カテゴリー「1982年の作品」の16件の記事

2019年7月 7日 (日)

IRON MAIDEN『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982)

1982年3月にリリースされたIRON MAIDENの3rdアルバム。初期2作で歌っていたポール・ディアノから、元SAMSONのブルース・ディッキンソンが本作から参加しています。

「Run To The Hills」(全英7位)、「The Number Of The Beast」(同18位)といったヒットシングルも生まれ、アルバムは初の全英1位を獲得。アメリカでも最高33位と初のTOP40入りを果たし、100万枚以上を売り上げる大きなヒット作となりました。

粗暴で男臭いディアノのボーカルから一点、ディッキンソンはがなるようなハイトーンが特徴で、彼の個性を活かした曲作りが早くも多数見受けられます。オープニングを飾る「Invaders」のパンキッシュなスピード感は1stアルバム『IRON MAIDEN』(1980年)でも見受けられたものですが、そこに歌い上げるようなハイトーンが加わることで新たな魅力が加わっています。うん、プログレッシヴなパンクアルバムから普通のHR/HMアルバムへとシフトしたような(「普通の」と言いますが、そこはかなりのハイクオリティなんですけどね)。

かと思えば、センチメンタルなアルペジオから始まるヘヴィチューン「Children Of The Damned」、同名ドラマのセリフがそのまま用いられた「The Prisoner」などディッキンソン時代ならではの“らしい”曲が続きます。「The Prisoner」のポップさもなかなかのものがありますよね。

そして、「22 Acacia Avenue」のようなドラマチックなメロディを持つナンバーやポップさが際立つ「The Number Of The Beast」「Run To The Hills」と、アルバム中盤で大きな山場を迎える。特にシングルヒットした「The Number Of The Beast」「Run To The Hills」、そしてのちに触れる「Hallowed Be Thy Name」は今でもライブで演奏されており、ディッキンソン・メイデンのパブリックイメージを語る上で欠かせないナンバーと言えるでしょう。

ドタバタしたドラミングが印象的な「Gangland」を経て、「Total Eclipse」へ……あれ、最新リマスター盤(2018年)だとこの曲カットされてる! そうなんです。1998年のリマスター盤ではラスト前にシングル「Run To The Hills」のカップリング曲「Total Eclipse」が追加収録されていたんですが、現行の最新リマスターではオリジナルアナログ盤の仕様に沿った内容に戻されています。まあ、別にないっちゃあなくても平気なんですが、「Total Eclipse」がある曲順に慣れていたのでちょっとした違和感が。

で、ラストに名曲中の名曲「Hallowed Be Thy Name」。最高の締めくくりですね。こういった楽曲がレパートリーに加えられるようになったのも、ブルース・ディッキンソンという稀代のシンガーが加わったからこそ。単なる“第二のデビュー作”という以上に、1stアルバムとは別の意味でメイデンの歴史に、そしてHR/HMの歴史において欠かせない1枚です。

 


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2019年4月26日 (金)

NIGHT RANGER『DAWN PATROL』(1982)

1982年11月にリリースされたNIGHT RANGERのデビューアルバム。70年代末にファンクバンドRUBICONに参加していたブラッド・ギリス(G)、ジャック・ブレイズ(B, Vo)、同バンドのツアーメンバーだったケリー・ケイギー(Dr, Vo)を中心に、MONTROSEのメンバーだったアラン・フィッツジェラルド(Key)とその友人ジェフ・ワトソン(G)という5人でRANGERというバンドを結成し、のちに現在のNIGHT RANGERへと改名。デビュー前にはランディ・ローズ急逝後のオジー・オズボーンのバンドにブラッドが一時参加するなどして、知名度を上げてからのデビューとなりました。

アーミングを多用したストロングスタイルのプレイを聴かせるブラッドと、両手タッピングによる“8フィンガー”奏法が話題となったジェフという異なるタイプのギタープレイヤー、ジャック&ケリーのリズム隊がリードボーカルを務めるという異色のスタイル、なおかつ楽曲が適度にハードで歌メロがポップ、親しみやすいバラードも要するという絶妙なバランス感はこのデビュー作の時点ですでに完成の域に達しつつあります。

特にオープニング2曲「Don't Tell Me You Love Me」(全米40位)、「Sing Me Away」(同54位)を聴けば、このバンドの魅力の大半が伝わるんじゃないか……というのは言い過ぎでしょうか。でも、個人的にはそれくらいこのバンドの個性を端的に表した2曲だと思っています。

かと思えば、「Call My Name」のようなピアノバラードがあったり、「Eddie's Comin' Out Tonight」みたいにドラマチックなハードロックナンバーがあったりと、どの曲も個性が強い。次作『MIDNIGHT MADNESS』(1983年)以降、能天気なアメリカンロック色を強めていき、パブリックイメージ的にもそっち側とパワーバラードのバンドと印象付けることになってしまいますが、まだこのデビュー作の時点ではマイナーキーの楽曲でドラマチックさや仰々しさを打ち出している。「Can't Find Me A Thrill」なんて適度なメジャー(コード)感がありつつも泣きの要素が備わっているし、「Young Girl In Love」はそこまで能天気ってわけでもない。この感覚をもっと保ち続けてくれたら、その後の歴史もまた変わったんじゃないかな(と同時に、あそこまでヒットしなかったかもしれないけど)。

圧巻はラストの「Night Ranger」。スタジオ音源も素晴らしいですが、この曲は特にライブテイクが素晴らしく。ライブでこの曲をやってくれないと、個人的には非常にがっかりするくらい、個々のプレイヤーの個性が輝く1曲なんですよね。気になる人がいたら、ぜひYouTubeで同曲のライブ映像を探してみてください。

というわけで、ポップさでは次作以降より若干劣るものの、ハードさという点においてはキャリア中1、2を争う仕上がり。そりゃいきなり全米38位という好成績を残すわけです。

 


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2019年3月19日 (火)

OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』(1981)

オジー・オズボーンが1981年11月に発表した、通算2作目のソロアルバム。BLACK SABBATH脱退を経て起死回生の一撃となったソロデビューアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)が全英7位、全米21位というヒットにつながり、バンドはそこから間髪入れずにレコーディングに突入。ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)という同じ布陣で制作されました。

聴いてもらえばわかるように、疾走感のあるオープニングトラック、ポップでキャッチーなシングル曲、メロディアスなスロー/ミディアムナンバー、ヘヴィなミドルナンバーという序盤の構成は前作『BLIZZARD OF OZZ』をなぞったもの。もちろんまったく同じというわけではないですが、作品の方向性としては何がやりたいかは一聴してすぐに理解できると思います。

ですが、このアルバムを聴き進めていくうちに、『BLIZZARD OF OZZ』を軸にした世界観がより広がりを見せていることにも気づかされます。パーカッシヴなドラミングから始まる「Little Dolls」は前曲「Believer」にも引けを取らないヘヴィでキャッチーな楽曲だし、オジーのビートルズ愛好家ぶりが反映されたメロディアスなバラード、ダイナミックなアレンジがひたすらカッコいいシャッフルナンバー「S.A.T.O.」、そしてクラシカルかつドラマチックな展開を見せる大名曲「Diary Of A Madman」。オジーの才能はもちろんですが、それを見事な形で具体化し、クオリティの高い作品へと昇華させたランディの才能も前作以上の形で開花しています。

もちろん、前作の延長線上と表現したアルバム前半の4曲も、1曲1曲のクオリティは前作以上。ランディのギタープレイも圧巻の一言で、個人的には「Over The Mountain」や「Flying High Again」のギターソロはいつ聴いても心踊るものがあります。「You Can't Kill Rock And Roll」のバラード調に始まりながらもサビで勢いをつけるアレンジも冴えまくっているし、サバス時代とは異なるヘヴィさがにじみ出た「Believer」のギターワークも最高。要するに文句の付けどころがない1枚なのです。

ランディ・ローズは本作発表後数ヶ月後の1982年3月19日に飛行機事故で此の世を去るわけですが、ランディ在籍時の本作収録曲の公式ライブ音源って「Flying High Again」「Believer」くらいしかなかったじゃないですか。そのせいもあってか、10代の頃はこのアルバムに対する印象が薄かったんです。ライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)にも上記2曲しか収められていませんでしたしね。

ところが、年をとってからオジーのカタログをひととおり聴いて、何度もリピートしていくうちに『DIARY OF A MADMAN』の完成度の高さに改めて気づかされる。そんな機会が年々増えていったわけです。ぶっちゃけ、『BLIZZARD OF OZZ』と比較するのが愚問かと思えるぐらい、初期2作はそれぞれに素晴らしいアルバムであって、僕の中では甲乙付け難いんです。そう思うリスナー、絶対に多いと思うんですよね。

今年も3月19日がやってきてしまいました。残念ながら2日後に控えた『DOWNLOAD JAPAN 2019』でのオジー来日はキャンセルになってしまいましたが、だからこそ今日はこのアルバムを爆音で楽しめたらと……。



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2018年11月22日 (木)

QUEEN『HOT SPACE』(1982)

1982年5月に発売されたQUEEN通算10作目のスタジオアルバム。前作『FLASH GORDON』(1980年)が同名映画のサウンドトラック盤だったこともあり、全英10位/全米23位と、前々作『THE GAME』(1980年)の英米1位と比べて低調な結果で終わっていました。それもあり、続くこの『HOT SPACE』に対する期待は相当大きなものがあったと思われますが、誰もがそのサウンドの変貌ぶりに腰を抜かした……のではないかと想像します(なにせこのへんはリアルタム組ではないので)。

『THE GAME』でシンセサイザーを解禁し、続く『FLASH GORDON』では全面的にフィーチャーした彼ら。この『HOT SPACE』ではその路線を踏まえつつ、当時のヒットチャートを賑わせていたダンスビートやディスコサウンドを軸に楽曲制作を敢行するのです。

「Another One Bites The Dust」の大成功がバンドにどれだけの影響を及ぼしたのかわかりませんが、彼らはこのアルバムで(それまでも随所から感じられた)ブラックミュージックへと本格的に傾倒します。オープニングの「Staying Power」なんてブラスをフィーチャーした、これぞファンクミュージック!と言いたくなるファンキーな楽曲で、ドラムは打ち込み、ベースもシンセベースを導入するなど、とても70年代のQUEENとは比べようがないほどの変貌を遂げています。

その後も「Dancer」「Back Chat」「Body Language」と、時代を感じさせる黒っぽいダンスミュージックが満載。「Dancer」のサビ後ろで鳴っているブライアン・メイ(G, Vo)のディストーションギターを聴いて、ようやく「自分はQUEENのアルバムを聴いているんだ」と思い出すくらい、しばらくQUEENという存在を忘れさせてくれる。そんな1枚です(笑)。

ところが、アルバム後半に入ると突如従来のQUEENがよみがえってきます。「Put Out The Fire」のようなハードロックチューンを聴くと、彼らは自分たちがどんなバンドであったか決して忘れたわけではないことに気づかされるし、ジョン・レノンを追悼するピアノバラード「Life Is Real (Song For Lennon)」も我々がよく知るQUEENが表現されているのですから。

「Calling All Girls」のようなポップロックも『THE GAME』の流れを組む良曲ですし、シンセが全面フィーチャーされているものの「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」だってコーラスを聴けばQUEENそのもの。フレディ・マーキュリー(Vo, Piano)のファルセットがセクシーなソウルバラード「Cool Cat」なんて、アルバム前半の打ち込みサウンドと比べたら全然受け入れられるし、アルバムのラストはデヴィッド・ボウイとのデュエット曲「Under Pressure」ですから。あれ、これ完全にQUEENじゃん。俺、QUEENのアルバム聴いてたわ!って、最後の最後でしっかり満足させてくれるのですよ。

序盤で濃厚な実験作を並べてリスナーを引かせてしまう本作ですが、通して聴くと実はちゃんと“QUEENらしい”内容だって気づかされる。「Action This Day」でロジャー・テイラー(Dr, Vo)が、「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」でブライアンがそれぞれ一部歌唱していますが、メインボーカルを務めるのはほぼフレディのみというのも、バンドの作品というよりものちにリリースされることになるフレディのソロアルバム『MR. BAD GUY』(1985年)に通ずるものがあるなと、今聴くと思うわけです。

QUEENの歴史上、どうしても駄作だとか失敗作だとかそういうネガティブな印象の強い1枚ですが(チャート的には全英4位、全米22位。シングルも全英1位の「Under Pressure」を除けば、「Body Language」が全英25位/全米11位、「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」が全英17位、「Back Chat」が全英40位と低調な結果に)、本作があったからこそ80年代後半以降の“マジック”が確立するわけですから。80年代のQUEENを語る上では欠かせない1枚であることは間違いありません。



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2018年3月11日 (日)

MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE』(1981 / 1982)

記念すべきMOTLEY CRUEのデビューアルバム。本作は1981年11月にバンドの自主レーベルLeathür Recordsから一度発売されたのち、1982年8月(US)にロイ・トーマス・ベイカーがリミックスを施したバージョンがメジャーレーベルElektra Recordsからリリースされています。つまり、『TOO FAST FOR LOVE』には2つのバージョンが存在しているわけです。

僕が初めて聴いたのは、80年代後半に当時のワーナー・パイオニアから発売されたCD、つまりElektra Recordsのバージョン。その後、同作には別バージョンがある、その収録内容もアレンジも異なるらしいぞ、という噂を聞いて西新宿あたりをさまよって、Leathür Recordsバージョンのかなり高額なブートレッグCD(同作のCDは公式には制作されていないので、間違いなくレコードからそのまま起こした音源)を購入してその内容に驚かされました。あれ、こっちのほうがいいじゃん!って。

収録内容の違いはWikipediaなどで確認していただくとして……LeathürバージョンとElektraバージョンがどう違うのかについて触れていくと、まず音の厚みが全然違う。当然、リミックスを施したElektraバージョンのほうが全体的に音像に厚みが感じられる。さらに、曲によってはギターやボーカルがオーバーダビングされており、そういった試みも功を奏している。うん、最初にこっちを聴いたら、これカッコいいじゃん!と間違いなく思うんですよ。

ところが、Leathürバージョンのほうはインディーズらしい音の細さ、ラフさが存在するんです。むしろ、そういった要素が曲の持つグラマラスさ、そしてMOTLEY CRUEというバンドが持つ猥雑さを強調しているんじゃないか。あれ、こっちのほうがいいんじゃね?と思わされる。不思議ですよね。

例えば「Live Wire」終盤のドラムブレイク後に入る歓声や、「Come On And Dance」のエンディングのひっぱり方、「Too Fast For Love」のスローなイントロパートと投げやりなエンディングなど、こういった味付けがメジャーのElektraバージョンではカットされているわけです。唐突に終わるメジャー版の「Come On And Dance」も、ギターのバッキングが重ねられたことで重みが増したメジャー版の「Live Wire」もカッコいいんですけど、MOTLEY CRUEというバンドの存在意義や当時のイビツさを考えると、やはりLeathürバージョンのオリジナルミックスのほうが数歩優れていると言って間違いないでしょう。

あと、メジャー版からは「Stick To Your Guns」という楽曲がカットされています。これはLeathürバージョンのアルバムに先駆けて発売されたMOTLEY CRUE初のシングルの表題曲なんですが、まあ確かに他の楽曲と比較するとちょっと完成度が劣る気がするので、外されて正解かもしれません。実際、Elektraバージョンは終始勢いがある曲順で、テンションや熱量という点においてはLeathürバージョンより優ってますし。まあどちらも一長一短あるので、できることなら両方聴いてほしいなと。

あ、楽曲に関しては言うことなし。このバンドの持つ音楽的ポピュラリティの高さがこの時点ですでに完成されていますし、荒削りながらもキャッチーなナンバーばかり。ここ数年、個人的には『MOTLEY CRUE』(1994年)と同じくらい好きな1枚に昇格しています。本作がなかったら、もちろん続く『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)もなかったし、よりキャッチーでグラマラスな『THEATRE OF PAIN』(1985年)もなかったわけですから。もちろん、『DR. FEELGOOD』(1989年)にだってたどり着けなかったと思いますよ。改めて本作と『DR. FEELGOOD』を聴き比べると、意外と共通点が多いですしね。

最後に。現在CDでの一般流通、およびデジタル配信やストリーミングで聴くことができるのはElektraバージョンのほうのみ。ボーナストラックとしてLeathürバージョンの「Too Fast For Love」や、「Stick To Your Guns」と「Toast Of The Town」(初シングル収録の2曲)などは聴くことができます。どうしてもLeathürバージョンをまるまる聴きたい!という方は、ボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL. 1』(2003年)を探していただくか、2011年に日本でリリースされた『TOO FAST FOR LOVE』30周年記念ボックスを手に入れるほかなさそうです。ちなみに、どちらも現在は廃盤状態。しかも、これらに収められている音源は僕が高校生時代に入手したブートレッグと同じく、当時のレコードから起こした音源という“公式ブートレッグ”ですのでご注意を。



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2017年11月13日 (月)

ASIA『ASIA』(1982)

KING CRIMSON/元UKのジョン・ウェットン(Vo, B)、元YESのスティーヴ・ハウ(G)、元EMERSON, LAKE & PALMERのカール・パーマー(Dr)、元THE BUGGLES/元YESのジェフ・ダウンズ(Key)が結成した“スーパーバンド”ASIAが、1982年初春に発表したデビューアルバム。イギリスの老舗プログレバンド出身の4人が一堂に会してどんな音楽を奏でるのかと思いきや、いきなり「Heat Of The Moment」みたいなポップロックを完成させたんですから、そりゃあ当時リアルタイムで聴いてたプログレファンには「裏切りだ!」って思うくらいショックだったんじゃないかと察します。

リアルタイムでは1985年の3rd『ASTRA』から入ったので、1枚目と2枚目『ALPHA』(1983年)は完全に後追い。たぶん中学3年か高校1年のときに聴いたのが最初じゃないかな。HR/HMに慣れた自分が聴いても楽しめる、プログレのテイストを残した“ポップでキャッチーでコンパクト”なロックチューンが並ぶデビュー作は、特にお気に入りでした。まず、オープニング「Heat Of The Moment」のシンセにやられて、耳障りの良いメロディに心が持っていかれた。そこから、よりプログレチックなポップロック「Only Time Will Tell」、アレンジこそプログレ風だけどサウンド自体はハードロック寄りの「Sole Survivor」、この冒頭3曲が特に大好きでした。

昨日のSTYXじゃないけど、こういうプログレポップって仰々しいプログレッシヴロックが好きな人からしたら、本当にどう映るんでしょうね。いや、特に答えはいらないですが。残念ながら自分はHR/HMを入り口に上記のようなUKプログレバンドに接し、さらにはSTYXやASIAのようなバンドも貪欲に聴いてきたクチなので、どれも偏見なく楽しめるんですよね。節操ないと言われたらそれまでですが。

こういう、各プレイヤーの技量を最良の形(なのかな?)でアレンジに組み込み、プレイヤーが陥りがちな“オナニー的プレイ”を排除してコンパクトに、かつポップに組み立てた楽曲は本家プログレよりも気楽に楽しめると同時に、曲の至るところにフックが仕込まれているから、変に聴き流すこともできない。気づいたらメロディの親しみやすさを通り越して、各プレイヤーのこだわりのプレイまで聴き込んでいる自分がいる。特にこの1stアルバムに関してはそいういうことが多いような気がします。

「Time Again」の“これぞ!”といった仰々しさも好きだし、「Wildest Dreams」のハードロック的壮大さも好きだし、「Without You」のAORバラードも嫌いになれない。とにかくよく出来たアルバムですよ。リリースから今年で35年? 驚きました。ロックとしてもポップスとしても機能する、本当に高性能な1枚です。



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2017年11月 3日 (金)

KISS『CREATURES OF THE NIGHT』(1982)

1982年秋に発表された、KISS通算10作目のスタジオアルバム。70年代末のディスコ路線を経て、前作『MUSIC FROM “THE ELDER”』(1981年)ではオーケストラを導入したコンセプトアルバムにチャレンジし、往年のヒット作ほどの評価を得ることなく、どんどん先細りしつつあったKISSが、起死回生の一撃として制作したのがこの『CREATURES OF THE NIGHT』です。

聴いてもらえばわかるように、本作では70年代のロックンロール路線ともディスコとも異なる、骨太でメタリックなサウンドへとシフトチェンジ。楽曲制作にはアダム・ミッシェルやのちにバンドに加わるヴィニー・ヴィンセント(G)、さらには当時はまだ無名だったブライアン・アダムス&ジム・ヴァランスのコンビも関わっており、それまでのシンプルでわかりやすいポップなスタイルから時代の流行に合わせたメタル路線がずらりと並んでいます。

また、演奏面でも前作から加入したエリック・カー(Dr)と、エース・フレーリー(G)に代わってレコーディングに参加したヴィニー・ヴィンセントの個性が存分に生かされた硬質で豪快なハードロックを楽しむことができます。ちなみに、クレジットやジャケットにはエースの名前や姿があるものの、実際のレコーディングには一切携わっていないとのこと。結果、本作リリース後にエースはバンドを離れています。

豪快なドラミングとマイナー調のメロディが心地よいポール・スタンレー(Vo, G)歌唱曲「Creatures Of The Night」からスタートすると、以降はジーン・シモンズ(Vo, B)歌唱曲とほぼ交互にメロウな楽曲(ポール歌唱)とワイルドなヘヴィチューン(ジーン歌唱)が並びます。“空耳アワー”でおなじみの「Danger」やヘヴィバラード「I Still Love You」、今でもライブでは定番の「I Love It Loud」やジーンの“火吹き曲”としておなじみの「War Machine」など聴きどころ満載。全9曲中ジーン歌唱曲が5曲というのも、作風を考えれば納得です。

当時、本作は全米45位と決して大きな成功を収めることはできませんでしたが、KISSは次作『LICK IT UP』(1983年)ではついにメイクを落として素顔になり、ヘヴィメタル路線を追求していき『ANIMALIZE』(1984年)や『ASYLUM』(1985年)などでセールスや人気を復調させていきます。その間にはヴィニー脱退〜マーク・セント・ジョン加入&脱退〜ブルース・キューリック加入と紆余曲折があるんですけどね。

ちなみに本作、素顔で再びヒットを飛ばした1985年にリミックス&ジャケットを当時の編成(ポール、ジーン、エリック、ブルース)に変えて再発。しばらくオリジナル盤は廃盤状態でしたが、現在はリミックス盤が廃盤となり、オリジナル盤が復活しております。



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2017年11月 1日 (水)

AEROSMITH『ROCK IN A HARD PLACE』(1982)

AEROSMITHが1982年夏に発表した通算7枚目のスタジオアルバム。前作『NIGHT IN THE RUTS』(1979年)制作途中でジョー・ペリー(G)が脱退し、さらに本作制作前にはもうひとりのギタリスト、ブラッド・ウィットフォード(G)も脱退して、オリジナルメンバーはスティーヴン・タイラー(Vo)、トム・ハミルトン(B)、ジョーイ・クレイマー(Dr)のみとなってしまいました。ジョーの後釜にはジミー・クレスポ、ブラッドの後任にはリック・デュファイを迎えて完成させたのが、この『ROCK IN A HARD PLACE』という作品です。

プロデュースには前々作『DRAW THE LINE』(1977年)までのバンドの代表作に携わったジャック・ダグラス、そしてジョン・ボン・ジョヴィ(BON JOVI)のいとこトニー・ボンジョヴィが携わり、大半の楽曲をスティーヴンとジミーの共作で完成させています。前作『NIGHT IN THE RUTS』はメンバーのドラッグ問題やジョーの制作への関与が希薄だったこともあり、3曲もカバー曲が含まれていましたが、本作は全10曲中カバーが1曲。しかもジャズのスタンダード「Cry Me A River」をセレクトするという、非常に興味深い内容となっています。

いわゆる世間の評価的には本作、あまり高くないのですが、改めて聴いてみると悪くないんですよ。むしろ前作『NIGHT IN THE RUTS』や、オリジナル編成が復活した次作『DONE WITH MIRRORS』(1985年)よりも楽曲制作面で工夫が施されているんじゃないかと思っています。起死回生を狙った攻めのファストチューン「Jailbait」は単調と言われたらそれまでですが、僕は嫌いじゃないし、続く「Lightning Strikes」もシンセを導入した非常にキャッチーな作風でなかなかの出来だと思いますし。先の「Cry Me A River」のカバーも非常に“らしく”て好印象。当時のテクノロジーを彼らなりに駆使したインタールード「Prelude To Joanie」から続く「Joanie's Butterfly」の流れも実はかなり彼ららしい仕上がりなんですよね。

そしてワイルドなタイトルトラック「Rock In A Hard Place (Cheshire Cat)」は初期のエアロを彷彿とさせるし、ヘヴィな「Jig Is Up」、ブルースハープをフィーチャーしたブルージーなバラード「Push Comes To Shove」と、昔からのファンなら絶対に響く曲が豊富なのに、結局「ジョーがいない、ブラッドがいない」という理由で正当な評価が下されない。本当に勿体ない、不遇の1枚だと思っています。

もちろん、本作を『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)『ROCKS』(1976年)といった傑作たちと並べて「これは名作です」なんて無理矢理宣言するつもりはありません。ただ、オリメンじゃないからといってスルーするには出来が悪くないなんじゃないか、と言いたいだけ。変なレッテルに惑わされず、まずは無心で本作と接してみることをオススメします。



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2017年9月10日 (日)

HANOI ROCKS『SELF DESTRUCTION BLUES』(1982)

海外では1982年夏にリリースされた、HANOI ROCKS通算3作目のスタジオアルバム……ということになってますが、正確には1980〜82年にシングルのみで発表された楽曲を寄せ集めたコンピレーションアルバム。とはいえ、正式なスタジオアルバムと言われても納得してしまうほど、このバンドらしさに満ち溢れた1枚と言えるかもしれません。

例えば1stアルバム『BANGKOK SHOCKS, SAIGON SHAKES, HANOI ROCKS』(1981年)よりも前に発表された事実上のデビューシングル「I Want You」(1980年)や「Desperados」(1981年)、「Dead By X-Mas」(同年)のほか、当時の最新シングル「Love's An Injection」といった楽曲が含まれているほか、シングルのB面(カップリング)曲として発表されたもののライブではすでに人気の高かった「Taxi Driver」「Beer And A Cigarette」「Problem Child」など意外と重要な曲も収録されており、ファンならずとも聴き逃せない作品集となっています。

音楽的にもバラエティに富んでおり、ストレートなパンクチューン「Problem Child」やピアノを効果的に用いたポップな「Love's An Injection」「Café Avenue」「Dead By X-Mas」、ディスコビートを導入したパーカッシブな「Kill City」、のちにマイケル・モンロー(Vo)のソロ作や再結成HANOI ROCKSなどで何度かセルフカバーされる表題曲「Self Destruction Blues」、シンセの導入によりどこかニューウェイブ色が感じられる「Whisper In The Dark」、レゲエテイストの「Desperados」など、とにかく一筋縄でいかないこのバンドの個性がもっとも強く表れた内容ではないでしょうか。

ライブバンドとしては非常に“真っ直ぐ”なイメージの強い彼らですが、実は音楽的にはここまで雑多なロックバンドだということを知る上で、本作は非常に重要な作品集だと思います。特に解散後はこういったコンピレーション盤がいくつもリリースされましたが、このバンドをよく知る上では本作のほか、後期シングルにのみ収録されたレア曲とラズル(Dr)急逝後に制作されたデモ音源を含む『LEAN ON ME』(1992年)はぜひとも聴いておきたいところです。

そういう意味ではこのアルバムは、初期HANOI ROCKSの“裏ベスト”とも言えるのではないでしょうか。個人的には非常にお気に入りの1枚です。



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2015年1月16日 (金)

JUDAS PRIEST『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982 / 2012)

JUDAS PRIESTの映像をいろいろ見返していたら、自分がリアルタイムで体験できなかった頃のライブ映像に見入ってしまい……仕事を忘れて2時間くらいネットサーフを繰り返していました。自分が初めて生で体験したのは1991年の『PAINKILLER』を携えた来日公演(代々木体育館)だったので、それより前(『DEFENDERS OF THE FAITH』でのツアー)は観られなかったんですよね。そもそもリアルタイムで聴き始めたのは『DEFENDERS OF THE FAITH』ツアー後なので、行けるわけもなく……。

『DEFENDERS OF THE FAITH』でJUDAS PRIESTに出会って、次に聴いたのが『SCREAMING FOR VENGEANCE』なわけですよ。もうね、しばらくはこの2枚だけで生きていける……当時はそのくらい聴きまくった記憶があります。その頃はまだレコードの時代で、レンタルでも簡単に手に入ったのがこのへんだったってだけなんですが(『BRITISH STEEL』あたりもあった気がするのですが、ほかにも聴かなきゃいけない / 聴きたい新作や旧譜がたくさんあったので、中学生の小遣いでは網羅することなんてできなかったわけです)。

『SCREAMING FOR VENGEANCE』はアナログで聴いたときの生々しい音がとにかく好きで、それをクロームのカセットテープにダビングして聴きまくってました。その“アナログ+カセット”で聴いたイメージが強く、実は90年代に入ってからCDで聴き返したときはちょっと違和感があったような……(同じことは『DEFENDERS OF THE FAITH』をCDで聴いたときにも感じました)。逆に『TURBO』や『RAM IT DOWN』みたいなアルバムはCDで聴いたクリアなサウンドのほうが気に入った記憶もあり(まあ『RAM IT DOWN』の頃になるとすでにCDしか出てなかったような気もしますが)。

その後、2000年前後にプリーストの全作品がリマスタリング再発。音自体はよりクリアになりつつ、アナログ時代に聴いた厚みのある荒々しいサウンドが復活したような気が……って、単にCD音源に耳が慣れただけなのかな? とにかく、それくらい思い入れの強いアルバムなわけです、『SCREAMING FOR VENGEANCE』と『DEFENDERS OF THE FAITH』の2枚は。

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