BON JOVI『NEW JERSEY』(1988)
それまで1年に1枚のハイペースでアルバムを発表してきたBON JOVI。前作が空前の大ヒットを収めた結果ツアーは延びに延び、結局15ヶ月にも及んだ。87年10月にツアーが終了し、年内はそのまま休養に当て、年明けからジョンとリッチーは再び曲作りを開始、春には前作と同じスタッフ(プロデューサーにフェアバーン、ミックスにボブ・ロック)でスタジオ入りした。今回はソングライター・チームにデズモンドの他に、今やセリーヌ・ディオンやエアロスミス「I Don't Want To Miss A Thing」でお馴染みのダイアン・ウォーレン等も加わっている。アルバムは勿論前作の余波を受け1位に、当時だけで500万枚以上のセールスを記録。シングルも5曲をリカットし(「Bad Medicine」「Born To Be My Baby」「I'll Be There For You」「Lay Your Hands On Me」「Living In Sin」)全てがトップ10入り、特に「Bad Medicine」と「I'll Be There For You」は1位を記録した。「Bad Medicine」はここ日本でサンヨーのテレビCM(メンバー達本人が出演)に起用されていたので、覚えている方も多いだろう(「まるでBON JOVI」なんてキャッチコピーもあったっけ)。
前作での勢いをそのまま受け継いだ、ある意味延長線上にある内容だが、このアルバム辺りからいよいよ彼等(というかジョン)のルーツ的側面も見え始める。前作での「Wanted Dead Or Alive」におけるアコースティックギター導入がその後のHM/HRシーンに大きな影響を与えたのは上で書いたが、ここでは更にそれを押し進めた楽曲が揃っている。「Wild Is The Wind」「Stick To Your Guns」なんて曲がそうだ。また「Love For Sale」なんてお遊び的な曲も収録されている。しかしここで声を大にして言いたいのは、「Blood On Blood」の存在だろう。それまで同郷のブルース・スプリングスティーンからの影響を口にはしていたが、ここまであからさまにその影響を出したのは、この曲が初めてである。スプリングスティーンの名曲「Born To Run」のBON JOVI版とも言えるこの曲は、初期BON JOVIの代表曲でもあるし、その後のライヴでもハイライトとなった。
また、ライヴでもオープニングを飾った「Lay Your Hands On Me」の導入部でのドラムにも当時は度肝を抜かれたものだ。明らかに前作における「Let It Rock」導入部(当時のCDには「Pink Flamingos」と曲名も付いていたし、1曲としてカウントされていたのだが‥‥)を意識したものだろう。(音楽的にではなく、作品的に)様式美的な前作に対し、拡散方向へ向かった新作。当時のインタビューでやたらとLED ZEPPELINの名前を挙げていたのをふと思い出した。
楽曲に関しては前作同様、文句なしの出来ではないだろうか? 正直甲乙付け難い。特にアナログでいうA面(1~5曲目)の充実振りは絶品である。最初に手を出すならこのアルバムか前作だろう。共に購入して、その成長振りを感心するのもアリだろう。まぁベスト盤でもいいが、この2枚にはヒットシングル以外にも名曲がやライヴでの定番曲が多いので、是非アルバム単位で聴いて貰いたい。
このアルバムに伴うツアーは88年10月31日にダブリンからスタートした(確かDEF LEPPARDのジョー・エリオットが飛び入りして、THIN LIZZYの「The Boys Are Back In Town」を共演したのだった)。その年の年末には日本にて初の東京ドーム公演を、カウントダウンのフェスティバル形式で実現。RATT、KINGDOM COME、BRITNEY FOXが出演した。翌89年8月にはロシア(当時のソ連)にて初のライヴをSCORPIONS、MOTLEY CRUE、OZZY OSBOURNEらと実現した。その充実振りとは裏腹に、彼等のストレスは次第に溜まっていき、ツアー終了と同時にピークに達した結果、次のアルバムまでに4年という歳月を要することになるのだった。
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