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カテゴリー「1981年の作品」の17件の記事

2021年7月23日 (金)

IRON MAIDEN『KILLERS』(1981)

1981年2月にリリースされたIRON MAIDENの2ndアルバム。

前作『IRON MAIDEN』(1980年)はデビューアルバムながらも全英4位という好記録を残しましたが、続く本作は全英12位とランクを落としてしまっています。しかし、一方で初の全米チャートへのランクイン(最高78位)などもあり、着実に進歩していることは数字からも伝わってきます。

今作からデニス・ストラットン(G)に代わりエイドリアン・スミス(G)が加入。また、今作を最後にポール・ディアーノ(Vo)が脱退するなど、早くも大きな転換期を迎えます。しかし、内容的にはそんないざこざがまったく感じられない、前作からの成長がダイレクトに伝わる良作に仕上がっています。

前作では全体的に勢いで押す曲(「Prowler」「Charlotte The Harlot」など)とプログレッシヴさを全面に打ち出す曲(「Phantom Of The Opera」「Transylvania」など)と二分された感がありますが、今作からはその個性により磨きをかけた感が伝わる。前作の流れを組むパンキッシュさは「Purgatory」程度に収められ、「Murders In The Rue Morgue」や「Another Life」のようなアップチューンはメタリックに整頓されている感がより強まっています。

一方で、オープニングを飾るドラマチックなインスト「The Ides Of March」から「Wrathchild」へ、「Genghis Khan」から「Innocent Exile」へと続く組曲的構成や、6分強におよぶプログレッシヴな「Prodigal Son」、前作における「Iron Maiden」的な展開を持つ「Drifter」などは現在まで続くスタイルのプロトタイプと言えるもの。ブルース・ディッキンソン(Vo)加入後に確立されるスタイルの処女作、といえばわかりやすいのかな。そういった過渡期的な立ち位置にあるアルバムだなと、個人的には昔から感じていました。それもあってか、初期の作品の中でも不思議と手に取る機会の少ない1枚だったんですよね。

ところが、最近久しぶりに聴いたら……面白いことに、1stアルバム以上に気に入ってしまった。周期的なものもあるんでしょうけど、今まで気づいていなかった魅力(暴力的な1作目よりコントロールされている感)にハマってしまったんです。実はこのへんの魅力って、プロデューサーをマーティン・バーチ(BLACK SABBATHDEEP PURPLERAINBOWWHITESNAKEなど)に交代したのも大きく作用しているのかなと。さすがです。

1 stアルバムと比べたらインパクトは若干弱いかもしれませんが、中身の濃さは前作以上。あなどれない1枚です。

 


▼IRON MAIDEN『KILLERS』
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2021年1月20日 (水)

DURAN DURAN『DURAN DURAN』(1981)

1981年6月にリリースされたDURAN DURANのデビューアルバム。

アルバムデビューに先駆けて、シングル「Planet Earth」(全英12位)、「Careless Memories」(同37位)のスマッシュヒットも大きく後押しし、同作は1stアルバムにも関わらず全英3位という好記録を樹立。さらに、アルバム発売後にリカットされたシングル「Girls On Film」も全英5位まで上昇し、DURAN DURANは一躍時の人となるのです。

この成功の裏側には、当時海外を中心に普及し始めたミュージックビデオ、およびそれらをオンエアする専門チャンネルMTVが果たした役割が非常に大きかったことは外せません。比較的ルックスの良いメンバーが化粧をしたそのビジュアル効果はかなり大きなものがあり、本国のみならずここ日本でも洋楽専門誌のグラビアを飾るアイドル的人気を確立。そんなルックスの良いメンバーが動く姿を存分に楽しめるMV、そりゃファンならたまりませんよね。

かつ、そのMVでの実験的かつ挑戦的な姿勢も彼らの成功に一役買います。「Planet Earth」や「Careless Memories」では奇抜さは見受けられませんが、あとから制作された「Girls On Film」のMV……これがDURAN DURANの知名度を一気に高める結果になるわけです。元10CCのゴドレイ&クレームの映像チームが手がけたMVは、バンドが演奏する前で力士相手に女性ファイターが試合をしたり、女性同士のキャットファイトなどが繰り広げられるというもので、当時としては破格の6分半にも及ぶ内容でした。ところが、当初MTVなどではその過激な内容から放送禁止に(YouTubeに公開されているのは3分半尺の、過激な描写をカットした通常バージョン。この6分半のノーカット版は“Night Version”として親しまれています)。この噂が広まったことで、同MVが収められたMV集がヒットしたという話まであります。

こういうったトピックが噂を呼び、さらに楽曲自体にも注目が集まった。実際、ニューウェイヴ通過後のファンクポップ/ロックは非常に親しみやすいもので、クラブ受けやラジオ受けも良い。癖の強くないサイモン・ル・ボン(Vo)のボーカルと、ニック・ローズ(Key)による煌びやかなシンセサウンドも耳馴染みが良いので、幅広い層……とりわけ若年層にも浸透しやすかったのではないでしょうか。当時中学生だった自分も、本作を含む初期3作は狂ったようにリピートしまくりましたから。

80年代初頭のティーンエイジャーにとって、ビジュアル/楽曲面で洋楽の入り口の役割を果たした重要な存在。今聴くと時代を感じさせるニューウェイヴ感と、わかりやすそうで実は意外と捻くれたことにも手を出している楽曲群のクオリティは、実はそこまで洋楽ビギナーに優しいわけではなかったことにも気づかされます。偏見抜きに、改めて真摯に受け止めてほしい「新時代の始まりを告げる」1枚です。

 


▼DURAN DURAN『DURAN DURAN』
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2020年12月28日 (月)

MOTÖRHEAD『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』(1981)

1981年6月にリリースされたMOTÖRHEAD初のライブアルバム。

1980年11月に発表した4thアルバム『ACE OF SPADES』が全英チャート4位という過去最高位を獲得したことを受け制作された今作は、同時点でのベスト盤的選曲ということもあり、初の全英1位に。当時の勢いを語る上で欠かせない1枚となりました。

タイトルから、本作は(当時の名称)Hammersmith Odeonでのライブ音源かと思いきや、レコーディング自体は1981年春のリーズやニューカッスルでの音源を中心に構成。『ACE OF SPADES』より前のアルバムではそのレコーディング環境含めて本来のMOTÖRHEADらしさがうまく表現できていないものもありましたが、より生々しさを強調した今作ではそういった初期の楽曲が見事な形で“再生”されており、MOTÖRHEADというバンドの魅力が余すことなく、最良の形で表現されているように思います。

また、ライブアルバムにありがちな「演奏中、過剰な声援をオーバーダブ」するということもなく、バンドの荒々しく“うるさい”演奏に集中することができます。ぶっちゃけ、オープニングの「Ace Of Spades」を聴いている途中、本作がライブアルバムであることを忘れる瞬間があるくらいですから(演奏が終わり、急にワーッと歓声が上がって「そうだった、これライブアルバムだ」と思い出すくらい)。それほど当時のバンドの勢いとエネルギーに満ちた、MOTÖRHEADの世界に没頭できる名演ではないでしょうか。

緩急に富んだ選曲もさることながら、要所要所に歴史的な代表曲が配置されていることも、本作を飽きさせないものにしており、頭に「Ace Of Spades」、中盤に「Overkill」、終盤クライマックスに「Bomber」というアゲ曲が用意され、合間に「Stay Clean」や「Metropolis」「(We Are)The Roadcrew」などミディアムテンポのロックンロールが並ぶ。どれも活動後期まで演奏される機会の多かった名曲たちであり、改めてこの時点でMOTÖRHEADとしての型は確立されていたんだなと気づかされます。

なお、本作は1990年代以降さまざまな形でリイシューされており、現在流通している2枚組バージョン(2001年バージョン)には「Over The Top」「Too Late, Too Late」といったアルバム本編未収録音源に加え、本編み収録の1981年3月21日のニューカッスル公演からの11曲(演奏曲目も一部異なる)を楽しむことができます。現在ストリーミングサービスではこちらのバージョンが配信されているので、アルバム本編との違い含めて確認してもらえたらと思います。

昨年から『OVERKILL』(1979年)以降のアルバムが40周年記念で何度目かのリイシューを迎えていますが、おそらく来年にはこのライブアルバムも新たな形で再発されるのでしょうか。音源的には新たなものが加わることはないかと思いますが、なんにせよそちらも動向も気になるところです。

 


▼MOTÖRHEAD『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』
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2020年11月24日 (火)

QUEEN『GREATEST HITS』(1981)

1981年10月26日にイギリスでリリースされたQUEEN初のグレイテスト・ヒッツアルバム『GREATEST HITS』。80年代にはこのアルバムからQUEENに入ったというリスナーも多かったのではないでしょうか。かくいう僕も、初めて聴いたQUEENはこのアルバムでした(レンタルだったけど)。

昨日、このアルバムがアメリカBillboard 200(アルバムチャート)で初のTOP10入りを果たしたというニュースが飛び込んできました(ニュース元)。これは、同作のアナログ盤がWalmartのセールで15ドルに値下げセール販売されたことで、1週間で2万3000枚以上もの売り上げを記録したことから、前週の36位から8位まで急上昇したんだとか。ちなみに、同週の1位はAC/DCの新作『POWER UP』。ロックがまったく売れないと言われているアメリカで、AC/DCとQUEENが同時にTOP10入りする2020年。何が何やら(苦笑)。

さて、この記録に関して一部メディアでは「これまで同作の最高位は、1992年に記録した11位だった」と明記されていますが、これ正しくもあり間違いでもあるんですよね。要するに、同じタイトルだけど別内容のアルバムが前回の11位を記録しているのです。

今回のエントリーではレビューというよりも、このへんのややこしさについて記録を残していけたらなと思います。

 

まず、1981年10月発売の『GREATEST HITS』は当時、本国イギリスやここ日本はもちろん、アメリカでもしっかりどうタイミングにリリースされています。が、実はこの3ヶ国で発売された本作、収録内容が微妙に異なるのです。ここからは、イギリスで発売された全17曲入りの内容を“オリジナル盤”として話を進めます。

イギリスではEMIからリリースされた本作。その収録内容は現在も流通している同作と同じ内容です。ところが、当時Elektra Recordsから発売された北米盤は、オリジナル盤には未収録だった当時の最新シングル「Under Pressure」を追加したほか、「Keep Yourself Alive」シングルバージョン追加といった独自の14曲に厳選。これにより「Don't Stop Me Now」「Save Me」「Now I'm Here」「Good Old-Fashioned Lover Boy」「Seven Seas Of Rhye」が選外に。

一方で、日本で発売された同作はオリジナル盤と北米盤のいいとこ取りな17曲収録。こちらはオリジナル盤未収録の「Under Pressure」に加え、日本ならではの「Teo Torriatte」を追加。代わりに「Bicycle Race」と「Seven Seas Of Rhye」がオミットされています。北米、日本から嫌われる「Seven Seas Of Rhye」の立場よ。

ところが、1984年にCD化された際、独自選曲だった日本盤の内容は北米盤にシフト。僕が初めて聴いたのは、まさにこの北米盤CDだったので、「Another One Bites The Dust」から始まり「Bohemian Rhapsody」へと続く構成にしばし慣れ親しんでいました(オリジナル盤は逆です)。さらに北米に倣ってElektraの親会社Warner Musicからだった日本のリリース元が80年代半ばに東芝EMIへと移行。これにより1988年に再々発された日本盤『GREATEST HITS』は、オリジナル盤と同じ17曲入り/オリジナルセットリストへと落ち着くのでした。なので、『A KIND OF MAGIC』(1986年)までにQUEENを聴き始めたリスナーと『THE MIRACLE』(1989年)以降にQUEENに触れたリスナーとでは、この『GREATEST HITS』の思い出がまったく異なるわけです。なんなら、1981年のオリジナル盤リリース当時に日本盤に触れていたリスナーとも異なるわけで、1つのアルバムに対してたった10年の間に異なる大出を持つ3つの層が生まれるという、なんとも不幸な出来事が起きてしまったのでした。

 

話題を再びアメリカ(北米)に移します。『THE WORKS』(1984年)を機にそれまでのElektraからCapitol Recordsへと発売元を移したQUEENでしたが、90年代に入るとディズニー資本の新興レーベルHollywood Recordsへと移籍。Capitol Records移籍以降廃盤状態だった旧譜が、新作『INNUENDO』(1991年)に続いて次々と再発されていきます(その際、各盤に貴重なボーナストラックが追加されていたのは、個人的にもうれしくて。思わず全部揃えちゃったんだよね。苦笑)。そして、1991年11月24日以降……フレディ・マーキュリーの死、映画『ウェインズ・ワールド』に使用されたことで「Bohemian Rhapsody」が再ヒット。それと前後して、本国ではベスト盤第2弾『GREATEST HITS II』が発売されるのですが、こちらはアメリカでは当時未発売。『GREATEST HITS II』まで絡むと話がさらにややこしくなるのですが、これに関しては北米盤を語る際に欠かせない1枚なので、このまま進めさせていただきます。

さて、Hollywood Recordsからはオリジナルアルバムのリイシューこそあったものの、ベスト盤はしばらく未発売。ところが、上記の“1991年11月24日以降”QUEENに注目が集まり、手軽にQUEENの代表曲を楽しめるコンピレーション盤を求める声が高まります。こうして、(フレディ追悼の意も込めて)1992年3月にようやく北米独自盤『CLASSIC QUEEN』が発売されるのです。


▼QUEEN『CLASSIC QUEEN』
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ジャケットの方向性こそ『GREATEST HITS II』とほぼ同一ですが、タイトルと収録内容が異なるという、非常にやっかいな本作。全17曲入りで、『GREATEST HITS II』を軸にしつつ『GREATEST HITS』オリジナル盤から数曲抜粋した非常にいいとこ取りという、「今からベスト盤2枚買うには金銭的に厳しいけど、これなら便利!」という当時のビギナーにはありがたい1枚でした。だって、「A Kind Of Magic」から始まり「Bohemian Rhapsody」へと続き、そこから「Under Pressure」「Hammer To Fall」、当時METALLICAがカバーしたことで再注目を浴びた「Stone Cold Crazy」と新旧の代表曲/隠れた名曲がズラリと並ぶわけですから、それを輸入盤として1000数百円で購入できるのは学生にはありがたいったらありゃしない。本作はアメリカでも最高4位まで上昇し、300万枚以上もの大ヒットとなりました。

そして、この『CLASSIC QUEEN』大ヒットに味をしめたHollywood Recordsは、同作から半年後に今度は『GREATEST HITS』と題した新規コンピレーション盤を発売します。そう、これが先に述べた、全米11位を記録した『GREATEST HITS』の正体です!(ここまで2000字以上。長かった。苦笑) 以降、こちらを“1992年北米盤”と称することにします。

似たようなデザインからシリーズ連作と感じさせるものの、濃い青を基調にした『CLASSIC QUEEN』に対して1992年北米盤は小豆色。内容は『CLASSIC QUEEN』から漏れた『GREATEST HITS』オリジナル盤収録のヒット曲を軸に、これまでどのエディションにも未収録だった80年代前半の小ヒット「Body Language」、そして『GREATEST HITS II』から「I Want To Break Free」を含む全17曲入り。思えば代表曲中の代表曲「We Will Rock You」も「We Are The Champions」も「Another One Bites The Dust」も「Killer Queen」も、『CLASSIC QUEEN』には未収録だったんですよ。そりゃあ二匹目のドジョウでも、それなりにヒットするわけです。


▼QUEEN『GREATEST HITS (1992 US EDITION)』
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北米では10数年にわたり、この2作品がロングヒットを続けることになるのですが、2004年に事態が急変。なぜかオリジナル盤と同内容の『GREATEST HITS』がHollywood RecordsからCD化されるのです(どんどんややこしい話になってきた。笑)。ここでは、これまでの各国盤にはないボーナストラックも用意され、ボーナストラックとしてロジャー・テイラーが歌う「I'm In Love With My Car」や、「Under Pressure」「Tie Your Mother Down」のライブテイクなどを追加収録。「I'm In Love With My Car」が追加された理由は当時、QUEENの楽曲を題材にしたミュージカル『WE WILL ROCK YOU』が上演されたことも関係しており、「I'm In Love With My Car」は同ミュージカルの中でも登場するためと思われます。また「Under Pressure」「Tie Your Mother Down」は『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』(2004年)からのテイクで、同時期に発売されたため宣伝の意味もあったのでしょうね。


その頃日本では、長らくQUEEN作品をリリースし続けた東芝EMIが親会社の変更によりEMI Music Japanへと改名(2007年)。さらに、本国のEMIグループがUniversal Musicグループに吸収合併(2012年)。同じ頃、しばらく動きの止まっていたQUEENも新たにアダム・ランバートを迎えて“QUEEN + ADAM LAMBERT”としてライブ活動を開始したこともあり、2012年からは日本やイギリスなどでのリイシューが進むことになります。

その一環として、『GREATEST HITS』および『GREATEST HITS II』も世界共通仕様/同内容として、北米盤はHollywood Recordsから、それ以外の国ではUniversal Musicよりリリースされました。なお、日本盤のみボーナストラックとして(ややこしいわ。笑)、1981年盤の名残ともいえる「Teo Torriatte」が追加され、こちらはストリーミングバージョンでも耳にすることができます。以降、2020年に至るまでこの仕様は統一されており、先ごろアメリカでバカ売れした『GREATEST HITS』は現行のオリジナル盤と同じ内容となっております。

<完>

 

……以上が“『GREATEST HITS』戦争”ともいえなくもない、約40年にわたる同作のややこしい歴史です。なので、簡単に「これまで同作の最高位は、1992年に記録した11位だった」と言ってほしくないわけです。以上、面倒くさいQUEENオタクのたわごとでした。

追記:今回は世界中でもっとも流通しているであろう、かつ日本で手軽に入手しやすいイギリス盤、北米盤のみについて言及しました。このほかにも『GREATEST HITS』は国によってさまざまな“収録曲違い”や“独自ボーナストラック”が存在するので、そのへんはQUEENの私設ファンサイトやWikipediaDiscogsなどでチェックしてみてください。

 


▼QUEEN『GREATEST HITS』
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2020年11月 3日 (火)

AC/DC『FOR THOSE ABOUT TO ROCK (WE SALUTE YOU)』(1981)

AC/DCが1981年11月にリリースした7thアルバム(海外にて。本国オーストラリアでは通算8枚目)。日本では『悪魔の招待状』の邦題でおなじみの1枚です(タイトル、悪魔とまったく関係ないんですけどね)。

ブライアン・ジョンソンを新たなフロントマンに迎え、亡きボン・スコットの追悼盤として制作された前作『BACK IN BLACK』(1980年)が全米4位まで上昇。現在までにアメリカでは2500万枚以上ものセールスを誇るメガヒット作として知られています。その勢いのまま、1年4ヶ月という短いスパンで届けられた本作は初の全米1位を獲得。セールスは前作より劣るものの、それでも400万枚を超えるヒットアルバムとなりました。

前々作『HIGHWAY TO HELL』(1979年)から3作連続でロバート・ジョン・マット・ラングがプロデュースを手がけた本作は、特に前作でのタイトで音の密度が高いミックスをさらに洗練させた、キリキリした高い音圧が魅力のヘヴィ・ロックンロールアルバムに仕上げられています。これ、最初はアナログ盤で聴いたと記憶しているんだけど、冒頭の「For Those About To Rock (We Salute You)」や「Inject The Venom」での迫力ある音像や音の密度に鳥肌を立てた記憶があります。特に大砲の音をフィーチャーした前者の豪快さは圧巻で、その後CDで聴いたときは「……あれ、ショボくない?」とがっかりしましたが、最新のリマスター音源は“あのとき”により近づいた音になったんじゃないかと思います。

本作から今でもライブで披露されているのは表題曲ぐらいで(しかも、ライブのエンディングでおなじみの1曲ですしね)、それ以外の楽曲の印象が非常に薄いアルバムかもしれません。事実、僕自身も10〜20代の頃は「『BACK IN BLACK』と比べると変にシリアスすぎて、通して聴くのがキビシイんだよなぁ」なんて思っていたし、その後しばらくは「AC/DCで真っ先に聴くべきアルバムではないよ」なんて触れて回ったくらい。ですが、そこそこ大人になってから聴き返したらカッコいいのなんの。意外と悪くないんですよ(当たり前か、『BACK IN BLACK』の後釜として制作されたんだから)。

確かに「Highway To Hell」や「You Shook Me All Night Long」のようなキャッチーさには欠けるものの、上記のような楽曲や「Snowballed」「Breaking The Rules」、本作中で比較的ポップなタッチの「C.O.D.」、ラストを豪快に飾る「Spellbound」など良曲も多数。メロディの詰めが甘いのは制作期間の短さにもよるでしょうし、『BACK IN BLACK』制作時のようにメンバーを駆り立てる大きな出来事もなかったことも影響して、こういう内容で収まったんでしょうね。もう半年時間を与えていたら、さらなる名盤になったのかな……いや、わかりませんが。

ただ、ピークである『BACK IN BLACK』を最後に少しずつ右肩下がりが始まったのは間違いない事実でして、本作のヒットを最後にバンドはしばらく低迷期に突入してしまいます。それについては、また別の機会に。

 


▼AC/DC『FOR THOSE ABOUT TO ROCK (WE SALUTE YOU)』
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2020年4月18日 (土)

VAN HALEN『FAIR WARNING』(1981)

1981年4月に発売されたVAN HALENの4thアルバム。

前作『WOMEN AND CHILDREN FIRST』(1980年)はチャートアクション的にはそれ以前の『VAN HALEN II』(1979年)と同じ全米6位まで上昇するものの、セールス的には若干落としてしまう結果に。また、シングルも「And The Cradle Will Rock...」(全米55位)と低調&1枚しかカットされていないことから、なんとなく地味な印象を残す作品となってしまいました。

エディ・ヴァン・ヘイレン(G)のギタープレイ的にも最初の2枚と比べてインパクトに欠ける印象があり、それも前作のインパクトの薄さにつながっているのかもしれません。が、しかし。続く今作ではオープニングナンバー「Mean Street」の冒頭でタッピングとスラップをミックスした強烈なプレイをかまし、続く「"Dirty Movies"」でも派手なプレイで聴き手に衝撃を与えてくれる。作風的には前作でのシリアス&ダーク路線の延長線上なのですが、音の粒がより細かく感じられ、かつヘヴィな作風に合わせた歪み方などすべてにおいてバージョンアップしていることが伺えます。

本作もすべてバンドのオリジナル曲。しかし、過去3作と大きく異なるのはエディのギターをフィーチャーしたインストが含まれていないこと。その要素が歌モノナンバーの中にミックスされることで、1曲の尺が若干長めになった印象もあります。

が、ラストの2曲。「Sunday Afternoon In The Park」と「One Foot Out The Door」はいわゆる組曲的な構成で、前者がエディの弾くシンセとドラムによるセッション的なインストで、その流れでファストチューンの後者へと流れていくという。手法としては新しい可能性を感じさせます。

セールス的にはデヴィッド・リー・ロス(Vo)在籍時の初期6枚中もっとも低いといううれしくない記録を残していますが、超名曲「Unchained」やソウルフルな異色作「Push Comes To Shove」、軽やかな「So This Is Love?」など良曲もそれなりに用意された、過渡期の1枚です。

 


▼VAN HALEN『FAIR WARNING』
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2020年3月22日 (日)

DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたDEF LEPPARDの最新ボックスセット。

今年2020年にアルバムデビュー40周年を迎えたDEF LEPAPRDがこれを記念して、デビュー前夜の1979年から世界的メガヒット目前の1981年までの3年間に焦点を当てた5枚組ボックスセットを制作。1stアルバム『ON THROUGH THE NIGHT』(1980年)、2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』(1981年)のリマスター音源に加え、1980年4月26日のオックスフォード公演を収めた未公開ライブアルバム『WHEN THE WALLS CAME TUMBLING DOWN - LIVE IN OXFORD』(DISC 3)、インディーズから発表した『THE DEF LEPPARD E.P.』(1979年)を筆頭に同時期のシングル収録音源(カップリング曲含む)や未公開だったデモ音源を含むDISC 4『TOO MANY JITTERBUGS - B-SIDES AND RARITIES』、1980年のレディング・フェス出演のライブテイクやBBC Radio Oneで放送されたスタジオ・ライブ音源をまとめたDISC 5『RAW - EARLY BBC RECORDINGS』という貴重な音源/楽曲をたっぷり楽しむことができます。

リマスター化された『ON THROUGH THE NIGHT』と『HIGH 'N' DRY』に関しては、2018年に発表された最初のボックスセット『THE COLLECTION: VOLUME ONE』で使用された音源と同じものかなと。初期のCD音源と比較すれば格段に音が良くなっており、ともに迫力の違いが感じられるはずです。

ここで特に注目しておきたいのがDISC 3のオックスフォード公演のライブアルバムでしょう。今やさまざまな時期のライブ音源/アルバムが手に入るDEF LEPPARDですが、デビュー初期のライブアルバムがこういう形で正式リリースされるのはこれが初めてのこと。聴いてもらえばご理解いただけると思いますが、こんなに綺麗な形で録音された音源がなぜ今まで正式に発表されることがなかったのか、本気で理解に苦しみます(笑)。ぶっちゃけ、あとから録音し直したんじゃないの?ってくらい今の耳で聴いてもそのクリアさ、迫力は商品化にふさわしい内容だと思いました。

公演時期(1stアルバム発売から1ヶ月後)からもおわかりのように、演奏されている楽曲は『ON THROUGH THE NIGHT』収録曲が中心。というか、全収録曲(11曲)がすべて披露されております。ですが、このライブCDに収められているのは16曲。つまり、5曲が『ON THROUGH THE NIGHT』未収録曲ということになります。その内訳は、『THE DEF LEPPARD E.P.』のみに収録された「Ride Into The Sun」、シングル「Hello America」のカップリング曲「Good Morning Freedom」といった既発曲に加え、翌年発売の『HIGH 'N' DRY』に収録されることになる「Lady Strange」、本作で初公開となる「Medicine Man」「When The Rain Falls」……後者3曲は、当時ライブでしか聴くことができなかった貴重な楽曲ということになるわけです。

「Lady Strange」は大まかなアレンジはほぼアルバムテイクと同様ですが、コーラスが入らないところなどスタジオテイクとの細かな違いを見つけることができるはずです。で、問題なのが「Medicine Man」「When The Rain Falls」の2曲。これ、聴いてもらえばわかると思いますが、前者が「Rock! Rock! (Till You Drop)」(3rdアルバム『PYROMANIA』収録)、後者が「Let It Go」(2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』収録曲)の元ネタなのです。ぶっちゃけギターリフ以外は完全に別モノなので、のちの新作時にメンバー発かプロデューサー発でボツにされ、リフだけを生かして別の曲を作ったということなんでしょう。歌メロは完全に初期のDEF LEPPARDそのものなのですが、のちの完成版と比べるとメロディの抑揚やキーなどの違いに驚くはずです。個人的には「Medicine Man」のイントロ〜メインリフのもっさり加減がツボだったりします(笑)。

DISC 4にはシングルのみで発売された「Wasted」「Hello America」のニック・タウバー・プロデュース版、同じくニック・タウバーが手がけた「Rock Brigade」と「Glad I'm Alive」のアーリー・バージョン(後者は未発表曲かな)という貴重なテイクを収録。「Let It Go」や「Switch 625」「Bringin' On The Heartbreak」の各シングル・エディットというレア・テイクも楽しむことができます。

さらに、DISC 5のBBC音源集も1979年6月および同年10月という、1stアルバム制作前のスタジオ・ライブ音源を聴くことができるので、のちのスタジオ盤やライブ音源と聴き比べてみると面白いのではないでしょうか。さらに、1980年8月のレディング・フェスの音源も聴きどころのひとつ。ここでも「Medicine Man」や「Lady Strange」といった当時の未発表曲が披露されているので、この頃のバンドにとっては気合いの入った新曲だったのかもしれませんね。

『PYROMANIA』以降のレア音源はCD再発時のデラックス盤や『HYSTERIA』(1987年)ボックスセットなどで小出しにされてきたので、あれ以上のものは出てこないと思うので、こういった“作品として楽しめる”ボックスセットはこれが最初で最後かもしれませんね。あとは……ライブ音源か。これはもっとありそうな気がするので、忘れた頃にリリースしてくれるとうれしいかも(笑)。

 


▼DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』
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2020年3月10日 (火)

WHITESNAKE『COME AN' GET IT』(1981)

1981年4月に発表されたWHITESNAKEの4thアルバム。日本盤は同年6月後半からスタートする2度目のジャパンツアーの来日記念盤として、5月に発売されました。

2作目『LOVEHUNTER』(1979年)から7ヶ月という短いスパンで発表された前作『READY AN' WILLING』(1980年)は、リードシングル「Fool For Your Loving」のスマッシュヒット(全英13位)も手伝って最高6位を記録。その成功をフォローするかのように11ヶ月後に発表された本作は、「Don't Break My Heart Again」(全英17位)、「Would I Lie To You」(同37位)とシングルヒットを連発させたことで、アルバム自体も最高2位という高ランキングを残しています。

前作から加わったイアン・ペイス(Dr/ex. DEEP PURPLE)の影響もあってか、バンドアンサンブルがよりタイトに強化された印象を持つ本作。『READY AN' WILLING』で手に入れた成功が良い形で作用された、初期の最高峰といえる内容ではないでしょうか。

モロに女性器を表した蛇の舌に苦笑してしまうというジャケットを持つ本作。序盤の「Come An' Get It」や「Hot Stuff」こそ初期2作のおおらかさが再び感じられますが、そこにはいなたさが一切感じられず、むしろ洗練された印象を受けるほど。そこから前作の影響が大いに反映された「Don't Break My Heart Again」、このバンドらしい泣きのブルース要素が最大限に発揮された「Lonely Days, Lonely Nights」と最高の流れを見せ、WHITESNAKE流“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”を体現した軽やかなロックンロール「Wine, Women An’ Song」へと続くアナログA面の流れは、本当によくできているなと感心します。

後半(アナログB面)はいぶし銀の渋みを感じさせる名曲「Child Of Babylon」からスタート。シングルカットもされたノリの良いロックチューン「Would I Lie To You」やドス黒いリズムセクションがひたすら気持ち良い「Girl」「Hit An' Run」と流れ、どことなく「Ain't Gonna Cry No More」に似た空気(と作風)の「Till The Day I Die」で締めくくり。なんとなく地味さが目立つ1枚ですが、ブルースやR&B/ソウルをハードなサウンドで表現するという初期WHITESNAKEのコンセプトはここでひとつの完成を見ることになります。

もちろん、穿った見方をすれば「前に似たような曲、なかったっけ?」というマンネリさも見え始めています。それはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)のバンマスとしての甘えだったのか、あるいはミッキー・ムーディ(G)やバーニー・マースデン(G, Vo)といったソングライターたちの“才能の限界”だったのか。これまでのアルバム4作中、カヴァーデイル単独制作楽曲が4曲と過去最多なのもそういった事象の表れだったのかもしれません。

なお、本作は2006年にリマスター化されており、その際にアルバム収録曲の別ミックスやバッキング・トラックなど6曲が追加されております。個人的には必聴とは言い切れない、オマケ以外の何ものでもないテイクですので、気になる人はぜひ……といったところでしょうか。

 


▼WHITESNAKE『COME AN' GET IT』
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2020年1月13日 (月)

RUSH『MOVING PICTURES』(1981)

RUSHが1981年2月にリリースした、通算8作目のスタジオアルバム。日本盤は同年4月、当時にEPIC SONYから発売さてました(当然アナログ盤で)。

最初期のハードロック路線から徐々に大作路線へと移行したRUSHでしたが、前作『PERMANENT WAVES』(1980年)制作時に「ラジオで好まれる、短くキャッチーな曲を用意しろ」とレーベルから急かされたことで、その路線をさらに変化させていきます。

そんな中で生まれたこの『MOVING PICTURES』という作品は、ラジオで好まれる4分台の楽曲を中心にしつつも、「YYX」のようにテクニカルなインスト曲、「The Camera Eyes」といった10分超の大作も用意されており、バンドとしてのそれ以前のアイデンティティを残しつつも新たなフィールドへと挑もうとする野心がバランスよく混在する、まさに傑作と呼ぶにふさわしい1枚に仕上がっています。

シンセを導入した“ラジオ・ライク”な(それでいて、このバンドらしい小難しさもしっかり備わっている)「Tom Sawyer」といい、軽快なノリを持つ「Red Barchetta」といい、どれも本当にキャッチーでポップなんですよね。だけど、演奏面だけでいうと実はものすごくテクニカルなことをやっている。良い意味で気を抜けない楽曲が冒頭から並ぶのですが、その気の抜けなさにおける極め付けが先のインスト「YYZ」という……この曲の超絶さ、圧巻です。

かと思えば、再びキャッチーなロックンロール「Limelight」が登場したり、プログレバンド的な神秘性が前面に打ち出された11分にわたる組曲「The Camera Eye」があったり、それに続く「Witch Hunt」で大作の余韻をさらに味あわせてくれたりする。で、ラストに再びシンセポップ調の「Vital Signs」で締めくくる。中盤〜後半にかけてプログレッシヴな側面をこれでもかと提示していますが、アルバム序盤とラストはポップ路線で固めるこの構成、「初心者の皆さんも安心して楽しめます」と導入しておいて、先に進むと「あれ、話が違うじゃん……でも、これもいいな?」とどんどん小難しさに慣れていく。そんな仕掛け(ある種の罠)が非常に心地よいんですよね。

「RUSHの最高傑作は?」と質問されたとき、きっとどのアルバムから入ったかによって(あるいはどのアルバムが好きかによって)挙げる作品は異なるかと思いますが、この『MOVING PICTURES』には大作路線ファンや80年代のポップ路線リスナー、90年代のグランジ/ヘヴィ路線ファンもを唸らせる魅力を持っているのではないでしょうか。記録的にも本国カナダで初めて1位を獲った作品であり、アメリカでも最高3位、400万枚以上というキャリア最高セールスを誇る1枚ですし。個人的には90年代の傑作『COUNTERPARTS』(1993年)とあわせて「初心者にオススメしたい入門盤」に挙げたいと思っています。

既報のとおり、ドラマーのニール・パートが今年1月7日に脳腫瘍のため逝去したことが1月11日にアナウンスされました。2018年のインタビューでゲディ・リー(Vo, B)がニールの音楽家としての引退を明かしていたため、バンド復活の道は絶たれていたわけですが、その時点ですでに療養中であり、先が長くないことはわかっていたんでしょうね……。残念でなりません。

 


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2019年8月 4日 (日)

KING CRIMSON『DISCIPLINE』(1981)

1981年9月にリリースされた、KING CRIMSON通算8作目のオリジナルアルバム。

ロバート・フリップ(G)、ジョン・ウェットン(Vo, B)、ビル・ブルーフォード(Dr)のトリオ編成を軸に、デヴィッド・クロス(Violin)、メル・コリンズ(Sax)、イアン・マクドナルド(Sax)などをゲストに迎えた、70年代クリムゾンのラスト作『RED』(1974年)をもってその活動を一旦終了させたクリムゾン。しかし、80年代に入りロバート・フリップ&ビル・ブルーフォードにエイドリアン・ブリュー(Vo, G)、トニー・レヴィン(B, Stick)を加えた4人編成で再始動。このアルバムで新生クリムゾンの全貌が明らかとなりました。

初期のフリーキーなスタイル、後期のメタリックなサウンドなど時期によって表現方法や奏でるサウンドに大きな変化が生じるクリムゾンですが、80'sクリムゾンは過去のどの時期とも似ていない新たなスタイルを確立。時期的なものもあるのでしょうが、非常にニューウェイヴにも似た、ダンサブルなサウンドが展開されています。

まず、聴いていきなり驚くのが「Elephant Talk」での像の鳴き声を真似たエイドリアン・ブリューのギタープレイ。かなり昔、日本のテレビCMでも動物の鳴き真似プレイを目にすることができましたが、かつそのベースとなるサウンドが非常にダンサブルでメタルのメの字はおろか、プログレのプの字すら皆無のヘロヘロサウンド&ボーカルに最初は「?っ」とひっくり返ったものです(といっても、僕自身はリアルタイムではなく、発売から10年以上経ってからの初聴だったのですが)。

「Frame By Frame」でのポリリズムを用いたギターアンサンブルやバンドアレンジに、かろうじてプログレの匂いを感じることができますが、続くストーナンバー「Matte Kudasai」の平和な感じはちょっと……と、頭3曲に肩を落としたこと、今でもよく覚えています(笑)。

ところが、4曲目「Indiscipline」でその雰囲気が一変。そうそう、これが聴きたかったんだ!という重厚なアンサンブルが突如繰り広げられるのです。これこそ、プログレッシヴロックのクリムゾンだ!と。ボーカルの軽薄さだけはどうにもなりませんが(笑)、この1曲にどれだけ救われたことか。

後半も再びダンサブルな「Thela Hun Ginjeet」や、当時のテクノポップの影響を受けたかのような(シンセ・ギターの影響も大きいのでしょうね)「The Sheltering Sky」、ダンサブルなプログレ・クリムゾンという「Descipline」と、かなりバラエティに富んだ内容になっています。

最初こそ面を食らった1枚ですが、実は今ではトップクラスで好きな1枚でもあります。それは、リアルタイムで体験した90年代のクリムゾンはこの“ニューウェイヴ期”なくしては語れないから。これがあったから、僕の好きな90年代のクリムゾンが存在するんだ、ここにいろんなヒントが隠されているんだと思いながら聴き返していたら、いろんな発見があったし、どんどん好きになっていった、と。『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)の頃とはまったく異なる存在ではありますが、これもクリムゾン。仰々しいプログレ時代が苦手という人にこそ、一度は触れてもらいたい「気軽に聴けるクリムゾン」なのです。

 


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