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当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2021年10月28日更新)


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2021年10月31日 (日)

2021年9月のアクセスランキング

ここでは2021年9月1日から9月30日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↑●位)」の表記は、「更新日/2021年8月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:METALLICA『METALLICA: DELUXE EDITION』(2021)(※2021年9月14日更新/NEW!)

2位:CARCASS『TORN ARTERIES』(2021)(※2021年9月17日更新/NEW!)

3位:MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)(※2021年9月5日更新/NEW!)

4位:THE WiLDHEARTS『21ST CENTURY LOVE SONGS』(2021)(※2021年9月4日更新/NEW!)

5位:IRON MAIDEN『SENJUTSU』(2021)(※2021年9月16日更新/NEW!)

6位:GUNS N' ROSES『HARD SKOOL』(2021)(※2021年9月25日更新/NEW!)

7位:MANIC STREET PREACHERS『THE ULTRA VIVID LAMENT』(2021)(※2021年9月12日更新/NEW!)

8位:V.A.『THE METALLICA BLACKLIST』(2021)(※2021年9月11日更新/NEW!)

9位:ENUFF Z'NUFF『NEVER ENUFF: RARITIES & DEMOS』(2021)(※2021年9月7日更新/NEW!)

10位:OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS (30TH ANNIVERSARY EXPANDED EDITION)』(2021)(※2021年9月19日更新/NEW!)

 

11位:GUNS N' ROSES『OH MY GOD』(1999)(※2021年9月25日更新/NEW!)

12位:TURNSTILE『GLOW ON』(2021)(※2021年9月1日更新/NEW!)

13位:BRING ME THE HORIZON『DiE4u』(2021)(※2021年9月21日更新/NEW!)

14位:ENUFF Z'NUFF『SEVEN』(1997)(※2021年9月8日更新/NEW!)

15位:DREAM THEATER『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: MASTER OF PUPPETS - LIVE IN BARCELONA, 2002』(2021)(※2021年9月15日更新/NEW!)

16位:THE BRONX『BRONX VI』(2021)(※2021年9月3日更新/NEW!)

17位:HALSEY『IF I CAN'T HAVE LOVE, I WANT POWER』(2021)(※2021年9月2日更新/NEW!)

18位:LEPROUS『APHELION』(2021)(※2021年9月18日更新/NEW!)

19位:SPIRITBOX『ETERNAL BLUE』(2021)(※2021年9月22日更新/NEW!)

20位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↓2位)

 

21位:MOTÖRHEAD『MARCH ÖR DIE』(1992)(※2021年9月20日更新/NEW!)

22位:CHEAP TRICK『THE LATEST』(2009)(※2021年9月10日更新/NEW!)

23位:DANKO JONES『POWER TRIO』(2021)(※2021年9月6日更新/NEW!)

24位:DEPECHE MODE『ULTRA』(1997)(※2021年9月13日更新/NEW!)

25位:GUNS N' ROSES『ABSUЯD』(2021)(※2021年8月6日更新/↓1位)

26位:SAMI YAFFA『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』(2021)(※2021年9月24日更新/NEW!)

27位:MANIC STREET PREACHERS『NATIONAL TREASURES - THE COMPLETE SINGLES』(2011)(※2021年9月23日更新/NEW!)

28位:CHEAP TRICK『HEAVEN TONIGHT』(1978)(※2021年9月9日更新/NEW!)

29位:AVENGED SEVENFOLD『DIAMONDS IN THE ROUGH』(2020)(※2020年2月8日更新/Re)

30位:JINJER『WALLFLOWERS』(2021)(※2021年9月30日更新/NEW!)

2021年10月のお仕事

2021年10月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※10月27日更新)

 

[WEB] 10月27日、「QJweb」にてインタビュー上坂すみれが語る「お金、生活、そしてナチュラルな私」声優デビュー10年、アーティストとしての未来が公開されました。

[WEB] 10月24日、「リアルサウンド」にてコラムONE OK ROCK、新たなライブアンセム「Wonder」誕生 閉塞感を打破する豪快なスタジアムロックが公開されました。

[WEB] 10月23日、「クランクイン!!」にてコラム乃木坂46、初ベストアルバムのタイトルは『Time flies』が公開されました。同様のテキストが複数メディアにて公開中です。

[WEB] 10月21日、「リアルサウンド」にてライブレポート日向坂46、力強いパフォーマンスで交わした新たな約束 『全国おひさま化計画 2021』ファイナルでの挑戦と集大成が公開されました。

[WEB] 10月18日、「ホミニス」にてコラムGuilty Kiss・逢田梨香子、小林愛香、鈴木愛奈が「ラブライブ!」シリーズ初の生バンドライブで見せた歌唱力が公開されました。

[WEB] 10月14日、「ホミニス」にてコラム日野聡が「鬼滅の刃」でも聴かせた凛とした声で世界の呪い伝説をナビゲート!が公開されました。

[WEB] 10月13日、「ホミニス」にてコラム神谷浩史が子育てをするペンギンたちの姿をナレーションとともに温かく見守る!が公開されました。

[WEB] 10月13日、「リアルサウンド」にてインタビュー櫻坂46 小池美波&井上梨名&関有美子が語る2年目のテーマ 挑戦する中で色づき始めた“櫻坂らしさ”が公開されました。

[紙] 10月12日発売「日向坂46新聞」2021年秋号にて、金村美玖×丹生明里×渡邉美穂ユニット座談会、小藪千豊×潮紗理菜+佐々木美玲+東村芽依+丹生明里座談会、全国アリーナツアー初日レポート、佐々木久美×高瀬愛奈×富田鈴花×松田好花ツアー座談会、加藤史帆×齊藤京子対談を担当しました。(Amazon

[紙] 10月6日発売「Ani-PASS」#15にて、内田真礼インタビューを担当しました。(Amazon

[紙] 10月4日発売「日経エンタテインメント!」2021年11月号にて、櫻坂46菅井友香の連載「いつも凛々しく力強く」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 10月1日、「Billboard Japan」にてインタビュー神はサイコロを振らない×キタニタツヤが明かす「愛のけだもの」の制作裏話が公開されました。

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また、2021年9月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2109号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2021年10月28日 (木)

CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』(2021)

2021年10月22日にリリースされたCRADLE OF FILTHの13thアルバム。

前作『CRYPTORIANA – THE SEDUCTIVENESS OF DECAY』(2017年)から4年ぶりという、過去最長のスパンで届けられた本作。リンゼイ・スクールクラフト(Female Vo, Narration)に代わりアナベル・イラトニ(Key, Female Vo, Iyre)が加入しての1作目となります(近作ではメンバーチェンジが続いていたので、これも恒例行事のひとつと言えますが)。

これまでの彼らのアルバム同様、本作もコンセプチュアルな作風で、プレスリリースによると「『存在することは虚しい』というタイトル通り、必ず死に直面しなくてはならない我々の存在というものを、ひたすらシンフォニックなオーケストレーション、クワイヤ、そしてダニ・フィルス(Vo)のドラマチックな語りで描いていく」内容とのこと。前作がこれまでの総決算的なテイストだったのに対し、今作はひたすらダークさにこだわった1枚と言えるでしょう。

ブラックメタルをベースにしつつも、オーケストラやクワイヤをフィーチャーすることでシンフォニックメタルの側面も非常に強く、ダニのスクリーム以上にメロウな要素(シンフォニックな味付け+アナベルの女性Voなど)が強いことから、この手のバンドの作品にしてはかなり聴きやすいほうだと思います。バンド演奏においてはドラムのブラストビートやギターの痙攣リフなど、ブラックメタルに必要不可欠なテイストしっかり軸として残しているものの、早くからブラックメタルを逸脱して独自のスタイルを築き上げてきた存在だけに、今さらこのアルバムをブラックメタルの枠で括って語るのもおかしな話ですが。

また、アレンジにおいては全体的にクラシカルな正統派メタルのテイストも強まっております。そういった楽曲においてはダニのボーカルが(本来はメインにも関わらず)良いアクセントとなっており、メロディアスなギターソロ(「Discourse Between A Man And His Soul」でのツインリードはお見事!)を結果的に引き立てる要素にもなっています。もはや「本来は何を聴かせたかったんだっけ?」と本末転倒な点もあるものの、このバンドの場合ダニはボーカル云々よりもストーリーテラー的立ち位置のほうが似合っているので、これは結果オーライではないでしょうか。

全12曲中1〜2分程度のインタールードが3曲含まれており、トータルで57分程度。コンセプトアルバムのわりには聴きやすい尺で、そのダークさ、メランコリックさと相まって集中して楽しめる1枚です。なお、フィジカルのデラックス版およびデジタル版にはボートラ2曲が追加され、全14曲で70分という長尺に。ボートラはあくまでオマケとして受け取って、ありがたく聴くもよし、飛ばすもよし(え?)。本作の延長線上にある2曲だとは思いますが、まずは潔く12曲だけでこのアルバムの世界にじっくり浸ってみることをオススメします。

 


▼CRADLE OF FILTH『EXISTENCE IS FUTILE』
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2021年10月27日 (水)

EVERY TIME I DIE『RADICAL』(2021)

2021年10月22日にリリースされたEVERY TIME I DIEの9thアルバム。日本盤未発売。

1998年から活動を開始し、すでにベテランの域に達しているEVERY TIME I DIE。フロントマンのキース・バックリー(Vo)がANTHRAXのスコット・イアン(G)、FALL OUT BOYのジョー・トローマン(G, Vo)&アンディ・ハーレー(Dr)らとTHE DAMNED THINGSとして活躍していることもあり、メタルコア/ハードコア界隈のみならず、数世代前のメタルを愛するリスナーやパンクシーンにもその名が知られる存在ではないでしょうか。

EVERY TIME I DIEとしては前作『LOW TEENS』(2016年)から実に5年ぶりとなる本作。プロデューサーには前作から引き続き、ウィル・パットニー(THE GHOST INSIDEKNOCKED LOOSEUNEARTHなど)を起用しており、熟練という言葉とは無縁のアグレッシヴなサウンドが展開されております。

とにかく走る、叫ぶ、謎に複雑な演奏/アレンジを絡めてくる。この高揚感を煽りながら先の展開を読ませない曲構成は相変わらずなのですが、そこには安定感や先の熟練を無視した「今が絶頂期」と言わんばかりのエネルギーが凝縮されており、ジッとして聴いていられないほどのパッションは5年待たされた甲斐があったと納得させられるものがあります。なんなんだ、このヤケクソにもにた爆発力は。

とはいえ、実はしっかり聴き込んでいくと無軌道のように思えた先行き不明なアレンジも、非常に緻密な計算の上で成り立っていることが理解でき、そこが見えてくるとこのアルバムの魅力により深くハマってしまうのではないでしょうか。

中盤には不穏なアルペジオからじわじわと盛り上げていくエモーショナルな「Thing With Feathers」(曲中の美しいハーモニーや、ちょっと初期RADIOHEADにも似た質感は非常に好み)が非常に強い個性を放っているのですが、それ以降は再び激しくも変な曲のオンパレード。アンセミックな歌モノミディアムチューン「White Void」のような変化球もあるにはありますが、その口にはすぐ「Distress Rehearsal」みたいな爆走ナンバーが用意されている。そしてアルバムは異質な「We Go Together」で締め括り。本当に心休まる暇もなく、全16曲/51分があっという間に感じられる1枚です。

聴いているだけでサークルモッシュの輪に加わりたくなる楽曲満載の本作。5年のブランクはコロナの影響もあるようですが(実際、コロナ禍の前にアルバムは完成していたようですが、リリースのタイミングを見定めていたようです)、そんな閉塞感の強い時代に大きな風穴をぶち開けてくれる強烈な傑作ではないでしょうか。ああ、早くライブでこの音を、爆音で浴びたい!

 


▼EVERY TIME I DIE『RADICAL』
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2021年10月26日 (火)

DON BROCO『AMAZING THINGS』(2021)

2021年10月22日にリリースされたDON BROCOの4thアルバム。日本盤は同年11月24日発売予定。

DON BROCOは2008年に結成されたイギリス出身の4人組バンド。2ndアルバム『AUTOMATIC』が全英6位を記録するなど、本国ではすでに知名度のある存在ですが、日本デビューは前作『TECHNOLOGY』(2018年)にて。そこもおそらく、2017年にONE OK ROCKMAN WITH A MISSIONといった国内バンドとの共演および来日が影響したといっても過言ではないでしょう(さらに2018年にはMWAM、coldrainとも共演済み)。

約3年8ヶ月ぶりに届けられた本作は、前作から引き続きジェイソン・ペリー(McFLY、KIDS IN GLASS HOUSES、THE BLACKOUTなど)&ジョン・ランカスター(BRING ME THE HORIZON、ONE OK ROCK、BLINK-182など)がプロデュース。ポストハードコアやオルタナティヴロックの影響下にあり、適度にエレクトロの味付けを施した現代的なラウドロックサウンドが展開されています。

ギターリフやその鳴らし方含め、随所から90年代後半以降のモダンメタル的色合いも感じられ、至るところから“DEFTONES以降”や“LIMP BIZKIT以降”、あるいは“LINKIN PARK以降“のテイストがにじみ出ている。また、プロデューサーの手腕によるものだと思いますが、全体を覆う質感は最近のBMTHと共通するものが見つけられる。そういった意味ではフォロワー感の強いバンドのようにも思えますが、1つひとつの楽曲の仕上がり、作り込みが同系統のバンドよりも優れていることもあってか、不思議と最後まで飽きずに楽しめるんです。

個人的なツボは「One True Prince」や「Anaheim」といった中盤の流れかな。それこそ先に挙げた数バンドのうち、DEFTONES的ダークさとBMTH的モダンさが程よいバランスでブレンドされており、そこに親しみやすいメロディが乗っている。タイトなバンドサウンドも非常に気持ちよく響き、それこそヒットチャートを賑わすダークポップとの共通点も豊富に見受けられるし、国内ラウドロックのリスナーにも引っかかる要素がたくさん含まれているような気がします。

見方によっては商業的な存在……ひと昔、いやふた昔前なら産業ロックとレッテルが貼られるようなタイプのバンドかもしれません。しかし、楽曲の質とアルバムの内容、そしてライブパフォーマンスが良ければすべてよし。この3要素のうち、僕はまだライブだけ体験できていませんが、映像などで目にする限りでは合格点を与えられる存在なので、ぜひ機会があったら観てみたいです(というか、このアルバムの楽曲をどうライブで表現するのか非常に楽しみ)。

なお、海外から1ヶ月遅れてリリースの日本盤にはボーナストラックとして「Action (feat. Taka Moriuchi, Tyler Carter, Caleb Shomo & Tilian Pearson)」「Half Man Half God」の2曲を追加。ともに2019年に配信された楽曲で、前者にはONE OK ROCKのTaka、当時ISSUESのタイラー・カーター、BEARTOOTHのケイリブ・ショーモ、DANCE GAVIN DANCEのティリアン・ピアーソンというモダンヘヴィ/ラウド系を代表するバンドのフロントマンがゲスト参加しています。

当時もかなり話題になった1曲なので、ぜひこの機会に日本盤アルバムを手に入れておくことをオススメします。

 


▼DON BROCO『AMAZING THINGS』
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2021年10月25日 (月)

Happy 40th Anniversary!! Seiko Matsuda Concert Tour 2020〜2021 “Singles & Very Best Songs Collection!!”@日本武道館(2021年10月22日)

松田聖子の単独ライブを最後に観たのは、たぶん90年代後半だったかと思います。たぶん「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」がバカ売れしたあとだったかな。以降はイベントだったり紅白のリハ現場だったりで歌う姿を目にしていましたが、じっくり単独公演を目にするのは20数年ぶり。しかし、今回目の当たりにしたステージの様子は20数年前と変わらず、いや、もっと言えば80年代の残り香を漂わせながらもエンターテイナーとして前進し続ける“聖子ちゃん”の姿がそこにありました。

オープニングからひとりドラムを叩きながら歌うという演出や、その後大勢のダンサーを交えながら歌い踊る姿、アコースティック編成で初期のアルバム曲をしっとり聴かせる構成(しかも、観客が掲げたボードに書かれたリクエスト曲を次々とワンフレーズ、アカペラで歌唱していく豪快なサービスっぷり!)、後半の王道アイドルを地で行く衣装&見せ方など、首尾一貫「アイドル・松田聖子」を全うする内容には、関心を超えて感動するばかり。なんなら途中から涙が溢れてきましたから。

個人的にはアコースティックコーナーの選曲がドツボで、リアルタイムで聴いていた曲もあれば20代になって後追いで知った曲もあり、いろんな意味で懐かしさでいっぱいに。還暦を目前に、以前のような高音は厳しくなったものの、それでも今できる精一杯の形で松田聖子であろうとする彼女の姿は、日本の芸能界やエンターテインメント界の頂点に君臨する者としての使命感すら伝わりました。すげえよ本当に。

個人的に驚いたのは、観客が声を上げたり一緒に歌ったりできない時世にも関わらず、観客にシンガロングさせるような曲(「赤いスイートピー」でのサビ入りやタイトル部分)でも客席にマイクを向けて歌わない姿勢(笑)。いや、冗談抜きであれは肝が据わっていないとできないと思うんです。だって、演奏だけになってしまって歌がゼロなわけですよ? ステージに立つ側としてはその“空白”がどれだけプレッシャーなのかは当人にしかわからないですが、それでも観る側としてもあの“空白”は怖いものなんですよ。にもかかわらず、笑顔でマイクを向ける聖子ちゃん。その姿や姿勢からは、ある種の覚悟も見え隠れして、この人はどんな状況であっても自分のスタイルを崩すことなく、松田聖子であろうとしているんだなと感動すらしました。

大半の楽曲がワンハーフだったりメドレーだったりしてしまうのは、40年にもおよぶ活動でそれだけ名曲やファンから求められる曲を生み出してきた証拠。改めて80年代のテレビが産んだスーパーアイドルが40年も第一線で活躍し続けている事実、ものすごい偉業だと思います。誰に向けてというわけではないですが、本当にいろいろ見習ってほしい。

自分にとってツアーのたびに毎回足を運ぶタイプのアーティストではないですが、今後も機会があったらできる限り観てみたいと思わされた、そんな極上のエンターテインメントショーでした。

セットリスト
01. It's Style '95
02. It's Style
03. Wanna Know How
04. 時間の国のアリス 〜Alice in the wonder of time〜
05. 渚のバルコニー
06. 秘密の花園
07. ピンクのモーツァルト
08. 瑠璃色の地球2020

<アコースティックセット>
09. ピーチ・シャーベット
10. 愛の神話
11. 雨のリゾート
12. 小さなラブソング
13. 瞳はダイアモンド 〜Diamond Eyes〜
14. ※アカペラで1フレーズ歌唱
  ・一千一秒物語
  ・蒼いフォトグラフ
  ・SUNSET BEACH
  ・Rock'n'Roll Good-bye
  ・櫻の園
  ・制服
  ・水色の朝
  ・私の愛
15. 時間旅行 〜I still miss you〜
16. SWEET MEMORIES 〜甘い記憶〜

17. 赤いスイートピー(English Ver.) 〜 赤いスイートピー
18. 青い珊瑚礁 〜Blue Lagoon〜
19. メドレー
  ・裸足の季節
  ・風は秋色
  ・ハートのイアリング
  ・P・R・E・S・E・N・T
  ・天国のキッス
  ・チェリーブラッサム
  ・夏の扉

<アンコール>
20. SQUALL
21. 40th Party
22. 20th Party

 

 


▼松田聖子『SEIKO MATSUDA 2021』
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BIFFY CLYRO『THE MYTH OF THE HAPPILY EVER AFTER』(2021)

2021年10月22日にリリースされたBIFFY CLYROの9thアルバム。日本盤未発売。

昨年8月に発売された前作『A CELEBRATION OF ENDINGS』(2020年)から1年2ヶ月という短いスパンで届けられた本作は、その前作と対になる連作。ロサンゼルスで録音された前作とは異なり、今作は初めて故郷のスコットランドで、たった6週間で完成させたとのこと。それもあってかプロデューサーも、過去2作を手がけたリッチ・コスティー(AT THE DRIVE-INMUSEMY CHEMICAL ROMANCEなど)からアダム・ノーブル(PLACEBO、dEUS、リアム・ギャラガーなど)に交代しています。

前作が“陽”であれば、今作は“陰”。また、前作が“Before”であれば、今作は“After”というように、2枚は表裏一体の関係。当初は前作から漏れた楽曲を完成させるつもりでスタジオに入ったそうですが、セッションを重ねる中でアイデアが膨らんでいき、結果として『A CELEBRATION OF ENDINGS』の“先”にあるものが形となったようですね。

テーマも正反対ならタイトルも正反対。歌詞で表現されているテーマも、例えば前作が不屈な精神だとしたら、今作は人の弱さが扱われているとのこと。そういった要素を従来の彼ららしいアグレッシヴなハードロックや、ポップテイストの強いソフトなナンバーに落とし込んでいるのですが、不思議と爽快感が弱く、(良い意味で)モヤモヤする感覚が伝わってくる。そのへんは歌詞のテーマとリンクしているのでしょうか。このひねくれた感覚もいかにもBIFFY CLYROらしいなと、個人的には前作以上にのめり込んで楽しんでいます。

サンプリングを用いたオープニング曲「DumDum」といい、キャッチーなポップチューン「Witch's Cup」といい、アコースティック色の強い「Holy Water」といい、日本語の「春うらら」をタイトルに用いた穏やかな「Haru Urara」といい、良い意味で内向的な印象が強い。でも、だからといってダークさやネガティブさが強調されているのかというと、また違う。内省的な中から、そこから抜け出そうとするポジティブさも微かに伝わり、そこがもう1枚の『A CELEBRATION OF ENDINGS』とのつながりを感じさせるんですよね。だからこそ、アルバムのラストを飾る異色のアグレッシヴ・ニューウェイヴナンバー「Slurpy Slurpy Sleep Sleep」の意味がとても重要に思えてくる。「DumDum」から始まり「Slurpy Slurpy Sleep Sleep」で終わるこのアルバム、実は非常にストーリー性の強い1枚ではないでしょうか。BIFFY CLYROというクセの強いバンドの、もっとも濃い部分が凝縮された、ファンにはたまらない1枚だと断言します。

後付けの2部作となった今回のアルバム。コロナ禍を経て届けられた内容がこれという点においても、非常に興味深いものがあります。本作を楽しんだあとは再び前作にも立ち返り、この連作の魅力にじっくり浸ってほしいところです。

なお、本作のフィジカル盤(CD)は『A CELEBRATION OF ENDINGS』を完全再現したライブアルバム付き。注文したCDがまだ手元に届いていないので現時点では未聴ですが、ストリーミングサービスで耳にして気になったら、ぜひCDを購入することもオススメします。

 


▼BIFFY CLYRO『THE MYTH OF THE HAPPILY EVER AFTER』
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2021年10月24日 (日)

SANTANA『BLESSINGS AND MIRACLES』(2021)

2021年10月15日にリリースされたSANTANAの26thアルバム。日本盤未発売(サンタナの新作が日本盤リリースされない時代が来るとは……)。

『AFRICA SPEAKS』(2019年)から2年4ヶ月ぶりの新作。ここ2作は固定のバンドメンバー&シンガーという編成でアルバム作りに臨んできたカルロス・サンタナですが、今作ではメガヒットした『SUPERNATURAL』(1999年)以降定着している、フィーチャリングアーティストを曲ごとに変えたスタイルに回帰しています。

その参加メンバーも大ヒット曲「Smooth」でお馴染みのロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)を筆頭に、スティーヴ・ウィンウッド、チック・コリア、カーク・ハメット(METALLICA)、ナラダ・マイケル・ウォルデンなどジャンルを超えた多彩な顔ぶれ。もちろんボーカルレスのインストナンバーも多彩で、頭2曲と終盤3曲にインストを置くという構成からも、単に歌モノに頼っているだけじゃないんだよというサンタナの意思が伝わります。

どの曲もサンタナらしいラテンフレイバーが散りばめられた個性的なものばかりで、全体を通してリラックスして聴くことができるはず。そんな中、「おいおい、どうしてこうなった?」な珍作/異色作も含まれています。

例えば、スティーヴ・ウィンウッドをボーカルに迎えた「Winter Shade Of Pale」。ご存知PROCOL HARUMの名曲「青い影」のカバーなんですが、ラテンフレイバーを散りばめたアレンジで表現するという暴挙ぶり(笑)。でも、これが意外と悪くない。いや、不思議とクセになるんです。聴く人によっては原曲レイプにほかならないカバーですが、僕的にはありかな。面白いし(笑)。

メタルリスナー向けにはLIVING COLOURのコリー・グローヴァー(Vo)をフィーチャーした「Peace Power」のグルーヴィーなファンクロックもおすすめ。この熱量、たまらないっす。また、カーク・ハメット(G)とDEATH ANGELのマーク・オセグエダ(Vo)が参加した「America For Sale」も濃厚なファンク/ブルースハードロックといった印象で、なかなかの仕上がり。マークがメタル以外の、ストーンズっぽい楽曲を歌うのも興味深いし、なによりサンタナとカークのギターバトルが面白いったらありゃしない。カーク、頑張っているんだけど若干サンタナに押されているのが微笑ましい(笑)。手癖っぽいフレーズも多少見受けられるけど、ファンなら聴いておいて損はない1曲でしょう。

もちろん、ロブ・トーマス参加の王道ナンバー「Move」だとかカントリーシンガー/ギタリストのクリス・ステイプルトンを迎えた「Joy」だとか、聴きどころは豊富なので、クラシックロックファンはプレイリスト感覚で触れてみてはいかがでしょう。

 


▼SANTANA『BLESSINGS AND MIRACLES』
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2021年10月23日 (土)

ラブライブ!サンシャイン!! CYaRon! 2nd LoveLive! ~大革命☆Wake Up Kingdom~@幕張メッセ 国際展示場(2021年10月16日)

Aqoursの3ユニット中、AZALEAとGuilty Kissは配信で拝見(前者は地方公演のため、後者はチケット確保できず)。会場でラブライブ!関連のライブを観るのは、2020年1月のラブライブ!フェス以来1年9ヶ月ぶり……昨年から今年にかけて、配信で何度も目にしてきていたとはいえ、やっぱり生で観ると迫力も感動も違いますね。

今回は仕事一切関係なく、自力で取ったチケット。開演数日前まで座席がどこかわからないようになっていました。自分はアルファベットの後ろのほうで7列目ということでしたが、入場してびっくり。自分のブロックは一番前……つまり、ステージから7列目という神席。しかもセンターからちょい上手寄り。2021年の運をここで使い果たしたんじゃないかって思いましたはい。30分以上入場できずモヤモヤしていた気持ちが一瞬で晴れました(笑。このへんについては触れずにおきますので各自調べてください)。

Guilty Kissに続いて、今回のCYaRon!も生バンド編成。しかもTAKUYA(G)、本間昭光(Key)、かどしゅんたろう(Dr)、高野逸馬(B)、渡辺キョータ(G)という豪華なメンツからなるスペシャルバンド“CYaRoTOMO'S”の演奏と聞けば、ラブライブ!関係なく血が騒ぐというもの。実際、アルバム『ある日...永遠みたいに!』からのCYaRon!ナンバーはもちろんのこと、豊富に用意されたAqoursナンバーの数々が生バンドアレンジで表現されることで、いつも以上の迫力と熱量が伝わりました。

それにしても……あのセットリストはズルい! CYaRon!曲中心で3人のソロ曲+Aqours曲少々といったセトリかと勝手に想像していたら、ソロ曲なしで全体の半分近くがAqoursの名曲なんですから。頭2曲(「ある日...永遠みたいに!」「Braveheart Coaster」)のあとに「MY LIST to you!」でびっくりしていたら、さらに「恋になりたいAQUARIUM」のイントロがうっすら聞こえてきて……アゲ曲にもかかわらず、なぜか涙腺崩壊していました。それはあかんて。

そのほか「Hop? Stop? Nonstop!」は意外だったし、「スリリング・ワンウェイ」はバンド編成ありきでセレクトされたんだろうなと納得しまくりだし、本編ラストの「ユメ語るよりユメ歌おう」でまた泣き、アンコールの「MY舞う☆TONIGHT」でステージ前の炎の熱を直で感じたりと……注目トピックを挙げ始めたらきりがない。もちろん、バンドアレンジで披露されたCYaRon!ナンバーも原曲とは違った魅力を発していて、「元気全開DAY! DAY! DAY!」や「サクラバイバイ」「近未来ハッピーエンド」はバンドだからこそのパワーが加わったことで原曲増しの仕上がりだったし、TAKUYA氏のストレンジな側面全開の「Whistle of Revolution」や彼のコーラスが良い味を出していた「コドク・テレポート」では楽曲そのものの魅力を再発見もできましたし。幕間の映像含めて、個人的にはまったくダレることなく約3時間のステージを堪能することができました。

規制退場を経て、海浜幕張から帰宅したのが24時前だったというのはアレですが(苦笑)、久しぶりのラブライブ!関連の生ライブおよびAqours(の片鱗)を思う存分堪能し、年末のAqours単独公演の期待がより高まりました……ってチケットが確保できなきゃどうにもならんのだけど。

……と、ここまではライブ後にメモとして記していたのですが、バタバタしていて公開タイミングを逃していました。ところが本日、12月30日のぴあMMアリーナ公演のチケットを無事ゲット。急にテンションが上がり、ライブ開催から1週間を経ての公開と相成りました。当日のセトリで構成したプレイリスト含め、ひっそりとアップしておきます(笑)。

 

 


▼CYaRon!『ある日...永遠みたいに!』
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STEVE WHITEMAN『YOU'RE WELCOME』(2021)

2021年7月2日にリリースされたスティーヴ・ホワイトマンの1stソロアルバム。日本盤未発売。

ご存知、KIXのフロントマンとして40年以上にわたり活躍し続けるスティーヴ。KIXが90年代に一度解散したあとは、FUNNY MONEY(STEVE WHITEMAN & FUNNY MONEYとも)というバンドで活動していたこともありましたが、純粋なソロ作品はこれが初めてとなります。

レコーディングはスティーヴ(Vo, B, G, Harp)にKIXやFUNNY MONEYでの盟友ジミー・チャルファント(Dr)、1984年までKIXに在籍していたブラッド・ディヴェンス(B)のほか、ボブ・パレ(G)、FUNNY MONEYのディーン・クラマー(G)という気心知れたメンツが参加しており、プロデューサーにはこの5人の名前がクレジット。さらに、レコーディングやミックスなどのエンジニアリングをブラッドが担当しています。

ギターの歪みがそこまで強くないこと、また楽曲自体も肩の力が抜けレイドバックしたロックンロールが中心なことから、KIXのようなAC/DC直系のハードロックというよりはTHE ROLLING STONESの影響下にある、ルーズなアメリカンロックという印象が強いかな。年齢的なこともあり、スティーヴの歌声も以前ほどハリが感じられず、結果その枯れ具合がスカスカのロックンロールにフィットしているように感じられました。

楽曲自体は可もなく不可もなくの、ごく普通のロックンロール。そんな中、「Shock」のように湿り気の感じられる楽曲や、「Bad Blood」のような疾走チューンからはKIXの香りも感じられる。かつ、要所要所でスティーヴの吹くブルースハープがフィーチャーされることで、否が応でもKIXが思い浮かんでしまうし、したくなくても比較してしまう。長期にわたりバンドの顔として活躍してきた、クセの強いフロントマンの宿命ですね。

KIXの延長線として聴くと肩透かしを喰らうかもしれません。しかし、すべてがすべて「KIXっぽくないか」と問われると、そうでもない。KIXとしての新作が『ROCK YOUR FACE OFF』(2014年)以降途絶えていることもあり、どうしてもこのアルバムにKIXを求めてしまいたくなりますものね。でも、KIXがこういう方向性に進む世界線だって考えられたわけで……そう考えると、アリにも思えてくるんじゃないでしょうか。

「Kid Dynamite」みたいにKIX本編では出て来なそうな平均点以上の楽曲も複数含まれているし、全体的にも水準以上の仕上がりだと思います。KIXのスピンオフとして、心の隙間を埋めてくれる1枚ではないでしょうか。なんだかんだで、僕は結構リピートしています。

 


▼STEVE WHITEMAN『YOU'RE WELCOME』
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2021年10月22日 (金)

DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』(2021)

2021年10月22日にリリースされたDREAM THEATERの15thアルバム。

Inside Out Music移籍第1弾の前作『DISTANCE OVER TIME』(2019年)から2年8ヶ月ぶりのオリジナル新作。この期間の間にライブアルバム&映像作品『DISTANT MEMORIES』(2020年)のほか、4つのオフィシャルブートレッグ(『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: IMAGES AND WORDS - LIVE IN JAPAN, 2017』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: A DRAMATIC TOUR OF EVENTS - SELECT BOARD MIXES』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: TRAIN OF THOUGHT INSTRUMENTAL DEMOS (2003)』『LOST NOT FORGOTTEN ARCHIVES: MASTER OF PUPPETS - LIVE IN BARCELONA, 2002』)を続発していたこともあり、インターバルが空いている感覚は皆無。むしろ、コロナ禍の影響とはいえ3年に満たないスパンで新作が届けられたことは、素直に喜ばしいことだと思っています。

プレスリリースによると、前作は「原点回帰を目指した楽曲制作とレコーディング手法で、贅肉を削ぎ落としたパワーを封じ込めたコンパクトな楽曲群」中心の内容とのことでした。確かに、それ以前の作品と比較すれば4〜6分台の楽曲が中心で、全9曲で57分というトータルランニングも近年の彼らにしてはコンパクトだったと言えるでしょう。しかし、そこに封じ込まれた楽曲のメロディはインパクトの弱いものばかりで、個人的にはあまり響かない作品でした。

では、今作はどうでしょう。全7曲で70分とう構成は『DISTANCE OVER TIME』よりも前に立ち返ったように映り、アルバムのラストに構えるタイトルトラック「A View From The Top Of The World」は20分超えの超大作です。ファンからしたら、若干薄味だった前作よりも「そうそう、これを待っていた!」と言える1枚なんじゃないでしょうか。

リードトラックである1曲目「The Alien」を初めて聴いたとき、僕は9分半の長尺曲にもかかわらず「これはアルバムも期待できそうだ」と感じました。それは、前作よりもメロディラインに響くものが多々見つけられたからにほかなりません。バンドのスリリングなアンサンブルは相変わらず最高の一言ですが、デビュー時から比べたらだいぶ声域の狭まったジェイムズ・ラブリエ(Vo)のボーカルは中音域を軸にしながらも、可能な限り動きのあるメロディラインで曲ごとに変化を付けている。そりゃあメロディの動きは以前ほど大きなものではありませんが、それでも(前作のレビューで例えに挙げたDEEP PURPLEの)イアン・ギランと比べたらかなり健闘しているほうじゃないかなと(いや、近年のイアンはかなり良いんですけどね)。

要は、ここ数作はバンドの演奏力に対してボーカルが釣り合っていなかったけど、今作ではようやくそれに見合うバランス感を見つけることができた。だから全体を通して飽きずに楽しむことができるのかな、と思いました。無理に短い曲で勝負するより、歌割りが少なくなろうとも長尺曲で勝負し、なんならボーカルすらも曲の演出に徹する。それくらい割り切ったほうが今のDTは突き抜けられるんじゃないか……本作を聴いてそう確信しました。

2ndシングルとして先行配信された「Invisible Monster」や「Sleeping Giant」で耳にすることができる往年の輝きに匹敵するアンサンブルを筆頭に、これぞDT!と言える楽曲ばかりが詰め込まれた今作。ポップサイドを象徴する「Transcending Time」ではジェイムズのボーカルワーク(および歌メロ)も現時点でのベストと言えるものだと思いますし、「Awaken The Master」でのジョン・ペトルーシ(G)による重低音リフのカッコよさ、そして「A View From The Top Of The World」での圧倒感など、我々がDTに求める要素がしっかり揃っている。原点回帰という言葉は、むしろ今作のほうがぴったりなんじゃないでしょうか。アンディ・スニープによる際立ったミックス含め、ここ数作の中ではもっとも好きな1枚です。

 


▼DREAM THEATER『A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD』
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2021年10月21日 (木)

YES『THE QUEST』(2021)

2021年10月1日にリリースされたYESの22ndアルバム。

新シンガーのジョン・デイヴィソン(Vo)初参加の前作『HEAVEN & EARTH』(2014年)から約7年ぶりの新作。この7年の間に中心人物のクリス・スクワイア(B)急逝(2015年6月27日)という不幸に見舞われましたが、バンドはサポートメンバーとしてツアーに参加していたビリー・シャーウッドが新ベーシストとして迎え、ジョン、ビリー、スティーヴ・ハウ(G)、ジェフ・ダウンズ(Key, Piano)、アラン・ホワイト(Dr)の5人を中心に活動を継続しています。

今作では初めてスティーヴ・ハウがプロデューサーを兼務し、ゲストプレイヤーにジェイ・シェレン(Dr, Per)を迎えてレコーディング(ジェイは2016年からツアーに参加しており、このレコーディングを機に正式メンバーとしてクレジットされています)。残されたメンバーがYESらしさを“演じた”ように感じられる、ある意味ではYES全盛期の幻影を追っているようでもあり、またある意味ではYESというバンドの歴史を絶やさないという強い意志の塊のようでもある、そんな内容だと感じました。

オープニング曲「The Ice Bridge」のイントロで鳴るシンセの音色に、一瞬ELP(パウエルのほう)がフラッシュバックして苦笑いするものの、この曲を筆頭に牧歌的なYESのソフトサイドを強調したナンバーが並びます。スリリングや刺激は皆無、しかし要所要所からは“らしさ”がしっかり感じられるし、ハウのギターフレーズからも年齢を感じさせない冴え渡りぶりが伝わる。そしてなにより、ビリー・シャーウッドによるクリス・スクワイアの意思を継いだかのようなベースプレイは注目に値すべきものがあり、アラン&ジェイのリズムの上で“らしさ”を見せつけてくれるのです。

そんな牧歌的YESの真骨頂と言えるのが、DISC 1ラストに収録された「A Living Island」。もしYESというバンドがこの新作を最後に活動終了させるのならば、まさに“スワンソング”にふさわしい良曲ではないでしょうか(DISC 2はアルバム本編というよりもボーナストラック的立ち位置だと認識しています)。

確かに刺激はまったくありません。しかし、どの曲もしっかりと練り込まれており、そこまで退屈することはないでしょう。この手のサウンド/スタイルが好きなリスナーなら何かしら引っかかるポイントが見つけられるはずです。もはやオリメンは誰ひとり残っていませんが、だからこそクリスが去ったあと残されたメンバーたちがYESであることをここまで全うし演じきった、有終の美を飾るにふさわしい良作だと思います(誰もこれで終わりとは一言も言ってないけど)。

 


▼YES『THE QUEST』
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2021年10月20日 (水)

TEARS FOR FEARS『THE SEEDS OF LOVE』(1989)

1989年9月25日にリリースされたTEARS FOR FEARSの3rdアルバム。

「Shout」「Everybody Wants to Rule The World」という2つの全米No.1ソングを輩出し、アルバム自体も全米1位獲得、500万枚超えのセールスを記録した前作『SONGS FROM THE BIG CHAIR』(1985年)から4年半ぶりの新作。同作での大成功がもたらしたローランド・オーザバル(Vo, G)とカート・スミス(Vo, B)の不和により、しばらく活動が停滞していましたが、オリータ・アダムス(Vo)との出会いにより受けた刺激から、それまでのスタイル/サウンドからの脱却を図ります。

過去2作を手がけたクリス・ヒューズから新たにデイヴ・バスコム(DEPECHE MODEGENESIS、トム・ヴァーラインなど)をプロデューサーに迎え、3年にもわたる難産の末に完成した本作は、前作で垣間見えたジャズからの影響に加え、ソウルやブルース、中期ビートルズ的なサイケデリックロックの色合いが散りばめられた、非常に音楽的幅の広がった1枚に。ニューウェイヴの流れから誕生したTEARS FOR FEARSですが、作品を重ねるごとにスタート地点からどんどんと離れていき、この3作目からはジャンルにとらわれずに“音楽”を心底楽しんでいる様子が伝わってきます。

また、1stアルバム『THE HURTING』(1983年)時点ですべての楽曲をローランドが手がけていたものの、リードボーカルに関してはローランドとカートが半々だったボーカル体制も、今作ではほぼローランドのソロプロジェクト体制に(前作の時点でその予兆はありましたが)。カートは「Sowing The Seeds Of Love」での一部パート、および「Advice For The Young At Heart」でその透明感の強い歌声を聴けるのみ。オリータが加わったことで前作にはなかった多様性も少々増えていますが、基本的にはローランドのシンガーとしての成長や表現力の向上を存分に味わえる作品集なのかな。そう考えると、次作以降のカート脱退/ローランドのソロプロジェクト化も頷けるものがあります。

全体を通して前作以上に大人びた印象が強く、ワールドミュージック的な側面もありつつ、視点を変えるとプログレッシヴロック的にも聴こえてくる、そんな多彩さ/多面性を持つ傑作。ひとつのバンドが短い期間で急成長を遂げ、ひとつの頂点に到達した瞬間を克明に記録した、奇跡的な1枚と言えるでしょう。その結果、ローランド/カート体制はここで燃え尽きてしまうわけですが。そこから10数年を経て、ローランドがバンドに復帰したものの、2021年10月時点では初期3作に匹敵する作品は生み出せていません。

しかし、2022年2月25日に約17年ぶりのニューアルバム『THE TIPPING POINT』のリリースが決定。現在タイトルトラックが先行公開されており、初期2作の作風を現代的にブラッシュアップさせたような良曲ですが、これ1曲ではなんとも判断が難しいところ。ぜひともTFF本格復活!と声高に宣言したくなるような1枚に期待したいところです。

なお、本作からは日本でもさまざまなCMソングに起用された「Sowing The Seeds Of Love」(全米2位/全英5位)のほか、「Woman In Chains」(全米36位/全英26位)、「Advice For The Young At Heart」(全米89位/全英36位)、「Famous Last Words」(全英83位)といった個性的かつ斬新なヒットシングルが生まれています。シングル曲以外の4曲(本作のオリジナル仕様は全8曲と非常にコンパクト)も個性的な良曲ばかりなので、ぜひアルバムを通してじっくり向き合ってほしいところです。

 


▼TEARS FOR FEARS『THE SEEDS OF LOVE』
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2021年10月19日 (火)

ANGELS & AIRWAVES『LIFEFORMS』(2021)

2021年9月24日にリリースされたANGELS & AIRWAVESの6thアルバム。日本盤未発売。

当時BLINK-182のフロントマンだったトム・デロング(Vo, G)が同バンド活動休止中に結成したオルタナティヴロックバンド、前作『THE DREAM WALKER』(2014年)から7年ぶりのオリジナルアルバム。その後もEPを3作発表しており、新曲で構成された音源集としては『CHASING SHADOWS』(2016年)以来5年半ぶりとなり、どちらにしても過去最長のインターバルであることには間違いありません。

2016年当時のメンバーはトムとアイラン・ルービン(Dr)のみでしたが、今作はその2名に加えてデヴィッド・ケネディ(G)、マット・ルバノ(B)の4人で制作。プロデューサーには『THE DREAM WALKER』以降の共同制作者であるアーロン・ルービン(LOSTPROPHETS、SIMPLE PLANなど)を迎え、2018年春から3年かけてじっくり作り込んだ内容に仕上がっています。

僕自身、彼らのアルバムはGeffen Records時代の2作、1stアルバム『WE DON'T NEED TO WHISPER』(2006年)、2ndアルバム『I-EMPIRE』(2007年)程度しか聴いていなかったのですが、今作はその初期のスタイルを意識した作風とのこと。確かにポップパンクをベースにしながらも、その近くながらも微妙に外側にあるオルタナティヴロックやニューウェイヴを意識したサウンドはANGELS & AIRWAVESらしさに満ち溢れているものの、さらに進化/成長していることも伝わる作風かなと思いました。

一言で言ってしまえば、ジャンル分けの難しいロックといいましょうか。オルタナの枠内なんでしょうけど、そのスペーシーなサウンドメイク&アレンジはどこか80年代前半のRUSHを思わせるものもあり、かと思えば90年前後のUKロックを思わせるポップなギターロック風でもある。もちろんBLINK-182っぽさも随所から感じ取れるのですが、それ以上にANGELS & AIRWAVESならではのオリジナリティが確立されてしまっていることで、もはやBLINK-182との比較も意味のないものに感じられる。僕自身はBLINK-182にあまり思い入れがないので、むしろフラットに接することができるのですが、当時のファンからしたら今も複雑に響くのかもしれませんね……。

まあとにかく。良質なポップロック/オルタナロック/パワーポップアルバムだと思います。新しさよりも懐かしさのほうが強いのかもしれませんが、それすらも今の若い世代には新鮮に響くかもしれませんし、これはこれでアリなんじゃないでしょうか。気持ちよく楽しめる1枚ですね。

 


▼ANGELS & AIRWAVES『LIFEFORMS』
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2021年10月18日 (月)

WAGE WAR『MANIC』(2021)

2021年10月1日にリリースされたWAGE WARの4thアルバム。日本盤未発売。

米・フロリダ州出身の5人組メタルコアバンドによる。前作『PRESSURE』(2019年)から2年ぶりの新作。ドリュー・ファルク(BULLET FOR MY VALENTINE、リル・ウェイン、MOTIONLESS IN WHITEなど)、アンドリュー・ウェイド(A DAY TO REMEMBERTHE GHOST INSIDEHER NAME IN BLOODなど)、A DAY TO REMEMBERのフロントマンでもあるジェレミー・マッキノン(THE DEVIL WEARS PRADA、THE GHOST INSIDE、NECK DEEPなど)と複数のプロデューサーを起用するスタイルは近作同様ですが、随所にメタル/ラウド界隈以外の要素も散りばめられた非常にモダンな作りは今ならではと言えるでしょう。

グルーヴィーなリフワーク&リズムは従来の延長線上にあるものの、タイトルトラック「Manic」を筆頭に曲にDISTURBEDなど2000年前後のニューメタルを彷彿とさせる曲も含まれており、特に「Circle The Drain」などで見せるメロディアスなスタイルはバンドの新たな挑戦と受け取ることができるはずです。と同時に、こういったコテコテのメロウナンバーがモダンなメタルコアと非常にフィットしており、だからといって簡単に「ヤワになった」と言えないくらいのタフさもしっかり備わっている。

また、過去の作品よりヘヴィになった側面も随所から感じられ、メロウな要素とエレクトロな味付けとのバランス感も絶妙。クリーンで歌うメロディアスさとゴリゴリのグロウルの対比も非常に効果的で、この手のバンドが苦手な人にも入門編に最適な1枚ではないでしょうか。

「Death Roll」のギターリフからは90年代リスペクトが伝わるけど、決して古臭さは感じない。同時期のグルーヴメタル、2000年代のニューメタル、そして2000年代後半以降のメタルコアを1本の線でつなぎ、2021年ならではの質感でまとめ上げた本作は、幅広いヘヴィミュージックリスナーに愛されるべき良作だと断言しておきます。

古き良きヘヴィメタルの魅力も、ハードコアから派生したエクストリームミュージックの側面も、そしてLINKIN PARKやDISTURBEDが一時代を築いた2000年代ラウドシーンの色合いもすべて包括した、非常に万能感の強い1枚。こういう作品がしっかりとチャート上位に入るような世の中が再び訪れることを、願わずにはいられません(本作、残念ながらBillboard 200でチャートインしていないんですよ……)。

 


▼WAGE WAR『MANIC』
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2021年10月17日 (日)

KNOCKED LOOSE『A TEAR IN THE FABRIC OF LIFE』(2021)

2021年10月13日にデジタルリリースされたKNOCKED LOOSEの最新EP。フィジカルリリースは同年12月17日予定。日本盤発売は未定。

2ndアルバム『A DIFFERENT SHADE OF BLUE』(2019年)に続く新作音源は、コール・クラッチフィールド(G)に代わる新メンバーのニコ・カルデロンを迎えて初めて制作された6曲入りEP。なんの事前情報などの前触れもなく突如配信され、ファンを驚かせました。

本作は過去2枚のアルバム同様、プロデューサーにウィル・パットニー(THY ART IS MURDERAFTER THE BURIALPIG DESTROYERなど)を迎えてレコーディング。全体を通じての統一感やストーリー性が感じられる構成となっており、冒頭の車に乗り込んでカーラジオを再生するという穏やかな雰囲気から、突如スリリングで暴力的な轟音へとなだれ込む「Where Light Divides The Holler」での構成や、そのまま間髪入れずに「God Knows」へと続く演出、さらに同曲ラストで再びカーラジオの演出へと戻るなど、かなりコンセプチュアルな作りとなっています。

そういった作り込みはこの2曲のみ突出しているものの、3曲目「Forced To Stay」以降の流れも短い曲間で続くことから、アルバム並みのこだわった作り込みが伝わるはずです。また、このコンセプチュアルな構成はYouTubeで公開された、EPと同タイトルのアニメーション・ショートフィルムにも引き継がれており、EPに収録された全曲を使用した21分にもおよぶ見応えある作風は、数ヶ月前にTURNSTILEがEP『TURNSTILE LOVE CONNECTION』(2021年)で試みたチャレンジに通ずるものがあります。同じ時代に共闘する2バンドが似たテイストで作品づくりに注力する姿勢、お見事としか言いようがありません。

ただ、TURNSTILEが進化したサウンドで前進を続けるのに対し、こちらのKNOCKED LOOSEは深化したサウンドで前進している。グルーヴィーなミドルテンポを軸にヘヴィさを追求するそのスタイルは、まさに90年代以降のグルーヴメタルやハードコアの延長線上にあるものであり、その歴史的に重要なサウンドをよりディープに追求。しかし、ただ歴史をなぞるだけではなく、現代的に進化/深化した音を提供する。そのKNOCKED LOOSE流の最新形がこのEPでのトータル性なのかな、と感じました。

どこか20分超の組曲にも感じられるこの6曲入りEP。1曲1曲を取り上げるよりも塊としてまとめて聴くことをオススメします。そういった意味では、先のショートフィルムはうってつけの作品であり、個人的にもサブスクで聴くよりは映像作品とともに楽しむべき内容だと思います。

これがニューアルバムへの前触れなのか、それともアルバムとは別の形の表現なのか。いろいろ気になるものの、まずは本作を思う存分楽しんでおきたいところです。

 


▼KNOCKED LOOSE『A TEAR IN THE FABRIC OF LIFE』
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