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2001/06/16

MANIC STREET PREACHERS『STARS AND STRIPES -GENERATION TERRORISTS US MIX-』(1992)

マニックスといえば、イギリスを代表する人気バンドというイメージがある。ここ数年はやっと日本でもその人気が定着したようで、この春に発表された新作「KNOW YOUR ENEMY」は不況続きの日本の洋楽部門の中でもなかなか善戦しているようで、リリースから数ヶ月後にTV用コマーシャルが作られた程らしい。

ところで、ヨーロッパ諸国や日本での人気は理解できるとして‥‥アメリカでのマニックスってどうなんだろう?と思う新規ファンの方々は多いのではないか? 例えばOASISやBLURがアメリカでもセールス的に成功したり高い評価を得ている反面、SUEDEやこのマニックスのように全く話題にのぼらない英国産バンドもいる。かのSTONE ROSESでさえ50位前後だったと記憶している。

アメリカ人は外国のアーティストに冷たい。よくそういう話を耳にする。例えば、DEPECHE MODEが'93年にリリースしたアルバム「SONGS OF FAITH AND DEVOTION」以後、英国アーティストがアメリカで1位を取るのはあのBEATLES「ANTHOLOGY 1」まで待たなければならないし、現役アーティストとなるとそれから更に数年後のBUSHやPRODIGYまで待たなければならない。英国色を強く感じさせない、インターナショナルな音ならば意外と成功を収めるようだが、「いかにも」なマニックスやSUEDE等はかなり苦戦を強いられているようだ(しかもSUEDEは過去に同名アーティストがいたために、アメリカでは「LONDON SUEDE」と名乗らなければならない。「X JAPAN」や「LONDON QUIREBOYS」も同様である)。

そのマニックス、デビュー当時はかなりアメリカデビューに力を入れていた。アメリカ盤「GENERATION TERRORISTS」はイギリスより数ヶ月遅れてリリースされた。しかもアメリカリリースに際して18曲→14曲に絞り込み&差し替え、アメリカ人が好みそうな音にリミックス、更に数曲に至ってはドラムをリズムボックス→生ドラムに差し替え、ギターやコーラス、キーボードをダビングするというサービス尽くし。ジャケットはそのままで、右下の方に例の「PARENTAL ADVISORY」の文字を入れた米盤「GENERATION TERRORIST」は結局、ビルボードの140位程度だったと記憶している(笑)。

で、ここで紹介するのはそのアメリカ盤ではなく(恐らく現在はアメリカでも廃盤だと思う。既にアメリカでのマニックスの権利はソニーにはなく、ヴァージンが持っているはずだから)、同年8月にここ日本でリリースされた、「STARS AND STRIPES -GENERATION TERRORISTS US MIX-」という編集盤。8曲しか入っていない、いわばセカンドまでの場つなぎミニアルバムである。この当時はマニックス、シングルやミニアルバムが連発してリリースされていた時期だ。それだけ鳴り物入りでデビューしたということだろう。

収録された曲の大半はオリジナル・ファーストに収録されているもので、リミックスされたりドラムが差し替えられたりしているので、オリジナル音源を知っている人にとってはかなり違和感があるのではないだろうか? 例えば"Slash N'Burn"なんて、完全に普通のアメリカンハードロックと化しているし、"You Love Us"もあの胡散臭さが消え、ストレートでパンク色豊かなハードロックに変化している(ジェームズの変なコーラスも加わったし/笑)。曲そのものは全くいじっていないのに、ドラムを差し替えミックスをクリアにしただけで、こうも印象が変わるものか?と当時はかなり衝撃的だった(いろんな意味で)。

その他の曲も"Crucifix Kiss"にはピアノが加わったり、"Little Baby Nothing"は更にポップさが強調されたような感じがするし、いかにもブリティッシュなはずの"Nat West-Barclays-Midlands-Lloyds"も妙にカラッとしている(知っている人も多いと思うが、この曲のタイトルは英国の主要銀行の名前を並べたものだ)。

ドラムはそのままだが、若干ミックスをした程度で収まっているのが、"Repeat"の2バージョン。きっと他のアルバム収録曲もそんな感じなんだろう‥‥って実は当時、このアメリカ盤は店頭で手に取っただけで、持ってないのだ。すぐにこのミニアルバムが出たので、こっちで済ませてしまって、暫くしたらアメリカ盤は手に入らなくなったという‥‥たまに中古盤屋で見かけるらしいので、その時は是非ゲットしようと思う。

で、何もこのアルバムはリミックスだけではない。かろうじて1曲、オリジナル盤未収録の曲が入っているのだ。それが"Democracy Coma"だ。UK盤"Love's Sweet Exile"シングルで既発の曲だが、日本&アメリカ初登場の1曲だ。当時は輸入シングルよりも歌詞付きの国内盤を重宝していた俺としては、大変ありがたい1曲だった。

それにしても、この曲のみ特にリミックスがなされていないように感じるのは‥‥俺だけだろうか? この曲のみ、初期マニックスの武器であった「鋭さ」と「甘さ」が両方感じられるのだが‥‥それにドラムも下手ウマっぽくて(笑)雰囲気出てるし。意外と好きな1曲である。

まぁ早い話が、ファーストのオリジナル盤を持ってる人は特に聴く必要はないであろう1枚で、マニアの方、又は"Democracy Coma"を聴きたい、ショーンの生ドラムを聴きたい、ジェームズの変なコーラス(掛け声?/笑)を聴きたいという変わり者のみ、お金を出して買ってみては如何だろうか?(ごめんなさい、マニアの皆様)

最後に、その後のマニックスのアメリカとの闘争についても書いておこう。セカンド「GOLD AGAINST THE SOUL」は無事世界共通仕様でアメリカリリースされた(しかしリリース時期が若干遅れたと記憶している)。ファースト同様、ジャケットには例の「よい子は買っちゃだめだよ」シール(笑)がプリントされていた。で、チャート上では大惨敗。全く話題にはならなかったようだ。ツアーもするにはしたようだが‥‥

その後、VERY BRITISHな「THE HOLY BIBLE」はアメリカリリースが見送られたと記憶している。3人になってからの「EVERYTHING MUST GO」は無事イギリスリリースの2ヶ月後に発表されたようだ(これもチャート圏外らしい。アメリカでの詳しいチャートアクションは判らないので、是非知っている人がいたら情報提供して欲しい程だ)。まぁ売れないレコード出す程、レコード会社も甘くはないってことでしょう。

で、'99年。アメリカでのみヴァージン・レコードと契約(当然、イギリスや日本ではエピックのまま)。プロモーションに全力を賭けるとのことでその年の4月に「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」がリリースされる。当時アメリカでもプロモーション活動をしている。が‥‥(苦笑)

この春、1ヶ月遅れで新作「KNOW YOUR ENEMY」も同じヴァージンからアメリカ・リリースされた。が、未だにチャートインしたという情報は入ってきていない‥‥ニッキー曰く「もうアメリカは諦めた」‥‥諦めなさいって、大味なアメリカ人には判らないってば!(苦笑)



▼MANIC STREET PREACHERS『STARS AND STRIPES -GENERATION TERRORISTS US MIX-』
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投稿: 2001 06 16 09:53 午後 [1992年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク