2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2019年1月16日更新)

【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【年間ベスト】 【100番勝負】

続きを読む... "INDEX"

投稿: 2022 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2019年1月31日 (木)

2019年1月のお仕事

あけましておめでとうございます。
2018年はこのサイトを楽しんでいただき、本当にありがとうございました。
昨年12月から20周年に突入した当サイト。
これまでと変わらずバンバン更新していきます。
また仕事のほうでも新しいことにどんどん挑戦していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2019年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※1月4日更新)


[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年2月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥&堀未央奈インタビュー、ドラマ『ザンビ』プロデューサーインタビューを担当・執筆、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を構成・執筆しました。(Amazon


=====


昨年12月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、Apple Musicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1812号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。


=====


また、当サイトとは関係なしに、僕が個人的に最近気になっている新曲をピックアップしたプレイリスト『最近気になる』を、Spotifyのみで作成・公開しています。こちらは随時追加&変更していくので、気が向いたらチェックしてみてください。

投稿: 2019 01 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2019年1月16日 (水)

FAITH NO MORE『THE REAL THING』(1989)

1989年初夏に発表された、FAITH NO MORE通算3作目のオリジナルアルバム。今作からReprise Records経由でメジャー流通され、「Epic」(全米9位)や「Falling To Pieces」(同92位)のヒットも手伝い、アルバムは全米11位、100万枚以上を売り上げる出世作となりました。

前作『INTRODUCE YOURSELF』(1987年)まで在籍したチャック・モズリー(Vo)が脱退し、代わりにマイク・パットンが加わることでマイク・ボーディン(Dr)、ロディ・ボッタム(Key)、ビル・グールド(B)、ジム・マーティン(G)という黄金期ラインナップが完成。また、マイクという変態的な多彩さを持つフロントマンが加わったことで、その音楽性もより豊かなものへと進化します。

……と書けばかなり好意的ですが、実際はというと……リリース当時は正直、よくわかりませんでした(笑)。いや、ヘヴィメタル的要素も感じられるし、何よりBLACK SABBATH「War Pigs」のカバーもやってますし。アルバムオープニングの「From Out Of Nowhere」が持つ闇を突き抜けるような疾走感は、非常にハードロック的でしたしね。「Surprise! You're Dead!」も完全にヘヴィメタルのギターリフと複雑怪奇な展開が備わっているし、マイクのボーカルもメタルバンドらしいアジテートぶりを発揮していて納得できる部分もあるんです。

ですが、大ヒットした「Epic」のヒップホップ的スタイル……サウンドこそHR/HMのそれですが、リズムは跳ね気味だし、ボーカルもサビ以外はラップしてるし、エンディングではいきなり耽美なピアノソロで終わるし。妙にクセになるんですよ。でも……今でこそミクスチャーロックなんて括りで納得できるけど、80年代の単純なメタル脳では「黒か白か?」でしか判断できなかったから……10代の自分には、正直敷居の高い1枚に思えました。

けど、それも数年経てば自然と馴染んでいき、「Zombie Eater」の序盤がちょっとSKID ROWの「Quicksand Jesus」ぽいなとか(SKID ROWのほうが後追いなんだけど)、「The Real Thing」や「Woodpeckers From Mars」にはプログレメタル的な側面も感じられるなとか、勝手に解釈するようになり。単純にメタル一色で判断しようとすると理解できなかったことが、一気に透けて見えるようになり、そこからはこのアルバムばかり聴いていたことをよく覚えています。ここで慣らされたから、続く『ANGEL DUST』(1992年)にもスススッと入っていけたわけですしね。

でも、『ANGEL DUST』を経て振り返ると、この『THE REAL THING』って無駄にメジャー感が濃い1枚ですよね。変態度でいえばかなり低いし。今では物足りなさすら感じますが、それはそれ。久しぶりに「War Pigs」の完コピ(笑)を聴いて、当時を思い返してみようかな。



▼FAITH NO MORE『THE REAL THING』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

続きを読む... "FAITH NO MORE『THE REAL THING』(1989)"

投稿: 2019 01 16 12:00 午前 [1989年の作品, Faith No More] | 固定リンク

2019年1月15日 (火)

SPARTA『WIRETAP SCARS』(2002)

2001年のAT THE DRIVE-IN最初の解散後、メンバーのジム・ワード(G)、ポール・ヒジョス(B)、トニー・ハジャー(Dr)の3人を中心に結成されたのがSPARTAというバンド。ジムがボーカル&ギター、ポールがリード・ギターにスイッチし、マット・ミラー(B)を新たに迎えて本格始動。2002年夏にGeffen Records傘下のDream Works Recordsからリリースされたのが、彼らのデビューアルバム『WIRETAP SCARS』です。

プロデュースを手がけたのはパンク、オルタナ系でおなじみのジェリー・フィン(GREEN DAY、SUM 41、BLINK-182など)。「Cut Your Ribbon」「Air」といったシングルヒットが後押しし、アルバム自体も全米71位という好記録を残しています。

セドリック・ビクスラー(Vo)、オマー・ロドリゲス(G)といったAT THE DRIVE-INの“顔”はTHE MARS VOLTAを結成しており、当時は言い方こそ悪いですがSPARTA組は“残りカス”みたいな見られ方をしていました。事実、僕もそういう目で見ていましたし(ごめんなさい)。

しかし、こうやって届けられたデビューアルバムではAT THE DRIVE-INでの試みからハードコアな要素を取り除き、残されたエモーショナルな要素をメジャー流にブラッシュアップした、非常に高品質なオルタナティヴロックを堪能することができます。

ジムのボーカルはセドリックほどのヒステリックこそないものの、当時のパンクロック/オルタナロック/エモの系譜に属する、適度に激しく適度に甘いもの。そこに端正なサウンドプロダクションとキャッチーな楽曲、破綻しないバンドアンサンブルが加わることで、良くも悪くも“メインストリームにいるオルタナバンド”的な立ち位置を示すことに成功しています(まあ、そもそもオルタナがメインストリームにいること自体に矛盾があるわけですが)。

「Sans Cosm」のようなキャッチーさは、それこそAT THE DRIVE-INにも存在した要素のひとつですが、表現方法が少し違うだけでこうもメジャー感が強まるんだなと、改めて驚かされます。ですが、このバンドの持ち味はそういった前身バンドとは別のところにあると思うのです。「Cut Your Ribbon」でのアグレッション、「Air」でのエモーショナルさ、「Light Burns Clear」で表現されるドラマチックなアンサンブルなど、要所要所に聴きどころが満載で、決して最後まで飽きさせることのない仕上がりではないでしょうか。

ですが、ここに少しでもAT THE DRIVE-INの面影を求めようと、途端に“弱く”感じてしまう。すごく損な役回りですが、こればかりは仕方ないかな……とはいえ、この手のバンドの作品としては相当レベルは高いほうなので、聴いて損はないと思います。



▼SPARTA『WIRETAP SCARS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "SPARTA『WIRETAP SCARS』(2002)"

投稿: 2019 01 15 12:00 午前 [2002年の作品, At The Drive-In, Sparta] | 固定リンク

2019年1月14日 (月)

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998)

1998年夏にリリースされた、AT THE DRIVE-INの2ndアルバム。続く3作目『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年)がGrand Royalを通じてメジャー流通されたことで一気に知名度が増し、僕のようなにわかファンがそこで“これ1枚だけのバンド!”みたいな勘違いをしてしまいがちですが、いやいや、まったくそんなことはなく、この『IN/CASINO/OUT』の時点でそのオリジナリティはしっかり確立されていることに気づかされます。

僕自身、本作を聴いたのは『RELATIONSHIP OF COMMAND』発売からだいぶ遅れてのことですが、最初は『RELATIONSHIP OF COMMAND』にあったはちきれんばかりのエネルギーの塊がここにはないと、そこまでのめり込めなかったことをよく覚えています。が、実は本作『IN/CASINO/OUT』のほうがバランス感に優れていて、“コントロールされた爆発”を思う存分楽しめる1枚なのではないかと、あとになって気づくわけです。

ロス・ロビンソンが手がけた『RELATIONSHIP OF COMMAND』とは異なり、ここではFUDGE TUNNELやNAILBOMBなどで知られるアレックス・ニューポート(THE MARS VOLTABLOC PARTY、DEATH CAB FOR CUTIE)がプロデュースを担当。全体を覆う“熱に満ちているのにどこかヒンヤリとしている”感覚は、もともとこのバンドが持ち合わせている個性ではあるものの、アレックスはそこをより強化させることに成功したのではないかと。冷たいのにカラッとしたサウンドの質感と合わせ、本当に気持ちいい“音”を鳴らしているのですね。

それは、例えが正しいかわかりませんが、80年代前半までのU2が持っていた要素に近いものを感じます。ただ、AT THE DRIVE-INの場合はそれをよりモダンなオルタナティヴロックスタイルで鳴らそうとし、そこにオマー・ロドリゲス(G)の変態的ギターが加わることで独自なものへと昇華した。そして、次作ではそこにロス・ロビンソンの手が加わることで、もう誰にも追いつけないくらい特殊な存在へと急激に進化した。そう捉えることはできないでしょうか。

楽曲のスタイルには確実に“グランジ以降”で90年代的だし、中にはパワーポップ的な要素も見え隠れする。だけど、特別誰かに似ているわけでもない。そこがこのバンドの凄さなんだなと、リリースから20年経った今、改めて思うわけです。

AT THE DRIVE-INは昨年末に三度目の解散を発表してしまいましたが、もう役目はすべて果たしたのかな……最近のライブを観ると、特にそう思うこともあります。正しい幕の降ろし方だったのかもしれません。今は残されたこの名盤を聴きつつ、彼らに思いを馳せようかなと。



▼AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998)"

投稿: 2019 01 14 12:00 午前 [1998年の作品, At The Drive-In] | 固定リンク

2019年1月13日 (日)

祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で5回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、今回は当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)が被っていることから、選出時もいろいろ感慨深いものがあります。いやあ、長く続けるもんだ。

さて、この企画の説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1998年4月〜1999年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。今年度は残念ながら、選出した20枚すべてがSpotifyおよびApple Musicに揃っているものではありませんでした(各サービスともに1枚足りないという)。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちらです)


ASIAN DUB FOUNDATION『RAFI'S REVENGE』(1998年11月発売)(Spotify

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

BEASTIE BOYS『HELLO NASTY』(1998年7月発売)(Spotify

BLUR『13』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

BOARDS OF CANADA『MUSIC HAS THE RIGHT TO CHILDREN』(1998年4月発売)(Spotify

続きを読む... "祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)"

投稿: 2019 01 13 10:00 午前 [1998年の作品, 1999年の作品, Asian Dub Foundation, At The Drive-In, Beastie Boys, Blur, Boards of Canada, Elliott Smith, Eminem, Fatboy Slim, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Marilyn Manson, Massive Attack, Mercury Rev, Mogwai, Refused, Sean Lennon, Smashing Pumpkins, System of a Down, Unkle, 「20年前」] | 固定リンク

THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)

イギー・ポップ率いるTHE STOOGESが1970年夏に発表した、通算2作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはイギー(Vo)、ロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟とデイヴ・アレクサンダー(B)のオリジナル編成にスティーヴ・マッケイ(Sax)を加えた5人編成。ちなみにデイヴが1975年ロンが2009年、アスコットが2014年、スティーヴが2015年にそれぞれお亡くなりになられています。

デビューアルバム『THE STOOGES』(1969年)はかろうじて全米106位まで上昇するものの、本作はチャートインすらせず。THE STOOGES名義で発表されたアルバム5作品のうち、本作だけがBillboard 200(アルバムチャート)に一度も入らなかったんですが、そんな記録とは一切関係なく、本作は非常に素晴らしいロックアルバムであり、個人的にも彼らの作品中もっともお気に入りの1枚です。そもそも、最初に聴いたTHE STOOGESのアルバムが本作でしたから。

前作はTHE DOORSの影響下にある、サイケデリックなガレージロックという印象でしたが、いよいよ今作でパンクロックの元祖的なアバンギャルドさ、アグレッシヴさが増していきます。パッションとエネルギーの塊のような「Down On The Street」「Loose」「T.V. Eye」という冒頭3曲でまずノックアウトされると、前作でのスタイルをより強化させたスローでヘヴィな「Dirt」へと続いていく。

で、後半は「I Feel Alright」というタイトルでも知られる「1970」からスタート。ここでようやくスティーヴのサックスが加わってきます。その延長線上にある(というより、組曲のように続いているようにも感じられる)「Fun House」で8分近いセッションが繰り広げられ、ラストにノイジーで狂気じみた「L.A. Blues」で幕を降ろす。たった7曲、40分にも満たない本作ですが、前作ではまだまだ薄かったキチガイっぷりが顔を出し始めます(とはいえ、本作ではその要素も6割程度といったところで、本領発揮されるのはステージの上になるわけですが)。

ハードロックファン的にはHANOI ROCKSがライブでカバーした「I Feel Alright」がもっとも親しみやすいかもしれません(実際、僕もそれがあってまず本作を聴いたのです)が、先に挙げた冒頭3強のほうが実は入っていきやすいんじゃないでしょうか。それに加え、同じコード進行で延々ジャムが進む「Fun House」やドゥーミーな「Dirt」のような楽曲も気に入りさえすれば、本作はこのバンドの入り口として最良な1枚と言えるでしょう(ラストのカオスっぷりはこのさい無視します)。

なお、本作は2005年頃にリマスター&デモ/アウトテイクからなる2枚組デラックス仕様も発売。こちらはサブスクでも聴くことができるので、まずはオリジナル盤を聴いてから触れてみることをオススメします。



▼THE STOOGES『FUN HOUSE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

続きを読む... "THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)"

投稿: 2019 01 13 12:00 午前 [1970年の作品, Iggy Pop, Stooges, The] | 固定リンク

2019年1月12日 (土)

THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』(1987)

THE CUREが1987年春にリリースした、通算7枚目のスタジオアルバム。初の2枚組作品(アナログ盤のみ。CDは1枚にまとたもの)で、全18曲入りという非常にボリューミーな大作となっています。が、初出時のCDは当時の容量の問題で、「Hey You!!!」がカットされた17曲入りでした。「Hey You!!!」を含めた全18曲で74分強なので、今となっては問題なく完全収録できるのですが、CDというものが出始めた頃の技術では70分強が最長収録時間だったようです。

実は、僕が初めて聴いたTHE CUREのアルバムが本作なんです。意外と遅かったんですよね。たぶんラジオかMTVで「Why Can't I Be You?」(全英21位/全米54位)を聴いて気になって、友人に「THE CUREって知ってる?」と聞いたらこのアルバムをダビングしてくれた。そんなことをよく覚えています。

まあ、まずオープニングの「The Kiss」で驚くわけですよね。6分強あるこの曲、歌が入るのが4分近くになってからですから。それまで、ひたすら浮遊感の強いサイケデリック調のインストが続くわけですし、正直ハードル高いな……と思ったものです。

が、このアルバムにある世界観はぶっちゃけ嫌いじゃなかったし、むしろ好みでした。ロバート・スミスのボーカルもクセは強いものの、決して苦手ではなかったし、何よりも歌メロがキャッチーで入っていきやすい。あとになって「これがゴスっていうのかぁ」なんてわかったふりをしたり(苦笑)、まあとにかく、自分にとっていろんなとっかかりとなった1枚でもあります。

とにかく、「The Kiss」や「Snakepit」などのサイケデリックでドロドロした楽曲がありつつ、先の「Why Can't I Be You?」、「Just Like Heaven」(全英29位/全米40位)、「Catch」(全英27位)といったシングル曲や「Perfect Girl」といった親しみやすいポップチューンもある。かと思えば、ゴージャス感のある「Hey You!!!」やファンキーな「Hot Hot Hot!!!」(全英45位/全米68位)、のちのV系にも通ずる前のめりな「Shiver And Shake」もあったりと、収録されている楽曲の幅がとにかく広い。

これはあとになって気づくことですが、このアルバムがバンドにとって大きなターニングポイントになっているんですよね。ここでの解放が、続く原点回帰的な『DISINTEGRATION』(1989年)へと続くと。で、『KISS ME, KISS ME, KISS ME』はチャート的にも初めて大きな成功を得ることができ(全英6位のみならず、全米35位で初のトップ40も記録)、これが機になり次作でのミリオンヒットにつながるわけですから。そう思うと、自分のようなビギナーがひっかかったのも理解できる気がします。

ほかにも良いアルバムはたくさんあるものの、思い入れという意味ではいまだに本作が一番かもしれません。



▼THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

続きを読む... "THE CURE『KISS ME, KISS ME, KISS ME』(1987)"

投稿: 2019 01 12 12:00 午前 [1987年の作品, Cure, The] | 固定リンク

2019年1月11日 (金)

QUEEN『A DAY AT THE RACES』(1976)

1976年末にリリースされた、QUEEN通算5作目のスタジオアルバム。前作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)の全英1位/全米4位獲得およびシングル「Bohemian Rhapsody」(全英1位/全米9位)の大ヒットにより、ついにトップアーティストの仲間入りを果たしたQUEEN。このへんは、現在もロングランで公開中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た方ならご理解いただけるかと。そんな絶好調の彼らが続いて発表した本作も、全英1位、全米5位という好記録を残しております。

タイトルからも想像がつくかと思いますが、本作は前作『A NIGHT AT THE OPERA』と対になる印象の1枚。こう書くとヒット作の続編と受け取られがちですが、実は内容的には前作の延長線上にあるものという感じでもなく、あくまでQUEENらしさを追求した現在進行形の作品集と言えるでしょう。

興味深いのは、前作や前々作『SHEER HEART ATTACK』(1974年)にあったような組曲スタイルを排除していること。全10曲が単独した形を取っており、それが80年代以降の方向性にも通ずるものを感じさせます。

また、楽曲スタイル的にも次作『NEWS OF THE WORLD』(1977年)を彷彿とさせるものがあり、ここにパンクのスタイルをかけ合わせることであの方向性につながっていくのでは……なんてことも考えたり。そういう意味においては、実は大ヒット作2枚(『A NIGHT AT THE OPERA』と『NEWS OF THE WORLD』)に挟まれた過渡期的1枚と言えるかもしれません。事実、本作はチャート的には成功しましたが、セールス的には(特にアメリカでは)半分以下に落ちてますしね。

とはいえ、オープニングを飾るブライアン・メイ(G, Vo)のギターオーケストレーションからパワフルなハードロック「Tie Your Mother Down」(全英31位/全米49位)へと続く流れや、そこからメランコリックな「You Take My Brath Away」への流れ、ゴスペル調の名曲「Somebody To Love」(全英2位/全米13位)やシリアスかつヘヴィな「White Man」、美しくも軽やかな「Good Old-Fashioned Lover Boy」(全英17位)など、良曲目白押しな内容。音楽的にはより幅が広がった印象があります。

実は本作、初のセルフプロデュース作なんですよね。前作での成功を機に、バンドがやりたい邦題やってみました、というのもあったのかな。それにより、アルバムトータルとしては若干散漫さも目立つ結果となりましたが、これが調整されることによって80年代のQUEENにつながっていくという(そういう意味でも、やっぱり客観視できるプロデューサーは必要になるわけですが)。いろいろ難しいです。

でも、全10曲中8曲をフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)が単独歌唱している(あ、「Good Old-Fashioned Lover Boy」ではエンジニアのマイク・ストーンも歌ってますが)ことで、何気に統一感が強いような。このへんも、80年代以降の彼らに通ずるものがありますね。

あ、最後に。本作のラストナンバー「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」に触れないわけにはいきませんよね。タイトルおよびサビの一部を日本語で書かれたこの曲は、1975年の初来日時に大歓迎してくれた日本のファンへの感謝の気持ちから、こういう形になったとのこと。今なら日本盤のみのボーナストラックになるんでしょうけど、これを世界共通盤に入れてしまう当時のQUEENの勢いと心意気。素敵すぎます。今から40数年前に、QUEENが日本人に対してここまでしてくれたことを忘れてはいけません。このアルバム、日本人として誇りに思ってもいいのではないでしょうか。そういう意味でも大切な1枚です。



▼QUEEN『A DAY AT THE RACES』(
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

続きを読む... "QUEEN『A DAY AT THE RACES』(1976)"

投稿: 2019 01 11 12:00 午前 [1976年の作品, Queen] | 固定リンク

2019年1月10日 (木)

DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970)

デヴィッド・ボウイ通算3作目のオリジナルアルバム。本作はまず、アメリカで1970年11月に先行発売され、その5ヶ月後の1971年4月に本国イギリスでリリースされています。ちなみに、ロックファンの間でよく知られるあの麗しのアートワークは先行発売のアメリカ盤では採用されておらず、なんともチープなオッサンのイラストが使われております。このへんはWikipediaを見ると詳しく載っております。

自分にとってのデヴィッド・ボウイって、いわゆる“ジギー・スターダスト”よりも本作のジャケットのイメージなんですよね。高校生の頃、すでに『LET'S DANCE』(1983年)や『TONIGHT』(1984年)を聴いてはいたものの(それこそ、映画『戦場のメリークリスマス』などで動くボウイを目にしていたものの)、それでも脳裏に思う浮かべるのは『世界を売った男』と題されたこのアルバムの美しい姿なのです。

とはいえ、ちゃんとアルバム自体を聴いたのはそれからさらに数年後。たぶん18〜9歳の頃に東京ドームで初めてボウイのライブを観て、それから1、2年は経っていたと思います。まだNIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)で「The Man Who Sold The World」をカバーする、ちょっと前のことです。

もう、このアルバムに関してはアートワークと邦題の勝利ですよね。直訳ではあるんだけど、『世界を売った男』というタイトルにこの英国盤アートワークですから。しかも、アルバムのオープニングを飾るのが「円軌道の幅」と邦題が付けられた、8分を超える大作「The Width Of A Circle」ですから。悪いわけがない。

それ以前のフォーキーな要素も残しつつ、ミック・ロンソン(G)が加わったことにより、ロックバンド色がどんどん強くなっている。グラムロックというよりは、ハードロックやプログレッシヴロック的解釈も至るところに見受けられ、そこが個人的にもツボだったりします。頭3曲(「The Width Of A Circle」「All The Madman」「Black Country Rock」)はまさにそれで、ストレートなハードロックをボウイ流に噛み砕くことで、のちのグラムロック路線への布石が見え隠れする。

で、アナログ後半(M-5「Running Gun Blues」以降)の流れも素晴らしいし、「She Shook Me Cold」冒頭で聴けるミック・ロンソンのギタープレイにはゾクゾクしてしまう。そこからの「The Man Who Sold The World」ですから。ラストの「The Supermen」からもその後の片鱗が感じられるし。このヘヴィなテイストは次作以降どんどん薄まっていくわけですが、そういう意味でも本作は絶妙なバランスで成り立つ1枚と言えるでしょう。実はハードロックファンにこそ聴いてほしい、ボウイの傑作アルバムのひとつです。



▼DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970)"

投稿: 2019 01 10 12:00 午前 [1970年の作品, David Bowie] | 固定リンク

2019年1月 9日 (水)

ROXY MUSIC『ROXY MUSIC』(1972)

1972年初夏に発表された、ROXY MUSICの1stアルバム。当時のメンバーはブライアン・フェリー(Vo, Piano)、ブライアン・イーノ(Synth)、アンディ・マッケイ(Sax)、フィル・マンザネラ(G)、ポール・トンプソン(Dr)。レコーディングにはグラハム・シンプソン(B)の名前があるものの、同時すでに正式メンバーではなかった、という話も。プロデュースを手がけたのはKING CRIMSONで作詞を担当していたピート・シンフィールドで、これは当時の所属レーベルがクリムゾンと同じE.G. Recordsだったことが大きく影響しています。

それもあってか、本作にはプログレッシヴロックの香りもちらほら感じられます。7分前後もある「If There Is Something」や「Sea Breazes」、「2HB」なんてまさにそれですよね。サックスを含む編成というのも、初期クリムゾンに通ずるものがありますし。

ところが、ご存知のとおり初期の彼らはグラムロックの範疇で語られることが多い。それは当時のファッションだったり、デヴィッド・ボウイの前座としてツアーを回ったりなど、そういったことも大きく影響しているのでしょう。いや、楽曲自体にもその香りはたっぷり感じられますけどね。

デビューシングル「Virginia Plain」からして“そっち側”だし、アルバムのオープニングを飾る「Re-Make/Re-Model」も同じく。「Chance Meeting」や「Would You Believe?」の耽美さなんて、疑いようがないほどにグラムロックのそれですからね。そりゃ仕方ないですわ。

ただ、このバンドを単なるグラムロックやプログレの枠で括れないものにしているのが、ブライアン・イーノの存在。奇抜なビジュアルはもちろん、その奇抜なサウンドメイキングは間違いなく本作を特別なものに昇華させています。楽曲単位で普通にカッコいいと思っていると、突如耳に飛び込んでくるヘンテコな音……これがまたクセになるんですよね、不思議と。だからなのか、イーノ脱退後の後期ROXY MUSICを聴くと至極真っ当なバンドに思えてしまう。まあ、彼の脱退と引き換えに、バンドは大成功を収めるわけですが。

実はROXY MUSICって20代までは全然良さがわからなかったバンドのひとつなんです。リアルタムではすでにブライアン・フェリーは伊達男なソロシンガーでしたし、最初に手にしたアルバムが『AVALON』(1982年)でしたから。映画『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』を通じて、ちょっとだけ初期に触れたものの、あまりピンと来ず……結局、さらにいい大人になってから改めて聴いてどハマりしたという。きっと今みたいにサブスクリプションサービスがあったら、20年前にどハマりしてたのかな……わからないけど。

そもそもボウイも好き、クリムゾンも好き、なんならBOØWYや布袋寅泰も好きな時点でこの頃のアルバムにハマらない理由はないんですけどね。そういった意味では、本作が一番思い入れがあるんですよ。なんでこれに20年前気づかなかった、俺よ。うん、世の中いろいろです。



▼ROXY MUSIC『ROXY MUSIC』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 国内盤3CD+DVD / 海外盤CD / 海外盤2CD / 海外盤3CD+DVD / MP3

続きを読む... "ROXY MUSIC『ROXY MUSIC』(1972)"

投稿: 2019 01 09 12:00 午前 [1972年の作品, Roxy Music] | 固定リンク

2019年1月 8日 (火)

THE BEATLES『ABBEY ROAD』(1969)

1969年秋にリリースされた、THE BEATLES通算11枚目のスタジオアルバム(のちに公式作品化された『MAGICAL MYSTERY TOUR』を除くと10枚目)。発表は次の『LET IT BE』(1970年)のほうが後ですが、レコーディング自体は『LET IT BE』のセッション(“Get Back Sessions”)を経て行われているので、こちらが正真正銘のラストアルバムと言われていました(その後、新たに1970年の音源が見つかり、改めて『LET IT BE』がラスト作に)。当然ながらアメリカやイギリスではNo.1を獲得しており、特にアメリカでは現在までに1200万枚を超える最大のヒット作となっています(1968年発売の前作『THE BEATLES』は1900万枚を売り上げていますが、こちらは2枚組なので実質950万セットということになります)。

上記のように、“Get Back Sessions”で手応えを得られなかったビートルズは、「最後にしっかりしたアルバムを1枚作ろう」として今作の制作に臨みます。その気合いが、アルバム終盤のメドレー(特に「Golden Slumbers」からの流れ)に表れているように思います。といっても、これはポール・マッカートニー主導で制作されたようなものなので、絶賛しているのがポール自身というのがなんとも(笑)。ジョン・レノンは同メドレーが収められたアナログB面に関しては「雑多で好きじゃない」的な発言を残していましたしね。

じゃあ、アナログA面に当たるM-1「Come Together」からM-6「I Want You (She's So Heavy)」まではどうかといいますと……確かに良いんですよ。ジョン主導のダルなロック「Come Together」は言うまでもなく、続くジョージ・ハリスン作の「Something」といい、ポール渾身のボーカル楽しめるロッカバラード「Oh! Darling」といい、リンゴ・スターらしさがにじみ出たポップソング「Octopus's Garden」といい。そして、A面ラストを締めくくる8分近いヘヴィブルース「I Want You (She's So Heavy)」。後期ビートルズの良い部分が凝縮されているんですよね。

こんな充実しているんだもん、そりゃB面はね……と思いきや、実はB面も素晴らしいのですよ。いきなりジョージの名曲「Here Comes The Sun」から始まり、賛美歌のような美しさを感じさせる「Because」、終わりの始まりそのものな「You Never Give Me Your Money」、その後のメドレーへと良き橋渡しとなる「Sun King」などなど……思えば、B面って「Because」からすでに始まっているんですよね、壮大なメドレーが。特に「Sun King」から「The End」までは、1〜2分の楽曲で切れ目なくつながっているんですから。ジョンもある程度意図していたとはいえ、ポールが我が物顔で自画自賛するのに耐えられず、先の否定的発言につながったのかしら。もし今も生きていたら……いや、やめましょうか、たら・れば話は。

そんなこんなで、どうしても後半のメドレーに目が耳が行きがちですが、個人的にはこのアルバムは「ジョージ・ハリスンの才能が一気に爆発した1枚」と捉えています。すでに前作の時点でその兆候はあったわけですが、この作品の頃にはジョージのソングライティング力はジョンやポールに匹敵するレベルにまで到達していたわけですから。しかも最後の最後に。皮肉なものですね。

そういえば、去年はホワイト・アルバムのボックスセットが後半に発売されましたけど、本作も同様の形で復刻されるんですかね……気になるところです。



▼THE BEATLES『ABBEY ROAD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "THE BEATLES『ABBEY ROAD』(1969)"

投稿: 2019 01 08 12:00 午前 [1969年の作品, Beatles, The] | 固定リンク

2019年1月 7日 (月)

THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』(1969)

1969年12月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONES通算8枚目(イギリスにて/アメリカでは10枚目)のスタジオアルバム。前作『BEGGARS BANQUET』(1968年)でブルース/ロックンロールへと回帰した彼らが、その路線をさらに推し進めた傑作のひとつ。60年代後半の彼らを語る上で、『BEGGARS BANQUET』と併せて紹介されることの多い1枚です。

本作のレコーディング中に、オリジナルメンバーのブライアン・ジョーンズ(G)が脱退。代わりにミック・テイラーが加入し、「Country Honk」と「Live With Me」の2曲のみですが早くもその手腕を発揮しています。

本作の凄みは、ブルースやカントリーなどのルーツミュージックをベースにしつつも、「Gimme Shelter」や「Monkey Man」のようにサイケデリックでダークなナンバーや、約7分にもおよぶ(ライブでは10分を超えることも)プログレッシヴなブルースロック「Midnight Rambler」、ゴスペルをフィーチャーした壮大なバラード「You Can't Always Get What You Want」といった、その後のストーンズに必要不可欠な名曲を多数残していることでしょうか。そもそも、アルバムのオープニングが不穏な雰囲気の「Gimme Shelter」から始まるという時点で、本作が『BEGGARS BANQUET』と並んで名作と捉えられている理由がおわかりいただけるかと(前作はいきなり「Sympathy For The Devil」始まりですからね)。これも、ベトナム戦争などの影響で不安定だった当時の世相を反映させた結果なんでしょうね。

「Tonky Tonk Women」のカントリーバージョン「Country Honk」こそ牧歌的な曲調ですが、それ以外の楽曲からはいつも以上にシリアスな空気を感じる。「Live With Me」はまだしも、若干緩やかな雰囲気の「Let It Bleed」でさえ節々から殺伐としたものが見え隠れするんですから、どれだけ1969年って怖い時代だったんだよって話ですよ。自分もまだ生まれていなかったですし、その数年後に生を受けたとはいえリアルタイムでは当時のことは覚えてないですから。ここ日本は高度成長期末期だったとはいえ、まだまだ貧富の差も激しかったですし、それが戦争を行なっていたアメリカとなると……ミック・ジャガー(Vo)やキース・リチャーズ(G, Vo)の目にはどう映っていたんでしょうね。

加えて、本作制作中にはブライアンの急逝(7月3日)もあり、こういった不幸もアルバムのダークさに拍車をかけたはず。そういった意味では、ダークでネガティヴだった60年代末に自身でけじめをつけた、そんな区切りの1枚だったのかもしれません。

それにしても、本当に名曲揃いの1枚で捨て曲皆無。キースが初めて全編リードボーカルを担当した「You Got The Silver」もあるし、ロバート・ジョンソンのカバー「Love In Vain」もある。後者はライブバージョンのほうが優れていますが、このスタジオバージョンも悪くない。また、キースが全面的にギターを担当しているという点においても、本作は注目すべき1枚ではないでしょうか。

ここまでで一度ダークさを振り切り、ミック・テイラーを加えたストーンズは続く『STICKY FINGERS』(1971年)で正真正銘の再生を遂げることになります。



▼THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "THE ROLLING STONES『LET IT BLEED』(1969)"

投稿: 2019 01 07 12:00 午前 [1969年の作品, Rolling Stones] | 固定リンク

2019年1月 6日 (日)

LED ZEPPELIN『HOUSE OF THE HOLY』(1973)

LED ZEPPELINが1973年3月に発表した、通算5作目のオリジナルアルバム。現在までにアメリカだけで2000万枚を超えるほどのメガヒット作となった前作『LED ZEPPELIN IV』(1971年)から1年半ぶりの新作にあたり、ナンバリングされた過去4作(そもそも『LED ZEPPELIN IV』は本来“無題”なのですが)から離れ、バンドとしてさらなるスケールアップを目指した1枚に仕上げられています。

ブルースを基盤にしたハードロックが展開された『LED ZEPPELIN』(1969年)および『LED ZEPPELIN II』(同年)、そこにトラッドミュージックのカラーを加えた『LED ZEPPELIN III』(1970年)を経て、これまでの要素をよりキャッチーに昇華した『LED ZEPPELIN IV』。いわゆる我々の知るLED ZEPPELINのパブリックイメージは、この4作目までに凝縮されています。では、続くこの5作目は何を表現しようとしたのか。それは、その“パブリックイメージからの離別”だったのではないでしょうか。

本作の中にはブルースおよびブルージーなハードロックをベースにした楽曲は皆無です。「The Song Remains The Same」や「Over The Hills And Far Away」といった楽曲はハードロックの枠内にあるナンバーですが、『LED ZEPPELIN IV』路線の延長線上にありながらも、確実に何か別の地平へと向かおうとしている。そんな動きが確認できます。

また、リフでグイグイ引っ張る「The Ocean」も聴きようによってはブルースの影響下にあるように感じられますが、変拍子を用いたり終盤に能天気なロックンロール的展開に変わったりと、一筋縄でいかない感じは確実に『LED ZEPPELIN IV』までとは異なるものを感じます。

一方で、「The Rain Song」のような壮大で美しいバラードがあったり、サイケデリックな長尺ナンバー「No Quarter」、ファンクミュージックからの影響が濃厚な「The Crunge」、この手のバンドとしてはいち早くレゲエを取り入れた「D'yer Mak'er」など、確実に新しいツェッペリン像を作り上げようとしている。音楽家としのアイデアや意欲が枯渇するどころか、この時点ではどんどん新しいことをやりたいという前のめりさを感じることができる。そういった意味でも、ツェッペリンがいよいよ本格的にオリジナリティを獲得した1枚と言えるかもしれません。

アルバムとしては派手な印象はありませんし、なんなら冒頭の「The Song Remains The Same」はロッキン(『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』)開始後、渋谷陽一氏の出囃子みたいになっちゃって、なんだかなぁみたいなイメージも強いですが、その後のロックシーンに与えた影響という点では実は初期4作よりも大きい1枚なのではないでしょうか。



▼LED ZEPPELIN『HOUSE OF THE HOLY』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

続きを読む... "LED ZEPPELIN『HOUSE OF THE HOLY』(1973)"

投稿: 2019 01 06 12:00 午前 [1973年の作品, Led Zeppelin] | 固定リンク

2019年1月 5日 (土)

ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』(1992)

1992年8月にリリースされた、エリック・クラプトンのアコースティック・ライブアルバム。同年1月に行われた『MTV UNPLUGGED』の収録ライブから、のちにアルバム『PILGRIM』(1998年)でレコーディングされる「My Father's Eyes」や「Circus」などを除く全14曲が収められています。また、本作は全米1位、全英2位という大成功を記録し、特にアメリカでは1000万枚以上を売り上げるなど、その後のアンプラグド・ブームの火付け役となりました。

ちょうど本作の収録と前後して、クラプトンが映画『ラッシュ』のサウンドトラックを制作し、そこに収録したアコースティックナンバー「Tears In Heaven」が全米2位、全英5位と、彼のキャリア中もっとも成功した1曲となったこともこのアンプラグド・アルバムの成功に拍車をかけたことは間違いありません。

収録曲ですが、「Tears In Heaven」をはじめ「Old Love」や「Running On Faith」など過去のアルバムに収録されたオリジナル曲、DEREK AND THE DOMINOS時代の名曲「Layla」以外は、クラプトンの趣味趣向が反映されたブルースのカバー中心。もちろん、その中には「Before You Accuse Me」や「Rollin' And Tumblin'」といったCREAM時代からソロ時代までに取り上げてきたおなじみの曲も含まれています。

その中には、クラプトンが敬愛するロバート・ジョンソンのカバーも多く含まれており、ここでの経験がのちのブルース・カバーアルバム『FROM THE CRADLE』(1994年)やロバート・ジョンソンのみをカバーしたスタジオアルバム『ME AND MR. JOHNSON』(2004年)につながっていくわけです。

全編でクラプトンのアコースティックプレイと、リラックスした歌声を担当できる本作は、エレキスタイルで表現される緊張感の強い演奏とは異なる側面が反映されています。例えば「Layla」でのキーを下げ節回しを変えた歌唱スタイルなんて、まさにその色がもっとも強く表れているので、これがダメって人には無理強いできないかな。そんな人いるかどうかわかりませんが。

まあ本作は、ここ日本でもバカ売れしましたし、アメリカでも第35回グラミー賞(1993年)で6部門にノミネートされたうち3部門受賞(最優秀男性ロックボーカル、最優秀年間アルバム、最優秀ロックソング)を獲得。ギター弾いてた奴は急にアコギ(しかも、クラプトンと同じマーチンの000-42)を購入したり、来日した際にはそれまでロックのロの字もなかった女性から「行きたい!」と急に連絡が来たり……良くも悪くも“ブーム”を作ってしまった、罪深き1枚なんですわ。まあ、内容の良さとはまったく別の話題ですが。

なお、本作は2013年にカットされた「My Father's Eyes」や「Circus」、放送のために2回演奏された楽曲なども含むボーナスディスクや別売りされていたDVD同梱のデラックス・エディションも発売。90年代前半、早くも名曲と噂されていた「Circus」(当時のタイトルは「Circus Left Town」)聴きたさに西新宿界隈をさまよった身としては、クリアな音質で当時の音源を楽しめるこのバージョン発売には歓喜したものです(ぶっちゃけ、『PILGRIM』のスタジオバージョンよりこっちのほうが好きなので)。



▼ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 国内盤2CD+DVD / 海外盤CD / 海外盤2CD+DVD / MP3

続きを読む... "ERIC CLAPTON『UNPLUGGED』(1992)"

投稿: 2019 01 05 12:00 午前 [1992年の作品, Eric Clapton] | 固定リンク

2019年1月 4日 (金)

SIMPLY RED『STARS』(1991)

1991年10月にリリースされた、SIMPLY REDの4thアルバム。アメリカでは76位と、過去の作品と比べて低調で終わっていますが、本国イギリスでは前作『A NEW FLAME』(1989年)に続く1位を獲得。「Something Got Me Started」(全米23位/全英11位)、「Stars」(全米44位/全英8位)、「For Your Babies」(全英9位)、「Thrill Me」(同33位)、「Your Mirror」(同17位)とヒットシングルが多数生まれたこともあり、イギリスだけで300万枚を超えるメガヒットを記録しました。

ソウルやR&B(ブルー・アイド・ソウル)を軸にしながらも、サウンド的にはハウスやジャズファンクなど当時流行していた最新のダンスミュージックも取り入れられており、ポップス層からクラブ層まで幅広く受け入れられた1枚だったような記憶があります。

この当時、メンバーとして屋敷豪太(Dr, Programming)が参加していたことでも大きな話題となりましたが、まあとにかく1曲1曲の完成度が異常に高い。シングルヒットした「Stars」や「For Your Babies」のポップミュージックとしての存在感の大きさ、「Your Mirror」のジャズの影響下にありながらもマイケル・ジャクソン級のソウル感、「She's Got It Bad」のファンクロックとしてのグルーヴ感、「Model」に漂うダビーな空気など、桁外れの楽曲がずらりと並ぶのですから、そりゃ売れるわけですよ。

そして、こういった楽曲を時に優しく、特にファンキーかつセクシーに歌い上げるミック・ハックネル(Vo)のボーカリストとしての力量も、ハンパないったらありゃしない。加えて、そのバックを支えるプレイヤー人の演奏力。そつなくこなしているようで、実はめちゃくちゃ高い技術の上で成り立っていることは、何度も聴き込むことで理解できました。完璧な楽曲と完璧な歌と完璧な演奏が生み出す自然体。これって実はすごく難しいことだと思うんです。

世代的にはもちろんデビュー時の「Holding Back The Years」(全米1位/全英2位)の頃から知っていますし、アルバムにも普通に“流行のポップス”として触れてきましたが、今作はそことはまた違った光や存在感を放っているように思います。言い方を変えれば……リリースから30年近く立っているにも関わらず、今聴いても新鮮に楽しめるというエヴァーグリーンな1枚。そんな時代を超越した作品と断言できます。

とか言いながら、実は本作、リリースしてすぐは手を出さなかったんですね。テレビのチャート番組(たぶんフジテレビの『BEAT UK』)で「Something Got Me Started」は耳にしていたものの……ところが、1992年に入って数ヶ月間イギリスに滞在した際、ラジオやMTV、CDショップで本作からのシングル「Stars」や「For Your Babies」を耳にして、「なんじゃこりゃ!?」と驚くわけです。しかも、これがSIMPLY REDの楽曲だと知って、さらにびっくり。そりゃ購入しますよね、現地で(当時はCDウォークマン的なものはまだ高価だったか発売されてなかったかで、当然カセットテープで購入)。

なので、このアルバムを聴くと当時のイギリスの景色が思い浮かんでくるんです。そんな、個人的にはとても重要な1枚。それを抜きにしても名盤なんですけどね。



▼SIMPLY RED『STARS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "SIMPLY RED『STARS』(1991)"

投稿: 2019 01 04 12:00 午前 [1991年の作品, Simply Red] | 固定リンク

2019年1月 3日 (木)

STING『...NOTHING LIKE THE SUN』(1987)

スティングが1987年秋に発表した、通算2作目のスタジオソロアルバム。本作からは「We'll Be Together」(全米7位/全英41位)、「Be Still My Beating Heart」(全米15位)、「Englishman In New York」(全米84位/全英51位)、「Fragile」(全英70位)、「They Dance Alone」(全英94位)などのシングルヒットが生まれ、アルバム自体も全米9位、全英1位という好成績に恵まれました。特に「We'll Be Together」「Englishman In New York」が当時ビールやビデオテープのCMソングに使用されたこともあり、日本のファンの間でも馴染み深いアルバムの1枚と言えるでしょう。

前作『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)THE POLICE時代の恩恵もあり大ヒットを記録。そういう意味では続く今作でソロアーティストとしてのスティングの真価が問われるわけですが、そういった外野からの声を完全に無視するかのように、このアルバムではジャズを軸にした独自の世界観が展開されています。

アルバムのオープニングを飾る「The Lazarus Heart」のジャズやフュージョンを彷彿とさせるノリ、「Englishman In New York」でのレゲエとジャズをミックスしたテイストは、まさにスティングならではと言えるでしょう。また、「They Dance Alone」後半の展開や、ジミ・ヘンドリクスのカバー「Little Wing」に感じられるインプロ的緊張感は、本作に到るまでに彼が経験したソロツアーが大きく反映されているのではないでしょうか。

そういえば、本作は参加メンバーもそうそうたるもので、ルーベン・ブラデス(Vo, G)、ハイラム・ブロック(G)、エリック・クラプトン(G)、マーク・ノップラー(G)、アンディ・サマーズ(G)、マーク・イーガン(B)、ケンウッド・デナード(Dr)、マヌ・カチェ(Dr)、アンディ・ニューマーク(Dr)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)、ギル・エヴァンス(オーケストラ指揮)、GIL EVANS ORCHESTRAなど、ジャズやフュージョン、ブラックミュージック、ロックなどさまざまなジャンルからトップアーティストが勢揃い。ギル・エヴァンスが参加してるというのが、そもそもポップス/ロック界的には当時、相当衝撃的だったような記憶があります。

『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』と比較すると全体的に穏やかで、ロックやポップスのジャンルにおいてはかなり地味な部類に入る作品だと思います。事実、当時高校生だった自分にはかなり大人な内容で、正直すぐに気に入ったかと言われると微妙でしたし。が、中にはグッとくる楽曲も多かったですし、スティングが活動を重ねアルバムを重ねていくごとに、振り返ってこの作品を聴くと「これ、ものすごいアルバムなんじゃないか……」と少しずつ気づくという。そんな濃さと奥深さを持つ傑作のひとつだと思います。

ですが本作、実はかなり闇の深い1枚でもあります。本作の制作に向かう過程で、スティングは最愛の母親を亡くしています。また、ツアーで訪れた南米で触れた、現地の内戦などでの犠牲者たち……こういった出来事から受けた死生観が、歌詞に落とし込まれている。それがアルバム全体を多く「明るくなりきれない」空気につながっているのではないでしょうか。

また、本作は当時としては破格のフル・デジタル・レコーディング作品。そんな触れ込みもあって、当時のCDとしてはかなり音が良かった記憶が。もちろん、現在はもっと音の良い作品は山ほどあるので、今となってはどうってことのないトピックですが。



▼STING『...NOTHING LIKE THE SUN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む... "STING『...NOTHING LIKE THE SUN』(1987)"

投稿: 2019 01 03 12:00 午前 [1987年の作品, Eric Clapton, Police, The, Roxy Music, Sting] | 固定リンク