BERNARD BUTLER『FRIENDS AND LOVERS』(1999)
1999年10月25日にリリースされたバーナード・バトラーの2ndアルバム。日本盤は同年10月20日発売。
SUEDE、McALMONT AND BUTLERでの活動を経て届けられた初ソロアルバム『PEOPLE MOVE ON』(1998年)から1年半ぶりと、比較的短いスパンで届けられたソロ2作目。前作からは「Stay」(全英12位)、「Not Alone」(同27位)、「A Change Of Heart」(同45位)とヒットシングルも生まれ、アルバム自体も最高11位という好成績を残しました。また、アルバム発売後には1998年の単独公演、1999年夏にはHOLEの代役で『FUJI ROCK FESTIVAL '99』へ出演するなど来日も複数回実現し、SUEDE時代からのファンには健在ぶりを存分にアピールすることに成功しています。
前作ではドラム以外の楽器をほぼバーニーひとりで担当したほか、ストリングス隊を大々的にフィーチャーすることでゴージャスさ、豪快さを体現することにも成功しましたが、今作では先の『PEOPLE MOVE ON』を携えたツアーでまとまったバンド編成を軸に制作。プロデュースは前作同様にバーニー自身が担当し、ミキシングをアンディ・ウォレスが手がけています。アンディの起用は、バーニーがNIRVANAの『NEVERMIND』(1991年)での仕事ぶりを気に入り、ダメ元でオファーしたんだとか。
さて、作風的には前作の延長線上にある、歌ものギターロックやフォーキー&サイケデリックな楽曲を中心に構成。サイケなタイトルトラックからスタートし、SUEDE時代を彷彿とさせる豪快な「I'd Do It Again If I Could」、前作でのシングル曲路線を引き継ぐポップ&キャッチーな「You Must Go On」(全英44位)や「Cocoon」、バーニーの魅力が完璧な形で凝縮された「No Easy Way Out」、20代後半にしてここまで老成するか?と驚かせるジャジーな「Everyone I Know Is Falling Apart」、クライマックスに相応しい8分超の対策「Has Your Mind Got Away?」など、前作を気に入っている方なら間違いなく両手を上げて受け入れられる良曲ばかり。バーニーの歌もだいぶ板に付いてきた感が強く、ソロアーティストとしての方向性、スタイルがここでひとつ固まった感があります。
良く言えば、早くも“極まった”感が強い。ただ、悪く言えば新鮮さに欠ける。もともと斬新さを追求するようなタイプのアーティストではなく、ソングライターとして、ギタリストとして自身の技術や才能を極め続ける職人気質なだけに、このスタイルは一寸たりともブレていない。ただ、リリース当時が“世紀末”という時代の変わり目だったこともあって、前作よりも注目されなかったのはちょっと不幸だったかな。
チャート的には全英43位と前作ほどの成功を収めることができず、また所属レーベルCreation Recordsの閉鎖も重なり、2000年2月の再来日公演を最後にバーニーはしばらくソロ活動から離れることに。2002年にはMcALMONT AND BUTLERの2ndアルバム『BRING IT BACK』を発表し、2004年にはSUEDE時代の盟友ブレット・アンダーソン(Vo)と新プロジェクトTHE TEARSを立ち上げ、セルフタイトルのアルバム(2005年)を1枚制作。と同時に、THE LIBERTINESやTHE CRIBS、ダフィーなどとのコラボレーションで、プロデューサーとして実績を積み重ねていくことになるのでした。
▼BERNARD BUTLER『FRIENDS AND LOVERS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3)