2017/11/19

AC/DC『BACK IN BLACK』(1980)

大ヒットした1979年のアルバム『HIGHWAY TO HELL』に続く、AC/DC通算7枚目のスタジオアルバム(1980年夏発売)。前作から引き続き、プロデュースをジョン・マット・ラングが担当。と、ここまで書くと前作の延長線上にある作風かと想像してしまいがちですが、前作との間にひとつの大事件が発生します。それがフロントマン、ボン・スコットの急逝(1980年2月)でした。バンドの顔ともいえるボンが亡くなったことで、本来はその歩みを止めてもおかしくないところを、AC/DCは前作からまる1年というハイペースで本作『BACK IN BLACK』を完成させるのでした。

新たに加入したシンガーは、イギリス生まれのブライアン・ジョンソン(元GEORDIE)。ボンの歌声はどこか気だるさや色っぽさ(エロさ)も感じられる独特の個性でしたが、ブライアンの歌声はもっと硬質。極論を言ってしまえば、ロックンロールシンガーからヘヴィメタルシンガーに交代したというくらい、バンドの顔が急に変わってしまったわけです。

当然、バンドが作り出すサウンド自体もブライアンの特性を生かしたものにシフトチェンジ。キャッチーで軽やかなイメージのあった『HIGHWAY TO HELL』とは異なり、この『BACK IN BLACK』ではヘヴィでソリッドなハードロックを奏でております。もう1曲目「Hells Bells」からして異質ですよね、それまでのAC/DCを考えれば。冒頭の鐘の音は、亡くなったボンへの鎮魂を意味するのでしょう(確実に『HIGHWAY TO HELL』へのアンサーと思われます)。そして不穏なギターリフから徐々にヒートアップして、いつになくシリアスな表情で、そしてヒステリックなサウンドで新生AC/DCの誕生を高らかに宣言する。こんなにもドラマチックで、聴き手をたぎらせるオープニング、そうはないですよね。

「Shoot To Thrill」のようなロックンロールもあるんだけど、やはりそれまでとはどこか違う。いや、ギターリフを聴けば間違いなくAC/DCなんだけど、やはり新しさを感じさせる。アナログB面1曲目のタイトルトラック「Back In Black」の、音の隙間を効果的に生かしたリフ&リズムワークはHR/HM史に残る名演のひとつです。かと思えば、前作からヒットした「Highway To Hell」の意思を受け継ぐ「You Shook Me All Night Long」もあるんだから……本当、すごいアルバムだと思います。

1曲1曲を抜き出して語るよりも、アルバムをひとつの音の塊として語りたい。『BACK IN BLACK』はそんな作品だと思います。HR/HMの教科書と言ってもいいくらい、まずはこれから聴け!と突きつけたいくらい、「知らなきゃモグリでしょ?」って言いたくなる1枚です。

ブライアン・ジョンソン(Vo)、アンガス・ヤング(G)、マルコム・ヤング(G)、クリフ・ウィリアムズ(B)、フィル・ラッド(Dr)。第二の黄金期を築き上げたこの布陣は、今後再び揃うことはありません。ブライアンの耳の不調によるツアー離脱、マルコムの認知症によるバンド活動休止、フィルの逮捕、クリフの引退……そして……残念でなりません。過去3回の来日中2度、この編成によるステージを観ることができたのは、もしかしたら幸運だったのかもしれませんね。



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投稿: 2017 11 19 12:00 午前 [1980年の作品, AC/DC, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2005/03/29

DEAD KENNEDYS『FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES』(1980)

 「ロケンロールと無理心中」、無駄に不定期更新してますが、今回でやっと3回目。そろそろ日本のアーティストも紹介したいな、とは思っているんですが何分‥‥DJやったばかりで、そのために引っ張り出して聴いてたCDの中から、久し振りに聴いてもやっぱりいいなーって思えたモノを幾つか紹介したいな、と思っておるんですね。勿論その中には日本の素晴らしいロケンローバンドも含まれているんですが‥‥

 とりあえず今回は三度洋楽から。ハードロック、オールドスタイルのロケンローときて、今回はパンクです。しかも西海岸のUSパンク。1980年にリリースされたDEAD KENNEDYSの記念すべき1stアルバム「FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES」を紹介したいと思います。

 まぁパンクというとUKだとSEX PISTOLS、THE CLASH、THE DAMNED辺りがよく名前を挙げられるだろうし、USだとやっぱりRAMONESが真っ先に挙がるんじゃないかと思うんですね。後はイギー・ポップ率いるSTOOGESとか? いや、もしかしたら最近の若い子達には既にGREEN DAYやOFFSPRING、RANCIDのようなバンドが基本中の基本になっちゃってるのかな。

 そんな中で、所謂我々が認識する『パンク』と呼ばれる3コードのロケンローを基調とした音楽性と、これも我々が認識している『ハードコアパンク』と呼ばれるジャンル/スタイル‥‥この祖先的な存在が‥‥まぁ乱暴な決めつけではありますが‥‥このジェロ・ビアフラ率いるDEAD KENNEDYSなのかな、と思うわけでして。

 全曲基本的には3分にも満たないようなストレートで疾走感溢れる楽曲ばかり。ド頭の "Kill The Poor" の演劇じみた歌唱法の名曲を聴いた時点で、既にこのアルバムが名盤であるのは間違いないと決定的になるわけですが(大袈裟な言い方かもしれないけど、ホントにそうだよね)、その後も矢継ぎ早に繰り出されるファスト・チューンにやられっぱなし。勿論2005年の現代において、これよりも激しく速いパンクチューンは幾らでもあるわけですよ、けど‥‥やっぱり俺の中ではこれを越えるアルバムは数少ないんですね、どういうわけか。ま、所詮はオールドウェーブなオッサンですよ俺は。パンクの名盤といえばPISTOLSの1st、DAMNEDの1st、CLASHの1st〜「COMBAT ROCK」まで、そしてRAMONES全般(!)とかいうような奴ですから!

 そんなオッサンの言うことですからあてにならねぇ‥‥かどうかは判りませんけど、少なくともこのアルバムは異色作ですよ。パンクでありハードコアであり、尚かつエンターテイメントの臭いまでする。ジェロの歌唱法が演説っぽかったりオペラチックだったりで、他の「がなる」だけのパンクやハードコア勢とは一線を画するわけですよ。そういう意味では、現代ではSYSTEM OF A DOWN辺りに引き継がれてる路線なのかな、なんて勝手に思ってるわけですが(それは言い過ぎか)。プレスリーの "Viva Las Vegas" なんてやっちゃってるわけですからね。そんな朗らかな曲と一緒に "Kill The Poor"、"Forward To Death"、"Let's Lynch The Landlord"、"Chemical Warfare"、"I Kill Children" なんていう素敵なタイトルの楽曲が並んでるわけですよ! そのセンスの素晴らしさ! そしてハードコアながらも非常にポップで判りやすい。ここがポイントなわけですよ。単なるオナニーで終ってないわけ。一時期、パンクやハードコアがそういった独りよがりな方向へと進んでしまう時期があったかと思うんだけど、少なくともこの時代はまだ大丈夫だったんだな、と。まぁそりゃそうか、何せジェロはRAMONESのライヴを観て、バンドを始めたような男だからね。その方向性の違いはあれど、根元にあるものは一緒なわけですよ。

 DEAD KENNEDYSは'80年代半ば頃までは現役だった記憶があります。俺が中学生の頃、まだ新譜とか出してたような記憶あるし。んで、ジェロはその後いろんなユニットを作ったり壊したりして現在に至ってます。先頃、ジェロのいないDEAD KENNEDYSが来日したりもしましたが、まぁそれはそれで‥‥観たいとは思わないけど、いいんじゃないでしょうか。

 う〜ん、今度DJやる時は是非 "Kill The Poor" か "Viva Las Vegas" をかけたいなぁ。



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投稿: 2005 03 29 12:07 午前 [1980年の作品, Dead Kenedys] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック

2004/12/22

THE CLASH『SANDINISTA!』(1980)

 早いもんで、2002年12月22日からもう2年もの月日が流れたのね‥‥2年前、その知らせを聞かされた時‥‥正直「‥‥へっ!? ウソに決まってるって!」って絶対に信じようとしなかったんだよな、俺。焦ってネットをいろいろ検索して、結局「Fujirockers.org」の掲示板にその書き込みを見つけて。時間が経ってから、それが間違いない事実であることを関係者がそこで報告して‥‥全然信じられなかった。だって、3ヶ月前に俺、観てるんだよ!? あんな凄いステージ見せつけられたんだよ!? 信じろっていう方が無理だってぇの。本当にショックだった‥‥

 ジョー・ストラマーがこの世を去ってから、早くも2年経ってしまいました。英国時間の2002年12月22日未明、彼は突然この世から居なくなりました。未だに彼がこの世に存在しない‥‥それが信じられないんだよね。フジロックに行く度、朝霧JAMに行く度、もしかしたらジョーはキャンパーとして参加してるんじゃないか、焚き火を絶やさないように近くに座ってるんじゃないか‥‥この2年、ずっと同じことを考えてた、俺。けど、やっぱりジョーは居なかった。ジョーの家族や友人達がやってきても、まだ心のどこかで信じてない俺がいる。未練がましいのかもしれないけど‥‥それくらい、彼を失ったことは俺にとって大きかったのね。

 ジョーやTHE CLASHに対して、非常に強い思い入れを持つようになったのは、間違いなくこの5〜6年の間のこと。勿論その前からTHE CLASHは聴いてたし、好きな曲も沢山あった。けど、やっぱり1999年8月、初めて行った苗場フジロックで観たジョー‥‥ここが全ての始まりだったと思うのね。連発されるTHE CLASHナンバーに頭真っ白になって。単純にソロ曲も心地よくてカッコ良いし。あれが切っ掛けて俺はジョーやTHE CLASHに惚れ込んだようなもの。リアルタイムではラストアルバムにして問題作でもある「CUT THE CRAP」しか体験してなかった俺。そりゃあのアルバム聴いてTHE CLASHの凄さを理解しろって言う方が無理だわな。

 高校生の頃に聴いた「LONDON CALLING」が今聴くと全然違って聴こえるのと同じく、この「SANDINISTA!」ってアルバムも、むしろ今という時代に聴く方がしっくりくる1枚(というか2枚組)。アナログ時代は3枚組で、レンタルする時も思わず「一度に3枚も!」と喜んでたんだけど、その内容が殆ど理解できなくてね‥‥単純なパンクを求めてた俺からすれば、そりゃ難し過ぎるって。

 '80年以降、パンクを通過したニューウェーブやポストパンクが、アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへと浮上していき、その代償としてオリジナルパンクス達は再びアンダーグラウンドへと追いやられるか、新たな道を模索することを強いられたわけだけど、THE CLASHはそんな中、誰からも選択を迫られることなく、自らが率先していろんなジャンルを取り込んでいった数少ないオリジネーターだったんだよ。そして、そういうスタイルこそが「レベル・ミュージック(Rebel Music)」なのだ、と提示し続けたわけ。

 それから20年以上経った今、シーンには沢山のポストパンクバンドが溢れてる。テクノロジーが発達したのと同時に、ジャンルも更に細分化される程多様化してる。そんな中、この「SANDINISTA!」がここ2〜3年の間に再評価されるようになったのには、そういった確固たる理由があるわけ。全てがここから始まった、とまでは言わないけど、でも間違いなくこの作品は2004年の現代にも通用するクオリティーと内容を持ってる。それは紛れもない事実なわけ。

 5年前のリマスター化の際に、このアルバムの音はオリジナル版と比べて更に向上して、完全に「今の音」になったと思う。古くさくないのよ。けど、真新しいとも思わない‥‥ジャストなの、「今」に。

 今日は帰宅後、ずっとこのアルバムを爆音で聴いてます。今日のラジオ、1曲目はTHE CLASHで決まりだな。そして、明日はこれに足を運ぼうと思う‥‥その後は、ただひたすら踊るだけ。愛するロックンロールに包まれて。



▼THE CLASH『SANDINISTA!』
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投稿: 2004 12 22 09:14 午後 [1980年の作品, Clash, The] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2004/10/22

とみぃ洋楽100番勝負(65)

●第65回:「Ashes To Ashes」 DAVID BOWIE ('80)

 自分にとって、それまでデヴィッド・ボウイという存在は、歌も歌って適度に役者もやってという、マルチプレイヤー的な存在であって、そこまで惹かれる存在ではなかったんですよ。過去の偉業は知ってましたけど(「ZIGGY STARDUST」とかね)、それを聴く機会もあまりなかったし(当時は廃盤になってたアルバムが多かったり、アナログ→CDの移行でCD化が遅れる旧譜が多々あったりしたからね)。

 ところが'90年になって、ボウイが来日すると。しかも「これまでのソロキャリアを一時封印するために、グレイテストヒッツ・ライヴをやる」と。おお、それは観ておかなくちゃ‥‥と思い、当時リリーすされた「CHANGES BOWIE」っつーベスト盤に手を出したんですよ。

 ‥‥ここが人生の分かれ道っつうか。あの時、これ聴いてなかったら、ボウイに傾倒することもなかったんだろうなぁ、と。

 初期のグラム路線にまず鳥肌立てて、中期のプラスチックソウル路線に驚き、続くベルリン三部作は当時の俺には「?」だったりするんですが、その後‥‥「LET'S DANCE」との間のエアポケットといえる「SCARY MONSTERS」というアルバムからの曲に、何故か心ときめいて。特に "Ashes To Ashes" という曲にね。あ、これ聴いたことある!って。

 多分、氷室京介が当時やってたラジオ番組でかけたから、それで耳に残ってたんですね。ヒムロックが語るわけですよ、自分達のやってたバンドの名前の由来となってるオッサンがライヴやる、って。それに影響されたのも大きかったのかな。

 数ヶ月前にROLLING STONESを観た東京ドームで、俺はまた歴史のひとつを目撃するわけですよ‥‥そう、"Rock'n'Roll Suicide" をやらない、体調最悪だった日にぶち当たってね。まぁそれは別にどうでもいいんですよ。とにかく‥‥ああ、こんなにカッコいい人なんだ、って初めて気づいて。単なる伊達男じゃなかったんだなって。

 その後、「ZIGGY STARDUST」にまで遡って、ようやく自分の高校時代のルーツ(HANOI ROCKSやMOTT THE HOOPLE等)に繋がるわけですよ、ここで。あー成る程って。と同時に、こんなにいろんなことをやれる才能と嗅覚を持ったボウイって、やっぱりスゲーっていう結論に達して。んで、低迷状態にある'90年代も熱心に追っかけて。今に至ると。

 そういう意味では、今年はボウイファンにとっては、本当に素晴らしい、充実した1年だったんじゃないですかね。

 最近のボウイはトニー・ヴィスコンティと一緒にアルバムを作ってるからってことで、どうしてもベルリン三部作時代と比較されがちですが、個人的にはこの「SCARY MONSTERS」の頃と比較すべきなんじゃないか、って勝手に思ってるんですよね。いや、何となくだけどさ‥‥



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投稿: 2004 10 22 12:00 午前 [1980年の作品, David Bowie, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/26

とみぃ洋楽100番勝負(38)

●第38回:「Mr.Crowley」 OZZY OSBOURNE ('80/'87)

 もうひとり忘れてた、オールタイムで好きなギタリスト。そう、ランディ・ローズね。唯一亡くなっている人だけにさ、もうその動向を追うなんてことは出来ないわけだけど‥‥やっぱり彼がオジーの元に残した2枚のオリジナル・アルバムと、この「TRIBUTE」というライヴ盤は、ホントに一生ものだと思うんですよ。

 オジーとの出会いは意外と遅くて、俺。多分「BARK AT THE MOON」が出て1年以上経ってからだと思うわ‥‥だってさ、あのルックスがね、子供心にマジで怖くて。本当に悪魔なんじゃなかろうか、と。そんなわけないんだけどさ。で、その後の「THE ULTIMATE SIN」は、単純に曲が気に入って、アルバムは結構聴いてた。ジェイク・E・リーのギタープレイも好きだったし。

 けど‥‥この「TRIBUTE」で初めてランディのプレイに接したんだけど‥‥感動した。いや、速弾きがどうこうっていうんじゃなくて、そのクラシカル且つメロディアスなギタープレイに。ライヴだけにラフな部分も目立つんだけどさ、それ以上にリフワークとソロプレイの対比がね、本当に感動的に凄かったわけ。

 ほら、ソロイストって意外とリズムプレイ(メインリフじゃなくて、歌のバックでのリズムプレイ)が印象薄い人多いじゃない。スティーヴ・ヴァイみたいに終始ソロプレイみたいな人は別として‥‥やっぱりエディ・ヴァン・ヘイレンくらいしか思い浮かばなかったのね、当時そういう人って。だからこそ、ランディのプレイには目から鱗だったわけ。

 特にさ、この "Mr.Crowley" でのソロは、全ギタリスト必聴なプレイが満載なんですね。俺もコピーしたもん、出来もしないのに。勢い余ってスケールアウトする箇所もあるんだけど、そんなのお構いなし。とにかく若さ故の勢いでカバー。勿論しっかり計算されているわけですが。

 この頃(高校1〜2年)、本気で「HM/HRが世界で最も高等な音楽」だと信じてたもんな、俺。そのくらい染まってたわけですよ、ハイ。



▼OZZY OSBOURNE / RANDY RHOADS「TRIBUTE」(amazon

投稿: 2004 09 26 12:00 午前 [1980年の作品, 1987年の作品, Ozzy Osbourne, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック