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2001/02/25

AC/DC『STIFF UPPER LIP TOUR 2001』@横浜アリーナ(2001年2月19日)

感動した、とかそんなちんけな言葉では片付けたくない。そんな2時間だった。15年待った甲斐があったってもんだ。いや、15年も待たせやがって‥‥この15年という長い時間は日本のロックファンにとって不幸以外のなにものでもない。ストーンズはデビューから30年近くかかった。確かにAC/DCは過去に2回来日しているものの、それから19年も来ていなかった。俺が彼らを知ってから15年‥‥そう、今のロックファンの多くは彼らを体験していないに等しい。これは快挙以外のなにものでもないのだ。

奇しくも19年振りの来日公演初日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの21回目の命日だ。偶然だろうが、偶然にしては意味深すぎる。後で聞いたところによると、センター席最前列近くには何故か喪服を着た方々もいらっしゃったそうだ(苦笑)。とにかく、多くのロックファンにとって、それぞれがそれぞれの思いを抱いて会場へ出向き、そしてその感情をぶつけていたのが印象的だった。

ファンの歓迎振りはグッズ売り場での長蛇の列からも伺う事が出来た。同じ横浜アリーナで観たOASISの時も長蛇の列だった。そう、ロックファンにとってはデザインの小綺麗なOASISも厳ついAC/DCも同列なのだ(って単にOASISの時はにわかファンが多かっただけかもしれないが。それにこの長蛇の列は横浜アリーナの特質なのかもしれない。売り場の位置の関係上ね?)。

さて、俺はライヴ直前の「今回の来日について思うこと」コラムで、このライヴを観た後に何が見えてくるのか、と書いた。答えなんかないかもしれない、とも書いたが、本当にその通りだった。15分遅れでスタートし、客殿が点くまでのまる2時間、ただ俺はヘラヘラ笑っていた。発する言葉と言えば「おおっ」「ぐぉっ!」「うわぁ~」「すげぇ!!」といった、正に擬音に近い表現ばかりだ。「感動した、とかそんなちんけな言葉で片付けたくない」とは書いたものの、実はそれ以前に思考回路が停止したままだったというのが正解だろう。確かにビデオで観るよりステージは小さいのかもしれないし、花火や火薬の量も極端に少ないだろう。けど、そんな事は終わって暫く経ってから気づいた事であって、ライヴ中は全く気にならず、むしろ「うわ~、ここまでやっちゃう!?」って気持ちが先走っていた。

演奏は完璧だったし、ブライアンの歌も思っていた以上によく出ていて、納得いくものだった。客の声援や歌声も尋常じゃなかったし、それに応えるバンド側も「プロ」に徹していた。オーディエンスが求めるモノと、バンド側が表現するモノ。これが見事に一致していた。こんなライヴ、滅多にお目にかかれないだろう。しかもライヴハウスでの小規模ではなく、1万人以上も入るアリーナクラスでの出来事だ。

選曲も、約20年の穴を埋めるかのようなグレイテスト・ヒッツ的内容で、新作のツアーだというのにアルバムからはたったの1曲だったという(苦笑)。けど、そんなのは終わってから気づいた事であって、本当に(何度も言うが)難しいことを考えさせない、まさしくエンターテイメントだった。正直、ライヴ前にそんなに予習をしてなくて、聴いてたアルバムも新作『STIFF UPPER LIP』と2枚のライヴ盤、それに『HIGHWAY TO HELL』と『BACK IN BLACK』くらいだろうか。勿論それまでには全てのアルバムに手を出していてどれもよく聴いていたので、まぁライヴ前だからって今更なぁって気持ちもあったのかもしれない。だって正直、選曲がどうなるかなんて判らなかったし。で、実際にライヴの最中、知らない曲は1曲もなかった。どの曲もサビにくると一緒に大声で唄っていた。特に後半の「Back In Black」以降の黄金のヒットメドレーには爆涙モノだった。ガンズのではなく、AC/DCの演奏で唄う「Whole Lotta Rosie」にはやっぱり鳥肌が立った。

バックのアンガス巨大ブロンズ像が動いたり、角が生えて光ったり、口から煙吹いたりっていうギミックも、アンガスのパンツ見せも、アンガスがブライアンのハンチング帽を取って見せたり、ダックウォークだったり、「オイッ、オイッ」ってかけ声だったり、「The Jack」のサビ大合唱だったり、最後の大砲大連発だったり、それら全てが毎回毎日の「お約束」なわけで、全てお見通しなのだけど‥‥やっぱり生で観て/体験してしまうと言葉を失う。いやぁ、スケールが違いすぎる。

馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだし、そんな予定調和と切り捨てる事も簡単だろう。けど、ここまで馬鹿に徹して観客を満足させて更にお釣りがついておまけにお土産まで持たされた今回のライヴを観た人間に、そんな事は言えないはずだ。ボン・スコットの命日だっていう悲壮感もゼロ。約20年振りだという感慨深さもゼロ。まるでずっとそこにあったかのように、当たり前に楽しませてくれたバンド。これはちょっとやそっとで出来るもんではない。これ観たら、暫く他のバンドが霞んでしまうような気が‥‥あ、俺この後KISS観に行くんだった‥‥同じエンターテイメント性豊かなバンドだけど、こっちはちょっと不安だなぁ‥‥演奏面が‥‥(苦笑)

とにかく、30間近のこんな俺でも童心に返って楽しむ事が出来た、そんな素晴らしいライヴだった。数年に何本観れるか判らない、極上のステージ。さて、次はいつ観れるのかな‥‥


<セットリスト>
01. You Shook Me All Night Long
02. Stiff Upper Lip
03. Shot Down In Flames
04. Thunderstruck
05. Hell Ain't A Bad Place To Be
06. Hard As A Rock
07. Shoot To Thrill
08. Rock And Roll Ain't Noise Pollution
09. Sin City
10. Bad Boy Boogie
11. Hells Bells
12. Get It Hot
13. The Jack
14. Back In Black
15. Dirty Deeds Done Dirt Cheap
16. Highway To Hell
17. Whole Lotta Rosie
18. Let There Be Rock
—Encore—
19. T.N.T.
20. For Those About To Rock (We Salute You)

投稿: 2001 02 25 05:07 午前 [2001年のライブ, AC/DC] | 固定リンク