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2000/03/27

THUNDER『GIVING THE GAME AWAY』(1999)

最新作にしてラストアルバムになってしまったオリジナル5作目。とはいっても現時点で既に最後の日本公演を収めたライヴ盤が6月にリリースされる事が決まっているので、オリジナル楽曲としては最後作品という事か。その最後の作品がこんなに意欲的な作品だった事が皮肉というか‥‥悔やまれてならない。プロデュースは前作同様ルークが担当。シングルは"Play That Funky Music"(アメリカの白人ファンクバンドWILD CHERRYのカヴァー)と"Just Another Suicide"。(日本盤には英国でシングルオンリーでリリースされた"The Only One"もボーナストラックとして収録)実は"It Could Be Tonight"のCDシングルを見かけたことがあるのだが、あれはプロモーション盤だったのだろうか? オフィシャルHPにも載っていないことから、その可能性は高い。詳しい情報を求む!

何故にこのアルバムが意欲作か? 勿論従来の延長線上ナンバーも収録されているのだが、それ以上に耳につくのがアルバム1曲目の"Just Another Suicide"や"Giving The Game Away"といった異色作なのである。"Just Another Suicide"なんてコード進行だけみればBON JOVIがやってもおかしくない曲。いい意味で「THUNDERらしくない」のだ。勿論、いい曲には変わりない。末期ライヴでも必ず終盤に(メンバー紹介を挟んで)プレイされていた程だから。そしてアルバムタイトル曲だが‥‥これは、明らかにOASISを意識している。言ってしまえばBEATLESの"I Am The Walrus"そのものだ。OASISのカヴァーでも有名なこの曲を雛形にした"Giving The Game Away"、ある意味異様である。ライヴで披露されれば浮くかもしれない。しかし、もうアルバムを5枚も出しているアーティストがここで冒険をしなかったら‥‥これはTHUNDERの最後の賭けだったのかもしれない。

その冒険はアートワークにも顕著に表れている。それまでのチープなブリティッシュジョークをあしらったものから、いきなりアーティスティックな写真へ‥‥この辺もOASISやVERVEといったバンドのアートワークを参考にしていると思われる。つまり、彼らはそれまでの「固定観念」からの脱却を図ろうとしたのだ。しかし結果は‥‥母国イギリスでもライヴ会場を訪れたファンに「まだやってたんですね?」「へっ、アルバム出てるの?」って質問されたという。それを聞くと、日本はつくづく恵まれているのだなと実感する。

前作まではほんのり匂わせるだけに留まった都会的スパイスも、ここでは全開だ。ムーディーな曲が大半を占めていることからも伺える。"'Til It Shines"や"It Could Be Tonight"のような曲もいよいよここで完成度を増し、最後の最後まで彼らは代表曲を発表し続けた‥‥これはある意味、真似できない事だと思う。落ち目になって消えていくアーティストとして彼らも記憶されるのかもしれない。しかし、このアルバムを前にしてそんな事、言えるか? 確かに初期の3枚程「傑作!」とは言い切れないものの、これをZEPでいうところの「IN THROUGH THE OUT DOOR」的ポジションと捉えると‥‥これに続くアルバムが聴きたかった。もっとも、あのアルバムよりも楽曲の質は上だと思うが。

このアルバムでいいスパイスになっているのは何も上のようなオリジナル曲だけではない。シングルカットもされた"Play That Funky Music"の名演、これはどうだ! 昔、EXTREMEもライヴでカヴァーしていたが、こういう曲をTHUNDERのようなバンドにやらせるのは反則だ! ずっぱまりの名カヴァーのひとつだ。こんな素晴らしいバンドが存続できる環境にない今のイギリスなんて‥‥糞食らえだ!(怒)



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投稿: 2000 03 27 02:17 午後 [1999年の作品, Thunder] | 固定リンク