2022年12月31日 (土)

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月1日からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。(2019年3月19日更新)


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投稿: 2022 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2019年3月31日 (日)

2019年3月のお仕事

2019年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※3月25日更新)


[紙] 3月25日発売「Rolling Stone Japan」vol.6にて、HYDE巻頭表紙ロングインタビュー、ソロ活動総括コラム、ソロ作品&関連作品ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 3月23日発売「TV Bros.」2019年5月号にて、THE YELLOW MONKEYヒーセインタビュー(Wikipedia本人検証、この話がしたい!)、ニューアルバム『9999』解説&「これを聴くべき!」3曲を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月15日、「MTV Japan」オフィシャルサイトにて日向坂46のライブレポート「新たなスタートを切った日向坂46、MTVのイベントで貴重なトーク&ライブを展開!」が公開されました。

[紙] 3月13日発売の欅坂46小林由依1st写真集「感情の構図」にて、巻末インタビューを担当しました。(Amazon

[紙] 3月11日発売「ヘドバン Vol.21」にて「ブリング・ミー・ザ・ホライズンとの向き合い方」のススメ、LOVEBITES 2019.1.27 マイナビ赤坂BLITZ ライヴ・レポート、ANTHEM『NUCLEUS』、BUCKCHERRY『Warpaint』、BACKYARD BABIES『Sliver & Gold』、MARK MORTON『Anesthetic』、OVERKILL『The Wings Of War』の各ディスクレビューを執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月10日、「リアルサウンド」にて眩暈SIRENのライブ評「眩暈SIRENが表現する、暗闇に差す一筋の救済 楽曲を通した“感情の共有と共鳴”を見た」が公開されました。

[WEB] 3月7日、「リアルサウンド」にてTHE YELLOW MONKEYのアーティスト分析記事「THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説」が公開されました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2019年4月号にて、IZ*ONE宮脇咲良・ウォニョン・ユリ・チェヨン座談会を担当・執筆、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」を構成・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月2日、「リアルサウンド」にて欅坂46武元唯衣&田村保乃インタビュー「欅坂46 2期生 武元唯衣&田村保乃が語る、1期生との共演で芽生えた自覚と覚悟」が公開されました。

[WEB] 3月1日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのライブ評「Little Glee Monster、2年ぶり日本武道館で見せた“新たな武器” キャリア最高峰のステージを目撃」が公開されました。


=====


また、2月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 1902号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2019 03 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2019年3月26日 (火)

RATT『DANCING UNDERCOVER』(1986)

1986年8月(日本では10月)にリリースされたRATT通算3作目のオリジナルアルバム。過去2作同様にボー・ヒル(WINGERWARRANTアリス・クーパーなど)がプロデュースを担当しています。本作からは「Dance」「Body Talk」「Slip Of The Lip」がシングルカットされましたが、ヒットしたのは「Dance」(全米59位)のみ。それも影響してかアルバム自体も最高26位と、過去2作で達成した連続TOP10入りを逃し、セールスも100万枚程度に止まっています。

路線的には過去2作とほとんど一緒。“Ratt 'N' Roll”と呼ばれるミドルテンポの楽曲が中心ですが、そこに「Drive Me Crazy」のようなアップチューンがあったり、「Body Talk」のようなメタリックなファストチューンがあったりと、アルバムとしての緩急はしっかりついている。

また、各楽曲の完成度も過去2作と比べてそこまで劣るとは思えない。事実、シングルカットされた「Dance」や「Body Talk」はシンプルにカッコいいハードロックナンバーだし、特に前者のキャッチーさはそれ以前のシングルヒットにも引けを取らないと思うのです。シングル曲のないB面(M-6以降)も悪くないし、ラストの「Enough Is Enough」も新鮮さが感じられるんですよね。

では、なぜ大きなヒットに結びつかなかったのでしょう。それは、おそらくスティーヴン・パーシー(Vo)の単調なボーカルスタイルによるものが大きいのではないかと。みんな、そこに気づいてしまったのです。

1986年8月というと、のちにメガヒットを記録するBON JOVIの3rdアルバム『SLIPPERY WHEN WET』がアメリカでリリースされたタイミング。RATTとBON JOVIはほぼ同じタイミングにデビューを果たし、同じペースでアルバムを発表してきましたが、どうしてここまで差が付いてしまったのかと問われたら、結局は楽曲の良さとそれを表現する者の器用さなのかなと。ジョン・ボン・ジョヴィも決してテクニカルなシンガーではありませんが、スティーヴンと比べたら曲ごとに色を変えることができる人。バラードも“味”で聴かせられてしまうシンガーなのです。

ところが、スティーヴンには繊細なラブソングもキャッチーなパワーバラードも歌えない。いや、歌えるんでしょうけど、リスナーが求めるものにはならない。実はこのへんがネックになり、RATTはこのアルバム以降迷走期に突入することになるわけです。皮肉な話です。

>RATTというバンドを軸にして考えれば良作なのに、外側で拡大し始めたシーンからみたら「いつも同じで単調」とみなされてしまう。つくづく不幸なバンドだと思います。



▼RATT『DANCING UNDERCOVER』
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投稿: 2019 03 26 12:00 午前 [Ratt1986年の作品] | 固定リンク

2019年3月25日 (月)

E・Z・O『E・Z・O』(1987)

1987年4月発売の、E・Z・Oのデビューアルバム。このバンド、もともとはFLATBACKERとして日本国内で2枚のアルバムを発表しており、渡米と同時にバンド名を変更。ジーン・シモンズKISS)とヴァル・ギャレイのプロデュースにより、海外ではGeffen Recordsから、国内はFLATBACKER時代同様ビクターからリリースされました。国内ではオリコン6位、アメリカでも150位まで上昇するなど、日本の新人バンドとしてはなかなかの成績を残したのではないでしょうか。

FLATBACKER時代は日本語詞、スラッシュメタルやハードコアからの影響が強いサウンドが特徴だった彼らですが、このE・Z・Oの1stアルバムはHR/HM色の強い作品に仕上げられています。楽曲によってはFLATBACKERの名残(「House Of 1,000 Pleasures」のメインリフ)も感じられますが、もちろんここではまったく別モノに変化。テンポ的にもFLATBACKER時代は前のめりのファストチューンが多かったところ、本作ではミドルテンポのヘヴィチューンが中心に。このへん、LOUDNESS『THUNDER IN THE EAST』(1985年)で試みた路線に近いものを感じます。

全9曲中7曲がバンドと外部ライターとの共作で、2曲が職業ライターの手によるもの。MVも制作された「Flashback Heart Attack」にはHOUSE OF LORDSなどで知られるジェイムズ・クリスチャン(Vo)、「House Of 1,000 Pleasures」や「Mr. Midnight」ではBLACK 'N BLUEのジェイミー・セント・ジョーンズ(Vo)、そして「Here It Comes」や「Kiss Of Fire」などではKISSとの共作でおなじみのアダム・ミッチェルの名前を見つけることができます。このへんは確実にジーン・シモンズの手腕によるものですね(バンド名変更や歌舞伎の隈取メイクも確実にジーンの発案だろうし)。

とにかく、どの曲も非常にキャッチー。シングルカットされた「Here It Comes」のみ毛色が異なりますが、そのほかは基本的に豪快でメロディアスなハードロック。ちょうどBON JOVIがブレイクし、ここからWHITESNAKEが当たりGUNS N' ROSESがデビューするという絶妙なタイミングだったこともあり(E・Z・Oとガンズはアメリカでのレーベルメイトですしね)、本作も海外で高い評価を獲得したようです。セバスチャン・バック(ex. SKID ROW)の口からもE・Z・Oの名前が飛び出すこともありましたしね。

ドラムサウンドに時代を感じるものの、Shoyo(G)のギターワークやMasaki(Vo)のディストーションボイスは今聴いても凄みというか恐ろしさを覚えます。特にMasakiはダサダサ日本語詞のFLATBACKER時代を忘れさせるだけの実力を発揮しており、そこから90年代のLOUDNESS加入につながるわけです。

今でこそサブスクで手軽に聴くことができる本作。実はCDはしばらく廃盤状態でした(紙ジャケ化含め、何度か再発されてきましたが)。ホント、良い時代になりましたね。80年代後半のHR/HMブームにおける(世界的には)隠れた名盤、そしてジャパニーズメタルの歴史に名を残す傑作、ぜひこの機会に触れてみてください。



▼E・Z・O『E・Z・O』
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投稿: 2019 03 25 12:00 午前 [E・Z・O1987年の作品Gene Simmons] | 固定リンク

2019年3月24日 (日)

MOTLEY CRUE『THE DIRT SOUNDTRACK』(2019)

3月22日からNetflixにてついに配信開始となりました、MOTLEY CRUEの自伝映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』。本当は『DOWNLOAD JAPAN 2019』関連の取材やそれに伴い遅延していたほかの仕事の影響もあり、実際に映画を観るのはこの土日になりそう……と思っていたんですが、金曜深夜に観てしまいました、結局(苦笑)。率直な感想についてはこちらにてご確認いただけると幸いです。

で、公開と同時にリリースされたサウンドトラックアルバム(と呼んでいいのかな?)のほうは発売開始と同時にしっかりダウンロード購入して、先に聴かせてもらいました。

ということで、本日紹介するのはMOTLEY CRUEの自伝映画サントラにして最新ベストアルバム『THE DIRT SOUNDTRACK』です。

アルバムには映画公開前に先行配信された、映画の主題歌的楽曲「The Dirt (est. 1981)」やマドンナの名曲カバー「Like A Virgin」など新録楽曲4曲と、映画の主軸となる80年代前半(1981年の1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』、1983年の2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』)の楽曲を中心とした過去のナンバー14曲を収録。バンド創世記の話も多く含まれていることから、インディーズ時代の楽曲で構成された『TOO FAST FOR LOVE』収録曲が最多の5曲含まれているのは納得。『SHOUT AT THE DEVIL』からも、普段のベスト盤で選出される機会のない「Red Hot」を含む4曲が選出されています。

と同時に、バンドとしてはネガティヴな話題(ヴィンス・ニールの交通事故、ニッキー・シックスのオーバードーズによる心停止など)が続いた3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)の楽曲がそれぞれ1曲ずつ、そこからバンドとして起死回生を図った5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)の楽曲が3曲選ばれているのは、まあ理解の範疇かな。特に『DR. FEELGOOD』からこの3曲(「Same Ol' Situation (S.O.S.)」「Kickstart My Heart」「Dr. Feelgood」)というのも、予告映像を観る限りでは納得いくし。

問題となるのはやっぱり新録4曲ですよね。「The Dirt (est. 1981)」は映画でトミー・リー役を演じたラッパー、マシン・ガン・ケリーをフィーチャーしたアンセミックな1曲。活動停止から3年以上経った今でもトミーっぽいドラミングに、いかにもミック・マーズなギターフレーズやソロ、ヴィンスのこの声が乗れば間違いなくMOTLEY CRUEになることを証明してくれた意義は大きいと思います。うん、単純にカッコいい。現時点でのラストアルバム『SAINTS OF LOS ANGELES』(2008年)の延長というよりは、90年代末のトミー脱退直前からオリメンが再度揃う2枚組ベストアルバム『RED, WHITE & CRUE』(2005年)あたりまでの彼らを彷彿とさせるカラーや雰囲気がある楽曲だなと。当然ながら一発で気に入りました。

「Ride With The Devil」もその延長線上にあるダークな楽曲。派手さはないものの、最近のニッキー・シックスらしさ……SIXX: A.M.っぽさも見え隠れする“アルバムの中の1曲”といった印象。うん、悪くない。3曲目「Cash And Burn」も同系統のヘヴィチューンで、いかにもニッキーらしい。モダンさも提示されており、正直この3曲の路線でアルバム1枚聴いてみたいと思ったくらい。『SAINTS OF LOS ANGELES』もあれはあれで悪くなかったけど、どこか“品が良すぎる”ところもあったので、これくらいのアクの強さがある楽曲で占められた作品ならきっと『SAINTS OF LOS ANGELES』がイマイチだと思ったファンも納得させられるはず。あと、プロデュースがボブ・ロックというのも大きな鍵になっているんじゃないかな。先に挙げた時期からのつながりは、これによるものもあるでしょうし。

ラストは「Like A Virgin」。これはギャグとして受け取っておきます(笑)。バカだなあ、もう。まあ、80年代や90年代だったら彼らがこの曲を選ぶことはなかったでしょうし、これも2019年ならではかなと。

思えば80年代の楽曲を軸にしたベストアルバムって、メンバー公認ではこれまでありそうでなかったものだと思うので、映画を楽しむという意味はもちろんのこと、輝かしいバンドの最盛期に思いを寄せるという意味でも興味深い1枚かな。新鮮味のない既発曲が半数以上ですが、個人的には楽しめる内容でした。



▼MOTLEY CRUE『THE DIRT SOUNDTRACK』
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投稿: 2019 03 24 04:34 午前 [Motley Crue2019年の作品] | 固定リンク

QUIET RIOT『CONDITION CRITICAL』(1984)

1984年7月発売の、QUIET RIOT通算2作目(日本のみ4作目)のオリジナルアルバム。前作『METAL HEALTH』(1983年)がいきなり全米1位を獲得し、600万枚を超えるセールスを記録したことを受け、1年4ヶ月という短いスパンで制作。全米15位、トータル100万枚と前作には到底及ばない結果しか残せませんでしたが、『METAL HEALTH』と併せて初期の彼らを語る上では欠かせない1枚と言えます。

とにかく本作は前作の焼き直し、あるいは「同じヒット作をもう1枚作ろう!」という商魂が丸見え(笑)。さすがにリスナーもバカじゃないので、「前のを薄めた内容なら『METAL HEALTH』だけで十分だわ、ほかにも新しくて良いバンドがたくさんいるしね!」と思ったかどうかわかりませんが、すべては結果として数字に表れているわけですね。

冒頭を飾るヘヴィな「Sing Of The Times」からして、前作における「Metal Health (Bang Your Head)」の延長線上にある1曲。だからといって悪いわけではないですし、これはこれで良い曲なんですよ。で、続くM-2「Mama Weer All Crazee Now」は前作における「Cum On Feel The Noize」同様、SLADEのカバー。なにもそこまで真似なくても……と思うのですが、これも原曲の良さ大前提なので、なかなかの出来。シングルカットもされましたが、全米5位の「Cum On Feel The Noize」とは比べものにならない全米51位止まり。嗚呼。

で、『METAL HEALTH』ならここからマイナー調のミドルナンバー「Don't Wanna Let You Go」、能天気なパーティチューン「Slick Black Cadillac」と続くわけですが、この『CONDITION CRITICAL』では「Party All Night」「Stomp Your Heads, Clap Your Feet」といったパーティソング2連発。つまりバンドは「カラッとしたアップチューンがウケた」と認識していたのでしょう。アルバム冒頭からそういったカラーの強い楽曲が続くことで、軸は定まったけど幅は狭くなったことを提示することになるわけです。

5曲目にようやくメジャーコードのパワーバラード「Winners Take All」が登場しますが、これもそれ以前の4曲からの流れに沿ったもので、アルバムのカラーにぴったり。もうちょっと“憂い”があったら良かったんだけどなあ。

後半もヘヴィなミドルナンバー「Conditional Critical」や前のめりなファストチューン「Scream And Shout」、これぞ“LAメタル”な「Red Alert」、マイナーキーの美メロハードロック「Bad Boy」、シンガロングしたくなるアップテンポの「(We Were) Born To Rock」となかなかの良曲揃いなのですが、やはり『METAL HEALTH』と比較したら弱さが否めない。なぜなんでしょうね。

個人的に『METAL HEALTH』の良さって、のちに“LAメタル”と括られることになるパーティ感の強いポップでキャッチーな楽曲とミドルテンポ&ファストなメタルナンバー、そして適度な“憂い”が感じられるミディアムナンバーとバラードにあったと思っています。そのバランス感が絶妙だったからこそ、アルバムとしてもヒットしたのではないでしょうか。

ところが、この『CONDITION CRITICAL』からは“憂い”の部分が一気に減退し、パーティ感ばかりを強調してしまった。それが当時のカリフォルニアの空気だと言ってしまえばそれまでですが、にしてもメガヒット作の次に出す勝負作としてはちょっと弱いのではないでしょうか。1年数ヶ月という短いスパンで完成させねばならなず、深く考える余裕が足りなかったのも敗因と言えるでしょう。

1曲1曲は悪くないのに、アルバムとして(しかも『METAL HEALTH』の次作として)聴くと物足りなさを感じる。非常にかわいそうな作品と言えますし、ここでコケたことが続く『QR III』(1986年)以降の失速につながるのですから、罪作りな1枚ですね。



▼QUIET RIOT『CONDITION CRITICAL』
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投稿: 2019 03 24 12:00 午前 [Quiet Riot1984年の作品] | 固定リンク

2019年3月23日 (土)

MOTLEY CRUE『SUPERSONIC AND DEMONIC RELICS』(1999)

1999年6月にリリースされた、MOTLEY CRUEのアルバム未収録&アウトテイクを集めたコンピレーションアルバム。前年にElektra Recordsから自主レーベルMotley Recordsへと移籍した彼らですが、その際に過去のカタログをすべてMotley Recordsから再発。しかし、1991年のコンピレーション盤『DECADE OF DECADENCE '81-'91』(1991年)だけは廃盤となり、その関係から同作に収録された新曲やアルバム未収録曲がこの新規コンピ盤に移行しています。 『DECADE OF DECADENCE '81-'91』や2003年にMotley Recordsから再発されたオリジナルアルバムを持っていればほぼ事足りる内容ですが、興味深いのはジョン・コラビ期の楽曲も含まれている点。そのへん含め、各曲について触れていきたいと思います。


「Teaser」「Rock 'N' Roll Junkie」「Primal Scream」「Anarchy In The U.K.」「Angela」

これらは先の『DECADE OF DECADENCE '81-'91』にも収録されていますね。前者はトミー・ボーリン(ex DEEP PURPLE)のカバーで、5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)期のレコーディング。チャリティアルバム『STAIRWAY TO HEAVEN / HIGHWAY TO HELL』(1989年)が初出です。「Rock 'N' Roll Junkie」も同時期のレコーディング楽曲で、映画『フォード・フェアレーンの冒険』のサントラに提供されました。残りは『DECADE OF DECADENCE '81-'91』用に録音された新曲&カバーで、「Primal Scream」は活動停止まで必ず演奏されてきた代表曲のひとつ。


「Sinner & Saints」「Monsterous」「Say Yeah」「So Good, So Bad」「Mood Ring」

本邦初公開となった未発表デモ音源。「Sinner & Saints」が2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)期、「Monsterous」「Say Yeah」が『DR. FEELGOOD』期のアウトテイクなのですが、まあ聴けばその作風/曲調からなんとなく想像できますよね。「Monsterous」のみ1分ちょっとの未完成版ですが、まあどれもこれも出来としては中途半端なのでカットされて正解だったかなと。「So Good, So Bad」は3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)期のアウトテイク。同作は前作『SHOUT AT THE DEVIL』からのアウトテイクなども含む過渡期作品でしたが、こういった曲もあったんですね。そして最後の「Mood Ring」は1984年の録音されたデモ。曲というよりはセッションの断片っぽい内容で、『THEATRE OF PAIN』に向けたセッションの中から生まれたものなんでしょうね。いかにもお遊びっぽい1曲です。


「Planet Boom」「Bittersuite」「Father」「Hooligan's Holiday (Extended Holiday Version by SKINNY PUPPY)」

すべてジョン・コラビ在籍時の6thアルバム『MOTLEY CRUE』(1994年)期から。頭3曲の初出はEP『QUATERNARY』(1994年)で、それぞれトミー・リー、ミック・マーズ、ニッキー・シックスのソロナンバーとなります(あれ、ジョンの「Friends」は……苦笑)。「Planet Boom」はその後のMETHODS OF MAYHEMに通ずるヒップホップ/ミクスチャーロック感がありますし、「Bittersuite」はミックによるいぶし銀のギタープレイを堪能でき、「Father」はいかにもニッキーらしいオルタナ/インダストリアル感満載。 最後の1曲は『MOTLEY CRUE』収録曲の、表記のとおりSKINNY PUPPYが手がけた11分強にわたるリミックス。序盤は原曲のままですが、ギターソロに入るあたりから一気にインダストリアル調に世界観が広がっていく、なかなかの仕上がり。『QUATERNARY』日本盤にも収録されていたので、聴き覚えのあるファンも多いのでは。なお、『QUATERNARY』は本国ではもともと限定販売された作品でしたが、日本では一般発売されたので中古にてすぐに探すことができるかと。海外のみでリリースされたボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL.2』(2004年)でも、これらの楽曲を聴くことができます。


「Dr. Feelgood (Live)」「Knock 'Em Dead, Kid (Demo)」

前者は『DECADE OF DECADENCE '81-'91』日本盤や当時の海外盤シングルが初出の、1989〜1990年頃のライブ音源。後者は『SHOUT AT THE DEVIL』収録曲のデモ音源。

……以上、駆け足で解説してきましたが、読んでいただいたとおりライトユーザーというよりはコアリスナーに向けた内容です。まあ「こういう世界もあります」っていう程度で収めておいてもらえたらと思います。



▼MOTLEY CRUE『SUPERSONIC AND DEMONIC RELICS』
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投稿: 2019 03 23 12:00 午前 [Motley Crue1999年の作品] | 固定リンク

2019年3月22日 (金)

MOTLEY CRUE『LIVE: ENTERTAINMENT OR DEATH』(1999)

今日からNetflixで『THE DIRT』が公開されるということで、今回はこちらを紹介しようかと思います。

1999年11月にリリースされた、MOTLEY CRUE初の公式ライブアルバム。1997年にヴィンス・ニール(Vo)が復帰して、ミック・マーズ(G)、ニッキー・シックス(B)、トミー・リー(Dr)のオリジナルメンバーが揃うものの、当時所属していたElektra Recordsとうまくいかず、1998年に自主レーベルMotley Recordsを設立。初のグレイテスト・ヒッツアルバムに続いて発表されたのが本作となります。

このアルバムは2枚組仕様となっているのですが、1本のフルステージを完全収録したものではなく、ヴィンス在籍時のライブ音源からベストテイクをまとめたもの。つまり、録音時期はまちまちで、構成的にも実際のライブの流れに沿ったものというわけではありません。そこだけが勿体ない(実際のライブをまるまる収録したものは、三度オリジナル編成が揃うことになる2006年の『CARNIVAL OF SINS: LIVE』まで待つことになります)。

選曲的にはDISC 1が1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)から2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)の楽曲のみで構成、DISC 2が3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)、4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)、5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)、コンピレーションアルバム『DECADE OF DECADENCE '81-'91』(1991年)の黄金期の楽曲で構成されています。録音時期は、古いもので1982年11月、新しいものは1999年3月とかなり幅があるようです。特にDISC 1は楽曲的に90年代後半に演奏されていなかったものも多いためか、80年代前半の録音が多く、逆にDISC 2は90年代以降の録音が中心となっています。

なもんで、DISC 1の演奏は荒々しいし、ヴィンスの声もよく出ていてしっかり歌えている。一方で、DISC 2になると演奏はカッチリと作るこまれた強靭なものなのに、ヴィンスは歌詞をかなり省略して歌う“省エネモード”(笑)。まあこればかりは仕方ないですね(笑)。

個人的にはリアルタイムで体験できなかったDISC 1の時代が新鮮で、こちらを聴く頻度が高いかもしれません。なにせ「Public Enemy #1」や「Merry-Go-Round」「Starry Eyes」が含まれていますからね。あと、ちゃんと歌えている「Shout At The Devil」も良いです(笑)。

DISC 2は普通にグレイテスト・ヒッツですよね。全部シングル曲ですし。MOTLEY CRUEというバンドが80年代後半に向けて変質している様が、この選曲からも伺えるかと思います。荒々しくて曲もいなたいDISC 1と比べると洗練されてる感ハンパないですが、それでも「Wild Side」や「Dr. Feelgood」を聴けば血がたぎるし、「Primal Scream」のグルーヴ感は本当に気持ちいいし、「Home Sweet Home」を聴けば一緒に歌いたくなるし、ラストの「Kickstart My Heart」が始まれば拳を上げたくなるし。たまったもんじゃありませんよ(笑)。こうやって素直に聴くと「最高!」ったらありゃしない。

ですが、当時はこの“考えられていない”構成に対して「これが待ちに待った初のライブアルバムかよ……」とがっかりしたのもまた事実。しかも、これと前後するかのようにトミー・リーが脱退してしまいますし。初めてこのバンドと向き合うモチベーションが下がった時期だったことも付け加えておきます。



▼MOTLEY CRUE『LIVE: ENTERTAINMENT OR DEATH』
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投稿: 2019 03 22 12:00 午前 [Motley Crue1999年の作品] | 固定リンク

2019年3月21日 (木)

SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995)

『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)を携えたワールドツアー終了後、なかなか再始動しないGUNS N' ROSESに対して痺れを切らしたスラッシュ(G)。ダフ・マッケイガンギルビー・クラークがソロ契約&ソロアルバム発売を果たしたのを機に、ついに自身もソロ活動を本格始動させます。

1994年に結成されたSLASH'S SNAKEPITは、ソロというよりはあくまでバンド名義での活動を主としたもの。このへんにスラッシュのこだわり(何がやりたいのか)が伺えます。集まったメンバーは元JELLYFISHのエリック・ドヴァー(Vo)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)に、ギルビー・クラーク(G)&マット・ソーラム(Dr)というガンズ組。レコーディングにはディジー・リード(Key)も参加しているので、これじゃあ“アクセル・ローズとダフ抜きのガンズ”と言えなくもないですが、そもそもギルビーもマットもディジーもオリジナルメンバーではないので微妙ですが。

こうして、マイク・クリンクを共同プロデューサー、ミックスにスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロというガンズの諸作品を手がけてきた布陣を迎えて1995年2月に発表されたのが、このデビューアルバム。全米70位とガンズのソロ活動の中ではもっとも成功した1枚で、さすがアクセルと肩を並べる存在と言えます。

イジー・ストラドリンがアーシーでレイドバックしたロックンロール、ダフがパンクを主軸とするならば、スラッシュは土着型の王道アメリカンハードロックが武器と言えるでしょう。実はそれって、ガンズと聞いて我々がまず最初にイメージする要素だったりしませんか? つまり、このアルバムで展開されているサウンドや楽曲スタイルって、「もしガンズが1995年当時にニューアルバムを作ったら、半分くらいはこんな路線になるんじゃないか?」というものなんですよ(もちろん、残り半分はアクセルの色が強いものになるはず)。

ガンズの武器であるスラッシュらしいギターフレーズ&ソロ(と音色)、『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)あたりで聴けたラフだけど硬質なサウンドプロダクションのせいもあって、確かに本作はどことなくガンズっぽいですし、なんなら一連のソロアルバムの中で一番ガンズに近い1枚だと思います。楽曲自体も(のちにアクセルが訴えますが)ガンズの次の作品に向けて作ったものも含まれているようですし。

ただ、すべてがすべてスラッシュひとりで書いた曲ではないですし、大半はエリックとの共作だったり、中にはギルビー単独で書いた曲や、ダフやイジーの名前がクレジットに入った(!)曲も含まれている。そういった意味では本当に「SLASH'S SNAKEPITというバンドのアルバム」を目指したものなんでしょうね。

エリックの歌声はアクセルほどハイトーンでストレートなものではないので、歌を聴いてそこまでガンズを思い浮かべることはないですが、それでも「Beggars & Hangers-On」や「Good To Be Alive」「What Do You Want To Be」のような曲をアクセルが歌ったらどうなるんだろう……というワクワク感も多少あったりして。

全14曲で70分というトータルランニングが『USE YOUR ILLUSION』シリーズに通ずるものがあるのですが、『USE YOUR ILLUSION』と比べると楽曲のカラーがバラエティに富んでいるわけでもないので、さすがに尺的にキツイと感じることも。6分前後および6分超えの曲が4曲も含まれていることから、もうちょっとアレンジ力のある人間がバンドに携わっていたら、さらに完成度の高い内容になったのではないか……そういった意味ではバンドとはいえ、やはりソロはソロなんですね(メインバンドに対するオナニーという意味で)。

この布陣でのSLASH'S SNAKEPITこれが最初で最後。この5年後にスラッシュ以外のメンバーを総入れ替えして2ndアルバム『AIN'T LIFE GRAND』(2000年)を発表していますが、そちらについてはまた別の機会に。



▼SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』
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投稿: 2019 03 21 12:00 午前 [Guns n' RosesAlice in Chains1995年の作品SlashJellyfishSlash's SnakepitGilby Clarke] | 固定リンク

2019年3月20日 (水)

GILBY CLARKE『PAWNSHOP GUITARS』(1994)

イジー・ストラドリンに代わり、GUNS N' ROSESにギタリストとして加入することになったギルビー・クラーク。80年代半ばにアイドル的な立ち位置のパワーポップバンドCANDYや、ハードロックバンドKILL FOR THRILLSなどで活躍したのちにガンズに加わるのですが、バンドがスタジアムバンドとして人気肥大していく中でツアーのみに参加ということもあって、正直ミュージシャンとしてどこまでの才能がある人なのか、いまいちわかっていなかったところがありました。

そんな中、ガンズ活動休止中にダフ・マッケイガンに続いてソロアルバムを発表するのがギルビーだとわかると、当時のファンは「お前かよ!」と総ツッコミを入れることになるわけです。だって、オリメンのスラッシュより先なんですから。

そんなわけで、1994年7月にVirgin Recordsから発表されたのがこの『PAWNSHOP GUITARS』というアルバム。ガンズが所属するGeffen Recordsからではないというあたりに、いろいろ政治的なものを感じますね。

プロデュースを手掛けたのは、キース・リチャーズとの仕事などで知られるわディ・ワクテル。レコーディングには同じくガンズからマット・ソーラム(Dr)とディジー・リード(Key)が全面参加し、スラッシュやダフも数曲でゲスト参加。さらに、ダフやスラッシュのアルバムにはノータッチだったアクセル・ローズがストーンズのカバー「Dead Flowers」で、ギルビーとデュエットしているという事実に、これまた多くのファンが「……なぜ!?」と驚くことになるわけです。笑える。

ほかにもPIXIESフランク・ブラックSKID ROWのドラマー、ロブ・アフューソ、ELECTRIC ANGELSや2代目SLASH'S SNAKEPITに在籍し現在ALICE COOPER BANDで活躍中のライアン・ロキシーなども名を連ねています。何気に豪華ね。

ギルビーのボーカルは可もなく不可もなくの“ヘタウマ”タイプ。適度にパンキッシュなスリージーハードロックにはこれくらいでちょうどいいのかもしれません。作曲面でも「Cure Me... Or Kill Me」のようなハードロックから「Tijuanna Jail」のポップパンク、「Skin & Bones」のホンキートンク路線、「Johanna's Chopper」でのサイケロックまで、ガンズ路線からポップなものまで意外と器用にこなせることがわかります。あと、ストーンズの「Dead Flowers」とTHE CLASHの「Jail Guitar Doors」(ダフとフランク・ブラックがゲスト参加)というカバーのセンスもなかなか。この才能がガンズで一度も活かされることがなかったのが悔やまれます。

この手のロックとしては、実は隠れた名盤的色合いの強い1枚。過去のガンズ在籍メンバーの中では(大全盛期に在籍していたにも関わらず)もっとも影の薄いギルビー。今となってはアクセルのゲスト参加って、「まあこれで許してや?」的なご祝儀だったのかな……というのは言い過ぎでしょうか(苦笑)。



▼GILBY CLARKE『PAWNSHOP GUITARS』
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投稿: 2019 03 20 12:00 午前 [Guns n' RosesSkid Row1994年の作品Frank BlackSlashDuff McKaganGilby Clarke] | 固定リンク

2019年3月19日 (火)

OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』(1981)

オジー・オズボーンが1981年11月に発表した、通算2作目のソロアルバム。BLACK SABBATH脱退を経て起死回生の一撃となったソロデビューアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)が全英7位、全米21位というヒットにつながり、バンドはそこから間髪入れずにレコーディングに突入。ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)という同じ布陣で制作されました。

聴いてもらえばわかるように、疾走感のあるオープニングトラック、ポップでキャッチーなシングル曲、メロディアスなスロー/ミディアムナンバー、ヘヴィなミドルナンバーという序盤の構成は前作『BLIZZARD OF OZZ』をなぞったもの。もちろんまったく同じというわけではないですが、作品の方向性としては何がやりたいかは一聴してすぐに理解できると思います。

ですが、このアルバムを聴き進めていくうちに、『BLIZZARD OF OZZ』を軸にした世界観がより広がりを見せていることにも気づかされます。パーカッシヴなドラミングから始まる「Little Dolls」は前曲「Believer」にも引けを取らないヘヴィでキャッチーな楽曲だし、オジーのビートルズ愛好家ぶりが反映されたメロディアスなバラード、ダイナミックなアレンジがひたすらカッコいいシャッフルナンバー「S.A.T.O.」、そしてクラシカルかつドラマチックな展開を見せる大名曲「Diary Of A Madman」。オジーの才能はもちろんですが、それを見事な形で具体化し、クオリティの高い作品へと昇華させたランディの才能も前作以上の形で開花しています。

もちろん、前作の延長線上と表現したアルバム前半の4曲も、1曲1曲のクオリティは前作以上。ランディのギタープレイも圧巻の一言で、個人的には「Over The Mountain」や「Flying High Again」のギターソロはいつ聴いても心踊るものがあります。「You Can't Kill Rock And Roll」のバラード調に始まりながらもサビで勢いをつけるアレンジも冴えまくっているし、サバス時代とは異なるヘヴィさがにじみ出た「Believer」のギターワークも最高。要するに文句の付けどころがない1枚なのです。

ランディ・ローズは本作発表後数ヶ月後の1982年3月19日に飛行機事故で此の世を去るわけですが、ランディ在籍時の本作収録曲の公式ライブ音源って「Flying High Again」「Believer」くらいしかなかったじゃないですか。そのせいもあってか、10代の頃はこのアルバムに対する印象が薄かったんです。ライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)にも上記2曲しか収められていませんでしたしね。

ところが、年をとってからオジーのカタログをひととおり聴いて、何度もリピートしていくうちに『DIARY OF A MADMAN』の完成度の高さに改めて気づかされる。そんな機会が年々増えていったわけです。ぶっちゃけ、『BLIZZARD OF OZZ』と比較するのが愚問かと思えるぐらい、初期2作はそれぞれに素晴らしいアルバムであって、僕の中では甲乙付け難いんです。そう思うリスナー、絶対に多いと思うんですよね。

今年も3月19日がやってきてしまいました。残念ながら2日後に控えた『DOWNLOAD JAPAN 2019』でのオジー来日はキャンセルになってしまいましたが、だからこそ今日はこのアルバムを爆音で楽しめたらと……。



▼OZZY OSBOURNE『DIARY OF A MADMAN』
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投稿: 2019 03 19 12:30 午前 [Ozzy Osbourne1982年の作品] | 固定リンク

DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』(1993)

GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン(B)が1993年9月(日本では同年10月)に発表した、現時点で唯一のソロアルバム。当時はガンズが『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)に伴うワールドツアーが終了したあとで、バンドとしての活動が一時的に休止していたタイミング。本作の2ヶ月後には、事前にレコーディングされていたカバーアルバム『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)もリリースされています。

ガンズの在籍メンバーとしてはいち早くソロ活動に乗り出したダフ(元メンバーのイジー・ストラドリンは脱退後の1992年にアルバムを発表していますが、ガンズに所属したままでのソロ活動はこれが初)。このアルバムでダフはベースはもちろんのこと、リードボーカルやリズムギター、ドラム、ピアノなど大々的に挑戦。どこか“スリージーロック版レニー・クラヴィッツ”みたいなスタイルで、アルバム作りに臨んでいます。

曲によってはさまざまなゲストミュージシャンも多数参加。スラッシュ(G)やギルビー・クラーク(G)、ディジー・リード(Key)、マット・ソーラム(Dr)といった“アクセル・ローズ抜き”ガンズの面々に加え、ジェフ・ベック(G)やレニー・クラヴィッツ(Vo)、当時SKID ROWのメンバーだったセバスチャン・バック(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、ロブ・アフューソ(Dr)など、顔の広いダフらしい豪華な面々が華を添えています。

ダフ自身はガンズのアルバムやライブでも「So Fine」や「New Rose」「Attitude」などでその歌声を披露してきましたが、決して個性的で上手というタイプではない、雰囲気で聴かせる“ヘタウマ”タイプ。当然このアルバムでもそういったスタイルが全開で、ガンズのアルバムをパンク/オルタナ側に寄せたその作風に妙にフィットしています。スラッシュがリードギターを弾きまくるオープニング曲「Believe In Me」からして、そのカラー押しまくりですものね。

かと思えば、クラヴィネットを多用したファンキーな「(Fucked Up) Beyond Belief」があったり、オルガンやストリングスを被せたスローバラード「Could It Be U」があったりと、相変わらず器用さも提示している。なんて感心していると、1分半程度のタイトルまんまな疾走パンクチューン「Punk Rock Song」なんて曲もある。さすがダフ、我々の思い描くパブリックイメージを裏切りません。

さまざまなゲストミュージシャンのカラーも強く打ち出しながらも、それに消されることのないダフの個性。アルバムとしては決して完成度が高いとは言い難いラフな内容ですが、そこも含めて当時のガンズのメンバーが作ったソロアルバムという印象が強いかも。この春、久しぶりにソロライブを行うというダフ(※参照)、そのあとには本作以来となるソロ名義でのアルバムもリリース予定なんだとか。ガンズでの活動を経た今の彼がどんな作風のアルバムを作るのか、そしてどんなゲストが参加するのか、とても気になります。



▼DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』
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投稿: 2019 03 19 12:00 午前 [Guns n' RosesSkid Row1993年の作品Jeff BeckLenny KravitzSebastian BachSlashDuff McKaganGilby Clarke] | 固定リンク

2019年3月18日 (月)

IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS『IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS』(1992)

4年ぶりのオリジナルアルバム『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)のリリースを待たずしてGUNS N' ROSESを事実上脱退したイジー・ストラドリン(G, Vo)。そんな彼が1992年10月、自身のメインバンドとなるTHE JU JU HOUNDSを携えて発表したのがこのアルバム。ガンズと同じGeffen Recordsからのリリースで、全米102位という記録を残しています。

THE JU JU HOUDSのメンバーはイジーのほか、元THE GEORGIA SATELLITESのリック・リチャーズ(G)、ジミー・アシュハースト(B)、チャーリー・クィンタナ(Dr)という布陣。ジミーはのちにBUCKCHERRY(2005〜2013年)の一員としても活躍しています。また、アルバムには元THE FACESのメンバーでストーンズのサポートでも知られるイアン・マクレガン(Key)や、レニー・クラヴィッツとのコラボレートでおなじみのクレイグ・ロス(G)、ニッキー・ホプキンス(Piano)、ロニー・ウッド(G, Vo)など豪華なメンバーがゲスト参加しています。

ガンズのメインソングライターのひとりだったイジーがほとんどの楽曲をひとりで書いていることもあり、どうしてもガンズと比較してしまいがちですが……ああ、この人はアクセル・ローズの管理下で窮屈な思いをしていたんだな、というのがこのアルバムを初めて聴いたときの印象でした。こんなに肩の力が抜けていて、それでいてクールさがしっかり保たれている極上のロックンロールアルバム、今のガンズには作れないよな、って。

かっちり作り込まれた『USE YOUR ILLUSION』シリーズというよりは、ラフさの目立ったデビューアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)をよりレイドバックさせたようなこのアルバム。オープニングの「Somebody Knockin'」のリラックス感からして、70年代のストーンズが戻ってきたかのような錯覚を覚えます。かと思えば、2曲目にレゲエの名曲「Pressure Drop」をパンキッシュにカバー(終盤に思いっきりレゲエになりますが)。「Shuffle It All」での哀愁漂うソウルフルな色合いや、「How Will I Go」でのレイドバックしたアコースティックテイストなど、とにかくすべてにおいて力み過ぎていない。だから、聴いてるこっちも曲が進むにつれてどんどん脱力していく。『USE YOUR ILLUSION』2作に窮屈さを覚えたリスナーには、こちらこそが“我々が望むもの”だったのかもしれませんね。

とはいえ、筆者的には『USE YOUR ILLUSION』での気が触れんばかりの完璧主義と、イジーのソロで聴けるレイドバック感、両方があってこその“初期ガンズ”なんですけど。そのさじ加減って本当に難しいんですね。そして、バンドって本当に難しい。このアルバムを何度も聴くにつれ、そう思わずにはいられませんでした。

クライマックスは、終盤に収められたロニー・ウッドのカバー「Take A Look At The Guy」。本家ロニーも歌とギターでゲスト参加していて、一瞬「あれ、今どっちが歌ってるの?」ってくらいイジーとロニーが似た雰囲気を醸し出している。ああ、イジーがもう少し心が強かったら、ガンズにおけるロニーみたいな存在になれたのに……(結局、その役割をダフ・マッケイガンが担っていくわけですが)。

THE JU JU HOUNDS名義はこの1枚のみで終了しますが、イジーはこのあとも不定期でソロアルバムを作り続けます。今や仙人のような立ち位置の彼。またこういったノリノリ(死後)のR&Rアルバムを作ってほしいところです。



▼IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS『IZZY STRADLIN AND THE JU JU HOUNDS』
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2019年3月17日 (日)

HOLLYWOOD ROSE『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』(2004)

アクセル・ローズやイジー・ストラドリンが在籍していたGUNS N' ROSESの前身バンド、HOLLYWOOD ROSE。そのバンドのデモ音源を軸にしたコンピレーションアルバムが、2004年にリリースされています。『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』と身も蓋もないタイトルのこのアルバム、当然アクセルは怒り狂い訴えるわけですが、最終的にその訴えを棄却。結果、現在もこうやってストリーミングサービスで手軽に聴くことができるわけです。便利な世の中になったもんだ。

というわけで本作。そのHOLLYWOOD ROSEのメンバーだったクリス・ウェバー(G)が持ち込んだデモテープがもとになっています。クリスといえば、ガンズの1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)に収録された「Anything Goes」や、次作『GN'R LIES』(1988年)収録の「Reckless Life」のクレジットにてその名前を見つけることができる知る人ぞ知る存在。小金欲しさに過去の遺産を売ったわけだ。わかりやすいぞ。

そのデモテープに収録されていたのは「Killing Time」「Anything Goes」「Rocker」「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」の5曲。そう、先に挙げたガンズの2作品に収録されている2曲に加え、昨年発売の『APPETITE FOR DESTRUCTION』デラックス盤にも収められた「Shadow Of Your Love」と計3曲のガンズクラシックのオリジナルバージョンが聴くことができるわけです。そりゃファンなら絶対に手を出したくなりますよね。

デモは1984年初頭に録音されたそうで、当時のメンバーはアクセル(Vo)、イジー(G)、クリス(G)、ジョニー・クリーズ(Dr)、スティーヴ・ダロウ(B)という布陣(のはず)。なぜかスティーヴの名前はクレジットに見当たりません。ベースの音はしっかり聴こえるので、もしかしたら別のメンバーが単発で弾いている可能性もありますが、ここでは特に大きな問題はないのでスルーします。

さすがに5曲だけだと商売にならんということで本作、かなりの水増しが施されております。実はCD自体は15曲入りなのですが、その内訳は「オリジナルデモ音源」「オリジナルデモ音源のギルビー・クラーク(ex. GUNS N' ROSES)によるリミックスバージョン」「オリジナルデモ音源のフレッド・コウリー(CINDERELLA)によるリミックスバージョン」というもの。おいおい……。

まず「オリジナルデモ音源」ですが、若々しいアクセルの歌声を聴けるというだけで満足。曲にもその後の片鱗が感じられるほか、「Anything Goes」や「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」のアレンジ違いでは若干拙さも感じられたりして興味深いものがあったりします。あれですね、リフワークがスラッシュが加わってからのものとは全然違っていて、ここにはその後の豪快さがまったくないんですね。こじんまりとしているといいますか。細かく刻むリフワークはクリスによるものなんでしょうかね(イジーっぽくもあるけど)。その違いでこうも雰囲気が変わるか、と。

で、リミックスですが……うん、確かにオリジナルデモより聴きやすく整理されてるわ。ギルビーのやつが一番クオリティ上がってる気がして聴きやすい。特に「Shadow Of Your Love」「Reckless Life」の2曲はトレイシー・ガンズ(L.A. GUNS)がギターを追加しちゃってますからね(笑)。邪道すぎ!

フレッドは自身がドラマーということもあってか、ドラムサウンドが心地よくエッジが効いたミックス。バスドラのペタペタ感が軽減されて、若干メタリックさが増している気も。あと、ボーカルも前に出ていて、一方でギターが少し後ろに下がっている。このへんは完全に趣味なんでしょうね。

というわけで、3者3様のミックス違いを楽しみつつ……1回聴いたら十分なこのアルバム(笑)。それでも数年に1回は引っ張り出したくなる、そんな罪作りな1枚です。



▼HOLLYWOOD ROSE『THE ROOTS OF GUNS N' ROSES』
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投稿: 2019 03 17 12:00 午前 [Guns n' RosesCinderellaL.A.GunsIzzy StradlinGilby ClarkeHollywood Rose] | 固定リンク

2019年3月16日 (土)

TESLA『SHOCK』(2019)

2019年3月発売の、TESLA通算8作目のオリジナルアルバム(2007年発売のカバーアルバム『REAL TO REEL』および『REAL TO REEL, VOL.2』を含むと10作目)。前作『SIMPLICITY』(2014年)から5年ぶり、再結成後4作目のオリジナル作品となります。ここ数作は自身の自主レーベルTesla RecordsやFrontiers Recordsから発表されていましたが、今作はメジャーのUMe(Universal Music Group)からのリリース。オリジナルアルバムのメジャー流通はGeffen Recordsから最後の作品となった4thアルバム『BUST A NUT』(1994年)以来、25年ぶりとなります。

プロデュースを手がけたのはDEF LEPPARDのギタリスト、フィル・コリン。フィルは2016年発売のライブアルバム『MECHANICAL RESONANCE LIVE!』に追加収録された新曲「Save That Goodness」のプロデュース&共作でクレジットされており、そこからの流れで今作も手がけることになったのかな。そもそも80年代から同じ事務所だったこともあり、付き合いも長いですからね。気心知れたメンツによる、リラックスした制作現場が想像できますし。

フィルは今作でもソングライターとして活躍(一部ギターやコーラスにも参加)。それも影響してか、どの曲も非常によく練り込まれた、ポップでキャッチーなものばかり。全体を通してバラードやミディアムテンポのメロウな楽曲が目立ち、このへんにフィルのポップセンスが反映されているのか、あるいはプロデューサー目線でそういった方向へと導いたのか気になるところです。

オープニングを飾る「You Won't Take Me Alive」のファンキーなギターワークやキャッチーなメロディは非常に耳障りも良く、なおかつTESLAらしいガッツのあるバンドサウンドも維持されており、なかなかの仕上がり。続く「Taste Like」も適度なレイドバック感のあるロックンロールで、そこからピアノ&ストリングスをフィーチャーしたバラード「We Can Rule The World」へと流れる構成は今までありそうでなかったもので、ハッとさせられます。

この曲を含むバラード調の楽曲に導入されたハーモニー/コーラスはこれまでのTESLAっぽくなく、むしろDEF LEPPARDのそれに近いもの。これも取って付けたものという感じではなく、自然とマッチしているので違和感なし。また、バラードも前半〜中盤にいくつかあるものの、後半はロック色の強い構成となっていて、従来のファンも納得させる内容ではないかと。特に初期を彷彿とさせる「The Mission」からラストの「Comfort Zone」までの流れは絶品だと思います。

良い意味での“80年代の黄金期”を現代的にポリッシュしたのが、この『SHOCK』という作品ではないでしょうか。従来の彼ららしさとは異なる、良い意味での“ショック”なポイントも含まれた良作。2019年にこういう作品がどこまで評価されるのか、楽しみなところです。



▼TESLA『SHOCK』
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投稿: 2019 03 16 12:00 午前 [Def LeppardTesla2019年の作品] | 固定リンク

2019年3月15日 (金)

KIX『FUSE 30 REBLOWN (BLOW MY FUSE 30TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION)』(2018)

いやあ、こんなアルバム出ていたんですね。全然情報が追えてなくて、たまたま見つけてびっくりしました。

昨年11月に配信限定でリリースされていた、KIXの出世作『BLOW MY FUSE』(1988年)30周年を記念したデラックス盤。フィジカルでの一般流通はないようで、デジタル版とストリーミング版のみでの発表となります。

前作『MIDNITE DYNAMITE』(1985年)から3年ぶりに発表された通算4作目アルバムはKIXにとって起死回生の1枚となり、「Don't Close Your Eyes」(全米11位)のシングルヒットも手伝いアルバム自体も最高46位、100万枚を超えるヒット作となりました。

……なんていう説明は過去に書いた本作のレビューで触れられているので、このへんにして。ここではリミックス&リマスタリングが施されたアルバム本編と、ボーナストラックとして追加されたアルバム収録曲のデモ音源について触れていきたいと思います。

まず、リミックスを手がけたのがRATTの諸作品やKIX『MIDNITE DYNAMITE』などをプロデュースしてきたボー・ヒル。オリジナル盤はトム・ワーマン、デュエイン・バロン、ジョン・パーデルといった面々が担当していましたが、良い意味で80年代らしいチープさと小気味良さが残る質感でした。しかし、このリミックス盤は非常にガッツがある質感で、リバーブを抑えめにしたせいもあって非常に生々しさが前面に打ち出されています。正直、オープニングの「Red Lite, Green Lite, TNT」のイントロを聴いた瞬間に「あれ、全然違う?」と驚いたほど。ドラムやギターの太さ、ボーカルやコーラスの温かみなど、すべての音がグイグイ前に迫ってくる感じがあって、僕はとても現代的なミックスなのかなと思いました。曲によってはオリジナル盤ではあまり聴こえてこない音も鮮明に届くようになっているし、最後まで新鮮な気持ちで楽しめました。

後半のデモトラック集は各曲に録音データが入っているので、そのへんも踏まえて聴くとより興味深く楽しめるかも。古いもので1984年3月(『MIDNITE DYNAMITE』制作時期?)、それ以外が1986〜7年と、『BLOW MY FUSE』というアルバムが世に届けられるまでいかに時間がかかったかが伺えるし、アレンジの違い(「No Ring Around Rosie」なんて序盤、びっくりしますよね)からもいろいろ煮詰めていったんだなってことが見えてきます。個人的にはこれはこれでアリだなと思えました。

新鮮なサウンドで生まれ変わった名盤と、その完成までの変遷が見える副読本。このデラックス盤はそんな捉え方ができるのではないでしょうか。ついこないだもSKID ROW1stアルバムデラックス盤が出たばかりですが、1988〜9年ってHR/HMシーンにおいても最盛期から過渡期に差し掛かり始めたタイミングで面白い作品がたくさんあるので、今後も配信限定でこういったアイテムが次々発表されるのかもしれませんね。こういう企画なら大歓迎なので、このあとにも期待しておきます。



▼KIX『FUSE 30 REBLOWN (BLOW MY FUSE 30TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION)』
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2019年3月14日 (木)

LYNCH MOB『LYNCH MOB』(1992)

1992年4月(日本では5月)にリリースされた、LYNCH MOBの2ndアルバム。デビューアルバム『WICKED SENSATION』(1990年)から1年半という比較的短いインターバルで発表されましたが、実はその間にボーカリストがオニー・ローガンからロバート・メイソンへと交代するというハプニングが発生しています。そういう人事異動があったからこそ、早く“次”を見せたかったのかもしれませんね。

オニーは決してテクニカルなシンガーではなかったけど、1stアルバムで表現されていたアグレッシヴなハードロックには最適だったと思います。しかし、新人ということもあってか、パワーで押し切るだけといった武器の少なさも見え隠れしていました。実際、初来日公演を観たときもそのへんの未熟さが露呈し、評価は微妙かな……と思いましたし。

ところが、2代目シンガーのロバートは(同じく無名ながらも)どんなタイプの楽曲でも無難にこなすタイプ。良く言えば器用、悪く言えば突出した個性に欠ける。なもんで、このアルバムも最初に聴いたときは『WICKED SENSATION』ほどのパンチが感じられませんでした。

しかし、ジョージ・リンチ(G)にとってはようやく「エゴを出しすぎず(ドン・ドッケン)、未熟さの感じられない(オニー)プロフェッショナル」なシンガーを手に入れられたわけで、なもんだから楽曲の幅も一気に広がっている。攻撃性は若干影を潜め、ギターも曲によっては少し引っ込むことを覚え始めました(笑)。

が、このバランス感が本当に絶妙で、よくやくここで“バンド”になれたのかな、と今聴くと感じるわけです。でなければ、ブラスセクションをフィーチャーした歌モノ「Tangled In The Web」やムーディーな「Dream Until Tomorrow」のような楽曲はやれなかったと思いますし。

いや、本当にどの曲もよくできているんですよ。オープニングの「Jungle Of Love」からして前作の路線をより洗練させ、そこにEXTREME的な“ハネ”を加えた新しさがあったり、「Heaven is Waiting」なんてDOKKENでもやれそうだし、前作にはなかったアップチューン「I Want It」もあるし。さらに、QUEENのカバー「Tie Your Mother Down」まである(タイミング的にフレディ・マーキュリーへのトリビュートなんでしょうか)。全10曲、非常にバランスが良くて、構成も練られている。ブルース色が減退したのも大きいのかな。この洗練された感にDOKKENでいうところの3rdアルバム『UNDER LOCK AND KEY』(1985年)に近いものがあると思うのは僕だけでしょうか。

チャート的にも前作の全米46位に次ぐ最高56位を記録。グランジ勢が台頭し始めたタイミングとはいえ、なかなか検討したと思うんです……なのに、このアルバムで一度解散するんですよね(苦笑)。その後、ジョージとミック・ブラウン(Dr)はDOKKEN再結成に参加することになるわけです。



▼LYNCH MOB『LYNCH MOB』
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投稿: 2019 03 14 12:00 午前 [1992年の作品Lynch MobGeorge Lynch] | 固定リンク