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2000/07/06

DEFTONES『WHITE PONY』(2000)

実はこのバンドに関して、音を聴くのはこのアルバムが初めてだったりする。勿論その名前は何度も耳にしていたし、大体どういう音を出しているのかも把握していたはず。そう、「はず」だった‥‥結局、活字で目にした情報や耳にした噂で判断していたに過ぎないのだが。これはもう、反省する。結局今まで聴かないできた事を、そして聴かずに判断していた事を。

前作同様テリー・デイトがプロデュースしている。実は前作の時も確か「BURRN!」誌でのレビューで知ったのだと思うけど、プロデュースにテリーの名前を見たことで「PANTERAタイプの音に、流行りのヒップホップ調ボーカルが乗ったもの」と勝手に判断してしまっていた。もう、最悪。全然違うじゃんか、これ。とにかく、今までがどうであれこれはもう、素晴らしすぎる!

このバンドがTHE CUREから影響を受けたとか、フェイバリットにRADIOHEADを、よく聴いた('98年当時)アルバムにU.N.K.L.E.といった、ある意味対極にいる先鋭アーティスト達の名を挙げ、「もしバンドを脱退してまでも加入したいバンドがあったら教えてくれ」という問いに対してWEEZERの名前を挙げる。そういう意味では最近のMETALLICAなんかにも共通するものがあるかもしれない。しかしそれらの影響を恐れずに全面に出した結果、このような突然異変的サウンドが生まれたのだろう。音像は確かにヘヴィロックのそれだ。しかし、それだけでは済まされない多彩な要素が所々に顔を出す。メンバーにターンテーブル担当がいる点はLIMP BIZKITやSLIPKNOTと同様だが、その生かし方が他のバンド達とは明らかに違う。ターンテーブルをひとつの楽器と見立てて全面に打ち出すリンプとは逆に、まさに楽曲を生かす為の効果音的役割を果たしているのだ。

そして独特なメロウ感覚。SLIPKNOTのような「ヘヴィな中に存在するメロウ感」ではなく、「メロウの中に存在するヘヴィ感覚」と言った方がいいかもしれない。それくらいこのアルバムには琴線に触れる‥‥いや、胸を掻きむしるような情念を感じさせる。THE CUREといったニューウェーブ/ゴスの影響もあるのだろう。それがうまく生かされている。ある意味、MARILYN MANSONの「MECHANICAL ANIMALS」でのメロウさに通ずるものがあるかもしれない。所謂ヘヴィロックの括りの中で考えれば、恐らく一番うまくメロディと音像とが噛み合った例かもしれない。そしてそれを支えるボーカルがまたいい。この手のバンドには求めるべくもなかった「セクシーさ」まで持ち合わせた、チノ・モレノの声。ガツガツした曲では攻撃的にがなり立て、メロウな曲では感情の赴くままに唄い上げる。KORNにもこういう面はあるが、ここまであからさまにやられると、もうヘヴィロックだの何だのと言ってる事自体、次元が低く感じる。見た目が普通のオヤジなだけに、俺にとってはかなりショッキングな存在だ。

更にこのアルバムを支える、独特な浮遊感。熱い鉄のようなヘヴィ・サウンドの表面を冷たい水で覆ったような感覚‥‥このトリップ感はある意味、U.N.K.L.E.やMASSIVE ATTACKにも通ずるものがある。テクノだ、トリップホップだと言うつもりはない。明らかにこれはヘヴィロックだし。けど、それだけで片付けたくないのも正直な気持ち。この浮遊感は、ほぼ同時期にリリースされたA PERFECT CIRCLEのアルバムからも感じ取る事が出来る。(そういえばこのバンドでも相変わらず素晴らしい歌を聴かせてくれる、TOOLのメイナード・キーナンは「WHITE PONY」にもゲスト参加している。何か運命めいたものを感じるのは俺だけか?)こういうサウンドは、もしかしたら「旬」なのかもしれない。そしてそれがチャートという結果にも表れているようにも思える。(DEFTONESはビルボードのアルバムチャート初登場3位、A PERFECT CIRCLEは初登場4位を記録した。そう、BON JOVIが9位だったのに対して‥‥)

LIMP BIZKIT程ヒップホップ度が強いわけでもなく、RAGE AGAINST THE MACHINE程主義主張があるわけでもなく、SLIPKNOT程攻撃的でもなく、KORN程複雑でもない。明らかにこれらのバンドとは一線を画する、独特なバンドであり、独特なサウンドを持ったアルバムである。もし、これらのバンドがダメでRADIOHEADみたいなサウンドが好きって人がいたら、両手を挙げてお薦めするね? 特に中盤とラスト近くに収録されたミディアム~スロウな曲には、共通する部分も多いんじゃないだろうか?

もうね、俺の中では2000年度のベストアルバムの1枚に決定したね、マジで。昨年のリンプ、レイジ級で俺の中ではヒットしてるしね。今これを聴かずに何を聴く!?って感じ。この時期、梅雨が明ける前のどんよりした天気の朝、このアルバムを聴きながら車を飛ばすと異様な空気に包まれ、そしてそれを心地よく感じるようになる。ある意味マゾか!?とも思うが本当、今の時期にピッタリな空気感を持った作品だ。逆に真冬の雪の中でもいいかもしれない。氷のような冷たさの中で燃え盛る焔(「炎」ではなく、「焔」だ)。「WHITE PONY」というアルバムを喩えるなら、俺はこう表現するだろう。

メロディアス・ロックの復権を願う俺ではあるが、やはりアメリカでの現状は如何ともし難い。けど、逆にメロディアス・ロックだけが取り沙汰される世の中になったとしたら、それはそれで気持ち悪い。こんな性格の俺だから、きっとそうなったらそうなったで、今度はヘヴィ系かテクノの肩を持つだろう。俺自身の理想は、やはり共存だ。どのジャンルにもそれぞれ素晴らしい点は沢山存在する。勿論個人の趣味と生理的なものもあって、BON JOVIのようなバンドを毛嫌いする人もいれば、逆にリンプやレイジをつまらないと思う人もいる。それでいいと思う。けど、時には勇気を出して新しい扉を開けてみるような冒険もいいのではないだろうか? 何も2000円出してCD買え、とは言わない。ここで取り上げたアルバムに少しでも興味を持ったのなら、CDショップに行って手に取ってみるだけでもいい。もし試聴機があったなら、何曲か耳にしてみるのもいいだろう。そう、今回の俺みたいに「活字や噂だけで判断せずに、実際に自分の耳で判断して」欲しい。この絶賛文を読んで気になった人、是非行動に移してもらいたい。もし身近で耳にする手段がない、でもCD買うまではいかないって人がいたら、ご一報いただきたい。俺がどうにかするから(いや、マジな話)。また懐に余裕がある人は、是非周りの人間にもお薦めいただきたい。ボーナスのついでに1枚、御中元に1枚、暑中見舞い・残暑見舞いに1枚。これからのシーズン、酒の肴に1枚もいいだろう。とにかく、聴いてね♪



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投稿: 2000 07 06 12:00 午前 [2000年の作品, Deftones] | 固定リンク