Cocco『風化風葬』(2001)
2001年2月21日、Coccoはオフィシャルサイト上で「音楽活動中止」宣言を発表した。「活動休止」ではなく、「中止」である。これは事実上の引退ではないだろうか?と推測する人間が多い。実際、俺もそう思っている。やはり昨年10月の武道館公演での彼女のMC(詳しくはライヴレポート参照)を聞いた後では、今回の発表は「やっぱりそうか‥‥」と思わざるを得ないのだ。
今回の発表と同日に、彼女は2つのアイテムをリリースした。ひとつは、全国に流通するマキシシングル"羽根 ~lay down my arms~"、そしてもうひとつが今回紹介する、沖縄限定で発売された"風化風葬"である。
昨年の全国ツアーを観た人ならピンときたと思うが、今回リリースされた表題曲2曲は昨年のツアーで既に発表されていたものだ。「でも大丈夫、あなたはすぐに、わたしを忘れるから」というフレーズが印象的だったのが、今回の"風化風葬"だ。残念ながらこの曲は現在(2001年3月)、沖縄でしか手に入らない。沖縄に対する想いを唄った内容ではないのだが、彼女なりの故郷に対する想いが今回の沖縄限定リリースという形になったようだ(これについては彼女のオフィシャルサイト内に、このシングル発表に当たって発表された、彼女の直筆メッセージを載せた沖縄の新聞広告がアップされているので、それを参照の事)。これも‥‥何となくだが‥‥終わりを匂わせる行動だ、と最初知った時に思った。
このシングルは普通のシングルではない。1曲のみ収録された8センチシングルと、先の10月6日の武道館公演でのこの曲のライヴ映像を収録した7分程度のビデオがセットになった代物なのだ。そう、これまでCoccoの映像作品が正式にリリースされた事は今までなかった。プロモーションビデオ撮影にも積極的だし、これまで何度か行われてきたライヴも撮影されているはずだ。だがそれらは我々一般のファンの手に入る事はなかった。せいぜいPVを放送する番組で流される彼女のPVを録画したり、奇跡的にTV出演した時のものを録画する‥‥その程度だったのだ。そういう意味ではこの作品はとても貴重で、尚かつファンならマストなアイテムなのだ。
この楽曲自体は4月にリリースされる最後のアルバム(と噂される)「サングローズ」にも収録されるそうなので、楽曲にのみ興味がある人間はあと1ヶ月少々待てばいいわけだ。だが、ライヴビデオの方は‥‥もしかすると、このまま手に入らない可能性もある。今後、彼女のフル・ライヴビデオやアンソロジー的映像作品でもリリースされない限りは、この映像はお目にかかれないのかもしれない。
もしあなたの親類・友人に沖縄在住の方がいらっしゃるなら、その人に頼んででも手に入れるべき一品だろう。そういう知人もいないという人なら、俺と同じく某オークションで手に入れる方法もある(ただ、多少値が張っても文句は言えないが)。
さて、この楽曲だが‥‥恐らく、Coccoの「メロウ/スロウ・サイド」の集大成的内容ではないだろうか? "樹海の糸"や"ポロメリア"といった作品の集大成的な作品だな?とは先のライヴで聴いた時にも感じたが、こうやってストリングスを含むスタジオテイクを聴いて、更にその思いは確信へと変わった。
そういえば、この歌詞もどことなく「終焉」を匂わせる内容になっているような‥‥今回の発表の後だから余計にそう感じるのかもしれないが、同時リリースの"羽根 ~lay down my arms~"にもそう感じさせる表現・フレーズが多く登場する。
「崩れ墜ちるあなたに/最後の接吻をあげる/すがりついた昨日を/振り払って私は星を辿る」だとか、このタイトル「風化風葬」という言葉に、そしてサビのフレーズに終わりを感じる。まさか自身の引退を唄ったわけではないだろうが、何故この時期にこういった内容の歌を幾つも書いたのだろうか? 今度のアルバム収録曲のタイトルにも、何となくそう感じさせる題名があるが‥‥それは俺自身の穿った見方なのだろうか。
彼女が今後、メディアの前に登場するかは現時点では判らない。シングルプロモーションの為のTV出演はまずないだろう。ツアーは‥‥これもないかもしれない。だったら現時点でこんな発表はしないだろうし。もしするんだったら、アルバムが出てツアーが終わった時点で発表すると思う、混乱を避ける為に。もしかしたら取材‥‥「rockin'on JAPAN」辺りの取材を受けてくれるかも‥‥あるとしたら、この辺だろうな、きっと。何にせよ、彼女の「生きた」言葉を耳に出来る機会はあと1回‥‥4/18リリースのアルバムとシングルの計16曲‥‥だけは確実にあるという事。それだけだ。

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