2018年5月 5日 (土)

THE ROLLING STONES『BEGGARS BANQUET』(1968)

今から半世紀(50年)前の作品なんですね……今聴いてもそんな感覚を受けないのは、単にここ30年くらい聴きまくって慣れてしまったからなのか、それとも自分の耳がおかしいからなのか……。

1968年12月に発表された、THE ROLLING STONE通算7枚目(イギリスにて/アメリカでは9枚目)のスタジオアルバム。前作『THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST』(1967年)で試みたサイケデリック路線がひと段落し、次の一手が待たれていた1968年5月、バンドはその後50年にわたり演奏し続けることになる名曲中の名曲「Jumpin' Jack Flash」をシングルリリースします。全英1位、全米3位という好成績を残したこの曲を起点に、再びロックンロール路線へと回帰していった彼らが黒人音楽へと再度接近します。

よりアメリカ南部的サウンドへと寄ったサウンドは、全体的にアコースティックの香りが強いもので、70年代前半の諸作品と比較すると非常に落ち着いた作風。が、どこか狂気じみた世界観が展開されているのも本作の魅力であり、それはオープニングを飾る「Sympathy For The Devil」や「Street Fighting Man」のような楽曲から強く感じ取れるはずです。

とにかく1曲目の「Sympathy For The Devil」から強烈。ドラムではなくパーカッションによるビートが全体を引っ張り、そこに切り込むキース・リチャーズ(G)の鋭いギターソロは、どこかハードロック的。かと思うと、ブライアン・ジョーンズのスライドギターが良い味を出しているブルースナンバー「No Expectations」や、ミック・ジャガー(Vo)とキースのハーモニーが絶妙なカントリーナンバー「Dear Doctor」、アコギとスライドギター、ハーモニカの相性も抜群なブルース「Parachute Woman」など、とにかく全体的にブルーステイストに満ち溢れています。

かと思うと「Street Fighting Man」みたいなアンセミックな楽曲があったり、70年代のストーンズのプロトタイプ的な「Stray Cat Blues」や、序盤をキースがメインに歌う「Salt Of The Earth」といった印象的な楽曲が含まれていたりと、とにかく粒ぞろい。

全体を通して聴いたときの印象はどこか地味なんだけど、それはエレキよりもアコギの印象が強いからかもしれません。しかし、その味付けが功を奏し、60年代後半の不安定な世の中を表現しているように感じ取ることもできたりで。とにかくあの時代にもっともフィットした1枚かもしれません。

そして、60年代末から70年代へと続く狂騒への入り口となった、忌まわしき1枚とも言えるかもしれません。ストーンズがバンドとして一歩大人に近づいた、歴史的にも重要な作品です。



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投稿: 2018 05 05 12:00 午前 [1968年の作品, Rolling Stones] | 固定リンク

2018年1月 8日 (月)

THE BEATLES『THE BEATLES (THE WHITE ALBUM)』(1968)

1968年11月に発表された、THE BEATLES通算10作目のオリジナルアルバム(のちに公式作品化された『MAGICAL MYSTERY TOUR』を除くと9枚目)。彼らにとって初の2枚組作品で、全30曲が93分にわたり収録されています。また、ジョン・レノンポール・マッカートニーの楽曲のみならず、ジョージ・ハリスンが4曲、リンゴ・スターも1曲書き下ろしており、特にレノン&マッカートニーとハリスンノ個性が色濃く表れた意欲作、いや、異色作に仕上がっています。

「ホワイト・アルバム」の愛称で知られる本作は、オリジナルアルバムでいうと前作『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』の次の作品ということで、タイミング的にはライブ活動を停止してスタジオワークに没頭していた時期。前作はロックバンドのフォーマットにこだわらない、サイケデリック感を強調したポップアルバムでしたが、今作ではロックバンド感が復活。冒頭の「Back In The U.S.S.R.」や「Birthday」はライブを想定したかのようなドライブ感を味わえます。かと思えば、「Happiness Is A Warm Gun」みたいに1曲の中に複数の楽曲が存在するかのようなアレンジのロックチューンがあったり、「Helter Skelter」のようなハードロックまで存在する。もう、本当にやりたい放題。才能の爆発ってこういうことを言うんでしょうかね。


(本作収録の「Revolution 1」とはバージョンが異なりますが、同時期の作品ということで)

もちろん、ポップな楽曲も健在で、ポールによる「Ob-La-Di,Ob-La-Da」「Blackbird」、ジョンによる「Julia」みたいな楽曲もある。かと思うと、完全なるコラージュナンバー「Revolution 9」があったりで、もう支離滅裂。アルバムとしての構成がどこまで生かされているのか、怪しいったらありゃしない。

そんな中で、個性を一気に開花させているのがジョージ。エリック・クラプトンをリードギターに迎えた「While My Guitar Gently Weeps」や美しいアコースティック感とサイケデリックさが混在する「Long, Long, Long」など、オリジナリティあふれる楽曲を多数用意し、レノン&マッカートニーの暴走に追いつこうとしています。

いわゆるシングルヒットナンバーは皆無だし(国によっては「Ob-La-Di,Ob-La-Da」と「While My Guitar Gently Weeps」が両A面でシングルカットされたようですが)、全部を理解しようとすると頭が混乱するけど、実は過去50〜60年のロック史/ポップミュージック史のすべてがここに凝縮されているんじゃないか、ここに青写真が存在するんじゃないかと思うわけで。誰も彼もが好き放題すればこれができるってわけではないし、もちろん狙って作れるものでもない。あの時代に、あの4人の個性が爆発したからこそ奇跡的に生まれた。そんないびつな作品集なんじゃないでしょうか。



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投稿: 2018 01 08 12:00 午前 [1968年の作品, Beatles, The] | 固定リンク

2017年12月26日 (火)

BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANY『CHEAP THRILLS』(1968)

昨日のGRETA VAN FLEETを聴いているとき、あるアーティストのことを思い浮かべました。それが今回紹介するジャニス・ジョプリン。彼女がBIG BROTHER & THE HOLDING COMPANYやKOZMIC BLUES BANDでやっていたことが、実はLED ZEPPELINよりも近いんじゃないかと。そういう意味では、THE BLACK CROWESとジャニスの中間くらいに位置するんじゃないでしょうか。

ということで、久しぶりに引っ張り出したこのアルバム。1968年という、ほぼ半世紀前(!)のアルバムです。ジャニスはこのBIG BROTHER & THE HOLDING COMPANYのシンガーとして、前1967年にバンド名と同タイトルのオリジナルアルバムでデビュー(当初はインディーズからのリリースで、のちにメジャーで再発)。続く本作『CHEAP THRILLS』で正式にメジャーデビューを果たし、全米1位を獲得するほどの大ブレイクを果たします。

非常にライブ感の強いアルバムで、オープニングの「Combination Of The Two」なんて完全にスタジオライブ音源なんじゃないかと。その思いに拍車をかけるのが、「Summertime」のカバー。ジャズのスタンダードとして知られるこの曲をブルースロック調にアレンジし、そこにジャニスのファルセットを効かせたセクシーなボーカルが乗る。完璧としか言いようがない名演じゃないでしょうか。

また、本作にはほかにも「Piece Of My Heart」「Ball And Chain」といったカバー曲が収録されており、それらは彼女の代表的ナンバーとして知られています。特に後者はのちのライブアルバムなどでのおなじみかもしれませんね。本作でもこの曲のみライブテイクで収録されており、10分近い名演を楽しむことができます(観客の声援が入っているのでおわかりですよね)

このアルバムを聴くと、一度でいいから生でジャニスの歌を体験したかったと思う人は少なくないはず。そんなこと、絶対に叶いっこないと知っていながらも、そう願わずにいられなくなる。そんな優れものの名作です。現行のCDはボーナストラック4曲が追加されていますが、オリジナルリリースは全7曲(A面4曲、B面3曲)で40分欠けるくらいの長さというのも聴きやすくて良かった。いや、この濃厚な内容なんだもん、それくらいの長さでちょうどいいんですよね。

ジャニスのカタログとしては、のちの復刻版などを除けば、このあとにKOZMIC BLUES BAND名義でのアルバム(1969年)、そして死後の1971年に発表されたソロアルバム『PEARL』のみ。まあ、その『PEARL』も未完成のまま強行リリースされたものですけど。とにかく、彼女の凄みを味わいたいなら、まずはこの『CHEAP THRILLS』を入り口にしてみてはどうでしょう。



▼BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANY『CHEAP THRILLS』
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投稿: 2017 12 26 12:00 午前 [1968年の作品, Big Brother and the Holding Company, Janis Joplin] | 固定リンク

2004年8月20日 (金)

とみぃ洋楽100番勝負(1)

 つーわけで、勝手に始めた自己満足&自虐コーナー。俺が生きてきた33年間に、俺自身にいろいろ影響を与えた洋楽の楽曲にスポットを当てて語るという、そんなコーナーです。

 ま、そのうちにラジオのネタにでもなりそうな予感もなきにしもあらずですが。

 つーわけで、第1回目は俺の洋楽童貞を奪った、THE MONKEES。

●第1回「Valleri」 THE MONKEES ('68)

 邦題は確か「すてきなヴァレリー」だったような記憶が。つーか今手元に音源がないんでアレですが(アナログしか持ってないのよ、モンキーズは。しかも小学生当時に買ったやつな。実家に置きっぱなしだし)、数あるモンキーズの代表曲の中でも最も好きな曲はと問われれば、"Daydream Believer" ではなくこの曲を挙げたいと思います。

 やっぱりイントロのフラメンコ風フレーズとちょっとサイケな雰囲気が(勿論小学生当時はサイケなんて言葉、知りませんでしたが)たまらない、最高にイカすポップロック。当時ビートルズもストーンズも知らなかった俺からすれば、間違いなく「世界一カッコいいロックグループの、最高にカッコいいロックチューン」に君臨してた1曲。

 で、ちょっと前に聴く機会があったけど、やっぱり今聴いてもカッコいいんだよね。アルバムだとサードアルバム「BIRDS, BEES & THE MONKEES」に入ってるみたいだけど(これがオリジナル4人でのラスト作)、個人的にはヒット曲が網羅されたベスト盤から聴いてもらった方がいいと思うよ。

 これが俺の原点。別に恥ずかしくもないし、隠すことでもない。堂々と胸張って自慢したいと思います。



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投稿: 2004 08 20 01:00 午前 [1968年の作品, Monkees, The, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック