カテゴリー「1977年の作品」の9件の記事

2019年9月29日 (日)

CHEAP TRICK『IN COLOR』(1977)

1977年9月にリリースされた、CHEAP TRICKの2ndアルバム。

デビュー作『CHEAP TRICK』が1977年2月に発表されているので、約半年でアルバムをもう1枚完成させたことになりますね。しかも、彼らは続く3rdアルバム『HEAVEN TONIGHT』も1978年5月にリリースしているので、初期3作はものすごいペースで増産されたことになります。当時のリリースペースとしても異常に早すぎですし、それだけ創作意欲がハンパなかったという表れなんでしょうね。

プロデューサーをジャック・ダグラス(AEROSMITHNEW YORK DOLLSジョン・レノンなど)からトム・ワーマン(MOTLEY CRUEPOISONDOKKENなど)へと交代した本作では、基本的な路線は前作の延長線上にありながらも、楽曲のポップさ、キャッチーさはさらに増しているという冴えっぷりを発揮。1曲1曲がとにかくコンパクトで、オープニングのショートチューン「Hello There」こそ1分40秒程度ですが、そのほかの楽曲はどれも2〜3分程度。一番長い「Downed」ですら4分10秒程度ですからね。その結果、トータルで31分程度という聴きやすさ。最高です。

のちに武道館でのライブテイクが全米TOP10入りするヒット曲となる「I Want You To Want Me」はライブバージョンとは異なる、非常に落ち着いた雰囲気の小洒落たポップチューンだし、かと思えば「Big Eyes」や「You're All Talk」みたいにハード&ヘヴィな楽曲もある。前作にもあったサイケ路線の「Downedや学校のチャイムをモチーフにしたギターリフ?が印象的な「Clock Strikes Ten」、口ずさみやすいキャッチーなロックナンバー「Come On, Come On」まである。とにかく、すべてにおいて捨て曲なしなんです。

1stアルバムがのちのオルタナティヴロックやグランジに大きな影響を及ぼしたとすると、本作はグランジはもちろんのこと、のちのパワーポップ勢にとっての教科書的1枚になったのではないでしょうか。本質的には1枚目も2枚目も何も変わっていないのですが、プロデューサーの手腕によるものが大きいのでしょうか、ジャック・ダグラスならではの生感覚とトム・ワーマンらしいシュガーコーティングが及ぼす影響が、そういった後続たちにとっての道しるべとなったのは、今となっては非常に興味深いところです。

ロビン・ザンダー(Vo)の歌唱法もあってか、ハードロックの範疇で語られることの多い彼らですが、実はそういった方向性に直接的に歩み寄ったのは80年代半ば以降のことなんじゃないでしょうか。だって、4人のあのファッションセンスは少なくともHR/HMのそれとはまったく異なるし、このアルバムに関しては(今でいうところの)パワーポップ以外の何物でもないわけですから。

 


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2019年4月29日 (月)

AC/DC『LET THERE BE ROCK』(1977)

本国オーストラリアで1977年3月、それ以外の国で同年7月に発表されたAC/DCの3rdアルバム(本国では4作目)。イギリスで初めてチャートインし、最高17位という好記録を残した、バンドにとって海外でブレイクするきっかけを作った重要な1枚です。

ボン・スコット(Vo)在籍時の初期作品の中では本作と『HIGHWAY TO HELL』(1979年)が初心者向けのスタジオアルバムと言えるぐらい、現在もライブで披露される機会の多い名曲が豊富な内容。タイトルトラックはもちろんのこと、GUNS N' ROSESもカバーした「Whole Lotta Rosie」、グルーヴィーな「Dog Eat Dog」やこれぞAC/DC!と言いたくなる「Bad Boy Boogie」や「Hell Ain't A Bad Place To Be」など、捨て曲一切なし。全8曲、40数分と決して長い内容ではないですが、その密度は曲数や収録時間の数倍濃いものとなっています。

……と、ここまで書いて、すでに本作について伝えたいことは全部伝えてしまったような気がします(笑)。ってくらい、「読む前に、まず聴け!」と断言したくなる1枚。AC/DCとはなんぞや?と問われたときに、まずはこれを差し出すぐらいの傑作だと思っています。

確かにブライアン・ジョンソン(Vo)以降のヘヴィメタル的な重さや鋭さは皆無ですし、ポップさという重要な要素もここではまだ弱い気がします。しかし、1977年というイギリスでパンクロックが勃発したタイミングに、本作が17位という好記録を残しているという事実。そこにこのアルバムが現在まで愛され続ける秘密か隠されている気がするのですが、どうでしょう?

パンクよりも密度が濃いし、なんなら旧時代然としたスタイルのサウンドです。だけども、パンクロックにも通ずる衝動性はしっかり体現されている。そういった「シンプルに、ただカッコいいことをデカイ音で鳴らす」という姿勢が、当時のキッズに受け入れられたのでしょうか。あるいは、パンクスの陰に隠れてしまったハードロックキッズたちが「これこそが俺たちが今求める音!」と無言の意思表示をした結果がこの数字だったのか。できることなら1977年のイギリスに行って、AC/DCのライブ会場を覗いてみたいものです。

ギターを弾く人にとっては、本作は名ギターリフの宝庫でもあるんじゃないかな。シンプルだけどインパクトが強いリフの数々と、アンガス&マルコムのヤング兄弟によるリフのユニゾンや微妙に異なるフレーズが重なったときの気持ち良さなど、楽器弾き観点でも聴きどころ満載な1枚。ヘッドフォンを付けて爆音で聴くのもいいですが、AC/DCに関してはとにかくスピーカーを通して、可能な限りデカイ音で聴いてほしいな。それが一番、魅力がダイレクトに伝わるはずなので。

 


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2018年6月13日 (水)

KISS『ALIVE II』(1977)

1977年10月にリリースされた、KISS通算2作目のライブアルバム。1975年に発表された初のライブアルバム『KISS ALIVE!』は彼らにとっての出世作となり、それに続く“二匹目のドジョウ”として本作が制作されたのは間違いないでしょう。また、前作が1stアルバム『KISS』(1974年)から3rdアルバム『DRESSED TO KILL』(1975年)までのベスト選曲だとしたら、今作はブレイク後の3枚……1976年の4th『DESTROYER』から1977年の6th『LOVE GUN』までのベスト選曲。つまり、実際のライブでは演奏されている「Rock And Roll All Nite」をはじめとする初期3作からの代表曲は意図的に外された、ある種の“擬似セットリストによるライブ作品”となっています。

さらに、本作では大掛かりな手直し(オーバーダブ)も積極的に行われており、「大歓声をあとから被せる」「ポール・スタンレー(Vo, G)のボーカルをスタジオで録り直す」「かといって元のライブテイクも生かされており、微妙なダブルボーカルになっている箇所が見受けられる」など、ライブ作品として考えると絶対にありえない、あっちゃいけない編集ポイントがそのまま残っていいたりします。ちょっとお粗末すぎないか。

でも、だからこのアルバムがダメかというと、まったくそんなことはなく。前作『KISS ALIVE!』ではブレイク寸前のKISSの勢いが凝縮されていましたが、本作ではアリーナクラスでライブを連発する売れっ子バンドとなったKISSの“今”が凝縮されており、そういった意味では両作を聴き比べてみると非常に面白いのではないでしょうか。

ちなみに本作、アナログ/CDともに2枚組仕様で、ライブ音源15曲のほか、本作のために新たに制作されたスタジオ音源5曲を加えた全20曲収録。アナログだとディスク1のA/B面、ディスク2のA面(C面)にライブ音源、ディスク2のB面(D面)に新曲が収められています。ライブ作品にスタジオ音源が入っているというちぐはぐ感は、初めて聴いた高校生の頃「?」と思ったものの、その後こういったボーナストラック的にスタジオ音源を加えることは、いろんなバンドがやってますよね。そういった意味では先駆者だったのかしら(それ以前にもいるような気がしますが)。

新曲はポール歌唱曲2(「All American Man」「Any Way You Want It」)、ジーン・シモンズ(Vo, B)歌唱曲2(「Rockin' In The U.S.A.」「Larger Than Life」)、エース・フレーリー(G, Vo)歌唱曲1(「Rocket Ride」)という内訳。あれ、ピーター・クリス(Dr, Vo)は? ちなみに、5曲中3曲のリードギターはエースではなく、ボブ・キューリックが弾いています。あれ、もうこの頃から怪しい雰囲気だった?

『KISS ALIVE!』にあった生々しさはここには存在しないものの、良くも悪くも“作り込まれた”バンド・KISSならではの“らしさ”が色濃く表れた、良曲満載のライブベスト。ぜひ『KISS ALIVE!』とあわせてお楽しみあれ。



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2018年5月24日 (木)

CHEAP TRICK『CHEAP TRICK』(1977)

1977年2月に海外でリリースされた、CHEAP TRICKの記念すべきデビューアルバム。当時はBillboardのアルバムチャート200位内にも入らない程度のセールスでしたが、現在においては彼らの歴史を振り返る上で非常に重要な1枚であると同時に、70年代後半のUSハードロック、およびパワーポップシーンにおいて大切なアルバムでもあります。

僕がこのアルバムを初めて聴いたのは、彼らが「The Flame」(1988年)で初の全米No.1を獲得して、しばらくしてから。すでにほとんどのアルバムがCD化され、その流れで手にしました。当時のCDは「Hot Love」から勢いよく始まり、中盤に「Mandocello」「The Ballad of T.V. Violence (I'm Not the Only Boy)」「Elo Kiddies」と重めの曲が並び、ラストは「Oh, Candy」で軽やかに終わる。そんなイメージのアルバムでした。もちろん、この曲順が正しいと思い込んでいたのです。

が、実はこのアルバム、アナログ盤の各面表記が「A面/B面」ではなく、「Side 1 / Side A」となっており、初CD化の際にレーベル側が間違えて「Side A」のほう(本来のB面)のほうから始まる構成に変わってしまっていたのでした。アナログ時代に触れていなかったぶん、このCDでの曲順がすべてだと思っていた僕は、そんな事情をもっとあとになってから知ることになるのでした。

ちなみに1998年のリマスター化に際し、もとの曲順……「Elo Kiddies」から始まり「The Ballad of T.V. Violence (I'm Not the Only Boy)」で終わる構成に戻っており、サブスクリプションサービスで聴けるバージョンもこちらに準拠。ですが、昨年9月にデビュー40周年を記念して発売された日本限定の紙ジャケ版では初CD化の「Hot Love」始まりが再現されており、ややこしいことになっております(笑)。ここ20年くらいで、正しく修正された曲順にようやく慣れ親しんできたところに、自分にとってオリジナルなこの曲順で聴くと……「もう、やめてー!」と思ってしまうわけです(笑)。

ですが、曲順が入れ替わろうとこのアルバムに対する印象や評価って、意外と変わらないんですよね。不思議です。

10代の頃は疾走感の強い「Hot Love」や「He's a Whore」のような楽曲を好んでいましたが、聴き込むうちに本作の魅力はミディアム&ヘヴィな楽曲こそがキモなんじゃないかと思うようになりました。なので、初CD化バージョン(オリジナルじゃないほう……ってややこしい。笑)の中盤、「Mandocello」「The Ballad of T.V. Violence (I'm Not the Only Boy)」「Elo Kiddies」の流れは本当に好きなんですよね。もちろん、「Elo Kiddies」で始まって「The Ballad of T.V. Violence (I'm Not the Only Boy)」で終わるバージョンも気に入ってますけど。

1stアルバムの時点で捨て曲なし、どの曲もメロウで個性的。ここまで完成されていたのに、当時まったくヒットしなかったのが不思議でなりません。まあ、早すぎたって言えば早すぎたのかもしれませんが。そんな彼らが本国より先に、ここ日本でヒットするわけですから世の中捨てたもんじゃないですね。



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2017年11月24日 (金)

QUEEN『NEWS OF THE WORLD』(1977)

1977年10月発売の、QUEEN通算6作目のスタジオアルバム。それまで音を重ねまくり、アレンジも緻密に作り込まれた印象の強かったQUEENの作品ですが、本作ではその余韻を残しつつも、全体的にシンプルな方向へと移行しています。思えば発売されたのが1977年秋。本国イギリスではすでにSEX PISTOLSTHE CLASHTHE DAMNEDなどのロンドンパンク勢がブレイクし始めた時期で、少なからずそこからの影響があったのでは……なんて想像もできちゃうような、QUEEN流“シンプル・イズ・ベスト”な1枚です。

思えば、オープニングから「We Will Rock You」というシンプル以外の何ものでもないショートチューンから始まるわけですから。そのまま「We Are The Champions」へと続く流れは、ロックファンならご存知のとおり。彼らのライブを知る者ならば、オープニングからエンディング(意味、わかりますよね?)な構成は、結果として非常に大きな“掴み”になっています。そういえば、本作からはこの2曲が先行シングルとしてリリースされたわけで、アルバム冒頭をシングル曲が飾るという構成も、QUEENというバンドが認知されて以降のオリジナルアルバムとしてはこれが初の試み。アルバムアーティストという印象も少なからずあったバンドだけに、このへんは“対アメリカ”という思いもあったのではないでしょうか。

そして、そこからパンキッシュなファストチューン「Sheer Heart Attack」へとなだれ込む。あれ、3rdアルバムと同タイトル? そう、同作からのアウトテイクなんですね、これ。かと思えば「All Dead, All Dead」「Spread Your Wings」のような従来のQUEENらしい曲もあるんだけど、驚くのは中盤の「Fight From The Inside」(ロジャー・テイラーVo曲)と「Get Down, Make Love」じゃないでしょうか。80年代以降のブラックミュージック路線を先取りした「Fight From The Inside」と、どこかポストパンクの香りすらする「Get Down, Make Love」は、それ以前のQUEENのイメージからすると少々異色かもしれませんね。ただ、後者はその後NINE INCH NAILSがカバーするなど、隠れた人気の1曲なんですよね。僕もお気に入りの1曲です。

そして、ブライアン・メイが歌うブルージーなロックンロール「Sleeping On The Sidewalk」、牧歌的なアコースティックナンバー「Who Needs You」、6分半にわたるロックンロールエピック「It's Late」、フレディ・マーキュリーらしさに満ち溢れたクラシカルなピアノバラード「My Melancholy Blues」でエンディングを迎えます。

確かに、前作『A DAY AT THE RACES』(1976年)や前々作『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)あたりと比較すると、非常にラフでシンプルさが目立つ作風/楽曲群ですが、これがアメリカで当たったことでその後のQUEENの軸になっていくんですよね。それを良しとするか否かで、本作およびこれ以降のQUEENに対する評価が分かれるのかもしれません。個人的には産業ロック路線含め、このバンドの多面性が大好きなのでアリな1枚です。ていうか、どこが悪いのかわかりません。きっと、リアルタムで初期のQUEENに出会っていたら、こんなこと思いもしなかったんだろうけどね。



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2017年10月30日 (月)

SEX PISTOLS『NEVER MIND THE BOLLOCKS HERE'S THE SEX PISTOLS』(1977)

SEX PISTOLS唯一のオリジナル・スタジオアルバム。実は今から40年前の1977年10月28日にリリースされたんですね。つい先日知りました。THE DAMNEDの1stアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』が1977年2月、THE CLASHの1stアルバム『THE CLASH』が同年4月に発売されたことを考えると、実はピストルズのアルバムデビューってだいぶ遅いんですよね。とはいえ、初のシングル「Anarchy In The U.K.」は前年1976年11月末に発売(英パンクロック初のシングルと言われるTHE DAMNED「New Rose」の1ヶ月後)。その後、所属レーベルEMIから契約解除などのすったもんだがあったため、アルバムまで1年を要したわけですね。まあ、らしいっちゃあらしいですが。

これまでもいろんなところで発言してきたと思いますが、僕はこのSEX PISTOLSのアルバム、パンクロックの名盤とは思っておらず、むしろ「パンキッシュなハードロックの教科書的1枚」と認識しています。

クリス・トーマスによるプロデュースは完全にハードロック的なものだし、なによりもギターのスティーヴ・ジョーンズによるリフ作りやギタープレイ、アレンジの組み立て方は完全にハードロックそのもの。楽曲自体もピストルズ以降のパンクバンドにありがちなチープさはないし、同期のTHE DAMNEDやTHE CLASHと比べてもサウンド的にふくよかで太さが感じられる。

特に爆音で聴き比べたときに、ピストルズのサウンドは他2組と異なる音のきめ細やかさに気づかされるんです。そこもパンクロックとは異質だと思うし、結局ここから数年後に勃発するNew Wave Of British Heavy Metalシーンに一番近いのがこのピストルズ唯一のアルバムなんですよね。

それもあってなのか、80年代以降のハードロックバンドの中にはピストルズの楽曲をカバーするバンドが多いこと、多いこと。サウンド的というよりもスタイル的にパンキッシュなハードロックバンドほど、ピストルズを自然とカバーしている。そうなんです、結局ピストルズって音楽的にパンク云々ではなく、生き方やファッションがパンクそのものだったんですよね(その戦略的な部分も含めて)。つまり、ジョニー・ロットン(Vo)とシド・ヴィシャス(B)がその役割を担っていたと。だって、ジョニーは絶対にハードロックの人じゃないですもんね(笑)。

あと、本作の大半でベースを弾いているのはシド・ヴィシャスではなく、かといって前任のグレン・マトロックでもない、実はスティーヴ・ジョーンズその人だという事実も忘れてはなりません(シドは「Bodies」、グレンは「Anarchy In The U.K.」のみプレイ)。このへんも、本作をハードロックたらしめる要因なんじゃないでしょうか。

僕自身が本作を初めて聴いてから30年近く経ちましたが、聴き返せば聴き返すほど、時間が経てば経つほど、純粋に「ハードロックアルバム」としての愛情が深まっていく1枚です。



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2017年5月16日 (火)

THE DAMNED『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977)

昨年結成40周年を迎えたイギリス・オリジナルパンクバンドのひとつ、THE DAMNED。2015年に制作されたドキュメンタリー映画『地獄に墜ちた野郎ども』も国内公開され、年明けには映像作品化。今年3月には待望の来日公演も行われる、特にこの半年くらいは久しぶりに彼らの話題を耳にする機会が多かったと思います。

彼らのデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(邦題:地獄に墜ちた野郎ども)が本国でリリースされたのは、1977年2月のこと。前年10月に発売されたデビューシングル「New Rose」はイギリスのパンクシーンにおいて最初にリリースされたシングルと言われており、本作もアルバムにおいては英パンクシーン初のアルバムとのこと。SEX PISTOLSTHE CLASHももうちょっと後なんですね。

実は僕がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』を最初に聴いたのは、1990年代に入ってからのこと。確か1992年だったかな、「ロンドンパンク アルバム発売15周年記念」と銘打ってこのアルバムが国内初CD化されたのを受けて、手を出したと記憶しています。それ以前は地元の貸レコード店にもなかったかし(別のアルバムはあった記憶が)、それよりも当時はSEX PISTOLSに夢中だったから。

トータル12曲で30分をちょっと超える程度の収録時間。1曲目「Neat Neat Neat」イントロのベースラインと、それに続くシャウトで完全にノックアウトされ、現在に至るわけです。今でもよく聴くTHE DAMNEDのアルバムって、この1枚目と3枚目『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979年)ぐらいだもんなぁ。

本作は全曲疾走感の強いパンクチューンというわけではなく、2曲目に若干ダウナーなミドルテンポの「Fan Club」がすぐ来るし、どちらかというと速い曲とミドルテンポの曲が交互に並ぶといった印象。けど、そのテンポ感が意外と悪くなく、するすると聴けてしまう。アナログ各面のトップにシングル曲にして代表曲(A面が「Neat Neat Neat」、B面が「New Rose」)が並ぶのも良いし、特にB面(7曲目以降)はA面以上にテンポよく進行するし。どちらかというと、A面のほうがソングライターのブライアン・ジェイムズ(G)のこだわりが強いような気がします(でも5曲目「Stab Yor Back」はラット・スキャビーズ(Dr)の曲だけど)。で、ラストをTHE STOOGES「I Feel Alright」(原題は「1970」)のカバーで締めくくる。このバージョンはHANOI ROCKSのライブアルバムで先に知ったので、妙に安心感があるんですよね。

リリースから40年。始めて聴いてから25年も経つけど、常にどんなときでも気持ちよく聴けて、毎回爽快感を得られる。そんな究極の1枚がこの『DAMNED DAMNED DAMNED』なんじゃないかと思います。そういう意味ではピストルズもTHE CLASHも1枚目は同い立ち位置なんだけどね。



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2017年4月 7日 (金)

AEROSMITH『DRAW THE LINE』(1977)

前作『ROCKS』(1976年)は、その前の『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)が持つ全米11位を超える、全米3位という過去最高位を記録。この数字は1993年の『GET THE GRIP』が1位を獲得するまで破られることはありませんでした。それくらい強烈なインパクトを残し、“AEROSMITHここにあり”と高らかに宣言したのが『ROCKS』だったわけです。

がしかし。前回のレビュー終盤にも書きましたが、この頃になるとバンドは手にした大金をすべてドラッグに変換し、快楽に溺れていきます。いや、快楽に溺れるというよりも現実逃避すると言ったほうが正しいのかもしれません。バンドとしても、そしてひとりの人間としても『ROCKS』という作品で臨界点を迎え、そこを超えた先には何があるのか……この5枚目のオリジナルアルバム『DRAW THE LINE』からはその“片鱗”を垣間見ることができます。

バンドと盟友ジャック・ダグラスでプロデュースされた本作は、ニューヨーク近辺にある廃修道院で録音されたもの。いわゆるナチュラルエコーを多用したサウンドは、前作『ROCKS』で聞けた密度の高いヘヴィロックとも異なるものに仕上げられています。また楽曲自体も2nd『GET YOUR WINGS』(1974年)と3rd『TOYS IN THE ATTIC』の中間に位置する、シンプルなアレンジでロック&ブルースをストレートに表現したものが大半を占めます。

アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Draw The Line」はオープンチューニングによるスライドギターが登場しますが、メインリフは6弦ベースで弾かれた(と思われる)太いサウンドで表現。ドラッグ漬けで人間としては最悪の状況だったにも関わらず、いや、そんな状況だったからこそ表現できたギリギリ感なのかもしれません。この危うさもまた“ロックそのもの”なんですよね。

ただ、その後は決してベストとは言い難い楽曲もちらほら登場します。初めてジョー・ペリーがリードボーカルを務めた「Bright Light Fright」や、バンドとしての新たな可能性を感じさせるドラマチックな「Kings And Queens」といった聴きどころもあるにはありますが、全体的にはあまりパッとしない内容というのが正直な感想。確かに「Critical Mass」も「Get It Up」も「Sight For Sore Eyes」も悪くないけど、前作までにあったキャッチーさは薄まっている。悪くいえば地味なんですよね。しかもラストはロバート・ジョンソンやエルヴィス・プレスリーで知られるブルーススタンダードのカバー「Milk Cow Blues」で締めくくり。この選曲も地味だし、ノッてるバンドならではのナイスなカバーとは言い難い。本当にどこまでも中途半端な1枚なんですよね。

だけど、聴き始めると不思議と最後まで通して聴いてしまう。そんな不思議な魅力があるのも、本作の面白いところ。きっとその魅力って……悲しいけど、“バンドが、いや人間が臨界点を超えたときにどうなるのか”を端的に表しているからなんでしょうね。そのすべてが、『DRAW THE LINE』というタイトル(「一線を引く」「境界を定める」「けじめをつける」以外にも、「コカインで線を引いてそれを吸う」という意味がある)に集約されているんだから、驚きを超えて怖さすら感じます。



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2004年9月13日 (月)

とみぃ洋楽100番勝負(25)

 やっと四分の一‥‥先は長いな。頑張ります。


●第25回:「God Save The Queen」 SEX PISTOLS ('77)

 昔むかし‥‥もう20年くらい前かしら‥‥「メタル派」「パンク派」みたいな派閥みたいなのがあってさ。曰く「メタルファンはパンクを聴くべからず」みたいな。またその逆も然り、と。音楽的にもスタイル/アティチュード的にも対極にある音楽だと思われてたわけよ。パンクが登場してメタル/ハードロックは「オールドスタイル」呼ばわりされ隅に追いやられ‥‥けどさ、そのパンクが下火になった頃にイギリスではまたメタルに火が着くじゃない(所謂「NEW WAVE OF BRITISH HEAVY METAL」ってやつね)。しかもIRON MAIDENなんて、明らかにパンクからの影響もあったはずだし、その親玉みたいに崇め奉られたMOTORHEADなんてどっちとも取れるじゃない? なのにさ‥‥バカみたいだよね、今となっては。

 ま‥‥ほら。'80年代も後半になればなる程‥‥例えばGUNS N'ROSESみたいなバンドが出てきたし、METALLICAやANTHRAXみたいなバンドがメタルだけでなくパンクからの影響も口にし出すようになってようやくオールドメタルファンは一歩あゆみ寄った、といったところでしょうか。

 でもさ。俺等の世代はそんな馬鹿げた派閥、無視してたよ。少なくとも俺はパンクもメタルも同じくらい、カッコいいと感じて聴いてたし。

 さて、本日のお題となるSEX PISTOLS。所謂パンクの教科書的存在ですよね。その音楽性にしろ、バンドの生き方にしろ。

 けどさ‥‥正直なところ俺、最初はすっげー苦手でさ。最初に聴いた&観たのが、この "God Save The Queen" のプロモーションフィルムでさ。スタジオライヴ風映像なんだけどさ‥‥どうにも受け付けなかったのね。俺にとっては‥‥ジョニー・ロットンが全然カッコ良く見えなくて。その脇にいる厳ついギターの男(スティーヴ・ジョーンズ)はちょっと好みだったんだけどさ。

 なんだろう‥‥HANOI ROCKSとかMOTLEY CRUEとか、明らかにパンクを通過してるであろうバンドは好きになれたのに、本家パンクには魅力を感じなかった。曲もなんだか単調だし、ファッションも華やかじゃない‥‥そう、俺が好きになった要素って結局パンクじゃなくて「グラム」な側面だったんだよね、後になって思うと。それなら納得いくもん。その後に聴いたMOTT THE HOOPLEにしろNEW YORK DOLLSにしろ、一発で気に入ったのは音の方にもその「華」が感じられたから。だから‥‥

 でも今は好きですよ。実はアルバム「勝手にしやがれ」を聴いたのは、そのもっと後‥‥高校生になった頃かしら。CD化されてようやく聴いたんだよね。CLASHとかはアナログでも聴いてたくせして。

 "Anarchy In The U.K." の方が一般的に目じゃなんだろうけど、あのビジュアルの衝撃(俺が嫌悪感を持ったという意味でね)込みで、俺はやっぱこっちを選びます。再結成ライヴ@武道館の時も、"Anarchy〜" よりも "God Save The Queen" の方が感慨深かったしね。



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