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カテゴリー「1978年の作品」の15件の記事

2021年9月26日 (日)

JOHNNY THUNDERS『SO ALONE』(1978)

1978年10月にリリースされたジョニー・サンダースの1stソロアルバム。

1975年のNEW YORK DOLLS脱退を経て、一緒に脱退したジェリー・ノーラン(Dr)とTHE HEARTBREAKERSを結成。パンクムーブメントがイギリスで勃発する1977年に唯一のアルバム『L.A.M.F.』を発表しますが、そこから1年に初のソロアルバムを完成させます。

スティーヴ・リリィホワイト(U2、XTC、ULTRAVOX、モリッシーなど)を共同プロディーサーに迎え、レコーディングにはSEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ(G)&ポール・クック(Dr)、フィル・ライノット(Ba, Vo/THIN LIZZY)、スティーヴ・マリオット(Harp, Piano, Vo/SMALL FACES、HUMBLE PIE)、クリッシー・ハインド(Vo/THE PRETENDERS)、ウォルター・ルー(G/THE HEARTBREAKERS)などジョニーの交友関係の幅広さを感じらせる面々が多数参加。『L.A.M.F.』の延長線上にありながらも、ソロならではのパーソナルな側面を感じさせる楽曲も含む、バランス感に優れた1枚に仕上がっています。

カバー曲が多いのも彼ならではといったところで、VENTURESの「Pipeline」のカッコよさ(HANOI ROCKSのカバーはこれが元でしょう)をはじめ、THE SHANGRI-LAS「Great Big Kiss」、オーティス・ブラックウェル(THE WHOなどもカバーした)「Daddy Rollin' Stone」、NEW YORK DOLL時代のセルフカバー「Subway Train」など彼らしいセレクト/アレンジで楽しませてくれます。

かと思えば、今日までマイケル・モンローGUNS N' ROSESなどさまざまなアーティストにカバーされてきた「You Can't Put Your Arms Around A Memory」や「Ask Me No Questions」といったミディアムスローのアコースティックナンバー、NEW YORK DOLLSの延長線上にありながらも時代に呼応したサウンドの「Leave Me Alone」、SEX PISTOLSに対するディスソング「London Boys」などオリジナルソングも魅力的。1992年のCD化の際にはオリジナルの10曲に加え、T. REX「The Wizard」のカバーなどを含む4曲が追加されており、こちらも捨て曲なしで楽しむことができるはずです。

『L.A.M.F.』はオリジナル版に音質面で難があり、のちに数々の“別ミックス”が続発するという珍事を生み出しましたが、そういった意味ではジョニー・サンダースのソロワークスにおける入門盤は本作がいいのかなと。『L.A.M.F.』も破壊力も捨てがたいですが、ソングライティング面、アレンジ面での総合力では本作のほうが数歩かなと感じています。事実、僕もジョニーのソロ作品は本作(1992年の初CD化時)からでしたしね。NEW YORK DOLLSからの流れで聴くにもちょうど良い気がします。

ジョニーのヘロヘロボーカルも、どこか初期のキース・リチャーズを彷彿とさせるものがありますし。そういった意味でも本作は“究極のヘタウマ芸術”における、ひとつの到達点ではないでしょうか。

 


▼JOHNNY THUNDERS『SO ALONE』
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2021年9月 9日 (木)

CHEAP TRICK『HEAVEN TONIGHT』(1978)

1978年4月24日にリリースされたCHEAP TRICKの3rdアルバム。

デビュー作『CHEAP TRICK』(1977年)が1977年2月発売、前作『IN COLOR』(1977年)が同年9月発売と約7ヶ月間隔でのリリースペースが続いていた初期のCHEAP TRICK。適度なパンキッシュさとガレージロック度の強い1作目、極端なポップネスへと振り切った2作目を経て、続くこの3作目では過去2作の中間に位置する、バランス感に優れた良作に仕上げられています。

ポップ度に関して言えば前作にも匹敵する甘さが備わっているものの、それを構築するバンドサウンドがより“硬く”なったことで、ロックバンドとしてのタフさが急増。結果、「Surrender」や「On Top Of The World」のようなポップな楽曲もロックチューンとして通用する、これこそパワーポップと言わんばかりの仕上がり。かと思えば「High Roller」や「Oh Claire」のように1作目に含まれていそうなヘヴィ路線の楽曲、「Heaven Tonight」のようなヘヴィバラード、「Stiff Competition」を筆頭とするハードドライヴィンなロックチューン、「How Are You?」みたいに前作の流れを継承するポップソングも用意されており、ソングライターとしての幅もより広がりを見せています。

この短期間でソングライターとしてはもちろんのこと、ロックバンドとしての表現力も一気に成長を遂げ、早くも初期の集大成と呼べるアルバムを完成させたCHEAP TRICK。海外でのリリースタイミングには、ここ日本で初の日本武道館公演も成功させ、その模様を収めたライブアルバム『AT BUDOKAN』(1978年)は初の全米トップ10入り(最高4位)を果たすことになります。

とはいえ、直前にリリースされた今作もその時点では過去最高の全米48位まで上昇し、シングル「Surrender」も全米62位と初のシングルトップ100入りを遂げるのですから、『AT BUDOKAN』での成功はここで約束されていたといっても過言ではありません。

集大成的内容の『HEAVEN TONIGHT』、ライブでの躍動感を伝える『AT BUDOKAN』を経て、CHEAP TRICKは4thアルバム『DREAM POLICE』(1979年)で最初の大きなピークに到達します。リリースの流れに沿って各アルバムを聴いていくと、バンドが波に乗っていく感覚が伝わるはず。特に『IN COLOR』から『HEAVEN TONIGHT』、『HEAVEN TONIGHT』から『DREAM POLICE』への流れはその進化ぶりがより明確に理解できるのではないでしょうか。

 


▼CHEAP TRICK『HEAVEN TONIGHT』
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2021年1月17日 (日)

PATTI SMITH GROUP『EASTER』(1978)

1978年3月にリリースされたパティ・スミスの3rdアルバム(PATTI SMITH GROUP名義でのリリース)。

本作からはブルース・スプリングスティーンとの共作「Because The Night」が全米13位/全英5位の大ヒットシングルが生まれ、アルバム自体も全米20位/全英16位まで上昇。パティ・スミスを一段上のステージへと引き上げる、代表作のひとつとなりました。

ジョン・ケイル、ジャック・ダグラスが手がけた初期2作はガレージロックやハードロック色が漂う作風でしたが、今作ではそこにパンキッシュな色合いが加わることで、のちにパティ・スミスが“パンクロックの女王”と呼ばれるようになるきっかけを作ります。「Rock N Roll Nigger」のような直線的なパンクロックも存在しますが、本作におけるパンキッシュさは「Space Monkey」や、「Rock N Roll Nigger」の序章といえる「Babelogue」などから垣間見える呪術的な歌唱スタイルによるものが強いのかなと。「Babelogue」などで聴けるポエトリー的な歌唱スタイルはデビュー作『HORSES』(1975年)の時点から存在していたものですが、初期のそれはもうちょっと知的さが強かったような。それと比べると、今作でのポエトリーはより開放的な側面が強まり、そのエネルギッシュさこそパンクロックの根源なのでは……本作を聴くと、そう思わずにはいられません。

かと思えば、先の「Because The Night」のようにエモーショナルな楽曲も存在する。スプリングスティーン自身のセルフカバーもあれば、10,000 MANIACS、CASCADA、GARBAGE、マイケル・スタイプ(R.E.M.)、BON JOVIなどさまざまなアーティストが音源やライブでカバー。パンククラシックというよりは(作風的にも)ロッククラシックと呼ぶにふさわしい1曲と言えるでしょう。この曲と同時に「Rock N Roll Nigger」みたいな曲も並列して存在するあたりが、本作最大の魅力ではないでしょうか。

で、その2曲をつなぐかのように、間には民俗音楽的なアコースティックナンバー「Ghost Dance」が居座っており、ほかにもスローバラード「We Three」、ダルなゴリゴリのガレージロッ組曲「25th Floor」「High On Rebellion」などバラエティに富んだ楽曲で固められている。サウンド的なパンクではなく、精神性でのパンクを表現した本作は、「パンクロックとは何か?」を考える上で改めて重要な1枚のような気がします。

若い頃は見過ごしていた気づきが、この年齢になったからこそいろいろ発見できる。と同時に、大人になるにつれて失ったものにも気づかせてくれる。歳を重ねるたびに聴くと、その感じ方の変化が大きい生き物のような怪作です。

 


▼PATTI SMITH GROUP『EASTER』
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2020年11月 6日 (金)

AC/DC『IF YOU WANT BLOOD YOU'VE GOT IT』(1978)

1978年10月にリリースされたAC/DC初のライブアルバム。

『ギター殺人事件 AC/DC流血ライヴ』の邦題で長きにわたり親しまれている本作は、当時の最新アルバム『POWERAGE』(1978年)リリース直前の1978年4月30日にグラスゴーのApollo Theatreにてライブレコーディングされたもの。今作のあとに出世作『HIGHWAY TO HELL』(1979年)を発表しているのもあり、本作はそれ以前のAC/DCにおけるベストヒット的内容と言えるでしょう。

ボックスセット同梱作品を除けば、本作がボン・スコット(Vo)在籍時唯一のライブアルバムであり、次のライブ作品『LIVE』(1992年)までは本作こそがAC/DC最強のライブアルバムとして親しまれてきました。まあ、そもそも『LIVE』はブライアン・ジョンソン(Vo)が歌っているので、同じ曲が含まれているとはいえ別モノと切り分けて考えるのが妥当かと思います。

ちなみにこの4月30日にグラスゴー公演では全12曲が披露されており、そのうち10曲をアルバムに収録(カットされたのは「Dog Eat Dog」と「Filling Thing」)。曲順は一部異なるものの(実際のライブでは2曲目だった「Problem Child」がアルバムでは5曲目など)、アルバムの構成としては非常に流れもよく、ロックンロールバンドとしてのAC/DCをベストな形で表現しているように映ります。

そう、この時期のAC/DCはハードロックというよりはハードブギー、もっと言えばシンプルにロックンロールバンドなんですよ。オープニングを飾る「Riff Raff」とかハードロック調ではあるものの、コードなんてシンプルなブルース進行ですし(LED ZEPPELINの「Rock And Roll」に通ずるものがありますよね)、「Bad Boy Boogie」から「The Jack」の流れなんてまさに王道ロックンロールですから。ハードロック色が強まったのって、結局ブライアン加入後の『BACK IN BLACK』(1980年)以降なんじゃないかな。だから、先の『LIVE』と切り分けて考えるのは当然なのです。

全10曲で約53分(アナログ1枚もの)は当時で考えると長尺ですし、アナログ盤で聴くラストの「Rocker」の音の悪さといったら、それはそれは(笑)。ですが、「Whole Lotta Rosie」以降の後半の熱量は特筆すべきものがあります。実際のライブとは異なる流れながらも、そのあとに当時の最新曲「Rock 'N' Roll Damnation」と初期の代表曲「High Voltage」を挟んで「Let There Be Rock」「Rocker」へと続く構成は最高以外の何ものでもありません。これ以上はないでしょ?ってくらい、究極の流れなのです。高校生のときから何百回、何千回とこの流れに興奮したことか。

アンガス・ヤング(G)のギタープレイの凄みやボン・スコットのフロントマンとしてのカリスマ性も存分に伝わる本作、初期AC/DCの入門編としてオススメの1枚です。

 


▼AC/DC『IF YOU WANT BLOOD YOU'VE GOT IT』
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2020年3月 8日 (日)

WHITESNAKE『TROUBLE』(1978)

明日からスタート予定だったWHITESNAKEのジャパンツアー、再延期になっちゃいましたね。本来は昨年10月に計画されていたものが、バンド側のスケジュール再調整により半年後の3月に振り返られたわけですが、ここまで振替が続くと……最新作『FLESH & BLOOD』(2019年)リリースから間もなく1年。忘れ去られちゃいますよ。

ということで、ここ数日WHITESNAKE関連の諸作品を紹介してきましたが、しばらくの間彼らのオリジナルアルバムやライブアルバムなどを集中的に紹介することで、少しでも彼らに注目が集まることに揚力できたらと思います。

本日ピックアップしたのは、1978年10月にリリースされたWHITESNAKEの1stアルバム『TROUBLE』です。日本では翌1979年2月に発売されたようです。

1976年夏にDEEP PURPLEが解散し、デヴィッド・カヴァーデイルは1977年春に初のソロアルバム『WHITESNAKE』を、翌1978年3月には2ndソロアルバム『NORTHWIND』を順調にリリースしています。さらに、同年6月にはDAVID COVERDALE'S WHITESNAKE名義で4曲入りEP『SNAKEBITE』を発表。さらに、WHITESNAKE名義での本作が10月に発表されているとなると、かなりのハイペースで創作活動を行なっていたことがわかります。

当時のバンドメンバーはカヴァーデイル(Vo)のほか、ミッキー・ムーディ(G)、バーニー・マースデン(G, Vo)、ニール・マーレイ(B)、デイヴ・ドウル(Dr)、そしてDEEP PURPLEからそのまま行動をともにすることになったジョン・ロード(Key)という6人(EP制作時はピート・ソリーがキーボードを担当)。パープルやRAINBOWの代表作に加え、のちにIRON MAIDENの諸作品を手がけることになるマーティン・バーチをプロデューサーに迎え、ビートルズ「Day Tripper」のカバーを含む全10曲入りアルバムを完成させます。

クレジットを見ると、大半の楽曲でカヴァーデイル/ムーディ、カヴァーデイル/マースデンという共作が実現しており、3人およびバンドメンバー全員での共作曲を含めるとその数は実に7曲にもおよび、カバーを除く残り2曲はカヴァーデイルの単独制作による「Love To Keep You Warm」とミッキー・ムーディ単独制作曲「Belgian Tom's Hat Trick」という内訳になります。こうやって見ると、カヴァーデイルがリーダーではあるものの、ちゃんとバンドとして機能していることが伺えます。

オープニングの「Take Me With You」こそアップテンポのハードロック調ですが(シンセが前面に打ち出されていることで、ニューウェイヴ感も漂っていますが)、軽快なロックンロール「Lie Down」やヘヴィブルース調にアレンジされた「Day Tripper」など含め、全体的にソウルミュージックやブルースロックのテイストがかなり強い作風となっています。「Nighthawk (Vampire Blues)」や「Free Flight」なんて、そのグルーヴィーなリズムからジャズやファンクの影響も見え隠れしますし。かつ、後者ではバーニー・マースデンがボーカルを披露しているのも、このアルバムの面白いところでしょうか。しかも、なかなか良い歌声聴かせてくれるもんだから、たまらんです。

80年代後半以降のWHITESNAKEとはもはや別モノでしかありませんが、このソウルフィーリングこそがカヴァーデイルの魅力だと信じて疑わないリスナーも少なくないはず(筆者もそのひとり)。今や本作の楽曲を軸にしたライブなんて到底叶いっこあいませんが、たまには本作のことも思い出してあげてくださいね、カヴァーデイルさん。

なお、本作は2006年のリマスター化に伴い、デビューEP『SNAKEBITE』収録の4曲を追加。今でも来日のたびに披露される機会の多いボビー・ブランドの名カバー「Ain't No Love In The Heart Of The City」のスタジオバージョンや、「Come On」「Bloody Mary」といったロックンロール色の強いナンバー、スライドギターをバックに歌うカヴァーデイルの歌声がセクシーな「Steal Away」という貴重なナンバーを楽しむことができます。

 


▼WHITESNAKE『TROUBLE』
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2020年1月25日 (土)

BLACK SABBATH『NEVER SAY DIE!』(1978)

1978年9月にリリースされたBLACK SABBATHの8thアルバム。日本盤も同年に発表されているようですが、当時のライナーノーツの日付が「1978年9月」となっていることから、2ヶ月くらい発売時期は遅れたのかなと。当時の日本盤はそれくらいのインターバルがあるのは普通だったので、意外でもないですけどね。

前作『TECHNICAL ECSTASY』(1976年)で若干ポップなハードロック路線へと移行したサバスでしたが、翌1977年11月にオジー・オズボーン(Vo)が一度脱退するとうハプニングが発生。後任にデイヴ・ウォーカーというシンガーを迎え、短い間ですがライブ活動を続けていたものの、結局1978年1月にオジーが復帰。そのまま今作の制作に突入します。

オープニングのタイトルトラックが醸し出す軽快さ(ちょっとTHIN LIZZY「The Boys Are Back In Town」っぽい)に、いきなり肩透かしを食らうこのアルバム。どうしてもこの1曲目のインパクトが強すぎて、そこまで真剣に聴いてこなかった作品集ですが(ていうか、若い頃は本当に1曲目を聴いて再生をストップさせてたし)、全体的にもいわゆる初期のおどろおどろしいメタリックな要素は払拭され、軽やかさ/しなやかさが際立つ新境地を見せてくれます。前作も悪くなかったけど、むしろ前作でやろうとしたことの完成形がここには存在しているのかなと。

初期から備わっていたジャジーな色合いが別のベクトルを持ち始めた「Juior's Eyes」や「Air Dance」、イントロのシンセサイザー(ドン・エイリーによるもの)に度肝を抜かれるものの、続く疾走感の強いアレンジに心を奪われる「Johnny Blade」、軽やかなブギーサウンドに乗ったサイケデリックなメロディが新鮮な「A Hard Road」、ピアノをフィーチャーした華やかな「Over To You」など、改めて聴き込むと佳曲の多さに気づかされる1枚ではないでしょうか。うん、思ったほど悪くない。

ところが、終盤に入って「Iron Man」ばりのヘヴィなバンドアンサンブルにゴージャスなブラスセクションとサックスソロが乗っかったインスト「Breakout」に腰を抜かすことに。さすがにこれはやりすぎだろ!とツッコミを入れたくなりますが、その流れのまま強引に突入する「Swinging The Chain」ではビル・ワード(Dr)がリードボーカルをとるという謎のエンディングに。あれ、こんな終わり方?(苦笑)

間違いなくバンドとして過渡期に突入していることが伺えるし、結局本作を携えたツアー終了後にオジーが再脱退→ソロ活動に突入することに。サバスは新たに元RAINBOWロニー・ジェイムズ・ディオをフロントマンに迎え、さらなる新境地となる傑作『HEAVEN AND HELL』(1980年)を完成させることになるのでした。

好き嫌い分かれる1枚かと思いますが、ポップさ/わかりやすさという点においてはのちのオジーソロへとつながっていく点も少なくなく、逆にトニー・アイオミ(G)のメタル・リフマスターとしての仕事ぶりに不満が残る(その点は次作で解消されるのですが)、ひとつの時代の終焉を感じさせる内容となっています。にしても、オジー期がこれで終わりっていうのもね(まあ、これだったから終わったんだろうけど)……と80年代、90年代と長らく感じていたのですが、本作から35年後にオジー、トニー、ギーザー・バトラー(B)が揃った編成での新作『13』(2013年)を聴ける日が来るとは。長生きはするものですね(笑)。

というわけで、本作のタイトルおよびタイトルトラックをオジー・オズボーンに捧げます。Never Say Die!

 


▼BLACK SABBATH『NEVER SAY DIE!』
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2019年2月19日 (火)

JUDAS PRIEST『KILLING MACHINE』(1978)

1978年10月に本国イギリスでリリースされた、JUDAS PRIESTの5thアルバム。アメリカでは『HELL BENT FOR LEATHER』と改題され、翌1979年初頭に発表されています。本作からは「Take On The World」(全英14位)、「Evening Star」(同53位)という初のチャートインシングルが生まれ、アルバムも全英32位/全米128位のスマッシュヒットを記録しています。

「Hell Bent For Leather」やFLEETWOOD MACのカバー「The Green Manalishi (With The Two-Pronged Crown)」といった現在までのライブ定番曲に加え、最新の来日公演でも披露された「Running Wild」、ロブ・ハルフォード(Vo)をフィーチャーしたSKID ROWのカバーでおなじみの「Delivering The Goods」など、意外と知名度の高い楽曲も多い本作。ロブが初めて“スタッズ&レザー”を身にまとい、のちに知られるようになるSM的ファッションが定着するきっかけとなった1枚でもあります。

1978年というと、イギリスではパンクロック〜ニューウェイヴの全盛期で、HR/HMシーンはほぼ壊滅状態。アメリカではVAN HALENなど新たな波が生じはじめ、イギリスでもIRON MAIDENなどがオーバーグラウンド浮上に向けて動き始めた時期ですが、そんな中でJUDAS PRIESTはそれ以前の古典的なハードロック(プログレッシヴロックの影響下にあるドラマチックな展開を持つアレンジなど)と、次作『BRITISH STEEL』(1980年)での“コンパクト&ストレート”な路線との間の時期でもありました。

もちろん、前作『STAINED CLASS』(1978年)と比べたらかなりモダンになり始めていますし、のちのヘヴィメタル路線に通ずる要素もほんの少しですが備わり始めています。「Take On The World」のようなオーディエンスとシンガロングできる楽曲の誕生も、次作に向けた変化を予兆させる1曲と言えるでしょう。

また、バラードにしても前作だったらドラマチックな大作「Beyond The Realms Of Death」なのに対し、今作では3分半程度のコンパクトなアコースティックナンバー「Before The Dawn」だったりする。もっと言えば、続く『BRITISH STEEL』ではバラードが排除されているので、そういった意味でも本作は過渡期的1枚なのかもしれません。

そういえば、本作のタイトルトラック「Killing Machine」が先日、41年ぶりに演奏されたことが大きなニュースとなりました。本作のリリースツアー以来やってなかったということですよね。それもすごいな。そして、この曲が意外と今のプリーストに合ってることも、昨年末のツアーを観た人ならなんとなく共感してもらえるのではないでしょうか。

日本では前作『STAINED CLASS』の人気が高いし、海外では次作『BRITISH STEEL』が高く評価されている。そういった意味ではこの『KILLING MACHINE』は、やっぱり高い山の間にある隠れた名盤的な立ち位置なのかな。個人的にはかなり好きな部類に入る1枚なんですけどね。



▼JUDAS PRIEST『KILLING MACHINE』
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2018年12月26日 (水)

RAINBOW『LONG LIVE ROCK 'N' ROLL』(1978)

1978年春にリリースされた、RAINBOW通算3作目のスタジオアルバム。リッチー・ブラックモア(G)、ロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、コージー・パウエル(Dr)という、いわゆる“三頭政治”時代のラストアルバムに当たります。

前作『RISING』(1976年)まで在籍したジミー・ベイン(B)とトニー・カレイ(Key)が事実上クビになり、本作のレコーディングにはセッションミュージシャンとしてボブ・ディズリー(B)とデヴィッド・ストーン(Key)が参加。リッチー自身も半数以上の曲でベースを担当しています。

大作主義だった『RISING』から一変、本作ではアメリカでのラジオヒットを狙った3〜4分台の楽曲が大半を占め、長尺ナンバーはアナログA面ラスト(M-4)の「Gates Of Babylon」とアナログB面ラスト(M-8)の「Rainbow Eyes」のみ。これによってRAINBOWらしさが減退したのかというと、実はまったくそんなことはなく。リッチーのギターも、ロニーのボーカルも、そしてコージーのドラミングも緊張感のある、そして非常に勢いの強いものとなっています。

確かにオープニングを飾る「Long Live Rock 'n' Roll」や、それに続く「Lady Of The Lake」のキャッチーさは前作までになかったカラーかもしれません。けど、こういったスタイルは振り返るとDEEP PURPLE時代からリッチーが持っていたカラーですし、後追いの自分からしたら特に違和感なく楽しめるんですよね。

長尺の楽曲にしても、「Gates Of Babylon」の持つ怪しい雰囲気とリフ(とそのメロディ)がちょっとだけツェッペリンっぽかったりして新鮮ですし。かと思えば、トラッドミュージック的な色合いが強いスローバラード「Rainbow Eyes」も素晴らしい仕上がり。この曲でリッチー/ロニー/コージー時代が幕を下ろしたのも、今となっては「しょうがないよな……」と思うものがあったり、なかったり。

アルバムとしての思い入れとなると『RISING』のほうが数歩勝るのですが、本作には「Kill The King」というHR/HM界の歴史に残る名曲/名演が含まれていることもあって、個人的評価が非常に高い1枚だったりします。そこに「Gates Of Babylon」や「Rainbow Eyes」のような楽曲も含まれているんですから、嫌いになれるわけがない。いや、嫌いな人なんていないですよね?

なお、本作の2枚組デラックス盤(サブスクはこちらが配信されています)では、本作のラフミックスバージョンも楽しむことができます。完成度はオリジナル盤のほうが勝りますが、そちらではよく聴き取れないフレーズも楽しめるので、マニア向けとはいえ貴重な音源集ではないでしょうか。



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2018年11月23日 (金)

QUEEN『JAZZ』(1978)

1978年11月発売の、QUEEN通算7作目のスタジオアルバム。前作『NEWS OF THE WORLD』(1977年)が全英4位/全米3位と本国以上にアメリカで成功を収めた彼らでしたが(アメリカでは400万枚以上のセールス)、続く本作は全英2位/全米6位と再びその勢力が逆転しています。「Bicycle Race / Fat Bottomed Girls」(全英11位/全米24位)、「Don't Stop Me Now」(全英9位/全米86位)と、シングルにおいてもその傾向は同様だったようです。

コテコテとした『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)、『A DAY AT THE RACES』(1976年)を経て、シンプル・イズ・ベストな方法論を取った前作『NEWS OF THE WORLD』。そこから今作では、3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』(1974年)的なごった煮感覚を取り戻し、音楽的にもより拡散方向へと進み始めます。

オープニングの「Mustapha」ではアラビア音楽を思わせるメロディを持つアップチューンで、歌詞にも英語のほかアラビア語、ペルシャ語が用いられ、聴き手を驚かせます。かと思えば、QUEENらしい重厚さの目立つ「Fat Bottomed Girls」やフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)作の美しいバラード「Jealousy」、展開の激しいポップチューン「Bicycle Race」、ジョン・ディーコン(B)作のストレートなロックナンバー「If You Can't Beat Them」やフレディ作の豪快なハードロック「Let Me Entertain You」、ブライアン・メイ(G, Vo)作の前のめりなハードロック「Dead On Time」など、ロック/ハードロック色の強い楽曲が並びます。

そういえばジョンは本作でもう1曲、美しいメロディのミディアムチューン「In Only Seven Days」も提供しています。改めて優れたソングライターであることを実感させられますね。

後半ではブライアンのギターオーケストレーションをフィーチャーしたヴォードヴィル風ブルース「Dreamer's Ball」や、80年代のQUEENを先取りしたロジャー・テイラー(Dr, Vo)作のディスコソング「Fun It」、ブライアンが単独で歌うミディアムポップチューン「Leaving Home Ain't Easy」、名曲中の名曲「Don't Stop Me Now」、ヘヴィかつコラージュ的アレンジも用いられた“らしさ”満載の「More Of That Jazz」と、とにかく聴き応えのある楽曲が目白押し。統一性は前作より薄いものの、改めて“QUEENとはなんぞや?”という命題と向き合った意欲作ではないかと思っています。

アメリカでバカ売れした前作『NEWS OF THE WORLD』と次作『THE GAME』(1980年)との間の1枚ということで、全キャリア中インパクトの薄い作品かもしれませんが、混沌の80年代を迎える前に彼らが今一度QUEENらしさを取り戻したという意味では、実は非常に重要な1枚だと思っています。

ちなみに、タイトルの『JAZZ』。本作にはジャンルとしてのジャズは1曲も収録されていません。これはスラングで、「くだらない話」や「ほら話」「ナンセンス」を意味する言葉なんだとか。自身のスタイルを皮肉った、これもある意味彼ららしいタイトルなのかもしれませんね。



▼QUEEN『JAZZ』
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2018年1月13日 (土)

THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THIN LIZZY初のライブアルバム。本作は1976年のロンドン公演、および1977年のフィラデルフィア&トロントでのライブから抜粋された音源(一部、1978年にパリのスタジオで録り直されたものも収録)が、アナログ盤では2枚組として、CDになってからは1枚にまとめられリリースされております。

時期的には名盤『JAILBREAK』(1976年)から『JONNY THE FOX』(1976年)、『BAD REPUTATION』(1977年)といったアルバムが連発された期間のライブ録音であり、バンドとしては非常に脂の乗ったタイミングだったことは間違いありません。もちろん、だからこそ音源として残しておこうという思いも少なからずあったはずですから。特にイギリスでは当時の最新スタジオ作『BAD REPUTATION』が全英4位という過去最高位を記録したあとだけに、ここで過去の楽曲をひとまとめしたカタログ的1枚を作っておこうという思いもあったことでしょう。しかも、録音時期や状態が異なる楽曲の数々を勢いに乗ったバンドのライブ演奏で表現することで、このバンドの魅力が最大限に伝わるはずですしね。

だって、冒頭からいきなり「Jailbreak」「Emerald」の2連発ですよ。ライブのオープニングにふさわしいワイルドな「Jailbreak」から、このバンドの本質的部分が端的に表れた「Emerald」へとつなぐ流れは圧巻ですし、そこからポップで心地よい「Southbound」、ライブバンドTHIN LIZZYの魅力が遺憾なく発揮された「Rosalie (Cowgirl's Song)」、レゲエビートを導入したダンサブルな「Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)」と、本当に序盤5曲の流れは完璧。さらにそこから、中盤には名バラード「Still In Love With You」があったり、以降もドラマチックな「Cowboy Song」、さまざまなアーティストにカバーされてきた代表曲「The Boys Are Back In Town」、グルーヴィーな「Don't Believe A Word」など名曲が目白押しなわけですよ。

さらに、終盤にはアッパーな「Are You Ready」、軽快なブギー「Suicide」、コール&レスポンスが気持ちいい「Baby Drives Me Crazy」、ストレートなロックチューン「The Rocker」と続いて終了。ちなみに「Baby Drives Me Crazy」で登場するハーモニカは、かのヒューイ・ルイスが吹いていることで有名だったりします(HUEY LEWIS & THE NEWS結成前のヒューイが参加したCLOVERが当時THIN LIZZYのオープニングアクトを務めていたため実現)。

すでに『BAD REPUTATION』では3曲しかレコーディングに参加していなかったブライアン・ロバートソン(G)にとって、最後の参加作品となってしまった本作。そのサウンドからも当時のバンド内の緊張感が伝わってくるような気もしますし、だからこそ生み出すことができたバンドマジックも存在している、真の意味での絶頂期の1枚と言えるでしょう。もしTHIN LIZZYのアルバムをどれから聴いていいか迷ったら、まずは本作を手にすることをオススメします。



▼THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』
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