2017/07/21

RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)

1995年秋に発表された、RED HOT CHILI PEPPERS通算6枚目のスタジオアルバム。前作『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991年)がバカ売れ(全米3位、全世界でトータル1300万枚超)したものの、リリース翌年にジョン・フルシアンテ(G)が突如脱退。以降はサポートなどで数名のギタリストを入れ替えつつ活動していましたが、最終的に元JANE'S ADDICTIONのデイヴ・ナヴァロが加入するという衝撃の展開に。そうして約4年ぶりに発表されたのが、この『ONE HOT MINUTE』というアルバムです。

ジョンならではのメロウ&サイケデリックな側面が強く表れ、それがレッチリ本来のファンク+パンクなスタイルと融合したことで4thアルバム『MOTHER'S MILK』(1989年)よりも強靭な個性を確立。しかもそのアルバムがバカ売れしてしまったことで、バンドは成功した路線を踏襲するのかどうかに注目が集まりましたが、そこはレッチリのこと。『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』とは異なるハードな作品を提供してくれました。

とにかく、デイヴ・ナヴァロのギターが派手。JANE'S ADDICTION時代もその個性的なプレイでリスナーを楽しませてくれたデイヴですが、本作ではとにかくギターが暴れまくっている。で、必然的に楽曲もそれに見合った激しくて派手なファンクロックが満載。1曲目「Warped」での緊張感の強いサウンド&プレイは、この時期この編成ならではの奇跡的な好演ではないでしょうか。

その後も「Aeroplane」「Deep Kick」「Coffee Shop」「One Big Mob」「Shallow Be Thy Game」など、とにかくカッコいい曲が満載。かと思うと、前作における「Under The Bridge」ほどではないもののそれなりに聴き応えのある歌モノ「My Friends」「Tearjerker」もある。デイヴのギタープレイが好みというのも大きいですが、個人的にはレッチリの全作品中もっとも好きなアルバムが本作です。

ただ、デイヴが参加したのは本作のみ。1997年夏のフジロック初年度に嵐の中でのライブが話題となりましたが、その後デイヴはバンドを離れ、ジョンが再加入。1999年に『CALIFORNICATION』をリリースし、第2期黄金期の幕開けを飾ることになります。

そういう意味では、この『ONE HOT MINUTE』は非常に不憫なアルバムなんですよね。ジョン再加入後には本作からの楽曲もほぼ演奏されていないし、現在におけるまで黙殺状態が続いている。ジョンとフリー(B)はその後、再結成JANE'S ADDICTIONで共演しているので不仲ではないはずですが、できることならこの時代のレッチリも再び観てみたいものです(できれば、アンソニーが骨折してない状況で)。



▼RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』
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投稿: 2017 07 21 12:00 午前 [1995年の作品, Jane's Addiction, Red Hot Chili Peppers] | 固定リンク

2017/02/18

SKID ROW『SUBHUMAN RACE』(1995)

湾岸戦争勃発を機に世界的不況へと突入していくさなかに発表されたSKID ROWの2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』は、それでも全米初登場1位、トータルセールス200万枚という当時の状況から考えれば上出来の結果を残しました。特にここ日本では1991年、1992年と2年連続でのツアーが実現し、前者では日本武道館、後者では代々木第一体育館とアリーナ会場でライブを実施する盛況ぶりを見せます。また1992年秋にはカバー曲で構成されたEP『B-SIDE OURSELVES』 を発表して、『SLAVE TO THE GRIND』に伴うワールドツアーをひと段落させるのですが、バンドはすぐに次作の制作には入りませんでした。これはHR/HMに取って代わりNIRVANAやPEARL JAMといったグランジ勢がシーンを席巻していたことで、マネジメントから新作制作に「待った」がかかったとも言われています。

空白の1993年を経て、1994年からは新たにボブ・ロックをプロデューサーに迎え3rdアルバム制作を開始。こうして1995年3月にようやくリリースされたのが、本作『SUBHUMAN RACE』なのです。

まず聴いておわかりのとおり、怒りと勢いで制作された前作と打って変わって、本作は同じ怒りをモチーフにしながらも非常にコントロールされた内容です。だからこそ、アレンジ面においてもテクニカルな要素が目につき、セバスチャン・バックのボーカルも時に抑制を効かせ、時に感情を爆発させるというメリハリがついたことで、全体的にダイナミックさが目立つ。また疾走感よりもグルーヴを重視したテンポ感は、『SLAVE TO THE GRIND』以降に発表されたMETALLICAのブラックアルバム、PANTERA『VULGAR DISPLAY OF POWER』などの新世代メタル作品、そしてSOUNDGARDENやALICE IN CHAINSといったグランジバンドからの影響と言えるでしょう。このテンポ感が軸にあることで、全体のトーンが定まっているようにも感じられます。

セバスチャン・バックが当時このアルバムを語る際、JUDAS PRIESTの『BRITISH STEEL』を引き合いに出していましたが、リフに次ぐリフというアレンジ、アップテンポの曲を含むものの基本的にはミドルテンポが持つグルーヴでぐいぐい引っ張り、音の鋭さで聴き手を圧倒させる作風は確かに通ずるものがあるように思います。

本作が発表された頃にはグランジブームもひと段落した時期ではあったものの、SKID ROWのようなバンドは一世代前の存在として片づけられてしまったためか、またレーベルがこの手のバンドと真剣に向き合わなかったためか、チャート的には全米35位という結果で終わってしまいます。とはいえ、オープニングを飾るグルーヴィーな「My Enemy」、地を這うようなリズムが気持ちいい「Beat Yourself Blind」、変拍子を用いたサイケな「Eileen」、「Slave To The Grind」を整理して一段上へと昇華させたような「Subhuman Race」、ヘヴィなリフ&ビートが心地よい「Frozen」、ダイナミックな「Face Against My Soul」や「Medicine Jar」、SKID ROWらしい泣きのバラード「Into Another」、感情を抑えた適度な熱量が魅力の「Breakin' Down」など良曲満載で、決して数字がすべてではないことを証明する1枚ではないでしょうか。

この翌年の1996年にバズ(セバスチャン)がバンドを脱退。SKID ROWの黄金編成はたった3枚で幕を降ろすことになり、2017年現在まで彼の復帰は一度も実現していません。つい先日、新たなシンガーとして元DRAGONFORCEのZPサートが正式加入したばかり。レイチェル・ボラン(B)がイエスと言わない限りは、残念ですが今後もバズの復帰は絶望的なんでしょうね。



▼SKID ROW『SUBHUMAN RACE』
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投稿: 2017 02 18 12:00 午前 [1995年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/10

RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』(1995)

僕は年齢的にRAINBOWに間に合わなかった世代でした。中学に入ると同時にRAINBOW解散〜DEEP PURPLE再結成、秋には『PERFECT STRANGERS』リリース。結局リッチー・ブラックモアが在籍したDEEP PURPLEを観たのは1991年、ジョー・リン・ターナーが参加した『SLAVES AND MASTERS』を携えたツアーでのことでした。その後、リッチーは『THE BATTLE RAGES ON』(1993年)を提げたツアー中に突如脱退。すでに決定していた同年末の来日公演では、急遽ジョー・サトリアーニが助っ人参加するという異常事態となり、面白そうだからとついつい足を運んでしまったのでした。

それから2年後、リッチーは再びRAINBOWとしてシーンに復帰します。そもそもこれも、無名の新人アーティストたちと「パープルでもRAINBOWでもない」新バンドを結成してデビューするつもりだったのが、レコード会社の思惑で最終的に「RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW」名義で作品をリリースさせられてしまったのでした。リッチークラスでも、こういうコントロールが効かなかったりするんですね?

さて、念願の“リアルタイム”RAINBOW。個人的には『SLAVES AND MASTERS』も『THE BATTLE RAGES ON』も曲自体はそこまで悪くなかったけど、やはりどうしてもパープルでやろうとすると無理がある楽曲ばかりだったなと。しかもイアン・ギランをはじめとする一部のメンバーが完全にフィットしていなかった。本当に勿体ないことをしたと思うんです。

でも、この『STRANGER IN US ALL』ではそれがうまく機能している。1曲目の「Wolf To The Moon」から「そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!」と膝を叩きたくなるような曲なのだから、当時の自分がいかに興奮したかご理解いただけるかと思います。実際、リリースから20年以上経った今聴いてもなかなかな作品だと思います。「Hunting Humans (Insatiable)」みたいにヘヴィな曲もあれば“過去のRAINBOWにもあったような”軽快なR&R「Too Late For Tears」、ヘヴィながらも泣きの要素を持つ「Ariel」もあるし、極め付けは「Black Masquerade」! もうここでガッツポーズですよ。さらにそこから “様式美HR/HMとクラシックの融合”「Hall Of The Mountain King」、ロニー・ジェイムス・ディオ時代の“カバーのカバー”「Still I'm Sad」でクライマックスを迎えるんだから、文句のつけようがないわけです。

過去のRAINBOWと比べてああだこうだという声もありますし、実際僕も当時はそんなことを若干気にしたりもしました。しかし、メンバーも違えばリッチーも歳をとったんだから、変わって当然。むしろあの「パープル末期のやる気のなさ」からよくぞここまで持ち返してくれた!と拍手を送りたいです。

そういえばこのアルバムを携えた来日時(1995年11月)、代々木体育館で初めてRAINBOWのライブを観ることができました。このときにはレコーディングに参加したジョン・オライリー(Dr)がすでに脱退し、旧RAINBOWにも在籍したチャック・バーギが加わり古くからのファンを驚かせました。また、後にリッチーとBLACKMORE'S NIGHTを結成するほか、現在まで公私のパートナーであるキャンディス・ナイトもコーラスで参加したのも記憶に残っています。

にしても、このアルバムから約20年後、三たびRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWが復活するとは……そのへんはまた別の機会に話しましょう。



▼RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 10 12:00 午前 [1995年の作品, Rainbow] | 固定リンク

2016/01/10

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

Blur『The Great Escape』(Amazon

Bon Jovi『These Days』(Amazon

The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』(Amazon

Fear Factory『Demanufacture』(Amazon

Foo Fighters『Foo Fighters』(Amazon

The Fugees『The Score』(Amazon

Garbage『Garbage』(Amazon

King Crimson『Thrak』(Amazon

Oasis『(What's the Story) Morning Glory?』(Amazon

Pulp『Different Class』(Amazon

Queen『Made in Heaven』(Amazon

Red Hot Chili Peppers『One Hot Minute』(Amazon

Reef『Replenish』(Amazon

The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(Amazon

Sepultura『Roots』(Amazon

Teenage Fanclub『Grand Prix』(Amazon

The Wildhearts『P.H.U.Q.』(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下ざっと候補を羅列します。

Alanis Morissette『Jagged Little Pill』
Anthrax『Stomp 442』
The Beatles『Anthology 1』
The Boo Radleys『Wake Up!』
Bruce Springsteen『The Ghost of Tom Joad』
The Charlatans『The Charlatans』
D'Angelo『Brown Sugar』
David Bowie『Outside』
In Flames『The Jester Race』
Michael Jackson『HIStory: Past, Present and Future, Book I』
Nine Inch Nails『Further Down the Spiral』
Ozzy Osbourne『Ozzmosis』
Paul Weller『Stanley Road』
The Rentals『Return of the Rentals』
Ron Sexsmith『Ron Sexsmith』
Sonic Youth『Washing Machine』
Supergrass『I Should Coco』
Terence Trent D'Arby『Terence Trent D'Arby's Vibrator*』
Terrorvision『Regular Urban Survivors』
Underworld『Second Toughest in the Infants』
White Zombie『Astro-Creep: 2000』

こうやって振り返ると、1995年から1996年初頭ってブリットポップの最盛期だったんですね。1995年3月にはElasticaやGeneのアルバムも発表されてるし、1996年後半になるとKula Shakerの1stもリリースされますし。やっぱり1995年夏のBlur vs Oasisの直接対決がピークでしたね、いろんな意味で。

あ、Underworldをあえて選外にしたのは、日本盤のリリースが1996年6月だったから。海外では3月発売ですが、その後の「Born Slippy」のヒットなど含めて考えると、このアルバムは1996年から1997年の作品かなと思いまして。来年はマストかな。

メタルの世界はグランジがひと段落したものの、ポストグランジ的サウンドのバンドが増えつつあり、前年からのMotley Crue、Dokkenの失敗など、あまり芳しくない状況でした。そんな中、1994年のKornデビューを機にグルーヴ感のあるヘヴィロックが台頭し始めます。前年デビューのMachine Headもその1つですね。Sepulturaは前作『Chaos A.D.』でのシフトチェンジから、ブラジル音楽のルーツを取り入れた傑作『Roots』で活動のピークを迎えるのも、1996年初頭のお話。Fear Factoryのようなデジタル要素を取り入れたヘヴィバンドも人気を集め始めたのも印象に残ってます。同時期に国内ではTHE MAD CAPSULE MARKETSが『4 PLUGS』をリリースしたのも、海外の動きとリンクしていて興味深いです。

ちなみに日本国内ではこの頃、ブルーハーツの解散(6月)やUP-BEATの解散(8月)、光GENJI(光GENJI SUPER5)の“卒業”(9月)、Winkの活動停止(96年3月)といった出来事がありました。いわゆるTKサウンドがチャートを席巻し、MY LITTLE LOVERやglobeがデビューしたのもこの頃でした。

投稿: 2016 01 10 12:00 午前 [1995年の作品, 1996年の作品, Ben Folds, Bon Jovi, Foo Fighters, Queen, Smashing Pumpkins, Teenage Fanclub, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2015/10/04

MEGADETH『HIDDEN TREATURES』(1995)

1995年当初、日本のみでリリースされていた過去のカバー曲やアルバム未収録曲を集めたコンピレーションアルバム。アリス・クーパー「No More Mr. Nice Guy」やBLACK SABBATH「Paranoid」、再びSEX PISTOLSから「Problems」をカバーするなど、MEGADETHにしてはストレートな楽曲ばかりなのが面白味に欠けるかも。

その他には日本盤ボーナストラックとして既発の「Breakpoint」「New World Order」などもあり。個人的には、なかなかの出来なのにアルバム本編に収録されることのなかった映画サントラ提供曲(『ラスト・アクション・ヒーロー』の「Angry Again」、『ビルとテッドの地獄旅行』の「Go to Hell」など)をまとめて聴けるという意味で非常に重宝した1枚。どうせなら「Anarchy In The U.K.」や「I Ain't Superstitious」といったアルバムに収録されたカバー曲も集めた、完璧なカバー&サントラ提供曲集にすればもっと価値が高まったのかも。

まあ今となってはコアなファン向けの1枚で、オリジナルアルバムを全部聴いた人が最後に揃えればいいかも(「Angry Again」あたりは後のベストアルバムにも収録されてるし)。



▼MEGADETH『HIDDEN TREATURES』
(amazon:輸入盤CD

投稿: 2015 10 04 12:30 午前 [1995年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/01/13

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

Korn「Korn」(Amazon

Machine Head「Burn My Eyes」(Amazon

Madonna「Bedtime Stories」(Amazon

Manic Street Preachers「The Holy Bible」(Amazon

Nine Inch Nails「The Downward Spiral」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Oasis「Definitely Maybe」(Amazon

Pearl Jam「Vitalogy」(Amazon

Pink Floyd「The Division Bell」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Portishead「Dummy」(Amazon

The Prodigy「Music for the Jilted Generation」(Amazon

R.E.M.「Monster」(Amazon

Radiohead「The Bends」(Amazon

Slayer「Divine Intervention」(Amazon

Suede「Dog Man Star」(Amazon

Weezer「Weezer (The Blue Album)」(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。それこそThe Beatlesの「Live at the BBC」、The Rolling Stones「Voodoo Lounge」、Nirvana「MTV Unplugged in New York」、The Stone Roses「Second Coming」といったものから、Marilyn Mansonのデビュー作「Portrait of an American Family」、Sloan「Twice Removed」、Sick of It All「Scratch the Surface」、The The「Hanky Panky」、Bonston「Walk On」、TLC「CrazySexyCool」、Van Halen「Balance」、Beck「Mellow Gold」あたりまで。カート・コバーンが亡くなって20年なんですね。そう考えると20年なんてあっという間ですよ、本当に。

※1/13 17:40加筆修正
Nine Inch Nails「The Downward Spiral」という個人的に絶対に欠かせないアルバムの存在を思い出させてくれたいっしーさんに感謝。というわけで、セレクトを一部改訂しております。

投稿: 2015 01 13 12:06 午前 [1994年の作品, 1995年の作品, Manic Street Preachers, Nine Inch Nails, 「20年前」] | 固定リンク

2005/08/16

LOUDNESSの'90年代前半作品、USにて初リリースに。

 最近、「Wounded Bird」っていうレーベルから'80年代の名盤が再発されてるんですよ。例えばWINGERの2ndとか3rdENUFF Z'NUFFの廃盤だった2nd辺りが最近ここから再発されたりしてて。

 んでこのレーベル、調べると「Atlantic Records」周辺のものしか再発してないのね。どうやらその辺の傘下みたいで、廃盤モノの再発専門レーベルのようです。ソニーでいうところの「Legacy」みたいな感じ?

 でさ。最近このレーベルから、日本のLOUDNESSのUS未発売だった時期の作品がまとめてリリースされてるんですよ。これは再発とは言わずに、初US盤化ってことになるのかしら。既にこの時期のLOUDNESSは海外での契約はなかったはずで、非常にドメスティックな活動だったのね。歌詞も日本語ものがポツポツと復活し出した頃だし(ま、アルバムに1〜2曲程度?)、そりゃ海外でのリリースはキツイよな、と。音楽的にも「THUNDER IN THE EAST」の頃とは全く違うバンドになっちゃってるし。

 来月、現オリジナルメンバーによる最新作「RACING」の英語版ヨーロッパでもリリースされるけど、これを機に再評価とか起こるんでしょうか。そういえば去年だったっけ、ヨーロッパのフェスにLOUDNESSがスペシャルゲストとして呼ばれたのって。その辺の影響もあるのかしら。

※アルバムタイトル前の「○」が過去USでのリリースあり、「●」は今回USで初出となるアルバム。



○THUNDER IN THE EAST('85年)amazon
‥‥USデビュー盤。ビルボードのアルバムチャートの74位にランキングしたことで有名。"Crazy Nights" のイメージが強いんだけど、この曲はそれまでの彼等らしくない、非常にアメリカンなミドルヘヴィチューンなのよね。全体的にその辺を意識した曲作りになってるので、当時は賛否あったように記憶してます。



●8186 LIVE('86年/US未発売)amazon
‥‥デビュー5周年記念の代々木体育館ライヴを収録した2枚組ライヴ盤。ライヴ盤としては通算2作目だけど、とにかくベスト選曲なので当時よく聴いた記憶が。



○HURRICANE EYES('87年/USバージョン)amazon
‥‥「Atlantic Records」からのUSリリース第3弾。"S.D.I." のイメージが強いけど、実は "This Lonely Heart" や "Rock'n'Roll Gypsy"、"So Lonely" 等、非常にポップなメロを持った曲が多い意欲作。日本では後に「日本語バージョン」のアルバムも製作されましたっけ。



○SOLDIER OF FORTUNE('89年)amazon
‥‥'88年に二井原脱退、更にワールドワイドな活動を目指すためにアメリカ人シンガー、マイク・ヴェセーラを迎えて製作されたUSリリース第4弾。が、歌詞やメロディ自体は二井原在籍時には完成していたもので、マイクはそれに沿って歌っただけのよう。だからなのか、我々日本人にも取っつきやすい、メロディアスなハードロックを聴かせてくれます。売れなかったけど、アメリカでの評価はかなり高いようです。



○ON THE PROWL('91年)amazon
‥‥マイク加入後2作目にしてUSリリース第5弾。デビュー10周年記念と称して、過去の代表曲を当時のメンバーで再録音。勿論原曲が日本語の歌詞は全部英語に。何故か "Crazy Nights" や "Loudness"、"Crazy Doctor" といった王道が選ばれてない。"In The Mirror" とか "Sleepless Night" 等の出来はなかなか。他に新曲が幾つか入ってるけど、これは微妙。正直、「SOLDIER OF FORTUNE」がウソみたい。そういう意味でも非常にアメリカン。ただ、その割りには海外で全然話題にならなかったようだけど。



●LOUDNESS('92年/US未発売)amazon
‥‥マイクが'91年夏のUSツアー後脱退(ていうか半ばクビ)、更にオリジナルメンバーの山下(ベース)まで脱退し窮地に立たされるも、MASAKI(元E.Z.O./Vo)とTAIJI(元X/Ba)の加入で「ある意味」過去最高のメンツになってしまった、このメンバーによる唯一のオリジナル盤。当時はスポーツ新聞にも大きく取り上げられたよね、TAIJI加入で。でも音はLOUDNESSというよりもE.Z.O.に近い気が。ボーカルのせいか。そして全然Xぽくない。両バンドが好きだった者としては複雑だった。当然、このアルバムのツアーは結構な数追っかけたよ。



●ONCE AND FOR ALL('94年/US未発売)amazon
‥‥上記「LOUDNESS」リリース時のツアーを収録したライヴ盤。当然メインは「LOUDNESS」収録曲なんだけど、このライヴ盤の本当の凄さはMASAKIが "Crazy Doctor" や "S.D.I" を歌う以上に、LOUDNESSとしてE.Z.O.の "House Of 1,000 Pleasures" をプレイしてる事実でしょうか。演奏は粗いけど、それ以上の価値はあると思うよ。



●HEAVY METAL HIPPIES('94年/US未発売)amazon
‥‥案の定TAIJIがすぐに脱退して、しかもドラムの樋口まで脱退。MASAKIも一時脱退という半ば解散状態の中、出戻りMASAKIと共に製作された1枚。ドラムにはMasakiの盟友、本間大嗣(元E.Z.O.、現在はANTHEM)を迎え、ベースは高崎自らが弾いてる。非常にサイケでヘヴィな1枚。今聴いてもLOUDNESSには聞こえない。多分E.Z.O.が続いてたらこういう路線に行っちゃったのかなぁ、という気も。



●LOUD'N'RAW('95年/US未発売)amazon
‥‥「HEAVY METAL HIPPIES」リリース後のクラブツアーを収めたライヴ盤。ベースはアルバム完成後に加入した(当時)元ANTHEMの柴田直人。曲がアレなので勿体ない気がするけど‥‥聴きどころは、DEEP PURPLEの "Speed King" のカバーかしら。あと、やっぱりMASAKIには "S.D.I" は歌いこなせないと思う。宝の持ち腐れだよな、双方にとっても。


 「LOUDNESS」以降の、ワーナー在籍時のオリジナル盤とライヴ盤が海外初リリースとなるわけね。ま、E.Z.O.のファンって海外にも多いだろうから、そういう意味での需要はあるだろうね。そして、どういう評価を受けるのかが気になるところ。

 そういえばAmazonで、「LIGHTNING STRIKES」('85年のUSリリース第2弾)のみ見つからないよ。って思ったら、このアルバムだけ再発されてないでやがんの。確かに俺の中でも一番微妙な1枚なんだけどね。

 ‥‥考えてみたら、E.Z.O.のアルバムも紙ジャケ・リマスターでこの春に再発されたけど、当のMASAKIは何してるんでしょうか‥‥ニューヨークにいるんだっけ? もっと活発に音楽活動やって欲しいんだけどなぁ‥‥難しいだろうけど。

投稿: 2005 08 16 08:47 午後 [1985年の作品, 1986年の作品, 1987年の作品, 1989年の作品, 1991年の作品, 1992年の作品, 1994年の作品, 1995年の作品, Loudness] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/16

とみぃ洋楽100番勝負(90)

●第90回:「Leave Home」 THE CHEMICAL BROTHERS ('95)

 こんな俺ですが、実はCHEMICAL BROTHERSの初来日と2度目の単独@リキッド、行ってるんですよね‥‥こんなロックバカの俺が、所謂テクノやダンス系の先物買いっぽく。いや、友達に誘われて行ったんですけど。あと、何故かavexの東京ドームのイベントとかも。あれでPRODIGYとか観てるしね(しかもそれが唯一観たことのある生PRODIGYという)。

 彼等は‥‥何だろ、最初はリミックスの方で知ったのかな。MANICSの "Faster" のリミックスとかやってたしね。ま、その頃はまだ「THE DUST BROTHERS」って名前だったんだけどね。同名のプロデュース・ユニットがいたから(ベックとか手掛けてたんだよね)結局改名したんだけど、よりによって「シャブ中兄弟」って‥‥笑(「CHEMICAL」っていうのは、化学生成された薬物を意味しますからね。覚せい剤とかヘロインとか)

 (一般的なロックファンへの)世間的な知名度は、このアルバム後にリリースされた "Setting Sun" やそれを含む2ndアルバム「DIG YOUR OWN HOLE」以降なんだけど、個人的な思い入れとなると、やっぱり1stかなぁ‥‥

 こういうのは何て言うんでしたっけ‥‥ブレイクビーツ? いや、カテゴリーとかよく判らないんだけど、単純にリズムがカッコ良く且つ気持ちよかったんだよね、初めて聴いた時。友人の車の中で、爆音で聴かせてもらったんだけど‥‥一発でハマったし。完全にロックしてるもんね、このビートは。テクノって感じでもないし、かといってヒップホップとは絶対に違うし。ロックの高揚感がキチンと備わってるし、それでいてダンスミュージックのフォーマットもしっかり持ち合わせている。このちょっと後辺り‥‥UNDERWORLDやPRODIGYがチャート的に大成功した辺りから「デジロック」なんていう訳の判んない呼び方まで登場したけど(マッドまでその枠に入れられた時には笑うしかなかったけど)、要するにロックサイドの人達はこれをどうしても「ロック」の枠の中で語りたかったんだよね。いや、それでしか語れなかったんだよ、彼等は。無理矢理自分達の土壌に持ち込んで語るしかなかった、と。その気持ちは痛い程判るけどね。

 結局さ、文系ロック的な人達は頭でロックを語るしか出来なかったから、この曲の本質‥‥爆音で聴いて「踊る」ということに気づいてなかったんだよな、まだこの曲が出た頃は。特に日本ではね、レイヴとかそういったものが一部でしか盛り上がらなかったから余計だよね(だってSTONE ROSESを『THE SMITHSの後はこれだ!』みたいな捉え方で盛り上げようとしてた国だからね、ここは)。



▼THE CHEMICAL BROTHERS「EXIT PLANET DUST」(amazon

投稿: 2004 11 16 12:04 午前 [1995年の作品, Chemical Brothers, The, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/15

とみぃ洋楽100番勝負(89)

●第89回:「I Wanna Go Where The People Go」 THE WiLDHEARTS ('95)

 1995年。初めてTHE WiLDHEARTSが来日した年。そして解散騒動の繰り返しを始めた最初の頃‥‥いろんな意味でこの10年間、俺はこのバンド、そしてジンジャーに振り回されっぱなしなんだよね。けど‥‥明らかに現在、この頃と比べて彼等に対する熱は下がってると思う。仕方ないよね、それは‥‥ライヴにしろ、出す曲にしろ‥‥多くは語らないけど‥‥やはり1997年秋を境に、大きく変わってしまったよね、いろいろと。

 初来日の時、確かこの曲からライヴがスタートしたんだよね‥‥違ったっけ? なんかこの曲からライヴが始まることが多いからさ。やっぱりねぇ、この曲のイントロを聴くと‥‥体中の血液という血液が全部逆流し始めて、スネアの「ダカダカダカダカ、ジャーン!」ってところで一気に爆発する‥‥あの瞬間を味わいたくてね。CDの音源よりも、ライヴで味わう方がいいよね、この曲は。

 勿論他にも良い曲は沢山あるし、それらもライヴじゃすっげーカッコいいんだけど、どうしてもこの曲の場合は‥‥ライヴの1曲目にピッタリっつーか、そのイメージが強いからさ。無駄にテンションが上がっちゃうんだよね。もし未だに彼等のライヴを体験したことがないという人がいたら、それは不幸以外の何ものでもないよ。偶然サマソニとかで目撃して一発でハマッてしまったという声、沢山耳にしてます。今後もそういう機会が沢山あるだろうから‥‥また解散する前に、是非一度体験してみてください。一発でハマるから。

 それにしても‥‥今更だけど、この曲のタイトルって、ホント素晴らしいよね‥‥



▼THE WiLDHEARTS「P.H.U.Q.」(amazon

投稿: 2004 11 15 12:02 午前 [1995年の作品, Wildhearts, The, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/13

とみぃ洋楽100番勝負(87)

●第87回:「Tonight, Tonight」 THE SMASHING PUMPKINS ('95)

 スマパンがずっと苦手で。前のPEARL JAMの場合は単純に「自分的に決定打に欠ける」ってだけで、別に嫌いじゃなかったんだけど。スマパンの場合は‥‥なんだろ‥‥あの世界観が‥‥1stの頃とかね‥‥無理してやってるんじゃないの?くらいに思えて。だから「GISH」って殆どリアルタイムでは通過してないし、2nd「SIAMESE DREAM」にしても一部の "Today" とか "Disarm" といった楽曲を除いて、どうにものめり込めなくて。

 そんな俺がスポッと彼等にハマってしまったのは、この「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」というアルバムタイトルと、"Tonight, Tonight" という楽曲のお陰だったのかな。でもね、そこにたどり着くまでには、アルバムリリースから半年以上もの時間を要したんだけど。

 完全に聴かず嫌い‥‥ちゃんと聴いてこなかったんだなぁ、と。いや、それを抜きにしてもこの2枚組アルバムの音楽的成熟度はハンパじゃなかったんですよ。むしろ俺がこれまで感じていた「無理してる感」が皆無で、30曲以上あるもんだからいろんなタイプの曲があって。それこそビリー・コーガンがどういった音楽から影響を受けて来たかが伺えるような要素がそこら中に見え隠れしてるわけ。で、それらが自分とかなりオーバーラップしていた、と。

 "Zero" とかああった世界観を持つ楽曲にもすんなり入っていけたし、"1979" なんて思わず吹き出してしまうタイプの曲もあったり‥‥けど俺は、彼等にそれこそアルバムタイトル通りの「メロンコリー」と「終わりのない悲しみ」を求めてしまってね。"Tonight, Tonight" もそうだし、ディスク2後半の流れとかさ‥‥それは続くアルバム「ADORE」にまで続くんだけど。

 誰も彼もがあの時代、同時代に登場したことで、そして先に逝ってしまったことで、カート・コバーンがそれまで担ってきた役割を背負わされそうになっていた。だからこそ、あのムーブメントが崩壊することで、それぞれが本来持っていたものを曝け出す必要があった。そしてPJにしろスマパンにしろ、そういった時代を担うことを拒否し、いち抜け二抜けしていき、独自の個性を磨いていった。その結果、俺は彼等の本当の姿に出会うことができた。そして今がある、と。

 ビリー・コーガンには本当に頑張って欲しいのよ。ZWANがああいった形で終わってしまったこともあってね‥‥もう一度スマパンをやって欲しいとは思わないけど、これを超えることは可能なんじゃないかな‥‥と信じて疑わないんですけど。絶対にやれると思う、あの男なら。ブリトニーとか気にしてる場合じゃなしに、好き放題やった時の本当の凄さは、このアルバムで実証済みなんだからさ。



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投稿: 2004 11 13 12:00 午前 [1995年の作品, Smashing Pumpkins, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/05/18

BON JOVI『THESE DAYS』(1995)

いろいろ異論反論はあると思うけど、間違いなくBON JOVIの最高傑作は、1995年という時代にドロップされた6枚目のオリジナルアルバム『THESE DAYS』だと思う。世間的にはBON JOVIの第二のピークは『CRUSH』以降ってことになるんだろうけど、それってアメリカでの話ですよね? 確かにアメリカでの彼らは「KEEP THE FAITH」以降、失速していったように見えます。が、それって80年代と比べてってことでしょ? あの時代に、こんなメインストリームロックがチャートのトップ10内にアルバムを送り込んで、尚かつミリオン(=100万枚以上)セールスを、どれだけ記録した? せいぜいBON JOVIとDEF LEPPARDくらいじゃないの?(ま、そのLEPSもアメリカではドンドン苦戦を強いられていくわけですが)

94年秋にリリースされた初のベスト盤『CROSS ROAD』もチャート10位内にランキング、ミリオンセールスを記録。そこからのシングル「Always」はチャートのトップ5入りする大健闘を見せた。けど、時を同じくしてベーシストのアレック・ジョン・サッチが脱退・引退を表明。丁度新しいオリジナルアルバムの製作時期だったこともあり、バンドはそのまま活動がストップしてしまうのかと思いきや、ジョン・ボン・ジョヴィ含めメンバーと古い付き合いのベーシスト、ヒューイ・マクドナルドを準メンバーに迎え(BON JOVIは今後、4人として活動し、レコーディングとライヴにはサポートとしてヒューイが加わる形となった。ビル・ワイマンが抜けたROLLING STONESみたいなものですよ)、年末のチャリティー・ライヴで新生BON JOVIを初お披露目、そのまま6作目となるオリジナルアルバムのレコーディングに突入。そうして完成したのが、この『THESE DAYS』という傑作アルバム。逆境だったはずのメンバー脱退なんだけど、殆どバンドに影響しなかったのは、当時のジョンやリッチー・サンボラがソングライターとして如何に充実していたか、また久々の大ヒットが追い風となって、バンドとしていい波に乗れたというのも大きかったんでしょうね。

が、このアルバム。そんな勢いを感じさせるような作品かというとそうでもなく、実はBON JOVI史上最も地味な作品として挙げられることが多い1枚でもあるんですよね。ベスト盤収録の新曲群も手掛けたピーター・コリンズを共同プロデューサーに迎え、ジョンの自宅内にあるスタジオで制作されたこのアルバム、かなり「バンドのアルバム」としてのライヴ感を重視しているんですが、楽曲がとにかく地味。ボブ・ロックを迎えて制作した作品群と比べても、ハードロックとルーツロック、それくらいの違いが感じられる程なんですね‥‥音の触感という面でもそうだけど、やはりちょっとした曲のタッチやメロディ、歌詞の内容等、明らかに以前よりも高いハードルを目指しているのが伺えます。ただのパーティーロック、ティーンエイジャーの心の内を歌ったようなものではなく、30代を迎え父親となったジョンの、大人としての視点で描かれる物語‥‥既にそれはアメリカン・ハードロックといった枠で括れないような次元に達していると思います。言ってしまえば、「Livin' On A Prayer」で歌われたトミーとジーナの10年後‥‥そんな世界観でしょうか。英語が理解され難いここ日本で、果たしてそこまでの内容が認識されているかは疑問ですが、とにかくこのバンドの成長は、デビュー時から共に成長してきた俺にとっても非常に感慨深いものでした。

とにかくアルバム前半の流れは完璧。エリック・クラプトンばりに弾きまくるリッチーのフレーズが印象深い「Hey God」(アルバムからの5thシングル)、日本では自動車のCMソングに起用されたので記憶に残っている人も多いだろうBON JOVIらしいアメリカンロック「Something For The Pain」(アルバムからの2ndシングル)、R&Bの要素さえ感じさせる初のロッカバラード「This Ain't A Love Song」(アルバムからの先行シングル)、アルバムのタイトルトラックにしてBON JOVI史上三本指に入る名曲中の名曲「These Days」(アルバムからの4thシングル)、中盤のメロトロンの音が印象深いバラード「Lie To Me」(アルバムからの3rdシングル)、そしてライヴでも定評があるファンクロック「Damned」‥‥ここまでの6曲の流れ、本当に素晴らしいんだよね。特に頭5曲は全部シングル曲ということもあり、耳に残る名曲ばかり。ただノリの良さで攻めるのではなく、しっかり聴かせる曲も3~5曲目に並んでる辺りはさすがというか。

で、後半なんですが‥‥いきなりサイケで重々しい空気でスタートし、どんどんと展開していくグランジ調ヘヴィロック「My Guitar Lies Bleeding In My Arms」(これがもう本当に名曲!)、元々はジョンのソロ曲としてスタートした弾き語り風アコースティックナンバー「(It's Hard) Letting You Go」、BON JOVIらしいポップなメロディを持つロッカバラード「Hearts Breaking Even」、ダークな印象が斬新な新境地「Something To Believe In」、これまた彼ららしい大陸的なミディアムナンバー「If That's What It Takes」、そして『NEW JERSEY』時代から何度かレコーディングしてみたものの上手くいかず、最終的にこういう形で落ち着いたという曰く付きの「Diamond Ring」でアルバムは一旦幕を閉じます(この後、日本盤とEU盤ではボーナストラックとして「All I Want Is Everything」と「Bitter Wine」という2曲が収録されています。アルバム本編の12曲と比べるとちょっとだけ劣る気もするけど、まぁ悪くない佳曲だと思います)。

 アメリカではアルバムはかろうじてトップ10入りし、ギリギリ100万枚に達したようだけど、ヨーロッパで5枚リカットされたシングルはアメリカではたった3枚、しかもどれも思った程のヒットを記録することもなく、ツアーもアリーナクラスを数ヶ月回った程度で終わったようです。しかし、日本では初登場1位を記録するという異例事態が発生。またイギリスでも同時期にリリースされたマイケル・ジャクソンのアルバムを抑えて初登場1位を獲得、同時期には7万人以上も入るウェンブリー・スタジアムで数日間のソールドアウト公演を実現‥‥そう、確かにこのアルバムを発表した時期は、バンドにとって第二の世界的大ヒットを迎えたピークだったといえるでしょう。

後の『CRUSH』や『BOUNCE』とも違うヘヴィさ、ダークさ。世が世だったというのも大きいでしょうけど、やはりもとを正せば、メンバーチェンジだったりアメリカでの不遇が彼らに影を落としていたのかもしれません。実際、後にジョンもこのアルバムを「ダーク過ぎた」と認めていますしね。

けどさ‥‥だから何!? ダークだろうがヘヴィだろうが地味だろうが、名盤には違いないでしょ? 俺にとっても、そして多くのファンにとってもこのアルバムってとても大切な1枚なんですよ。耳障りが良い近年のアルバムや80年代の大ヒット作の間に挟まれて肩身の狭い思いをしているであろう1枚。中古盤屋でも1枚200円くらいで売られているのを見かけると、かなり切なくなってしまう1枚。内容が内容なだけにね‥‥いや、本当に名作なんだってば!

BON JOVIがデビューしてから今年で20年。彼らの20年の歴史の上で、現時点でこのアルバムはどういう風に位置付けされるのか‥‥非常に気になるところではあるんだけど‥‥きっと、もうこういう作風のアルバムって作らないんだろうなぁ‥‥何となくだけど、そう感じています。けど、だからこそこのアルバムが「オンリーワン」として燦然と輝いているってのもあるんだけど。うん、まぁあれだ‥‥BON JOVI好きって奴でこのアルバムを聴いてない若いファンがいたら、そいつはもぐりだ!ということですよ。今からでも遅くないから、早く聴きなさいって!



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投稿: 2004 05 18 12:00 午前 [1995年の作品, Bon Jovi] | 固定リンク

2004/05/01

MICHAEL JACKSON『HISTORY : PAST, PRESENT AND FUTURE BOOK 1』(1995)

今だからこそ語ってみたい、マイケル・ジャクソンの素晴らしさについて。

勿論、ここで話題にするのは最近のゴシップネタではなくて、純粋に『音楽』そのものについて。仮に今裁判で争われていることが事実だとしても‥‥これらの素晴らしい楽曲の数々を、我々から奪うことなんて、何者にも出来はしないよ。いや、出来てたまるか!ってぇんだ。

このアルバムは1995年6月にリリースされた、2枚組アルバム。「HISTORY」というそのタイトル、そして「PAST, PRESENT AND FUTURE」というサブタイトル通り、この2枚のディスクにはマイケルの過去、('95年当時の)現在、そして未来が約150分・30曲に渡って繰り広げられています。ディスク1には「HISTORY BEGINS」というタイトルがつけられ、彼がエピックからリリースした4枚のアルバム‥‥「OFF THE WALL」、「THRILLER」、「BAD」、「DANGEROUS」からの大ヒットナンバーが15曲選ばれています。当時の最新技術を用いたリマスター処理も施されていて、オリジナル アルバムを持っている人でもその音のクリアさに当時は驚いたものです。

曲目は可もなく不可もなく、といった印象。つうかどれも一度は耳にしたことがあるような曲ばかりだし、今更感は強いんだけど‥‥こうやって改めてこのディスクを聴いてみると、本当に優れたポップソングばかりで、一番古い音源‥‥ "Rock With You" や "Don't Stop 'Til You Get Enough" 辺りを2004年の今聴いても、全然古くさいと感じないんですよね。それは中学時代から数えてそれこそ20年近く聴き続けている「THRILLER」収録の楽曲群に関しても一緒。本当にこれらを聴いて、それを血や肉にしていって俺等は成長していったんだなぁ、と。特に自分と同じ世代の人達なら判ってもらえると思うけど、「THRILLER」や「BAD」といったアルバム、そしてそこから派生した "Billy Jean" や "Thriller"、"Bad" といった楽曲のPV。これらがあの頃の俺達にとって『全て』だったんだよね。後楽園球場での初来日公演とかさ、ペプシのCMとかさ、「キャプテンEO」とかさ‥‥

で、そんな『懐メロ』的要素だけで終わってないのがこの2枚組。残るもう1枚のディスク‥‥ディスク2には「HISTORY CONTINUES」というタイトルが付けられているのですが、もうね、そのまんま。15曲入りのニューアルバムなわけよ、これ。1曲既出曲(BEATLESのカバー "Come Together")があるけど、それ以外はこのベスト盤用に録音された新曲。これがね、とにかく凄いの何のって‥‥「THRILLER」や「BAD」といったアルバムは別格として‥‥'90年代以降にリリースされたマイケルのオリジナルアルバムの中では、もうダントツに1番好きですね、このディスクが。

とにかくね、挑発的/攻撃的な要素が強いんですよ、このディスク。確か当時も裁判で揉めてた時期だったのかな?(現在も続いている裁判の元となった事件ですよね確か)そういうこともあってか、とにかく攻めの要素が非常に強い作風で、尚かつ音楽的にも実験的なんですよね。

それ以外にも、脇を固めるゲスト陣の豪華さが過去最高。プロデュース陣はジャム&ルイス、ダラス・オースティン、R・ケリー、デヴィッド・フォスターといった大御所達が約半数を、残りをマイケル自身が手掛けていたりするし、ゲスト・ミュージシャンにも実の妹であるジャネット・ジャクソン、BOYZ II MEN、THE NOTORIOUS B.I.G.、シャキール・オニール、トレヴァー・ラビン(当時はYES)、ナイル・ロジャース(CHIC)、スラッシュ(当時はGUNS N'ROSES、現在はVELVET REVOLVER)、スティーヴ・ルカサー&デヴィッド・ペイチ(TOTO)等と、とにかく豪華。実際にはどの曲のどのパートを誰が弾いてるかまでは判らなかったりするんですが‥‥けどさ、別にその豪華さに気づかなくても、あるいは全然知らなくても平気なくらいに、本当に素晴らしいバックトラックで完成度が高い。勿論、そういった優れたプレイヤー達によって支えられてるからってのも大きいんだけどね。

兄同様、最近かなり話題になってしまった感のあるジャネットとのデュエット "Scream" からアルバムはスタートするんだけど、とにかくカッコいい。続く "They Don't Care About Us" もリズムがかなり強調されたアレンジで、イイ。その後も名曲が続くんだけど、最初の山場は5曲目 "Earth Song"。この壮大な楽曲がとにかく素晴らしい。マイケルのボーカルパフォーマンスも同様に素晴らしい。その後、また攻撃的なダンスチューンが続き、2度目の山場が‥‥9曲目 "You Are Not Alone" という名バラードからスタートする、スローチューン2連発。この後に、これまた素晴らしい "Childhood" という名曲が続くんですよ‥‥ここでメロメロになるね普通なら。前半の攻撃的で尖った空気をここで帳消しにしてくれるわけですよ。とはいってもその後にもヘヴィな "Tabloid Junkie" というまんまなタイトルの曲やら、もうカッコいいという以外の言葉が見つからないヒップホップチューン "2 Bad" を経て、最後の山場‥‥"History" 以降の流れね‥‥を迎えて、そのまま "Smile" で感動的なフィナーレを迎えるわけです。70分以上に及ぶ超大作なオリジナルアルバムとなってますが‥‥これがベスト盤のおまけ程度にしか思われてないのが残念でならないね。つうかさ、普通ディスク1のベスト盤の方がおまけだよね、ディスク2の新曲群を聴いてしまったら。そう思いませんこと??

‥‥と、かなり熱く力説してしまいましたが‥‥やはりこの人のミュージシャンとしての嗅覚って尋常じゃないよな‥‥と再認識。正直、ここ最近はスタッフやパートナーに恵まれてないように思いますが‥‥その気になったらもっと凄いアルバムを作ってくれるんじゃないか‥‥そう信じて疑わないよね、これ聴いちゃったら。

有罪か無罪か‥‥正直、そんなのどうでもいいよ。この2枚組をぶっ続けで聴いてたら本当にそう思えてきたよ。まぁ実際にはどうでもよくなかったりするんですが‥‥



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投稿: 2004 05 01 02:54 午前 [1995年の作品, Michael Jackson] | 固定リンク

2004/03/26

ALICE IN CHAINS『ALICE IN CHAINS』(1995)

早いもので、レイン・ステイリーがこの世を去ってから2年近くも経ってしまった。いや、ことALICE IN CHAINSの不在という意味で考えれば、ベスト盤リリースから約5年、オリジナルアルバムでいえば約10年ということになるのかな‥‥え~っ、そんなに時間が経ったの!?って疑ってしまう程、俺の中での「ALICE IN CHAINSに対する想い」はずっと1994~5年頃で止まったまま。もっと言っちゃえば、唯一の来日公演となった93年秋から時間が止まったまま。あの時の衝撃は未だに忘れられないし、自分の中でのロック史上、歴史的瞬間だったことは改めて書くまでもないでしょう。

そんな3度目の春を迎える前に、改めてALICE IN CHAINSの功績について語っていきたいと思います。今回はサードアルバムにして、オリジナル作品としてはラスト作となった、このセルフタイトルのアルバムを紹介したいと思います。

前作『DIRT』(92年)リリース後、暫くしてベーシストが交代、最後まで在籍したマイク・アイネズ(元OZZY OSBOURNE)が加入し、93年秋には初来日を果たし、そのすぐ後にミニアルバム『JAR OF FLIES』をリリース。これがミニアルバムにも関わらず、全米初登場1位を記録。純粋たる新作というわけではなく、肩の力を抜いた、遊び心満載な1枚なのにも関わらず1位‥‥時代が彼らを求めていたということでしょうか?

その後、レインのドラッグ問題等が公になり、表立った活動が少なくなっていくのですが、秘密裏に新作制作は続いており、結局『JAR OF FLIES』から2年、『DIRT』から数えて3年という期間で完成~リリースとなったのが、このサードアルバムというわけ。当然ながら、このアルバムも初登場1位を記録、レインのドラッグ癖が原因でツアーらしいツアーがなかったものの、アルバムは見事に2~300万枚も売り上げたのでした。

このアルバムというと、やはりそのサウンド以上に「日本盤リリース遅延&ジャケット変更事件」が話題となり、そちらの方で覚えている人が多いんじゃないでしょうか? 理由はこう‥‥右のアメリカ盤ジャケットでは、3本足の犬が描かれていたり、アルバム・ブックレットや裏ジャケに「奇形」ばかりを集めた、正しく「フリークス」写真&イラスト満載なアートワークで、これに日本側が難色を示し、バンド側に「日本盤のジャケット変更」を依頼したものの、却下され続けた、というお話。結局、右下のようにシンプルな形ならOKということで、US盤リリースから約1年後にようやくリリースとなったのでした。

さてさて。続いてアルバム内容について。前2作にあったようなヘヴィメタリックで硬質な色合いが後退し、もっと生々しくてラフな印象が強くなりました。カッチリ作り込まれたかのようなサウンドだった『DIRT』との大きな違いは、その「ライヴっぽさ」に表れていると思います。これはプロデューサー/エンジニアが変わったことも大きいでしょうし、楽曲の質感や構成がそれまでと大きく変わったことも影響していると思います。

演奏自体も1曲1曲が長尺なものが多く、それらは計算した構成というよりも、もっと即興性を重視したジャム・セッション風のアレンジになっていて、その辺も「ライヴっぽさ」を強調してるのではないでしょうか? バンドがこういう方向に走ったのは、恐らく‥‥ドラッグによるレイン不在が大きく影響してるのではないでしょうか。歌えるような状態になかったとも言われていますし、実際歌のパート以上にインストパートが長い曲もありますし、ギタリストのジェリー・カントレルのボーカル比重もかなり増えています。彼がリードボーカルを取る曲すらありますからね。またそのレインのボーカルも、そのまま使えるようなテイクがなかったのか、電子的なエフェクトを掛けていたり、ワザとボリュームを絞っていたりして、「それらしく」聴こえるように工夫されています。これが却って「らしい」雰囲気を醸し出していて、アルバムに好影響を与えています。

そういったこともあって、前2作のような「一聴して判るような派手さ」はないものの、もっと精神世界に訴えかけてくるヘヴィさが特徴といえるでしょう。また、ただヘヴィ一辺倒というわけでもなく、『JAR OF FLIES』で得た要素‥‥メジャーキーを多用したポップでフォーキーな路線等も上手く取り込み、アルバムとしてのバランス感は全3作中一番なのでは?と個人的には思ってます。そういった意味では「ALICE IN CHAINSの完成型」がこのアルバムだったのかな、と‥‥なんて、ここで「止まって」しまったから、そういう風に言えるわけですが。

どの曲がヘヴィで、どの曲がポップで、どの曲がイチオシとか、そういった類のことは今回書きません。何故なら、このアルバムこそ頭からラストまで、ぶっ通しで聴いて欲しい「世界観」を持った作品集だから。あまりに(精神的に)ヘヴィ過ぎて、途中でストップボタンを押してしまう人もいるかもしれませんし、「日本盤のボーナストラック(「Agains」のリミックス2種類)、邪魔!」って思う人もいるでしょうし、「これよりも、もっとヘヴィな作品、いくらでもあるじゃん!」って不満をこぼす人もいるでしょう。けどね‥‥もしあなたが、このアルバムを日本盤で購入したのなら、まず1度通して聴いてもらい、その後歌詞(というよりも、対訳)を読みながらもう1度聴いてもらいたい‥‥ここで初めて「ALICE IN CHAINSの世界観」が完成するのですから。

今現在、若い子達‥‥リアルタイムでの実働を知らない世代‥‥がALICE IN CHAINSに対してどういった評価をしているのか判りません。正直に言ってしまえば、知りたくもない‥‥10年前、一部を除いて全くといっていい程盛り上がってなかった「シアトル」「グランジ」といったキーワード。単純に「ハードロック」「パンク」「オルタナ」といった括りで接することの多かった俺からすれば、正直どうでもいいんですよ、シアトルだのグランジだのは‥‥ただただ、ALICE IN CHAINSやNIRVANA、PEARL JAM、SOUNDGARDEN、SMASHING PUNPKINSといった最高にカッコいいバンドが、最高に素晴らしいアルバムをリリースしていた、と。ただそれだけなんですよ。



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投稿: 2004 03 26 12:00 午前 [1995年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2003/08/03

岡村靖幸『禁じられた生きがい』(1995)

  これを書いている時点からあと16時間後に、岡村靖幸が、本当に6~7年振りに我々の前に姿を現します。正直、本当にその時になってみないと、彼が我々の前に姿を現すのかは判りません。というか、未だに半分以上信じていない自分がいます。けど‥‥その残りの半分以下の思いを信じて、俺は「ROCK IN JAPAN FES.」のチケットを手にしました。準備は万端、あと数時間後にはひたちなかに向かう予定です。

  現時点における最新のオリジナルアルバムが、今回紹介する「禁じられた生きがい」というアルバム。リリースは'95年の12月ですから、早くも8年近くが経とうとしてるわけですね。それから8年近くの間に、4枚のシングル("ハレンチ"、"セックス"、"真夜中のサイクリング"、"マシュマロ ハネムーン")をリリースし、それら全てのシングル曲を収録した2枚組ベスト「OH!ベスト」をリリースしたのみ。後は他アーティストとのコラボレーションシングルが数枚と、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースのみ。ライヴは恐らく俺が最後に観た武道館公演以来、それこそ6~7年は行っていないはず。

  そんな、既に8年近くも前の最新アルバムですが(考えてみれば、このアルバムだって当時は『前作「家庭教師」から約5年振り』だったわけで。古くからの岡村ファンって本当に忍耐強いと思うよ。尊敬します!)、これが全然色褪せてないんですよね。基本的に岡村のアルバムって、そういうのが多い気がする。ベストアルバムを聴いてると、ある時期から急に時間が止まるというか、年を取るのを忘れてるような印象を受けるんですよね、岡村の楽曲から。

  んで、もしかしたらそういったことが葛藤となって、なかなか創作活動が上手くいかなかったり、人前に出れなくなっているのかなぁ‥‥と。10代特有に熱く香しい思いを歌にしてきた彼が、30代に突入することで、そしていろんな意味で変わり続けている世間とのズレがドンドン生じていく。そして、そういう世間と自分との間、あるいは移り変わりの速い音楽シーンと自分の生み出す楽曲との間の折り合いがつかなくなってきているんじゃないか‥‥なんて、ファンじゃなくても、ちょっと彼について知っている人なら考えそうなことですよね。まぁ今回はそういった分析は無視します。

  やっぱりね、何度も言うけどここに収められた9曲(歌モノは8曲)は、2003年における現代においても全然古びてないし、むしろメインストリートにある音だと思うんですよ。シングルとして発表された"ターザン・ボーイ"や"パラシュート★ガール"、"Peach X'mas"に"チャーム ポイント"といった楽曲は全然今でもアリだし、むしろこういうタイプの楽曲は今みたいな時代にこそ受け入れられやすいんじゃないでしょうか?

  当然、シングル曲だけでなく、アルバム曲も素晴らしい曲揃い。オープニングを飾るファンキーなインスト"あばれ太鼓"なんて和の心とプリンス的ドス黒ファンクの融合といった感じで、このアルバムでなにげに一番好きかも(って歌ないじゃんか!)。また歌詞が本気で深く、後の某アニメや某事件を彷彿させる"青年14歳"もサウンドはそれまでの彼の流れを組むものの、歌詞にはちょっとこれまでと違った「影」を感じてしまったり。滅茶苦茶ソウルフルで鳥肌立ちまくりの"妻になってよ"もホントに名曲。いやはや、全9曲ってアッという間で(時間にして約43分)、物足りなさも感じたりするんだけど‥‥これくらいが丁度いいのかもね。ヘタに長すぎて印象にあまり残らないアルバムが多い分、これはこれで潔いのかも。

  既に2度目のリピートに入ってるこのアルバム。ああ、やっぱり聴き始めちゃうと、何度も、何度もリピートしちゃうんだよねぇ‥‥このアルバムから、明日は何曲歌われるのか、正直なところ判りませんが‥‥ちゃんと我々の前に姿を現してくれよ、岡村ちゃん!



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投稿: 2003 08 03 12:00 午前 [1995年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2003/04/05

RADIOHEAD『THE BENDS』(1995)

RADIOHEAD正真正銘のセカンドアルバム。1年間通して2回に分けてレコーディングされたことで、とても充実した内容となったこのセカンドアルバムで、RADIOHEADはいよいよ「イギリスを代表するロックバンド」として頭角を現します。既に「MY IRON LUNG」レビューで書いた通り、本来ならこのアルバムはサードアルバムとしてカウントされるべき内容なのですが‥‥ま、「MY IRON LUNG」はこのアルバムの為の習作ということにでもなるのかな(にしては贅沢な)。とにかく、未だに傑作として挙げられることの多いアルバムだと思います。「OK COMPUTER」以降の、ポストロック然とした路線・作風が苦手だという人にとっては、やはりこのアルバムまでが許容範囲ってことになるようで、『「THE BENDS」は好きな曲が多いんだけどなぁ‥‥』って声は実際によく耳にしました。まぁ確かにギターロック然とした曲もあれば、かなりプログレッシヴな作風の曲もあり、尚かつ歌モノもある。根底にあるものはその後の作品でも変わってはいないはずなんですが、タッチの違いなんでしょうね。

「PABLO HONEY」との大きな違いは、既に1曲目"Planet Telex"のイントロからして、強烈に表れています。ストレートなギターロックが多かったファーストと比べ、リズム的にも凝ったものが増えてきたのがセカンドの特徴かも。ミドルテンポで重厚感のあるリズムを持った"Planet Telex"を頭に持ってきたことは、象徴的かもしれませんね。そのまま比較的ファーストの路線に近い"The Bends"へと続くんですが、ここでの歌の力強さは前作の比ではありません。アレンジ的にもかなり凝った作りになっている辺りは、その辺のギターロック/UKロックバンドと一緒にすんじゃねぇよ!的な拘りを感じさせます。勢いに任せるのではなく、完全に作り込まれた‥‥という印象が全体的に感じられますよね(そしてそれはアルバムに限ったことではなく、ライヴにおいても完全再現されるという徹底振り。圧巻ですよね)。

そしてアルバム最初のハイライトとなるバラードナンバー"High And Dry"と"Fake Plastic Trees"の2曲。共にシングルとしてもヒットしたナンバーで、ファーストに足りなかった「何か」がここで完全に表現されたように感じます。それは「弱さは弱さとして認める潔さ」だったり「メランコリックさを堂々と表現することを恥じない心」だったり「歌本来の持つ力強さ」だったり‥‥とにかく "Creep" という楽曲の大成功によってどこか躊躇していた点をここで完全に克服したといっていいのかもしれません。勿論、ああいった「強弱法」を活用した手法ではなく、もっと違った表現方法を用いることによって、バンドとしては更にステップアップすることになったのです(ま、さすがに今現在、そういった "Creep" 的なものを彼等に求めるファンはいないでしょうけどね)。

最初の山場を迎えた後、独特な節回しを持った豪快なロックチューン"Bones"を経て、再びメランコリックな"(Nice Dream)"へと続きます。後半の展開がやはりプログレッシヴなのが、当時の彼等らしいというか‥‥こういったアコースティックを基調とした楽曲が増えたのも、このセカンドの特徴といえるでしょう。その後のアルバムでよりポストロック方面へと移行していくことを考えると、本当に「歌」を大切にした作品集だな、と今更ながらに実感します。

アルバム後半戦となる7曲目にはレコーディング初期に録音された、グランジ的でプログレチックで狂気すら感じさせる"Just (You Do It To Yourself)"が登場。イントロの天にも昇っていくかのようなコード進行が、かのKING CRIMSONの名曲 "Red" を彷彿させることからも、如何にプログレチックかが伺えると思います。とにかくこの曲はジョニー・グリーンウッドのギタープレイの強烈さでしょう。ここで一気に彼の個性が開花したといっていいでしょう。特にライヴではもっと凄いプレイを聴かせてくれるので、是非ライヴビデオやブートレッグで確かめてみてください(ま、夏の来日で確かめてもいいんですが、その際に演奏されなかったら困るので、とりあえず現存する音源でチェックを)。そのまま同じくヘヴィな"My Iron Lung"へと続き、ヘヴィ&プログレッシヴ2連発。RADIOHEADの新しい二面性(ハートウォーム・サイドとヘヴィサイド)が同居するという意味では、本当に優れた作品だと思いますよこのアルバムは。ここがアルバム第二のピークでしょうね。

激しい曲が続いた後を受けて、同じような空気感を持った穏やかなナンバー"Bullet Proof...I Wish I Was"で、後半戦はあるひとつの方向性が見つかります。前半の温かさと比べ、後半は火傷しそうな程の冷たさを感じます。そういう流れが一環しているかのようなこの曲に続いて、若干前半戦的な色合いの"Black Star"は途中豪快なギターが入るものの、やはり「歌」を大切にしたメランコリックナンバー。こういうRADIOHEADが好きって人、意外と多いんじゃないでしょうか? そのまま"Sulk"へ‥‥こういった曲を聴くと、一時期RADIOHEADをR.E.M.と比べたがる人がいましたが、それよりもU2に表現方法が近いんじゃないか‥‥という気がしてくるんですよね。それはトム・ヨークの歌声が所々、ボノと被る瞬間があるからかもしれませんね。演奏自体は全くの別物で、R.E.M.ともU2とも似てないんですけどね。

最後の曲となる"Street Spirit (Fade Out)"はアルバムを締め括るに相応しい、美しいメロディと、悲しくなるくらいにメランコリックな表現、そしてコンクリートのような冷たさを感じさせる演奏‥‥何なんだろう、この絶望感は!?と初めて聴いた時はよく思ったものですが、その後の路線を経た今聴くと、本当にメランコリックなメロディを持った、美しい曲だなぁと素直に思いますね。初めてライヴで聴いた時はマジ泣きしそうになる程胸を打たれた記憶があります。このアルバムがリリースされた'95年というと、それこそイギリスはOASISやBLURといったバンドが大ブレイクし、ブリットポップなる「姿なきブーム」に踊らされていた頃。と同時にアメリカではGREEN DAYやOFFSPRINGといったパンクバンドがチャートを席巻していた時代。そんな中、RADIOHEADはこういった異色作と呼べるアルバムで全英を制覇し、アメリカでもトップ40に入るヒットを飛ばしたのですから、如何に彼等がブリットポップ・ブームから離れた地点にいたかがご理解いただけるかと思います。大体、OASISなんかはその後、有象無象のフォロワーを生み出したのに、ことRADIOHEADに関しては‥‥ねぇ?

「I~」で歌われることの多かったファーストと比べ、二人称(「YOU」)や三人称で表現される楽曲が明らかに増えたのも、この作品の特徴。基本的なテーマは変わっていないけど、その表現方法がより多岐に渡るようになり、トム・ヨークのストーリーテラーとしての表現力が更に向上した結果、より多くの人に歌が届くようになった‥‥そしてその歌詞には、更に多くの人に届くようなメロディが付いた。ポップソングとしても、そしてロックとしても十分に機能し、更にオルタナティブであり、それでいて王道でもある。いろんな要素を飲み込むことによって、より混沌とした空気感を漂わせるようになったRADIOHEAD。「イギリス人はシェイクスピアの頃から狂ってる」なんて言った人もいましたが、本当にそんな気がします、彼等を見てると。

アルバムとして考えると、最も好みな音を出してるのがこの作品。とりあえずRADIOHEADを聴いてみようって人は、まずはこのアルバムから聴いてみるといいかと思います。それによってギターロック的な方向に進むか(「PABLO HONEY」)ポストロック的な方向へ進むか(「OK COMPUTER」や「KID A」)は、これを聴いたあなたの趣味趣向ってことで。個人的には「OK COMPUTER」と並んで、'90年代のロックを代表する作品だと思ってます。UKロック好きにも、昨今のヘヴィロック好きにも、ポストロックやプログレに興味を持っている人にも、そして歌を愛するあなたにも聴いて欲しい1枚。



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投稿: 2003 04 05 05:02 午前 [1995年の作品, Radiohead] | 固定リンク

2002/11/04

OUTRAGE『LIFE UNTIL DEAF』(1995)

「日本のロック史に残る傑作」と書いたのは、現在でもHM/HR専門誌「BURRN!」にて記者をしている前田岳彦氏だったけど、この言葉に偽りなし。それがこのOUTRAGEが'95年に残した通算6作目のフルアルバム「LIFE UNTIL DEAF」。

このアルバム、ずっと前から紹介したかったんだよね。以前、余所のサイトの管理人さん達と3人で合評でこのアルバムを取り上げようとしたことあったんだけど、それが結局流れてしまって。その後、「猿メタル」でも『モダンヘヴィネス/ラウドロック好きにもアピールするアルバム』として紹介しようと考えたこともあったけど、それも何か違うような気がして。そんな枠を作って偏見を持たれてしまうには、本当に勿体ない作品だと常々思っていたので。

で、何故かここ最近になってまたこのアルバムや一連の作品群(傑作「THE FINAL DAY」や問題作扱いされることの多い「SPIT」等)を聴き返す機会が何度かありまして。何でかなぁ‥‥と思い返してみたら、そうか、伊藤政則のテレビ番組観たからだ、と。「BEAST FEAST 2002」の特集やってたんですよ。で、昨今のラウド系のPVをいろいろ観ていたら、急にOUTRAGEが聴きたくなってきて‥‥

OUTRAGEを知らない人の方が多いと思うので、ここで簡単に紹介を。'80年代前半に名古屋にて結成された4人組で、当初はスラッシュメタル・バンドとして紹介されていました(既に「スラッシュメタル」なんてジャンルすら死語のような気がしますが‥‥要するに、METALLICAやSLAYERといったバンドがその初期にやっていた、スピード感あるビートに切り刻むようなギターリフを持ったタイプのメタルのことを言います。それまでのメタルよりもパンク的要素が強いのも特徴)。中には「日本のMETALLICA」なんて声もあった程で、音楽的にもそれらのバンドが影響を受けたようなマイナーなブリティッシュメタルバンドからの影響を色濃く出していて、またボーカル・橋本直樹('99年9月に脱退)の歌唱法もMETALLICAのジェームズ・ヘッドフィールドのそれに似ていたことも大いに関係してまして。

バンドは'87年に自主制作EP「OUTRAGE」で話題を呼び、翌年メジャーから「BLACK CLOUDS」でデビュー。その後「BLIND TO REALITY」('89年)、「THE GREAT BLUE」('90年)と順調にリリースを重ねた後、'91年にリリースした4作目「THE FINAL DAY」でメタルファンの間でも大ブレイク(このアルバムは初の海外レコーディング/初の海外プロデューサーという初づくしの作品だった)。このアルバムはヨーロッパでもインディーレーベルからリリースされ、それを切っ掛けに初期の3作もリマスターされて再発。

'92年にはPANTERAの初来日公演のオープニングを勤めたり等して知名度を更に上げ、レコード会社もポリドールからイーストウエストに移籍。翌年にはミドルテンポ中心の異色ヘヴィ作「SPIT」を発表。今でいうモダンヘヴィネスを彼等流に解釈した内容だったんだけど、ファンからは問題視されることが多かった1枚でもあったりして(ちなみに俺、楽曲や演奏は凄く好きなんだけど、ミックスが‥‥)。

バンドは'95年に今回取り上げた「LIFE UNTIL DEAF」の後に同年末にポリドール時代のベスト盤「DAYS OF RAGE」、'97年にオリジナル7作目「WHO WE ARE」、同年7月にデビュー10周年を祝う企画盤「IT'S PACKED」(2枚組ミニアルバムで、1枚に最新ツアーの音源5曲、もう1枚に'87年にリリースされた自主制作盤「OUTRAGE」の初CD化音源という豪華盤)をリリース。そしてこれからという時期に‥‥'99年9月にボーカルの橋本脱退。これによって当時完成していたミニアルバムもお蔵入り。現在は新ボーカルを入れることなく、残された3人で活動している(ギターの阿部がシンガーを勤めている)。

‥‥とまぁ、こんか感じです。メタルの範疇で語られることの多かった彼等だけど、イーストウエストに移籍後の作品‥‥「SPIT」「LIFE UNTIL DEAF」「WHO WE ARE」の3枚は、メタルの枠に留まらない、今でいえばそれこそニューメタル/ラウドロック/モダンヘヴィネスとして扱われる音楽性なわけですよ。つまり、彼等の登場~成長が時代よりも早すぎたんだと思うんですよ。

確かにメロディやギターソロのフレージング、アレンジ等はよりメタリックだけど、例えばこれらの音って、今のMAD CAPSULE MARKETS辺りに大いに影響を与えているんじゃないでしょうか? 勿論、OUTRAGEもMADも同時代を生き抜いてきたバンド達であって、どちらがどちらをパクッたとか影響を与え合ったとか一概には言えないと思いますが、少なくとも昨今のMADのスラッシーでメタリックな楽曲を聴く度に、俺は「もしかしたらOUTRAGEがこのポジションにいたかも‥‥」なんて思ってましたし。橋本直樹という類い希なるシンガーが起こした奇跡、それがこの「LIFE UNTIL DEAF」だと思ってます。

勿論、橋本だけじゃありません。リズム隊のプレイも的確でグルーヴィーだし、何より特筆すべきなのは阿部のギターワークですよ。メタル好きの人にはたまらないツボを押さえたソロプレイは勿論、やっぱりこのバンドの要となるリフワークはかなりのものがあると思います。"Megalomania"でのコードを崩したようなプレイ(文字では上手く表現できないので、是非一聴を!)なんて当時は「おおっ!」と唸ったものです。

MADとの比較をしましたが、MADにあってOUTRAGEにないもの。それは「デジタル」と「ヒップホップ」の要素でしょう。逆に、それらふたつがあったからこそ今のMADがあるのであって、これらふたつのバンドがこれまで比較されることが殆どなかった理由となっているのでしょう。パンク的なものからスタートしたMAD、メタルからスタートしたOUTRAGE。双方出発点は違いますが、この時期('90年代半ば)にやっていたことには意外とクロスオーバーする点があるのではないでしょうか?

さて、話題をアルバムの方に戻しまして‥‥とにかく捨て曲なし、ファストでラウドでメロウでヘヴィ。確かにこれよりもラウドでヘヴィなアルバムはその後幾つも登場しましたが、歌詞の面においてもここまでヘヴィな作品はそうはないのでは? 勿論、全て英語詞で唄われているので全てを完全に理解することは出来ませんが、封入された英訳される前の原詞に目を通すと、かなり精神的にグググッとくる内容なのに気付きます。

そしてそれらの歌詞を更に重いものへと導くサウンド。こっちも凄いことになってます。HM/HR界での大御所プロデューサーであるマイケル・ワグナー(METALLICA「MASTER OF PUPPETS」のミックスやSKID ROWの1st & 2ndのプロデュースで有名)が手掛けたサウンドの素晴らしさは、当時の日本にはまだなかったような「音像」を作り出すことに成功しています。

楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、特筆すべき曲は幾つもありますが、OUTRAGEを知らない若い世代に特に聴いて欲しいのは歴史的名曲である1曲目"Megalomania"、泣きのメロディが心を打つ"Vanishing Fully From The World"、日本の和太鼓集団「鬼太鼓座」のプレイをフューチャーした9分もあるヘヴィ大作"In Union With Earth"、サイケなパンクナンバー"Echo"、BLACK SABBATHや当時のPANTERAも真っ青なスロウヘヴィな"Draggin' Me Down (Fear Is)"、デビューから8年経っても基本は忘れない高速スラッシュナンバー"You Suck"等々。勿論、ここに名前を挙げなかった楽曲も特に劣るわけではないのでご心配なく。「ラウド系は嫌いじゃないけど、最近のラップっぽい歌が苦手」という人。大丈夫です。彼等はラップに逃げません。ちゃんとメロディを唄っています。しかも、かなり胸を打たれるようなメロもあるので、聴く人が聴いたらハマッたまま抜けられなくなるかも

厳密にいえば、確かにここに収められた音はヘヴィメタルのそれ、そのものかもしれません。しかし、今流行っている(流行ってるのかホントに?)ニューメタルというバンド達の音だって、この俺からすればOUTRAGEの音と何ら変わらないわけですよ。呼び名やジャンルこそ細分化されているものの、基本的に彼等がやっているのはハードロックでありヘヴィメタルなわけですよ。ならば、このOUTRAGEだってメタルであって、また逆にメタルでなくてもいいわけです。間違いなく「rockin'on」辺りでは取り上げられることのないタイプのバンドだと思いますが、'90年代の日本の音楽シーンを語る上で欠かすことのできないアルバムだと個人的にはずっと思っていました。

多分廃盤にはなっていないと思いますし、中古盤屋で見つけるのも難しくない作品だと思います。昨今のヘヴィ系好きも、メタルに縁が薄い人も、まずはこのアルバムから聴いてみて下さい。ホント、いいアルバムなんで!



▼OUTRAGE『LIFE UNTIL DEAF』
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投稿: 2002 11 04 03:06 午後 [1995年の作品, Outrage] | 固定リンク

2001/09/08

OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』(1995)

“HM/HR界の「サージェント・ペパーズ」”という大袈裟な表現が似合う程、これまでのオジー・オズボーンのイメージとは異なる楽曲が多く、幅広く収録された'95年発表のソロとしては7枚目のオリジナルアルバム(ライヴやベストを除く)であり、現時点(2001年9月)に於いての最新作。この10月にはいよいよ6年振りにオリジナルの新作が発表されるそうだから‥‥もうそんな前の作品になるのか。考えてみれば、この6年の間には「OZZFEST」開始もあったし、初のベスト盤リリースもあったし、BLACK SABBATHとしての復活もあった。ソロでのバンドメンバーも度々変わり、一体現在誰が在籍してるのか判らなくなる時期もあったが、結局この6年はサバスを中心に回っていた感もあるので、気にしないこととしよう。

この「OZZMOSIS」は'91年秋に発表された「NO MORE TEARS」から4年振りに発表されたオリジナル新作。だが、ちょっとこのアルバムリリースにはいろんな意味が隠されている。まずオジーは'91年に一度、ステージからの引退を発表しているのだ。よって「NO MORE TEARS」でのツアーが最後のツアーということで、世間を騒がした。アルバムリリース1ヶ月後にここ日本からスタートしたワールドツアー(勿論、俺も武道館に足を運んだ。2階席のかなり後方だったがいい想い出だ)は約1年続き、最終日には幻のオリジナルサバス再結成も含まれていた。それらの音源を含んだ、集大成的内容のライヴアルバム「LIVE & LOUD」を'93年に発表し、オジーはそのまま隠居するのかと思われた。翌年にはBLACK SABBATHトリビュートアルバムに(トリビュートされる側にも関わらず)ゲスト参加し、同時にこの頃から「アルバム制作開始」の噂が広がる。しかも、そのパートナーとしてスティーヴ・ヴァイの名前が挙がる‥‥オイオイ(苦笑)。ヴァイはメタル向きの人間ではない。アバンギャルドなそのプレイからミュージシャン受けが良く、グラハム・ボネットやデイヴ・リー・ロス、デヴィッド・カヴァデイルといったシンガー達と活動を共にした経験を持つが、やはりメタルの人とは言い難いプレイなのだ。そのヴァイとオジーは曲作りをしたそうだ。結局、アルバム参加にまでは到らず(当然のように周囲が猛反発したと聞く)、レコーディングには旧知の仲であるザック・ワイルド(Gt)、そしてサバスでの盟友であるギーザー・バトラー(Ba)、そしてヴァイから薦められた現JOURNEYのディーン・カストロノヴォ(Dr)が参加。プロデュースにはRED HOT CHILI PEPPERSやSOUNDGARDENでお馴染みのマイケル・ベインホーン、ミックスにはALICE IN CHAINSやCATHEDRALを手掛けるデヴィッド・ビアンコという、昨今のヘヴィ/ラウド・ロックには欠かせないエンジニア陣を起用。このメンツからして、どれだけヘヴィな音になるのかワクワクしたものだ。

さて、アルバムだが‥‥ヘヴィロック一辺倒という内容ではない。確かに1曲目 "Perry Mason" がスタートすると「これぞオジー流モダン・ヘヴィネス!」なんて唸ったりもしたが、アルバムが進むにつれいろんなタイプの曲が登場する。確かにヘヴィな音像をしており、ザックのギターもこれまでで一番ヘヴィだし、ギーザー&ディーンのリズム隊もモダンで重心の低い音を出す。けど、メロディーは相変わらずポップだし、サバスのヘヴィネスと比べるとどこか違う。よりモダンというのもあるが‥‥バックの演奏は確かに'95年当時のヘヴィロックなのだが、歌はいつものオジー。この絶妙な組み合わせが独特な味わいを出しているのだ。

このメンツじゃなきゃ作れなかったであろう超ヘヴィネスな "Thunder Underground" や "My Jekyll Doesn't Hide" のような曲もあれば、バラード "See You On The Other Side"、"Old L.A. Tonight" もある。サイケな "Ghost Behind My Eyes" や "Denial"、スティーヴ・ヴァイとの共作でやはりサイケテイストな "My Little Man"、歌モノポップスとしても通用しそうな(それでいてバックはHMな)"I Just Want You"‥‥これまでもHM/HR一辺倒というわけではなかったが、ここまでカラフルなアルバムは初めての事だ。前作「NO MORE TEARS」の時点でその前兆は見え隠れしていたが、ここまで本格的にやるとは‥‥本来はライヴなんて想定していなかったはずで、あくまで「スタジオ作品」として作られたはずなのだ。しかし、いつの間にか「ライヴからの引退、撤回」発言まで飛び出し、当然のようにこのアルバムでツアーにも出るわけだ(苦笑)。残念ながらというかやはりというか、ライヴではこのアルバムからの曲は数曲しか披露されなかったようだ。オジーのライヴは、基本的にはグレイテスト・ヒッツ的内容となっていて、新作からは2~3曲という事が多い。サバス時代~ソロまでの全作品から選ばれるわけだから、仕方ないと言われればそれまでだが‥‥個人的にはこのアルバムの楽曲の完全再現ライヴを観たかった。

オジーという人がBEATLESを好きだという事はファンの間では周知の事実で、実際これまでもそういう要素は所々に見受けられた。しかし、このアルバムのように本来は「ライヴを想定せずに作られた、スタジオワークの結集的」作品でその才能が開花するとは思ってもみなかっただろう、ファンも本人も。けど、やっぱりヘヴィメタルの人というか、その音像はメタル以外の何ものでもなく、バンドサウンドに拘っている。いや、もしかしたら楽曲作りの段階で、既にライヴを想定していたのかもしれない。ザック・ワイルドという類い希なるプレイヤー/コンポーザー/パフォーマーと共に曲作りを進め、そこに旧友ギーザー・バトラーが加わった時点で。個人的には、このメンツは最強だと思っていた、が‥‥ツアーに出れるのか出れないのかをザックに問いただすと、当時GUNS N'ROSESにも声をかけられていた彼は結局両天秤にかけ、それをオジーが激怒し、結局他のギタリスト(ジョー・ホルムズ)を起用する。そしていざツアーを開始すると、ディーンのドラムがうるさすぎるとの事でクビ(笑)、代わりに旧知のランディ・カスティロ(後にMOTLEY CRUE加入するも2002年5月、癌で死去)を起用することとなる。その後サバス復活の件もあってギーザーも抜け、ベスト盤('97年)に伴う日本ツアーでは何故かザック、ランディ、そして現ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズという、「NO MORE TEARS」ツアーのメンツでの来日となった。結局その後、再びジョーが復帰し、ドラムは元FAITH NO MOREのマイク・ボーディン、ベースには元SUICIDAL TENDENCIESのロバート・トゥルージロを起用する事となる。

そういえば、このアルバムはオジーの歴史上、最も高順位に位置したアルバムである(米・ビルボード紙のアルバムチャートで初登場4位)。これまでもトップ10入りは何度か果たしていたが、4年のブランク後にこの結果‥‥しかも時代はヘヴィ/ラウド・ロック全盛時代。如何にオジーがメタル界だけでなく、多くのロックファンに復活を願われていたかが伺える象徴のひとつかもしれない。そしてオジーは、このアルバムを引っ提げて翌年、オズ・フェストを開催するのである。

最初に書いたように、このアルバムはBEATLESにおける「サージェント・ペパーズ~」のような内容にしたかった、とオジー自身も当時のインタビューで確か発言している。同じ頃、AEROSMITHのスティーヴン・タイラーも「エアロ版『サージェント・ペパーズ~』」と「GET A GRIP」を比喩している。ロック界では'90年代前半、こういうサイケで楽曲の振り幅が大きい内容のアルバムが流行だったのか‥‥そう考えてみると、そうかもしれない。'80年代末にTEARS FOR FEARSがおもむろにBEATLESをコピーした「SEEDS OF LOVE」というアルバムからスタートし、その後のOASISに到るまで‥‥そして最後には当のBEATLESの、音源上での復活。世紀末に向かうに当たり、もしかしたらロック界は再びスタート地点に戻ろうとしていたのか、それともグランジといったシンプルな演奏スタイルを目の当たりにして、ロック自体が再びシンプルなものへと戻ろうとする反動として、「サージェント・ペパーズ~」を持ち出したのか。その答えは今も判らないが、時同じくしてエアロとオジーが同じような事を考えていた事実が非常に興味深い。

今年初め、オジーが久し振りにソロアルバムを作っているという噂が広がり、三度ザック・ワイルドと曲作りを進めているとの情報が伝わってくる。そして‥‥結局噂でしかなかったが‥‥ドラムにトミー・リー(元MOTLEY CRUE、当時はMETHODS OF MAYHEM。現在は再びMOTLEYに復帰という話)、ベースにギーザー・バトラー、ギターにザックという布陣でアルバムのレコーディングに入るという噂が広がる。結局ザック、マイク・ボーディン、ロバート・トゥルージロというメンバーでレコーディングされたという。既に1曲聴いているが、かなり「復活サバス」を意識した、デッドなサウンド感を持ったヘヴィロックという印象を受けた。この「OZZMOSIS」と全く違った音になる事は間違いない。非常に楽しみだ。



▼OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』
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投稿: 2001 09 08 04:22 午前 [1995年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2000/12/19

THE BOOM『手紙』(1995)

皆さんは音楽を聴く時、まず最初にどこに耳が(興味が)いくのだろうか? メロディ? リズム? ギターリフ? ボーカルの声質? コーラスの綺麗さ? それとも歌詞? やっぱりキャッチーなメロディに耳を奪われる事が多いのだろう。ちょっと前の事だが、とあるサイトの掲示板でこの辺の話題になった事があった。そこでの意見を総括すると、歌詞というのはそれ程重要視されないという意見が多かった。つまり「内容が如何に素晴らしいからといって、それがその楽曲の素晴らしさに直結するわけではない」という事だろう。特に洋楽(=日本語以外の言葉を歌詞に持つ音楽)の場合、やはり最初に印象に残るのはメロディであるのは間違いない。余程英語に精通しているか帰国子女でもない限り、歌詞がバーンと頭の中に入ってくる事はまずないだろう。

それでは、日本語で唄われている楽曲の場合はどうだろうか? 母国語‥‥普段の会話に用いられる言葉を歌詞に持つ音楽。それが我々が好む「ロック」というジャンルの場合、どれだけ重要視されているのだろうか? ちょっと疑問に‥‥いや、心配になってしまった、というのが掲示板を読んだ正直な感想だった。

ロック自体が日本国内でも成熟期を迎え、欧米のそれと大して差を感じられないレベルにまで達した‥‥アーティスト達もいる。海外でも活躍し、ここ日本でよりも知名度が高いアーティストもいる。しかし、そういう場合は大抵歌詞が英語だったりして、『我、日本人なり』という事実をアピールするのは、その独特なメロディにのみだったりする事が多い。いや、中にはその日本人的メロディすら感じさせない、国籍不明なアーティストもいる。つまり、母国語である日本語を中心に使いながら海外(ここでは欧米を指す)で成功を収める、というアーティストは殆どいないに等しい。

そうなると、日本語で唄うアーティストは国内に活動の重点を置く者達が大半を占めるわけだが‥‥どれだけ多くのアーティストが「言葉」を大切にしているのだろうか? そして我々はどれだけ「言葉」というものに意味合いや重要性を求めているのだろうか? 掲示板で見かけた人達の場合は「それ程重要視しない」という意見が多かったが、例えば今年後半最もヒットした国内アーティストである浜崎あゆみの場合、彼女のファンの多くは「歌詞に共感する」という。宇多田ヒカルしかり、グレイしかり。ジェネレーションリーダーとなりうるアーティストには、やはりしっかりとしたメッセージを持っている場合が多い。過去を振り返ってみても、佐野元春や浜田省吾、尾崎豊、ユーミン、中島みゆき、そして俺が取り上げる事が多いミスチルやゆず。メロディメーカーとしての才能にも優れているが、やはりこれらの人達には「詩人」という言葉がよく似合う。そうそう、エレカシ宮本もだった。

そして今回、もう一組(ひとり)のアーティストをこの中に入れておきたい。それがこれから紹介するTHE BOOMだ。今回取り上げるのは、5年前に発表されたシングル「手紙」。かなり画期的且つ衝撃的な作品である。エレカシ「ガストロンジャー」の4年前に、既に宮沢和史(THE BOOMのボーカリストであり、メインソングライター)はこんなに攻撃的なパンクソングをリリースしていたのだ。

THE BOOMといってイメージするのは、例えば「島唄」に代表されるような沖縄民謡だったり、「風になりたい」のようなサンバ等のブラジル音楽の要素をとりいれた、まさしくミクスチャーな存在だろう。そんな彼らが1994年に発表したアルバム『極東サンバ』にてブラジル音楽からの影響をある意味完成型にまで持っていった後に、次なる第一歩として発表されたのがこの楽曲だった。最初にこの曲が発表された(いや、演奏されたというべきか)のは、リリース(95年12月)の半年近くも前、テレビの歌番組でだった。バンド演奏というよりは寧ろサンプリング中心のバックトラックを相手に、ボーカルの宮沢は椅子に座り、足を組んでハードカバーの本を手に淡々と歌詞を読み上げる。感情を極力抑えているにも関わらず、そしてバックは機械相手にも関わらず、そこに存在したのは人間というものが持ち合わせる感情‥‥怒り、悲しみ、喜び、憤り‥‥の全てが渦巻く台風の目だった。所謂「ポエトリーリーディング」に近い形の楽曲なのだが、俺は背筋に嫌な汗をかきながらも、そこから目をそらせなかった。これまでもボブ・ディランやルー・リードといった先人達がこういうような事に挑戦してきた。日本でも有名なところでは佐野元春が何度かチャレンジしている(彼に関してはポエトリーリーディングで何度か作品をリリースしている)。ここでTHE BOOMが挑戦したのは、本当の意味でのポエトリーリーディングとは言えないかもしれない。しかし、この楽曲は紛れもなくロックンロールナンバーだ。

ビートが強烈で、ギターリフが格好良くて、メロディが素晴らしく、そこに誰をも魅了するカリスマ性が存在すればロック‥‥それはそれで正しいだろう。がしかし、このうちのメロディが存在せずに、歌詞が素晴らしかったとしよう。それはロックではないのだろうか? そんな事はないはずだ。これは決して特殊な形なんかじゃない。風変わりという表現で片づけるのは、単に自身の許容範囲の狭さをひけらかしているだけだし、ロックというものに先入観や固定観念を作ってしまっていて、非常に勿体ない。

確かに「俺はストーンズみたいなスタイルのバンドが好きなんだからいいだろ?」とあなたは言うだろう。ではそのストーンズの「スタイル」って何だろう? そのストーンズこそ、常に時代や流行と戦い続けてきたバンドの代表なのではないだろうか? 歴史は語っているはずだ。ディスコやダブ、ヒップホップにテクノ‥‥それを本流にはしなかったものの、常にストリートでの流行を取り入れてきたのは他でもない、彼ら自身なのだ。

俺はロックンロールを愛している。素晴らしいメロディにも感化されるし、カッコいいギターリフにも痺れる。ビートの複雑さに涙したり、シンガーの声を聴いただけでイきそうになる事もある。けど、こうやって過去を振り返ってみると、常に俺を突き動かしてきたのは、歌詞だった。自分にとって最もパンクなモノとは、実は「歌詞の非凡さ」だったりするのかもしれない。勿論、誰の心にも訴えかけるようなラヴソングも好きだし、ある時にはそういう歌詞も自分にとって「最もパンクなモノ」となる事がある。時々、誰が聴いても下らなくて幼稚な歌詞を持った、バカバカしい楽曲と出会う事もあるが、自分の感性に合えばそういう歌だって孤高なモノとなる事がある。

ロックの基準というものがもし存在するのなら、それは人それぞれ違うもののはずだ。寧ろそうでなくてはいけないと思う。ロックというものは楽曲そのもののスタイルではなく、演者/聴き手が最も信じるモノなのだ。だからここで俺が「俺にとっては歌詞が強烈なモノによりロックを感じるんだ」と言ったとしても、それは他者にとっては「ふざけんな!」という事になりかねない。先に登場した「歌詞の内容はあまり重要視しない」という方々にとってはたまたまそいいうモノがロックの基準から外れるだけなのであって、だからといってないならないで困ってしまうのも歌詞だったりする。

でも、もしあなたに少しでも他者を受け入れる余地があるのなら、悪いことは言わない。1度この曲‥‥歌詞に耳を傾けて欲しい。そして歌詞カードに目を向けて欲しい。そこにはまだあなたが出会った事のない「何か」が必ず存在する。文学作品に向かい合うのではない。ロックンロールと向き合うのだと思って欲しい。作者からの「手紙」だと思って、気軽に読んで欲しい。そして今一度、あなたにとってのロックとは?という命題と向き合ってみて欲しい。

結局、俺はこの「とみぃの宮殿」という場で如何にロックンロールの素晴らしさを伝えていくか?という命題と戦う事が使命なのかもしれない。そいうい意味で、俺は開設2周年を記念する月のオススメにこの楽曲を選んだ。これが俺の意思表明。去りたい者は去ればいい。ついてきたい奴だけついてきな。



▼THE BOOM『手紙』
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投稿: 2000 12 19 12:00 午前 [1995年の作品, BOOM, THE] | 固定リンク

2000/08/02

THE WiLDHEARTS『P.H.U.Q.』(1995)

'95年5月(日本は6月)にリリースされた、THE WiLDHEARTSのオリジナル・フル・アルバム2作目。恐らく彼等の人気を決定づける事となった、記念碑的作品ではないだろうか? 英国ではシングル"I Wanna Go Where The People Go"のトップ20入り(16位)の煽りを受け、アルバムは初登場6位という快挙を成し遂げた。また、この年の10月にはいよいよ初来日を果たし、今や伝説と化している。だって、解散を決意して乗り込んだ異国の地で、こんなにも大歓迎されるなんてメンバーは誰一人として思っていなかったはず。それを切っ掛けに再び彼等はバンドとして活動することを決意し、その日本に対しての感謝の気持ちともいえる"Weekend '96"をプレゼントした(この曲の中間部には、その日本公演でのシンガロングがそのまま収録されている。つまり俺の声が聴けるという訳だ/笑)。バンドとしては最も不安定な時期だったものの(考えてみれば、レコーディング直前にギターのCJをクビにして、3人編成で録音されたものだし)、音楽的には最も充実していた時期に作られた楽曲達がこのアルバムと、それと前後して発表された「FISHING FOR LUCKIES」に収められている。

「FISHING FOR LUCKIES」のレビューでは『大作や実験作を「FISHING~」に、ポップな小楽曲を「P.H.U.Q.」にと分けた』と書いたが、いざ改めて聴き直してみると、意外とそうでもないかな?という気がしてきた。「P.H.U.Q.」というアルバムには13曲収録されているが、クレジットやCDプレイヤーのカウンターを見ないで聴いていると、どこからどこまでが1曲なのか判らなくなる時がある。つまり、このアルバムは組曲形式を取った楽曲が数曲あるのだ。あるいは次の曲へのイントロダクションとでも言えばいいだろうか? "Baby Strange"~"Nita Nitro"の流れは正にそうだし、"Cold Patootie Tango"~"Caprice"もそうだろう。また、聴き方によっては"Jonesing For Jones"のエンディングから"Woah Shit, You Got Through"のイントロに繋がっているようにも聞こえる(まぁこれは組曲とは言い難いが)。「FISHING~」の楽曲を公式に発表する事をレコード会社に拒まれた件から想像するに、大作を嫌うレコード会社対策の為に、わざとイントロ部となる部分を1曲としてカウントしたのではないだろうか? けど、当時のライヴではそれぞれの曲を演奏する時、導入部を省いてたんだよなぁ‥‥やっぱり意味はないのか? 深読みし過ぎか? 何はともあれ、こういう形態の楽曲が収められているのはこのアルバムだけだし、時期的にもこの頃だけのようだ。非常に興味深い。

それにしても、"I Wanna Go Where The People Go"や"Just In Lust"といったポップなシングルナンバーや、BAY CITY ROLLERS meets METALLICAな印象の"V-Day"といったポップなナンバーが頭に並んでいるせいか、「ポップなWiLDHEARTSの代表作」というイメージがあるのだが、実はかなりヘヴィな楽曲が多い。恐らく「ENDLESS, NAMELESS」を別とすれば、最もヘヴィな内容ではないだろうか? 「FISHING~」と同時期に書かれ録音された楽曲が並んでいるので、これら2枚は対として考える事が出来るが、この時期というのが正にそういう「リフとリフとで組み上げられていく、ヘヴィな大作」を信条としていたのだろう。それまで以上にその点が強調されているように感じる。そう考えると、彼等は「更にヘヴィに、もっとヘヴィに」というのがエスカレートして、「ENDLESS, NAMELESS」までたどり着いたのかもしれない。あれがWiLDHEARTSの最終形だとは思わないが、この「P.H.U.Q.」や「FISHING~」はそのプロトタイプだったのかもしれない。

初来日公演や翌年の再来日では、このアルバムからの楽曲が中心となっていたので、やはり思い入れという点ではこのアルバムが一番強い。ジンジャーがステージ中央にあのレスポールを持って現れ、"I Wanna Go Where The People Go"のイントロを弾き始めた、あの鳥肌が立った瞬間は今でも忘れられない。あの瞬間に彼等は俺にとって大切なバンドに決定したのだから。

最後に余談だが、このアルバムタイトル、どうやって発音するのだろう?という声をよく耳にする。え~皆さん。「P.H.U.Q.」でしょ‥‥「PH」って「ファ」って読むでしょ? この際「U」は無視して最後の「Q」が「キュー」だから‥‥ねっ、判ったでしょ?(笑)タイトルなんて意味なくていいんですよ♪



▼THE WiLDHEARTS『P.H.U.Q.』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2000 08 02 06:24 午後 [1995年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2000/07/27

THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES』(1994)&『FISHING FOR MORE LUCKIES』(1995)

一見ニューアルバムのようだが、実はそうではないのがこの「FISHING FOR LUCKIES」だ。これがまた厄介というか、複雑なんだわ‥‥復習存在する本作について解説していきたいと思う。

①『FISHING FOR LUCKIES』(1994 / ファンクラブ限定バージョン)

'94年12月にファンクラブを通して発売された6曲入りミニアルバムとして最初に「FISHING FOR LUCKIES」というタイトルで通信販売された。当初、これらの楽曲はオリジナル・フル・アルバムとしては2作目にあたる「P.H.U.Q.」の為にレコーディングされたものだ。まず'94年6月に"Inglorious"と"Sky Babies"の2曲入りシングルをアルバム前にリリースする予定だったが、レコード会社が長い曲を嫌った為(この2曲だけで20分近くある/笑)、難色を示したそうだ。更にこの時期にレコーディングされたものは結局、1年後に日の目をみるわけだ(「P.H.U.Q.」自体はその1年後にリリースされた)。

収録曲は以下の通り。


1. Inglorious
2. If Life Is A Love Bank I Want An Overdraft
3. Schizophonic
4. Do The Channel Bop
5. Geordie In Wonderland
6. Sky Babies


'95年1月にはこのアルバムの中からM-2とM-5を収録したシングルがレコード会社を通してリリースされた。また、後に発売される「P.H.U.Q.」の英国初回盤にはボーナストラックとしてM-1とM-3の2曲が、同アルバム日本盤ボーナストラックとしてM-2とM-4がそれぞれ収録され、一般のルートでも聴く事が出来るようになった。


②『FISHING FOR MORE LUCKIES』(1995 / 9曲入りバージョン)

イギリスの音楽雑誌では通販版「FISHING FOR LUCKIES」が大絶賛されたことから、レコード会社は'95年夏頃に改めてこのアルバムに未発表曲2曲と"I Wanna Go Where The People Go"のデモバージョンを追加した形で、同じジャケットに『MORE』を赤字で追加しただけの形の「FISHING FOR MORE LUCKIES」をリリースしようとした。しかし「1度発表されたものにクズのようなデモを足しただけのアルバムなんか、リリースさせるか!」とジンジャーは怒り、リリース中止を呼び掛けた。ライヴでもお客に向かって頻繁に「あんなアルバム、買うなよ!」と訴えかけていた。

その後、カット盤として一般流通しているので、当時は簡単に手に入れることができた。ちなみに収録曲は上の6曲に


7. Underkill
8. Saddened
9. I Wanna Go Where The People Go (Early Version)


という9曲入りとなっている。

多分俺が持ってるのは、その流通してしまったものを複製したブートレッグだと思う。ジャケットの印刷が粗いし(恐らくカラーコピーで複写した2世、3世だろう)、背がカットされていないので。まぁファンならマスト!ってアルバムでもないし、本当に興味があるハードコアなマニア向けの作品でしょう。そういえば、最近はどこのCDショップでもこれ、見かけないなぁ‥‥


この頃の楽曲にはとにかく大作志向が目立った。どちらかというと短くて聴きやすい曲を「P.H.U.Q.」に集め、大作や実験的な曲を「FISHING FOR LUCKIES」に入れたのではないだろうか。後に発表される現行バージョンには「P.H.U.Q.」にも通ずるポップな小楽曲を中心に追加したことによって、より内容が充実しているが、初めて現行バージョンでこれらの大作を耳にした時は、とにかく驚いたのを覚えている。これら4曲はパンク版プログレというわけの判らないカテゴライズをしたくなる程(笑)、起伏が激しい。まるでローラーコースターに乗ってるかのように‥‥しかし、これらの曲がこのアルバムの中では1番好きだったりするのだから、少なくとも俺にとってはこのアルバムの曲をこのような形で発表した事に意義があったということだろう。

そういえば、これらの大作はライヴで披露されたと聞いた事がない。彼等のライヴがどういうものか知っている人なら、それらが何となく合わないんじゃないか?と思うことだろう。俺も同感だ。ジンジャーが最後まであれらの楽曲を完奏するするとは思えない(笑)。絶対に途中で飽きて、他の曲をやりそうな気がする。まぁそんな事はどうでもいいか。このアルバムの再発バージョン、ジンジャーは嫌いで1度も聴いていないらしいから。最初のバージョンは気に入っているらしい。そもそも、結果としては同じようなアルバムが3度発売されたわけだが、雑誌のレビューは再発を重ねる毎に評価が低くなっていったそうだ。何がどう悪かったのかは判らない。要するに「同じアルバムを何度も再リリースして、小金稼いでるんじゃねぇよ!」って事なのかもしれない。



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投稿: 2000 07 27 06:16 午後 [1994年の作品, 1995年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2000/05/03

BON JOVI『LIVE FROM LONDON』(1995)

BON JOVI初のライヴビデオといううたい文句で95年11月に発売されたこのビデオ。実はこれ、嘘だよ‥‥「オフィシャル初の~」という枕詞をつけるべきである。だって、初来日の「スーパーロック」@西武球場でのライヴも日本では発売されたし(20数分のものだが‥‥)、翌85年の初のジャパンツアーのビデオも日本オンリーで発売されていた。(現在は廃盤。ちなみに前者は数年前に再発されたはずだ)それに93年にもアンプラグドならぬMTV「半プラグド」ライヴがビデオでリリースされてるし‥‥まぁ純粋な意味での「普段通りのライヴ」を収めた作品としては初めてだし‥‥いいか?(笑)

俺が常々「BON JOVIはライヴだ!」って言ってきたその答えが、このビデオの中にある。残念ながらこの作品、90分程度の縮小編集版なのだが(実際のライヴはこの倍近く、あるいはそれ以上ある)これでも十分伝わってくる。如何に彼等が「ROLLING STONESやAEROSMITHの後継者」であるかが、この90分に凝縮されている。

以下にこのライヴの収録された95年6月25日のイギリス・ウェンブリースタジアムでのセットリストを記しておくので、御参考までに。(太字がビデオ収録曲)

01. Livin' On A Prayer
02. You Give Love A Bad Name

03. Wild In The Streets
04. Keep The Faith
05. Blood On Blood
06. Always
07. I'd Die For You
08. Blaze Of Glory
09. Runaway
10. Dry County
11. Lay Your Hands On Me
12. I'll Sleep When I'm Dead
  ~ Papa Was A Rolling Stone (TEMPTATIONS)

  ~ Jumpin' Jack Flash (ROLLING STONES)
  ~ I'll Sleep When I'm Dead
13. Bad Medicine
  ~ Shout (ISLEY BROTHERS)

—ENCORE—
14. Bed Of Roses
15. Hey God
16. These Days
17. Rockin' All Over The World (STATUS QUO)
18. I Don't Like Monday (BOOMTOWN RATS)
19. Wanted Dead Or Alive
20. Stranger In This Town (Vocal : Ritchie Sambora)
21. Someday I'll Be Saturday Night
22. This Ain't A Love Song

ねっ、半分カットされてるでしょ? しかも山場となる「Blood On Blood」や「These Days」、「Dry County」といった大作やゲストを交えたカヴァー曲(「Rockin' ~」にはブルース・スプリングスティーンのE.STREET BANDのギタリスト、リトル・スティーヴンスが、「I Don't Like Monday」には当の御本人、ボブ・ゲルドフがゲスト参加)までもがカットされている権利の関係とかいろいろあるだろうが、日本でそういう客演をあまり拝見した事がないので(せいぜいGN'Rでのロニー・ウッドくらいか?)豪華に完全収録して欲しかった。

このライヴは95年4月から始まったツアーのクライマックスといえる、ウェンブリースタジアムでの3日連続公演の内の3日目だ。当時の最新作『THESE DAYS』はツアースタート時はまだリリースされておらず、新曲も1~2曲程度で、どちらかといえばその半年前にリリースされ大ヒットしたベスト盤『CROSS ROAD』をフォローアップするツアーのようだった。実際に内容からそう言ってもおかしくない選曲だと思うし。その年の5月に彼等は日本で、福岡ドーム~西宮スタジアム~東京ドームという日程で来日し、上のセットリストとほぼ同じ選曲でライヴを行っている(もちろん日によって若干の違いもある)。日本ではこの数週後にシングル「This Ain't A Love Song」がリリースされるという状況で、新作からはその他にも「Hey God」「Diamond Ring」が披露されている。

アルバムは6月上旬に発売され、日本でもチャート誌の総合チャートで1位を記録し、同じくイギリスでもチャートの1位を記録した(マイケル・ジャクソンを蹴落として、である)。このライヴはその余韻に浸るメンバーを目にする事ができる。実際にビデオ内のMCでもジョンはファンに対して感謝の言葉を述べている。

それにしても‥‥本当にスケールがでかいバンドになったもんだな?と再確認したビデオだ。7万人だよ!?それを3日間‥‥前座には英国を代表するTHUNDERと、アメリカではBON JOVIよりも人気/セールス共に格が上のVAN HALENだよ? ある意味、屈辱的ともとれるこの行為‥‥でも実際に、ヨーロッパでのBON JOVIの人気を考えれば当たり前だし、VAN HALENはデイヴ・リー・ロスがいた頃以来、ヨーロッパではライヴはやっていなかったそうなので、これが妥当なのである。日本から見れば「うそぉ~!?」的な組み合わせだが(笑)。それにしても豪華な組み合わせだ。

改めてライヴの魅力を‥‥って、観れば判るって! とりあえず、観なさい!!!ロックは何も排他的な、アンチ的なイメージばかりではない。こういう肉感的な、ポジティヴで観ている人に希望と勇気を与えるのもロックのひとつのテーマなのではないだろうか?

「BON JOVIは売れてるから嫌い」「曲が売れ線だから嫌い」「日本に媚びているから嫌い」「ジョンの胸毛が嫌い」「ボーカルよりギターの方が歌上手いから嫌い」「産業ロックっぽくて嫌い」「80年代的バブルバンドだから嫌い」‥‥以上が彼等を嫌いという人達の、代表的な意見だろうか? 売れてて何が悪い? 曲が良くて何が悪い? 逆に言わせてもらえば、80年代以降、こういう「普段ロックを聴かない人にもアピールできる曲が書けて、何万人もを惹き付けるライヴをする事が出来る」当たり前のバンドが、どれだけいる? OASIS? 確かに彼等はそれに近い。しかし全世界で本当に同じ状況だろうか? ヨーロッパや日本を除けば‥‥どうなんだろうか。だがBON JOVI‥‥既に彼等は本国アメリカよりもヨーロッパで絶大な支持を得ており、ここ日本よりも他のアジア諸国‥‥韓国やタイやフィリピンなど‥‥で全盛期以上の人気を獲得している。そんなライヴできるバンドが他にどれだけいる? ROLLING STONES? AEROSMITH? KISS? 彼等は確かに凄い。しかし彼等は70年代、あるいはそれ以前から活動しているバンドである。そういうバンドに影響を受けて音楽を始めた人達が、彼等に追いついているか‥‥どれだけそういうバンドが現存するか? ガンズもモトリーも過去の遺物となりつつある2000年、再び彼等は大規模なツアーを始める。日本は4大ドームツアー、イギリスは再びウェンブリーだ。毎回毎回こんな事ができるバンド、他にはいねぇぞ‥‥

ライヴの醍醐味はやはりその場に行って「生で」体験することに限る。ビデオはただの「記録」であり、そのライヴへと誘う「促進資料」に過ぎない。彼等の曲に興味を持って、更に彼等のライヴ未体験の人、まずはこのビデオで予習をしてからドームに足を運んでいただきたい。そして「あ~、本当にビデオと一緒だ!!」と感激して欲しい。

作品の評価云々ではなく、今回は「BON JOVIのライヴをなめんじゃねぇ!」って内容で終始攻撃的に書いてきたが、それだけこのバンドはライヴを観なきゃ本当の凄みが理解できないのである。まぁ興味ない人間に8000円も払ってドームに足運べとは言えないから、せめてこのビデオでも観て考え改めて下さい。



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投稿: 2000 05 03 12:00 午前 [1995年の作品, Bon Jovi] | 固定リンク

2000/03/27

THUNDER『THEIR FINEST HOUR (AND A BIT)』(1995)

ワールドワイドレベルという意味では唯一のオフィシャル・ベスト盤。収録されている楽曲は1st~3rdからのシングル既発曲(全てアルバムヴァージョン)ばかりだが、ここではそれ以外の曲‥‥このアルバムの為に用意された新曲・未発表曲を中心に紹介したい。

純粋な新曲は"Once In A Lifetime"のみで、他には1st収録"Higher Ground"新録ヴァージョン、後はカヴァー曲でROLLING STONES "Gimme Shelter"とPISON LEE JACKSON "In A Broken Dream"の2曲。つまり4曲の為にファンはこのアルバムを手にするわけだ。まぁ初心者にはもってこいのアルバムだろうけど、アルバム全部持ってるファンには‥‥全楽曲既発曲のみで構成されたベスト盤を連発する某アーティストよりは遥かにマシだが。(笑)

"Gimme Shelter"以外の曲のプロデューサーは、初起用のデヴィッド・ボスコム。TEARS FOR FEARSといった、どちらかといえばポップス系を手掛けてきた人。たまたま彼が空いていたからといった程度の理由だったらしい。最初この起用を知った時、「いよいよTHUNDERもブリットポップに便乗するのか?」と思ったが、単なる思い過ごしだったようだ。

新曲に関しては、可もなく不可もなくといったところか? このアルバムの為に書き下ろしたというより、3rdの時のアウトテイクというイメージが強い。確かに前作に収録していたら浮いていただろう。今思えばこの曲は、続く新作へのプロローグだったのかもしれない。それはリアレンジされた新録"Higher Ground"からも伺える。この辺のスマートな印象は、それまでのアルバムにはなかったものだ。

カヴァー2曲に関しては、既にシングルのC/Wで発表されていた"Gimme Shelter"はともかく、やはり"In A Broken Dream"だろう。この隠れた名曲をカヴァーするセンスに脱帽。当時謎のグループとしてこの曲をリリースしたPISON LEE JACKSON、実は唄っているのがかのロッド・スチュワートだと言われている。クレジットこそないものの、その声を聴けば明らかに彼のものだと判る。気になる方は映画「奇跡の海」サントラでオリジナルを聴くことができる。構成を若干自分達流に変えているので、THUNDERのオリジナルだと言われても何ら違和感はない。それくらいハマッてる名演だと思う。この1曲の為だけに買え!とは言えないものの、手っ取り早く彼らの代表曲を聴きたいという人には重宝されるアルバムではないだろうか。国内盤も1,800円で再発されていて且つ名曲のオンパレードなのだから、絶対に損はしないはずだ。まぁTHUNDERの場合はシングル曲以外にも名曲は数多くあるから、オリジナル盤に手を出す前にとりあえず‥‥って場合にはいいかもしれない。そうそう、"In A Broken Dream"はイギリスではシングルカットもされたので、探せば意外と簡単に見つかるかもしれない。



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投稿: 2000 03 27 02:07 午後 [1995年の作品, Thunder] | 固定リンク

THUNDER『BEHIND CLOSED DOORS』(1995)

'93~4年に渡って解散騒動(ルークとダニーの不仲が原因)の為、活動休止していたTHUNDER。気を取り直して'94年夏からレコーディングに入り、同年末にシングル"Stand Up"リリース後、翌年1月に発表されたのがこの3rd。全英初登場5位を記録し、4曲がシングルカットされている。(実はあまり知られていないが、後に登場するベスト盤リリース後暫くして"'Til The River Runs Dry"もリリースされている)プロデューサーには1stでミックスを担当したマイク・フレイザーとルーク自身が当たっている。このアルバムまで、アメリカではGEFFENからリリースされたが、大きなヒットには結びつかなかった。

THUNDERの凄さとは何か?という答えが、このアルバムに凝縮されている。それくらい濃度の高い名盤。普通1stが完成度が高い作品だと、そのプレッシャーに押し潰されたりして、続く作品はそれを越える事は少ないのだが、彼らの場合は1stより2nd、2ndより3rdという具合に、常に高いハードルをクリアーしてきた。人それぞれ趣味の違いはあるだろうが、特に1stとこの3rdを名盤と呼ぶファンは多いはずだ。作品的には1stからの延長上なのだけど、このアルバムから加わった新ベーシストのミカエル・ホグランドが持ち込んだ新たな要素がいい刺激となっている。

だって1曲目からいきなり固定観念を覆す"Moth To The Flame"だもん。このBLACK SABBATH的リフとRAINBOW "Gates Of Babylon"的メロディーを持ったへヴィなナンバーがいい導入部を作り、続くファンキーな"Fly On The Wall"、ここまでシンプルな泣きのブルーズは初めて"I'll Be Waiting"、そして超名曲"River Of Pain"、トラッド調~へヴィな流れがZEP的な"Future Train"、そして胸を締めつける"'Til The River Runs Dry"というアナログA面の流れは完璧である。勿論"Stand Up"から続く後半も名曲揃いで、正に捨て曲なし!といったところだろう。特にラスト2曲‥‥"Ball And Chain"~"It Happened In This Town"の流れは、アルバムを閉める上では最高のエンディングを飾っている。これを受け入れられない『自称・ブリティッシュロックファン』は即刻死刑! いや、マジで。

極論を言ってしまおう。このアルバム、"River Of Pain"1曲の為だけに買ってしまっても損はしない! 勿論、後のベスト盤やライヴ盤にもこの曲は収められているが、やはりこの一連の曲の流れで聴いてもらいたい。これ1曲でも感涙度150%なのに、アルバムの流れで聴くと378%までアップする。(笑)冗談抜きで、この曲が何故大ヒットに繋がらなかったのか? もうそれだけで不幸である、イギリス人は。結局こういう曲を受け入れなくなったのは、彼らが不在の間によりダンス指向に流れていった事と、やはりブリットポップが影響している。事実この事により、THUNDERは契約を失うわけだから。

そんな「当時BLURやOASISに夢中だった」音楽ファンは今このアルバムを聴いてどう思うのだろうか、是非その意見を聞いてみたい。いや、否定的な意味で言っているのではない。俺だって当時は両バンドを好んで聴いていたわけだし。ただ、切っ掛けがなかっただけで、こういう素晴らしいアルバムを見逃してしまっていた事を知って欲しい‥‥それだけなのだ。後は作品を聴いた本人が判断すればいい。自分にとって必要か、不必要かを‥‥



▼THUNDER『BEHIND CLOSED DOORS』
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投稿: 2000 03 27 02:02 午後 [1995年の作品, Thunder] | 固定リンク