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カテゴリー「1989年の作品」の79件の記事

2022年7月27日 (水)

McAULEY SCHENKER GROUP『SAVE YOURSELF』(1989)

1989年10月10日にリリースされたMcAULEY SCHENKER GROUPの2ndアルバム。日本盤は同年11月1日発売。

元GRAND PRIX、FAR CORPORATIONのロビン・マッコーリー(Vo)というそこそこ知名度のあるシンガーを迎え、MICHAEL SCHENKER GROUPというワンマングループ名からマイケル&ロビンの名前を冠したMcAULEY SCHENKER GROUPとして80年代後半に再始動したマイケル・シェンカー。1作目『PERFECT TIMING』(1987年)は前年から大きくなり始めたHR/HMブームの波に片足だけ乗り(笑)、全米95位という小ヒットを記録。リードシングル「Gimme Your Love」も初めて全米TOP40入り(Billboard Mainstream Rockチャート)を果たし、それなりの成功を収めたと言えるでしょう。

そこから2年のインターバルを経て届けられた2作目では、ロビン&マイケルとロッキー・ニュートン(B)、ボド・ショプフ(Dr)に加え、前作にゲスト参加していたスティーヴ・マン(G, Key)が正式加入する形で制作。プロデューサーには新たにフランク・フィリペッティ(FOREIGNERSURVIVOR、ジョン・ウェイトなど)を迎え、アメリカナイズされながらも前作以上に“尖った”1枚に仕上がっています。

このアルバムはまず、オープニングを飾る6分強のタイトルトラック「Save Yourself」がすべてでしょう。若干ドンシャリ感が強く、産業ハードロック的なテイストでまとめられた前作から一変し、エネルギッシュなギターソロとタフで疾走感の強いバンドサウンド、ロビンのパワフルなボーカルとすべてのピースが合致した、「マイケル・シェンカー復活!」を宣言するような名曲なのです。冒頭のみならず、中盤もかなり長尺でフィーチャーされたギターソロも聴きどころで、前作で若干肩を落とした感のあったオールド層をも引き込む1曲ではないでyそうか。

しかし、そういったテイストの楽曲はこれのみで(笑)、あとは『PERFECT TIMING』を良き形でバージョンアップさせたアメリカンHRが中心。「Bad Boys」や「Get Down To Bizness」あたりで聴ける豪快なロックンロールは、ある意味では初期MSGとの共通点も見つけられるけど、それよりもWHITESNAKEの全米制覇に影響を受けているんじゃないかという気も。悪くないですけどね。

もちろん、「Anytime」のようなエモいパワーバラードも用意されていますし、マイケル&スティーヴのツインリードがカッコいい「Destiny」といったマイナーキーの疾走ナンバー、「Take Me Back」みたいな哀愁味の強いミディアムナンバーも含まれているので、ご心配なく。なんだかんだで、どの曲も80年代後半という時代性が反映された高クオリティなものばかりで、今聴いても意外とアリなものが多いのではないでしょうか。

旧MSGのイメージで本作に触れると、すべては受け入れられないかもしれませんが、それでも要所要所に“らしさ”も見つけられるので、偏見を捨てて一度触れてみることをオススメします。

なお、本作は前作を超える全米92位を記録。「Anytime」に関してはBillboard Mainstream Rockチャートで最高5位、Hot 100(総合シングルチャート)で69位という過去最高記録を残しています。数字的なことを除外しても、本作はMcAULEY SCHENKER GROUP名義での最高傑作であり、マイケル・シェンカーのキャリアにおいても記憶に残る1枚だと断言しておきます。

 


▼McAULEY SCHENKER GROUP『SAVE YOURSELF』
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2022年5月31日 (火)

DEPECHE MODE『101』(1989)

1989年3月13日にリリースされたDEPECHE MODE初のライブアルバム。日本盤は同年3月10日先行発売。

本作は1987年秋に発表された6thアルバム『MUSIC FOR THE MASSES』を携え、1987〜88年に開催されたワールドツアーから、101本目にして最終公演に当たる1988年6月18日の米・カリフォルニア州パサディナRose Bowlでのスタジアムライブの模様を収めたもの。アナログ盤は2枚組/全17曲、CDは2枚組/全20曲と収録容量の違いで差ができてしまっています(アナログ盤でカットされたのは「Sacred」「Nothing」「A Question of Lust」)。

当時、このライブ盤を聴いて驚いたのは、その歓声の凄まじさとデイヴ・ガーン(Vo)のアッパーさ。SE的な「Pimpf」を経てスタートする「Behind The Wheel」での熱狂的な歓迎されっぷりは、当時日本でMTVを通じてでしかDEPECHE MODEを知らなかった自分にとってかなり衝撃なものでした。実際、スタジアムでライブをできるほどの人気をアメリカで獲得していたことを考えると、この大歓声が仕込みでもなんでもないことに気付かされるわけですが。

当時はアラン・ワイルダーを含む4人編成で、ライブも1990年代以降のサポートメンバーを迎えた大編成とは異なるもの。だからこその(良くも悪くも80年代的な)音数の少ないエレクトロニックサウンドが、スタジアムという大会場でどんな音量で鳴らされていたのか、非常に気になります。「Something To Do」みたいな80年代前半の楽曲は特にね。

ちなみに本作、同名の映像作品を制作されており、音源よりも尺は長いものの、披露されている楽曲数はかなり少ないです。ライブ映像を含むドキュメンタリー作品的なテイストなので、あくまで1988年当時の熱狂ぶりを補足するためのアイテムとして捉えていただけると。2021年12月にはリマスタリングされた映像版と、CDも同梱したボックスセットもリリースされたので、そのクリアな映像と合わせてお楽しみいただくのも一興かと。

選曲的にはもちろん『MUSIC FOR THE MASSES』からの楽曲が中心で、そこに『BLACK CELEBRATION』(1986年)や『SOME GREAT REWARD』(1984年)といったアメリカでのブレイク作を交えた内容といったところでしょうか。さすがに「Leave In Silence」や「See You」は選出されていませんが、ラストに「Just Can't Get Enough」「Everything Counts」という初期楽曲が用意されているあたりは微笑ましかったりします。

ここのツアーで得た経験が次作『VIOLATOR』(1990年)や次々作『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』(1993年)でのアメリカナイズにつながったことは、間違いでしょう。それくらい、このツアーでの成功はバンドに良くも悪くも影響を与えたはずですから。

このライブアルバムと当時の最新作『VIOLATOR』をじっくり聴き込んで、浪人中にもかかわらず日本武道館公演(1990年9月)に足を運んだんだよなあ。思えば、あれが最初で最後の“生”DEPECHE MODEだったし、以降32年も来日していないんですよね。そして、アンディ・フレッチャーを生で観た最初で最後のライブでもあったわけですが……。

近作ではツアーごとにライブアルバム/映像作品を毎回リリースしてくれている彼らですが、できることなら『VIOLATOR』〜『SONGS OF FAITH AND DEVOTION』期のライブフル映像(音源でも可)を体験したいものです。

最後になりましたが、アンディ・フレッチャーのご冥福をお祈りいたします。

 


▼DEPECHE MODE『101』
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2021年11月21日 (日)

CHARLIE SEXTON『CHARLIE SEXTON』(1989)

1989年初頭にリリースされたチャーリー・セクストンの2ndアルバム。日本盤はリード曲から用いられた『ドント・ルック・バック』という邦題で、同年1月25日発売。

1985年前半にシングル「Beat's So Lonely」およびアルバム『PICTURES FOR PLEASURE』でメジャーデビューした、当時弱冠16歳だったチャーリー。そのルックスで本国のみならずここ日本でもアイドル的な人気を博し、1作目から全米TOP20入りするなど成功を収めました。しかし、そのギタリストとしての実力やソングライターとしての才能が霞むほどにアイドル視されることから少し距離を起くことに。結果、続く2ndアルバムが届けられるまでに4年もの歳月を要することになります。

前作はビリー・アイドルでおなじみのキース・フォーシーがプロデューサーを担当しましたが、今作では名手ボブ・クリアマウンテンと、ピーター・ガブリエルやSQUEEZEなどを手がけたトニー・バーグが参加。ティーンポップ的な色合いも含まれていたデビュー作から、さらに大人になった楽曲/サウンドが詰め込まれた1枚に仕上がりました。

当時20歳になろうとしていたチャーリーですが、前作にあった背伸び感は今作には皆無。リラックスしつつも締めるところは締めるという、等身大の都会的ロックを中心とした楽曲が並びます。オープニングを飾る「Don't Look Back」などは前作の延長線上にあるものの、若干落ち着いた印象を受けるのではないでしょうか。この曲、ボブ・クリアマウンテン絡みでブライアン・アダムスがコーラスで参加。よく聴けばそれとわかるしゃがれ声のハモリを見つけることができます。

かと思えば、「I Can't Cry」や「While You Sleep」のような大人びた楽曲も用意。後者のようにスペーシーなサウンドメイキングを施した楽曲は前作にも含まれていたものの、今作では人口甘味料を排除したビターな仕上がりに。個人的には「I Can't Cry」での歌やギターに、のちの彼の片鱗が見つけられたことが久しぶりに聴いた収穫かな。

全体的に落ち着いたトーン、おおらかなノリで統一されているのは、なんとなく前年にリリースされた氷室京介の1stソロアルバム『FLOWERS for ALGERNON』(1988年)と通ずるものがあるような気もします。というのも、チャーリーは同作のレコーディングやライブにゲスト参加しており、異国のトップアーティストから受けた影響も少なからずあったのではないかと。「Question This」みたいなミディアムチューンを聴くと、そんな想像をしたくなってしまうんですよね(笑)。

80年代半ば、チャーリーに夢中になったお嬢様方は現在の彼の活躍をどこまで知っているのでしょうか。往年のソロ公演は一度も観たことがなかった僕ですが、2000年代に入ってからボブ・ディランのライブで何度も彼のプレイを目に耳にすることができるなんて、中高生の頃は想像できなかったなあ……。

 


▼CHARLIE SEXTON『CHARLIE SEXTON』
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2021年10月20日 (水)

TEARS FOR FEARS『THE SEEDS OF LOVE』(1989)

1989年9月25日にリリースされたTEARS FOR FEARSの3rdアルバム。

「Shout」「Everybody Wants to Rule The World」という2つの全米No.1ソングを輩出し、アルバム自体も全米1位獲得、500万枚超えのセールスを記録した前作『SONGS FROM THE BIG CHAIR』(1985年)から4年半ぶりの新作。同作での大成功がもたらしたローランド・オーザバル(Vo, G)とカート・スミス(Vo, B)の不和により、しばらく活動が停滞していましたが、オリータ・アダムス(Vo)との出会いにより受けた刺激から、それまでのスタイル/サウンドからの脱却を図ります。

過去2作を手がけたクリス・ヒューズから新たにデイヴ・バスコム(DEPECHE MODEGENESIS、トム・ヴァーラインなど)をプロデューサーに迎え、3年にもわたる難産の末に完成した本作は、前作で垣間見えたジャズからの影響に加え、ソウルやブルース、中期ビートルズ的なサイケデリックロックの色合いが散りばめられた、非常に音楽的幅の広がった1枚に。ニューウェイヴの流れから誕生したTEARS FOR FEARSですが、作品を重ねるごとにスタート地点からどんどんと離れていき、この3作目からはジャンルにとらわれずに“音楽”を心底楽しんでいる様子が伝わってきます。

また、1stアルバム『THE HURTING』(1983年)時点ですべての楽曲をローランドが手がけていたものの、リードボーカルに関してはローランドとカートが半々だったボーカル体制も、今作ではほぼローランドのソロプロジェクト体制に(前作の時点でその予兆はありましたが)。カートは「Sowing The Seeds Of Love」での一部パート、および「Advice For The Young At Heart」でその透明感の強い歌声を聴けるのみ。オリータが加わったことで前作にはなかった多様性も少々増えていますが、基本的にはローランドのシンガーとしての成長や表現力の向上を存分に味わえる作品集なのかな。そう考えると、次作以降のカート脱退/ローランドのソロプロジェクト化も頷けるものがあります。

全体を通して前作以上に大人びた印象が強く、ワールドミュージック的な側面もありつつ、視点を変えるとプログレッシヴロック的にも聴こえてくる、そんな多彩さ/多面性を持つ傑作。ひとつのバンドが短い期間で急成長を遂げ、ひとつの頂点に到達した瞬間を克明に記録した、奇跡的な1枚と言えるでしょう。その結果、ローランド/カート体制はここで燃え尽きてしまうわけですが。そこから10数年を経て、ローランドがバンドに復帰したものの、2021年10月時点では初期3作に匹敵する作品は生み出せていません。

しかし、2022年2月25日に約17年ぶりのニューアルバム『THE TIPPING POINT』のリリースが決定。現在タイトルトラックが先行公開されており、初期2作の作風を現代的にブラッシュアップさせたような良曲ですが、これ1曲ではなんとも判断が難しいところ。ぜひともTFF本格復活!と声高に宣言したくなるような1枚に期待したいところです。

なお、本作からは日本でもさまざまなCMソングに起用された「Sowing The Seeds Of Love」(全米2位/全英5位)のほか、「Woman In Chains」(全米36位/全英26位)、「Advice For The Young At Heart」(全米89位/全英36位)、「Famous Last Words」(全英83位)といった個性的かつ斬新なヒットシングルが生まれています。シングル曲以外の4曲(本作のオリジナル仕様は全8曲と非常にコンパクト)も個性的な良曲ばかりなので、ぜひアルバムを通してじっくり向き合ってほしいところです。

 


▼TEARS FOR FEARS『THE SEEDS OF LOVE』
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2021年9月 5日 (日)

MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年9月3日にリリースされた、MOTLEY CRUEの5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカルなしの、デジタル限定作品のようです。

今年6月に4th『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)、3rd『THEATRE OF PAIN』(1985年)の最新リマスター盤を立て続けにリリースしたMOTLEY CRUEですが、今回もそれらの最新リマスター企画の一環として発表されたもの。バンド結成40周年を迎えた記念企画のようで、今年6月にはRecord Store Dayの一環で80年代の初期5作のカセットテープボックスセットを限定リリースしているので、今後は1st『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)や2nd『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)の最新リマスターバージョンも配信されるかもしれませんね(追記:『SHOUT AT THE DEVIL』の最新リマスターが10月1日から配信とのことです)。

さて、これまで幾度となく再発されてきた本作。最後の再発/リイシューはリリース30周年(2019年)のタイミングでしたが、こちらの音源自体は2009年のリリース20周年記念エディションのものと一緒だった記憶があります。で、今回の最新リマスターですが、もともと尖った派手さが印象的だったボブ・ロックによるサウンドに、コンプを全体的にかけたような、1枚ベールで包んだような質感に変わっています。

今の耳で聴くと破裂音のようなドラムサウンドが派手すぎて、特にヘッドフォンやイヤフォンで聴く際に刺激が強すぎるように感じていたのですが、それが今風のバランス感でまとめられたことにより、だいぶ落ち着いて楽しめるような印象に変わりました。言ってしまえば、のちにニッキー・シックス(B)が嫉妬したという、同じボブ・ロックのプロデュースによるMETALLICAの5作目にして最大のヒット作『METALLICA』(1991年)のドラムサウンドに近づいたような感じでしょうか。

ただ、それでも今作が『METALLICA』にはなり得ない最大の特徴が、ミック・マーズによるギターサウンド。彼の特徴的なギターサウンドがジェイムズ・ヘットフィールド&カーク・ハメットのそれとは異なり、だいぶ人工甘味料の強いエフェクトがかけられた歪みのおかげで、MOTLEY CRUEらしい胡散臭さやいかがわしさが保てている……ような気がしてなりません。ミック・マーズ、偉大すぎます。

それでもオリジナルバージョンや前回、前々回のリマスターと比較しても全体のコンプのかかりかたがキツいのか、より平面的になって聴きやすくなったんじゃないかなと。スピーカーを通して大音量で聴く分には、過去のバージョンのほうがエッジが立っていてカッコいいと思うけど、イヤフォンで聴くことが増えた現在はこの最新バージョンが合っている。そういう「聴く環境の変化に合わせたバージョン選び」もできそうな気がしてきました。実際、各種ストリーミングサービスには旧バージョンも残っているので、自身の環境や耳に合った盤を選んでみてはいかがでしょう。

 


▼MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年1月28日 (木)

THE STONE ROSES『THE STONE ROSES』(1989)

1989年5月にリリースされたTHE STONE ROSESの1stアルバム。

国内盤初出時は『石と薔薇』の邦題だった記憶のある本作。本国ではこのアルバムより前に「Elephant Stone」(本作未収録)や「Made Of Stone」(全英90位)などのリリースが続き、アルバムからのリカットシングル「She Bangs The Drum」(同34位)や、アルバム未収録の新曲「Fools Gold」(同8位)や「One Love」(同4位)が立て続けにヒットしたことを受け、再発された「Elephant Stone」(同8位)、「Made Of Stone」(同20位)、「I Wanna Be Adored」(同20位)、新たに「Waterfall」(同27位)、「I Am The Resurrection」(同33位)がシングルカット。アルバム発売から2〜3年以上にわたり本作からの楽曲が何度も焼き増しされたこともあり、アルバム自体も全英5位/全米86位という数字を残しています。

このバンドもPIXIESのときに登場したアメリカからの友人が先にハマり、周りの“耳が早い”音楽ファンが続いてハマり、そこに巻き込まれる形で知ることになりました。カッコいいじゃないですか、STONEにROSESって完全に某“転がる石”某“銃と薔薇”をくっつけたようなイカした名前だし。どれだけ不良なんだよ!と喜んでダビングしてもらったカセット(笑)を再生したら……

 

 

 

 

 

 

 

 

え……このボーカル……これ、本気!?……本気出して歌ってる……!?

 

全然ハードロックじゃなかったし、なんなら不良の音でもない。過剰な期待をした自分が悪かったわけですけどね。

それでも頑張って最後まで聴きましたよ。オープニングの「I Wanna Be Adored」のバンドアンサンブルとジョン・スクワイア(G)のギタープレイには心を奪われましたし、続く「She Bangs The Drum」冒頭のマニ(B)のベースラインもカッコいい。「Waterfall」のサイケなポップ感も理解できるし、「Made Of Stone」や「I Am The Resurrection」のアレンジにはハードロック的な側面が感じられる。なんなら「I Am The Resurrection」は曲後半のインストパートこそ、このアルバムにおけるピークなんじゃないかと思えたほど。うん、“演奏は”最高にいいじゃないですか。

でもね、まだガキだった自分にはイアン・ブラウン(Vo)の超個性的なボーカルスタイルは受け入れられませんでした。リリース年に行われた初来日公演にも連れていかれましたが、パンパンのクラブチッタで聴くイアンの歌声は音源とは比べものにならないほどにフリースタイルすぎて、自分の理解の範疇を超えていたのです。結果、ライブ後半からフロアの外に出てしまった高校3年の自分(ファンの皆さんゴメンなさい。でもこれ事実なんです)。

本作リリースから5年後、契約のいざこざがありようやく完成した2ndアルバム『SECOND COMING』(1994年)の頃には、さすがに何度も聴き返していたこともあり、このボーカルに対する耐性も付き、さらにハードロック化したそのサウンドとともに素直に受け入れていた記憶はあります。が、そのポジティブさも、二度目の来日公演@日本武道館ですべて打ち砕かれることになるのですが(苦笑)。

ライブに関してはまったくいい思い出のないバンドではありますが、現在までに残された2枚のオリジナルアルバムは何だかんだいってお気に入りです。最初の腰砕けな思い出込みでね(笑)。

 


▼THE STONE ROSES『THE STONE ROSES』
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2020年4月21日 (火)

JEFF BECK WITH TERRY BOZZIO AND TONY HYMAS『JEFF BECK'S GUITAR SHOP』(1989)

1989年10月にリリースされた、ジェフ・ベックのソロ名義で5作目のスタジオアルバム。JEFF BECK GROUPやBECK, BOGERT & APPICEでの活動も含めると、通算10作目のスタジオ作品となります。

僕自身が初めて手にしたジェフ・ベックのアルバムはこれでした。当時高校3年生、受験勉強の最中でしたが、よくアルバム(をダビングしたカセット)をリピートしていた記憶があります。インストものなので、言葉や歌が耳に入ってこないので、勉強が捗ったなぁ……(ウソ。個々のプレイに惹きつけられて、ギターを手にしてコピーにトライしていたような)。

テリー・ボジオ(Dr)、トニー・ハイマス(Key)というトリオ編成で制作された本作は、ジャケットやそのタイトルから想像できるような「ギターインストの改造工場」みたいな内容で、オープニングの「Guitar Shop」やCMソングにも起用された「Stand On It」のようにどこか機械的な印象を受けるクールなナンバーと、「Where Were You」みたいにベックのエモーショナルなギターを前面に打ち出したスローナンバー、「Savoy」や「Behind The Veil」での肉感的なアンサンブルなど、ギターサウンド/ギタープレイ/ギターインストを新たな次元へと昇華させようとする強い意思が感じ取れます。

そういった「従来のギターインスト・アルバムから離れよう」とする姿勢が、普段あまりその手の作品を聴いていなかった当時高校生の自分にもヒットしたんでしょうね。もちろん、そこは盟友トニー・ハイマスの手腕と、奇才テリー・ボジオのテクニック/アイデアが良い方向に作用したことも大きな要因ですし、なによりも最新のテクノロジーやサウンドと向き合うベックの好奇心旺盛なスタイルがあってこそ。僕自身がギターを弾く上では、テクニック的にまったくといっていいほど影響を受けていないジェフ・ベックですが、自分が音楽をする際にギタリストに求めるもの、あるいはリスナーとしてギタリストに求めるものとしては“ジェフ・ベック的なもの”の比重は非常に大きく、そのベースになっているのは確実にこの1枚だと確信しております。

だから、彼のアルバムの中でも格別に好きなのは『WHO ELSE!』(1999年)以降の作品ばかり。JEFF BECK GROUPを聴くのはコージー・パウエル(Dr)目当てですからね(苦笑)。

リリースから30年以上経過した今聴くと、すでにテクノロジー的にも前時代なものに感じますし、若干バブリーなサウンド面にも時の流れを感じずにはいられませんが、それでも“あのタイミングに、この3人にしか作り上げられなかった奇跡”であることには変わりありません。普段メタリックな音楽を愛聴しているリスナーにもストレートに響く、ギターインスト・アルバムの傑作のひとつです。

 


▼JEFF BECK WITH TERRY BOZZIO AND TONY HYMAS『JEFF BECK'S GUITAR SHOP』
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2019年11月17日 (日)

SODOM『AGENT ORANGE』(1989)

1989年6月に発売された、SODOMの3rdアルバム。本作が日本デビュー盤にあたり、本国発売から4ヶ月遅れの同年10月に前作『PERSECUTION MANIA』(1987年)と併せてリリースされています。

KREATORDESTRUCTIONとともに“ジャーマン・スラッシュ三羽ガラス”なんて呼ばれてきたSODOMですが、ほかの2組と比べると日本ではマニアックな印象が強いイメージがあります(って、自分が勝手に持っているだけかしら)。

とはいえ本作はリリース当時、西ドイツ(ええ、東西ドイツ統一前の作品ですから)のナショナルチャート37位にランクインし、10万枚以上のセールスを記録。この手のバンドとしては破格の成功を収めています。

当時のメンバーはトム・エンジェルリッパー(Vo, B)、フランク・ブラックファイア(G)、クリス・ウィッチハンター(Dr)という布陣。ファミリーネームがブラックメタルチックといいますか……実際、本作における彼らのサウンドはスラッシュメタル的に変幻自在なアンサブルと、トムのメロディを無視して吐き捨てるようなボーカルが特徴なわけで、特に後者はブラックメタルのそれにも通ずるものがあります(というか、ごく初期のSLAYER的ともいいますが)。

アルバムタイトルの“エージェント・オレンジ”とはベトナム戦争で米軍が用いた枯葉剤のことで、猛毒を含んでいたことから化学兵器と捉えることもできます。実際、本作のタイトルトラックは同枯葉剤や地上攻撃機AC-47に魅せられたトムが書き下ろしたもので、サウンドの攻撃性と相まってSLAYER「Angel Of Death」にも通ずる残虐さや冷徹さが伝わってきます。うん、80'sスラッシュメタルの名曲中の名曲。

そのほかの楽曲もとにかくアグレッシヴで、ミドルテンポでまったりした印象の「Magic Dragon」ですら途中からいきなりアホほどテンポアップしますから(しかもなんの予兆もなく、いきなり)。かと思えば、MOTÖRHEADを彷彿とさせる爆走ナンバー「Ausgebombt」があったり(思えばベースボーカルのトリオ編成はMOTÖRHEADまんまだし)、TANKのカバー「Don't Walk Away」があったりと終始飽きさせない構成。知的に計算されたアレンジのようで、実はそこまで考えられていない唐突さ。勢いのみで作っちゃった感が強いのに、実はいろいろ細かなところまで考えられている。そんな不思議な魅力を放つ本作は、間違いなくSODOMの代表作と断言できる1枚です。

サウンドプロダクション的には90年代以降、もしくはここ10年くらいの作品が数歩勝りますが、この狂気にはそれ以前の作品もそれ以降も叶わないし超えられない。KREATOR『EXTREME AGGRESSION』(1989年)、DESTRUCTION『RELEASE FROM AGONY』(1988年)と並ぶジャーマンスラッシュの名盤です。

 


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2019年11月16日 (土)

FATES WARNING『PERFECT SYMMETRY』(1989)

1989年8月中旬リリースの、FATES WARNINGの5thアルバム。本作が日本デビュー作となり、海外から1ヶ月遅れの同年9月下旬に発表されました。

彼らの所属レーベルであるMetal Blade Recordsが当時、日本ではポニーキャニオン流通だったこともあり、その後しばらくは同社から日本盤が販売されていましたが、のちに流通先がMercury Recordsに移ったことで日本盤もマーキュリー・ミュージック(のちにユニバーサル・ミュージック)へと発売元が移籍しております。僕が購入したのは、このマーキュリー盤のようです。

最初に聴いたアルバムは次作『PARALLELS』(1991年)で、思い入れが強いのもそちらになるのですが、前回、前々回と1989年リリースのプログレッシヴ・メタルが続いていたので、無理くり探してこちらをピックアップ(笑)。いや、これも好きなんですけどね。

実は彼ら、先の『PARALLELS』でダークさが増すなど若干路線変更することになります。まあ、言っちゃえば当時流行っていたQUEENSRYCHEあたりの路線に近くことになるわけですが、よくよく聴くと本作の時点でそのダークさが至るところから感じ取れる。つまり、この時点で進化はスタートしていたわけです。

とはいえ本作は、それ以前の『NO EXIT』(1988年)までに近いテクニカルメタル路線が軸にあるのも事実。変拍子を要所要所にぶち込んだアンサンブルはどこか数学的でもあり、そこにかっちり作り込まれたフレージングとレイ・アルダー(Vo)によるメタル的ハイトーンボイスが絡んでくる。つまり、80年代と90年代の要素をつなぐ橋渡し的な1枚。言っちゃえば、過渡期的作品であるわけです。

しかし、そう書くと「じゃあ本作は名盤の影に隠れた中途半端な出来なのでは?」という声が挙がりそうですが、全然そんなこともなく。前回のDREAM THEATERや前々回のVOIVODが好きな人ならなんとなく気に入ってもらえるんじゃないかというテクニカルなメタルとフュージョン的なバンドアンサンブルが同時に楽しめる良作に仕上がっています。

それは『WHEN DREAM AND DAY UNITE』でDREAM THEATERが試みたシンフォニック系のノリは似て非なるもので(どちらかというと3rd『AWAKE』に近いかも)、冷たさという点においてはVOIVODの『NOTHINGFACE』にも通ずるものがあるけどちょっと違う。つまり上記2組とも、あるいはQUEENSRYCHEとも異なる個性を放っているわけです。彼らにしてはストレートな「The Arena」みたいな楽曲もあれば、センチメンタルな序盤からひたすらひねくれた展開へと続く長尺曲「At Fate's Hands」もある。まあとにかく、しのごの言わずい聴いてみることをオススメします。

あ、本作には当時DREAM THEATERのメンバーだったケヴィン・ムーア(Key)がゲスト参加しているので、そのへんはドリムシっぽさを醸し出していると言えるかも(ほんの少々ですが)。

 


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2019年11月15日 (金)

DREAM THEATER『WHEN DREAM AND DAY UNITE』(1989)

1989年3月に発売された、DREAM THEATERのデビューアルバム。日本では1ヶ月遅れ、同年4月上旬に発表されています。

昨日紹介したVOIVOD『NOTHINGFACE』(1989年)同様、MCA Records傘下のMechanic Recordsから唯一リリースされた本作は、現在も在籍するジェイムズ・ラブリエ(Vo)加入にチャーリー・ドミニシ(Vo)が唯一参加した作品でもあります。

プロデュースはバンドとテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENOVERKILLなど)が担当。ミックスもテリー・デイトが手がけており、それもあってか次作『IMAGES AND WORDS』(1992年)以降の作品と比較すると線が細く、迫力が足りない印象を受けます。

また、ケヴィン・ムーア(Key)のシンセの音色が前時代的といいますか、若干シンフォニックメタル系のそれに近く、そこも次作以上との違い(というか違和感)となっているのかな。

ただ、楽曲自体は以降の“らしさ”にも通ずる要素が見え隠れし、ここでの実験をブラッシュアップすることでのちの『IMAGES AND WORDS』へとつながっていったことは、聴けば容易に想像できると思います。

とはいっても、そこはDREAM THEATERのこと。6分近いスリリングなインストゥルメンタル・ナンバー「The Ytse Jam」は最高にカッコいいですし、2ndアルバム以降もライブで披露される機会が少なくなかった「A Fortune In Lies」や約9分におよぶ組曲「The Killing Hand」、スラッシーかつグルーヴィーな「Afterlife」など、今聴いても存分に楽しめる楽曲は少なくありません。うん、逆にこっちのほうが好きってリスナーも少なくないんじゃないでしょうか。

ラブリエのヘヴィメタルシンガー的歌い上げは苦手(自分含む)だけど、ゲディ・リー(RUSH)を彷彿とさせる“ハイトーンだけど、どこか淡々としている”チャーリー・ドミニシの歌唱は許せるっていうリスナー、少なくないのでは。自分もそうですから。

この軽くてペタペタしたドラムのサウンドプロダクションだけスルーできれば(いや、かなりハードル高いけど)、かなり楽しめる1枚だと思います。これはもはやリマスターの次元ではなく、今すぐリミックスしてもらいたい作品1位ですね(これまでも国内リマスター盤は発売されていますが、元の音質が音質なのでどうにもね)。

 


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