BON JOVI『BON JOVI』(1984)
84年春にアメリカ及び日本等世界各国で発表された、記念すべきBON JOVIのデビューアルバム。プロデューサーはランス・クイン(後にDANGER DANGERのデビューアルバム等を手掛ける)と、ジョン・ボン・ジョヴィの従兄弟であるトニー・ボンジオヴィ。このアルバムからのシングルとしては「Runaway」「She Don't Know Me」がリリースされ(ここ日本ではその他に、今となっては懐かしい12インチシングル「Burning For Love」もリリースされている)、共にアメリカチャートではチャート上でそれなりの成功を果たし、アルバムもそれに後押しされトップ50にチャートインし(最高43位)、当時50万枚以上のセールスを記録した。
当時アメリカで火がついたLAメタル・ブームのお陰でHM/HRバンドにとって非常にデビューしやすい状況にあり、またそれまで影ながらシーンを支えてきたVAN HALENやJOURNEYがチャート上でもNo.1を獲得する等、そういう新人にとっても大きなチャンスが巡ってきていた。そんな中、アルバムより先にリリースされたデビュー曲「Runaway」が全米トップ40入りする、無名の新人としては正に快挙ともいえるスタートを切った。
また、アメリカのみならずイギリスでも「She Don't Know Me」(英国ではこっちがデビュー曲だった)がヒット、ここ日本でも麻倉未樹というシンガーが「Runaway」をカヴァーし、ドラマの主題歌として起用されヒットしたこともあり、洋楽リスナーの一般認知度もそこそこだったように記憶している。BON JOVIというとここ日本で最初にブレイクした、というイメージがあるようだが、実は日本よりも先にちゃんと欧米で成功していたという事実を改めて知ってもらいたい(まぁ欧米のそれと比べれば、日本での人気は音楽云々以外にもアイドルとしての人気が高かったのだが‥‥。
現在の彼等から考えると、音楽性や目指すべきものが多少違っているように思える。確かにカラっとしたアメリカンHRが主体なのだが、メロディに潤いがあり、彼等が現在までに発表してきた作品の中では一番ヨーロピアン・テイストが濃いのではないだろうか?(「Love Lies」等は正にその代表とも言えるだろう)そういう事もあり、ここ日本ではHRファンにも受けたのかもしれない。またソングライターに注目してみると、BON JOVI結成前に録音された「Runaway」やカヴァー曲を除いた7曲中、ジョンとデヴィッド・ブライアン(当時はデヴィッド・ラッシュバウムと名乗っていた)との共作が2曲、ジョンとジャック・ポンティ(ジョンがかつて在籍したバンドTHE RESTのメンバーであり、KISSのプロデューサーとしても有名)との共作が1曲、残り4曲がジョン/リッチー・サンボラの共作となっている。その後大半の曲をジョン/リッチーで書き上げている事から、ジョン/デヴィッドの共作は貴重かもしれない(ジョン/デヴィッドの共作は続く2ndまで目にする事ができる)。そのデヴィッドとの共作曲(「Love Lies」と「Breakout」)はキーボード主体の曲で、共に独特な雰囲気を持った名曲である。
また、後の大ヒット曲「You Give Love A Bad Name」や「Born To Be My Baby」のプロトタイプとも言える「Burning For Love」のような曲も既に登場していて、この時点で定番の曲調(泣きのマイナー)となりつつある。
今のBON JOVIをイメージして手を出すと、少々辛いかもしれないが、メロディアスなHRアルバムと考えれば、当時としてはよく出来た作品だ。いや、意外とこれ、名盤ではないだろうか? 現在ライヴでも「Runaway」以外の曲が披露される事はまずないので、最初に手を出すべきアルバムではないが、先に挙げたような音楽性を好む人には胸を張ってお薦め出来る作品である。
それにしても、純粋なHRファンにもトップ40モノが好きな一般ファンにも(この時点で)アピールしたという意味では、非常に興味深い作品ではないだろうか?
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