「#プリンス三昧」プリンス全スタジオアルバム解説④(1996〜1999年)
このエントリーは今年1月から6月にかけて筆者のインスタアカウントで不定期連載してきた、ハッシュタグ「#プリンス三昧」付きのプリンス全スタジオアルバム(一部関連作品やコンピ盤、リミックス盤なども含む)55回分の投稿を、時系列(リリース年月)順に再構成してまとめたものです。第1回はこちら、第2回はこちら、第3回はこちらからご覧ください。
第4回はワーナーとの決別から新天地を求めていろんな動きを見せた、1990年代後半の9枚についてです。
PRINCE『GIRL 6: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』(1996)
1996年3月19日にリリースされたコンピレーションアルバム。サブスク未配信。
本作はスパイク・リー監督による同名映画のサントラ盤で、殿下の新曲及び未発表曲3曲にTHE NEW POWER GENERATIONやTHE FAMILY、VANITY 6の既発曲を交えた構成。『GRAFFITI BRIDGE』(1990年)にも似た構成だけど、書き下ろし新曲は1曲のみなのでオリジナルアルバム扱いはされていないようです。
どれも殿下が書いた楽曲なので、「殿下とその仲間たち」によるレアなカタログ盤と捉えれば難しいこと考えずに楽しめる。リリース当時は1、2回しか聴かなかったけど、あれから30年を経て引っ張り出して聴き返すと意外と良かった。自分も歳を取ったということか。それはそれでいいじゃないか。
ちなみに、映画のほうはマドンナとかタランティーノ、ナオミ・キャンベルなどセレブが多数出演していたようですが未見。FODで観れるらしいけど内容的にはそこまで惹かれないかな。
▼PRINCE『GIRL 6: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD)
PRINCE『CHAOS AND DISORDER』(1996)
1996年7月9日にリリースされた“プリンス名義”の18thアルバム。
ワーナーと最後の仕事として制作されたオリジナルアルバムは、意外にも殿下のギターを前面に打ち出したロック色濃厚な1枚(本当は契約上もう1枚残っているのですがそれは数年後に発売)。派手でわかりやすくてカッコいいんだけど、そういう豪快な曲より穏やかめの楽曲のほうが印象に残る不思議。いや、それ以上に「混沌と無秩序」と銘打ったタイトルや意味深なジャケのほうが印象的なんですが。これはこれでありだけど、そんなにリピートはしないかもなと、30年後も特に感想変わらずでした。
▼PRINCE『CHAOS AND DISORDER』
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1996年11月19日にリリースされた19thアルバム。
混沌と無秩序から解放へ。ようやくワーナーから解放された殿下が放ったのは、12曲60分のアルバム3枚組と大ボリュームの大作。それぞれにテーマがあるものの、基本的には多幸感な溢れた内容で、これはワーナーとの関係解消以上に自身の結婚が大きく影響しているよう。
それもあってキレはさほど強くはない。殿下に何を求めているかで評価は変わりそうですが、個人的にはDISC2と3が好みかな。あと、初めてカバー曲(THE STYLISTICS「Betcha By Golly Wow!」、ボニー・レイット「I Can't Make U Love Me」、THE DELFONICS「La-La (Means I Love You)」、ジョーン・オズボーン「One Of US」)を採用したのも興味深かった(殿下、意外とメジャー感の強い曲を選ぶのね)。解き放たれたあとの創作欲はここからさらに向上していくものの、それと同時にゼロ年代に向けた黎明期にも突入することになります。
▼PRINCE『EMANCIPATION』
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THE NPG ORCHESTRA『KAMASUTRA』(1997)
1997年2月14日にオフィシャルサイト限定でリリースされた、THE NPG ORCHESTRA名義による唯一のアルバム。国内サブスク未配信。
当初、カセットテープのみで販売され、翌1998年1月に『CRYSTAL BALL』5枚組BOXの1枚として一部流通。現在はTidalのみで単独作品として聴けるようです。
殿下がピアノやシンセで参加し、THE NEW POWER GENERATIONホーン隊やオーケストラチームとともに制作したインストゥルメンタル作品で、内容的にはクラシックを下地にしたジャズ。若干前衛音楽的な側面が感じられるのは殿下ならではか。もともと当時の恋人のバレエ演舞のために制作された組曲で、その後彼女と結婚した際には自身の結婚式で演奏されることを想定していたんだとか。それを踏まえて聴くとなるほどなと納得するものもあるかな。
印象的なメインリフを軸に展開していく約12分におよぶタイトルトラックは圧巻の一言で、これ1曲のために聴いてもいいと思えるほど。とはいえ普段の殿下らしさはそこまで色濃くないので、殿下の作品と意識して触れると肩透かしを食らうかも。個人的にはこういうジャンル/テイストも好みなので最後まで安心して楽しめました。このあたりの作品もTHE NPG諸作品とともに一般解禁(再発)されたらいいのに。
▼THE NPG ORCHESTRA『KAMASUTRA』
(amazon:海外盤CD)
1998年1月29日にリリースされた20thアルバム
CD3枚組の大作『EMANCIPATION』から1年強で届けられたのは、同じくCD3枚からなる同タイトルの新作と、ギター弾き語りアルバム『THE TRUTH』、そして先のTHE NPG ORCHESTRA『KAMASUTRA』を同梱したCD5枚組BOXセットとして、オフィシャルサイトで限定販売。現在は各タイトルが単品で販売(配信)されているので、ここでは同タイトルの3枚組について触れます。
本作はいわゆるアウトテイク集で、録音時期も80年代前半から90年代半ばまでさまざま。海賊盤で耳にしていた曲も含まれているものの、そこは殿下のこと、どれも流石のクオリティ。アルバムとしてのトータル性は薄いものの、今の耳ならプレイリスト感覚で楽しめるはずです。そういう意味では裏ベスト的な作品でもあるのかな。
そ10分強のタイトルトラックはじめ、必聴曲多し。全30曲とボリューミーすぎてなかなか反芻しきれないのが難点ですが。
▼PRINCE『CRYSTAL BALL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3)
当初は1998年1月29日に、『CRYSTAL BALL』BOXセットの一部としてリリースされた21thアルバム。殿下逝去後に単独作品として配信開始。
本来は『EMANCIPATION』に続く単独作品としてリリースする予定だったんだとか。ですが、作風としては『EMANCIPATION』とは一線を画するもので、殿下のギター弾き語りが軸。曲によってパーカッションなどの他楽器やエフェクトが加わっていて、そういう作風もあってか音楽的にはブルース的要素強め。が、それがいいんですよね。ライブ感も強くてスリリングさもある。この時期の作品は軽視されがちだけど絶対に聴いておくべき1枚。特にロックな殿下が好きな方は絶対にハマるはず。
▼PRINCE『THE TRUTH』
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THE NEW POWER GENERATION『NEWPOWER SOUL』(1998)
1998年6月30日にリリースされたTHE NEW POWER GENERATION名義の3rdアルバム。
当初はチャカ・カーン『COME 2 MY HOUSE』とGRAHAM CENTRAL STATION『GCS 2000』との抱き合わせ3枚組仕様で販売されたほか、日本では単品CD化もされたので、THE NEW POWER GENERATION名義過去2作と比べると比較的入手しやすく、「これは知ってる。聴いた」という方も多いのでは。殿下の諸作品と比べてジャケがチープなので、当時は「えっ、ブート?」と敬遠したことも今では懐かしい思い出です。
今作はジャケットから見てもわかるように、殿下が前に出る形で制作されており、ボーカルも過去2作とは異なり殿下が歌唱。「なら別に殿下名義でいいんじゃないか」という気もしますが、アレがアレなのでしょう(プリンス名義の云々)。内容的にはタイトルを地でいく殿下流最新型ファンク中心で、非常に聴きやすいものばかり。THE NPGの面々が刷新されていることもあってか、生き生きとした感はより強まっている印象も。同時期にリリースされた『CRYSTAL BALL』よりは万人受けする1枚じゃないかな。だからこそ、殿下名義で出せばよかったのに……と思わずにはいられません。勿体ない。
▼THE NEW POWER GENERATION『NEWPOWER SOUL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD)
PRINCE『THE VAULT... OLD FRIENDS 4 SALE』(1999)
1999年8月24日にリリースされた“プリンス名義”の22ndアルバム。
1996年の『CHAOS AND DISORDER』でワーナーとの契約は完全終了していたかと思いきや、もう1枚残っていたのかと当時驚いた記憶が。で、例によって今回も未発表曲をかき集めた編集盤なのですが、そこは殿下のこと。しっかりとトータル性の強い1枚に昇華されています。
プリンス名義でのワーナー末期は『COME』(1994年)でダークなファンク、先の『CHAOS AND DISORDER』ではロックと、それぞれ異なるカラーでしたが、今作はジャジーなソウルといったところでしょうか。刺激こそ薄いものの、これが実に心地よくて直近の新作よりも優れているんじゃないかと思うほど。リリース当時は寄せ集めという思い込みであんまりリピートしなかったけど、こうやってキャリアを振り返りながら1枚1枚聴いてきたことで改めてその魅力を再発見できたのは嬉しい限り。
▼PRINCE『THE VAULT... OLD FRIENDS 4 SALE』
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PRINCE『RAVE UN2 THE JOY FANTASTIC』(1999)
1999年11月2日にリリースされた23rdアルバム。
新たにArista Recordsと契約して発表したオリジナル新作。しばらくチャート的にも低迷していたこともあり、移籍とともにヒットを意識した作品にトライ。それもあってか直近のボリューミーな作品やテーマを絞ったアルバムと異なり、『THE GOLD EXPERIENCE』(1995年)的雑多感のある作風に。かつ、チャック・Dやグウェン・ステファニー、シェリル・クロウなど珍しく外部ゲストも多数参加。そのおかげか1曲1曲の仕上がりは非常にキャッチーなものばかり。なのにトータルで聴くと不思議と地味に聴こえるという。いい曲多いのにインパクトに欠ける、なんとも微妙な1枚。昔も今も大して印象は変わりませんでした。
▼PRINCE『RAVE UN2 THE JOY FANTASTIC』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)













