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2001年5月21日 (月)

エレファントカシマシ@Zepp Tokyo(2001年5月20日)

  というわけで、エレカシである。前回のツアーは昨秋リリースのコンピ盤「SWEET MEMORY ~エレカシ青春コレクション」をプロモートするツアーでもあったわけで、そこでいち早く新曲"孤独な太陽"が披露されていた。今回のツアーは全国にあるゼップ会場を回るクラブツアーになるわけだが、新曲リリース後にニューヨークへ飛んでレコーディングをしていたというそうだから、この場で再び新曲が何曲か耳に出来るのでは‥‥そんな思いを胸に、約2年振りにお台場・ZEPP TOKYOへ向かった。

  会場には開場時間1時間前に到着してしまった。既にグッズの先行発売を行っていたが、会場内からはリハーサルの音が漏れている。"コールアンドレスポンス"のようだ。ツアー開始2日目という事で、感を取り戻す為に念入りなリハーサルを開場直前まで行っているようだった。

  その後、会場周辺をぶらつき、開場時間の17時を過ぎた頃に再びZEPP前へ。既に入場の為の行列が出来ていた。俺はB280番台だったので、暫くその行列を眺めながら今日演奏して欲しい楽曲を勝手に想像していた。果たして秋冬のツアーとどう変えてくるのか‥‥

  ZEPPは独特な柵分けがあって、ダイヴなどがしにくいような気がする。まぁエレカシでダイヴっつうのも‥‥見てみたい気もするが。俺は会場中央よりちょっとだけ前寄りに陣取り、ライヴのスタートを待った。前回同様10分遅れでスタートした。上下黒で統一したメンバー4人が現れる。「Oh,Yeah!」を連呼する宮本。ホールとは違い、独特なノリが感じられた。

  1曲目は先日発売のマキシシングルに収録された"東京ジェラシィ"。ちょっと意外だった。かなり低いキーから唄い出す曲なので、ちょっと聴き取り難かった。キーが高くなって判明したのだが、この日の宮本の声の調子はあまりよくないようだった。何か既にツアー後半戦的コンディションというか‥‥千葉で観た時と同じような状態のような気がした。リハーサルに気合い入れすぎたのか、それとも最近はいつもこんな調子なのか‥‥この状態は最後まで続いたが、前回のように後半更に酷くなるということもなく、この状態を維持したまま、宮本は最後まで唄い叫んだ。

  続く2曲目はお馴染み"明日に向かって走れ"。前回と同じ構成だ。特に目新しいことなし。ただオーディエンスとメンバーとの距離感が短いせいか、「歌」がよりダイレクトに届いた、そんな気がした。メンバーの表情も手に取るように判るし。3曲目は先頃JR東日本のCMにも起用された、懐かしい"孤独な旅人"。出だしのギターのキーを宮本が間違っていた為、一瞬ドキリとしたが、そこはさすがプロ。何事もなかったかのようにオリジナルのキーに戻っていた。

  この後の展開は、やはり前回同様の"悲しみの果て"や、久し振りでは!?の"おまえと突っ走る"といった「ココロに花を」の楽曲を連続3曲披露。ちょっと嬉しかった(好きなアルバムなだけに)。そして一端"今宵の月のように"を披露した後、小休止。アコースティックコーナーへと移る。

  ここでは「愛と夢」から唯一披露された"真夏の夜空は少しブルー"がいい感じだった。前回のツアーでも時々演奏されていたようだが、「愛と夢」再評価が俺の中で盛り上がっている時期だったので、ちょっと嬉しい。本当はもっと他の曲も聴きたかったのだが‥‥そして続けざまに披露されたのが、「東京の空」収録の"誰かのささやき"! これには正直驚いた。タンバリンをサンプリングした打ち込みに合わせて演奏するという昨今のスタイルで演奏されたのだが、この時点までに演奏されていた『ポニーキャニオン~東芝移籍後』の楽曲と全く違和感がなかった。傑作「東京の空」というのは、今思えば初期のストロングスタイルのエレカシと、移籍後の歌を聴かせるスタイルのエレカシとの橋渡し的作品だったのではないだろうか? もっともあの時点での契約終了がなければ、「ココロに花を」は存在しなかっただろうけど。そういう意味では、本当にバランスがとれた作品だと思う、「東京の空」は。

  少し話が脱線したが、ライヴに戻ろう。アコースティックコーナーの締めは、最新シングルの"孤独な太陽"。昨年末のツアーでも既に披露されていた、あの曲だ(但し、当時はまだタイトルがなかった)。前回同様、宮本は椅子に座ってギターを弾く。あれっ、確か昨年のツアーではアコギだったような気が(テレビや今回のライヴではレスポールだった)。アレンジ自体は殆ど変わっていないようだが、リリースされて歌詞に目を通した分、より伝わって(聴き取れて)心に響いた。もっとヒットしてもいいはずなのだが‥‥

  ここで宮本、手ぶらに。「新曲がやっと1曲出来ました。えっと、いつ出るんだっけ? 7月?(と石くんに問いかける)ってこのオヤジに聞いても判るわけないか」と、相変わらずギターの石くんイジメ(笑)。そして披露された新曲は、パワーコード一発!って感じのリフが印象的な、アップテンポのロックナンバー。曲の構成は比較的シンプルで、Aメロとサビの繰り返し。低いキーからスタートし、後半オクターブ上がりするのは、最近の宮本のパターンなのか? 「豊かさの中の流浪の民よ」「俺達の憂鬱を」といったフレーズが耳に残り、「闘争」という言葉も何度か出てきたような記憶が‥‥歌詞だけ取れば、初期エレカシ的スタイルなのかもしれないが、メロディーが「現在進行形」のエレカシを感じさせるもので(特にコード進行に それが顕著に表れている)、まぁヒットは期待できないかもしれないが、次の一手を占う意味では非常に興味深い作品だと断言できる。
  そして何より、この新曲も「あくまでバンド」として演奏していた事が嬉しかった。前作では宮本の独断で打ち込みを取り入れ、それが楽曲に上手く作用していたが、石くんも成ちゃんもトミも、上手く生かし切れていなかったのでは?という疑問も少しだけあった。だからこそ、今年に入ってからの新曲が「あくまでバンド」主体の楽曲‥‥打ち込みに合わせて演奏するのではなく‥‥ばかりだという事に、俺はちょっとドキドキしている。もしかしたら、ハードサイドとソフトサイドが上手く融合した、過去最高のエレカシが生まれる可能性もあるし、逆に転ける可能性もある。恐らく秋にはアルバムが手元に届くはずだから‥‥その時にまた続きを。

  ここから後は、前回のライヴ同様、お馴染みの曲で攻めてエンディングまで持っていく形だ。前作からの"武蔵野"を披露した後に、トミのスネア頭打ち‥‥会場騒然、そう、本編ラストは"コールアンドレスポンス"だ。宮本は途中でギターを下ろし、狭いステージの上を右へ左へと暴れまくる。ここまでは高音がかなりきつそうだったが、それでも前回よりはいい方だ。マイクを床に叩きつけてステージを去り、本編終了。当然、アンコールを求める拍手が延々続く。

  ステージ袖から走って登場する宮本。シャツを黒から白に着替えている。やっぱり宮本といえば白シャツだろう。「もう何曲かやります!」の声に、観客大喜び。さて、ここまでで「エピック時代」の楽曲は1曲のみ。他にも期待できるのか?

  まずは再び「ココロに花を」から"かけだす男"。これも好きな曲だ。ハードだが泣きのメロディーが胸に響き、切なくなる曲だ。後半メロディーや節回しが複雑になるところが特に好き‥‥演奏もタイトだ。

  エンディングを引っ張り、宮本がトミに何か話しかける。相づちを打つトミ。カウベルを叩き始める‥‥ということは‥‥石くんが、あのリフを弾き始めた!!! "デーデ"じゃないかっ!!! ファーストからの曲が聴けるとは、思いもしなかった。1月の武道館ではやったらしいが、まさか今日ここで聴けるとは思ってもみなかった。俺もそうだったが、当然のように他の観客もこの日一番の盛り上がりを見せた。何せダイヴする客まで(!)現れたんだから‥‥そう、本当にエレカシのライヴでダイヴを観る事になろうとは‥‥っ!!! 初めて聴くライヴヴァージョンは、アルバムよりもハードコアなアレンジだった。特にサビに入る前のシンコペーション‥‥ガッガッガッってギター・ベース・ドラムが一丸になるところね‥‥のリズムが速くなるところ! 思わず拳を握りしめてしまった! 再びマイクを床に叩きつけてステージを去る宮本。当然、アンコールを求める拍手その2が延々続くのだった。

  そして2度目のアンコール。またまた「ココロに花を」から"四月の風"を披露。このアルバムの中で一番好きな曲だ(!)。ひとり泣きそうになりながら唄う、唄う‥‥それにしても、今回のツアーは「ココロに花を」の楽曲がここまでで5曲も披露されているが、これには何か意味でもあるのだろうか? たまたま選曲したらそうなったのか、それとも新作への伏線なのか? 非常に気になるところだ(でも、何か宮本の気まぐれのような気もするけど/笑)。

  最後の最後にプレイされたのは、名曲"ガストロンジャー"だ。当然客もステージも大暴れ。宮本は再び石くんに技をかけたりして、演奏の邪魔をする。それでも、何事もなかったかのように笑顔で演奏に戻る石くん‥‥やっぱり君こそ、真のギターヒーローだっ!(笑)

  まぁこんな感じでライヴは終了したのだった。時間にして、正味1時間半といったところか。前回とほぼ同数の演奏だったが、意外とあっという間に終わった感がある。まぁ今日でこのツアー2日目ということもあり、まだ肩慣らし(或いはリハビリ)状態にあるのかもしれない。演奏も危うさを感じる箇所が、途中何度かあったが、トータルで見れば満足のいく、いつも通りのエレカシだった。

  今回はアルバムレコーディング時期のライヴだったのだが、思った程新曲は披露されず、完全な新曲はたった1曲のみだった。ライヴ前は、もっと演奏されると勝手に想像していて、それらの楽曲とこの日のエレカシの状態から新作を占おうなんて思っていたのだが‥‥エレカシはいつも通りのエレカシだった(苦笑)。毎回何か新しいことを要求するのは少々酷かもしれないが、その辺は歴史の長いバンドだ、過去のレパートリーから意外な選曲をすればフォローできるだろう(新しさは皆無だが)。メンバーにとってはレコーディング最中の息抜き的(或いはレコーディング終了後のリハビリ的)ツアーなのかもしれない。まぁそれもいいか‥‥

  という事で、次に俺が彼らを観るのは、8月5日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」だ。フェスという事で演奏時間は短いだろうが、ファン以外の人間をも巻き込んで盛り上げてくれるような内容になるだろう‥‥ことを勝手に祈っている。


余談:この日は通常よりも1時間早い開場・開演時間だったのだが、当然バンドの入り時間やリハーサルの時間も1時間早まるわけだ。そこで宮本はこの日、10時に目覚ましをセットしたのだが‥‥目が覚めたら昼の1時だったそうな(笑)‥‥まぁギリギリリハーサルには間に合ったらしいが‥‥新曲と言って、即興でそういう歌詞を付けた曲を演奏するエレカシって‥‥お茶目だ(笑)。


[SETLIST]
01. 東京ジェラシィ
02. 明日に向かって走れ
03. 孤独な旅人
04. 悲しみの果て
05. おまえと突っ走る
06. 今宵の月のように
07. 真夏の星空は少しブルー
08. 誰かのささやき
09. 孤独な太陽
10. (新曲)
11. 武蔵野
12. コールアンドレスポンス
--アンコール--
13. かけだす男
14. デーデ
--アンコール--
15. 四月の風
16. ガストロンジャー



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