2016/01/12

Cybernauts日本公演(2000年1月8日/再掲)

※このライブレポートは2000年1月13日に「とみぃの宮殿」に掲載されたものを、加筆修正したものです。デヴィッド・ボウイ追悼の意味を込めて、再掲載したいと思います。


新世紀1発目となるライブが、後ろ向きとも言えるトリビュートバンドというのも何だかな。しかも相手はかのDef Leppardのフロントマン2人と、歴史的なバンドThe Spiders From Marsのリズム隊。70〜80年代の英国を代表する面々による、デヴィッド・ボウイ&ミック・ロンソンのトリビュートバンドだ。そして会場となるのは、一昨年10月に憧れのCheap Trickを観たあの忌まわしい横浜ベイホール……いい意味で解釈すれば「あんな小さい会場で憧れの人たちを観られる!」、悪く解釈すれば「またあそこまで行くのか……」という思いがよぎるわけだが。しかも当日、体調が悪いときたもんだ。正直、朝起きたときはどうしようか?と思ったものの、今思えば本当に行ってよかったと思えるだけの内容だった。そしてLeppsを切っ掛けにハードロックに目覚めた自分にとって、忘れられない1日にもなった。

当日は祝日ということもあって、普段より1時間早い開場/開演だった。僕は16時半過ぎに会場に着いたのだが、海の近くということもあって寒いのなんの。しかも前夜から当日朝にかけて初雪が降ったもんだから、余計に寒い。微熱を伴う僕にとってキツ過ぎる状況。そして217番というまずまずの整理番号だったのだが、ふと並んだ後ろを見ると……せいぜい50人程度といったところだろうか。しかも前にも明らかに200人は並んでいない。アルバムが年末リリースだったこともあって、それほど大々的にはプロモーションされなかったのだろうか。まあ翌日には東京公演があるのだから、こっちに来る人は余程のファンか、それとも平日公演が観られない地方の方々といったところだろう(自分含む)。トータルで300人前後。天下のDef Leppardのメンバーがいるにも関わらず……いや、ここ日本では彼らは英米での人気と比べたらそれほどでもないし。過去にも武道館追加公演で2階席が解放されなかったりなんてこともあったくらいだから。

会場に入ると、3列目前後真正面のポジションを確保。どうせ始まれば後ろから押されてより前に行けるだろう、そう思ったのだが……これは間違いだった。押されるほど、後ろに人がいない。せいぜい10列前後しかできていないのだ。フロア後方に行くくらいなら、一段高くなった柵より後ろに行けばいいという人が多かったようだ。結局ライブが始まっても後ろから押されることもなく、最後までそのポジションで快適に楽しめた。しかもステージから1メートルちょっとといった距離で、天下のLeppsのメンバーを観られるのだから……。

BGMのTeenage Fanclubで会場の空気が和む中、スタッフがステージに登場。「Pleaese welcome!~」っていう例のアナウンスを始め、その後に続々とメンバーが登場する。ボーカルのジョー・エリオットは黒のTシャツに牛柄のシャツ、黒のパンツというLeppsでのライブと何ら変わらぬ格好。ギターのフィル・コリンも基本的には普段と何ら変わらぬ格好だ。ウッディーは白い帽子を被っている以外には特に目立たない格好。というか、よく見えない。トレヴァーもシャツにジーンズという、アルバム内の写真と同じ服装で、キーボードのディックは見た目が「スキンヘッドのクラプトン」で思わず二度見。

そしてライブはスタート。選曲・曲順については最後のセットリストを確認してもらうとして……それにしても、この客席の“寒さ”は何なんだろう? いや、盛り上がってはいるんだけど、いかんせん客が少なすぎる。翌日のSHIBUYA-AXは結構な数入ったと聞くから、やっぱり場所的な問題なんだろう。見渡す限りではでデヴィッド・ボウイのファンやグラムロックファンは見受けられない。ということは、やはりここにいるほぼ全員がLeppsファンということになるのだけど……口をパクパク動かしてるわりには、歌声が聞こえてこないのが不思議だ。

ライブアルバムと違った点をいくつか挙げると‥‥①ミック・ロンソンのソロ曲が削られ、ボウイの曲が増えていた(『Aladdin Sane』から2〜3曲)、②完全にこの5人だけで再現しているため、ライブアルバムで聴かれたハーモニカ等は一切なし、③アルバムでは曲間を編集して短くしてるが、実際のライブでは曲間が結構空いたりして、ダラダラした印象を受けた。まあそこがクラブギグっぽくていいんだけど。逆に、思ってたのと違った(驚いた)点は、①Leppsではコーラスの要となっているフィルが、完全にギターに専念していたこと。彼の前にはマイクすらなかった(ただしお約束ともいえる上半身裸は、中盤で早くも登場)、②そのぶん、トレヴァーとディックがナイスなコーラスを聞かせてくれたこと、③そのディックがフィル並、いや、それ以上の仕事をしていたこと。「Moonage Daydream」ラストのギターソロに被さる高音コーラスなど、本当にすごいと思う瞬間が多々あった。またキーボードのパートがない曲ではタンバリンを持ってステージ前方まで飛び出し、フィルに絡んだりもした。

アルバム以上に素晴らしかった曲。まず前半のハイライトともいえる先の「Moonage Daydream」のギターソロ。ミック・ロンソンというよりも、完全にフィル・コリンしていた。フィルのギタープレイはピッキングやストローク時の腕に特徴があって、一度観たら忘れられないのだけど、それを目の前で間近に観られたのはある意味貴重だった。あまり速弾きギタリストには興味がないが、この人とブラッド・ギリス(Night Ranger)、ニール・ショーン(Journey)、そしてスティーヴ・ヴァイだけは別格。続いて、アルバム未収録で今回初めてプレイされた「Lady Grinning Soul」。イントロでのディックのピアノプレイが素晴らしく、さらにLeppsではほとんど聴くことのできないジョーのファルセットが堪能できた。さらににエンディング前の「The Width of a Circle」。この10分以上もあるライブバージョンがもうすごすぎ。中盤にウッディーのドラムソロが挿入されているんだけど、とても50歳を越えた人間のドラムソロとは思えなかいほど圧巻だった。

ライブ本編はVelvet Undergroundのカバー「White Light White Heat」で一旦終了。アンコールはすぐに始まった。ディック、ウッディー、トレヴァーが現れ、続いてフィルが登場し、最後にシャツを脱いだジョーがアコギを抱えて登場。ここで神妙な顔つきでMC。

「今日、1月8日はデヴィッド・ボウイの54回目の誕生日だ。そして、もうひとつは‥‥」

そう言いかけた瞬間、ハっと我に返った自分。そしてジョーはギターで隠していたTシャツの胸のプリントを見せた。そこには「STEVE CLARK / 1960-1991」の文字とともに、亡きスティーヴの笑顔が。そう、この日のためにジョーはこんな粋なものを作っていた。泣くに泣けないよ……隣にいた、ほぼ僕と同年代と思わしき女性は、そのTシャツの絵柄を見た瞬間に号泣。ジョーは続けた。

「もう彼がいなくなって10年も経ったんだよ。いつまでも彼のことを忘れないでほしい。僕らの大切な友達、スティーヴのことを……次の曲をスティーヴに捧げます」

そう言って彼は『Ziggy Stardust』の最終曲「Rock'n'Roll Suicide」をアコギ1本で歌いだした。スティーヴはLeppsのほとんどの曲で作曲者としてクレジットされている、結成当時からのギタリスト。僕が浪人中だった1991年1月8日に亡くなった。このニュースを当時の友人から知らされたんだった。丁度その日は土曜で、センター試験初日。当日深夜には伊藤政則のラジオを、結局最後まで聴いてしまった。4時間ぶっ続けでスティーヴに関する情報を、ロンドンと電話でやりとりしていた。彼が大好きだったLed Zeppelinの「Stairway To Heaven」で番組は締めくくられ、僕はそのまま眠れずにLeppsのアルバムを聴きまくってから試験会場に向かった……そんな10年前の記憶がよみがえってきた……そうそう、あの日も確か雪が降ったんだよなぁ……。

珍しく、あのフィルまでもが神妙な顔つきでギターを弾きまくる。他のメンバーも特に面識があったわけではないだろうが、スティーヴに敬意を表して真剣にプレイに取り組む。そして曲が終了すると盛大な拍手。妙にしんみりしてしまった中、そのまま「Suffragette City」に突入したのだが、ここでもいい仕事をしていたのは、ディックだった。笑顔で他のメンバーとアイコンタクトを取る。するとつられて他のメンバーも笑顔に。こうして最後には満面の笑みで最初のアンコールは幕を下ろした。そして2回目のアンコールはお約束ともいえる「All The Young Dudes」であっさりと終了。ライブ全体のトータル時間は1時間40分程度で、アルバムよりもちょっと長いくらいか。ALLボウイだったにも関わらず、Leppsファンを最後まで飽きさせなかった点はさすがだなと思う。

個人的にはボウイを聴きにいったのに、最後にはLeppsを観たような錯覚に陥ってしまったが、僕自身忘れてしまっていた初心(そう、僕はLeppsを切っ掛けに洋楽にのめり込み、バンドやりたいギター弾きたいって思ったんだ)を思い出させてくれた。21世紀の最初に初心を再確認できたという意味でも、このライブは(少なくとも自分にとって)意味のあるものだった。

最後に。会場内で「やっぱりデフレパ(やめろよ、この呼び方)の曲、やらないのかな?」「やらなきゃ意味ないでしょ?」といった方々。君たちがここにいることの方が意味ないと思うのだけど……横浜に向かう帰りのバスの車中では「Leppsの曲、やらないで正解だったね?」と会話していたカップルがいたけど、本当そのとおり。

セットリスト
01. Watch That Man
02. Hang on to Yourself
03. Changes
04. The Superman
05. Five Years
06. Cracked Actor
07. Moonage Daydream
08. Lady Grinning Soul
09. The Jean Genie
10. Life on Mars
11. The Man Who Sold The World
12. Starman
13. The Width of a Circle (feat. Drum Solo)
14. Ziggy Stardust
15. Panic in Detroit
16. White Light White Heat
<アンコール>
17. Rock'n'Roll Suicide
18. Suffragette City
<ダブルアンコール>
19. All The Young Dudes



▼Cybernauts「Live」
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投稿: 2016 01 12 07:00 午後 [2000年のライブ, David Bowie, Def Leppard, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2000/12/31

エレファントカシマシ@千葉県文化会館(2000年12月10日)

  唐突だけど、地元(ここでは広い意味で、千葉県って事で)でライヴを観るってのは、やっぱりいつもと違うね。変な意味での「安心感」みたいなもんがあって。東京に住んでた頃にもちょくちょく県内のホールやライヴハウスに出向いてたけど、安心するんだよね、見慣れた風景や場所が。例えば、俺は学生時代は神田~秋葉原~お茶の水ってのがホームグラウンドで、その後勤めてたのが新日本橋だったので、なんだかんだで5~6年は神田周辺にいたんだよね。だから今でも所用でその辺に出向くと、妙に安心するんだわ。ビジネスホテルを神田周辺に取るのも、それがちょっと関係してるんだけどね。

  っていきなり関係のない話からスタートしたけど(笑)、千葉県文化会館でエレカシを観てきました。エレカシ自体はかなり前、アクト・アゲインスト・エイズ(AAA)@武道館で初体験してまして、その時は確か「東京の空」出した後で、かなりいい感じだったんだけど(実はその時はミスチル目当てで行ったのだけど)、年明けてすぐに契約切られた事を知るという‥‥で、その後の彼らの紆余曲折~快進撃はご存じの通り。何度か観ようかな?とは思ってたものの、なかなか機会がなくて。今回、本当にたまたまなんだよね、千葉県文化会館で、しかも日曜に‥‥こりゃ行くしかないでしょ!(笑)

  でね、俺。実は勘違いをしてた事が発覚して‥‥「JR千葉駅」から歩いてすぐだと思ってた千葉県文化会館。よくよく調べたら「本千葉」という駅から徒歩10分だった‥‥危なかったよ、マジで。(笑)

  さて、ここからはマジでレポートに。開演時間が18時という事だったけど、俺が会場に着いたのはほぼ定刻。でもまだ始まる気配がなく、結局始まったのは10分過ぎてから。ステージにメンバーが続々現れ、最後に宮本が登場。「OH YEAH!」を連発する宮本。白いYシャツに黒いパンツという、お馴染みの出で立ち。ストーンズやストリート・スライダーズを彷彿とさせるラフなロックンロールへと進化していた"good-bye-mama"からライヴはスタート。前日、戸田でライヴを行っていた事も関係して、宮本の喉の調子は完璧とは言えなかったが、それを補い余る程のパワーを感じる。スタジオテイクではドラムは打ち込みだったものの、ここではバンドアンサンブルが冴えている。今後、再びバンドでのレコーディングに挑む事もあるだろう。是非、この勢いを重視した楽曲を用意してもらいたいものだ。

  続いてバンドは"明日に向かって走れ"に突入。やはりスタジオテイクよりもテンポ・勢い共に増していて、聴いてて気持ちいい。ライヴを通して思った事は、古い曲も最近の打ち込みの曲も、今のバンドの音でやれば一貫性があるという事。ガストロもこれらの曲も、特に違和感なく聴けたのが嬉しかった。

  そして最新作のシングルから"Soul rescue"。これなんてかなりテンポアップされてて、攻撃力が300%増しって感じ。スタジオ録音ではダルな感じの引きずるようで、それでいて攻撃的なというイメージだったが、ライヴではとにかく攻撃オンリー。タメもクソもあったもんじゃない。ライヴ音源は「コールアンドレスポンス」のシングルに収められているが、それ以上だ。バンドアンサンブルは想像以上だった。5年前にちょっとだけ体験した時よりも、何十倍も、何百倍も凄い事になっていた。

  その後MCを挟んで、俺が一番聴きたかった"悲しみの果て"を披露。「花を飾ってくれよ/いつもの部屋に」を「ふたりの部屋に」と変えて唄ったとこに、ググッときてしまった。この辺から"昔の侍"まで、声が張り裂けんばかりに唄いっぱなし。もう泣きそうだったよ、俺(苦笑)。

  MCを挟んで、宮本はアコースティックギターに持ち変える。そこで唄われたのが、4枚目のアルバム「生活」に収録されれた"月の夜"だ。アルバムを今聴くと、さすがに最近の彼らとは違和感があるが、こうやってライヴで通して聴かされると、本当に違和感がないんだな、これが。この日、エピック時代の楽曲はこれと後で演奏された"珍奇男"のみなのだが、もっと聴きたかったというのが正直な気持ち。ただ、ブレイク後の彼らを見たことのなかった身分としては、こうやって名曲の数々をバンバンとやられただけでも気持ちよかったのだが。

  今日は1曲のみ、まだ未発表の新曲を演奏した。「一人暮らしについての歌だ」という説明の後に始まったその曲は、アコースティックアレンジが施された、心に残る曲。「ロマンチック」なんて単語がサビに出てきたと思うが、復活後の彼らのいい面を更に押し進めた感じの、本当にいい曲だった。後で宮本は「まだ曲名決めてないんだよね。『ボステンジャー』でいいや♪」と言ってた(笑)。そりゃないだろう。

  その後、「これぞ真の意味でのハードコアソング」である"珍奇男"を熱演。途中でエレキに持ち替えて暴れる。そして"so many people"に突入。この日一番の盛り上がりをみせる。一聴してポップなメロディーを持つこの曲、ここまでハードコアに迫るか!?ってな具合だ、こりゃ。本当にカッコイイ。宮本の声は既に枯れきってしまっていて、正直辛いものだったが、そんなことお構いなしに勢いで押しまくる。

  この曲で本編は終了し。フィードバックした宮本のギターだけがステージに残る。暫くしてメンバーはステージに戻ってきた。アンコール1曲目には「懐かしい曲を」という事で"始まりはいつも"を披露。7枚目のアルバム「東京の空」時にレコーディングされていて、その後も何度かライヴでは披露されてきた曲で、先頃発売された編集盤「sweet memory」にも初回盤のみに収録されていた曲だ。ザクザクしたギターリフが心地よい、最近の彼らにはないタイプの楽曲だ。

  この後からの3曲は、復活後の歌メロを大切にした楽曲群が続く。宮本が大切にしているという、最大のヒット曲"今宵の月のように"、最新作「GOOD MORNING」期の中でも比較的メロウな"武蔵野"、"sweet memory"と熱い演奏を終え、再び袖に戻る。再びアンコールを求める声。

  三度登場した彼ら。宮本は白シャツからツアーTシャツに着替え、ギターを持たずに「神主は知っている」(?)だったか何だか訳の分からない事を言いながら、お待ちかねの"ガストロンジャー"だ。打ち込み+ADAT(コーラス部分。それともテープ?)を駆使したバックに乗せて、宮本は既に出なくなっている声を振り絞る。唄うというよりは宮本得意の独り言(笑)といった感じのこの曲。ライヴでは更にステンポニアスにその場その場で台詞を変えていく。途中何度も言葉に詰まる場面もあったが、この曲はこれでいいだろう。思った以上にギターの石森がカッコイイ。本当にジミー・ペイジみたいだった(佇まいもプレイも)。途中で宮本に上着を脱がされていたが(笑)とにかく彼のバッキング、そしてソロプレイは好みだわ。
  彼らがこの日最後に選んだ曲は、予想通りの"コールアンドレスポンス"。当然といえば当然。"ガストロンジャー"以上に衝撃的だったこの曲。もうこの頃には、俺も真っ白になっていた。宮本は右へ左へと走りまくる。演奏はとにかく最後までタイトで、下手なハードロックバンド以上にハード&ヘヴィだった。リズム隊も最後まで乱れる事なく、気持ちいいくらいに重いプレイを聴かせてくれた。そして石森のギター。文句なし! 2000年度のベストギタリストに決定!

  と、最後は何だか訳の分からないレビューになってしまったが。この興奮が伝われば良しとしよう(笑)。久し振りにここまで興奮した。10月に見たCoccoは、演奏・歌・内容全てが完璧に近い状態だったが、エレカシはそれには程遠かったかもしれない。けど、ロックが持つ初期衝動のようなものは、今年見たライヴの中では一番だった。それだけは胸を張って言える。ロックという音楽が持つ攻撃力、言葉の持つ破壊力、メロディーが持つ癒し・優しさ、フロントマンが持つカリスマ性。それらを全て兼ね備えたのがエレファントカシマシというバンドなのだと、この日改めて知らしめられた。それだけで十分だ。

  最後に。MCについては今回は述べない事にします。既に掲示板にいろいろ書いたし。ここでは彼らが持つ、破壊力についてのみ書かせてもらった。その他の要素もあって彼らのライヴが楽しいのは確かだが、まぁそれは見た人だけが知っているという事で‥‥こうやって活字にしてしまうと、面白味が半減してしまうと思うので(笑)。


[SETLIST]
01. good-bye-mama
02. 明日に向かって走れ
03. Soul rescue
04. 悲しみの果て
05. 風に吹かれて
06. 昔の侍
07. 月の夜
08. (新曲)
09. 珍奇男
10. so many people
—アンコール--
11. 始まりはいつも
12. 今宵の月のように
13. 武蔵野
14. sweet memory
—アンコール--
15. ガストロンジャー
16. コールアンドレスポンス



▼エレファントカシマシ『good morning』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2000 12 31 05:03 午後 [2000年のライブ, エレファントカシマシ] | 固定リンク

2000/12/17

ELECTRAGLIDE@幕張メッセ国際展示場(2000年11月24日)

  まさか真冬にフェス形式のイベントものが、こういう大会場で行われるとは思ってもみなかった。しかも出演者はUNDERWORLDやORBITALって‥‥昨年春の単独来日、そしてフジロックで見逃したことをずっと後悔していた俺にとって、正に朗報だったといえる。しかも2人組になって心機一転、過去の総決算ともいえるベストライヴ盤&画期的なDVDソフトリリース後の、初の来日公演だ。それに加えてORBITAL等の名実共に評価の高いテクノ系アーティストも出演するのだから、そっちにあまり精通していない俺でもワクワクするってもんよ。

  まぁ週末とはいえ、平日の夜開催って事もあって、そんなに人入るのかなぁ‥‥って思ってたら、知らない間にチケットはソールドアウト、Yahoo!のオークションでは1枚2万円とかで取引されてたりとかですごい事になってた。しかも当日は約1万5千人もの人が来場するとの事! こりゃある意味「冬のフジロック」とも言えるスケールのイベントだわ!!

  21時開場/開演という事だったが並ぶのが嫌だったので、直前にゆっくり食事を取り、21時半に入場。あの大きな展示場内を2枚の仕切(壁)で区切って、スペースを3分割していた会場内。入り口向かって右側が所謂メインステージ。バンドが演奏するステージが向かい側にあって、スペースの丁度中央辺りに多方向へと音を発信するスピーカーと、その天井に3つくらいスクリーンがあった。バンドが演奏していない時は一番左側のスペースにあるDJブース内の模様が中継され、メインステージでの演奏が始まると、そのバンドのコンセプトに合った映像を流すわけだ。勿論、ステージ左右にも同様の大型スクリーンがあった。とにかくここは広くてデカいというイメージだ。

  先に言った通り、向かって一番左側がDJブースになっている。勿論その他にもバーカウンターが幾つか出店していた。知っている所になると、恵比寿みるくなんかも出店していた。

  そして真ん中のスペースはグッズ等の物販と、飲食物の屋台があって、ひと休み出来るようになっている。とはいっても、みんな地べたに座ったり寝っ転がったりしてるのだけど‥‥寒い中(苦笑)。屋台はタイラーメンとかケバブという、フジロックでお馴染みのお店ばかりだった。しまった、トンカツ食わないでタイラーメンにすればよかった‥‥フジロックといえばタイラーメン。俺の中では完全に定着してしまっている。何せ3日通して食べたのはこれだけだからね。

  とりあえず俺と同行者はグッズを買う為に長い長い行列に並んだ。結局30分以上並んだのかな? どうせORBITALのスタートは22:45だから大丈夫♪と安心していたのがマズかった‥‥プログラムが変更になったのを確認していなかったのだ(苦笑)。なんとORBITALの演奏は22:00スタートに繰り上がっていたのだった‥‥!!


◎ORBITAL(22:00~23:30)

  この人達、実は結構前から聴いていた。恐らく1992年頃だったと思う。当時の同級生にその頃出た彼らのアルバム(名前は失念!)を借りたりして聴いていたのだった。当時はテクノというよりもハウスとかレイヴという名称で知られていたような気がする。SHAMENとかKLFとか、あの辺と一括りにされていたような‥‥う~ん、よく覚えていない(笑)。

  で、気づけばあれから10年近く経ったにも関わらず、未だに現役なんだね? 今年のフジロックにもアナウンスされていたにも関わらず、結局キャンセルになったんだよね? そういう意味では「待望の来日!」って事になるのでしょう。俺も名前は知っていながらその音をいまいち把握していないので、恐る恐るステージに挑んだのだけど‥‥つうか、物販テント前に並んでる時には既に始まってしまっていたのだけどね(苦笑)‥‥

  いや~、正直ビックリした! まさかあんなにカッコイイとは思ってもみなかった(汗)。以前、2年前のレディング・フェスの映像を見た事があったのだけど、あの時は確かピラミッドみたいなセットの中にメンバー2人がいて、頭に小さい懐中電灯?みたいのを2つ付けてるのが印象的だったけど(ちょっと「八つ墓村」チックでアホっぽいところが素敵だった♪)、今回もそれだった。いや、正確にはそのピラミッドのセットは今回はなかった。これはUNDERWORLDもそうだったけど、特に巨大スクリーン以外は特別なセットはなかった。まぁフジロックの時同様にセットチェンジを短時間で済ます為には、こういう配慮が必要なのだろう。まぁセットを楽しみにしてたわけじゃないし、肝心なのは音だから‥‥で、その音がまた素敵だった。なんて言えばいいんだろう‥‥上手く表現出来ないが、決して攻撃的な音じゃないけど、何か気持ちが高揚してくんだよね。どっちかっていうとピースフルな曲の方が多かったイメージがあるのだけど、何か踊ってる時はもうみんなニコニコだった。俺も、俺の周りもみんな。こんなに楽しく踊ったの、久し振りだわ♪ 何でこんなに気持ちいいのだろう‥‥UNDERWORLDの曲と比べてテンポ(BPM)が遅かった事が挙げられると思う。勿論アップテンポなのだけど‥‥人間の鼓動に近い感じかな? 勝手に想像しちゃうけど、多分彼らの楽曲のテンポって120BPM前後の曲が多いんじゃないかな? つまり1秒間に2拍、1分間に120拍って事。人間の鼓動が1分間に約60~70拍程度って言われてるから、これがどれだけ心地よいものか、踊りやすいものかがお判りいただけると思う。勿論これは俺が勝手に想像してるだけで、実際に計測したわけじゃないので‥‥それにしても本当に気持ちいいです♪

  曲のバラエティも幅広かった気がしたな。特に笑ったのが、曲名は判らないけど、サンプリングのネタにBON JOVIの"You Give Love A Bad Name"とベリンダ・カーライルの"Heaven Is A Place On Earth"のそれぞれのイントロ部分(アカペラのパートね)を使っていた曲! 悪いけど爆笑させてもらったぞ!(笑)だってさ、まさか幕張くんだりまで来て、しかもテクノパーティでBON JOVI聴く事になろうとは思わなかったもん♪

  本編が終わった時にはみんな大きな拍手。勿論ニコニコ顔。それに応えてORBITALのメンバー再び登場。アンコールを数曲やりました。唯一知っていた映画「スポーン」サウンドトラック収録の"Satan"がプレイされて、ちょっと嬉しかったです♪


◎TWO LONE SWORDSMEN(23:30~02:30)

  約1時間半のステージが終了して、俺と同行者はUNDERWORLDに備えてひと休みする事に。とりあえず飲み物を買って、DJブース周辺で休憩。この時にDJをやってたのがこのTWO LONE SWORDSMENのお二人。今回初めて知った方々ですが、その筋では相当有名らしい。それもそのはず、彼らのプレイを実際に体験すればその理由が嫌という程判りますぜ‥‥激ウマですよ!ってプロに対して言う台詞じゃねぇか?(笑)とにかく上手いです。

  途中、DJブース側からメインステージ側に移動して、UNDERWORLDに備えたのだけど、この時もメインステージのスクリーンには彼らのDJプレイが実況中継されていましたよ。実際に音で聴くのと、その舞台裏を見るのとではもう‥‥あの音はこうやって出してるのか!とか、おお、タバコに火を点けるのも神業的だわ!(爆)とか、関心させられっぱなしでしたよ。恐らく時間にして30分程度しか体験してなかったけど、もし次がなかったら、もし疲れてなかったら、俺は踊りまくってただろうね、きっと‥‥時計は0時30分を回ろうとしていた‥‥いよいよ、いよいよ念願の生地下世界、初体験!!!


◎UNDERWORLD(00:30~03:00)

  ヤバい‥‥これが第一印象だった。壮大な?イントロダクションに続き、聞き覚えのある「Everything,everything,everything...」というサンプリング音が‥‥当然、"Cowgirl"なわけで‥‥ここで頭真っ白に。つうかさ、完全にロックだったね、あれは。ロックコンサートだよ。「オイ、オイ!」って掛け声もあれば、タテ乗りの客もいる。クラブでの一体感以上に、ロックコンサートで体感する「あの」感じなのだ。
  ステージはORBITALの時と基本的には同じ。ただ、これまでのUNDERWORLDを考えると、ステージに2人しかいないというのは、何か妙な違和感のようなものを感じる。恐らくフジロック'99年の映像等を観ていた影響もあるのだろう。新生UNDERWORLDは特にサポートメンバーも入れずに、全てを2人でこなしている。カール・ハイドも途中で何度も後ろを向いて機材をいじっていた。更に"Juanita/Kiteless"ではギターまでこなしていた(何故かトラブルでその音が出てなかったが/苦笑)。その上あのタコ踊り(爆)だもんなぁ‥‥

  基本的には先に発売されたライヴ盤「EVERYTHING, EVERYTHING」をフォローアップするようなショウだったが、曲と曲の間には新曲と思われる聴いたことのない小楽曲が挿入されていた。これだけで次作を占う事も出来ないが、どことなく更にプログレ度がアップしていたような‥‥いや、そうハッキリ覚えているわけでもないが(苦笑)。何せ彼らが登場してから1時間も経った辺りから、俺も含めて周りの人間が皆、かなりの疲労を伺わせていた。正直、こんなに続くとは思ってもみなかったから‥‥アンコールも含めて、そのトータル時間は約2時間半。フェス形式とはいっても、ひとつのステージには最高でも3バンド。2番目登場とはいえ、基本的にはトリ扱いだしな。終盤、"Born Slippy"が終わった時点で、俺も完全に終わっていた(爆)。にも関わらず、この後もう少し続き(苦笑)、その後にステージを去った2人。ORBITAL同様、当然アンコールが予想されるわけだが、この時点で今の彼らにとっても大切な曲が2曲程欠けていたような気が‥‥(苦笑)そう、アンコールには"King Of Snake"と"Moaner"というフルコース。健康な状態の時なら発狂しそうな選曲なのだが‥‥ご免なさい、この時点で俺は仁王立ちでした(爆)。踊らずに(いや、踊れずに)モニターに写る、映像集団TOMATOが作り出した映像群に見入っていました、曲に心弾ませながら(笑)。ある人の意見では「DVDに収録されているものよりもイマイチ」という事だったが、この時点でまだDVDを観ていなかった俺にはその違いは判らないわけで、ただ単に「すっげー」という短い一言を連発するのみ。覚醒するというか、完成が研ぎ澄まされるというか‥‥こんなもん葉っぱでも使いながら観た/聴いた日にゃ‥‥(以下自粛/笑)後日、そのDVDを観るわけですが‥‥正直、どっちも素晴らしいと思ったのは俺だけだろうか?(単にそういうテクノ系の映像に慣れていないだけかもしれないが‥‥少なくとも、幾つかのDJイベントで見られるそれらの映像群よりも、はるかに心にくるものがあったが‥‥)

  というわけで、単に「暴れ、踊り、疲れ、仁王立ち」という(笑)どうしようもないレポートになってしまった‥‥ただ、雰囲気だけは伝わるのだろうか?(苦笑)


◎UNDERWORLD終了後‥‥

  完全に果てた(爆)。この後もイベントは朝5時まで続くわけだが、帰りの足のない電車組は床で寝たり、ヤケクソで更に踊り狂う奴がいたりと、それなりに楽しんでいたようだ。が、仕事から高速飛ばして来た俺は、もう限界だった。つうわけで、ここで会場を後にする事に。車に乗って駐車場を出たのが3時半過ぎ、家に着いたのが5時過ぎだった。当然、そのまま爆睡。ってこれじゃフジやサマソニの時と変わらねぇじゃないか?(笑)でもまぁ、フェスといえば夏、という固定観念をぶち破ってくれたスマッシュに拍手を送りたい。こうやってテクノ系にそれほど強くない俺でも楽しめるイベントだったのだから。是非今後も続けて欲しいもんだ。

  会場内の問題もいろいろあった。まず途中退場したら再入場出来ない事。これはフジみたいにリストバンドとか作ってくれればいいのでは?と思った。会場内は雰囲気を作る為に常に真っ暗なので、どうしても明るい所で休みたいという人もいるはずだ。そういう人の為にも是非考えて欲しい。

  更にゴミの問題。どうも苗場以外の場所ではこの問題と隣り合わせのような気がする。結局、誰かがすすんでやってくれなきゃみんな協力しないのかな? 会場内には燃えるゴミの袋はいくつもあったものの、ペットボトルを捨てる場所が少ないように感じた(というか見あたらなかった)。俺の住んでいる場所ではペットボトルは「燃えるゴミ」ではないし‥‥結局最後まで捨てる場所が見つからず、UNDERWORLDの時も持ったまま踊り、最後も駐車場の途中にあったゴミ箱(外のね)に出会うまでどこにも見あたらなかったし。だったら売らなきゃいいのに‥‥とも思った。会場内での飲み物は全部紙コップに移して販売するとかさ。まぁ来年も続けるなら、この辺はきっと解消されるはずだ。現にスマッシュの大将もその辺の事をコメントしていたし。

  つうわけで、週末に行われるイベントとしては最大規模のものだろう。今後も‥‥例えば横浜アリーナで毎年行われる電気グルーヴのイベントと競り合って頑張ってもらいたい。フジロックだって1年目は散々たるものだったのだから‥‥「続ける事に意義がある」のであって、それが軌道に乗ったなら、後はそこから考えればいい。来年も是非やって下さいね、大将♪

投稿: 2000 12 17 12:00 午前 [2000年のライブ, ELECTRAGLIDE, Orbital, Two Lone Swordsmen, Underworld] | 固定リンク

2000/10/16

SiLVER GiNGER 5 JAPAN TOUR 2000@赤坂BLITZ(2000年10月15日)

いきなり結論から言ってしまうと「やっぱホントに好きなんだな?」、そして「物足りないよ」。この二言に尽きると思う。

THE WiLDHEARTSの解散から早2年‥‥いや、事実上は3年という計算になるのか? とにかく、同じ赤坂ブリッツでラストツアーを観てから丸2年が経とうとしていた。昨年の一時的な再結成は経済的な理由から観れなかった為、本当に久し振りな気がする。考えてみれば'95年から毎年観れてたんだもんなぁ、ジンジャーを。そりゃ2年も空けば久し振りな気がするわな?

ソロになってからのジンジャー、日本での初ステージ(この際三軒茶屋での件は無視/笑)。しかも本人が力を入れている新しいプロジェクト(敢えてこういう言い方をさせてもらう)SiLVER GiNGER 5の初お披露目の最終公演である。事前にあまりいい評判を耳にしなかった為、ちょっとばかし不安に襲われたものの、まぁジンジャー自身はいつも不完全だったしな、これまでも‥‥とか思いながら(笑)、結構気楽に構えてる自分がいたりして、そんなに気構えずに当日会場に向かった。その割には開場30分前に既に着いてたりしたのだが。(笑)

小雨の降る中、開場時間の17時を回る。しかし会場内では未だにリハーサルをしている。あ、"Sonic Shake"じゃんか? おいおい、何最終日になってまでライヴの1曲目を練習してるのさ?(苦笑)しかもこの後入場出来たのが約1時間後という事もあって、不安が募る。そういえば、バンドメンバーはギリギリになって決まったって噂も耳にしただけに‥‥リハ不足って話もあながち嘘ではないかも‥‥

18時前後になり、ようやく会場入り。整理番号が153番という好ポジションだった為、入場前に手荷物はロッカーに入れ、会場入りと同時に物販にも目をくれず一目散にフロアへ突入。ほぼステージ中央の3列目を確保。まぁスタンディングだから始まれば揉まれ押されて後ろに追いやられるのだろうけど。入場を待つ間に一緒になった、ちょぎっふぃさんも整理番号が俺の10番くらい後だったので、途中で俺を見つけて合流。開演まで客入れ時の音楽が会場によって全く違う話や機材の話等をして暇を潰す。

時計をしていなかったのではっきりした時刻は判らなかったが、入場してから1時間と経たない内に会場が暗転。体格のいいオッサン(俗に言うデブ)が「Please welcome~!」っていう、ほら、KISSなんかのライヴ盤の頭に入ってるような、あのアナウンス! あれをやるわけよ!! ここらへんでもう、今回のプロジェクトの全てを観てしまった気がした。「That's Entertainment!」、もうこれに尽きるようだ。

メンバーが続々現れ、一番最後に黒のレザー上下にヘアバンド、顔に薄化粧を施した(笑)ジンジャーが登場。成る程、確かにマリリン・マンソンに通ずるモノがあるわ。何か人工的っつうか、作り物っぽいっていうか。衣装もWiLDHEARTS時代をちょっとだけゴージャスにした感じ。そして変形ギターを持ったジンジャーが最初に演奏したのは"Sonic Shake"。炭酸ガスがプシューっとステージから飛び出し、真っ白でステージが何も見えない。(笑)メンバーはギターに元ELECTRIC BOYSのコニー・ブルーム、ドラムにそのコニーの元バンドメイト、ベースはアルバムで弾いていた人(スキンヘッド)の4人編成。つまりWiLDHEARTSと同じ編成なわけだ。そりゃ嫌でも比べられるわな? そこに曲によって素人のオネェチャン4~5人からなるCHIPPIESっていうコーラス隊が加わるわけだが、声が小さい為殆ど機能しておらず。(苦笑)

とにかく演奏はカッチリしてる。WiLDHEARTS程の不安定要素もないし、即席の割には(いや、かなり)まとまっていたと思う。ジンジャーは終始真顔でWiLDHEARTS時代みたいに笑顔を見せない。これもこのプロジェクトでのコンセプトなのか?

ライヴの構成は下のセットリストを見てお判りの通り、ほぼアルバムの流れをなぞっている。特に1~4曲目は全くアルバム通りだ。アリーナロックを体現するバンドらしく、とにかくジンジャーとコニーはかっこよかった。髭面のコニー、その風貌からそのまま'90年代前半のKISSやMOTLEY CRUEに入っても何ら違和感はない。要するにゴージャスまでいかず、小汚いって事か。(笑)そのコニーは4曲目"Girls Are Better Than Boys"のセカンド・コーラスではリードボーカルも取っていた。なかなか味のあるシンガーだと感じた。またベースもコーラスを取っていて、比較的アルバムに近づけようという努力を感じるのだが、ボーカルに奇妙なエフェクト(かなり深いリバーブとディレイ)がかけられていた為、非常に聴きにくかった。これはジンジャーにも言える事で、これまでで一番丁寧に唄っているのは判るのだが、そのエフェクトの為、はっきりと聴き取れないのだ。きっとアリーナでやってる雰囲気を出したいのだろうけど、ちょっとこれは問題だな。WiLDHEARTS時代のジンジャーは声が出ない/唄えてない時の方が多かった(殆ど?)けど、それでもハッキリと聴き取れたのにね‥‥これは今後、絶対に改善してもらいたい(そういえばアルバムでもかなり深めのエフェクトがかかってたしな‥‥)。

そうそう、5曲目のエンディングではドラムソロが、7曲目のエンディングではギターソロがそれぞれ2~3分程挿入されていた。これもWiLDHEARTS時代には考えられなかった事だろう。まぁ短くまとめられていたし、内容も退屈なものではなかったので、これくらいならヨシとしよう。

今回、特に新鮮だったのは、やっぱりバラードの2曲(7曲目とアンコール1曲目)だろう。ここまであからさまなバラードはWiLDHEARTSにはなかったし、いい意味で小休止になる。それにこういう曲ではいよいよジンジャーの歌唱力が問われるわけだが(笑)‥‥まぁその点は、次回に持ち越しって事で‥‥いや、悪くはなかったと思う。ただ、エフェクターが‥‥

そのバラード"Church Of The Broken Hearted"が終了すると、いよいよ後半戦。というか、エンディングに向かってまっしぐら。"Too Many Hippies"や"I Wanna Be New"といったスピードナンバーは、WiLDHEARTS時代の"Suckerpunch"や"Caffeine Bomb"にあたる楽曲なので、勿論それなりに盛り上がるのだが‥‥思ったよりもダイブする客が少なかった。まぁそういうタイプのバンドでもないし、そういうタイプの楽曲も少ないから仕方ないけど‥‥ちょっと寂しかった。

アンコールではジンジャー、首に黒い鳥の羽のようなものをつけた襟巻き?みたいなものをまとって登場。まんまマリリン・マンソンだった。(笑)しかも本当に君が悪い。悪趣味っていうか‥‥何か勘違いしてるんだよなぁ‥‥まぁいい。まずバンドは"The Monkey Zoo"を披露。ここら辺で、かなりジンジャーの歌がキツくなる。まぁエフェクトのせいで聴きにくいから、そう感じなかった人も多いかもしれないが、明らかに唄えてない。

続いてバンドはWiLDHEARTS時代に1度も演奏されなかった"Inglorious"を披露。悲しいかな、この時が一番盛り上がっていたんだな、観客は。つうかさ、演奏完璧すぎだよ、マジで。この曲のみ、このプロジェクトのコンセプトには合ってないからアンコールで披露、っていうのには賛同する。つうかどうせなら、アルバムの曲を全て本セットでやり尽くして、アンコールでカバーやWiLDHEARTS時代の曲をやればよかったんじゃないの? これなら明らかに切り離して考えられると思うし、観客も。それに1~2曲じゃ古いファンも納得しないでしょう。まぁ確かに、目の前にいるのはジンジャーだけど、WiLDHEARTSではないわけだから、これ以上を望むのは酷かもしれないが‥‥とにかく、WiLDHEARTS時代の曲で一番盛り上がってしまうってのは、やはり悲しすぎる。

そして何より、ジンジャーが一番盛り上がっていたように感じた。前の曲で付けてた鳥の羽を取って、曲が始まれば終いにゃヘアバンドまで取って「WiLDHEARTSのジンジャー」へと戻っていった(ように俺には感じられた)。ステージアクションも心なしかこれまでと違って、昔に戻ったかのような感じだし‥‥

結局この日は、アンコールにこの2曲をプレイして終わった。正味1時間。そりゃ物足りないわな? 観客はその場を10分以上も動こうとせず、ジンジャー・コールを繰り返す。会場が明るくなり、退場のアナウンスをしているにも関わらず、彼らはずっと「ジンジャー!」と叫びつづけた。そりゃ、俺もそれに加わりたかったけど‥‥おもいっきり、アンプの電源切ってるんだもん。(苦笑)しかも、1時間押してスタートしたのも関係あるんじゃないかな。時計が20時近かったから‥‥恐らく会場を使用出来る時間も関係あったと思う。けど、客はそんな理由に納得するはずない。結局「ジンジャーは喉の調子が悪いので、これ以上続ける事は出来ません!」というアナウンス‥‥いつものことじゃん!(苦笑)でもジンジャー、今日はステージで一滴も(酒を)飲んでなかったなぁ。ミネラルウォーターのみだった、確かに。それだけ気合いが入ってたのか、ナーバスになってたのか。だから笑顔が殆どなかったのか? 唯一、客席からステージに投げ込まれた子供服とPUFFYの写真の載ってるフライヤーを見た時だけだもん、ニヤニヤしてたの(参考までに、ジンジャーはPUFFYが大好きで、自身の曲"Sonic Shake"ではコーラスをやって欲しいと宣った程だ)。そうか、世界初披露って事もあるし、いくらフレンドリーな日本の客の前でも失態は許されない、そう思ったのかもしれないな、ジンジャーは。それだけこのプロジェクトに賭けてるのかもしれない。だからギリギリまでメンバー選びに苦戦したのだろう。結局そのメンバーも彼が本来欲していたルックス(笑)を持った人が見つからなかったようだし。

と、何だかんだ言いながら、俺は終始ご機嫌だった事だけはちゃんと書いておく。何せかなり前で飛ぶ、首振る、拳上げる、叫ぶ、唄う‥‥全部やったもん。ここ最近で最も熱くなったライヴだった。マニックス以来!? 結局、ジンジャーの前では俺も赤子同然だという事か‥‥(苦笑)

しかし、決してこの程度に満足しているわけでもない。最初に書いた「物足りなさ」。一体何が原因だったんだろう? もしかしたらWiLDHEARTS時代に常にあった『不安定要素』がなくなった事が「物足りなさ」に直結してしまったのかもしれない。何贅沢な事言ってるんだよ?って我ながら思うけど、でもあの「ハラハラ/ドキドキ感」が全くなかったのは確かだし。演奏はしっかりしてた、特にかみ合ってなかったとも思わない。ジンジャーの歌も予想以上に良かった(後半ヤバかったが)。曲もいい曲が多い(けどライヴとしては短い)。

要するに、バンドとしてのマジックを全く感じられなかったのだ。何か‥‥例えが悪いけど、'80年代のKISSみたいな感じ? つまりポール・スタンレーとジーン・シモンズさえいればKISSとして成り立つ感じ? 後はブルース・キューリックだろうがエリック・シンガーだろうが誰でもいい。バンドとしてのマジックはないけど、カリスマ的存在がそこにはいて、その存在に観客が釘付けになる。けどこれが、エース・フレーリーとピーター・クリスが加わっただけで別物になってしまう。演奏力自体は前者の方が格段上なのに、それをも超越した『マジック』を生み出す。つまりジンジャーにとって(そして俺達にとっても)WiLDHEARTSというバンドはそういう存在だったのだ。そしてそれを越えるまでにはまだ至っていない。いや、本人は同じ土俵で勝負しようとは思っていない。けど、まだまだ『バンド』としては機能していない‥‥この辺のもどかしさがあるんじゃないかな?

結局、まだスタートしたばかりのプロジェクトだ。そう、あくまで現時点ではプロジェクトだろう。これがはっきりと『バンド』といえる状態になった時‥‥ジンジャーの片腕といえる存在が登場した時‥‥その時は正直ちょっと怖いな、と思う。ホントにWiLDHEARTSを越えちゃうのかな? まぁまだアルバム1枚だし、本当に今後の活動次第だな? とりあえずはこの形で行われるであろう英国公演の評価と「BLACK LEATHER MOJO」の評価を見た後に、改めて今後のジンジャーについて勝手にあれこれ考えてみたいと思う。


SiLVER GiNGER 5 @ AKASAKA BLITZ. 10/15/2000
01. Sonic Shake
02. Divine Imperfection
03. Anyway But Maybe
04. Girls Are Better Than Boys
05. (Whatever Happened To) Rock'n'Roll Girls
06. Brain Sugar
07. Church Of The Broken Hearted
08. Too Many Hippies
09. I Wanna Be New
10. Take It All, Why Don'tcha
[ENCORE]
11. The Monkey Zoo
12. Inglorious (THE WiLDHEARTS)



▼SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2000 10 16 11:34 午後 [2000年のライブ, Ginger Wildheart, Silver Ginger 5] | 固定リンク

2000/10/12

KING CRIMSON The ConstruKction Of Light TOUR 2000@渋谷公会堂(2000年10月7日)

それにしても、今年はよくライヴに行く年だな? 既に何本行ってるんだろう?‥‥チケット取っていながら諸事情で行けなくなったライヴだけでも4本なんだからなぁ。(苦笑)既に2000年も残り3ヶ月を切ったけど、それでもチケット持ってて行く予定が年内だけでもあと4本あるもんなぁ。(笑)

てなわけで、5年振りのKING CRIMSON(以下、KCと略)に4年振りの渋谷公会堂。全てが○年振り尽くし。

で、そのKC。前回はダブル・トリオ編成の6人組だったのに、今回は4人編成。しかも、残ると思ってたトニー・レヴィン(Bass & Stick)とビル・ブラフォード(Drum)の姿はそこにはなく、前回から参加のトレイ・ガン(Stick/最近のロバート・フリップ(Guitar)翁の側近)とパット・マステロット(Drum/元MR.MISTER)が残ったわけだ。まぁ4人編成は今回が初めてではなく、'80年代再結成時も4人だったから違和感はないんだけど‥‥やっぱり映像とかでロバート、エイドリアン・ブリュー(Guitar & Vocal)、トニー、ビルの4人っていう固定イメージが焼き付いてたから、いざステージに立った新しい4人の姿を初めて観た時は、ちょっと変な感じがした。

そして更に変な違和感を伴ったのは、ライヴがスタートいきなり冒頭から往年の名曲"Red"や"Flame By Flame"を連発した事だろう。事前にインタビュー等でロバート翁は「昔の曲はやらない。新作中心のライヴになる」って言ってたし、直前まで行われてた欧米でのツアーでも実際にその言葉通りの内容だったらしいのに。そういやぁ、前回もそんな事、言ってなかったっけ?(笑)結局、前回のラインナップでのツアー終盤では"21世紀の精神異常者"まで登場した、って噂もあった程だし。

勿論、こういった往年の名曲を再び今聴けるのはありがたいし、俺はもっとやるべきだと思う。結局、その当時のラインナップと今のメンバーは全く違うわけで、時代性やバンドのコンセプトも変わっているので、絶対に同じものになるはずがない。新しいアレンジや試みで演奏されるはずだから。実際に前ラインナップでのミニアルバム「VROOOM」収録の"Cage"は今回、原曲の狂気性とはまた違った、幾分コミカルさも含んだアコースティックアレンジを施されていたし、先の"Red"も所々拘ったアレンジで修正されていた。

昔の曲(特に'80年代以降)を演奏する時、逆に残念だと思ったのは、トニー・レヴィンの不在だろうか? 彼参加後のKCではトニーのコーラスを生かした楽曲が幾つかあった。今回でいえば"Flame By Flame"の合いの手的コーラスがなかった事。そこに違和感があった。更に新作でもハーモニーを生かした曲"Into The Frying Pan"等では、エイドリアンのボーカルにハーモナイザー等のエフェクターを掛けて原曲に近づける努力をしていた。けど、やっぱりトニーは歌もそこそこ上手い人なので、今回も参加して欲しかった。

トニーといえばもうひとつ。今回のトレイ・ガンはスティック(ベースに似た楽器で、10本の弦が張られている。ネックは通常のギター類の倍以上の幅があり、ハンマリングやタッピングで音を出す)しか使わず、普通の4弦ベースは1度も使用しなかった。トニーの場合は曲によって臨機応変に使い分けていたのだが‥‥まぁトレイ自身がスティック奏者だという事も関係しているのだろう。それに新作にはスティックの音しか入っていないだろうし。その辺の影響は聴いた限りではなかったと思う。

今回のライヴで最も活躍したのは、間違いなくパット・マステロット(しつこいが元MR.MISTER)だろう。レコーディング面ではトレイが力を発揮し、アレンジ面や実際のライヴを引っ張っているのは、間違いなくパット・マステロット(クドいが元MR.MISTER)だ。

その上で、いつもながらの緻密なプレイをかますロバート翁。相変わらずステージ向かって右側で客席の方を見ないで、ステージ中央に向かって椅子に座ってプレイしていた。これはいつも通り。(笑)メロトロンもシンセもない、あるのはギターのみ。まぁこの人の場合はギターがシンセみたいなもんだけど。フリップトロニクスって言ったっけ、あれ? 今回もいろんな音を出してましたよ。どうしても新しい音色が登場すると、ロバート翁の手元に目が行ってしまう。楽器弾きの悲しい性とでもいいましょうか?(苦笑)あ、"FraKctured"のあの難しいパートも一生懸命、ミス・ピッキングもなくこなしておりました。

今回、どうしても言っておきたいのは、エイドリアンが不調だったという事。どうやら風邪をひいたらしく、数曲唄った辺りで声が掠れてきたのが判ったし、高音は出てはいるものの、少々辛そうだった。その為だろうか、実際に予定されていたセットリストから後半4曲程度カットされている。最後に当日実際のセットリストと、本来予定されていた幻のセットリストの2つをアップしているので、ご参考に。これを見ると、今回はアンコールの一番最後にデヴィッド・ボウイの"Heroes"をやる事になっていた。実は今回の日本公演ではほぼ毎回、この曲で終わるらしい。何故に"Heroes"?とも思うが、まぁボウイの方の原曲でギター弾いてるのはフリップ翁だし、ボウイの'90年のツアーにはエイドリアンが参加していたので、そういうのもあるんだろう。それにしても、どうしてもこの曲のみ浮くような気がするんだけど‥‥コンセプトなんて、あってないようなもんなのか?(苦笑)

演奏に関しては、本当に文句なし。歌は少々辛いと感じる瞬間があったが、それ以外はいつもの彼ららしい緻密で計算し尽くされ、尚かつ即興っぽいインタープレイを堪能できる内容だったと思う。マニアの方々は酷評しているらしいが、そんなに目くじら立てるようなものだっただろうか? 俺には判らない。「どこ聴いてるんだよ?」って突っ込み入れられたら、どこがどういけなかったのか、逆に教えて欲しい。KCは常に完璧じゃなきゃいけないのだろうか、常にレコードと同じじゃなきゃいけないのだろうか? 何か判んねぇけど‥‥下らない蘊蓄たれる前に、楽しもうって気持ちがなきゃ、何観ても/聴いても楽しめないと思うよ? それにライヴは生ものなんだし‥‥だから面白いんじゃないの? まぁきっと、そういう方々と俺とは思考回路が違うんでしょう。一生交わる事もないと思うので、この辺で止めとくか。(笑)

そうそう、忘れてた。今回のライヴで演奏中、結局1度も席を立たなかった。一番最後にスタンディングオベーションはあったけど、あのテクニカルで緻密な演奏をクラシックコンサートのように座って聴くというのも、またいいもんですな? けど、疲れ溜まってて、途中でウトウトしてしまった事も正直に告白して(笑)、今回のライヴレポートを終えたいと思う。


KING CRIMSON@ Shibuya Kohkaidoh. 10/07/2000
01. Red
02. Frame By Frame
03. The ConstruKction Of Light
04. Into The Frying Pan
05. FraKctured
06. improvisation "Seizure" (ProjeKct X)
07. One Time
08. Lark's Tongues in Aspic part IV
09. Coda: I Have a Dream
10. Cage
11. Elephant Talk
12. VROOOM
 [ENCORE-1]
13. Deception of the Thrush (ProjeKct 3)
 [ENCORE-2]
14. The World Is My Oyster Soup Kitchen Floor Wax Museum



▼KING CRIMSON『The ConstruKction Of Light』
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投稿: 2000 10 12 04:05 午前 [2000年のライブ, King Crimson] | 固定リンク

2000/10/08

Cocco@日本武道館(2000年10月6日)

  久し振りの武道館。3年振り。しかもその久し振りの武道館には、初めてのCoccoのライヴ。ライヴ自体を殆どやらないアーティストだけに、これは貴重だ。前回の5本に引き続き、今回は11公演。東京に限っては数百人相手のクアトロと、ここ武道館のみ。どんなに頑張っても1万5千人だ。アルバムが100万枚近く売れるアーティストに対して、これだけの人しか「生Cocco」を拝むことが出来ないのだから、そりゃチケット争奪戦になるわな。心から愛するコアなファンよりもにわかファンがチケットを握りしめてたりするんだろうな、きっと。(苦笑)まぁそんなもんだろうけど‥‥

  Coccoは音楽をやる理由/歌を作る理由/唄う理由を「復讐」だと言った。そしてその必要がなくなった時、自分は歌を辞めて沖縄に帰ると言った。アルバムを3枚リリースし、それぞれのアルバムに伴うライヴはこれまでに20回にも満たない。それぞれのライヴを目撃した人間、それを伝聞した人間はそのライヴを「伝説」に祭り立て上げ、話題が話題を呼んでアーティストとして神格化されていくCocco。その矛盾を常に抱えながら彼女は自分の心の中身を吐露してきた。そしてそれを受け止める我々‥‥ライヴを見終えた後、俺は何を思うだろう?

  武道館は超満員。俺は同行した方と一緒に1階席南西(正面向かってちょっと左、角度がちょっとついた位の位置)の座席に座り、開演を待った。19時を少し回った頃だろうか、会場が暗転し、いよいよスタートだ。音が大きくなったS.E.に合わせてバンドメンバーがひとり、またひとりとステージに現れる。そしてギターのフィードバック音が会場を切り裂くかのように悲鳴をあげた。新作「ラプンツェル」同様、ライヴは"けもの道"でスタートした。曲のスタートに合わせてCoccoがステージへと走って登場。身体全体を使った大きなヘッドバンギングをする彼女。髪が長いから、余計に大きくみえる。あれだけ暴れたにも関わらず、歌は完璧に近い。彼女の歌唱力が抜群なのはファンのみならず知っていると思うが、この日のステージでは最後までそれが乱れる事がなかった。終盤確かに疲れは感じられたが、それも気になる程ではなかった。

  選曲はやはり新作を中心に置き、そこにこれまでの2枚のアルバムからの曲を差し込む形だろうと思っていたが、ここぞという箇所に未発表の新曲を披露していたのには驚きだった。ある新聞でのライヴレポートではこれらの新曲を"風化風葬"(「あなたは私を忘れるから~」というサビが印象的な、あの曲だ)と"荊"と紹介していたそうだが、一番最後に演奏された楽曲はツアー後半から登場した曲らしく、まだタイトルすら正式にはアナウンスされていない。今回のライヴは新作をフォローアップする為のものにも関わらず、明らかにこれらの新曲が核となっていた。そういえば、前回のツアー('98年8~9月)でも最後の武道館では、当時まだ未発表だった"雲路の果て"がいち早く披露されたそうだから、これらの新曲も今後発表されるのだろう。あれだけの力作を発表した後にも関わらず、今のCoccoは精力的に作品を発表している。アルバム発表後も既に2枚のシングル("けもの道"には2曲のアルバム未収録曲を、"星に願いを"もアルバム未収録だ)をリリースしているし。

  ライヴの内容は非の打ち所のない、完璧なものだったと思う。バックにはプロ中のプロと呼べるサポートミュージシャンが揃っていたし(ドラムにはレコーディングにも参加している、現レッド・ウォーリアーズの向山テツ、ベース&ギターには奥田民生でもお馴染みのDr.Strangeloveの根岸&長田だ)、何よりも音が良かったと思う。そう、武道館にも関わらず生々しい音をしていたのだ。変にエフェクトされていない‥‥まるで小さなライヴハウスで聴く、生音混じりのあの感触。決して爆音と呼べる程の大音量ではなかったが、嫌みのないサウンドだったと思う。観ている最中に、ふと「ライヴハウス武道館へようこそ!」という、あの氷室京介のボウイ時代の名セリフを思い出した程だ。武道館でこんなに生々しい体験をしたのは、5年前のPEARL JAM初来日公演以来だと思う。いや、どう考えてもその2回以外には思い浮かばない。それくらい素晴らしいサウンド・プロダクションだったと思う。
  選曲は先に述べた通り、俺的には「グレイテスト・ヒッツ」と呼べる内容だった。何もヒット曲を全部やったからといって、それが本当にグレイテスト・ヒッツと呼べるのだろうか? 確かに今回"雲路の果て"や"Raining"は演奏されなかった。しかし、逆に考えればそれ以外のヒット曲は全て演奏されているのだし、単にCoccoが今回の選曲や心境に合わないと思っただけなのだろう。ライヴの機会が少ないだけに、確かにこれらの曲を聴きたいと思う。けど、それらを全部やればいいというわけでもない。まぁ人それぞれ思い入れとかいろいろあるだろうから、この辺は仕方ない事だが‥‥俺としては、未だに"カウントダウン"や"遺書。"のみならず、"強く儚い者たち"がライヴで聴けるってだけで、十分なのだが‥‥(もし自分が彼女のようなスタンスをとるアーティストで、彼女と同じ立場だったらきっと、これらの過去の曲はやらないだろうし。もっとも俺は彼女ではないので、これは勝手な思い込みでしかないが)

  MCでの彼女は、唄っている時の「アーティスト・Cocco」とはまた別の、それこそ本人が言うところの「ただの沖縄の女」に戻ってしまう。(笑)彼女のMCの爆裂振り?は有名で、今回も「最近のアイドルは唄って踊れなくてはいけない。アイドルとしてあっちゃん(彼女は自分を呼ぶとき、こう呼ぶ)も挑戦してみるので黙って観てくれ」とか、初めて携帯電話を持たされた話などで場を和ませた。
  しかし、今回の山場、いや、一番の衝撃はラスト前‥‥"かがり火"の後のMCだろう。ここで彼女はこう言った。


「自分は今までのツアーでも、バンドのメンバーやスタッフと仲良くしないようにしてきた。仲良くなってしまうと別れたくなくなるし別れが辛くなるし、情が移ってしまうし。捨てるのは嫌だし、捨てられたくないし‥‥でも今回のツアーでみんなと仲良くなってしまった‥‥(ここでCocco、泣く)ステージ上で見えている人の100万倍以上の人が働いてくれて、あっちにもこっちにも(とステージの左右を指す)あそこにも(正面のサウンドボードや照明を指す)スタッフがいて、あっちゃんを支えてくれている。
  こんなことをここで話すのはずるいかもしれないが、あと数分でステージを降りてしまうとメンバーも家に帰らなければならないし、スタッフも後かたづけをしていてあっちゃんの話を聞いてもらえないし。あっちゃんもただの沖縄の女に戻ってしまうので、姫でいられる間に言っておこうと思った。
  今回のツアーでみんなとも仲良くなり、ライヴも好きではないけど楽しかった。今まであっちゃんは独りで唄っていたと思っていたけど、バンドのメンバーやスタッフに後ろから支えられていられたから唄ってこれたんだと思う。」


  そして彼女は「本当にありがとう。さようなら」と泣きながら言い、最後の2曲を精一杯唄った。俺はここで感極まり、一緒に泣きそうになったが、周りの女性客の鼻をすすり泣く音や「あっちゃん、頑張って~」の声援にはと我に返った。危ない、危ない。(苦笑)けど、途中から("'Twas on my Birthday night"辺りからだろうか?)座ってじっくりと歌に耳を向けて聴き始めてからは、何度も涙しそうになっていたが。
  もしかしたら、彼女はもうステージには立たないかもしれない。曲を作らないかもしれない。下手をしたら、本当に「ただの沖縄の女」に戻ってしまうのかもしれない、そう単純に思った。新曲の歌詞を聴き取り、今回のMCを聞いた後、俺はそう感じた。最初に書いた通り、彼女が唄う理由は「復讐」だった。けど、自分はひとりじゃない、みんなが支えてくれているから今までやってこれたんだという事実に気付いた今、彼女の中で何かが弾け、何かが終わったような気がする。もし次があるのなら‥‥俺はこの日の武道館を「第1期Cocco」の終焉の日と呼びたい。そう、本当に次があるのなら‥‥今回の新曲を発表する機会があるのなら、彼女は間違いなく音楽を続けるだろう。支えてくれた「みんな」の為にも。

  彼女が唄うのは、誰のためでもない、自分自身のためだ。けど、CDをリリースし、コンサートをするという行為を通過する事によって、少なからず聴き手のために唄う事にもなる。彼女はそういうごく当たり前なプロセスを見て見ぬ振りをしてきた。自分ひとりでやってるんだ、外野なんて知ったこっちゃないと。しかし、今でもこうやって唄ってられるのはバンドのメンバーやレコード会社やツアースタッフ、そしてCDを買ってくれた、コンサートに来てくれた人達の支えがあったからだという事に気付いた。自分を捨てた人、裏切った人への「復讐」の為に唄っていたのに、それは間違っていたのかもしれない。みんなが暖かく見守っていてくれたから、自分はここにいるんだ。そういう事実を全て受け入れてしまったから、彼女は最後にステージでそう発言したのかもしれない。勿論これは俺の勝手な想像だが‥‥

  今回のライヴが本当の意味で凄かったのは、バンドやスタッフが本当にプロの仕事をしたにも関わらず、それに応えるだけの実力を持ったCoccoがごく自然に、自分の立場やその場にいる理由を理解していなかった事。そしてそういう偶然が上手く噛み合ったから、あんなに印象的な、素晴らしいものになったのかもしれない。だからこそ、本当の意味での「アーティスト・Cocco」のスタートラインは、この次なのかもしれない。ここで一度フラットな状態に戻り、そういう事実を受け止めた上で出来た楽曲を引っ提げて再びステージに戻った時、一体彼女はどうなっているのだろう? 本当にその日が来るのだろうか? 現時点ではどちらとも言えないだろうが、俺はその日をいつまでも待っているだろう。いろいろなものを搾取された彼女がそこにいるのか、それとも更に強くなった彼女がいるのか‥‥何も変わっていないのか。今は誰にも判らない。けど、絶対に何かが変わるはずだ。


[SET LIST]
01. けもの道
02. 濡れた揺籃(ゆりかご)
03. 水鏡
04. 熟れた罪
05. 風化風葬(未発表新曲)
06. 樹海の糸
07. 海原の人魚
08. 'Twas on my Birthday night
09. ポロメリア
10. 白い狂気
11. 強く儚い者たち
12. Sweet Berry Kiss
13. 遺書。
14. 荊(未発表新曲)
15. カウントダウン
16. 星に願いを
17. 眠れる森の王子様 ~春・夏・秋・冬~
18. かがり火
19. しなやかな腕の祈り
20. 羽根-lay down my arms-(未発表新曲)



▼Cocco『ラプンツェル』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2000 10 08 12:00 午前 [2000年のライブ, Cocco] | 固定リンク

2000/08/14

「SUMMER SONIC 2000」DAY 2@富士急ハイランド・コニファーフォレスト(2000年8月6日)

  SUMMER SONIC 2000のライヴ・レポート第2弾です。記念すべき俺の誕生日に観た、29歳1発目のライヴです。例によって音楽以外の、純粋にイベントに対して思ったことは日記の方にまとめたので、そちらも併せてご覧ください。


◎AT THE DRIVE-IN

  このバンドに関しては殆ど知識がなく、ぜいぜい「レイジやBEASTIE BOYSの前座を務めた」程度のものだった。まぁこれらのバンドをキーワードに音を想像していたのだけど‥‥ビックリした。何がって‥‥そのルックスに!(笑)恐らく殆どの人が驚いたと思うが、ボーカルの奴とリードギター(左利きの方)の奴の、頭のおっきいことに‥‥って単にアフロなんだけど。更にボーカルの奴のキレっぷりが、もう‥‥何つうか‥‥ヤバかった。キチ○イ寸前っつうか?(あ、ファンの人読んでたらごめんなさい。これ、一応誉め言葉なんすよ)マイクはグルグル回すわ、右へ左へとのたうち回るわで、一瞬「品のないマイケル・モンロー」なんて喩えも浮かんだくらいだ(後で「品のないセバスチャン・バック」なんてのも思いついたが、「バズって本来下品じゃないですか?」と指摘されてしまった。う~ん、納得/笑)。

  まぁ所謂ヘヴィロックなのだけど、これが意外とメロディアスで聴きやすい。ステージアクションは派手だけど、曲は地味かもしんない。途中ボーカルの奴がキーボード(っていうかミキサー?)を駆使したりしていろんな事をやっていたのだが、基本的には暴れ系のヘヴィロック。それにしてもドラムの音が悪かったなぁ、この時は。やたらとスネアの音がスコンスコンって軽すぎて。しかも妙なリバーブまで効いてるし。

  思ったほ程ヒップホップ色はなくて、レイジからギターの変態度を低くしてメロディアスにした感じ‥‥メロウなんで実はハードロックファンにもウケる要素を持っているかもしれない。まだ国内盤は出てなくて(にも関わらずこの5月には単独来日してるし)、最近グランド・ロイヤル(BEASTIE BOYSの運営するレーベル)からEPがリリースされ、あのロス・ロビンソンがプロデュースしているという。意外と今後、大化けする可能性を持っているかもしれない。興味のある人は名前を覚えておくといいだろう。


◎LIVING END

  「オーストラリアのGREEN DAY」なんて売り文句で昨年デビューした3人組。国内盤出る前にある人に数曲聴かせてもらったことがあったけど、「いいんだけど、これといった何かがあるわけでもなく、可もなく不可もなくって感じ」で切り捨てていたバンドだけど、ライヴはどうなんだろうと興味津々。たった2曲しか知らないのに観てしまう俺も俺だが、そこがフェスの醍醐味だろう。

  オープニングS.E.には何と同郷の大先輩であるAC/DCの"TNT"をかけてしまうあたりに、自分達の国に対する誇りみたいなのが感じられた。「アメリカやイギリスに魂売ったりしねぇぜ!」ってな。同じオーストラリアからの若手というとSILVERCHAIRとか思い出すけど、どうして最近のオーストラリアからの新人ってみんな若いんだろう? やっぱ俺と同世代くらいになると、地元に落ち着いてしまって「異国で一旗揚げてやる」ってな野心は萎えてしまうのだろうか? なんて事考えてたら、メンバー3人が登場。1曲目は聴き覚えのある曲。"Riot"とかいったっけ? ギターは(遠目に見たので定かではないが)グレッチを使っているようだし、ベースは最後までウッドベースで通した。パンキッシュなバンドかと思ったけど、実はロカビリー色の方が強いんじゃないか? パンク色はあくまで時代性って事で。そう考えるとGREEN DAYというよりは、ブライアン・セッツァーが在籍したSTRAY CATSを思い出す。ギター/ボーカルのリーゼントもそれを彷彿とさせたし。

  でもなぁ‥‥正直、それほど楽しめなかった。一番唸ったのが先のAC/DCのオープニングS.Eと、最後の方でやってしまったAC/DCの"Back In Black"のイントロのみのカヴァーと、DEEP PURPLEの"Smoke On The Water"のリフのロカビリー・アレンジだもんなぁ‥‥例えば(比較するだけ野暮な気もするが敢えて)先に挙げたGREEN DAYやSTRAY CATSと比べても、曲のバリエーションが狭いんだよねぇ。まぁまだアルバム1枚しか出してない連中だから、もうじき出るであろうセカンドアルバムで何らかの変化が見られればなぁ‥‥ちょっとは印象が変わってくるかも(けど、この日披露された新曲はいまいちだった事も付け加えておこう)。俺がそれ程好きではないGREEN DAYも「NIMROD」では結構幅を広げていたので(実際、このアルバムはお気に入りだ)、こういう作品を求めてしまう‥‥これって我が儘か? まぁ悪いバンドではないので、若いし今後に期待ってとこでしょうか? きっと俺が応援しなくても、何千人って応援してくれる日本のファンがいるだろうから‥‥


◎SNAIL RAMP

  この日一発目のお楽しみバンド。実は観るのは初めて。昨年の"Mind Your Step!"で彼等の存在を知ったわけだが、あの「HEY! HEY! HEY!」でのダウンタウンとのやり取りを観た人なら、そしてこの手のバンドが好きな人なら絶対に気に入るはずだ。しかも昨年同じ場所で行われた「OUT OF HELL」っていうイベントでも、ミッシェルやBACKYARD BABIESに負けず劣らずのステージを繰り広げたと聞く。そりゃ期待するでしょう! マッドとこいつら目当てみたいなとこ、あったもんなぁ。(笑)

  まず実際に観て驚いたのは、あれだけの演奏をしながらちゃんと右へ左へと動いていること。普段はブリッツとか、それ以下のキャパの会場でライヴやってるはずだから、こういうアリーナクラスでの経験ってあまりないはずなのに、妙にアリーナ慣れしてるのが感じられた。自分の手が空いた時(マイクの前にいなくてもいい時)になると、ギターとベースはそれぞれ最右ブロックや最左ブロックまで走っていってお客を煽る。確かに去年も同じ会場だし、ここ最近こういうイベント出演も多いらしいが、それにしても‥‥敢えて名前は出さないが、他の某世界的バンドよりも上手かった気がする。(苦笑)勿論、それが全てではないが。

  演奏もしっかりしていたし、何よりもMCが面白い。「お前ら暑くて喉乾いただろう。待ってろ‥‥ほら、クッキーやる、クッキー!」って言って、水をまくと思わせておいて、本当にクッキー客席に撒くし。(爆)更にうちわを持った手を曲に合わせて前に出す仕草あるじゃない? それに対して「お前らがそういう方向でくるなら、俺達は今後ジャニーズ並に当て振り/口パクの方向性でいくからな。って言ってる今もこれ、当て振りなんだけどな?」(笑)更に後ろの方の座って観てる客に対して「お前ら、落語聞きにきてんじゃねぇぞ!」(大爆笑)こういうサブ・ギャグは俺のホームグラウンドだ!(笑)いいっ、あんた最高!((C)kojiくん)

  実はアルバムは1枚も聴いたことないし、持ってるのもシングル2枚のみだったにも関わらず、最後までダレることなく楽しめた。勿論、これからアルバムを買いに行くところだ。単独で観に行く事はないかもしれないが、もしこの先も大会場でのイベント出演があったなら、その時は喜んで観に行くだろう。


◎TRICERATOPS

  さて、ここでお客が一気に減った。昨日のDRAGON ASHの時みたいだ。「とみ宮海賊版」での日記にも書いたが(6/2のもの)本当にここに来てる「自称」ロック・ファンに嫌われてるらしい。この裏(ステージ2)って、くるりでしょ? とても今日のお客がみんなそっちに流れたとは思わないけど‥‥休憩タイムになってしまってるようだ。仕方ないっちゃあ仕方ないが‥‥

  このバンドは2度目だ。昨日から考えると初めて観るバンドがずっと続いたが、やっと安心できる存在に巡り会えたような気がした。つうか、他にも昨日スーパーカーなんてのがいたんだけど、今回は却下。だって‥‥ねぇ?(苦笑)前に観たのはもう3年前になるのか。佐野元春の「THIS!」イベントでデビュー間もない彼等を観て、一発で気に入ったのを覚えている。あれからこいつら、知らない間にこんなにデカいバンドになりやがって‥‥羨ましいぞ、畜生っ!(笑)

  さて、1曲目はサードアルバム「A FILM ABOUT THE BLUES」からの"Childhood"。何でこんなに地味な曲から始めるの? ミュージシャンとしてのプライドっつうかエゴが出てしまったんだろうけど、今日のお客さんは殆どが君達に興味がない人達ばかりなのよ。ここで一発大ヒット曲"Going To The Moon"あたりをかまさないでどうする? あるいは"Raspberry"とかさ? しかもこの曲がまた、アルバムよりも間延びしてて長い長い。どうするのさ?(苦笑)ただ、彼等をフォローするわけではないが、演奏だけはこの日で一番レベルが高かった。実際、あぁ~とか思いながらも、惹き付けられるだけのプレイをしていたし。実はここまで3バンド連続でトリオ編成なのだけど、(タイプが違うから比べるのは気が引けるが)一番バンドとしてまとまってる気がした。

  その長い曲が終わった途端に、聴き覚えのあるイントロが‥‥ここで"Going To The Moon"登場。遅いよっ!(笑)やっぱヒット曲持ってるバンドは違うわ。DRAGON ASHのとこでも書いたけど、このバンドに興味がない人でもやっぱ聴き覚えのある曲って、ちょっと心が動いてしまうんじゃないかな? この後、アルバムの曲や新曲を取り混ぜながら、基本的にはヒットメドレー的内容だった気がする。けど、自分が聴きたかった曲が全て聴けたわけではない。"Second Coming"もやらなければ"If"も"Raspberry"もやらなかったわけだし。それらを蹴ってまでやってしまったKISSのカヴァー"Take Me"には唖然というか驚愕というか‥‥和田がKISS好きなのは知っていたが、まさかここでやってしまうとは‥‥しかもエースのソロ完コピしてるし。何か微笑ましいというか‥‥そして驚いた事に、他の彼等の持ち歌と何ら違和感がなかった事。実際、KISSの曲と気づいた人はあまりいなかったようで、単純に「英詞の新曲」と思ったのではないだろうか? 最近のライヴでは定番なのかな? コアなファンではないので判らないけど。まぁちょっと得した気分だった。

  最後には"ロケットに乗って"に続いて、お約束の"I Was Made For Loving You"‥‥ではなくて(苦笑)"Fever"で終わるんだけど‥‥この曲のエンディングもかなり引っ張られてて、実際の2倍近くはあったんじゃないかな? ちょっと前にNHKで観た単独ライヴと一緒だ。フェスという性質上、もっと沢山の代表曲を聴かせる必要があったんじゃないだろうか? だったら先に挙げたようなこの日演奏されなかった代表曲をプレイすべきだったような気もする。やれば出来るいいバンドなだけに、出足と最後でマズってしまい、印象が霞んでしまった気がする‥‥惜しい、惜しいよ。


◎MANSUN

  このバンドも初めて観る。ファーストの出る前のシングル"Take It Easy Chiken"辺りから気になり出し、初来日のショーケースにも行こうかと考えてたけど、結局この日までライヴに足を運ぶ事はなかった。噂ではステージはパンキッシュだ、と聞いていたいが‥‥新作が静かな、聴き込ませる作風だったので、ライヴ自体はどうなるのか全く想像がつかなかった。実際、ライヴが始まる前も同行者と「やっぱり新曲中心なのかな?」「昔の曲はどれくらいやるのかな?」とか話してたし。俺も「"Wide Open Space"とか"Take It Easy Chiken"とかやらねぇかなぁ?」なんて淡い期待を寄せていたのだけど‥‥実際に耳に馴染んだ、あのリフからスタートするとは思ってもみなかった。

  1曲目はその"Take It Easy Chiken"からスタートしたのだから、俺の驚きようっつったらありゃしなかった。もう「キャー!」っていう黄色い歓声を越えて「グゴゥオォォ~!」なんていう腹の底からデス声出してたもん。(笑)とにかくこの日の選曲は正に理想的なフェス仕様で、ヒット曲のオンパレードだった。実際、終わってみてから「MANSUNってこんなにシングルヒット持ってたんだ」って思ったもんなぁ。それでも"Six"や"Legacy"、"Negative"なんていう曲は外されていたが(考えてみれば、セカンドからの選曲がたった2曲というのはどういう事だろう?)。新作からも3曲が披露され、見事に他の代表曲とマッチしていた。文句なしっ!

  ステージングも、ポール・ドレイパーの想像以上のやんちゃ坊主振りに驚かされたし、フロントマン然としていてかっこよかった。髪を短くしてしまって女性ファンは泣いているのかもしれないが(笑)、俺はこっちの方が好きだ。何か、佇まいが一昔前のボノ(U2)と重なって見えたのは俺だけだろうか? まぁ早い話が、それだけ存在感がある、フロントマンらしいフロントマンだったって事(でも日本語でのMC「モットサワゲ~!」は変だぞ!?/笑)

  他のメンバーでは、ギターのチャドの独特な存在感に目を奪われる機会が多かった。あの、ひとり浮いている衣装(苦笑)と金髪のせいで、どことなくクリスピアン・ミルズと重なってしまった‥‥やっぱり観たかったなぁ、クリスピアン。(涙)「SIX」あたりからチャドの存在感ってのが(音楽的にもビジュアル的にも)高まったと思うのだけど、新作ではこれが爆裂してるように感じた。そしてこの日、実際のステージを観てそれは確信へと変わった。このバンドは既にポールひとりで引っ張ってるバンドじゃないぞ、と。これが新作メインの単独ライヴとなったら、どう爆裂しまくってくれるのか‥‥ちょっとゾっとする。それにしても凄いバンドになったもんだ‥‥


◎WEEZER

  今日の俺の中での「大トリ」はWEEZERで決まりだった。何せ4年振りの来日にして、今回初めて観るんだから‥‥前回の初来日は残業で当日になってキャンセルする羽目になるし(その上、代わりに行った同僚はリバースと一緒に写真とか撮ってるし‥‥フンッ!)。つうわけで正に「念願の」という言葉がピッタリの大トリなのだ(GREEN DAYだって!? この際無視してくれ、俺は観る予定ないのだから)。

  考えてみたらレコード会社からドロップしただの、ベースのマット・シャープが抜けただの、最近はネガな話題しか耳にしてない。そういう事もあって「何故今頃‥‥」って思いがあったのも事実。そして「客、集まるのかね?」って疑い深くなってた。けど、既にMANSUNの演奏中に客がどんどん前のブロックに並んで押し寄せている‥‥これ、絶対にMANSUNの客じゃないわ。そう考えてみたら、前日の時点でWEEZERのTシャツってすぐに売り切れてたしなぁ‥‥俺、買えなかったし‥‥日本中のWEEZERファンの決起集会なのか、今日は!? それくらい集まってたのよ。昨日はこんな光景見れなかったし。日本でこんなに売れてたか!?とか余計な事を考えていたら、メンバーがステージに登場。

  ステージはファーストアルバムの"My Name Is Jonas"からスタート。続く"No One Else"と、ファースト1~2曲目でつかみはOK! リバース・クオモは相変わらずだった。この後会った友人に「逆カリスマ」とか言われてたけど、あれは確信犯以外の何者でもない。あの格好で、あの音出すんだもん‥‥WiLDHEARTSファン辺りにもアピールするその音は、相変わらず気持ちよかった。新曲も数曲披露され(いよいよ年末か年明けに発表されるそうだ!)だが、基本的にはこれまでの2枚のアルバムの曲が中心。意外なシングルのC/W曲なんかも登場したけど、やっぱいいわ、相変わらず。根強いファンに支えられてるっていうのは、バンド冥利に尽きるね? 新加入のベースも独特な、いいキャラしてるし。絶対に忘れない顔&ルックスで、ポイント高し。寝転がって弾いたりとか、飛んだり跳ねたり(って一緒か/笑)。いい意味での「バンド内の起爆剤」的役割を果たしているわ。大正解だよ、彼の起用は。

  もうね‥‥この時点で俺は燃え尽きた。一緒にデカい声で唄ったし、踊ったし。ラストは"Buddy Holly"と"Surf Wax America"の2連発だもんなぁ‥‥あれっ、俺、こんなに彼等って好きだったっけ? "Buddy Holly"とか流行った頃、あれだけ毛嫌いしてたくせして(本格的に聴くようになったの、セカンドからだし。だからファーストも後追いなのよ)。結局、この手のバンドには目がないのかな、今の俺‥‥ヘヴィな音像に乗るポップなメロディと甘いコーラス‥‥これに惹かれちゃうのか、俺。(笑)とにかく、最初の猜疑心が嘘のように、ライヴの後の俺は晴れ晴れとしていた。どんどん曇っていく空模様とは相反して‥‥


01. My Name Is Jonas
02. El Scorcho
03. No One Else
04. You Gave Your Love To Me Softly
05. Too Late To Try
06. Slob
07. Superstar
08. In The Garage
09. Why Bother
10. Say It Ain't So
11. Tired Of Sex
12. Undone
13. Buddy Holly
14. Surf Wax America


◎THE BLUETONES

  気づいてみたら俺、2日間で1度もステージ2の方に行ってない事に気づいた。同行者は初日にeastern youth、2日目はくるりを観に行っていたので、その人から「まるで小学校の体育館」という感想を耳にしていたのだ。そしてやっと、最後の最後でステージ2に足を踏み入れる時が来た。今日の大トリは既に終了しているが(俺の中で)、本当のステージ2の大トリはTEENAGE FANCLUBだ。これはもう、俺にとってはボーナストラックのようなものだった。座って観たい。とにかくその思いでいっぱいだった。そのTFCを観るために、早めに会場入りした俺。実は観るつもりじゃなかったBLUETONESをここで観ることとなった。

  それ程好きなバンドでもないし、これまでもファーストとセカンドしか聴いたことなかったので、どんなステージするか全く想像がつかなかった。2階に行きたかったのに「1階が一杯になるまで2階は解放しません!」とかほざくスタッフ。頭かち割ってやろうかとマジで思った。だって、それくらいフロアはギュウギュウ詰めの蒸し風呂状態で殺気立ってたんだぜ!? 音なんて聴いてられる環境かってぇの!(怒)こんな状況の中で数曲を耳にしたのだが‥‥駄目だった。どうもこの手の音は、生理的に駄目らしい。何時から俺はこの手の「UKロック」が駄目になってしまったのだろう? とにかく、3曲聴いた時点で2階に行くために並ぶ事にした。

  並んですぐに2階は解放され、ステージ向かって右寄りに座った。そこで更に数曲を聴くわけだが‥‥ごめんなさい、寝てしまいました。(苦笑)だってさ、そこまでの疲れが座った事によって一気に出てきたんだもん。一緒にいたぐりさん、ちょぎっふぃさんも共に居眠り‥‥いや、退屈とかそういうのじゃなくてさ‥‥でも、最後の最後でプレイされた"If..."にはちょっと聴き入ってしまったぞ?と、ちゃんとフォロー入れておかなきゃ‥‥とにかく、今の俺には必要のない音、それしか言いようがありませんです、ハイ。


◎TEENAGE FANCLUB

  で、待ちに待ったTFCの登場! それにしてもノーマン・ブレイクってあんなに小汚かったっけ?(苦笑)まぁ見てくれの話はいいか‥‥噂ではライヴは「ヘロヘロらしい」と耳にしていたが(実際に数年前、「BEAT UK」で彼等のライヴを目にした記憶があるが、言ってる事の意味は今ならよく判る)、実際に体験したのもの、それに近いものだった。(笑)けど、やっぱ曲はいいわ。いきなりデビューシングル"Everything Flows"からスタートするとは思ってなかったけど。

  曲は前作「SONGS FROM NORTHERN BRITAIN」と前々作「GRAND PRIX」からのものが中心となっていたが、10月リリース予定の新作からの曲も2曲披露された。耳慣れた曲ばかりだったので、本当に安心して聴いてられたし、心地よかった。何か、心が洗われるっつうの? そんな感じ。なのにフロアに目をやると、びっくりさ! どこぞのパンクバンドのお客が間違えて入場したんだ?って位に盛り上がってるし! しかもダイブする奴まで続出。TFCでダイブ‥‥想像つかなかった。でも考えてみりゃ、SLOAN辺りでも同じような光景を目にしたし、意外と最近のギターポップ系のライヴでは当たり前の事なのかもしれない(けど、SLOANは音楽的にもハードな面、持ってるからなぁ‥‥)。いろんな意味で新鮮だった。

  まぁヘロヘロとは言っても、そこはプロ。途中「ありゃ?」って思わせる瞬間もあるにはあったが、全体的には満足のいく内容だった。これでボーナストラック!?勿体無さ過ぎる! しかもアンコールまでやってくれちゃうし‥‥それも、俺が大好きなアルバム「BANDWAGONESQUE」の中でも格別に大好きな曲、"The Concept"だぜ!? 感涙モノだね、マジで!!! 顔はニコニコ、心は涙で洪水状態‥‥判っていただけます?(笑)GREEN DAYじゃなくてこっち選んで大正解♪ 本当に観てよかった、そう思わずにはいられない内容だった。

  これまでも、アルバムが出る度にちゃんと聴いてきてはいたのだが、こんなに真剣に聴くことになろうとは‥‥しかもJJ同盟(爆)にとっては仇同然のTFC。他人の影響とはいえ、こんなにも好きになってしまうとは‥‥SLOANの時もそうだったけど‥‥恐るべし、トルーパー佐藤氏!(爆)

  東京に向かう車中でTFCのアルバムがヘヴィローテーションだったのは、言うまでもない。ありがとう、TFC!


01. Everything Flows
02. Ain't That Enough
03. Don't Look Back
04. Start Again
05. The Sun Shines From You (新曲)
06. Mellow Doubt
07. Verisimilitude
08. I Need Direction (新曲)
09. The Shadows
10. Your Love Is The Place Where I Come From
11. Speed Of Light
12. About You
13. Neil Jung
14. Every Picture I Paint
15. Sparky's Dream
-Encore-
16. The Concept

投稿: 2000 08 14 03:34 午前 [2000年のライブ, At The Drive-In, Bluetones, The, Mansun, SUMMER SONIC, Teenage Fanclub, TRICERATOPS, Weezer] | 固定リンク

「SUMMER SONIC 2000」DAY 1@富士急ハイランド・コニファーフォレスト(2000年8月5日)

  SUMMER SONIC 2000のライヴ・レポートです。音楽以外の、純粋にイベントに対して思ったことは日記の方にまとめたので、そちらも併せてご覧ください。


◎SPRING NO.1

  「SPRING NO.1」‥‥何のことはない、春一番のことだ。(笑)オープニングMCを務めることになったわけだが、司会の男性のコールに合わせて流れた音楽は‥‥そう、アントニオ猪木の入場テーマ! 勿論会場が一丸となって唄う。そして登場した春一番は白の闘魂ガウンを着て現れた。開口一発「元気ですかーっ!!」場内大歓声&大爆笑。当然大喜びする俺。今日はこんなに大勢の人が集まってくれてとても嬉しいこと、そして今日一番楽しみにしているアーティストはジェームズ・ブラウンだということを、司会者に質問され答えた。最後に彼は「道はどんなに険しくても、笑って歩いていこうぜ」ってなことを言って(合ってるかな?)、お約束の「いくぞーっ、いーっち、にーい、さーん、ダァーッ!!!」を会場と一丸になって叫ぶ。そして大きな拍手。間違いなく、会場がひとつになった瞬間だ。そう、どんなアーティストよりも。(笑)もうつかみはOKってとこだろうか? 一番見れて嬉しかったのは、実は俺だったのかもね?


◎MUSE

  富士急でのトップバッターはイギリスからの新人トリオ、MUSEだ。この春に発売されたファーストアルバムは雑誌等で話題になったようだが、今年に入ってその手の雑誌を読まなくなった自分にとっては、今回が音・ビジュアル共に初体験である。実は会場入りする前に1~2曲だけ、アルバムを聴かせてもらったのだけど、いまいちピンとこなかった。早朝、高速を飛ばしてる最中の車の中というシチュエーションには合わない音だったのは確かだろう。

  ステージに登場したメンバーは簡単な挨拶を交わした後に演奏を開始した。髪の青いギタリストがボーカルを兼任している。声質や高音の地声から裏声に切り替わる辺りの発声が確かにRADIOHEADのトム・ヨークに似てなくもないが、音楽的にはそれ程RADIOHEADっぽいとは感じなかった。むしろ、そのRADIOHEADも間接的に影響を受けているであろうKING CRIMSONのアンサンブルに近いものを感じた。ギターもトム・モレノやロバート・フリップからの影響が伺える効果音的ギタープレイが随所に登場し、聴いてて気持ちいい。演奏全体がとてもヘヴィで、想像していたものとは違った(もっと内向的で、イギリス特有の根暗ロックかと思っていたが)。メロディは確かに潤いあるヨーロッパ色を感じさせたが、それを支えるバックは昨今のヘヴィロックにも負けない力強さを感じた。アルバムはそれ程ヘヴィと感じなかったが‥‥俺の好みかというと、それ程「最高!」とまで感じなかったのも、また事実。あの炎天下の野外という環境も合わなかったのかもしれないし、トップバッターということもあって、こっちも構えてしまっていたし。ただ、これを切っ掛けにアルバムだけはちゃんと聴いてみようと思う。それ次第では10月の単独公演にも足を運ぶかもしれないし。悪くはないが最高でもない、それが第一印象だろうか。


◎REEF

  本来なら昨年KULA SHAKERを脱退したクリスピアン・ミルズの、ソロとしての初ステージとなるはずだったが、急遽DUST BROTHERSとのレコーディングが決定したため、残念ながら出演キャンセルとなり、それに代わって登場となったのが、俺も大好きなREEFである。なにげに初REEFだったんだわ、これが。アルバムはこれほど聴き込んでるくせして、初ライヴ。しかも野外。とっても野外が合うバンド/音だと思うよ♪

  ステージに登場したボーカルのゲイリーは、既に上半身裸だった。おおっ、体毛濃いぃなぁ。(笑)いきなり"Place Your Hands"からスタートするとは、反則モノだ!! MUSEよりもお客が少なくなっていたにも関わらず、このスタートに客席にいた者は歓声を上げ、一緒に大声で唄いながら踊った。この日はこれまでのシングルヒット曲を中心に、8月下旬にもうリリースされてしまう4枚目のアルバム「GETAWAY」からの新曲3曲も披露された。新曲はこれまでよりもストレートな印象を受けたが、メンバーの演奏力とゲイリーの歌唱力/テクニックの向上によって、より深みを感じ取ることが出来た。興味深かったのは前作「RIDES」からはたった1曲しか選曲されていなかったこと。今となっては気に入っていないのか、それとも単に演奏時間の関係上削っただけなのか‥‥俺としてはREEF史上ベスト3に入る"New Bird"が聴きたかったのだが‥‥

  メディア等で「ベースは煽るだけ煽って、演奏が疎かになる」という話を耳にしていたが、確かに1番よく動いていたが、それ程下手とも感じなかったし、あれはあれでいいと思った。むしろ、ああいう「おバカ・キャラ」がいなきゃバンドとしては‥‥ねぇ? そうそう、"Good Feeling"の時だったかな。ゲイリー、ステージから降りてお客と握手したり、柵に登ったりしてた。(笑)そして、そこから客席にダイブ!(爆)何か下にいた女の子が潰されてしまったみたいで、ちょっと前のブロックが大騒ぎ。ゲイリー、バツが悪そうにステージに戻っていった。(笑)その後も何度もステージから降りたけど、スタッフに注意されたのかどうか知らないが、あまりお客にタッチしていなかったように思う(少なくとも、モニターで見た限りでは)。けど、お客の煽りはこの日一番だった。ドラムも途中で感極まったのか、フロアタムをドラムライザーから蹴り落とすし。(笑)もうハチャメチャ(そういえば、この人達初来日の時もリキッドルームでの「ナニシテモイイヨ事件」という前科があるしな/笑)。勿論曲はグレイテスト・ヒッツ的内容だし、演奏はガッチリしてるし。ただアクが強い分、MUSEが好きっていう「ごく一般的な」UKロックファンには敬遠されてしまうのね。こんなにかっこいいのに‥‥間違いなく、この日のベストアクトでしょう! 次は絶対に単独公演、行くもんね‥‥と思ってたら、何と早くも来年1月に再来日決定!!!


◎THE MAD CAPSULE MARKETS

  こいつら見たさにフジロック蹴って、こっちを選んだようなもんだから。ステージに現れたメンバーは3人‥‥あれ、ひとり足りない‥‥ギターでしょ、ドラムでしょ、ベース‥‥あれ、ベース持ってない。ターンテーブルみたいなの、いじってる。そう、いきなり未発表のインストナンバーからスタート。これがアップテンポで気持ちいい曲だった。そして曲終了と共にボーカルが登場し、「OSC-DIS」の1曲目"Tribe"がスタート。最前ブロックでは既にボディサーファーやダイブする者が続出。そうそう、こうじゃなくっちゃ! 禁止されてても、やっちゃうんだよなぁ‥‥たとえ怪我したとしてもそれは自分の責任だし、周りも怪我させないように気遣って協力してくれる。最近のヘヴィ系やパンク系のライヴでよく見かける光景だが、すごく一体感を感じる瞬間だ。個々が楽しければいいのではなく、みんなで楽しくやる、みんなで盛り上げる。ここ10年くらいで日本もライヴの流れが随分と変わった気がするな。

  この日の選曲は新曲2曲と前作からの"Systematic"以外は、最新アルバムからの曲だった。コアなファンは「もっと昔の曲を‥‥」って不満だったようだが、俺は大満足だった。だって、俺が本格的にのめり込んで聴くようになったの、「OSC-DIS」からだし。勿論前作も好きだけどね。その新曲2曲の内、もう1曲はとてもサイケ色が強いミディアムヘヴィナンバーだった。所謂サビのパートにくるまでギターが入らず、ベースが独特な和音を奏でていた。そこにラップ調ボーカルが乗り、サビでドカーン‥‥ともならず、メロウなサビだけど意外と単調な感じの曲だった。何となくだけど、DEFTONESの新作で感じた冷たさと同じものを感じたのは俺だけだろうか? もしマッドの新作がこういう方向にいくとしたら、それはそれで興味深い。常に前進するバンドなだけに、それもアリだと思う。

  とにかく「上手いな」と思った。前のREEFとは正反対のタイプかもしれないが、それぞれがやはり一流のプレイヤーと一流のパフォーマーの集まりなんだと思う。シーケンサーを中心にバンドが動くわけだが、ドラムは機械以上に暴力性を感じさせるプレイで気持ちよくさせてくれたし、ギターのザクザクしたクランチも気持ちよかった。ただ残念なのは、音響の酷さだろうか。こういうタイプのバンドの場合、どうしても野外だと全体がグシャッとしてしまって、聴き難くなる。けど、それに負けないだけのパワーと熱意を感じ、それを受け取った。十分だった。足が痛くなる程踊ったし。また観たい、素直にそう思わせてくれるパフォーマンスだった。


◎DRAGON ASH

  マッドの後、休憩をした為に311やアレステッド、SUPERCARといったところは断念した。明日もあるし。やはり去年フジロック3日間での教訓が活かされているのだろうか、すごくマイペースに観てる気がする。最前ブロックに行くこともなかったし(単に歳だ、っていう話もあるが/笑)

  さて、DRAGON ASH。実はこいつらも初めて観る。音は随分聴いてきた気がするけど、まぁ最近ではチケットも取り難くなったし、こういう機会でもないと観れないだろうから、俺は大歓迎だった。けど、多くの「自称」ロックファンにとっては休憩タイムだったようだ。いいけどね、こんなにガラガラな環境で彼等が観れるなんてさ、得した気分だし。

  実はDRAGON ASHが今回、どういう方法で自分達をアピールするかが結構楽しみだった。ひとつはこれまで通りのヒップホップ路線を誇示する形。まぁアルバム「VIVA LA REVOLUTION」を中心とした選曲かな、と。そしてもうひとつが‥‥絶対にないとは判っていたが‥‥フェス仕様の、ヒット曲のオンパレード。つまり最近では殆ど演奏されることもなくなったであろう"陽はまたのぼりくりかえす"や"Under Age's Song"を最近のヒット曲と一緒に演奏してしまう、本来のミクスチャーバンドとしての形。ないと判っていても、やっぱり期待してしまう。

  で、実際はどうだったかというと‥‥言うまでもなく、前者でした。(笑)「VIVA LA REVOLUTION」からパンクナンバーを抜いて、最近のシングル2枚("Deep Impact"、"Summer Tribe")を追加した形。すごく潔かった。アレステッドとJBに挟まれるという、'97年フジロックでのレイジとレッチリに挟まれたイエモン状態だったのも関わらず、気負いせずに最高のパフォーマンスを見せてくれた。思ってた以上に降谷がお客に対して紳士的だったのがとても意外だった。前の方の熱心なお客以外は冷めた目で彼等を見つめていた。ヒップホップがこれだけ市民権を得ていても、やっぱ今日のお客にはキツいのかね?とも思ったが‥‥やっぱ別の理由からだろう。(苦笑)

  ここで俺の中で1回目のピークが‥‥ライヴ後半に登場した大ヒット曲"Let Yourself Go, Let Myself Go"のイントロを聴いた瞬間、鳥肌が立った。そしてそれまで静かだった後方からも歓声が。やっぱりヒット曲を持っているバンドは強い。降谷や馬場は右へ左へと大忙し。それがまた嫌みになってないからかっこいい。続けざまに"Deep Impact"に突入‥‥いいのか? だってこの曲ではラッパ我リヤが重要なパートを受け持っているのに‥‥サンプリングで済ますのか、と思っていた。それにしては声が生々しいな、と感じていたら‥‥ステージ袖から見覚えのある2人が‥‥ラッパ我リヤだった! 何とDRAGON ASHはラッパ我リヤをスペシャルゲストとして、この1曲だけのために連れてきていたのだ。おお、こりゃお得だわ! お客とのコミュニケーションもうまくいき、最後の曲として「みんなが一番好きな曲をやります」と降谷。おおっ!?と思ったが、そこは今の彼等。最後に披露されたのは"Viva La Revolution"だったという‥‥(苦笑)けど、気持ちよかったな。すごく感動的だったし。それまで彼等に見向きもしていなかった俺の周りのお客も、この時には彼等に夢中になっていた。やっぱり変な色眼鏡を抜きにして、実際に体験してしまえば彼等の良さが判るのよ‥‥勝ったんだよね、彼等は。そして最後の最後まで自分達のファン以外のお客にも気を遣って「この後にはJBが待ち構えてるからね。俺も楽しみ♪」とか言ったり。きっと自分も楽しんでるんだろうな‥‥そう感じた。

  改めて今のDRAGON ASHを観て思ったのは、彼等はヒップホップでもなんでもない、それまでと何ら変わらないロックバンドだったという事。ラップを中心とした曲をやっているものの、やはり、まこっちゃんのドラムと馬場さんのベースが入れば、どこから切ってもロックになっている。サポートギタリストが入った分、降谷がギターを弾く比率は低くなったが(この日も"Dark Cherries"1曲のみ)、その分歌(ラップ)にパフォーマンスに集中する事が出来るようになった。きっと今後も彼等はこの路線で突き進むだろうが、何も悲しむ事はない。彼等はこれまでもロックバンドでなくなった時は1度だってなかったのだから。そしてそれは今後も変わらないだろう。この4人でやっていく限りは‥‥とにかく今回観れたことで、胸のつっかえが取れた気がした。


◎SPRING NO.1

  JB登場の前に、再び「イノキッ、ボンバイエッ!」が‥‥おいおい、ここでも登場か?(笑)今度は赤いガウンを着て登場の春一番。「ジェームズ・ブラウンと皆さんにこの言葉を‥‥」てな感じで始まったのは‥‥「この道を行けば、どうなるものか~」って、おいおい、「道」かよ!!(爆)生で聞いちまったぜ!!! 勿論最後は「ダァー!」で占める。「アリガトーッ!」とステージを去る春一番。あんた‥‥やっぱ、今日の主役だよ♪ JBを食うつもりか、あんた‥‥(笑)


◎JAMES BROWN

  今何故にJB!?とも思ったが、これはこれで「飛び道具」として成り立つのだから面白い。いや、彼が出演する事によってこの1日目の色が決まったも同然だった。REEF、マッド、311、アレステッド、DRAGON ASH、そしてジョンスペ‥‥この日出演のアーティスト達は音楽性こそ異なるものの、それぞれに「踊る/踊らせる」事に長けた人達ばかりだ。2日目がどちらかといえばロック色が濃いだけに、俺はJBにはすごく期待していたのだ。

  もう既にご存知だろうが、彼は本来の持ち時間の60分を更に1時間近くオーバーした。フルステージやっちまったようなもんだ。(笑)いくら時間限定されたフェスだろうが、「よい子ちゃんではここまでやってこれないんだよ!?」と言わんばかりの暴走ステージ。まさに「俺がJBだっ、文句あっか!」な内容だった。だって、頭2曲ではJB登場しないし。始まって20分くらいしてから勿体ぶって登場するし、とにかくゴージャスなステージで、ツインドラム、ツインベース、ギターも2人、ホーンセクションにキーボーディスト、パーカッション、女性コーラス3人に「レイク・エンジェルズ」みたいな(笑)女性ダンサー3人、更に男女ソロボーカリストに、MC(マント・パフォーマンスの要となる人/笑)‥‥総勢20人以上ですから。富士の裾野がこの時だけ、ラスベガスに変わってしまったのだった。

  でもね、やっぱりプロだよ、そこは。非常に楽しかったもん。ただ疲れたけど。(苦笑)JBはさ、それこそキーボードも弾くし、ドラムも叩いちゃうし、ベースもお手のもの、ダンスまで披露したからね。まさに「俺様ショー」だわ、こりゃ。嫌いな人にとっては「ジャイアン・オンステージ」と同じくらい苦痛なんだろうけどね。(笑)

  そうそう、中盤で空ペットボトルをステージに向かって投げつけた方がいらっしゃって、それが「俺様」の気に障ったらしく、ステージ中断(当たり前だ!)。JBご立腹。マイク倒してたもん。ものすごい威圧感を感じ取った観客、2万人が黙りこくり「ドンッ!」とデカい音だけが静寂の中に響くのだった。あんな緊張感、二度と味わいたくない。(苦笑)

  まぁそれはさておき、やっぱり何十年とやってきたプロの仕事を昨年のZZ TOPに続いて観れただけでも、俺にとっては収穫だった。なんてったって「KING OF SOUL」ですからなぁ‥‥自分の曲以外にもオーティス・レディングの曲なんかもやってたし。やっぱり俺様だしね♪(笑)


◎THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION

  JBによる1時間押し、更に直前に雨に見舞われ、最悪の形でのトリとなってしまったジョンスペ。残念ながら最初の10分ちょっとは雨宿りしてたために観れなかった。よって"2Kindsa Love"や"Attack"といった曲は、遠くからぼんやり聞こえる程度だった。(涙)

  やっぱり去年フジロックでBLURを選んだがために観れなかった事をこの1年後悔してきたので、何としても観ようと小雨の中突進した。やっぱJBの後だけに、何を観てもスケールダウンして見えてしまう。実際にJBの時と比べれば、照明も暗い。しかも3人だし。音も小さいよ。雨降ってるからか? 「時間押しても延長ナシよ?」っていう重圧なのか、これは? とにかくね、すごい気迫を感じた。JBに対する怒りなのか、それとも元々こんな感じのステージを繰り広げるバンドなのか‥‥って後者だろうけど。

  この日初めて彼等を生で観たわけだけど‥‥何故彼等がこういうバンド名(BLUES EXPLOSION)を付けたのかがよ~く解った。だって、本当にブルーズがEXPLOSION(爆発)してたもん! これ以外にどうやって表現すればいいのさ!?って音だったよ、マジで。ベースがいない分、音が薄くなるのは目に見えているけど、あのスカスカ感が逆に気持ちよいのであって、それこそこの3人以外には考えられないアンサンブルなんだろうな? マジでかっこいいし、凄くセクシーだった。俺が女だったら惚れるね、ジョンに。(笑)

  悲しいかな、俺が見始めてから5曲程度でステージは終わろうとしていた。実質40分前後だろうか? 本来なら70分の予定だったのに‥‥最後はカオスというか絶頂というか、もう暴れまくり。床をのたうち回ったり‥‥予定通り20時に終わらせられたようで、空には打ち上げ花火が上がり、主催者側の人間が「これをもちまして、本日の公演は全て終了しました~」とアナウンス。が‥‥がっ!! それを振り切り3人がステージに再び!!! うぉぉ! 大歓声。つうか、花火まで上げてしまった主催者、面目丸つぶれ。(笑)最後の1曲は何でもあり。もう「Fuck!」は連呼するわ、マイクは床に叩き付けて壊すわ‥‥そうとう鬱積してたんだろうな‥‥最後の最後で、本当に「EXPLOSION」してしまった彼等。もしこのアンコールがなかったら、俺は不完全燃焼のまま、また1年を過ごすところだった。けど、これで十分満足できた。この日最高に鳥肌が立った瞬間だった。そして「何でロックはかっこいいのか?」という本質に、ちょっとだけ触れたような気がしたのは俺だけだろうか?

投稿: 2000 08 14 12:00 午前 [2000年のライブ, Dragon Ash, James Brown, Jon Spencer Blues Explosion, The, Mad Capsule Markets, The, Muse, Reef, SUMMER SONIC] | 固定リンク

2000/07/17

BON JOVI JAPAN TOUR 2000@東京ドーム(2000年7月13日)

よくよく数えてみたら、俺のBON JOVIライヴ体験は今回で15回目となった(ジョンのソロも含めると)。それは以下の通り。


1回目:1987.09.30.@日本武道館
2回目:1990.12.31.@東京ドーム
3回目:1991.01.03.@横浜アリーナ
4回目:1993.06.03.@日本武道館
5回目:1993.06.04.@日本武道館
6回目:1993.06.06.@代々木オリンピックプール(昼の部)
7回目:1993.06.06.@代々木オリンピックプール(夜の部)
8回目:1993.06.07.@代々木オリンピックプール
9回目:1993.06.17.@横浜文化体育館
10回目:1995.05.19.@東京ドーム
11回目:1996.05.18.@横浜スタジアム
12回目:1996.05.19.@横浜スタジアム
13回目:1996.05.20.@横浜スタジアム
14回目:1997.07.07.@日本武道館(ジョンのソロ)


‥‥何やってんだ、俺!?(苦笑) とまぁ、とにかくこれだけ観ても飽きないのが彼等のライヴなわけであって、何で俺がこれまでに何度も「BON JOVIの真の魅力はライヴにあり!」と叫んできたかがお判りいただけるだろうか‥‥はっきり言って、これだけ観ても同じ内容だったショウはただの1回もなかった。そりゃ各ツアー毎に核になるアルバムがあるわけで、それを中心にセットリストが組まれるわけだから、選曲的には似てるのだが‥‥けど、観に来た人を楽しませて帰らせるという意味では彼等は常にプロフェッショナルだった。そしてそれは今回も同様だったと思う。

今回のワールドツアーはここ日本、しかも東京公演からスタートする。これまでにも彼等は85年と86年のワールドツアーを日本からスタートさせているし、『THESE DAYS』ツアーのラウンド2(96年)もここ日本からスタートしている。そういう意味では特別嬉しいというのはない。むしろ心配だったりする‥‥どんなアーティストでもそうだが、やはりワールドツアーの初日というのはどれだけナーバスになるものか‥‥あのストーンズでさえ、初日はボロボロだからなぁ。(笑)ただ、あの百戦錬磨のBON JOVIでさえも最初はナーバスになるんだ、というのが観れるという「いやらしい」楽しみ方はあるが(爆)。

俺が行った7月13日は2日目公演。前日はやはりというか、案の定ナーバスになり結構ボロボロだったと聞いた。そういえば翌日のスポーツ新聞でその一幕を写真で見たが‥‥なんなんだ、あのロックスターらしからぬ衣装は!? グレーっぽい薄手のシャツを着て‥‥何か、俺が知ってるジョンじゃねぇよ、そんなの!って腰を抜かしたのを覚えている。(笑)つうかさぁ‥‥いや、やめておこう。問題は今日、13日のステージなのだから。

俺の席はD15ブロックという、ステージに向かってかなり右寄りの位置だった。それでもこれまでのドーム体験の中ではまずまずの位置だった。俺のドームのポジションで一番良かったのは、ドーム初体験のストーンズ90年2月、A8ブロックだった。しかも前から10列目程度の位置。それ以降アリーナなんて1度もなかったなぁ‥‥。

開演前のBGMに選ばれたのはAC/DC『HIGHWAY TO HELL』。久し振りに聴いたけど、やたらかっこいい。つうか、やっぱり彼等は大音量で聴くに限るね。リマスター盤発 売前に全作品売っ払っちまったから、今度買い直そう(笑)。

19時を10分程回り、ようやく会場が暗転、いよいよスタートだ。そういえば俺の左隣の席には40代半ばくらいの女性がいたのだが、最初はその隣にいた学生風の男性の付き添いだとばかり思っていた。そころがティコがドラムを叩き始めると、それに合わせてノッてるんだよね、彼女♪ 好きなんか? ドラムに続いてベースが加わり、更にデヴィッドやリッチーが加わり‥‥何の曲だろう?とみんな顔を見合わせている。俺は判っちゃったけど‥‥そしてジョンがいつもの黒のテレキャスターをぶら下げて登場。ジョンもリズムを刻み‥‥そう、この曲はBON JOVIの曲ではない。『THESE DAYS』ツアーから何度か演奏されている、本邦初登場、ニール・ヤングの「Rockin' In The Free World」だ。ツアー初日からこんなマニアックな選曲でいいのか?とか思いながら、内心はハッピー度180%といったところか(笑)。とにかく、ここ日本でこんなアメリカチックな曲を、しかも1曲目から聴けて嬉しかったりする。が、その反面多くのお客は「?」だったようだ。ノリもイマイチだったな‥‥みんな大ヒット曲での大合唱を期待したんだろうけど。ツアー初日の緊張感をいい意味で解す、好カヴァーだった。言われていたよりも演奏は悪くないようだ。が、音は極悪。ドラムのスネアのヒットがモコモコしてて、気持ち悪い。ただ、歌はよく聞き取れたね。そしてジョンの衣装も前日の趣味の悪さから一転し、これまで同様の黒の革パンにブルーのタイトなロングスリーブ・シャツ。曲のエンディングではギターソロまでキメる。なかなかノリノリ(死語)だ。

曲が終わりそのままアコギに持ち替えたジョン。2曲目はいきなり新作から「Just Older」。この2曲だけでも俺は今日来た甲斐があったってもんだ。すっげーアメリカン。何だろう、この高揚感は? 既に15回も観てるのに、初めて観た頃と変わらないこの気持ち。ロックスターになるんだ、と心に決めた87年9月30日から13年経ってるにも関わらず‥‥仕事に疲れたこの俺を16歳の、まだ田舎の少年だった俺に引き戻すこのバンドのサウンド。中盤のジョンの語り部分に鳥肌。涙がちょちょぎれそうな程。

この曲が終わると聞き覚えのあるキーボードのイントロが‥‥そうか、ここに持ってきたか!の「Livin' On A Prayer」。初日は1曲目で、今日は「Rockin' ~」と判った瞬間「ああ、最後に持ってきたか」と思ってたけど、こういうのもアリかな? 大体「Livin' ~」って1曲目かラストってイメージがあるからさぁ、ちょっと新鮮だったな。続く4曲目もお約束の「You Give Love A Bad Name」という流れ。特筆すべき点は特になし。だって良かったもん♪ ただ、やっぱり最初の2曲と比べれば、歓声の大きさが比じゃなかったけど。やっぱりみんなこれを望んでるのね? もうそれこそライヴでは15回毎回聴いてるけど、やっぱりコール&レスポンスの部分では思いっきり唄い叫んでしまう俺。単純なり、我ながら。

ちょっとクールダウンする意味で、5曲目にニューアルバムから「Two Story Town」がここで初登場。前日プレイされなかった曲だがやはりリハーサル不足というか、どうも噛み合っていない印象を受けた。ただでさえ曲調がもったりした感じなのに、さらにもったり感を与えている。ティコのドラムもどうもイマイチだ。新作でも新機軸となっていた打ち込みとの融合。この曲ではシーケンサーを使ったバックトラックに合わせてドラムを叩いていたが、リハーサル不足の感は否めなかった。その後も毎回演奏されていたそうだが、どうだったのだろうか?

続いてニューアルバムからの、新しいアンセムソングとなった「It's My Life」だ。この曲への観客の声援は大きなものだった。そう、それは「Livin' ~」や「You Give Love~」に対してのそれと何ら変わらないものだ。それだけの魅力を持った曲。きっとこれからの10年もこの曲は変わらず演奏し続けられるんだろうなぁ‥‥けど、どうせなら先の大ヒットメドレーに続けて欲しかった。やっぱり「Two Story Town」は前半に持ってくるべきじゃなかったと思う。特に今回のツアー、選曲に難がある。それは後に述べるが‥‥。

更に新作からのハイライトのひとつ、「Next 100 Years」の登場。曲の前にジョンはMCでこの曲でのリッチーのギターソロの素晴らしさについて絶賛していたが、それはアルバム同様ライヴでも素晴らしいものだった。今までリッチーのギターソロで感心する事はあっても感動するような事はなかった。が、今回ばかりはちょっと鳥肌ものだった。悔やまれるのは、やはりドームの音響(苦笑)。せめて同内容のギターソロだけでも、ブルーノート辺りで聴きたい。いや、マジで(笑)。

ここで小休止。メンバー全員がステージ中央に集まり、右と左、どっちの歓声がデカイか競争させる。ジョンは向かって右側を選んだ。けど毎回右側らしい(笑)。右側のプロジェクターの下に小さなステージセットが組まれ、そこに5人がクラブバンドのように身体を寄せ合ってのアコースティック・セットのスタート。これは前回のツアーと同様だ。まずは4th『NEW JERSEY』から「Love For Sale」。5万人集まった東京ドームが、まさにブルーノートあたりのクラブに変わった瞬間だった。メンバーもノリノリでアドリブが入ったりで、特にティコのコーラスにしびれた。いい声してるわ、やっぱ。

続いてアドリブ的に始まったのが、エルヴィス・プレスリーの曲「It's All Right」。とにかく今日はカヴァー率が高いな? しかもここ日本では初めて演奏するような曲ばかり。気分はちょっとだけアメリカ。更にアコースティックセットが続くわけだが‥‥その前にジョンの語りが入る。「もう20年近くも前の曲で~」とか「新しいアレンジで初めてプレイする~」とかいうような事を言ってるのは理解できたが、まさかそれに続いて始まった曲があのデビュー曲「Runaway」だとは‥‥意外と俺の周りでは評判悪かったようだが、俺は気に入った。つうか彼等にこの手のアレンジの曲やらせたら、右に出る奴らはいないと思う。それくらい心に響いた。その余韻を引きずったまま、お馴染みの「Someday I'll Be Saturday Night」へ突入。そんなに人気の高い曲だとも思わないのだが、必ず毎回演奏される曲。まぁ世界的大ヒットを記録したベスト盤に収められた楽曲だからかもしれない。けど、これやるならせめて「Always」とか聴きたかったな?

この曲でアコースティックセットは終了。メンバーはジョンの掛け声でメインステージに駆け足で(笑)戻る。そして聞き覚えのある、ホンワカした童謡のような曲が会場を包む。思わずニヤけてしまった‥‥新作『CRUSH』からの「One Wild Night」だ。個人的には絶対にライヴで盛り上がるであろうと思っていたのだが‥‥それ程でもなかったのはどういう事だろうか? 「It's My Life」はシングルだから盛り上がっただけで、まだアルバム全体は浸透していないって事だろうか? ただ、演奏もよくなかったように思う。まだこなれていない印象を受けた。「第二の"You Give Love A Bad Name"」になってもおかしくないと確信していただけに、ちょっとショックだった。

そこからアンコール前のエンディングまでは、恒例のヒットメドレーというか、いつも通りの選曲で、ちょっと肩すかし。「I'll Sleep When I'm Dead」に挿入されたのは、前回の東京ドーム公演(95年5月)にも披露された、ジョン・フォガティーの曲(STATUS QUOのカバーでも有名)「Rockin' All Over The World」だった。前日「Bad Medicine」とメドレーで演奏されたアイズレー・ブラザーズの「Shout」も今日はなしで、非常に淡々と終わった感じがした。本当に特筆すべき点は何もなかった。下手な事書くなら、「『LIVE FROM LONDON』のビデオでも観てね♪」と言った方が早いくらい。つまり、あそこで繰り広げられているものと、殆ど同じと思ってもらってよい。ここ5~6年の定番エンディングとでもいったところだろうか?

そしてアンコールに期待する俺‥‥知っての通り、BON JOVI のライヴはアンコールからが長いのだ。アンコールだけで10曲近く披露した時もあったくらいだ。そしてこの日のアンコール1曲目は、新作でも1,2を争う程の名曲「Captain Crash & The Beauty Queen From Mars」だ! 意外とアンコール1曲目にピッタリの選曲だったように思う。アップテンポだけど比較的落ち着いたノリだし。そして更に新作から「Mystery Train」。これも名曲だと思う。新作は「全曲ライヴで演奏したいくらい」と言っていただけに、この日の新作率は高い方(12曲中7曲)だったんじゃないだろうか? この曲も落ち着いたノリを持っているので、クールダウンするには持ってこいの2曲だった。

続いてリッチーが定番のオベーション(アコースティックギター)ダブルネックを持って登場。もうお判りだろう。「Wanted Dead Or Alive」だ。悪い曲ではないのだが、毎回聴いてるだけにそろそろ飽きてきたなぁ、と俺自身は感じている。けど、やっぱリッチーがギターソロ前に、あのアコギからエレキに持ち替えてソロに移る瞬間ってのは、何度観ても(聴いても)かっこいい。リッチーのソロにそれ程感銘を受けない俺でも、この曲のギターソロは大好きだ。そしてアンコール1回目はこの曲で終了する。メンバーはステージ前に集まって全員手を繋いで万歳をしてお辞儀。これで終わりです、と言わんばかりだ。けど、ファンならお判りの通り、本編はこれから(笑)だろう、本当の真骨頂は‥‥。

一度袖に引っ込んで、再び登場。2度目のアンコールは静にかにスタート。聞き覚えのない曲だった。またカバーか? しかしジョンが唄い出したら、たまたま知ってる曲だった。ビル・ウィザーズというシンガーの「Lean On Me」という曲だ。80年代にクラブ・ヌーヴォーというブラック・グループがカバーして全米ナンバー1になっているので、意外と覚えている20代後半以上の方は多いかもしれない。BON JOVI バージョンはゴスペルチックに、全員のコーラスを重視した、半ばアカペラに近い感じ。演奏もデヴィッドのピアノのみだったように記憶している(間違ってたらごめんなさい)。本当に今日はカバー率が高い日だな?

そしてその静寂を破るかのように、お馴染みのベース・リフが‥‥そう、「Keep The Faith」だ。ジョンはお約束のマラカスを持って踊るわけだが、いつ観てもいい腰の動きしてる。ギターソロの後のブレイクではいつもジョンのセクシーなアドリブが延々続くのだが、今日は原曲に忠実な淡泊なバージョンだった。でもやっぱり盛り上がるし、エンディング近くでのティコのドラミングはいつ聴いても気持ちいい。そして2度目のアンコールはこの曲で終了。メンバー全員再びステージ前で挨拶。そして「See you in next year…」の言葉を残して、ジョンはステージを後にした‥‥って、おい、まさか‥‥会場の灯りが着き、終演を告げるアナウンスが場内に響いた。ブーイングに近い「エェ~ッ?」という声。時計に目をやると、ほぼ2時間ピッタリ。彼らにしては短いショウだった。って、本当にこれで終わりなの!?と何度も会場を見回し、暫く席に座って再び暗転するのを待った‥‥待ったが何も起こらなかった。

もしかしたら、今回はこういう構成(つまり、2時間前後のショウ)でライヴを重ねていくつもりなのかもしれない。考えてみれば、前回のバンドとしてのツアーは丁度4年前だ。あれから4つも歳を重ねているわけだし、全員それなりに年寄りになったというわけか?(苦笑)けど‥‥物足りない。こんなんなら前日も観ておけばよかった。大阪も名古屋も福岡も追っかければよかった。まぁそれが事実上無理なのは判っているが‥‥。

今回何が一番物足りなかったかといえば、間違いなく選曲だろう。新作からの曲にしてもそうだし、過去のヒット曲にしても‥‥バラードが1曲もないというのはどういうことだろう? 確かにアコースティックセットはあったものの、例えば「I'll Be There For You」や「Always」といった大ヒット曲が完全に無視され、新作からの名バラード「Thank You For Loving Me」も「Save The World」もないがしろにされた。何故!?

これは完全に憶測でしかないが、まず彼らはバンドとしてのグルーヴ/ノリを取り戻したかったのではないだろうか? 確かに日本公演の前にウォームアップ・ギグを数本こなしてはいるものの、それはあくまで小会場(或いはライヴハウス)でのことで、ドームのようなアリーナでの動き回るショウは7/12の東京ドームが最初だった。だから今回の日本公演というのは手探り状態だったのかもしれない。それは選曲にも表れていて、比較的ノリのいいアップテンポな曲を重点的に選んだんじゃないだろうか? じゃなかったら、日本ではドラマ主題歌にまでなった「Thank You For Loving Me」を演奏しないなんておかしい。計算高いいつものジョンなら絶対に演奏していたはずだ。

そしてもうひとつ。前回の『THESE DAYS』というアルバムが、ダウナーな内容だった事も関係していると思う。ダウナーといっても別にグランジとかあの手のダウナーではなく、ミドルテンポ~バラードが大半を占めていたという意味。そしてジョンが最近のインタビューで度々口にするように「前作は歌詞が暗かった」とネガティヴなイメージがあるらしい。やはり前作の核となる楽曲にはミドル~スロウが多かったため、ツアー自体もそういう楽曲が多く選出されていたし‥‥それに対して新作は溌剌としたイメージがある。やはり前作での反動だろう。という事は、それはツアーにも反映されているのではないだろうか? じゃなかったら、あれだけ名曲揃いの前作からの曲が1曲も披露されないなんておかしすぎる。せめて「These Days」だけでも聴きたかったのだが‥‥

とまぁ、いろいろと不満も残ったライヴだったが‥‥やはり最後には楽しかった、この一言に尽きるような気がする。何だかんだ言ってもライヴの最中はそんな事考えないで、純粋に楽しんでいたし。あれだけの観衆を惹きつけるだけの魅力と実力を持ったバンドはそうはいない。それをデビュー17年目の彼らが未だに持ち続けている、いや、更に磨きがかかっているというのはどういう事だろう? きっと次のアルバムはデビュー20周年とかに引っかけるんだろうな?なんて邪推をしながら「次のツアーはどう楽しませてくれるんだろう?」なんて期待をする。未だにそういう存在なのだ、俺にとってのBON JOVI は。

‥‥あ、忘れてた。来年も来るんだっけ?(苦笑) 是非来年の再来日の時には、完璧な状態で、完璧なセットリストで、完璧なショウを期待してます、ジョン・ボン・ジョヴィ様。


<セットリスト>
01. Rockin' In The Free World
02. Just Older
03. Livin' On A Prayer
04. You Give Love A Bad Name
05. Two Story Town
06. It's My Life
07. Next 100 Years
[Sub Stage : Acoustic Set]
08. Love For Sale
09. It's All Right
10. Runaway
11. Someday I'll Be Saturday Night
[end of Acoustic Set : back to Main Stage]
12. One Wild Night
13. Lay Your Hands On Me
14. I'll Sleep When I'm Dead
  ~Rockin' All Over The World
  ~I'll Sleep When I'm Dead
15. Bad Medicine
—encore—
16. Captain Crash & The Beauty Queen From Mars
17. Mystery Train
18. Wanted Dead Or Alive
—encore—
19. Lean On Me
20. Keep The Faith

投稿: 2000 07 17 12:00 午前 [2000年のライブ, Bon Jovi] | 固定リンク

2000/07/10

SMASHING PUMPKINS@東京国際フォーラム ホールA(2000年7月2日)

  それ程思い入れもなかったSMASHING PUMPKINSだが、解散するということを知って、今回の日本最終公演に足を運ぶ事にした。コアなファンからすれば俺は邪道だろう。「解散する前に一目この目で観ておきたい」その程度の理由だった。勿論、嫌いだったらチケットに7,000円、交通費に5,000円も払ったりはしないだろう。ファーストアルバムからリアルタイムで常に聴いてきたものの、どうにものめり込む事が出来ず、ちゃんと評価するようになったのは3rd「MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS」('95)から、自分の趣味に近い音を出すようになった「ADORE」('98)に関しては、その年のベストアルバムの1枚に選んでいる。新作も勿論気に入っている。単に「いい曲だな」としか思ってこなかったし、ビリー・コーガンに対しても憧れとか好きとか、そういうのはなかった。その程度の人間が書くレビューである。コアなファンは目くじら立てずに最後までお付き合いいただきたい。

  東京国際フォーラム自体が初めてということもあり、俺なりにいろいろ感慨深いものがあった。(詳しくは、去年の5月末あたりの日記「ジェフ・ベックと私」を御参照いただきたい)東京駅から徒歩数分という事もあって、地方からライヴに来たお客にとってはアクセスに便利なのではないだろうか? 少なくとも俺にとってはかなりポイント高いが。(笑)
  会場となるのは、国際フォーラムの中のホールAという、一番キャパの大きな会場だった。およそ6,000人近く入ると聞いたが(間違ってたらごめんなさい)、俺の席が1階のかなり前(20列目)だった事も関係してくるのかもしれないが、見渡したところ、中野サンプラザをふた回り程大きくしたような感じだった。勿論あれよりも近代的な造りだし、特に2階などはどことなくオペラハウスをイメージさせる造りだった。(ってオペラハウスにも行ったことはないのだけど/苦笑)

  ウドー音楽事務所お得意の「土日祝日の開演時間17時」という、わけの判らない時間組みのお陰で、今日は終バスより前に帰れるだろう‥‥そう思っていた。ところが席について開演時間が近付くと「本日はSMASHING PUMPKINS日本最後の公演ということで、特別に休憩15分を挟んだ2部構成になっております‥‥」というアナウンスがあった。会場ドッと湧く。凄い歓声だ。本当に好きな奴らが集まってきたんだろうな‥‥何かそう思ったら、自分がこの場所にいる事が場違いのような気がしてきた。(苦笑)しかし、ロビーに出てビールを飲んでいると「スマパンよく知らないけど、もう観れないっていうから来ちゃった」というような会話を何度か耳にした。そうか、俺だけじゃないんだ。(笑)そう思うと少し気が楽になった。今日はニュートラルな状態で、純粋に楽しもう‥‥そう心に決めた。解散を抜きにして、どれだけ楽しめるステージを見せてくれるのか? 俺にとってはそれがポイントとなった。

●第1部

  何の前触れもなく、いきなり照明が落ち、暗闇の中から異様な物体が‥‥いや、ビリーの頭だった。(苦笑)アコースティックギターを持ったビリーが無言でステージに立ち、いきなり弾き語りを始めた。そうか、第1部はアコースティック・セットで行くんだな? そう理解した観客は大歓声で応える。今回のツアーでは中盤にアコースティックを2~3曲やっていたそうだが、かなりの曲数で特別な内容のステージが観れるなんて、得した気分だ。

  6弦や12弦ギターを駆使して、名曲の数々をアコースティック・アレンジで聴かせる。"Today"のような代表曲も含まれていた。ビリーのあの独特な声が逆に際立って、不快感に思うのではないか?なんて最初は思ったが、それは最後まで感じなかった。むしろ、あの声があるからこれらの楽曲が成り立つのかも‥‥そう思えてきた。そして演奏がギター1本だったお陰で、一番大切な事を再認識させてくれた‥‥スマパンが、ビリー・コーガンが作ってきた楽曲が、如何に優れた楽曲であったか、を。スマパンというと意外と「轟音ギター」をイメージするかもしれないが(俺も最初そういうイメージを持っていた)アルバムを聴くと実にバラエティーに富んだ内容だという事が判る。そして、ただバラエティーに富んでいるだけでなく、それらの楽曲がかなり高品質である事。当たり前のようなそんな事実を、目の前にいるビリーは最後の最後で教えてくれた気がした。

  途中お客とのコミュニケーションを取りつつも、ライヴは淡々と進み、5曲を終えたところで、エレキギターを持ったジェームズ・イハが登場。上下白のスーツである。そうそう、これとは対照的にビリーは上下黒、上はレザーで下はスカート。長身でガッチリした体形のせいで、物凄い威圧感がある。最近私生活でお坊さんを見る機会が多かった為、どうにもステージ上のビリーが住職に見えて仕方なかった。(爆)

  話を元に戻そう。イハが加わり二人でメドレー形式にしたアレンジで何曲かを演奏。イハはソロを弾くというよりは、スライドバー等を駆使して効果音的にギターを奏でていた。プレイされたのが「ADORE」収録の曲ばかりだったため、幻想的な空気が会場を包んだ。

  続いてステージには白いドレスを纏ったメリッサと、黒のベストを着たジミーが登場。いよいよバンド形態でのプレイとなった。メリッサは普通のプレシジョン・ベースを弾いたが、ジミーはスティックを鳴りの弱いものに代えてプレイしていた。ここでは新作からの曲がメインとなったが、何やらメリッサがプレイを間違えたらしく、ビリーがメリッサをいじめる?シーンにも遭遇した。それは陰険なものではなく、どこか微笑ましいものだった。客席からも笑みがこぼれる。これが解散を決意したバンドの、異国での最後のステージか?と思わせるくらいに和んだ空気だった。更にビリーは曲の合間にアコギでLED ZEPPELIN "Whole Lotta Love", DEEP PURPLE "Smoke On The Water", RAINBOW "All Night Long"のリフを披露。何だかメリッサをからかう姿といい、小学生のガキ大将的な姿を見た気がした。前回の来日でも初の武道館を意識してか、CHEAP TRICK "I Want You To Want Me"の「AT BUDOKAN」バージョンをカヴァーしていたし‥‥バンドを、ギターを始めた頃の初心をこの異国の地で思い出していたのだろうか。それとも単に気まぐれなのだろうか? どっちにしろ、とても貴重なものを目に/耳に出来たような気がした。

  盛り上がっていく中、第1部は名曲"Disarm"で閉められた。約1時間に及ぶ、素晴らしい、そして貴重な体験であった。


●第2部

  15分後に再び会場が暗転し、今度は最初からメンバー4人がステージに登場。ビリーもイハもエレキを持っている。そして真っ暗なステージの上でおもむろにビリーが独特なヘヴィリフを叩き出した。そう、第2部は新作の1曲目"The Everlasting Gaze"からスタートだ。噂には聞いていたが、こんなにもハイテンションでプレイされるとは‥‥スマパンのライヴで印象的なのは、アップテンポなナンバーも、ライヴではアルバムよりも更にテンポアップされる。それはドラムが走り気味だとかそういう理由からではない。とにかくミドルテンポ以下の曲以外は概ねテンポアップされた、ハイパーバージョンでプレイされる。ただでさえ速い曲なのに、更に速く‥‥第1部の時も思っていたが、ジミーのドラムの音がデカい。PAの問題ではなく、生音がデカいのだ。これはステージから近かったから判った事実だが、あれだけギターが大きな音で鳴らされているにも関わらず、ドラムの生音が客席まで届く‥‥如何にジミー・チェンバレンというドラマーがハードヒットを信条とするドラマーかがよく判った。そして何故ビリーが最後まで「オリジナルメンバー」にこだわったかが、これで理解できた。ただ単に「オリジナルメンバーで終わりたかった」だけではないだろう。ドラムに関して言えば、やはりジミーを差し置いては他にはいなかったのだろう。

  続く2曲目"Heavy Metal Machine"でもヘヴィなプレイが続く。スマパン流HMとでも言えばいいのだろうか? 終盤ドラムのみをバックに、ビリーは客席に向かって「Heavy Metal!」と何度も叫び、そして絶叫を繰り返した。もしかしたら俺達に唄わせたかったのかもしれない。この御時世にHMという言葉にこだわるビリー‥‥グランジという言葉で片付けられてきた彼等だが、もしかしたら純粋にHM/HRがやりたかったのかもしれない。田舎のHR少年だったビリーは、他に漏れずツェッペリンやパープル、エアロやKISSやCHEAP TRICKを愛し、そして自らがバンドを率いた時、「自分流のHR」を作りたかったのかもしれない。それが1990年代に登場したが為に、ガレージだ、グランジだ、といったジャンルで括られてしまった。もしかしたら、それは不幸な事だったのかもしれない。自分達が既にオルタナティヴな存在ではない事を認識しつつ、「メインストリームの中で以下にオルタナティヴでいるか?」といった命題と戦う宿命にあった、「ADORE」以降のスマパン。それは傍目には成功しているように見えた。しかし、内部では悲鳴を上げながら終焉に向かっていたのかもしれない。

  イハがヴォーカルをとる曲等も含んだ第2部は、それこそ新作からの名曲群と代表曲のオンパレードだった。ビリーは曲の途中で何度も絶叫を繰り返し、それは思い入れのない俺の胸にも突き刺さった。痛い。曲のタイプのせいもあるだろうが、とにかく胸に沁みる。エンターテイメント性を打ち出しながらも、どこか切ない。これがSMASHING PUMPKINSというバンドなのだろうか? 今回のツアーはキーボーディストがいない、純粋に4人で演奏されている為、どの曲もハードに響くが、それでも楽曲にある哀愁の色は決して色褪せていない。完成された楽曲の凄み。そしてそれを怒濤の演奏で我々に叩き付ける4人の凄み。空気的には解散を感じさせなかったが、やはりこの「凄み」は「解散」という現実に向けられたものなのだろうか? そう感じずにはいられなかった。

  2度のアンコールに応え、最後の最後に彼等が選んだ曲は"1979"だった。リズムボックスをバックに、ジミーまでもがアコギを持って前に出てきて、予めライヴの最後を想定して作られたかのような形となった。ビリーやジミーの顔からは笑顔がこぼれる。客席もそれに応える。しかし、ぽつぽつと泣いてる女性もいた。ビリーの「Next...maybe last song」という言葉が頭から離れなかった。そして曲の終わりと共に、ライヴも終了した。ジミーを除いたメンバーが意外とあっさりとしているのに対し、ビリーは名残り惜しむかのように、ステージの右から左まで、お客ひとりひとりと握手を交わしていた。途中、アンパンマンのぬいぐるみをファンからプレゼントされ、その生き写しともいえる姿(爆)に観客は最後の最後で大爆笑した。誰だ!ビリーにアンパンマン渡したのは? お前、オイシすぎるぞ!!!(笑)ビリーがステージから去った後も、スマパンを求める観客の拍手は止まなかった。しかし、無情にも会場に明かりが灯る。そして終わりを告げるアナウンス‥‥完全に、全てが終わった。

  本当ならこの"1979"の後にもう1曲、"Mayonaise"が用意されていた事を後で知った。しかしメンバーのファンサービスのお陰で会場を使用できる時間ギリギリになっていた為、あそこで終わったのだという。(実際、全て終わった時点で20時5分前だった。音を出せるのが20時まで、という契約だったのかもしれない)しかし、俺としてはああいう終わり方でよかったと思っている。あの形で終わった事で、SMASHING PUMPKINSは最後の最後まで「4人組のバンド」だったことを我々ファンの胸に焼きつけたのだから。
  それ程ファンでもなかった俺でもこれだけ楽しめたのだ。本当のファンはどういう心境であのステージを観ていたのだろうか‥‥是非伺ってみたい。

  そして最後に。こんな最後の最後でSMASHING PUMPKINSにハマッてしまうとは‥‥残念というか、不覚というか。とにかく楽曲・ライヴ共に素晴らしいバンドだったという事が最後の最後に確認できただけでも、俺にとっては収穫だった。


[SETLIST]
[First Set : Acoustic Set]
01. Speed Kills
02. Today
03. Muzzle
04. Once Upon A Time
05. Improding Voice
06. To Sheila ~ Shame ~ Drown ~ To Sheila
07. Glass And The Ghost Children
08. This Time
09. Stand Inside Your Love
10. Disarm
-----interval ; 15min.-----
[Second Set]
11. The Everlasting Gaze
12. Heavy Metal Machine
13. Blue Skies Bring Tears
14. I Am One
15. Raindrops + Sunshowers
16. Blew Away (Vocal : James Iha)
17. Tonight Tonight
18. I Of The Mourning
19. Rock On
20. Bullet With Butterfly Wings
21. Once In A Life Time
 [encore-1]
22. Perfect
23. Cherub Rock
 [encore-2]
24. 1979



▼SMASHING PUMPKINS『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2000 07 10 12:00 午前 [2000年のライブ, Smashing Pumpkins] | 固定リンク

2000/05/07

BERNARD BUTLER JAPAN TOUR 2000@赤坂BLITZ(2000年2月27日)

バーニーの動く姿は昨年のフジロックで初めて目にした。不幸な事に、SUEDE時代の彼の勇姿はブラウン管の中でしか目にする機会はなかった。何故か‥‥まぁタイミングが悪かったのだろう。結局最初の来日にしか同行してないわけだし。一昨年の単独来日にも足を運んでいない。何故なら、彼のファーストアルバム『PEOPLE MOVE ON』を聴いたのが、彼が帰国した後だったからだ。けど、「次は絶対に!」っていう風にはならなかったのも、また事実。やはり全ては99年のフジロック3日目だ。本人は「調子が良くなかった」と言ってたそうだが‥‥「じゃあ、絶好調のステージはどんな事になってんだ!?」ってくらいに良かったんだけどなぁ、俺にとっては

以前、掲示板でだったか他のアーティストについて書いた時だったかは忘れたが、俺は'90年代を代表する英国3大ギターヒーローとして、元KULA SHAKERのクリスピアン・ミルズ、MANIC STREET PREACHERSのジェームズ・ディーン・ブラッドフィールド、そしてバーナード・バトラーの名前を挙げていたはずだ。いや、もしかしたらバーニーではなく、元STONE ROSESのジョン・スクワイアだったかもしれない。まぁジョンは厳密には80年代末期に登場してるので、ここに入れるべきではないかもしれない。(活躍したのは90年代だから、まぁいいか?)この際、クリスピアン、ジェームズ、バーニーの3人に正式決定させてもらうよ!(笑)彼等の共通点は、①ボーカリスト兼ギタリストである、②リズムギターだけでなく、リードを取らせても天下一品、③スタイルが非常に70年代的、だという事である。多少こじつけの感もなきにしもあらずだが(苦笑)そういう事である。何で俺が彼等を愛するかが、この辺から伺えるかもね?

さって、前置きが長くなったが、1週間前になって急遽決定したライヴ行き。タダ観とはいえ、やっぱり交通費をかけて行くわけだから、それなりのものを見せてもらわないとね?(笑)そんな気持ちで開演時間10分前に会場に到着。インビテーションカードがかなりの数出回っていたと聞いて「そんなに客、入ってないのかな?」と少々不安になったものの、いざスタートしてみれば8割強は入ってたんじゃないの?って印象を受けた。同じ時期に来日してるOASISやPRIMAL SCREAMに食われただの、噂だけはいろいろ耳にしたが、ファン層って被ってないんじゃないの? 唯一、イギリス人ってだけじゃないか、共通項って? むしろジェフ・バックリーや、俺がバーニーの新譜を聴いた時の第一印象として挙げたカナダのロン・セクスミスあたりのファンが足を運んだんじゃないだろうか?(事実、客入れBGMでは両者の曲がかかっていた)そして勿論、SUEDEのファンもね?

ステージ上のメンバーは前回、前々回と変わっておらず、新作もこのメンバーで作られたそうな。その傑作『FRIENDS AND LOVERS』を中心に進行したライヴ‥‥文句なしっ! これ以上、何て言えばいいのさ!?へっ、「こんなのレビューでもレポートでもない!」だって!? 当たり前じゃんか!(爆)いいんだよ、これで。

歌が上手い、ギターも上手い、ルックスがいい、元人気バンドのメンバー‥‥欲しい要素は全て持っている。でも、彼がステージ上でアピールするのは最初の2項目だけ。それも「これでもかっ!」って位にアピールするのではなく、ごく自然に、下手したら地味ぃ~な位にしかアピールしない。なのに聴き手の心の中にしみ込んでくる。「感情に訴えかける音楽」とは正にこの事だろう。時に情熱的に、時に優しさで包み込むように、時に聴いてるこっちまでが悲しくなる位にブルージーに。彼の歌・プレイは正直であり、そして繊細だと思う。だからこそ、それが聴き手にダイレクトに伝わるのだ。

そんな彼の感情が更にダイレクトに伝わったのが、アンコールでのアコースティックセットだった。噂には聞いていたが、こんなにも素晴らしいものだとは‥‥バーニーよりも先走って、お客がキメのパートを唄ってしまう一幕もあったが、それは御愛嬌。そういうのはライヴならではのものだ。微笑ましいじゃないか?(これが嫌!って感じるのなら、家でCDでも聴いてればいい、自分の思い通りに。あの場ではあれは全くうざったく感じなかったな、俺は。それにあれはある種お約束みたいなもんなんでしょ?)

バーニー自身は勿論だが、その彼を支えるバンドのメンバーもまた素晴らしかった。波長が合っているのか、それとも彼が指示してその通りにプレイしてるだけなのか‥‥いや、違うな。間違いなくそれだけの実力を持った強者ばかりだと思う。

きっと彼のやってるような音楽は頂点に立つ事はないのかもしれない。けど、なくなってはいけないタイプの音楽である。ジャンル的にこれを「ブルーズ」と呼ぶには多少語弊があるかもしれないが‥‥こういう音楽こそが、現代における「ブルーズ」なのではないだろうか? エリック・クラプトンだったと思うが、彼はこう言った。「ブルーズとはプログレッシヴな音楽だ」と。そう、型としてのブルーズは保守的かもしれない‥‥けど、これをブルーズの発展系と呼ぶ事は出来ないだろうか?

彼はこの先もずっと、こういうジャンルの音楽を奏でていくだろう。是非そうして欲しいものだ。そして、急激にではなく、地味ぃ~に成長していって欲しいものだ。それが彼にはぴったりだと思うから。ショービズ界の波に巻き込まれず、独自の歩幅で活動していって欲しいものである。


<セットリスト>
01. Friends And Lovers
02. You Must Go On
03. Cocoon
04. You Just Know
05. Change Of Heart
06. I'd Do It Again If I Could
07. It's Alright
08. No Easy Way Out
09. Let's Go Away
10. What Happend To Me
11. Autograph
12. Not Alone
—ENCORE—
13. My Domain (Acoustic)
14. Woman I Know (Acoustic)
15. The Sea (Acoustic)
16. Stay
—ENCORE—
17. More Than I Thought

投稿: 2000 05 07 12:00 午前 [2000年のライブ, Bernard Butler] | 固定リンク

2000/03/28

THUNDER FINAL JAPAN TOUR 2000@クラブチッタ川崎(2000年3月12日)

THUNDERというバンドに出会って早10年。そりゃどんなバンドにだって『終わり』は必ずやってくる。でも、まさかこんなに早く、しかも立て続けに‥‥って思うと、結構切なくなる。

KULA SHAKER, THUNDER, HURRICANE#1。'99年だけでもこれだけのバンドが解散していった。しかもたった数カ月の間に。みんなイギリスのバンドだ。理由はそれぞれある。KULA SHAKERは音楽性の違いでクリスピアン脱退→解散。HURRICANE#1はアンディ・ベルがOASIS加入の為、解散。そう、それぞれに発展的解散なのだ。が、THUNDERの場合はそうもいかない‥‥その大きな理由のひとつが「今のミュージック・シーンの中には、THUNDERのようなタイプのバンドの居場所はない」ってくらいだから。要は金にならない、食えないのだ。詳しい解散の理由は別項目で書いたが、やっぱり世の中不公平だし、間違ってる。「Only the good die young」って言葉通り(いや、この3つの中では一番の年長組なんだけど)だと思うよ、本当に‥‥

数年振りのクラブチッタ。この4月で取り壊しになり、新たな場所に来年秋復活するらしい。つまり、今のチッタで最後に観るのが、解散していくTHUNDERだっていうんだから、余計に切なくなる。チッタ自体数年振りで、前回観たのがやはりTHUNDERだった。あの時はダニーがインフルエンザにやられて、とても辛そうだったけど、それでも標準以上のステージを見せてくれた。その後の2度の来日を見逃した俺は、昨秋の解散宣言を聞いて後悔していた。だからこそ、この日のライヴは一生忘れられなくなる位に胸に焼きつけておこう、こう決めたのだ。

東京公演(とは言っても川崎だが)初日。今日から3夜連続である。その後彼等は地方公演を行い、最後の最後にまた川崎でやってその歴史を終える。既に耳にしている情報で、他の地方公演(名古屋や長野)ではいつも通り、いや、いつも以上に素晴らしいステージだったと聞いている。湿っぽい空気なんてこれっぽっちも感じられない、と。だったら観る側もそれに応えるしかない。いや、涙で送るのはTHUNDERらしくない。如何にもイギリス的な大酒呑み連中には、笑って見送るのが一番である。オープニングS.E.の"Thunderstruck"(AC/DCの曲。THUNDERのライヴオープニングではお馴染み)が流れる中、そう考えながら最前列近くまで突進した。最後尾より‥‥

オープニングはここ数年の定番となっている"Welcome To The Party"で幕を開ける。相変わらずいい音している。普通クラブクラスでのライヴだと音が大きすぎてバランスが悪いとか、ギターがデカすぎて歌が聞こえないなんてことも多々あるが、THUNDERに限ってはそういうの、今の今まで1度もなかった。少なくとも俺が観た'91年末のファイナルカウントダウン@東京ドーム以外は。(苦笑)決して音が小さいわけではなく、クリアーで音が潰れていない、それでいてひとつひとつの楽器が自己主張している。きっと長年連れ添ったスタッフ達の努力の賜物なのだろう。これがプロの仕事だな、と改めて実感。

そして素晴らしいのはサウンドだけではない。勿論演奏も、歌もである。唄い出しを聴いた瞬間、鳥肌が立った。そして「あぁ、今日は本当に大丈夫だ」って思った。何故そう思ったかは、'97年の来日公演が最後だったからだ(詳しくは別項目のライヴ欄を御覧下さい)。そして、頭から『解散』や『最後』という言葉はどこかへ消えていった。すげぇ、マジで凄いよ、こりゃ‥‥最高だ。

2曲目で早くもクライマックスが訪れる。そう、いつも終盤に演奏される名曲中の名曲、"River Of Pain"の登場だ! 歌に入る前をエクスパンドして観客に唄わせるのは最近の定番。ライヴアルバムと一緒だ。そしてダニーが唄う‥‥酷い風邪でもひいたか?って位に、身体中に鳥肌が立つ。やっぱこの人の歌唱力・表現力って半端じゃねぇわ。CDでも確かに凄いけど、やっぱこの人はライヴの人だな。ポール・ロジャースと同じで。ギターソロ後のブリッジ部分での盛り上がりでは本当、小便チビりそうになった。いや、脱糞しそうになったわ。(爆)そのくらい‥‥もう言葉では表現し難いくらいに‥‥凄かった。何ていうか‥‥心臓をえぐられるような感じ‥‥違うか。もっとこう‥‥凄く切なくて、それでいて熱い。そんな感情の高ぶりを4分間の曲に凝縮している。こんな名曲を知らない人の方が多い事、それ自体がこのバンドの不幸だと思うよ、マジで。

いやぁ~、それにしても本当に今日は凄い。いつも以上に。中盤には今までライヴでは聴く事がなかった3rd収録の"Fly On The Wall"もプレイし、日本で演奏するのは久し振りの"An Englishman In Holiday"、ラストアルバムの中でも完成度の高い"'Til It Shines"等、ここ数回の来日セットリストがマンネリ化してるって声を打ち消すかのごとく、いろんな曲を演奏した。事実、この日以外でもこれまで1度も演奏された事のない"Future Train"とか"Numb"、"Rolling The Dice"、"Until My Dying Day"、"Does It Feel Like Love?"、"Cosmic Punk"等が演奏されている。もう今回のツアー、全部観なきゃダメだったらしい。(苦笑)まさに総決算的ツアーだったようだ‥‥そう考えたら、余計切なくなってきた。

勿論、お約束的曲も沢山演奏されたわけだが、特に今回「いつもよりよかった!」って思ったのは、やはり"Gimme Some Lovin'"のコール&レスポンスじゃないかな? イントロでの客との掛け合いの時、もっと大きな声で唄わせようとしたダニーの口から発せられた言葉‥‥「今日はライヴ・レコーディングしてるんだぜ!? お前達もっとデカい声出せよ!」おおお!!!THUNDERは最後の最後に大きな土産を残してくれるのか! 詳細は判らないけど、ライヴ録音はこの日だけじゃなく、毎日行われていたという話もある。6月にリリース予定だというこの「Last Live In Japan」、彼等に有終の美を飾らせる為にも、ファンとして最高の仕事を(笑)したいと思った。もうこの日は1曲目からダニー並に唄い上げていた俺の喉は、既にピークを下っていた。(爆)でも「明日どうなってもいいや。今日は二度と戻ってこないんだから‥‥」そう思って、力の限り唄った。でも、やっぱりダニーにはかなわないや。(苦笑)曲のラスト部分、客vsルークのギターvsダニーというパートでも、ダニーはこれでもか!って位に唄い上げる。もう、レベルが違い過ぎる。こいつらをハードロックとかそういう低い次元でしかカテゴライズできない連中は、一生チマチマしたB級バンドを聴いてればいい。売れていようがいまいが、THUNDERは本物なんだよ。

"I'll Be Waiting"で再び心臓を鷲掴みにされ、"Love Walked In"で「もう、どうにでもして‥‥あなたの好きにして♪」って気持ちになり(苦笑)、"Just Another Suicide"でのメンバー紹介にホンワカし、"Backstreet Symphony"で本編は終了。アンコールを求める拍手とTHUNDERコールが続く。すぐに彼等はステージに戻ってきた。アンコール1曲目はお馴染み"A Better Man"。いつからだろう、ルークがハーモニカに専念し、ハリーがギターを持ち出したのは? 前回観た時は、ハリーが全部ボーカル取ってたっけ、この曲。そうか、ダニーがインフルエンザだったっけ‥‥そんな事すら忘れるくらい、今日のライヴは濃い。エンディングではお約束のギャグをかましながらハリーが唄い、最後の歌詞を「I see a better man」からお約束の「I see a bold man」に替えて唄うのも忘れない。(笑)こういう笑いの要素もあるから、彼等のライヴはやめられないのだ。こんなセンス・オブ・ユーモアもイギリス人ならではか?

ルークはこの日初めてレスポールからテレキャスターに持ち替え、"Play That Funky Music"、"The Only One"をプレイ。これらの新曲群は(俺自身が)生で初めて聴いたけど、やっぱりイイね? 3rdアルバムあたりから少しずつ露わになったファンク色。この色ももっと前面に打ち出していれば、彼等の進む道も少し変わったんじゃないだろうか?‥‥そんな「何を今さら‥‥」的な事を思いながら、ライヴは本当の最後となった。あの掛け合い‥‥そう、"Dirty Love"だ。同じリフを持った"Cigarettes & Alcohol"を演奏するグループは同じ神奈川の、数万人入るアリーナで4日間もプレイしたというのに、こっちはチッタ4回。どう考えたって1/10前後の差があるはずだ。そりゃTHUNDERにはカリスマと呼べるフロントマンはいない。けど、同じ「Rock'n'roll Star」には違いない。それがスタジアムで演奏してるか、パブで演奏してるかの違い。カリスマ的なフロントマンがいるか、カリスマはいないけど全員がフレンドリーかの違い。どっちも「よりイギリス的」なんだけど‥‥多くの人はカリスマに惹かれる。仕方ない事か‥‥でも、忘れないで欲しい。THUNDERはいつでも観客を満足させてきたし、どんなんに最悪のコンディションでも最後まで唄い続けてきた。それがどんなに無様に映ろうが最後までやり通した彼等。どっちがいいとも悪いとも言えない。けど、ステージに上がった以上は最後まで観客を楽しませる、満足させる‥‥そんな姿勢が、俺は好きだった。それこそが『プロの仕事』だと思った。そして目標にした。それだけの事だ。そういうごく当たり前の事さえ出来ない若手バンドが多いから、余計に彼等の存在が独特に映る‥‥職人気質だったんだろうな、きっと。だから生き残れなかったのかもしれない‥‥『ロックンロールが売れない』こんな時代では。

"Dirty Love"で、ダニーは余力を全て出し切るかのごとく、唄った。そして俺達オーディエンスもそれに負けないくらい唄った。力の限り、全力で‥‥みんながみんな、明日も明後日も来週も観れるわけじゃない。明日なんかないのと同じなのだ。今日で終わり‥‥ひとりひとりの胸にこう刻まれていたはずだ。最近、HM/HR系にカテゴライズされるアーティストのライヴなんて行ってなかったので(嫌だな、この言い回し)、この光景はとても新鮮に映った。WiLDHEARTSの時もそうだったな‥‥同じUKのアーティストなのに‥‥如何に熱心なファンに支えられてきたとか、そしてそういうファンがいたから彼等はここまで続ける事が出来た‥‥バンドとオーディエンスの関係って本来こういうもんじゃなかろうか?

ライヴは2時間で終了した。"Dirty Love"が終了しても数十分の間、観客は誰ひとりとしてその場を動かず、THUNDERが戻ってくるのを待った。けど、もう彼等は戻ってはこなかった‥‥まだ数公演残っている事もあってか、こっちが考えてた以上にあっさりとした最後だった。いや、その方が彼等らしいや。解散だろうが最後だろうが、そんな事は関係ない、ただベストを尽くして観客を楽しませるだけ‥‥そして俺達も楽しむぜ‥‥その姿勢は最後まで貫かれたのだ。最高のバンドだったと思う。こんなプロ、もう2度と登場しないだろう‥‥「ありがとう」とか、そんなちんけな言葉じゃ足りないくらい、THUNDERにはいっぱい楽しませてもらった。最初「¥6,800-は高いな? 集金ツアーかよ」って思ってたチケット代も、観終わった後じゃ安いくらいだった。集金だろうがいいさ。いや、そんなに儲からないって。たった10回、しかも日本だけのために必要最低人数で来日したとはいえ、イギリスから来るには相当な額のはずだ。よく日本からのオファーに応えてくれたと思う。それもこれも、日本のファンが熱心だったからに違いない。だから昨年末にツアーは終了していたにも関わらず、改めて3月に来てくれたのだ。そう思いたい。

日本でラストツアーを行ったTHE ALMIGHTYもTHE WiLDHEARTSも、再結成したり日本でのみ復活したりしている。そりゃイギリスよりも金になるからだろうが、やっぱり全ては「1番歓迎してくれるファン」がいるからだと、そう思いたい‥‥数年後に再結成したとしても、恥じる事はない。こんなバンドなら大歓迎だ。その日まで、俺があなた達の歴史を『伝説』として語り継いで、盛り上げておくから‥‥


THUNDER @ Club Citta'. 3/12/2000
01. Welcome To The Party
02. River Of Pain
03. Higher Ground
04. 'Til It Shines
05. Pilot Of My Dreams
06. Gimme Some Lovin'
07. I'll Be Waiting
08. Fly On The Wall
09. An Englishman In Holiday
10. Love Walked In
11. Just Another Suicide
  ~ I Wish (STEVIE WONDER)
  ~ Just Another Suicide
12. Backstreet Symphony
[encore]
13. A Better Man
14. Play That Funky Music
15. The Only One
16. Dirty Love
  ~ (I Can't Get No) Satisfaction (ROLLING STONES)
  ~ Dirty Love



▼THUNDER『OPEN THE WINDOW - CLOSE THE DOOR』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2000 03 28 02:29 午後 [2000年のライブ, Thunder] | 固定リンク

2000/03/10

OASIS JAPAN TOUR 2000@横浜アリーナ(2000年3月5日)

  OASISのライヴは‥‥最後に観たのが「MORNING GLORY」発売前の時だから‥‥かれこれ4年半振りになる。前回「BE HERE NOW」ツアー@武道館は3日間ともチケットを持っていたにも関わらず、丁度東京から銚子へと戻った頃で、家の中も入院者が出たりでいろいろ慌ただしかった為断念していた。という事は「MORNING GLORY」世界的大ブレイク後の、あのアリーナツアーをまだ体験していないという事になる。クラブレベルでの彼らしか知らないのだから‥‥市場に出回っているビデオは何度も観ているから、あの"Live Forever"大合唱を数万人レベルで体験出来るのか?と想像しただけで‥‥小便チビりそうである。(笑)

  ところが前回の武道館、そうならなかったそうだ‥‥つまりこういう事だ。バンドがデカくなれば、それだけのセールスを上げる。事実、前作は日本国内で60万枚以上売れたそうだ。今まで彼らを知らなかった「ヒットチャート至上」な浮動票をうまく掴んだわけだ。そうすると、タダでさえ取りにくいチケットが更にプラチナ化するわけだ‥‥その結果どういう事になったか‥‥多くのロックファンが期待していたような現象が起こらなかったのだ。つまり‥‥"Live Forever"や"Don't Look Back In Anger"を1万人が大合唱する‥‥グラストンベリーやネブワースのようにはならなかったのだ。

  普段クラブKなどのイベントに出向いていると、必ずといっていい程フロアで大合唱になる曲がいくつもある。その代表例がOASISの曲だと思う。そもそも彼らの曲はひざを抱えてヘッドフォンで聴いたりするのではなく、大音量で、大規模で、大人数で、騒ぎ、唄い、消費されるべきなのだ。そうする事によって歌は更にパワーを吸収して、俺達の想像以上にデカいものへと成長していく。「みんなの歌」として書かれた曲が多くの人間が共有する事によって、本当の意味での「俺達の歌」になる瞬間。その瞬間を共有するのがOASISのライヴだと初来日、2度目の来日の時は感じていた。(とは言っても当時はそんな小難しい事考える余裕もなく、ただ一緒に唄っていられれば楽しかっただけなのだが)それが武道館という特別な場所で起こらなかった‥‥

  そうこうしているうちにオリジナルメンバーの2人が脱退し、バカ兄弟だけがデビュー時からの残留メンバーとなってしまった。その穴埋めをする事になったのが‥‥同じクリエーション・レーベルに所属していたゲム(元HEAVY STEREO)、アンディ・ベル(元RIDE~HURRICANE#1)だと聞いたときには、正直「メタルやプロレスの世界じゃねぇんだからさぁ‥‥」って思ったものである。(笑)MOTLEY CRUEからヴィンスとミックの首切ってトミー・リーを引き戻して、ボーカルにマイケル・モンロー、ギターにスラッシュでも入れたようなもんか?(爆)いや、ちと違うな‥‥まぁ判りやすく言えばこんな感じ。そのくらい驚いたのだ。と同時にOASISの場合‥‥ドラム以外、全員がボーカル取れるグループへと変化したわけだ。これを宝の持ち腐れにしないように生かすのか、それとも‥‥それを確認する意味もあって、今回の来日に挑んだ。そう、新作がリリースされるずっと前にチケットを取ってしまった。


  年が明け、2000年。正月明けに新生OASIS第1弾シングルとなる"Go Let It Out!"をラジオで聴いた。何のアナウンスもなく流れてきた、そのサイケデリックな曲。歌が入った瞬間にそれが彼らの曲だとすぐに判った。第1印象は‥‥「確かに変わったけど‥‥そんなにいい曲かな?シングルにするような曲かな?」だった。あの兄弟には起死回生とか、そういう言葉は無意味なようだ。(笑)その後、新作に関するインタビューを読む。『「BE HERE NOW」は失敗作だ』『解散しようかと思った』といったネガティヴな発言ばかりが目につく。おいおい、らしくねぇよ!? 雑誌もここぞとばかりに「前作は売れなかったから失敗作。今度のは凄い!」と煽る。本当に「BE HERE NOW」ってダメなアルバムだったか!? 改めて聴いてみたら‥‥全然色褪せてねぇじゃんかよ! むしろ「MORNING GLORY」が凄すぎたんだって、内容・セールス共に。確かに言いたい事は沢山あるけど、まだ3枚目だよ!? バンドを潰そうとしたのはノエルでもなくレコード会社でもなく、こういう書き方をする雑誌(メディア)じゃねぇかよ! どの雑誌も同じ事書きやがって‥‥

  2月上旬にシングルがリリースされた時には俺は無視した。初めて彼らの新譜をリリース日に買わなかった。やれ「新機軸」だ何だと騒ぐ割には、他の曲は今まで通りだったからだ。つまり、俺も雑誌に振り回されていたのだが。(苦笑)そのくせしてアルバムはしっかり発売日に買ったのだけど。(爆)そう、他に欲しいCDがあったにも関わらず、だ。が‥‥そのくせして最初に聴いたのは、買ってから数日経ってからだが。(苦笑)

  第1印象‥‥多くの人同様、「地味」だった。「大丈夫なの、これで?」とも思った。何が『最高傑作!』だよ、某雑誌!(爆)まぁこの辺りから雑誌には惑わされてなかったが。正直言って、1回聴き終えてまた暫く聴かなかった。それ程魅力的に思えなかったのだ。イイ曲はあるのだけど‥‥そういう曲に限って、俺のOASIS観からズレてる曲‥‥大合唱できないような曲‥‥ばかりだった。勿論、アルバムには新しいメンバーは参加していない。旧メンバー最後の録音となったわけだが‥‥どういう気持ちでこれらの曲に接したのだろうか‥‥そう思うと‥‥何だかとても悲しい雰囲気が漂っているような気がする。いや、悲しいというか、ヘヴィと言った方がいいかもしれない。そういう状況の中で出来上がったアルバム。だったらそれ以後の「現体制でのOASIS」はやはりライヴで感じ取るしかない。そう考え出したら、自然とライヴへの期待感も膨らんでいった。


  「リアム不調!」と初めて聞いたのは、ツアー初日2/29の横浜公演終了後だった。全然声が出ていない、と。新入りがまだ馴染んでいないのは仕方ないとしても、OASISの象徴とも言える「リアムの声」が完全な形で聴けないとなると‥‥ノエルだけでは魅力半減、いやそれ以下だ。そして3/3の福岡ではとうとう、5曲目途中でリアム離脱!残りの曲を全てノエルが唄うというアクシデントまで勃発した。これが自分が観に行く前々日の状況だった。キャンセル‥‥一瞬頭を過った言葉。が、その日はテレビ中継が入っているので、まずそれはないだろう。となると‥‥曲目変更か曲数減らすか‥‥ノエルが唄う曲が増えるか、まぁそんなところだろう。どっちみち他人の話を鵜呑みにするのではなく、後は自分の目と耳で確認してこよう‥‥そういう思いで3/5、横浜アリーナに出向いた。

  センター席(武道館や代々木体育館でいうところの「アリーナ席」)11列目、ほぼど真ん中。距離にしたら10mもないだろう‥‥確かにそれまでのクラブでの距離を考えれば遠いが、今の彼らを考えれば、こんなに近くで観れる事自体がラッキーかもしれない。同行した彼女も「こんな凄い席、初めて!」と喜んでおったし。(笑)

  意外にもライヴは定刻通りにスタートした。テレビが入っているからか?「ガンズだったらあと1時間は待つな」とか考えながら、オープニングS.E. "Fuckin' In The Bushes"を聴く。この曲からスタートして欲しいという願いは叶ったが、S.E.としてではなく演奏してもらいたかった。その方が絶対にかっこいいのに! S.E.が終わるとメンバーがぞろぞろとステージに現れる。「Hello!」とリアム。ふてぶてしさは相変わらず。スタートは"Go Let It Out!"だった。

  この日のリアムは思った程酷くはなかった。が‥‥こんなもんだっけ!?と思ったのも、また事実。かなり掠れてるし、ポケットに手を入れて隠してはいるものの、その手は明らかにお腹を押さえていた。腹を押して唄わねばならぬ程辛い状態なのか‥‥いや、勘繰り過ぎか‥‥高音が外れてたりしたけど、それは今に始まった事じゃないので関係なし。(笑)だが、明らかに「生気」が感じられない。俺だけか、そう感じたのは? 水はガバガバ飲むわ、歌のパートがない時は袖に引っ込んでスタッフと話をしているわで‥‥いつもこうだったっけ?‥‥何かに苛立っているのか、それとも‥‥

  問題の、新たなる「THE OTHER TWO」の出来は、上々といったところだろうか? ゲムはソロパートも結構あって、あの独特な姿勢(ちょっと中腰っぽい感じで前屈みになる?)で気持ち良くリズムを刻み、ソロを弾く。だが、彼の前にはマイクはなかった。そしてアンディ。デカいな、やっぱこの人は。HURRICANE#1時代にはよくジャケットとか羽織ってたけど、OASISに入ればそれなりに小汚い格好になるわけね?(爆)Tシャツにジーパンときたか‥‥それにしても、細身で長身の人がベース持つとかなり恰好良いなぁ‥‥元ガンズのダフといい、ビリー・シーンといい(細身でもねぇか?/笑)まぁこのバンドにいる限りはそれ程難しい事も要求されないだろうから、やってけるかな‥‥そう思ったのは俺だけでなく、アンディも一緒か?(笑)それにしても、アンディの前にもマイクはなかった‥‥やっぱりそういう事かい。(苦笑)俺、新体制に期待したのは「結構ハーモニーが増えるんじゃないかな?」って事。でもそれは儚い夢だったわけだ‥‥考えてみりゃOASISってあのバカ兄弟のバンドだし、まだ正式メンバーでもない?人間にそうやすやすと唄わせるわけがねぇか。


  結論から言ってしまおう。俺は今回のライヴ、100%は楽しめなかった。後半からのヒットパレードには大合唱で応えたが‥‥俺の周りで唄ってたの、殆どいなかった‥‥俺の右隣りなんて、腕組んだまま仁王立ちでノッてもいなかったし、俺の数列前もこの状態。新曲になると座ってる。おいおい、これ、本当にOASISのライヴか??

  正直、OASISは頑張ったと思う。確かにライヴ終わった後は感情的になって「こんなもんじゃねぇだろ!?」と思った。その思いは今も変わらないが、彼らの頑張りは伝わってきた。やれ無愛想だの生気ないだの最初は感じたが、冷静になって考えてみれば何の事はない、彼らなりのファンサービスに徹していたはずだ。MCも言葉少なだが、リアムなりのコミュニケーションをとろうとしていたし、最後の"Rock'n'Roll Star"ではステージサイドまで行ってファンと握手したり、タンバリンをあげたりなど気を遣っていたように思える。それはノエルからも感じ取る事ができた。彼の子供の誕生を祝うコメントを書いた紙を持って見せたファンに対し、ちゃんとお礼を言っていたり、何か駄洒落を言ってたり。(苦笑)彼らなりに必死にファンサービスをしてたのかもしれない。だが不器用さからか、日本人のお国柄か、そう感じ取らなかった人の方が多かったようだが。(当日の自分も含めて)

  結局、グラストやネブワースのような大合唱は今回も起こらなかった。あの"Wonderwall"でさえも(てゆうか、歌詞間違えてたし/笑)‥‥別に「OASISのライヴとはこういうものだ!」って固定観念を持っているわけではないし、「彼らのライヴはこう観るべき!」と押しつけるつもりもない。ただ‥‥そうは言ってもやっぱり『あの』感覚を味わいたかった‥‥それが正直な気持ちだ。そう思った人は何も俺だけじゃなかったようだ。うちの掲示板にも同じ意見を書き込んだ人もいた。よその掲示板でもそういう意見は見受けられた。「もうダメなのか‥‥」という意見も。けど、改めて考えて欲しい。本当にOASISってこの程度のバンドか? 今回が初めてって人はまだしも、クラブ時代から観てる人ならそう思ったはずだ。今回の彼らは本調子じゃない。ライヴは生ものだし、どんな理由をつけたってその1回きり、その一瞬が全てなのだ。たまたま観に行った日が最悪の日だったとしても、その人にとっては「あ、OASISってこの程度のバンドか」と判断されてしまう。ライヴはそういう怖さも持っている。だからこそ、俺は言いたい。「OASISは、リアムはこんなもんじゃねぇぞ! 俺はそんなOASISを、これからも断固支持するぞ!」と。


  セールスがガタ落ちでもしない限り、アリーナクラス以下ではやらないだろう。よく「ブリッツで観たい」とか「金儲けの為に」なんて言う奴がいるけど、一生夢見てろ!って思うよ。そうなったらどうなる? ブリッツ10回はやらなきゃな?(苦笑)仮にブリッツクラスで今回のような日程で回ったら、今度は「チケットが手に入らない!もっとデカいとこでやれ!」って声が増えるはず。それにツアーはアルバムのプロモーションとはいえ、金儲けでやってるわけだから、それがプロモーターの決めた事だろうが、最終決定はノエルやリアムが下したはずだ。それを支持出来ないなら観なければいい。

  既にここ日本では一般の人達に、マライヤ・キャリーやセリーヌ・ディオン、BON JOVIやAEROSMITH、エリック・クラプトンなんかと同じレベルで捉えられている。事実、今回会場で見かけた人は、普通のUK系のライヴと違ってスーツ姿やその辺にいそうなネエちゃん達、中学生くらいの子達が多かった。アルバムも売れに売れているらしい。と同時に、発売数日後には中古盤屋に沢山並んでいたが。(苦笑)一般のファンの方が正直だな。

  これが今のOASISなのだ。それを受け入れるか否か? それはあなたの自由。受け入れようが受け入れまいが、楽曲の素晴らしさには左右しないはずだ。今では新作をよく聴いている。ライヴを観たせいもある。ライヴ中盤での(俺にとっての)山場となった"Gas Panic!"。このプログレッシヴなブルーズが今後の彼らを象徴してるような気がしてならない。ただ、(音的に)枯れてしまうにはまだ早すぎる。こういう要素を取り入れつつ、また新しい要素も増え、更にパワーアップした「みんなの歌」に出会えるのは、そう遠くないはずだ。


oasis @ Yokohama Arena. 3/5/2000
 00. FUCKIN' IN THE BUSHES
 01. GO LET IT OUT
 02. WHO FEELS LOVE?
 03. SUPERSONIC
 04. SHAKERMAKER
 05. ACQUIESCE
 06. SUNDAY MORNING CALL (Vo. Noel)
 07. WHERE DID IT ALL GO WRONG? (Vo. Noel)
 08. GAS PANIC!
 09. ROLL WITH IT
 10. STAND BY ME
 11. WONDERWALL
 12. CIGARETTES & ALCOHOL
    ~ WHOLE LOTTA LOVE (INTRO / LED ZEPPELIN)
 13. DON'T LOOK BACK IN ANGER (Vo. Noel)
 14. LIVE FOREVER
[encore]
 15. ROCK'N'ROLL STAR



▼OASIS『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2000 03 10 12:00 午前 [2000年のライブ, Oasis] | 固定リンク