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1999年6月13日 (日)

DEF LEPPARD『EUPHORIA』(1999)

DEF LEPPARDのニューアルバム『EUPHORIA』、買ってなくても試聴機などで一度は耳にされた方もいるのでしょうか? それともラジオで耳にしたとか? シングル曲「Promises」は一般のラジオ番組でも比較的かかっているほうですからね。

その「Promises」、初めて耳にしたときの感動……あれはどうやって表現すればいいのでしょうか。そう、初めて彼等の曲を聴いたときのあのときめき。初めて「Photograph」をラジオで耳にしたときの、あのドキドキ感。そして、スティーヴ・クラーク(G)亡き後の復活第1弾として発表されたシングル「Let's Get Rocked」を聴いたあとの高揚感。そういった感覚に近かった気がします。いや、それ以上だったかもしれないです。最近でいうと、BON JOVIの新曲「Real Life」 を初めて聴いたときの爽快感に似ているというか。別にハードロックにこだわるつもりはないけど、それでも“歌らしい歌”をちゃんと聴いたのは、随分久し振りのことだったから。最近のUKロックやオルタナバンドにはない“熱”が存在するバンド。AEROSMITHばかりに期待を背負わせてはいけないですよ!(もう歳なんだし!?おっと、失言) GUNS N' ROSESはああいう状態だしね!

それにしても……いいのか、こんなに良い曲書いちゃって!!ってくらいに感動したのは言うまでもありません。最近は毎朝このアルバムを(特に「Promises」を重点的に)聴きながら通勤しているのだけど、いやぁこの季節にピッタリっすね? 聴いていて本当に気持ちいい。暑苦しすぎないし、それでいて軽すぎない。どこを切っても金太郎飴のような“DEF LEPPARD印”の名曲揃い。

さて、今回はロック史上稀に見る超ヒットアルバム『HYSTERIA』より後の作品、『ADRENALIZE』とhttp://www.tmq-web.com/2017/12/def-leppardslan.htmlが無視されて何故このアルバムが『HYSTERIA』に続く“3部作の完結編”と言われるのか? そして、本当に『ADRENALIZE』と『SLANG』は本当に無視されるような作品だったのか?を踏まえながら、この『EUPHORIA』の素晴らしさを皆さんにお伝えしたいと思っております。

まず、僕自身はこの『EUPHORIA』を『HYSTERIA』に続く“3部作の完結編”、つまり『HYSTERIA』の続編だとは思っていません。むしろ『ADRENALIZE』と『SLANG』の続編だと考えています。至極当たり前のことですが、音楽的に考えてもこの2枚があったからこそ、『EUPHORIA』は今の形に落ち着いたんだと思います。

『ADRENALIZE』がメンバーや最近のファンの間でどのように評価されているのか知りませんが、僕はあの当時も今も傑作の1枚だと考えています。確かに『PYROMANIA』や『HYSTERIA』と比べるとクオリティ的に若干劣るかもしれません。ただ、あの当時の状況を考えてみると見えてくるものがあるのですが、この『ADRENALIZE』がリリースされた1992年って、グランジやヘヴィロック1色だった頃ですよね? NIRVANAPEARL JAMの大ブレイク、METALLICAが1000万枚もアルバムを売ってしまう時代。それまで天下だったBON JOVIやDEF LEPPARDが苦戦を強いられたのは言うまでもありません。この年の秋にリリースされたBON JOVIの4年振り新作『KEEP THE FAITH』は最高全米4位、セールス的にも100万枚程度(当時)だったと記憶しています。ところが、このDEF LEPPARDの『ADRENALIZE』は何と全米初登場1位、セールス的にも300万枚近く売り上げたのです。確かに前作『HYSTERIA』と比べれば700万枚もの開きがあるわけですが、あれは別格ですから。マイナス材料のほうが多かったのに(時代性、メインソングライターのひとりスティーヴ・クラークの急逝など)、これだけの記録を残したことは驚きに値します。

『ADRENALIZE』の良かったところは、1曲1曲がコンパクトになったこと。3~4分台の曲が大半を占め、日本盤を除く海外盤では10曲入りで40分ちょっとでした。このあたりりは時代を意識したかな?とも思いますが、ただ短くなったからといってつまらなくなったのではなく、そのぶんいろんな要素が1曲1曲に凝縮されるようになった気がします。そして、サウンドプロダクション(音の作り/組み立て方)も少しづつラフ/シンプルになりました。このあたりも時代を意識してのことなのか、それともスティーヴの死を期に何かを変えていこうと考えたのか、いろいろ理由があったと思います。

その後、1993年には未発表曲と過去のシングル・カップリング曲で構成された企画盤『RETRO ACTIVE』(全米8位)、1995年には初のグレイテストヒッツ・アルバム(新曲入り)『VAULT』(全米10位)という“スティーヴ在籍時の過去の精算”を4年かけて行いました。そのほかにも『ADRENALIZE』リリース直後にスティーヴの穴を埋める形でヴィヴィアン・キャンベルが加入し、1993年には現メンバーでの初来日公演もありました(僕が初めて観た生DEF LEPPARDはこのタイミングでした)。過去にケリをつけるために、音源でスティーヴ時代を総括しつつ、音楽性を形として残そうとする。その間に彼等は新メンバーと共に新たな道を模索していたのです。

そうして完成したのが『SLANG』(1996年。全米13位)でした。これはかなりの実験作で、当時も今も問題作としてファンの間では語り継がれています。が、そんなに目くじらをたてるほど酷い代物ではなかったですよ? むしろ、このアルバムがなかったら今回の『EUPHORIA』はこういう形にならなかっただろうし。

そう、『SLANG』の実験性は今作にも受け継がれているのです。『SLANG』の特徴は、『ADRENALIZE』から始まった“曲のコンパクト化”にさらに拍車がかかったこと。そして普遍性とは異なる“同時代性”を積極的に取り入れ、DEF LEPPARDなりに消化する。ドラムも機械的なサウンドから、より生に近い音に変化し、この頃からメンバーが個人で書いた楽曲が増えてきた。『ADRENALIZE』までは“チーム”として、“バンド”として1曲1曲を仕上げていたけど、『SLANG』以降、いや、『ADRENALIZE』からのシングル・カップリング曲以降、そういうメンバーが単独で書いた曲が増えていったのです。これにより、メンバー1人ひとりのカラーがさらに濃く浮き上がるようになった。そういう点においては、新加入のヴィヴィアンが単独で書いた「Work It Out」が『ADRENALIZE』からの第1弾シングルになったのは、“新しいDEF LEPPARD”を打ち出そうとした表れだったのかもしれません(楽曲自体かなりの冒険作だったし)。

だけど、この実験はセールス的には失敗に終わります。アルバムはアメリカで当時50万枚程度の売り上げ。ツアーも1996年5月月末からアジア地区にてスタートするも、その年のクリスマスには早くも終了しているはずです。つまり、これ以上プロモーション活動しても意味がない、とレコード会社やマネジメントは判断したわけです。悲しいかな、これが現実なのです。

これは噂ですが、この音楽的実験の失敗を受けてレコード会社は「次作は是非、従来の路線で」と迫ったそうです。大いにあり得る話です。たぶんこの新作『EUPHORIA』が“3部作の完結編”と呼ばれるのは、そうしたレコード会社の策略から始まったことだったのではないでしょうか。確かにここ数年、80年代を席巻したメロディアスロックの復権が望まれているようです。例えば、数年前に全盛期のメンバーで再結成されたJOURNEYのアルバム『TRIAL BY FIRE』はアメリカでチャート3位まで上昇し、シングルもトップ20に入るヒットとなったし。実際、近年アメリカでは80'sハードロックバンドのCDがまた売れているようですし、ラジオでもそういうのを中心にかける専門局が大当たりしてるそうですからね。これを知ったDEF LEPPARDのメンバーは大いに燃えたそうですよ、「俺達がやらずに誰がやる!?」と。「時代がそういうものを求めるなら、開き直ってやろうじゃねぇか! でも、俺達なりに90年代の解釈でやらせてもらうぜ?」ってところでしょうか。

以上、長くなりましたがこの『EUPHORIA』、最初に言った通りあくまで『ADRENALIZE』〜『SLANG』の流れを汲む作品なのです。勿論、作曲チームに80年代の名パートナー、ロバート・ジョン・マット・ラングを迎えたこともあり、“3部作”を彷佛させる楽曲が多いのは確かにあります。特に「Promises」なんて最も顕著な例ですし。でもあの頃と違うのは、やっぱり“楽曲がコンパクト”だという事実。本作も3分台前半の曲が多いし、日本盤なんてボーナストラック含め14曲で53分ですよ? 『HYSTERIA』なんて12曲で62分でしたからね。

嬉しかったのは、ハードな叙情詩的ナンバーが復活したこと。そう、「Paper Sun」ですね。このナンバーのある/なしで、僕的にも受け止め方が変わったんじゃないかって気がしています。こういう作風はある種、スティーヴの色だったはずなのに、“引き出しのひとつ”として今回改めて披露してくれた。しかも、過去の焼き直しで終わることなく、しっかり進化を遂げている。「Promises」と「Paper Sun」、タイプこそ異なりますが、この2曲があるだけで僕はノックアウト確実でした。

さらに、実験的要素も消えたわけではない。「All Night」におけるブラックテイストを臭わせるダンストラック、「Goodbye」みたいなバラードも『SLANG』を通過しなければ書けなかったでしょう。こういう曲が『PYROMANIA』や『HYSTERIA』に入っていたら、確実に浮いていたことでしょう。でも、これらの曲が『EUPHORIA』でまったく浮くことなく自然と収まっているのは、それ以外の曲が間違いなく『ADRENALIZE』~『SLANG』の流れを汲んでいるから。『SLANG』での実験は決して失敗ではなかったのです。

僕には“後ろ向き”とか“過去の焼き直し”には思えないんですよ、『EUPHORIA』って。90年代最後にきていよいよ、集大成的作品が完成したかな、と思っています。

僕らのようにDEF LEPPARDの大ブレイク期を知る人間でも、一部の人にはこのアルバムは「ちょっと(掴みが)弱いかな?」と感じるかもしれません。確かに思春期に聴いたアルバムのほうが印象は強いでしょうからね。でも……判っててもあえて声を大にして言いたいです。








































最高傑作だぜ!? てめぇら、聴きやがれ!!!!!



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