2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2021年1月24日更新)


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2021年1月31日 (日)

2020年12月のアクセスランキング

ここでは2020年12月1日から12月31日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2020年11月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/→1位)

2位:DARK TRANQUILLITY『MOMENT』(2020)(※2020年11月29日更新/↑16位)

3位:DIAMOND HEAD『LIGHTNING TO THE NATIONS 2020』(2020)(※2020年12月2日更新/NEW!)

4位:THE WiLDHEARTS『30 YEAR ITCH』(2020)(※2020年12月7日更新/NEW!)

5位:SOILWORK『A WHISP OF THE ATLANTIC』(2020)(※2020年12月9日更新/NEW!)

6位:DEFTONES『OHMS』(2020)(※2020年9月28日更新/↑25位)

7位:SODOM『GENESIS XIX』(2020)(※2020年12月9日更新/NEW!)

8位:L.A. GUNS『RENEGADES』(2020)(※2020年12月12日更新/NEW!)

9位:CHRIS CORNELL『NO ONE SINGS LIKE YOU ANYMORE』(2020)(※2020年12月16日更新/NEW!)

10位:NOTHING『THE GREAT DISMAL』(2020)(※2020年11月10日更新/NEW!)

 

11位:NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)(※2019年1月25日更新/↑12位)

12位:DREAM THEATER『METROPOLIS PT.2: SCENES FROM A MEMORY』(1999)(※2020年12月3日更新/NEW!)

13位:POPPY『I DISAGREE』『I DISAGREE (MORE)』『ALL THE THINGS SHE SAID』(2020)(※2020年12月5日更新/NEW!)

14位:PAUL McCARTNEY『McCARTNEY III』(2020)(※2020年12月22日更新/NEW!)

15位:THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』(1998)(※2018年9月1日更新/Re)

16位:THE ATOMIC BITCHWAX『SCORPIO』(2020)(※2020年12月13日更新/NEW!)

17位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↑22位)

18位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新/↑30位)

19位:BRING ME THE HORIZON『LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』(2016)(※2020年12月21日更新/NEW!)

20位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新/Re)

 

21位:DIAMOND HEAD『LIGHTNING TO THE NATIONS』(1980)(※2020年12月1日更新/NEW!)

22位:VOIVOD『LOST MACHINE - LIVE』(2020)(※2020年12月8日更新/NEW!)

23位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新/↓11位)

24位:DEAFHEAVEN『10 YEARS GONE』(2020)(※2020年12月10日更新/NEW!)

25位:VAN HALEN『5150』(1986)(※2004年3月24日更新/Re)

26位:BILLIE JOE ARMSTRONG『NO FUN MONDAYS』(2020)(※2020年12月23日更新/NEW!)

27位:PANTERA『REINVENTING THE STEEL: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2020)(※2020年11月2日更新/↓7位)

28位:MOTÖRHEAD『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』(1981)(※2020年12月28日更新/NEW!)

29位:THE SMASHING PUMPKINS『CYR』(2020)(※2020年12月18日更新/NEW!)

30位:KORN『KORN』(1994)(※2017年12月18日更新/Re)

30位:VAN HALEN『BALANCE』(1995)(※2018年7月31日更新/↓4位)

30位:PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『WE'RE THE BASTARDS』(2020)(※2020年12月11日更新/NEW!)

2021年1月のお仕事

新年明けましておめでとうございます。本年も当サイトともどもよろしくお願いいたします。今年もこちらで最新のお仕事の動向やプレイリストをご紹介していきたいと思います。

こちらでは、2021年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例でが紹介いたします。最新のお仕事が公開され次第、随時更新していきます。(※1月22日更新)

 

[WEB] 1月22日、「リアルサウンド」にてインタビュー竹達彩奈×クラムボン ミトに聞く、歌手と音楽作家の理想的な関係性 「10年20年、大切に歌っていける曲を作っていきたい」が公開されました。

[WEB] 1月20日、「リアルサウンド」にてインタビューLittle Glee Monster、初ベスト盤から選んだ思い出の3曲は? メンバーが『GRADATI∞N』と共に振り返るグループの軌跡が公開されました。

[紙] 1月18日発売「別冊カドカワScene 04」にて、ZOC藍染カレン・西井万理那・巫まろインタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 1月7日、「ファミ通.com」にレポート記事乃木坂46の2021年初ライブは『荒野行動』で! リズムゲームで観客とメンバーが一体化した幻想的なコラボをリポートが公開されました。

[WEB] 1月5日、「リアルサウンド」にてコラム【今からでも間に合う!初めてのBABYMETAL】10年で成し遂げた偉業の数々を3つのターニングポイントから辿るが公開されました。

[WEB] 1月5日、和楽器バンドの日本武道館公演「大新年会2021 日本武道館2days アマノイワト」のオフィシャルレポートを担当しました。さまざまなサイトにて記事公開中です。

[紙] 1月5日発売「乃木坂46×週刊プレイボーイ2020〜2021」にて、松村沙友理、高山一実、星野みなみの各「100の質問」、乃木坂46物語三期生編にて梅澤美波インタビューをそれぞれ担当しました。(Amazon

[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2021年2月号にて、乃木坂46山下美月、生田絵梨花の各インタビュー、櫻坂46菅井友香の連載「いつも凛々しく力強く」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 1月3日、「リアルサウンド」にてインタビュー中島由貴に聞く、芸歴15年のキャリアが育んだ仕事に対するプロ意識「考え方や仕事に対する姿勢もお母さんから学んだこと」が公開されました。

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また、2020年12月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2012号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

2021年1月25日 (月)

THE SMITHS『THE QUEEN IS DEAD』(1986)

1986年6月にリリースされたTHE SMITHSの3rdアルバム。THE SMITHSというバンドが存続していた期間に、最初に触れたのがこのアルバム(と、1987年発売のコンピレーションアルバム『THE WORLD WON'T LISTEN』)でした。

デビューアルバム『THE SMITHS』(1984年)の時点で全英2位、続く2作目『MEAT IS MURDER』(1985年)ではついに全英1位に輝くなど、そのスタンスとは裏腹に国民的人気を獲得しつつあった彼ら。この3rdアルバムも全英2位を記録しており、「The Boy With The Thorn In His Side」(全英23位)、「Bigmouth Strikes Again」(同26位)というヒットシングルも収録されています。また、1992年にはベストアルバム発売に伴い「There Is A Light That Never Goes Out」もシングル化、全英25位のヒットとなりました。

チャート的にも成功を収めた『MEAT IS MURDER』と同じく、モリッシー(Vo)&ジョニー・マー(G)のプロデュース、スティーヴン・ストリート(モリッシー、BLUR、KAISER CHIEFSなど)のエンジニアリングで制作された本作は、ロック度/ポップ度ともに最良のバランスで構築されており、その完成度の高さから「THE SMITHSの最高傑作」との呼び声も高い1枚。攻めの姿勢のロックチューン「The Queen Is Dead」「Bigmouth Strikes Again」があるかと思えば、牧歌的なポップチューン「Frankly, Mr. Shankly」や「The Boy With The Thorn In His Side」(「心に茨を持つ少年」という邦題の素晴らしさたるや!)、名曲と呼ぶにふさわしい1曲「There Is A Light That Never Goes Out」、穏やかなミディアム/スローナンバー「I Know It's Over」「Never Had No One Ever」「Cemetry Gates」、ノリの良さでは随一の「Vicar In A Tutu」、オープニングでの音量エフェクトに最初こそドキッとさせられるも、ジョニー・マーのキラキラしたギターフレーズと耳馴染みの良いメロディの相性抜群の「Some Girls Are Bigger Than Others」と、すべてにおいて捨て曲なし。自分の音楽人生において“全曲歌えるアルバム”ってそうは多くないと思うのですが、この『THE QUEEN IS DEAD』はその数少ない作品のひとつだと断言できます(『THE WORLD WON'T LISTEN』もね)。

自分はTHE SMITHSというバンドにおいて、モリッシーというシンガー/表現者よりもジョニー・マーという稀代の名ギタリストによるプレイ/フレージングの数々に心を奪われた側の人間なのですが、そういう視点においても本作は特筆すべき点が多い1枚だと思います。アルバム冒頭「The Queen Is Dead」での切れ味鋭いカッティングがあるかと思えば、ラストでの「Some Girls Are Bigger Than Others」では美しいフレージングをたくさん味わうことができるのですから。あと、本作はリズム隊のアンサンブルも絶妙で、そういった意味でもバンドの最盛期に残した“記録”としては最高の部類に入るのではないでしょうか。

中学生後半〜高校時代はHR/HMを中心に聴いていた自分ですが、洋楽のルーツのひとつにはUKロックやニューウェイヴ/ニューロマンティックのバンドが含まれていることから、こういったバンドにも自然と手が伸びましたし、それを普通に勧めてくる友人も周りにいたので、なんとかリアルタイムで彼らに触れることができていました。だからこそ、突然の解散にはただただびっくりしましたが……。

もし「人生の10枚:洋楽編」みたいな企画をすることがあったら、間違いなくピックアップするであろう自分史的にも重要な1枚です。

 


▼THE SMITHS『THE QUEEN IS DEAD』
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2021年1月24日 (日)

FALCO『FALCO 3』(1985)

1985年10月に海外でリリースされたファルコの3rdアルバム。日本盤は『ロック・ミー・アマデウス』の邦題でアナログ盤のみ翌1986年3月に、続いてCDが同年7月に発売されています。

ファルコはオーストリア出身の、ニューウェイヴ影響下にあるポップシンガー。ドイツ語歌唱ながらも1stアルバム『EINZELHAFT』(1982年)が全米64位のヒットを記録しています。これは、同作に収録された「Der Kommissar」が1983年にイギリスのロックバンドAFTER THE FIREで英詞カバーされヒットしたことや、「Maschine Brennt」がUSクラブチャートにランクインしたことも影響したようです。

そんな下地もあってなのか、1985年に発表された本作からのシングル「Rock Me Amadeus」はジワジワとUSチャートを上昇していき、1986年にはついに全米1位を獲得。〈Amadeus, Amadeus, Oh…Amadeus〉という印象的なシンガロングと、ドイツ語で展開されるラップが斬新で、ファルコ自身が“パンクなモーツァルト”を演じたMVもMTVで大量オンエアされたこともあり、かなり浸透した1曲だったのではないでしょうか。同作からはほかにも「Vienna Calling」(全米18位)というシングルヒットも生まれ、アルバム自体も全米3位(50万枚)という好記録を残しています。

が、その後北米では大きなヒットが続かなかったこともあり、「Rock Me Amadeus」の一発屋と認識される傾向が強いかな。本国では以降も、No.1ヒット作をいくつも残しているのですが……。

アルバム自体は先にも書いたように、ニューウェイヴ以降のエレポップが中心で、「Rock Me Amadeus」タイプの楽曲はこれのみ。フォークロックを思わせる「America」や文字通りのタンゴ「Tango The Night」、時代を感じさせるエレポップ「Munich Girls」、壮大かつシリアスなバラード「Jeanny」、きらびやかなディスコロックにドイツ語ラップが乗った「Männer des Westens」、ジャジーにアレンジされたボブ・ディランのカバー「It’s All Over Now, Baby Blue」など、統一感のある内容というよりは「エレポップをベースに、いろいろやってみました」的な印象が強いかもしれません。ですが、どの曲も異様にポップでキャッチーなんですよね。

最初は耳馴染みのないドイツ語で盛大に歌われる違和感こそ残りますが、慣れるとドイツ語ラップも気持ちよく楽しめるはず。当時、ヒットチャートの上位に入る“一般的なロック/ポップスリスナーを楽しませる大衆的ラップ”というと、RUN D.M.C. & AEROSMITH「Walk This Way」BEASTIE BOYS「Fight For Your Right (To Party)」、そしてファルコの「Rock Me Amadeus」の3曲がメジャーだったのかなと(それはそれでヒップホップを勘違いしてしまいそうですが)。

なお、現在ストリーミングや再発CDで流通しているアルバムに収録されている「Rock Me Amadeus」と「Vienna Calling」、日本初出時のオリジナル盤とテイクが異なります。シングルヒットした「Rock Me Amadeus」は3分強のラップ中心のテイクですが、初出時のアルバムにはラップは一切入っていない、ファルコのナレーションと印象的なシンガロングのみで構成された9分近い<The Salieri Version>で収められていました。「Vienna Calling」も同様で、現在は4分程度のシングルバージョンが収められていますが、元々は<The Metternich Arrival Mix>と題した7分強のバージョン。オリジナルバージョンに慣れた耳で現在流通されているアルバムを聴くと、ちょっと違和感が残ります。

ですが、両曲のオリジナル・ロングバージョンは各曲のEPにて聴くことができるので、気になる方はそちらをチェックしてみてください。

 


▼FALCO『FALCO 3』
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2021年1月23日 (土)

DAVID SYLVIAN『BRILLIANT TREES』(1984)

1984年6月にリリースされたデヴィッド・シルヴィアンの1stソロアルバム。

1982年12月にJAPANでの活動を終了させたデヴィッドは、その前後からソロ作品の制作に着手。まずは坂本龍一とのコラボシングル「Bamboo Houses」「Forbidden Colours」を立て続けに発表し、のちに本格的なソロ作品制作に取り掛かります。レコーディングはデヴィッド・ボウイ『LOW』(1977年)や『HEROES』(1977年)、イギー・ポップ『THE IDIOT』(1977年)&『LUST FOR LIFE』(1977年)など名盤を多数輩出してきたベルリンのハンザ・スタジオ(Hansa Tonstudio)にて、JAPAN時代の盟友リチャード・バルビエリ(Key)と実弟スティーヴ・ジャンセン(Dr)のほか、坂本龍一(Key)、ホルガー・シューカイ(G)などを迎えて実施。全英4位という好成績を残しました。

アルバム冒頭こそ、JAPAN末期の方向性の延長線上にある作風かなと思わされます。実際、それもあながち間違いではないでしょう。ポストパンク以降のホワイトファンクをベースにした「Pulling Punches」なんてまさにそれで、とはいえバンド時代よりも派手さが若干増したかなという印象すら受けます。

ですが、本作の醍醐味は2曲目「The Ink In The Well」以降ではないでしょうか。ジャズからの影響を思わせる作風は、これもJAPAN末期のスタイルと言えなくもありませんが、バンド時代以上に“個”が際立つテイストはまさしくソロならでは。民族音楽や宗教音楽の香りすら感じられる「Nostalgia」、ジャズファンク的なクールさが際立つ「Red Guitar」などは、80年代半ばという時代性とも見事にマッチしており、新たな時代がここから始まっていく予感も伝わります。

かと思えば、環境音楽的なテイストを随所に散りばめた「Weathered Wall」、全英的なジャズ色濃厚な「Backwaters」といった新境地的ナンバーもしっかり用意されている。音数の少なさ=隙間の多さで表現される“行間を楽しむ”作風はどこか日本的でもあり、難解なことに挑戦していながらも我々日本人にフィットするポイントも見受けられる……と感じるのは僕だけでしょうか。だからなのか本作、リリース当時中学生だった自分にも不思議としっくりくるものがあったんですよね。JAPANの最終オリジナル作品『TIN DRUM』(1981年)の“その先”という意味でも、僕は子供ながらに受け入れることができました。

ラストは9分近くにもおよぶタイトルトラック「Brilliant Trees」。この穏やかでミニマルな世界観と、デヴィッドの落ち着いたトーンの歌声が生み出す独特な空気感が存分に味わえる、究極の1曲ではないでしょうか。そして、この曲からも不思議と和の香り……侘び寂びに通ずるものが伝わってくる気がします。

フロントマンとしての存在感という点において、10〜20代の自分にマイケル・モンローやイギー・ポップ、デヴィッド・ボウイと同じくらい影響を与えたひとり。これまで表立って作品を取り上げる機会は少なかったですが、常に心の片隅に存在して鳴っているのが、JAPAN中後期とデヴィッドのソロ作品で、中でもこのアルバムは忘れられない1枚。初めて出会ってから35年以上経ちますが、今でも年に何度か再生している大切な作品です。

 


▼DAVID SYLVIAN『BRILLIANT TREES』
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2021年1月22日 (金)

TEARS FOR FEARS『THE HURTING』(1983)

1983年3月にリリースされたTEARS FOR FEARSの1stアルバム。

ここ日本ではヒット曲の数々がCMソングに使用されたこともあり、2作目『SONGS FROM THE BIG CHAIR』(1985年)や3作目『THE SEEDS OF LOVE』(1989年)のほうが知名度は上ですが、個人的にはTEARS FOR FEARSといえば本作というくらいの思い入れがある1枚。ちなみに、本作は本国イギリスで1位を記録しております(意外にも、次作『SONGS FROM THE BIG CHAIR』は全英2位止まり)。

「Pale Shelter」(再発後に全英5位)、「Mad World」(同3位)、「Change」(同4位/全米73位)と何気に2ndアルバム以上にシングルヒットの打率が高い本作。ジャケットのセンスといい、程よい“A級とB級の間”感が心地よく響く楽曲群のセンスといい、すべてにおいてツボ。これが『SONGS FROM THE BIG CHAIR』になると完全に“抜け切って”しまうため、ここで味わえる丁度良さが物足りないんですよね。

といっても、僕も本作に関しては完全に後追いなので偉そうに言えませんが(笑)。2nd→3rdをリリースされたタイミングに聴き、そのあとに1stにたどり着いたら「なんだ、1作目が一番好みじゃんか」と気づかされるという。要するに、80年代初頭のニューウェイヴの延長線上にある“A級とB級の間”のサウンド/楽曲が好みってだけですね(笑)。

カート・スミス(Vo, B)のボーカルはすでに完成されている感が強いですが、一方でローランド・オーザバル(Vo, G)の歌唱はどこか垢抜けなさが残っていて、その野暮ったさがまた良かったりする。そういったボーカルで、メル・コリンズ(ex. KING CRIMSONなど)のサックスが乗った「Ideas As Opiates」、ダークさの目立つ「Memories Fade」、まったくヒットしなかったけどキャッチーさ抜群のデビューシングル「Suffer The Children」、どことなくインダストリアルロック風の「The Prisoner」など個性的な楽曲が披露される。最高じゃありませんか。大好物すぎます。そりゃあ30周年記念ボックスセットまで購入しちゃいますわな(笑)。

とはいえ、普通は上に挙げた『SONGS FROM THE BIG CHAIR』や『THE SEEDS OF LOVE』か、初期3作をまとめたベストアルバム『TEARS ROLL DOWN (GREATEST HITS 82-92)』(1992年)から入るのが最適。ベストアルバムを聴いて「なんだ、初期シングル曲もいいじゃん」と思えたり、代表作2枚を聴いて「このバンドのテイスト、好みかも」と実感できたら、ぜひこの1stアルバムにも手を伸ばしてみてください。

 


▼TEARS FOR FEARS『THE HURTING』
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2021年1月21日 (木)

THE CLASH『COMBAT ROCK』(1982)

1982年5月に発売されたTHE CLASHの5thアルバム。本作リリースを目前とした同年1月下旬から2月初頭にかけて、THE CLASHは最初で最後のジャパンツアーを行いました。

『LONDON CALLING』(1979年)はアナログ2枚組、『SANDINISTA!』(1980年)に至ってはアナログ3枚組という多作振りを発揮し続けたTHE CLASH。しかも、その内容は初期のストレートなパンクロックからどんどん拡大/拡散方向へと進み、レゲエやダブ、スカなどのポストパンクサウンドを確立させていきます。

そうした実験を経て到達した本作は全12曲/46分という、過去2作と比較すると非常に短い尺のアルバム。いや、これが普通なんですけどね(笑)。どうしてもボリューミーな過去2作のあとに“普通”の作品が届けられると、なんだか物足りなさを感じてしまいそうになります。

ですが、その内容はまったく“普通”ではない濃厚な1枚。過去2作ほど実験色は強くありませんが、それでもパンクロックの“その先”が明確に示されており、なおかつそういった要素をよりメジャー感強く表現したのが、この集大成的な5thアルバムといえるでしょう。

ハードロック的なスタイルが2ndアルバム『GIVE 'EM ENOUGH ROPE』(1978年)を思わせるミック・ジョーンズ(G,Vo)Vo曲「Should I Stay Or Should I Go」や、ディスコサウンドを大々的に取り入れたジョー・ストラマー(Vo, G)Vo曲「Rock The Casbah」、アルバムの冒頭を飾る“これぞTHE CLASH”な「Know Your Rights」など、代表曲が多数含まれている本作。こういった楽曲に加え、ゴスペルテイストの「Car Jamming」、レゲエ色の強いポール・シムノン(B, Vo)Vo曲「Red Angel Dragnet」、文字通りのファンクロック「Overpowered By Funk」、ダブ色濃厚な「Sean Flynn」など、過去2作での実験を比較的ポップな形で昇華させた楽曲群は、先の代表曲とのバランス感も良好で、非常に聴きやすい。実は初期のパンクロック色濃厚なアルバム群や名作『LONDON CALLING』よりも入っていきやすい、ビギナーの入門には最適な1枚ではないでしょうか。

それもあってか、本作からは「Rock The Casbah」が初の(そして唯一の)全米TOP10入り(最高8位)を記録。「Should I Stay Or Should I Go」も全米45位まで上昇、こういった後押しもあってアルバム自体も全米7位(200万枚)、全英2位というキャリア最大のヒット作となりました。オリジナル・ロンドンパンクで唯一、セールス的に大成功した唯一の作品となるのでしょうか。

そして、本作をもってストラマー/ジョーンズ/シムノン/トッパー・ヒードン(Dr)という黄金期メンバーは解体。ストラマーのみがバンドに残り、新たな布陣で最終作となる『CUT THE CRAP』を1985年秋に発表したのちに、THE CLASHは解散することになります。

 


▼THE CLASH『COMBAT ROCK』
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2021年1月20日 (水)

DURAN DURAN『DURAN DURAN』(1981)

1981年6月にリリースされたDURAN DURANのデビューアルバム。

アルバムデビューに先駆けて、シングル「Planet Earth」(全英12位)、「Careless Memories」(同37位)のスマッシュヒットも大きく後押しし、同作は1stアルバムにも関わらず全英3位という好記録を樹立。さらに、アルバム発売後にリカットされたシングル「Girls On Film」も全英5位まで上昇し、DURAN DURANは一躍時の人となるのです。

この成功の裏側には、当時海外を中心に普及し始めたミュージックビデオ、およびそれらをオンエアする専門チャンネルMTVが果たした役割が非常に大きかったことは外せません。比較的ルックスの良いメンバーが化粧をしたそのビジュアル効果はかなり大きなものがあり、本国のみならずここ日本でも洋楽専門誌のグラビアを飾るアイドル的人気を確立。そんなルックスの良いメンバーが動く姿を存分に楽しめるMV、そりゃファンならたまりませんよね。

かつ、そのMVでの実験的かつ挑戦的な姿勢も彼らの成功に一役買います。「Planet Earth」や「Careless Memories」では奇抜さは見受けられませんが、あとから制作された「Girls On Film」のMV……これがDURAN DURANの知名度を一気に高める結果になるわけです。元10CCのゴドレイ&クレームの映像チームが手がけたMVは、バンドが演奏する前で力士相手に女性ファイターが試合をしたり、女性同士のキャットファイトなどが繰り広げられるというもので、当時としては破格の6分半にも及ぶ内容でした。ところが、当初MTVなどではその過激な内容から放送禁止に(YouTubeに公開されているのは3分半尺の、過激な描写をカットした通常バージョン。この6分半のノーカット版は“Night Version”として親しまれています)。この噂が広まったことで、同MVが収められたMV集がヒットしたという話まであります。

こういうったトピックが噂を呼び、さらに楽曲自体にも注目が集まった。実際、ニューウェイヴ通過後のファンクポップ/ロックは非常に親しみやすいもので、クラブ受けやラジオ受けも良い。癖の強くないサイモン・ル・ボン(Vo)のボーカルと、ニック・ローズ(Key)による煌びやかなシンセサウンドも耳馴染みが良いので、幅広い層……とりわけ若年層にも浸透しやすかったのではないでしょうか。当時中学生だった自分も、本作を含む初期3作は狂ったようにリピートしまくりましたから。

80年代初頭のティーンエイジャーにとって、ビジュアル/楽曲面で洋楽の入り口の役割を果たした重要な存在。今聴くと時代を感じさせるニューウェイヴ感と、わかりやすそうで実は意外と捻くれたことにも手を出している楽曲群のクオリティは、実はそこまで洋楽ビギナーに優しいわけではなかったことにも気づかされます。偏見抜きに、改めて真摯に受け止めてほしい「新時代の始まりを告げる」1枚です。

 


▼DURAN DURAN『DURAN DURAN』
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2021年1月19日 (火)

U2『BOY』(1980)

1980年10月にリリースされたU2の1stアルバム。

1979年9月に初のEP『THREE』を発表し、続いて1980年に『ANOTHER DAY』『11 O'Clock Tick Tock』と2枚のシングルをリリースしたU2。この『11 O'Clock Tick Tock』ではFactory Recordsの取締役にしてJOY DIVISIONなどのプロデューサーとして知られるマーティン・ハネットがプロデュースを担当しており、続く1stアルバムも彼がプロデュースを手がける予定でしたが、イアン・カーティス自殺が深い影を落とし、制作直前にスティーヴ・リリーホワイトへと交代することになります。しかし、この交代劇がのちのU2快進撃へと大きな影響を与えることとなるわけです。

デビューアルバムにも関わらず、すでに初期U2の世界観が見事な形で完成/表現。スティーヴのプロデュース&ミックスによる特徴的なサウンドプロダクションも、このU2サウンドの確立にかなり大きな影響を与えていることが、特に本作のデラックス・エディションのボーナスディスクに収録された“『BOY』以前”の楽曲群と比較することでより明確になります。

パンク/ニューウェイヴ以降の“ネクストステップ”を示しつつ、ダブリン出身のバンドらしい(といっていいのかな?)仄暗さや湿り気を持ったメロディが、雷が落ちるかのような衝撃を与えるサウンドメイクと合わさることで、唯一無二のスタイルを作り上げている。「I Will Follow」で示されるストレートなロックサウンドや、「The Electric Co.」で見せる“パンク以降”のスタイル、さらには「Twilight」や「An Cat Dubh」などのミドルチューンで表現されたテイストなど、先に述べたように初期U2のスタイル/世界観はこの1作目で早くも固まったといっても過言ではありません。

本作以降、特に3作目『WAR』(1983年)以降のU2を知っている耳で聴くと、確かに未熟さも目立つ1枚かもしれません。が、本作がなければ『WAR』はなかったわけで、ここで早くも第1章の幕開け&完結を届けられたからこそ、彼らの貪欲な音楽探求の旅は果てしなく続いていったわけです。そういった意味でも、本作が果たした役割は想像以上に高いものがあるのではないでしょうか。

個人的には、本作における推し曲は「The Electric Co.」かな。後にも先にも、ここまでパンキッシュに攻めるU2は見られないですし、特に同曲はイントロを拡張させたライブバージョン(2ndアルバム『OCTOBER』デラックス版やライブアルバム『LIVE: UNDER A BLOOD RED SKY』に収録)が最高にカッコいいので、ぜひ合わせてチェックしてもらいたいです。

 


▼U2『BOY』
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2021年1月18日 (月)

THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979)

1979年11月に発売されたTHE DAMNEDの3rdアルバム。

前作『MUSIC FOR PLEASURE』(1977年)はチャートインすることなく、ラット・スキャビーズ(Dr)の脱退を経てTHE DAMNEDは1978年春に一度解散。しかし、同年夏にはキャプテン・センシブル(B)とラット、デイヴ・ヴァニアン(Vo)が再集結し、ブライアン・ジェイムス(G)に代わりキャプテンがギターへとスイッチし、新たにアルジー・ワード(B)を迎えた新体制で再結成することになります。

その再結成第1弾アルバムが本作。それまでのメインソングライターだったブライアンが抜けたことで、楽曲の方向性も少し変化。アルバム冒頭を飾る「Love Song」「Machine Gun Etiquette」やシングルカットもされた「Smash It Up」、MC5のカバー「Looking At You」のような疾走パンクチューンも存在するものの、全体的にはそれまで以上にキャッチーさ、ポップさが強まっています。そういった意味では、すでにデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977年)のTHE DAMNEDとは別モノなのかもしれませんね。

その象徴的な楽曲が、「I Just Can't Be Happy Today」や「Anti-Pope」などといったところでしょうか。さらに「These Hands」あたりでは60年代のガレージ・サイケのようなテイストも見受けられ、のちのゴシックロック路線へと通ずるヒントがこの時点で見つけることができます。特に「Plan 9 Channel 7」あたりは、そのプロトタイプと言えなくもないのかなと。オルガンを随所にフィーチャーすることで、不思議とサイケデリック感が強まっているような印象も受けますが、実はこの音色こそ本作のポップ度を高める隠し味になっているのではないでしょうか。

前のめりなパンクチューン「Noise, Noise, Noise」にはTHE CLASHからジョー・ストラマー&トッパー・ヒードンがコーラスで参加。さらに「Machine Gun Etiquette」ではジョー&ポール・シムノンがハンドクラップで華を添えています。思えばTHE CLASHもこの頃は『LONDON CALLING』(1979年)にて、純粋なパンクロックから脱却し始めた時期。SEX PISTOLSを除くオリジナルパンク勢がブームの鎮火を経て、新たなステージへと進む過程がそれぞれ感じられる作品をそれぞれ発表していたことを考えると、非常に興味深いものがあります。こと、イギリスに関してはパンクロックに取って代わるように、アンダーグラウンドからは新たなメタルの波が押し寄せようとしていたタイミングですしね。

今聴いても冒頭2曲のメドレー風つなぎはカッコいい。話題は逸れますが、かのマイケル・モンローがライブでこの2曲を間髪入れずに続けて演奏していましたが、あのメドレー風構成こそが本作の掴みにおける醍醐味。気になる方はぜひマイケル・モンローのライブアルバム『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』(2010年)にて確認してみてください。

 


▼THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』
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2021年1月17日 (日)

PATTI SMITH GROUP『EASTER』(1978)

1978年3月にリリースされたパティ・スミスの3rdアルバム(PATTI SMITH GROUP名義でのリリース)。

本作からはブルース・スプリングスティーンとの共作「Because The Night」が全米13位/全英5位の大ヒットシングルが生まれ、アルバム自体も全米20位/全英16位まで上昇。パティ・スミスを一段上のステージへと引き上げる、代表作のひとつとなりました。

ジョン・ケイル、ジャック・ダグラスが手がけた初期2作はガレージロックやハードロック色が漂う作風でしたが、今作ではそこにパンキッシュな色合いが加わることで、のちにパティ・スミスが“パンクロックの女王”と呼ばれるようになるきっかけを作ります。「Rock N Roll Nigger」のような直線的なパンクロックも存在しますが、本作におけるパンキッシュさは「Space Monkey」や、「Rock N Roll Nigger」の序章といえる「Babelogue」などから垣間見える呪術的な歌唱スタイルによるものが強いのかなと。「Babelogue」などで聴けるポエトリー的な歌唱スタイルはデビュー作『HORSES』(1975年)の時点から存在していたものですが、初期のそれはもうちょっと知的さが強かったような。それと比べると、今作でのポエトリーはより開放的な側面が強まり、そのエネルギッシュさこそパンクロックの根源なのでは……本作を聴くと、そう思わずにはいられません。

かと思えば、先の「Because The Night」のようにエモーショナルな楽曲も存在する。スプリングスティーン自身のセルフカバーもあれば、10,000 MANIACS、CASCADA、GARBAGE、マイケル・スタイプ(R.E.M.)、BON JOVIなどさまざまなアーティストが音源やライブでカバー。パンククラシックというよりは(作風的にも)ロッククラシックと呼ぶにふさわしい1曲と言えるでしょう。この曲と同時に「Rock N Roll Nigger」みたいな曲も並列して存在するあたりが、本作最大の魅力ではないでしょうか。

で、その2曲をつなぐかのように、間には民俗音楽的なアコースティックナンバー「Ghost Dance」が居座っており、ほかにもスローバラード「We Three」、ダルなゴリゴリのガレージロッ組曲「25th Floor」「High On Rebellion」などバラエティに富んだ楽曲で固められている。サウンド的なパンクではなく、精神性でのパンクを表現した本作は、「パンクロックとは何か?」を考える上で改めて重要な1枚のような気がします。

若い頃は見過ごしていた気づきが、この年齢になったからこそいろいろ発見できる。と同時に、大人になるにつれて失ったものにも気づかせてくれる。歳を重ねるたびに聴くと、その感じ方の変化が大きい生き物のような怪作です。

 


▼PATTI SMITH GROUP『EASTER』
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2021年1月16日 (土)

IGGY POP『LUST FOR LIFE』(1977)

1977年8月にリリースされたイギー・ポップの2ndアルバム。

THE STOOGES解散後、デヴィッド・ボウイのサポートを経て『THE IDIOT』(1977年)にてソロデビューへとこぎつけたイギー。同作から5ヶ月という短いスパンで発表されたソロ2作目は、当時の勢いをそのまま凝縮したかのような傑作に仕上がっています。

『THE IDIOT』はボウイの単独プロデュースだったものの、今作ではイギーもプロデューサーに名を連ねています。また、ソングライティング面でも前作は全曲ボウイ/イギーの共作としてクレジットされていましたが、今回は作詞の大半をイギーが、作曲では「Lust For Life」や「Tonight」をボウイが単独で、「Sixteen」ではイギーが単独で手がけており、リッキー・ガードナー(G)による「The Passenger」などあるものの、それ以外はボウイがほかのソングライターと共作したもので占められています。

前作ではダークさやダルさなどニューウェイヴ感が随所から感じられましたが、本作ではちょっと突き抜けた感が全体を覆っており、そのへんが当時のボウイのカラーだったのかなと。そういう意味では、イギーの持ち味とボウイの持ち味が程よい加減でミックスされた、奇跡的なバランス感の1枚と言えるでしょう。

とにかく、キャッチーな楽曲が多いのが本作の特徴。映画『トレインスポッティング』を機に、一気に知名度を高めたタイトルトラック「Lust For Life」のポップさ。あのモータウン調のドラムビート含め、すべてがキャッチーなんです。ほかにも、イギーのライブには欠かせない「The Passenger」や、「Lust For Life」にも匹敵するキャッチーさの「Some Weird Sin」に「Success」、のちにボウイが自身のアルバム『TONIGHT』(1984年)でセルフカバーする「Tonight」や「Neighborhood Threat」、豪快でカッコいいロックンロール「Sixteen」、ソウルフルさが際立つ「Turn Blue」「Fall In Love With Me」と捨て曲ゼロ。これを怪作『THE IDIOT』とほぼ同時期に仕上げてしまったイギーとボウイの創作欲たるや、お見事としか言いようがありません。

THE STOOGESの(当時の時点での)ラスト作となった『RAW POWER』(1973年)、初ソロ作『THE IDIOT』、そして本作と3作続けてボウイとのコラボレーションを続けたイギーですが、続くソロ3作目『NEW VALUES』(1979年)ではジェームス・ウィリアムソン(G/THE STOOGES)と再びタッグを組んで混沌とした世界へと舞い戻っていきます。以降もたびたびボウイとのコラボは実現していますが、本格的なプロデュースという点においては、ここから9年後の『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)まで待たねばなりません。そして、そのアルバムこそ自分がリアルタイムで初めて触れたイギーの作品。これが正しかったのか、間違っていたのかは今でもわかりませんが……。

 


▼IGGY POP『LUST FOR LIFE』
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2021年1月15日 (金)

RAMONES『RAMONES』(1976)

1976年4月発売の、RAMONESの1stアルバム。日本盤は『ラモーンズの激情』という邦題で知られています。

Wikipediaによると、「ニューヨーク・パンクのシーンにおいてはパティ・スミスに続きレコード契約を得たアーティスト」と記されています。このRAMONESのアンダーグラウンドシーンでの台頭が、ロンドンパンクのSEX PISTOLS誕生の引き金となったなんて言われていますが、本作を聴くとそれも納得の内容/仕上がりだと断言できるでしょう。

すべての楽曲が1〜2分台というコンパクトなショートチューンで、シンプルな3コードをベースにしたアップテンポのロックンロールが中心。全14曲で約29分という潔い内容は、のちのパンクロック作品に大きな影響を与えることになります。パンクロックといっても、のちのハードコア的な攻撃性やハードさ、タフさはあまり感じられず、むしろGREEN DAY以降のポップパンクの下地と言えるようなキャッチーさが備わった楽曲がずらりと並びます。

オープニングを飾る「Blitzkrieg Bop」のシンガロング、親しみやすいメロディはバブルガムポップのそれに通ずるものがあるし、「I Wanna Be Your Boyfriend」の流麗な歌メロ、「Chain Saw」で耳にする“ウーワー”コーラスなんて60年代のポップソングのそれですしね。曲冒頭での「1、2、3、4!」ってカウントや、ハードロックのそれとも異なるパワフルなギターリフやパワーコードにこそパンクロックの無軌道な勢いを強く感じますが、実は楽曲自体は非常によく作り込まれた王道ポップチューンという事実。これこそが、RAMONESが(音楽的にも)長きいわたり愛され続ける要因かもしれません。

USパンクの第1世代と言えるイギー・ポップ率いるTHE STOOGESというよりは、同じく50〜60年代のポップスを下地にしたグラマラスなNEW YORK DOLLSにより近い存在。それがRAMONESのスタートだったのではないでしょうか。このシンプルでキャッチーなロックンロールスタイルを最後まで崩さなかったからこそ、彼らは信頼され、愛され続けた。それがよくわかる原点の1枚だと思います。

RAMONESの真の凄みを味わいたければ、スタジオアルバムではなくてライブアルバムから入るのがベストですが、楽曲の良さをじっくり堪能したければ、まずはこのデビュー作から聴くのが一番。基本的にはどのアルバムも一緒っちゃあ一緒ですが(アルバムを重ねるごとに進化するポイントも生まれますが)、だからこそまずはこの1stアルバムから聴くのが正しいのかな。そんな気がします。

結局RAMONESは90年代前半に数回観たっきりでしたが、それでもあの凄さを毎回クラブチッタクラスのハコで味わえたのは、今となってはいい思い出です。

 


▼RAMONES『RAMONES』
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2021年1月14日 (木)

IAN HUTER『IAN HUNTER』(1975)

1975年4月にリリースされたイアン・ハンターの初ソロアルバム。

1974年末にMOTT THE HOOPLEを脱退したイアンは、同時にバンドを離れたミック・ロンソン(G)とともにソロ活動を開始。MOTT在籍時はスタジオ作品に参加することのなかったロンソンでしたが、ここからハンター/ロンソンのタッグが長きにわたり続いていくことになります。

プロデュースはハンター/ロンソンが担当し、レコーディングにはのちにFOREIGNERに加わるデニス・エリオット(Dr)、ミックの古い友人ジェフ・アップルビー(B)などが参加。イアンはボーカルやピアノのみならず、ギターも担当し、ミックもリードギターのほかオルガンやメロトロン、ベースなども弾いているようです。

ソングライティング面では1曲(「Boy」)のみハンター/ロンソンの共作ですが、それ以外はすべてイアン単独で書かれたもの。MOTT THE HOOPLEっぽさもあれば、ミックのソロやグラムロック期のデヴィッド・ボウイっぽさもある楽曲/サウンドは、グラムロックというよりは無駄を削ぎ落としたシンプルなロックという印象が強いものかもしれません。オープニングを飾る「Once Bitten, Twice Shy」なんてグラムを通り越した王道ロックンロールの風格が漂っていますしね。続く「Who Do You Love」も、どこかMOTTっぽさはあるものの、やっぱりもっとソリッドなロックンロールという印象かな。

かと思えば、ミックの本領発揮と言いたくなる9分近い大作「Boy」はグラム前夜のボウイを彷彿とさせるし、続く完全アコースティックナンバー「3,000 Miles From Here」はそのボウイも憧れたボブ・ディランっぽさすら感じさせる。そして、生き生きとしたミックのギターを堪能できるハードチューン「The Truth, The Whole Truth, Nuthin' But The Truth」……結局、どれも2人が過去に在籍したバンドの色を漂わせるも、実はオリジナリティの強いものばかりという事実を再認識させられます。

イアン・ハンターのボーカルもバンド時代以上に“太さ”を感じさせるし、ミック・ロンソンのギターに関しては……この人は自分が中心になるよりも、カリスマ的フロントマンの隣に立ってこそ本領を発揮するんだってことに気づかせてくれる。イアンの1stソロアルバムではあるものの、実は本作ってハンター/ロンソンというデュオによる鮮烈なデビューアルバムと呼ぶほうが正しいんじゃないんでしょうか。

なお、本作は本国イギリスで21位、アメリカでも最高50位を記録。シングルカットされた「Once Bitten, Twice Shy」は全英14位まで上昇しますが、実はこの曲ってGREAT WHITEが1989年にカバーしたバージョンのほうが原曲よりヒットしているんですよね(GREAT WHITEバージョンは全米5位という、キャリア最大のヒットを記録)。カバーからこの曲を知ったというリスナーも、実は多いかもしれませんね。

ボウイが好き、MOTTが好きってリスナーなら確実に気に入るであろう本作。そんなライトな気持ちで触れてみたら、僕のようにその深みにどっぷりハマってしまった……きっと本作の魅力に気づいてもらえるはずです。

 


▼IAN HUTER『IAN HUNTER』
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2021年1月13日 (水)

SWEET『DESOLATION BOULEVARD』(1974)

1974年11月にイギリスで発売されたSWEETの3rdアルバム。アメリカでは翌1975年7月にリリースされています。

本国イギリスではシングルヒットこと連発させていたものの、アルバムとしては前作『SEET FANNY ADAMS』(1974年)が最高27位まで上昇したものの、以降ランクインせず。ところが、本作に関してはアメリカで最高25位を記録し、50万枚以上ものヒットにつながりました。

実は本作、本国UK盤(RCA盤)とUS盤や日本盤(Capitol盤)とでは一部収録曲が異なります。現在ストリーミングサービスで流通しているのは後者で、僕が慣れ親しんだのも後者なので、今回はわかりやすい選曲の後者について触れていきます。

いわゆるグラムロックと呼ばれるジャンルが衰退し始めた1974年前後、これと代わるようにイギリスではQUEENが人気を獲得し始めます。骨太なハードロックサウンドにグラマラスな要素を乗せることで、それ以前の旧世代ハードロックにはなかった斬新さを確立させたわけですが、このSWEETのサウンド/楽曲もその延長線上にあると言えるでしょう。

本作には「Ballroom Blitz」(全英2位/全米5位)や「Fox On The Run」(全英2位/全米5位)、「The Six Teens」(全英9位)などのシングルヒットが含まれているほか、「Sweet F.A.」や「Set Me Free」などハードロック系アーティストにカバーされる機会の多い楽曲が多数含まれています。「Ballroom Blitz」や「Sweet F.A.」なんて完全にハードロックのそれですし、「Set Me Free」の疾走感もハードロックのそれ、「Fox On The Run」なんてポップソングと呼んでも差し支えのないキャッチーさが備わっていますし。そりゃ売れますわな。

しかも、「The Six Teens」や「Sweet F.A.」などで耳にすることができる多重コーラスや、複雑なアレンジを持つ楽曲展開などはQUEENの影響下にあると言えるもの。「Into The Night」のギターオーケストレーションも、ブライアン・メイのそれですしね。サウンド的にはこれをグラムロック的と括ることはできませんが、もし初期のQUEENを(ビジュアルのみならず)グラムロックの枠に収めるのならば、このSWEETも確実にそっち側に属するということになるんでしょう。

でもね、初めて彼らの音に触れた高校生時代の自分はこのアルバムのこと、グラムロックという認識ではなくて「QUEENに影響を受けたブリティッシュハードロックバンド」と捉えていたんです。いや、もっと言えば「THE WHO始まり、QUEEN経由の英国ハードロックバンド」という認識かな。だって、そういう音じゃなですか。当時はバンドの背景とか、そのへんよく知りませんでしたもものね。今ならインターネットですぐ調べられるし、こういう個人サイトもあるし(笑)。本当便利な世の中になりましたね。

でも、それと同時にカテゴライズがより複雑になっているのも事実。やれグラムロックだ、やれハードロックだ、やれバブルガムポップだ……ぶっちゃけ、そんなのどうでもいいんですよ。聴いた人にとってどう思ったかが正解。現在の僕にとってのSWEETやこのアルバムは「グラムロックの延長線上にいるハードロックバンド」くらいの存在。それで十分ですし、だからといってこのアルバムへの評価が揺らぐことはないですからね。

SWEETの入門編としては、ベストアルバムが一番いいと思うんです(笑)。だって、ここに収録されてない(DEF LEPPARDなどのカバーでおなじみの)「Action」や、POISONカバーした「Little Willy」、MOTLEY CRUEのあの曲の元ネタなんてささやかれた「Hell Raiser」など、名曲満載ですからね。それで気に入ったら、オリジナルアルバムとしては本作から入るのが妥当かなと思います。

 


▼SWEET『DESOLATION BOULEVARD』
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«MICK RONSON『SLAUGHTER ON 10TH AVENUE』(1974)

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