DEFTONES『WHITE PONY』(2000)
実はDEFTONESというバンドに関して、ちゃんと音源を聴くのはこのアルバムが初めてだったりします。勿論その名前は何度も耳にしていたし、大体どういう音を出しているのかも把握していたはず。そう、「はず」でした……結局、活字で目にした情報や耳にした噂で判断していたに過ぎなかったのです。これはもう、反省します。結局、今まで聴かないでここまできたことを、そしてしっかり聴かずに判断していたことを。
本作は前作同様、テリー・デイトがプロデュースを担当。実は前作のときも確か『BURRN!』誌でのレビューで知ったのだと思うけど、プロデュースに彼の名前を見たことで「PANTERAタイプの音に、流行りのヒップホップ調ボーカルが乗ったもの」と勝手に判断してしまっていた。もう、最悪。全然違うじゃんか、これ。とにかく、今までがどうであれ、これはもう素晴らしすぎる。
このバンドがTHE CUREから影響を受けたとか、フェイバリットにRADIOHEADの名を、よく聴いた(1998年当時)アルバムにU.N.K.L.E.といった、ある意味“この手のバンド”と対極にいる先鋭アーティストたちの名を挙げ、「もしバンドを脱退してまでも加入したいバンドがあったら教えてくれ」という問いに対してWEEZERの名前を挙げる。そういう点においては最近のMETALLICAなんかにも共通するものがあるかもしれない。しかし、それらの影響を恐れずに全面に出した結果、このような突然異変的サウンドが生まれたのでしょう。
音像は確かにヘヴィロックのそれ。しかし、それだけでは済まされない多彩な要素がところどころに顔を出す。メンバーにターンテーブル担当がいる点はLIMP BIZKITやSLIPKNOTと同様だけど、その活かし方が他のバンドとは明らかに違う。ターンテーブルをひとつの楽器と見立てて前面に打ち出すリンプとは逆に、まさに楽曲を活かすための効果音的役割を果たしているのです。
そして独特なメロウ感覚。SLIPKNOTのような「ヘヴィな中に存在するメロウ感」ではなく、「メロウの中に存在するヘヴィ感覚」と言った方がいいかもしれない。それくらいこのアルバムには琴線に触れる……いや、胸を掻きむしるような情念を感じさせるのです。THE CUREといったニューウェイブ/ゴスの影響もあるのでしょう。それがうまく生かされているし、ある意味MARILYN MANSONの『MECHANICAL ANIMALS』(1998年)でのメロウさに通ずるものがあるかもしれない。いわゆるヘヴィロックの括りの中で考えれば、恐らく一番うまくメロディと音像とが噛み合った例かもしれない。
そして、それを支えるボーカルがまた素晴らしい。この手のバンドには求めるべくもなかった「セクシーさ」まで持ち合わせた、チノ・モレノの声。ガツガツした曲では攻撃的にがなり立て、メロウな曲では感情の赴くままに歌い上げる。KORNにもこういう面はあるけど、ここまであからさまにやられると、もうヘヴィだの何だのと言ってること自体、次元が低く感じられる。見た目が普通のオヤジなだけに、僕にとってはかなりショッキングな存在なのです。
さらにこのアルバムを支える、独特な浮遊感。熱い鉄のようなヘヴィサウンドの表面を冷たい水で覆ったような感覚。このトリップ感はある意味、U.N.K.L.E.やMASSIVE ATTACKにも通ずるものがあります。テクノだ、トリップホップだと言うつもりは毛頭ないし、明らかにこれはヘヴィロックです。だけど、それだけで片付けたくないのも正直な気持ち。この浮遊感は、ほぼ同時期にリリースされたA PERFECT CIRCLEのアルバム『Mer de Noms』からも感じ取ることができるはずです(そういえば、そのバンドでも相変わらず素晴らしい歌を聴かせてくれる、TOOLのメイナード・キーナンは『WHITE PONY』にもゲスト参加。何か運命めいたものを感じるのは僕だけ?)。
こういうサウンドは、もしかしたら“旬”なのかもしれない。そして、それがチャートという結果にも表れているようにも思える(DEFTONESはビルボードのアルバムチャート初登場3位、A PERFECT CIRCLEは初登場4位を記録)。LIMP BIZKITほどヒップホップ度が強いわけでもなく、RAGE AGAINST THE MACHINEほど主義主張があるわけでもなく、SLIPKNOTほど攻撃的でもなく、KORNほど複雑でもない。明らかにこれらのバンドとは一線を画する、独特なバンドであり、独特なサウンドを持ったアルバムである。もし、これらのバンドがダメでRADIOHEADみたいなサウンドが好きって人がいたら、。全力でオススメしたいな。特に中盤とラスト近くに収録されたミディアム~スロウな曲には、共通する部分を感じられるはずだから。
もうね、自分の中では2000年度のベストアルバムの1枚に決定! 昨年のリンプ、レイジ級で自分の中ではヒットしてるしね。今これを聴かずに何を聴く!?ってくらいに。この時期、梅雨が明ける前のどんよりした天気の朝、このアルバムを聴きながら車を飛ばすと異様な空気に包まれ、そしてそれを心地よく感じるようになる。ある意味マゾか!?とも思うけど本当、今の時期にピッタリな空気感を持った作品なのです。逆に真冬の雪の中でもいいかもしれない。氷のような冷たさの中で燃え盛る焔(「炎」ではなく、「焔」だ)。『WHITE PONY』というアルバムを例えるなら、僕はこう表現するはずです。
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