LIZZY BORDEN『LOVE YOU TO PIECES』(1985)
1985年7月にリリースされたLIZZY BORDENの1stアルバム。日本盤(アナログ)は同年10月21日発売。
LIZZY BORDENはフロントマンにして中心人物のリジー・ボーデン(Vo)を中心に1983年に結成されたヘアメタル/グラムメタルバンド。バンド名の由来は19世紀末に殺人容疑で告発され、無罪放免となった悪名高い女性リジー・ボーデン(Lizzie Borden)から名付けられたとのこと(Wikipedia情報)。当時設立されたばかりのインディーズレーベルMetal Blade Recordsと契約し、1984年に発表したEP『GIVE 'EM THE AXE』が好評を博すこととなり、以後しばらくは同レーベルの看板バンドとして活躍します。
本アルバム制作時のメンバーはリジーのほかジーン・アレン(G)、トニー・マトゥザック(G)、マイケル・デイヴィス(B/のちにHALFORDへ加入)、ジョーイ・スコット(Dr)。プロデュースはバンド名(もしくはリジー個人)が記されており、エンジニアをランディ・バーンズ(MEGADETH、NUCLEAR ASSAULT、KREATORなど)が手がけています。
ロスで結成されたこと、そのケバケバしいヴィジュアルから、先に触れたように彼らをヘアメタル/グラムメタルの枠で語りがちですが、実のところはアリス・クーパー直系のショックロックだったり、BLACK SABBATHやJUDAS PRIEST、IRON MAIDENなどの正統派ブリティッシュヘヴィメタルからの影響が強いサウンドが特徴。そういう意味では、同時代にメジャーで活躍したW.A.S.P.との共通点も見え隠れします(W.A.S.P.のジェネリック、もしくは“よりダークに”互換したバンドと言ったら怒られそうですが)。
アメリカっぽいカラッとした質感皆無で、全体的に湿り気の強いサウンドはどちらかというとヨーロッパ寄り。ジェフ・テイト(ex. QUEENSRYCHE)を下品にした(笑)ようなリジーの圧倒的なボーカルと、IRON MAIDENを彷彿とさせるギターワークとバンドアレンジ、いい意味でB級感を保ったまま突っ走る全体の空気といい、1980年代半ばの“メジャーとアンダーグラウンドの狭間”感がしっかりと感じ取れる内容ではないでしょうか。
楽曲の1つひとつの出来もさすがの一言で、まだまだラフさが目立ったEP『GIVE 'EM THE AXE』から短期間でよくぞここまで仕上げてきたなと驚かされます。もちろん、適度な荒々しさは随所に残されているので、新人らしいフレッシュさもしっかり伝わる。と同時に、当時の(一部の)インディーズメタルシーンのレベルの高さも感じ取ることができる。なにより、アルバムのど真ん中に配置されたのが「American Metal」ですからね。この曲のみならず、先に挙げたような王道ブリティッシュメタルへのLAからの回答と捉えると、いろいろ透けて見えてくるものもあるのではないでしょうか。
実は、筆者自身は本作をはじめとする80年代の諸作品をリアルタイムでは聴いていなくて。というのも、1stアルバムからしてこのジャケットじゃないですか(笑)。しかも、雑誌などで目にするヴィジュアルの印象もアレですし……なので、だいぶ時間が経ってから本作を聴いて「騙された!」と悔やみましたからね。僕のように、このいかがわしいジャケットのイメージに惑わされることなく(笑)、広く届いてほしいアメリカンメタルの名盤のひとつだと断言しておきます。
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