2017/12/08

PANTERA『COWBOYS FROM HELL』(1990)

1990年夏にAtlantic Records傘下のAtco Recordsからリリースされた、PANTERAのメジャーデビューアルバム(インディーズからの4枚を含むと、通算5作目)。プロデュースを手がけたのは、OVERKILLMETAL CHURCHといったスラッシュ勢のほか、SOUNDGARDENMOTHER LOVE BONEといったグランジバンドにも携わってきたテリー・デイト。聴けばそれとわかる“テリー・デイトらしいサウンド”が展開されています。

メジャー2作目の『VULGAR DISPLAY OF POWER』(1992年)で一気に知名度を上げたPANTERAですが、すでに本作リリース後には一部ミュージシャンの間では注目のバンドとして彼らの名前が挙がっていました。それがMOTLEY CRUE(主にトミー・リー)やSKID ROWなどといった当時のメジャーど真ん中のハードロックバンドから、というのがまた面白い事実でして、僕も彼らのインタビューなどでPANTERAの名前を知りこの『COWBOYS FROM HELL』を手に取ったほど。影響力というのはつくづくすごいなと思わされる一例ですね。

80年代後半のMETALLICAを筆頭とした新たなヘヴィメタルの波は、確かに1990年前後に変革の時期を迎えつつありました。HR/HMブーム自体が過渡期に突入したというのもありますが、単にお行儀の良いバンドに飽き飽きしていたという風潮も大きかったのでしょう。実際、この1990年という年にはSLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』を発表したほかMEGADETH『RUST IN PEACE』を、ANTHRAXが『PERSISTENCE OF TIME』を、JUDAS PRIESTが『PAINKILLER』を、ALICE IN CHAINSがメジャーデビュー作『FACELIFT』をリリースしています。旧来のスタイルと新たな姿勢が融合しつつあった、絶妙なタイミングだったんでしょうね。

そんな中登場したのがPANTERA。しかもそのサウンドは、のちのMETALLICAがブラックアルバムで示すグルーヴメタル路線で、『VULGAR DISPLAY OF POWER』以降の作品みたいにヘヴィ一辺倒というわけではなく適度にメロディアスで緩急もしっかりしている。そう、この『COWBOYS FROM HELL』というアルバム自体も旧来のスタイルと新たな姿勢が交差する、1990年という時代にマッチした作風だったのです。

フィル・アンセルモ(Vo)も以降のようにただがなり立てるだけではなく、しっかり歌メロを表現している(笑)。ドスの利かせ方もまだ徹底する前で、どこか優しさすら感じられるのですから、本当に不思議です。「Cowboys From Hell」や「Primal Concrete Sledge」なんてサビでシンガロングできますし、「Cemetery Gates」は王道のヘヴィメタルバラードですからね。さらに、ダイムバッグ・ダレル(G / 当時はダイヤモンド・ダレル名義)のギタープレイはすでに当時から光るものがあるし、リズム隊が生み出すグルーヴィーなリズムもそれ以前のHR/HMとは異なる“ハネた”ものが多い。今思えばですけど、このあとに新たな時代が訪れることを、このアルバムで予言していたわけですね。そういう点において、非常に歴史的価値の高い1枚ではないでしょうか。

とはいえ、本作がリリースされた当時はそこまで“すごいアルバム”だと自信を持って言えなかったし、ましてや続く『VULGAR DISPLAY OF POWER』であんな化け方をするとも思わなかった。そして、彼らがその後のメタルシーンを一変させてしまう力を持っていたなんて……見る目がなかったのか、それとも彼ら自身が本作発表後の1年ちょっとで激変したのか。まあそのどっちもなんでしょうね。とにかく、純粋にHR/HMアルバムとして優れた作品だと思います。『VULGAR DISPLAY OF POWER』以降、特に『FAR BEYOND DRIVEN』(1994年)以降のハードコア色が強いテイストが苦手という人でも、この『COWBOYS FROM HELL』は存分に楽しめると思いますよ。



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投稿: 2017 12 08 12:00 午前 [1990年の作品, Pantera] | 固定リンク

2017/11/16

JON BON JOVI『BLAZE OF GLORY』(1990)

1990年8月にリリースされた、ジョン・ボン・ジョヴィBON JOVI)初のソロアルバム。本作は当時公開されたアメリカ映画『YOUNG GUNS II』(邦題『ヤングガン2』)にインスパイアされて制作したもの。当初、映画サイドはBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」を劇中で使用したいと申し出たのですが、これに対してジョンは新曲を多数用意し、このうち「Blaze Of Glory」と「Billy Get Your Guns」のみが劇中で使用されることになりました。

海外盤ジャケットを観ておわかりのとおり、本作はアルバムを通して『YOUNG GUNS II』の世界観が描かれており、先の「Wanted Dead Or Alive」や『NEW JERSEY』(1988年)で表現してきた“カウボーイソング”が一気に開花しております。

そもそもBON JOVIの楽曲使用を申請されたのに、なぜジョンのソロだったのかと申しますと、この時期BON JOVIは2年近くにわたるワールドツアーを終えたばかりで、バンドとしての動きが一切ないタイミング。ぶっちゃけ、バンド内の状況も決して良好とは言い難いものであり、それもあってジョンはソロという“もうひとつの手段”を試してみたんでしょうね。

なもんで、楽曲自体はすべてジョンひとりで書かれたもの。メロディセンスはさすがですが、ちょっとシンプルかつコンパクトなものが多いかな。そういった楽曲をプロデューサーのダニー・コーチマーや、ケニー・アロノフ(Dr)、ランディ・ジャクソン(B)、ジェフ・ベック(G)といった名手たちと色付けしていくのですが、BON JOVIのような高性能ハードロック色皆無の、完全にレイドバックしたカントリー寄りのアメリカンロックが完成するわけです。もうこれ、完全にジョンが憧れるブルース・スプリングスティーンですね。もしくはジョン・メレンキャンプとか、ああいった“枯れた”ロックを奏でる人たち。納得です。

ゲストも豪華でキース・リチャーズのバンドでおなじみのワディ・ワクテル(G)やRATTのロビン・クロスビー(G)をはじめ、エルトン・ジョン(Piano, Vo)、リトル・リチャード(Piano, Vo)などなど。エルトンは「Dyin' Ain't Much Of A Livin'」でジョンとハモっているし(聴けばすぐにわかりますよね)、リトル・リチャードは「You Really Got Me Now」でジョンとデュエットしており、ホンイキの歌声を聴かせてくれてます。

中でも、ジェフ・ベックの存在感が別格すぎ。ミック・ジャガーのソロアルバムでもかなり好き放題弾いてましたが、本作でもやってくれてます。この人、ロッド・スチュワートといい、やっぱり存在感のあるフロントマンと一緒に何か作ると、自分のソロとはまた違った個性を発揮するんですよね。本当に面白い存在です。

あと、久しぶりに聴いて思ったのですが、「Santa Fe」って「Always」以降のBON JOVIピアノバラードに通ずる世界観がすでに存在するんですよね。思えば「Always」もジョン単独で書いた曲だし、改めて腑に落ちるものがありました。

アルバムは全米3位で200万枚以上のセールス、シングル「Blaze Of Glory」は全米1位を記録し、今でもBON JOVIのライブで披露される機会が多い1曲になりました。この成功があったから、数年後の「Always」(1994年)そして『THESE DAYS』(1995年)につながっていくわけです。




▼JON BON JOVI『BLAZE OF GLORY』
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投稿: 2017 11 16 12:00 午前 [1990年の作品, Bon Jovi, Jeff Beck, Jon Bon Jovi, Ratt] | 固定リンク

2017/10/27

GEORGE MICHAEL『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1』(1990)

1990年9月にリリースされたジョージ・マイケルの2ndソロアルバム。1987年秋に発表された初のソロアルバム『FAITH』WHAM!時代の延長線上にありながらも、より大人になった彼の姿を端的に表現した鉄壁な内容で、全世界で2000万枚以上もの売り上げを記録しました。そこから3年、続いて発表された本作はより大人になって落ち着いた世界観が表現されており、“ポップスター=ジョージ・マイケル”をイメージしていたリスナーにとっては面食らうほど地味に映った1枚でした。

作風的には前作における「Father Figure」や「One More Try」「Kissing A Fool」のようにソウルフルでジャジーなアダルト路線と、「I Want Your Sex (Part. 1)」や「Monkey」でのダンサブルな路線(ただし、「Freedom! '90」や「Soul Free」で聴けるように、もっと当時に時代の流行に沿ったダンスサウンド)を軸にしている点は変わらないのですが、そこにもっとクラシカルな要素(「They Won't Go When I Go」「Mother's Pride」)やフォーキーなスタイル(「Something To Save」「Waiting For That Day」「Heal The Pain」)が加わることで、より“大人のソウル”というイメージが強化。これにより派手さがまったくなくなり(そもそも『FAITH』も言うほど派手な内容ではありませんでしたが)、いまだにWHAM!時代を引きずっているリスナーには(先に書いたように)ひたすら地味でとっつきにくい内容だったようです。事実、「あれ、ここまで地味かよ……」と当時10代だった僕も最初は若干引きましたから。

けど、これがね。クセになるんですよ。噛めば噛むほど味がじわじわ染み出してくるように。展開されるサウンドの世界観には前作以上に統一感が感じられるし、何よりもジョージの歌が心地よい。あと、地味地味言うけど、曲によってはブラスがフィーチャーされるなど派手に感じられる部分も含まれているんですよ。ちょっと全体の空気に飲まれすぎて、スルーしがちですけど。

前作からはシングルヒット連発で、全米No.1が4曲連続で飛び出しましたが、本作からはリードシングル「Praying For Time」が全米1位を獲ったのみで、「Freedom! '90」が全米8位、それ以外は「Waiting For That Day」が全米27位、「Mother's Pride」が全米46位止まり。アルバムもアメリカでは最高2位で、200万枚程度に落ち着いています(逆にイギリスでは1位に輝き、前作以上の売り上げを記録)。ちょうど時代の変わり目というのもあったんでしょうけど、いくらクオリティが高い内容でもまだまだ派手さが求められる時代だったのかなぁ、今振り返ると。

でも、だからこそアルバムタイトルどおりに“偏見なしに聴いてほしい”1枚なんですよね、本作って。そういう意味じゃ、ジョージの思いは聴衆が求めるイメージに完勝できなかったのかもしれませんが……残念です。

あ、タイトルに“VOL. 1”とありますが、実は翌1991年に続編アルバム『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 2』のリリースが予定されていましたが、所属レーベルとの裁判沙汰により発売中止に。つい最近、発売25周年記念でリリース予定だったデラックス盤が2年遅れてようやく発売されました。残念ながらジョージが亡くなって1年近く経ってからというタイミングですが……。

なお、そのデラックス盤には1996年10月に実施された『MTV UNPLUGGED』の模様などを収めたボーナスディスク付き。こちらについては、後日改めて紹介したいと思います。



▼GEORGE MICHAEL『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1』
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投稿: 2017 10 27 12:00 午前 [1990年の作品, George Michael] | 固定リンク

2017/10/08

MOTHER LOVE BONE『APPLE』(1990)

1990年7月にリリースされた、シアトル出身の5人組ロックバンドMOTHER LOVE BONEのメジャーデビュー作にして唯一のオリジナルアルバム。のちにグランジと呼ばれるようになるシアトル産オルナタティヴロックバンドでは、SOUNDGARDEN(1989年9月発売の『LOUDER THAN LOVE』)に次ぐ、ALICE IN CHAINS(1990年8月発売の『FACELIFT』)より先の、2番目のメジャーデビュー組となります。

このバンドは元GREEN RIVERのブルース・フェアウェザー(G)、ストーン・ゴッサード(G)、ジェフ・アメン(B)、元SKIN YARDのグレッグ・ギルモア(Dr)、元MALFUNKSHUNのアンドリュー・ウッド(Vo)が1988年にシアトルで結成。ちなみにGREEN RIVERの上記3人以外のメンバーはMUDHONEYを結成しており、SKIN YARDにはグレッグの前にSOUNDGARDENのマット・キャメロンが在籍していたり、NIRVANAの1stアルバム『BLEACH』(1989年)などのプロデューサーとして知られるジャック・エンディノ(G)が参加していたことでも知られています。そう考えると、MOTHER LOVE BONEって当時のシアトルシーンではスーパーバンドなんですよね。まぁ“スーパー”の規模感がかなり小さいですけど。

サウンド的には、古き良き時代の土着的アメリカンハードロックにちょっとファンキーさを加えたもの。時期的にRED HOT CHILI PEPPERSのブレイク前夜ですが、あちらより“ハネて”おらず、むしろハードロックファンには受け入れやすいスタイルじゃないかと思います。

楽曲の半数以上をストーンとジェフが単独で書いており、今聴いてみると2人がこのバンドのあとに結成するPEARL JAMとの共通点がいろいろ見え隠れします。GREEN RIVERを解散したあと、2人がどういう音楽をやりたかったのか、この時点である程度固まっていたわけですね。歴史的資料としても非常に価値の高い1枚です。

が、それ以上にシンガー、フロントマンとしてのアンドリューの個性の強さに目が(耳が)行くわけで、特に当時の動画を目にするとアンドリューという人はその後勃発するグランジシーンの人というよりも、それ以前のHR/HM文脈で語れる人、もしくは同時代のレッチリやFAITH NO MOREと並ぶ存在になれた逸材だったのではないでしょうか。残念ながら、今となっては限られた映像しか残されていないため、正しくは「その片鱗を感じる」という程度なんですが……本当に勿体ない。

実はこのアルバム、本来は1990年3月に発売が予定されていましたが、発売予定日の数日前にアンドリューがオーバードーズにより脳死状態に陥り、数日後の3月19日に死亡。これを受けてバンドも解散し、7月にリリースされた頃にはすでにMOTHER LOVE BONEはこの世に存在しなかったのです。彼らが伝説のバンド、アンドリューが伝説のシンガーと呼ばれるのはそういった所以があるのですが、なんとも不運なバンドですよね。

ちなみに本作リリースから2年後の1992年には『MOTHER LOVE BONE』と題したコンピレーションアルバムもリリースされています。こちらには『APPLE』収録曲全曲と、『APPLE』より前に発売されたEP『SHINE』(1989年)収録曲のすべてがまとめられているので、今から購入するならこちらのコンピ盤のほうがいいかもしれません。



▼MOTHER LOVE BONE『APPLE』
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▼MOTHER LOVE BONE『MOTHER LOVE BONE』
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投稿: 2017 10 08 12:00 午前 [1990年の作品, Mother Love Bone, Pearl Jam] | 固定リンク

2017/06/26

LITTLE CAESAR『LITTLE CAESAR』(1990)

以前THE QUIREBOYSTHE BLACK CROWESのレビューで、1990年はHR/HMシーンにおいてひとつの変わり目だったということを書いたと思います。その数年前にGUNS N' ROSESが大ブレイクしたことで、シーンの主流が派手なスタイルからよりナチュラルで土着的なスタイルに移行していき、サウンド自体はよりシンプルでアーシーなものが好まれるようになります(極論ですが、それがのちにNIRVANAやPEARL JAMがブレイクした一因にもなっているのではないかと)。

で、その流れに乗って、当のGUNS N' ROSESを生み出したGeffen Recordsが1990年に送り出した新人が、このLITTLE CAESARです。ツインギターの5人組という編成は、初期のGN'Rと一緒。ソウルフルでしゃがれた声の持ち主ロン・ヤング(Vo)のボーカルスタイルや、ブルースやR&B、ソウルからの影響が色濃いハードなロックンロールという点も、先のTHE QUIREBOYSやTHE BLACK CROWESに通ずるものがあります。しかも、デビューシングルはアレサ・フランクリンの名曲「Chain Of Fools」カバー。うん、間違ってないよ。

ところが、本作をプロデュースしたのが、ボブ・ロック。当時はMOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD』(1989年)BLUE MURDER『BLUE MURDER』(1989年)、THE CULT『SONIC TEMPLE』(1989年)といったヒット作を連発していた時期で、この流れは必然かと。がしかし、そのセレクトは間違っているよ……少なくとも、シンプルでナチュラルでアーシーにはならないってば。

実際、完成したアルバムはTHE CULT『SONIC TEMPLE』にも通ずる「ブルージーなフィーリングを持つ楽曲を、派手なサウンドプロダクションでビルドアップした80年代末らしい」作品集に仕上げられています。実際、素晴らしいハードロックアルバムだし、これはこれで間違ってないんだけど……うん、時代が悪かったよね。

とにかくボーカルの男臭さが最高。どっしり腰を据えたヘヴィなビートの上を、HR/HMというよりはR&Rの歪みにちかいギター2本がのたうちまわり、さらにその上で器用じゃないけど色気があるボーカルが乗る。楽曲もGN'RというよりはAEROSMITHに近いし、THE BLACK CROWESというよりは同時期にイギリスでデビューしたてのTHUNDER寄りかな。THE QUIREBOYSも2ndアルバムの路線には近いかも(同じボブ・ロックが携わってるしね)。ヘヴィに生まれ変わった「Chain Of Fools」も悪くないし、ソウルバラード「In Your Arms」「Midtown」「I Wish It Would Rain」、ブルースハープが絡む「Rock - N - Roll State Of Mind」など良曲多し。今挙げたようなアーティストが好きな人なら間違いなく気に入る1枚だと思います。

にしても、当時Geffenの名物A&Rだったジョン・カロドナーは、ROCK CITY ANGELSとLITTLE CAESARをデビューさせるタイミング、逆だったんじゃないかなと思うんですよね。もちろん、その時代にそのバンドがいたからそのタイミングにデビューさせたわけだけどさ。

ちなみに本作、全米チャートで最高139位止まり。シングル「Chain Of Fools」は88位、「In Your Arms」は79位と小ヒットを記録しています。確かに「Chain Of Fools」は当時、よくラジオで耳にしたしね。バンドは続く2ndアルバム『INFLUENCE』(1992年)リリース後に解散(本作にはかのアール・スリックが参加)。ロン・ヤングは映画『ターミネーター2』にちょい役で出演したり、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)とMANIC EDENというバンドを組んだりしてちょっとだけ話題になりました。そして、2000年以降にLITTLE CAESARは再結成。現在までにアルバムを数作発表しているようです。



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投稿: 2017 06 26 12:00 午前 [1990年の作品, Little Caesar] | 固定リンク

2017/06/13

RATT『DETONATOR』(1990)

RATTが1990年夏に発表した、通算5作目のフルアルバム。スティーヴン・パーシー(Vo)、ロビン・クロスビー(G)、ウォーレン・デ・マルティーニ(G)、フォアン・クルーシェ(B)、ボビー・ブロッツァー(Dr)というデビュー時からの黄金期メンバーによる最後のアルバムになります。

1stアルバム『OUT OF THE CELLAR』(1984年)以降、地味に少しずつセールスを落とし続けていたRATTが、起死回生とばかりに制作したのが本作。「BON JOVIの爆発的ヒットやAEROSMITHの再ブレイクよ再び……」という思いで(かどうかは知りませんが)プロデューサーおよびソングライターとしてデズモンド・チャイルドを迎え、本気でヒット作を生み出そうとします。

RATTといえば、スティーヴンの癖の強いボーカルと、ミッドテンポでグルーヴ感の強い楽曲というイメージがあったかと思います。それがリスナーにとって引っかかりになると同時に、聴き手を限定してしまっていた面もあります。そこで本作では、癖の強かった楽曲をよりストレートでわかりやすくし、ポップでキャチーな歌メロを乗せることでRATT本来の癖を薄めていくのです。

確かにオープニングの「Shame Shame Shame」や「Lovin' You's A Dirty Job」あたりは本来のRATTに近いものの、異常にポップに響くメロディが含まれていたりと、「どこか違う」と感じてしまった古くからのファンも少なくないはず。さらに「One Step Away」みたいな爽やかなポップメタルまで登場するもんだから、「??」となってしまうし、しまいにはバンド史上初のバラード「Givin' Yourself Away」まで飛び出すのですから……そりゃあ反感買いますよね。

チャート的には全米23位と健闘しますが、セールスは前作『REACH FOR THE SKY』(1988年)の約半分となる50万枚止まり。シングルカットされた「Lovin' You's A Dirty Job」「Shame Shame Shame」「Givin' Yourself Away」に至ってはBillboardにチャートインすらしませんでした。

……がしかし。本当にこのアルバム、駄作でしょうか? 確かにRATTらしさは薄められていますし、「One Step Away」や「Givin' Yourself Away」には苦笑してしまいますが、全体を通して聴くとそこまで悪くない、いや、悪くないどころか非常に優れたHRアルバムだと思うんですよ。「Hard Time」や「Top Secret」(初期からあった曲をリアレンジしたもの)といった激しい楽曲もあるし、何よりオープニングの「Shame Shame Shame」のカッコ良さといったら。この曲、個人的RATTベストソングの3本指に入るほど好きな曲です。

ちなみに本作、ロビンが作曲に携わった楽曲は2曲のみ(「All Or Nothing」「Can't Wait On Love」)。前作では10曲中6曲に関わっており、そのへんもとっつきやすさにつながっていると同時に、翌1991年に彼がバンドを脱退する引き金になったんでしょうね。



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投稿: 2017 06 13 12:00 午前 [1990年の作品, Ratt] | 固定リンク

2017/06/12

WINGER『IN THE HEART OF THE YOUNG』(1990)

1990年夏に発表された、WINGERの2ndアルバム。デビュー作『WINGER』(1988年)が100万枚を超えるヒット作となったこともあり、本作でも引き続きボー・ヒルをプロデューサーに迎え、前作の延長線上にあるアルバムを制作しようとしました。

実際、完成した『IN THE HEART OF THE YOUNG』は前作をよりソリッドにしたサウンドで、楽曲も各メンバーのテクニカルなプレイをフィーチャーした玄人好みの内容でした。しかし、これを良しとしなかったのがプロデューサーのボー・ヒル。当初収録予定だったヘヴィな2曲(「All I Ever Wanted」「Never」)をカットし、バンドに対して新曲を書くことを提案します。“ヘヴィすぎる”という声に対してバンドが下した答えが、のちにシングルカットされヒット曲となる「Can't Get Enuff」「Easy Come Easy Go」でした。

シーケンスを導入した、どこか機械的な印象を与えるこの2曲は、確かにそれ以前に書かれたアルバム曲と比べると異色ですが、その「Can't Get Enuff」がアルバムのオープニングを飾ったことで本作はまた別の印象を与えることになります。

DEF LEPPARD的な「Can't Get Enuff」「Easy Come Easy Go」、そしてソフトバラード「Miles Away」がアルバム前半に配置されたことで、以前よりも“軽く”なった……当時、そう感じたリスナーは少なくなかったはずです。しかも、本作からシングルカットされたのがこの3曲であり、特に「Miles Away」は全米12位という過去最大のヒット曲になってしまうのですから……成功は素直に嬉しかったと思うけど、この方向性自体に彼らは疑問を感じていたのではないでしょうか。続く3rdアルバム『PULL』(1993年)がヘヴィな作風だったことを考えれば、なんとなく頷ける話かと思います。

とはいえ、世に発表されたアルバムは決して悪い作品ではありません。確かに「Can't Get Enuff」や「Easy Come Easy Go」を最初に聴いたときは驚きましたが、「Rainbow In The Rose」「In The Day We'll Never See」みたいなプログレッシヴ路線の楽曲、前作の流れにあるバラードタイプの「Under One Condition」、ドラマチックな「In The Heart Of The Young」、グルーヴィーな「Loosen Up」「Little Dirty Blonde」「Baptized By Fire」(この曲冒頭のギターソロはもともと「Never」のオープニングに入っていたもの)、豪快なハードロック「You Are The Saint, I Am The Sinner」と聴き応えのある楽曲ばかり。シングル曲の印象で本作と接すると痛い目を見るかもしれません。

確かに追加の2曲がなかったら、本作は地味な作品になっていたでしょう。そういう意味ではプロデューサーの采配は正しかったし、実際非常にバラエティに富んだ作品に仕上がったと思います。よく「2ndアルバムは鬼門。真価が問われる」(1枚目はデビュー前の集大成で、2枚目からが本当の勝負)と言いますが、本当にそのとおりだなと納得されられたのは僕ら以上にバンドだったのではないでしょうか(まぁその結果、いろいろ苦悩することになるのですが)。



▼WINGER『IN THE HEART OF THE YOUNG』
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投稿: 2017 06 12 12:00 午前 [1990年の作品, Winger] | 固定リンク

2017/06/07

THE BLACK CROWES『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990)

アメリカ・ジョージア州出身のロックバンド、THE BLACK CROWESが1990年初頭にリリースした1stアルバム。全米4位まで上昇し、500万枚以上を売り上げた出世作です。特に本作からのシングル「Hard To Handle」(オーティス・レディングのカバー)が全米26位のヒットになったことを機にブレイクし、他にも「She Talks To Angels」(全米30位)、「Jealous Again」(全米75位)といったヒット曲が生まれました。その後の彼らはよりディープな方向へと進んでいったため、こういったヒットシングルが複数生まれたのは本作と、続く2ndアルバム『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)までとなります。

前回のTHE QUIREBOYSの際にも触れましたが、シーンがよりオーガニックなサウンドを求め始めた中、アメリカから登場したのがこのTHE BLACK CROWES。よくROLLING STONESあたりと比較されましたが、それよりも彼らの場合はアメリカ南部出身のロックバンド……LYNYRD SKYNYRDやTHE ALLMAN BROTHERS BAND、あるいはTHE GEORGIA SATELLITESや初期のZZ TOPのほうが近いような気がします。きっと本作のレコーディングにストーンズのサポートピアニスト、チャック・リーヴェルが参加していたことやオーティスをカバーしていることで、当初はストーンズと比較しがちだったんでしょうね。

彼らの全キャリアの中でもっとも聴きやすいのが本作で、のちのセッション色濃厚な作品群と比べればどの曲もシンプルかつコンパクト。なおかつキャッチーで、適度なハードさもある。そのへんはBON JOVIGUNS N' ROSESが好きというリスナーにもアピールするかもしれません。特にオープニングを飾る「Twice As Hard」あたりは、モロにハードロック的手法ですしね。

かと思えばストーンズにも通ずるソウルフルなバラード「Sister Luck」「Seeing Things」、切ないアコースティックバラード「She Talks To Angels」もあって聴き応えもある。ホンキートンク調ピアノが心地よいR&R「Jealous Again」もあれば、軽快なカントリーロック「Thick n' Thin」もあるし、適度にハードなど直球の「Struttin' Blues」もある。エンディングの「Stare It Cold」もひたすらカッコ良いしね。音自体は隙だらけなんだけど、作品としては隙が感じられない完璧なロックンロールアルバムに仕上がっています。

サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある人、わかります。若い頃の自分もそうでしたから。でも、このアルバムからTHE BLACK CROWESの作品を追っていけば、そのディープな世界にじわじわと入り込むことができるかもしれません。あるいは「ここまでならOK」という自分の中での基準値もわかるのではないでしょうか。そういう意味では本作は、入門編的1枚と呼んで差し支えないでしょう。



▼THE BLACK CROWES『SHAKE YOUR MONEY MAKER』
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投稿: 2017 06 07 12:00 午前 [1990年の作品, Black Crowes, The] | 固定リンク

2017/06/06

THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY』(1990)

イギリス出身のロックンロール/ハードロックバンド、THE QUIREBOYSが1990年初頭にリリースしたメジャーデビューアルバム。当時のベーシストがフィル・ モグ(UFO)の甥っ子であるナイジェル・モグだったり、メジャーデビュー前にその後THE WiLDHEARTSを結成するジンジャー・ワイルドハート(G)が在籍していたりなどでも知られますが、こういうこと抜きに本作は当時全英2位という好成績を残し、ここ日本でも人気を博しました。アメリカではTHE LONDON QUIREBOYS名義でデビューし、ビルボード100位内入り(93位)。同作からのシングルも「Hey You」(全英14位、全米53位)、「I Don't Love You Anymore」(全英24位、全米76位)、「There She Goes Again」(全英37位、全米91位)と英米でそれなりに数字を残しました。

いわゆるHR/HMブームと呼ばれるものがBON JOVIのアコースティックナンバー(「Wanted Dead or Alive」など)のヒットやGUNS N' ROSESの登場以降、よりナチュラルな方向へと移行していき、無駄な装飾が削ぎ落とされたサウンドが好まれ始めたタイミング。アメリカからTHE BLACK CROWESという土着的なロックンロールバンドがデビューし、それと同じタイミングにイギリスからもTHE QUIREBOYSというバンドデビューするというのが、非常に興味深い話で。まぁリスナーがいわゆるアリーナロックに飽き飽きしていた頃に、世の中がアンプラグドだ何だとオーガニックサウンドやシンプルなロックに注目するようになり、そのすぐあとにNIRVANAやPEARL JAMのようなバンドがメジャーシーンに現れた。つまりTHE BLACK CROWESやTHE QUIREBOYSはその中継ぎ的存在だった……というのは言い過ぎですね、はい。

別にいつの時代でもこういうロックンロールを鳴らすバンドはいたはずなのに、たまたまシーンの青田買いがここまでたどり着いたってことなんでしょう。THE QUIREBOYSも良い意味でそのブームに乗っかり、“very british”なサウンドを堂々と鳴らした結果、幸か不幸か大きなヒットにつながってしまった。本作リリースから数年で一度解散してしまうことを考えると、はやり不幸だったのかもしれません。

とはいえ、中身自体は本当に優れたロックンロールアルバム。オープニングを飾る軽快なR&R「7 O'Clock」を筆頭に、ど直球のタイトルに苦笑するしかない「Sex Party」、カントリーテイストのミディアムチューン「Sweet Mary Ann」、じっくり聞かせるスローバラード「I Don't Love You Anymore」など聴きどころ満載。フロントマンのスパイク(Vo)のしゃがれた歌声は、時に若き日のロッド・スチュワートと重なる瞬間もあったりなかったりで、HR/HMとは異なる味わい深さもあっていつ聴いても飽きない魅力が備わっています(そういえば本作のプロデュースには、ロッド・スチュワートのバンドにもいたギタリスト、ジム・クリーガンが参加しています)。

HR/HMファンにも楽しんでもらえるとは思いますが、どちらかというとROLLING STONESや初期のAEROSMITH、ソウルやR&Bのテイストを持つロックバンドを好む人にオススメしたい1枚かもしれません。リリースから27年も経っている事実に驚かされましたが、時の流れを感じさせない、普遍的なロックンロールアルバムです。



▼THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY』
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投稿: 2017 06 06 12:00 午前 [1990年の作品, Quireboys, The] | 固定リンク

2017/04/27

ALICE IN CHAINS『FACELIFT』(1990)

ALICE IN CHAINSが1990年に発表したメジャーデビューアルバム。本格的なブレイクは本作以降に発表されたシングル「Would?」(映画『SINGLES』のサウンドトラックに先行収録)と、続く2ndアルバム『DIRT』(1992年)からになりますが、この『FACELIFT』という作品の果たした功績は計り知れないものがあります。

僕が彼らのことを、そしてこのアルバムのことを知ったのは、当時の友人からの勧め、そしてMETALLICAのメンバー(確かカーク・ハメットだったと記憶してます)がインタビューで最近の愛聴盤としてALICE IN CHAINSの『FACELIST』を挙げていたこと。それと前後して本作からシングルカットされた「Man In The Box」がMTVなどで大反響を呼んでおり、ちょうど少しずつ知名度を高めつつあるタイミングでした。そして、彼らの知名度を一気に引き上げる結果となったのが、1991年に入ってから行われたANTHRAX、SLAYER、MEGADETHらによるパッケージツアー『CLASH OF THE TITANS』に参加したこと。スラッシュメタル勢と並んだときの弱さはあったものの、ここから彼らの快進撃は始まり、その後はVAN HALENとの大々的なツアーに参加したことでさらに人気を高めていくのでした。

その後METALLICAがこの『FACELIFT』から影響を受けたかのようなミドルテンポ中心の作風へとシフトチェンジするなんて、本作が発表された頃は感がもしなかったでしょう。確かにMEGADETHやSLAYERといったバンドがALICE IN CHAINSに目をつけたのはさすがと思いますが、いかんせん当時の彼らのサウンドとの相性は良好とは言い難かった。しかし、VAN HALENの客層とはなぜかマッチした。それはなぜか?

実はALICE IN CHAINS、このアルバムに至る前はLAメタルからの影響バリバリなサウンドのバンドだったのです。のちにリリースされるボックスセット『MUSIC BANK』(1999年)には80年代末のデモ音源が収録されていますが、これがRATT顔負けなハードロックでして(苦笑)。「WE DIE YOUNG」のMVを観ても、その片鱗は存分に感じられますし。人に歴史ありですね。

実際『DIRT』以降のアルバムと比較してみても、この『FACELIFT』は若干その色が残っている……気がしないでもない。『DIRT』以降ほど複雑怪奇なアレンジではなく、比較的わかりやすいハードロックで構成されているあたりも、その片鱗と言えるでしょう。事実、レイン・ステイリー(Vo)在籍時の作品群の中でも、もっともスルスル聴けてしまう、あまりクセのないアルバムですし。

思えば「We Die Young」「Put You Down」のストレートさも、「Man In The Box」や「Sea Of Sorrow」のポップさも、「Love, Hate, Love」のダークさも、「I Know Somethin (Bout You)」のファンクメタル感も、「Real Thing」のブギー感も、他のバンドがやれば普通のハードロックとして通用してしまうものばかり。これをレインのおどろおどろしい歌唱スタイルとジェリー・カントレル(G, Vo)が被せるハーモニーと粘っこいギターが融合することで、ちょっと“普通じゃない”ものが完成する。これがALICE IN CHAINSの原点なんでしょうね。

その「ちょっと“普通じゃない”もの」がいろんな要因(ひとつはレインのドラッグ癖も大きいと思う)が重なりあうことで、「まったく“普通じゃない”もの」へと進化していった。それが『DIRT』であり『JAR OF FLIES』(1994年)であり『ALICE IN CHAINS』(1995年)だったんだろうなと、今になって思うわけです。そして、『FACELIFT』や『DIRT』がその後のロックシーンに与えた影響がいかに大きなものだったかも、改めて実感するわけです。まさか『FACELIFT』を聴いたとき、それから1年ちょっとであそこまでHR/HMシーンが変革を起こすなんて考えもしなかったけどね。



▼ALICE IN CHAINS『FACELIFT』
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投稿: 2017 04 27 12:00 午前 [1990年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2017/03/29

NELSON『AFTER THE RAIN』(1990)

マシュー(Vo, B)&ガナー(Vo, G)のネルソン兄弟(双子)を中心に結成されたバンド、NELSONが1990年夏にリリースした1stアルバム。当時の他のメンバーはブレット・ガースト(G)、ジョーイ・キャスカート(G)、ポール・ミルコヴィッチ(Key)、ボビー・ロック(Dr)という布陣。ネルソン兄弟が著名カントリーシンガーのリッキー・ネルソンの息子、かつ父親の若い頃にそっくりの甘いルックスということで注目を集めました。特に父リッキーは1985年に45歳でお亡くなりになったこともあって、その面影をネルソン兄弟に求めたアメリカ国民も多かったのかもしれません。

HR/HMブーム末期に、いわゆるソフトサイドのハードロックサウンドをアレンジとして用いた本作。どの曲も適度にハードながらも非常に耳障りが良く、一度聴いたら忘れられないような良メロ美メロばかりで、それが心地よいハーモニーとともに奏でられるわけですから悪いわけがない。オープニングトラックにして最大のヒット曲(全米1位)「(Can't Live Without Your) Love And Affection」や、2ndシングルとして大ヒット(全米6位)したアルバムタイトルトラック「After The Rain」はまさにその代表例と言える楽曲でしょう。

また、土着的なアメリカンロック「I Can Hardly Wait」、ワイルドさを強調した「More Than Ever」(こちらはシングルカットもされ、全米14位を記録)、シャッフルビートがズシリと響く「(It's Just) Desire」のようなアメリカンロックバンド的側面の強い楽曲もあれば、アルバムのラストを盛大に締めくくる「Will You Love Me?」みたいにバンドのテクニカルさを前面に打ち出した楽曲、ピアノとストリングスのサウンドが気持ち良く響く「Only Time Will Tell」(全米28位)、影のあるアレンジが印象的な「Everywhere I Go」というバラードもしっかり用意されている。基本的にはミドルテンポ中心で、ハードロック特有のアップテンポなファストチューンは皆無。それよりも、いかに気持ち良く聴かせるか、気持ち良く楽しませるかを重視した作品と言えるかもしれません。

もちろん、彼らは単なる“リスニング専門”バンドではなく、本作を携えて長期にわたるワールドツアーも実施。ここ日本にも、本国の大ヒットから遅れること1年強の1991年12月、ついに初来日公演が実現。この頃には「宝酒造 純」のCMに出演し、新たに書き下ろした「Too Many Dreams」が使用されたことでも話題となりました。

その後、レーベルとのゴタゴタで新作が5年も出せなかったり、不景気になって大々的なワールドツアーが縮小傾向になったり、HR/HMの衰退とグランジの台頭があったりと、シーンが大きく変化していく中でNELSONはたった1枚のアルバムだけで“過去の遺物”扱いされるように。当初2ndアルバムとして制作された『IMAGINATOR』(ゴタゴタを経て、別レーベルから1996年に3rdアルバムとして発表)がちゃんと1993年ぐらいにリリースされていたら……大きなヒットにはならなかっただろうけど、もうちょっとバンドとして評価されたのではないかと、今でも残念に思うことがあります。それくらい、デビューの仕方やバックボーン、ルックスなどで誤解され、過小評価されている存在ではないかと個人的には思っています。

今だからこそ、こういう良作に対してフラットに接してほしいと願うばかりです。



▼NELSON『AFTER THE RAIN』
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投稿: 2017 03 29 12:00 午前 [1990年の作品, Nelson] | 固定リンク

2017/03/26

SLAUGHTER『STICK IT TO YA』(1990)

1990年に上京してからしばらくテレビのない生活を送っていたため、ラジオをよく聴いていたんです。土曜深夜のbayfm『POWER ROCK TODAY』はもちろんのこと、平日はニッポン放送『オールナイトニッポン』を2部まで聴く日々……AMだけではなくFMもいろいろ聴いてました。そのなかで、確かNACK5だったと記憶していますが、アメリカ西海岸のメタル専門FM局『KNAC』のプログラムを流す番組があったと思うんです。それを毎週聴きながら勉強したり飯食ったりして。

で、そこで気になる曲をみつけて。DJも当然英語だからアーティスト名、曲名がはっきり把握できない中、なんとなく聞き取ることができた「Up All Night」というタイトル。確かに曲中何度もそう歌ってたもんな。この甲高いボーカルとDEF LEPPARDみたいなサウンドプロダクション、アメリカのバンドっぽいけどそこまでパーティ感が強くない曲調、嫌いじゃないなぁ、むしろ好きだなぁ……と思っていたんです。残念ながら、その曲に関してはここで終わり。アルバムまでたどり着くことはありませんでした。

それからしばらくして、今度は別の番組で「Fly To The Angels」というバラード調の楽曲を知ります。いわゆるパワーバラードとはちょっと違った、不思議な雰囲気を持つナンバーで、タイプは違うけどWINGERあたりにも通ずると思っていたんです。その曲を歌うのがSLAUGHTERというバンドだと知り、当然「Fly To The Angels」をちゃんとリピートしたいがために輸入盤店でアルバムを探し、ついに手に入れるわけです。

すると……あ、あの「Up All Night」だ!と。ここで「Up All Night」=「Fly To The Angels」=SLAUGHTERとすべてがつながるのでした。ここまでの数ヶ月、長かった。

そんなSLAUGHTERの1stアルバム『STICK IT TO YA』。アメリカではこの頃、すでにヒットしていたんですよね。Billboard最高18位まで上昇し、200万枚ものセールスを記録。「Up All Night」も全米27位のヒット曲となっており、「Fly To The Angels」はトップ20入り(全米19位)を果たしていたのでした。しかも、このSLAUGHTERのメンバーであるマーク・スローター(Vo, G)とダナ・ストラム(B)は80年代にVINNIE VINCENT INVASIONの一員として活躍。そう、高校時代に大好きだったアルバム『ALL SYSTEMS GO』にも参加していた人たちだったのです。そりゃ気に入るわけだ。

アルバムはいわゆる80年代的なビッグプロダクションを用いた硬質なサウンドで、マークのハイトーンボーカルを前面に打ち出しながらもコンパクトで親しみやすい構成の楽曲が中心。しかもLED ZEPPELIN(「Eye To Eye」「Fly To The Angels」)やAC/DC(「She Wants More」「Loaded Gun」)を彷彿とさせる楽曲、ポップさを前面に打ち出した「Spend My Life」「You Are The One」「Gave Me Your Heart」、ワイルドなアメリカンHR「Up All Night」「Burnin' Bridges」「That's Not Enough」と非常にバラエティに富んだ内容なんだから、楽しくないわけがない。本当によくできたデビューアルバムだと思います。

HR/HMブーム末期に登場したSLAUGHTERもFIREHOUSE同様、その後時代に翻弄されるわけですが、もう1年早くデビューしていたらここ日本でもさらに高い評価を得ることができたんじゃないかなと。実際初来日もこのアルバムの時点では実現しなかったと記憶してますし、非常に勿体ない限りです。



▼SLAUGHTER『STICK IT TO YA』
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投稿: 2017 03 26 12:00 午前 [1990年の作品, Slaughter] | 固定リンク

2017/03/16

FIREHOUSE『FIREHOUSE』(1990)

WARRANTと同じく、ギリギリHR/HMブームの恩恵を受けることができたのが、1990年に本国デビューを果たしたアメリカの4人組バンドFIREHOUSE。彼らのデビューアルバム『FIREHOUSE』は同年8月にリリースされましたが、結成自体はその前年1989年のこと。意外とトントン拍子でデビューまでこぎ着けたんですね。つまり、ライブでの生え抜きということではなく、単純に楽曲が認められたということなのかもしれません。

ところが、ここ日本でのCDデビューはそこから半年以上経った1991年4月のこと。そう考えると、デビュー時のFIREHOUSEはそこまで好待遇というわけではなかったのかな。それに、本国と日本での推し曲のタイプがここまで違うか?というのも興味深いバンドだったし。日本ではマイナーメロHR「All She Wrote」がシングルカットされ、本国ではアーシーさも感じられるアメリカンロック調の「Don't Treat Me Bad」をシングル化。アルバムジャケットも海外盤の“美女が放火すると言わんばかりに火のついたマッチ棒を持つ”デザインから、日本オリジナルのもの(メラメラと燃える炎の中にメンバー4人のシルエットを浮かび上がらせたもの)に変更されています。

で、日本デビューと前後して「Don't Treat Me Bad」はBillboardチャートぐいぐい上昇して、全米19位という記録を残します。これが正しい選択だったということなんでしょうね。ちなみに「All She Wrote」ものちにアメリカでシングルカットされましたが、58位と低調な結果で終わっています。

続く2ndシングルは名バラード「Love Of A Lifetime」。この曲が全米5位という大ヒットとなり、アルバムも最高21位、計200万枚を売り上げる、デビュー作としては上出来な結果を残します。

「Don't Treat Me Bad」のようにアコースティックギターをうまく取り入れた土着的な楽曲は、この時点ではFIREHOUSEの軸ではなかったのですが、のちの“アンプラグド”ブームと結びついてアコースティックアルバムを出すまでにつながっていきます(これが形となるにはもう数年かかるのですが)。が、やはりこのバンドの強みは「All She Wrote」や「Overnight Sensation」で聴ける繊細なメロと、「Rock On The Radio」「Snake & Tumble」「Don't Walk Away」などで味わえるワイルドでダイナミックなハードロックサウンドだと思います。その2面性をしっかり使い分けることができるからこそ、「Don't Treat Me Bad」や「Love Of A Lifetime」のような楽曲が映えるわけです。

また、C.J.スネア(Vo)のクセの強いハイトーンボイス、ところどころで自己主張しまくりなビル・レヴァティー(G)のギタープレイも、個性の強さのわりに曲の邪魔をしていない。それどころか、曲の良さに拍車をかけているんだから、さすがとしか言いようがないわけです。本当、(WARRANTとは別の意味で)よくできたデビューアルバムだと思います。



▼FIREHOUSE『FIREHOUSE』
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投稿: 2017 03 16 12:00 午前 [1990年の作品, Firehouse] | 固定リンク

2017/02/15

POISON『FLESH & BLOOD』(1990)

『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(1986年)、『OPEN UP AND SAY...AHH!』(1988年)と2作連続でミリオンヒットとなったPOISONが、1990年6月に発表したのがこの3rdアルバム『FLESH & BLOOD』。プロデューサーにはBON JOVI、AEROSMITHでおなじみのブルース・フェアバーン、そして先の2アーティストの作品でエンジニアを務めたマイク・フレイザーの2名を迎え、過去2作以上にタフで硬質な作品を作り上げています。

「演奏が下手」「音がスカスカ」と揶揄されてきたPOISONが一念発起して、最高のプロデューサー陣を迎えて制作した本作。どことなく前年1989年に発表されたAEROSMITH『PUMP』にも通ずる色合いが感じられます。当時このアルバムを聴いて、「あれ、POISONってこんなに硬くて隙のない音だったっけ?」と驚く人が大半だったんじゃないでしょうか。僕自身も「……ゆ、ユルくない……だとっ!?」とまず最初にびっくりしましたし。

冒頭のインスト「Strange Days of Uncle Jack」からタフでストレートな「Valley Of Lost Souls」へと続く流れも、すごくまっとうすぎて呆気に取られるほど。そのまま「(Flesh & Blood) Sacrifice」とシリアスめの楽曲が続く構成に、「パーティバンドPOISONはどこいった!?」と不安になり、無駄にアーシーなインスト「Swampjuice (Soul-O)」から「Unskinny Bop」でようやく“従来のPOISON”に近いスタイルの楽曲に到達します。しかし安心したのも束の間、ゴスペルテイストのアメリカンロック「Let It Play」、なんとなく泣きメロも混じったパワーバラード「Life Goes On」、再びシリアスなハードロック「Come Hell Or High Water」でアルバムA面が終了。

アナログでいうところのB面は、前作における「Fallen Angel」的な「Ride The Wind」からスタート。過去のPOISONにもっとも近い「Don't Give Up An Inch」、もはやゴスペルバラードと言えなくもない「Something To Believe In」、スワンプ風イントロにびっくりなアメリカンHR「Ball And Chain」、バラード風に始まり、そのままテンポアップしてぐいぐい引っ張るキャッチーなロックチューン「Life Loves A Tragedy」とひたすら粒ぞろいの楽曲が並び、最後はPOISON流ブギー&ブスース「Poor Boy Blues」で締めくくります。

……なに、このまっとうなアルバムは!?(苦笑) これをPOISONに求めるか?と言いたくなるぐらいに「土着的アメリカンミュージックからの影響が強い王道ハードロック」アルバムなんですよ、本作は。もともと親しみやすいメロディを作ることには定評があるバンドだけに、本作でも各曲の完成度は異常に高いですが、その装飾部分が異様に硬い。これまでの装飾がプラスチックコーティングだったとしたら、本作は銀とか銅を吹き付けてるんじゃないかって思うほど。思えば先のエアロもそうだし、MOTLEY CRUEもボブ・ロックのプロデュースで『DR. FEELGOOD』という硬質なアルバムを発表した後だし、POISONもうまく時流に乗ったということなんでしょうね。無駄に賢い奴らだな(笑)。

とはいえ、1stアルバムで見せたケバさやナヨナヨさはどこへ?と言いたくなる本作、しっかりリスナーに受け入れられてます。アルバムは全米2位でトータル300万枚を突破。本作からのシングルも「Unskinny Bop」が全米3位、「Something To Believe In」が全米4位、「Ride The Wind」が全米38位、「Life Goes On」が全米35位とそれなりの結果を残しています。ですが、POISONの黄金期はこのアルバムまで。湾岸戦争など時代の煽りを受けツアー活動も縮小し、音楽シーンもHR/HMが衰退し、代わりにグランジが台頭していくことになります。



▼POISON『FLESH & BLOOD』
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投稿: 2017 02 15 12:00 午前 [1990年の作品, Poison] | 固定リンク

2017/02/08

DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』(1990)

ここ数日続いたスーパーバンドの紹介、ひとまず今回が最後となります。1989年にBLUE MURDER、BADLAND、MR. BIG、BAD ENGLISHとデビューが続いたスーパーバンド、翌1990年初頭にその究極と言えなくもない存在のDAMN YANKEESが華々しくデビューを飾ります。

DAMN YANKEESは元NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ(Vo, B)、元STYXのトミー・ショウ(Vo, G)、ソロアーティストとして知られるテッド・ニュージェント(Vo, G)、セッションドラマーでのちにLYNYRD SKYNYRDに加わるマイケル・カーテロン(Dr)の4人組。マイケル以外はそれぞれバンドやソロで一時代を築いた人ばかりで、3人ともボーカリスト。ということで、この『DAMN YANKEES』ではジャック&トミーのボーカルを軸にしつつ、曲によってどちらかがリードを取る形となっています。テッドはコーラス以外にも、アルバムラストの疾走ナンバー「Piledriver」でリードボーカルを聴かせてくれます。

楽曲は各メンバーの個が強く打ち出されたものばかり。どの曲を誰がメインで書いたかを考えるだけでも面白いんじゃないでしょうか(基本的に全曲ジャック、トミー、テッドの連名でクレジットされています)。ギタープレイを前面に打ち出しつつも、あくまで楽曲の完成度の高さを大事にしているのはBAD ENGLISHにも通ずるものがありますが、DAMN YANKEESの場合はとにかくフロント3人の色が濃いぶん、主張の強さが曲のいろんなところから感じられるのが面白いところ。それでいてストリングスを取り入れた美しいバラード「High Enough」みたいな曲もあるんだから、興味深い存在です。

基本はオープニングトラック「Coming Of Age」で聴ける、豪快なアメリカンハードロックが軸にあって、そこに「Come Again」のような叙情性の強い曲、「Piledriver」みたいにメタリックなブギー、「Runaway」のように美しいハーモニーが楽しめるアーバンなポップロックが織り交ぜられている。「Mystified」みたいなアメリカ南部のテイストは完全にテッドの持ち味でしょうし、ストレートなハードロック「Rock City」はジャックのテイストな気がするし。でも、ちゃんとひとつのバンドとして、1枚のアルバムにすべて収めることができているんだから、さすがとしか言いようがない。

このバンド、何がすごいって、やっぱりライブなんですよね。だって、「(You Can Still) Rock In America」も「Don't Tell Me You Love Me」も「Renegade」も「Blue Collar Man (Long Nights)」も「Cat Scratch Fever」も「Free-For-All」も聴けるんですから、悪いわけがない。ある意味、アメリカンハードロックの歴史を垣間見れる、貴重な場でもあったわけです。

ちなみに本作は全米13位まで上昇し、200万枚ものセールスを記録。シングルカットされた「High Enough」は全米3位と彼らの代表曲となり、ここ日本でもリーバイスのCMソングとしてオンエアされ話題となりました。

なおこのバンドも例に漏れず、1992年に2ndアルバム『DON'T TREAD』をリリースしてから解散。一時は3rdアルバムを制作するために再集結も計画されましたが、実現に至りませんでした。勿体ない。で、トミーとジャックは一時期SHAW BLADESを組むも、それぞれSTYX、NIGHT RANGERを再結成させ、活動を続けています。



▼DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』
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投稿: 2017 02 08 12:00 午前 [1990年の作品, Damn Yankees, Night Ranger] | 固定リンク

2017/01/18

LYNCH MOB『WICKED SENSATION』(1990)

1989年のDOKKEN解散後、ジョージ・リンチ(G)とミック・ブラウン(Dr)は新たにLYNCH MOBと命名したバンドを始動。DOKKENって名前がいかにも「ドン・ドッケンのワンマンバンド」的に見えてしまうのが嫌だったんでしょうかね、今度はジョージが自身の名前をバンド名に入れてるわけですから(苦笑)。

オニー・ローガン(Vo)、アンソニー・エスポジート(B)という若きアーティストを迎え制作されたのが、1990年秋に発表されたデビューアルバム『WICKED SENSATION』。プロデューサーには“ギターサウンドならおまかせ”なマックス・ノーマンを迎え、DOKKENのラスト作『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)を推し進めたギターオリエンテッドなアルバムを完成させます。

興味深いのは、常にDOKKENをまとっていたヨーロピアンな湿り気のある作風がばっさりと消えたこと。あれこそ、ドン・ドッケンの持ち味だったことは、彼が中心となり結成されたDON DOKKENのアルバム『UP FROM THE ASHES』で証明済みです。となると、豪快なアメリカンハードロックはジョージの持ち味ということになるわけですが、今作を聴くと単なるアメリカンハードロックでは終わっていない。実はこれ、ミック・ブラウンの功績が大きいと思うんですよね。

また、オニー・ローガンがドン・ドッケンとは異なるタイプのシンガーだったことも良い方向に作用した気がします。この時点ではド新人で、すべてを器用に歌いこなしていたわけではないですが、ドンみたいにのっぺりしたボーカルには出せない味が随所に感じられ、適度に土臭さを持ったこのハードロックサウンドには合っている。一番DOKKEN寄りかなと感じる「Hell Child」のような曲にも、サイケデリックな新境地ナンバー「She's Evil But She's Mine」にも適応できているんだから、デビュー作にしては及第点だと思います。あと、アルバムラストの「Street Fighting Man」は、DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』のインスト曲「Mr. Scary」をバージョンアップさせた歌モノ。こういうところからも、LYNCH MOBが『BACK FOR THE ATTACK』が地続きであることが伺えます。

それにしてもこのアルバム、全12曲で57分と意外に長いんですよね。そういえば……『BACK FOR THE ATTACK』が13曲で63分だったことを考えると、曲を長くしていた要因はジョージのギターソロだったんじゃないか、そう思えなくもないなと。これ、もうちょっとコンパクトに、せめて50分くらいで収まったら完璧なアルバムなんですけどね。そう考えると、やっぱり10曲で勝負するのがベストなのかなぁ。

ちなみに、同時期に発売されたDON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』とLYNCH MOB『WICKED SENSATION』。チャート的には前者が全米50位、後者が31位とジョージ・リンチの勝利。これでどっちの作品が優れていると判断するのは危険ですが、少なくとも1990年当時のアメリカに求められていた音はLYNCH MOBのほうってことなのかもしれないですね。



▼LYNCH MOB『WICKED SENSATION』
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投稿: 2017 01 18 12:00 午前 [1990年の作品, Dokken, Lynch Mob] | 固定リンク

2017/01/17

DON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』(1990)

1989年にバンドの解散を発表したDOKKEN。最初の時点ではドン・ドッケン(Vo)と、ジョージ・リンチ(G)、ミック・ブラウン(Dr)、ジェフ・ピルソン(B)1対3に分かれ、そこからも当時のバンドの状況がなんとなく伺い知ることができました(のちにジェフが離脱し、ドン、ジョージ&ミック、ジェフの3分割することとなります)。

ドンは新たにバンドを結成しようと旧友ピーター・バルテス(B / 当時ACCEPTが解散したばかり)や、ミッキー・ディー(Dr / 元KING DIAMOND、のちにMOTORHEADに加入)、ジョン・ノーラム(G / EUROPE脱退後、ソロで活動していた)、ビリー・ホワイト(G / 元WATCHTOWER。現在は音楽業界を引退)という面々に声をかけ、アルバムを制作。その編成でDOKKENを名乗ろうとしますが、元メンバーの3人から訴訟を受け、結果DON DOKKENというバンド名なのかソロ名義なのか微妙な名前で活動することになります。

さて。いざ完成したアルバム『UP FROM THE ASHES』は1990年10月にリリース。奇しくもジョージ&ミックの新バンド、LYNCH MOBのデビュー作『WICKED SENSATION』とほぼ同時期に発売され、否が応でも比較されることとなってしまいます。

「ツインギター編成となったDOKKEN」「ギターがうるさくないDOKKEN」と表現できるDON DOKKENのサウンド。もっと言えば、DOKKENの3rdアルバム『UNDER LOCK AND KEY』(1985年)で目指した路線をさらにブラッシュアップし、より聴きやすくした楽曲を楽しむことができるわけです。“あの”DOKKENが好きだった人なら両手を上げて喜ぶ内容ではないでしょうか。また「ギターがうるさくないDOKKEN」とは言いながらも、ジョン&ビリーのギターソロは存在感の強いもので、随所にツインリードが取り入れられているのも好印象。こういった湿り気の強い泣きメロにピッタリなんですよね、ツインリードって。

曲作りにはビリー・ホワイトやジョン・ノーラム、アルバムのプロデューサーであるウィン・デイヴィス、職業作家のマーク・スピロといった面々も参加しており、中にはドンとグレン・ヒューズの共作「When Love Finds A Fool」といった泣きのバラードや、DOKKEN時代のアウトテイクと思われるドン&ミック・ブラウン作の「Stay」といった楽曲も収められています。「これぞDOKKEN」なミディアムテンポのマイナーチューンが中心ながらも、「Crash 'N Burn」や「Living A Lie」「The Hunger」のようなファストチューン、『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)にはなかったスローバラードも含まれている。そういう意味でも、本来DOKKENが目指すべきだった形の究極系と言えなくもない内容です。『BACK FOR THE ATTACK』に続く作品と考えてしまうと若干の物足りなさを感じるかもしれませんが、ドン・ドッケンというボーカリストを軸に考えれば「これが本来の姿」と納得できるはずです。

残念ながらDON DOKKENとしてのアルバムはこれ1枚しか制作されず、メンバーは1人、また1人とバンドを離れていきます。そして時代は湾岸戦争に突入し、ロックバンドの大掛かりなワールドツアーが難しい状況に。さらにアメリカ国内ではHR/HMに替わりグランジが支持され始め、DON DOKKENは自然消滅してしまいます。そこから数年後、ドン、ジョージ、ミック、ジェフの4人が再集結し、DOKKENが再結成されるのですから、皮肉な話ですよね。



▼DON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』
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投稿: 2017 01 17 12:00 午前 [1990年の作品, Dokken, Don Dokken] | 固定リンク

2016/12/22

SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』(1990)

「SLAYERのアルバムでどれが一番好きか?」と尋ねられたとき、おそらく多くの人が3作目の『REIGN IN BLOOD』(1986年)を挙げるかもしれません。もちろん僕も大好きですし、スピードにこだわったこのアルバムと(こちらは人によってまちまちだけど)重さにこだわった次作『SOUTH OF HEAVEN』(1988年)は合わせて語りたいくらい気に入ってますから。

では、もしこれからSLAYERを初めて聴こうというビギナーに1枚だけオススメするならどれを選ぶか? そのときは残念ながら上記の2枚ではなく、1990年に発表された5thアルバム『SEASONS IN THE ABYSS』を選ぶことでしょう。

『SEASONS IN THE ABYSS』は先に挙げた2作の良い点をうまくミックスした、いわゆるスラッシュメタルが苦手という人にも勧めやすい内容となっています。王道スラッシュチューン「War Ensemble」で始まったかと思えば、続く「Blood Red」は小気味良いリズム感とメロを持つミドルチューン。3曲目に再びファストチューン「Spirit In Black」で盛り上がると、ヘヴィな「Expendable Youth」、不気味さを漂わせるミディアムナンバー「Dead Skin Mask」と、ただ速さで押すわけではないのにスルスルと聴けてしまう。後半は再びスピードナンバー「Hallowed Point」で仕切り直し、以降もスピードと重さが交互に押し寄せて、最後はアルバムのタイトルトラックでもあるムーディー&ヘヴィな「Seasons in The Abyss」で幕を下ろす。全10曲で42分強というトータルランニングも絶妙です。

このアルバムはトム・アラヤ(Vo, B)、ケリー・キング(G)、ジェフ・ハンネマン(G)、デイヴ・ロンバード(Dr)という、いわゆる黄金期メンバーで制作された最後のスタジオアルバム(その後、2000年代に同じ布陣が復活し、2006年に『CHRIST ILLUSION』、2009年に『WORLD PAINTED BLOOD』を制作)で、先に述べたように最盛期を迎えたバンドの姿を記録しようと1991年にはライブアルバム『DECADE OF AGGRESSION』も発表されています。しかし、ここで区切りをつけるかのように、翌1992年のデイヴが脱退。新たにポール・ボスタフを迎えた編成で制作した6thアルバム『DIVINE INTERVENTION』を1994年に発表しますが、ここには『SEASONS IN THE ABYSS』で感じられた親しみやすさ/入りやすさはなくなっていました。以降、バンドとしてはよりヘヴィでハードコアな方向に進んでいくことになります。



▼SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』
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投稿: 2016 12 22 12:00 午後 [1990年の作品, Slayer] | 固定リンク

2016/12/19

DEEP PURPLE『SLAVES AND MASTERS』(1990)

旧サイト時代から数えて18年、ふと気づいたらDEEP PURPLEのアルバムを1枚も取り上げていないことが発覚。だったらこの勢いで書いてみようと、まず最初にオススメするならと選んだのがこれ。いろいろ間違っているような気がしないでもないけど、余計なことは考えない。

リッチー・ブラックモアがRAINBOWを解散させて、黄金期と呼ばれる第2期(リッチー、イアン・ギラン、ジョン・ロード、イアン・ペイス、ロジャー・グローバー)の布陣でDEEP PURPLEを再結成させたのが1984年。以後、この布陣で2枚のスタジオアルバム(『PERFECT STRANGERS』『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』)とライブアルバム『NOBODY'S PERFECT』を発表するのですが、『IN ROCK』や『MACHINE HEAD』を再び求めたリスナーの希望を打ち砕くかのように、後期RAINBOW路線の楽曲を軸にした(それでいてパープルらしいスリリングさもある)作品が提示され、一部ファンを落胆させたのでした。

そして1989年にイアン・ギラン脱退。新たにボーカリストに迎えられたのが、後期RAINBOWのフロントマンであるジョー・リン・ターナーだったという。なんじゃそりゃ。リッチー、ジョー、ロジャーってすでにバンドの3/5がRAINBOWじゃん。そりゃパープルファンは怒りますよね。

そうして1990年にリリースされたのが、この『SLAVES AND MASTERS』というアルバム。楽曲自体は『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』の流れにある作風なのですが、そこにジョーのボーカル&彼が作るメロディが乗ると……あら不思議。よりRAINBOWなわけです。「80年代のパープルっぽい」ととるか、「RAINBOWのラストアルバム『BENT OUT OF SHAPE』の続き」ととるかで、このアルバムの評価は変わってくるんじゃないでしょうか。

パープルは好きだけど『BURN』を制作した第3期編成が一番好み、かつパープルよりRAINBOWが好きという僕からしたら、歌メロがしっくりこなかった『PERFECT STRANGERS』や『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』よりもこの『SLAVES AND MASTERS』のほうが好み。「The Cut Runs Deep」も「Fire In The Basement」も「Wicked Ways」も最高の楽曲なわけです。リッチーのギターも自分が目立つことよりも楽曲に合わせたプレイをしているし、続くギラン復帰作『THE BATTLE RAGES ON…』での演奏を思えば、彼が最後に“ロック”した最後のパープル作品ということになるのかな。それも結果論でしかないんだけどね。

ちなみに、僕が初めて観たパープルの来日公演は、このアルバムを提げて行われた1991年の武道館公演でした。『SLAVES AND MASTERS』の楽曲はもちろん、1曲目がいきなり「Burn」から始まるというギラン時代だったら絶対にありえない選曲に驚き、さらに「Black Night」にRAINBOW「Long Live Rock'n'Roll」をくっつけたり、やりたい放題。第2期至上主義者はこのライブを観てどう思ったんだろう……。

おまけに。『THE BATTLE RAGES ON…』ツアーでの来日目前にリッチーが脱退し、急遽ジョー・サトリアーニがサポートで入ると知って慌ててチケット取って行ったのが、最後に観たパープル単独公演です。その後、サマソニで来日した際にもちらっと観てますけど、そろそろ今の編成も観てみたいな、観ておかなきゃなと思っているところです。



▼DEEP PURPLE『SLAVES AND MASTERS』
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投稿: 2016 12 19 12:00 午後 [1990年の作品, Deep Purple] | 固定リンク

2015/10/04

MEGADETH『RUST IN PEACE』(1990)

思いつきで急遽始めたこの「MEGADETH全アルバム私的レビュー」。前回まではは80年代の3作品(1st〜3rd)でしたが、2回目となる今回はマーティ・フリードマン&ニック・メンザ加入後の黄金期3作品(4th〜6th)についてです。で、全アルバムを聴き返してるうちに「これは触れておいたほうがいいな?」と思う企画盤についても、その都度触れていこうかと思いまして。なので当初の予定では14枚だったものが、15、6枚になる予定です。今回のタイミングで言えば、6thの後にリリースされた『HIDDEN TREATURES』がこれに当たるかと……といことで、今回もかなり偏ったレビューになると思いますので、まあこういう意見もあるよ程度に受け取っていただけるとありがたいです。

というわけで、1990年秋に発表された4thアルバムについて。アルバムタイトルが3作続いた『◯◯... ◯◯◯』スタイルから、一気にシンプルに(その名残か、アルバムには「Rust in Peace... Polaris」という収録曲も)。マーティ・フリードマン&ニック・メンザという黄金期メンバーがここで揃い、アルバムもインテレクチュアルスラッシュから一歩抜け出した感が強いものに。

オープニングから「Holy Wars... The Punishment Due」「Hangar 18」という後世に伝えたい名曲が続き、後半にはメロディアスな疾走メタル「Lucretia」「Tornado of Souls」が構えるなど、その後のMEGADETHのスタイルがここでひとつ確立した印象。マーティという異彩を放つギタリストの加入は、こんなにも大きくバンドのその後を左右したんだなと、その後の歴史を踏まえつつ改めて実感。最近キコ・ルーレイロを加入させたのも、結局そういうことなんだろうな、と。

ここまで名曲揃いと書いてきたものの、実は個人的にはアルバムとして今ひとつの印象を持っている。アルバムを通して聴いたときに2ndや3rdほどの凄みを感じないというか。これも個人的主観なのだが……。



▼MEGADETH『RUST IN PEACE』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD

投稿: 2015 10 04 12:00 午前 [1990年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/02/05

EXTREME『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』Deluxe Edition(1990 / 2015)

言わずと知れたEXTREMEの出世作である2ndアルバム『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』(1990年発売)が、リリースから25年を経てデラックスエディション化……と書けばカッコがつくかもしれませんが、要はユニバーサル系にありがちな「シングルのB面や別バージョン、未発表テイクなどを加えて水増しした2枚組」です。昨年はBON JOVIの4thアルバム『NEW JERSEY』(1988年)がこのスタイルで再発(かつ、DVDも付いたスーパーデラックスエデョンも用意)されましたが、まさかExtremeまでこの企画で再発されるとは思ってもみませんでした。

先日、たまたまCDショップのHR/HMコーナーをうろうろしてたら偶然こいつを見つけて、そのまま手にして即レジ行き。このアルバム自体はリリース当時に輸入盤で買って持っているのにも関わらず……完全にDISC 2目当てですけどね。

今回のデラックスエディション化で気になっていたのは、下記の2点。

1. オリジナルアルバム(DISC 1)はリマスタリングされているか。
2. 「More Than Words」のMV音源は収録されているか。
3. シングルのカップリング曲は網羅されているか。レアトラックは収録されているか。

「1」に関しては、まあせっかく2枚目を買うんだから、ちょっとでも音がよくなっていてほしいなと。「2」については……過去に8cmシングル(短冊形のシングル)として国内盤がリリースされた際にはこの音源が収録されておらず、別のショートバージョンだった記憶があるんです。当時このシングルを購入したんですが、確か違ってたと思うんですよね。輸入盤のシングルも購入したけど、そこにも収録されてなかったし。

こちらの音源ですね。1コーラスから2コーラスに入る直前の「Fu〜」というハーモニー、エンディングのハーモニーがオリジナルバージョンにないものなんですよね。これが個人的に気に入ってまして。ま、原曲が一番という大前提があって、この風変わりなショートバージョンが気に入ってるだけなんですが。

というわけで、実際に購入して聴いてみました。

1. オリジナルアルバム(DISC 1)はリマスタリングされているか。

実は25年前に買ったCDを探しているのですが、部屋の隅に積み重ねられた段ボールのどこかに入っているらしく、見つけられませんでした。なので、スピーカーを通して聴いてみた印象で書きます(大丈夫か、それ?)。

DISC 1、DISC 2を通して聴くと、明らかにDISC 2の方が音圧があり、全体的な音量もDISC 1より大きいです。かといって、DISC 1の音圧も1990年という時代性を考慮して考えてみても、若干高めのような気が。しかしパッケージやブックレットにはリマスタリングの文字は見つけられず。ところがオフィシャルサイトのテキストを読む限りでは、DISC 1もリミックスされていると受け取ったほうがいいようです。

2. 「More Than Words」のMV音源は収録されているか。

結論から言うと、入ってました。MVのバージョンはDISC 2のM6「More Than Words (Accapella)」ということになります。聴く前はサブタイトルにある「アカペラ」にダマされて、「ああ、やっぱり入ってないか……」と凹んだものの、いざ聴いてみたら「……これこれ!」と。やっとめぐり会えました。

で、このCD。ちょっとした「More Than Words地獄」仕様なんですよ(笑)。「More Than Words」だけで4バージョン、DISC 1のオリジナルバージョンを含めれば計5バージョンの「More Than Words」を聴けるわけですから。詳しく解説していくと、

(1)「More Than Words」(DISC 1 M5):5分半あるオリジナル版。パーカッションなし。
(2)「More Than Words (Edit)」(DISC 2 M3):2コーラス後のエンディングを2分近く短縮&パーカッション追加。
(3)「More Than Words (Remix)」(DISC 2 M1):(2)のリミックスバージョン。ボーカルがリバーブ深めな印象。
(4)「More Than Words (Accapella)」(DISC 2 M6):先のMVバージョン。一部ハーモニーを追加。パーカッションなし。
(5)「More Than Words (Accapella with Congas)」(DISC 2 M6):(4)からギターを取り除き、パーカッションを追加したもの。サビでのハモリの声数が(4)よりも多い。

正直(2)と(3)の違いがあまりわかりませんでしたが、(5)までくるとなかなか笑えるものがあります。「ギターなしかよ!」と。

にしても、(1)とそれ以外のバージョンを続けて聴くと、やっぱりDISC 1はリマスタリングされてないんじゃないか……という気がしてくるんですが……もうこの際、どうでもいいか。

3. シングルのカップリング曲は網羅されているか。レアトラックは収録されているか。

『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』収録楽曲に関しては網羅されています。というのも、同作からのシングルには1stアルバム『EXTREME』(1989年)収録曲のリミックスバージョンが収められておりまして(「Get The Funk Out」輸入盤シングル収録の「Mutha (Don't Wanna Go To School Today)」リミックス)、こちらは今回のデラックスエディションでは対象外となったようです。

さらに、これは公式シングルではないのかもしれませんが、名バラード「Song For Love」がイギリス限定でシングル化されており、こちらにはブライアン・メイをフィーチャーしたQUEEN「Love of My Life」のカバーが収められていますが、こちらも対象外。なんだか中途半端なデラックスエディションになってしまた気がします。

また、DISC 2の収録曲10曲すべてがすでに世に出ている音源であり、残念ながら初出しのレアトラックは含まれておりません。そうは言いましても『EXTREME II: PORNOGRAFFITTI』というアルバム自体は名盤中の名盤。シングルのカップリング曲が網羅されてないからといって、アルバムの価値が下がるとは思えません。実際、このアルバムをまだ聴いたことがないという人は、おまけが付いた今回のデラックスエディションを手にするのもいいかもしれませんね。「More Than Words地獄」でぜひ笑ってください。



うん、やっぱり今聴いてカッコいい。「Decadence Dance」のリフ、ちゃんと弾けるようになりたかったなあ。

EXTREMEが最後にオリジナルアルバムを出したのは2008年の『SAUDADES DE ROCK』が最後。2010年には初のライブアルバム『TAKE U ALIVE』もリリースしているものの、しばらく新曲はご無沙汰です。再結成後は頻繁に来日してくれる印象がありますが(ゲイリー・シェローンはHURTSMILEでも来日してるから余計にそう感じるのかも)、そろそろニューアルバムにも期待したいものですね。



▼Extreme「Extreme II : Pornograffitti」(Deluxe Edition)
(amazon:輸入盤 / MP3

投稿: 2015 02 05 04:14 午前 [1990年の作品, 2015年の作品, Extreme] | 固定リンク

2005/09/17

寝る前にこれ聴け!(5)

 さ、久し振りにやってみましょうか、「こんなもん聴いて寝れるか!」とお叱りの声が来たり来なかったりする、このコーナー。フェスも終わり、ちょっと落ち着いて来た今日この頃。イベント前も何のその、しっかり更新しますよー。

 さて。そんな今夜のテーマは『ジャーマンメタル』。 しかも'80年代後半〜'90年代初頭の、ジャーマンメタルが最もジャーマンメタルらしかった時代のアルバムばかりを3枚。ま、基本的にはこの辺りを中心にどんどん派生していったといった感じでしょうか。実は俺自身も久し振りに聴くアルバムばかりで、多少ノスタルジーに浸ってますが、そんなことはお構いなし、男汁150%でお送りします。


・BLIND GUARDIAN「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」('90)
 あれ、何でこのCDが我が家にあるんだろう‥‥確かにブラガはこのアルバムだけリリース当時(浪人生時代)買ったけど、田舎に引っ込む時に売り払った記憶が‥‥あ、会社辞めた先輩から借りっ放しだ。ま、いいか‥‥
 んで今、久し振りに聴いてるんですが、今じゃもっと洗練されてるんだろうけど、この当時はモッサリ感が強くて、尚かつ「そうそう、ドイツっぽいよね!」っていう‥‥ある種ACCEPT辺りにも通ずる男臭さも備わってるのな。いや、いいんじゃないの。


▼BLIND GUARDIAN「TALES FROM THE TWILIGHT WORLD」(amazon


・GAMMA RAY「INSANITY AND GENIUS」('93)
 これも多分、先輩から借りっ放しの1枚‥‥借りパクってこういう事を言うんですか?(汗)まぁいいや。こうやって話のネタになればこのCDも浮ばれるだろうよ(死んでないって)。
 GAMMA RAYで一番好きなアルバムかも。ていうか、このアルバム以降は聴いてないんですが(えー)。1stよりも2nd派だった数少ない人間だった俺ですが、この3rdでの振り切れっぷりに当時ハマったものです。カイ・ハンセンはHELLOWEENの初来日以来観てなかったんですが、このアルバムの時は来日公演行った。そんくらい気に入ってました。


▼GAMMA RAY「INSANITY AND GENIUS」(amazon


・HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.1&2」('87/'88)
 ゴメン、反則だけどこの日本限定の2枚組完全版を選ばせて。思い入れだと「〜1」だけど(初来日公演観てるだけに)、"Eagle Fly Free" とか "I Want Out" が入ってるから「〜2」も外せないのよ。
 HELLOWEENはマイケル・キスク時代ってこの2枚しかちゃんと聴いてないんだけど(カイ・ハンセンのボーカル時代はちゃんと聴いてるし、アンディ・デリス加入後は2枚くらい聴いた)やはり特別ですわな。あのアホっぽいPVといい、このガキっぽい名前といい(「Halloween」と「Hell」を引っ掛けてる、3歳児級の駄洒落だしな)、ANIMETALも真っ青なメロといい‥‥だから良いんだよ、うん。


▼HELLOWEEN「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.1&2」(amazon

投稿: 2005 09 17 01:25 午前 [1987年の作品, 1988年の作品, 1990年の作品, 1993年の作品, Blind Guardian, Gamma Ray, Helloween] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/07/08

寝る前にこれ聴け!(1)

 新コーナー。昔懐かしい(といっても、'80年代半ば〜'90年代前半を中心とした)HM/HRのアルバムを毎回3枚取り上げるというコーナー。単純に、俺が寝る前にこの3枚をCD棚から引っ張り出して聴くだけ、という話。何の役にも立たないかと思いますが‥‥

まず1枚目。


・SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」('91)
 久し振りに引っ張り出して聴いてみたら、スゲーかっこ良かった。全米初登場1位とか、当時GUNS N'ROSESやMETALLICAといったバンドのオープニングアクトをやってたとか、前座にFAITH NO MOREやSOUNDGARDEN、PANTERA等を使ってたとか、そういった情報はどうでもよく、とにかくひたすらカッコいい。そして泣ける曲多し。


▼SKID ROW「SLAVE TO THE GRIND」(amazon


・WINGER「IN THE HEART OF THE YOUNG」('90)
 RATTのプロデューサー(ボー・ヒル)が手掛けてることから、RATTフォロワー的に思われてたデビュー当時。何となくサウンドと声がそれっぽかったからね。けど、メンバーは全員スタジオミュージシャンなり誰かのバックなりで鍛え上げられた名手ばかり。テクニカルHRの極み。
 けどこのアルバムではDEF LEPPARD的な楽曲指向を強めてるんだよね。曲によっては打ち込みベースを使ってたり、あるいはプログレ並みのテクニカル路線だったり。バランス的に一番好き。中途半端っていう人もいるみたいだけどね。


▼WINGER「IN THE HEART OF THE YOUNG」(amazon


・SADS「THE ROSE GOD GAVE ME」('01)
 唯一色の違う、しかも邦楽、そして2001年の作品。けどこれがメチャメチャ良い。
 ほぼ全編英語(日本語曲は数曲のみ)、MOTLEY CRUEやMARILYN MANSONなんかを彷彿させるヘヴィロック路線。SADSは「BABYLON」までしか聴いてなくて、その後の清春ソロは聴いてたんだけど、良いねこのアルバム。普通にハードロック/ヘヴィロックじゃんか。ギターとドラムが現在THE DUST'N'BONEZにいるせいか、空気感が似てるよね。ま、プレイとかはまんまだけど。
 ボーカルのせいで好き嫌いハッキリするだろうけど、意外と洋楽HRファンにもアピールするんじゃねーの? 俺は肯定派。


▼SADS「THE ROSE GOD GAVE ME」(amazon

投稿: 2005 07 08 01:30 午前 [1990年の作品, 1991年の作品, 2001年の作品, Sads, Skid Row, Winger] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/05

とみぃ洋楽100番勝負(79)

●第79回:「She's So Fine」 THUNDER ('90)

 '90年頃から、ちょっとずつではありますが、イギリスでも少しずつ新人ハードロックバンドがメジャーシーンに登場してきてたんですよね、まぁ「BURRN!」以外では殆ど話題にならなかったけど。QUIREBOYS、LITTLE ANGELS、WOLFSBANE、THE ALMIGHTY、SKIN、そしてこのTHUNDER。これらの中では俺的にQUIREBOYSが一番盛り上がってたのかな、当時唯一ライヴを観たことあったバンドだからね(BON JOVIのドーム・カウントダウン公演にも出てたっけね)。だってさ、他のバンドの音源は聴いたことなかったから、比較のしようがなかったんだよね。

 THUNDERがイギリスで凄いことになってる、って知ったのは確か'90年の夏だったかな。その頃、毎年夏にロンドン・ドニントンパークで行われていた「MONSTERS OF ROCK」というHM/HR系アーティストによるフェスがあったのね。'90年っていうと誰が出たんだっけ、WHITESNAKEとかAEROSMITHが出た時か‥‥この時のTHUNDERのパフォーマンスがとにかく凄かった、というのを雑誌で読んで。気にはなってたんだけど、何故かCDに手が伸びなくて。結局、その「ライヴの凄さ」を実際に体感するまでは、なかなか信じられなかったのかもしれないね。

 ところが'91年12月31日。前年の同日にQUIREBOYSを観たのと同じ場所で、このTHUNDERを初体験することになるんですよ。

 あの時のショックといったら‥‥METALLICAやTESLA、EUROPEといったバンドを観に行ったはずなのに、オープニングアクトであるTHUNDERにド頭からやられるなんて‥‥だってさ、俺が高校の頃から慣れ親しんできたブリティッシュ・ハードロックを現代の音で再現してくれてるんだもん。そりゃ気に入らないわけがない。つーか何で今まで避けて来たのよ、と恥じたね自分を。

 ライヴが終わってその足で友人と物販売り場まで走り、彼等の1st「BACKSTREET SYMPHONY」の2枚組エディション(既に廃盤。ジャケットはその頃USで再発された時のジャケ写を使用。ディスク2には10曲のライヴ音源入り。今でも中古盤屋でよく見かけるので是非!)を購入して。

 家に帰ってから、あのFACES(ロッド・スチュアートや現ROLLING STONESのロン・ウッドが在籍したロックンロールバンド)の "Stay With Me" みたいな展開をする曲がどれなのかと探すことになるんだけど、いきなり1曲目に入ってるのね、"She's So Fine"。

 これが俺にとってのTHUNDERとの出会い。そして現在に至るわけ。

 あ、そうか。このアルバムって(当時)元DURAN DURANのアンディ・テイラーがプロデュースだってことで凄く驚いたのと同時に、非常に運命を感じたりもしたんだった。これは忘れちゃいけない要素だよね。



▼THUNDER「BACKSTREET SYMPHONY」(amazon

投稿: 2004 11 05 12:00 午前 [1990年の作品, Thunder, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/25

とみぃ洋楽100番勝負(68)

●第68回:「Keep It In The Family」 ANTHRAX ('90)

 所謂「スラッシュメタル四天王」と呼ばれるバンドがありまして。'80年代初頭に登場した、スラッシュメタルの歴史を作ったバンド4組を指してそう呼ぶわけですが。METALLICA、MEGADETH(このバンドだけ他の3組と比べると後続なんですが、まぁMETALLICAの初期メンバーが作ったバンドだしね)、SLAYER、そしてANTHRAX。ANTHRAXのみ西海岸(ニューヨーク)のバンドで、残りは全部西海岸。「ベイエリア・クランチ」なんていう呼び名があるくらい、スラッシュというとロスやサンフランシスコといったイメージが強いんですよね。

 だからというわけじゃないけど、やはりANTHRAXのみちょっと特異なバンドでして。メタルメタルしてないというか、他の3バンドと比べるとハードコア・パンクの影響が強いんですよね。勿論4組とも「〜メタル」って付いてるくらいだからヘヴィメタルバンドなのには違いないんだけど、やっぱり独特な「色」ってものが4者4様にあって。

 ANTHRAXに関しては特に、サイドプロジェクトでドンズバのハードコアをプレイするS.O.D.ってのもあったし、更には "I'm The Man" っていうラップソングもあり(これを'87年初頭の時点でやってたんだからね!)も誰よりも早く「ロックバンド/メタルバンドとして」やってたし。そういった意味でも、やっぱり他と一線を画する存在だったんだよね。ま、だからこそ好きなんだけど。

 一番好きなアルバムは‥‥って質問されたら、多分殆どの人は2nd「SPREADING THE DISEASE」か3rd「AMONG THE LIVING」って答えるんだろうけど‥‥俺は敢えて5th「PERSISTENCE OF TIME」って答えたい。この「脱・スラッシュ」を図ろうとして「速さ」から「重さ」に傾いた作風に、その後のメタルシーン及びロックシーンの流れを先読みしてたよなぁと今更ながらに感じるわけで。

 ご存知の通り、このアルバムリリース前後にALICE IN CHAINSがデビューしたり、翌年にはNIRVANAやPEARL JAMといったバンドがメジャーシーンに登場したり、METALLICAがブラックアルバムをリリーすしたり‥‥そう、全てはそういう流れへと進んでいく運命だったのです。

 そしてANTHRAXは更にヘヴィなシンガーを迎えて、そういった傾向に一喝入れつつ決別の意を込めたかのような「SOUND OF WHITE NOISE」を後にリリースするんですね(そしてそれが初の全米トップ10入りを果たす、と)。

 正直、「PERSISTENCE OF TIME」アルバムからだったらどの曲でもいいんですが、やはり重さに比重を置くと、この曲かな、と。最近初期の曲をジョン・ブッシュが歌って再録音したアルバムが出ましたが、そこでもやはりこの曲は異色を放ってますしね。



▼ANTHRAX「PERSISTENCE OF TIME」(amazon

投稿: 2004 10 25 12:00 午前 [1990年の作品, Anthrax, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/24

とみぃ洋楽100番勝負(67)

●第67回:「Painkiller」 JUDAS PRIEST ('90)

 多分この年リリースされたアルバムの中で、最もショックを受けた1枚であり、最もショックを受けた1曲だと思います。1990年に聴いた楽曲(新旧問わず)だと、前のZEPの曲と1、2を争う勢いなんですが‥‥それくらいショックでかかったなぁ‥‥

 俺、前にも書いたように、中学〜高校の頃ってそんなにコテコテのヘヴィメタルバンド‥‥所謂「メタルの教科書」みたいなものが存在したとしたら、その1ページ目に出てきそうなIRON MAIDENやJUDAS PRIESTといったバンドをちゃんと通過してこなかったんですよね。いや、リリースされたものは聴いてたんですが。だからPRIESTも「DEFENDERS OF THE FAITH」も「TURBO」も「RAM IT DOWN」もちゃんと聴いてきてるんですよ、リリース当時に。けど、まぁカッコいいけど‥‥止まり。自分が好きなMETALLICAやSLAYERといったバンド達に大いなる影響を与えてきたにも関わらず、ね。

 ところが。この突然変異的アルバム「PAINKILLER」からの1曲目、"Painkiller" を初めて伊藤政則の深夜ラジオで聴いた瞬間‥‥鳥肌と冷や汗が同時に襲ってきたんですよ。なんじゃこりゃ、と。スラッシュじゃねぇか、スラッシュメタルじゃ! イントロでのドラムソロでまずやられて、続いて入るギターのアーミング、そしてヘヴィなリフと正しく金属音的なロブ・ハルフォードの歌声‥‥す、すげぇ。これが『Metal God』の異名を持つ重鎮バンドの底力か、と。本気で感動したんですよ。

 これを切っ掛けに、全アルバム買い漁ったし、来日が決まれば浪人中にも関わらず始発で青山チケットエージェンシーまで整理券貰いに行って青山墓地周辺に並ばされたり(当時は来日公演の告知が新聞発表された日の朝に整理券を発行して、その順番で優先的にチケットが買えたんですよ、若い子達は知らないだろうけど。今じゃネットとかあるから全然意味ないけどさ)。

 代々木体育館で観た'91年4月のライヴ、忘れられねーなぁ‥‥後にも先にも、あれが俺が観た唯一のJUDAS PRIESTだったし。その後、ロブが脱退してボーカルが変わって2度来日してるけど、当然俺は行ってないし。

 ところが。去年だったか今年だったか、彼等はこの「PAINKILLER」リリース時のメンバーに戻って、この夏から復活ライヴを行ってるんですよ。2005年1月にはこの編成による新作もリリースされるっていうし、春頃には来日の噂もあるし‥‥ええ、行きますよ。もう一度、この目に焼き付けてきますから。



▼JUDAS PRIEST「PAINKILLER」(amazon

投稿: 2004 10 24 12:00 午前 [1990年の作品, Judas Priest, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/21

とみぃ洋楽100番勝負(64)

●第64回:「Move Mountains」 JESUS JONES ('90)

 で、JESUS JONES。STONE ROSES好きな奴らからは完全にバカにされ続けている、時代の徒花的存在。時代がよりダンサブルなものへと移行していく中、それがROSESみたいに肉感的な方向へ行くのか、あるいはハウスやテクノのような機械的な方向へと進むのか、手段としては二者択一的な中、JESUS JONESはその両方を掴もうとしたわけですよ、効率よく。しかもそれを下世話なくらいに判りやすく。だから嫌われたんだけど。

 テクノポップとも違う、けどギターロックとも言えない微妙さ。まだ1st「LIQUIDIZER」の時点ではロック色が強いバンドだったんだけど、逆にそれが俺にとっては良かったのかな。適度に甘いルックスを持ったシンガーがいて、濃いキャラのメンバーが数人いて。佇まい的にはロックバンドというよりはアイドル的な方向性が強かったんだけど、まぁ元々そういうバンドがずっと好きだったしね。

 MTVで観た "Move Mountains" の微妙なPVが忘れられなくて、たまらずCD買ったんだよな‥‥んでハマッて。「こ、これはっ! 新しいっ!!」とか大絶賛して。後にこんなに後を引きずることになろうとはね‥‥いや、いろんな意味で。

 彼等が本格的に化けたのは、続く2nd「DOUBT」からといっていいでしょう。よりデジタルな方向へと進んでいって、EMFと共に唯一アメリカで大成功を収めた当時のUKダンスロック系バンドだったわけですしね。STONE ROSESも、PRIMAL SCREAMも、HAPPY MANDAYSも大苦戦してる中での出来事ですよ。むしろ「イギリス臭」が弱かったから成功できたんでしょうけどね。

 '90年代後半、よくクラブに行くようになって‥‥まず最初にこのJESUS JONESの名前を挙げるとバカにされるのな。音楽雑誌的にも、そして洋楽史的にもSTONE ROSESこそが正しい歴史になっていて、その対極にいるようなJESUS JONESは糞だと、あんなのイイって言ってる奴らに『マッドチェスター」とか「レイヴシーン」の本質なんて判るはずない、と。そう頭ごなしに否定されましたからね、数年間。

 けどさ‥‥それもこれも、JESUS JONESが復活してくれたお陰で‥‥そして2004年という時代に来日してくれたお陰で‥‥少しは解消された。かな?(かなり弱気)



▼JESUS JONES「LIQUIDIZER」 (amazon

投稿: 2004 10 21 12:00 午前 [1990年の作品, Jesus Jones, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/20

とみぃ洋楽100番勝負(63)

●第63回:「Like A Daydream」 RIDE ('90)

 '90年前後、俺の周りは皆STONE ROSESにハマッてたんですね。恐らく雑誌の影響ってのが強かったと思うんですが(当時の「rockin'on」や「CROSS BEAT」ではこぞって取り上げてましたからね)、その頃読んでた雑誌は「BURRN!」でしたからね、俺‥‥PRETTY MAIDSの復活作が凄いらしい!とか、QUEENSRYCHEがもの凄いコンセプトアルバムを作った!とか唸ってた時代ですからね。

 それでもUKロック自体は嫌いじゃなかった‥‥いや、むしろ「ブリティッシュ・ロック」と呼ばれるような世界観を持つバンドの方が個人的には好みだったんですけどね。でもまぁ'80年代末以降のイギリスの(ハード)ロック・シーンは死んでましたしね。期待はしてませんでしたけど。

 だからというわけじゃないですが‥‥ハードロックとは違う、珍しいバンドを好むようになってたんですね。まぁ珍しいというか‥‥俺なりに「カッコいい」と思えるバンド。そのひとつが当時のRIDE。これはまぁ高校時代の友人、俺にいろいろ教えてくれたAくんが「四の五の言わずに、とにかく聴け!」といってわざわざテープを下宿先にまで送ってくれたわけですが。その中に入ってたのが、所謂「赤RIDE」と「黄RIDE」と呼ばれる初期のEP2枚。

 特に「黄RIDE」‥‥この "Like A Daydream" に一発でヤラれちゃったんですわ。メロウだけどギターはうるさいし、ボーカルも冷たい感じなんだけど妙に心地よいし。うわーこれライヴ観てみたいなぁって瞬時に思いましたね。とにかくこのEP2枚の8曲はテープが擦り切れる程聴いたかも。後に1枚にまとめられて「SMILE」というアルバムとしてリリースされることになるんですが(当然CDで買い直しましたが)、その前に‥‥1stフルアルバム「NOWHERE」があるのか‥‥そこでまたガツンとやられて。当然初来日公演には行きましたよ。つーか、来日の度に行ってたなぁ‥‥

 初めてイギリスに行った時、たまたま目にしたテレビ番組「TOP OF THE POPS」に、ホント偶然に出演してたRIDE。丁度新曲 "Leave Them All Behind" をリリースした頃で、それを演奏(口パク&当て振り)して‥‥また鳥肌立ててね。'90年代はマニックスが登場するまで、俺にとってのイギリスはRIDEと‥‥そしてJESUS JONESさえいればいいや‥‥そういう時期でしたね。笑っちゃうくらいに。



▼RIDE「SMILE」 (amazon

投稿: 2004 10 20 12:00 午前 [1990年の作品, Ride, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/19

とみぃ洋楽100番勝負(62)

●第62回:「We Die Young」 ALICE IN CHAINS ('90)

 ALICE IN CHAINSも衝撃だったなぁ‥‥って衝撃ばかりですね、俺にとっての'90年って。いや、でも本当にそうなんですよ‥‥この年って俺にとっては暗黒の1年でして。所謂「浪人生活」を送った1年で、本当に音楽にしか頼れなかった1年なんスよね。音楽にすがってたと言っても過言じゃないくらいに‥‥

 浪人中も予備校で仲良くなった奴らはみんな音楽好きだったし、当時付き合うことになった子も音楽繋がりで浪人生だったっつーね。ま、それは余計な話なんで割愛しますが。

 高校時代以上にまたいろんなジャンルを聴く奴らと仲良くなるわけですよ。で、また世界って広いんだなと再認識して。所謂オルタナ系に片足突っ込んだのもこの頃だし、メタルにしてもジャーマン系(BLIND GARDIANとかRAGEといった連中)に手を伸ばしたのもこの頃。全部周りの影響な。あ、ノイズとか訳判らないジャンルもこの頃か。ジョン・ゾーンみたいなのも聴かされたなぁ‥‥

 んで、ALICE IN CHAINSも友人からのオススメで。「SOUNDGARDENとかJANE'S ADDICTIONが好きなの? じゃあ絶対にオススメだから!」ってCD屋(多分新宿シスコ)で握らされたのが、このアリチェンの「FACELIFT」っていうアルバム。秋頃かなぁ‥‥俺が十二指腸潰瘍で倒れる前だから。一番混沌としてた時期。そんな時期にこのアルバム聴かされちゃあねぇ‥‥ハマるわな、そりゃ。

 1曲目にいきなりこの "We Die Young" が入ってるわけですよ。今のMETALLICAにも通ずるヘヴィなリフからスタートして(ってMETALLICAが彼等に影響を受けたわけですが)、いきなり爬虫類系の声で「Scary on the wall〜」って歌い出すわけですよ。でサビが「Faster we run, and we die young」ですからね。しかも二声ボーカルで。曲によっては不協和音っぽい二声で歌ってて、気持ちいいんだか悪いんだか。ま、気味悪さは天下一品でしたね。

 ヘヴィで独特な世界観があって曲が良くてメロディアスで。その後のグランジとかはギターソロ排除の方向に進んでいったけど、アリチェンってしっかりとしたソロがちゃんと入ってるんだよね。元々LAメタル系のバンドをやってただけあって、その辺の癖は抜けてないというか。ま、だからこそハマったのかもしれないけど。

 '93年に観た、唯一の初来日公演には東京2日間とも足を運びました。こういう見せ方もあるんだな、とホントに驚かされる2日間でした。けど‥‥やはり長続きしないバンドでしたね‥‥そして‥‥悲しいくらいに悲惨なエンディングを迎えて。そんなシナリオ、いらなかったのに‥‥そういう悲壮感とか不幸さは全部、音楽の世界だけにしとけばよかったのにね。



▼ALICE IN CHAINS「FACELIFT」 (amazon

投稿: 2004 10 19 12:00 午前 [1990年の作品, Alice in Chains, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/18

とみぃ洋楽100番勝負(61)

●第61回:「Stop」 JANE'S ADDICTION ('90)

 JANE'S ADDICTIONは自分にとって衝撃以外の何ものでもなかったですね。「NOTHING'S SHOCKING」というアルバムはそれ以前に聴いていたんですが、当時の俺には難し過ぎたんですよ‥‥何だろ、LED ZEPPELINをもっと宗教っぽくしたようなイメージが強くて、音が。けどこの曲を収録した「RITUAL DE LO HABITUAL」ってアルバムは、非常に判りやすい曲と、前作で繰り広げた壮大なサイケデリック・ワールドを上手くミクスチャーした、正しく『ミクスチャー・ロック』のお手本のひとつとなったわけです。まだグランジなんて言葉もなかったし、オルタナティヴなんて呼び名ももうちょっと後じゃなかったかなぁ‥‥

 ギターがしっかりハードロックしてて、それでいてうねっていて。ボーカルがメタルっぽくなく、ホントに動物っぽい‥‥それこそ爬虫類っぽい。リズムもZEPやレッチリみたいにファンキーでもヘヴィーでもない。適度なスカスカ感があって、それでいてタイトで。こんなバンド、それまでに聴いたことなかったもんだから‥‥それこそ衝撃だったんですよ。普段SLAYERとかNAPALM DEATHとかそういったバンドばかり聴いてた自分にとって。

 多分‥‥彼等との出会いがなかったらその後、SONIC YOUTHにも手を出すこともなかったろうし、それこそNIRVANAとの出会いもなかったかも。それくらい大きいかな、俺にとってのJANE'Sは。だって、彼等に影響を受けたオリジナル・バンドを組んだ程ですからね‥‥楽器隊はAEROSMITHとかGUNS N'ROSES、あるいはWHITESNAKEとかLED ZEPPELINみたいなバンドからの影響を強く受けていて、シンガーの俺はJANE'S ADDICTIONやALICE IN CHAINS、SOUNDGARDENみたいなバンドから強く影響を受けた、そんなバンド。メンバー全員の共通項が何故か日本のDEAD ENDという、そんな不思議なバンド。ま、短命でしたけどね。でも俺の人生にとって、生涯でただひとつの「命賭けた」バンドだったんだよね‥‥

 JANE'Sを語る時、どうしてもその話題を持ち出さずにはいられないんだよね‥‥それくらい、自分にとってこのアルバム、そしてこの曲ってのは重要であって、そしてある意味全てを「リセット」させてくれた1曲だからさ。



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投稿: 2004 10 18 12:00 午前 [1990年の作品, Jane's Addiction, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/06/25

PRIMUS『SUCK ON THIS』(1990)

最近全然ウワサ聞かないなー、解散しちゃったのかなー、とか思ってたら本当にここ数年活動休止中だったPRIMUS。昨年後半に新曲5曲入りCD+全PVと2時間以上に渡る秘蔵DVDという「ANIMALS SHOULD NOT TRY TO ACT LIKE PEOPLE」という作品をリリースして復活したと思ったら、今度はフェス(FUJI ROCK FES.)で久し振りの来日を果たすというじゃありませんか! つうか最後に来たのって何時だっけ!? 初来日は'94年頃?‥‥ってことは、確実に10年経ってるんじゃん。ここ日本では熱狂的に迎えられることがまずない彼らですが、本当に凄いんですよ、アルバムといいライヴといい。いや、特にライヴは凄いから。こんなトリオバンド、間近で観たらマジで失禁するから。だってさ、ドラム+ギター+ベースのトリオでさ、全部がある意味リード楽器だからね。勿論リズム隊はボトムをしっかり支えてるんだけど、その暴れようといったらね‥‥バンドやってる人、是非聴いて欲しいよね。

そんなPRIMUS、フジロックでの来日に備えてまずどのアルバムから聴けばいいのか‥‥その大半が廃盤となってしまっている現在、7月に来日記念盤としてリリースされる「ANIMALS SHOULD NOT TRY TO ACT LIKE PEOPLE」日本盤を買うというのも手かもしれませんね。代表曲PVが全部網羅されてるわけだし、ライヴ映像も入ってるから大体の感じは掴めるし。そして新曲も入ってるから、現状までしっかり見えてくるしね。

けどね。ここで敢えて俺は彼らのファースとアルバムにしてライヴアルバムでもある'90年の名作「SUCK ON THIS」をオススメしたわけよ。この若々しくて暴走するだけの変態サウンドにこそ、彼らの原点、そして「すべて」が集約されていると思うんですよね。

後にスタジオ作「FRIZZLE FRY」や「SAILING THE SEAS OF CHEESE」に再収録されることとなる楽曲が大半を占める(9曲中6曲が後にスタジオテイクで再録音されている)、ある意味では初期PRIMUSのベスト盤とも呼べなくもない1枚。録音~リリースされた'90年というのは、前年にリリースされた2枚のアルバムによって「クロスオーバー」と呼ばれるジャンルが盛り上がりつつあった時期。その2枚とはRED HOT CHILI PEPPERSの「MOTHER'S MILK」と、FAITH NO MOREの「THE REAL THING」。FAITH NO MOREは'90年にシングル "Epic" が全米チャートのトップ10入りし知名度を上げ、レッチリは続く'91年の「BLOOD SUGAR SEX MAGIK」で世界的大ブレイクを果たすわけですが、PRIMUSに関してはデビューから現在においても「世界的大ヒット」を記録したことなんてなく、特にここ日本では「マニアの為のマニアックなバンド」といった印象が強い存在でありつづけています。'90年代末にはかの「FAMILY VALUES」ツアーにも参加してますが、それはあくまでアメリカでのお話。日本ではねぇ‥‥あー、書いてて悲しくなってきたので、もうこの辺で止めます。つうかそれくら、悲惨な状況だったわけですよ、ここ日本では。

まず、聴く機会が少な過ぎるから、ただ単に「変態バンド」というイメージが一人歩きしてしまう(ま、俺みたいなのがこういう書き方するから勘違いされるんだろうけど)。来日しても小さなハコで1~2回。マニアのみが集う集会みたいになってしまう。そういう意味では今回のフジロック出演、そんな壁をぶち壊す絶好の機会だと思いますよ。

俺がこのバンドを好きな理由は、勿論曲がカッコいいというのもあるし、演奏が独特で上手く優れたアレンジ力を持っている、という点も挙げられるんですが、とにかくそれ以上に‥‥「RUSHの後継者的存在」というイメージがあってね、俺の中で。登場する時代が時代だったら、間違いなくRUSHだってこういった路線に走ってたに違いないと思うし。それがカナダではなくてアメリカ出身だとしたら、なおさらだよね。

これからデビューするという新人バンドが、自分達の魅力を余す事なく伝えるにはやはり、やり慣れたライヴの様子をそのままパッケージすればいい。予算がなかったから、というのもあるんだろうけど、このライヴ盤はそういう意味で大成功していると思います。事実、俺もこのライヴ盤を当時のバンドメンバーにダビングしてもらって興味を持つようになったんだから(そして俺はそのお礼としてJANE'S ADDICTIONのライヴ盤にしてファーストアルバムである「JANE'S ADDICTION」をダビングしてあげたんだっけ‥‥)。後に変態度は更に増していくわけですが、そういう面も含めて一番バランスが良いのもこのライヴ盤かもしれませんね。

今年のフジロック、間違いなく俺内での3つの注目株でございます(当然ひとつはPIXIESであり、もうひとつが!!! (CHK CHK CHK)なんですけど)。勿論フジロックに行けないって人も、うちのラジオを聴いて想いを遠く苗場に地に馳せるか、このアルバムを手にしていろいろ想像してみてください‥‥ま、そんな想像する前に、きっと内容に失禁してしまうだろうけどね!



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投稿: 2004 06 25 03:44 午後 [1990年の作品, Primus] | 固定リンク

2003/10/21

JANE'S ADDICTION『RITUAL DE LO HABITUAL』(1990)

'90年代前半のアメリカ・オルタナティヴシーンを語る上でどうしても避けられないのが、移動フェス「ロラパルーザ」でしょう。今年、久し振りに復活したみたいですが、その後のフェスティバルのある種指針のひとつとなったと言ってもいいであろう「ロラパルーザ」。オーガナイザーはこのJANE'S ADDICTIONのシンガー、ペリー・ファレルでした。そしてその第一回目である'91年、ヘッドライナーを務めたJANE'S ADDICTIONはツアー終了後、解散を発表したのでした‥‥その後もペリーはオーガナイザーとして参加しましたが、数回運営した後にその座を退き、気づけばいつの間にか「ロラパルーザ」自体が衰退していったのでしが。

オルタナ見本市と呼ばれることの多かった「ロラパルーザ」。ブレイク前のRED HOT CHILI PEPPERSやNINE INCH NAILS、RAGE AGAINST THE MACHINEといったバンドを始め、SOUNDGARDENやALICE IN CHAINSといったシアトル勢も参加していましたし、後にはヒップホップ系のアーティストなんかも数多く参加していましたよね。そうやってどんどんと受け皿を大きくしていった結果、衰退していったのかもしれませんし、あるいはそういったオルタナと呼ばれる音楽自体の衰退だったのかもしれないし(ある時期を境に「オルタナティヴ」だったものが「メインストリーム」になってしまったわけですしね、'90年代は)。まぁその真相を語るのはまた別の機会にして‥‥今回はそんな「'80年代と'90年代のオルタナシーンの架け橋」となったJANE'S ADDICTIONについて紹介していきましょう。

今回紹介する「RITUAL DE LO HABITUAL」はメジャー第2弾、通算3作目にしてラストアルバムとなった'90年の作品。右のジャケットは上が日本盤やアメリカでの通常ジャケットですが、猥雑だと非難される恐れがあった為(彼等の前作「NOTHING'S SHOCKING」がそういうジャケットでしたからね)、ペリーが裏をかいてワザと作ったのが下の白ジャケットの方。バンド名とタイトル、その下には確か「表現の自由」についての条文か何かが書いてあったと記憶しています(学生の頃、この辺の検閲についてレポート書いたっけなぁ。懐かしい)。もっとも、ジャケットは違っても中身は一緒なわけですから、ファンにすれば単なるコレクターズ・アイテムのひとつに過ぎないという、ねっ。

メジャーデビュー作「NOTHING'S SHOCKING」が非常にハードロック色が強い作品だったのに対し、今作はサウンドプロダクションのせいもあるでしょうけど、もっとスカスカな印象を受けます。それは主にドラムサウンドの違いが大きいのですが、曲自体もヘヴィだった前作と比べてストレートなものが多くなり、聴きやすくなっているように感じます。実際、日本では過小評価されてきた彼等、このアルバムを当時渋谷陽一がラジオで褒めてた記憶があります。自分の周りでもようやく「JANE'S、カッコイイよね」って声が聞こえてきたのも、このアルバムリリース後ですしね。

このバンドの要はやはりペリー・ファレルの浮遊感漂わせるボーカルスタイルと、デイヴ・ナヴァロのこれでもか!?って程に弾きまくるギターでしょうね。ペリーの歌に関しては好き嫌い分かれるでしょうけど、少なくともデイヴのギターはロック好きな奴だったら誰もが一度は憧れるようなプレイなんじゃないでしょうか。リフやカッティングは気持ちいいし、ギターソロになると暴れまくる。ムーディーな曲でのボリューム・コントロール等、とにかくギター弾く人間には勉強になるポイントが沢山あるはず。何故この人が当時GUNS N'ROSESやレッチリにスカウトされたか、何となく理解できますよね?

曲が聴きやすく、尚かつポップなものが増えてるのもこのアルバムのポイント。1曲目 "Stop!" のカッコよさときたら‥‥今聴いても冒頭の「Here we go!」の所は鳥肌立つ程カッコいいし。前半はとにかくストレートな曲調が続き、そのハイライトとなるのがシングルにもなった "Been Caught Stealing" でしょう。そして後半‥‥プログレッシヴでムーディーな曲が続きます。まずいきなり10分を超える "Three Days" に息を呑み、同じく8分以上ある "Then She Did..." に聴き入り、東洋的な要素をふんだんに取り込んだ "Of Course"‥‥ここまで聴いて感じるのは、LED ZEPPELIN的だな、ということ。例えばSOUNDGARDENがサウンドやスタイルを引用したのに対し、JANE'Sの場合は音楽面でもそうだけど、それ以上に精神面での影響が強いように感じられます。特にこのアルバムなんて、ZEPの4枚目に匹敵する作品集なんじゃないでしょうかね(っていうのは、言い過ぎですかね?)。ま、確かに当時「'80年代のLED ZEPPELIN」なんて声も聞こえてきましたしね(ストレートにパクッたKINGDOM COMEなんてのも当時いましたが、それとは完全に別物ですから)。

バンドはこのアルバムのリリースから1年後に解散、その後ペリーとドラムのスティーヴン・パーキンスは新たにPORNO FOR PYROSを結成、ギターのデイヴは後にレッチリに加入して「ONE HOT MINITES」というアルバムを制作、'97年のフジロック初年度に来日してるので覚えている人もいるでしょう。そして'97年に一時的に再結成。この時はオリジナル・ベーシストのエリック・Aは参加せず、変わりにレッチリのフリーが参加しています。そして'01年に本格的な再結成を果たし、'02年にはフジロックにて初来日を果たし、今夏に約13年振りとなるオリジナルアルバム「STRAYS」をリリースしています。勿論、現在も順調にツアー中。音楽的には更にストレートになったものの、まだまだ怪しさ全開です。

とりあえず初心者の方はこのアルバムか最新作から聴いてみることをオススメします。そして順々に遡っていけばいいんじゃないかな、と。とにかく'90年代を語る上で欠かせない1枚であり、10~20代の俺に大きな影響を与えた1枚なんで、機会があったら是非聴いてみてください。



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投稿: 2003 10 21 05:08 午前 [1990年の作品, Jane's Addiction] | 固定リンク

2003/10/04

岡村靖幸『家庭教師』(1990)

  岡村靖幸が'90年秋にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム(編集盤「早熟」を除く)。これが今から13年も前のアルバムなのか!?と思える程、今聴いても全然古さを感じさせないし、むしろ2003年に聴くからこそ新鮮に聞こえる岡村サウンドは、リアルタイムを知らない10代の子達にも十分にアピールする1枚なんじゃないでしょうか。

  J-POPと呼ばれるようになった昨今の日本のポップス。特にここ最近のファンク/R&B要素を取り入れたJ-POPの殆どが健康的且つ健全なものばかり。それが決して悪いとは言わないけど、何か物足りないのも事実。逆にモーニング娘。くらい真逆の路線を進んでしまえば何も言うことはないんだけど(いや何も言えないんだけど)‥‥例えばパンクロックにおけるブルーハーツみたいな、そんな感じ? けどブルーハーツが一発当てると、その後その亜流がワンサカ現れシーンを飽和させる。みんな「リアルなパンクロック」が聴きたいのに、登場するバンドはみんな青春とか汗とか愛とか歌ったものばかり。そんなの、ブルーハーツにまかせておけばいいのに‥‥

  俺が最近のソウル系ポップスに感じてるのは正にこういうことで、だからこそ岡村ちゃんみたいな存在が今のシーンには必要だと信じてるんですよ。先日の復活ライヴ@RIJFや9月末のZepp公演が「待望の」と素直に呼べるライヴであり、そしてその例えば決して間違っていなかったことは、当日会場に足を運んだ人なら誰もがお判りでしょう。リアルタイムで彼を愛した者、後追いで彼を知った者、そして単純に物珍しさ、あるいは「いっぺん観てやるか」的見物人‥‥フェス会場にはそういったいろんな人種がいて、それら全ての人達を魅了するだけのステージを繰り広げてくれたのです。そう、物足りなさを存分に残してね。

  個人的には「禁じられた生きがい」と甲乙付けがたい位に好きなのが、このアルバム・「家庭教師」。10代の頃、本当によく聴き込んだアルバム。勿論自分の周りには岡村ちゃんの良さを判ってくれる人なんて皆無。女の子に至っては「‥‥キモチワルイ」と切り捨てられたりもしたもんだ。けどそれでも大好きで、本当にこればっかり聴いてた時期があった程だった、浪人生だった当時の俺。

  シングル曲としても有名な"どぉなっちゃってんだよ"や"カルアミルク"(この曲の影響で、一時期カルアミルクばかり飲んでたっけ。今となっては微笑ましい想い出ですが)、"あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するんだろう"といった代表曲の他、先日のRIJFでも披露された"ステップ UP↑"、セクシーなソウルナンバー"祈りの季節"や切ないバラード"ペンション"、10代の頃聴いたときはちょっと大音量では聴けなかった"家庭教師"等々、ホント捨て曲なしの名盤。いや、岡村作品には捨て作なんて1枚もないんだけどさ。

  いよいよ10日後に、本当に久し振りの単独公演を観に行く予定になってますが、既に9月のZepp公演に行った人の話によると‥‥期待し過ぎても絶対に裏切られないくらいの、本当に感動・感涙モノのライヴらしいので‥‥いやー、どんな曲を歌ってくれるんだろう。まだセットリストとか全然目にしてないんだけど‥‥ホント、今回は一切情報を得ないで、真っ新な状態のままで挑むつもりです。復活Theピーズの単独公演の時と全く同じ心境ですよ、今は。



▼岡村靖幸『家庭教師』
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投稿: 2003 10 04 12:00 午前 [1990年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2003/08/07

ZIGGY『KOOL KIZZ』(1990)

  前作「NICE & EASY」から約1年振りとなる、'90年4月リリースの通算4作目のアルバム。この1年(正確には13ヶ月)というのは、ZIGGYにとっても、そしてファンにとっても非常に濃密な時間だったことでしょう。インディーズ盤のリ・レコーディング、シングルのドラマ主題歌起用、そして大ヒット、初の武道館公演、テレビの歌番組出演、にわかファンの急増、等々‥‥そういった状況に振り回されることなく、バンドは無言のままひたすら突き進むのでした(ま、古くからのファンは、そういったにわかファンに振り回されたりもしましたが)。

  考えてみれば、この13年の間にリリースされた楽曲というのは、すべて既出のものばかりなんですよね、"GLORIA" や "I'M GETTIN' BLUE" にしろ、「それゆけ!R&R BAND」にしろ、全部初期の楽曲ですからね。そういう意味では彼等はブレイク前夜からこの「KOOL KIZZ」リリースまでの間、一切の『新曲』をリリースしてないんですよね。シングル"GLORIA" はバカ売れしたものの、その直近のアルバム「NICE & EASY」は思った程のセールスを記録できなかった。何故か。理由は簡単、そこまでのパワーがなかったから。単純な理由ですよね。いいアルバムなんだけど、最高ではない。それがサードアルバムの欠点だったわけです(でも好きなんだけどね、俺は)。

  そういった欠点を解消する為にレコーディングに集中し、後に完成したのがこのアルバムなんですが‥‥これってある意味『問題作』でもあるんですよね。

  まず、このアルバムのサウンドは過去の作品中、最も硬質だということ。ファーストにあったスリージーでユルユルなサウンドはここにはなく、良い意味でMOTLEY CRUEといったLAメタルバンドにも匹敵する分厚いサウンドがここには存在します。そして一切のシングルカットなし。あそこまで売れたシングルの後だもん、普通ならアルバムからシングル切ってプロモーションに精を出すはずなのに、それを拒絶。とにかくアルバムを通して聴け、と。PVも作らなかったんだっけか、確か。そう記憶してます(ラジオ等に出演した際には、6曲目の"DON'T STOP BELIEVING"がよく流れてましたけど)。

  多分、そういったアルバム作りの背景には、上記のような状況が生みだした「にわかファン」の排除、それと同時にそういった「にわかファン」をよりコアな方向へと引きずり込むといった思惑があったのだと思います。けど、それ以上に‥‥世間の状況がフラストレーションと化し、バンドのエゴをより増大させていった結果なのでは、と推測しています。これまで同様の甘くポップなメロディを持った曲はいくらでもあるものの、それを支えるバックトラックや音像は間違いなく過去のものとは異質。初期の緩いサウンドが好きな人にはちょっと厳しいのかもしれませんが、俺はこのアルバムがとにかく好きなんです。

  1990年という『時代』も影響してるんでしょう。前年にAEROSMITHが「PUMP」を、MOTLEY CRUEが「DR.FEELGOOD」を、マイケル・モンローが「NOT FAKIN' IT」を、そしてROLLING STONESまでもが「STEEL WHEELS」といった、それぞれ硬派なアルバムを発表しています。世間の流行的にもグラマラスなものから、よりマッチョで硬派な路線へと以降していた時期。バンドとしてのルックスはそれまでとあまり変わらないものの、やはりサウンド的には流行を取り入れたと見ることもできます。でもね、やはり元となるメロディ、これだけは変えようがない。どこを切っても金太郎飴みたいな『ZIGGY印』が飛び出すわけですよ。

  全12曲中森重6曲、戸城6曲作曲という配分も絶妙だし、個々の楽曲の完成度も高い。未だにライヴで演奏される機会が多い"WHISKY, R&R AND WOMEN"や"DON'T STOP BELIEVING"の他にも、先日セルフカバーされた"I WANT YOU TO KISS ME ALL NIGHT LONG"、ドライヴ感抜群の"WASTED YOUTH"や"928"や"I'M JUST A ROCK'N ROLLER"、グラマラスでゴージャスな"MAYBE I'M A FOOL"、ヘヴィな"TOO LAZY TO BE GOOD, TOO SERIOUS TO BE WILD"や"DRIVE ME WILD"、ラストを飾る壮大なバラード"DON'T YOU LEAVE ME ALONE"等々、とにかく全てが名曲。

  多分、バンドとしても行き着くところまで行き着いちゃったのかもしれないね‥‥このアルバムをリリースした半年後、バンドは約1年に渡る活動休止に突入することになるのでした‥‥それだけ「先のことなんて考えず、とにかく夢中で作ったアルバム」だったのかもしれないし、あるいは前年からの『騒動』を引きずり、単に疲れただけかもしれないし‥‥ある意味、ここで「第1期ZIGGY」は終了したといっても過言ではないでしょう。



▼ZIGGY『KOOL KIZZ』
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投稿: 2003 08 07 12:39 午前 [1990年の作品, ZIGGY] | 固定リンク

2003/07/03

RCサクセション『Baby a Go Go』(1990)

忌野清志郎や仲井戸麗市が在籍していたことで知られる‥‥なんて書き方は今更な感じですが、要するに'80年代の日本のロックを代表するバンドのひとつ、RCサクセションが'90年秋に発表した、現時点での最新作‥‥というか、事実上のラストアルバムがこの「Baby a Go Go」。バンドはこの後11月に武道館公演を行い、その後それぞれのメンバーのソロ活動が活発になり、自然と無期限活動休止状態に。時々清志郎とチャボがステージ上で共演したこともありましたが、まぁRC復活の噂は上がっては消え、といった感じで現在に至ってます。

RC、というか清志郎が苦手という人、少なくないと思うんですよ。ひとつにあのキャラクター、そしてあの歌い方や歌声が苦手という声。これ、よく判るんです‥‥実は俺も中学~高校の頃って苦手だったから、清志郎が。理由はよく覚えてないんですが、とにかくダメで。中学くらいになるとひと通り日本のロック大御所辺りにも手を出し始めるんですが、どうしてもRCだけは苦手意識が抜けなくて。高校の頃、タイマーズとかの課外活動やソロもひと通り聴いてたんですが‥‥ダメで。

このアルバムが出た頃は‥‥あ、俺浪人してたんだ。東京に出てった最初の年で、友達から借りたんだわ、このアルバム。シングルにもなった"I LIKE YOU"とか"あふれる熱い涙"辺りは何となくいいなぁと思えたんだけど、そんなにハマる程には好きになれず、上記の武道館公演にも誘われたものの断ったんだよなぁ。今思えば、なんて罰当たりなことをしたんだろうなぁ‥‥と悔やんでも悔やみ切れません。

多分、俺がRCや清志郎の受け入れられるようになった切っ掛けは、声云々よりも「歌詞」だったように思います。ある程度年齢や人生経験を重ねていく中で再会したRCや清志郎の「歌」‥‥歌詞であり歌声であり、それら全てを全身で表現する清志郎というシンガーの存在であったり‥‥が理解できるようになった、いや、もの凄く感情移入できるようになったのが大きかったように思います。別にガキだから判らなかったとは思いませんが、こういうのってやっぱりタイミングとかもあると思うし。俺の場合それが20歳を過ぎてからだったってだけでね。

で、このアルバム。俺的には"空がまた暗くなる"の存在が大きいんですよね。この曲と再会したのが実は2~3年前のことで、清志郎のライヴで歌われたこの曲を「何てアルバムに入ってる曲?」と友人に質問した程、俺の中には記憶に残ってないアルバムだったんですよ、「Baby a Go Go」って。ところがそのライヴの後、このアルバムを中古で探して手に入れ、約10年振りくらいに聴き返したら‥‥ヤラレちゃったわけですよ、他の曲にも。上記のシングル曲の歌詞も改めて読むと心に染みるし、チャボの歌声が渋くてカッコイイ"うぐいす"といい、"Rock'n Roll Showはもう終わりだ"での「バンドの終焉」を彷彿させる歌詞や(そして今現在にも通ずるシチュエーションを持ってるんですよね、この曲。非常に興味深い)、ただただ切ない"冬の寒い夜"といい‥‥ホントいいんですわ。

RCって最初にどのアルバム(時代)を聴くかで、第一印象が大きく変わるんですよね。「ドカドカうるさいロックンロールバンド」をイメージして誤ってフォーク時代に手を出してしまうと「‥‥何だよ!(怒」ってなっちゃうだろうし、スタジオテイクはライヴ盤(「RHAPSODY」)と比べると意外と弱く感じてガッカリしたり‥‥等々。ホントはRCの場合はライヴを体験するのが一番だと思うんですよ。ってそのライヴを一度も体験できなかった俺が言うのもアレですが。清志郎は何度も観てるんで、その凄さは判ってるつもりですよ。うん、まずはライヴで体験するべきかもね!

でも、それとは別に‥‥曲が本来持つ良さってのはアルバムでも知ることができるわけで。特にこの「Baby a Go Go」はそれ以前の「ロックンロールだぜ、ベイベー!」っていう凄んだイメージが皆無で、非常にリラックスした「大人の魅力」を堪能できる1枚になってます。

‥‥でもやっぱり、清志郎はあれから13年経った今でも、大人になりきれないんだな、いろんな意味で。ま、そこが良いところでもあって、悪いところでもあるわけだけど。そしてそんな中途半端なところが好きなわけだけどね。

それにしても‥‥32歳目前となった今、"空がまた暗くなる"を聴くと‥‥29歳の時に聴いたのとはまた違った聞こえ方してきますね‥‥



▼RCサクセション『Baby a Go Go』
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投稿: 2003 07 03 04:52 午前 [1990年の作品, RCサクセション, 忌野清志郎] | 固定リンク

2003/05/11

TEENAGE FANCLUB『A CATHOLIC EDUCATION』(1990)

スコットランドはグラスゴー出身のギターポップ/パワーポップバンド、TEENAGE FANCLUB(以下TFCと略)の記念すべきファーストアルバム。TFCといえば「CREATION RECORDS」出身というイメージがあるけど、このアルバムの頃はまだアラン・マッギーとは出会っておらず、「PAPERHOUSE」という会社からのリリースとなっています。レコーディング時のメンバーはノーマン・ブレイク(Gt & Vo)、レイモンド・マッギンレイ(Gt & Vo)、ジェラルド・ラヴ(Ba & Vo)、フランシス・マクドナルド(Dr)。レコーディング終了後にフランシスが脱退、その後の数作に参加することとなるブレンダン・オハレが加入することになります。

TFCといえばその独特な「ヘロヘロ」具合、それに相反するディストーションギター、そして甘いメロディとハーモニー。ディストーション度はその後どんどん減退していくわけだけど、ヘロヘロ具合は全作品を通して一貫されていて、特にこのアルバムでの彼らは以後の作品と比べてもひと味も二味も違う。インディーズからのリリース、そしてファーストアルバムという事もあってか、若々しく且つ攻撃的だ。攻撃的とはいっても、まぁそこはTFC。爆裂ディストーションの隙間からヘロヘロ声&美メロが聞こえてくるという具合。勿論、そこが最大の魅力なんだけど。1曲目から"Heavy Metal"なんていうその筋の人達が勘違いしそうなタイトルのインストナンバーから始まり、そのままデビューシングル"Everything Flows"、続くタイトルトラック"Catholic Education"、ちょっとグラムロック入ってる?な"Too Involved"への流れは絶妙。その後に続くミディアムテンポの"Don't Need A Drum"のダラダラ感も捨てがたい。そう、この「ロック→マッチョでスマートでイカしてる音楽」というイメージを完全に覆す、ある種皮肉ったようなサウンドとスタイルが最高なのですよ、ここでは。勿論、そこには楽曲の完成度が高いから成せる技というのが大前提なわけですが。

このアルバムでは特にインスト曲が印象に残りますね(そういえば後に限定インストアルバム「THE KING」が発表されている事からも、初期のTFCにとっては「インスト曲」というのはひとつの武器、重要な要素のひとつだったように思いますが如何でしょうか?)。聴くとカッチリしたというよりも、非常にジャム度が高いように感じます。その後リリースされる作品群と比べても、ここまでラフで即興的な楽曲はここでしか聴けないのでは? 特に圧巻なのは中盤に登場する"Heavy Metal II"でしょう。7分近くもあるこのインスト曲、完全に計算というものを度外視していて、同じインストものでも次作に収録される "Is This Music?" と比べてみるとその違いに気付くはず。勿論、歌の入った曲もインスト曲と同じくらいの密度のギターサウンドを聴くことが出来、文句なしにカッコイイ。

当時、イギリスではRIDE、MY BLOODY VALENTINE等をはじめとする轟音シューゲイザーバンド達で溢れかえり、一方ではSTONE ROSESやHAPPY MONDAYS等のマッドチェスター~レイヴというダンスムーブメントが起こりつつある時期でした。その中でTFCの存在は、そういったバンド達と比べると少々異様だったのではないでしょうか。ギターは歪んでいてもシューゲイザー以上に隙間のあるサウンドだし、ダンスビートを導入しているわけでもなく(=踊る/踊らせる要素を重用視してるようにも思えず)、テクノロジーとは無縁な存在(=あくまで「ギターロック/ポップ」に拘っている節がある)。当時もギターポップ・ムーブメントは存在したけど、THE SMITHS以降は衰退傾向にあり、今のように市民権を得たものではなかったように記憶してます。このアルバムはインディーレーベルからのリリースということもあり、彼らは新たなムーブメントを作り出す事は出来ず、結果としては「マニアが知る、隠れたオススメバンド」程度で終わったような期がします。勿論、そういったマニアがいたからこそ、現在の彼等があるわけで、そしてこのアルバムのその後「名盤」として称えられるようになるわけですが。

光るものは既にあるものの、それ以降の作品群と比べれば明らかにレベルが違いすぎる。勿論、そこがいいって人が多いのも確か。そしてその後と比べれば明らかに方向性も違っている。だからこそ、このアルバムは未だに「初期の名盤」として紹介されることが多いのかもしれませんね。完成度こそ低いですが、その後のTFCからは感じられない要素が沢山詰まった、非常にやる気を感じさせない「カッコイイ」アルバムです(最高の誉め言葉ですよ、これ!)。



▼TEENAGE FANCLUB『A CATHOLIC EDUCATION』
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投稿: 2003 05 11 05:05 午後 [1990年の作品, Teenage Fanclub] | 固定リンク

2003/02/01

Theピーズ『マスカキザル』(1990)

  '89年11月に「グレイテストヒッツVOL.1」及び「グレイテストヒッツVOL.2」でデビューしたTheピーズですが、翌月にはドラマーのマスヒロが脱退。そのまま活動休止状態に陥ってしまいました。しかし翌'90年春には新ドラマー・ウガンダを迎えライヴ活動を再開するのでした‥‥が、この時点でウガンダのドラム歴は約1ヶ月程度というから驚き。メジャーデビューしたバンドが迎え入れるに相応しいメンバーか!?との疑問の声を挙がりそうですが、如何にピーズというバンド、そしてはるという男が音楽云々よりも人間関係、人との繋がりを大切にする奴かが見え隠れするエピソードなのではないでしょうか?

  完全なる初心者をバンドの大黒柱に迎え、その後20本近くに及ぶツアーを決行。そこでバンドとしての結束を深めた後、たった1週間でレコーディングされたセカンドアルバム「マスカキザル」を同年9月に発表。この時点でもまだウガンダのドラム歴は約半年だというのだから、もう驚きを通り越して‥‥笑うしかないって。

  全10曲で30分にも満たない内容、インディーズ並みのジャケット等から一見ミニアルバムのような錯覚に陥るものの、純然たるフルアルバムですよこれは(ま、ファーストが破格の2枚同時リリース、しかも1枚にそれぞれ16曲も入ってたことを考えるとスケールダウン感は否めないけど)。1曲の長さ的には前作と何も変わってないんだけど‥‥かなり変わってしまったような印象を受けます。それは荒々しいサウンドプロダクションも影響してるでしょうけど、何よりも一番大きいのはドラムスタイルの違いでしょう。ハードロック的でかなりカッチリしたプレイを聴かせるマスヒロと比べ、ウガンダのそれは完全なる初心者のプレイといった感じで、かなり大雑把な印象を受けます。また、所々に入るフィルイン等ももたったりするし。ガチガチに作り込まれた感がある前作を気に入っていた人からすれば、「出す順番間違えてるんじゃないの?」と錯覚してしまうんじゃないでしょうか?(つまりファーストの方がメジャー盤というイメージが強く、このセカンドが荒々しさや演奏の粗さからインディー盤という印象を受ける)

  しかし、その後のバンドの歴史を考えてみると、ファーストのようなサウンドの方が異色だったわけで、その後3年に渡ってプレイし続けたウガンダのプレイスタイルの方がよりピーズ的だと言うことができると思います。元々シンプルなロックンロールが基本形のバンドなので、ウガンダのようなプレイスタイルの方がより本来の形に近いのかもしれませんし(マスヒロのプレイがうるさすぎて、はるがクビを切ったという噂もあながち間違いじゃないと思いますよ)。

  タイトというよりは気怠くて引きずるようなリズム、それに合わせてプレイされるギターリフ、そして芯がしっかりしながらもかなり動き回るベースライン。その後のピーズの基本スタイルがここで誕生したといっても過言ではないでしょう。メロディの冴えは相変わらずで、歌詞も基本的には前作の延長線上にある作風。ただ、楽曲的には少しずつ幅が広がってるように感じられます。"いんらんBaby"の中盤なんてまるでジミヘンだし、全体的にパンクというよりはよりピュアなロックンロールというイメージが強まってるし。バンドブーム末期だった当時、既に二束三文なバンドが多くを占める中、ピーズはよりオリジナリティを強めていったわけです。

  パワーポップにも通ずるようなアップテンポのナンバーが多かったファーストと比べれば、テンポはミディアムが殆どで、その割りに1曲は2分前後。引きずるようなリズムの割りに演奏のテンションは高い。ただウルサイだけじゃなくて"どっかにいこー"みたいな聴かせる曲もちゃんとある。普通バンドのセカンドアルバムって「勝負作」と称されることが多いんですが(アマチュア時代に演奏し続けた曲が大半を占めるファーストを経て、レコーディングの為の作曲が始まりいよいよバンドの本領が発揮されるだろうってことでそう呼ばれるんでしょうね)、いきなり勝負を捻った通り抜け方をしたピーズ。この辺に彼等の「らしさ」が表れてますよね‥‥シンプルでコンパクトながら、本当にいいアルバムです。まだ後期程の「(歌詞の世界観の)重さ」がないものの、これがホントの意味でのスタート、ファーストアルバムなのかもしれませんね?



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投稿: 2003 02 01 03:40 午前 [1990年の作品, ピーズ, The] | 固定リンク

2000/03/27

THUNDER『BACKSTREET SYMPHONY』(1990)

これがTHUNDERのデビューアルバム。プロデューサーは元DURAN DURAN~THE POWER STATIONのアンディ・テイラー、ミックスにAEROSMITH「PUMP」やCOVERDALE・PAGEのアルバムをミックスした、マイク・フレイザー。このアルバムからシングルカットは5曲6枚リリースされている。(デビューシングル"She's So Fine"は最初'89年11月にリリースされたが、翌年夏にC/Wをドニントンでのライヴに差し替えて再リリース)当時日本では同時期デビューした、同じ英国のQUIREBOYSの方が話題/人気共に高く、このアルバムも高い評価の割には殆ど売れなかった。これは英国でも同様で、雑誌等では高く評価されていた割にはヒットに恵まれなかった。が、モンスターズ・オブ・ロックでのライヴが更に高く評価され、この模様を見た(ラジオ放送を聴いた)多くの人がアルバムを買いに走った。同様にここ日本でもその話題がメディアを通して流れ、当時はQUIREBOYS派だった?伊藤政則氏もTHUNDER派に鞍替えしたくらいだ。(笑)ってまぁそれは冗談として、とにかく当時の英国ロックといえばSTONE ROSESをはじめとするマッドチェスターやRIDE等のシューゲイザーバンド達が席巻していた時代で、伝統的オールドスタイルのバンドは壊滅状態だった。そこから這い上がり、シーンを支えようとしたのが、このTHUNDERとQUIREBOYSだった。

とにかくこのアルバム、名曲揃い。先のQUIREBOYSの方はもっとアーシーな、ROLLING STONESやFACES、HUMBLE PIEといったロックンロールスタイルだったのに対し、このアルバムはFREE~BAD COMPANY、WHITESNAKEやLED ZEPPELINといったブルーズベースのハードロックスタイルだったこともあり、比較的誰にでも馴染みやすい要素をもった作品だと言える。もしこのアルバムに不幸な点があるとすれば、それは「BURRN!」で取り上げられる事が多かった事によって、「rockin'on」あたりのZEPやポール・ロジャース等を好むファンに敬遠された事だろう。松村雄策氏なら好意的に評価してくれたんじゃなかっただろうか?

この時点ではまだ'80年代的ハードロックナンバーも収録されている点が興味深い。特にバンド名の由来ともなった"Distant Thunder"や"Girl's Going Out Of Her Head"といった疾走感のある曲は、この後のアルバムには登場しない。この辺はライヴでの盛り上がりを計算したのか、それともレコード契約の為に派手な曲を用意したのか定かではないが、10年間の彼等の歴史から見ても決して恥じるべき楽曲ではない。

いろいろなカヴァー曲をプレイするTHUNDERの割には、オリジナルアルバムにはたったの2曲しか収録されていない。その内の1曲が"Gimme Some Lovin'"だ。スティーヴ・ウィンウッドが在籍したSPENCER DAVIS GROUPの代表的ヒット曲で、多くのアーティストにカヴァーされている。ここでは原曲を更にヘヴィにしたアレンジがキマッていて、ベンが弾くハモンド・オルガンがいい味を出している。

アルバム5枚しかリリースしなかった彼等だが、実は解散まで演奏され続けた曲が最も多いのがこのアルバムからである。メンバーにとってそれだけ印象深い作品というだけでなく、多くのロックファンにとっても大切なアルバムであるに違いない。ある意味、既に彼等はこの1stアルバムでその音楽性を完成させてしまっていたと言っても過言ではない。がその結果、その「固定観念」が彼等の首を絞め、解散に繋がった事も付け加えておこう。とにかく未体験者はこのアルバムから聴くべし。



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投稿: 2000 03 27 01:48 午後 [1990年の作品, Thunder] | 固定リンク