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2000/12/20

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『TMGE 106』(2000)

  THE MICHELLE GUN ELEPHANT初のベストアルバム。タイトルの「106」、最初は意味が判らなかったが、いざ購入して紙ジャケの内側を見て納得。先日('00年9月)リリースされたシングル"Baby Stardust"までの、ミッシェルとして発表された楽曲が106曲という意味なのだ。しかしこの場合は別バージョンも含むらしい。例えばここにも収録されている"G.W.D"はシングルとアルバムとでは別録音だ。で、このリストを見ていてふと気付いた。「あれ、ルースターズ・トリビュートでの"Do The Boogie"が入ってない‥‥」更に「インディーズでリリースされたライヴ盤の楽曲も無視なのか‥‥」とまぁ、いろいろ不透明な部分も気になるものの(笑)それでもこの約6年間にこれだけハイテンション且つイカすロックンロールアンセムを作ってきたという意味では、尊敬に値する。

  サブタイトルに「THE BEST OF~」と銘打っている以上、これまでのシングルヒットは勿論、ライヴでも定番のアルバムチューン、アルバム未収録のシングルC/Wナンバーや別バージョン等、これまで彼らに接した事のなかった人にとってはとても取っ付きやすい内容となっている。ただ、昨年夏にマキシシングル・コレクションアルバム「RUMBLE」に"Candy House", "Culture", "Get Up Lucy"を収録している為、今回この3曲はオミットされているので、完全な意味での「シングルコレクション」にはならなかった。まぁ彼らの場合はシングル曲以上に人気のあるアルバム収録曲が多いので、そういうのは全く気にならない。寧ろその「RUMBLE」収録の"Cisco"(本来はマキシシングル"Culture"のC/W曲)なんて、そういうシングル曲以上の人気を得ている定番曲だし。
  選曲の基準となっているのは、シングルナンバーを軸として、アルバム未収録曲‥‥これまでアナログでしか聴けなかった曲やシングルのC/W曲、更にブレイクの切っ掛けとなったアルバム「CHICKEN ZOMBIES」以降の3枚のアルバムからライヴ定番曲を各1~2曲ずつという、正に「初心者の為のミッシェル」といえる作りになっている。全て既発曲だが、アナログ盤にまで手が出ない(或いは限定盤だった為に入手出来ない曲がある)という中級ファンにもアピールする作りとなっている。このベスト盤と同時リリースされたライヴ盤がマニア心をくすぐる内容(録音を含む)になっているのも、これで何となく理解できる。

  さて、ミッシェルというロックンロールバンドを語る時、やはりシングルは切っても切り離せない存在だろう。他のガレージバンド同様、彼らはその初期の頃からマキシシングル形式で4曲収録してきた(先の「RUMBLE」収録の3タイトルがそれだ)。その後、マキシ形式は採用するものの、何故か中身は8cmシングルだったりとか、2曲しか入ってなかったりとかいろいろあるものの、そこは彼らのこと、カップリング曲は常にアルバム未収録曲/別バージョンだったり、CDシングルとアナログ盤とではミックスやバージョンを変えたりと、自身が影響を受けた先人達同様、遊び心だけは忘れなかった。この手のアーティストはアルバムを大事にする余り、シングルにまで気を遣わなかったり、アルバムの前振りとしてのシングルカットという感じで蔑ろにする傾向が強いのだが、先日のマキシシングル"Baby Stardust"でもお判りの通り、手を抜くという事を知らない。アルバムもシングルも同じ、テンパった状態を維持しているのだ。こんなバンド、他に知らないってば。

  初期の楽曲(「WONDER STYLE」~「HIGH TIME」)と「GEAR BLUES」以降の楽曲とでは多少色が異なると思っていた(初期はガレージ色の強いパブロック的イメージ、ここ数年は爆走ロケンロー以上にパワフル且つテンパってるイメージ)が、こうやって1枚にまとめられて通して聴いてみても、それ程違和感がなかったのには正直驚いた。"リボルバー・ジャンキーズ"の後に"世界の終わり"が来ても、そしてそれに"GT400"が続いてもすんなり聴けて、気持ちいいのだ。これはちょっと嬉しい誤算だった。先日、掲示板で初期と最近とではちょっと違和感があるのでは?みたいな話題になったばかりだったので‥‥つまり、ミッシェルはデビューしてから一貫としたスタイルを維持しているという事になる。たまたまここ数年、爆走ロケンローが盛り上がり、このミッシェルもその括りに入れても違和感ない存在と認識されるようになったが、別に急にスタイルが変わった訳ではないのだ。変化というよりは成長、または深化といったところだろうか。

  ベスト盤、ライヴ盤でこれまでの活動に区切りをつけたミッシェル。先日、CMJサイトにてニューヨークでのショーケースギグが大好評・大絶賛だった事が伝えられた。今後の活動の拠点を海外に移すのでは?なんて危惧する声も聞こえるが、そんな心配は無用だろう。彼らが日本語で唄う以上、彼らの勝負の場はここ日本に間違いない。アルバムを出して、小さなライヴハウスを隈無く回る。夏にはフェスティバルやイベントに出演し、海外のバンドと肩を並べる。気が向いたらロンドンやニューヨークでショートツアーを行う。きっと彼らは今後もこのスタイルで、このペースで活動を続けていくに違いない。正直、彼らが中~後期ルースターズのような実験的音楽に目覚めるとは思えないし(笑)。ただ、前作「CASANOVA SNAKE」を聴く限りでは「出尽くしたかな?」なんて気もする。だからこそ、来年以降に出す『次の1手』に期待して止まない。



▼THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『TMGE 106』
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投稿: 2000 12 20 12:00 午前 [2000年の作品, THEE MICHELLE GUN ELEPHANT] | 固定リンク