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2001/03/04

Cocco『羽根 ~lay down my arms~』(2001)

  2001年2月21日、Coccoはオフィシャルサイト上で「音楽活動中止」宣言を発表した。「活動休止」ではなく、「中止」である。これは事実上の引退ではないだろうか?と推測する人間が多い。実際、俺もそう思っている。やはり昨年10月の武道館公演での彼女のMC(詳しくはライヴレポート参照)を聞いた後では、今回の発表は「やっぱりそうか‥‥」と思わざるを得ないのだ。

  今回の発表と同日に、彼女は2つのアイテムをリリースした。ひとつは、沖縄限定で発売された"風化風葬"、そしてもうひとつが今回紹介する、全国に流通するマキシシングル"羽根 ~lay down my arms~"である。

  昨年の全国ツアーを観た人ならピンときたと思うが、今回リリースされた表題曲2曲は昨年のツアーで既に発表されていたものだ。本当のラストに演奏され、Coccoのバレリーナのような最後の挨拶が印象的だったのがこの曲である。

  あれから半年近くが経ち、ようやくこうしてスタジオテイクを耳にする事が出来たわけだが‥‥ちょっとライヴで聴いた時と印象が違った。確かにイントロのツェッペリン的ギターフレーズはよく覚えているのだが‥‥あれ、こんなに激しかったっけ?というのが今回聴いた第一印象だ。非常に大陸的なスケールの大きさを感じさせる曲だったんだなぁ‥‥しかも唄い出しの「あなたを撃ち落とした/わたしの青い武器は/錆びてしまった」というフレーズにドキリとさせられる。深読みしようと思えばいくらでも出来る内容なのだが‥‥何故に彼女はこうも「終焉」を匂わせる歌詞ばかりを連発したのだろうか?

  かと思えばカップリングの"Drive you crazy"ではポップでありながら破壊力のあるストレートなロックンロールを聴かせてくれる。初期のグランジ的なものとはまた違う、整理させたサウンドがとても印象的だ。そういえば彼女の歌には英語詞のものが幾つかある。この曲もそうなのだが‥‥一度でいいから、全編英語詞のアルバムというのを聴いてみたかったな。初期の彼女はアラニス・モリセットと比較される事が多々あったので(その節回しや歌詞のストレートな内容から)、どれだけCoccoがアラニスとは違ったメンタリティを持ったシンガー/表現者かというのを明確にする機会になっただろうに‥‥

  もうひとつのカップリング曲、"箱舟"。俺は表題曲よりもこの曲の方が好きだ。歌詞が好きなのだ。タイプとしては"羽根 ~lay down my arms~"と近い楽曲なのだが、あちら程激しくもなく、ジワジワと歌・演奏が一体となって盛り上げていく。歌詞も1~2曲目よりも前向きさを感じさせるし、温かさを感じさせる。確かに彼女の初期の楽曲にはギスギスとした攻撃的な面が多かったが、作品を重ねる毎にその色は薄らいでいき、だんだんと聴き手を優しさで包み込むようになっていった。彼女の曲に共感したファンは徐々に、そして彼女と共に癒されていったのだ。

  「立ち上がる時には/許しを乞わないで/もういいんだからね」「やさしい/やさしい橋を架ける/光を散りばめて/あぁ愚かだと笑って/でもここに居て/何も言わないで」という歌詞。と同時に「ああ撫でられていられない/もうすぐ散るよ/灰は燃え尽きて/どこへ行こう?」("羽根 ~lay down my arms~"の一節)という歌詞。どちらもこの1枚のマキシシングルの中に収められている、今の彼女自身の言葉。この先の彼女に何が待ち受けているのか、そして今度のアルバムにはどういう言葉や想いが込められているのか‥‥その答えを我々が知るまで、あと1ヶ月ちょっとだ。



▼Cocco『羽根 ~lay down my arms~』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 03 04 01:00 午前 [2001年の作品, Cocco] | 固定リンク