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2001/04/29

THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC-DIS』(1999)

  THE MAD CAPSULE MARKETSの、現時点で最新作となるアルバム。リリースされたのが'99年8月だから、既に2年前の作品になるのだが、全く古さを感じさせない。流れの速い音楽業界の中で、特にこういったテクノロジーを駆使した音楽において2年というのは結構長い時間だ。例えばこのアルバムが発表された年に前作「DIGIDOGHEADLOCK」('97年)を聴いた時、録音やテクノロジーに若干の時代の流れを感じたものだったが、現時点(2001年4月)において、このアルバムを聴いてもそれは皆無だ。よい作品というのは、時間や時代や流行をも超越するものなのだ。

  それにしても、何故この時期にこのアルバムを取り上げるのかというと‥‥まず第1に、5月にはいよいよ新曲がリリースされるという事。既に耳にしているが、このアルバムの延長線上にある音だ。更に6月にももう1枚シングルをリリースし、夏にはいよいよニューアルバムが発表される。
  更に、この「OSC-DIS」が7月にアメリカの新興メジャーレーベルから世界的にリリースされる事になったのだ。過去にもマッドのアルバムは前作がやはり欧米のインディーレーベルから単発で発表されたが、今回はアイランド・レコード(U2やボブ・マーリー等が所属)の創始者が新たにスタートしたレーベルと、正式に契約したという話なのだ。来年の早い時期には「OSC-DIS」に続く新作も世界的にリリースされると耳にしているので、今後いよいよ本格的な海外での活躍も期待できるだろう。勿論、それだけの魅力と実力を兼ね備えたバンドなだけに、期待は大きい。

  このアルバムの大きな魅力。それは「テクノロジーを駆使した、テクノにも匹敵する緻密さ」「欧米のヘヴィロックにも匹敵する殺傷力」だろう。テクノチックなシーケンスを取り入れたヘヴィバンドといえば、欧米では10年程前からNINE INCH NAILSやMINISTRYといった大御所がいるわけだが、ここ5年くらいの間にそれすら特に目新しいというわけでもなく、いろんなバンドがその要素を「ごく当たり前に」取り入れるようになった。が、それを完全にモノにしているかと問われれば、全てが全てそうとは限らなかった。かなりテクノ寄りに進んだバンドというのは、やはりそれだけの知識とテクニックを持っていた人間だったという事なのだろう、意外と成功を収めているバンドが多いのだが、特にヘヴィ系となるとそう多くはない。大概はヒップホップ寄りに進んだりする(しかも旬だったし)。
  前作でのマッドの仕事振りは、やはりまだ中途半端だったと言っていいだろう。全ての曲のその要素が、完全にマッチしていたとは言い難かった。アレック・エンパイア等が関わったリミックスものに関しては、かなり良かったのだが‥‥

  しかし、そんなモヤモヤした思いをブチ壊してくれたのが、アルバムからの先行シングル"MIDI SURF"であり"PULSE"であった。これまでは「別にバックトラックのシーケンスがなくても、曲として機能してるじゃん?」と思わせていた空気が、ここにはなかった。バックトラックは完全に必要不可欠な要素のひとつとして、我々の耳を捉え、掴んで離さない。アルバムで言えば、特に1曲目"TRIBE"から3曲目までの流れ。最強の、最狂の流れじゃないだろうか? 何故俺が1999年度のベストアルバムにこの作品を選んだかが、よ~くお判りいただける流れだと思う。

  とにかく、全ての曲がポップなのだ。ピコピコしたシーケンス音やドラムンベースのバックトラックが入っていたり、ついていけない位に速いテンポの曲があったり、剃刀で切られたかの如くな殺傷リフがあったりするのだけど、歌は滅茶苦茶ポップなのだ。実はこれがかなり重要だ。特にサビのパートでは、オーディエンスが一体となって大合唱できるものが多い。モッシュし、大合唱する。これは今のコアなロックには必要不可欠な要素だ。何故Hi-STANDARDがあれだけの人気/セールスを維持しているのか、何故欧米ではLIMP BIZKITのようなバンドが人気を得ているのか、改めて考えてみて欲しい。細かなジャンルこそ違うものの、その根本にあるものは一緒なのだ。某ジャニーズの曲じゃないが「輪になって踊ろう」、これが全てなのだ。
  ロックは「個」で楽しむものなんかじゃない。「和」を、そして「輪」を楽しむものなのだ。それを改めて知らしめてくれたのが'90年代中盤にGREEN DAYやOFFSPRINGが、そしてHi-STANDARDが先頭になって繰り広げたパンク・ムーブメントだったんじゃないだろうか? 俺個人の感想だが、マッドの初期には「和」よりも「個」をイメージさせた。ファン同士の繋がりは深かったのだろうが、俺達のような一見さんが入っていける空気ではなかった。しかし、ここ数年のマッドからはそういったものは一切感じられない。むしろ「来る者は拒まず」な空気なのだ。それは楽曲からも感じるし、昨年体験したライヴからも感じ取れた。多くの海外のアーティストとの共演(RAGE AGAINST THE MACHINE, HELMET, FEAR FACTORY等)や、多くのイベントやフェスへの出演が切っ掛けのひとつになっているのは間違いないだろう。オーディエンスとの相乗効果が生んだ、「和/輪」の音楽。それがこのアルバムなのでは?

  昨年にはこのアルバムからシングルカットされた"GOOD GIRL"が某スポーツ飲料水のCMソングに起用され、更に一般への知名度を増した今、次に発表される作品では更なる爆発を期待できるはずだ。それまではひとまず、このアルバムを聴いて改めて彼らの魅力を再認識してもらいたい。



▼THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC-DIS』
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投稿: 2001 04 29 12:00 午前 [1999年の作品, Mad Capsule Markets, The] | 固定リンク