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2000/03/27

THUNDER『THE THRILL OF IT ALL』(1996)

EMIからドロップしたTHUNDERが再契約したのは、メジャーレーベルではなくインディーズだった。当時の状況を考えるとそれが如何に困難な事か理解してもらえると思う。その年どういうアーティストが登場し、どういうアルバムがヒットしていたかを‥‥そんな中、彼らはヨーロッパではRAW POWERというインディーレーベル、日本ではビクターに移籍して'96年9月というハイペースで(3rdは'95年1月、ベストが同年9月)リリースされたのが、このアルバム。(但し英国では'97年1月リリース)この辺から彼らのやる気が伺える。プロデュースにはいよいよルークのみのクレジット。シングルは"Don't Wait Up"と"Love Worth Dying For"の2曲。ただでさえそういう時代(ブリットポップの終焉とテクノの台頭)なのに、マイナーレーベルからのリリースという事で、ヒットには至らなかった。

メジャーからの最後のアルバムとなったベスト盤に収録された"Once In A Lifetime"がそれまでの楽曲より落ち着いた、都会的な大人のイメージだった事からある程度新作を勝手にイメージしていたが、実際に出来上がったものは‥‥確かにそういう楽曲もあるが‥‥思っていたよりも従来の路線だった。どことなく"Higher Ground"を彷彿とさせる佳曲"Pilot Of My Dreams"からアルバムはスタートする。シンガロングを念頭に置いて作られたコーラスパートが印象的で、ライヴでも人気がある曲だ。こんな感じで、1stや3rdでの代表的ナンバーをなぞった曲が多い事から「それまでの延長線上作品」と捉えられている。事実、オリジナル盤の中では一番影が薄いアルバムだと感じているファンも多い。それでもこの手のバンドの中ではトップクラスなのだが。(焼き直しだろうが何だろうが、このレベルの楽曲を書ける若手がどれだけいる?)

印象的なのは、2曲目の"Living For Today"。イントロのかき鳴らされたアコギに続く聴き慣れない歌声‥‥ライヴでコーラスの要となる、ルークがVo.を取っている貴重なナンバーだ。後半にはダニーとハーモニーをとりながら唄っている。ドラムのビートをとってみても、それまであったようでなかったパターンで、なかなか面白い曲だと思う。更にこのアルバムでは2nd以降増してきたブラック/ファンク度がいよいよ色濃くなっている。象徴的なのが"Hotter Than The Sun"だろう。先に挙げた都会的雰囲気と従来の伝統的要素が上手く噛み合った好例だと思う。それにしてもこの曲、このアルバムのツアーでしか披露されなかったのが惜しい。個人的願望だが、是非この曲をポール・ロジャースにカヴァーして欲しい。このまま葬り去られてしまうには勿体ない。

そういえば、このアルバムのツアーからライヴの1曲目はずっと”Welcome To The Party"だったな‥‥それまでは"Backstreet Symphony"だったり"Dirty Love"だったりと、いろいろヴァリエーションがあったのだけど‥‥変な意味で予定調和の定番になってしまったな? 悪い曲ではないものの、それ程いい曲だとも思わない‥‥まぁライヴを盛り上げるにはうってつけなのだが‥‥ただ、当時何となく「これじゃダメだわ‥‥」と思ったのも事実。何が「ダメ」だと思ったのか‥‥それは各自が聴いて考えるように(苦笑)。



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投稿: 2000 03 27 02:10 午後 [1996年の作品, Thunder] | 固定リンク