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2000/07/22

DEF LEPPARD『HIGH'N'DRY』(1981)

NEW AMERICAN SHAMEというアメリカのロックンロールバンドに興味を持った人にお薦めする、AC/DCタイプで且つメロディアスなHM/HR‥‥って事で、今回はこのDEF LEPPARD の2ndアルバムを紹介しよう。「へっ、DEF LEPPARDぉ~!?」って思った人は、少なくとも彼等の現在(というか、ここ14~5年)の音楽性を知っているということだろう。DEF LEPPARD(以下LEPPSと略)というと、何十、何百にも重なった綺麗なコーラスワークに、機械的なリズムワーク、そしてこれでもか!?って位に甘いメロディ。HM/HRの範疇に入れてはいるものの、既にその枠には収まらない、いい意味で「CDではポップスとして通用し、ライヴでは下手なバンドよりもパワフル」てな顔を持っている。彼等の2nd「HIGH'N'DRY」を何故「猿にも解るメタル講座」のサンプルとして取り上げるか!? どうせ取り上げるなら「HYSTERIA」('87年)の方がいいんじゃないか!?という声も上がりそうだが、あえて「ロック」に拘ってこのアルバムを選んだ。まぁ、その他にも理由はあるが、それは後ほど‥‥

NEW AMERICAN SHAMEとLEPPSって一見繋がらなさそうだが、先に挙げたようにこの2つのバンドにはAC/DCという共通項がある。HM/HRは聴かなくてもAC/DCなら聴くって人は多いかもしれない(いや、少ないか?)。グランジに影響を与えたって意味でBLACK SABBATHやCHEAP TRICKを聴くのと同じように、あるいはAEROSMITHを聴くのと同じ感覚でAC/DCも聴かれていると思うのだが‥‥(いや、そう思いたい)。それでいて、今挙げたようなバンド程(特に日本に限定して)人気がないのも、やはりAC/DCだ。ミュージシャン受けはいいのにねぇ‥‥

で、LEPPSとAC/DCとの関係だが、AC/DCの「HIGHWAY TO HELL」や「BACK IN BLACK」といったアルバムのプロデューサーをしていたのが、ジョン・マット・ランジという人。後にCARSやBRYAN ADAMS等も手掛けるが、やはりこの人といえばLEPPSだろう。実はLEPPSがこの人と手を組んだのは、一般的に知名度がある「PYROMANIA」(邦題「炎のターゲット」/'83年)からではなく、この「HIGH'N'DRY」からだったのだ。ファーストアルバム「ON THROUGH THE NIGHT」('80年)でのプロデューサー、トム・アロムの仕事に満足出来なかったバンドの面々は、勝負を賭けたセカンドのプロデューサーにこのマットを選ぶ。理由は「AC/DCみたいなパワフルなサウンドが欲しかったから」。実際にマットのスケジュールが空くまで、彼等は半年近くも待ったという。このアルバムでの顔合わせが、後にモンスターヒットとなる「PYROMANIA」「HYSTERIA」を生むことになる。

では、AC/DCのプロデューサーと組んだからといって、そんなに簡単に彼等に近づけるのか!?とお思いの方。是非このアルバムを通して聴いて欲しい。多くの人が想像するLEPPSサウンドはここにはないのだ。いや、その後開花する片鱗は伺えるが、ここにあるのはファースト時の売りであった「ハードだけどメロディアス、且つコーラスが奇麗」を踏まえた上で、かなりガッツのあるサウンドにシェイプアップされている。バンド自体がツアーに次ぐツアーで鍛え上げられたのもその要因だろうが、プロダクションの良さは前作とは比にならない(当時のインタビューでボーカルのジョー・エリオットは「200倍は、前よりいい」「マットは自分の納得いくまでスタジオにいて、20時間でも22時間でも篭り続ける。全て判った上でバンドにベストの力を出させる。完璧なレコードを作るためさ。時々殺したくなるくらい、僕らを働かせるけどね(笑)」と発言している)。

そして楽曲。AC/DCを意識したのだろうか、とにかくリフ、そしてリフ。勿論メロウなソロプレイもあるが、ここにはその後の2作への足がかりとなるヒントが隠されている。耳に残るリフ作りという意味では後の2作には劣るかもしれないが、ここにはそれをフォローするだけのパワーと若さがある。そしてHM/HRという割にはギターが歪んでいない。恐らくエフェクターを通さない、レスポール~マーシャル・アンプ直の音だろう。このアルバムリリースの時点では現在のギタリスト(フィル・コリンとヴィヴィアン・キャンベル)はまだ在籍しておらず、スティーヴ・クラークとピート・ウィリスという2人のレスポール弾きが担当していた。まぁ時代が時代だったこともあるだろうが、この辺にも拘りが伺える。

何よりもギタリストでありメインソングライターであったスティーヴは、大のLED ZEPPELIN/ジミー・ペイジのファンであり、その辺の影響はソロプレイ等からも感じ取る事が出来る。このアルバムには初期の名曲のひとつである泣きのバラード"Bringin' On The Heartbreak"が収録されている。AC/DCのコピーだけに留まらず、自らのルーツや個性を意識しだした結果、こういう新しいタイプの楽曲が加わっていった。そしてそれは次作で開花するわけだが‥‥

もうひとつ面白い点を挙げるなら、それはインストナンバー"Switch 625"が収録されている事だろう。このアルバム以降、最新作「EUPHORIA」('99年)までインストに挑戦する事がなかった彼等。そういう意味でもこの曲は興味深い。アルバムには先のバラードからメドレー形式で続くのだが、この流れがまたいい。決して捨て曲になっておらず、このアルバムのハイライトだと俺は思っている。

途中、初心者には判り難い説明が続いたと思うが(苦笑)、とにかくNEW AMERICAN SHAMEやAC/DCが好きなら、結構イケるんじゃないかな?と思い、このアルバムを取り上げてみた。ちょっとハードかもしれないが、判り易い/聴き易いメロディが満載だし、それこそリフの絡みがかっこいいミドル・チューンから速い曲、泣きのバラードにインストと、曲のバラエティはそれら2つのバンドよりも幅広いので、どこかしらに心に引っ掛かる個所があるはずだと思う。後の彼等はちょっと甘すぎて‥‥って人には丁度いいさじ加減かもしれない(まぁこれが大丈夫だったら「PYROMANIA」も何ら問題ないと思うが)。

最後に‥‥実はNEW AMERICAN SHAME自身もこのアルバムをフェイバリットに挙げている。先日の来日公演でも開演前にこのアルバムがかかっていたという。『AC/DC以外なら、多分このアルバムと「PYROMANIA」だね?』というような事をインタビューでも言っていたので、意外と将来、こんな感じの音楽性になったりして‥‥いや、ないか(笑)。ちなみにあのPANTERAの面々もこのアルバムがお気に入りだそうだ。彼等もメジャーデビュー盤「COWBOYS FROM HELL」以前(インディーズ時代に4枚のアルバムをリリースしている)はこのアルバムの頃のLEPPSのようなサウンドだった。今となっては恥ずかしいというか、微笑ましいというか。とにかく、今のシーンを築き上げている若くて活きのいい奴等が皆『「HIGH'N'DRY」に影響を受けた』っていうんだから、きっと何かあるに違いない‥‥それを探ってみる為だけでも、聴く価値はあるだろう。



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投稿: 2000 07 22 07:55 午前 [1981年の作品, Def Leppard] | 固定リンク