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2000/10/14

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000)

実はちょっとフライング気味のレビューだったりするのだけど‥‥このアルバムを手にしたのは丁度1ヶ月前(9月中旬)だった。その時点で輸入盤のみで、国内盤は11月発売との事だった‥‥で、それまで待つのも勿体ないくらいに素晴らしいアルバムだと思ったので、こうやってレビューしているわけで‥‥。

ヘヴィロックというジャンルが一段落着き、そろそろ出揃ったかなぁという空気が漂っている。そういう中でSOULFLYのようにレゲエを取り入れたり、DEFTONESみたいに昨今のトリップ系の空気を取り入れたりと、新しい要素をどんどん取り入れ始め独自の個性を生み出そうと日々精進している。かと思えば、どのジャンルでも一緒だがひとつが成功を収めると雨後のタケノコのように水で薄めたような「第2の~」といった新人が登場する。中には面白いバンドもいるが、大体は‥‥まぁ書かないでおこう。

そんな中、ヘヴィロックの一言では片付けられないような存在も登場している。それが今回紹介するAT THE DRIVE-IN(以下ATDIと略)のメジャー配給第1弾アルバム『RELATIONSHIP OF COMMAND』である。

彼等の音を最初に聴いたのは、今年の8月の「SUMMER SONIC」というイベントでだった。そこに詳しい事は書かれているので要点だけ。第一印象として「歌メロらしいものがしっかりとあり、聴きやすい」という事だった。まぁ普通はここで終わってしまうのだけど、やはり見た目のインパクトが強かった事もあって、アルバムが出たら聴こうとは思っていた。

で、ライヴが終わって暫くしてから、彼等の新譜が「GRAND ROYAL」(BEASTIE BOYSのメンバーが運営するレーベルで、ヒップホップに拘らずいろいろなバンドが所属していたが、2001年初秋に閉鎖。日本のBUFFALO DAUGHTERもアメリカではここからCDをリリースしていた)からリリースされ、そのプロデュースをかのロス・ロビンソン(昨今のヘヴィロック界では有名なプロデューサーで、KORNの初期2枚、LIMP BIZKITの1st、SLIPKNOT等を手掛けた)が手掛ける事を耳にして、期待せずにはいられなくなったわけだ。てなわけで、このアルバムは見つけ次第手に入れてしまったわけである。

とにかく、このアルバムの素晴らしい点は「熱さ」、これに尽きる。「そんな、ヘヴィロックなんてみんな暑苦しいじゃんか」とお思いだろう。が、ちょっと違う。熱いといってもヘヴィロック特有のものではない。確かにRAGE AGAINST THE MACHINEの熱さに通じるモノは多少感じられるが(それはメンバーが皆純粋なアメリカ人ではないからだろう。そういう点はザック・デ・ラ・ロッチャやトム・モレノに似てる)、ここにある「熱さ」は、もっと普遍的なロックバンドの熱さ‥‥そう、U2(それも初期の頃)やPEARL JAMといったバンドに近いと感じるのだ。音だけ聴けば特にロス・ロビンソンが手掛ける必然性というものを感じない。ミックスには大御所アンディ・ウォラスという、まさに「ヘヴィロック界の黄金コンビ」が手掛けたわけだが、個人的にはスティーヴ・リリィホワイト(U2の初期作品で有名)やダニエル・ラノワ辺りが手掛けても何ら問題ないと思う。そう、ATDIはヘヴィロックで括られているものの、普遍的なロックバンド特有の「闘争心」とか「熱さ」を思い出させてくれるのだ。

残念ながら輸入盤の為、歌詞の対訳がないので詳しい内容は判らないのだが‥‥恐らくRAGE AGAINST THE MACHINEに共通するテーマなのではないだろうか、歌詞の面では。南米出身のメンバーが多いらしく、その辺の政治的問題は日常レベルなのだろう。U2もアイルランド出身だし。こういう政治的な事を唄うバンドに対してちょっと引き気味になってしまう人も多いと思うが、俺には今回そういう「胡散臭さ」とか「とっつき難さ」は感じられなかった。昔、同じような「熱さ」を持ったバンドにTHE ALARMという、アイルランド出身のバンドがいたが、このATDIのアルバムを聴いてると、ふとそのTHE ALARMの代表作『STRENGTH』(86年)を思い出す。久し振りに聴きたくなったなぁ‥‥

ヘヴィロック的に感じない/感じさせない点としてもうひとつ、ギターの音色も大きいと思う。昨今のバンドはチューニングを下げ、それでも足りなければ7弦ギターを用いる事が殆どだが、このバンドは聴く限りではノーマルチューニングのままだと思う(いや、あるいは半音下げ程度かも。とにかくヘヴィロック的な1音下げまではいってない)。確かRAGE AGAINST THE MACHINEもノーマルのままだったはず。まぁ彼等はトム・モレノの変態ギターがあるから他のバンドよりも抜きんでてる印象があるが(勿論それだけじゃないのはお判りだろう?)、こいつらの場合は見た目とか動きが変態的だからなぁ。(笑)いや、冗談はさておき‥‥リフやコードワークにしろ、ローエンドを使ったリフが殆どのヘヴィロックが多い中で、このバンドは非常に中音域~高音弦でのリフを多用する。その辺が先に挙げたPEARL JAMのような普遍的なロックバンドを思わせるのかもしれない。

また、ギター2人の役割分担がハッキリしている点も大きい。多くのバンドは2人ギタリストがいれば、大抵同じリフを2人で重ねて弾いて重量感を出すか、違ったリフを重ねて(そう、AC/DCとかストーンズみたいに)独特な和音を奏でるかだ。しかしこのATDIには、ひとりがメインリフを弾き、もうひとりがメロディを弾くというパターンが多い。あれ、これって‥‥初期のU2に多かった手法じゃないか? 勿論、こういう手法を使うバンドは多いが、少なくともヘヴィロックと呼ばれるジャンルの中では少ない。というかあまりお目にかからない。この辺も普遍性を感じさせるポイントかもしれない。

楽曲についてもひとつ。マイナーキーを主軸にした楽曲が殆どで、特に印象に残ったのはピアノを取り入れた楽曲。ライヴでもボーカルがキーボードやらエフェクターやらをいじっていたが、こういうピアノを取り入れた曲では、ギターもまた「いかにもギター」なプレイから離れた、ムーディーなプレイで活躍している。ヘヴィロック特有の「アルバム1枚聴き終える頃にはグッタリ」といった体力消耗を伴わないアルバムだと思う。LIMP BIZKITなんかにもこういうムーディーなサイケナンバーが何曲かあるが、あれともまた違う。ふとU2の『OCTOBER』や『WAR』辺りを思い出してしまう。試しにこのアルバム聴き終えた後にこれらの2枚を続けて聴いてみるのもいいだろう。きっと違和感ないはずだ。

さて‥‥いろいろ分析してしまったが、結論として‥‥彼等は何もヘヴィロックをやろうとしてないのではないだろうか? それにヘヴィロックに無理矢理括る必要も感じないし。RAGE AGAINST THE MACHINEをヘヴィロックで括ってしまった時の違和感、あれと同様のものを感じる。そういうわけで、このバンドはハッキリ言ってそういうヘヴィロックが苦手な人にこそお薦めしたい。先に挙げた2バンドのファンなら間違いなく気に入るし。ただ、これら程メロディアスではないのも事実。「ヘヴィロックのわりにはメロディアス」と書いたように、サビとなるパート以外ではメロディを無視した、叫びに近いボーカルを聴かせるが、それもこの熱さにはピッタリだと思うのだが‥‥この辺は好き嫌いが別れるか? とにかく、これから急成長するであろうバンドには違いない。次の単独公演には是非足を運ぼう、そう思わせるだけのパワーを持ったアルバムだった。今年後半の陰のヘヴィローテーションは、実はこれである♪

そういえばこのアルバム、かのイギー・ポップ氏がゲスト参加しているのだが‥‥どこに?(笑/嘘ウソ、5曲目とか7曲目、あと11曲目にも「それらしき」声は確認できるけど、アフロくんを前にしては御老体も‥‥)。



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投稿: 2000 10 14 12:00 午前 [2000年の作品, At The Drive-In] | 固定リンク