カテゴリー「1982年の作品」の22件の記事

2021年1月21日 (木)

THE CLASH『COMBAT ROCK』(1982)

1982年5月に発売されたTHE CLASHの5thアルバム。本作リリースを目前とした同年1月下旬から2月初頭にかけて、THE CLASHは最初で最後のジャパンツアーを行いました。

『LONDON CALLING』(1979年)はアナログ2枚組、『SANDINISTA!』(1980年)に至ってはアナログ3枚組という多作振りを発揮し続けたTHE CLASH。しかも、その内容は初期のストレートなパンクロックからどんどん拡大/拡散方向へと進み、レゲエやダブ、スカなどのポストパンクサウンドを確立させていきます。

そうした実験を経て到達した本作は全12曲/46分という、過去2作と比較すると非常に短い尺のアルバム。いや、これが普通なんですけどね(笑)。どうしてもボリューミーな過去2作のあとに“普通”の作品が届けられると、なんだか物足りなさを感じてしまいそうになります。

ですが、その内容はまったく“普通”ではない濃厚な1枚。過去2作ほど実験色は強くありませんが、それでもパンクロックの“その先”が明確に示されており、なおかつそういった要素をよりメジャー感強く表現したのが、この集大成的な5thアルバムといえるでしょう。

ハードロック的なスタイルが2ndアルバム『GIVE 'EM ENOUGH ROPE』(1978年)を思わせるミック・ジョーンズ(G,Vo)Vo曲「Should I Stay Or Should I Go」や、ディスコサウンドを大々的に取り入れたジョー・ストラマー(Vo, G)Vo曲「Rock The Casbah」、アルバムの冒頭を飾る“これぞTHE CLASH”な「Know Your Rights」など、代表曲が多数含まれている本作。こういった楽曲に加え、ゴスペルテイストの「Car Jamming」、レゲエ色の強いポール・シムノン(B, Vo)Vo曲「Red Angel Dragnet」、文字通りのファンクロック「Overpowered By Funk」、ダブ色濃厚な「Sean Flynn」など、過去2作での実験を比較的ポップな形で昇華させた楽曲群は、先の代表曲とのバランス感も良好で、非常に聴きやすい。実は初期のパンクロック色濃厚なアルバム群や名作『LONDON CALLING』よりも入っていきやすい、ビギナーの入門には最適な1枚ではないでしょうか。

それもあってか、本作からは「Rock The Casbah」が初の(そして唯一の)全米TOP10入り(最高8位)を記録。「Should I Stay Or Should I Go」も全米45位まで上昇、こういった後押しもあってアルバム自体も全米7位(200万枚)、全英2位というキャリア最大のヒット作となりました。オリジナル・ロンドンパンクで唯一、セールス的に大成功した唯一の作品となるのでしょうか。

そして、本作をもってストラマー/ジョーンズ/シムノン/トッパー・ヒードン(Dr)という黄金期メンバーは解体。ストラマーのみがバンドに残り、新たな布陣で最終作となる『CUT THE CRAP』を1985年秋に発表したのちに、THE CLASHは解散することになります。

 


▼THE CLASH『COMBAT ROCK』
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2020年9月 5日 (土)

ACCEPT『RESTLESS AND WILD』(1982)

1982年10月にリリースされたACCEPTの4thアルバム。本国ドイツやヨーロッパ諸国での発売から遅れて1983年には、アメリカや日本でも発売されています。

前作『BREAKER』(1981年)で“突き抜ける”一歩手前まで到達したACCEPTが、本作によりついに“突破”。ワールドワイドな人気を獲得する足がかりとなる成功を収めることになります。実際、本作はイギリスで初のTOP100入り(最高98位)、スウェーデンで最高7位という数字を残し、本国より先に小ブレイクを果たすわけです。

まあ、その理由もアルバムを聴けばよくわかりますよね。オープニングの「Fast As A Shark」のカッコよさといったら、何ものにも変えがたいものがありますし。冒頭、いきなり牧歌的なドイツ民謡が始まり「あれ、レコード(もしくはCD)間違えた?」と思わせておいて、レコードを止めるスクラッチ音とウド・ダークシュナイダー(Vo)の金属的なシャウト、スピード感のあるメタルサウンドへとなだれ込む。最高のオープニングじゃないですか。曲自体も最高のシンガロングパート(サビ)があり、ギターソロもツインリード含め非常にわかりやすいフレーズ満載。これにハマれなかったら、あなたにはへヴィメタルは向いていません!と断言できるくらい、王道中の王道。リリースから38年(!)経った今聴いても、その魅力はまったく色褪せていません。

続くタイトルトラック「Restless And Wild」の重量感と男臭さといい、「Neon Nights」の男泣き感、「Flash Rockin' Man」のロックンロールテイスト、エンディングでのロシア民謡を彷彿とさせるシンガロングが魅力の「Princess Of The Dawn」における最後のブツ切り(ここは賛否分かれますが、「Fast As A Shark」でのオープニングを考えれば、まあ納得の構成かな。でも、できればスタジオ版フルバージョンも聴いてみたい!)。すべてが名曲とは言い難いものの、全体を通して聴いたときに平均点以上の仕上がりと感じられる内容ではないでしょうか。

そういう意味では、ワールドワイドなメジャーバンドへと駆け上がる前に見せる、最後のB級感満載の1枚と受け取ることもできるかな。もちろんこれは良い意味でのB級感ですが。彼らはここから、続く『BALLS TO THE WALL』(1983年)で初の本国TOP100入り(最高59位)を果たしただけでなく、全米74位(ゴールドディスク獲得)という成功を収めることになります。

僕が本作に初めて触れたのは、アナログからCDに移行した1990年。すでにバンドが解散してからでした。『METAL HEART』(1985年)以降はリアルタイムで聴いていたものの、なかなか手が伸びずにいた本作、もっと早くに聴いておけばよかったと何度思ったことか(田舎のレンタル店にレコードもCDも置いてなかったから仕方ないんだけど)。今はこうやってストリーミングで手軽に楽しめるなんて、本当にいい時代になりましたね(遠い目)。

 


▼ACCEPT『RESTLESS AND WILD』
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2020年6月 5日 (金)

LED ZEPPELIN『CODA』(1982)

1982年11月にリリースされた、LED ZEPPELINのコンピレーション・アルバム。『コーダ(最終楽章)』という邦題からも想像できるように、1980年9月に亡くなったジョン・ボーナム(Dr)の追悼盤として制作された、全編未発表曲/テイクで構成されたラストアルバムです。

ボンゾの急逝により、バンドは1980年12月に解散声明を発表。つまり、LED ZEPPELINとしては『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)で終止符を打ったことになります。そりゃそうですよね、演奏する上でもっとも重要なエンジン的役割を果たし続けた人間がいなくなってしまったわけですから、いくらジミー・ペイジ(G)がリーダーだろうが、創作面において「LED ZEPPELINを続ける」のはこれ以上不可能なわけですから。

ところが、Atlantic Recordsとの契約上、アルバムをもう1枚制作しなければならなかった。そこでペイジは当初、過去の未発表ライブ音源をまとめたアルバムを計画したところ、ロバート・プラント(Vo)から反対を受け、こういった未発表テイクを掘り起こした内容になったわけです。

録音時期は非常に幅広く、古くは1969年と結成初期の音源、最新のものは『IN THROUGH THE OUT DOOR』のアウトテイクなので、音楽的に常に変化を続けてきたバンドの楽曲を1枚にまとめることができるのかという不安も伴いましたが、いざ完成したアルバムは『IN THROUGH THE OUT DOOR』に落胆したリスナーを引き戻すような、ハードロック色の強い内容にまとまりました。

アナログA面(M-1〜4)は1969〜72年に録音されたもので固められ、特に頭3曲(「We're Gonna Groove」「Poor Tom」「I Can't Quit You Baby」)は初期3作制作時期のアウトテイクなので、思いっきりハードロックしてくれています。「I Can't Quit You Baby」は1stアルバム『LED ZEPPELIN』(1969年)収録曲のライブテイクなのですが、個人的にはスタジオバージョンよりもこちらのほうが好き。そりゃライブ音源ですからね、バンド本来の生々しさが良い形で表れているはずですから。

アナログB面(M-5〜8)のうち3曲(「Ozone Baby」「Darlene」「Wearing and Tearing」)は『IN THROUGH THE OUT DOOR』から外れた楽曲で、確かにサウンドの質感的には同作や、ひとつ前の『PRESENCE』(1976年)に入っていても不思議じゃない作風。大人になったハードロックというイメージで、アルバム前半の結成初期録音音源との違いもたくさん見つけられるはずです。

そして、「Bonzo's Montreux」と題されたインスト曲は1976年に録音したボンゾのリズムトラックにペイジがエフェクトをかけ、いろいろ手を加えた異色作。思えばペイジはこの時点ですでに編集力(カバー曲をオリジナル曲のように聴かせる力とは別の、文字通りの編集の才能)に長けており、このへんが90年代以降の編集盤や2014年から始まったリイシュー盤にも存分に活かされているわけです。まあ、本作以降に発表された未発表音源集はすべてそういった編集力に頼った内容なわけで、その後のペイジを考えるとこの“ラストアルバム”は編集者としての第一歩だったと捉えることができるのではないでしょうか。

10代の頃、『IN THROUGH THE OUT DOOR』だけはどうしても好きになれず、後期ツェッペリンで一番聴く頻度が高かったのがこの『CODA』だったというのも、今では良い思い出です。

さて、オリジナルアルバムの紹介はこれでひと段落かな。ということで、今後はライブ盤を取り上げたあとに、2014年以降にリリースされたリマスター&デラックス盤の未発表音源ディスクを1stアルバムから取り上げていこうと思います。道はまだ長いなぁ(笑)。

 


▼LED ZEPPELIN『CODA』
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2020年4月18日 (土)

VAN HALEN『DIVER DOWN』(1982)

1982年4月にリリースされたVAN HALENの5thアルバム。

3rdアルバム『WOMEN AND CHILDREN FIRST』(1980年)、4thアルバム『FAIR WARNING』(1981年)とオリジナル曲のみで勝負した作品を連発したVAN HALENですが、セールスは下がる一方。年に1枚というな創作ペースも災いし、ここでいわゆる“マンネリ感”が強く表出してしまます。

全12曲と一見すると今までで一番楽曲が多い印象を受けますが、内訳的には3曲がインスト/インタールードで、そのうち2つは次の曲の前奏的な役割。さらにカバー曲が過去最多の5曲と、歌モノ・オリジナル曲は実質4曲という体たらく。完全に過渡期中の過渡期やん。

ですが、本作は「(Oh) Pretty Woman」(全米12位)や「Dancing In The Street」(同38位)と、カバー曲ながらもヒットシングルが続出。アルバム自体も全米3位と過去最高順位を打ち出し、セールス面でもダブルミリオン達成と息を吹き返すきっかけを与えてくれます(最終的に、現在までに400万枚以上を売り上げています)。

また、エディ・ヴァン・ヘイレン(G)のギターも前作『FAIR WARNING』から引き続き水を得た魚のように、変幻自在なプレイで我々を楽しませてくれます。「Hang 'Em High」での難易度高めなリフ、「Cathedral」でのバイオリン風ボリュームコントロール、「Dancing In The Street」でのディレイを用いたダンサブルな味付けなど、インパクトは強めかと。

カバー曲中心なので、楽曲自体は悪いわけがない。また、アレンジ的にも至るところから“らしさ”が感じられる。バンドの創作面でのマンネリ感は否めないものの、プレイヤビリティにおいてはさらに高まっていることが伺えるはずです。

なお、「Big Bad Bill (Is Sweet Wlliam Now)」ではアレックス(Dr)&エディ兄弟の実父ジャン・ヴァン・ヘイレンがクラリネットで参加。そういうお遊び感もあってか、“ユルさ”が印象に残る1枚。だからこそ、次に『1984』(1984年)や「Jump」という傑作が産み落とされるなんて、誰も想像できなかったのではないでしょうか。

 


▼VAN HALEN『DIVER DOWN』
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2020年3月11日 (水)

WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』(1982)

1982年11月にリリースされたWHITESNAKEの5thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年12月に発表されました。

これまで1年間隔でアルバムを制作してきたWHITESNAKEですが、本作は過去最長の1年半という期間を要してファンの手元に届けられています。もちろん、半年なんて今の感覚で言えば誤差範囲ですし、デビューからここまで休みなく走り続けてきたバンドですから、これくらいの間隔ができても別に不思議ではありません。

しかし、前作『COME AN' GET IT』(1981年)のレビューに書いたようにバンドとしてのマンネリ化が始まっていたWHITESNAKE。バンマスのデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)は本作制作に入る前、公私ともにかなりのプレッシャーに襲われていたとのこと。そういう不安を抱えたままスタジオ入りすると、今度はバンド内がギクシャクしていることにも気づく。最初のセッション時には長年のプロデューサーであるマーティン・バーチ(DEEP PURPLERAINBOWBLACK SABBATHIRON MAIDENなど)も不在。すべてが噛み合わない状況の中、スタジオを変えるなどして制作を続けるも、カヴァーデイル的にはお手上げ状態に。

結果、アルバムは無理くり完成させられます。楽曲は全10曲中、カヴァーデイル単独で書いた楽曲が4曲と前作と同じ流れ。ほかはバーニー・マースデン(G, Vo)との共作が2曲、ミッキー・ムーディ(G)との共作が3曲、バンドメンバー6人の名前がクレジットされた1曲という内訳です。これがすべてバンドの内部分裂に関係するのかは正直定かではありませんが、確かにカヴァーデイルが単独で書いた「Bloody Luxury」や「Victim Of Love」といった楽曲は比較的よくできているほうなんですよね。

もちろん、そのほかの楽曲も素晴らしいですよ。演奏も聴くぶんにはタイトさが伝わる、前作『COME AN' GET IT』の延長線上にある作風ですし。個人的には地味に感じた前作よりも、若干派手さが復調しているような印象も受けますし。それもあってか、全体的な作風としても次作『SLIDE IT IN』(1984年)に通ずる要素がところどころから感じられます。

また、本作には「Crying In The Rain」と「Here Go I Again」という、5年後に7thアルバム『WHITESNAKE』(1987年)でリメイクする突出した2曲を含むんでいることも大きなトピックかなと。混沌とした時期のアルバムながらも、こういった突き抜けた楽曲が収録されたことで救われているのも非常に大きいと思います。

本作完成後、バンドはカヴァーデイル、ムーディ、ジョン・ロード(Key)のレコーディング参加メンバーにメル・ギャレー(G, Vo/彼はレコーディングにもコーラスで参加)、コリン・ホッジキンソン(B)、そしてコージー・パウエル(Dr)という新たな編成へとシフト。「Here Go I Again」のMVはこの布陣で撮影されたものですね(アルバム裏ジャケなどに写っているのもこの6人です)。それもあって、アルバムにはレコーディングメンバーは記載されておりません。また、そんな不安定さは結果として、数字にも表れてしまいます。リードシングル「Here Go I Again」は全英34位、アルバム自体は全英9位と、どちらも前作から数字を落とす結果に。そんな複雑な時期の、本当に混沌とした本作は大きな括りでの第1期WHITESNAKE終焉をそのまま形として表した1枚なわけです。

なお、本作は2006年のリマスター化に際し3曲のボーナストラックを追加。「Young Blood」「Saint An' Sinners」の別テイクと、未発表曲「Soul Survivor」を楽しむことができます。「Soul Survivor」は歌が入っていない未完成なものなので、完全にオマケでしかありませんが……。

 


▼WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』
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2019年10月10日 (木)

VANDENBERG『VANDENBERG』(1982)

オランダのハードロックバンド、VANDENBERGが1982年9月に発表した1stアルバム。

エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)を中心に結成された4人組バンドで、メンバーはエイドリアンのほかバート・ヒーリンク(Vo)、ディック・ケンパー(B)、ジョス・ズーマー(Dr)という編成。結成から程なくしてAtlantic Recordsと契約し、このアルバムを発表しています。

ちなみにエイドリアンはVANDENBERG結成前にTHIN LIZZYWHITESNAKEのギタリスト・オーディションを受けて、ともに落選したとのこと。この時点ですでにオランダから外に出ていきたいという思いが強かったのでしょうね。本作はアメリカでも最高65位という好成績を残しており、さらに本作からシングルカットされた「Burning Heart」も全米39位のスマッシュヒットを記録。異国からの新人がデビューでここまでの成績を残すのは異例のことですし、そもそも1982年というとLAメタル勢を中心とするHR/HMブーム前夜。アメリカ国内ではVAN HALENがヒットを飛ばし続ける中、NIGHT RANGERといった気鋭の新人が登場し、オジー・オズボーンと活動を共にしたランディ・ローズ(G)が飛行機事故で亡くなったタイミング。ブーム前夜ではあるものの、新たなヒーローが求められていた時期であったことは間違いありません(日本のLOUDNESSが海外でウケ始めたのも、そういった理由からでしょうし)。

そんな中登場したVANDENBERG。北欧のバンドらしい湿り気の強いメロディを持つ楽曲のみならず、VAN HALENにも通ずるカラッとしたハードロックナンバーも含まれており、そのへんのバランス感が新しさとして受け入れられたのかもしれません。思えばこの頃ってSCORPIONSくらいでしたものね、イギリス以外のヨーロッパのHR/HMバンドがアメリカで成功していたのって。

オープニングの「Your Love Is In Vain」の軽快さって、今聴くとちょっとVAN HALENっぽくもあれば、オジーっぽくもあるのかなと。そこに流麗なアコギソロを冒頭に用意した「Wait」のような楽曲や、泣きのバラード「Burning Heart」、豪快なギターリフ&ソロを含む疾走感の強いファストチューン「Ready For You」、ブギーのリズムなのに不思議とヨーロッパのバンドらしい勇ましさと繊細さが混在した「Too Late」など個性的な楽曲が複数含まれている。正統派マイナーハードロック「Nothing To Lose」も、勢いのみで突進する「Out In The Streets」も文句なしのカッコよさを放っている。そりゃ売れるしウケるわけだ。

そして、この感覚ってのちのDOKKENにもつながっていくのかな、と改めて思いました。DOKKENの1st〜2ndあたりの雰囲気と本作の空気感って、非常に近いものがありますよね?

あと、こういった豪快さと繊細さを併せ持つスタイルって、意外と日本人が好きなんじゃないかな。派手になりすぎず、ちゃんと侘び寂びを感じさせる要素が含まれている。そりゃ日本でもウケるわけですね。納得です。

僕自身はリアルタイムだと3rdアルバムにしてラスト作となった『ALIBI』(1985年)からの後追い組ですが、完成度的には次作『HEADING FOR A STORM』(1983年)と『ALIBI』のほうが上かもしれないけど、未完成ならではのデビュー作らしい勢いは本作が圧倒的。なんだかんだで一番聴くのもこの1stアルバムかもしれません。

 


▼VANDENBERG『VANDENBERG』
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2019年7月20日 (土)

DURAN DURAN『RIO』(1982)

実はこのエントリーがTMQ-WEBにとって3000件目になります。前身の「とみぃの宮殿」時代に公開したエントリーでこちらで補完していないものも含めれば、とうに3000件は突破しているんでしょうけど、まあ目に見えてわかったということで、今回は自分の音楽人生におけるルーツ的1枚を紹介したいと思います。

本作はDURAN DURANが1982年5月に発表した2ndアルバム。すでにデビュー作『DUNRAN DURAN』(1981年)が全英3位のヒットを記録しており、「Girls On Film」がMTVの恩恵を受け全英5位というヒットを飛ばしたあとの1枚とあって、この2作目のアルバムは全英2位まで上昇。また、イギリスでの勢いをそのままに、このアルバムで本格的なアメリカ進出を図り、「Hungry Like The Wolf」(全英5位/全米3位)、「Save A Prayer」(全英2位/1985年の再発時に全米16位)、「Rio」(全英9位/14位)といったヒットシングルを多数生み出したほか、アルバム自体も全米6位、ダブルプラチナムを獲得しています。まさに、彼らやCULTURE CLUBなどの活躍が第2次ブリティッシュ・インベイジョンへとつながっていくわけです。

本作では1stアルバムで見受けられた線の細さが払拭され、よりロックバンド然としたスタイルが確立されています。そのへんはヒットシングル「Hungry Like The Wolf」や「Hold Back The Rain」「New Religion」あたりに強く表れていると思います。また、アルバムより先にシングルリリースされていた「My Own Way」も、アルバムバージョンとしてリテイク。シングル版は軽快さが際立つ仕上がりでしたが、アルバム版はテンポをグッと落としたヘヴィファンクチューンへと変貌を遂げています。

もちろん、従来の彼ららしいニューウェイヴ的なカラーも残されています。ブラックミュージックからの影響を感じさせながらも、どこかいびつで白人らしいアレンジが印象的な「Rio」や「Last Chance On The Stairway」あたりはそういった楽曲と言えるのではないでしょうか。このへんも前作と比べたら、芯の太さが全然違いますよね。たった1年で何があったんだ?と思えるほどの成長ぶりです。

で、本作のハイライトとなるのがラスト2曲……「Save A Prayer」と「The Chauffeur」です。どことなくオリエンタルな雰囲気が漂うシンセのリフが印象的な「Save A Prayer」ですが、実はジョン・テイラー(B)のベースラインの非凡さや、アンディ・テイラー(G)のなんてことはないのに耳に残るギタープレイの妙技など、実にアレンジが凝った1曲なのです。もっとも、本作を初めて聴いた中学生の頃はそんなことに気づきもせず、もっと大人になって楽器を触るようになって理解したことですけどね。

そして、ラストを飾る「The Chauffeur」の耽美さ……このへんを聴くと、初期ヴィジュアル系バンドがこの時代のバンドからいかに大きな影響を受けていたかが伺えるのではないでしょうか。

静と動を巧みに使い分け、しかもそれらを卓越したアレンジ力で聴かせる。この当時、バンドとしてのライブでの演奏力はまだまだだったという話もありますが、こういったスタジオワークでの経験がどんどんライブにも反映されていき、また幾多のワールドツアーを経て彼らは真の意味でのライブバンドへと成長していった。そういった意味では、本作はDURAN DURANというバンドにとって本当の意味でのスタート地点だったのかもしれません。

 


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2019年7月 7日 (日)

IRON MAIDEN『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982)

1982年3月にリリースされたIRON MAIDENの3rdアルバム。初期2作で歌っていたポール・ディアノから、元SAMSONのブルース・ディッキンソンが本作から参加しています。

「Run To The Hills」(全英7位)、「The Number Of The Beast」(同18位)といったヒットシングルも生まれ、アルバムは初の全英1位を獲得。アメリカでも最高33位と初のTOP40入りを果たし、100万枚以上を売り上げる大きなヒット作となりました。

粗暴で男臭いディアノのボーカルから一点、ディッキンソンはがなるようなハイトーンが特徴で、彼の個性を活かした曲作りが早くも多数見受けられます。オープニングを飾る「Invaders」のパンキッシュなスピード感は1stアルバム『IRON MAIDEN』(1980年)でも見受けられたものですが、そこに歌い上げるようなハイトーンが加わることで新たな魅力が加わっています。うん、プログレッシヴなパンクアルバムから普通のHR/HMアルバムへとシフトしたような(「普通の」と言いますが、そこはかなりのハイクオリティなんですけどね)。

かと思えば、センチメンタルなアルペジオから始まるヘヴィチューン「Children Of The Damned」、同名ドラマのセリフがそのまま用いられた「The Prisoner」などディッキンソン時代ならではの“らしい”曲が続きます。「The Prisoner」のポップさもなかなかのものがありますよね。

そして、「22 Acacia Avenue」のようなドラマチックなメロディを持つナンバーやポップさが際立つ「The Number Of The Beast」「Run To The Hills」と、アルバム中盤で大きな山場を迎える。特にシングルヒットした「The Number Of The Beast」「Run To The Hills」、そしてのちに触れる「Hallowed Be Thy Name」は今でもライブで演奏されており、ディッキンソン・メイデンのパブリックイメージを語る上で欠かせないナンバーと言えるでしょう。

ドタバタしたドラミングが印象的な「Gangland」を経て、「Total Eclipse」へ……あれ、最新リマスター盤(2018年)だとこの曲カットされてる! そうなんです。1998年のリマスター盤ではラスト前にシングル「Run To The Hills」のカップリング曲「Total Eclipse」が追加収録されていたんですが、現行の最新リマスターではオリジナルアナログ盤の仕様に沿った内容に戻されています。まあ、別にないっちゃあなくても平気なんですが、「Total Eclipse」がある曲順に慣れていたのでちょっとした違和感が。

で、ラストに名曲中の名曲「Hallowed Be Thy Name」。最高の締めくくりですね。こういった楽曲がレパートリーに加えられるようになったのも、ブルース・ディッキンソンという稀代のシンガーが加わったからこそ。単なる“第二のデビュー作”という以上に、1stアルバムとは別の意味でメイデンの歴史に、そしてHR/HMの歴史において欠かせない1枚です。

 


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2019年4月26日 (金)

NIGHT RANGER『DAWN PATROL』(1982)

1982年11月にリリースされたNIGHT RANGERのデビューアルバム。70年代末にファンクバンドRUBICONに参加していたブラッド・ギリス(G)、ジャック・ブレイズ(B, Vo)、同バンドのツアーメンバーだったケリー・ケイギー(Dr, Vo)を中心に、MONTROSEのメンバーだったアラン・フィッツジェラルド(Key)とその友人ジェフ・ワトソン(G)という5人でRANGERというバンドを結成し、のちに現在のNIGHT RANGERへと改名。デビュー前にはランディ・ローズ急逝後のオジー・オズボーンのバンドにブラッドが一時参加するなどして、知名度を上げてからのデビューとなりました。

アーミングを多用したストロングスタイルのプレイを聴かせるブラッドと、両手タッピングによる“8フィンガー”奏法が話題となったジェフという異なるタイプのギタープレイヤー、ジャック&ケリーのリズム隊がリードボーカルを務めるという異色のスタイル、なおかつ楽曲が適度にハードで歌メロがポップ、親しみやすいバラードも要するという絶妙なバランス感はこのデビュー作の時点ですでに完成の域に達しつつあります。

特にオープニング2曲「Don't Tell Me You Love Me」(全米40位)、「Sing Me Away」(同54位)を聴けば、このバンドの魅力の大半が伝わるんじゃないか……というのは言い過ぎでしょうか。でも、個人的にはそれくらいこのバンドの個性を端的に表した2曲だと思っています。

かと思えば、「Call My Name」のようなピアノバラードがあったり、「Eddie's Comin' Out Tonight」みたいにドラマチックなハードロックナンバーがあったりと、どの曲も個性が強い。次作『MIDNIGHT MADNESS』(1983年)以降、能天気なアメリカンロック色を強めていき、パブリックイメージ的にもそっち側とパワーバラードのバンドと印象付けることになってしまいますが、まだこのデビュー作の時点ではマイナーキーの楽曲でドラマチックさや仰々しさを打ち出している。「Can't Find Me A Thrill」なんて適度なメジャー(コード)感がありつつも泣きの要素が備わっているし、「Young Girl In Love」はそこまで能天気ってわけでもない。この感覚をもっと保ち続けてくれたら、その後の歴史もまた変わったんじゃないかな(と同時に、あそこまでヒットしなかったかもしれないけど)。

圧巻はラストの「Night Ranger」。スタジオ音源も素晴らしいですが、この曲は特にライブテイクが素晴らしく。ライブでこの曲をやってくれないと、個人的には非常にがっかりするくらい、個々のプレイヤーの個性が輝く1曲なんですよね。気になる人がいたら、ぜひYouTubeで同曲のライブ映像を探してみてください。

というわけで、ポップさでは次作以降より若干劣るものの、ハードさという点においてはキャリア中1、2を争う仕上がり。そりゃいきなり全米38位という好成績を残すわけです。

 


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2018年11月22日 (木)

QUEEN『HOT SPACE』(1982)

1982年5月に発売されたQUEEN通算10作目のスタジオアルバム。前作『FLASH GORDON』(1980年)が同名映画のサウンドトラック盤だったこともあり、全英10位/全米23位と、前々作『THE GAME』(1980年)の英米1位と比べて低調な結果で終わっていました。それもあり、続くこの『HOT SPACE』に対する期待は相当大きなものがあったと思われますが、誰もがそのサウンドの変貌ぶりに腰を抜かした……のではないかと想像します(なにせこのへんはリアルタム組ではないので)。

『THE GAME』でシンセサイザーを解禁し、続く『FLASH GORDON』では全面的にフィーチャーした彼ら。この『HOT SPACE』ではその路線を踏まえつつ、当時のヒットチャートを賑わせていたダンスビートやディスコサウンドを軸に楽曲制作を敢行するのです。

「Another One Bites The Dust」の大成功がバンドにどれだけの影響を及ぼしたのかわかりませんが、彼らはこのアルバムで(それまでも随所から感じられた)ブラックミュージックへと本格的に傾倒します。オープニングの「Staying Power」なんてブラスをフィーチャーした、これぞファンクミュージック!と言いたくなるファンキーな楽曲で、ドラムは打ち込み、ベースもシンセベースを導入するなど、とても70年代のQUEENとは比べようがないほどの変貌を遂げています。

その後も「Dancer」「Back Chat」「Body Language」と、時代を感じさせる黒っぽいダンスミュージックが満載。「Dancer」のサビ後ろで鳴っているブライアン・メイ(G, Vo)のディストーションギターを聴いて、ようやく「自分はQUEENのアルバムを聴いているんだ」と思い出すくらい、しばらくQUEENという存在を忘れさせてくれる。そんな1枚です(笑)。

ところが、アルバム後半に入ると突如従来のQUEENがよみがえってきます。「Put Out The Fire」のようなハードロックチューンを聴くと、彼らは自分たちがどんなバンドであったか決して忘れたわけではないことに気づかされるし、ジョン・レノンを追悼するピアノバラード「Life Is Real (Song For Lennon)」も我々がよく知るQUEENが表現されているのですから。

「Calling All Girls」のようなポップロックも『THE GAME』の流れを組む良曲ですし、シンセが全面フィーチャーされているものの「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」だってコーラスを聴けばQUEENそのもの。フレディ・マーキュリー(Vo, Piano)のファルセットがセクシーなソウルバラード「Cool Cat」なんて、アルバム前半の打ち込みサウンドと比べたら全然受け入れられるし、アルバムのラストはデヴィッド・ボウイとのデュエット曲「Under Pressure」ですから。あれ、これ完全にQUEENじゃん。俺、QUEENのアルバム聴いてたわ!って、最後の最後でしっかり満足させてくれるのですよ。

序盤で濃厚な実験作を並べてリスナーを引かせてしまう本作ですが、通して聴くと実はちゃんと“QUEENらしい”内容だって気づかされる。「Action This Day」でロジャー・テイラー(Dr, Vo)が、「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」でブライアンがそれぞれ一部歌唱していますが、メインボーカルを務めるのはほぼフレディのみというのも、バンドの作品というよりものちにリリースされることになるフレディのソロアルバム『MR. BAD GUY』(1985年)に通ずるものがあるなと、今聴くと思うわけです。

QUEENの歴史上、どうしても駄作だとか失敗作だとかそういうネガティブな印象の強い1枚ですが(チャート的には全英4位、全米22位。シングルも全英1位の「Under Pressure」を除けば、「Body Language」が全英25位/全米11位、「Las Palabras De Amor (The Words of Love)」が全英17位、「Back Chat」が全英40位と低調な結果に)、本作があったからこそ80年代後半以降の“マジック”が確立するわけですから。80年代のQUEENを語る上では欠かせない1枚であることは間違いありません。



▼QUEEN『HOT SPACE』
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