2017/10/12

McAULEY SCHENKER GROUP『PERFECT TIMING』(1987)

UFOを除くマイケル・シェンカーの作品を最初に取り上げるのが本作でいいのか、という疑問をひとり感じているのですが、仕方ないです。だって、リアルタイムで初めてちゃんと聴いたマイケル・シェンカー関連のニューアルバムがこのMcAULEY SCHENKER GROUPの1stアルバム『PERFECT TIMING』(1987年)なんですから。

マイケル・シェンカーはつくづくシンガーに恵まれないギタリストでした。ゲイリー・バーデンは決してうまいタイプではないし、続くグラハム・ボネットはアルバム1枚のみと短命だったし、すると再びゲイリー・バーデンが出戻りするし。もっと華があって歌唱力のあるHR/HM系シンガーが入ったらアメリカでもブレイクできるんじゃないか……きっとそんなことを考えたことあるHR/HMファン、少なくないはずです。

そんなマイケルがロビン・マッコーリーという新たなシンガーを迎え、バンド名もMICHAEL SCHENKER GROUPの“ワンマンバンド体制”からMcAULEY SCHENKER GROUPという“二頭体制”へと改正。しかも海外では本格的なHR/HMブームに突入し、話題性十分で鳴り物入りの再デビューを飾ったわけでした。

リードシングルとなった1曲目「Gimme Your Love」を初めて聴いたとき、正直MSCにそこまで詳しくない自分でさえも「これは違うんじゃないか……」と若干モヤモヤした気持ちを抱えたものですが、とはいえ曲自体はよくできたアリーナロックで、ロビン・マッコーリーもこういった派手でキラキラした音に合った湿り気のある歌声なので気持ちよく楽しめたわけです。

で、アルバムを通して聴くと、確かに時流に合わせた産業ロック的な楽曲もいくつかあるものの、マイケルらしい泣きメロを持つ楽曲も含まれており(本作からの2ndシングル「Love Is Not A Game」はまさにそれ)、また初期MSGを思わせるロックンロールナンバー「No Time For Losers」やストレートな疾走HRナンバー「Get Out」、ファンキーなギターストロークが楽しめる「Don't Stop Me Now」など佳曲多し。楽曲クレジットを見ると、ベーシストのロッキー・ニュートンが関わった曲にポップなものが多いようで(シングル2曲やパワーバラード「Time」)、特に「Gimme Your Love」なんてマイケルがソングライティングに関わってないですからね。そういう意味でも、こちらのMSGは完全なる“バンド”だったのかもしれませんね。

それ以前のMSGと比較すると完全に別モノかもしれませんが、これはこれで意外と楽しめるんですよね。今から30年前のあの時代だったからこそ作り上げることができた、偶然の1枚。だけど侮るなかれ(全米95位とヒットはしなかったけど)。

あと、MICHAEL SCHENKER GROUPの音源はストリーミングサービスにもデジタル配信にもあるのに、なんでMcAULEY SCHENKER GROUPのアルバムは1枚もないんでしょうね……本当に勿体ない。本作とか続く『SAVE YOURSELF』(1989年)は聴いておいて間違いないアルバムなので、ぜひ配信のほうもお願いしたいものです。



▼McAULEY SCHENKER GROUP『PERFECT TIMING』
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2017/10/01

PRINCE『SIGN O' THE TIMES』(1987)

1987年春に発表された、プリンス通算9作目のスタジオアルバム。“PRINCE & THE REVOLUTION”名義で発表された『PURPLE RAIN』(1984年)、『AROUND THE WORLD IN A DAY』(1985年)、『PARADE』(1986年)を経て、ソロ名義では1982年の『1999』以来4年半ぶりのアルバム。しかも同作以来の2枚組作品(『1999』はアナログ2枚組でしたが、CD化の際に1枚に。『SIGN O' THE TIMES』はCDでも初の2枚組)でした。

世代的に『PURPLE RAIN』からプリンスの音楽に触れ、「曲はカッコ良いのに声が気持ち悪い」と思っていた、あの頃10代前半だったリスナー、多かったんじゃないでしょうか。まさに自分がそうで、『AROUND THE WORLD IN A DAY』は苦手意識のほうが勝ってしまいしばらく放置(高校生くらいまで)。が、『PARADE』収録の「Kiss」のファルセットはなぜかイケて、ハマってしまったクチでした(もっともアルバム自体は当時、そこまでのめり込めませんでしたが)。

で、『SIGN O' THE TIMES』。先行シングルのタイトルトラックの淡々とした曲調、まずこれにヤラレました。もはやこの頃になると声の気色悪さはほとんど気にならず、むしろこの声じゃないとダメ!とすら思えるように。確か、レンタルではなく初めて購入したプリンスのアルバムが本作だったと記憶しています。

全16曲、約80分というボリュームは当時の自分にとっては相当なものがありました。だって、情報量が多すぎて……単なるファンクや R&Bだけでなく、ポップやロック、ハードロック、ヒップホップ、サイケ、ソウルetc…いろんな要素詰まりまくりで、すべてを理解するには相当の時間を要したことを、今でもよく覚えています。ぶっちゃけ、今でも完全に理解しきれているかと言われたら微妙ですが、少なくとも20代になってしばらく経ってから、このアルバムの本当の凄味に気づいたんじゃないでしょうか。

本来は3枚の別々のアルバムだったものを、 THE REVOLUTION解散などを経てひとつの作品にまとめ込んだのが本作。これまでも1枚のアルバムの中にいろんな要素を詰め込んむ人ではありましたが、本作が過去の作品の比じゃなほどに雑多なのは、そういった理由もあるのかもしれません。にしても、やりすぎだろ!と思っちゃうほどに遊びまくり実験しまくり、なのに自然とするする聴けてしまう。

プリンスの声色も曲によってカラフルに変わっており、時には爬虫類系の声色で歌い、時にはファルセットでセクシーに歌い、ある時にはエフェクトかけまくりの歌声を披露する。もはや自身の声すらも楽器のひとつとして、自身の楽曲を最高の形で演出する。そういった意味では、この人はシンガーというよりも音楽家だったんだなと。

昔はハードでロック色が強く、パーティ感もにじませていたディスク2を気に入っておりましたが、最近はもっぱらいディスク1にやられまくり。やっぱりタイトルトラックの無機質感(密室ファンク!)といい、そこからパーティチューン「Play In The Sunshine」を経て「Forever In My Life」まで続く怒涛の流れは、本当に圧巻。これがあるから、ディスク2がより映えるということにも、改めて気づかされました。

本作をプリンスの最高傑作に挙げるファンも多いようですが、それも納得の内容。本作と続く『LOVESEXY』(1988年)、そしてその間にリリースされる予定だった『THE BLACK ALBUM』(1987年12月発売予定だったものの、直前に発売中止。1994年にようやく日の目を見ました)の3作は本当に神がかっていたんだなと、今さらながら時間しているところです。

ただ、ひとつだけ難点を挙げるとしたら、曲ごとに録音レベル(音量)が異なること。1曲目「Sign O' The Times」を基準に聴き始めると、続く「Play In The Sunshine」で急に音量が小さくなるし、その後も変動を繰り返し続けるという。まあこれすらも、聴き手を惹きつけるための戦略なのかな、なんて邪推してしまうわけですが(そんなことないでしょうけどね)。



▼PRINCE『SIGN O' THE TIMES』
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2017/09/28

ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)

DURAN DURANのギタリスト、アンディ・テイラーがバンド脱退後の1987年春に発表した初のソロアルバム。アンディは本作の前に2枚のソロシングル(「Take It Easy」「When The Rain Comes Down」。ともに1986年リリース)を、映画やテレビドラマのサウンドトラック絡みで発表していますが、アルバムには未収録。時期的にバンドを脱退後の発表だったのかな。ちょっと記憶が曖昧ですが。

アルバムはSEX PISTOLSのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズをプロデューサー&ギタリストに迎えて制作。と聞くとパンキッシュな作風になるのかなと勝手に想像してしまいますが、THE POWER STATIONでのアンディのプレイから想像できるような、非常にハードロック寄りのアルバムに仕上げられています。

先の2枚のソロシングルが、どちらかというと陽気なアメリカンロックというイメージだったし、THE POWER STATIONもブラックミュージックの影響下にあるアメリカンロックという印象だったから、絶対にその路線だと思いますよね? でもアルバムのオープニング曲「I Might Lie」は、マイナーコードの疾走ハードロック。泣きメロといいギタープレイといい、ちょっと成長したアンディのボーカルといい、すべてが気持ち良く響く1曲です。そこから過去シングルの路線をよりワイルドにした「Don't Let Me Die Young」へと流れていく構成も、さすがの一言。さらにミディアムバラード「Life Goes On」へと続くのですから、この頭3曲で完全に心をわし摑みにされてしまうわけです。

全9曲中8曲がアンディ&スティーヴの共作。思えばスティーヴも“こっち”寄りの人だったよな、ってことはピストルズの1stアルバムやのちの復活ライブで十分納得できるのですが、本作リリース当時高校生だった自分はそんなこともわからぬまま、「これはこれでカッコいいよ!」とアホみたいにリピートしていたのでした。

で、あれから30年経った今聴いてもカッコいいんですよね。サウンドプロダクション的に時代を感じる部分は多々あるものの、楽曲的にはどれも悪くない。アンディやスティーヴのギタープレイ、その2人を支えるミッキー・カーリー(Dr)&パトリック・オハーン(B)という、わかる人にはわかるリズム隊の仕事ぶりもさすがの一言だし。のちにデヴィッド・リー・ロスのバンドに加わるブレット・タグル(Key)も参加してるしね。

どれか1曲選べといわれたら、やっぱり冒頭の「I Might Lie」なんだけど、イントロのギターリフにピストルズを重ねてしまう豪快なアメリカンロック「Thunder」も悪くない。あと「Life Goes On」「Bringin' Me Down」といった泣バラードや「Night Trai」みたいなきメロナンバーも良いんですよね。全体的に(なんとなくですけど)マイケル・モンロー『NOT FAKIN' IT』(1989年)と重なる部分も多いので、あのへんの作風が好きな人にはオススメです。

P.S.
アナログやCDで当時発表されたオリジナル版と、現在iTunesやSpotifyで配信されているバージョンは、収録曲は一緒ですが曲順が異なるのでご注意を。現行の配信版の曲順もこれはこれで好きですが。



▼ANDY TAYLOR『THUNDER』
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投稿: 2017 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Andy Taylor, Duran Duran, Power Station, The, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/22

THE CULT『ELECTRIC』(1987)

ゴシックロックやポストパンクの流れにあった前作『LOVE』(1985年)が本国イギリスで最高4位まで上昇。アメリカでもTOP100内(87位)に入るヒット作となり、続く3rdアルバムで世界的な大ブレイクが期待されるわけです。ここでTHE CULTは前作同様にスティーヴ・ブラウンをプロデューサーに迎え次作『PEACE』の制作に突入するのですが、出来上がった作品はバンド側が満足するような内容ではありませんでした。

そしてバンドは新たにリック・ルービンをプロデューサーに迎え、アルバムを作り直します。そんな紆余曲折を経て完成したのが、1987年春に発表された『ELECTRIC』です。

SLAYERBEASTIE BOYSなどのプロデューサーとして知られていたリックですが、本作ではオールドスクールなハードロックサウンドを展開。どこかAC/DCみたいで、無駄をそぎ落とした隙間だらけのサウンドは、ビッグプロダクションが当たり前だった当時のHR/HMと比較するとチープに聞こえたかもしれません。しかし、本作発売から数ヶ月後にGUNS N' ROSESがデビューすることで、その印象は一変するわけです。時代がTHE CULTに追いつくわけですね。

ポストパンクとかニューウェイブ、ゴシックロックとは一体何だったのか?と、前作までのTHE CULTを好んでいたファンからすれば、ここで完全に別モノになってしまったわけですから、そりゃあショックですよね。だってオープニングの「Wild Flower」からして、ギターリフ一発ですべてが決まるような、シンプルなR&Rなわけですから。しかもLED ZEPPELIN的な展開を含む「Love Removal Machine」があったり、ツーバス全開のファストチューン「Bad Fun」があったり、挙げ句の果てにSTEPPENWOLFの名曲カバー「Born To Be Wild」まであるんだから。それ以前のファンからしたら「誰だよお前ら!」ってツッコミたくなりますわな。

とはいえ、当時高校生だった自分は『LOVE』以前の彼らを知らず、本作からTHE CULTに入っていったので、当然彼らは普通にハードロックをやってきたバンドだと思っていたし、そこから『LOVE』にさかのぼって唖然とするわけですが。今となってはそれもいい思い出ですけどね。

そんな一大革命を起こした本作、イギリスでは前作と同じく4位まで上昇し、アメリカでも最高38位にランクイン。100万枚を超えるヒット作となり、続く4thアルバム『SONIC TEMPLE』(1989年)と並ぶ代表作として現在まで多くのリスナーに愛され続けています。



▼THE CULT『ELECTRIC』
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投稿: 2017 09 22 12:00 午前 [1987年の作品, Cult, The] | 固定リンク

2017/09/09

MICHAEL MONROE『NIGHTS ARE SO LONG』(1987)

マイケル・モンローがソロ活動を開始してから、今年で30周年とのこと。この夏にはソロキャリアを総括した2枚組ベストアルバム『THE BEST』が発売され、12月には来日公演も控えています。そんなタイミングに、改めて彼のソロキャリアの原点を振り返ってみようということで、1987年リリースのソロ1作目『NIGHTS ARE SO LONG』を紹介します。

1985年のHANOI ROCKS解散を経て、マイケルはひとり渡米して音楽活動を模索します。そこで元THE DEAD BOYSのスティーヴ・ベイターズやE. STREET BANDのリトル・スティーヴンスとの出会いに刺激され、1987年にようやく初のソロレコードを完成させるわけです。

が、いざ蓋を開けてみると全10曲中オリジナル曲は3曲のみ(「Can't Go Home Again」「Too Rich To be Good」「Keep it Up」)。そのほかは次作『NOT FAKIN' IT』(1989年)でも再び取り上げるHEAVY METAL KIDS「She's No Angel」を筆頭に、THE DEAD BOYS、FLAMIN' GROOVIES、MC5、ジョニー・サンダースなどマイケルお気に入りのロックンロール/パンクナンバーがカバーされています。

ちなみに本作は、HANOI ROCKS時代のマネージャーが新たに設立したレーベルからのリリース。さらにレコーディングにはイアン・ハンター(Piano)などが参加しており、気心しれた面々のバックアップによってなんとかソロを軌道に乗せようとしていた節が感じられます。この時点ではまだいろいろと引きずるものもあったんでしょうね。

実際、その音も『NOT FAKIN' IT』以降と比べると非常にユルいもので、どこか初期〜中期のHANOI ROCKSにも通ずるものが。とはいえ、当時は「マイケル・モンロー、ついに復活!」ぐらいの勢いで飛びついたことを記憶しています。けど、そのユルさに(しかも世の中は世紀のメタルブームでしたし)ちょっとだけ落胆したっけ。

けど、今聴くとそのユルさ(=肩の力が入りすぎてない加減)が非常に心地よくて、これくらいのテンションでパンクの隠れた名曲たちをカバーしてくれると気軽に聴くことができるのもある。『NOT FAKIN' IT』が隙のない無敵さを誇る1枚だけに、両極端といえばそれまでですが、これもマイケル・モンローの持ち味なんだよな、とあれから30年経った今は非常に納得できるわけです。



▼MICHAEL MONROE『NIGHTS ARE SO LONG』
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投稿: 2017 09 09 12:00 午前 [1987年の作品, Michael Monroe] | 固定リンク

2017/09/05

U2『THE JOSHUA TREE』(1987)

1987年3月にリリースされた、U2通算5作目のスタジオアルバムにして最大のヒット作。もう30年も前の話なんですね。前々作『WAR』(1983年)、前作『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)がともに全米12位、マルチプラチナム獲得とアメリカでの成功を手にした彼らでしたが、このアルバムではアメリカで初の1位を獲得。本作からのシングルも「With Or Without You」「I Still Haven't Found What I'm Looking For」の2曲が全米1位に輝き、気づけばアルバムは1000万枚を超えるメガヒット作となりました。

デビュー作『BOY』(1980年)から3rdアルバム『WAR』までを“アイルランド3部作(あるいはヨーロッパ3部作)”と呼ぶならば、4th『THE UNFORGETTABLE FIRE』、本作『THE JOSHUA TREE』、そして6th『RATTLE AND HUM』(1988年)はソウルやゴスペル、ブルースといったアメリカ音楽へと接近していく“アメリカ3部作”と呼ぶことができるかと思います。『THE UNFORGETTABLE FIRE』ではまだまだ序の口だった(というかサウンド的にはまだヨーロッパのバンド特有の湿り気が残っていた)ルーツミュージックへの接近も、本作で一気に本格化。「I Still Haven't Found What I'm Looking For」や「Running To Stand Still」などはまさにそのスタイルを極めた楽曲と言えるでしょう。

かと思えば、アメリカンロック的なスケール感の大きさを兼ね備えた「Where The Streets Have No Name」や「With Or Without You」みたいな曲もあるし、“いかにもU2”な疾走感を持つ「In God's Country」、ヘヴィさを極めた「Bullet The Blue Sky」「Exit」もある。さらに歌詞に目を向けると、彼らの宗教観であったりアメリカ社会に対する警告(政治や戦争に対する批判)が綴られている。アルバム全体を通して聴くと穏やかさが目立つ1枚かもしれませんが、深く知れば知るほど実はものすごくシリアスで“攻め”のアルバムなんだということが理解できるかと思います。

正直、この時期(80年代後半)のU2はイメージ的には地味そのものです。ボノ(Vo)がロンゲになって後ろ縛りにしたり、ジ・エッジ(G)の風貌はアメリカの片田舎にいそうなオッサンみたいだし。等身大のままバンドが大きくなっていった初期3作の頃と比べると、そりゃあ地味です。が、バンドの人気やセールスが過去最大級に肥大していく中で、彼ら自身がそういった現実と折り合いをつけるため、バランスをとるためだったとしたら……90年代の奇行(笑)を考えれば、なんとなく納得できる気がするんですよね。

ちょっと余談になってしまいましたが、とにかくアルバム自体は本当に素晴らしいし、これ以上書くことがないくらいに完璧な1枚だと思います。できることなら、ぜひ歌詞・対訳を手にしながら浸ってほしい作品です。



▼U2『THE JOSHUA TREE』
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投稿: 2017 09 05 12:00 午前 [1987年の作品, U2] | 固定リンク

2017/08/05

MICK JAGGER『PRIMITIVE COOL』(1987)

1987年9月にリリースされた、ミック・ジャガー2枚目のソロアルバム。前年春にROLLING STONESとしての新作『DIRTY WORK』を発表したものの、ミックはツアーに取り掛かることなる今作の制作に取りかかります。ソロ1作目『SHE'S THE BOSS』(1985年)がミリオンヒットになったこともあり、味をしめたんでしょうかね。

ミック、ビル・ラズウェル、ナイル・ロジャースという異色ながらも個性的にならざるを得ない布陣がプロデュースに携わった前作から、今回はミック、キース・ダイヤモンド(ドナ・サマーやマイケル・ボルトン、シーナ・イーストン、ビリー・オーシャンなどを手がけたR&B寄りのプロデューサー兼ソングライター)、そしてEURYTHMICSのデイヴ・スチュワーというこれまた個性的な組み合わせで制作。レコーディングには前作にも全面的に参加したジェフ・ベックに加え、オマー・ハキム(Dr)、サイモン・フィリップス(Dr)、ダグ・ウィンビッシュ(B)、ヴァーノン・リード(G)、ビル・エヴァンス(Sax)、デヴィッド・サンボーン(Sax)など豪華な面々がレコーディングに参加しております。

作風的にはストーンズのポップサイドをより煮詰めたような『SHE'S THE BOSS』から、今回はよりロック色が強まり、しかもメインストリームでスタジアムロック的なテイストが強まっています。リードシングルとして中ヒットした(MVが酷い。笑)「Let's Work」(全米39位、全英31位)こそ打ち込み主体のダンスポップでしたが、アルバムオープニングの「Throwaway」を筆頭にブラックミュージックのテイストを散りばめたハードロックナンバーがずらりと並びます。思えば1987年はBON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)のメガヒットを機に、WHITESNAKE『WHITESNAKE』DEF LEPPARD『HYSTERIA』GUNS N' ROSES『APPETITE FOR DESTRUCTION』などがチャート上位を占めた時期。少なからずミックもこういった流行を意識したのでしょうけど、そこは“腐っても”ミック・ジャガー。結局はこういった“ストーンズの匂いを感じさせるスタジアムロック”が限度だったねしょうね。

結果、本作は全米41位、全英26位という微妙な結果で終了します。翌年にはキースの初ソロアルバム『TALK IS CHEAP』も世に放たれ、いよいよストーンズも終わりか……と思わせておいてからの、1989年の本格的復活へと続いていくという。その復活作『STEEL WHEELS』とこのミックのソロアルバム『PRIMITIVE COOL』、実は非常に共通点が多いと思うのは気のせいでしょうか? 最近この2作をよく聴くのですが、改めて『PRIMITIVE COOL』で得た知識や経験が『STEEL WHEELS』に反映されていると実感しています。

大きなヒットにはつながらなかったけど、“いかにも80年代後半”な産業ロック的サウンドは意外と悪くない。もちろん好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思いますが、もし『STEEL WHEELS』が苦手じゃなかったら手にしてみてもいい1枚かもしれませんよ。

なお、本作発表後にミックはソロツアーをここ日本で行うため、初来日。1988年3月、東京ドーム2公演を含む東名阪5公演で17万人を動員しました。ちなみにアルバム2作に参加したジェフ・ベックはツアーには不参加。代わりにジョー・サトリアーニがリードギターを担当するという、驚きの展開になったことも記憶に残っています。



▼MICK JAGGER『PRIMITIVE COOL』
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投稿: 2017 08 05 12:00 午前 [1987年の作品, Jeff Beck, Mick Jagger] | 固定リンク

2017/05/19

INXS『KICK』(1987)

オーストラリア出身のロックバンドINXSが1987年秋に発表した、通算6枚目のオリジナルアルバムにして最大のヒット作。本作からは唯一の全米No.1ヒットとなった「Need You Tonight」のほか、「Devil Inside」(全米2位)、「New Sensation」(全米3位)、「Never Tear Us Apart」(全米7位)といった楽曲がシングルカットされ、アルバム自体も全米3位まで上昇し、600万枚以上のセールスを記録しました。

アメリカでのINXSの評価というと、80年代序盤に「The One Thing」(全米30位)、「Original Sin」(全米58位)という小ヒットがありましたが、本格的なブレイクとなると『KICK』の前作にあたる『LISTEN LIKE THIEVES』(1985年)からシングルカットされた「What You Need」(全米5位)からということになるのでしょうか。どちらかというとニューウェーブ以降の黒人的ダンサブルな楽曲を軸だったINXSが、ワイルドなハードロック色を取り入れた「What You Need」でブレイクしたというのも興味深い話で、『LISTEN LIKE THIEVES』からの他のシングルも「This Time」「Listen Like Thieves」と同系統だったことから、この路線変更はそれなりに成功を収めたと判断できるかと思います。

しかし、『LISTEN LIKE THIEVES』に続く本作『KICKS』は決して前作の延長線上にある作風とは言い難い、どちらかというとINXSの根幹にある「ブラックミュージックをベースにしたダンサブルなロック」をより洗練したものでした。リードシングルとなった「Need You Tonight」のミニマルなビート+印象的なギターリフ+セクシーなボーカルという作風は、ある種80年代のINXSの究極型と言えるかもしれません。またこの曲は続く「Mediate」とのメドレー形式になっており、MVもモノクロベースでセクシーな前半(「Need You Tonight」)とボブ・ディランのパロディ風後半(「Mediate」)とメドレー形態で楽しいものでした(現在YouTubeではそれぞれ別個でアップされてるんですね)。そもそもハードロック調の「What You Need」もベースにはダンスミュージックが見え隠れしますし、そういう意味では「Need You Tonight」が初の全米1位を獲得したのも頷けますよね。

アルバムはINXS版「We Will Rock You」と呼べる「Guns In The Sky」から始まり、そのまま極上のダンスロック「New Sensation」(これこそ「What You Need」をより洗練させた究極型かなと)、「Devil Inside」、「Need You Tonight」へと続きます。さらにディープなソウルバラード「The Loved One」や「Never Tear us Apart」、軽妙な1曲「Mystify」、適度に現代的な「Wildlife」、ひたすらワイルドでダイナミックなロックンロール「Kick」、ファンキーなギターフレーズとラップ調ボーカルが気持ち良い「Calling All Nations」、ラストにふさわしいアップテンポの「Tiny Daggers」と、全12曲でトータル39分という非常にコンパクトで聴きやすい内容。ロックバンドのアルバムとしては完璧すぎる構成、内容ではないでしょうか。

もしROLLING STONESが80年代に誕生していたら、きっとこんなオリジナルアルバムを作ったんじゃないか、なんてことを当時思ったりもしましたが、それくらい当時のINXSは「僕ら世代のストーンズ」と言いたくなる存在(少なくとも自分にとっては)。一時期こんなバンドを作りたいと思ったし、20代前半の自分にとってお手本となっていたのはこのアルバムでした。



▼INXS『KICK』
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投稿: 2017 05 19 12:00 午前 [1987年の作品, Inxs] | 固定リンク

2017/05/17

DEPECHE MODE『MUSIC FOR THE MASSES』(1987)

1987年秋にリリースされた、DEPECHE MODE通算6枚目のスタジオアルバム。本作に先駆け、同年春に「Strangelove」(全米76位、全英16位)がシングルリリースされ、続いて夏にオープニングトラック「Never Let Me Down Again」(全米63位、全英22位)をシングル発売。そしてリリースされたアルバムは全米35位、全英10位というアメリカでは過去最高の成績を残し、売上も全米では100万枚を突破しております。本作での成功が、続く7thアルバム『VIOLATOR』(1990年)の大ヒットにつながるわけです。

DEPECHE MODE自体は前作『BLACK CELEBRATION』(1986年)で初めて触れて、その明るくなりきれないエレポップサウンドに惹きつけられたわけですが、初めて自腹で買ったアルバム(CD)がこの『MUSIC FOR THE MASSES』だったのです。それは先に挙げた2枚のシングル「Strangelove」「Never Let Me Down Again」がお気に入りだったこともあったのと、なんとなくアートワークに惹きつけられてというのが大きくて。一見シンプルなんだけど、実はめちゃくちゃ深い意味が込められているんじゃないかって。

あと、初盤のCDにはボーナストラックとしてリミックスが何曲か追加収録されていたんですよ。今思えば、別にDJをやるわけでもないし、絶対に1、2回聴いたら飽きるはずなのに、曲数が少しでも多いってことでアナログよりCDのほうが絶対にお得だ!と子供ながらに思ってしまったんでしょうね。

ちなみに「Never Let Me Down Again」はオリジナルバージョンよりも、イントロに大げさなオーケストレーションが追加&エクスパンドされたリミックスバージョンのほうが気に入っています。のちにリマスタリング再発されたバージョン(CD1枚もの)はこれらのボーナストラックが省かれていたので、あとあとiTunesで探した記憶があります。

さて、本編について。オープニングの「Never Let Me Down Again」から仰々しく、かつ淡々として冷たさのあるデイヴ・ガーン(Vo)のボーカルに惹きつけられます。この派手はリズムも当時の流行りだったような。もちろん全編こういうリズムではなく、賛美歌のようなイントロから軽快な曲調へと変化する「Sacred」や、ダンサブルなエキゾチックポップチューン(と呼びたい)「Behind The Wheel」、吐息をサンプリングしてリズムを組み立てていく「I Want You Now」みたいな曲も含まれているんだけど、オープニングの雰囲気とエンディング「Pimpf」のダークさが相まって、結局全体的に非常に“冷たい”印象の残るアルバムと呼ぶことができます。

そんなアルバムに対して『MUSIC FOR THE MASSES』(「大衆音楽」の意)というタイトルを付けてしまうバンドの遊び心には、思わずニヤッとしてしまいます。とはいえ、メロディラインは非常に優れた楽曲ばかりなので、あながち間違ってはいないわけですけどね。

個人的にはここから続く3作品(『MUSIC FOR THE MASSES』、『VIOLATOR』、そして1993年の『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』)は今でも聴き返すことの多い名盤だと思っています。



▼DEPECHE MODE『MUSIC FOR THE MASSES』
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投稿: 2017 05 17 12:00 午前 [1987年の作品, Depeche Mode] | 固定リンク

2017/05/13

FOREIGNER『INSIDE INFORMATION』(1987)

FOREIGNERというと、80年代前半に発表された2枚のアルバム……『4』(1981年)と『AGENT PROVOCATEUR』(1984年)と、各アルバムからシングルカットされた「Waiting For A Girl Like You」(全米2位)と「I Want To Know What Love Is」(全米1位)というバラード2曲の印象が強いですが、個人的に好きなアルバムは?と問われると、ルー・グラム(Vo)在籍時第1期ラストアルバムの『INSIDE INFORMATION』なんですよね。

このアルバムが発売される10ヶ月前、1987年2月にルー・グラムは初のソロアルバム『READY OR NOT』を発表。シンプルでストレートなロックを中心としたこのアルバムからは、「Midnight Blue」(全米5位)というヒットシングルも生まれ、もっとこういうサウンドをFOREIGNERでもやればいいのに……と思っていたところにFOREIGNER再始動、ニューアルバムからの先行シングル「Say You Will」がリリース。哀愁のメロディを伴うハードロック調の楽曲は個人的にも好物だったので、当然アルバムにも期待しました。

完成したアルバムは、良くも悪くもルー・グラムとミック・ジョーンズ(G)のカラーが二分して表現された内容で、今思えばバンドの終焉を迎えようとしていることがここに明確に表れていたんだなと。とはいえ、各曲の仕上がりはさすがとしか言いようがなく、“産業ロック万歳!”と叫びたくなるハードポップ「Heart Turns To Stone」からスタートし、バラード風のミドルテンポ「Can't Wait」、「Say You Will」同様に全米トップ10入りしたバラード「I Don't Want To Live Without You」、ルーのソロアルバムにも通ずるストレートなロック「Counting Every Minute」と、2人のカラーが個別に色濃く表れた楽曲が並びます。

後半もそのバランス感は崩れることなく、ミック主導のハードポップ「Inside Information」、イントロと本編の対比が気持ち良いハードチューン「The Best Of My Heart」、シンセを前面に打ち出した泣き曲「Face To Face」、これぞ産業ロックバラードといわんばかりの「Out Of The Blue」、ラストを飾るにふさわしいアメリカンロック「A Night To Remember」と緩急自在の選曲で楽しませてくれます。

アレックス・サドキン(DURAN DURANやTHOMPSON TWINSなどを手がけるポップ系プロデューサー)と制作した前作『AGENT PROVOCATEUR』の大ヒットとそれまでのバラード路線を推し進めようとしたミック、ソロ活動を経てよりシンプルかつストレートにロックがしたいルー。そのギリギリの均等関係は本作を最後に崩れ、のちにルーはバンドを脱退。アルバムも70年代から続いた全米トップ10入りを逃し(全米15位)、セールス的にも100万枚と過去の作品と比べれば低調に終わります。

しかし、アルバム自体の出来が悪いとは言いがたく、HR/HM全盛期の中で大健闘した1枚だったと思います。BON JOVIが大ヒットを果たしたタイミングだけに、「Say You Will」のような楽曲がちゃんと受け入れられたのも個人的には興味深かったし、バラード以外でもちゃんと勝負できるんだという底力を最後に見せつけられた良作と断言したいです。



▼FOREIGNER『INSIDE INFORMATION』
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投稿: 2017 05 13 12:00 午前 [1987年の作品, Foreigner] | 固定リンク

2017/05/11

FLEETWOOD MAC『TANGO IN THE NIGHT』(1987)

FLEETWOOD MACというと、僕らの世代にとっては「昔『噂』というアルバムがアメリカでバカ売れしたポップグループ」という程度の印象しかなく、いわば「ロックやポップスの教科書に載るような、過去の偉人」的な扱いでした。しかし、ちょうど中学生の頃にスティーヴィー・ニックスが『ROCK A LITTLE』(1985年)を発表し、そこから「Talk To Me」「I Can't Wait」といったシングルヒットが生まれたことから当時よく耳にしていました。当然アルバムもレンタルで聴いた記憶があります。

そのスティーヴィーがFLEETWOOD MACの一員だということ、そして当のFLEETWOOD MACが1987年にアルバムをリリースするということをなんとなく把握しており、そんな中リリースされたのが彼らにとって通算14枚目のアルバム『TANGO IN THE NIGHT』でした。

先行シングル「Big Love」の、バンドサウンドというよりもどこかデジタル色の強い作風はもはや当時の流行なので今さら批判するつもりはありません。この軽快な楽曲が全米チャートTOP10入りし、MVをよく目にするようになったことで興味を持ち、結果アルバムを聴くきっかけをくれたのですから。

そもそもスティーヴィーがボーカルのはずなのに(という当時の認識)、この「Big Love」では男性(リンジー・バッキンガム)が歌い、スティーヴィーは吐息の掛け合いのみ。どういうこと?と思いながらアルバムを聴くと、さらにクリスティン・マクヴィーという3人目のシンガーまで存在することを知る。アルバムはリンジーの歌う「Big Love」から始まり、スティーヴィーがメインボーカルの「Seven Wonders」、クリスティンが歌う「Everywhere」と曲ごとにシンガーが入れ替わる体制だったのです。しかも曲調もシリアスなものからユルいポップスまで、リードシンガーによってソングライターが変わるわけですから、曲調もさまざま。なんとなくオムニバスアルバムを聴いてるようで、ひとつのバンドの作品を楽しむという感覚は皆無だった気がします。

ただ、当時高校生だった自分には(そしてMTVで育った世代にとっては)この作風は意外と良かったのかもしれません。事実、このアルバムを当時何度もリピートしたわけですから。先の冒頭3曲はシングルカットされ、それぞれヒットを記録。さらにクリスティンが歌う「Little Lies」もトップ10ヒット、リンジーが歌う「Family Man」も小ヒットとなり、結果として「ヒットシングルのコンピレーションアルバム」と呼ぶにふさわしい内容になってしまったのですから。

もちろんそれ以外にも80年代的なドラムビートを軸にした、どこか宗教的なカラーの「Caroline」、ヘヴィさを前面に打ち出した「Tango In The Night」、歪みの効いたギターが気持ち良いアップチューン「Isn't It Midnight」、スティーヴィーの嗄れた歌声とアコースティックギターの音色の相性抜群な「When I See You Again」、本編ラストを飾る軽やかなポップチューン「You And I, Part II」など良曲が豊富。ポップさを軸にしつつも、哀愁味あふれるリンジーのギターをフィーチャーした楽曲も多く、そのへんも聴きどころのひとつかなと。

先日、リリース30周年を記念したデラックス盤が発売され、久しぶりに本作を聴き返してみたら、思いのほか今の自分でも楽しめる内容だったので、ここで取り上げてみようかと思った次第です。個人的にはデラックス盤のアルバム未収録曲や各曲のデモトラックも存分に楽しめました。ちなみに日本盤は5月24日発売ですので、対訳や解説も楽しみたい人はもう少しの辛抱。



▼FLEETWOOD MAC『TANGO IN THE NIGHT』
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投稿: 2017 05 11 12:00 午前 [1987年の作品, Fleetwood Mac] | 固定リンク

2017/03/25

FASTER PUSSYCAT『FASTER PUSSYCAT』(1987)

5月に開催される『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』で久しぶりの来日公演が決まったFASTER PUSSYCAT。いつ以来なんでしょうね……メジャーに在籍していた頃は日本公演を行っていた記憶があるので、おそらく90年代初頭以来になるのかしら。

ちょうど日本でGUNS N' ROSESがデビューしたのと同時期に国内盤がリリースされた、FASTER PUSSYCATの1stアルバム。僕も『APPETITE FOR DESTRUCTION』とほぼ同じタイミングにFASTER PUSSYCATも聴いたんですが、ぶっちゃけ初聴ではFASTER PUSSYCATのほうが気に入ってたんです。だって、わかりやすいじゃないですか。ガンズは最初「なんだかわからないけど、すごい……」という強烈なインパクトを残したけど、楽曲がスッと体に入ってくるには数回聴き返す必要があった。でもFASTER PUSSYCATのほうは一回聴けば「ああ、AEROSMITHになりたいのね。NEW YORK DOLLSになりたいのね」とか全部が理解できてしまう。演奏の下手具合含めて、妙に愛せるんですよね。

たぶん最初に聴いたのは、アルバム2曲目「Bathroom Wall」。MTVか『PURE ROCK』で観たMVだったと思います。あれ、『PURE ROCK』ってもう始まってたんだっけ? まぁいいか。とにかく、POISONほどケバくなく、あそこまでメタリックでもない。スタジオ音源なのに、なんとなく演奏の下手さが伝わってくるユルさとスカスカさ。なのに、一度聴いたら耳から離れない歌メロとギターフレーズ。嫌いになれるわけがないじゃないですか。

アルバム全体もルーズな「Don't Change That Song」から始まり、NEW YORK DOLLSまんまなアップテンポの「Cathouse」、BEASTIE BOYS「Fight For Your Right (To Party)」に対するハードロックサイドからの回答みたいな「Babylon」など、意外とバラエティに富んでいる。しかもどの曲も適度なキャッチーさが備わっているから、アクが強くてもスルスルと聴き進めてしまう。でもそれが仇となって、数回聴いたらもういいや……と思えてしまう難点もあるのが、このアルバムの惜しいところ。結局1、2ヶ月したらこっちよりガンズばかり聴いてたんだよね。

もうね、比べる相手が悪かったなと。ゴメンよ、FASTER PUSSYCAT。きっと今も演奏はそんなに上手にはなってないと思うけど(いや、上手になっていたらそれはそれでガッカリするかもしれない)、リリースから30年経った2017年に聴くと意外と新鮮に楽しめたよ。でも、またすぐに飽きがこないように、適度なペースでリピートしたいと思います。



▼FASTER PUSSYCAT『FASTER PUSSYCAT』
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投稿: 2017 03 25 12:00 午前 [1987年の作品, Faster Pussycat] | 固定リンク

2017/03/19

OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』(1987)

このアルバム『TRIBUTE』の主人公、ランディ・ローズというギタリストは今から35年前の今日、突然この世から去ってしまいました。僕がHR/HMを聴き始めるちょっと前の出来事で、僕がオジー・オズボーンというHMアーティストを知ったときにはすでにその隣にはジェイク・E・リーという日系ギタリストが立っていました。

『TRIBUTE』は1987年3月19日、まさにランディが亡くなってから5年経ったその日にリリースされた2枚組(アナログのみ。CDは1枚)ライブアルバムです。実は僕自身オジーの作品に関して、当時はまだリアルタイムで発表されたアルバムしか聴いておらず、この『TRIBUTE』を通じて初めて『BLIZZARD OF OZZ』や『DIARY OF A MADMAN』の楽曲に触れました。いや、もしかしたら一部のBLACK SABBATHナンバーもここで初めて聴いたのかな。ちょっと記憶があやふやですが。あと、オジーのライブではおなじみ、オープニングSEに使われているあのクラシッックナンバーが、カルミナ・ブラーナの「おお、運命の女神よ(合唱)」だと知ったのは、もうちょっと時間が経ってからのことでした。

ボーカルに関してはオジーがあとからダブルで録り直していますが、そのほかの演奏に関しては(特にギターパートは)無修正。ところどころにミスも見られますが、それがライブならではの緊張感を生み出しており、他のオジーのライブ作品とは異なる空気感を作り上げています。

楽曲に関しては、今さらここで書くまでもないでしょう。名曲しか入っていません。そんな中でも特に「Mr. Crowley」は、オリジナルのスタジオバージョンを超える仕上がりだと思います。僕が『TRIBUTE』を先に聴いてしまったからというのもありますが、『BLIZZARD OF OZZ』でのスタジオバージョンはちょっと物足りないような……って贅沢言ってますね。

圧巻なのは、「Revelation (Mother Earth)」〜「Steal Away (The Night)」の組曲的構成と、それに続くトミー・アルドリッジのドラムソロ、そこからランディの長尺ギターソロを含む「Suicide Solution」でしょうか。この山場があるから、そのからサバス3連発(「Iron Man」「Children Of The Grave」「Paranoid」)でライブ本編を大盛り上がりで締めくくれるわけです。

そうそう、本作には唯一のスタジオトラックにしてレア音源の「Dee (Randy Rhoads Studio Out-takes)」が、アルバムの最後に収録されています。『BLIZZARD OF OZZ』に収録されているクラシックギターのインスト「Dee」のアウトテイクなわけですが、ギターを爪弾きながらところどころで飛び出すランディの生声になぜか涙腺が……本来なら世に出すべき音源ではないのかもしれませんが、このテイクがラストに置かれることで温かい気持ちでこのアルバムを聴き終えることができる、絶対になくてはならない音源なのです。

このアルバム、最初はレンタルで借りたんだよね。しかもレコードだったなぁ……いつ聴いたんだっけ。中学卒業したあとの春休み? それとも高校に入学してから? それは記憶が定かじゃないんだけど、間違いなくこの年よく聴いたアルバム(というかカセット)のひとつでした。そして今でもパソコンやスマホの中に必ず入っているアルバムのひとつでもあります。

今日は『TRIBUTE』だけじゃなくて、『BLIZZARD OF OZZ』も『DIARY OF A MADMAN』も聴き返してみようかな。



▼OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』
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投稿: 2017 03 19 12:00 午前 [1987年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/03/17

TNT『TELL NO TALES』(1987)

TNTといえば、日本では1989年の4作目『INTUITION』がスタンダードかもしれませんが、僕としてはその前作『TELL NO TALES』のほうがこのバンドらしくていいな、と勝手に思っています。事実、最初に聴いた彼らのアルバムもこの『TELL NO TALES』でしたし。

2ndアルバム『KNIGHTS OF THE NEW THUNDER』(1984年)レコーディング直前に加入したトニー・ハーネル(Vo)が、楽曲制作でも本格的に参加したのが1987年リリースの3rdアルバム『TELL NO TALES』。すでに本国ノルウェーではそれなりに人気のあったTNTですが、このアルバムは初にして唯一の本国1位を獲得しています。シングルカットされた「10,000 Lovers (In One)」もノルウェーチャート2位を記録。また、アルバムはアメリカでも初めてBillboardにチャートイン(100位)するなど、世界規模でも少しずつ成功を収めつつありました。

「Everyone's Star」からスタートする本作は、トニー・ハーネルのハイトーンボーカルとロニー・ル・テクロ(G)の圧倒的にテクニカルなギタープレイに魅了される作品集。同曲、そして続く「10,000 Lovers (In One)」はともにシングルカットされるだけあって、非常にポップで親しみやすいメロディを持つ楽曲たちです。そこからライブの定番アップチューン「As Far As The Eye Can See」へと流れる冒頭3曲の構成は、TNTの全作品の中でも出色の出来だと思います。

テクニカルなギタープレイが耳に残る1分少々のインスト「Sapphire」が次曲の序章的な盛り上がりを作ると、続く「Child's Play」ではトニーの圧倒的な歌とQUEEN的なオーケストレーションが楽しめる。そこから再びクラシックギターによる短尺インスト「Smooth Syncopation」へと流れていき、「Listen!」のハーモニーが静寂を切り裂くかのように「Listen To Your Heart」へと突入。さらにヘヴィなミドルナンバー「Desperate Night」、泣きの名バラード「Northern Lights」とクライマックスに向けて盛り上がっていきます。そして、終焉を告げるドラマチックなインスト「Incipits」から高速メタルチューン「Tell No Tales」で幕を下ろす。ここまで約30分、本当にあっという間です。

次の曲の序章的インストが3曲も入っているので、全11曲とはいえ歌モノナンバーは計8曲。しかもトータルランニング30分というのは1987年当時としても非常に短い作品です。特に時代はアナログからCDへと移行しつつあった時期ですから。でも、長ければいいってもんじゃない。ここまでバラエティに富んでいて完璧な内容を30分に凝縮できているんだから、当時のTNTは只者じゃなかったんだと思います。ここでの成功が、続く『INTUITION』へとつながるわけですからね。

北欧メタルとか呼び方がいろいろあって何が正解かわからないけど、この『TELL NO TALES』に関しては純粋に“ヨーロッパ出身のHR/HMバンドの作品として優れた1枚”、それで十分だと思います。



▼TNT『TELL NO TALES』
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投稿: 2017 03 17 12:00 午前 [1987年の作品, TNT] | 固定リンク

2017/03/12

KISS『CRAZY NIGHTS』(1987)

KISSが1987年秋に発表した通算14枚目のオリジナルアルバム『CRAZY NIGHTS』。『LICK IT UP』(1983年)で初めてメイクを落として人前に姿を現し、同作を携えたツアーも大成功。続く『ANIMALIZE』(1984年)、『ASYLUM』(1985年)も時代の流れを敏感に察知し、70年代のポップロック路線からタフでハード&ヘヴィな路線へとシフトチェンジを遂げます。が、世の中的には「KISSにそんなもの求めてねーよ」と言わんばかりに、じわじわとセールスを落とす結果に。そして1986〜87年に迎えた本格的なHR/HMブームに対してKISSが出した答えが、この『CRAZY NIGHTS』でした。

当時のメンバーはポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)のオリメンに二代目ドラマーのエリック・カー(Dr, Vo)、そして前作『ASYLUM』から参加のブルース・キューリック(G)という布陣。プロデューサーにはHEARTの復活作『HEART』(1985年)やオジー・オズボーン『THE ULTIMATE SIN』(1986年)、そしてSURVIVOR『VITAL SIGNS』(1984年)や『WHEN SECONDS COUNT』(1986年)などを手がけてきたロン・ネヴィソンを迎え、“1987年という時代を意識しつつも世間がKISSに求めるもの”を的確に形にした“KISS流産業ハードロック”と呼ぶにピッタリな1枚を完成させました。

シングルカットもされた「Crazy Crazy Nights」からスタートするこのアルバム。ライブでの大合唱を意識しつつも、しっかりラジオやMTVでオンエアされることも意識した、本当によくできた1曲です。残念ながらアメリカでは65位と大ヒットにはつながりませんでしたが、一方でイギリスでは4位という大成功を収めています。で、ここからハード路線の「I'll Fight Hell To Hold You」、キャッチーなスタジアムロック「Bang Bang You」とポールVo曲が3曲続きます。これもKISSにしては珍しいことですよね。

4曲目「No, No, No」でようやくジーンVo曲登場。ブルースのアグレッシヴなギタープレイを全面フィーチャーした、メタリックなファストチューンです。続く「Hell Or High Water」もジーンVo曲で、70年代の雰囲気にも通ずるものがありつつもしっかり現代的な側面も打ち出されたミドルナンバー。ポールが歌う6曲目「My Way」はシンセが前面に出た、これぞ“産業ハードロック”と言いたくなるキャッチーな1曲です。サビのメロディ進行や開け方は、ちょっとやそっとじゃ真似できない強みが感じられます。

7曲目「When Your Walls Come Down」は、ポールのハイトーンとジーン&エリックの掛け合いコーラスを効果的に用いたハードチューン。続く「Reason To Live」は本作唯一のバラードですが、通常のパワーバラードとはちょっと違った雰囲気を持っています。例えるならば……ロン・ネヴィソンだからというわけじゃないですが、HEARTの「What About Love」的な雰囲気と言いましょうか。KISSらしい楽曲とは言い難いですが、このアルバムの中では何の違和感もなく聴けてしまいます。

本作3曲目となるジーンVo曲「Good Girl Gone Bad」は、ロックンロールのマナーに添いつつもKISSらしいメロ運びをする独特な1曲。今作における絶妙なアクセントとなっています。10曲目「Turn On The Night」もシンセを前面に打ち出したポップチューンですが、“ラジオやMTV狙ってます”的ないやらしさも同じくらい強く感じられます。ダイアン・ウォーレンが楽曲制作に関わってることも関係あるんでしょうか。そしてラストはジーンVoのヘヴィな「Thief In The Night」で幕を下ろします。

全11曲中ジーンVo曲が4曲のみというのは前作『ASYLUM』、前々作『ANIMALIZE』と変わらないのですが、冒頭のポールVo曲3連発のインパクトが強いせいか、どうにも本作は「ポールがひとり気合い入れて頑張った作品」というイメージが拭えません。だからこそ、ジーンのマイペースぶりが発揮された4曲がいいアクセントになっているのも事実。リリースから30年経った2017年に聴くと若干古さを覚えるサウンドアレンジもありますが、楽曲の質自体は非常に高いものばかり。意外と最近のKISSにも通ずる要素もあるので、80年代の彼らに触れるならまずはこのアルバムから……というのもアリだと思います。



▼KISS『CRAZY NIGHTS』
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投稿: 2017 03 12 12:00 午前 [1987年の作品, KISS] | 固定リンク

2017/03/11

MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987)

昨日のAC/DCの記事で触れ忘れましたが、1987年前後にAC/DCの名前を挙げ始めたのは何もRATTやGUNS N' ROSESだけではなく、MOTLEY CRUEもだったんですよね。確か1987年から始まった『GIRLS, GIRLS, GIRLS』ツアーではAC/DCの「Highway To Hell」をカバーしていた記憶も。思えばAEROSMITHが本格的再ブレイクする前に彼らのことを持ち上げたのも、RATTとMOTLEYでしたしね。

ということで、今日はMOTLEY CRUEが1987年初夏にリリースした通算4枚目のアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』を紹介したいと思います。アルバムごとにサウンドスタイルやヴィジュアルを一新し、常に流行の最先端を追い続けていた80年代のMOTLEY CRUE。前作『THEATRE OF PAIN』(1985年)ではグラムロックや70年代のAEROSMITH的ルックスに、ヘヴィメタルというよりはグラムHRというようなライト路線へとシフトチェンジし、大成功を収めましたが、今作『GIRLS, GIRLS, GIRLS』では世の中がグラムメタルで賑わう中、そのスタイルを捨ててマッチョ&ワイルドな路線へ。サウンドもより生々しさを伴うロックンロール色の強いHRサウンドへと進化させています。

『GIRLS, GIRLS, GIRLS』のアルバムジャケットでハーレー・ダビッドソンにまたがるヴィンス・ニール(Vo)とニッキー・シックス(B)。表題曲「Girls, Girls, Girls」のMVではヴィンスやニッキーのみならず、トミー・リー(Dr)やミック・マーズ(G)までもがハーレーを乗り回し、ストリップ小屋を散策します。まさに“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”の三種の神器がぴったりなスタイルを地でいくとはこのこと。もともと彼らにはその要素が見え隠れしていましたが(前作ではそれ以上に、パーティ感が強かった印象ですが)、ここまで開き直って直球を放たなくても……と思ってしまったのも事実です。

当時のツアーで披露した360度回転ドラムの場面をフィーチャーしたMVも印象的な「Wild Side」からスタートするこのアルバム。そのまま「Girls, Girls, Girls」へと流れていく頭2曲の構成は完璧です。どこかソウルフルな雰囲気もある3曲目「Dancing On Glass」は若干地味な印象がありますが、歌詞はニッキーのドラッグ体験を歌ったもので味わい深い(苦笑)ものがあります。タイトルからして直球な「Bad Boy Boogie」も女性コーラスが入ることで、前曲以上にソウルやゴスペルチックな色合いが。亡くなった祖母のことを歌ったショートバラード「Nona」は前作における「Home Sweet Home」とは異なるタイプ/立ち位置ながらも、本作において一瞬の安らぎを与えてくれます。

アナログB面は「Five Years Dead」「All In The Name Of…」と、シンプルなロックンロールからスタート。「Sumthin' For Nuthin'」も決して派手さはないけど、どこか引っかかりがある不思議な曲。この『GIRLS, GIRLS, GIRLS』というアルバムの収録曲は、シングルリリースされた冒頭2曲が持つ派手さと、この「Sumthin' For Nuthin'」みたいに“派手になりきれず、どこか地味”に二分されるんですよね。前者にばかり目を奪われて他の曲の良さに気づかないまま、「『GIRLS, GIRLS, GIRLS』って評判のわりに、あんまり良くないよね?」と切り捨ててしまうには本当に惜しい1枚。実はスルメ度という意味では、1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1982年)に匹敵するのではないかと思っています。

9曲目には、本作後半のハイライトとなるパワーバラード「You're All I Need」が登場。MOTLEY CRUEではトミー・リーがドラムとピアノを兼務するため、当時のツアーでこの曲は披露されていなかったと記憶しています(「Home Sweet Home」みたいにピアノパートとドラムパートが別個じゃなくて、同時に鳴っているしね)。また、歌詞も非常にダーク(恋人を永遠に自分のものにしたくて殺してしまうという内容)なため、3rdシングルとしてリカットされるも大ヒットにはつながりませんでした(全米83位。でも「Home Sweet Home」も89位だったし、同じようなもんか)。

そしてラストがエルヴィス・プレスリー「Jailhouse Rock」(邦題:監獄ロック)のライブカバー。これ、当時はてっきりライブ音源だと思ってましたが、擬似ライブテイクなんですよね? リリースされた頃はヴィンスの“リアル監獄入り”を記念して演奏されたとかいろんな話がありましたけど、前作における「Smokin' In The Boys Room」ほどじゃなかったかなと。まぁライブでは盛り上がるセレクトなので(だからこその擬似ライブアレンジなのかな)、これはこれでアリかと。

で、本作は2003年のリマスター&リイシューの際にボーナストラックが多数追加されています。「Nona」のでもインストバージョンのアレンジ、カッコいいじゃない。これはこれで仕上げられたバージョンを聴きたかったなぁ。あと個人的には、未発表のバラード「Rodeo」をなぜちゃんとブラッシュアップしてリリースしなかったのかと問いたい……まぁ、これも入れたら“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”言うてるのにバラードばかりになっちゃうか。

ちなみに本作。当時としては過去最高の全米2位を記録。全米のみで現在までに400万枚以上のセールスを記録しています。ツアーではNasty Habitsと命名されたセクシーな女性コーラス隊を引き連れていたのも記憶に残っています。また『WHITESNAKE』リリース直後のWHITESNAKEや、『APPETITE FOR DESTRUCTION』でデビューしたばかりのGUNS N' ROSESをオープニングアクトに採用。全米ツアーは大成功を収め、19897年12月には初の日本武道館公演を含むジャパンツアーも大成功させました(自分が初めてMOTLEY CRUEを観たのもこのときでした)。が、帰国後の12月23日、ニッキーはヘロインのやりすぎで心肺停止状態に。のちに無事蘇生するものの、さらに “俺はある時期、ニッキー・シックスだった”という替え玉裁判まで持ち上がり、音楽面以外で再び世間を賑わせることになります(苦笑)。



▼MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』
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投稿: 2017 03 11 12:00 午前 [1987年の作品, Motley Crue] | 固定リンク

2017/02/03

WHITESNAKE『WHITESNAKE (or“1987”)』(1987)

まず最初に。今回、かなり長いです。それだけ語ることが多い作品であり、しっかり語らなくてはならない1枚だと思っているので、ぜひ時間があるときに読んでいただきたいと思います。


1987年春にリリースされたWHITESNAKEの通算7枚目のスタジオフルアルバムにして、同年を代表するHR/HMの1枚。レコーディングメンバーはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)、ジョン・サイクス(G)、ニール・マーレイ(B)、エインズレー・ダンバー(Dr)の4人。「Here I Go Again」のみギターソロでエイドリアン・ヴァンデンバーグが参加しています。ちなみに本作を携えたワールドツアーではデヴィッド以外のメンバーを総入れ替えし、エイドリアン、DIOを脱退したヴィヴィアン・キャンベル(G)、オジー・オズボーンのリズム隊でおなじみのルディ・サーゾ(B)&トミー・アルドリッジ(Dr)の5人編成でライブが行われました。

本作は全米2位という最高位を獲得し、1987年の年間アルバムチャートで16位、翌1988年の年間チャートでも19位にランクインし、現在までにアメリカのみで800万枚以上ものセールスを記録。本作からのシングルも「Here I Go Again」が全米1位、「Is This Love」が全米2位、「Give Me All Your Love」が全米48位、「Still Of The Night」が全米79位、特に「Here I Go Again」は1987年のビルボード年間チャートで7位に輝く大ヒット作となりました。1987年がいかにHR/HMの年だったかが伺える事象かと思います。

とはいえこのアルバム、当時は古くからのWHITESNAKEファンにとってはある種の踏み絵というか、なんとも受け入れがたいアルバムだったと記憶しています。だって前作『SLIDE IT IN』(1984年)までギリギリ保っていたブルースベースのブリティッシュハードロック色が払拭され、完全にアメリカナイズされたサウンドと曲調になっているんですから。本作に続く1989年の8thアルバム『SLIP OF THE TONGUE』なんて、さらにもってのほかだと思いますよ。

さて。実は本作には大まかに3つのバージョンが存在していることはご存知でしょうか。そもそも1987年のリリース時点で2つのバージョンが存在し、2000年代に入って新たにもう1バージョン増えるという、名盤のくせに異色の存在なのです。

まず、よく知られた日本盤およびアメリカ盤の収録内容。


01. Crying In The Rain
02. Bad Boys
03. Still Of The Night
04. Here I Go Again [ここまでがアナログA面]
05. Give Me All Your Love
06. Is This Love
07. Children Of The Night
08. Straight For The Heart
09. Don't Turn Away


この曲順に慣れ親しんだという現在40代以上のメタルファン、多いんじゃないでしょうか。ちなみに『サーペンス・アルバス(白蛇の紋章)』の邦題でおなじみの本作、日本盤は長きにわたり廃盤状態。初盤は当時CBSソニーからリリースされていましたが、本作のUS盤リリース元のGeffen Recordsの配給が現在のユニバーサルミュージックに移ったあたりから、中古市場でしか見かけない状況です。2000年代半ばに限定仕様の紙ジャケ盤が一、二度再発されましたが、通常のプラケース盤は再発なし。非常に残念でなりません。

で、本作のイギリスやヨーロッパでのリリース元は、それ以前の作品同様EMI Records。ヨーロッパでは過去にデヴィッドのソロ名義で『WHITESNAKE』というタイトルのアルバムが出ていることから、『1987』という別名で発売されました。


01. Still Of The Night
02. Bad Boys
03. Give Me All Your Love
04. Looking For Love [ここまでがアナログA面]
05. Crying In The Rain
06. Is This Love
07. Straight For The Heart
08. Don't Turn Away
09. Children Of The Night
10. Here I Go Again [CDのみ収録]
11. You're Gonna Break My Heart Again [CDのみ収録]


日本盤およびUS盤と曲順が全然違いますよね。正直曲の流れはヨーロッパ盤のほうがいいと思いますが、ヘヴィブルースに生まれ変わった「Crying In The Rain」から始まり「Don't Turn Away」で感動的に終わる流れに慣れてしまった耳には最初は違和感があったのも正直なところ。うん、双方捨てがたい。

「Crying In The Rain」と「Here I Go Again」はヨーロッパでは既発曲(2曲とも1982年のアルバム『SAINTS & SINNERS』収録)だけどUSで未発表だったのでリメイクされたという経緯があり、特に「Here I Go Again」はイギリスでシングルカット済みということもあってアナログ盤には未収録。代わりにヘヴィバラード「Looking For Love」が収められています。さらにCDのみに収録の「You're Gonna Break My Heart Again」、これがめちゃくちゃカッコいい。正直「Looking For Love」と「You're Gonna Break My Heart Again」のためだけにヨーロッパ盤を手に入れるのもアリだと思います(ちなみにこの2曲、日本では企画盤『1987 VERSION』に収録。ダン・ハフがギターソロを弾くアレンジが微妙な「Here I Go Again」なども入っているので、中古盤で見かけたら手にしてみるのもいいかと)。

そして最後が、2007年に発売された「20th Anniversary Edition」。こちらはヨーロッパ盤CDを基準に、曲順が再考されています。


01. Still Of The Night
02. Give Me All Your Love
03. Bad Boys
04. Is This Love
05. Here I Go Again
06. Straight For The Heart
07. Looking For Love
08. Children Of The Night
09. You're Gonna Break My Heart Again
10. Crying In The Rain
11. Don't Turn Away
12. Give Me All Your Love (Live)
13. Is This Love (Live)
14. Here I Go Again (Live)
15. Still Of The Night (Live)


M-12〜15は2006年発売のライブアルバム『LIVE: IN THE SHADOW OF THE BLUES』のテイク。本作のDVD付き仕様のみに収められていて、CD単品仕様にはこのライブテイクは未収録のようです。

日本盤、ヨーロッパ盤それぞれの曲順に耳が慣れた後にこのバージョンを聴くと、微妙な気持ちになります。なぜこの曲順に直したんでしょうね、理解に苦しみます。どこかライブの流れに近いものを感じるので、そういう意味合いもあるのかしら……。


あ、肝心の中身についても触れておかないと。

THIN LIZZY末期にギタリストとして知名度を上げ、1984年の『SLIDE IT IN』リリース後にWHITESNAKEに加入したジョン・サイクス。彼は『SLIDE IT IN』をUSリリースする際にギターソロを追加録音していますが、ソングライティングから本格的なレコーディングまで含めると、この『WHITESNAKE』が初の全面参加作品なわけです。しかもほとんどの曲をデヴィッドとジョンが書いていること、いや、おそらくメインはジョンが書いているんでしょう(脱退後にそう力説してましたし、自身のライブでもこのアルバムの曲をセルフカバーしてましたしね)。それが『SLIDE IT IN』以前との大きな違いであり、この変化の原因(古くからのファンには元凶なのかな)であるわけです。

実際、HR/HMとしては非常に魅力的な楽曲ばかりですし、ギターリフ、ギターソロどれを取っても素晴らしい。それに応えるデヴィッドのボーカルも非常に艶やかでアグレッシヴ。「Still Of The Night」や「Crying In The Rain」でのロバート・プラントばりのシャウト、「Is This Love」や「Don't Turn Away」で魅せる渋みと哀愁、どれも素敵としか言いようがないわけです。隙がないアルバムとはまさにこのこと。この春でリリースから30年経ちますが、今聴いてもまったく色褪せない、本当に最高のHR/HMアルバムだと思います。

残念なのは、ジョンがこのアルバムの完成後にバンドを脱退したため、WHITESNAKEではこれらの楽曲をライブで弾いていないこと。ヴィヴィアンやエイドリアンのギターも悪くないですが、やはり絶頂期を迎えたジョン・サイクスという才能をWHITESNAKEとして観たかったものです。

ジョンの脱退後に発表されたこのアルバムが記録的大ヒット作となったことで、彼はデヴィッドへの復讐に執念を燃やすがごとく、のちに『WHITESNAKE』アルバムの義兄弟的バンド・BLUE MURDERを結成することになるのですが、それについてはまた明日。



▼WHITESNAKE『WHITESNAKE (or“1987”)』
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投稿: 2017 02 03 12:00 午前 [1987年の作品, Whitesnake] | 固定リンク

2017/01/16

DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』(1987)

1987年末にリリースされた、DOKKEN通算4枚目のアルバムにして、最初の解散前ラストのオリジナルアルバム。編成はドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)という黄金期の4人。昨年の『LOUD PARK』もこの4人でリユニオンショーが行われたので、覚えている方も多いかと思います。

1985年に発表された前作『UNDER LOCK AND KEY』が好成績を収め、内容的にもメロディアスかつ適度にハードという独自の路線をようやく確立させた彼ら。ちょうど1986年、BON JOVIの大ブレイクにより訪れたHR/HM一大ブームにより、DOKKENもついに日の目をみるか!?と期待される中、リリースされたのは『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある内容ではなく、よりギターを前面に押し出したヘヴィな作品でした。

アルバム発売前の1987年初頭には、本作にも収録された「Dream Warriors」を映画『エルム街の悪夢3 惨劇の館』の主題歌に提供。ギターがヘヴィになっているものの、路線的には『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある泣きメロHMで好意的に受け入れられた記憶があります。しかし、アルバム発売直前のリードトラックとして発表された「Burning Like A Flame」、これがいけなかった。2ndアルバム『TOOTH AND NAIL』(1984年)収録の「Just Got Lucky」をより陽気にしたような、脳天気なハードロックで、多くのファンが「うん、これじゃない」と思ったはずなんです。事実、僕も「思ってたのと違うなぁ……」と苦笑いしましたし。

そんな不安を抱えたまま発売を迎えたアルバム。オープニングの「Kiss Of Death」のギターリフにまずノックアウトされるわけです。「これぞジョージ・リンチのカミソリリフ!」と言わんばかりの激しいギターワークが楽しめる名曲なのですが、1曲目としての刺激が強すぎた。アルバムはその後も『UNDER LOCK AND KEY』で聴けた路線をよりヘヴィにして、ボーカルよりもギターが目立つような曲ばかりが続く。あげく、ドン・ドッケンの歌すら入らないインスト「Mr. Scary」まで登場するんですから、そりゃ呆気に取られますよ。

バンドはその後、1989年に解散を発表するわけですが、『UNDER LOCK AND KEY』という作品の成功を受けてドンとジョージのエゴがより肥大し、スタジオでバチバチやりあった結果、このいびつなパワーバランスの作品が完成した。そのままツアーに突入するも、ある日その緊張の糸が切れ、バンドは終焉を迎えた……ということなんでしょうね。解散後、ドンがDON DOKKENというバンドで“『UNDER LOCK AND KEY』の続き”みたいなアルバム『UP FROM THE ASHES』(1990年)を、ジョージとミックがLYNCH MOBを結成して『BACK FOR THE ATTACK』の延長線上にある『WICKED SENSATION』(1990年)を制作したことでも理解できると思います。

とはいえ、この『BACK FOR THE ATTACK』というアルバム。その緊張感がときに心地よく、ボーカルはボーカルで最善を尽くし、ギターはやりたい放題といういびつさがまた良かったりするんですよね。確かに「Burning Like A Flame」は蛇足感が強いけど、先の「Kiss Of Death」や「Heaven Sent」「So Many Tears」「Sleepless Night」のような曲は(もちろん「Dream Warriors」も)このタイミングじゃなければ成しえなかった完成度だと思いますし。

ただ、難点を挙げるならば、全13曲で63分というCDを意識した長さと、5弦ベースを使った低音を(当時の録音技術では)うまく表現しきれてないこと。前者は当時の流行りでもあり、同年にリリースされたDEF LEPPARD『HYSTERIA』、翌1988年発売のMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』、QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』がすべて60分超えということ。ちなみに全バンド、同じマネジメント所属ということから、CDが普及し始めたタイミングならではの方針だったんでしょうね。で、後者に関してはMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』にも言えることで、できることならリマスタリングならぬリミックスバージョンをいずれリリースしていただきたいなと。このギターの洪水を5弦ベースの低音で支えたら、さらにカッコ良くなると思うんですよね。

昨年来日したオリジナルラインナップでのDOKKENは、公演によっては「Kiss Of Death」からライブを始めています。某動画サイトに転がっていた映像で確認しましたが……もはや今のドンにはDOKKENの曲を、あの頃のように歌うことはできないことが嫌というほど伝わってきました。もうオリジナルDOKKENの復活はこれっぽっちも望んでいません。だから、せめてこの頃の栄光にドロを塗るような真似だけは止めていただきたいなと……ホント、頼みます。



▼DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』
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投稿: 2017 01 16 12:00 午前 [1987年の作品, Dokken] | 固定リンク

2016/12/27

GEORGE MICHAEL『FAITH』(1987)

WHAM!の解散が1986年6月で、ソロシングル「I Want Your Sex」リリースが翌1987年6月。WHAM!在籍中に「Careless Whisper」(1984年)、「A Different Corner」(1986年)の2曲をソロ名義で発表していたり、それらの楽曲がWHAM!のオリジナルアルバム(前者が2nd『MAKE IT BIG』、後者が『MUSIC FROM THE EDGE OF HEAVEN』)にも収録と、WHAM!解散後のソロ活動は当然の流れなわけで。

そりゃ「I Want Your Sex」を最初に聴いたときの衝撃は、相当なものでした。直接的なタイトルもそうですし、いわゆるポップミュージックのフィールドのど真ん中で戦ってきたWHAM!からよりアダルトな路線へと移行したそのサウンドにも、ただただビックリしたものです。

1987年秋、ついにリリースされた1stソロアルバム『FAITH』は、「I Want Your Sex」から想像できたアダルト路線をより突き詰めたものでしたが、予想よりも聴きやすい1枚でまた驚かされたのも、まるで昨日のことのように覚えています。当時高校1年生だった自分に“大人すぎず、子供すぎず”な絶妙なバランス感の上に成り立っていたこのアルバムは、当然のように全米&全英1位。アルバムからシングルカットされた5曲(「Faith」「Father Figure」「One More Try」「Monkey」「Kissing A Fool」)中、「Kissing A Fool」以外の4曲が全米1位を獲得し、アルバム自体もアメリカで当時700万枚、現在までに1000万枚超を売り上げるメガヒット作となりました。これは同年に発表されたマイケル・ジャクソンのアルバム『BAD』からの全米No.1シングル5曲に次ぐ大記録。そう考えると、1987年って本当に面白い年だったなぁ……。ちなみに、このアルバムは1988年のビルボード年間ランキングで1位、シングル「Faith」も1988年の年間チャートで1位という快挙を成し遂げています。WHAM!というスーパーグループはたった数年の活動で終了したものの、それ以上の成功をソロになっていきなり達成してしまったわけです。

事実、本作はそのセールスや記録に負けないだけの内容だと思います。賛美歌のようなオープニングに続いて、ボ・ディドリー調のリズムと意外なほどに音が薄いタイトルトラック「Faith」の意外性。アジアテイストのイントロ&ゴスペル調コーラスと同じくらい、一緒になれない男女(もしくは男同士)の別れをつづった歌詞が意味深な「Father Figure」から、ストレートな「I Want Your Sex」への流れ。ジョージの真骨頂といえるバラード「One More Try」、どこかプリンスにも通ずるダーク&コールドなファンク「Hard Day」、アメリカンドリームを否定する冷ややかな「Hand To Mouth」、ジャム&ルイスがリミックスしたシングルバージョンもなかなかなファンクチューン「Monkey」で緩急をつけて、ラストはジャジーな「Kissing A Fool」で締めくくるという完璧な構成。アルバム全体はもちろんのこと、1曲1曲を取り上げても、リリースから29年経った今聴いてもまったく古さを感じさせないのだから、本当にすごいアルバムだなと思います。

にしても、アルバム全9曲(「I Want Your Sex」がパート1&2のメドレーなので、実質10曲ですが)6曲がシングル曲っていう強みもすごいし、WHAM!からこういったアダルト路線に見事シフトチェンジできた事実もすごい。CDだとボーナストラックとして、ラストに「A Last Request (I Want Your Sex Part III)」が収録されているのですが、この組曲的にアルバムに位置する「I Want Your Sex」という曲が、結局はジョージ・マイケルのソロキャリア開始における支柱だったのかなと。その後の彼のアレコレを考えると、いろいろ感慨深いものがありますね。



▼GEORGE MICHAEL『FAITH』
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投稿: 2016 12 27 12:00 午前 [1987年の作品, George Michael, Wham!, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2016/12/20

AEROSMITH『PERMANENT VACATION』(1987)

オリジナル編成で復活したAEROSMITHSが、同布陣で6年ぶりに制作した前作『DONE WITH MIRRORS』(1985年)から2年を経て完成させた、通算9枚目のオリジナルアルバム。『DONE WITH MIRRORS』では70年代のエアロが持ち合わせていた危うさとラフさに焦点を絞って制作されたものの、いかんせん楽曲がイマイチで大きなヒットには結びつかず、「エアロ大復活!」を完全アピールするに至りませんでした。

続く復活2作目となる今作では、前年にBON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』で一気に知名度を上げたブルース・フェアバーンをプロデューサーに起用。エンジニアにボブ・ロック、マイク・フレイザーという、のちに名プロデューサーへと成長するブルース界隈の人脈を迎え、さらにソングライティング面でも先のBON JOVI同様にデズモンド・チャイルド、ジム・ヴァランス、ホリー・ナイトといった職業作家とバンド(主にスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー)との共作を強いることになります。が、これが吉と出て、「Dude (Looks Like A Lady)」(全米14位)、「Angel」(同3位)、「Rag Doll」(同17位)とヒットシングルを連発。アルバム自体も最高11位まで上昇し、当時だけでもダブルプラチナム、現在までに500万枚を超える、まさしく「エアロ大復活!」を宣言するにふさわしい1枚となりました。

さて、ここまで書いてお気づきかと思いますが、「BON JOVI的HRサウンド」「職業作家の起用」などが70年代に「危うさとラフさ」を信条としていたバンドに結びつくのか、と。リアルタイムでこのアルバムからエアロに入ったというリスナーには非常に聴きやすく、しかもハードロックへの入り口には最適な1枚だったと思います。しかし、70年代から彼らを追うオールフォファンには驚愕の内容だったのではないでしょうか。事実、『LIVE BOOTLEG』からエアロに入った僕自身もアルバム全体を覆う派手な装飾に気持ち悪さを感じ、特に「Angel」のような“いかにも80年代HR”的バラードに対して長きに渡り嫌悪感がありましたから(その呪縛から解き放してくれたのが、あの「I Don't Want To Miss A Thing」というのも皮肉な話ですが)。

間もなくリリースから30年を迎えようという今、このアルバムを聴いてみると……さすがに自分も大人になったからか(というか老いたからか)、これを素直に受け入れられるし、純粋にいい曲が多くてカッコいいアルバムだなと思います。が、その後の快進撃を考えると「ベターだけどベストではない」という1枚かなと。終盤2曲(クセのないビートルズカバー「I'm Down」と無意味さすら感じるインスト「The Movie」)の捨て曲っぷりが本当に勿体ないなと。しかしながら、個人的にはアルバム中盤(「Dude (Looks Like A Lady)」から「Girl Keeps Coming Apart」まで)の流れは気に入っております。



▼AEROSMITH『PERMANENT VACATION』
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投稿: 2016 12 20 12:30 午前 [1987年の作品, Aerosmith] | 固定リンク

2016/08/29

Bryan Adams『Into The Fire』(1987)

ブライアン・アダムス、5年ぶりの来日公演が2017年1月に決定しました。今回は1月23日に大阪・大阪市中央体育館、24日に東京・日本武道館という計2公演。オリジナルアルバムとしては2008年3月発売の『11』以来7年半となる新作『Get Up』を昨年10月にリリースしているので、同作を携えての来日公演となるわけですが……そうか、そんなに空いてたんですね。その合間にもライブアルバム『Bare Bones』(2010年)やライブDVD『Live At Sydney Opera House』(2013年)、カバーアルバム『Tracks Of my Years』(2014年)、そして1984年の名盤『Reckless』の30周年記念盤(2014年)もリリースされたりと、ことアイテムには事欠かなかったので、7年半というのは改めて意外な気がしました。

そして来日に関しても、定期的に日本公演をやってくれてる印象があったのですが、それって結局90年代のイメージなんだなと、ここで改めて気づかされました。前回の来日は2012年2月。この際には東名阪で計4公演、その前になると2005年4月ということで、7年も空いている。さらにその前は2000年6月だから、5年のブランク。90年代は1992年、1993年、1994年、1997年と定期的に来てくれてるから、この印象が強かったわけですね。なるほど、納得。

では自分がブライアン・アダムスを最後に観たのはいつだろう?と振り返ってみると……21世紀に入ってからは、確実に観ていない。となると……おそらく彼のキャリア初の最大規模ジャパンツアーとなった1992年2〜3月のツアー時はイギリスに留学中だったので観てないし、翌1993年は武道館1回だけなので行ってないはず。たぶんですが……1994年か1997年、どちらかの武道館公演を観てるはずなんです。ただ、どっちだったかの記憶が曖昧で。ベスト選曲だった記憶は確かにある、でも1996年発売の『18 Til I Die』の楽曲を聴いたかどうか……聴いたような気もするし、聴いてない気もするし。もしかしたら両方行ってるかもしれないけど、それすら記憶があやふや。困ったもんです。ただ、これを機に来年の来日公演には足を運んでみたいなと思ったのも事実。20年近く観てないのなら、あれから彼がどう成長・成熟したのか生で確認したいし(「あれから」時の記憶があやふやなくせに)。

閑話休題。ブライアン・アダムスで一番好きなアルバムを尋ねられたとき、多くの人は大ヒット作の『Reckless』か、同じくらい大ヒットを記録した1991年作の『Waking Up The Neighbours』を挙げることでしょう。しかし、個人的にはその『Reckless』と『Waking Up The Neighbours』の間に挟まれた、地味で小ヒットしか記録できなかった1987年作の『Into The Fire』をピックアップしたいのです。『Cuts Like A Knife』(1983年)も『18 Til I Die』もいい作品だし、アメリカでは大コケした1998年作の『On A Day Like Today』も個人的には捨てがたい(いや、僕個人で言ったら『On A Day Like Today』は『Into The Fire』の次に好きかも)。でも、あえて『Into The Fire』は名盤だと、声を大にして言いたいのです。

アメリカだけで500万枚ものセールスを記録し、初の全米No.1シングル「Heaven」をはじめ6枚ものヒット曲を生み出した『Reckless』に続く、通算5作目のオリジナルアルバムが『Into The Fire』。時期的に言うと、ちょうどU2が『The Joshua Tree』をリリースしたのと同タイミングで、この2枚は当時聴きまくった記憶があります。僕自身、高校に上がるタイミングで、入学祝いでいただいた音楽ギフトカードでこの2枚を同時購入したんじゃなかったかな。

ブライアン・アダムスというと元気ハツラツ、健康的なロッカーというイメージが『Cuts Like A Knife』と『Reckless』で植え付けられたと思うのですが、続く『Into The Fire』ではそういったイメージを払拭するような、シリアスで若干ダークなサウンド……要するに、「いつまでも子供じゃいられない」というブライアンの意地みたいなものが前面に打ち出されています。まぁその結果、大きなヒットには結びつかず、次作『Waking Up The Neighbours』まで4年もの歳月を要することになるのですが(もちろん理由はそれだけじゃないと思いますが)。

たぶん自分も高校生になり、それまで聴いてきたロックよりも幾分大人なものに憧れがあったのでしょう。そんなタイミングに発表された『Into The Fire』は当時の自分の心境を重ねやすい1枚だったんだと思います。でもね、今聴き返すと……地味といえば地味だけど、決して駄作ではない。1曲1曲の完成度は高いし、のちの作品にもこういったテイストの楽曲は含まれているわけでして。ただ、全編こういったテイストだったことが問題で、多くのリスナーが求める「ブライアン・アダムス像」と異なった。それがヒットに結びつかなかったわけです。

元気ハツラツ路線の延長線上にあるけどちょっと大人テイストの「Hearts On Fire」もあれば、アッパーなロックンロール「Another Day」「Only The Strong Survive」もある。でも軸になるのはリードシングルの「Heat Of The Night」やタイトルトラック「Into The Fire」、どこかゴスペルチックな大人のバラード「Victim Of Love」など。この頭3曲の印象なんですよね。このほかにも「Native Son」「Rebel」「Home Again」など地味目だけど聴き応えのあるミディアムナンバー多数。気楽に聴ける作品ではないかもしれないけど、一度ハマれば抜け出せなくなるほどの深みがある、そんな1枚ではないでしょうか。

リリースから間もなく30年経つけど、改めて聴いてみて思ったのは、そんなに古さを感じさせない作品だなと。『Reckless』や『Waking Up The Neighbours』はサウンドやミックス的にクセが強いから人によっては時代を感じてしまうかもしれないけど、この『Into The Fire』はいい塩梅のバランス感で成り立ってると思いました。果たしてリリース30周年のタイミングで現代的にリマスタリングされることがあるのか、そうなったときにどんな音になるのか、いろいろ気になりますが、しばらくはこのアルバムを何度も聴き返して、そのディープな世界観に浸ってみたいと思います。



▼Bryan Adams『Into The Fire』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤

投稿: 2016 08 29 02:18 午後 [1987年の作品, Bryan Adams] | 固定リンク

2005/09/17

寝る前にこれ聴け!(5)

 さ、久し振りにやってみましょうか、「こんなもん聴いて寝れるか!」とお叱りの声が来たり来なかったりする、このコーナー。フェスも終わり、ちょっと落ち着いて来た今日この頃。イベント前も何のその、しっかり更新しますよー。

 さて。そんな今夜のテーマは『ジャーマンメタル』。 しかも'80年代後半〜'90年代初頭の、ジャーマンメタルが最もジャーマンメタルらしかった時代のアルバムばかりを3枚。ま、基本的にはこの辺りを中心にどんどん派生していったといった感じでしょうか。実は俺自身も久し振りに聴くアルバムばかりで、多少ノスタルジーに浸ってますが、そんなことはお構いなし、男汁150%でお送りします。


・BLIND GUARDIAN「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」('90)
 あれ、何でこのCDが我が家にあるんだろう‥‥確かにブラガはこのアルバムだけリリース当時(浪人生時代)買ったけど、田舎に引っ込む時に売り払った記憶が‥‥あ、会社辞めた先輩から借りっ放しだ。ま、いいか‥‥
 んで今、久し振りに聴いてるんですが、今じゃもっと洗練されてるんだろうけど、この当時はモッサリ感が強くて、尚かつ「そうそう、ドイツっぽいよね!」っていう‥‥ある種ACCEPT辺りにも通ずる男臭さも備わってるのな。いや、いいんじゃないの。


▼BLIND GUARDIAN「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」(amazon


・GAMMA RAY「INSANITY AND GENIUS」('93)
 これも多分、先輩から借りっ放しの1枚‥‥借りパクってこういう事を言うんですか?(汗)まぁいいや。こうやって話のネタになればこのCDも浮ばれるだろうよ(死んでないって)。
 GAMMA RAYで一番好きなアルバムかも。ていうか、このアルバム以降は聴いてないんですが(えー)。1stよりも2nd派だった数少ない人間だった俺ですが、この3rdでの振り切れっぷりに当時ハマったものです。カイ・ハンセンはHELLOWEENの初来日以来観てなかったんですが、このアルバムの時は来日公演行った。そんくらい気に入ってました。


▼GAMMA RAY「INSANITY AND GENIUS」(amazon


・HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.1&2」('87/'88)
 ゴメン、反則だけどこの日本限定の2枚組完全版を選ばせて。思い入れだと「〜1」だけど(初来日公演観てるだけに)、"Eagle Fly Free" とか "I Want Out" が入ってるから「〜2」も外せないのよ。
 HELLOWEENはマイケル・キスク時代ってこの2枚しかちゃんと聴いてないんだけど(カイ・ハンセンのボーカル時代はちゃんと聴いてるし、アンディ・デリス加入後は2枚くらい聴いた)やはり特別ですわな。あのアホっぽいPVといい、このガキっぽい名前といい(「Halloween」と「Hell」を引っ掛けてる、3歳児級の駄洒落だしな)、ANIMETALも真っ青なメロといい‥‥だから良いんだよ、うん。


▼HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.1&2」(amazon

投稿: 2005 09 17 01:25 午前 [1987年の作品, 1988年の作品, 1990年の作品, 1993年の作品, Blind Guardian, Gamma Ray, Helloween] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/08/16

LOUDNESSの'90年代前半作品、USにて初リリースに。

 最近、「Wounded Bird」っていうレーベルから'80年代の名盤が再発されてるんですよ。例えばWINGERの2ndとか3rdENUFF Z'NUFFの廃盤だった2nd辺りが最近ここから再発されたりしてて。

 んでこのレーベル、調べると「Atlantic Records」周辺のものしか再発してないのね。どうやらその辺の傘下みたいで、廃盤モノの再発専門レーベルのようです。ソニーでいうところの「Legacy」みたいな感じ?

 でさ。最近このレーベルから、日本のLOUDNESSのUS未発売だった時期の作品がまとめてリリースされてるんですよ。これは再発とは言わずに、初US盤化ってことになるのかしら。既にこの時期のLOUDNESSは海外での契約はなかったはずで、非常にドメスティックな活動だったのね。歌詞も日本語ものがポツポツと復活し出した頃だし(ま、アルバムに1〜2曲程度?)、そりゃ海外でのリリースはキツイよな、と。音楽的にも「THUNDER IN THE EAST」の頃とは全く違うバンドになっちゃってるし。

 来月、現オリジナルメンバーによる最新作「RACING」の英語版ヨーロッパでもリリースされるけど、これを機に再評価とか起こるんでしょうか。そういえば去年だったっけ、ヨーロッパのフェスにLOUDNESSがスペシャルゲストとして呼ばれたのって。その辺の影響もあるのかしら。

※アルバムタイトル前の「○」が過去USでのリリースあり、「●」は今回USで初出となるアルバム。



○THUNDER IN THE EAST('85年)amazon
‥‥USデビュー盤。ビルボードのアルバムチャートの74位にランキングしたことで有名。"Crazy Nights" のイメージが強いんだけど、この曲はそれまでの彼等らしくない、非常にアメリカンなミドルヘヴィチューンなのよね。全体的にその辺を意識した曲作りになってるので、当時は賛否あったように記憶してます。



●8186 LIVE('86年/US未発売)amazon
‥‥デビュー5周年記念の代々木体育館ライヴを収録した2枚組ライヴ盤。ライヴ盤としては通算2作目だけど、とにかくベスト選曲なので当時よく聴いた記憶が。



○HURRICANE EYES('87年/USバージョン)amazon
‥‥「Atlantic Records」からのUSリリース第3弾。"S.D.I." のイメージが強いけど、実は "This Lonely Heart" や "Rock'n'Roll Gypsy"、"So Lonely" 等、非常にポップなメロを持った曲が多い意欲作。日本では後に「日本語バージョン」のアルバムも製作されましたっけ。



○SOLDIER OF FORTUNE('89年)amazon
‥‥'88年に二井原脱退、更にワールドワイドな活動を目指すためにアメリカ人シンガー、マイク・ヴェセーラを迎えて製作されたUSリリース第4弾。が、歌詞やメロディ自体は二井原在籍時には完成していたもので、マイクはそれに沿って歌っただけのよう。だからなのか、我々日本人にも取っつきやすい、メロディアスなハードロックを聴かせてくれます。売れなかったけど、アメリカでの評価はかなり高いようです。



○ON THE PROWL('91年)amazon
‥‥マイク加入後2作目にしてUSリリース第5弾。デビュー10周年記念と称して、過去の代表曲を当時のメンバーで再録音。勿論原曲が日本語の歌詞は全部英語に。何故か "Crazy Nights" や "Loudness"、"Crazy Doctor" といった王道が選ばれてない。"In The Mirror" とか "Sleepless Night" 等の出来はなかなか。他に新曲が幾つか入ってるけど、これは微妙。正直、「SOLDIER OF FORTUNE」がウソみたい。そういう意味でも非常にアメリカン。ただ、その割りには海外で全然話題にならなかったようだけど。



●LOUDNESS('92年/US未発売)amazon
‥‥マイクが'91年夏のUSツアー後脱退(ていうか半ばクビ)、更にオリジナルメンバーの山下(ベース)まで脱退し窮地に立たされるも、MASAKI(元E.Z.O./Vo)とTAIJI(元X/Ba)の加入で「ある意味」過去最高のメンツになってしまった、このメンバーによる唯一のオリジナル盤。当時はスポーツ新聞にも大きく取り上げられたよね、TAIJI加入で。でも音はLOUDNESSというよりもE.Z.O.に近い気が。ボーカルのせいか。そして全然Xぽくない。両バンドが好きだった者としては複雑だった。当然、このアルバムのツアーは結構な数追っかけたよ。



●ONCE AND FOR ALL('94年/US未発売)amazon
‥‥上記「LOUDNESS」リリース時のツアーを収録したライヴ盤。当然メインは「LOUDNESS」収録曲なんだけど、このライヴ盤の本当の凄さはMASAKIが "Crazy Doctor" や "S.D.I" を歌う以上に、LOUDNESSとしてE.Z.O.の "House Of 1,000 Pleasures" をプレイしてる事実でしょうか。演奏は粗いけど、それ以上の価値はあると思うよ。



●HEAVY METAL HIPPIES('94年/US未発売)amazon
‥‥案の定TAIJIがすぐに脱退して、しかもドラムの樋口まで脱退。MASAKIも一時脱退という半ば解散状態の中、出戻りMASAKIと共に製作された1枚。ドラムにはMasakiの盟友、本間大嗣(元E.Z.O.、現在はANTHEM)を迎え、ベースは高崎自らが弾いてる。非常にサイケでヘヴィな1枚。今聴いてもLOUDNESSには聞こえない。多分E.Z.O.が続いてたらこういう路線に行っちゃったのかなぁ、という気も。



●LOUD'N'RAW('95年/US未発売)amazon
‥‥「HEAVY METAL HIPPIES」リリース後のクラブツアーを収めたライヴ盤。ベースはアルバム完成後に加入した(当時)元ANTHEMの柴田直人。曲がアレなので勿体ない気がするけど‥‥聴きどころは、DEEP PURPLEの "Speed King" のカバーかしら。あと、やっぱりMASAKIには "S.D.I" は歌いこなせないと思う。宝の持ち腐れだよな、双方にとっても。


 「LOUDNESS」以降の、ワーナー在籍時のオリジナル盤とライヴ盤が海外初リリースとなるわけね。ま、E.Z.O.のファンって海外にも多いだろうから、そういう意味での需要はあるだろうね。そして、どういう評価を受けるのかが気になるところ。

 そういえばAmazonで、「LIGHTNING STRIKES」('85年のUSリリース第2弾)のみ見つからないよ。って思ったら、このアルバムだけ再発されてないでやがんの。確かに俺の中でも一番微妙な1枚なんだけどね。

 ‥‥考えてみたら、E.Z.O.のアルバムも紙ジャケ・リマスターでこの春に再発されたけど、当のMASAKIは何してるんでしょうか‥‥ニューヨークにいるんだっけ? もっと活発に音楽活動やって欲しいんだけどなぁ‥‥難しいだろうけど。

投稿: 2005 08 16 08:47 午後 [1985年の作品, 1986年の作品, 1987年の作品, 1989年の作品, 1991年の作品, 1992年の作品, 1994年の作品, 1995年の作品, Loudness] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/12

とみぃ洋楽100番勝負(54)

●第54回:「Scum」 NAPALM DEATH ('87)

 いや、ぶっちゃけ曲は何でもいいんです! 最初期のNAPALM DEATH最強!ってことで。

 このバンドを教えてくれたのも、高校時代の友人Aくんなんだよね。へー、彼はこんなのも聴くのかーって思ったけど、彼は兄貴からテープを貰っただけで、そんなに気に入ってなかったらしい。単純に「お前、うるさくて速いの、好きだろ?」ってことで俺にテープを譲ってくれた‥‥ただそれだけだったんだよね。

 確か創刊間もない「CROSS BEAT」誌で彼等の名前を目にしたのかな。曰く「世界最速バンド」と‥‥嘘だ! SLAYERを越えるバンドなんているもんか!と当時の俺は疑ってたわけですよ。"Chemical Warfare" や "Angel Of Death" を越えるなんて‥‥そうそうないだろう、と。

 で、Aくんから貰ってテープを聴いて‥‥その意味が初めて理解できたんです。あー、SLAYER寄りじゃなくて、S.O.D.寄りなのか、と。

 このバンドに関しては多くを語るのは危険です。何故なら、生モノだから。聴いて味わって、初めて納得出来るという‥‥こんな駄文を読む前に、まずはアルバム「SCUM」か「FROM ENSLAVEMENT TO OBLITER」辺りをオススメしますっ! その後は正直知らん!(けど普通にデスメタル/グラインドコアしてるんでしょ? よく知らないんだけどマジで)



▼NAPALM DEATH「SCUM」 (amazon

投稿: 2004 10 12 12:00 午前 [1987年の作品, Napalm Death, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/06

とみぃ洋楽100番勝負(48)

●第48回:「Pump Up The Volume」 M/A/R/R/S ('87)

 えーっと、これをハウスとか呼ぶんですかね? いや、リリースされた当時は全然そんなジャンルがあることすら知らない、田舎のいち高校生でしたからね。イギリスのチャートで1位を取った曲として認識していて、たまたまFM放送でエアチェックしたこの曲を狂ったように聴きまくっていた‥‥ただそれだけなんですよね。

 自分の音楽のスタートラインにMONKEESのようなグループと同時に、Y.M.O.の存在もあるんですね。ピアノ習い始めたのにY.M.O.を聴いてしまったがために、急にエレクトーン習いたい!って親にせがんで。無理いってクラス替えしてもらって。その後6年間習いましたから。一応人に教えられるだけの級は持ってます、はい。

 だからってわけじゃないけど、やはり打ち込みモノって基本的に血が騒ぐんですよ。「おいおい、お前ギターに魅せられたとか前に書いてたじゃんか!」っていうツッコミもらいそうですが、これもまた真実なんです。そういった相反するふたつのジャンルを同時に愛せた‥‥それが'80年代なんですよ(と無理矢理な言い訳をしてみたり)。でもまぁ‥‥単純に「良い曲」とか「耳に馴染みやすい曲」っていうのは、それがギターロックだろうがヒップホップだろうがメタルだろうがパンクだろうがテクノやハウスだろうが、ジャンルは関係ないんですよね。

 ヒップホップって未だに苦手意識があったりするんですが、そういう意味ではこういったジャンルの方が親しみやすいし、歌やラップがない分すんなり入っていけるのかも。まぁこの頃は「クラブで踊る」なんてこと、考えてもみなかったけどね。



▼M/A/R/R/S「Pump Up The Volume」 [EP](amazon

投稿: 2004 10 06 12:00 午前 [1987年の作品, M/A/R/R/S, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/05

とみぃ洋楽100番勝負(47)

●第47回:「Faith」 GEORGE MICHEAL ('87)

 WHAM!を解散させた翌年、まずは映画「ビバリーヒルズ・コップ2」のサントラに提供した "I Want Your Sex" で正式なソロデビューを果たしたジョージ・マイケル。あの曲の衝撃もハンパじゃなかったけど、その後に続いたアルバムの予告編といえる大ヒットシングルが、このタイトルナンバー "Faith"。

 明らかにプリンスを意識してるであろうミニマムな作りといい、押さえ気味に歌う歌唱法といい、その「ゲイ」チックなビジュアルといい(ま、実際にそっち方向の人だったわけですが)、フレディ・マーキュリーの大衆性とプリンスのアーティスティックな面を見事に併せ持ったアルバムだった、ソロデビュー作「FAITH」はどの曲も捨て難いけど、やっぱりアルバムトップを飾るこの曲をまずオススメしましょう。

 あの頃、フォークギターでよく真似したっけ。今でこそこのリズムがボ・ディドリーが得意とする『ジャングル・ビート』(ドラムンベース等で知られる、あのジャングルとは完全に別モノですからね、お間違えなく)だって認識があるけど、あの頃は単純にリズムがカッコいい、ギターのストロークのリズムがステキといった純粋な気持ちが先行してたっけ。後にU2が "Desire" って曲で同じリズムを使った時には「へっ!?」なんて思ったりもしたけど。

 その後のジョージはより偏った方向へと突き進み‥‥残念ながらプリンス並みな多作振りとは間違っても呼べないようなリリースペースで現在に至るわけですが(ま、そこには所属レコード会社との裁判なんかも関係してくるんですけど)‥‥このアルバムから現在に至るまで、たった3枚のオリジナルアルバム、1枚のカバー集、そして2枚組ベスト盤しかリリースしていないという事実‥‥お願いです、もっと頑張ってください。滅茶苦茶才能ある人なんだからさ!



▼GEORGE MICHEAL「FAITH」(amazon

投稿: 2004 10 05 12:00 午前 [1987年の作品, George Michael, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/04

とみぃ洋楽100番勝負(46)

●第46回:「True Faith」 NEW ORDER ('87)

 昔さ、「摩天楼はバラ色に」という映画があったのね。当時ノリにノッてたマイケル・J・フォックス主演の、ワラシベ長者的内容の如何にもアメリカなサクセスストーリーの映画が。俺、これを当時ビデオで借りて観てさ。借りた理由は単純、NIGHT RANGERの曲が聴きたかったから。

 すっげー不純な理由じゃない、それ? けどさ、好きだったし、あの曲。

 で、お目当ての曲はオープニングでいきなり流れて、その後二度と流れることはなく(あぁ‥‥)、普通に映画を楽しんでたのよ。ま、今観たらどうなんだろうって思うけど、あの頃は単純に目をキラキラさせて楽しんでたのね。

 ところがさ。映画が完結し、ラストのエンドロールのところで耳慣れない打ち込みの曲が流れ出したのよ‥‥何このメランコリックな曲は!? 一緒に観てた友人(以前から何度か登場するUKロック好き)が「あーこれ? NEW ORDERでしょ?」って我が物顔で言うわけ。あ、NEW ORDERね‥‥って俺も知ったかぶりして。しなきゃいいのにさ。

 けどね。そんな知ったかぶりも、実は全部バレててね。翌日、俺に2枚組のCDを渡すわけ。「これに入ってるから、あの曲」って。それがNEW ORDERの「SUBSTANCE」っていうアルバム。これが俺とNEW ORDERとの出会い。

 その後‥‥「TECHNIQUE」ってアルバムで本格的にハマって、そこから4年くらいして(既に忘れようとしてた頃に)「REPUBLIC」がリリースされてまたハマッて、翌年にベスト盤が出て聴きまくって‥‥それから7年だっけ? フジロックで来日したのって‥‥あれは正直夢のようだったよね。しかも同じステージ上にビリー・コーガン(元THE SMASHING PUMPKINS)の姿まであって(残念ながらギリアンが欠席だったけど)。で、そのすぐ後に8年振りの新作「GET READY」が出て‥‥何故かハマれなくて。いや、最近はよく聴くんですよこれ。

 俺が彼等を気に入った理由は単純。独特な暗さと湿ったメロディ、そして如何にもヨーロッパのバンドらしい「冷たさ」‥‥この冷たさの理由にはいろいろあるんだけど(それは各自、このバンドの歴史を辿れば自ずと見えてくるはず。有名な話ですからね)‥‥やっぱいいよね、"True Faith" とか "1963" の泣きのメロディが‥‥



▼NEW ORDER「SUBSTANCE」(amazon

投稿: 2004 10 04 12:00 午前 [1987年の作品, New Order, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/03

とみぃ洋楽100番勝負(45)

●第45回:「It's A Sin」PET SHOP BOYS ('87)

 あの時代、普通にMTVとか「ベストヒットUSA」を通過してる人なら、絶対に覚えている名前のひとつですよね。まぁメジャーどころは "West End Girls" になるんでしょうけど。'90年代以降だと、やっぱり "Go West" カバーのイメージが強いのかしら?

 どうしても'90年代中盤辺りからの、あの妙なゲイ・ミュージック的ノリがね‥‥悪いとは言わないけど。やっぱり個人的趣味なのは'80年代の、冷たい感覚‥‥如何にもヨーロッパのユニットといった「冷たさ」や「機械っぽさ」がね‥‥凄い好きだったのよ。「機械っぽさ」ってのは‥‥まぁ基本が打ち込みだから全部「機械っぽい」んだけどさ‥‥なんつーか、感情をあまり感じさせないノリっていうの? そういうのがね、凄い好みだった。

 所謂ユーロビート的なノリを持った "It's A Sin" だけど、この劇的な展開がね、モロ好みといいますか‥‥まぁ所謂メタル好きが気に入りそうなアレンジだよね。判るでしょ? この曲が入ってるアルバム「ACTUALLY」って、実はこういう曲はこれ1曲だけなんだよね。後はもっと‥‥ポップなものだったり、ミニマムなノリを持った似非テクノだったり、それこそモロなテクノポップだったり、オーケストラを用いた壮大なバラードだったり(思いっきり「冬」をイメージさせるね)。そういう "West End Girls" のイメージを一掃してしまうような楽曲ばかりなのね(ま、ファーストアルバム「PLEASE」の時点で、ああいう楽曲は他にはなかったんだけどね)。そこが凄く新鮮だったし、凄く良かったのかも(子供心に「二番煎じだけはよせよな?」って感じてたのかも)。

 2年前だっけ、フジロックで随分久し振りの来日を果たしたのは‥‥あの時は感動したなぁ‥‥しっかりこの曲もやってくれて。しかもクライマックスの盛り上がるタイミングで。このイントロが流れ出した瞬間、ウォーって雄叫びを挙げる輩と、思わず失笑してしまう輩の2種類いたよね、間違いなく‥‥俺にはそう映ったけど。勿論俺は思いっきり前者ですけどね!



▼PET SHOP BOYS「ACTUALLY」(amazon

投稿: 2004 10 03 12:00 午前 [1987年の作品, Pet Shop Boys, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/02

とみぃ洋楽100番勝負(44)

●第44回:「Why Can I Be You」 THE CURE ('87)

 高校入学と同時に親しくなった、あのTHE SMITHSを俺に教えてくれた友人が、続いて俺に勧めてきたのが、このTHE CUREの当時の新作「KISS ME, KISS ME, KISS ME」でして。これ、LPだと2枚組18曲入りなんだけど、CDだと1曲少ない17曲なんですよね("Hey You" が外されたんだっけ。手持ちのCDは確かに17曲入りだけど、当時のカセットは確かに18曲入りなんだよね)。

 丁度彼からダビングしてもらったテープを受け取る前に、MTVか何かで先行シングル "Why Can I Be You" のPVを目にして。あのロバート・スミスのルックスといい、胡散臭いくらいにポップなメロに下世話なブラスとモータウン調のリズム。ギターのカッティングはイギリスのニューウェーブっぽくて、確かに「絶対にお前、気に入るって!」との彼の言葉通りなんだよね。「エコバニ(ECHO & THE BUNNYMEN)とか好きなんでしょ? だったら気に入るから!」って。

 アルバムは、それこそテープが擦り切れる程聴いたし、結局高校出て上京して暫くして‥‥「WISH」が出た頃かな。CDで買い直したもんね。

 未だにライヴで観たことないし、ライヴ映像とかも観たことないんだけど(DVDとかは売ってるけどね)‥‥過去何枚かリリースされてるライヴ盤も何故か意図的に避けてる気が。そういやぁ1枚も持ってない&聴いてないもんな‥‥何故?

 何だろ‥‥俺の中で「THE CUREのライヴって、こんな感じ?」とか「ロバスミってライヴじゃこんな感じなんじゃない?」とか勝手に想像膨らまして楽しんでんのかな? だとしたら‥‥後でガッカリするのも嫌なんで、今のうちにライヴ映像に手を出さないと(‥‥へっ??)。

 なんて冗談はさておき‥‥ホント、この曲とか最新作の曲をライヴで、ここ日本で聴きたいんですよね。もう何年‥‥いや、何十年前でしたっけ、彼等が最後に来日したの?(何十年は言い過ぎだろ)

 多分‥‥この曲を生で聴いたら‥‥15〜6才の俺に戻れる気がするんだよね‥‥何となくだけど。



▼THE CURE「KISS ME, KISS ME, KISS ME」(amazon

投稿: 2004 10 02 12:00 午前 [1987年の作品, Cure, The, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/01

とみぃ洋楽100番勝負(43)

●第43回:「Mony Mony」 BILLY IDOL ('87)

 パンクなのか、ロカビリーなのか、はたまたメタルなのか‥‥何なんだ、この男は!?って数年来、ずっと思ってたわけですよ。「REBEL YELL」は確かに好きなアルバムだし、曲も良いし、ビリーの歌声も独特でクセになるし、そして何より、その傍らにいるギタリスト、スティーヴ・スティーヴンスがずっと気になって気になって。3作目「WHIPLASH SMILE」の頃にはビリー本人以上にスティーヴの方が好きになってましたからね。

 そんなスティーヴの才能や魅力が一気に開花したのが、この "Mony Mony" のライヴテイクなわけですよ。ライヴバージョンなんだけど、明らかにギターは録り直されてるよね? 独特なアーミングやハーモニクスがすっげークセになるし、所々登場するエフェクト(ピコピコなるオモチャの拳銃あるでしょ。あれをピックアップに近づけて鳴らすわけ)やクラシカルなプレイ(この人のクラシックギタープレイはハンパじゃないっすよ)に仰け反ったり。それまで聴いてきたギタリストとは、明らかに違うタイプだし。

 しかも、GENERATION Xっつーパンクバンドのシンガー(=ビリー・アイドル)の隣に、こんな変わり者がいるんだから。その事実がまた面白くて。

 "Mony Mony" 自体は'60年代にヒットしたポップスのカバーなので、勿論曲自体は非常に親しみやすい名曲なんだけど、これをこの二人が味付けするんだから‥‥タフで猥雑なイメージに様変わりしちゃってるわけですよ。しかもこの頃のビリーのバンドのキーボードって、確か性転換した「元」男性でしたからね‥‥って曲と全然関係ないけど。

 そうそう、同じ'87年にリリースされたマイケル・ジャクソンのアルバム「BAD」にも、スティーヴは参加してるんだよね。エディ・ヴァン・ヘイレンの次はスティーヴか‥‥って感動したよ、あの頃。さすがマイコー、いいモノ持ってるよな、って。

 更にスティーヴはその数年後に、俺の大ヒーローであるマイケル・モンローとバンドを組むことになるんだよね。この二人が雑誌の表紙を並んで飾った時には、思わず本屋で失禁しそうになったよ!

 けど‥‥アルバムリリース直前に、仇である(当時は元)MOTLEY CRUEのヴィンス・ニールのソロアルバム&バンドに参加、引き抜かれちゃうんだよね‥‥この時の俺の複雑な心境を、どう言葉で表現したら上手く伝わるのか‥‥

 '90年代後半から暫く、氷室京介のアルバム&ツアーに参加したり、古巣のビリー・アイドルの元に戻って映画「スピード」の主題歌を大ヒットさせたり、まぁその後もいろいろと活躍してくれてますよ。最近はちょっと見かけてないですけど‥‥ってこれ、ビリーの曲評だよな?



▼BILLY IDOL「GREATEST HITS」(amazon

投稿: 2004 10 01 12:10 午前 [1987年の作品, Billy Idol, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/30

とみぃ洋楽100番勝負(42)

●第42回:「Only In My Dreams」 DEBBIE GIBSON ('87)

 多分あれは恋だったんじゃないかな‥‥初めてガイジンの、同世代の女の子に恋した瞬間だったと思うよ。

 高一の夏‥‥GUNS N'ROSESと出会った頃とほぼ同時期に、毎週欠かさず観てた「ベストヒットUSA」のトップ20チャートに、聞いた事もない名前のアーティストの曲が上昇し始めて。気づいたらトップ10に入っちゃってたんだよね。かろうじてテレビから得られた情報が、

  DEBBIE GIBSON / Only In My Dreams

 というタイトルのみ。凄くポップでよく出来た1曲なんだけど、それ以上にこれを歌ってる女の子の声が凄い好みでさ。適度にハスキーで、適度にセクシーで。それでいてどことなく幼さが残ってる感じ。別の番組で観たPVのフルコーラスで、初めて歌ってる女の子のルックスをまじまじと見て‥‥モノクロ映像なんだけどさ。意外と好みだと判って。

 秋頃に "Shake Your Love" っていうセカンドシングルが出て。その頃にはこの子が自分と同年代(1970年生まれ)、楽曲の作詞・作曲を全てこなしてるってことを知って。日本ではその頃だったか、翌年頭だったかにようやくアルバム「OUT OF THE BLUE」が出てね。こんな田舎町のCDショップにも、ちゃんと発売日に入荷されてたんだよね。で、発売日に真っ先に買ってさ。後で他所の高校に行ったバンドメイトが「俺が買いに行ったら既になかった。お前が買ったのかーっ!」ってどつかれたっけ。

 ほぼ同時期にデビューして、先に全米ナンバー1(しかも2曲連続で)を獲得してしまったティファニー(彼女は1971年生まれ)といろんな面で比較されることが多く、どっちかっていうと後追い的なイメージが強かった彼女だけど、続く2作目のアルバム「ELECTRIC YOUTH」ではシングル/アルバム共に全米1位を記録。ちなみにティファニーは2作目のアルバム、コケてます。

 '90年代半ばまでちゃんと追っかけてたけど‥‥今は何やってるんだろう。結婚してお母さんになった、なんて話も聞いたような聞かなかったような。きっと今でも美人さんなんだろうね。

 という(ある意味)初恋のお話でした。



▼DEBBIE GIBSON「OUT OF THE BLUE」(amazon

投稿: 2004 09 30 12:00 午前 [1987年の作品, Debbie Gibson, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/29

とみぃ洋楽100番勝負(41)

●第41回:「Welcome To The Jungle」 GUNS N'ROSES ('87)

 俺の十代後半、一番の衝撃は‥‥プリンスもZEPも確かに衝撃だったけど‥‥やはりこのバンドとの出会いなのかなぁ。だって初めてその姿を見たとき、あんなに嫌悪感を抱いてたのにさ‥‥その後の事を考えるとねぇ‥‥

 高一の夏かな。千葉テレビでやってた音楽番組「テレジオ7」(当時の司会は多分、伊藤銀次とデビューしたての永井真理子。だったはず)って番組の冒頭で、いきなり流れ出した "Welcome To The Jungle" のPV‥‥既に「BURRN!」とかで名前や写真を目にはしてたけど‥‥全然ダメだったのね。受け付けなかった。むしろ嫌悪感すらあったもの。なんつーか‥‥「あ、ヤバい。マジでヤバいよこの人達」っていう危機感っつーか、本気でヤバそうな人達だと察したのね、あのPV観て、そのサウンド(特にアクセルの歌声)聴いて。

 けどさ‥‥今思えばそれって‥‥単純に「滅茶苦茶俺のストライクゾーンじゃん! エアロとかハノイを更にタフにしたような感じじゃん! モトリーにも通ずる汚さがあるじゃん! ハマっちゃえよ!」っていうのと、「いやいや、こいつらにハマったら取り返しのつかないことになるぞ‥‥人生棒に振るくらいに」っていうふたつの相反する気持ちのせめぎ合いから生じた危機感だったのかもしれないね。

 ジャングル=ロサンゼルスをイメージした歌詞とサウンド、そしてマジでターザンの雄叫びのようなアクセルのスクリーム。ルックス的にもサウンド的にも「ジョー・ペリーとアンディ・マッコイが同居する」バンド。何故かひとりパンクスしてるベース(しかもメチャ好み)、そして如何にも『LAメタル』してます的なドラム‥‥そう、完璧なんだよね。俺が好きにならないはずがない‥‥

‥‥我慢出来たのは、結局半年程度ですよ。その頃にはMTVやラジオから "Sweet Child O'Mine" がどんどん流れ始めてたからね。

 1988年12月の、たった40分で終わったNHKホール。その翌日に行われた伝説の武道館公演(俺の生涯ベストライヴの3本に入ってるから)。英国留学してて生では観れなかった1992年2月のドーム3公演。けどその埋め合わせでロン・ウッドのソロ公演を蹴ってまで行った1993年1月のドーム3公演。2年前のサマソニは‥‥同じ土地にいたのに、この頃の思い出を大切にしたかったから観なかった。そう‥‥俺、初来日で伝説となったあのライヴを2本共観ちゃってるんだもん。もう何観たって敵いっこないし。

 今でもあのイントロのギターフレーズを耳にしたら‥‥血管の血液が逆流し出す程に興奮するんだよ。もう17年も前の曲なのに。もう17年も聴き続けてるのにね。



▼GUNS N'ROSES「APPETITE FOR DESTRUCTION」(amazon

投稿: 2004 09 29 12:00 午前 [1987年の作品, Guns N' Roses, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/28

とみぃ洋楽100番勝負(40)

●第40回:「Sign 'O' The Times」 PRINCE ('87)

 前に "1999" の時(第19回)にも書いたけど、アルバム「1999」から無題アルバム(通称「BLACK ALBUM」)や「LOVESEXY」の頃までのプリンスの快進撃はホント休む事知らずって感じで、アルバムを必ず年に1枚リリースしてたんですよね。特に「AROUND THE WORLD IN A DAY」、「PARADE」、そしてこの「SIGN 'O' THE TIMES」の3作はどれもが歴史的名盤と呼んでも差し支えない程の作品集。しかも3枚とも作風が異なりますからね。そこが凄い。

 初めて買った2枚組CDアルバムが、この「SIGN 'O' THE TIMES」だったんですよ。で、それが‥‥その後の俺の人生を変えちゃうような、もの凄い名盤中の名盤だったとしたら‥‥皆さんだったらどうします?

 それまで率いてきたTHE REVOLUTIONというバンドをいきなり解散させ(一応「PURPLE RAIN」から「PARADE」までの3作が『PRINCE & THE REVOLUTION』名義)、再び自作自演に明け暮れたプリンス。そうして出来上がったアルバムが2枚組なんだから‥‥しかも駄曲一切なし。ものスゲエよ、マジで。

 自作自演‥‥言い方は悪いけど、引き蘢りミュージックのひとつの完成型じゃないか、これ。1曲目の表題曲が、もう全部を語ってるよね、歌詞の内容にしろさ。チープなリズムボックスをバックに、胡散臭いんだけどソウルフルなシンセや、如何にもプリンスなかっちょいいギターソロが被さって、あの爬虫類的歌声が乗る‥‥しかもメロウ。そりゃ度肝を抜かれるわな。

 よくジミヘンだったりSLY & THE FAMILY STONE、スティーヴィー・ワンダーといった偉人達、そして同時代を生き抜くマイケル・ジャクソンと比較されるけど、全然違う立ち位置にいる人だよね。だって、未だに攻めの姿勢を崩してないじゃない。'90年代後半はレーベルとのゴタゴタとか訳判んない未発表曲集みたいなのが次々と出てきてファンは翻弄されたけど、ここ最近の彼は(決して「SIGN 'O' THE TIMES」の頃みたいな神懸かった閃きはないにせよ)ホント輝いてるよね。

 だからこそ‥‥そろそろまた、こういう「計算」と「暴走」の狭間にいるような作品集を期待しちゃうんだよね。



▼PRINCE「SIGN 'O' THE TIMES」(amazon

投稿: 2004 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Prince, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/26

とみぃ洋楽100番勝負(38)

●第38回:「Mr.Crowley」 OZZY OSBOURNE ('80/'87)

 もうひとり忘れてた、オールタイムで好きなギタリスト。そう、ランディ・ローズね。唯一亡くなっている人だけにさ、もうその動向を追うなんてことは出来ないわけだけど‥‥やっぱり彼がオジーの元に残した2枚のオリジナル・アルバムと、この「TRIBUTE」というライヴ盤は、ホントに一生ものだと思うんですよ。

 オジーとの出会いは意外と遅くて、俺。多分「BARK AT THE MOON」が出て1年以上経ってからだと思うわ‥‥だってさ、あのルックスがね、子供心にマジで怖くて。本当に悪魔なんじゃなかろうか、と。そんなわけないんだけどさ。で、その後の「THE ULTIMATE SIN」は、単純に曲が気に入って、アルバムは結構聴いてた。ジェイク・E・リーのギタープレイも好きだったし。

 けど‥‥この「TRIBUTE」で初めてランディのプレイに接したんだけど‥‥感動した。いや、速弾きがどうこうっていうんじゃなくて、そのクラシカル且つメロディアスなギタープレイに。ライヴだけにラフな部分も目立つんだけどさ、それ以上にリフワークとソロプレイの対比がね、本当に感動的に凄かったわけ。

 ほら、ソロイストって意外とリズムプレイ(メインリフじゃなくて、歌のバックでのリズムプレイ)が印象薄い人多いじゃない。スティーヴ・ヴァイみたいに終始ソロプレイみたいな人は別として‥‥やっぱりエディ・ヴァン・ヘイレンくらいしか思い浮かばなかったのね、当時そういう人って。だからこそ、ランディのプレイには目から鱗だったわけ。

 特にさ、この "Mr.Crowley" でのソロは、全ギタリスト必聴なプレイが満載なんですね。俺もコピーしたもん、出来もしないのに。勢い余ってスケールアウトする箇所もあるんだけど、そんなのお構いなし。とにかく若さ故の勢いでカバー。勿論しっかり計算されているわけですが。

 この頃(高校1〜2年)、本気で「HM/HRが世界で最も高等な音楽」だと信じてたもんな、俺。そのくらい染まってたわけですよ、ハイ。



▼OZZY OSBOURNE / RANDY RHOADS「TRIBUTE」(amazon

投稿: 2004 09 26 12:00 午前 [1980年の作品, 1987年の作品, Ozzy Osbourne, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/25

とみぃ洋楽100番勝負(37)

●第37回:「Still Of The Night」  WHITESNAKE ('87)

 その時代その時代で好きなギタリストは沢山いるわけですよ。けど、オールタイム‥‥ガキの頃から現在に至るまでずっと好きなギタリストとなると‥‥

 エディ・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・ヴァイ、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、ゲイリー・ムーア、ロニー・ウッド、ブラッド・ウィットフォード(AEROSMITH)、アンディ・マッコイ(HANOI ROCKS)、イジー・ストラドリン(元GUNS N'ROSES)、マルコム・ヤング(AC/DC)‥‥

 多かった。もっと少ないと思ったんだけど。

 で、今回紹介するWHITESNAKEに一時期参加していたジョン・サイクスもそのひとり。いや、彼の場合は正直‥‥最近の動向を全く知らないので‥‥こないだBLUE MURDER名義で来日してたけど、あれはなぁ‥‥

 この「WHITESNAKE」という'87年のアルバムが大成功した裏側には、勿論デヴィッド・カヴァーデイルのボーカルの凄みとか、似非ZEP的なアレンジが流行だったとか、そりゃHM/HRがブームだったからでしょ、とかいろいろ理由が考えられるんだけど、やはり一番最初にくるのはそのものズバリ、曲の良さだと。過去のリアレンジ・バージョンである "Crying In The Rain" や "Here I Go Again" はもとより、それ以外の楽曲を手掛けたジョン・サイクスの才能たるや‥‥

 ただの "Black Dog"(ZEPの名曲)のパクリに終わってないのは、ジョン&デヴィッドのソングライティングの賜物であるのと同時に、奇跡的なメンバー‥‥エインズレー・ダンバー、ニール・マーレイ、ドン・エイリーといった凄腕達によって制作され、時代にフィットしたモダンなアレンジ、適度にソフトな要素も要している。つまり成功しないわけない、と。

 この7分近くあるヘヴィナンバーはシングルヒットにまでは到らなかったけど、これをファーストシングル/最初のPVに選んだのは大正解だったと思うよ。エディットバージョン作らないで、ちゃんとフルコーラス流れるPVといい、ビデオ用の豪華メンバー(ヴィヴィアン・キャンペル、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ、ルディ・サーゾ、トミー・アルドリッヂというHM/HRファンがヨダレをダラダラ流しそうなメンツ。結局これがツアーメンバーに)といい‥‥インパクト絶大よ。

 もし俺が「名盤100選」みたいなのをやったら、絶対に選ぶねこれ。ま、実際ここでも選んでるわけですが。



▼WHITESNAKE「WHITESNAKE (1987)」(amazon

投稿: 2004 09 25 12:00 午前 [1987年の作品, Whitesnake, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/23

とみぃ洋楽100番勝負(35)

●第35回:「Bullet The Blue Sky」 U2 ('87)

 U2の大出世作となった「THE JOSHUA TREE」の4曲目に収録されている、シングルにもならなかった1曲。けど俺にとっては非常に重要な曲なんですよね。

 「THE JOSHUA TREE」といえばまず "With Or Without You" でしょうかね。そして "I Still Haven't Found What I'm Looking For" といったシングルヒット曲が『アルバムを代表する曲』なんでしょうね。いや、それは間違いない事実ですよ。実際俺もそれらの曲が大好きだし、人に薦める時はそれらの曲名を挙げますからね。

 けど‥‥俺にとっては‥‥この時期‥‥'80年代中盤から'90年代に突入するまでのU2というのは、非常に重苦しくて、時に宗教色さえ強く感じさせる、そんなシリアスなバンドだったわけですよ。まぁ、「WAR」辺りからその片鱗は十分ありましたけど。

 そもそも「THE JOSHUA TREE」って言葉自体が、そっちですからね。

 そして‥‥反米感情みたいなものが強く表出し出したのも、この頃かなぁ。"Bullet The Blue Sky" っていうヘヴィな曲もその流れにある1曲と言えますよね。この渋いながらも魅力的な1枚の中でも、特に印象深いのはこの曲なんじゃないかな。これが "With Or Without You" と "Running To Stand Still" の間に挟まれている。それによって更に曲自体の「ヘヴィさ」と曲本来が持つ「重さ」を際立たせてるように映ります。

 そして‥‥初めてU2のライヴを観た横浜アリーナで、この曲を聴いた時の衝撃‥‥それがね。本当に忘れられないのよ。詳しくは映画「RUTTLE & HUM」、そして同名アルバムでのライヴテイクをご覧&お聴きください。

 凄くまっすぐで生真面目なバンド、U2。だからこそ‥‥その反動からきた'90年代のU2には腰を抜かしたわけよ。そして‥‥だからこそ信用できたんだよね、「人」として。



▼U2「THE JOSHUA TREE」(amazon

投稿: 2004 09 23 12:00 午前 [1987年の作品, U2, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/19

とみぃ洋楽100番勝負(31)

 ひとまず「中学生編」は前回で終わり、かな。まだ抜けがあるような気がするけど。

 とりあえず、今回からは高校時代編。30曲くらいを予定してます。まーこの頃から暫くはメタル一辺倒な時代に突入するのかな‥‥


●第31回:「Heat Of The Night」 BRYAN ADAMS ('87)

 最近、6年振りのアルバムをリリースしたブライアン・アダムス。きっと俺等の世代なら「RECKLESS」を名盤に挙げて、"Heaven" や "Straight From The Heart" といったバラードを名曲に挙げるんでしょうね。で'90年代以降に聴き始めた人等にとっては「WAKING UP THE NEIGHBOURS」が名盤であって(誰だよ、「DEF LEPPARDってブライアンのパクリだよね!」とか言ってる奴は!?モノ知らなさ過ぎ!)、"(Everything I Do) I Do It For You" や、スティングとかロッド・スチュアートと共演した "All For Love" が凄い曲だとか言い出すんだろうなぁ‥‥いや、それは否定しませんよ。人それぞれに好みがあるでしょうから。

 けど。俺が一番好きなブライアン・アダムスのアルバムは、間違いなく「INTO THE FIRE」であり、一番好きなバラードは "Victim Of Love" なんだ、と。胸を張って言いたいね。

 曲がつまらない、とか、駄作、とか、全然ポップじゃない、とか。言いたいことはそれだけかよ? 要するにお前等みんな、固定観念に捕らわれて、自分が理解できないものを全部「糞」とか言いたいんだろ?

 バカかと。アホかと。

 高校に入るか入らないかの頃。間違いなく俺はこのアルバムに夢中になってた。これと同時期にリリースされたU2の「THE JOSHUA TREE」と。中学卒業祝いで貰ったCDギフト券(いや、当時はまだレコードギフト券か)で買ったこの2枚にどれだけ救われたことか。根が暗いからさ、能天気なロックには救われないのよ。

 とりあえず進学校みたいな学校に入学して、いろんな違和感を感じながら、きっと俺はこの重苦しいアルバムの中に逃げ場を探してたんじゃないかな‥‥いやよく覚えてないけど。

 とにかく、この重さがたまらないんだよね。特に "Heat Of The Night" は、ブライアンが弾くギターソロがまたね、味わい深くて。渋い。本気で渋い。

 もはやこのアルバムからの曲はライヴで演奏されることもないだろうけど‥‥やっぱり大切なアルバムだな、これは。



▼BRYAN ADAMS「INTO THE FIRE」(amazon

投稿: 2004 09 19 12:00 午前 [1987年の作品, Bryan Adams, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/03/23

DEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987)

DEF LEPPARDが'87年夏にリリースした、通算4作目のアルバム「HYSTERIA」なんですが、今でこそ「通算1,000万枚をも超えるセールスを記録」「全米チャートにおいて、リリースから1年以上経ってから1位を記録」「ハードロックという枠を超えた、ポップ/ロックの金字塔」なんて言われて絶賛されることの多い'80年代を代表する1枚なわけですが‥‥俺ね、リリース当時、このアルバムが大嫌いだったの。正確に言えば、ガッカリさせられたというね。

俺が洋楽ハードロックにのめり込む切っ掛けを作ったアルバムの内の1枚が、LEPSの「PYROMANIA」だったんだけど、もうね、完全にあの世界観であったり、サウンドであったり、楽曲であったり、もうね、全部が大好きだったわけですよ。当時12~3才だった「とみぃ少年」にとって、これほどまでに完璧なロックアルバムはあるだろうか!?といえる程にね。今でもあのアルバムがある種の指針になってるところはあるんだけどさ(結局俺が「ブリティッシュ」にこだわるのも、あのアルバムが切っ掛けだったしね)。

ところが、4年待ってリリースされたこの「HYSTERIA」というアルバム。リリース当時高校1年生だった俺、夏休みにプールでバイトして小遣い貯めて、それで買ったのがこのアルバムだったんですよ。当時洋楽CDでもまだ3,200円とかだった時代。しかもこれ‥‥今現物が手元にあるんですが‥‥直輸入盤に帯と解説を付けた代物なわけ。「Made In West Germany」という懐かしい響き‥‥この頃はまだ、こういった盤が結構存在してたんだよね。輸入盤CDも3,000円近くした時代だもの‥‥

でね。そんな一生懸命働いて買った、大好きなバンドの待望の新作‥‥1回聴いて、かなり凹んだのよ。似てるようで、全然違う、って。まぁドラムのリック・アレンが交通事故で片腕を失って、それに対応したシモンズ・ドラムを開発、どうしても当時の技術じゃシンセ・ドラムっぽくなってしまうのは仕方なかったんだけどさ(今なら生音をサンプリングすればいいだけの話ですからね)。にしてもね‥‥ドラムもそうだけど、全体的な雰囲気‥‥人工甘味料をまぶしたような、コテコテに甘ったるい曲調、ギターサウンドも前作以上に歪みまくってて若干人工っぽい。シンセも多用してるし、曲によってはQUEEN以上にコーラスを重ねてるパートもある(実際、120以上も声を重ねたパートもあるとか)。前作にあったようなタフな雰囲気は減退し、角の取れた柔らかい印象‥‥これ、ハードロックじゃねぇじゃんか!と当時16才だった「とみぃ少年」は憤りを感じたわけですよ、このアルバムに。

事実、このアルバムはリリース当初はアメリカ/イギリス両方で期待された程大きなヒットにはならなかったのね。アメリカでは4位くらいまで上昇したのかな、シングルも第一弾の "Women" がコケてね‥‥ま、とてもシングルに選ぶような曲だとは思えないわけですが。

そんなだからさ、翌'88年5月に実現した再来日公演にも足を運ばなかったんだよね。代々木体育館、全然埋まらなかったそうだけど‥‥結局、その3年後に悔やんでも悔やみきれない程に後悔しまくるわけですが‥‥

この頃からかな、このアルバムからのシングルがどんどんアメリカでヒットしていったのは。第二弾 "Animal" はトップ20入りして面目を保ち、第三弾 "Hysteria" ではとうとう初のシングル・トップ10入りを記録。その後 "Pour Some Sugar On Me" が2位、"Armageddon It" が3位まで上昇し、同年秋にはアルバムからの第6弾(!)シングル "Love Bites" がとうとう1位を記録してしまうのですよ‥‥当然その頃までにはアルバムも10位圏内を行ったり来たりしていて、最終的には1位を記録。実はLEPSにとってはシングルのみならずアルバムも初の1位だったんですよね。この当時の時点で、既にアルバムは700万枚を突破。'89年に入って第7弾シングル "Rocket" をリカット、トップ30入りを記録するのですよ‥‥1枚のアルバムからシングル7枚て‥‥12曲収録のアルバムですよ!? ホント、マイケル・ジャクソンも真っ青ですよ。

話を元に戻して‥‥こうやって当時のMTVやラジオ等でLEPSのシングル曲を耳にする機会がどんどん増えていき、暫く聴いてなかったアルバムを聴き返すことが多くなっていったんですね。で‥‥最初は先入観から「前作ほど良くない」と思えたアルバムが、聴く度に新しい発見があり、ハードじゃないから嫌ってたのに逆に曲のポップさに魅了されていき、気づけば毎日学校から帰宅するとリピートしまくりな1枚へと変化していったのです。

決して「シングル曲がいっぱい入ってるから」ではなく、これはもう単純に‥‥スルメ的要素を持ったアルバムだったからというのが大きいのではないか、と今になって思うわけです。当時としては破格の62分という収録時間も驚異的だったし(恐らくハードロック系で初めて「CD」を意識して作られたアルバムでしょうね。全編デジタル録音というのもあるし)、実は曲のバラエティ豊かさも前作の比じゃない。当時はBON JOVIやWHITESNAKEといったバンドがチャート上を席巻していたのですが、そんな中でこのアルバムは異色だったといえるでしょう。いや、ハードロック側からみれば異色かもしれないけど、実はポップス畑からみるとそんなに不思議じゃない作品だった‥‥だからこそここまで支持されたんだろうな。ラジオで普通にポップスとして機能するし、MTVでビジュアル付きで聴けば完全にハードロックしてる。ある意味無敵な作品、それが「HYSTERIA」というアルバムだったのかな、と。その後の彼らの活動をみても、結局はここで得てしまったメガヒットを意識して、「HYSTERIA」の延長線上にある作品作りに励んでいるように映りますし‥‥幸か不幸か、ね。

このアルバムを最後に、ギタリストでありメインソングライターでもあったスティーヴ・クラークはこの世を去るわけですが('91年1月に死去)、そういう意味でも忘れられないアルバムンなってるんですよ、俺にとって。

確かにドラムサウンドとかは今聴くとちょっと時代を感じますけど、楽曲の良さ/普遍性はやはりさすがと言わざるを得ないでしょうね。2004年の現在においても、これを超えるようなアルバムはそう登場していないわけですから。ANDREW W.K.等の若手バンドがLEPSの功績を讃え、その影響をあからさまに表したサウンドで世を賑わしてます。が、当のLEPSは‥‥残念ながら以前のようなヒットを飛ばしているとは言い難い状況です。あの頃、少年少女だった俺達にとって最高だったものが、今の少年少女達にどう映るのか‥‥ハードロックとかポップとか関係なく、とにかく偏見なしに一度は聴いてもらいたい名盤。"Love Bites" や "Love And Affection" に感動の涙を流し、"Gods Of War" で緊張感を味わい、"Rocket" や "Excitable" で踊り狂い、"Pour Some Sugar On Me" や "Armageddon It" で拳を振り上げてシンガロングしようじゃないですか‥‥そういう判りやすいアルバムなんですから。



▼DEF LEPPARD『HYSTERIA』
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投稿: 2004 03 23 08:01 午前 [1987年の作品, Def Leppard] | 固定リンク

2003/08/15

RED WARRIORS『CASINO DRIVE』(1987)

  自身の音楽人生に於いて『原点的存在といえる重要作品』を紹介していくという企画第四弾は、'80年代後半に登場し、その短い活動期間の間我々に強烈なインパクトを与え続け、'90年代後半には2度に渡る再結成を果たしたものの、残念ながら先頃また解散してしまった、日本が誇るロックンロールバンド、RED WARRIORSが'87年にリリースしたセカンドアルバム、「CASINO DRIVE」を紹介したいと思います。多分自分と同年代の人達なら覚えているでしょう、このバンドを。非常に日本人らしくなく、それでいて最も日本人らしいロケンローバンドを。

  バンドの歴史とかはこの際省きますが、このバンドの登場は俺にとってはちょっとした事件だったんですよ。まぁこういう「勘違いしてんじゃねぇの?」的なバンドってのは当時日本には腐るほどいたわけですが、何故か彼等の場合は目に、そして耳に残ったんですよね。歌詞は聴いてるこっちが恥ずかしくなるようなものだったりするのに(所謂洋楽ロケンローにありがちな「SEX, WINE & R&R」的世界観を日本語にそのまましてしまったかのようなもの。ま、それだけじゃないんですけどね、彼等の場合は)、耳障りのいいメロディ‥‥要するにキャッチーだったわけですよ。そして独特なサウンド。これは特にギターのサウンドですけどね。あのギターサウンドはとにかく「???」となったわけでして(レコーディングの際、アンプの表と裏両方にマイクを立て、裏側からの音を高めにミックスする方法らしいんですわ、確か)。ストラトのフロントピックアップの音なんだけど、もっと隠ったような音で、別にエフェクターによるものでもなさそうな、何とも表現し難い音。これには本当にヤラレタ!って思いましたもの、当時。そして最後は、ダイヤモンド☆ユカイのボーカルでしょう。ある種日本人離れした歌唱法といいましょうか。当時の日本人によるこの手のバンドのボーカルって、メタルっぽい高音シャウトに走るか、あるいは線が細くて低音みたいなタイプばかりだったんですね。だから、ユカイの迫力ある歌唱法ってのは俺の中で西城秀樹や世良正則以来の衝撃だったわけで。まぁ要するに、こういう暑苦しいタイプのシンガーが好きなわけですよ、俺。

  ファーストアルバム「LESSON 1」というのは、正しくそういった「洋楽ロックの直訳版」的な1枚だったわけですが、それから約8ヶ月後にリリースされたこのセカンドアルバムでは、バンドとしてかなりの飛躍を果たしてるわけですね。例えば楽曲や歌詞。ファーストにもその片鱗はあったのですが、このセカンドではロケンロー一辺倒な作風ではなく、もっとバラエティ豊かな作風になっていて、カズーを用いたちょっとおちゃらけた雰囲気が漂う"OLD FASHIONED AVENUE"、アコースティックギターがメインとなるバラード"MORNING AFTER"、同じくアコギのストロークが印象深いポップな"JOHN"、そして先行シングルとしてもリリースされたゴージャスな"WINE & ROSES"等、とにかく前作のストレートな印象を覆すかのような緩急がついた作風になっています。勿論、前作から引き継いだロケンロー路線も更に線が太くなった印象を受け、バンドのテーマ曲ともいえる"CASINO DRIVE"、マイナーなストレートチューン"I MISS YOU"、ヘヴィーブルーズ"OUTLAW BLUES"、デビュー前からあったファンキーなダンスチューン"MONKEY DANCIN'"、ライヴで栄えるワイルドな"FOOLISH GAMBLER"と、どれも捨てがたい名曲揃い。歌詞においてもそれまでのようなロケンロー的世界観を歌ったものから更に一歩踏み込んだかのような深い内容のものまで、幅が広がったといえるでしょう。個人的には男女の別れを歌った"MORNING AFTER"、そしてユカイが愛するジョン・レノンについてその思いをストレートに歌った"JOHN"の歌詞がその曲調と相俟って、忘れられない名曲として心の中に残ってます。

  サウンド的にも前作よりも更に重心が低くなったかのような太くてえげつない音像が印象深く、またスピード感がある疾走チューンが多かったファーストと比べても全体的に曲のテンポが落ちている為、更に思い印象を受けます。が、実際にはそこまでヘヴィというわけではなく、実はポップな作風なんですよね。続くサード「KINGS」と比べると、その差は歴然としてるんじゃないでしょうかね?

  バンドとしてはこのアルバムでブレイクしたといっても過言ではなく(実際オリコンのトップ10に入りましたしね)、俺が初めて彼等を生で観たのもこのアルバムリリース前後の「1,000円武道館公演」だったので(チケット代金が1,000円という、前代未聞のライヴを彼等は武道館と西武球場において行っています)、余計に印象深いアルバムになってます。一番好きなアルバムとなると、実は最初の解散前の異色作「SWINGIN' DAZE」だったりするんですが、名曲度の高さ・多さからいえば、間違いなくこの「CASINO DRIVE」に軍配が上がるでしょう。

  かのTHE YELLOW MONKEYが最初にメジャー契約する時、「RED'Sがいた会社だから、ここにした」と言わしめた、'80年代の日本コロンビア。実は俺も同じようなことを考えてたことがあって、「メジャーからロックンロールのレコードを出すなら、間違いなくコロンビアからだな」なんて夢のようなことばかり考えてましたよ。理解あるスタッフに囲まれて、こんなポップでグルーヴィーなロケンローをやりたかったなぁ‥‥



▼RED WARRIORS『CASINO DRIVE』
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投稿: 2003 08 15 12:00 午前 [1987年の作品, Red Warriors] | 固定リンク

2003/08/06

GUNS N' ROSES『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987)

自分の誕生日にどのアルバムを取り上げようか‥‥毎年悩むんですよね。ま、誕生日くらい休めよ、とか自分でも思うんですけど、なんつーか最近は毎日1枚、何かしら取り上げないと気が済まないというか、スッキリしないんですよね。完全にビョーキ。仕方ないさ、ここまできたら行くとこまで行ってやろうって思ってますよ。

んで、去年って何を取り上げたんだっけ‥‥って思って去年の更新状況を眺めてみると‥‥あ、更新休止宣言してる‥‥そうか、もうこの頃からボロボロだったのか、俺。病院に行ったのは、ここから更に1ヶ月近く経ってからだったんだっけ。丁度フジロックから戻って、精神的に調子悪くなったんだよな。そうかそうか。そう考えると‥‥なんも考えてない今年の俺って、如何に健康体かが伺えるよね。ま、喜ばしいことなんですけどね。

つうわけで、誕生日に何取り上げるかってことで‥‥自分が最も影響を受けたアルバムを取り上げようと思いまして。いや、今月いっぱい、そういった「自分の原点ともいえるような作品で、まだ取り上げてないもの」を片っ端から紹介しよう!と今さっき勝手に決めました。洋楽・邦楽関係なく、10代~20代の頃に出会い、未だに頻繁に聴く、多分この先何十年も聴き続けるであろうアルバム‥‥そういったものを紹介してみたいな、と思います。

まず1発目ということで‥‥ベタですが、GUNS N'ROSESが'87年夏に発表したデビューアルバム、「APPETITE FOR DESTRUCTION」。実はこのアルバムについては何度かレビューを書こうとトライしたことがあったんですよ。で、実は書きかけのレビューってのが手元に残ってて、それを見てみたら‥‥書いたの、去年の8/6だったのね(汗)。何だよ、去年の鬱な俺も、今の俺と同じこと考えてたのかよ!って、さすがに自分の単細胞振りに凹みましたよ。ハハハ。

ま、冗談はこの辺にして‥‥自分にとって『完璧なロックンロールアルバム』というのが、これなわけ。ハードロックの硬質さ、パンクの衝動性と荒々しさ、クラブみたいな狭い空間でも、そして数万人を前にしたアリーナ/スタジアムでも同じように「響く」音。小学生の頃AEROSMITHに出会い、中学に入ってHANOI ROCKSやMOTLEY CRUEに出会った俺が、その「現在進行形」なバンドとして高校に上がった頃に出会ったのが、このGUNS N'ROSES。初めて "Welcome To The Jungle" をPVを観た時の衝撃は今でも忘れられないし、正直なところ拒否反応すら示した程。

だってさ俺、最初このアルバムを聴いた時、本当は苦手だったんですよ。何か上手い表現ができないけど‥‥「えげつない」って感じたのね、このアルバムの音やグルーヴ感を。だから1~2曲目は好きだったけど、残りは正直殆ど聴けなかったのよ、16歳の頃の俺は。

ところが、初めて聴いてから半年くらい経った頃、"Sweet Child O'Mine" のPVがよくテレビ番組で流れるようになって‥‥アブなさ満載だった "Welcome To The Jungle" よりも硬派で、それでいて優しい印象を受けたのよ、曲からもPVの中のメンバーからも。単にファッションの違いってのもあるだろうけど("Welcome To The Jungle" では髪をおっ立てたパンキッシュなファッション、"Sweet Child O'Mine" ではカウボーイスタイルにバンダナ頭に巻いた上にキャップ被るというその後お馴染みのスタイル)、16歳の俺には後者の方がすんなり受け入れられたわけ。

そこからは馴染むの、速かったよ。テープにダビングしたアルバムは擦り切れる程聴き、結局自分でCDを買った程(最初は友人からダビングしてもらったのね)。その後、傷だらけになって2度も買い換えてるし、オリジナルのレイプジャケット復刻盤アナログまで持ってる程、このアルバムには思い入れあるんだわ。多分、同じアルバムを複数枚買ったのって、このアルバムが最初だと思う。どうしても手元に置いておきたい、そんなアルバム。

当然、内容は馴染んでからの俺にとっても、そして今の俺にとっても完璧な内容なわけ。特にアナログA面(1曲目 "Welcome To The Jungle" から6曲目 "Paradise City" まで)の流れは本当に呼吸するのを忘れてしまう程、自分にとって理想的な流れ。もし自分がこういうロックアルバムを作れるのなら、間違いなくこういう流れでアルバム作ると思う。アルバムの真ん中を山場に盛り上がり、後半はミディアムのメロウナンバーやパンキッシュな疾走ナンバー等緩急をつけた流れにして、アルバムの一番最後をミディアムヘヴィなグルーヴィーチューンで閉める。バラードじゃないのね、あくまでロックチューンなわけ。

そうだよな、このアルバムって結局1曲もバラードがないのも特徴なんだよな。せいぜいそれに近い存在といえば "Sweet Child O'Mine" くらいか。バラード大好きだけど、こういう硬派な作品に未だに憧れるんだわ。これ聴けば、何時でも16歳の俺に戻れる、そんな1枚。

ボーカルの声質とか歌い方とか、曲調とかで好き嫌い分かれるタイプの音だとは思うんだけど、ロックンロール好きを自称する人なら、一度は通過して欲しいアルバム。15~6年前、このアルバムがアメリカやヨーロッパや日本を一世風靡したんですよ、今の10代の皆さん。去年の「SUMMERSONIC」に出演した彼等とこのアルバムの彼らは正直、全くの別物だと思ってます。同じ名前だけどね。けど、それでいいと個人的には思ってます。積極的には今のガンズは応援できないけど、だからといってそれを否定するつもりもない。だって、スラッシュもダフもイジーもいないじゃん。それと比べちゃうのは正直可哀想だもん‥‥

やっぱりね、'88年12月に観た初来日公演が自分の中では一生忘れられないベストアクトなのよ。40分で終わったNHKホール公演、その翌日2時間半もの熱演を繰り広げた初の武道館公演。この2本は自分にとって最低であり最高である。そんなライヴ、後にも先にも彼等だけだよ。



▼GUNS N' ROSES『APPETITE FOR DESTRUCTION』
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投稿: 2003 08 06 10:21 午後 [1987年の作品, Guns N' Roses] | 固定リンク

2003/05/08

METALLICA『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)

1986年秋、事故によってベーシストのクリフ・バートンを失ったMETALLICA。すぐさま彼等は後任を探し、結果ジェイソン・ニューステッドが加入することに。そのまま初来日を済ませ、再びロードへと戻っていった彼等は大切なメンバーを失った悲しみを振り払うが如く、ツアーに専念。そして1987年夏には二度目の「MONSTERS OF ROCK」フェスティバルへの出演が決まるのです。それに際し、彼等は英国及びヨーロッパにてシングルをリリースしようとします。既に『MASTER OF PUPPETS』リリースから1年半、アルバムを再プロモートするには時間が経ちすぎ、改めてシングルカットするには時期が遅すぎる。そこで彼等は面白いことを思いつくのです。そう、カバーオンリーのシングルをリリースしてはどうだろう、と。

そういった気軽なアイディアの元、生まれたのがこのミニアルバム。夏フェスに合わせたヨーロッパツアー用に録音といった意味もあるし、それ以上に新加入したジェイソンをまずリラックスさせる為の肩慣らしという意味もあったようです(そりゃ、既にアンダーグラウンド・シーンからメジャーシーンへと上り詰め、セールスも知名度もうなぎ登りのバンドに加入すれば、否が応でもプレッシャーを感じるでしょう)。

彼等は過去、『GARAGE DAYS REVISITED』というシングルをリリースしています。ま、実際にはそういうタイトルではありませんでしたが……1984年、『RIDE THE LIGHTNING』からのシングル「Creeping Death」をリカットする際に、彼等のお気に入りアーティストであるDIAMOND HEADの「Am I Evil?」とBLITZKRIEGの「Blitzkrieg」をカバーし、そのシングルに収録しています。その際のコンセプトが「GARAGE DAYS REVISITED」……「ガレージ時代よ、再び」といったところでしょうか。つまり、アマチュア時代に立ち返って自分達に影響を与えたアーティストの楽曲をカバー/コピーして楽しもうという企画。今回の『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』はその『GARAGE DAYS REVISITED』の第二弾なのです(だから“RE-REVISITED”なのですよ)。

基本的には「NOT VERY PRODUCED BY METALLICA」ということで、殆ど生音に近い状態での録音、正に「ガレージでの練習風景そのまま」な状態になっているわけです。だからラーズのカウントも、ギターのスイッチングやピッキングノイズも、曲頭や最後のちょっとした会話もそのまま残されています。確かに過去のオリジナルアルバムと比べればチープ以外の何ものでもありませんが、逆にその生々しさが「その後のMETALLICA」に大きく影響するようになるのです。ま、その辺はもっと後の話になるんですが。

今回録音されたのは5アーティスト、5曲(実際には6曲。メドレーがあるので)。前回もカバーしたDIAMOND HEADの「Helpless」、同じくNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)周辺からHOLOCAUSTの「The Small Hours」、パンク以降に登場したニューウェーブバンドKILLING JOKEの「The Wait」、70年代に活躍したハードロックバンドBUDGIEの「Crash Course In Brain Surgery」、そしてお馴染みMISFITSの「Last Caress」「Green Hell」のメドレー、という構成になってます(ちなみに一番最後にオマケ中のオマケ……気づいてる人も多いと思いますが、IRON MAIDENの「Run To The Hills」のイントロが、かなりふざけた感じで演奏されてます)。

意外なアーティスト名もありますが、この感じこそがMETALLICAのルーツであり、そしてその後の「クリフを欠いたMETALLICA」がどのような路線を進んで行くのかが垣間見れる1枚ではないでしょうか?

ちなみにこのEPは結局アルバム扱いでアメリカや日本でもリリースされ、本国ではビルボード28位まで上昇しています。カバーソング集でこの記録(前作とほぼ同じような順位・セールス)、大したもんですよ。

そしてMETALLICAは翌年、いよいよその後の大ブレイクに向けて新たな路線を見つけるる旅に出るのです。

あ、最後に補足。このアルバム、現在は廃盤ですのであしからず。1991年に「これまでカバーした楽曲を、後に1枚のアルバムにまとめてリリースする予定がある」との理由で世界的に廃盤にされてしまいました。で、結局それから7年後に『GARAGE INC.』という2枚組カバー集にて再び日の目を見ることになるのです(当然、全曲完全収録)。中古盤市場でも未だに高値で取引されているらしいこのアルバムですが、音さえ聴ければいいという人には『GARAGE INC.』をオススメします。1998年までに彼等が公式にリリースしたカバー音源は全て網羅されてますからね。



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投稿: 2003 05 08 03:47 午前 [1987年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/04/14

ZIGGY『ZIGGY ~IN WITH THE TIMES~』(1987)

  '87年10月にリリースされた、ZIGGYの記念すべきメジャーデビューアルバム。これ以前に彼等はインディーズから「それゆけ!R&R BAND」という4曲入りの12インチシングルをリリースしているんだけど(後に再録音/再発される)、このアルバムで俺は彼等を知ったわけ。1987年‥‥ブルーハーツやユニコーン、BUCK-TICKといったバンドがメジャーデビューを果たし、ボウイが解散を発表した年。バンドブーム前夜といえるそんな年にZIGGYはデビューしました。

  当時はジャパメタ(日本のヘヴィメタル/ハードロック)ムーブメントの中から登場したバンドだと思ってたのね。実際、「BURRN!」なんかでも取り上げられてたし、丁度海の向こうではこういったグラマラスなハードロックバンドがヒットチャートを賑わしていた時期だったし。MOTLEY CRUEとかPOISONとイメージが重なったのね、"I'M GETTIN' BLUE"のPVを観て。曲もHANOI ROCKSみたいだし。で、そういうハードロック的なものを求めてアルバムを聴いてみると、これが全然違ったんだわ。いや、そういったバンドからの影響も匂わせているんだけど、それ以前のルーツ的存在‥‥AEROSMITHだったりNEW YORK DOLLSだったり‥‥「グラマラスなハードロック」よりも「グラマラスなロックンロール」の色の方が強かったという。ま、そうはいってもこのバンド、基本はやはりHANOI ROCKSなんですけどね(実際、デビュー前に全曲HANOI ROCKSのカバーというライヴもやってたし)。そういった洋楽ロックサウンドに、EARTHSHAKER以降の「ハードロックと歌謡曲のギリギリライン」なメロディを載せ日本語で歌う‥‥特に目新しい要素ってのはないんですが、これが何故かウケちゃったんですよね。

  そのウケた理由はハッキリしていて、もうね楽曲命なわけですよ。曲が良い。メロディが良い。これが全てなわけ。確かにどこかで聴いたことあるようなリフやコード進行も多々見受けられますが、やろうとしてること/やりたいことがハッキリ見えてるし、まぁファーストだしその辺は大目に見ましょうよ。

  AEROSMITHの "Rats In The Celler" をパンキッシュにしたような"EASTSIDE WESTSIDE"から始まり、そのAEROSMITHやNEW YORK DOLLSにも通ずるようなロックンロール"MAKE IT LOUD"、名曲中の名曲"I'M GETTIN' BLUE"、アメリカンロック的な埃っぽいバラード"BIRDS ON STRINGS"という流れは、長年聴き親しんだせいか、かなりしっくりくる流れなんですよね。スカスカなサウンドも妙にピッタリだし。パンキッシュな"LAZY BEAT"、このアルバムの中ではある種異色作な"上海GIRL"、まんまHANOI ROCKSな"HOW"、NEW YORK DOLLSの曲をジョニー・ロットンが歌ったかのような"CRISIS"、ポップなロックンロール"I WANT YOUR LOVE"、軽快なブギーナンバー"BOOGIE WOOGIE TRAIN"、AEROSMITHやMOTLEY CRUEに通ずるピアノバラード"6月はRAINY BLUES"‥‥全11曲、今聴いても全然色褪せてないんですよね。'87年というとアメリカではMOTLEY CRUEが「GIRLS, GIRLS, GIRLS」を、GUNS N'ROSESがデビューして「APPETITE FOR DESTRUCTION」という名盤をリリースした年。そうそう、AEROSMITHも「PERMANENT VACATION」で大復活を果たした年でもありました。そういった15年前にリリースされたロックアルバム同様に、このZIGGYのファーストも普遍性を持った1枚なわけですよ。プロダクションの豪華さ/貧弱さといった違いはあるものの、そこに収められた楽曲の普遍性には何ら問題はないわけで。こうやって今聴いても、懐かしいというよりは「普通にカッコイイアルバム」というイメージなんですよね。

  アルバムによっては、5年なり10年なり経って聴くと古さを感じさせたり、あるいは単純に「懐かしい」と思わせるものも少なくないと思うんですが、上に挙げたような偉大なバンド達のアルバムってどれも、そういった「懐かしさ」で語れるような代物は一枚もないと個人的には思ってます。そういう観点からすれば、このZIGGYのファーストも(そしてセカンド「HOT LIPS」もね)「バンドブーム前夜を思い出させる懐かしいアルバム」というよりは、「ロックの古典として、今も若い世代に新しい衝撃を与え続けるアルバム」だと思いますね。

  けどそうは言いながらも、ジャケット写真のダサダサなメイク&衣装には、あの当時特有の「気恥ずかしさ」を感じずにはいられませんが(苦笑)。今現在の「ボトムがしっかりとした、骨太なZIGGY」も好きですが、やっぱり初期のスリージーな印象の(そして演奏もメロメロな/笑)ZIGGYが一番好きかなぁ。



▼ZIGGY『ZIGGY ~IN WITH THE TIMES~』
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投稿: 2003 04 14 12:28 午前 [1987年の作品, ZIGGY] | 固定リンク