2018年7月29日 (日)

QUEEN『QUEEN』(1973)

本国イギリスで1973年7月、ここ日本では翌1974年3月に発売されたQUEENのデビューアルバム。全英24位、全米83位という成績を残したほか、「Keep Yourself Alive」「Liar」の2曲がシングルカットされています(2曲ともチャートインせず)。もっともイギリスではこのアルバム、発売当初はまったく話題にならず、次作『QUEEN II』(1974年)のヒットに引っ張られてランクイン。この24位という数字も1976年に入ってから到達したようです。

QUEENと聞いて我々がイメージする「大げさで起承転結のしっかりした曲調」「バラエティに富んだ楽曲群」「フレディ・マーキュリー(Vo)のボーカルスタイル」「ブライアン・メイ(G)のギターオーケストレーション」「オペラのようにオーバーダブされたコーラス」といった要素は、すでにこのデビューアルバムの中に存在しており、まだ完璧とまでは言わないものの、それでも「ああ、QUEENだ」と納得できる仕上がりにはなっています。

LED ZEPPELINDEEP PURPLEBLACK SABBATHなど、1曲の中にいろんな要素を詰め込み複雑な展開を見せるバンドはすでに存在していましたが、ブルースやジャズといった音楽からの影響が強いこれらのバンドと比べ、QUEENはもっと気品のある楽曲中心……という印象を受けます。爆発力という点においては、このデビュー作におけるQUEENはまだ先輩たちには及ばない点も確かに存在し、それがマイナスと受け取られてしまった。それがこのデビューアルバムが発売当時にウケなかった理由ではないか、と推測します。

ですが、派手さや豪快なロック感こそ少ないものの(いや、あるんですよ? 「Modern Time Rock 'N Roll」の勢いや「Son And Daughter」のブルースフィーリングは先輩たちにも負けてないし)、1曲1曲の“気品の高さ”や丁寧な作り込みは先人たちとは若干カラーが異なりますし、結局そこに活路を見出したQUEENは次作『QUEEN II』以降で本格的な成功を手にするわけですから。結局は、誰かの代わりとか“第二の○○”みたいな目で見ようとすると、本質を見失うってことなんでしょうね。だから、当時イギリスのメディアから「これが売れるなら、帽子でも食ってやるよ」なんて酷評も挙がったわけですから。

同じ頃、JUDAS PRIESTも二番煎じ呼ばわりされ成功からは程遠いポジションにいましたが、結局そういったバンドたちがのちのシーンを大きく変えていったのですから、わからないものです。

以下、QUEENファンとして。正直、のちの名作群と比べると本作の印象が薄いのは確か。1曲1曲はよくできているし、「Great King Rat」や「Liar」「Son And Daughter」「Jesus」あたりは本当に気に入っているんだけど、アルバムとしてまとまったときのインパクトの弱さは間違いなくあるなと。それだけ、以降のアルバムのクオリティが異常だってことでもあるんですけどね。それに、本作での挫折がなければ次の『QUEEN II』は生まれなかったかもしれないわけですから。



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投稿: 2018 07 29 12:00 午前 [1973年の作品, Queen] | 固定リンク

2004年11月25日 (木)

とみぃ洋楽100番勝負(99)

●第99回:「Search And Destroy」 IGGY & THE STOOGES ('73)

 

遅咲きです。後追いです。この人に関しては、知れば知る程惹かれてしまうという‥‥

 中学の時かな、「BLAH BLAH BLAH」ってアルバムで復活して。その時は「単発でガラガラ声のオッサン」くらいにしか思わなくて。ところがその2年後に出た「INSTINCT」ってアルバムでいきなりやさぐれて。髪は伸びるし、音も荒っぽいし。しかもその時のツアーギタリストが大好きなHANOI ROCKSのアンディ・マッコイだったという‥‥来日したのに行けなかったんだよね。ま、その時はまだイギーの本質がイマイチよく判ってなくてね。

 結局その次に来日した時かな。チッタかどこかで観て‥‥そこで一目惚れしたんだわ。なんだこのオッチャン、俺の親くらいの世代なのにチンコ出すか出さないかギリギリのラインまで革パン下げて、マイクスタンド投げ倒すわ、持ってるマイクでゴンゴン頭叩いたり‥‥ホント、ただのアホじゃんか!って。笑うのを通り越して感動すらしたもの。

 そしてSTOOGESの1st〜2ndアルバムが再発されて。2枚の落差(方やドゥーミーでダウナー、方やパンクでサイケ)に驚きつつも、俺がライヴで最も感動したパンクナンバーが入っていないことに気づくわけですが‥‥それが "Raw Power" や "Search & Destory" といった一連のナンバー。

 イギーはソロで2度、そのチッタ公演と去年のフジロックでのステージを観てて。けど個人的にはやはり間近で観ることができた今年3月のSTOOGESとしての来日公演@MAGIC ROCK OUTが忘れられなくて。あれはいろんな意味で、今年の俺を象徴するライヴだったな、と。改めて自分がどこから来て、今どこにいて、そしてこれからどこへ向かっていくのか。それを気づかせてくれた一夜だったな、と。

 自分はメタル出身だとかパンクの出ですとか、そんな括りだけはしたくない。ただひとつ言えるのは、常に「怒り」を忘れちゃ駄目だってこと。疑問を持つこと、他人と考え方が違うってことを恐れちゃ駄目だってこと。そして‥‥どこまでも「ロック」して「ロール」し続けるんだってこと。あの身体中傷だらけの死に損ないパンク親父は、無言のうちにそんな大事なことを「FUCK」一言の中に詰め込んでいるのです‥‥んなわきゃないか。

 今日も愛してますぜ、親父。(愛を込めて)早くくたばれっ!



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投稿: 2004 11 25 12:05 午前 [1973年の作品, Iggy Pop, Stooges, The, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月15日 (金)

とみぃ洋楽100番勝負(57)

●第57回:「All The Way To Memphis」 MOTT THE HOOPLE ('73)

 高校の頃になるとさ。さすがに同時代のバンドだけに飽き足りず、それらのバンドが幼少の頃に好んでいたアーティスト、影響を受けたバンド、そして彼等がカバーした原曲等にまで手が伸びるようになり、ホントに小遣いは全て音楽につぎ込むような時代に突入してったわけ。ま、今と大して変わらないんだけど。

 HANOI ROCKSを通過することで、このMOTT THE HOOPLEというバンドに出会うわけですよ。ハノイの「BACK TO THE MYSTERY CITY」やライヴ盤「ALL THOSE WASTED YEARS...」のプロデュースをMOTTのリズム隊が手掛けていたり、「TWO STEPS FROM THE MOVE」にてイアン・ハンターと共作していたり(その後バンド解散後もソロで絡んでいたり)することから、自然と流れて行くわけですよ。その他にもデヴィッド・ボウイで馴染み深いミック・ロンソンも参加していたことを知ったり、そのボウイが "All The Young Dudes" という大ヒット曲を書いていたり、等々‥‥

 兎に角当時、MOTTのアルバムは日本で廃盤状態でして。当然CD化なんてされてなかったわけですよ。ところが、友人のひとりが東京からMOTTのベスト盤を入手してきて。それが当時の音楽仲間全員の手元に回ってきたわけ。一番最初が俺だったのかな、そいつと一番仲良かったから。

 もうね‥‥1曲目の "All The Way To Memphis" イントロのピアノだけでイチコロ状態ですよ。何だこれ、めちゃめちゃ端正なサウンドじゃんか、めちゃめちゃブリティッシュじゃねぇか、と。これのどこがロックンロール・アニマルなんだよ!?なんて思ったりもしましたが(それは他の曲や別のライヴ盤を聴いて納得できたけど)、とにかく自分が求めるサウンドの原点がここにあるのかな、と。すっげー聴き込んだんですよ。

 そういえば、この曲を初めて聴いてから1年近く経ってから、「Very British」な音を出す凄く大好きな日本のバンドが似たようなアレンジを施した楽曲をリリースしたんですよね‥‥"欲望のドア" っていう、如何にもなタイトルを付けてさ‥‥



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投稿: 2004 10 15 12:00 午前 [1973年の作品, Mott The Hoople, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2002年1月12日 (土)

AEROSMITH『AEROSMITH』(1973)

AEROSMITH、記念すべきファーストアルバム。アメリカでの初リリースが1973年1月ということだから、今から丁度29年前ということになる。最近のテクノロジーが発達したサウンドを追っている人間からすれば「古臭い音」なのかもしれないが、こうやって久し振りに引っ張り出した、15年以上も聴き続けてるこのアルバムのサウンドは、俺からすれば全く時代を感じさせない。むしろ、デジタルリマスターされたことによって、最近のガレージバンドよりもいい音してるんじゃないか?と思う瞬間さえある。現在でもライヴにて「Dream On」や「Mama Kin」といった曲はスタンダードナンバーとして演奏されている。パブリック・イメージ上の「エアロらしさ」という点では後の作品群に劣るものの、それでも好きな人間には堪らないファンキーでルーズで芯の太いサウンドが詰め込まれた好盤だと思っている。

■全曲解説■

●M-1. Make It
その後のエアロのイメージからちょっとかけ離れた、ストレートなロックナンバーで彼等のキャリアはスタートする。サビパートの楽器隊が一丸となってプレイするリフがとても気持ちいい。中間パートでの楽器隊の暴れ具合とか、歌メロに絡みつくギターのフレーズ等から、昨今のガレージバンド‥‥特にTHE HELLACOPTERS辺りを彷彿させる。つまり、そういうバンドがこの曲をカバーしても何ら違和感がないだろうという点で、この曲にも全く古臭さを感じない。むしろ最近のエアロサウンドに慣れてしまった耳で聴くと、かなり新鮮に聞こえる。純粋にカッコイイロックチューンだ。

●M-2. Somebody
デビュー時のエアロはその黒っぽさから「ROLLING STONESのクローン(パクり)」とメディアから酷評された。今のエアロを知る者は「ストーンズよりもビートルズじゃないの?」なんて反論するかもしれないが、この曲を聴くと当たり前のようにエアロもストーンズからの影響を受けている事実が伺える。いや、影響を受けてないと言ったら嘘になるだろう。『メインストリートのならず者』でのグロいストーンズには程遠いものの、そのスカスカ感には共通する空気を感じずにはいられない。味はあるが、特にどうってことのないシンプルなロックチューン。嫌いじゃないけど。

●M-3. Dream On
知らない者はロックファンとしてもぐりだ!と断言できる程の超名曲。いろんな意味でこの曲のみ、アルバムの中で浮いている。アルバム全体を通して「ブリティッシュビートを通過したアメリカンロック」という空気が流れる中、やはりこの曲のみ別格というか、モロにブリティッシュロックしてしまっている。様式美っていうか、完成し尽くされてしまっているのだ。ジミー・ペイジからの影響大であろうジョー・ペリーによるギターソロの組み立て方、歌との絡み方がまんまLED ZEPPELINで微笑ましい。アルペジオの組み立て方もそれまでのアメリカンロック然としたものとは異質で、それまでの2曲とは別の緊張感が漂う。ブルーズやファンクからの影響が見え隠れする初期エアロだが、既にファーストアルバムの時点で後‥‥1980年代以降の、ヒット曲連発するエアロの楽曲指向が根付いていた事実が伺える。ビートルズからの影響を常日頃から口にしてきたスティーヴン・タイラーは、「ロックンローラーとしてのビートルズ」「ソングライターとしてのビートルズ」という二面性をエアロの中でも特に意識していた人なのではないだろうか?

●M-4. One Way Street
ジャム・バンドとしてのエアロらしさが最もよく表れた1曲。7分ある曲構成は、中盤以降のセッションパートでもだれることなく、聴き手を引き留めることに成功している。クラブバンドとしての実力がここに結集されているということだろうか。スティーヴンのブルースハープもいいアクセントになっている。最近のツアー(2001年『JUST PUSH PLAY』ツアー)でも久し振りに演奏されているそうだから、もしかしたら1月下旬からスタートする日本ツアーでも演奏されることがあるかもしれない。更に成熟した彼等の演奏と聴き比べて、それぞれの良さを味わってもらいたい。

●M-5. Mama Kin
GUNS N' ROSESのカバーで一躍有名になってしまったこの曲。特にシングルカットされていないものの、ノリの良さからライヴではよく演奏されるので、ヒット曲しか知らないエアロ初心者でも知っている人は多いかもしれない。知人が「この曲はエアロ版『Brown Sugar』だな?」と言ったことがあったが、まぁ言いたいことは判る。共にドラッグをイメージさせる曲だし(BROWN SUGARとは精製される前のコカインの俗語。MAMA KINの意味は判らないが、歌詞の内容からドラッグを意味するスラングのような気もする)。サウンド的には「サックスを取り入れたロックチューン」という共通点しか思い当たらないが、両バンドにとって今でもライヴのハイライトに演奏されるのせる為の1曲という意味では、共に必殺のロックチューンなのだが。何故ガンズがこの曲を取り上げたか、バンドをやっている人は是非実際にカバーしてもらいたいと思う。聴いた印象とプレイする印象がこうも違うのだから。

●M-6. Write Me A Letter
初期のZZ TOPがやりそうなルーズなブギーナンバー。ワウのかかったイントロのギターサウンドが個人的にとてもツボで、まぁアルバムの中でいえばどうってことのない部類の曲なのだが、演奏の熱さにフォローされ、並みの曲がカッコイイロックナンバーへとレベルアップされている。ここでもスティーヴンのブルースハープが登場するが、ギターには出せないスパイスが良いアクセントとなっている。

●M-7. Movin' Out
ブルーズを基調としたナンバー。イントロのギターと歌のみのパートが生々しく、非常にセクシーだ。イギリス人‥‥YARDBIRDSやJEFF BECK GROUP、LED ZEPPELINがイメージする「ブルーズ・ロック」とはまた違う、アメリカ人だからこそ成し得るブルーズ・ロックがここにはある。以前『PERMANENT VACATION』ツアーのブートレッグでこの曲を演奏する'80年代後期のエアロを聴いたことがあったが、ここで聴ける演奏よりも更に殺気立った、終始緊張感が張りつめたプレイを聴くことができた。お馬鹿さんなイメージがあった復活後の彼等からは普段感じられない、ある意味最も'70年代の「ドラッグによって常に死と快楽との隣り合わせ」感をリアルに感じさせてくれる好演だった。やはりライヴバンドなんだな、と実感。

●M-8. Walkin' The Dog
前の曲から間髪入れずになだれ込むこの曲は'80年代初頭、LAメタルバンドのRATTに「エアロのファーストが好きでカバーした」と言わしめた程の名カバー。オリジナルはルーファス・トーマス。エアロ流のアレンジといったものは特に感じられない、まぁ比較的オリジナルの良さを前面に出したアレンジとなっている。最近また演奏してるそうだが、本当に彼等のカバー選曲センスには目を見張るものがある。こういう曲をカッコイイと感じるか退屈と感じるかで、このアルバムの評価は分かれるだろう。

■総評■
基本的には「Dream On」あってのファースト、というイメージがあるようだが、決してそんなことはなく、むしろそれ以外の7曲にこそ新しい発見があると言っていいだろう。確かに'70年代のオリジナルアルバムで最初に手を出すなら『TOYS IN THE ATTIC』や『ROCKS』ということになるのだが、決して無視をして欲しくはない、そんな隠れた名盤だと思っている。

最新作『JUST PUSH PLAY』で更に新しい側面を我々に魅せてくれたAEROSMITH。最近しか知らない人にとっては、ここにも沢山の「知らない側面/魅力」が満載だ。「野獣生誕」という邦題には程遠い内容かもしれないが、その後の「野獣振り」を彷彿させる何かは感じさせる。そんな1枚である。



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投稿: 2002 01 12 12:00 午前 [1973年の作品, Aerosmith] | 固定リンク