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2000/12/26

LUNA SEA『STYLE』(1996)

  大成功を収めた前作から1年半後に発表された通算5作目。この間には先行シングルという形で"Desire"と"End Of Sorrow"をリリースし、共に1位を記録している。更にはライヴバンドの頂点ともいえる会場、東京ドームでのライヴも実現した('95年12月23日)。そういう状況を通過して作られたこのアルバムは、そのテンションを見事に詰め込んだ傑作だ。幸か不幸か、バンドの最高に輝いた瞬間を完全密封してしまっている。'90年代の日本のロック史を語るときに、決して外す事の出来ない素晴らしいロックアルバムなのだ。ここでの彼らは、既にヴィジュアル系だとかそういう枠では括れないレベルにまで達してしまったのだ。

  アルバムはインダストリアル・ノイズ混じりのバラード"With Love"からスタートする。前作では「Loveless」と唄い「愛が欲しい」と叫んだ男達が選んだ第一声、それは「せめて抱き締めて/思いが届いたなら」だったというのが、なんだか劇的じゃないか? この美しい曲を覆うノイズの嵐。これが当時のLUNA SEAというバンドの状態を端的に表しているように感じた。続く"G."の「G」とは「God=神」の事だ。「罪深き二人なら/愛し合える」事を神に許しを請う。そんな二人の激しさを表現するビートが胸に突き刺さる。そして次の"Hurt"では「満たされないなら/壊してしまえ/すべてを」「たとえすべて/失っても」と唄う。それにしてもこの頭3曲は、前作での成功がいい方向に作用した名曲ではないだろうか?

  4曲目"Ra-Se-N"では、新境地である変拍子(5/4拍子)に挑戦している。テクニカルで難解な曲も彼らにとってはお手の物だ。続く"Luv U"も新しい要素を含でいて、ブラックテイストなベースラインが印象的な佳曲だ。そして「アルバムのへそ」には10分を越える大作"Forever & Ever"が。当時のツアーでのラストに演奏されていた事でも、そして活動休止前の最後の曲としても知られている人気曲。J作曲らしいが、中間部でのJの英詩が素晴らしい。ふと、彼が口にする「俺とおまえたちは永遠だ」という台詞を思い出した。この文章がアップされる頃には、本当にLUNA SEAというバンドはその活動を停止させる。この曲で唄われているように「このメロディーは/きっと永遠さ」‥‥そう、21世紀だろうが何だろうが、永遠なのだ。

  後半は怒濤の攻勢に出る。いかにもLUNA SEAな"1999"、2大ヒット曲"Desire"、"End Of Sorrow"、後にシングルカットされる異色ポップナンバー"In Silence"へと流れる。特にこの曲、過去の彼らと今現在の彼らとを繋ぐ橋渡し的存在だと思うのだが、如何だろうか? 最近はライヴで披露される機会がないようだが、是非最後にまた唄って欲しいと思う。

  最後の最後はこれまた異色のレゲエナンバー"Selves"で終わる。彼らは最後の最後に「時代に刻まれた愛を/伝えたい/ぬくもりが/消えないように/いつまでも/この熱を/いつまでも」と唄う。彼らの愛は実り、そしてその愛は永遠だという。まさに「俺とおまえたちは永遠だ」の言葉通りに‥‥。

  音楽的には何も言うことはない。前作の延長以上のものを作ってしまったのだ。彼らは産みの苦しみを嫌という程味わったはずなのだ。しかし実際に出来上がった作品は、そんなプレッシャーをもはね返す輝きを持っていた。しかし、その輝きが強すぎた為に彼らはその後、自分達自身と戦う事になるのだった。1996年12月23日、横浜スタジアム「真冬の野外」という特殊な舞台で、彼らは1年間の期限付き活動休止を宣言する。もっと大きくなる為に、もっと輝く為に。



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投稿: 2000 12 26 01:00 午前 [1996年の作品, LUNA SEA] | 固定リンク