2017/07/29

ALICE COOPER『KILLER』(1971)

1971年11月にリリースされたアリス・クーパーの4thアルバム。この年は2月に『LOVE IT TO DEATH』も発表しており、都合2枚のスタジオアルバムをリリースしたことになります(前作の制作は時期的に前年でしょうけど)。これは『LOVE IT TO DEATH』からのリードシングル「I'm Eighteen」が初めてヒット(全米21位)したことも大きく影響しているんでしょうね。

ちなみに、本作は“ALICE COOPER”というバンド名義で発表されたもの。1973年の7thアルバム『MUSCLE OF LOVE』を最後にアリスはバンドを解散させ、以降現在までソロアーティストとして活動しています。要するに、この頃はMARILYN MANSON状態だったわけですね。

本作にはシングルヒットもした代表曲「Under My Wheels」(全米59位)や「Be My Lover」(全米49位)のほか、今でもライブの定番曲としておなじみの「Halo Of Flies」「Desperado」「Killer」などを収録。全体的にコンパクトでキャッチーなグラムロック/ハードロックが並びますが、中でも「Halo Of Flies」は8分半近い大作で、時期的にもKING CRIMSONあたりを彷彿とさせるプログレッシブな展開が繰り広げられています。アレンジ的に「オペラ座の怪人」をイメージさせるテイストは、シアトリカルなステージでおなじみのアリスにぴったり。特にライブでは10分を超える熱演で知られているので、ヒットシングルとあわせてチェックしておきたいところです。

で、「Halo Of Flies」から続く「Desperado」への流れは、本当にプログレッシブロックのそれで、どこかコンセプチュアルな香りすら感じられます。それはアルバム終盤の「Dead Babies」〜「Killer」の流れも同様。特に「Killer」は約7分におよぶ長尺曲で、ライブではクライマックスでアリスが絞首台で首をつったりギロチンで首を切断されたりといったショッキングな演出が展開されることでおなじみ。先の「Halo Of Flies」同様、グラマラスな空気を漂わせつつも、しっかりプログレッシブロックとしても成立するような完成度を誇る1曲です(エンディングの後味の悪さも超一級)。

タイミング的には、この時期からライブ演出が過激になっていったそうですが、それはサウンドから導かれたものなのか、それとも演出ありきで音も激しさを増したのか。なんにせよ、その後の彼を考えれば非常に重要な1枚であることには間違いありません。7月28日発売のニューアルバム『PARANORMAL』にはALICE COOPER(バンド)時代の盟友たちも参加。10月には『LOUD PARK 17』で9年ぶりの来日が実現するだけに、ぜひ初期の名作に触れてみてはどうでしょう。



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投稿: 2017 07 29 12:00 午前 [1971年の作品, Alice Cooper] | 固定リンク

2003/11/07

BLACK SABBATH『MASTER OF REALITY』(1971)

BLACK SABBATHが1971年8月にリリースした3作目のオリジナルアルバム、『MASTER OF REALITY』。サバス自体がその後誕生するいろんなジャンルのロックにおけるルーツ的役割を果たしているわけだけど、特にこのアルバムや続く4作目『VOL.4』はグランジだとか、後にストーナーロックと呼ばれるようになる特殊なメタル、90年代以降のラウドロックの教科書/お手本になっていると言えます。知名度からいえばセカンド『PARANOID』なんでしょうけど、やはり個人的にはこの『MASTER OF REALITY』と『VOL.4』、そして5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』をロック教則本に認定したいですね。

オジー・オズボーンの咳払い(マリファナでむせた咳払い、と言われていますが‥‥)からスロー&ダーク&ヘヴィスタートするこのアルバム、頭から名曲目白押し。いきなりミドルヘヴィな「Sweet Leat」でどんよりした空気を作り、サバスの歴史の中でも比較的ポップでキャッチーな路線に入る「After Forever」(そういえば昔この曲、バンドでカバーしたっけ。BIOHAZARDがカバーしたバージョンで)、トニー・アイオミによる30秒程度のインストナンバー「Embryo」は続く「Children Of The Grave」への序章で、かなりいい感じで盛り上げてくれます。そしてその「Children Of The Grave」。とにかくカッコイイ。曲のバックで鳴ってるパーカッションの音がまたいい雰囲気を作ってて‥‥オジーがソロになってからのライヴテイク(特にランディ・ローズ在籍時のテイクね)もカッコよかったけど、個人的にはサバスのオリジナルテイクの方が全てにおいて勝ってると勝手に思い込んでます。リズムのモタリ方とか、ギターのリフの刻み方、ちょっとしたリズムの取り方とか、全てにおいてツボ。完璧過ぎですよ。

そして後半戦は1分半程度のインスト曲「Orchid」で再スタート。アコースティックギターによる中世的でクラシカルな雰囲気がこのアルバムの世界観を更にハッキリしたものに仕立て上げてくれてます。それに続くはまたまたミドルヘヴィな「Lord Of This World」。テンポが変わる瞬間のカッコよさといったらもう‥‥そんな混沌とした世界を更に深いものにしてくれるのが、続く「Solitude」。クラシックとブルーズの融合とでもいいましょうか、とにかく暗黒の世界をそのまま音に表現したかのようなこの曲、サバスのスローナンバーの中でも俺内で1~2を争う程好きなんですよ。絶対にマリファナなりドラッグなりをキメて作ったであろうこのサウンド、後ろでなるいろんなエフェクト音、そして独特なフルートの音色。全てが「あっち側の世界」といった印象。オジーの抑えた歌い方もまた良いし。そんな静寂を引きちぎるかのようにスタートするヘヴィリフ。アルバムラストを飾るのは名曲中の名曲、「Into The Void」。とにかくこのアルバム、頭とケツのヘヴィさといったらパンパじゃないですよ。勿論サウンド的にいったらこれよりももっとヘヴィなサウンドはこの世にいくらでもあるんでしょうけど、音だけでなくアルバム全体に散りばめられたヘヴィさ、世界観であり空気感であり、音の隙間であり息づかいであり‥‥全てがヘヴィ一辺倒でこの『MASTER OF REALITY』を超える作品は、そうはないと思いますよ。

そういった面からこのアルバムがロック教則本として用いられているんでしょうね。METALLICAやPANTERA、カート・コバーンやビリー・コーガン、そしてMOGWAIのようなバンドまでもがサバスを愛するのは、こういった理由からなんじゃないでしょうか? もしあなたがまだサバスのアルバムに一度も触れたことがないというのなら、悪いことは言いません。まずはこのアルバムからスタートしてみましょう。



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投稿: 2003 11 07 12:00 午前 [1971年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク