ビートルズの初期作品を振り返る①(1963年編)
これまでもTHE BEATLESのオリジナルアルバムを当サイトで紹介してきてはいますが、それは大半が後期作品に関して。初期の作品に関してはあまり積極的に扱ってはきませんでした。そこに対して特に大きな理由があるわけではないのですが、なんとなく避けてしまっている自分もいまして(これ、ストーンズに関しても同様なんですよね)。
というわけで、今回から数回に分け不定期にてビートルズの初期作品、『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』(1967年)前後までで扱ってこなかった作品をリリース年ごとに、ひとつのエントリー内で紹介できればと思います。特に最初の3年はオリジナルアルバムを年2枚発表しているので、文字量的にもちょうどいいかなと思いまして。
記念すべき第1回はデビュー翌年の1963年リリースの2作品についてです。
THE BEATLES『PLEASE PLEASE ME』(1963)
記念すべきビートルズ1stアルバム。本国イギリスで1963年3月22日発売。
1962年に「Love Me Do」でメジャーデビュー、その翌年初頭に「Please Please Me」が全英2位まで上昇した結果、初のアルバムは全英1位を見事獲得します。
「Love Me Do」や「Please Please Me」「P.S. I Love You」といったオリジナルのヒットシングルは含まれているものの、全14曲中6曲がカバー曲。パブやライブハウスでどさ回りしていた時期に披露していたカバー曲も多く、中でも「Twist And Shout」はオリジナル超えの1曲と言えるのではないでしょうか。
「I Saw Her Standing There」から勢いよく始まるものの、その後はソウルやR&Bを下地にしたミディアムナンバーを軸に展開。オリジナルの「Misery」からカバー曲「Anna (Go To Him)」への流れも自然だし、そこから数曲のカバーと「Ask Me Why」を経て「Please Please Me」へと到達するアナログA面の流れは圧巻の一言。まさにベスト級の中盤締めくくりだと思います。
後半は「Love Me Do」で若干ソウルフルさを見せ、「P.S. I Love You」「Baby It's You」と穏やかな空気を作って、歌や演奏をじっくり聴かせる形に。だからこそ、終盤の「There's A Place」からラスト「Twist And Shout」への構成がより映えることに。14曲と聞くとボリューミーに感じられるものの、1曲1曲が2分前後とコンパクトなので、トータル32分が一瞬に感じられるほどです。イマドキのアルバムで考えたら半分程度の尺ですものね。
自分の中で好きなビートルズの時期はコロコロ変わるんですが、それでもこの1stアルバムは常にお気に入り。ロックの教科書レベルの、まさしくお手本といったところでしょうか。
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THE BEATLES『WITH THE BEATLES』(1963)
イギリスで1963年11月22日にリリースされたビートルズの2ndアルバム。
1stアルバム『PLEASE PLEASE ME』以降、「From Me To You」や「She Loves You」とNo.1ヒットシングルを連発。その勢いを受けて発表された2作目のアルバムにはこれらのヒット曲は一切収録されず、全14曲中オリジナル8曲s、カバー6曲という前作と同じ構成。ちなみに、このアルバム発売の翌週には「I Want To Hold Your Hand」がシングル発売されており、こちらも当然全英1位を獲得しています。
前作ではオリジナルとカバーがバランスよく並べられていましたが、本作では冒頭5曲がオリジナル曲。しかも4曲目にはジョージ・ハリスン初のオリジナル曲「Don't Bother Me」まで収録されています。また、頭2曲がジョン・レノン歌唱曲というのも、本作のロックンロール度を高める結果につながり、さらにポール・マッカートニーによる「All My Loving」まで怒涛の構成と言えるのではないでしょうか。
中盤に「Please Mr. Postman」「Roll Over Beethoven」といった定番カバーが良い味を出しており、さらに後半には「You Really Got A Hold On Me」というスタンダードも用意されている。そこからミック・ジャガー&キース・リチャーズ(THE ROLLING STONES)が提供したリンゴ・スター歌唱曲「I Wanna Be Your Man」へと続く構成といい、ゾクゾクする流れが構築されています。そして、ラストナンバーは定番カバー「Money (That's What I Want)」。完璧な1枚ですし、そりゃシングル曲がなくてもNo.1は獲得しますよね。
完成度的には前作以上なのですが、シングル曲がひとつも含まれていないこともあってか、セールスは前作より若干劣る結果に。それでもバンドとしての勢いは尋常じゃないものがあるし、ここからどう化けていくのかが楽しみになる1枚ではないでしょうか。
▼THE BEATLES『WITH THE BEATLES』
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