カテゴリー「2000年の作品」の94件の記事

2023年1月12日 (木)

JEFF BECK『YOU HAD IT COMING』(2000)

2000年11月15日にリリースされた、ジェフ・ベック名義での8thアルバム。

前作『WHO ELSE!』(1999年)でドラムンベースなどモダンなテクノサウンドをフィーチャーしたバクトラックと、常に進化を続ける先鋭的なギタープレイで我々を驚かせたベック。僕自身、『GUITAR SHOP』(1989年)以降は彼の新作に積極的に触れてきたわけではなかったのですが、この『WHO ELSE!』で得た衝撃は何ものにも変え難いものがありました。当時通っていたクラブでも「What Mama Said」や「Psycho Sam」のような楽曲が流れると、めちゃめちゃアガりましたからね。

そんな『WHO ELSE!』から2年立たずに届けられた『YOU HAD IT COMING』は、前作の方向性をさらに推し進めたもの。新たなプロデューサーとしてアンディ・ライト(SIMPLY REDSIMPLE MINDSEURYTHMICSなど)を迎え、ジェニファー・バトン(G)やランディ・ホープ-テイラー(B)、スティーヴ・アレクザンダー(Dr)といった前作参加メンバーのほか、エイデン・ラヴ(Programming)やイモージェン・ヒープ(Vo)も参加。長きにわたりタッグを組んできたトニー・ハイムス(Key)はスケジュールの都合で参加できなかったようですが、“鉄は熱いうちに打て”じゃないですけど、ベックがノっているタイミングに好きなだけ作れる環境で強行した結果がこの良作誕生につながったんだから、結果オーライだと思います。

前作およびそのツアーではベック自身が信頼を置くジェニファー・バトンのプレイが大々的にフィーチャーされていましたが、それは本作でも同様。オープニングを飾るドラムンベース調の「Earthquake」はそのジェニファーが単独で作曲を手がけた楽曲ですからね。そのジェニファーのテクニカル&アグレッシヴなプレイも随所に散りばめられており、ベック自身もそれに触発されたかのように若々しくてエネルギッシュ、だけど要所要所に年齢相応の枯れた味付けも感じられ、前作以上に聴き応えのある内容に仕上がっています。

また、前作は完全インストゥルメンタル作品だったのに対し、本作では「Dirty Mind」やブルースの名曲「Rollin' And Tumblin'」といった歌モノも用意。このテクノ路線で定番の「Rollin' And Tumblin'」を取り上げるセンスにも唸らせられるものがあります。常に時代の先を読みつつも、決してルーツは忘れない。だからこそ、僕自身この人のことをここまで信頼できたんだと思います。

僕自身は“テクノロジー3部作”と勝手に呼んでいる『WHO ELSE!』から『JEFF』(2003年)までの一連の流れの中で、実はもっともコンパクトでバランス感に優れた傑作がこの2作目『YOU HAD IT COMING』じゃないかなと思っております。「Left Hook」での暴れっぷりとか、今聴いても圧倒的ですしね。

 


▼JEFF BECK『YOU HAD IT COMING』
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2022年11月 5日 (土)

V.A.『RANDY RHOADS TRIBUTE』(2000)

2000年2月23日にリリースされたランディ・ローズ(ex. OZZY OSBOURNE、ex. QUIET RIOT)のトリビュートアルバム。日本限定で制作されたものですが、海外では韓国でも発売されていたようです。

プロデュースや制作の総指揮を担当したのは、SKID ROWACCEPTMETALLICAなどのプロデュースやエンジニアリングで知られるマイケル・ワグナー。それもあってか、参加ミュージシャンは過去に彼と仕事をしたことがあるHR/HM系アーティストが多数名を連ねています。

そのメンツもセバスチャン・バック(Vo/ex. SKID ROW)、ロブ・ロック(Vo/IMPELLITTERI)、ジョー・リン・ターナー(Vo/ex. RAINBOWなど)、マーク・スローター(Vo/SLAUGHTER)、ウルフ・ホフマン(G/ACCEPT)、ジェイク・E・リー(G/RED DRAGON CARTEL、ex. OZZY OSBOURNE、ex. BADLANDS)、ケイン・ロバーツ(G/ex. ALICE COOPER)、ロイ・Z(G/WEST BOUND、TRIBE OF GYPSIES、HALFORDなど)、ジョージ・リンチ(G/ex. DOKKENなど)、山本恭司(G/BOW WOW)、クリス・インペリテリ(G/IMPELLITTERI)、アル・ピトレリ(G/SAVATAGE、ex. MEGADETHなど)、ダイムバッグ・ダレル(G/ex. PANTERA)、チェット・トンプソン(G/ex. HELLION)と、ピュアHR/HM界隈には非常に豪華なもので、曲ごとに異なる組み合わせで華を添えています。なお、リズム隊はマイク・ブリグナーデロ(B/GIANT)&マイケル・カーテロン(Dr/ex. DAMN YANKEES)が固定で担当しています。

日本のレーベル主導ということもあり、その人選こそ日本のメタルファンが好みそうなものですが、内容的には可もなく不可もなくといった印象。そもそも取り上げられている楽曲がオジー・オズボーンの初期2作からなので、選曲も限定されますし、そりゃあこうなるわなといったところでしょうか。だって、前半5曲が『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)、後半5曲が『DIARY OF A MADMAN』(1981年)からで、冒頭4曲に関しては『BLIZZARD OF OZZ』とまったく同じ流れですし、耳馴染み良すぎるというか聴き飽きたものがありますから。

ワールドワイドリリースが実現した『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015年)と比べると、聴きやすさや安定感は今作のほうが勝るものの、繰り返し聴きたくなるかと言われるとそれはまた別の話。初期QUIET RIOT時代の楽曲を含むこと、サージ・タンキアンSYSTEM OF A DOWN)やトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)みたいにアクの強いアーティストを含むという点で、個人的には『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』のほうが好みかな。あくまで僕個人の視点ですが。

ただ、多くのHR/HMリスナーにとってはこの『RANDY RHOADS TRIBUTE』のほうが正義なんでしょうね。その理由も理解できますが。

過去にオジーバンドに在籍したジェイクが大切な「Crazy Train」のソロを崩しまくっていたり、ジョージ・リンチはジョージ・リンチのままだったり、クリス・インペリテリもクリス・インペリテリのままだったりと、まあ面白いっちゃあ面白いんですが、そんな中でランディに対する敬意がしっかりプレイに表れた山本恭司やダイムバッグ・ダレルのソロは、すべてを超越した正義感が伝わります。

シンガーに関しても、もうひとりふたり意外性の強い方が参加していたら、もうちょっと印象が変わったのかも。そもそも、オジーが歌う楽曲ですから、そこまで歌唱力/表現力の高いシンガーを必要するわけではないですから、アクの強さで勝負する人がいてもよかったんだけどな……というのも、ごく個人的な感想です。まあ、この4人(バズ、ロブ・ロック、ジョー・リン・ターナー、マーク・スローター)だと不思議と統一感も伝わったので、全然アリっちゃあアリなんですけどね。

先の『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』と違って日本限定作品ということもあり、現在は廃盤状態であり、サブスクでも聴くことができない代物。中古盤ショップを回れば意外と簡単に、かつ安価で入手できますので、気が向いたらチェックしてみてはどうでしょう。

 


▼V.A.『RANDY RHOADS TRIBUTE』
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2021年11月10日 (水)

RADIOHEAD『KID A MNESIA』(2021)

2021年11月5日にリリースされたRADIOHEADのリイシュー/コンピレーション作品。

本作は『OK COMPUTER OKNOTOK 1997 2017』(2017年)に続くリイシュー企画第2弾で、『KID A』(2000年)『AMNESIAC』(2001年)というほぼ同時期に制作された2枚の重要作と、この2作の制作期間に生み落とされたアウトテイクの数々をひとまとめにしたCD 3枚組作品集。ギターロックという雛形を排除して、音楽ジャンル的にもカテゴライズ不能な多彩さが溢れ出した転換期に制作されたこの2枚は、その内容の難解さにも関わらずリリースから20年経った現在も高く評価されることが多く、“RADIOHEADといえば「Creep」”といった初期のイメージを完全に払拭させることに成功した記念碑的2作品です。

そんな『KID A』と『AMNESIAC』本編に関しては、前者はリリース当時の2000年9月に、後者はだいぶ時間の空いた2017年8月に、それぞれレビューを執筆しているので、内容についてはそちらに譲ります。20年経った今聴いても、時代がこの2枚に追いついたのかどうか正直疑問ですが、2021年に聴いてもしっかり新鮮な気持ちで楽しめるということは、そういうことなんでしょう。

今回特筆すべきは、DISC 3に収められたアウトテイクの数々ではないでしょうか。海外盤/ストリーミングでは12曲、日本盤のみボーナストラックとして本編未収録のカップリング5曲を追加した17曲を収めたこの『KID AMNESIAE』と題されたディスク。インタールード的な楽曲の断片も含まれていることから34分と比較的短尺ですが(日本盤は5曲追加で53分まで拡張)、リードトラックとして先行配信された「If You Say The Word」「Follow Me Around」などアルバム本編に収められていても何ら違和感のない、非常に完成度の高い未発表曲も含まれています。ただ、これら2曲はどちらかというとまだ『OK COMPUTER』(1997年)の延長線上にある作風でもあり、それもあってアルバムから外されたのかなという気もします(後者は1998年のライブリハーサルで演奏されている映像も残っていますし)。

そのほか、アルバム収録曲の別テイクも完全に別モノといった仕上がりですし、12曲通して聴くとひとつのアルバムとしての統一感も伝わる。『KID A』や『AMNESIAC』での世界観を踏襲しつつ、その延長線上に生まれたスピンアウト的新作としては十分な内容ではないでしょうか。

だからこそ、日本盤ボーナストラックとして追加された5曲は蛇足かな?という印象も。どれも「Pyramid Song」「Knives Out」のシングルに収められていた楽曲群ですが、お尻に追加されることでアルバムとしての流れを削ぐものになってしまっているので、ひと呼吸置いてから聴くのがベストかも。もちろん、これら5曲も同じセッションから生まれた兄弟なので、まったく別世界ということはないのですが、流れを大切にして聴くのなら……ということで(そう言いながらも、すべてのシングルを所持しているにも関わらず「ボーナストラック」の一言に弱い僕は日本盤CDを購入してしまったわけですが。苦笑)。

RADIOHEADがこの手のリイシュー企画を、1stアルバム『PABLO HONEY』(1993年)や次作『THE BENDS』(1995年)を飛ばして、『OK COMPUTER』から始めた事実。今のバンドの成り立ちを考えると、非常に納得できるものがあります。でも、この初期2作を振り返る企画盤にも(できることなら世に出ていないアウトテイク含めて)期待してしまっている自分がいます。まあ考えられない未来だとは思いますが……。あと、同様に6作目『HAIL TO THE THIEF』(2003年)以降の作品でのこうしたリイシュー企画もちょっと考えられないかな、と。それだけ『OK COMPUTER』や『KID A』『AMNESIAC』の3枚がRADIOHEADのみならず、音楽シーンに与えた影響が想像を絶するものだったからこその、こうした企画だと思いますしね。

 


▼RADIOHEAD『KID A MNESIA』
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2021年8月 1日 (日)

OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』(2000)

2000年11月13日にリリースされたOASISのライブアルバム。日本盤は同年11月15日発売。

OASIS初にして活動期間中唯一発表されたライブアルバムは、4thアルバム『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』(2000年)を携え実施されたワールドツアーの中から、そのハイライトとなった2000年7月21日のイギリスWembley Stadium公演を軸に収録したもの。レコーディングには参加していないものの、ツアーからメンバーとなったゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)、アンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)にとって初のOASISの音源となります(スタジオ作品は5thアルバム『HEATHEN CHEMISTRY』より)。

できることなら初期メンバーでのフルライブアルバムも欲しかったなあと思うものの、ゲム&アンディが加わったことで演奏に安定感/安心感が加わったことでまとまったライブ作品の発表に踏み切ったというのもあるんでしょう。もちろん、かのWembley Stadiumをフルハウスにした歴史的ライブという要員も大きいでしょうけどね。

にしても、よりにもよって『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』を携えたツアーというのが……。まあ、ゲム&アンディがスタジオレコーディングに参加していないことから、「Go Let It Out」や「Who Feels Love?」はもちろんのこと、アルバムのハイライト的な長尺曲「Gas Panic!」もこの編成でしっかり楽しめるというのはありがたい限りですが。

ちなみに、本作での「Wonderwall」はボーカルテイクのみ同年3月に行われた横浜アリーナ公演から引っ張ってきたものなんだとか。これは、Wembley Stadium公演にてリアム・ギャラガー(Vo)がしっかり歌わなかったため、現存するテイクの中から横アリでのボーカルテイクが選ばれたんだそう。いやいや、横アリだって……ねえ?(苦笑) あと、ラストに収められたビートルズのカバー「Helter Skelter」は2000年4月16日、米・ミルウォーキー州Riverside Theatreからのテイク。貴重な1曲ですね。貴重といえばもうひとつ、本作にはニール・ヤングのカバー「Hey Hey, My My (Into The Black)」も収録されています。

いわゆる代表曲はほぼ網羅されているので、7万人の聴衆による大合唱をフィーチャーした「Wonderwall」や「Cigarettes & Alcohol」「Don't Look Back In Anger」「Live Forever」などもしっかり堪能できます。これを聴いちゃったあとに来日公演に足を運ぶと……特にフェスでは物足りなさを感じていたんですが、それも2005年以降はどんどん解消され、最後の来日となった2009年のフジロックでは大雨の中感動の涙を流したことを今でもよく覚えています。

なお、本作にはジャケット色違いの“ハイライト盤”と称したCD1枚モノの輸入盤も存在します。赤みがかったアートワークのC2枚組が通常仕様ですが、青みがかったアートワークのものは全18曲入りの通常盤から5曲カットした13曲仕様となっているので、ご注意を。さらに、同タイトルの映像版も発売されており、こちらは圧巻の客席の様子を併せてお楽しみいただけるはずです。

また、OASISのライブアルバムは単品では本作のみとなりますが、ベストアルバム『TIME FLIES... 1994-2009』(2010年)初回限定盤にはノエル・ギャラガー(Vo, G)脱退1ヶ月前(フジロックの約1週間前)の2009年7月21日に実施されたライブの音源が、ボーナスディスクCD1枚に収められています。フルスケールではないですが、こちらもオススメです。

 


▼OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』
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2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2020年11月 2日 (月)

PANTERA『REINVENTING THE STEEL: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2020)

2000年3月(日本は4月)にリリースされたPANTERAの9thアルバムにしてラスト作を、20周年を記念してスペシャルエディション化。海外では2020年10月30日に発売され、日本盤は同年11月18日リリース予定です。

2003年にフィリップ・アンセルモ(Vo)とほかのメンバーが決裂し、そのまま解散。ダイムバッグ・ダレル(G)とヴィニー・ポール(Dr)はDAMEGEPLANを結成するのですが、ご存知のとおり2004年12月8日にダレルが不幸に見舞われ死去。黄金期PANTERAの再結成は二度と叶わなくなってしまうわけです。

結果として最終作となった本作、過去のレビュー「リリース当時に聴いたときは『ヘヴィでカッコいいけど、ちょっと聴き手を選ぶ内容かなぁ』と」「が、あれから18年経った今聴いてみると、意外とキャッチーな1枚であることに気づかされます」と書きましたが、そこから2年経った今……つまり、オリジナルリリースから20年経った2020年に聴いても、その思いは変わらず、非常に徹底して作り込まれた「ヘヴィなのに意外と触れやすい」1枚であることが再確認できます。

今回のアニバーサリーエディションはCD3枚組で、DISC 2にはスターリング・ウィンフィールド、メンバーのダイムバッグ・ダレル&ヴィニー・ポールがプロデュース&ミックスを手がけたオリジナル盤のリマスターバージョン(およびラジオエディット4曲)が収録されています。もとのバージョンよりも若干ギターの音色がふくよかになったように感じられるのですが、いかがでしょう。

今回特筆すべきポイントはそこではなく、DISC 1とDISC 3の内容ですよね。DISC 1にはアルバム本編を、『COWBOYS FROM HELL』(1990年)から『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(1996年)までのメジャー4作品を手がけたテリー・デイトが再ミックス。こちらがですね、非常に現代的なサウンドに生まれ変わっており、スリリングかつヘヴィなPANTERAの姿を再び拝めるのですよ。ぶっちゃけこの音で当時リリースされていたら、もっと高く評価されていたんじゃないか……というのは言い過ぎでしょうか。このバージョン、しばらくヘビロテしてしまいそうです。

DISC 3はアルバム未収録曲と同時期に制作/発表されたカバー曲と、『REINVENTING THE STEEL』収録曲の別ミックスバージョンで構成。「Avoid The Light」は映画『DRACULA 2000』、「Immortally Insane」は映画『HEAVY METALL 2000』の各サウンドトラック提供のアルバム未収録オリジナル曲。「Cat Scratch Fever」はテッド・ニュージェントのカバーで映画『DETROIT ROCK CITY』サントラ提供曲。「Hole In The Sky」はBLACK SABBATHのカバーで、EP「Revolution Is My Name」が初出、その後ベストアルバム『THE BEST OF PANTERA: FAR BEYOND THE GREAT SOUTHERN COWBOYS' VULGAR HITS!』(2003年)にも再収録。「Electric Funeral」も同じくBLACK SABBATHのカバーで、こちらはサバスのトリビュートアルバム『NATIVITY IN BLACK II: A TRIBUTE TO BLACK SABBATH』(2000年)が初出となります。ファンなら一度は耳にしたことのあるテイクかと思いますが、こうやってまとめて楽しめるのはありがたいものです。

で、注目の別ミックスですが、こちらはすべて“ボーカル抜きのラフミックス”という完成数歩手前のバージョン。全10曲、すべての別テイクが収められており、ミックス自体はリマスタリングが施されたDISC 1、DISC 2には劣るものの、楽器隊の一丸となったプレイを、ギターソロまで含めてじっくり楽しめるという意味では非常に貴重かもしれません。まあ、完全にマニア向けですね。

というわけで、すでにオリジナル盤を楽しみ尽くした輩にはDISC 1(とDISC 3)、これから本作に手を出そうと思っている人は……まずはオリジナルバージョンからでいいと思います(笑)。無理にミックス違いやインストバージョンまで含め、同じアルバムを3周もする必要はないでしょう。

にしても、今聴いても「Hellbound」やら「Revolution Is My Name」やら、SLAYERのケリー・キング(G)がアウトロでギターをプレイしている「Goddamn Electric」など、本当に名曲揃いだなあ……この“続き”聴いてみたかったなあ。もはや二分の一がこの世にいないことを考えると残念でなりませんが。

 


▼PANTERA『REINVENTING THE STEEL: 20TH ANNIVERSARY EDITION』
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2020年10月10日 (土)

LINKIN PARK『HYBRID THEORY: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2020)

2020年10月9日にリリースされた、LINKIN PARKの1stアルバム『HYBRID THEORY』(2000年)の20周年記念デラックス盤。全24曲入りのCD2枚組と、全80曲で構成されたボックスセットおよびデジタルエディションの2仕様が用意されています。

内訳は、CD2枚組仕様が『HYBRID THEORY』本編(DISC 1)と当時のシングルC/W曲やライブ音源、マリリン・マンソンによるリミックスなどを含む12曲入りレアトラック集(DISC 2)で構成。ボックスセットは『HYBRID THEORY』(DISC 1)、2002年発売のリミックスアルバム『REANIMATION』(DISC 2)、CD2枚組仕様のDSIC 2と同内容のBサイド・レアトラック集(DISC 3)、18曲入りファンクラブ・Linkin Park Underground(LPU)限定レアトラック集(DISC 4)、貴重な12曲入りデモ音源集(DISC 5)、アナログ盤で『HYBRID THEORY』と『REANIMATION』(2枚組)、メジャーデビュー前にリリースされた『HYBRID THEORY EP』(6曲入り/1999年)、そしてMVや2001〜2002年の貴重なライブ映像をまとめた2枚組DVDからなり、デジタル版ではCD DISC 1〜5に『HYBRID THEORY EP』を加えた80曲を一気に楽しむことができます。

この機会にアルバム『HYBRID THEORY』を改めて聴き返しましたが、本当によく作り込まれた、完成度の高いデビューアルバムだなと再確認できました。そりゃ時代が動きますわな。このアルバムが与えた影響は海外のみならず、日本のバンドにも非常に大きなものがあるし、今でも本作はロックファンなら必ず通るべき教科書的な1枚として愛されているんじゃないか……いや、そうであってほしい、そう思わずにはいられない傑作。当時この手のニューメタルバンドを毛嫌いしていたリスナーにこそ、20年経った2020年という時代に触れてほしい1枚です。

レアトラックの中には「Pictureboad」や「She Could'nt」など完全未発表曲も多数収録。これらの多くは1999年前後に録音されたデモ音源とのことですが、中には前身バンドのXERO時代のものも含まれています。この中にはアルバム『HYBRID THEORY』の完成度に近いものもあり、しっかりとした録音状態だったらもっと早くに何らかの形でリリースされていたんじゃないかと思えるほど。とはいえ、『HYBRID THEORY』でのメジャー感と比べると若干アンダーグラウンド色が強いので、これはこれで間違ってなかったのかなと。

こういった『HYBRID THEORY』以前の音源はこれまでもLPU経由で発表されていたり、日本盤限定ミニアルバムなどでも公開されていましたが、今回こうやってまとまった形で聴くことができたことで、いろいろなブラックアップを経て到達できた答えが『HYBRID THEORY』という傑作だったんだと知ることができ、20年前には気づけなかったことも多く見つけることができました。

チェスター・ベニントン(Vo)が現在も健在なら、今頃『ONE MORE LIGHT』(2017年)に続くオリジナルアルバムを発表していたでしょうし、それをメジャーデビュー20周年という節目の2020年にリリースしていたんじゃないでしょうか。もちろん、これにあわせて本作のような企画盤も用意していたかもしれませんが……なんにせよ、『ONE MORE LIGHT LIVE』(2017年)以来3年ぶりのフィジカルリリースとあってファンにはたまらないものがありますよね。難しいことは考えず、今は本作をフラットな気持ちで楽しめたらと思います。

 


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2020年9月15日 (火)

KITTIE『SPIT』(2000)

2000年1月にリリースされたKITTIEの1stフルアルバム。日本盤は同年7月に発売されました。

KITTIEは1996年にカナダ・オンタリオ州で結成された女性4人組ニューメタルバンド。メジャーのEpic Records傘下のArtemis Recordsと契約し、この『SPIT』というアルバムでメジャーデビューを果たしています。当時は平均年齢17歳というトピックと、女性ながらもKORNや同時期にシーンを席巻したSLIPKNOTに通ずるグルーヴメタルサウンドで注目を集め、アルバムは全米79位を記録(50万枚以上売り上げ)。『OZZFEST 2000』ではSOULFLYDISTURBEDらとともにセカンドステージに立ち、翌2001年には国内メタル系フェス『BEAST FEAST 2001』で初来日も果たしています。

ガース・リチャードソン(MUDVAYNERAGE AGAINST THE MACHINESICK OF IT ALLなど)をプロデューサーに迎えたそのサウンドは、まさに2000年前後のモダンメタル/ラウドシーンらしいゴリゴリかつグルーヴィーなもので、適度な浮遊感は初期KORNやCOAL CHAMBER、DEFTONES、SOULFLYあたりに通ずるものがあるような気がします。ただ、楽曲自体は今聴くとそこまで個性的というわけでもなく、上記バンドの亜流、もしくは影響下にあるもののまだオリジナリティを確立するまでには至っていないというところでしょうか。

しかし、そんなKITTIEの存在感を唯一無二のものにしているのは、女性ボーカルという点でしょう。クリーンパートでは線の細さが気になるものの、男性ボーカルにはない色気や妖しさ、華やかさは間違いなく大きな武器になっているし、この声で念仏調のラップボーカルやデスボイスなんてやられた日にゃ、最初こそ「おお、頑張ってるじゃん!」と生暖かい目で見守っているものの、何度か聴いているうちに「あれ……これ、カッコいいんじゃない?」と気づかされるはずです。

2020年の耳で聴くと、若干の古臭さは否めませんし、突出した個性はそこまで感じられない作品かもしれません。が、本作を当時17歳前後の女の子たちが魂削って作り上げたと考えただけで、オジさんは胸が熱くなるわけです(完全に親目線ですね、これ。苦笑)。まあ、そういう事実を抜きにしても、デカイ音で聴いたら意外とカッコいいんですよ、マジで。

あと、改めて聴くとニューメタルというよりはハードコアの色が強いのかな?という気がしてきました。どことなく初期RATMっぽい色合いも見え隠れしますし、90年代半ばのSEPULTURA的パーカッシヴさも含まれているし。10代の子たちがカッコいいと思ったものを全部詰め込んだミクスチャー感こそ、実は一番の初期衝動だったりするんですよね。そういう意味では2度と真似できない(したら怒られる)、奇跡の1枚なんじゃないでしょうか。

僕は当時、アルバムから入ったわけではなく、コンピ盤に収録されていた「Brackish」を聴いてハマったクチでして。そこから「Charlotte」のMVを観て「ああ、これはアリだわ」と気づき、慌ててアルバムに手を出したわけです。その頃にはもう、日本盤も出ていたんじゃないかな。よく足を運んでいたロック系クラブイベントでも彼女たちの曲が何度かかかっていましたし、当時局地的に盛り上がっていた記憶があります。

上に書いたように、女性ボーカルという点以外ではまだまだ未成熟ですが、続く2ndアルバム『ORACLE』(2001年)では「らしさ」を掴み始めているので、本作をチェックして気になった方はあわせて聴いてみることをオススメします(2作目も時間があったら取り上げようかな)。

 


▼KITTIE『SPIT』
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2020年7月27日 (月)

THE SMASHING PUMPKINS『MACHINA: THE MACHINES OF GOD』(2000)

2000年2月末にリリースされたTHE SMASHING PUMPKINSの5thアルバム。

ジミー・チェンバレン(Dr)の脱退を経て、打ち込み主体のダークな前作『ADORE』(1998年)が賛否両論を巻き起こしたスマパン。その後、ジミーがバンドに復帰し、ビリー・コーガン(Vo, G)、ジェイムズ・イハ(G)、ダーシー(B)とのオリメンで早くも新作制作へと突入しますが、今度はレコーディング終了後にダーシーが脱退。後任として元HOLEのメリッサ・オフ・ダ・マーを迎えて、ツアーへと臨みます。

アルバムはジミーのダイナミックなドラミングを活かしたハードロックナンバー「The Everlasting Gaze」からスタート。全編この調子で進むのかと思いきや、続く「Raindrops + Sunshowers」は前作での経験が見事に反映されたデジタル色を散りばめたロックチューンだし、シングル向きなポップロック「Stand Inside Your Love」や「Try, Try, Try」のような楽曲も用意されている。穏やかなニューウェイヴ感が心地よい「I Of The Mourning」、打ち込みリズムを同期させたキャッチーな「The Sacred And Profane」、ヘヴィなギターリフと重々しいリズムがタイトルまんまな「Heavy Metal Machine」、『GISH』(1991年)の頃のフリーキーさを存分に堪能できる約10分もの大作「Glass And The Ghost Children」など、全体を通してこれまでの“メジャー感が強いスマパン”の魅力が凝縮された集大成的内容に仕上がっています。全15曲で約73分という長尺なトータルランニングも、アナログなら2枚組になるところをCD1枚にギリギリ収めようとするあたりに、超大作『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995年)よりも気軽に楽しんでほしいという意思が感じられます。

ですが、ここまでがっつり作り込んだものの、不思議なもので過去作ほど強く印象に残らないのが本作唯一の欠点かもしれません。1曲1曲は非常によく作り込まれているものの、アルバムとして並んだときのストーリーがそこまで強く感じられない。CD1枚にまとめてしまったことで、逆に全体像がぼんやりしてしまった(『メロンコリー』のようにディスク2枚に分けていれば、また印象も変わったのかも)。いろんなことが裏目でに出てしまった、残念な1枚と言えるかもしれませんね。

本作からは1曲もシングルヒットが生まれることなく、アルバム自体も全米3位まで上昇。セールス面では前作のミリオンにまで達しない、50万枚程度という惨敗ぶり……チャートの上位にはブリトニー・スピアーズやBACKSTREET BOYSのようなポップ・アイコンたちが名を連ねる現状を前に、スマパンは2000年末のツアー終了を持ってバンド解散を決意します。このラストツアーの一環で行われた日本公演については、当時このサイトでもレポートを残していますので、よろしければご参考まで。

オフィシャルな形ではラストアルバムとなってしまった本作。実は、アンオフィシャルな形でもう1枚(「枚」という概念はないかな。笑)、『MACHINA II: THE FRIENDS & ENEMIES OF MODERN MUSIC』(2000年)という作品を同年9月にネット配信することになるのですが、それについてはまた別の機会に。

 


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2020年7月25日 (土)

3 DOORS DOWN『THE BETTER LIFE』(2000)

2000年2月にリリースされた3 DOORS DOWNのデビューアルバム。日本盤は海外から少々遅れ、同年6月末に発売されました。

アメリカ・ミシシッピー州エスカタウパで1996年に結成された5人組バンドの彼らは、2000年1月に先行リリースされたデビューシングル「Kryptonite」が全米3位まで上昇する大ヒットを記録し、続いて発売された本アルバムも全米7位、現在までに700万枚ものセールスに達するメガヒット作となりました。なお、本作からはほかにも「Loser」(全米55位)、「Be Like That」(同24位)、「Duck And Run」といったシングルが生まれています。

いわゆるポスト・グランジの枠から登場した3 DOORS DOWNですが、聴けばわかるように特段新しいことをしているわけではありません。むしろ、90年代半ばから脈々と続く「土着的なアメリカン・ロックとグランジ以降のオルタナティヴ・ロックの融合」をセオリー通りに形にした、非常に優等生的なサウンド/楽曲がずらりと並ぶアルバムで、だからこそキャッチーでラジオ・ライクな「Kryptonite」がバカ売れしたんでしょう。

2000年というとUSロックシーン的にはLINKIN PARKDISTURBEDPAPA ROACHといったニューメタルバンドが次々とメジャーデビューを果たしたタイミング。そのラインで捉えようとすると、3 DOORS DOWNはちょっと異質な印象を受けます。むしろこのバンドは、90年代のUSロックシーンを牽引し続けたPEARL JAMCREEDの正統的後継者であり、『SILVER SIDE UP』(2001年)で爆発的ブレイクを迎えるNICKELBACK、のちに『LEAVE A WHISPER』(2003年)でデビューヒットを果たすSHINEDOWNらをオーバーグラウンドへと導いた次世代の先駆者だったのではないか?と捉えることができます。

先の「Kryptonite」の完璧なまでのポップネスは言うに及ばず、グランジ世代にはたまらない「Loser」や「Down Poison」、そのキャッチーなメロディが耳に残る「Be Like That」、90年代のUSロックのイメージを見事に引き継ぐ「Life Of My Own」や「So I Need You」、印象的なギターリフを持つ「The Better Life」や「By My Side」など、とにかく1曲1曲がしっかり作り込まれており、とてもデビュー作とは思えない完成度。だからこそ、本作がリリースされた当時は「出来過ぎ!」と若干敬遠気味だったことも、良くも悪くも本作らしさを物語っているのではないでしょうか。

海外と比べ、日本では決して知名度の高いバンドとは言えませんが、だからこそ本作がなぜいきなりメガヒットを果たしたのか、実際に聴いてその理由を確認してもらいたいところです。

 


▼3 DOORS DOWN『THE BETTER LIFE』
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