« JESUS JONES『DOUBT』(1991) | トップページ | KISS『CARNIVAL OF SOULS』(1997) »

1999/07/10

LIMP BIZKIT『SIGNIFICANT OTHER』(1999)

『断言します‥‥これ、全米チャートのトップ3入りする! 下手したら1位だってありえる。そんくらい良く出来た作品です♪』


上の発言は、僕がこのアルバムを購入後、最初に聴いた後の感想。6/23頃の発言じゃないかな? うちの掲示板の過去ログを検索すれば載っているはずです。そう直感させ、公の場で発言させてしまう程のパワーをこのアルバムから感じ取ったのです。これはヘヴィーロック界久々の傑作ですよ! K0ЯNの「FOLLOW THE LEADER」を初めて聴いた時と似たような感触でした。それは‥‥『ポップ』『聴きやすく/とっつきやすくなった』点がポイントになってくると思います。今回この全米ナンバー1アルバムをお薦めするにあたり、この辺をポイントに語っていこうと思ってます。

LIMP BIZKITが今何故、旬なのか?‥‥知っての通り、このバンドがデビューした切っ掛けとなったのはK0ЯNとの交流からでした。そのK0ЯNが新作「FOLLOW THE LEADER」で1位を取り、この日本でもフジロックを境に市民権を得た後、彼等がしたことといえば「FAMILY VALUES TOUR '98」という2ヶ月に及ぶパッケージツアー。これは「K0ЯN自らが主催し、彼等のファミリーとも言えるバンド達(INCUBUS, ORGY, LIMP BIZKIT, ICE CUBE, RAMMSTEIN)を引き連れて約2ヶ月(98年9月から11月まで)に渡り全米をツアーしたもの」(ライヴアルバム「FAMILY VALUES TOUR '98」の帯たたきより引用)で、全公演アリーナクラスがソールドアウトだったそうです。まぁ今のK0ЯNの人気を考えれば当たり前ですが、このツアーの大成功がもたらした福音‥‥それはORGY, LIMP BIZKIT, RAMMSTEINといったバンドのチャート上での成功でした。デビュー間もないORGYはおろか、LIMP BIZKITに限ってはアルバム発表後1年半経ってからの事でした。それが今現在に至っても続いているわけです。(ちなみにORGYのデビュー盤は50万枚以上、LIMP BIZKITのファーストは100万枚以上のセールスを記録してます)そして、このパッケージツアーを1枚のCDに凝縮したライヴアルバムはビルボードのアルバムチャート初登場7位を記録し、100万枚以上の売り上げを記録しました。K0ЯNというモンスターバンドがもたらした成功。そして、そこから派生したいくつかのムーブメント‥‥確かに山は動いたのです。

K0ЯNの成功の理由については敢えてここでは書きません。また別の機会の為にとっておきます。(笑)でも、「FOLLOW THE LEADER」が一般的に浸透したのにはやはり『ポップになった』『聴きやすく/とっつきやすくなった』のは大きいでしょう。ここが今回のLIMP BIZKITの新作と共通すると思うのです。

LIMP BIZKITというバンド名から思い浮かべる事といえば‥‥『バカ(爆)』『とっつき難い』というイメージがありました。RAGE AGAINST THE MACHINEほど知的さを感じないし、K0ЯNほどキャッチーさを感じない、そういうバンドでした。まぁ確かにジョージ・マイケルのカバー "Faith" は名(迷?)カバーでしたが。(笑)多くの人がこの1曲の印象でLIMP BIZKITをこうイメージする訳ですが、アルバムを聴いて更に訳が判らなくなりませんでした?(苦笑)どこまでマジでどっからがバカなのか?その線引きに非常に苦しむ存在でした。確か一昨年の初来日公演では先に挙げたようなバンドのカバーとか披露してたりしたんでしょ?う~ん‥‥(爆)

ただ、僕自身はこのファーストアルバム「THREE DOLLAR BILL, Y'ALL$」はとてもよく聴いたアルバムでした。気持ちいい、っつのが先行して、実はK0ЯNのファーストや「LIFE IS PEACHY」よりもよく聴き込んだ想い出があります。ただ残念なのはこのバンドのファーストもK0ЯN同様、歌詞カードがなかったこと。どこまでがバカなのか、その物差さえなかったという。(爆)

で、セカンド。すっごい期待してたら、それ以上のものが返ってきた気がして、とても嬉しかったなぁ。まず『聴きやすく/とっつきやすくなった』‥‥これはアルバムのサウンド・プロダクションが整理されたせいもあるでしょう。ファーストのプロデューサーはK0ЯNのファースト&セカンドを手掛けたロス・ロビンソン(他にもSEPALTULA, SOULFLYなどで有名)、ミキサーにはこの手の音を手掛けさせたら右に出る者はいないって位に有名なアンディー・ウォラス(SLAYERの一連の作品やNIRVANA「NEVER MIND」で有名)という超一流エンジニア陣を採用。これが誰のアイデアだったのかは知らないけど(多分K0ЯNのメンバーがロスを薦めたんでしょう)、こんなに豪華なファーストってそうはお目にかかれない。ところがこれだけ成功したファーストにも関わらず、彼等は製作陣を変えてきた。プロデューサーには『KIGN OF HEAVY ROCK』テリー・デイト(BUCKCHERRYでもお馴染み、PANTERAの全作品やSOUNDGARDEN「BADMOTORFINGER」で有名)、ミックスにはブレンダン・オブライエン(RATM「EVIL EMPIRE」やPEARL JAM「VS」以降の全作品、STONE TEMPLE PILOTSの全作品やAEROSMITH「GET A GRIP」で有名)を採用するという豪華さ。以前エンジニアの仕事に携わった事のある僕にはこの面子、生唾ものなんです!(笑)この面子を見ただけでも「おぉ、力入れてるなぁ!」ってのが伺えるし。実際に出来上がってきたセカンドは、この2人(テリー&ブレンダン)ならではの音作り。テリーならではのクリアーな音質。けど、彼が手掛ける作品は中音域は素晴らしいけど低音がちと弱い、っいう弱点をブレンダンの名ミックス振りでカバー。史上最強のサウンド・プロダクションがここに完成したわけです。確かにファーストで聴かれたあの「混沌としていて生々しい」サウンドも捨て難いですが、『聴きやすさ』って意味では今度の布陣で大正解。しかも今度の『ポップ』『とっつきやすい』っつう項目にもグッとマッチするし。

この『ポップ』『とっつきやすさ』を生かす為には、ヘヴィー度を増すよりはヒップホップ度を増す事で、LIMP BIZKITは成功を収めた訳です。だってRATMやK0ЯNと違って、LIMP BIZKITには実際にDJリーサルっていう有名DJ(90年代前半に "Jump Around" で全米1位を獲得したHOUSE OF PAINの元メンバー)がメンバーにいるわけですから、彼を生かさない手はないでしょう!実際新作には "n 2 gether now" っていうモロヒップホップ・ナンバーもあるくらいだし。メンバーにターンテーブル担当がいるってだけで、先の2バンドとは違う色が当たり前のように出せる。その強みを今回の作品で全面に出したかな、って気がします。ボーカルの絶叫を抑えたのも『とっつきやすさ』の理由のひとつかな。叫ぶというより、「ヒップホップ的間の手(?)」が非常に増えてますし。これ、絶対にライヴで盛り上がるって! その代表例と言えるのがビデオクリップにもなった名曲 "Nookie" でしょう。これをクラブで初めて聴いた時の感動&興奮といったら‥‥言葉に出来ずに踊りまくった、というのがこのアルバムの楽曲の特徴を顕著に示していると思うのです。つまり『暴れる/モッシュする』というよりも『踊る/ダンスする』方があっている、と。

ここで気付かれたでしょうか? 最初に例に出したK0ЯN「FOLLOW THE LEADER」もこういう要素を含んだアルバムだったという事を。僕の中ではある種プログレ的でもあったファースト&セカンド(楽器隊の組み立て方が一時期のKING CRIMSONに共通するものを感じていました。同様の意見をBURRN!誌で目にした時には感涙ものでした)。そこが『とっつき難さ』のひとつだったわけですが、新作ではヘヴィーロック色 /プログレ色が幾分後退し、その代わりにヒップホップ色が全面に出たという。そして "Got The Life" のような、今までにはなかったポップなナンバーが増えた事も驚きのひとつでした。「これが1位になっても驚きに値しない」と聴き終えた時、思いました。まぁK0ЯNの場合は前作「LIFE IS PEACHY」が3位まで上がってるので、何となく想像は出来たのですが‥‥LIMP BIZKITの場合はファースト、最高22位ですからねぇ‥‥それも最近。1位は想像以上に驚きでしたよ。

それにしても最近、この手のヘヴィーロック勢のチャート1位ってなかったよね? MARILYN MANSONが最後か?っつうことは今年最初のヘヴィーロック勢の1位か‥‥あとは今年1位取りそうな新作っていうと、9月に予定されてるRATMとNINE INCH NAILS、何時出るか想像も出来ないTOOLのサードってとこでしょうかねぇ?(あ、TOOLもKING CRIMSON的で面白いバンドですよね?LIMP BIZKIT以上に理解に苦しむ音ですが/苦笑)

‥‥というわけで、僕なりに分析してみました。本来、こんな分析なんていらないんですよ。「いいものはいい、悪いものは悪い」それでいいわけだし。(笑)ただ、ある意味「穴馬的存在(爆)」だった彼等がこういう爆発的成功(尚、今現在もビルボードアルバムチャートで1位ばく進中。発売2週目にして既にアメリカ国内で100万枚突破したらしいです)をした背景を考えてみた、ってとこでしょうか? そう考えると意外と成功にはそれなりの理由があるって事が見えてきますよね?

まぁ何だかんだ言いながら、未だによく聴くアルバムなのです。フジロック2日目の台風の目的存在になるのは確実ですね? 97年のRATM、98年のK0ЯNと「未だに日本の地を踏んでいなかった、まだ見ぬ驚異の存在」がフジロックでのカギを握っていたわけですが、前評判ではLIMP BIZKITってあんまり期待されてなかったとうか。(涙)まぁ初物じゃないしねぇ。ところが、この新作の出来と評価によって、状況は一転したわけです‥‥さて、どういうステージングを見せてくれるのか、どうやって僕を楽しませてくれるのか。今から考えると、もう‥‥既に興奮して眠れません。(笑)その運命の夜まで、あと3週間を切りました‥‥



▼LIMP BIZKIT『SIGNIFICANT OTHER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 1999 07 10 12:07 午前 [1999年の作品, Limp Bizkit] | 固定リンク