある重要なポイントを再確認できたという意味では、この企画は大成功といっていいでしょう。

加えて、本企画最大のサプライズとしてオリジナルメンバーのエース・フレーリー(G, Vo)とピーター・クリス(Dr, Vo)のゲスト参加が挙げられます。2人はTHE ROLLING STONESのカバー「2,000 Man」(エースVo曲)、「Beth」(ピーターVo曲)、そして「Nothin' To Lose」「Rock And Roll All Nite」で当時のメンバーである4人と共演を繰り広げています。特に「Nothin' To Lose」ではピーターとエリックのツインボーカル、「Rock And Roll All Nite」ではオリメン4人のソロ歌唱パートも設けられ、このお祭りにふさわしい饗宴を楽しむことができます。

ここでの共演がきっかけだったのか、あるいはこの時点ですでに決定していたのか(おそらく後者でしょう)、彼らはこのアルバム発売後の1996年4月にオリジナルラインナップでのワールドツアーを発表。と同時に、12年もの長期にわたりKISSを支え続けたブルース、および急逝したエリック・カー(Dr, Vo)に代わりバンドを5年間サポートしたエリック・シンガーとのコラボレーションも解消されることとなります。エリックはその後、ピーターの再脱退によりバンドに再合流することになりますが、ブルースが参加したライブ音源としては本作が最後となってしまいます(スタジオ音源では、のちに発表される『CARNIVAL OF SOULS』(1997年)がラストですが)。

KISSのライブ作品中もっとも肩の力を抜いて聴くことができる本作は、しばらくサブスク未解禁でしたが、つい最近日本でも聴けるようになりました。日本盤CDにのみボーナストラックとして追加収録された「Got To Choose」は未収録ですが、ライブアルバムとしては非常にコンパクト(全15曲/56分)なのでその内容同様、リラックスして楽しんでほしい1枚です。

 


▼KISS『MTV UNPLUGGED』
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2022年12月 1日 (木)

KISS『CREATURES OF THE NIGHT: 40TH ANNIVERSARY EDITION』(2022)

2022年11月18日にリリースされた、KISSの10thアルバム『CREATURES OF THE NIGHT』(1982年)40周年記念エディション。

本作は最新リマスタリングが施された1CD/アナログ盤のほか、未発表テイクを豊富に納めたボーナスディスク付き2CDデラックス・エディション、5CD+1Blu-ray(Blu-rai Audio)で構成されたボックスセット(スーパー・デラックス・エディション)を用意。日本盤は1CDと2CDデラックス・エディションが用意され、スーパー・デラックス・エディションは輸入盤およびデジタルのみの販売となります。

『暗黒の神話』の邦題で知られる本作ですが、オリジナル盤発表から3年後の1985年に当時のメンバーであるブルース・キューリック(G)を含むノン・メイクアップの4人をアートワークに使用、一部楽曲にリミックスを施したバージョンも発売されています。僕が最初に聴いたのはこっちの新バージョンだったので、本作がメイクアップ時代最後のアルバムと言われてもあまり実感がなかったんですよ。それはサウンド的にも同様で、すでにこの時点で80年代半ばのヘアメタル風サウンドに近いハード&ヘヴィな作風に生まれ変わっていますしね。

さて、最新のリマスタリング効果ですが、やはり40年前の作品ということもあり、だいぶ印象も異なる気がします。もともとダイナミズムのある作品でしたが、今回の最新リマスタリングによりそのへんのメリハリがより付いたのではないでしょうか。これくらいダイナミックなHR/HMサウンドですから、メリハリは極端に付いていたほうが聴き応えもあるというもの。2022年の耳で楽しむという点においても合格点が与えられる仕上がりだと思います。

続いて、気になる特典ディスクの内容。ここではスーパー・デラックス・エディションの内容に沿って触れていきます。まずDISC 2&3には同タイミング(本作発売前)に制作されたコンピ盤『KILLERS』(1982年)に収められた新曲4曲や、当時の未発表デモ音源を多数収録。このデモには「Nowhere To Run」や「I'm A Legend Tonight」など『KILLERS』収録曲のほか、「Deadly Weapon」「Betrayed」などその後制作された楽曲と共通するタイトルの未発表曲も含まれています(タイトルこそほぼ同一ですが、のちに発表された楽曲とは別モノです)。未発表曲の多くはのちのスタジオアルバムに収録されたとしても不思議ではない内容で、ちゃんとレコーディングしていたらしっかりリリースできたものばかり。

DISC 4&5には1982〜83年にかけて実施された、『CREATURES OF THE NIGHT』を携えた全米ツアーからのライブ音源に加え、ツアーで使用されたサンドエフェクト6テイクも収録。当時日本公演が叶わなかった本ツアーの断片を、こういった音源の数々から追体験できるなんて、よい時代になったものです。ライブ音源はひとつの曲に対して収録地が異なる複数テイクが含まれているので、ライブアルバムという観点ではなく“記録”として触れるのがベストかと。ヴィニー・ヴィンセント(G)がプレイするKISSクラシックナンバーの数々を楽しめるという点では、希少価値の高い内容ではないでしょうか。

70年代の諸作品においてもデラックス盤を近年発表しているKISSですが、ここまで素材が多いのも80年代ならではといいますか。かつ、本作での再起に賭ける思いの強さが至るところから伝わってくる素材の数々を前に、時代背景を踏まえつつ「なぜ本作で本格的な再ブレイクが叶わなかったのか」を考察してみるのも面白いかもしれませんね。

『MONSTER』(2012年)を最後に新作スタジオアルバムに着手することを断念したKISS。最後の来日公演を終え、彼らはここからあと何年にわたり“過去の遺産”を掘り起こして小金を稼ぎ続けるのか。引き続き注目していきたいと思います。

 


▼KISS『CREATURES OF THE NIGHT: 40TH ANNIVERSARY EDITION』
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KISS『END OF THE ROAD WORLD TOUR』@東京ドーム(2022年11月30日)

Img_6350 KISS、3年ぶりの日本公演にして、いよいよ本当に(本当に?)最後の来日公演。本来なら2019年12月の来日がラストになるはずでしたが、その後2020年に終了予定だったワールドツアーがコロナの影響で延期/中止となり、仕切り直しでスケジュールをいろいろ組んでいたところに再度日本を訪れることになったようです。ただ、スケジュール的な問題なのか、今回は東京ドーム1回のみ。2003年の来日時は関東のみ(武道館3DAYSと横浜アリーナ1公演)というのもありましたが、こういうケースは初めて。元が取れるのでしょうか(そのぶんチケ代高騰&グッズで回収か)。

そんなこんなで、1977年の初来日から数えて26回目の東京公演(MCでポール・スタンレーもおっしゃっていました)。自分はこれまで1995年1月の武道館2DAYS、1997年1月の東京ドーム、2001年3月の東京ドーム(本サイトで唯一レポを残した公演)、2013年10月の武道館(1日のみ)、2015年3月の東京ドーム(ももクロちゃんのお仕事でバックヤードにいたので本編数曲とアンコールのみ)の計6回観覧しており、今回の7回目がおそらく最後のKISSになりそう。いや、本当にそうなるんだよな……?

さすがに辞める辞める詐欺が続いたからか 集客的にはそこまでパンパンというわけではなく、スタンド席のサイドからステージ寄りはすべて空けた状態。ちゃんと埋まっていれば3万5000〜4万人程度は入っていたのかな。自分は“地獄のスタンド席”と名付けられた正面ちょい下手寄りのスタンド3列目。なかなか観やすかったですよ。入場すると、場内ではPANTERAMOTÖRHEADQUEENSRYCHEACCEPTなどメタルクラシックが流れ続けている。昨日とは真逆ですわ(笑)。

開演定刻前後でAEROSMITH「Walk This Way」、VAN HALEN「Panama」と音量が一段と大きくなり、お約束となったLED ZEPPELIN「Rock And Roll」でお客さん総立ち。この曲が始まればライブはもうすぐスタート、とみんな知っているわけです。

Img_6356 で、暗転して恒例の前口上「You wanted the best, you,got the best. The hardest band in the world, KISS!」でさらにボルテージが上がると、落ち着いたテンポ感の「Detroit Rock City」イントロとともにポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、トミー・セイヤー(G, Vo)が天井から吊るされたミニステージみたいなのに乗って登場。もはやお約束ですね。その後ろではエリック・シンガー(Dr, Vo)がもっさりと軽やかの間にあるビート感で存在感を示すのですが……音悪いな(糞)。東京ドームで久しぶりにここまで音の悪いライブ観たかも。ここまでシンプルなバンド編成で、しかも音数もそこまで多くないし、ギターも歪みまくっているわけではないし、むしろベースはゴリゴリしていて輪郭がはっきりしているのに、すべてがグシャっとしてしまっている。これ、後半まで安定しませんでしたね。勿体ない。

通常の半音下げ(音源版)からさらに半音下げた状態なのは、ここ最近の傾向なのでもう慣れました。「Detroit Rock City」はもったりしているものの、同じテンポ感で聴く「Shout It Out Loud」は逆に歯切れ良く聞こえるから不思議。基本はポール&ジーンが交互に歌う曲ですが、サビのリフレイン終盤にはトミーも加わり、ご本家エース・フレーリー(G, Vo)ばりの存在感を発揮してくれます。さらにそこから「Deuce」「War Machine」と、ジーンVo曲が立て続けに2曲。後者エンディングではお馴染みの火吹きもフィーチャー。73歳のおじいちゃん、今日も頑張ります。

そういえば、この日のライブ。開演前の注意事項アナウンスがNIGHT RANGERのときにあった「声援、歌唱はお控えください」から「声援、歌唱は周りの迷惑にならないようにお願いします」に変わっており、バンド側の煽りを受けて歌ったりコール&レスポンスしたりすることに対して黙認するような形になっていました。これでもまだ解禁じゃないのか。グレーすぎだろホント。

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なもんだから、僕もこの日は気心知れた楽曲群をマスク越しで歌いまくりました(ボリュームはかなり小さめですが)。「I Love It Loud」ももちろん、シンガロングしてきましたよ。そんな感じでテンション上がっていたら、ポールがあるサビの一部を一緒に歌うことを促すのですが……えっ、「Say Yeah」やるの? KISS史上唯一日本発売されなかったオリジナルアルバム『SONIC BOOM』(2009年)の最後を飾るこの曲、実は2013年の来日記念で発売された『MONSTER』ジャパン・ツアー・エディション付属のスペシャル・ベスト・アルバムで本邦初リリースされているんですよね。とはいえ、サブスクで未解禁のアルバム収録曲とあって、反応はいまひとつ、いや、いまふたつくらいだったかな。この曲と「Psycho Circus」のときは近くにいた諸先輩方も座って観ていましたし。

「Cold Gin」のエンディングから突入するトミーのギターソロパート、そして「Calling Dr. Love」終盤にフィーチャーされたポール&トミーのギターバトル(バトルというほどでもないけど)など、ミュージシャンとしてのこだわりを感じさせるパートも随所に用意されていました。「Psycho Circus」ではギターソロ後にエリックのドラムソロもあり、その流れで「100,000 Years」に入る構成も安定感あります。そして、ジーンの不穏なベースソロ&血糊タイムを経て「God Of Thunder」へ。ジーン、再び天井付近にまで上昇していきます。これも既視感ある風景ですね。そこから、ポールがアリーナ中央にあるサブステージへターザンの如く移動。かなり近くまでやってきてくれましたが、表情までは目視できません。いや、白塗りが照明で白飛びしてるのか。高校時代にバンドでコピーもしたし、何百回、何千回とリピートしてきた「Love Gun」や「I Was Made For Lovin' You」をそらで歌い、最後はX JAPAN「紅」 エリックが歌う「Black Diamond」で本編締めくくり。この流れも伝統芸能ですね。もはや何も言うことはない。いいんです、お約束ですから。

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アンコールでは、再びエリックが「Beth」をソロ歌唱。オケを流しながら椅子に座って歌う……のかと思ったら、白いピアノの前に座ってる! エリック、ピアノを弾いている風ですが、この距離からだと実際に弾いているのかわからない。スクリーンにも胸から下は絶対に映さないし。手元映したらアウトなんですかそうですか。いや、エリックの歌も板についてきましたね。

そして、4人がステージに揃い、なぜか手を繋いで高く掲げる……完全にエンディングの様相を見せますが、ポールが「まだ帰りたくないって? しょうがねえなあ」と言いながら(いやそこまで言ってないが)「Do You Love Me」をプレゼント。この曲、以前もライブで聴いたときに「もったりしすぎていて気持ち悪い」と思ったのですが、それは今回も変わらず、会場の音響の悪さが影響しているのか、そもそも現編成でのアレンジが悪いのか。最後の最後まで残念です。この曲のときには巨大なバルーンが複数アリーナ客の頭上を飛び跳ねていました。

Img_6436いよいよ正真正銘のラストナンバー。ポールが「Rock and roll all nite, and party everyday!」と叫ぶのかと思ったら、普通に曲名をコールしただけ。ちょっと拍子抜け。そこから紙吹雪も舞い、ポールもギターを壊し、2時間強にわたる至れり尽くせりのエンタメショーは幕を下ろしました。

曲間にポールが喋りまくって観客とコミュニケーションを図りまくろうとするのは相変わらずなのですが、前日にノーMCを徹底した安全地帯を観たあとだけに、この対極さにじんわりきました。落差が激しすぎて、耳がキーンとする感じもあったような、なかったような。

けど、これがKISSなんだよね。70を軽く超えた今もあんな厚底ブーツを履いて、鎧みたいな衣装を見にまとい、肌も荒れ放題な中も白塗りメイクを続ける。このおもてなし精神が妙に日本人の感性にフィットしていたからこそ、50年近くも愛され続けているわけですから。

さすがにもう日本に戻ってくることはないと思います(次来たら本気で「また集金かよ!」と揶揄してやります)が、最後の最後は海外で観たいな……と思っている自分がいます。もう一度、彼らとステージで再会できる日を願って(ただし日本以外で)

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セットリスト
01. Detroit Rock City
02. Shout It Out Loud
03. Deuce
04. War Machine
05. Heaven's On Fire
06. I Love It Loud
07. Say Yeah
08. Cold Gin
09. Guitar Solo
10. Lick It Up
11. Calling Dr. Love
12. Psycho Circus
13. Drum Solo
14. 100,000 Years
15. Bass Solo
16. God Of Thunder
17. Love Gun
18. I Was Made For Lovin' You
19. Black Diamond
<アンコール>
20. Beth
21. Do You Love Me
22. Rock And Roll All Nite
〜Ending SE: God Gave Rock 'N' Roll To You II

 

2022年11月30日 (水)

2022年11月のお仕事

2022年11月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※11月28日更新)

 

[WEB] 11月28日、「リアルサウンド」にてインタビューイヤホンズ 高橋李依×やぎぬまかな対談 「タイムカプセル」で表現される子供時代の自分との対話が公開されました。

[WEB] 11月23日、「音楽ナタリー」にてインタビューano×真部脩一、破壊と再構築を繰り返して生まれた「チェンソーマン」EDテーマを語るが公開されました。

[WEB] 11月22日、「リアルサウンド」にてライブレポート『バンドリ!』登場バンド勢揃いで届けた夢のような時間 2年越しの“約束”を果たした『Girls Band Party! 2020→2022』レポが公開されました。

[WEB] 11月18日、「Rolling Stone JAPAN」にてインタビューLiSAが語る、音楽が鳴る場所で、共に「最高潮」へ向かうためにが公開されました。

[WEB] 11月16日、「リアルサウンド」にてライブレポート日向坂46、『Happy Smile Tour』で迎えた変革のタイミング 四期生のライブ初参加、挑戦的な演出でも広がる可能性が公開されました。

[WEB] 11月13日、「リアルサウンド」にてライブレポート櫻坂46、卒業する菅井友香の意志を継ぎ深まるグループの結束 初のドーム公演に見た現体制での集大成が公開されました。

[WEB] 11月10日、櫻坂46『2nd TOUR 2022 "As you know?"』東京ドーム公演(11月9日開催)のオフィシャルレポートを担当。ニッポン放送 NEWS ONLINEなどで随時公開中です。

[WEB] 11月8日、「リアルサウンド」にてインタビュー伊藤美来が語る、ハロハピ 弦巻こころ役を通して身につけたポジティブ思考 「私自身たくさん救われてきた」が公開されました。

[紙] 11月8日発売櫻坂46 菅井友香 卒業写真集「大切なもの」にて、菅井友香卒業ロングインタビュー、菅井×松田里奈対談、土田晃之×澤部佑インタビュー、オテンキのりインタビューを担当しました。(Amazon

[紙] 11月5日発売「ヘドバン」Vol.36にて、SLIPKNOT新作ロングレビュー、クラウン(ショーン・クラハン)1万7000字インタビュー、ALICE IN CHAINS「DIRT」リマスター盤クロスレビューを担当しました。(Amazon

[紙] 11月4日発売「日経エンタテインメント!」2022年12月号にて、櫻坂46菅井友香の連載「いつも凛々しく力強く」および日向坂46上村ひなのの連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 11月3日、「リアルサウンド」にてライブレポート乃木坂46 樋口日奈、慈愛に満ちた優しさでグループを支えた11年 誠実さと気迫で届けたアイドル人生ラストステージが公開されました。

[WEB] 11月3日、「リアルサウンド」にてインタビュー日向坂46 高本彩花&東村芽依、堂々と開く第2章の扉 齊藤京子の“垢抜けた魅力”&四期生との初対面エピソードもが公開されました。

安全地帯 40th ANNIVERSARY CONCERT "Just Keep Going!" Tokyo Garden Theater -4 Days-@東京ガーデンシアター(2022年11月29日)

Img_6347_20221130101001 すごいものを観た。これ以上でもこれ以下でもない、本当に圧倒的な100分間でした。

安全地帯は僕ら世代だと、小学生の頃からお茶の間の音楽番組で活躍してきたこともあり、もはやサザンとかと同等にロックだとか歌謡曲だとかそういう概念を超えた存在。そらで歌えるヒット曲なんて片手で数えられないほどたくさんあるし、意識的にライブに足を運ぼうなんて考えたこともなかった。それこそ、ここ10年くらいは玉置浩二さんのワイドショー方面での消費も手伝い、個人的にはそこまで積極的に追っていなかったし、音楽番組の特番に登場すれば「声量オバケ」扱いで(リスペクトはしつつも)若干嘲笑気味に傍観していた、というのが正直なところです。

ここ数年、仲間内で「レジェンドたちを(自分たち、もしくはアーティストサイドが)死ぬ前に確認しておく」機会が増えており、そのひとつとして安全地帯および玉置浩二も観ておかねばという話になり、スケジュールを調整して東京ガーデンシアター4 DAYS公演のセミファイナルに足を運ぶことができました。

まず、会場に入って驚いたのが、通常は開演前に場内に流れているであろうBGMが皆無だったこと。つまり、無音でライブのスタートを待つわけです。この感覚、クラシックコンサートに近いなあと思いつつ、「余計な音はいらない」というバンド側のこだわりなのかなと考えたり。

で、ライブがスタート。ステージ上にはドラマー2人、パーカッション1人、ギタリスト3人(サポート1人含む)、ベーシスト1人、キーボーディスト2人(Tomi Yoさん含む)、ブラス4人(だったかな? 権藤知彦さんも参加されていました)という大所帯。途中から女性コーラス3名(AMAZONSの皆さん)も加わり、歌やダンスで華を添えます。

玉置さんがゆっくりとステージに登場すると、そこからはただひたすら圧倒的な世界が展開されるわけですが……まず、曲中の過剰な煽りなど皆無。原曲に比較的近い(だけど確実にアップデートされている)アレンジのもと、自身の歌とストイックに向き合い続けるその姿は、孤高の存在なんて言葉で片付けるには勿体ないほどでした。なんじゃこりゃ。

曲が終わっても特に挨拶することもなく、またMCもライブ後半にバンドメンバー紹介があった程度で、トークで場を和ませるなんて余計なことは一切しない。要は、歌の邪魔をするような要素をすべて排除した、無駄のないライブなのです。なもんだから、緊張と緩和の「緩和」が皆無。だけど、不思議と気持ちよく楽しめたのは、目立ちすぎず、だけど地味すぎないバンドアンサンブルと、その上で変幻自在にうねりまくる玉置さんのボーカルのおかげ。なんだろう、素材を楽しむ料理というのとも違うんだろうけど、音楽や歌の根源にあるシンプルなものを再確認させられたような感覚なのかな。

紙吹雪や銀テープなどの特攻も極力抑えめ。オープニングの「あの頃」のときも自然な形で紙吹雪が降っていて、歌を一切邪魔しない。あの匙加減も絶妙でしたね。個人的には「熱視線」でのブレイク。ジャン♪とバンドが音を鳴らすたびに、派手なアクションをする玉置さんの姿はロックスターそのもの。その容姿からは実年齢を感じるものの、あの瞬間は80年代半ば、僕たちがテレビで観ていた彼そのものでした。カッコいいったらありゃしない。

今回のライブにはドラマーの田中裕二さんが不参加で、「情熱」では彼がプレイする映像をスクリーンに映しつつ、エンディングには彼のドラムソロもフィーチャー。節目のタイミングに参加できなかったのは残念ですが、こういう点からも彼らならではのこだわりか伝わります。

にしても、まあセトリの贅沢さよ。周年ライブというのもあるけど、序盤の名曲三昧に続いて、中盤に差し掛かる前に「ワインレッドの心」「恋の予感」といったメガヒットを早々に披露してしまう。大衆的にはこういった楽曲で盛り上がるところでしょうが、そこにピークを設定しないセットリスト作りもさすがベテランといったところかな。だからこそ、「情熱」や「ひとりぼっちのエール」といった楽曲でクライマックスを迎える点が非常に興味深かったです。

あと、中盤に玉置さんが一度ステージに引っ込んで披露されたインスト「夕暮れ」も良かったなあ。歌が軸なんだけど、「彼らがいるからライブが成立しているんだよ」とバンドメンバーにスポットを当てるような、そんな優しさを感じる1曲でした。

よくライブを見終えたあとって、公演中にメンバーが口にした言葉やメッセージが印象に残ることが多いんですが、ここまで歌の印象だけしかないライブというのもある意味特殊。ですが、本来ライブってこうであるべきなんじゃないかなとも思うわけで。こんな境地ににまで到達した安全地帯および玉置浩二というアーティストの特異感は、ワイドショーや音楽番組だけでは伝わらないのかもしれない。そう思うと、このタイミングに生で観ることができて本当によかった。今度は玉置さんソロも観てみたいと素直に思えましたしね。

セットリスト
01. あの頃
02. 萠黄色のスナップ
03. 碧い瞳のエリス
04. プルシアンブルーの肖像
05. 好きさ
06. 蒼いバラ
07. 熱視線
08. ワインレッドの心
09. 恋の予感
10. Friend
11. 夕暮れ
12. あなたに
13. 悲しみにさよなら
14. 情熱
15. 真夜中すぎの恋
16. じれったい
17. ひとりぼっちのエール
<アンコール>
18. I LOVE YOUからはじめよう

 

KISS『OFF THE SOUNDBOARD: LIVE IN DES MOINES 1977』(2022)

2022年9月9日にリリースされたKISSのライブアルバム。

KISSが新たに立ち上げた公式ライブ・ブートレッグ“OFF THE SOUNDBOARD”シリーズの、2021年6月発売の第1弾『OFF THE SOUNDBOARD: TOKYO 2001』(2021年)、今年3月発売の第2弾『OFF THE SOUNDBOARD: LIVE IN VIRGINIA BEACH 2004』(2022年)、同6月発売の第3弾『OFF THE SOUNDBOARD: LIVE IN DONINGTON 1996』(2022年)に続く第4弾。過去3作がどれも近代(1990年代後半以降)の音源で、音質的にもしっかりしたものばかりでしたが、今回は1977年とかなり前時代の代物が掘り起こされてきました。

タイミング的にはライブアルバム第2弾『ALIVE II』(1977年)を携えて行われた、11月29日の米・アイオワ州デモインのVeterans Memorial Auditorium公演のもので、当然メンバーはポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、エース・フレーリー(G, Vo)、ピーター・クリス(Dr, Vo)というオリジナルメンバーによるもの。そもそもが商品化を想定して録音したものではないこともあり、音質は過去3作と比べるとあまりよろしくなく(というか、かなり劣る)。おそらくカセットテープ起こしなのかな、と想像するくらいの音質です。

ぶっちゃけ、これよりも良い音質のブートレグもたくさん存在しますし、なんなら当時のラジオ放送音源などのほうがもっとクリアで楽しめます。なぜこれを今さら商品化しようと考えたのかは疑問ですが、勢いに乗りまくった当時のKISSの熱量を感じるという点においては、これくらいの音質のほうが実は伝わりやすかったりもして。当然歌や演奏に手直しを加えることは不可能ですし、音質的には製品になり得るよう可能な限り手を加えたとは思うのですが、それでもカセットでの隠し録り程度の内容です。

1977年末という歴史的観点で考えると、ちょうどパンクロックムーブメントが勃発し始めたタイミング。それこそKISSは当時話題になり始めていたSEX PISTOLSをもじって『LOVE GUN』(1977年)なんてタイトルのアルバムを制作した、と囁かれるほどです。そんな彼らが当時、どんなステージを展開していたのかと振り返ってみると、意外にも前のめりで勢い重視のライブを繰り広げていたという事実に気づかされる。商品として手が加えられた『ALIVE II』よりも、実は本作のほうが“1977年のKISS”の本質が伝わるのではないか、という資料的価値の高さもあり、本作を完全否定できないのもあります。

とはいえ、僕はお金を払ってまで本作を購入しようとは思いませんでした。が、サブスクで配信されていたら聴こうかな?くらいのライトな気持ちで触れれば、意外と許せそうな1枚かもしれません。

 


▼KISS『OFF THE SOUNDBOARD: LIVE IN DES MOINES 1977』
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2022年11月29日 (火)

METALLICA『LUX ÆTERNA』(2022)

2022年11月28日に配信リリースされたMETALLICAの新曲。

2023年4月14日に約6年半ぶりのオリジナル新作『72 SEASONS』をリリースすることを発表したMETALLICA。この曲はアルバムからの第1弾シングルとして配信されたもので、昨年秋のブラックアルバム(1991年)30周年デラックスエディション以来となる最新アイテムの投入に、全俺が深夜に歓喜しました(オフィシャルTwitter見て本当に「ひゃっ!」って声出ましたから)。

予定されているアルバム収録曲は下記の12曲。トータル77分超と、前作『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』(2016年)に比較的近いものがあります(今回は見事1枚にまとめてくれました)。

01. 72 Seasons
02. Shadows Follow
03. Screaming Suicide
04. Sleepwalk My Life Away
05. You Must Burn!
06. Lux Æterna
07. Crown Of Barbed Wire
08. Chasing Light
09. If Darkness Had A Son
10. Too Far Gone?
11. Room Of Mirrors
12. Inamorata

アルバムタイトルは「72の季節=18年」ってことなんだろうけど、2004〜5年から18年ってこと?って思ったけど、これは古代中国で考案された季節を表す方式のひとつで、日本でも古くから自然の変化を知らせるのに使われているものなんだとか。そっちから持ってきたのは予想外でした。

で、肝心の「Lux Æterna」はアルバム6曲目、アナログでいうと前半最後の1曲ということでしょうか。前作の1stシングルが「Hardwired」だったのと同様に、今回もオールドスクールな疾走メタルチューンを最初に持ってきたわけですね(曲の配置場所こそ異なりますが)。METALLICAらしくもあり、どこかMÖTORHEADを彷彿とさせるものもあるオープニング(ラーズ・ウルリッヒのツーバス連打のパートですね)から、初期の彼らを思わせるシンプルなリフワークと曲構成&メロディは、その作風含め前作からの流れを汲むものなのかな。そりゃあ初期と完全比較してしまえばユルさも見て取れますが、それすらも今の彼らならではの余裕と解釈できるはずです。

これがもうちょっとヤケクソ気味にテンポアップして、ジェイムズ・ヘットフィールド(Vo, G)も吐き捨てるように歌ってくれたら完全に初期の彼らですけど、これくらいに抑えた(制御した)テンポ感が今のMETALLICAにはちょうどいいのかな。そのへんも、きっとアルバムの全体像が見えたときに釈然とすることでしょう。個人的にはカーク・ハメット(G)がギターソロで頑張ってくれていることがうれしいな。

3分半があっという間に感じられるほど、個人的には夢中になれる1曲でした。おそらくアルバムにはこういった楽曲のみならず、7分前後におよぶミディアムスローの大作なんかも含まれているんでしょうし、勝手な予想ですが『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』からそう大きくは変化していないと思うんです。だけど、それでも新作を作ろうと思ってくれたこと自体がありがたいですし、今年の『ストレンジャー・シングス4』から生まれた「Master Of Puppets」のシングルヒット(全米35位!)も手伝い、再び彼らに注目が寄せられていることも新作への注目度の高さにつながっていると思うんです。

彼らのことですから、きっとここから来年4月までの間にもう数曲、デジタルシングルとMVを公開するはず。もしかしたら、前作同様に全曲に異なる監督でMVを制作しているかもしれません。もはやリリックビデオが主流となりつつある今、ここまで無駄にお金をかけてくれるのもMETALLICAらしいのかもしれませんね。第2弾先行シングルは年明けくらいかな? 今は続報を楽しみに待つことにしましょう。

P.S.
2024年まで続く、世界22ヶ国をまわるワールドツアーが来年5月から始まることも同時アナウンスされました。この22ヶ国に日本が含まれているのかも気になるところ。海外ではすでにPANTERAが帯同する日程も発表されていますし、しばらく来ないのであればこちらから出向くことも考えないとダメみたいですね(笑)。

 


▼METALLICA『LUX ÆTERNA』
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2022年11月28日 (月)

FIVE FINGER DEATH PUNCH『AFTERLIFE』(2022)

2022年8月19日にリリースされたFIVE FINGER DEATH PUNCHの9thアルバム。日本盤未発売。

全米8位を記録した8thアルバム『F8』(2020年)から2年半ぶりの新作。前作発表前後にはコロナ禍に突入してしまい、ヨーロッパツアー以降は足止めを喰らってしまった彼ら。クリス・ケール(B)にインタビューしたタイミング(2月下旬)は日本でもその影響が強くなり始めた頃でしたが、現地にいたクリスはそのへんの状況が疎かったことをよく覚えています。

『F8』から8ヶ月後には、Better Noise Music移籍前の音源および未発表曲で構成されたベストアルバム第2弾『A DECADE OF DESTRUCTION VOLUME 2』(2020年)が早くも発売されますが、チャート的には最高130位と大きな成功を収めることができませんでした。そして時を同じくして、しばらくツアーから離れていたジェイソン・フック(G)がバンドを正式に脱退し、それまでジェイソンの代役を務めてきたアンディ・ジェイムズが正式加入することがアナウンスされました。2018年には初代ドラマーのジェレミー・スペンサーも脱退しており、ここ2作は連続してメンバーチェンジが起こってしまっています。

そんなピンチを経て制作された今作は、2作目『WAR IS THE ANSWER』(2009年)からすべての作品を手がけたケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンPAPA ROACHDISTURBEDなど)が引き続きプロデュースを担当。もは鉄壁の組み合わせであると同時に、多少マンネリにならないかとの危惧もあったのですが、そんな心配無用の1枚に仕上がっています。

基本路線はここ数作の延長線上にあるメロディアスなモダンメタルなのですが、楽曲のバラエティ豊かさやが過去イチと言えるほどカラフルで、かつそういった楽曲群の配置(曲順)も非常に計算されたものがある。結果として、彼らの全カタログ中もっともスムーズに聴けて楽しめる内容になっています。

オープニングを飾る「Welcome To The Circus」の王道スタイルはもはや手垢の付いたものかもしれませんが、それでもキャッチーなメロディと相まって最後まで楽しく聴けてしまう。続くタイトルトラック「AfterLife」では彼ららしい“枯れた”要素を織り交ぜたミドルテンポのニューメタル、さらに「Time Like These」は前作で試みた実験と初期からの男臭さをミックスした哀愁味溢れるミディアムバラード。この3曲だけでもかなり変化に富んでいますが、さらに4曲目に前のめりなアップチューン「Roll Dem Bones」で攻めまくり。このビート感、気持ちいいったらありゃしない。

その後ごっついビート感で聴き手を打ちのめすヘヴィチューン、デジタル要素を前面に打ち出したインダストリアルチックなメタルナンバー、90年代のグルーヴメタルを現代的に消化したノリの良い曲、スロー/ミディアムでじっくり聴かせる曲と振れ幅の大きな流れで、リスナーのハートを掴んで離しません。後半に入るとバラード寄りの楽曲が増えることで「ちょっとヤワになった?」と感じる方もいるかもしれませんが、個人的にはそんな印象皆無で(メロディアスなこともあって、よりそう感じてしまうのかな?)、最初から最後まで緊張の糸が途切れることなく楽しめましたし、何度リピートしても飽きることもまったくありません。

前作のようにデラックス版のみボーナストラック収録みたいな追加要素も皆無で、全12曲/47分トータルバランスもベスト。確かに初期〜中期にあった“えげつないヘヴィさ”は薄まってしまったものの、これを先の「ヤワになった」と受け取るか、あるいは「バンドとしての成熟」と受け取るかで評価も大きく変わるのかな。個人的には間違いなく後者であり、現時点での彼らの入門編に最適な1枚だと断言しておきます。

 


▼FIVE FINGER DEATH PUNCH『AFTERLIFE』
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2022年11月27日 (日)

DISTURBED『DIVISIVE』(2022)

2022年11月18日にリリースされたDISTURBEDの8thアルバム。日本盤未発売。

ポップかつソフトな側面を強調した異色作『EVOLUTION』(2018年)から約4年ぶりのスタジオアルバム。2作目『BELIEVE』(2002年)から続いた5作連続全米1位記録は前作で途絶えてしまいましたが、それでも最高4位という好記録を残しており、まだまだ人気は衰えていないことを証明しています。

再始動後の2作……前々作『IMMORTALIZED』(2015年)と『EVOLUTION』を手がけたケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンロブ・ゾンビFIVE FINGER DEATH PUNCHなど)から、新たにドリュー・ファルク(PAPA ROACHFEVER 333DANCE GAVIN DANCEなど)をプロデューサーに迎えた本作は、アグレッシヴさが復調したヘヴィな楽曲を楽しむことができる1枚です。

ドリューは過去に彼が担当したアーティスト同様、本作でもソングライティングをサポート。歌メロは前作の流れを汲み非常にキャッチーですが、それを構築するサウンドそのものはかなり重々しく、彼らのパブリックイメージをなぞったようなスタイルは聴き手安心感を与えてくれることでしょう。また、歌詞の面でもコロナ以降の生活に対する怒りや葛藤が反映されており、中でも「Bad Man」はロシアのウクライナ侵攻に触発された1曲なんだとか。かと思えば、HEARTのアン・ウィルソン(Vo)をゲストに迎えた「Don't Tell Me」はダン・ドネガン(G)が自身の離婚をモチーフにしたとのことで、この約4年で変わってしまった日常(それは公的のみならずプライベートでも)に対する憤りがさまざまな形で表現されているようですね。

……ここまで書くと、非常に優れたメタルアルバムのように受け取れることでしょう。もちろん、全体を通して安心安全の1枚だと思います。ただ、それ以上でもそれ以下でもない。彼らの場合、金太郎飴的なマンネリ感が魅力であると同時に弱点でもあると思うんです。活動休止する前の後期作、特に5作目『ASYLUM』(2010年)ではそれが完全に裏目に出てしまっていましたが、本作にもその前兆のようなものが伺えて、ちょっと心配になってきます。

これ以上、新しいスタイルを望むのは難しいのかな。「Don't Tell Me」は前々作におけるカバー「The Sound Of Silence」の成功がもたらした産物かもしれません(事実、アン・ウィルソンは彼らの「The Sound Of Silence」を聴いてDISTURBEDと一緒に仕事してみたいと思ったそう)し、前作もそういった方向性を突き詰めてみようと思ったもののうまく機能しなかった。その結果、手っ取り早く原点回帰……と考えるのは邪推かもしれませんが、それを抜きに考えても本作は過渡期にある1枚なんじゃないでしょうか。

海外メディアの評価を目にすると、比較的自分と同じような声が見受けられ、みんな感じることは一緒なんだなと思いました。心に残るような強烈な1枚ではないものの、その隙間を埋めてくれるような補助的役割は十分に果たしてくれる。本当はそんなこと、バンドが望んでいないのは百も承知ですが、ここをうまく乗り越えて次作で完全復活を果たしてほしい……そういった意味では、次の9作目がバンドにとって真の勝負作かもしれません。

 


▼DISTURBED『DIVISIVE』
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2022年11月26日 (土)

WILKO JOHNSON / ROGER DALTREY『GOING BACK HOME』(2014)

2014年3月25日にリリースされた、ウィルコ・ジョンソン(G/ex. DR. FEELGOOD)とロジャー・ダルトリー(Vo/THE WHO)のコラボアルバム。日本盤は同年4月2日発売。

2013年に末期のすい臓がんと診断され、本人の意向で延命治療は行わないことをアナウンスしたウィルコ。その後、残された時間を有効に使うため、なんとTHE WHOのロジャー・ダルトリーをフロントマンに迎えたスタジオアルバムを制作することを発表し、我々を驚かせたのでした。

アルバムのレコーディングは、ウィルコと活動を共にしてきた永遠の相棒ノーマン・ワット・ロイ(B)、YESのスティーヴ・ハウ(G)の実子であるディラン・ハウ(Dr)の鉄壁トリオに、THE STYLE COUNCILなどで知られるミック・タルボット(Key, Piano)を迎えた編成で実施。プロデューサーにはMANIC STREET PREACHERSの諸作を手がけることで知られるデイヴ・エリンガという(彼らからしたら)若手を迎えて、たった1週間で録音を済ませたそうです。

収録された全11曲(デラックス盤ボーナスディスク収録曲除く)のうち、10曲はウィルコがこれまでに制作・発表してきた楽曲のセルフカバーで、残り1曲はボブ・ディランの「Can You Please Crawl Out Your Window?」カバーとなります。アルバムタイトルにも用いられた「Going Back Home」からもわかるように、DR. FEELGOOD時代の楽曲も複数含まれており、リリースから40年近くを経たいぶし銀のプレイ&演奏に、より深みが増したロジャーのボーカルが乗ることで、原曲とはまた違った魅力を感じ取ることができるはずです。

そりゃあ原曲で聴ける「若き日のパブロック/パンクロック/ガレージロック直系のストレートさ」も間違いなくカッコいいですが、今の年齢だからこそ生み出せるこの空気感と説得力も誰にも真似できないもの。自分の人生の終わりが数ヶ月後に近づいたウィルコのギタープレイは、かつての鬼気迫るものとは若干異なるものの、最後の最後に文字通り「音を楽しむ」こと=音楽と向き合った結果がこの音/演奏であり、そこに真摯に応えるロジャーの(まったく年齢を感じさせない)パワフルな歌声と、そこから伝わる生命力の強さにはただただ圧倒されます。

個人的にはオルガンやピアノの入ったロックンロールが大好きなので、ここで聴けるミック・タルボットのプレイは最高の一言。原曲を知るリスナーにもぜひ味わってもらいたい魅力のひとつです。こういうアルバムはしのごの言わず、無心で楽しむのが一番。ひたすら大音量で再生しまくってください。

ちなみに、本作は全英3位という好記録を樹立。2014年11月には先にも触れたボーナスディスク付き2枚組デラックス・エディションも発表されています(日本盤は2015年2月リリース)。こちらには本編未収録の「Muskrat」に加え、「Some Kind Of Hero」「Keep On Loving You」「Turned 21」のウィルコ歌唱バージョン、2014年2月のWILKO JOHNSON BANDのライブ音源やロジャーとのコラボライブ音源など全18トラックが収められているので、アルバム本編がご自身の感性にフィットした方はぜひチェックしてみることをオススメします

なお、その後のウィルコですが、2014年3月に本作を提げた来日公演を行うも、4月下旬にはすべてのスケジュールをキャンセル。5月には腫瘍摘出手術を行い、見事回復したことを宣言します。余命数ヶ月と言われたものの、その後8年間もサバイブ。2022年11月21日にこの世を去りました。

 


▼WILKO JOHNSON / ROGER DALTREY『GOING BACK HOME』
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