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2000/12/20

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『LIVE IN TOKYO : CASANOVA SAID "LIVE OR DIE"』(2000)

  デビューの数年前に1度、ライヴアルバム(というか、スタジオ録音よりライヴ録音の方がらしさが出るんでそうしたんだろうけど)をリリースしているTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTだが、メジャーデビュー後としては初の、しかも完全実況中継としてのライヴアルバム。アルバム1枚にライヴ本編を丸ごと80分収めた内容になっていて、更に初回限定盤には当日のアンコール分の4曲を収録したボーナスディスクがおまけとして付いている。しかもアルバムにはこれまでの彼らの歴史(全ライヴ日程とリリース日程)の記録が封入されていて、先のベスト盤と両方買うと「COMPLETE BEST OF THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」になるわけだ。しかもこのアルバム、2,100円とお買い得(但し歌詞カードは封入されていないので、初心者は注意!)

  録音されたのは2000年7月26日、赤坂ブリッツ。「WORLD CASANOVA SNAKE TOUR」の43本目、最終日に当たるこの日の模様は、WOWOWでも当日の内に編集・放送された。更にこの3日後にはフジロックの2日目トリとして大役を務めるという、正にピークともいえる時期の音源だ。聴いてもらえば判る通り、頭から最後まで、間髪入れずに次の曲へとなだれ込む。観客に、そして自らに休む暇を与えないライヴ。下手なハードコア系のライヴよりも集中力・体力が必要なのが、ミッシェルのライヴなのだ。残念ながら俺はここ数年(というか、ブレイク後)の彼らのライヴを体験した事がないので、音のみで比較するしかないのだが‥‥少なくとも自分が最後に体験した「WORLD CHICKEN ZOMBIES TOUR」の初日@千葉ルックでの印象よりも、更に激しさが増している。というよりも、より凄みが加わったとでも言うべきだろうか。荒々しい録音のせいもあるだろうが(一聴してブートレッグのオーディエンス録音的な印象を与える音像だが、実は計算されたものではないだろうか? ライン録音にマイクから拾った音も大きめに被せているような印象を受ける)、とにかく臨場感のある雰囲気を与える。2,000人以上収容するブリッツというよりも、もっと小さい‥‥それこそ千葉ルックで観てるかのような錯覚に陥るアルバムだ。なのに決して音は軽くなく、リズムは地を這うような重さを持ってるし、カオティックなシャウトに背筋がゾッとするし。ビデオではなくCDでリリースした意味が、何となく理解できたような気がした。

  当日の演奏曲は、アルバム「CASANOVA SNAKE」をフォローするツアーという事もあって、アルバムのほぼ全曲(15曲中14曲)を披露し、残りは前作「GEAR BLUES」のナンバーとシングルのC/W曲という、かなり拘った選曲。だって大ヒットした「GEAR BLUES」からは"G.W.D"や"スモーキン・ビリー"といった代表曲さえもカットされているのだから。もっともそれらがなくてもこれだけ盛り上げてしまうというのは‥‥半ばヤケクソなのか、それとも底力なのか。そうそう、既に"Baby Stardust"といった(この時点では)新曲もバンバンプレイされているのね。

  一番印象に残ったのは、"アウト・ブルーズ"中盤でのチバのシャウトする「Break on through to the other side」というフレーズ。これは勿論、かのDOORSの代表曲 "Break On Through"の一節だ。DOORSのテーマでもあった『向こう側に突き抜けろ(=イっちまえ)』というフレーズを多様する辺りに、最近のミッシェルの姿勢のよなものさえ感じる。『突き抜けるんだ』というメッセージはオーディエンスへ向けたものでもあり、そして自らに向けたものでもあるわけだ。そして彼らはこのツアーで本当に『突き抜けて』しまうわけだ。

  2000年12月現在、ミッシェルは幾つかのイベントを除いてツアーらしいツアーを行っていない。特に短期ツアーをするという話も聞かない。先週は大貫憲章氏主催の「LONDON NITE 20th ANIVERSERY」イベントに出演したところだ。ツアー終了後にリリースされたシングル"Baby Stardust"はツアー中には既に演奏されていたので、この曲から次作を占う事は出来ないだろう。だからこそ、次に発表される新曲によって彼らの今後が左右されるような気がしてならない。

‥‥とは言っても、特に大きく変化するとも思えないし、活動のスタンスもそうは変わらないだろう。ただ、このアルバムに収められた『瞬間』が、ひとつのピークであったのは紛れもない事実だ。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『LIVE IN TOKYO : CASANOVA SAID "LIVE OR DIE"』
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投稿: 2000 12 20 12:30 午前 [2000年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク