ARCH ENEMY『STIGMATA』(1998)
1998年5月5日にリリースされたARCH ENEMYの2ndアルバム。日本盤は同年3月21日発売。
1枚限りのプロジェクト形態で制作されたデビューアルバム『BLACK EARTH』(1996年)から約1年半という短いスパンを経て、マイケル・アモット(G)を中心にヨハン・リーヴァ(Vo)、クリストファー・アモット(G)、マーティン・ベンソン(B)、ダニエル・アーランドソン(Dr)というバンド形態で制作された真の意味での1stアルバム。レコーディングにはダニエルが2曲しか参加できず、クリストファーの別プロジェクトARMAGEDDONのメンバーでありのちにDARKANEに参加するピーター・ウィルドアーが大半の楽曲でプレイすることとなります(ダニエルはアルバム完成後に行われたツアーから復帰)。
日本盤リリースが海外より1ヶ月以上早いことからも伺えるかもしれませんが、彼らは1997年の初来日時(CATHEDRALジャパンツアーのゲスト)に日本のファンから熱狂的な歓迎を受けたこともあり(それを理由に活動継続が決定)、日本のレーベルTOY'S FACTORYと独自契約を果たしており、そこで日本のスタッフからの声を反映しながらアルバムを完成させたといいます。それもあってか、当初発売された日本盤が全12曲入りだったのに対し、のちに海外でリリースされたものは全9曲入りとコンパクトな仕上がり(「Hydra」「Diva Satanica」「Damnation's Way」がカット)。日本盤に関しては、当初ミディアムテンポ中心だった作風に対して日本側から「もっと速い曲も欲しい」とリクエストしたことから2曲追加が決まったという話もあり(「Hydra」は1分欠ける程度のインストなので、歌モノということで)「Diva Satanica」「Damnation's Way」が追加されたのかもしれませんね。
とはいえ、そのミディアムヘヴィな楽曲中心の作風は決して前作より劣っているとは感じられず、むしろテクニカルで複雑な展開というARCH ENEMYらしい個性がここでようやく確立し始めたと、ポジティブに受け取ることができます。オープニングを飾る名曲「Beast Of Man」はアルバムスタートの景気付けとしては見事な役割を果たしているものの、本作の魅力が本格的に発揮されるのは続く2分強のインスト「Stigmata」からアグレッシヴな「Sinister Mephisto」へとつなぐこのパートから。そこまでミドル中心という印象は個人的にはなく、適度なスピード感と重さで聴き手をグイグイ引き込む説得力は前作以上だと思いました。
ヨハンのボーカルはデスメタルのそれとは異なる、ハードコアパンク的な咆哮歌唱。メロディアスなツインリードギターが活かされたアレンジとの相性もなかなかのもので、メロディックデスメタルというよりは“メロウな要素を強めたテクニカルスラッシュメタル”と呼ぶほうが合っている気がしないでもない。ただ、確かにこのボーカルスタイルだと表現の幅も限定されてしまうので、この形が長続きしなかったのも頷けるといいますか……。
マイケル・アモットは本作に対してネガティブな印象を持っているようですが(当時のベーシストの出来に不満があり、来日中に喧嘩したことも影響しているとのこと)、ファン目線では前作以上にもっと評価されるべき1枚だと断言したいです。
▼ARCH ENEMY『STIGMATA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)








