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カテゴリー「1983年の作品」の28件の記事

2021年10月10日 (日)

MOTLEY CRUE『SHOUT AT THE DEVIL (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年10月1日にリリースされた、MOTLEY CRUEの2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカルでの発売なしの、デジタル限定作品となっています。

今年6月に4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)と3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)、9月には5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)の最新リマスター盤を立て続けにリリースしたMOTLEY CRUE。これらはバンド結成40周年の記念企画の一環で、残すは1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)のリマスター盤発表を待つばかり。こちらはオリジナル盤の発売と同日の11月10日を予定しているようです。

過去に取り上げてきた作品の中では1983年制作と、本作がもっとも古いアルバム。当時の録音技術や機材の影響もあり、例えば『DR. FEELGOOD』と比べたらそのプロダクションに大きな差を感じてしまうのは仕方のないところ。しかし、この生々しさを伴うサウンドプロダクションこそ『SHOUT AT THE DEVIL』の魅力であり、ブレイク直前のはちきれんばかりのパッションと勢いが見事な形で表現された良作(および良ミックス)だと思っております。

で、実際に2021年の技術および価値観で最新リマスタリングが施された本作ですが、全体的に丸みを帯びた、非常にバランスの整えられた音像に変化しています。これまでの作品もそうであったように、その違いがもっとも表れているのがドラムサウンド。オリジナルバージョンおよび以前のリマスター作ではスネアにヒットがかなり刺々しく、それが本作に収録された楽曲群/テイストにフィットしていました。

ところが、これらも今の耳で聴くと若干古臭く感じられる。時代的にアナログ録音だと思うので、そのへんの個性/魅力が端的に表れているのだと思います。また、時代的にはすでにCDは存在していたものの、マスタリングでそこまで意識していなかったはず。アナログレコードで聴くとその魅力/威力を遺憾なく発揮するものの、CDだと若干チープに感じられ、ぶっちゃけ70年代の音像とさほど変わらない(ちょっと言い過ぎか)。そのへんが、時代時代のリマスタリングで徐々に変化していったわけですが、今回の配信を意識したリマスタリングはまさに2020年代にフィットしたものと言えるのではないでしょうか。

ほかの作品ほどギターの音像には変化は感じられず、若干音量が増したくらいの違いかな。ボーカル含め、コンプをかけて均一化したようなバランス感の良さは、ヘッドフォンやイヤフォンで聴けばより深く理解できると思います。ただ、この均一化が果たして『SHOUT AT THE DEVIL』という作品に最適なのかどうかは、ちょっと疑問も残りますが。

以前、レギュラーで出演しているDJイベントで本作のアナログ(1983年当時の日本プレス盤)を大音量で回したのですが、そこで耳にした音がこれまで聴いてきた『SHOUT AT THE DEVIL』の中ではベストだった、という一言だけは付け加えておきます。結局、アナログ主流の時代に制作された音源はアナログ盤で聴くのが一番!(趣旨が変わってる)

 


▼MOTLEY CRUE『SHOUT AT THE DEVIL (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年4月18日 (日)

RATT『RATT EP』(1983)

1983年8月23日に海外でリリースされたRATTの1st EP。

本作はアルバム『OUT OF THE CELLAR』(1984年)でメジャーデビューする約半年前に、バンドの主宰するインディレーベルTime Coast Communicationsから発表された6曲入りEP。『OUT OF THE CELLAR』でのブレイク後にはリミックスを施した形でメジャーのAtlantic Recordsから再リリースされています(日本盤アナログ初出は1985年3月10日。1987年5月10日には初CD化もされました)。

残念ながら、現在ではCDは廃盤状態。ストリーミングでも配信されていない状況ですが、「You Think You're Tough」を筆頭にバンドにとって重要な楽曲も複数収録されており、今でも最初を望む声は少なくないのではないでしょうか。

バンドの初期衝動を端的に表したファストチューン「Sweet Cheater」からスタートする本作は、続く「You Think You're Tough」「U Got It」「Tell The World」など、『OUT OF THE CELLAR』にも匹敵する良曲揃い。すでにこのEPの時点で“RATTらしさ=RATT 'n' Roll”が完成の域に達していたことが窺えます。

かと思うと、メジャー1stアルバムにて再録される「Back For More」のオリジナルバージョンも収録。こちらはインディーズならではのサウンドプロダクションと間延びしたアレンジが印象的で、全体のまとまりや完成度でいったら間違いなくメジャー・バージョンのほうが格段に上。しかし、Aメロで飛び込んでくるフアン・クルーシエのオクターブ弾きのアクセントが妙に心地よく、個人的にはこのインディーズ・バージョン、大好きなんですよね。10代後半、こっちばかり聴いていた記憶があります。

そして、AEROSMITHもデビュー作『AEROSMITH』(1973年)でカバーしたルーファス・トーマス作「Walking The Dog」も収録。この選曲やアレンジなどからも、RATTが初期はAEROSMITH的なスタイルをメタリックなサウンドで表現しようとしていたことが窺えるのではないでしょうか。

本作のアナログ盤は中古ショップを回れば比較的安価で入手できますが、CDは割高なのでご注意を。ただ、「Tell The World」「You Think You're Tough」のみバンド初のシングルコレクションアルバム『RATT & ROLL 81-91』(1991年)で聴くことができるので(かつ、こちらも安価で入手可能なので)、まずはこのベスト盤を手にすることをオススメします。間違っても、現行のベスト盤『TELL THE WORLD: THE VERY BEST OF RATT』(2007年)は買わないように(こちら、タイトルがこれなのに肝心の「Tell The World」はおろか、本EPからの楽曲が皆無という謎の1枚なので)。

今やCDは死にゆくメディアなので、盤での再発は期待薄ですが、デジタルならば権利関係さえクリアすれば可能性大なので、ぜひともなんとかしてもらいたいなと。配信が決まったら、迷わずデジタル購入しますので!

 


▼RATT『RATT EP』
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2021年1月22日 (金)

TEARS FOR FEARS『THE HURTING』(1983)

1983年3月にリリースされたTEARS FOR FEARSの1stアルバム。

ここ日本ではヒット曲の数々がCMソングに使用されたこともあり、2作目『SONGS FROM THE BIG CHAIR』(1985年)や3作目『THE SEEDS OF LOVE』(1989年)のほうが知名度は上ですが、個人的にはTEARS FOR FEARSといえば本作というくらいの思い入れがある1枚。ちなみに、本作は本国イギリスで1位を記録しております(意外にも、次作『SONGS FROM THE BIG CHAIR』は全英2位止まり)。

「Pale Shelter」(再発後に全英5位)、「Mad World」(同3位)、「Change」(同4位/全米73位)と何気に2ndアルバム以上にシングルヒットの打率が高い本作。ジャケットのセンスといい、程よい“A級とB級の間”感が心地よく響く楽曲群のセンスといい、すべてにおいてツボ。これが『SONGS FROM THE BIG CHAIR』になると完全に“抜け切って”しまうため、ここで味わえる丁度良さが物足りないんですよね。

といっても、僕も本作に関しては完全に後追いなので偉そうに言えませんが(笑)。2nd→3rdをリリースされたタイミングに聴き、そのあとに1stにたどり着いたら「なんだ、1作目が一番好みじゃんか」と気づかされるという。要するに、80年代初頭のニューウェイヴの延長線上にある“A級とB級の間”のサウンド/楽曲が好みってだけですね(笑)。

カート・スミス(Vo, B)のボーカルはすでに完成されている感が強いですが、一方でローランド・オーザバル(Vo, G)の歌唱はどこか垢抜けなさが残っていて、その野暮ったさがまた良かったりする。そういったボーカルで、メル・コリンズ(ex. KING CRIMSONなど)のサックスが乗った「Ideas As Opiates」、ダークさの目立つ「Memories Fade」、まったくヒットしなかったけどキャッチーさ抜群のデビューシングル「Suffer The Children」、どことなくインダストリアルロック風の「The Prisoner」など個性的な楽曲が披露される。最高じゃありませんか。大好物すぎます。そりゃあ30周年記念ボックスセットまで購入しちゃいますわな(笑)。

とはいえ、普通は上に挙げた『SONGS FROM THE BIG CHAIR』や『THE SEEDS OF LOVE』か、初期3作をまとめたベストアルバム『TEARS ROLL DOWN (GREATEST HITS 82-92)』(1992年)から入るのが最適。ベストアルバムを聴いて「なんだ、初期シングル曲もいいじゃん」と思えたり、代表作2枚を聴いて「このバンドのテイスト、好みかも」と実感できたら、ぜひこの1stアルバムにも手を伸ばしてみてください。

 


▼TEARS FOR FEARS『THE HURTING』
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2021年1月 6日 (水)

DAVID BOWIE『LET'S DANCE』(1983)

1983年4月にリリースされたデヴィッド・ボウイの15thアルバム。

70年代はヒット作なども多数生み出したものの、どこかカルトスター的なイメージの強かったボウイ。本作のリリース直後には大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』に出演し、ここ日本でも一般的な知名度を高めることに成功します。

そんな中でリリースされた今作は、CHICのナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え制作。ナイルは今作と前後してINXS「Original Sin」やマドンナ『LIKE A VIRGIN』、DURAN DURAN「The Reflex」などをヒットさせており、いわばメジャー感の強い“時の人”。そんな人選なもんですから、このアルバム自体も非常にわかりやすいダンス・ポップアルバムに仕上がっており、リードシングル「Let's Dance」は全米/全英1位を獲得したほか、「China Girl」は全英2位/全米10位、「Modern Love」は全英2位/全米14位とヒット曲を連発。アルバム自体も全英1位/全米4位という好記録を樹立しました。

ナイル・ロジャースのプロデュースに加え、ミックスをボブ・クリアマウンテンという売れっ子を採用。レコーディングにはナイル自身がギターをプレイしたほか、当時はまだ無名だったスティーヴィー・レイ・ヴォーンがリードギターを担当。ドラムにオマー・ハキムやトニー・トンプソンなど、それまでのボウイからしたら想像もつかないメンツを迎えているわけですから、そりゃわかりやすいわけですよ。当時中学生だった自分には、ボウイの入り口としてはこれ以上ないくらいに間口が広いんですから。

オープニングの「Modern Love」からして完全にアリーナロック/スタジアムロックですからね。続く「China Girl」ではタイトルからも想像できるようなオリエンタルテイストを交えたポップ・ソウル(これがイギー・ポップとの共作&イギーへの提供曲のセルフカバーであることは、当時中学生だった自分は後々知るわけですが)。で、「Let's Dance」はシングル(MVバージョン)よりも長尺の、7分半超えのフロア仕様。これ1曲取り上げても、彼が当時何をしたかったかが何となく想像できるんじゃないでしょうか。

頭3曲はシングル向けのわかりやすさ満載な楽曲並びですが、以降の「Without You」や「Ricochet」あたりは前作『SCARY MONSTERS (AND SUPER CREEPS)』(1980年)のあたりのニューウェイヴ流れの楽曲もあり、実は大人になってから聴くと頭3曲よりもこのへんの楽曲のほうがツボだったりするんですよね(ヒット曲はベスト盤などで散々聴き飽きたのもありますが)。「Criminal World」もその流れの1曲ですよね。アナログA面ラストからB面への流れ、やっぱり今聴いても悪くないです。

かと思えば、同名映画に提供した楽曲のリテイク「Cat People (Putting Out Fire)」があったり、序盤のテイストをシンセ主体で焼き直したような「Shake It」があったりで、終盤に向けてちょっとだけ尻すぼみ。ちょっと勿体ないエンディングかな。

コアなリスナーからは酷評されたり、グラム期やイーノ三部作こそボウイだと断言するような方々からは敬遠されがちな作品ですが、映画からボウイに入っていったようなビギナーには実は一番わかりやすい良作なんじゃないでしょうか。で、他の作品をどんどん聴き進めていくうちに物足りないと感じるようになり、一周すると「やっぱりいいんじゃない?」と再確認できる。そんな1枚です。

 


▼DAVID BOWIE『LET'S DANCE』
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2019年11月24日 (日)

KISS『LICK IT UP』(1983)

1983年9月に発表された、KISS通算11作目のオリジナルアルバム。日本盤は『地獄の回想』という邦題で、オリジナルの“被せジャケット”付きで同年11月にリリースされています。90年代に復活する“地獄”シリーズ、ひとまず本作で一度完結したようです。

当時のメンバーはポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、ヴィニー・ヴィンセント(G)、エリック・カー(Dr)。オープニングトラック「Exciter」のリードギターでリック・デリンジャーがゲスト参加しています。「Lick It Up」(全米66位/全英31位)、「All Hell's Breakin' Loose」がシングルカットされ、アルバム自体は全米24位、全英7位という好成績を残しています。

本作で初めてメイクを落とし、素顔で活動を始めたことも話題となり、そのままセールスに反映されたようですね。と同時に、1983年というとQUIET RIOT『METAL HEALTH』DEF LEPPARD『PYROMANIA』とったHR/HMメガヒット作が誕生した記念すべき年。前作『CREATURES OF THE NIGHT』(1982年)でHR/HM化したKISSにとってこのムーブメントは“満を辞して”と言えるものだったはずです。先見の明があったのか、ただ商売っ気が強かっただけなのか(主にジーンの)。

作風的には『CREATURES OF THE NIGHT』の延長線上にあるハード路線ですが、かっちりしすぎ&重すぎた前作よりも軽やかさ、しなやかさが増しているのが本作の特徴かな。また、先に挙げた「Lick It Up」のように“本来のKISS”らしいポップ&キャッチーな楽曲が含まれていることも、アルバム全体のバランスに良い作用を与えています。

全10曲中、ポールとジーンのリードボーカル曲の割合は半々。特にアナログA面(M-1「Exciter」からM-5「Gimme More」)はポールとジーンのボーカル曲が交互に置かれているので、素直に“楽しい”と思えるのでは。

一方で、アナログB面(M-6「All Hell's Breakin' Loose」からM-10「And On The 8th Day」)ポール曲2曲、ジーン曲3曲とまとめて置かれており、CDで考えると「Gimme More」からポール曲3曲、「Fits Like A Glove」からジーン曲3曲とかたまってしまっているのがちょっと……エゴなんですかね(笑)。ただ、ヘヴィメタル的なファストチューン「Gimme More」とロックンロール的ファストチューン「Fits Like A Glove」とそれぞれの色や姿勢の違いが楽しめるという点においては非常に興味深い内容。なにより、1曲1曲の出来が非常にクオリティ高いですしね。

また、ヴィニーのギタープレイも前作以上に自由度が高い(まあ前作はエース・フレーリーの影武者的存在でしたしね)。ソングライターとしても非常に優れておりましたし、本作をもってバンドを脱退してしまうのは非常に勿体ないと改めて思います。

ロックを聴き始めた時点で、すでにKISSはノーメイク期だったわけで、そんな自分にとってこのへんの作品はど定番中の定番なわけです。今となっては“70年代のロックンロール期こそKISS”と声高に言われ続けていますが、いえいえ。これこそ自分にとってのKISS原体験ですから。忘れちゃいけない良盤のひとつです。

 


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2019年8月14日 (水)

OZZY OSBOURNE『BARK AT THE MOON』(1983)

1983年12月にリリースされた、オジー・オズボーンの3rdアルバム。

1982年3月19日にランディ・ローズ(G)を事故で失い、失意のどん底だったオジー。正式な後任が決まるまではバーニー・トーメ(TORME、GILLANなど)やブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)がライブでサポートを務めましたが、オーディションを経てジェイク・E・リー(RATT、ROUGH CUTT)が正式加入。こうしてようやく3rdアルバムの制作までこぎつけることとなりました。

レコーディングにはボブ・ディズリー(B)、トミー・アルドリッジ(Dr)、ドン・エイリー(Key)という布陣が参加。トミーはライブにこそ参加していたものの、オジーとのスタジオレコーディングはこれが初となります(が、レコーディング終了後にバンドを離脱。後任としてカーマイン・アピスが加入)。

楽曲クレジットはすべてオジーの名前のみとなっていますが、ギターリフなどは当然ジェイクによるもの。ランディ時代の2作(1st『BLIZZARD OF OZZ』、2nd『DIARY OF A MADMAN』)にあった繊細さは後退し、ギタープレイ同様に豪快さの目立つ楽曲/アレンジが多いような気がします。そういう意味ではブリティッシュHR/HMを下地にしつつも、よりアメリカンな音に近づいたということなのでしょうか(本格的な“アメリカ化”は次作『THE ULTIMATE SIN』で一気に開花するわけですが)

どうしてもタイトルトラックの印象が強い本作ですが(メロディ、アレンジ、ボーカル、ギタープレイ含めすべてが完璧)、それ以外にも良曲は多数存在します。例えばマイナー調のミディアムナンバー「You're No Different」やアメリカンHR化した「Rock 'n' Roll Rebel」、スリリングなファストチューン「Centre Of Eternity」、オジーのビートルズ趣味が大きく反映されたピアノバラード「So Tired」、前作の「S.A.T.O.」をよりアメリカナイズさせたシャッフルチューン「Slow Down」、アルバムラストを飾るドラマチックな「Waiting For Darkness」……意外と良いんですよね。

前2作のイメージで接すると、その作風の違いに戸惑うのもわかります。僕も最初はそうでしたから。特に、2002年以降流通しているリミックス盤はギターと同じくらいシンセが前に出過ぎていたり、ドラムの音に変化があったりと、オリジナルミックスと異なる妙な演出が施されているので、より戸惑うんじゃないかな。可能でしたら、90年代まで流通していたCDを中古で安く手に入れるのをオススメします。

あと、現行盤と配信/ストリーミング版はボーナストラック2曲(「Spiders」「One Up The ‘B’ Side」)が追加されており、アルバムとしての完成度を落としているので、個人的にはあまりオススメしないかな。これ、いらないよマジで……。

まあ、とにかく。これ以降のオジーの作品の雛形はある程度ここで完成しているし、もっと言えば90年代の大ヒット作『NO MORE TEARS』(1991年)の原点でもあるのかなと。そういう意味でも、非常に重要な1枚だと思っています。

 


▼OZZY OSBOURNE『BARK AT THE MOON』
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2019年8月 6日 (火)

ALCATRAZZ『NO PAROLE FROM ROCK'N'ROLL』(1983)

ALCATRAZZが1983年10月にリリースしたデビューアルバム。日本では2ヶ月遅れて、同年12月に発売されています。

MICHAEL SCHENKER GROUPを脱退したグラハム・ボネット(Vo)が、自身がオーバーグラウンドに進出するきっかけとなったRAINBOWと同系統のバンドを組もうとして、元NEW ENGLANDのメンバーとともに結成したのがこのALCATRAZZ。RAINBOW的ということで、当然リッチー・ブラックモアから影響を受けたギタリストを探すわけですが、そこで白羽の矢が立ったのがSTEELERという当時はほぼ無名だったバンド(のちにボーカルのロン・キールがKEELを、ドラムのマーク・エドワーズがLIONを結成することで、ここ日本では特に再注目されるようになるわけですが)のギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンというわけです。

……なんて説明、古くからのHR/HMファンにはもはや必要ないかと思いますが、念のため(笑)。

今回このタイミングに紹介しようと思ったのは、今日という日に「Hiroshima Mon Amour」をじっくり聴きたいなと思ったから。ご存知のとおり、この今日は1945年8月5日に原子力爆弾が投下された広島に捧げたものです。歌詞に登場する“Little Boy”はその広島に落とされた原爆のコードネームを意味するもので、歌詞の中には投下後の悲惨さがさまざまな比喩で表現されています。

初めてこのアルバムを聴いたときは、オープニングを飾る「Island In The Sun」のキャッチーさや、RAINBOWっぽいリフを持つ「Jet To Jet」にばかり耳がいきがちでしたが、やっぱりこのアルバムは(個人的には)「Hiroshima Mon Amour」なんですよね。この曲でのグラハムのハイトーンを聴くと、自然と涙が溢れそうになるし、イングヴェイの速弾きを含むギターソロもここでは負の感情の高まりを見事に投影してくれていると思うし。

実は、本当にたまたまなんですが、今年の8月6日は広島に滞在しているんですね。自分の誕生日に広島にいることはもちろん生まれてから初めての経験なのですが、だからこそ今日はこの曲を静かに聴きたいな、と。

やっつけっぽくてちょっとアレですが、もちろんそのほかの楽曲も素晴らしいですし、RAINBOW系統のハードロックが好きなリスナーなら絶対に聴いておくべき1枚だと思います。個人的には捨て曲なし、ってくらい好きな1枚ですし。

と同時に、やはり日本人なら「Hiroshima Mon Amour」を歌詞の内容含めて、じっくりと吟味してもらいたい。そう願ってやみません。

 


▼ALCATRAZZ『NO PAROLE FROM ROCK'N'ROLL』
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2019年5月24日 (金)

THIN LIZZY『THUNDER AND LIGHTNING』(1983)

1983年3月にリリースされた、THIN LIZZYの通算12枚目にして最後のスタジオアルバム。

解散が決定してから制作されたアルバムって、その多くが“やっつけ”だったり過去のパブリックイメージに沿った想定範囲内の内容だったりすることが多いんだけど、これは異常にテンションが高く、かつ過去のイメージに捉われず新境地に到達してしまったという異色の1枚です。

フィル・ライノット(Vo, B)、スコット・ゴーハム(G)、ブライアン・ダウニー(Dr)という黄金期のメンバーに、前作『RENEGADE』(1981年)から加入したダーレン・ワートン(Key)に、本作が初参加のジョン・サイクス(G)という5人で制作。ジョン・サイクスがソングライティング面で大健闘したのかというと、ジョンの名前は「Cold Sweat」で確認できるのみ。ジョンが加入したのは本作のレコーディング直前で、すでに大半の楽曲は完成していたそうですから、またジョンのような若いミュージシャンが加わったことで演奏に熱が入ったってことなのかもしれませんね。

前のめりなスピードチューン「Thunder And Lightning」のスリリングな構成、ダークで穏やかな「The Sun Goes Down」、メロディアスハードロック「The Holy War」「Cold Sweat」など正統派HR/HMファンにもアピールする楽曲を含みつつも、「Baby Please Don't Go」や「Bad Habits」「Heart Attack」のように従来のTHIN LIZZYファンにも馴染みやすい楽曲もしっかり用意されている。完全に変わったのではなく、バンドとしての軸は残しつつも時代に歩み寄ってヘヴィなスタイルを取り入れた。それがこの進化の理由なのかもしれません。

フィルの味わい深い中音域で歌われる楽曲群は、当時主流だったハイトーンやがなるようなボーカルとは相反するもので、それがどこかパンク的でもあり。そこがTHIN LIZZYを唯一無二のバンドとして知らしめた要因といえるでしょう。事実、「Thunder And Lightning」はバックトラックだけ聴けばスピードメタル的な作風ですが、フィルのボーカルが乗ると急にパンクロックっぽくなるから不思議です。

古くからのファンには賛否あるようですが、僕は初めて聴いたTHIN LIZZYのスタジオアルバムがこれだったので、やっぱり思い入れが強いんですよね(生粋のジョン・サイクス・ファンなもので)。でも、ジョンが弾いているから云々を抜きにしても、本作は非常に素晴らしいハードロックアルバムだと断言できます。

最後に、本作で好きなギタープレイのほとんどが、ジョンのものではなくてスコットのプレイだという事実も書き残しておきたいと思います。

 


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2018年4月30日 (月)

DURAN DURAN『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983)

昨日紹介したビリー・アイドル『REBEL YELL』(1983年)と同時期にリリースされたのが、DURAN DURAN通算3枚目のスタジオアルバム。前作『RIO』(1982年)でついに全米での人気(最高6位)も確かなものとした彼らは、この3rdアルバムでその地位をより強固なものとしました。初の全英1位獲得に続き、アメリカでも最高8位を記録。「Union Of The Snake」(全米・全英ともに3位)、「New Moon On Monday」(全米10位、全英9位)、「The Reflex」(全米・全英ともに1位)というヒットシングルも人気の後押しに一役買ったことは確かで、今振り返ると1982〜1985年あたりがDURAN DURAN人気のピークだったことは間違いありません。

グレイス・ジョーンズやTHOMPSON TWINS、TALKING HEAD、FOREIGHERなどのプロデュース/エンジニアで知られるアレックス・サドキンをプロデューサーに迎えた唯一のアルバム(シングル「Is There Something I Should Know?」はミックスのみ。のちに別プロジェクトARCADIAで再びプロデュース担当)。前作『RIO』で聴けた“シンセをフィーチャーしたロックバンド”的サウンドをさらに進化させ、ここでは完全にシンセをメインに、ギターは前に出るよりもセンスの良いフレーズを随所に取り入れるという程度の活躍に収まっています。

が、この手法が1983年という時代に見事にフィットしたんでしょうね。「New Moon On Monday」や「Union Of The Snake」といったヒット曲はシンセの印象が強いですし、「(I’m Looking For) Cracks In The Pavement」「I Take The Dice」あたりもシンセポップ的な色合いが強い。じゃあギターは全然ダメかというとそんなことはなく、「The Reflex」しかり「Union Of The Snake」しかり、アンディ・テイラー(G)が軽快なカッティングストロークを聴かせてくれます(ここで鬱積したものが、のちのTHE POWER STATIONで爆発→脱退につながるんでしょうかね)。

p>サイモン・ル・ボン(Vo)ののっぺりしたボーカルも、このサウンドで聴くと不思議と欠点が目立たない。むしろ、セクシーにすら思えてくるんだから驚きです。シンガーとしては間違いなくこのアルバムとARCADIAでの活動時期が最高潮だったのではないでしょうか。事実、本作を携えたツアーの模様を収めたライブアルバム『ARENA』(1984年)でボーカルパフォーマンスも(スタジオで追加録音しているとはいえ)なかなかのものがありますし。

DURAN DURANの代表作は?と尋ねられたら、間違いなく『RIO』を挙げますが、もっとも完成度の高いアルバムは?と聞かれたら僕はこの『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』を選びます。それくらい、バンドの熱量と時代が求めるものとがぴったり一致した1枚だと思うのです。

 


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2018年4月29日 (日)

BILLY IDOL『REBEL YELL』(1983)

そして『反逆のアイドル』は今年で35周年……やっぱりこういう邦題文化って素敵。

パンクバンドGENERATION Xのフロントマンだったビリー・アイドルが、1983年11月に発表した2ndフルアルバム。「Rebel Yell」(全米46位、全英62位)、「Eyes Without A Face」(全米4位、全英18位)、「Flesh For Fantasy」(全米29位、全英54位)、「Catch My Fall」(全米50位)とヒット曲が多数生まれ、アルバム自体も全米6位、200万枚以上を売り上げる好成績を残しています(一方でイギリスでは36位止まり)。

前作『BILLY IDOL』(1982年)の延長線上にあるポップでわかりやすいロックを軸にした作風ですが、本作ではとにかくビリーの相方スティーヴ・スティーヴンス(G)の才能が一気に開花したことで、そのサウンドはより独創的なものへと進化しています。

それはオープニングを飾る「Rebel Yell」1曲取り上げてもおわかりいただけるかと思います。オープニングのフィンガーピッキングを用いたリフ、バッキングひとつとっても派手ですし、おもちゃの光線銃をフィーチャーした独特なギターソロなんて圧巻の一言。これがあるとないとでは大きく異なりますよね。

かと思えば、アダルトな雰囲気の「Eyes Without A Face」があったり、キャッチーな「Catch My Fall」があったり、ヘヴィなギターリフが印象的な「Flesh For Fantasy」があったり。さらに疾走感に満ち溢れたハードロック「Blue Highway」や「(Do Not) Stand In The Shadows」、ニューウェイブの影響下にある不思議なバラード「The Dead Next Door」もある。これを元パンクロッカーがやっているのかと思うと複雑な気持ちにもなりますが、隣に立つハードロックギタリストの影響が強いんだろうなと考えれば不思議と納得できるんですよね。

ビリーは決して器用なシンガーではありませんし、パンク出身ということもあってか、変に作り込まれた楽曲よりもシンプルな楽曲のほうがその歌声が映える気がします。そういう意味では、本作における「Eyes Without A Face」「Flesh For Fantasy」あたりがギリギリのラインなのかなと思ったり。あと、アクが強すぎるがあまり、極端にポップ過ぎてもダメという。

そのへんのことを相方がよく理解していたからこそ、こういう奇跡的な1枚を作ることができたんでしょうね。実際、スティーヴが抜けたあとの作品はいろいろやろうとして失敗してますし。難しいものですね。



▼BILLY IDOL『REBEL YELL』
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