カテゴリー「1970年の作品」の12件の記事

2020年12月25日 (金)

MOUNTAIN『CLIMBING!』(1970)

1970年3月にリリースされたMOUNTAINの1stアルバム。

MOUNTAINはレスリー・ウェスト(Vo, G)、CREAMのプロデューサーとして知られるフェリックス・パパラルディ(Vo, B)、N.D.スマート(Dr)、スティーヴ・ナイト(Key)の4人で結成されたアメリカのハードロックバンド。もともとはレスリーのソロアルバム『MOUNTAIN』(1969年)にフェリックスとN.D.が参加したことを機に活動がスタートしたもので、バンドとして動き出した直後にドラマーがコーキー・レイングに交代し、このデビューアルバムが制作されることになります。

MOUNTAINというと、本作にも収録されシングルヒットした「Mississippi Queen」しか知らないというリスナーも少なくないのでは。かくいう私もこれ1曲しか聴いたことがなかったし、アルバムも特に手を伸ばしてこなかったので、レスリーが亡くなったと知ったこのタイミングに「せめてオリジナルアルバム1枚くらいは……」と思い、この代表曲を含むデビューアルバムを聴くことにしました。

まず、バンドメンバーのクレジットからもわかるように、「Mississippi Queen」を歌うレスリーのみがリードシンガーかと思えば、9曲中3曲がレスリーのリードVo曲で1曲がインスト、それ以外は2曲がフェリックスのリードVo曲で、残り3曲がレスリー&フェリックスのツインVo曲という。アルバムを通して聴いてみるとこのフェリックスのでしゃばりが、良くも悪くもバンドの個性を弱めているような印象を受けました。だって、「Mississippi Queen」や「Never In My Life」で聴けるレスリーのパワフルなボーカルは唯一無二のものであり、ほかの何者にも代えがたい存在だと思いますし、それを差し置いて自分も歌おうと思ったフェリックスという人間の神経がちょっと信じがたいところがあるんですよ。

もちろん、複数のシンガーが存在することで多彩さを見せることはできると思うし、タイミング的には「CREAMに対するアメリカからの回答」と受け取ることもできる。でも、このバンドはCREAMというよりも自国のジミ・ヘンドリクスに対する回答だったんじゃないかなと。だからこそ、レスリーという稀有なシンガー&ギタリストの存在感をもっと前に出すべきだったんと思うんです。勿体ないなあ。

なんてことを書いておりますが、アルバム自体は非常に楽しめました。この時代ならではの空気感が伝わってくる音像やプレイスタイルは言わずもがな、なによりもメロディが非常にわかりやすい。個人的にはGRAND FUNKよりも好みかもしれません。

ちなみに、フェリックスが歌う「Theme For An Imaginary Western」は彼自身がプロデュースを手がけたCREAMの、ジャック・ブルースがソロアルバム『SONG FOR A TAILOR』(1969年)のために書いた曲のカバー。このアルバムもフェリックスがプロデュースを担当しているので、まあ……あれですね、一丁噛みが過ぎると言いますか(苦笑)。

このまま別のアルバムも聴き進めるかどうかは……余裕ができたらにしたいと思います(笑)。あ、せっかくなので本作の前に出たレスリーのソロアルバムを先に聴いてみようかな?

 


▼MOUNTAIN『CLIMBING!』
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2020年12月22日 (火)

PAUL McCARTNEY『McCARTNEY』(1970)

1970年4月にリリースされたポール・マッカートニーの1stソロアルバム。

ジョン・レノンの内々での脱退表明(1969年秋)により、ほぼ解散確定となったTHE BEATLES。残されたアルバム『LET IT BE』(1970年)の追加レコーディング(1970年初頭)をジョン抜きで行うのと前後して、ポールは初のソロアルバムの準備に取り掛かります。

ビートルズの喪失という彼にとって非常に大きな影を落とすことになった出来事が影響してか、本作で表現されているサウンドや楽曲は非常に内省的で落ち着いたトーンのものばかり。バンドという形態をとらずに、すべての楽器をポールひとりで担当したというのも、その孤独さを体現するのにぴったりだったのかもしれません。

もちろんポールらしいポップさは随所に感じられますが、突出した特別な1曲というのは終盤に配置された「Maybe I'm Amazed」くらいか。「Oo You」などいかにも彼らしいロックナンバーも収録されているものの、いかんせん地味さが優っており、『LET IT BE』や『ABBEY ROAD』(1969年)からの流れ(制作順。リリースは『ABBEY ROAD』〜『McCARTNEY』〜『LET IT BE』の順)で聴くと精彩さに欠ける印象も受けます。全13曲中5曲がインストナンバー、かつアコースティックベースの穏やかな楽曲が多いこともそういったイメージに拍車をかけているのかもしれません。

ただ、人間関係のもつれで終焉を迎えたビートルズから解放された感も伝わる1枚でもあり。自身ですべてのソングライティング/演奏を手がけたトータルプロデュースはジョンとのコンビ時代にはなし得なかったことで、そういった鬱憤が一気に爆発した結果、やりたいことを全部やったら意外と地味だったということなんでしょうね。シングル曲皆無ですし、今でもほぼ必ず演奏される名曲「Maybe I'm Amazed」を除いてはライブで披露される機会もあまりない楽曲ばかりですが、ポールのソロがここから始まったという意味では非常に重要な1枚と言えるでしょう。また、のちの宅録系アーティストの先駆者的存在としても、本作は歴史に名を残すべき1枚なのかもしれませんね。

そんな作品が、周囲からの期待の大きさもあって全米3週連続1位という結果を残したのも興味深いところ(イギリスでは2位止まり)。シングルヒットなしでこの成績というのも、当時の注目度の高さが伺えます。

 


▼PAUL McCARTNEY『McCARTNEY』
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2019年1月13日 (日)

THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)

イギー・ポップ率いるTHE STOOGESが1970年夏に発表した、通算2作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはイギー(Vo)、ロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟とデイヴ・アレクサンダー(B)のオリジナル編成にスティーヴ・マッケイ(Sax)を加えた5人編成。ちなみにデイヴが1975年、ロンが2009年、スコットが2014年、スティーヴが2015年にそれぞれお亡くなりになられています。

デビューアルバム『THE STOOGES』(1969年)はかろうじて全米106位まで上昇するものの、本作はチャートインすらせず。THE STOOGES名義で発表されたアルバム5作品のうち、本作だけがBillboard 200(アルバムチャート)に一度も入らなかったんですが、そんな記録とは一切関係なく、本作は非常に素晴らしいロックアルバムであり、個人的にも彼らの作品中もっともお気に入りの1枚です。そもそも、最初に聴いたTHE STOOGESのアルバムが本作でしたから。

前作はTHE DOORSの影響下にある、サイケデリックなガレージロックという印象でしたが、いよいよ今作でパンクロックの元祖的なアバンギャルドさ、アグレッシヴさが増していきます。パッションとエネルギーの塊のような「Down On The Street」「Loose」「T.V. Eye」という冒頭3曲でまずノックアウトされると、前作でのスタイルをより強化させたスローでヘヴィな「Dirt」へと続いていく。

で、後半は「I Feel Alright」というタイトルでも知られる「1970」からスタート。ここでようやくスティーヴのサックスが加わってきます。その延長線上にある(というより、組曲のように続いているようにも感じられる)「Fun House」で8分近いセッションが繰り広げられ、ラストにノイジーで狂気じみた「L.A. Blues」で幕を降ろす。たった7曲、40分にも満たない本作ですが、前作ではまだまだ薄かったキチガイっぷりが顔を出し始めます(とはいえ、本作ではその要素も6割程度といったところで、本領発揮されるのはステージの上になるわけですが)。

ハードロックファン的にはHANOI ROCKSがライブでカバーした「I Feel Alright」がもっとも親しみやすいかもしれません(実際、僕もそれがあってまず本作を聴いたのです)が、先に挙げた冒頭3強のほうが実は入っていきやすいんじゃないでしょうか。それに加え、同じコード進行で延々ジャムが進む「Fun House」やドゥーミーな「Dirt」のような楽曲も気に入りさえすれば、本作はこのバンドの入り口として最良な1枚と言えるでしょう(ラストのカオスっぷりはこのさい無視します)。

なお、本作は2005年頃にリマスター&デモ/アウトテイクからなる2枚組デラックス仕様も発売。こちらはサブスクでも聴くことができるので、まずはオリジナル盤を聴いてから触れてみることをオススメします。



▼THE STOOGES『FUN HOUSE』
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2019年1月10日 (木)

DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970)

デヴィッド・ボウイ通算3作目のオリジナルアルバム。本作はまず、アメリカで1970年11月に先行発売され、その5ヶ月後の1971年4月に本国イギリスでリリースされています。ちなみに、ロックファンの間でよく知られるあの麗しのアートワークは先行発売のアメリカ盤では採用されておらず、なんともチープなオッサンのイラストが使われております。このへんはWikipediaを見ると詳しく載っております。

自分にとってのデヴィッド・ボウイって、いわゆる“ジギー・スターダスト”よりも本作のジャケットのイメージなんですよね。高校生の頃、すでに『LET'S DANCE』(1983年)や『TONIGHT』(1984年)を聴いてはいたものの(それこそ、映画『戦場のメリークリスマス』などで動くボウイを目にしていたものの)、それでも脳裏に思う浮かべるのは『世界を売った男』と題されたこのアルバムの美しい姿なのです。

とはいえ、ちゃんとアルバム自体を聴いたのはそれからさらに数年後。たぶん18〜9歳の頃に東京ドームで初めてボウイのライブを観て、それから1、2年は経っていたと思います。まだNIRVANA『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)で「The Man Who Sold The World」をカバーする、ちょっと前のことです。

もう、このアルバムに関してはアートワークと邦題の勝利ですよね。直訳ではあるんだけど、『世界を売った男』というタイトルにこの英国盤アートワークですから。しかも、アルバムのオープニングを飾るのが「円軌道の幅」と邦題が付けられた、8分を超える大作「The Width Of A Circle」ですから。悪いわけがない。

それ以前のフォーキーな要素も残しつつ、ミック・ロンソン(G)が加わったことにより、ロックバンド色がどんどん強くなっている。グラムロックというよりは、ハードロックやプログレッシヴロック的解釈も至るところに見受けられ、そこが個人的にもツボだったりします。頭3曲(「The Width Of A Circle」「All The Madman」「Black Country Rock」)はまさにそれで、ストレートなハードロックをボウイ流に噛み砕くことで、のちのグラムロック路線への布石が見え隠れする。

で、アナログ後半(M-5「Running Gun Blues」以降)の流れも素晴らしいし、「She Shook Me Cold」冒頭で聴けるミック・ロンソンのギタープレイにはゾクゾクしてしまう。そこからの「The Man Who Sold The World」ですから。ラストの「The Supermen」からもその後の片鱗が感じられるし。このヘヴィなテイストは次作以降どんどん薄まっていくわけですが、そういう意味でも本作は絶妙なバランスで成り立つ1枚と言えるでしょう。実はハードロックファンにこそ聴いてほしい、ボウイの傑作アルバムのひとつです。



▼DAVID BOWIE『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』
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2018年2月23日 (金)

LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN III』(1970)

デビュー年の1969年にアルバムを2枚(1月に『LED ZEPPELIN』、10月に『LED ZEPPELIN II』)発表したLED ZEPPELINが、1970年10月(US)にリリースした通算3作目のスタジオアルバム。前作『LED ZEPPELIN II』でついに全米&全英No.1を獲得し、一躍トップバンドの仲間入りを果たした彼らが新たに放った本作では、従来のブルースベースのハードロックと、トラッドミュージックを基盤にしたアコースティックナンバーから成る異色の構成が展開されています。

本作の曲作りはほとんど電気が通ってないような場所で、ロバート・プラントジミー・ペイジが膝を突き合わせて行われたなんて話がありますが、それが嘘じゃないくらい前2作にはなかったタイプの楽曲が多数含まれています。もちろんアコースティックギターはこれまでのアルバムでも効果的に使用されていましたが、本作ではアコギが軸になる楽曲が半数を締めるのですから、“ハードロックバンドLED ZEPPELIN”を求めるリスナーは当時面食らったのではないでしょうか。

もちろん、アルバムオープニングには“これぞ!”と言いたくなる鉄壁のハードロックナンバー「Immigrant Song」がありますが、2曲目にいきなりストリングスをフィーチャーしたトラッド調のアコースティックナンバー「Friends」がくるとさすがに驚きますよね。サイケな色を残しつつ、そのままダイナミックなロックチューン「Celebration Day」へと続く流れはカッコいいですし、そこから前作の延長線上にある長尺のブルースロック「Since I've Been Loving You」、ヘヴィなリズムが気持ち良い「Out On The Tiles」とは流れ、アナログA面は終了します。ここまで聴いた限りでは、前作までの色を残しつつも少し新しいことをしたいんだろうな、ぐらいにしか感じないかもしれませんね。

で、問題となるのがアナログB面(M-6〜10)の5曲。ブルースシンガーのレッドベリーもカバーしたトラディショナルナンバー「Gallows Pole」、アコースティックバラード「Tangerine」、穏やかなミディアムナンバー「That's The Way」、軽やかなリズムと細かなギターフレーズが気持ち良いブルース「Bron-Y-Aur Stomp」、ブルースの名曲「Shake 'Em On Down」を独自にカバーした「Hats Off To [Roy] Harper」と、そのどれもがアコギ主体の楽曲なのです。ハードロック的な要素は皆無。今となってはツェッペリンがそういうバンドだと理解できているので、こういった作品があったとしても別に驚きはしませんが、もし本作のリリース当時に10代で、リアルタムで出会っていたら……きっとこのアルバム、「うわっ、糞アルバム作りやがって!」と拒否してたかもしれません。それくらい前2作のインパクトが強かったし、このバンドのパブリックイメージを固めてしまったんですよね。

でも、ここで思いっきり音楽性の幅を広げたことで、続く傑作『LED ZEPPELIN IV』(1971年)が完成するわけですが……それはまた次の機会に。

あ、今ですか? もちろん好きなアルバムですよ、彼らのアルバムの中で7番目ぐらいに(笑)。



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2017年12月 4日 (月)

BLACK SABBATH『PARANOID』(1970)

1970年2月にアルバム『BLACK SABBATH』でデビューしたBLACK SABBATHが、早くも同年9月に発表した2ndアルバム。本作でついに全英1位を獲得したほか、アメリカでも最高12位まで上昇。シングル「Paranoid」は全英4位、全米61位を記録しました。さらに、アメリカのみでシングルカットした「Iron Man」も52位にランクインするなど、この手のバンドとしてはなかなかの成績を残しており、アメリカのみで400万枚以上を売り上げる最大のヒット作となりました。

僕がサバスを聴き始めた頃にはすでにオジー・オズボーンロニー・ジェイムズ・ディオもおらず、グレン・ヒューズやらレイ・ギランやらトニー・マーティンやらでフロントマンが二転三転していた頃。ぶっちゃけ、ちゃんとリアルタイムで追い始めたのは1989年の『HEADLESS CROSS』からでした。

なので、最初に聴いたサバスナンバーはオジーがライブアルバムでカバーする「Paranoid」や「Iron Man」から。そういうこともあって、アルバムとしてはもっとも親しみやすい1枚かもしれません。

実際、「War Pigs」「Paranoid」「Planet Caravan」「Iron Man」「Electric Funeral」「Fairies Wear Boots」など多くのHR/HMバンドにカバーされてきた名曲ばかりがズラリと並び、初めて聴いたときもまったく初めてという印象はありませんでした。ただ、曲によってはカバーのほうがヘヴィだったりする楽曲の数々が、オジー・オズボーンという稀代の名シンガーが歌うことで、ヘヴィなギターリフやグルーヴィーなバンドアレンジとは相反して非常にポップに聞こえるから、あら不思議。それが本作を“軽く”させているひとつの要因と言ってしまえばそれまでですが、それは決して悪いことではなく、最終的に大ヒットにつながっているのですから結果オーライではないでしょうか。

また、本作以降バンドのドラッグ癖(主にオジー)が悪化することで、作風もよりヘヴィでダークになっていくので、1stアルバムから続いたブルースベースのハードロックにひと区切りをつけたという意味では分岐点的1枚とも言えるでしょう。

まあとにかく。ダウナーなイントロの「War Pigs」から始まる構成や、3曲目でいきなりアコースティックテイストのサイケデリックナンバー「Planet Caravan」が飛び出したり、そこから続く「Iron Man」の脱力感あふれるイントロなど、のちのドゥームメタルやグランジなどにも通ずる要素がそこらじゅうに散りばめられていて、本作が HR/HMのみならずロックの幅広いサブジャンルに影響を与えてきたことも頷けます。

ちなみに、個人的な推し曲はラストの「Fairies Wear Boots」。オリジナルはもちろんですが、ザック・ワイルドがプレイするバージョンも非常にカッコイイのでぜひ機会があったら聴いてみてください。



▼BLACK SABBATH『PARANOID』
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2017年9月 3日 (日)

BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』(1970)

DEEP PURPLEが『IN ROCK』でハードロック化計画に突入するちょっと前、1970年2月13日(金)……そう、“13日の金曜日”にリリースされたのが、オジー・オズボーンが在籍するハードロックバンドBLACK SABBATHのデビューアルバム。『黒い安息日』と邦題が付けられた本作でシーンに現れた彼らは、パープルやLED ZEPPELINとともに70年代以降のHR/HMにとって礎的存在としてリスペクトされ続けています。特にサバスの場合、HR/HMシーンのみならず90年代に登場したグランジバンド(NIRVANASOUNDGARDEN、MELVINS、ALICE IN CHAINSなど)からもリスペクトされた、数少ないハードロックバンドのひとつです。

サバスというと「Paranoid」や「Iron Man」などキャッチーな曲がパブリックイメージとしてあったり、「Paranoid」「War Pigs」など名曲目白押しの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)を名盤として挙げがちですが、この1stアルバムだってそれに負けないくらい強力な魅力が詰め込まれているわけです。まあ言ってしまえば、サバスは1stから3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)までは本当にハズレなしなので、どれが一番かはその人の好みによって変わってくると思います。

で、このアルバム。オープニングの「Black Sabbath」のダウナーさ加減にまずは驚かされるわけですが、今やドゥームメタルやストーナーロックなどさらにダークでヘヴィでスローなメタルが多い時代なのでちょっとやそっとでは驚きません。ただ、この曲を初めて高校時代に聴いたときは、さすがに衝撃が走ったことを今でもよく覚えています。80年代育ちの僕らの世代にとって、オジーといえばあのキャラクターありきで、しかも曲調はもっとソフトでメロディアスなハードロックという印象。ライブでは「Paranoid」や「Iron Man」はやるけど、さすがにこういったダウナーな曲は当時やってませんでしたしね(サバス曲を掘り始めるのはザック・ワイルド加入以降のことですから)。

かと思えばブルースハープをフィーチャーしたブルージーな「The Wizard」、独特のグルーヴ感を持つ「Behind The Wall Of Sleep」、キャッチーなメロディの「N.I.B.」と、アナログでいうA面だけですでにおなかいっぱい状態。カバー曲の「Evil Woman」はさておき、不穏でもの哀しげな序盤からハードに展開する「Sleeping Village」、10分超の大作「Warning」、ジャズからの影響すら感じられるスリリングな「Wicked World」と、とにかく聴きどころの多い1枚となっています。

すでに1stアルバムの時点でこのバンドのスタイルが完璧に出来上がっているのが恐ろしいというか。あとはその個性をどうソリッドに研ぎ澄ますか。それが次作、次々作で完璧なまでに表現されてしまうのですから、ドラックの力ってすごいですね(たぶん間違ってると思う)。



▼BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』
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2017年9月 2日 (土)

DEEP PURPLE『DEEP PURPLE IN ROCK』(1970)

DEEP PURPLEが1970年に発表した4枚目のスタジオアルバム。当時の編成はイアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)の第2期と呼ばれる5人で、ギラン&グローヴァー加入後初のスタジオアルバムとなります。

それ以前のパープルは「Hush」のシングルヒット(アメリカのみ)があったものの、アルバムはからっきし売れず(特にイギリスではチャートインせず)という状態。そんな中、LED ZEPPELINが独自のハードロックサウンドで世界的に大ヒット。ここからヒントを得たリッチーが「これだ!」と言わんばかりに、それまでのオルガン中心の音作りからギターを軸にした豪快なハードロックへと移行した……という話です。

実際、オープニングの「Speed King」からギターが爆発せんばかりのワイルドぶりを見せています。ジミー・ペイジというよりもジミヘンからの影響が強いんでしょうかね。特にソロパートではギターとオルガンが即興バトルを繰り広げる感じは、確かにツェッペリン以上かもしれません。

さらに、新加入のギランのボーカルもこのバンドのハードロック化に一役買っています。ロバート・プラントのようなハイトーンとは異なるタイプではあるものの、ヒステリックなシャウトなどは後続たちに大きな影響を与えたことは間違いなし。特に「Child In Time」での強弱の付け方は、ツェッペリンの長尺曲のそれとは違った魅力が感じられる、本作におけるハイライトと言えるでしょう。

パープルというと「Highway Star」や「Smoke On The Water」が収められた『MACHINE HEAD』(1972年)のほうが名盤に選ばれがちですし、実際「パープルで最初に聴いたアルバムは『MACHINE HEAD』」という人も多いでしょう。事実、筆者もそうでしたし(当時『PERFECT STRANGERS』で再結成した頃でしたが、新作よりも先に『MACHINE HEAD』を聴きました)。しかし、『MACHINE HEAD』は“パープルHR化”から3作目にしてたどり着いたひとつの終着点。あわせてこの『IN ROCK』も楽しむと、より第2期パープルのことを深く知れると思いますよ。



▼DEEP PURPLE『DEEP PURPLE IN ROCK』
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2017年6月16日 (金)

FREE『FIRE AND WATER』(1970)

FREEのスタジオアルバムでもっともヒットしがのが、1970年6月に発売された通算3枚目のスタジオアルバム『FIRE AND WATER』です。実は彼ら、我々が思っている以上に実働期間が短く、1969年にデビューして1971年には一度解散。1972年に再結成するものの、翌1973年には再度解散しているのです。

1969年に発表された2枚のスタジオ作『TONS OF SOBS』『FREE』も決して悪くはないのですが、やはり『FIRE AND WATER』には「All Right Now」という大ヒットシングル(全英2位、全米4位)が含まれていることもあり、アルバム自体も全英2位、全米17位という出世作につながったと言えます。

考えてみたら、たった7曲しか入っていない35分程度のアルバムなのですが、その中身はかなり濃密。ポール・ロジャース(Vo)の歌声も脂が乗った状態で艶やかだし、ポール・コゾフ(G)のギターソロも非常にセクシー。アンディ・フレイザー(B)のベースラインは無駄に動き回るし、サイモン・カーク(Dr)のドラミングは大きな特徴があるわけじゃないけど妙にしっくりくるし。4人の個性は本当にバラバラなのですが、そのすべてが良い方向に噛み合った奇跡的な1枚ではないでしょうか。

前半4曲(アナログA面)の気だるさは若い頃に聴いたときは退屈に聴こえたのに、今はなぜかグッとくるものがある。で、B面(5曲目以降)のその気だるさは引き続きなんですが、「Mr. Big」後半のインタープレイはいつ聴いてもカッコ良いし、最後はポップでキャッチーな(本作中唯一陽気な)「All Right Now」で締めくくる。最後だけ取って付けた感がなきにしもあらずですが、まぁこの時代のアルバムってこういうものなんじゃないの?という一言でここは済ませたいと思います。

個人的ベストソングは、オープニングからどっしり構えた「Fire And Water」と、ピアノとポール・ロジャースのセクシーな歌声の相性抜群な「Heavy Load」、そして(バンドのほうの)MR. BIGのカバーよりやっぱり原曲のほうが最高でしょ!ってことで「Mr. Big」。もちろんそれ以外の楽曲もすべて良し。「Oh I Wept」も「Remember」も良いしね。

人によっては「FREEはライブ盤『FREE LIVE!』とベスト盤を聴いておけばOK!」と言うかもしれませんが、ここはあえて本作を真っ先にオススメしておきたいと思います。



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2004年11月24日 (水)

とみぃ洋楽100番勝負(98)

●第98回:「Maybe I'm Amazed」 PAUL McCARTNEY ('70)

 俺にとってのポール・マッカートニーとは、"Yesterday" でも "HeyJude" でも "Let It Be" でもない。このソロ1作目「McCARTNEY」に収録された、"Maybe I'm Amazed" なのね。この曲と出会ってなかったら、多分俺はポールのことを一生「ポップスター」的視点で見続けてたかもしれない‥‥それくらい俺にとってこの曲は衝撃であって、その後の自分の考え方を変えてしまった1曲なわけ。

 この転調を繰り返すアレンジといい、ポールのシャウトを通り越したシャウトといい、今聴いてもホントに鳥肌が立つ。初めて聴いたのは‥‥高校を卒業した後くらいかな‥‥ポールの初来日があって、その後に2枚組のライヴ盤が出て。そこにライヴテイクが収録されててさ。なんかスッゲー無理してシャウトしてんなぁ、とか、もの凄い劇的に盛り上げるなぁ、とか、転調凄いなぁ、とか。いろいろ感じながらもその時はそこまでピンとこなくて。

 ところが。それから3年後。自分が初めてポールを生で体験する日が訪れて。その頃からかな、過去のオリジナル・アルバムにも手を出し始めて。そこで最初にソロ1枚目「McCARTNEY」を買って‥‥スタジオテイクのこの曲に思いっきり鳥肌立てて。何だったんだ、あれは?

 自分が音楽をやる時、曲を書く時。アレンジの手本にするのはLED ZEPPELINであり、アティチュードの手本にするのはジョン・レノンなんだけど、歌詞やメロディの手本にする‥‥いや‥‥そうしたい、そうでありたいといつも思っているのは、このポールなんだよね。確かにアルバム/楽曲、駄作も多いポールだけど、一時の多作振りを考えると、まぁそれも許せるかな‥‥とにかく中にあるもの、出て来たものを全部世にぶちまけない質なのかもしれないね、ポールって人は。そういう面では非常に共感する点が多いんだけど。

 だって‥‥こうやって俺も、アホ程文章書いて、まとめてアップしてるわけだからさ!



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