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1999/02/08

MANIC STREET PREACHERS@赤坂BLITZ(1999年2月7日)

  前回の来日から約5年半が経ち、僕はただ歳を取り、彼等は3人になった‥‥

  なんてカッコつけて書き出したはいいものの、何かしっくり来ない。今朝の時点ではサッパリしてたのだけど‥‥う~ん、こうやって書き出せばやはり余韻を引き摺ってしまう。どうにかならないものだろうか? やっぱり早く次のライヴを見つけなくては‥‥

  というわけで、MANIC STREET PREACHERS(以下マニックス)の通算3度目、約5年半振りの来日公演が2/5大阪から始まった。僕にとっては2度目(前回は2公演観た)の来日公演だ。大阪公演の情報はネット上でいろいろ飛び交っていたし、実際セットリストなども目にしていた。「アンコールなし~ぃ!?」と怒る奴もいれば、「最高だった!」と感涙する奴もいる。万人を納得させるライヴを行うことは正直、不可能に近い。いや、そうだろうか‥‥そんな気持ちを胸に抱え、2/7(日)僕は家を出た。

  東京公演初日となるこの日は唯一の休日公演ということもあり、会場はほぼ満杯だったように思う。僕はかなり若い整理番号だったので、ほぼ最前列中央に辿り着く事が出来た。「『とみぃの宮殿』に集まる方の代表として、そして行けなかった人の分までこの目に叩き込んでやる!」と最初意気込んだものの、開演までの1時間、更に30分おしたので合計1時間半、僕の気持ちはどんどん不安へと変わっていった。「本当に出てくるんだろうか?」‥‥とりあえず会場に流れる音楽に身を委ねる。R.E.M., GUNS N'ROSES‥‥どれも知ってる曲。なのに元のCDが悪いのか、イントロ部分で音飛びが。(苦笑)結局、"Sweet Child O'Mine" は聴けず終いだった。(涙)だが、その後にかかったMARILYN MANSON "Beautiful People" で気持ちが持ち返す。(笑)最前列で軽いヘッドバンギング、正に『ひとりCLUB K』状態だった。(爆)

  どういう理由で開演が30分もおしたのかは知らない。だって開場時間はキッチリ17時だったし。おかしいな?と思い始めたのは17時50分頃。ステージ上のローディーがまだ楽器のチューニングもしてない! いや、既に済んでるのか?などとひとり不安がっていたら、案の定18時15分を過ぎたあたりから楽器のチューニングを始めやがった!(爆)マイペースと言うのか何と言うのか‥‥ここで本日2度目の不安状態に。(笑)

  18時30分、会場が暗転しオープニングのS.E.が流れ出す。いよいよだ‥‥そしてメンバーがひとりひとりと所定の位置まで歩いていく。見える、すぐそばにあのジェームズ、ニッキー、ショーンがいる!!! ジェームズのほぼ真ん前に陣取り‥‥が、既に後ろから圧されまくり! 以前、リキッドルームでのTHE WiLDHEARTS公演で最前列を陣取った時、やはり同じ状態に陥り、丁度鉄パイプ製の柵があばらの辺りに‥‥結局、肋骨にヒビが入るという経験があるので、少しだけ後ろに移動。丁度前にひとり入ってくれたので命拾いした。(笑)「情けない」と笑って下さって結構。でも、これだけは経験したものでなければ判らないと思うので<あの痛み/苦しみ。

  起動修正。ライヴスタート! 1曲目は大阪と同じ "Everything Must Go" だった。まず驚いたのは音がクリアーだった事。よくよく考えるとこの1年ちょっとの間、僕が観たライヴは全てここ赤坂ブリッツでだった。その中でも郡を抜く音の良さだったと思う‥‥って、よくよく考えてみれば、単にマニックスがシンプルな楽器(メンバー)構成だからかもしれない。(笑)そして演奏が異常に安定している。ショーンのリズムキープはアルバム毎に良くなってきてるが、現時点でここまで叩けば誰も文句は言えないだろう。ニッキーは‥‥相変わらず、というか。(笑)唯一、ニッキーはニッキーのままだった気がした。そして‥‥じ、ジェームズなのだが‥‥予想以上に大きいので吃驚した、というのが第1印象。(爆)ごめんなさい<ファンの皆さん。が、それ以上に驚いたのが、彼の身軽さ! ライヴ・ヴィデオ『EVERYTHING LIVE』や衛星放送での彼等のライヴを観た事がある人なら判ると思うが、ジェームズ、ギターを弾きながらクルクル回るわ飛ぶわで大暴れなのだ! 何故にあそこまで身軽に動けるのだろうか? 不思議でならない‥‥(爆)

  なんてバカな事を考えていたら、後頭部に蹴りが入る。(爆)既にボディサーフが始まってる! 「へっ!?この曲でもう?」って思う隙もなく1曲目が終了し、2曲目に突入。僕がライヴ1曲目だと予想してたニューアルバムからの曲、"You Stole The Sun From My Heart" だった。イントロ部分のリズムはシーケンサーを使用、それに合わせジェームズがクリーントーンでアルペジオをつま弾く。サビに入る直前の、あのギターが歪み出す瞬間にジェームズ、ニッキー飛び上がる! それに合わせて僕らも飛ぶ! とにかくジェームズ、よく動き、よく歌う。この男の歌唱力は過小評価されているような気がしてならない。現在のロックシーンを見回してもこれだけの声量・歌唱力をもったシンガーはいないのでは? しかも「最高にエモーショナルなギタープレイをしながら」である! 既にこの日何度目かの鳥肌が‥‥! ここでニッキーに目をやると、膝でリズムを取りながら目を瞑り、歌っている‥‥勿論、その声は聞こえはしないが。とにかくニッキーも気持ち良さそうに歌っている。ベースプレイがお留守になる事もしばしばだったが。(笑)

  "You Stole The Sun~" が終了。ここでジェームズ、ギターをトレードマークの白のレスポール・カスタムからテレキャスターに持ち替える。ファンなら次の曲の予想がつくだろう。3曲目は「K, k, k, k....Kevin Carter!」(by James)そう、"Kevin Carter"。リズムに合わせてジェームズ、ニッキーが飛び、僕らも飛ぶ。真正面にいるからという訳ではないが、やはりジェームズに目がいってしまう。どんなにふ○っていようが(爆)彼の歌唱力/ギタープレイは正真正銘の本物。正直なところ、レポートなんてどうでもいいや!って思ったもん。(笑)アルバムと違い、ソロパートはギター。ハーモナイザー(エフェクターの一種で、元の音にその1オクターブ上(または下)の音が被さるエフェクト効果が得られる。)がかかったギターソロは原曲に忠実だった。カッコ良すぎ! あんたら、スゲ~よ!!

  4曲目はこの日唯一の2ndアルバム『GOLD AGAINST THE SOUL』からのナンバー、"La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)" だった。ここまでの曲構成/流れ、完璧である。こうやって聴いてみると、2ndの曲というのが如何に『3人体制』になってからの音に近いかが伺える。僕が最近、「新作聴いたら、次は2nd!」と言ってる意味が判っていただけますか? ここで気がついたが、サポートメンバーのマイク・ネイスミスのキーボードの音が小さいような気がする。後ろの方で聴いてた方にはどのように聴こえたのだろう? この曲などはギターに絡むピアノが重要な気がするのだが‥‥

  ここまでのジェームズのMCは必要最低限の言葉のみ。よくある「また日本に戻って来れて嬉しいぜ!」とか「アナタハウツクシイ(笑)」なんて挨拶はなし。一見無愛想に見えない事もないが、これがマニックスなのだ。「次の曲は‥‥」‥‥っへ!?今、なんて言ったの? 僕の聞き違いか?‥‥確かに "Stay Beautiful" と言ったような気が‥‥その通り、5曲目はその "Stay Beautiful"! UKツアーではたまにやってたみたいだが、誰も「絶対」がない事を知っている。だからこそ、このハプニングには皆、気が振れたかのように大暴れ! ボディサーファー続出、感極まって涙する女性多数。(笑)1stからの曲とあってか、リズムは昔のように走りぎみ。(苦笑)だが、この時代の曲にはこれが合ってるような気がする。打ち合わせた訳でもないのに、皆が叫ぶ。


♪Don't wanna see your face. Don't wanna hear your words.
 Why don't you just♪..........FUCK OFF!!!


ここで僕にアクシデント発生。左肩から首にかけて、ボディサーファーから強烈な蹴りを食らう! 顔にもブーツの裏側がぶつかる。一気に醒める‥‥ふぅ~~~~~~っ、冷静になれた。もしこのままの状態が続いたら、レポートはおろか自分の記憶さえも失うところだった。その位思い入れのあるこの曲が再び聴けて、今その感動がまた蘇ってきた。

  気持ちを持ち直した僕に次々と襲い掛かる名曲の数々。次の曲は3rd『THE HOLY BIBLE』のオープニングナンバー、"Yes"。マニックス史上、恐らく最も演奏に注意が必要な、唯一の変拍子ナンバー。しかし、リズムキープはしっかりしてるし、演奏も完璧に近かった。ここで初めてステージ向かって左側の空白部分に気付く。あ、そうか。今でもあそこにはリッチーがいるんだ。恐らくメンバーにとってはそうなんだろう。勿論僕らにとってもその気持ちは一緒。最近残念に思う事は、若いファンがリッチーというメンバーを知らなかった事だ。そう、目の前に見えるマニックスは3人(+1)だが、多くのファンの「心の目」には見えてるはずだ‥‥

   エンディングの独特なギターフレーズを最後に、"Yes" は大歓迎の内に終了する。ここからは再び新作『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』のコーナーである。7曲目は "Tsunami"。新作の中でも人気のあるナンバーだ。イントロのシタールはキーボードがサンプリング音で代役。僕もレスポールをメインで弾くのでよく判っているつもりだが、とにかくジェームズのギターサウンドには圧巻である。アンプ自体も僕が昔使っていたマーシャル。なのにあのクリアーなクリーントーン‥‥そうか、マーシャルの上に乗っているトレース・エリオットか!(注意;マーシャルやトレース・エリオットというのは、ギターアンプのメーカー名。マーシャルはメジャーだが、トレースは本来、ベースアンプが主である)恐らくジェームズは「ディストーション系はマーシャル」「クリーントーンはトレース・エリオット」という風に設定を分けているのだろう。切り替えのスイッチで。そのスイッチはジェームズの足下にはなかったようだ。切り替わる瞬間も彼は飛び跳ねてたので、裏でローディーがスイッチング担当をしてたのだと思う。プロの世界ではよくある事で、大きなステージで動き回る以上、いつどこでギターの音色を変えてもいいように常に舞台裏ではローディーがスイッチングのタイミングを計っているのだ。

  しかし、どうしたことだろう‥‥この曲の美しさときたら‥‥ジェームズの声量はまだ落ちていない。続けざまに新作から "Ready For Drowning"。僕が新作の中でも特に好きな曲のひとつだ。イントロのオルガンのフレーズがどことなくTHE DOORSを彷佛させる美しいナンバー、イントロから歌に入った時の転調がまた絶妙に巧い。ジェームズという男、歌やギターの才能に恵まれているだけではなく、作曲の才能までも持ち合わせている‥‥例えそれと引き換えに太ろうが(笑)そんなことどうでもいい。ジェラシーすら感じる。

  そして次は‥‥僕が最も聴きたかった曲、『EVERYTHING MUST GO』の最終トラック、"No Surface All Feeling" である! この曲の美しさときたら‥‥正直に告白しよう。僕はこの曲で秘かに泣いた。みんなステージに夢中で、ステージのすぐ側にいる身長180cmの男が涙を流していた事なんて誰も気付いてはいなかっただろう。"Tsunami" からの「美メロ」3連発にやられた、って気分だった。目からはコンタクトが落ちそうな程の涙が‥‥何て美しい、何て激しくて、何て優しい曲(メロディー)を書くのだろうか、ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドという男は‥‥!

  むせび泣く僕を後目にライヴは進行していく。ジェームズの口から意外な曲名が飛び出す。「次は‥‥古い曲だよ‥‥"Sweet Home Alabama"!」そう、LAYNARD SKYNARDの名曲である。ジェームズがあのカントリータッチのイントロフレーズを弾き始めると、他のメンバーはそれに合わせて加わっていく。そして歌に入る直前に演奏はストップ。一瞬の間‥‥そしてジェームズがギターを刻むように弾きながら、聴き覚えのあるフレーズを歌い出す。♪Baby, baby, baby love~♪‥‥あぁ、いよいよ佳境に突入するな!‥‥♪Baby, baby, motown junk~♪‥‥待ってました! インディーズ時代の名曲、いや初期マニックスの名曲、"Motown Junk" の登場だ! 意外とリズムは安定しているし、演奏も歌もガッチリ決まっている。ボディーサーファーは前の3曲での鬱憤を晴らさんばかりに頭上を泳ぎ回る。勿論僕の頭に蹴りが入りまくる。(爆)でも全く気にならない。だって"Motown Junk" だぜ!? 冷静でいられる訳がない! サビは大合唱。フロントの2人は飛び跳ね大暴れ。そして曲の最後の台詞、「We Destroy Rock'n'Roll!」が‥‥何故、「We Destroy ...」で止めてしまったのだろう? 責めるつもりは更々ないが、やっぱりここまできたらカッコ良くキメて欲しかったなぁ‥‥でも、今の彼等には『Destroy』する意味がないのかもしれない。あるいは‥‥いや、やめておこう。この話はまた今度だ。

  続けざまにもう1曲の名曲、"Motorcycle Emptiness" が続く。曲調こそハードだが、メロディーは今のマニックスそのものである。続く "If You Tolerate This Your Children Will Be Next" (しかし長いタイトルである;笑)に引けを取らない完成度だと思う。この2曲は90年代前半/後半の彼等を代表するナンバー、いや、イギリスを代表するナンバーだと確信している。きっと2000年以降に、雑誌などでの企画「1990年代の名盤・名曲特集」に名を残すことだろう。それにしても、 "If You Tolerate This~" に対する反応が弱かった気がしたが、それは曲調がああだからだろうか? 単に前の方に集まった客がオールドファンばかりだったからだろうか? せっかくの初の全英第1位のナンバーに対する反応がこんなに寒くていいのだろうか‥‥

  ここで一旦、ジェームズを除く他のメンバーは袖に引っ込む。ジェームズはレスポールからギブソンのアコースティックギターに持ち替える。客から彼に何か声がかかる。「What?」とジェームズ、微笑みながら相手になる。和気あいあいとした雰囲気の中、新作から "Black Dog On My Shoulder" の弾き語りが始まる。この曲は大阪ではプレイされなかった、いわば東京で本邦初披露の曲である。(既にUKツアーでやってたら、すんません)終盤のテンポが変わる部分辺りで、ジェームズがぽつりと一言、「Merry Christmas, Tokyo...」(注;実際には「東京のみんなに、ちょっと遅いけどクリスマスプレゼントだよ」と言っていたそうだ。人の記憶なんて結構いい加減なもんさっ!)‥‥そして歌い出したのは何と、 "Last Christmas" ! そう、かつてジョージ・マイケルが在籍したWHAM! の定番クリスマス・ナンバーである。去年のウェンブリー公演など、過去にもクリスマスシーズンにこの歌を歌うジェームズが確認されていたが、まさか2月に、ここ東京で聴くことが出来るとは夢にも思わなかった! 隣では「何でクリスマスなの?」と宣う女性がいたが、いいじゃないか?ボーナスだよ、6年近く待った僕らに対する。

  最初の1コーラスで "Last Christmas" は終了。会場は笑顔と拍手に包まれる。それに続くは、切なくも美しいアコースティック・ナンバー、 "Small Black Flower That Grow In The Sky"。アルバム『EVERYTHING MUST GO』の中で聴くと、箸休め的な印象を受けたが、こうやってライヴ会場で聴くと全く違う印象を受ける。聴くシチュエーションでこうも違うものなのだろうか? いや、違う。目の前にいるジェームズという男の歌唱力に圧倒されているのだ。このアコースティック2曲はどことなく3rd アルバムの頃の LED ZEPPELIN を彷佛させる、などと考えたのは僕だけだろうか? あのフレーズはジミー・ペイジに通ずるものがあると思うのだが‥‥しかし、本当に巧い。歌もギターも。これ以上の言葉が浮かんでこない。

  2曲のジェームズのソロを終えて、残りのメンバーが再びステージに戻ってきた。バンド編成での再スタートは、CMでもお馴染みの名曲、 "Nobody Loved You" だ。残念だが、この曲のイントロは完全には再現されなかった。パワーコードの上に被さる印象的なスライドギターのフレーズ‥‥こればかりはジェームズひとりでは再現出来まい。結局、パワーコードのパートを弾く。でもそれでこの曲の価値が下がる訳ではない。やはり名曲は名曲。ミディアム~スロウ・ナンバーが多い新作の中でも、とりわけ「スロウでハード」なこの曲は、みんなにも好評なようだ。サビでは大合唱が起こる。勿論僕も。既に声は枯れていたが、それでも最後の力を振り絞って歌う。5年半分の想いを込めて‥‥この曲のギターソロは恐らくジェームズが人前で弾く、初めてのスライドギター・ソロである! 不馴れな為か、内容的には大した事なかったが、(笑)それでも音楽に対して貪欲な姿勢が伺える気がする。よく昔はジェームズとスラッシュを比較する声があったが、さすがにスライドプレイに関しては全く別物であった。スラッシュはギターネックの上から被せるようにスライドバーを操る独特な奏法だが、ジェームズは至極オーソドックスな、ネックを下から抱えるような‥‥つまり普通に弾くのと同じ体勢でプレイした。まぁ、ジェームズは歌も歌うのでこの方がやり易いのだが。でも、もしスラッシュと同じ奏法だったら‥‥どういうツッコミを入れただろうか?(笑)

  17曲目、再び勢いのある "Australia" がスタート。ボディーサーファー復活。蹴りも三度復活。(爆)この曲でライヴがスタートするのもいいが、終盤盛り上げる為に持ってこいだから、このポジションの方が正解だと思う。ジェームズは相変わらずくるくる回りながらギターをプレイし、ニッキーは飛び跳ねたり歌ったりで茶目っ気タップリだった。最後の方で、ジェームズが歌詞を間違え?たのか、ニッキーと顔を見合わせて笑ってしまい歌えなくなる。(笑)ライヴならではの御愛嬌。ライヴが始まったばかりの頃は、どこかステージ上にピンと張り詰めたものを感じていたのだが、それも進行するにつれて徐々に、徐々にと和やかなムードへと変わっていった。それはメンバーのあの笑顔が全てを物語っているはずだ。

  大阪ではアコースティックで演奏された "This Is Yesterday" が、今日はバンド編成、アルバム通りにプレイされた。ジェームズは再びテレキャスターを弾く。弾き語りバージョンもいいが、やっぱりこの曲はバンドバージョンの方が曲の良さが際立つ気がする。ダークで閉鎖的な『THE HOLY BIBLE』の中で唯一、初期の彼等らしさを醸し出すこの曲も観客に好意的に受け入れられた。

  さぁ、ここからが本当のクライマックスである‥‥事前の情報で、最後の2曲は "You Love Us" ~ "A Design For Life" だという事は判っていたのだが、何故かしっくりこなかった。確かに母国では現在、 "You Love Us" 以上に "A Design For Life" の方がアンセム的ナンバーとして成り立っている事は判ってはいたが、やはりここ日本では、 "A Design For Life" で締めるのではなく、勢いのある、いや、それ以上に日本人にとって思い出深い1st アルバムのナンバーで締めて欲しい‥‥みんな、そんな気持ちでいっぱいなはずだ。

  そして運命の時‥‥ラスト前の1曲は‥‥ "A Design For Life" だった! 内心、ホッとした。お陰で初めて生で聴く "A Design For Life" を堪能する事が出来た。もうここまでくると、頭から最後までみんな歌いっぱなしだ。拳を振り上げる者もいれば、涙を流す者、ただ音に合わせ体を左右に揺する者‥‥それぞれが、それぞれの楽しみ方をしている。そしてステージ上の3人も‥‥最後のドラムオンリーのパートでは、観客がリズムに合わせて手拍子。そして大歓声。いよいよ、である‥‥

  お待ちかねの「大ラス」は "You Love Us" ! 残り少ない彼等と共有できる時間を、最大限の力を振り絞って歌い、踊り、暴れる! コーラスではこの日一番の大合唱が‥‥もうどうなってもいい、明日なんか来なくてもいい‥‥そんな気持ちで僕も大暴れする!

  本当の「見せ場」はこの後起きた‥‥何と、ニッキーはベースをローディーに渡し、ベースアンプ上に乗っていた白いロープのようなものを持つと‥‥な、縄跳びぃ~~~~~!?(爆)噂には聞いていたが、これ程までとは正直、驚いた。(爆)ステージ狭しとニッキーは曲のリズムに合わせて縄跳びしながら動き回る。そう、僕が常日頃口にしてきた『既成概念のぶち壊し』。これこそ、それではなかろうか? これこそ『Real Rock'n'Roll』ではなかろうか?(爆)あそこまでクールに振舞って、最後にこれかよ!?‥‥ったく、ニッキー、あんたって人は‥‥素敵すぎるよ、本当に。

  ニッキーには目もくれず、(笑)ジェームズはひたすら歌い、ギターを弾きまくる。そしてエンディング‥‥マイクスタンドをぶち倒し、ギターのフィードバック音が響く中、マニックス東京公演初日は終わりを迎えた。鳴り止まぬ拍手、アンコールを求める声。しかし、彼等は戻っては来なかった。客電がついた後も僕はその場を動けずにいた。放心状態。いつ以来だろうか?ライヴでここまで放心状態に陥るのは。GUNS N'ROSES? AEROSMITH? RADIOHEAD?‥‥ハッキリとは思い出せないが、ここまで充実しきったライヴは、過去なかった気がする。2/7に体験したマニックスは27年生きてきた僕にとって、忘れられないライヴになりそうだ‥‥

  前回の来日から約5年半が経ち、僕はただ歳を取り、彼等は3人になった‥‥外見はお互いに変わってしまったが、中身は‥‥実は何も変わってないのかもしれない。気持ちだけは‥‥そう思えた事を嬉しく感じた、そんなライヴだった。


[SETLIST]
01. Everything Must Go
02. You Stole The Sun From My Heart
03. Kevin Carter
04. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
05. Stay Beautiful
06. Yes
07. Tsunami
08. Ready For Drowning
09. No Surface All Feeling
10. Sweet Home Alabama ~ Baby love ~ Motown Junk
11 .Motorcycle Emptiness
12. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
(以下2曲は、Jamesのソロ・アコースティックセット)
13. Black Dog On My Shoulder ~ Last Christmas
14. Small Black Flowers That Grow In The Sky
15. Nobody Loves You
16. Australia
17. This Is Yesterday
18. A Design For Life
19. You Love Us



▼MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 1999 02 08 01:48 午後 [1999年のライブ, Manic Street Preachers] | 固定リンク