カテゴリー「1978年の作品」の9件の記事

2019年2月19日 (火)

JUDAS PRIEST『KILLING MACHINE』(1978)

1978年10月に本国イギリスでリリースされた、JUDAS PRIESTの5thアルバム。アメリカでは『HELL BENT FOR LEATHER』と改題され、翌1979年初頭に発表されています。本作からは「Take On The World」(全英14位)、「Evening Star」(同53位)という初のチャートインシングルが生まれ、アルバムも全英32位/全米128位のスマッシュヒットを記録しています。

「Hell Bent For Leather」やFLEETWOOD MACのカバー「The Green Manalishi (With The Two-Pronged Crown)」といった現在までのライブ定番曲に加え、最新の来日公演でも披露された「Running Wild」、ロブ・ハルフォード(Vo)をフィーチャーしたSKID ROWのカバーでおなじみの「Delivering The Goods」など、意外と知名度の高い楽曲も多い本作。ロブが初めて“スタッズ&レザー”を身にまとい、のちに知られるようになるSM的ファッションが定着するきっかけとなった1枚でもあります。

1978年というと、イギリスではパンクロック〜ニューウェイヴの全盛期で、HR/HMシーンはほぼ壊滅状態。アメリカではVAN HALENなど新たな波が生じはじめ、イギリスでもIRON MAIDENなどがオーバーグラウンド浮上に向けて動き始めた時期ですが、そんな中でJUDAS PRIESTはそれ以前の古典的なハードロック(プログレッシヴロックの影響下にあるドラマチックな展開を持つアレンジなど)と、次作『BRITISH STEEL』(1980年)での“コンパクト&ストレート”な路線との間の時期でもありました。

もちろん、前作『STAINED CLASS』(1978年)と比べたらかなりモダンになり始めていますし、のちのヘヴィメタル路線に通ずる要素もほんの少しですが備わり始めています。「Take On The World」のようなオーディエンスとシンガロングできる楽曲の誕生も、次作に向けた変化を予兆させる1曲と言えるでしょう。

また、バラードにしても前作だったらドラマチックな大作「Beyond The Realms Of Death」なのに対し、今作では3分半程度のコンパクトなアコースティックナンバー「Before The Dawn」だったりする。もっと言えば、続く『BRITISH STEEL』ではバラードが排除されているので、そういった意味でも本作は過渡期的1枚なのかもしれません。

そういえば、本作のタイトルトラック「Killing Machine」が先日、41年ぶりに演奏されたことが大きなニュースとなりました。本作のリリースツアー以来やってなかったということですよね。それもすごいな。そして、この曲が意外と今のプリーストに合ってることも、昨年末のツアーを観た人ならなんとなく共感してもらえるのではないでしょうか。

日本では前作『STAINED CLASS』の人気が高いし、海外では次作『BRITISH STEEL』が高く評価されている。そういった意味ではこの『KILLING MACHINE』は、やっぱり高い山の間にある隠れた名盤的な立ち位置なのかな。個人的にはかなり好きな部類に入る1枚なんですけどね。



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2018年12月26日 (水)

RAINBOW『LONG LIVE ROCK 'N' ROLL』(1978)

1978年春にリリースされた、RAINBOW通算3作目のスタジオアルバム。リッチー・ブラックモア(G)、ロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、コージー・パウエル(Dr)という、いわゆる“三頭政治”時代のラストアルバムに当たります。

前作『RISING』(1976年)まで在籍したジミー・ベイン(B)とトニー・カレイ(Key)が事実上クビになり、本作のレコーディングにはセッションミュージシャンとしてボブ・ディズリー(B)とデヴィッド・ストーン(Key)が参加。リッチー自身も半数以上の曲でベースを担当しています。

大作主義だった『RISING』から一変、本作ではアメリカでのラジオヒットを狙った3〜4分台の楽曲が大半を占め、長尺ナンバーはアナログA面ラスト(M-4)の「Gates Of Babylon」とアナログB面ラスト(M-8)の「Rainbow Eyes」のみ。これによってRAINBOWらしさが減退したのかというと、実はまったくそんなことはなく。リッチーのギターも、ロニーのボーカルも、そしてコージーのドラミングも緊張感のある、そして非常に勢いの強いものとなっています。

確かにオープニングを飾る「Long Live Rock 'n' Roll」や、それに続く「Lady Of The Lake」のキャッチーさは前作までになかったカラーかもしれません。けど、こういったスタイルは振り返るとDEEP PURPLE時代からリッチーが持っていたカラーですし、後追いの自分からしたら特に違和感なく楽しめるんですよね。

長尺の楽曲にしても、「Gates Of Babylon」の持つ怪しい雰囲気とリフ(とそのメロディ)がちょっとだけツェッペリンっぽかったりして新鮮ですし。かと思えば、トラッドミュージック的な色合いが強いスローバラード「Rainbow Eyes」も素晴らしい仕上がり。この曲でリッチー/ロニー/コージー時代が幕を下ろしたのも、今となっては「しょうがないよな……」と思うものがあったり、なかったり。

アルバムとしての思い入れとなると『RISING』のほうが数歩勝るのですが、本作には「Kill The King」というHR/HM界の歴史に残る名曲/名演が含まれていることもあって、個人的評価が非常に高い1枚だったりします。そこに「Gates Of Babylon」や「Rainbow Eyes」のような楽曲も含まれているんですから、嫌いになれるわけがない。いや、嫌いな人なんていないですよね?

なお、本作の2枚組デラックス盤(サブスクはこちらが配信されています)では、本作のラフミックスバージョンも楽しむことができます。完成度はオリジナル盤のほうが勝りますが、そちらではよく聴き取れないフレーズも楽しめるので、マニア向けとはいえ貴重な音源集ではないでしょうか。



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2018年11月23日 (金)

QUEEN『JAZZ』(1978)

1978年11月発売の、QUEEN通算7作目のスタジオアルバム。前作『NEWS OF THE WORLD』(1977年)が全英4位/全米3位と本国以上にアメリカで成功を収めた彼らでしたが(アメリカでは400万枚以上のセールス)、続く本作は全英2位/全米6位と再びその勢力が逆転しています。「Bicycle Race / Fat Bottomed Girls」(全英11位/全米24位)、「Don't Stop Me Now」(全英9位/全米86位)と、シングルにおいてもその傾向は同様だったようです。

コテコテとした『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)、『A DAY AT THE RACES』(1976年)を経て、シンプル・イズ・ベストな方法論を取った前作『NEWS OF THE WORLD』。そこから今作では、3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』(1974年)的なごった煮感覚を取り戻し、音楽的にもより拡散方向へと進み始めます。

オープニングの「Mustapha」ではアラビア音楽を思わせるメロディを持つアップチューンで、歌詞にも英語のほかアラビア語、ペルシャ語が用いられ、聴き手を驚かせます。かと思えば、QUEENらしい重厚さの目立つ「Fat Bottomed Girls」やフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)作の美しいバラード「Jealousy」、展開の激しいポップチューン「Bicycle Race」、ジョン・ディーコン(B)作のストレートなロックナンバー「If You Can't Beat Them」やフレディ作の豪快なハードロック「Let Me Entertain You」、ブライアン・メイ(G, Vo)作の前のめりなハードロック「Dead On Time」など、ロック/ハードロック色の強い楽曲が並びます。

そういえばジョンは本作でもう1曲、美しいメロディのミディアムチューン「In Only Seven Days」も提供しています。改めて優れたソングライターであることを実感させられますね。

後半ではブライアンのギターオーケストレーションをフィーチャーしたヴォードヴィル風ブルース「Dreamer's Ball」や、80年代のQUEENを先取りしたロジャー・テイラー(Dr, Vo)作のディスコソング「Fun It」、ブライアンが単独で歌うミディアムポップチューン「Leaving Home Ain't Easy」、名曲中の名曲「Don't Stop Me Now」、ヘヴィかつコラージュ的アレンジも用いられた“らしさ”満載の「More Of That Jazz」と、とにかく聴き応えのある楽曲が目白押し。統一性は前作より薄いものの、改めて“QUEENとはなんぞや?”という命題と向き合った意欲作ではないかと思っています。

アメリカでバカ売れした前作『NEWS OF THE WORLD』と次作『THE GAME』(1980年)との間の1枚ということで、全キャリア中インパクトの薄い作品かもしれませんが、混沌の80年代を迎える前に彼らが今一度QUEENらしさを取り戻したという意味では、実は非常に重要な1枚だと思っています。

ちなみに、タイトルの『JAZZ』。本作にはジャンルとしてのジャズは1曲も収録されていません。これはスラングで、「くだらない話」や「ほら話」「ナンセンス」を意味する言葉なんだとか。自身のスタイルを皮肉った、これもある意味彼ららしいタイトルなのかもしれませんね。



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2018年1月13日 (土)

THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THIN LIZZY初のライブアルバム。本作は1976年のロンドン公演、および1977年のフィラデルフィア&トロントでのライブから抜粋された音源(一部、1978年にパリのスタジオで録り直されたものも収録)が、アナログ盤では2枚組として、CDになってからは1枚にまとめられリリースされております。

時期的には名盤『JAILBREAK』(1976年)から『JONNY THE FOX』(1976年)、『BAD REPUTATION』(1977年)といったアルバムが連発された期間のライブ録音であり、バンドとしては非常に脂の乗ったタイミングだったことは間違いありません。もちろん、だからこそ音源として残しておこうという思いも少なからずあったはずですから。特にイギリスでは当時の最新スタジオ作『BAD REPUTATION』が全英4位という過去最高位を記録したあとだけに、ここで過去の楽曲をひとまとめしたカタログ的1枚を作っておこうという思いもあったことでしょう。しかも、録音時期や状態が異なる楽曲の数々を勢いに乗ったバンドのライブ演奏で表現することで、このバンドの魅力が最大限に伝わるはずですしね。

だって、冒頭からいきなり「Jailbreak」「Emerald」の2連発ですよ。ライブのオープニングにふさわしいワイルドな「Jailbreak」から、このバンドの本質的部分が端的に表れた「Emerald」へとつなぐ流れは圧巻ですし、そこからポップで心地よい「Southbound」、ライブバンドTHIN LIZZYの魅力が遺憾なく発揮された「Rosalie (Cowgirl's Song)」、レゲエビートを導入したダンサブルな「Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)」と、本当に序盤5曲の流れは完璧。さらにそこから、中盤には名バラード「Still In Love With You」があったり、以降もドラマチックな「Cowboy Song」、さまざまなアーティストにカバーされてきた代表曲「The Boys Are Back In Town」、グルーヴィーな「Don't Believe A Word」など名曲が目白押しなわけですよ。

さらに、終盤にはアッパーな「Are You Ready」、軽快なブギー「Suicide」、コール&レスポンスが気持ちいい「Baby Drives Me Crazy」、ストレートなロックチューン「The Rocker」と続いて終了。ちなみに「Baby Drives Me Crazy」で登場するハーモニカは、かのヒューイ・ルイスが吹いていることで有名だったりします(HUEY LEWIS & THE NEWS結成前のヒューイが参加したCLOVERが当時THIN LIZZYのオープニングアクトを務めていたため実現)。

すでに『BAD REPUTATION』では3曲しかレコーディングに参加していなかったブライアン・ロバートソン(G)にとって、最後の参加作品となってしまった本作。そのサウンドからも当時のバンド内の緊張感が伝わってくるような気もしますし、だからこそ生み出すことができたバンドマジックも存在している、真の意味での絶頂期の1枚と言えるでしょう。もしTHIN LIZZYのアルバムをどれから聴いていいか迷ったら、まずは本作を手にすることをオススメします。



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2018年1月 6日 (土)

THE ROLLING STONES『SOME GIRLS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THE ROLLING STONE通算14枚目(UK / USでは16枚目)のスタジオアルバム。前作『BLACK AND BLUE』(1976年)から2年ぶり、ロニー・ウッド(G)が前面参加した初のスタジオ作となります。本作はアルバムとしても全米1位を獲得しただけでなく、シングル「Miss You」も全米1位を記録。さらに「Beast Of Burden」が全米8位、「Shattered」が全米31位とヒット曲を連発しました。

本作はどうしても「Miss You」で取り入れたディスコビートに目が行きがちですが、「When The Whip Comes Down」や「Lies」「Respectable」「Sattered」のような疾走感の強いパンクチューンが多く含まれていることが前作との大きな違い。ミック・ジャガーが時代を意識した結果、ディスコとパンクという当時の流行を取り入れたことは間違いないでしょう。もちろん単なるフォロワーで終わっておらず、しっかりストーンズらしく仕上げられているのですからさすがです。

また、「Just My Imagination (Running Away With Me)」のようなカバー曲もあれば、ソウルとブルースの中間的な「Some Girls」、ソウルバラード「Far Away Eys」「Beast Of Burden」、キース・リチャーズがリードボーカルと務める「Before They Make Me Run」もあり、従来のファンも納得のナンバーも多い。そのへんのバランス感が優れているのも、本作の特徴かもしれません(悪くいえば、新しいことにも手を出すけど、過去の路線も捨てきれない優柔不断さが出てしまったとも)。

個人的には、「Lies」のもろパンクな“勢い一発”感に一番驚かされました。こんなむき出し感、この後にはほとんど出てきませんからね。まあ、THE CLASHに時代遅れ的に言われちゃ黙っていられなかったんでしょうね。ただ、そこでもしっかりストーンズのフォーマットに沿っているあたりに、彼らのこだわり……「なんだかんだで、やっぱりこれしかできねえ!」的潔さを感じずにはいられません。まさに「It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)」といったところでしょうか。

そういえば、このアルバムの前後というのはキースがドラッグ問題で逮捕されたりリハビリしたりと、ある意味では大変だった時期。「Before They Make Me Run」もドラッグについて歌った曲ですしね。

また、本作は準メンバーのイアン・スチュワート(Piano)が未参加(レコーディングには参加したものの、彼が参加した楽曲は使われず)という珍しい1枚。ピアノはキースやイアン・マクレガンが弾いているのですが、それもほんの数曲で、どちらかというとギター色の強い作風なんですね。そいったところにも、このバンドのパンク精神が表れているのかもしれません。



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2018年1月 5日 (金)

VAN HALEN『VAN HALEN』(1978)

このアルバムがもう40年前の作品だという事実にも驚かされるし、自分が聴くようになってすでに30年以上経過しているという事実にもびっくりしてしまいます。そんな、死ぬほど聴きまくった1枚であり、自分のギター感というものをひっくり返してくれた重要なアルバム。それがVAN HALENのデビューアルバムです。

もはや説明など必要ないですよね。エディ・ヴァン・ヘイレン(G)という歴史的ギタリストを世に送り出しただけでなく、デイヴ・リー・ロス(Vo)という稀代のエンターティナーを生んだ、ロック史に残すべき1枚。イギリスではパンクロック全盛でHR/HMは死んだと思われていた中、アメリカから突如現れた新たな形のハードロックバンド、それがVAN HALENでした。

THE KINKSの代表曲「You Really Got Me」をワイルドな演奏でカバーしたバージョンでおなじみの本作。オープニングを飾るヘヴィな「Runnin' With The Devil」、日本人好みのキャッチーさを持つ「Ain't Talkin' 'bout Love」といったオールタイムで演奏されてきたおなじみの楽曲が多数含まれています。また、ギターファンには「Eruption」というハードロックギターのお手本的インストが収録されていることでも知られているんじゃないでしょうか。

もちろん本作はそれだけではなく、アッパーなブギー「I'm The One」やパンク全盛期のこのタイトルか!というストレートなハードロック「Atomic Punk」、ポップさを前面に打ち出した「Jamie's Cryin'」、豪快なアメリカンロック「Feel Your Love Tonight」、ソウルフルな印象の「Little Dreamer」、デイヴのエンターティナーぶりがもっとも発揮された「Ice Cream Man」、ラストを飾るにふさわしいハードロックナンバー「On Fire」と本当に捨て曲なし。ギタープレイひとつ取っても、至るところに派手さなプレイが落とし込まれているし、それを支えるマイケル・アンソニー(B)&アレックス・ヴァン・ヘイレン(Dr)のリズム隊が生み出すグルーヴ感も聴き応え満点。特にバンド経験者や楽器を嗜む人には基礎中の基礎がたくさん詰まった、勉強になる点が多い1枚だと思います。

最近はリマスター盤もリリースされ、音がかなりクリア&迫力あるものに生まれ変わっていますが、もし機会があったらアナログ盤でも聴いてみてください。現行のリマスター盤とはいひと味違った迫力を味わえるはずですから。



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2017年4月16日 (日)

AEROSMITH『LIVE! BOOTLEG』(1978)

1978年にリリースされた、AEROSMITHキャリア初のライブアルバム。CDでは1枚のディスクにまとまってますが、アナログ盤は当時2枚組でリリースされています。

音源の大半は1977〜78年に、当時の最新作『DRAW THE LINE』(1977年)に伴うツアーで録音されたもの。つまり、バンドとしてはドラッグまみれで臨界点に達しつつあるか、達してしまってあとは落ちていくだけ……という絶妙なタイミングのライブなのです。選曲も1st『AEROSMITH』(1973年)から『DRAW THE LINE』までのベストセレクションといった内容。実際のライブのセットリストとは異なるものの、「Back In The Saddle」からヘヴィに始まり、そのままサイケデリックな「Sweet Emotion」へと流れていく構成はさすがの一言。演奏が進むに連れて演者の熱量が一気に上がり、それに伴いテンポも上がっていくという生々しさは、現代の“クリック重視”のライブとは一線を画するものがあります(ってこれ、現在のエアロを否定しているわけじゃないですよ。念のため)。

また本作にはスタジオアルバム未収録のオリジナル曲「Chip Away The Stone」やTHE BEATLESのカバー「Come Together」も収録。スタジオ音源は7インチアナログ盤やコンピ盤でしか聴けない貴重な楽曲を、当時のエアロらしいルーズだけど尖った歌と演奏で楽しむことができます。

さらに、本作の聴きどころのひとつとして、アナログ盤でいうところのD面(ディスク2のB面)、CDだとトラック14以降にとても貴重な音源が含まれています。それは、本作で最古の音源となる1973年のライブから「I Ain't Got You」「Mother Popcorn」の2曲。前者はジミー・リードやYARDBIRDSなどで知られるブルースのスタンダード、後者はジェイムズ・ブラウンのそれぞれカバーです。デビュー間もない頃のエアロはこういったカバー曲をかなりライブで披露しており、その音源はブートレッグなどでも確認することができます。ギリギリのところで正気を保っていた1977〜78年のエアロと、メジャーデビューして明るい未来を思い浮かべていた1973年のエアロ。これを並列で語っていいものか気になりますが、あの時点でこういう形でバンドの原点を思い出させてくれるのはエアロにとっても、そしてファンにとっても非常に意味のあることだったのではないでしょうか。

ちなみに、この2曲の後には1978年のライブから「Draw The Line」へとなだれ込むのですが、実はアルバムジャケットやブックレットには本来この曲はクレジットされていません。つまり、シークレットトラックとして収められているわけですね。これ、アルバムタイトルからもわかるように、当時横行していた海賊盤(Bootleg)に真っ向から対抗したもので、このクレジット漏れも“海賊盤によくあること”としてバンド側がちょっとした遊び心で手がけたんだとか。

このアルバムについては語りたいことが山ほどあるはずなのに、だけど無駄なことはあまり語りたくない気持ちもある。自分のロック人生を最初に変えてくれた、それくらい大切な1枚なんです。もし「AEROSMITHで一番好きなアルバムは?」と質問されたら、間髪入れずにこのアルバムを挙げることでしょう。



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2004年9月24日 (金)

とみぃ洋楽100番勝負(36)

●第36回:「Kill The King」 RAINBOW ('78)

 はい、好きなドラマーはU2のラリーと、コステロ & THE ATTRACTIONS時代のピート・トーマス、トミー・リー、そしてコージー・パウエル先生でございます。全員一癖も二癖もあるドラマーばかりでございます。

 コージー先生との出会いは、WHITESNAKEの「SLIDE IT IN」っつーアルバムでして、そこでも "Standing In The Shadow" や "Slow N'Easy"、"Guilty Of Love" 等で超絶プレイを堪能できますが、やはり個人的にはこの "Kill The King" のドラムがね。これで惚れたようなもんだから。

 つーかさ。所謂「三頭政治」時代最後の作品なわけじゃない(三頭政治=ロニー・ジェイムズ・ディオ、リッチー・ブラックモア、コージー)。確かに前作「RISING」程の完成度はないかもしれないけど‥‥いや、俺結構好きよ。

 高校一年の夏、プール監視員のバイトをしてさ。そこで一日中RAINBOWばかりかけてた時があって。ずっと "Kill The King" と "Stargazer" ばかりリピートしてたっけ。

 もし‥‥もしドラムが思いのままに叩けるのなら。まず最初に "Stargazer" のイントロ部分と、"Kill The King" をまるごと叩きたい。そんな衝動にかられる程、魅力的な、そして特別な緊張感を持った1曲。やっぱり今聴いてもカッコいいわ。



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2004年8月22日 (日)

とみぃ洋楽100番勝負(3)

●第3回「Back In The Saddle」 AEROSMITH('76/'78)

 多分、初めて聴いたエアロ・ナンバーがこれ。しかもスタジオ盤 「ROCKS」の方じゃなくて、ライヴ盤「LIVE! BOOTLEG」の方ね(両方共、アルバム1曲目がこの曲)。

 小学生時代、洋楽を聴くことが凄くカッコ良く思えてちょっとだけ背伸びしたかった俺は、5つ離れた兄貴のいる友人の家に入り浸って、そいつん家のリビングにあるステレオ(コンポじゃなくて、立派なステレオシステムな)で毎日毎日、あれやこれやと洋楽のアルバム/シングルを聴きまくってたのね。勿論、そいつの兄貴所有のものなんだけど。その兄貴もガキ相手に快くアナログ盤を貸してくれたのよ、傷とか汚れとか全然気にせずにさ。

 で、俺に「ギターとか弾いてみれば?」と勧めてくれたのも、その兄貴で。当時既にピアノとかエレクトーンを習ってたんで楽譜とか普通に読めたし、ギター弾くことに興味を持ってたのが唯一俺だけでね。そんで「とりあえずこれ聴いてみ。ギターがすっげーカッコいいから」といって手渡されたのが、前述の「LIVE! BOOTLEG」。

 多分ロックを聴いて衝撃を受けるとか小便チビるとか、そういった陳腐な表現じゃ収まりきらない程のショックを生まれて初めて受けたのが、このアルバムをプレイヤーにのせて針を落とした後だと思う。その後もいろんなバンドや音との出逢いに衝撃を受けたけど、後にも先にもこれを超えるような衝撃はないと思う。それくらい自分の中で何かが壊れた瞬間。童貞失った時でもそんな衝撃とか受けなかったしなー。あれか、しいて例えるなら「女性器を初めて直に見た時」の衝撃に近い‥‥のか?(苦笑)

 まーとにかく。俺の中にあったそれまで(といってもたかだか11〜2年程度だけど)の価値観を見事にぶち壊してくれたのがエアロであり、「LIVE! BOOTLEG」であり、この "Back In The Saddle" という曲であった、と。イントロの妖しさ満開なギターリフと、その後に訪れる驚異的なシャウト。そしてブッといリズム。これが全て。初めてエアロの写真を見た時なんて嬉しかったなぁ。「あー、音からイメージできる、まんまの恰好だ!」って。

 結局33才にもなって未だにロックというものに「華やかさ」とか「エンターテイメント性」とか「妖しさ」とかそういったモノを求めてしまうのは、きっとMONKEESとかそういったポピュラリティーある音楽からスタートして、このエアロで全てを悟ってしまったからなのかな‥‥じゃなきゃあれから20年以上経った現在も、こうやって「LIVE! BOOTLEG」を聴いてないよな‥‥

 小5の頃だったかな‥‥'82〜3年か。エアロはジョー・ペリーもブラッド・ウィットフィールドも脱退して瀕死状態だった頃だね。そして中学に入ると同時にオリジナルメンバーで復帰。その後の躍進については皆さん知る通り。

 多分、洋楽云々じゃなくて、俺の「ロック感」の根元を形成してるのは、このライヴ盤であり、そのスタート地点がこの曲なんですよ。だから今でも生でこの曲を聴くと否が応でも鳥肌が立つ。そんな忘れられない「ロック童貞」を奪った1曲。



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