カテゴリー「1980年の作品」の14件の記事

2019年9月 8日 (日)

WHITESNAKE『READY AN' WILLING』(1980)

1980年5月にリリースされた、WHITESNAKEの3rdアルバム。

本作からの先行シングル「Fool For Your Loving」が初の全英トップ20入り(13位)を果たし、続く「Ready An' Willing」も最高43位のヒットに。これを受けて、アルバムも最高6位と初めて全英トップ10入りを果たすヒット作となりました。

前作『LOVEHUNTER』(1979年)のリリース後に、元DEEP PURPLEのイアン・ペイス(Dr)が加入。本作でデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)、ミッキー・ムーディ(G)、バーニー・マースデン(G)、ニール・マーレイ(B)、ジョン・ロード(Key)という初期黄金期のメンバーが初めて揃うことになります。

ブルースベースのロック/ハードロックが基調だった彼らのサウンドに、「Ready An' Willing」のようにソウル/R&Bの色合いが強い楽曲が加わることで、バンドの音楽性も彩り豊かになり始めた時期。というか、本作がクライマックスじゃないかと思えるくらいに良曲、名演が詰まった1枚となっています。

のちにスティーヴ・ヴァイ(G)などをフィーチャーして再録される「Fool For Your Loving」も、これくらいのキーで渋くキメてくれたほうがカッコいいし、続くアップチューン「Sweet Talker」も80年代後半の彼らには真似できないものがある。「Carry Your Load」での肩の力が抜けたソウル感からは、すでに貫禄じみたものが伺えるし、名バラード「Blindman」はDEEP PURPLE時代の「Soldier Of Fortune」にも通ずる泣きの要素が満載。

後半(アナログB面)に入っても、アコースティック調でゆったり始まり、徐々に盛り上がる「Ain't Gonna Cry No More」やスローブルース「Love Man」、軽快なロックンロール「Black And Blue」、ジョン・ロードのシンセが大々的にフィーチャーされた豪快なハードロック「She's A Woman」と名曲三昧。改めて聴いてみると、本当によくできたアルバムだなと感心します。

と同時に、今のWHITESNAKEが失ったもの、真似したくても真似できないもの(それはセンス的にもバンドの方向性的にも)を嫌というほど実感させられる1枚でもあります。絶対にカヴァーデイルはこの頃に戻りたいはずなんです。でも、今のプレイヤー陣じゃ絶対にこれを再現できないし、ここに近づくこともできない(近年のライブでも「Fool For Your Loving」や「Ready An' Willing」あたりは演奏されていますけど、原曲には程遠いクオリティですし)。『サーペンスアルバス』以降を軸にしてしまっている以上は、この頃のWHITESNAKEはある意味“なかったもの”に等しいですからね。

だからってわけではないでしょうが、日本ではこの頃の諸作品は一切デジタル配信&ストリーミングサービスで聴くことができません。海外では普通に聴けるのに(念のためリンクを貼っておきますね。日本のアカウントじゃ再生できないけど)。そろそろこういうの、やめてほしいよね……。

 


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2018年12月29日 (土)

IRON MAIDEN『IRON MAIDEN』(1980)

1980年にリリースされた、IRON MAIDENの記念すべきデビューアルバム。本国イギリスではいきなりチャート4位まで上昇するなど、早い段階から成功を収めています。

当時のメンバーはポール・ディアーノ(Vo)、スティーヴ・ハリス(B)、デニス・ストラットン(G)、デイヴ・マーレイ(G)、クライヴ・バー(Dr)。現メンバーはスティーヴとデイヴのみですが、この時期このタイミングこの編成でしかなし得なかった“パンクとヘヴィメタルの融合”が見事な形で表現されています。

ご存知のとおり、この時期のイギリスは1977年頃から勃発したパンクムーブメントがひと段落し、新たな波としてのヘヴィメタルブーム……New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)が押し寄せ始めた頃。IRON MAIDENやDEF LEPPARDといったバンドがメジャーデビューを果たし、MOTÖRHEADのようなパンクとロックンロール、ハードロックの中間にいるバンドもその“枠内”で受け入れられ、大きな成功を残しました。

さて、今やHR/HMシーンにおける最重要バンドのひとつと数えられるメイデンですが、すでにこのデビューアルバムの時点で個性的なスタイルを確立させつつあります。旧来のハードロック、ヘヴィメタルが持つ疾走感と激しいリズム&ギターリフ、プログレッシヴロックからの影響も見え隠れする、複雑な展開を持つ長尺曲。これだけなら、今の彼らとなんら変わりないでしょう。実際、「Remember Tomorrow」や「Phantom Of The Opera」あたりは現在のスタイルの原点と言えるものですしね。

しかし、それだけじゃない。この時期のメイデンには20代前半のバンドらしい勢いの良さと、“パンク以降”を感じさせる荒々しさ、無軌道さが備わっているのです。それがオープニングを飾る「Prowler」や「Running Free」「Charlotte The Harlot」ににじみ出ているのではないでしょうか。

旧規格(1998年リマスター)に追加収録されていた「Sanctuary」もそうですが、このへんのスタイルは先のMOTÖRHEADにも通ずるものがあり、のちのスラッシュメタルにもかなり影響を与えているはずです。この荒々しさはバンドが成長を続けることで、どんどん整理・洗練されていくのですが、80年代初頭、特にこのデビューアルバムにおけるメイデンはパンクとメタルの橋渡しをしていたのではないか……もちろん当時をリアルタイムで通過しているわけではないので想像でしかありませんが、そんな気がしてなりません。

そういう意味では、僕にとってメイデンの1stアルバムはある種の“パンクアルバム”であり、とても大切な1枚なのです。なかなか共感してもらえないかもしれませんが。

なお、本作を含む初期4作品はつい最近、新たにリマスタリング&パッケージした形で再リリースされたばかり。先に書いたように、本作も前規格からボーナストラックが外され、ジャケット含めオリジナルの体裁に戻っています。「Sanctuary」がベスト盤やライブ盤以外で聴けなくなってしまったのは残念ですが、前のジャケットにはずっと違和感が残っていたので、正直この形に戻ってホッとしていますけどね。



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2018年12月 1日 (土)

QUEEN『FLASH GORDON』(1980)

今から20年前の1998年12月1日、「とみぃの宮殿」というテキストサイトがオープンしました。2004年12月1日に同サイトは完全閉鎖するものの、同日から今ご覧になっている「TMQ-WEB」がスタート。間10年くらい不定期更新でしたが、ここ3年くらいは連日レビュー更新が続いており、現在は「とみ宮」時代のレビューやレポートもこちらに完全移行し、3000エントリー近い読み物を“記録”として残すことができています。

20年前は完全に暇つぶしで始めたこの「音楽について何か書く」という作業でしたが、気づけばそれでメシを食う生活を送っているわけで、本当に人生何が起こるかわかりません。いや、それ以上に20年前とほぼ同じマインドでこうやって何か書いていられることが奇跡じゃないかと思うわけです。体を壊したりしながらも20年続けてこられたことに感謝。そして今このテキストを読んでくださっている方々に感謝です。

* * * * *

さて、20周年ってことで、まず1発目のレビューで何を取り上げようかと1ヶ月くらい前から考えていたわけですよ。自分のルーツになる重要な音楽やアルバム……は、結構この20年で書き尽くした感があるし、かといって何事もなかったかのように新譜を取り上げるのも違う気がする。今の気分的にはQUEENなんだろうけど……と、数日前まで頭を悩ませていたら、ふと「そういえば、このサイトで最初に書いたテキストってなんだっけ?」と思ったわけです。で、掘り起こしてみたら、やっぱりというか、QUEENとフレディ・マーキュリーについて書いた「QUEENと僕」というコラムでした(ディスクレビューだと、MANIC STREET PREACHERSの当時の新作『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』になります。こちらに関しては間もなく20周年盤が発売されるので、その際に再び執筆したいと思います)。

じゃあ、やっぱりQUEENだなと。けど、オリジナルアルバムに関しては残すところあと2枚なんですよね。別にベストアルバムやコンピレーション盤でもよかったんだけど、せっかくならオリジナルアルバムのほうがいいのかなと。で、どっちにするか……となると、やっぱりこっちなわけですよ。

* * * * *

はい、ここからが本編です。前置き長くてごめんね(笑)。

本国イギリスで1980年12月、日本やアメリカでは翌1981年1月にリリースされたQUEEN通算9作目のスタジオアルバム『FLASH GORDON』。アメリカでメガヒットを記録した前作『THE GAME』(1980年)から半年あまりで発表という驚くショートスパンですが、これは『FLASH GORDON』という作品が同名映画のサウンドトラック盤として制作されたため。内容自体は非常にコンセプチュアルなもので、全19曲(アナログA面が10曲、B面が9曲)という彼らのオリジナルアルバムとしてはもっとも曲数が多いのですが、トータルランニングは35分と短いのも特徴。しかも、歌モノはそのうち2曲、オープニングとエンディングのみという、ライトユーザーはおろかマニア的にもハードルの高い内容となっています。

シングルカットされたメインテーマの「Flash」(アルバムでは「Flash's Theme」名義)こそ全英10位/全米42位というまずまずの成績を残しましたが、アルバムは『THE GAME』のあとにも関わらず全英10位、全米23位と低調で終わりました。

QUEEN=フレディの歌、と認識しているリスナーには確かに本作はハードルの高い作品です。それは間違いない事実でしょう。事実、僕自身もここ2〜30年、この作品とマトモに向き合ってこなかったのですから。だけど、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットによるここ最近の流れで、久しぶりにオリジナルアルバムをすべて、リリース順に聴き続けたら……この『FLASH GORDON』、不思議とスルスル聴き進めてしまったのです。いや、むしろこのアルバムばかりリピートしている自分がいて、素直に驚いております。

確かにフレディの歌モノはオープニングの「Flash's Theme」とラストの「The Hero」のみです。しかし、そのほかの17曲も間違いなくQUEENそのものであり、むしろプレイヤーとしてのブライアン・メイ(G)、ジョン・ディーコン(B)、ロジャー・テイラー(Dr)、そしてフレディ(Vo, Key)の技量やセンスを存分に楽しめる。前作『THE GAME』から導入したシンセサイザーも全面的に導入されており、メンバー4人が至るところで、楽しみながらそれらを弾いているのも微笑ましい。

そして何より、本作は初期QUEENが持っていたプログレッシヴ・ロックバンドとしての側面を、80年代的に昇華させた貴重な1枚でもあります。『THE GAME』でポップバンド的な側面が強まり、アルバムをコンセプチュアルなものにするよりも単曲で楽しめるシングル志向の楽曲の寄せ集めにする方向にシフトしたQUEENが、映画のサントラを盾に好き放題趣味に走った。そう受け取ることもできないでしょうか。そう考えると、実は本作ってもっとも“QUEENらしい”アルバムなんじゃないか……そうより強く思えるわけです。

ちゃんとクラシカルな要素も含まれており、ところどころにフレディの声やハーモニーも用いられている。ストリングスを使った仰々しい、いかにも映画のサントラといった要素もあり、ただモダンなだけではない。もちろん、QUEENらしいポップさと、ハードロックバンドらしさも混在する。プログレバンドとして語られることが少ないQUEENですが、このアルバムこそ当時時代遅れになっていたプログレを現在に蘇らせた、なんて受け取ることはできないでしょうか。まあ、それもリリースから40年近く経った2018年だからこそ言えることなのかもしれませんが。

正直、今頃になってこのアルバムにここまでハマるとは思いもしなかった。これも、20年もこんなサイトを続けてこられたからこそ気づけたことなのかもしれませんね。そういう意味でも、今でもこうやって音楽テキストを書き続けていられることに心から感謝したいと思います。

追記:
ちなみに、皆さんがよく知る「Flash」ですが、アルバムバージョンとシングルバージョンは内容が若干異なります。アルバムのほうの「Flash's Theme」が映画で使われたバージョンで、意外と淡々としたアレンジ。シングルバージョンの「Flash」は映画のセリフを多用したもので、コラージュ色が強まっています。僕はベスト盤から入った人間なので、「Flash」の印象が強かったため、最初にアルバムバージョンを聴いたときは「あれ? こんなに薄味だっけ?」と驚いたものです。なので、ストリーミングなどで聴く際にはぜひ2枚組のデラックス・エディション(ボーナスディスクにシングルバージョンやデモ音源、ライブバージョンを収録)をオススメします!



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2018年6月 2日 (土)

THE ROLLING STONES『EMOTIONAL RESCUE』(1980)

1980年6月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONES通算15枚目(イギリスにて/アメリカでは17枚目)のスタジオアルバム。前作『SOME GIRLS』(1978年)でディスコビートを導入した「Miss You」が全米No.1になったり、かと思えばアルバム自体はパンキッシュでぶっきらぼうな側面が強かったりと、アメリカだけで600万枚を超えるヒット作になりましたが、続く今作も全米1位を獲得。前作は2位止まりだったイギリスでも1位を獲得し、アメリカのみで200万枚を超えるセールスを打ち出しました。

前作の「Miss You」をより推し進めたようなソウル/ディスコチューン「Dance (Pt. 1)」からスタートする本作は、全体的にインパクトの弱い1枚としてファンの間では知られています。じゃあ駄作なのかと言われると、まったくそんなことはなく、むしろ“マニアが喜びそうな隠れた名盤”的に好むリスナーも少なくないのではないか……最近この作品を聴き込んでいるうちに、そう思うようになりました。

確かにストーンズらしいロックンロールナンバーも「Summer Romance」や「Let Me Go」「Where The Boys Go」「She's So Cold」など存在しますが、それ以上に本作の目玉は前作から続くディスコ路線に加えて、レゲエやダブの要素が加わり始めているところでしょう。

レゲエの軽やかさが感じられる「Send It To Me」をはじめ、ミック・ジャガー(Vo)がほぼ全編ファルセットで歌うダブテイストのソウルナンバー「Emotional Rescue」。この2曲の存在はかなり大きく、先の「Dance (Pt. 1)」と併せて本作のキモと呼びたいところ。が、多くのストーンズファンはこういった変化球よりも、先のロックンロールナンバーに目が耳が行ってしまい、結果「いつもよりインパクトが弱い」と認識してしまう。勿体ない。本当に勿体ない1枚です。

ミックが歌うカントリーバラード「Indian Girl」やブルージーなミディアムスローナンバー「Down In The Hole」、そしてアルバムを締めくくるキース・リチャーズ(G)歌唱バラード「All About You」も良い味を出している。僕自身は上のロックナンバーよりも新機軸3曲や「Down In The Hole」、そして「All About You」のような楽曲に本作の魅力を見出してしまいます。だからこそ、“マニアが喜びそうな隠れた名盤”なのかもしれませんね。まあ、名盤というのはちょっと言い過ぎな気もしますが……。

勢いと荒さに満ちた『SOME GIRLS』と、鉄壁さが際立つ次作『TATTOO YOU』(1981年)に挟まれたことでどうしても地味さが目立ってしまいがちですが、これはこれでなかなかな1枚だと思っています。

 


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2018年5月18日 (金)

QUEEN『THE GAME』(1980)

海外で1980年6月末、日本で同年7月下旬に発表されたQUEEN通算8作目のオリジナルアルバム。70年代を総括するようなベスト盤的ライブアルバム『LIVE KILLERS』(1979年)を経て、80年代最初に発表された本作からは「Crazy Little Things Called Love」(全英2位、全米1位)、「Another One Bites The Dust」(全英7位、全米1位)という2曲の全米No.1ヒットを生み出し、アルバム自体も初の全米1位を獲得(もちろん全英でも1位)。さらに「Save Me」(全英11位)、「Play The Game」(全英14位、全米42位)、「Need Your Loving Tonight」(全米44位)というスマッシュヒットシングルも誕生しています。

シンセサイザーを全面的に取り入れた壮大なバラード「Play The Game」からスタートする本作は、我々がイメージする“80年代のQUEEN”の雛形となった記念碑的作品集。トータルの流れを意識したアルバム作りよりも、単曲として親しみやすい楽曲を詰め合わせたバラエティパック的な作風が、今作から特化し始めます。

それは、全米No.1を獲得した2枚のシングル「Crazy Little Things Called Love」「Another One Bites The Dust」を聴けばおわかりいただけることかと思います。前者はエルヴィス・プレスリーをイメージさせるカントリーチックなロックンロール、後者は70年代末から流行していたディスコビートを導入したファンクチューンなのですから。もちろん「Play The Game」や「Save Me」といった彼ららしい壮大なバラードも含まれていますが、どの曲も3分前後でシンプルなものばかり。「Dragon Attack」みたいなファンクナンバーや、ポップでキャッチーなロックチューン「Need Your Loving Tonight」「Coming Soon」、のちにアクセル・ローズ(GUNS N' ROSES)がライブでサビの一節を歌ったことで広く知られるようになる泣きのバラード「Sail Away Sweet Sister」など、とにかく1曲1曲が際立った作風に仕上げられています。

興味深いのは、大ヒットとなった「Another One Bites The Dust」を書いたのがジョン・ディーコン(B)だという事実。これまでも毎回アルバムに1〜2曲は提供してきた彼ですが、このヒットに付与したことはとても大きかったように思います。

ハードロックバンドというよりは、よりポピュラリティを得たアリーナロックバンドによるシングルヒット集の趣きが強い1枚ですが、この方向性はのちにスタートするMTVともリンクして“80年代のQUEEN”のスタイルはどんどん確立されていくことになります。

ちなみに、QUEENがアメリカでアルバム1位を獲得したのは、本作が最初で最後。オリジナルアルバムのトップ10入りも、結果本作がラストとなってしまうのでした。



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2018年3月19日 (月)

OZZY OSBOURNE『BLIZZARD OF OZZ』(1980)

先ごろツアーからの引退を発表し、次が最後のワールドツアーになるとアナウンスしているオジー・オズボーン。40代以上のメタルファンなら、オジーのこういった発言はこれが初めてじゃないことぐらいご存知でしょう。1991年、これが最後のツアーだと言われて無理して観に行った日本武道館公演。『NO MORE TEARS』(1991年)発売直後、確かワールドツアーのスタートがここ日本だったと記憶しています。2階席の一番後ろで観たザック・ワイルドは、やっぱり最高でした(そっちかよ)。

で、ご承知のとおり、オジーはその後何度もワールドツアーを行っておりますし、ここ日本にも何度も訪れております。しかも(ごく個人的な話になりますが)、その一環でオジー本人にインタビューする機会まで得ることになるとは……1991年の武道館を半泣き状態で観ていた自分に伝えてやりたいくらいです。

とはいえ、すでにオジーも69歳。長期にわたり世界中を旅して、毎日90分以上ものショーを行うには厳しい年齢です。フェアウェルツアーといいながら、おそらく2年は続くでしょうから、終わる頃には70歳を超えているわけですし、ここが引き際なのは間違いないでしょう。

そんなオジーのソロ活動における原点となるのが、今回紹介する『BLIZZARD OF OZZ』。今さら説明は不要でしょう。名盤中の名盤にして、伝説のギタリストであるランディ・ローズがオーバーグラウンドに羽ばたいた記念すべき1枚なのですから。

実は僕、これらのアルバムに収録されている楽曲を最初に聴いたのは、1987年発売のライブアルバム『TRIBUTE』から。なので、ライブバージョンでのラフな演奏のイメージが強くて。そのすぐあとに本作や、続く『DIARY OF A MADMAN』(1981年)のスタジオテイクを聴いたら、やたらと軽くてポップに聴こえちゃって。しばらくは受け入れがたかったんですよ。

けど、曲の良さはまったく変わらないわけで。もちろん、今は大好きですよ、このスタジオアルバムのほうも。

にしても、70年代にリアルタイムでBLACK SABBATHと接していたリスナーからしたら、このアルバムって当時どう映ったんでしょうね。確かにオジー時代の後期サバスには本作にもあるようなポップさも混在しているんですが、どちらかというと野暮ったさが強い。けど、この『BLIZZARD OF OZZ』は全体的に洗練されている。ギターリフの構成もソロの組み立て方も、メロディラインもすべて。そこが聴きやすさ=ポップさに直結しているんでしょうね。これをライブではワイルドに表現するわけですから、完璧ですよ。

「Crazy Train」も「Mr. Crowley」もよくコピーしたなあ。いまだにこの2曲はソロ含めてがっつり弾きたくなります。奥が深いんですよね、ギターソロが。

2000年代に入るとリマスターされたり、権利関係でリズム隊がロバート・トゥルージロ(B)&マイク・ボーディン(Dr)のプレイに差し替えられたりといろいろありましたが、現在はボーナストラック3曲を追加した形で、オリジナルテイクに戻されています。そんな曰く付きなのもあって、結局はシンプルな『TRIBUTE』に戻ってしまったり(笑)。なんつって。



▼OZZY OSBOURNE『BLIZZARD OF OZZ』
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2018年1月20日 (土)

DEF LEPPARD『ON THROUGH THE NIGHT』(1980)

DEF LEPPARDの過去のカタログが昨日1月19日から、デジタルデータでの販売およびサブスクリクションサービスでのストリーミング配信が開始されました。(参照:こちら

1980年のメジャーデビューから30年近く在籍したMercury/Island Records時代の音源に関しては、しばらくバンドのコントロールが効かない状況で、手元に取り戻した『SLANG』(1996年)以外は配信で手軽に聴くこともできず、バンドは苦肉の策として「Pour Some Sugar On Me」などいくつかの音源を再レコーディングして配信するなどしてファンのニーズに応え続けてきました。10年以上にわたり動いてきたこの件も、昨日で一件落着。個人的にもCDラックやハードディスクから彼らの音源を引っ張り出す手間が省けてありがたいですし、何よりも彼らの黄金期をリアルタイムで知らない若いリスナーにも手軽にDEF LEPPARDのカタログが楽しめるのは非常に大きな一歩だと思うのです。

ということで、今回は当初計画していた更新予定から、今月2枚目のDEF LEPPARDのアルバム紹介に変更することにしました。

今回紹介するのは、1980年3月に本国イギリスでリリースされたDEF LEPPARDのメジャー1stアルバム。彼らは前年の1979年1月に3曲入りEP『THE DEF LEPPARD E.P.』を自主レーベルから発売。同年にメジャー契約を果たすと、11月にはシングル「Wasted」でメジャーデビュー。当時はIRON MAIDENSAXONなどをはじめとする、イギリス出身の若手HR/HMバンドたちによる新たなムーブメント=New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)が勃発し始めたタイミングで、サウンドのテイスト的にはヘヴィメタルとは異なるものの、DEF LEPPARDもこの流れに取り込まれて紹介される機会が増えていきました。

今このアルバムを聴き返すと、『HYSTERIA』(1987年)以降のデジタル色の強いポップなハードロックサウンドとは一線を画する、生々しくてアグレッシヴな印象を受けます。そりゃあリック・アレン(Dr)も健康体でしたし、当時はまだ16歳そこそこでしたし。メンバーの多くが20歳前後だったことを考えれば、この躍動感とフレッシュさは納得のいくものです。

また、王道ブリティッシュハードロックのスタンスを保ちながらも、「Rock Brigade」や「Hello America」などではアメリカナイズされた(と言われた)ポップさも積極的に導入している。もちろんこのへんもブリティッシュっちゃあブリティッシュなんですが、あの当時はこういったメジャー感に対して「アメリカかぶれ」なんて揶揄されたのかもしれませんね。今聴くとそんなにアメリカンな印象も受けないのですが。

上記のポップなハードロックはのちの彼らのヒット曲につながっていくと思うのですが、と同時に「It Could Be You」や「Wasted」「Rocks Off」のようなストレートなハードロックもあれば、「Sorrow Is A Woman」みたいに叙情的な楽曲、「When The Walls Came Tumbling Down」「Overture」といったプログレッシヴなハードロックも存在する。結局、次作以降の“らしさ”の原点がぎっしり詰まった、原点と呼ぶにふさわしい1枚なんですよね。彼らの代表作をすべて聴き終えてから本作に戻ると、非常に納得できる内容/作風なんじゃないかと思います。

今の彼らのこの勢いを求めようとは思いませんが、もしできることなら……今の彼らが表現する『ON THROUGH THE NIGHT』完全再現ライブというのも観てみたい気がします。実現しないものですかね?



▼DEF LEPPARD『ON THROUGH THE NIGHT』
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2018年1月12日 (金)

MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』(1980)

“ファスト”・エディ・クラークが亡くなりました。「へっ、誰?」という人もいるかもしれないけど、僕にとってはレミー・キルミスター(Vo, B / 2015年12月没)、フィルシー・“アニマル”・テイラー(Dr / 2015年11月没)、そして“ファスト”・エディ・クラーク(G)という黄金トリオは決して観ることができなかった布陣ということもあって、かなり憧れの強いラインナップでもあります。

MOTÖRHEADに対する思いは過去のテキストでも散々書いているので、ここでは割愛。今晩は急遽、このアルバムを爆音で聴きながら本作の魅力について触れてみたいと思います。

『ACE OF SPADES』はMOTÖRHEADが1980年晩秋にリリースした、通算4作目のスタジオアルバム。前年に発表した2枚のアルバム『OVERKILL』『BOMBER』がそれぞれ全英24位、12位と好記録を伸ばし続けるなか発表された、決定打的1枚が本作『ACE OF SPADES』であり、実際このアルバムは最高4位まで上昇するヒット作となりました。また、同作からのシングル「Ace Of Spades」も最高15位を記録し、バンドは名実ともに人気者の仲間入りを果たしました。

このアルバム、何が良いって、まずはそのジャケットでしょう。それまでのMOTÖRHEADのアートワークは牙をむいた豚(=War Pig)のキャラクターがデザインされていましたが、本作ではメンバー3人が砂漠だか岩場だかで佇む姿が収められています。もうね、これだけで最高じゃないですか? 革ジャンにタイトなパンツ、ハット、そしてガンベルト。この姿を目にしただけで、どんな音かが伝わってくる。

で、実際に1曲目さから再生すると、あのゴリゴリに歪みまくったベースリフ……名曲「Ace Of Spades」からスタートするわけですよ。最高ったらありゃしない。その後も速い曲、ミドルテンポのブギー、渋いロックが目白押し。メタリックだけどヘヴィメタルではなく、ハードロックかと言われるとそういうわけでもない、そしてパンキッシュなのにパンクとも違う。このMOTÖRHEAD以外の何者でもない証明がこの12曲でなされているわけですよ。

1980年というとパンクムーブメントも終わり、本国イギリスではニューウェイブが流行りだしたと同時に、それまで死にかかっていたヘヴィメタルが新たな波に乗って再編され始めた頃。New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)と呼ばれるムーブメントが勃発したタイミングですね。その時期に発表された『ACE OF SPADES』やMOTÖRHEADというバンドに対して「NWOBHMのオリジネーター」なんて声が多いのは、そういったいろんなタイミングが合致したのも大きいんでしょうね。

とにかく頭を無にして、ただひたすら大音量で楽しみたいアルバム。どのアルバムも最高だけど、今晩だけは「Ace Of Spades」から「The Hammer」までを通して聴いて、3人の鬼気迫るプレイに浸りたいと思います。



▼MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』
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2017年11月19日 (日)

AC/DC『BACK IN BLACK』(1980)

大ヒットした1979年のアルバム『HIGHWAY TO HELL』に続く、AC/DC通算7枚目のスタジオアルバム(1980年夏発売)。前作から引き続き、プロデュースをジョン・マット・ラングが担当。と、ここまで書くと前作の延長線上にある作風かと想像してしまいがちですが、前作との間にひとつの大事件が発生します。それがフロントマン、ボン・スコットの急逝(1980年2月)でした。バンドの顔ともいえるボンが亡くなったことで、本来はその歩みを止めてもおかしくないところを、AC/DCは前作からまる1年というハイペースで本作『BACK IN BLACK』を完成させるのでした。

新たに加入したシンガーは、イギリス生まれのブライアン・ジョンソン(元GEORDIE)。ボンの歌声はどこか気だるさや色っぽさ(エロさ)も感じられる独特の個性でしたが、ブライアンの歌声はもっと硬質。極論を言ってしまえば、ロックンロールシンガーからヘヴィメタルシンガーに交代したというくらい、バンドの顔が急に変わってしまったわけです。

当然、バンドが作り出すサウンド自体もブライアンの特性を生かしたものにシフトチェンジ。キャッチーで軽やかなイメージのあった『HIGHWAY TO HELL』とは異なり、この『BACK IN BLACK』ではヘヴィでソリッドなハードロックを奏でております。もう1曲目「Hells Bells」からして異質ですよね、それまでのAC/DCを考えれば。冒頭の鐘の音は、亡くなったボンへの鎮魂を意味するのでしょう(確実に『HIGHWAY TO HELL』へのアンサーと思われます)。そして不穏なギターリフから徐々にヒートアップして、いつになくシリアスな表情で、そしてヒステリックなサウンドで新生AC/DCの誕生を高らかに宣言する。こんなにもドラマチックで、聴き手をたぎらせるオープニング、そうはないですよね。

「Shoot To Thrill」のようなロックンロールもあるんだけど、やはりそれまでとはどこか違う。いや、ギターリフを聴けば間違いなくAC/DCなんだけど、やはり新しさを感じさせる。アナログB面1曲目のタイトルトラック「Back In Black」の、音の隙間を効果的に生かしたリフ&リズムワークはHR/HM史に残る名演のひとつです。かと思えば、前作からヒットした「Highway To Hell」の意思を受け継ぐ「You Shook Me All Night Long」もあるんだから……本当、すごいアルバムだと思います。

1曲1曲を抜き出して語るよりも、アルバムをひとつの音の塊として語りたい。『BACK IN BLACK』はそんな作品だと思います。HR/HMの教科書と言ってもいいくらい、まずはこれから聴け!と突きつけたいくらい、「知らなきゃモグリでしょ?」って言いたくなる1枚です。

ブライアン・ジョンソン(Vo)、アンガス・ヤング(G)、マルコム・ヤング(G)、クリフ・ウィリアムズ(B)、フィル・ラッド(Dr)。第二の黄金期を築き上げたこの布陣は、今後再び揃うことはありません。ブライアンの耳の不調によるツアー離脱、マルコムの認知症によるバンド活動休止、フィルの逮捕、クリフの引退……そして……残念でなりません。過去3回の来日中2度、この編成によるステージを観ることができたのは、もしかしたら幸運だったのかもしれませんね。



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2005年3月29日 (火)

DEAD KENNEDYS『FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES』(1980)

「ロケンロールと無理心中」、無駄に不定期更新してますが、今回でやっと3回目。そろそろ日本のアーティストも紹介したいな、とは思っているんですが何分……DJやったばかりで、そのために引っ張り出して聴いてたCDの中から、久し振りに聴いてもやっぱりいいなーって思えたモノを幾つか紹介したいな、と思っておるんですね。勿論その中には日本の素晴らしいロケンローバンドも含まれているんですが。

とりあえず三度洋楽から。ハードロック、オールドスタイルのロケンローときて、今回はパンクです。しかも西海岸のUSパンク。1980年にリリースされたDEAD KENNEDYSの記念すべき1stアルバム『FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES』を紹介したいと思います。

まぁパンクというとUKだとSEX PISTOLS、THE CLASH、THE DAMNED辺りがよく名前を挙げられるだろうし、USだとやっぱりRAMONESが真っ先に挙がるんじゃないかと思うんですね。後はイギー・ポップ率いるSTOOGESとか? いや、もしかしたら最近の若い子達には既にGREEN DAYやOFFSPRING、RANCIDのようなバンドが基本中の基本になっちゃってるのかな。

そんな中で、所謂我々が認識する『パンク』と呼ばれる3コードのロケンローを基調とした音楽性と、これも我々が認識している『ハードコアパンク』と呼ばれるジャンル/スタイル……この祖先的な存在が‥‥まぁ乱暴な決めつけではありますが……このジェロ・ビアフラ率いるDEAD KENNEDYSなのかな、と思うわけでして。

全曲基本的には3分にも満たないようなストレートで疾走感溢れる楽曲ばかり。ド頭の「Kill The Poor」の演劇じみた歌唱法の名曲を聴いた時点で、既にこのアルバムが名盤であるのは間違いないと決定的になるわけですが(大袈裟な言い方かもしれないけど、ホントにそうだよね)、その後も矢継ぎ早に繰り出されるファスト・チューンにやられっぱなし。勿論2005年の現代において、これよりも激しく速いパンクチューンは幾らでもあるわけですよ、けど……やっぱり俺の中ではこれを越えるアルバムは数少ないんですね、どういうわけか。ま、所詮はオールドウェーブなオッサンですよ俺は。パンクの名盤といえばPISTOLSの1st、DAMNEDの1st、CLASHの1st〜『COMBAT ROCK』まで、そしてRAMONES全般(!)とかいうような奴ですから!

そんなオッサンの言うことですからあてにならねぇ……かどうかは判りませんけど、少なくともこのアルバムは異色作ですよ。パンクでありハードコアであり、尚かつエンターテイメントの臭いまでする。ジェロの歌唱法が演説っぽかったりオペラチックだったりで、他の「がなる」だけのパンクやハードコア勢とは一線を画するわけですよ。そういう意味では、現代ではSYSTEM OF A DOWN辺りに引き継がれてる路線なのかな、なんて勝手に思ってるわけですが(それは言い過ぎか)。プレスリーの「Viva Las Vegas」なんてやっちゃってるわけですからね。そんな朗らかな曲と一緒に「Kill The Poor」「Forward To Death」「Let's Lynch The Landlord」「Chemical Warfare」「I Kill Children」なんていう素敵なタイトルの楽曲が並んでるわけですよ! そのセンスの素晴らしさ! そしてハードコアながらも非常にポップで判りやすい。ここがポイントなわけですよ。単なるオナニーで終ってないわけ。一時期、パンクやハードコアがそういった独りよがりな方向へと進んでしまう時期があったかと思うんだけど、少なくともこの時代はまだ大丈夫だったんだな、と。まぁそりゃそうか、何せジェロはRAMONESのライヴを観て、バンドを始めたような男だからね。その方向性の違いはあれど、根元にあるものは一緒なわけですよ。

DEAD KENNEDYSは'80年代半ば頃までは現役だった記憶があります。俺が中学生の頃、まだ新譜とか出してたような記憶あるし。んで、ジェロはその後いろんなユニットを作ったり壊したりして現在に至ってます。先頃、ジェロのいないDEAD KENNEDYSが来日したりもしましたが、まぁそれはそれで……観たいとは思わないけど、いいんじゃないでしょうか。

う〜ん、今度DJやる時は是非「Kill The Poor」か「Viva Las Vegas" をかけたいなぁ。



▼DEAD KENNEDYS『FRESH FRUIT FOR ROTTING VEGETABLES』(amazon

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