BON JOVI『7800° FAHRENHEIT』(1985)
1stアルバムが思いの外ヒットしたため、急ピッチで制作された(曲作りに6週間しか与えられなかった)のがこのアルバム。全作から丁度1年後にリリース。特にここ日本では4~5月に初のジャパンツアーが決定していた為に、欧米より1ヶ月早くリリースされた。製作陣は前作を手がけたランス・クインを再び起用(が、後に彼の仕事に満足いかなかった、とジョンは言っている)。シングルとして「Only Lonely」「In And Out Of Love」「Silent Night」がカットされ、それぞれヒットを記録。またここ日本ではバラエティー番組のテーマ曲として87年になってから「Price Of Love」がカットされている。チャート上ではビルボード・アルバムチャート37位まで上昇し、初のミリオン(当時)を達成した。
SCORPIONSやKISSといった大物のサポートとしてツアーに出た結果、1stに足りなかった何かに気づき始めたジョンは、アルバムタイトルからも想像できるように「ロック比重を高くした内容」を意識したそうだ(タイトルは「岩=ロックをも溶かす絶対温度」を意味する)1曲目「In And Out Of Love」やアナログB面(6曲目以降)が特にそうだ。しかし本来の持ち味である「哀愁漂う泣きのメロディ」を生かした曲が少なくなった為、いまいち煮え切らない内容となっている。確かに前作よりも売れたが、何もBON JOVIがこれをやる必要はなかったのではないだろうか? まぁ周りを見渡せばMOTLEY CRUEが『SHOUT AT THE DEVIL』を、RATTが『OUT OF CELLER』を大ヒットさせていたことも関係あるのだろう。既に大ヒットしていたDEF LEPPARD『PYROMANIA』だって、今の音楽性よりもよっぽどハードだし。が、差別化を図るという意味でこの2ndアルバムは個性を生かし切れていないのだ。
勿論そういう個性を生かした佳曲もある。先のシングルナンバー「Only Lonely」や「Price Of Love」がそうだ。ミディアムテンポのヘヴィな曲が大半を占める中、これらはある意味異色だ。そして初のバラードらしいバラード「Silent Night」も忘れられない。これらのシングルナンバーがその後の彼等の雛形となっているのが、お判りいただけるだろうか? それに引き替え、アルバムラスト数曲の出来といったら‥‥。
このアルバムには日本での思い出(84年夏の「SUPER ROCK '84」)を唄った「Tokyo Road」という曲も収録されている。余程この日本の地での成功が嬉しかったのだろう。既にライヴではこのアルバムから1曲も演奏される事はないが、日本に来るとツアー中に1度は演奏されることがある(が、ここ2回のツアーでは披露されていない)。それ程いい曲とも思わないが‥‥。
ジョン自身も一番気に入っていない事からもお判りの通り、期待された程に内容的・セールス的にも思った通りにならなかった。その割にツアーは大成功したのだが‥‥もし全作品を揃えるつもりなら、一番最後に買えばいいアルバムである。
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