2017/11/24

QUEEN『NEWS OF THE WORLD』(1977)

1977年10月発売の、QUEEN通算7作目のスタジオアルバム。それまで音を重ねまくり、アレンジも緻密に作り込まれた印象の強かったQUEENの作品ですが、本作ではその余韻を残しつつも、全体的にシンプルな方向へと移行しています。思えば発売されたのが1977年秋。本国イギリスではすでにSEX PISTOLSTHE CLASHTHE DAMNEDなどのロンドンパンク勢がブレイクし始めた時期で、少なからずそこからの影響があったのでは……なんて想像もできちゃうような、QUEEN流“シンプル・イズ・ベスト”な1枚です。

思えば、オープニングから「We Will Rock You」というシンプル以外の何ものでもないショートチューンから始まるわけですから。そのまま「We Are The Champions」へと続く流れは、ロックファンならご存知のとおり。彼らのライブを知る者ならば、オープニングからエンディング(意味、わかりますよね?)な構成は、結果として非常に大きな“掴み”になっています。そういえば、本作からはこの2曲が先行シングルとしてリリースされたわけで、アルバム冒頭をシングル曲が飾るという構成も、QUEENというバンドが認知されて以降のオリジナルアルバムとしてはこれが初の試み。アルバムアーティストという印象も少なからずあったバンドだけに、このへんは“対アメリカ”という思いもあったのではないでしょうか。

そして、そこからパンキッシュなファストチューン「Sheer Heart Attack」へとなだれ込む。あれ、3rdアルバムと同タイトル? そう、同作からのアウトテイクなんですね、これ。かと思えば「All Dead, All Dead」「Spread Your Wings」のような従来のQUEENらしい曲もあるんだけど、驚くのは中盤の「Fight From The Inside」(ロジャー・テイラーVo曲)と「Get Down, Make Love」じゃないでしょうか。80年代以降のブラックミュージック路線を先取りした「Fight From The Inside」と、どこかポストパンクの香りすらする「Get Down, Make Love」は、それ以前のQUEENのイメージからすると少々異色かもしれませんね。ただ、後者はその後NINE INCH NAILSがカバーするなど、隠れた人気の1曲なんですよね。僕もお気に入りの1曲です。

そして、ブライアン・メイが歌うブルージーなロックンロール「Sleeping On The Sidewalk」、牧歌的なアコースティックナンバー「Who Needs You」、6分半にわたるロックンロールエピック「It's Late」、フレディ・マーキュリーらしさに満ち溢れたクラシカルなピアノバラード「My Melancholy Blues」でエンディングを迎えます。

確かに、前作『A DAY AT THE RACES』(1976年)や前々作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)あたりと比較すると、非常にラフでシンプルさが目立つ作風/楽曲群ですが、これがアメリカで当たったことでその後のQUEENの軸になっていくんですよね。それを良しとするか否かで、本作およびこれ以降のQUEENに対する評価が分かれるのかもしれません。個人的には産業ロック路線含め、このバンドの多面性が大好きなのでアリな1枚です。ていうか、どこが悪いのかわかりません。きっと、リアルタムで初期のQUEENに出会っていたら、こんなこと思いもしなかったんだろうけどね。



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投稿: 2017 11 24 12:00 午前 [1977年の作品, Queen] | 固定リンク

2017/10/30

SEX PISTOLS『NEVER MIND THE BOLLOCKS HERE'S THE SEX PISTOLS』(1977)

SEX PISTOLS唯一のオリジナル・スタジオアルバム。実は今から40年前の1977年10月28日にリリースされたんですね。つい先日知りました。THE DAMNEDの1stアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』が1977年2月、THE CLASHの1stアルバム『THE CLASH』が同年4月に発売されたことを考えると、実はピストルズのアルバムデビューってだいぶ遅いんですよね。とはいえ、初のシングル「Anarchy In The U.K.」は前年1976年11月末に発売(英パンクロック初のシングルと言われるTHE DAMNED「New Rose」の1ヶ月後)。その後、所属レーベルEMIから契約解除などのすったもんだがあったため、アルバムまで1年を要したわけですね。まあ、らしいっちゃあらしいですが。

これまでもいろんなところで発言してきたと思いますが、僕はこのSEX PISTOLSのアルバム、パンクロックの名盤とは思っておらず、むしろ「パンキッシュなハードロックの教科書的1枚」と認識しています。

クリス・トーマスによるプロデュースは完全にハードロック的なものだし、なによりもギターのスティーヴ・ジョーンズによるリフ作りやギタープレイ、アレンジの組み立て方は完全にハードロックそのもの。楽曲自体もピストルズ以降のパンクバンドにありがちなチープさはないし、同期のTHE DAMNEDやTHE CLASHと比べてもサウンド的にふくよかで太さが感じられる。

特に爆音で聴き比べたときに、ピストルズのサウンドは他2組と異なる音のきめ細やかさに気づかされるんです。そこもパンクロックとは異質だと思うし、結局ここから数年後に勃発するNew Wave Of British Heavy Metalシーンに一番近いのがこのピストルズ唯一のアルバムなんですよね。

それもあってなのか、80年代以降のハードロックバンドの中にはピストルズの楽曲をカバーするバンドが多いこと、多いこと。サウンド的というよりもスタイル的にパンキッシュなハードロックバンドほど、ピストルズを自然とカバーしている。そうなんです、結局ピストルズって音楽的にパンク云々ではなく、生き方やファッションがパンクそのものだったんですよね(その戦略的な部分も含めて)。つまり、ジョニー・ロットン(Vo)とシド・ヴィシャス(B)がその役割を担っていたと。だって、ジョニーは絶対にハードロックの人じゃないですもんね(笑)。

あと、本作の大半でベースを弾いているのはシド・ヴィシャスではなく、かといって前任のグレン・マトロックでもない、実はスティーヴ・ジョーンズその人だという事実も忘れてはなりません(シドは「Bodies」、グレンは「Anarchy In The U.K.」のみプレイ)。このへんも、本作をハードロックたらしめる要因なんじゃないでしょうか。

僕自身が本作を初めて聴いてから30年近く経ちましたが、聴き返せば聴き返すほど、時間が経てば経つほど、純粋に「ハードロックアルバム」としての愛情が深まっていく1枚です。



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投稿: 2017 10 30 12:00 午前 [1977年の作品, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/05/16

THE DAMNED『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977)

昨年結成40周年を迎えたイギリス・オリジナルパンクバンドのひとつ、THE DAMNED。2015年に制作されたドキュメンタリー映画『地獄に墜ちた野郎ども』も国内公開され、年明けには映像作品化。今年3月には待望の来日公演も行われる、特にこの半年くらいは久しぶりに彼らの話題を耳にする機会が多かったと思います。

彼らのデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(邦題:地獄に墜ちた野郎ども)が本国でリリースされたのは、1977年2月のこと。前年10月に発売されたデビューシングル「New Rose」はイギリスのパンクシーンにおいて最初にリリースされたシングルと言われており、本作もアルバムにおいては英パンクシーン初のアルバムとのこと。SEX PISTOLSTHE CLASHももうちょっと後なんですね。

実は僕がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』を最初に聴いたのは、1990年代に入ってからのこと。確か1992年だったかな、「ロンドンパンク アルバム発売15周年記念」と銘打ってこのアルバムが国内初CD化されたのを受けて、手を出したと記憶しています。それ以前は地元の貸レコード店にもなかったかし(別のアルバムはあった記憶が)、それよりも当時はSEX PISTOLSに夢中だったから。

トータル12曲で30分をちょっと超える程度の収録時間。1曲目「Neat Neat Neat」イントロのベースラインと、それに続くシャウトで完全にノックアウトされ、現在に至るわけです。今でもよく聴くTHE DAMNEDのアルバムって、この1枚目と3枚目『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979年)ぐらいだもんなぁ。

本作は全曲疾走感の強いパンクチューンというわけではなく、2曲目に若干ダウナーなミドルテンポの「Fan Club」がすぐ来るし、どちらかというと速い曲とミドルテンポの曲が交互に並ぶといった印象。けど、そのテンポ感が意外と悪くなく、するすると聴けてしまう。アナログ各面のトップにシングル曲にして代表曲(A面が「Neat Neat Neat」、B面が「New Rose」)が並ぶのも良いし、特にB面(7曲目以降)はA面以上にテンポよく進行するし。どちらかというと、A面のほうがソングライターのブライアン・ジェイムズ(G)のこだわりが強いような気がします(でも5曲目「Stab Yor Back」はラット・スキャビーズ(Dr)の曲だけど)。で、ラストをTHE STOOGES「I Feel Alright」(原題は「1970」)のカバーで締めくくる。このバージョンはHANOI ROCKSのライブアルバムで先に知ったので、妙に安心感があるんですよね。

リリースから40年。始めて聴いてから25年も経つけど、常にどんなときでも気持ちよく聴けて、毎回爽快感を得られる。そんな究極の1枚がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』なんじゃないかと思います。そういう意味ではピストルズもTHE CLASHも1枚目は同い立ち位置なんだけどね。



▼THE DAMNED『DAMNED DAMNED DAMNED』
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投稿: 2017 05 16 12:00 午前 [1977年の作品, Damned, The] | 固定リンク

2017/04/07

AEROSMITH『DRAW THE LINE』(1977)

前作『ROCKS』(1976年)は、その前の『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)が持つ全米11位を超える、全米3位という過去最高位を記録。この数字は1993年の『GET THE GRIP』が1位を獲得するまで破られることはありませんでした。それくらい強烈なインパクトを残し、“AEROSMITHここにあり”と高らかに宣言したのが『ROCKS』だったわけです。

がしかし。前回のレビュー終盤にも書きましたが、この頃になるとバンドは手にした大金をすべてドラッグに変換し、快楽に溺れていきます。いや、快楽に溺れるというよりも現実逃避すると言ったほうが正しいのかもしれません。バンドとしても、そしてひとりの人間としても『ROCKS』という作品で臨界点を迎え、そこを超えた先には何があるのか……この5枚目のオリジナルアルバム『DRAW THE LINE』からはその“片鱗”を垣間見ることができます。

バンドと盟友ジャック・ダグラスでプロデュースされた本作は、ニューヨーク近辺にある廃修道院で録音されたもの。いわゆるナチュラルエコーを多用したサウンドは、前作『ROCKS』で聞けた密度の高いヘヴィロックとも異なるものに仕上げられています。また楽曲自体も2nd『GET YOUR WINGS』(1974年)と3rd『TOYS IN THE ATTIC』の中間に位置する、シンプルなアレンジでロック&ブルースをストレートに表現したものが大半を占めます。

アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Draw The Line」はオープンチューニングによるスライドギターが登場しますが、メインリフは6弦ベースで弾かれた(と思われる)太いサウンドで表現。ドラッグ漬けで人間としては最悪の状況だったにも関わらず、いや、そんな状況だったからこそ表現できたギリギリ感なのかもしれません。この危うさもまた“ロックそのもの”なんですよね。

ただ、その後は決してベストとは言い難い楽曲もちらほら登場します。初めてジョー・ペリーがリードボーカルを務めた「Bright Light Fright」や、バンドとしての新たな可能性を感じさせるドラマチックな「Kings And Queens」といった聴きどころもあるにはありますが、全体的にはあまりパッとしない内容というのが正直な感想。確かに「Critical Mass」も「Get It Up」も「Sight For Sore Eyes」も悪くないけど、前作までにあったキャッチーさは薄まっている。悪くいえば地味なんですよね。しかもラストはロバート・ジョンソンやエルヴィス・プレスリーで知られるブルーススタンダードのカバー「Milk Cow Blues」で締めくくり。この選曲も地味だし、ノッてるバンドならではのナイスなカバーとは言い難い。本当にどこまでも中途半端な1枚なんですよね。

だけど、聴き始めると不思議と最後まで通して聴いてしまう。そんな不思議な魅力があるのも、本作の面白いところ。きっとその魅力って……悲しいけど、“バンドが、いや人間が臨界点を超えたときにどうなるのか”を端的に表しているからなんでしょうね。そのすべてが、『DRAW THE LINE』というタイトル(「一線を引く」「境界を定める」「けじめをつける」以外にも、「コカインで線を引いてそれを吸う」という意味がある)に集約されているんだから、驚きを超えて怖さすら感じます。



▼AEROSMITH『DRAW THE LINE』
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投稿: 2017 04 07 12:00 午前 [1977年の作品, Aerosmith] | 固定リンク

2004/09/13

とみぃ洋楽100番勝負(25)

 やっと四分の一‥‥先は長いな。頑張ります。


●第25回:「God Save The Queen」 SEX PISTOLS ('77)

 昔むかし‥‥もう20年くらい前かしら‥‥「メタル派」「パンク派」みたいな派閥みたいなのがあってさ。曰く「メタルファンはパンクを聴くべからず」みたいな。またその逆も然り、と。音楽的にもスタイル/アティチュード的にも対極にある音楽だと思われてたわけよ。パンクが登場してメタル/ハードロックは「オールドスタイル」呼ばわりされ隅に追いやられ‥‥けどさ、そのパンクが下火になった頃にイギリスではまたメタルに火が着くじゃない(所謂「NEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL」ってやつね)。しかもIRON MAIDENなんて、明らかにパンクからの影響もあったはずだし、その親玉みたいに崇め奉られたMOTORHEADなんてどっちとも取れるじゃない? なのにさ‥‥バカみたいだよね、今となっては。

 ま‥‥ほら。'80年代も後半になればなる程‥‥例えばGUNS N'ROSESみたいなバンドが出てきたし、METALLICAやANTHRAXみたいなバンドがメタルだけでなくパンクからの影響も口にし出すようになってようやくオールドメタルファンは一歩あゆみ寄った、といったところでしょうか。

 でもさ。俺等の世代はそんな馬鹿げた派閥、無視してたよ。少なくとも俺はパンクもメタルも同じくらい、カッコいいと感じて聴いてたし。

 さて、本日のお題となるSEX PISTOLS。所謂パンクの教科書的存在ですよね。その音楽性にしろ、バンドの生き方にしろ。

 けどさ‥‥正直なところ俺、最初はすっげー苦手でさ。最初に聴いた&観たのが、この "God Save The Queen" のプロモーションフィルムでさ。スタジオライヴ風映像なんだけどさ‥‥どうにも受け付けなかったのね。俺にとっては‥‥ジョニー・ロットンが全然カッコ良く見えなくて。その脇にいる厳ついギターの男(スティーヴ・ジョーンズ)はちょっと好みだったんだけどさ。

 なんだろう‥‥HANOI ROCKSとかMOTLEY CRUEとか、明らかにパンクを通過してるであろうバンドは好きになれたのに、本家パンクには魅力を感じなかった。曲もなんだか単調だし、ファッションも華やかじゃない‥‥そう、俺が好きになった要素って結局パンクじゃなくて「グラム」な側面だったんだよね、後になって思うと。それなら納得いくもん。その後に聴いたMOTT THE HOOPLEにしろNEW YORK DOLLSにしろ、一発で気に入ったのは音の方にもその「華」が感じられたから。だから‥‥

 でも今は好きですよ。実はアルバム「勝手にしやがれ」を聴いたのは、そのもっと後‥‥高校生になった頃かしら。CD化されてようやく聴いたんだよね。CLASHとかはアナログでも聴いてたくせして。

 "Anarchy In The U.K." の方が一般的に目じゃなんだろうけど、あのビジュアルの衝撃(俺が嫌悪感を持ったという意味でね)込みで、俺はやっぱこっちを選びます。再結成ライヴ@武道館の時も、"Anarchy〜" よりも "God Save The Queen" の方が感慨深かったしね。



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投稿: 2004 09 13 12:00 午前 [1977年の作品, Sex Pistols, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック