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カテゴリー「1994年の作品」の85件の記事

2022年4月12日 (火)

AEROSMITHのベストアルバムを総括する(2022年版)

先日ブライアン・アダムスで試してみた、いちアーティストの公式ベストアルバム/コンピレーションアルバムをひとつのエントリーの中で総括する記事AEROSMITH版です。

AEROSMITHは1973年のデビュー以降、Columbia Records(1973〜1984)→Geffen Records(1985〜1997)→Columbia(1997〜2021)→Universal(2021〜)と移籍を繰り返してきましたが、現在は全カタログの権利をUniversalが取得したことで、今後Columbia/Sony時代の音源もUniversalからフィジカル再発/デジタル配信されることになりそうです。

そういった意味では、ここに記す代表的なコンピレーションアルバムのいくつかは今後、姿を消すことになるかもしれません。それでもこの機会に改めて、ひとつの記録として記事を残しておくのはアリかなと思い、今回の執筆に至りました。

選出したベストアルバムは、レーベル主導によるシリーズ企画(Universalの『THE MILLENNIUM COLLECION』など)を除く、新曲やレア曲などを含む9作品。中には廃盤になっていたりサブスクで聴けないものも含まれていますが、ご了承ください。また、すでに単独エントリーで公開済みの作品もありますが、その場合は該当記事のリンクを貼っておきますのでご参考ください。

 

 

『AEROSMITH'S GREATEST HITS』(1980)

 

1980年11月にリリースされた、バンド初のベストアルバム。

そのタイトルどおり、収録内容はシングル曲を中心にしたもので、アナログ時代ということで全10曲/約38分というコンパクトな内容でまとめられています。また、構成的にもリリース順に並べられているので、いきなり「Dream On」から始まるという曲順はロックバンド的にどうなのかな?という疑問も残ります。

収録曲のうち、「Same Old Song And Dance」「Sweet Emotion」「Kings And Queens」はイントロを短くした“シングル・エディット”バージョンで収録。「Walk This Way」もアルバムバージョンより10秒近く短い形にエディットされています。オリジナルバージョンに勝るものはありませんが、本作リリース当時は70年代の代表的シングル曲をひとまとめに楽しめるアルバムとして、非常に重宝されましたし、80年代後半の本格的復帰以降も『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)とともにこのアルバムを愛聴したファンは少なくなかったはずです(注:Apple Musicなど一部ストリーミング配信版は各シングルエディットがアルバムバージョンに差し替えられているのでご注意を)。

また、映画サントラに提供したビートルズのカバー「Come Together」が収録されている点も注目ポイントかな。『LIVE! BOOTLEG』(1978年)ではライブバージョンを先に聴くことができましたが、スタジオテイクがエアロのアルバムに収録されるのはこれが初めて。そこも本作が長く愛された要因のひとつかなと。

なお、本作がリリースされた頃にはすでにバンドの人気も低迷期に突入しており、チャート的には大きな成功を収めることはありませんでしたが、そこから数年後の再ブレイクも手伝い、セールス的には現在までに1000万枚を超えるメガヒット作となっています。

 


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『GEMS』(1988)

 

1988年11月にリリースされたAEROSMITHのコンピレーションアルバム。

『PERMANENT VACATION』(1987年)の大ヒットを受けて、前レーベルのColumbia Recordsが企画したコンピ版で、シングル曲中心でまとめられた前作『AEROSMITH'S GREATEST HITS』と比べるとその内容はかなり地味なもの。ただ、ライブで演奏される機会の多い「Mama Kin」や「Lord Of The Thighs」「Train Kept A-Rollin'」なども含まれていることから、“裏ベスト”的側面の強い1枚かなと。

本作最大の注目ポイントは、『LIVE! BOOTLEG』(1978年)のみで聴くことができた「Chip Away The Stone」の未発表スタジオテイクが収録されていること。この1曲のために当時本作を購入したというファンも少なくなかったはずです。実際、この曲は本作からシングルカットもされ(既存ライブ映像を使用したMVも制作)、ラジオヒットも記録しています。

今のようにサブクスやYouTubeも存在せず、過去のスタジオアルバムにまで手を出せなかった当時の中高生には本作に収録された「Rats In The Celler」や「Nobody's Fault」「Round And Round」「Jailbait」などはかなりカッコよく響いたものです。ここから『ROCKS』(1976年)『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)にも手を伸ばしていったビギナーは80年代後半、かなりの数存在していたはずですから。

コアなファンの中には、先述の『AEROSMITH'S GREATEST HITS』より本作のほうが好きという方も、意外と多かったりして。かくいう僕も本作、大好物ですからね。

 


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2022年3月29日 (火)

JEFF BUCKLEY『GRACE』(1994)

1994年8月23日にリリースされた、ジェフ・バックリィ生前唯一のスタジオアルバム。日本盤は同年9月8日発売。

1960年代に活躍したSSW・ティム・バックリィの実子として知られるジェフですが、早世だった父親ティム(享年28歳)と同じくジェフ自身も1997年5月29日に30歳の若さで急逝。1993年11月にライブEP『LIVE AT SIN-É』でメジャーデビューしてから、4年経たずしてこの世を去っています。

もちろんリリース当時からそこそこ高い評価を獲得していたこの『GRACE』ですが、やはり1997年の逝去後以降その評価は異常に高まり、現在まで名盤として広く知られることになります。実際、本作リリース時はBillboard 200でも最高149位と低調に終わり、売り上げも50万枚に満たなかった。しかし、その後の評価向上により現在は100万枚を超えるセールスにまで達しています。また、2004年には未発表だったデモ音源などを追加したCD2枚組の“Legacy Edition”も発売。2007年にはなぜかオーストラリアなどでチャート急上昇し、イギリスではシングル「Hallelujah」が最高2位を記録し、アメリカでも同曲がDigital Songランキングで1位という快挙を成し遂げました。

名手アンディ・ウォレス(NIRVANASLAYERブルース・スプリングスティーンなど)がプロデュース&ミックスを担当したそのサウンドは、オルタナ/グランジを通過した非常に90年代的な質感。ギターを軸にしたシンプルでモノトーン調のバンドアンサンブルも当時の空気感が反映されたもので、ジェフの歌声が変幻自在でカラフルなものだけに、程よいバランスで対比が成立しています。

タイトルトラック「Grace」や「Last Goodbye」「Eternal Life」などを聴くと、PEARL JAMや“90年代以降”のRED HOT CHILI PEPPERSを筆頭とした土着的なUSオルタナティヴロックとの共通点がたくさん見つけられるし、ジェフのボーカルも曲に合わせてパワフルさやエモーショナルさが増している。かと思えば、「Lilac Wine」やレオナード・コーエンの名曲をカバーした「Hallelujah」などのスローナンバーでは、ファルセットを多用した繊細な歌声を響かせる。このストレートに訴えかける彼のボーカルこそ本作最大の聴きどころであり、リリースから25年以上経った今も変わらず愛聴しているのもその功績が大きいのではないでしょうか。

もちろん、楽曲の良さは大前提ですし、演奏の素晴らしさもまた然り。こういったお膳立てがすべて完璧に揃っているからこそ、ジェフがのびのびと歌うことができた。まあ、最終的にはすべてのピースがかっちりと噛み合っているからこその名盤なのかな。序盤のムーディな空気感から徐々に熱量が高まっていき、「Dream Brother」でクライマックスを迎え、彼の死後に再発された際に追加された「Forget Her」でエンドロールが流れる。そんな一編の短編映画を音で楽しむような、そんなストーリー性を強く感じさせる1枚だと思います。

個人的には「Dream Brother」で締めくくる構成に慣れていましたが、現行のストリーミングなどで聴ける「Forget Her」終わりも悪くないな……最近はそう思えています。また、「Forget Her」で終わることで長く愛聴してきたアルバムに新たな光を与え、再び新鮮に楽しむこともできている。個人的には全然アリなボートラでした。

 


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2022年3月23日 (水)

KILLING JOKE『PANDEMONIUM』(1994)

1994年8月2日にリリースされたKILLING JOKEの9thアルバム。日本盤は翌1995年1月21日発売。

Noise Recordsから唯一のアルバムとなった前作『EXTREMITIES, DIRT AND VARIOUS REPRESSED EMOTIONS』(1990年)から約4年ぶりの新作は、メンバーのユース(B)主宰レーベルButterfly Recordingsへの移籍第1弾作品。ポール・レイヴン(B)などメンバーが相次いで脱退し、ジャズ・コールマン(Vo)とジョーディ(G)のオリジナルメンバー2人のみが残ったところに、もうひとりのオリジナルメンバーであるユースが再合流。MINISTRYNINE INCH NAILSといったインダストリアル系アーティストがシーンを賑わせいる中、真打ち登場とばかりに満を辞しての新作リリースとなりました。

ポストロック以降の、ミディアム/スローテンポ中心のインダストリアルサウンドや当時流行し始めていたロック寄りのダンスミュージックなどの影響下にあるスタイルは、これ以降のKILLING JOKEの作品に共通するもので、いわば第2期KILLING JOKEの基盤となったのが本作。ダンスミュージックのごとく繰り返されるリフ(フレーズ)をベースに、スローテンポで進行するタイトルトラック「Pandemonium」や、MINISTRY以降のインダストリアルサウンドを下地にしたモダンな「Exorcism」といった楽曲は、リリース当時は刺激的には感じられず、もっと言えば退屈にさえ思えたのですが(MINISTRYやNINほどわかりやすい過激さが足りなかったのも大きいのかな)、今聴くとこの反復ビートが非常にクセになる。むしろ、これくらいが丁度いいとさえ思えるほどピンとくるものがあります。

そんな中、中近東的フレーズを多用した「Communion」や、ポストロックバンドとしての面目躍如と言わんばかりの「Black Moon」、本作中もっともテクノ的フレーズを用いつつもしっかりロックしている「Labyrinth」、浮遊感の強いメロディ&サウンドメイクの「Jana」など個性的な楽曲も少なくなく、リリース当時はなぜこれを退屈に感じたのか疑問に感じるほど多様性の内容なんですよね。フロアライクなデジロック「Whiteout」「Mathematics Of Chaos」なんてクラブで大音量にて流れたらアガりまくり必至だろうしね。

たぶん僕が本作にのめり込めなかった理由って、1曲6〜7分もある曲が多かったことなんじゃないかな。1994年というと、グランジブーム後期にあたるタイミングで、2〜3分台の楽曲に慣れ親しんでいた時期でもあり、そういった耳にはロックとして接した本作はちょっとユルく思えてしまったのかもしれない。かつ、先にも書いたようにMINISTRYやNINほど直接的な攻撃性もないし。20代前半の自分にはまだ早すぎた1枚だったのかもしれませんね。

今日までのKILLING JOKEのカタログをひととおり聴いた中でも、本作はデビュー作『KILLING JOKE』(1980年)に匹敵するぐらい好みの1枚(こんなこと書いたら、初期リアルタイム世代の諸先輩方から叩かれそうですけど、本当なんだからしょうがない)。ジャズ・コールマンのボーカルも初期の青臭さが抜け、凄みが強まっていて最高ですし。そういった点でも本作は90年代よりも、むしろ2010年代以降にしっかり評価されるべき1枚だと確信しています。

 


▼KILLING JOKE『PANDEMONIUM』
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2022年2月14日 (月)

THE WiLDHEARTS『PHUQ (DELUXE)』(2022)

2022年2月12日に配信リリースされた、THE WiLDHEARTSの2ndフルアルバムのリパッケージ盤。現時点ではリリース元のRound Recordsのみで購入/ダウンロード可能。CDやアナログなどのフィジカルリリースは2022年6月を予定。

本作は1995年5月に発表された名盤『P.H.U.Q.』の、当初予定していた形に再構成&最新リマスタリングを施した最新エディション。1994年の制作開始時点ではジンジャー(Vo, G)は2枚組を想定しており、その中には7〜8分台の長尺ナンバーも多数含まれていました。ここではまず、『P.H.U.Q.』完成までの流れを解説していきます。

当初、バンド側は1994年初夏に「Inglorious」(約8分)と「Sky Babies」(10分超え)の2曲入りシングルを計画。しかし、長い曲を嫌った当時のレーベルがこの計画を拒否し、当時制作が進んでいた6曲で構成された『FISHING FOR LUCKIES』というミニアルバムをファンクラブ限定でリリースしました。この『FISHING FOR LUCKIES』からは「If Life Is A Love Bank I Want An Overdraft」と「Geordie In Wonderland」をリードトラックに、そしてアルバム未収録の「Hate The World Day」「Fire Up」を追加した4曲入りシングルが1995年1月にリリースされています(全英31位)。続いて、バンドは「I Wanna Go Where The People Go」を同年4月に発表し(全英16位)、翌5月に新たな形で構成された13曲入りの『P.H.U.Q.』が発売されました(全英6位)。

今回リパッケージされた『PHUQ (DELUXE)』は全19曲で構成されており、その内訳は『FISHING FOR LUCKIES』収録の6曲と1995年版『P.H.U.Q.』収録の13曲をまるまる収録したもの。曲順こそ新たな形で構成し直されていますが、使用されている音源自体に大きく手を加えた様子は見受けられません。唯一、1995年版『P.H.U.Q.』最終曲「Getting It」終了後にシークレットトラックとして収められていた「Don't Worry 'bout Me」が、今回のリパッケージ版にはラストナンバー「Sky Babies」のあとに移されているくらいでしょうか。

この19曲の流れで聴く『PHUQ (DELUXE)』はなかなか聴き応えのあるもので、それは『FISHING FOR LUCKIES』や『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』(1996年)よりも滑らかで、1995年版『P.H.U.Q.』以上にダイナミックさが伝わる構成で、「なるほど、こういうつなぎ方があったか!」とニヤリとさせられます。

ただ、ひとつ気になったのはシングルとして先行発売された「Hate The World Day」「Fire Up」が今回のリパッケージ版には含まれていないこと。特に「Fire Up」はそのエンディングに「In Lilly's Garden」のイントロが含まれており、当初は「Fire Up」〜「In Lilly's Garden」という流れでアルバムに収められる予定だったのかなと思っていたのですが、違ったのかな? 単に「Hate The World Day」「Fire Up」はシングルカップリング用に書き下ろされたもので、「Fire Up」のエンディングはシングル用にアレンジされたものだったのか、そもそもジンジャーが当初イメージしていた構成案にこの2曲は入っていなかっただけなのか。もともとどういう構成案だったのかがあの当時に示されていなかっただけに、今となっては謎のままですが(仮に今、ジンジャーが「もともとこうだったんだよ」と発言しても、それは2022年2月時点のものでしかないですしね)。

おそらく、当時はもともとの案で構成したアルバムは形になっておらず、今回既存の音源を並べ替えただけなので、別ミックスなど貴重な音源は残っていないのでしょう。「単に既発曲を並べ替えただけ」で終えることもできますが、こういう“if”の世界が27年後に楽しめるだけでもロマンがあって面白いんじゃないでしょうか。ビギナーはサブスクなどで配信中のオリジナルバージョン(1995年版)で十分でしょうが、古くからのファンはコレクターズアイテムというよりもジンジャーへの課金(笑)のつもりで購入してみてはいかがでしょう。

 


▼THE WiLDHEARTS『PHUQ (DELUXE)』
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2021年9月 8日 (水)

ENUFF Z'NUFF『SEVEN』(1997)

1997年2月18日に海外でリリースされたENUFF Z'NUFFの7thアルバム。日本では1994年9月30日にCHIP & DONNIE名義で、『BROTHERS』というタイトルにて発表されました。

制作時期が『TWEAKED』(1995年)と重なること、特に日本では同作と同時期(1994年11月末)発売ということで、表裏一体の2枚であることが伺えます。ヘヴィ&ダークな『TWEAKED』と比べると、CHIP & DONNIE名義で発表されることとなった今作はよりパワーポップ色の強い、カラフルさと穏やかさが同居した意欲作に仕上がっています。

レコーディングメンバーはドニー・ヴィ(Vo, G, Key)、チップ・ズナフ(B, G, Vo)、ジョニー・モナコ(G)、リッキー・ペアレント(Dr)という布陣で、アディショナル・プレイヤーとしてデレク・フリーゴ(G)が3曲ほど参加。『TWEAKED』がドニー、チップ、リッキーにジーノ・マルティノ(G)という布陣だったことを考えると、この『SEVEN』および『BROTHERS』が最新ラインナップだったということになるのでしょうか(続く『PARAPHERNALIA』も同編成で制作されていますしね)。

上記のように日本では当初、バンドとは別名義の、あくまでドニーとチップによる“レノンマッカートニー”的作品集として発表されたこともあり、「やけにパワーポップ側に振り切ったアルバムだな」と感じながら聴いた記憶があります。しかし後年、海外では “ENUFF Z'NUFFの7作目”としてカウントされるようになったことで、素直に“バンドの一部”と捉えられるようになったんじゃないでしょうか。特に海外では、本作のあとに『PARAPHERNALIA』が続くという流れも自然ですし、『TWEAKED』と本作との間にレアトラック集『PEACH FUZZ』(1996年)を挟んでいることも効果的ですよね。

内容に関しては、文句なしの高品質さを誇り、ビートルズ・ライクな側面やCHEAP TRICKを彷彿とさせるカラー、90年代初頭のオルタナティヴロック的なテイストも随所に散りばめられており、曲によってはハードロック度が高いものもあり。『TWEAKED』から毒気を抜くとこうなるんじゃないか?とも感じられる部分が豊富にあるので、やはり今作は『TWEAKED』と地続きであり、一緒に語るべき重要な1枚ではないでしょうか。

『PARAPHERNALIA』以降のZNUFFが好きなら、間違いなく気に入るであろう1枚。いや、むしろ『TWEAKED』という“アク抜き”を含めて本作が好きな人なら、以降の活動は間違いなく受け入れられずはず。バンドにとって分岐点となった1枚ではないでしょうか。

なお、本作は海外での正式リリースに伴い3曲のボーナストラックが追加されています。うち1曲は『BROTHERS』にも収められたジョン・レノン「Jealous Guy」のカバー。残りの2曲はオリジナル曲の「For Your Girl」と「I Won't Let You Go」で、後者はサックスをフィーチャーしたアレンジがなかなかです。

 


▼ENUFF Z'NUFF『SEVEN』
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2021年6月18日 (金)

HELLOWEEN『MASTER OF THE RINGS』(1994)

1994年夏にリリースされたHELLOWEENの6thアルバム。日本盤は同年8月24日発売。Wikipediaでは海外盤は7月8日リリースとあるのですが、これが正しいかどうかは不明。日本初盤帯に「日本先行発売」と記されているので、海外でのリリースは8月末以降の可能性が高いですね。

前作『CHAMELEON』(1993年)を携えたツアーを終えたあと、マイケル・キスク(Vo)とインゴ・シュヴィヒテンバーグ(Dr)がバンドを離れ、残されたマイケル・ヴァイカート(G)、ローランド・グラポウ(G)、マーカス・グロスコフ(B)は新たにアンディ・デリス(Vo/ex. PINK CREAM 69)、ウリ・カッシュ(Dr/ex. GAMMA RAY)を迎えた新編成でアルバムを制作。気心知れたトミー・ハンセンとともに起死回生の1枚を完成させます。

前々作『PINK BUBBLES GO APE』(1991年)、前作『CHAMELEON』で正統派ヘヴィメタル路線から徐々に離れていったHELLOWEENでしたが、そうした嗜好の強かったキスクが抜けたことで再びパワーメタル路線が復活。アンディ・デリスという“歌える”シンガーを得たことで、そういったスタイルにPINK CREAM 69あたりがやりそうなメロディアスハードロックのテイストも加わった、1本芯が通りつつもバラエティ豊かな作風へとシフトします。

シンフォニックなSE「Irritation (Weik Editude 112 in C)」からアップテンポの歌モノメタル「Sole Survivor」へと続く構成は、どこか『KEEPERS OF THE SEVEN KEYS: PART II』(1988年)を彷彿とさせるものがあるし、王道疾走メタル「Where The Rain Grows」はこれぞHELLOWEENという十八番的1曲。かと思えば、アンディが作詞作曲した「Why?」はHELLOWEENに新たな魅力を与えているし、ローランド書き下ろしの「Mr. Ego (Take Me Down)」はこれまでにないタイプのミディアムヘヴィチューンに仕上がっている。遊び心の強い「The Game Is On」はやはりヴァイカート作かとニヤリとさせられたと思えば、PINK CREAM 69でやっても違和感のないバラード「In The Middle Of A Heartbeat」やひたすら突っ走る「Still We Go」で新しいHELLOWEENを提示する。各ソングライターのカラーが色濃く表れつつも、アンディが歌うことでアルバムに統一感を持たせ、「これが1994年のHELLOWEENだ!」と高らかに宣言するという、ある意味力技の1枚と言えるでしょう。

初めて聴いたときは「いいアルバムだけど、これをHELLOWEENと呼んでいいものか……」という違和感も残りました。しかし、そんな迷いも数回リピートしたことには払拭され、気づけばHELLOWEENのキャリア中1、2を争う傑作にまで昇格。今でも聴く頻度の高いアルバムのひとつです。

このアルバムが当時、日本で数10万枚も売れたことは決して忘れてはならないし、HELLOWEENが真の意味でトップバンドの仲間入りを果たせたのは本作の功績が大きい。本来なら本作のあとか次作『THE TIME OF THE OATH』(1996年)のタイミングに日本武道館に立っておくべきだったよな……と、改めて思わずにはいられません。BON JOVIがミリオンヒットするなど、HR/HMが日本でバカ売れした90年代半ばは夢のような時代でしたよね……(遠い目)。

そんな、あの頃メタルファンなら誰もが聴いていた名作を2021年現在、日本ではストリーミングサービスはおろかデジタル配信もされていないという事実。悲しいったらありゃしない。ぜひ『PINK BUBBLES GO APE』から『BETTER THAN RAW』(1998年)までの諸作品と『KEEPER OF THE SEVEN KEYS: THE LEGACY』(2005年)の、国内未配信のアルバムを各種ストリーミングサービスでも楽しめるようにしてもらいたいところです。

 


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2021年5月 5日 (水)

ANNIHILATOR『KING OF THE KILL』(1994)

1994年10月10日にリリースされたANNIHILATORの4thアルバム。

ジェフ・ウォーターズ(G, Vo)、アーロン・ランドール(Vo)、ニール・ゴールドバーグ(G)、ウェイン・ダーリー(B)、マイク・マンジーニ(Dr)という最強の布陣で3rdアルバム『SET THE WORLD ON FIRE』(1993年)を完成させ、アメリカではメジャーのEpic Records流通が実現するも、この編成は短命に終わります。結果、デビュー時から所属するRoadrunner Recordsとの契約も終了し、気づけばジェフのみになってしまったANNIHILATOR。彼は新たなメンバーを探すのではなく、ドラム以外のパートをすべて自分ひとりでこなすことでアルバムを1枚完成させます。

CMC Internationalと契約して届けられた本作では、ドラムをランディ・ブラック(DESTRUCTION、ex. W.A.S.P.、ex. PRIMAL FEAR)がプレイしていますが、曲によってはドラムマシンを使っているようにも聞こえます。このへんのレコーディング手法は現在まで続いており、そういう意味では現在のANNIHILATORのベーシックを作った1枚と言えるでしょう。

楽曲に関しては前作あたりで見受けられたグルーヴメタルの影響濃厚な「The Box」や「Annihilator」なども存在し、非常に時代を感じさせる内容となっています。初期ANNIHILATORに惹かれた者にとっては、本作はある種の“踏み絵”のような1枚だったのではないでしょうか。ところが、そんなグルーヴメタル調の楽曲の中でも、とりわけタイトルトラック「King Of The Kill」の出来が良いもんだから、無下に否定することもできないんですよね。

また、「Bad Child」や「21」「Second To None」のような正統派ヘヴィメタルの影響下にある楽曲や、「Hell Is A War」のように初期ANNIHILATORを継承する楽曲もしっかり残されており、そのへんに好感が持てるものの、いかんせんアレンジとジェフのボーカルが薄味なもので、とてもベストとは言い難い。特に『SET THE WORLD ON FIRE』のようにバランス感の良かったアルバムの後だけに、当時はどうしても劣って聞こえてしまったわけです。

でも、リリースから25年以上経った今の耳で聴くと……確かに薄味ですが、これはこれで悪くないんですよね。ジェフのボーカルにもさすがに慣れてしまったこともあり(笑)、今ほどの貫禄はないものの、これはこれでいいじゃないか……と許せてしまう。時間の流れってときには残酷ですが、こうやって物事をポジティブに感じられるような変化も起こしてくれるのだから、本当に不思議なものです。

上にも書いたように、紆余曲折ありながらも現在まで続く(特に制作面での)ジェフのワンマン体制の原点でもあるので、ぜひチェックしておいてほしい1枚です。なお、現行の曲順は1994年発売時のものとは若干異なるので、中古盤を購入する際そのへんご注意を。

 


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2021年4月11日 (日)

MAYHEM『DE MYSTERIIS DOM SATHANAS』(1994)

1994年5月24日にリリースされたMAYHEMの1stアルバム。日本では2008年4月26日、輸入盤に帯と解説を封入し、『狂魔密儀』という邦題でリリースされたのが初出となります(正式な日本デビュー盤は2014年発売の『ESOTERIC WARFARE』まで待つことになりますが)。

今年3月下旬からついに日本でも公開された映画『ロード・オブ・カオス』。海外では1998年に出版された同名書籍『Lords Of Chaos』(日本でも『ブラック・メタルの血塗られた歴史』のタイトルで発売)を下敷きに、1990年代前半におけるノルウェーのブラックメタル・シーンの中でもひときわ過激な存在だった“インナーサークル”……特にMAYHEMというバンドを軸に物語が描かれています。完全なるドキュメンタリー的な内容ではなく、『ボヘミアン・ラプソディ』のように演出もしっかり加わった“映画”となっており、コアなブラックメタルファンの間では評価が分かれたようですが、僕は(原作を読んでいる身でも)映画として十分に楽しむことができました。観終わったあとのどんより感含め、これはすごい作品ですわ。

で、そのMAYHEM。劇中にも登場するデッド(Vo)が参加したオリジナルアルバムは1枚も残されていないんですよね(デモ音源以外での正式リリース前に自殺)。このアルバムで歌っているのは、当時セッションメンバーとして参加したアッティラ・チハーなる人物(映画にもレコーディングシーンに登場しますが、あの役者さんはアッティラの実の息子なんだとか)で、デッドが書いた歌詞はそのまま使用されています。アッティラはハンガリーのブラックメタルバンド、TORMENTORで歌っていた人だそうですが、いわゆるブラックメタル的な歌唱スタイル(高音でキリキリ金切声を上げるようなもの)とは一線を画する、非常に宗教色の強い独特な“歌”を聴かせてくれます。

また、楽曲スタイル自体もブラックメタルにありがちな要素(痙攣ギターリフやブラストビートなど)を含みつつも、スラッシュメタルをベースにした個性的なヘヴィメタルを展開。デッドの自殺後にバンドを離れたネクロブッチャー(B)に代わり、本作ではBURZUMのヴァーグ・ヴィカネスがゲスト参加。つまり、正式メンバーはユーロニモス(G)とヘルハマー(Dr)の2人のみなんです。CDの裏ジャケにも2人の写真のみが掲載されており、1作目のスタジオ作品なのに特殊な環境でまとめ上げられたにも関わらず、本作が「ブラックメタルの教科書」的存在として現在まで高く評価されているのは、やはりバンドのネームバリューと唯一無二のスタイルによるものが大きいのでしょうね。

あとこのアルバム、ブラックメタルのわりに音がそこそこ良いのも異色といいますか。わざと劣悪なサウンドプロダクションでまとめられた作品が多いジャンルの中で、このクリアさは当時かなり画期的だったようです(僕は完全に後追いなので、その後に聴いた初作品との比較論となってしまいますが)。それもあって(そして楽曲のかっちりしたまとめ方も含め)、本作はブラックメタル初心者にも触れやすい1枚と言えるのではないでしょうか。ぶっちゃけ僕、ほかのいろんなブラックアルバムの名盤と呼ばれるものから先に手を出して、あとから本作に触れたら「あ、クオリティが全然違う!」と驚きましたから。

なお、本作は1993年にレコーディングが完了するも、同年8月にユーロニモスがヴァーグに刺殺されたことを受け、リリースまでに約1年かかっています(つまり、アルバム発売時の正式メンバーはヘルハマーのみ!)。ユーロニモス&ヴァーグがアートワークに登場する教会を爆破しようと企んでいたという噂もあったりと、とにかくいろいろアレなエピソードをたくさん擁する本作。できれば映画『ロード・オブ・カオス』と本作でのデッドの書いた絶望的な歌詞と合わせて、じっくりこのアルバムの世界に浸ってもらいたいところです。

 


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2020年9月19日 (土)

CHEAP TRICK『WOKE UP WITH A MONSTER』(1994)

1994年3月末にリリースされたCHEAP TRICKの12thアルバム。日本盤は同年4月上旬、『蒼い衝動』の邦題を付けて発表されています。

前々作『LAP OF LUXURY』(1988年)でセールス的に大復活を果たすものの、続く前作『BUSTED』(1990年)で『LAP OF LUXURY』ほどの成績を残すことができなかったCHEAP TRICK。折りからのHR/HMブームにも陰りが見え始めたことも影響し、1991年に発表した初のベストアルバム『THE GREATEST HITS』を最後にデビュー以来10数年にわたり在籍したEpic Recordsを離れることになります(その後、1993年にはロビン・ザンダーが初のソロアルバム『ROBIN ZANDER』をリリースしています)。

HR/HMブームが後押しして復活した彼らでしたが、今度はそのHR/HMを壊滅させたグランジ勢から「ルーツはCHEAP TRICK」という新たなバックアップが。これによりバンドは新たに老舗Warner Bro.と契約することになり、VAN HALENやTHE DOOBIE BROTHERSなどで知られるテッド・テンプルマンをプロデューサーに迎え、約4年ぶりの新作を完成させます。

「The Flame」的なバラードシングルやラジオヒットを目指した産業ロック路線にとらわれることなく、バンドはここで本来の自分たちらしさを取り戻します。オープニングを飾る「My Gang」のポップでキャッチーなギターロック、初期のダーク&サイケ感を取り戻したヘヴィな「Woke Up With A Monster」、そして黄金パワーポップチューン「You're All I Wanna Do」、「The Flame」を通過したことで生まれた自然体のスローバラード「Never Run Out Of Love」、キャッチーさの際立つミドルバラード「Didn't Know I Had It」など、アルバムは冒頭から中盤にかけて名曲目白押し。過去2作の産業ロック的な作りから脱却し、アルバム全体の音の抜けも非常によろしく、ボーカルと楽器隊のバランスの良さ、各楽器の音の粒までしっかり聞き取れそうなミックスなど含め、80年代以降のCHEAP TRICKの作品中もっとも高品質な1枚と言えるのではないでしょうか。

異色のダンスチューン「Ride The Pony」を筆頭に、硬質なギターロック「Girlfriends」「Let Her Go」、80年代後半の経験が見事に活きたミドルナンバー「Tell Me Everything」、70年代の彼らを思わせるヘヴィバラード「Cry Baby」、ハードなサウンドと軽やかなリズムがミックスされたダンスロック「Love Me For A Minute」と、アルバム後半も前半ほどではないにせよ完成度高め。個人的には前半5曲が鉄壁すぎるがゆえに、後半の楽曲群は若干質が落ちると感じてしまいます。といっても、平均点以上の出来なんですけどね。

日本盤はここにボーナストラック「Sabre Dance」(ハチャトゥリアンの「剣の舞」)のカバーを追加収録。異色のクラシックカバーではあるものの、意外とCHEAP TRICKというバンドに合っているから不思議です。

バンド本来の姿を取り戻した勝負作だったものの、過去2作には及ばない全米123位という結果を残し、結局Warner Bros.とは本作1枚で契約を終了。この時点ではグランジ経由の再評価は数字につながることなく、バンドは3年後に自主レーベルから2度目のセルフタイトルアルバム『CHEAP TRICK』(1997年)で再浮上に挑むことになります。

 


▼CHEAP TRICK『WOKE UP WITH A MONSTER』
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2020年6月14日 (日)

MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE 20』(2014)

2014年12月にリリースされた、MANIC STREET PREACHERSの3rdアルバム『THE HOLY BIBLE』(1994年)の20周年記念エディション。日本盤未発売。

1994年8月に発売された『THE HOLY BIBLE』は、オリジナルメンバーのリッチー・エドワーズ(G)を含む4人編成としては最後の作品。2004年12月には本作のリリース20周年を祝して、最新リマスター盤+当時完全未発表だったUSリミックスバージョンの『THE HOLY BIBLE』+未発表のデモやライブ音源の2枚組CDと、ライブ映像やテレビ出演時の映像を含むDVDからなる3枚組エディションが発売されており、『THE HOLY BIBLE』のデラックス盤としてはこれが2作目にあたります(日本盤限定で2009年、シングルC/W曲を追加した2枚組紙ジャケ・エディションも発売されています)。

20周年盤は『THE HOLY BIBLE』の最新リマスター盤(DISC 1)、『THE HOLY BIBLE』USリミックスの最新リマスター盤(DISC 2)、シングルのカップリング&リミックス集(DISC 2)、ライブ音源やBBCセッションなどをまとめたライブ集(DISC 4)のCD4枚組に『THE HOLY BIBLE』最新リマスターのアナログ盤、写真集を同梱したボックスセットとなっており、これさえあれば『THE HOLY BIBLE』期のマニックスの音源は完璧!と呼べる内容……だと思っていたんです。ところが、10周年エディションに含まれていたデモやライブ音源は20周年ボックスには未収録。ありゃりゃ……と思ったら、最近気づいたんですが、デジタル版およびストリーミング版には新たにDISC 5が追加されており、こちらに10周年エディションのみで聴くことができた音源がまとめられており、映像を除けば確実にこのデジタル版で網羅することができます。

ということで、豪華な箱やアナログ盤、写真集などが欲しい人はフィジカル(ボックスセット)で購入し、音源だけあればいいという方はiTunesやAmazon Musicなどでデジタル版を購入すればいいかなと(Amazon Musicは6000円ですべて手に入りますしね)。

名盤『THE HOLY BIBLE』に関しては、19年前に熱と愛がこもったテキストを残していますので、そちらに譲ります。最新リマスターでは音の生々しさとダイナミズムはより極まっているんじゃないでしょうか。1994年当時の若干チープなサウンドも、実はこのスタイルにはぴったりなので、どちらが最高とは断言し難いのですが……。

で、今回はUSリミックスを中心に書いていこうかなと思います。このUSリミックス、その名のとおり1994年当時にアメリカでのリリースに向けてトム・ロード・アルジがリミックスを担当したもの。最終的には契約などの関係でUSリリースが実現せず、2004年までお蔵入りされていたわけですが、当時はオリジナル版よりもリバーブが効いてウェットさが増したリミックスに「!?」と疑問を感じたものですが、何度か聴いていると意外と悪くないことにも気づきます。質感的には前作『GOLD AGAINST THE SOUL』(1993年)で展開したアリーナロック的なものに若干近づけたかったのかな。でも、グランジ全盛だった1994年だからこそ、オリジナル版の『THE HOLY BIBLE』は光り輝いたわけで、そこの読みは実際のところどうだったんだろう?と思わざるを得ません。結果、リリースは叶わなかったわけですが、もしUSリミックス版があの当時世に放たれていたら、少しは歴史が変わったのでしょうか。

ギターの音像/押し引きがオリジナル版以上にメリハリが効いていて、ドラムのタイトさも嫌いじゃないし、「Yes」のエンディングや「She Is Suffering」のエフェクトなどオリジナル版にはないものも追加されており、そのへんの聴き比べも非常に面白いんじゃないでしょうか。

DISC 3にはシングルのカップリングで聴くことができた「Too Cold Here」や「Love Torn Us Under」などの隠れた名曲などを網羅。このへんは続く『EVERYTHING MUSG GO』(1996年)への布石だったんだなと気づかされる部分もあるので、改めて興味深いものがあると思います。このほか、オリジナル・リリース時の日本盤にボーナストラックとして収められたライブ音源や、バーナード・バトラー(G)がゲスト参加したSUEDE「The Drowners」のカバーライブ音源、THE CHEMICAL BROTEHRSなどによるリミックス音源、さらには「Revol」の未発表バージョンも聴くことができます。

DSIC 4はリリース当時、英BBCで収録されたAstoriaでのライブ音源や、2014年にBBC Radio 4のために収録されたスタジオライブ音源4曲を収録。Astoriaでのライブはフルスケール収録ではありませんが、それでも全13曲とかなりボリューミーな内容となっています。そして、新録のスタジオライブはすべてアコースティックアレンジを施されたもので、「This Is Yesterday」といったいかにもな楽曲のほか、「Faster」や「P.C.P.」などパンキッシュな楽曲が日和ることなくアコースティックバージョンで生まれ変わっています。これはこれで今のマニックスらしくて、個人的には嫌いじゃないかな。

『THE HOLY BIBLE』をこれから初めて聴く人には、まず13曲入りのオリジナル版をオススメします。ストリーミングなら1994年のオリジナル版も2014年のリマスター版も両方聴けますので、どちらから入ってもいいかな。で、本作を気に入ってマニックスというバンドを十分理解した上で、このボックスを存分に味わうといいんじゃないでしょうか。なので、まずは10数枚におよぶオリジナルアルバムを先に堪能して、デラックス・エディションは余生のお楽しみとして残しておいてもいいと思いますよ(笑)。

 


▼MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE 20』
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