2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000近いエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【企画記事】 【100番勝負】

続きを読む... "INDEX"

投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2017/04/30

2017年4月のお仕事

2017年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※4月29日更新)


[WEB] 4月29日、「リアルサウンド」にてL'Arc-en-Cielのライブ評「L'Arc-en-Ciel結成25周年ライブで感じた、最大公約数としての“ラルクらしさ”」が公開されました。

[紙] 4月28日発売「月刊エンタメ」2017年6月号にて、ピエール中野×大森靖子対談「語ろう!欅坂46」を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月28日発売「BUBKA」2017年6月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥×北野日奈子インタビュー、伊藤かりん×堀未央奈×渡辺みり愛座談会を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月28日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「舞台『あさひなぐ』齋藤飛鳥、井上小百合、新内眞衣、生駒里奈 都立富士高校薙刀部サプライズ訪問レポート」が公開されました。

[WEB] 4月26日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてSunrise In My Attache Caseのインタビュー「Sunrise In My Attache Caseの“偉大なる小さな一歩”とは?」が公開されました。

[紙] 4月24日発売「BRODY」2017年6月号にて、乃木坂46 3期生ドキュメント「やがて伝説となる物語」を執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月5日、「リアルサウンド」にて乃木坂46のアーティスト分析「乃木坂46、舞台版『あさひなぐ』薙刀初稽古詳細レポート メンバーからのコメントも」が公開されました。

[WEB] 4月5日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「1997年発売の“時代を変えた”ラウドロックアルバム5枚」が公開されました。

[紙] 4月5日発売「TV Bros.」2017年4月8日号にて、Maison book girlインタビューを担当・執筆しました。

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年5月号増刊 「けやき坂46」特装版にて、欅坂46・けやき坂46長濱ねるインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年5月号にて、欅坂46「不協和音」全曲解説を担当・執筆しました。(Amazon

投稿: 2017 04 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

MACHINE HEAD『THE BURNING RED』(1999)

MACHINE HEADで最初に取り上げる作品がこの3rdアルバムでいいのか、正直悩むところですが、僕個人としてとても好きなアルバムなので……まぁ昨日のSEVENDUSTからの流れで、当時のシーンの雰囲気をここらへんから感じ取ってもらえたらということで。

1994年にアルバム『BURN MY EYES』でデビューを果たし、PANTERAらとともにその後のヘヴィメタル、ラウドロックシーンのスタンダードとなったMACHINE HEAD。グルーヴ感の強いミドルテンポのリズムに乗せてスラッシーなギターリフを刻むスタイルが、その後のシーンに与えた影響は計り知れないものがあります。そうやって時代の寵児となった彼らがそこから一転、ニューメタルやラップメタルなど流行にあえて乗ることで完成させたのが、1999年夏発売の本作『THE BURNING RED』です。

前2作を手がけたコリン・リチャードソンから、KORN、SEPULTURA、SLIPKNOTなどで知られるロス・ロビンソンにプロデューサーを替えて制作された本作は、同じミドルテンポでも若干跳ね気味のリズムとロブ・フリン(Vo, G)によるラップ調ボーカルが導入され、初期からのファンの反感を買うことに。特に「From This Day」あたりはそのカラーが顕著で、「なにもこれをMACHINE HEADがやらなくても……」という落胆の声を当時よく耳にしたものです。

しかし、どの曲も比較的コンパクトでキャッチー、アルバムとしてもスルスル聴けてしまうのです。KORNかよ!と突っ込みたくなる「Desire To Fire」、パーカッシブな要素がSEPULTURA『ROOTS』にも通ずる「Exhale The Vile」、THE POLICEの代表曲をサイケデリックなスローアレンジでカバーした「Message In The Bottle」、エンディングのダブ感が異色のバラード「The Burning Red」などもありますが、前のめりなアップチューン「The Blood, The Sweat, The Tears」、攻めの「I Defy」「Five」などもあり、実は完全にニューメタル側に寄ったわけではないことも伺える。その後の彼らのスタイルを考えれば、このタイミングにこういった新しいチャレンジをしたことはとても大きかったのではないかと思うわけです。

じゃあ、MACHINE HEADで真っ先に聴くべき作品かと問われると、決してそんなこともなく。素直に最新作『BLOODSTONE & DIAMONDS』(2014年)もしくはデビュー作『BURN MY EYES』から聴けばいいと思うわけですが、これはこれで好きだっていう人、絶対にいるはずなんですよね。

今でも「The Blood, The Sweat, The Tears」「From This Day」あたりはライブで披露される機会も多いですし、もしMACHINE HEADに興味があって3、4枚目に何を聴こうかと悩んだときに手を出してみてはどうでしょう。聴く人を多少選ぶかもしれませんが、これはこれで優れたヘヴィメタルアルバムだと思いますよ。



▼MACHINE HEAD『THE BURNING RED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 30 12:00 午前 [1999年の作品, Machine Head] | 固定リンク

2017/04/29

SEVENDUST『HOME』(1999)

アメリカ・アトランタ出身の5人組バンドSEVENDUSTが、1999年に発表した通算2枚目のオリジナルアルバム。ちなみに彼らは、翌2000年夏に同作で日本デビューも果たしています。

90年代後半にKORNやTOOL、DEFTONESなどといったバンドがヒットチャートを賑わし始め、一部リスナーから“ニューメタル”という括りで揶揄し始めた頃、このSEVENDUSTもデビュー(1997年)しています。確かに彼らのサウンドは、世間的に言うニューメタルそのもの。というか、個人的にはニューメタルという単語を耳にすると、真っ先に思い出すのがSEVENDUSTだったりします。

それは決して悪い意味ではなく、90年代末のラウドシーンを代表するバンドのひとつとして認識しているから。ミドルテンポをベースにした楽曲に、ザクザクしたギターリフ、グルーヴィーで間をうまく生かしたリズム隊(特にドラムはスコーンと抜けが良いスネアで、ベースはフィンガーピッキングで弦をバキバキ弾く音が基本)、ボーカルはメロウなんだけど要所要所でシャウト(スクリーム)する……いわゆる“ニューメタルのスタンダード”と呼んでしまいたくなるスタイル、サウンドがこの『HOME』という作品で展開されているのです。

でも、この『HOME』という作品にはそれだけでは終わらない、リリースから15年以上経った今も存分に楽しめるだけの魅力が詰まっているのです。特にこのSEVENDUSTというバンド、フロントマンのラジョン・ウィザースプーン(Vo)が黒人ということが他のバンドとは一線を画する個性となっており、その他の“ヘタウマニューメタル”勢とは異なる本格派な歌を聴くことができる。その個性はどの曲からも感じ取ることができますが、特にスキン(SKUNK ANANSIE)とのデュエット「Licking Cream」では両者の魅力と実力が遺憾なく発揮されております。単なるヘヴィメタルとは違う、ソウルの血が混じった(それでいてファンクメタル的な方向に進まない)独自のスタンスは、“ニューメタルのスタンダード”だけど「その他のフォロワーやポーザーには負けない」だけのオリジナリティなんじゃないでしょうか(ちなみに、あるラストの「Bender」みはDEFTONESのチノ・モレノもゲスト参加しています)。

一時はギタリストの交代などもありましたが、現在はオリジナルメンバーで活動を継続中の彼ら。新作を出せば常に全米トップ20入りをするなど、安定した人気を保っています。これからSEVENDUSTに触れてみようという人にはベストアルバムもあるけど、まずは初の全米トップ20入り(19位)を記録した出世作であるこの『HOME』から聴いてみてはいかがでしょう。



▼SEVENDUST『HOME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 29 12:00 午前 [1999年の作品, Sevendust] | 固定リンク

2017/04/28

PEARL JAM『TEN』(1991)

1991年9月に海外で、ここ日本では翌月10月に発表された、アメリカ・シアトル出身の5人組バンドPEARL JAMの記念すべきデビューアルバム。ストーン・ゴッサード(G)とジェフ・アメン(B)が同じシアトル出身のバンドGREEN RIVERのメンバーだったこと、またPEARL JAMデビュー前年の1990年にアンドリュー・ウッド(Vo)とのバンドMOTHER LOVE BONEで先にデビューしていたこともあって、一部のリスナーからはある程度その名を知られていたようです。MOTHER LOVE BONEに関しては、リリースから数ヶ月後にアンドリューがオーバードーズで他界。その後2人はPERAL JAMの活動を本格化させるわけです。

デビュー時のメンバーはストーンとジェフのほか、マイク・マクレディ(G)、デイヴ・クルーセン(Dr)、そして最後に加わったエディ・ヴェダー(Vo)。ちなみにデイヴはアルバム完成後に脱退し、本作『TEN』に関する活動はすべて後任のデイヴ・アブラジーズ(Dr)が担当しています。

1991年後半というと、メインストリームのロックシーンではMETALLICAがブラックアルバム(『METALLICA』)で天文学的大ヒットを記録し、GUNS N' ROSESが『USE YOUR ILLUSION I』『同 II』の同時リリースでビルボード1、2位を独占とHR/HM界隈がまだまだ幅を利かせていた時期。それとほぼ同タイミングに発売されたのがNIRVANA『NEVER MIND』、SOUNDGARDEN『BADMOTORFINGER』、そしてこのPEARL JAM『TEN』でした。ここに前回取り上げたALICE IN CHAINS、そして上記3作より数ヶ月前に1stアルバムを発表していたSMASHING PUMPKINSなどが加わることで、のちのグランジムーブメントが形成されていくことになります。

グランジと呼ばれるムーブメントに属したバンドの多くは、当時のHR/HMやメインストリームのロックバンドに対する“アンチ商業主義”を信条とするオルタナティヴロックがメイン。ギターリフなどにLED ZEPPELINやBLACK SABBATH、AC/DC、初期KISSなど前時代的ロックからの影響が見え隠れするものの、軸にはるのはメタルよりもパンクロックのテイスト。そこに陰鬱なテイストが加わることで、当時の世相(湾岸戦争以降の不況)を表していた、と個人的には受け取っています。また、ちょうどグランジ勃発期の1世代上に属するSONIC YOUTH、PIXIES、DINASAUR JR.、JANE'S ADDICTIONなどにも共通するカラーがあったように思います。

続きを読む... "PEARL JAM『TEN』(1991)"

投稿: 2017 04 28 12:00 午前 [1991年の作品, Pearl Jam] | 固定リンク

2017/04/27

ALICE IN CHAINS『FACELIFT』(1990)

ALICE IN CHAINSが1990年に発表したメジャーデビューアルバム。本格的なブレイクは本作以降に発表されたシングル「Would?」(映画『SINGLES』のサウンドトラックに先行収録)と、続く2ndアルバム『DIRT』(1992年)からになりますが、この『FACELIFT』という作品の果たした功績は計り知れないものがあります。

僕が彼らのことを、そしてこのアルバムのことを知ったのは、当時の友人からの勧め、そしてMETALLICAのメンバー(確かカーク・ハメットだったと記憶してます)がインタビューで最近の愛聴盤としてALICE IN CHAINSの『FACELIST』を挙げていたこと。それと前後して本作からシングルカットされた「Man In The Box」がMTVなどで大反響を呼んでおり、ちょうど少しずつ知名度を高めつつあるタイミングでした。そして、彼らの知名度を一気に引き上げる結果となったのが、1991年に入ってから行われたANTHRAX、SLAYER、MEGADETHらによるパッケージツアー『CLASH OF THE TITANS』に参加したこと。スラッシュメタル勢と並んだときの弱さはあったものの、ここから彼らの快進撃は始まり、その後はVAN HALENとの大々的なツアーに参加したことでさらに人気を高めていくのでした。

その後METALLICAがこの『FACELIFT』から影響を受けたかのようなミドルテンポ中心の作風へとシフトチェンジするなんて、本作が発表された頃は感がもしなかったでしょう。確かにMEGADETHやSLAYERといったバンドがALICE IN CHAINSに目をつけたのはさすがと思いますが、いかんせん当時の彼らのサウンドとの相性は良好とは言い難かった。しかし、VAN HALENの客層とはなぜかマッチした。それはなぜか?

実はALICE IN CHAINS、このアルバムに至る前はLAメタルからの影響バリバリなサウンドのバンドだったのです。のちにリリースされるボックスセット『MUSIC BANK』(1999年)には80年代末のデモ音源が収録されていますが、これがRATT顔負けなハードロックでして(苦笑)。「WE DIE YOUNG」のMVを観ても、その片鱗は存分に感じられますし。人に歴史ありですね。

実際『DIRT』以降のアルバムと比較してみても、この『FACELIFT』は若干その色が残っている……気がしないでもない。『DIRT』以降ほど複雑怪奇なアレンジではなく、比較的わかりやすいハードロックで構成されているあたりも、その片鱗と言えるでしょう。事実、レイン・ステイリー(Vo)在籍時の作品群の中でも、もっともスルスル聴けてしまう、あまりクセのないアルバムですし。

思えば「We Die Young」「Put You Down」のストレートさも、「Man In The Box」や「Sea Of Sorrow」のポップさも、「Love, Hate, Love」のダークさも、「I Know Somethin (Bout You)」のファンクメタル感も、「Real Thing」のブギー感も、他のバンドがやれば普通のハードロックとして通用してしまうものばかり。これをレインのおどろおどろしい歌唱スタイルとジェリー・カントレル(G, Vo)が被せるハーモニーと粘っこいギターが融合することで、ちょっと“普通じゃない”ものが完成する。これがALICE IN CHAINSの原点なんでしょうね。

その「ちょっと“普通じゃない”もの」がいろんな要因(ひとつはレインのドラッグ癖も大きいと思う)が重なりあうことで、「まったく“普通じゃない”もの」へと進化していった。それが『DIRT』であり『JAR OF FLIES』(1994年)であり『ALICE IN CHAINS』(1995年)だったんだろうなと、今になって思うわけです。そして、『FACELIFT』や『DIRT』がその後のロックシーンに与えた影響がいかに大きなものだったかも、改めて実感するわけです。まさか『FACELIFT』を聴いたとき、それから1年ちょっとであそこまでHR/HMシーンが変革を起こすなんて考えもしなかったけどね。



▼ALICE IN CHAINS『FACELIFT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 27 12:00 午前 [1990年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2017/04/26

STONE TEMPLE PILOTS『CORE』(1992)

ALICE IN CHAINSが『FACELIFT』(1990年)でメジャーデビューをし、NIRVANAがメジャー第1弾アルバム(通算2枚目)『NEVER MIND』(1991年)、そしてPEARL JAMが『TEN』(1991年)、SMASHING PUMPKINSが『GISH』(1991年)という1stアルバムをそれぞれ発表し、SOUNDGARDENが『BADMOTORFINGER』(1991年)をドロップしたことで、1992年に入ると一気に盛り上がりが加熱したシアトルのグランジシーン。特にNIRVANA、PEARL JAMの大ヒットがその後のロックシーンを大きく変えていくことになるわけですが、この流れに呼応するかのようにカリフォルニアから1組のバンドがデビューします。それが今回紹介するSTONE TEMPLE PILOTSというバンドです。

……って説明、今更いらないと思いますが。スコット・ウェイランド(Vo)、ディーン・ディレオ(G)、ロバート・ディレオ(B)、エリック・クレッツ(Dr)の4人からなるこのバンドは、1992年9月にAtlantic Recordsからアルバム『CORE』でメジャーデビュー。日本盤リリースは確か翌1993年春頃だったと記憶しています。ちょうど1992年末から1993年初頭にかけて、FENなどのラジオ局でこのアルバムからのシングル曲「Sex Type Thing」を耳にするようになりまして、正直そのときは「PERAL JAMみたいな音、声だな。新曲か?」くらいに思ってたのですが、それがSTONE TEMPLE PILOTSという名前のバンドだと知ったのは、ちょっと時間が経ってからでした。

「Sex Type Thing」のALICE IN CHAINS+PEARL JAMな“グランジかぶれ”サウンドは評価よりも嘲笑の対象になりかねない1曲でしたが、アルバムを聴くとそのかぶれっぷりはさらにひどいもの……いや、東海岸で起こっていたムーブメントに対する西海岸からの回答と受け取れるような内容でした。

オープニング「Dead & Bloated」や「Where The River Goes」のタメを効かせたプレイや、「Wicked Garden」「Sin」あたりに漂うサイケデリック感はSOUNDGARDENにも通ずるものがあるし、「Creep」の枯れたアコースティックテイストはPEARL JAMともNIRVANAとも言えなくない。「Plush」のポップ感は……と、言い出したらキリがないのでこのへんに止めておきますが、とにかくあの時代の“良いとこ取り”なテイストはある意味卑怯でもあり、一周回って天才ですらあるなと。

ただね、どの曲もメロディやアレンジ、楽曲の作りは優れているんですよ。模倣からスタートしたのかどうかは別として、そこだけは素直に評価したい。結果、最初から最後まで素直に楽しもうとすれば最高のハードロックアルバムだと思いますしね。

また、本作の時点ではまだ露呈してなかったスコットの良くも悪くもカリスマチックな面は、作品を重ねていくごとに肥大しくことに。最終的にはそこがマイナスに働きバンド脱退〜オーバードーズでの急逝というバッドエンドへとつながるわけですが。

それと、すでに本作からも存分に感じられると思いますが、楽器隊の演奏能力の高さ、特にディーンのギタリストとしての非凡さはもっと評価されてもいいのではないかと思います。そのルックス含め、ジミー・ペイジ直系的印象が強いですし。

今ではそこまでネガティブに捉えられることはないと思う作品ですが、若い方々は偏見なく、そしてあの時代をリアルタイムで通過したおっさんおばさんたちは一度フラットな気持ちで本作に接してみてはどうでしょう。ほら、意外と良かったでしょ?



▼STONE TEMPLE PILOTS『CORE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 26 12:00 午前 [1992年の作品, Stone Temple Pilots] | 固定リンク

2017/04/25

INCUBUS『8』(2017)

いろいろびっくりしました。まず6年ぶりという事実にも驚かされたし、通算8枚目(インディーズ盤含む)という事実にも、そしてその音と携わったアーティストにも。

INCUBUSがユニバーサル(Island Records)に移籍したと伝えられたのが2015年のこと。彼らはその年に4曲入りEP『TRUST FALL (SIDE A)』をリリースしており、その後第2弾EPもしくはアルバムがリリースされるのではと噂されていたけど、結局その年も、そして翌年も大きな動きはなく過ぎていったのでした。

ところが、2017年に入ってすぐにきたるニューアルバムからの新曲「Nimble Bastard」が公開。これがダイナミックなサウンドとワイルドなテイストのロックンロールで、聴いて一発で気に入ったわけです。聞けば、この曲はかのデイヴ・サーディ(SLAYER、MARILYN MANSON、OASISなど)と制作したもので、続くニューアルバムもデイヴのプロデュースになるという。どんなアルバムになるのか、ただただ楽しみに待っていたところ……。

いきなりSKRILLEXがアディショナル・プロデュースおよびミックスで参加することになり、ここに完成したのが今回紹介する『8』になるわけです。

近年はメンバーのマイク・アインジガー(G)もEDM方面でソングライターやギタリストとして活躍していることもあり、SKRILLEXとも当然面識があるだろうし、そもそもSKRILLEXことソニー・ムーアはFROM FIRST TO LASTのフロントマンということで、INCUBUSにも憧れていたことから、このコラボレーションは必然だったのかもしれません。

アルバムの根幹となる楽曲群は、穏やかさを軸に新たな可能性を提示した前作『IF NOT NOW, WHEN?』(2011年)とも異なる、バラエティに飛んだハードロック/ラウドロックが中心。リズムひとつ取っても軽快さよりも、ビートの1音1音のヘヴィさが聴き手にズシリと響きわたるようなものばかり。じゃあ陰鬱としているのかというと、そんなことはまったくなく、するする聴けて、気づけばアルバムを聴き終えているという聴きやすさが伴っています。トータル11曲(日本盤ボーナストラック除く)で40分というランニングタイムも程よく聴けてしまう要因だと思います。

そして、そんな楽曲群をより聴きやすくしながらも、強烈なインパクトを耳に残す一因となっているのが、SKRILLEXによるミックスでしょう。このビート感(主に音色やサウンドアプローチ)は明らかに昨今のダンスミュージックからもののだと思うし、しかもそれをロック畑出身のSKRILLEXが手がけているんだから、そりゃ絶妙なバランス感で成り立つビートが完成するわけですよ。このヘヴィさは『MAKE YOURSELF』(1999年)の頃とも、『A CROW LEFT OF THE MURDER…』(2004年)の頃とも明らかに質感が違うもの。そりゃ曲のアプローチも違うんだから、全然異なるものになるわけですよ。

冒頭2曲(「No Fun」「Nimble Bastard」。後者はシングルバージョンと異なり、SKRILLEXが新たにミックスしたもの。上記のMVはミューミックス音源を用いたものです)のストレートで豪快なロックンロールから、サイケ色を散りばめたフォーキーなヘヴィロック「State Of The Art」、SMASHING PUMPKINSやSTONE TEMPLE PILOTSを彷彿とさせる「Glitterbomb」、これぞ王道INCUBUSナンバーな歌モノ「Undefeated」、ダウナーなモダンR&B「Loneliest」とどんどん表情を変えていく。かと思えば、コミカルなインタールード「When I Became A Man」を挟んで、キラキラ感のあるロック「Familiar Faces」、90年代のインターネットユーザーには懐かしい効果音から豪快なヘヴィロックへと続く「Love In A Time Of Surveillance」、そして唯一SKRILLEXが絡んでないシリアスなインスト「Make No Sound In The Digital Forest」から締めにふさわしいグランジ風ミドルヘヴィな「Throw Out The Map」で終了。いやいや、カッコ良いじゃないですか。

今年でメジャーデビュー20周年。INCUBUSはまだまだいけるよということを示すには最適な1枚というだけでなく、こういうロックがヒットチャートに必要とされなくなりつつある2017年において、今後のシーンを左右する重要な作品かもしれません。



▼INCUBUS『8』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 25 12:00 午前 [2017年の作品, Incubus] | 固定リンク

2017/04/24

MUTATION『MUTATION III - DARK BLACK』(2017)

2013年に2枚のオリジナルアルバムをメールオーダーで発表した、ジンジャー・ワイルドハートのソロプロジェクトMUTATION。その後しばらく音沙汰がなかったものの、2016年末に再始動が伝えられます。しかも、今回はジンジャーとスコット・リー・アンドリューズ(EXIT INTERNATIONAL)の2人体制ユニットとして復活。実はこのEXIT INTERNATIONALについては知識がまったくなかったのですが、なにやら“ノイジー・ディスコ・パンク・バンド”とのこと。検索してみると、こんな感じらしく。

なるほど。

さて。約3年ぶりに届けられる通算3枚目のオリジナルアルバム『MUTATION III - DARK BLACK』ですが、基本路線は過去2作と一緒。ただ、今作は過去にも増してシンプルかつコンパクトな仕上がりとなっています。無軌道で先読み不可能な展開というMUTATION当初の魅力が、この3年の間に消え去ってしまったのは残念ですが、相変わらず薄皮が何枚もかかったスピーカーから爆音で鳴らされるノイズは健在。実はこの変化、ジンジャーよりもスコットの色合いが強いのかなと、先のEXIT INTERNATIONALの楽曲を聴いて感じた次第です。このシンプルさ、まさにそれですものね。

また、コンパクトさは楽曲の長さ(ほぼ2分台から3分台前半)がそのままアルバムのトータルランニングに影響し、全10曲で26分半というツッコミどころ満載の長さとなっております。過去2作が同じ10曲入りでそれぞれ38分程度だったことを考えると、いかに今回無駄を削ぎ落としたかが伺えます(いや、あの複雑怪奇な展開はまったく無駄じゃなかったけど)。あと、本作は1曲目「”.”」が7秒というのも大きい要因ですね。これ、曲じゃなくて単なるインタールード(というより話し声)なんですが。

あと、本作にはデヴィン・タウンゼンド、フィル・キャンベル(MOTORHEAD)、ジェイミー・オリバー(UK SUBS)などがゲスト参加しているようです。4曲目「Devolution」にはデヴィンがフィーチャリングされているようですが……まぁ確かにそれっぽい曲かなと。いや、自信ないです。だってノイズまみれだから(苦笑)。他にもゲストが多数参加しているようなので、きっと日本盤が6月に発売された際には、クレジットなどで明らかになるはずです。ちなみに僕は、年明けにPledgeMusicでダウンロード購入したので、音しか情報がない状況でつい最近まで過ごしてきました。

にしてもこのアルバム。終盤に進むにつれてそのノイズ度がどんどん増していくんですよね。曲の切れ目もわからないぐらいだし、ラストの「Deterioration」なんてもう、スピーカーの音割れまくり。正直自分が何を聴いているのかわからなくなります。

しかし、過去2作同様に本作も何度か聴き返すうちにやみつきに……なるんでしょうかね。個人的には2ndアルバムが一番難易度が高いと思ってたけど、ここまでど直球を投げられると逆にこれはこれでハードル高いような気が。ま、過去のアルバムみたいに数年後には理解できるようになるかもしれませんね。

そういえばMUTATIONはこの秋、来日の噂もあるんだとか。耳栓必須ですな、そりゃ。



▼『MUTATION III - DARK BLACK』
(amazon:国内盤CD
(PledgeMusic:配信音源

投稿: 2017 04 24 12:00 午前 [2017年の作品, Ginger Wildheart, Mutation] | 固定リンク

2017/04/23

MUTATION『MUTATION II - ERROR 500』(2013)

THE WiLDHEARTSのフロントマン、ジンジャー・ワイルドハートが2012年に結成したノイズメタルプロジェクト・MUTATION。彼らが2013年、メールオーダーで限定リリースした2枚のアルバムのうち、今回は2ndアルバムにあたる『MUTATION II - ERROR 500』を紹介します。

MUTATIONのアルバムは当時、PledgeMusicを通じてメールオーダー限定で発表されましたが、この『MUTATION II - ERROR 500』のみマイク・パットン(FAITH NO MORE)のレーベル・Ipecaから輸入盤として少数ながら一般流通。当時は日本にほぼ未入荷という話ですが、僕は当時店頭でこのアルバムを購入した記憶があります。Amazonではなく、間違いなく店頭、しかもレコファンあたりだったと思います(CDに貼ってあるポップに「あのジンジャーの新プロジェクト」と記されていたので購入したのですから)。

前回のブログにも書いたように、このメタルノイズユニットMUTATIONはTHE WiLDHEARTSのアルバム『ENDLESS, NAMELESS』で試みた実験に再び挑戦したといえる内容。1曲の中に数曲分のアイデアが混ぜられたような非常に複雑な展開を持ち、ツーバスがドコドコ鳴り続けたかと思えば、急に耳障りの良いハーモニーやメロディが聴こえてくる。言い方が合っているかわかりませんが、プログレをよりモダンに、かつ暴力的にしたものがこのMUTATIONの本質ではないかと思います。

同時リリースとなった『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』(同作のみ一般流通なしで、この6月に日本限定でリマスター盤の流通開始)と比較すると、本作のほうがよりぶっきらぼうで投げっぱなし感が強いイメージ。それもそのはず(なのかどうかわかりませんが)、本作にはNAPALM DEATHのシェーン・エンバリー(B)が全面参加しているほか、日本が誇るMERZBOWが5曲目「Mutations」に演奏で、さらにTHE FALLのマーク・E・スミスが「Mutations」「Relentless Confliction」でリードボーカルでゲスト参加しているのです。

実はMUTATIONのアルバム中、初めて聴いたのは本作だったこともあり、バンドのもっともエクストリームな部分にいきなり触れて拒絶してしまった過去があります。しかし、あれから3年以上経った2016年末、リマスター再発された『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』を聴いたときはすんなり受け入れることができた。で、『MUTATION II - ERROR 500』を久しぶりに引っ張り出して続けて聴いてみたら……以前よりもすんなり楽しむことがでいた。けど、聴きやすさでは『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』のほうが一歩勝るかなと。2枚は同時期に制作されながらも、『MUTATION II - ERROR 500』のほうにゲストアーティストを多数迎えたことにより、ノイズミュージックとしての実験要素が強くなった。それが最初に聴いたときの“よくわからない、聴き手としての拒絶感”につながったのかもしれません。

本作は現在もAmazonで購入できるようですが、リマスターされデモ音源が追加された国内盤が6月21日にリリースされるようなので、ジンジャーの解説含めて堪能したい方はそちらの発売を待ってみるのも良いかもしれません。



▼『MUTATION II - ERROR 500』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 23 12:00 午前 [2013年の作品, Ginger Wildheart, Mutation, Napalm Death] | 固定リンク

2017/04/22

MUTATION『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』(2013)

THE WiLDHEARTSのフロントマン、ジンジャー・ワイルドハートが2012年に結成したノイズメタルプロジェクト・MUTATION。2013年にメールオーダーで限定リリースした2枚のアルバムが新作発売にあわせ、ついにここ日本でも6月に一般流通することになりました。ということで、今回はCDリリースに先駆けてMUTATIONの3作品について連日紹介していきたいと思います。

この『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』はPledgeMusicを通じてジンジャーのレーベルRound Recordsから流通され、すぐに廃盤。昨年末には同作のリマスター盤が再びPledgeMusicにて配信リリースされています。

聴いた順番でいうと、私は2013年にMUTATIONの2ndアルバムにあたる『MUTATION II - ERROR 500』を最初に聴きました。2枚同時にPledgeMusicから発表されたMUTATIONのアルバムでしたが、『MUTATION II - ERROR 500』のみマイク・パットン(FAITH NO MORE)のレーベル・Ipecaから一般流通され、当時店頭にて手に入れることができたのです。

ということで、『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』自体を聴いたのはリマスター盤からで、つい最近のこと。そこを踏まえた上でお読みいただけたらと思います。

“ノイズメタルユニット”と銘打っているとおり、MUTATIONのサウンドは非常にノイジーで耳障りの悪いものです。ジンジャーが過去に携わった作品でもっとも近いものといえば、おそらく1997年発売のTHE WiLDHEARTSのアルバム『ENDLESS, NAMELESS』でしょう。薄皮も何枚も被せたように奥にこもったサウンドと、その先からビリビリと聴こえてくるノイズ混じりの轟音。でもよく耳を澄ませると、そのもっと奥底にあるメロディは実にポップでキャッチー。それが『ENDLESS, NAMELESS』という実験作でした。

で、このMUTATIONで試されていることは、あの実験をさらに数歩押し進めたものと受け取ることができます。楽曲自体はとっつきにくいイメージの強い、変拍子を多用したリズムとギターリフ。そこにヒステリックにシャウトするジンジャーのボーカルが乗り、たまに耳馴染みのよい女性コーラスが登場する。1曲の中にいろんな要素が詰め込まれており、ぶっちゃけアイデア自体は数曲分がミックスされているんじゃないかと思わされるものばかり。でも全10曲ともに1曲3〜4分程度で、トータル39分に満たないという近年のアルバムの中でも非常にコンパクトなもの。なのに聴き終わったときにドッと溢れ出てくる疲労感。これぞ、1997年にジンジャーが目指したものだったのではないかと思わされるわけです。

あのときは、その実験を自身のバンドTHE WiLDHEARTSでやろうとしたことが失敗だった。でも、今は自由の身で、新たにやりたいことがでいたらその都度新しいプロジェクトを作ればいいだけのこと。そんな軽いフットワークのジンジャーが2012年というタイミングにこのプロジェクトに向かっていったのは、とても健全なことなのかもしれません。

そういえば本作のラストナンバー、「Carrion Blue 喜怒哀楽」という日本語混じりの不思議なタイトルになっています(原題表記がこうなっているのです)。また、この曲のハードコアぶり&サビのキャッチーさがたまらないんですよね。最近のユルいジンジャーに疑問を感じていた古くからのファンには、全力でオススメしたい1枚です。

正直、『MUTATION II - ERROR 500』を初めて聴いたときはそこまで良いとは思えなかったのに、2016年末に初めて『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』を聴いたときはすんなり入り込むことができた。単に聴くタイミングの良し悪しもあるでしょうけど、個人的には『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』のほうが少々とっつきやすい印象があります。とはいえ、それもMUTATIONというノイズメタルユニット限定でのお話ですので、初めてジンジャー・ワイルドハーツというアーティストの作品に触れるという方には本作はオススメしません。あくまであの偏屈なアーティストのことを理解できる方限定の勧め方ですので、誤解なきようお願いします。



▼MUTATION『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』
(amazon:国内盤CD
(PledgeMusic:配信音源

投稿: 2017 04 22 12:00 午前 [2013年の作品, Ginger Wildheart, Mutation] | 固定リンク

2017/04/21

SUICIDAL TENDENCIES『WORLD GONE MAD』(2016)

マイク・ミューア(Vo)率いるアメリカのクロスオーバー/ハードコアバンドの、通算12枚目となるスタジオオリジナルアルバム。実は彼らの新作を聴くのはずいぶん久しぶりのことで、振り返ればそれこそ90年代前半以来かも……と気づかされるわけです。そうそう、ロッキー・ジョージ&マイク・クラークのツインギター編成で、今ではMETALLICAの一員としておなじみのロバート・トゥルージロ(B)なんかが在籍していた頃です。当時はハードコアとスラッシュメタルの接近&融合を“クロスオーバー”なんて括りで呼んでいましたが、一時のSUICIDAL TENDENCIESはそのクロスオーバーさえ飛び越えて“まんまヘヴィメタル”みたいなことをやってましたけどね。

そんな彼らもすでに結成から30年以上を経たベテランバンド。オリジナルメンバーはマイク以外残っておらず、90年代半ばの再結成から在籍のディーン・プレザンツ(G)以外はかなり入れ替わっています。本作の制作に際してもリズムギター、ベース、ドラムを一新。新ドラマーにはなんと、元SLAYERのデイヴ・ロンバードが加わり、発表当時大きな話題となりました。SLAYER黄金期の土台を支えたデイヴがSUICIDAL TENDENCIESに加わると、どんなプレイを聞かせてくれるのか、と……。

さて、完成したこの『WORLD GONE MAD』というアルバム。オープングの「Clap Like Ozzy」というメタルファンならクスッとしてしまうタイトルの疾走ハードコアチューンからスタートします。スラッシュともハードコアとも受け取れるこの楽曲こそ、まさにクロスオーバーと呼ぶにふさわしい1曲。その後もヘヴィなミドルチューン「The New Degeneration」、どこかジャジーなテイストも含む「Living For Life」、バラード風ミドルヘヴィサウンドに泣きメロギターソロとラップ調ボーカルが乗る「Get Your Fight On!」(曲中盤でアップテンポになる展開はメタルそのもの)などバラエティに富んだ楽曲が続きます。

全体的にドラムがかなり前に出ている印象があるものの、かといってSLAYER時代ほど派手さはない。また新加入のベーシスト、ラー・ディアスのプレイもスラップを多用した派手なもので、デイヴとの相性も抜群。そこに派手に暴れまくるディーンのギターソロが加わると、不思議と我々がよく知る「80年代末から90年代前半のSUICIDAL TENDENCIES」とイメージがオーバーラップするのです。かといって、楽曲自体にはあの頃みたいに大袈裟な展開やアレンジは皆無なのですが。不思議です。

初期の作品に通ずるものがありつつも、しっかりメタル期とオーバラップする部分もある。なのにそれらの時期とは完全に一致するわけではなく、新しさ(今までのSUICIDAL TENDENCIESにはなかったような魅力)も感じられる。デイヴ・ロンバードを迎えたことでマイク・ミューアの心に再び火がついたのかもしれませんね。個人的にはハードコアやパンクリスナーよりもメタルファンにこそ触れてほしい1枚です。



▼SUICIDAL TENDENCIES『WORLD GONE MAD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 21 12:00 午前 [2016年の作品, Suicidal Tendencies] | 固定リンク

2017/04/20

THERAPY?『DISQUIET』(2015)

北アイルランド出身の3人組バンド、THERAPY?が2015年に発表した通算12枚目(インディーズからのミニアルバム2枚を含めたら14枚目)のオリジナルアルバム。オリジナル作品としては2012年の『A BRIEF CRACK OF LIGHT』から3年ぶりで、今作から新たにAmazing Recordsというレーベルに移籍しています。とはいえ、2003年の『HIGH ANXIETY』からは日本盤も発表されていないので、ここ日本で生活するリスナーにとってはそういった小さな話題はどうでもいい話かもしれませんが。

90年代半ばに若干ポップな作風でメジャーヒットを記録した彼らですが、1999年の5thアルバム『SUICIDE PACT – YOU FIRST』以降は初期のハードコア路線に回帰しつつも、独自のスタイルを築き上げてきたTHERAPY?。そんな彼らもすでに20年選手になり、大ヒット作となった2nd『TROUBLEGUM』(1994年)、3rd『INFERNAL LOVE』(1995年)がリリースから20年経ったことで古巣から2作のデラックスエディションも発売されました。当時のシングルカップリング曲や未発表テイクなどを含む2枚組(『TROUBLEGUM』のみ3枚組)は当時のファンには懐かしく、初めて彼らに触れるという若いリスナーには新鮮に映ったかもしれません。

そういった原点回帰的なリリースを経て発表された今作『DISQUIET』。1曲目の「Still Hurts」を聴いて驚いたファンは多かったのではないでしょうか。ここ最近の彼らにしては非常にストレートな、それでいてキャッチーなメロディと適度なヘヴィさを伴ったコンパクトな楽曲……つまり『TROUBLEGUM』『INFERNAL LOVE』で聴けた“おなじみの”路線だったのです。もちろん単なる焼き直しでは終わっておらず、そこには現在のTHERAPY?ならではの乾いたサウンドや重苦しさ・息苦しさもしっかり表現されています。

そのまま、こちらも初期ファンには嬉しい「Tides」へと続いていく構成。その後も『TROUBLEGUM』でのキャッチーさ、『INFERNAL LOVE』での若干宗教がかった暗くて冷たい感触がいたるところに感じられるのですから。とにかく本作はメロディが非常にわかりやすく、耳に残る楽曲が多い。もちろんそれ以前の(特にここ10年くらいの)作品も独自のスタイルが築き上げられており、あれはあれで嫌いではありませんでしたが、自分がTHERAPY?のどこに惹かれていたかを考えると、この原点回帰は大歓迎と言いたくなるわけです。

アンディ・ケアンズ(Vo, G)の声質やキーの低さに若干の寂しさを感じるものの、それ以外は否定のしようがないくらいにカッコいい楽曲ばかり。最初から最後まで、ここまですんなりと聴けてしまったTHERAPY?のアルバムは本当に久しぶりじゃないでしょうか。それを「引っ掛かりがなさすぎる」「ヤワくなった」と否定するリスナーもいるかもしれませんが、そういう方々が「Vulgar Display Of Powder」(タイトルはもちろん、PANTERAの名作アルバムタイトルをもじったもの)のような楽曲を聴いてどう思うのか、ぜひ聞いてみたいものです。

特にここ日本では黄金期と比べたら知名度がないに等しいTHERAPY?。リリースから2年も経ちましたが、いまだに飽きずに楽しめる本作は一聴の価値ありです。



▼THERAPY?『DISQUIET』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2017 04 20 12:00 午前 [2015年の作品, Therapy?] | 固定リンク

2017/04/19

THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』(2016)

本作はTHE WiLDHEARTSが1995年に発表した通算2作目のオリジナルアルバム『P.H.U.Q.』のリリース20周年を記念して、2015年9月に行われた再現ツアーからイギリス国内での複数公演からの音源をコンパイルした2枚組ライブアルバムです。近年はこういったアニバーサリーツアーで年に1回ツアーを行うのみの活動にとどまっているTHE WiLDHEARTSですが、それでもひと昔前や90年代を考えれば「新曲は出さないけどツアーはやってくれる」だけありがたいのかも……と、最近はこちら側も歳をとったせいで(苦笑)、彼らに対して優しく接することができるようになりました。あははは。

ま、冗談はさておき。このツアーの一環でここ日本にも2015年11月に来日しましたが、私自身チケットを取っておきながら体調不良(耳の病気で大音量を禁じられてました)のため行くことができず。彼らのアルバム中、もっとも好きな作品を完全再現するライブだけに足を運びたかったんですけどね。そういう意味ではこのアルバムのリリースは非常にありがたかったです。

お聴きいただけばわかるように、本作はディスク1(14曲)がアルバム『P.H.U.Q.』を頭の「I Wanna Go Where The People Go」からラスト(日本盤ボーナストラック除く)「Getting It」までを完全収録。ディスク2(6曲)はボーナスディスクという扱いで、ライブ当日にアンコールとして披露された5曲(トラック1はディスク1エンディングから続く「Don't Worry About Me」大合唱なので、実質5曲となります)が収められています。アンコールは『P.H.U.Q.』時期に限定されることなく、再結成後の「Stormy In The North, Karma In The South」といった近年のライブ定番曲、「Weekend」「29 X The Pain」といった懐かしのカップリング曲も含まれており、ファンには嬉しいセットリストとなっております。

また、ディスク1には「Jonesing For Jones」の後に、続くアップチューン「Woah Shit, You Got Through」のイントロ的な小楽曲「Up Your Arse You Fucking Cunt」も追加。ライブの流れを途切らせることなく挿入された遊び心といったところでしょうか、単なる完全再現で終わらせないあたりも彼らなりのこだわりというかジンジャー(Vo, G)のひねくれっぷりが伝わってきます。

さて、改めて『P.H.U.Q.』というアルバムをこういう形で聴くと、初期のメタル+パワーポップ感とその後『ENDLESS, NAMELESS』(1997年)で見せたノイジーでラウド、ハードコアな路線との中間に位置する橋渡し的作品だったんだなと気づかされます。もちろんその前後には不幸なアルバム『FISHING FOR LUCKIES』(1994年)の存在があるわけで、そこを含めての『P.H.U.Q.』というのは非常に理解できるのですが、前半のパワーポップ感と後半で見せるシリアスさとの落差には改めて驚かされます。まぁこのへんはジンジャー自身の当時置かれた状況や精神状態(ドラッグや心の病など含め)が大きく影響していたことは理解できるわけですが、それにしてもこのバランス感は本当に絶妙だったなと。あの時期でなければ作れなかった1枚だったんだなと実感させられました。

曲単位では再結成後も演奏される機会のある楽曲がいくつかあるものの、このタイミングで20年ぶりに披露された曲、あるいは当時ライブでも演奏されることのなかった楽曲などもあり、こういったアルバム再現ライブならではの魅力もあるこの作品。バンドのファンのみならず、これからTHE WiLDHEARTSを聴いてみようと思っている初心者にもぜひ聴いてほしいライブアルバムです。そう、もし聴くならあわせてスタジオ盤の『P.H.U.Q.』もチェックすると、なお一層楽しめると思いますよ。



▼THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』
(amazon:海外盤2CD

投稿: 2017 04 19 12:00 午前 [2016年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2017/04/18

THE ALMIGHTY『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』(1996)

THE ALMIGHTYが1996年に日本限定で発表したライブアルバム。当初本作は同年3月にリリースされた5thアルバム『JUST ADD LIFE』の日本盤ボーナスディスクとして発表されましたが、同作リリースからしばらくしてレーベルとの契約解除などがありバンドは解散を発表。それと前後して東芝EMI(当時)から発表された2枚のオリジナルアルバム『CRANK』(1994年)と『JUST ADD LIFE』の日本盤は廃盤となり、改めてビクターから、ボーナストラックを新たに追加して再発されるのです。その際、『JUST ADD LIFE』とこのライブアルバム『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』は切り離され、別売りとなったのでした。この『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』というタイトルも、この単独リリースの際に改めて付けられたものです。

さて、本作はタイトルからもおわかりのように、ここ日本で収録されたもの。『CRANK』を携えて1995年7月に敢行した二度目の来日公演から、大阪での単独ライブが収録されています。私自身は当時、日比谷野音で行われたDIZZY MIZZ LIZZYとのライブを観ているのですが、“90年代のMOTORHEAD”と例えられた彼らが3rdアルバム『POWERTRIPPIN'』(1993年)でグランジ/ヘヴィロックへと傾倒し、そこからさらにパンク度を増量させ最高の形態となった『CRANK』を携えてのライブということで……もう最高以外の表現がないくらい、本当に素晴らしいライブだったと記憶しています。

このライブアルバムには、その来日時の様子を生々しいサウンドで追体験できる貴重な音源が詰まっています。『CRANK』からの楽曲が中心なのは当然として、その前作『POWERTRIPPIN'』からの楽曲も『CRANK』を経たことでより“タメ”を生かしたダイナミックな演奏で聴くことができるし、1st『BLOOD, FIRE AND LOVE』(1989年)、2nd『SOUL DESTRUCTION』(1991年)からの楽曲もスタジオ音源よりもラフでパンキッシュ、それでいて濃厚なサウンドで表現されています。ぶっちゃけ悪いわけがないんですよ。

しかも、本作には当時発売前だった『JUST ADD LIFE』から、いち早く新曲「360」も披露されています。この曲を初めて生で聴いたときは、次のアルバムも『CRANK』の流れにある1枚だと思ってたんだけどなぁ……いや、『JUST ADD LIFE』は『JUST ADD LIFE』で大好きなのでまったく問題ないですが。

THE ALMIGHTYはこの解散後、2000年に再結成して2枚のアルバムを発表しますが、2002年に再解散。2006年に最初の解散時の布陣で再々結成し、新作を制作することなくライブ活動だけ行い、2009年には3度目の活動停止。フロントマンのリッキー・ウォリックはその後、THIN LIZZY参加を経てBLACK STAR RIDERSのボーカリストとして活躍中です。


Almighty_crankanddeceit
▼THE ALMIGHTY『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』
(amazon:国内盤CD


投稿: 2017 04 18 12:00 午前 [1996年の作品, Almighty, The] | 固定リンク