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2001年6月 5日 (火)

THE WiLDHEARTS『EARTH VS THE WiLDHEARTS』(1993)

というわけで、6月のオススメ盤には‥‥先頃初期のメンバーでの再結成を発表し、更には来日まで決定したWiLDHEARTSのオリジナル・ファーストアルバム「EARTH VS THE WiLDHEARTS」を取り上げることにした。ご存じの通り、今回再結成に参加しているメンバーはジンジャー(Vo & Gt/ご存じ、最近はSILVER GINGER 5としても来日したばかり)、ダニー(Ba & Vo/解散後はTHE YO-YO'Sとして来日も果たした)、CJ(Gt & Vo/脱退後はHONEYCRACKを経て、THE JELLYSで活躍)、スティディ(Dr & Vo/脱退後、WHATEVERに加入するも、アルバムリリース前後に脱退。その後CJと共にTHE JELLYS結成)という、まさしくこのアルバムを作った面子なのだ。何か今のところ、スティディは都合で来日公演には参加できないようで、その後任だったリッチ(現在はGRAND THEFT AUDIOで活躍中)が急遽参戦するという予定になってる。まぁどっちにしろ、このアルバムのツアーはリッチが参加していたわけだから、俺的には問題なし(けど、やっぱCJとスティディで観たかったって気持ちも多少あり)。

このアルバムは1993年後半にリリース。プロデュースには当初、ミック・ロンソンが携わる予定だったが、ご存じの通りミックはガンのためにその年の春に亡くなっている。プロデュースを依頼した時には既に病魔と闘っている最中だったのだろう。幸運にも1曲、"My Baby Is A Headfuck"の中でギターソロを披露している。ということで、プロデュースにはバンド自身が当たり、1曲("Suckerpunch")のみマーク・ドッドソン(JUDAS PRIEST, THE ALMIGHTY等)がプロデュース。このアルバムからはシングルとして、"Greetings From Shitsville"、"TV Tan"、そして"Suckerpunch"がリカットされている。また、現在のイギリス盤とアメリカ盤にはシングルオンリーで後にリリースされた"Caffeine Bomb"が追加収録されている。その代わりといってはなんだが、日本盤には先のシングル"TV Tan"のカップリングである"Show A Little Emotion"と"Down On London"がボーナストラックとして追加収録されている。"Caffeine Bomb"は日本盤「FISHING FOR LUCKIES」で聴けるので、ここでは貴重な音源を含んだ日本盤を購入すべきだろう。

とにかく、多くの人間がイメージする「WiLDHEARTS像」というのは、実はこのアルバムの楽曲群だったりする。ゴリゴリしたヘヴィーなギターリフに、パート毎にテンポが変わる展開、そこに乗るバブルガム・ポップなメロディー。1曲目の"Greetings From Shitsville"が正にその典型で、ライヴではモッシュやダイヴが起こること必至なナンバー。それに続くは、名曲"TV Tan"。後の"I Wanna Go Where The People Go"や"Sick Of Drugs"のプロトタイプとなった曲だ。勿論、それ以前には"Weekend"といった曲もあるわけで、この手の曲が好きな人間にはたまらない、パワーポップとさえ呼ぶことのできるタイプの1曲。

ライヴで定番の、後半複雑な展開をする"Everlone"や、ヘヴィーなリフを重ねに重ねた"Shame On Me"、ホンキートンク・ピアノと女性コーラスが気持ちいいストレートなロックンロール"Loveshit"、これも如何にもワイハーらしいファスト&メロウな"The Miles Away Girl"、ミック・ロンソン参加の定番ロックンロールナンバー"My Baby Is A Headfuck"、そこからメドレー形式で続く"Suckerpunch"の流れは、いつ聴いても圧巻。

ポップな前半に、プログレ的展開を持つ後半が対照的な"News Of The World"、コミカルなイントロから途端に高速化する"Drinking About Life"、そしてライヴのラスト定番曲となっているヘヴィな"Love U Til I Don't"という、全11曲の流れは正に完璧としか言いようがなく、これを初めて聴いた時、俺は「こいつらについてく!」と決心したのだった。

とにかく、このアルバムの時点で既にジンジャーという人は、自身のソングライターとしての幅広さを証明している。'93年当時、まだOASISがマンチェスターのクラブで眠っていたこの頃、こんなソングライターはいなかった。残念ながら、既に当時から「BURRN!」でしか取り上げられることのなかった彼らだが、もし最初から「rockin'on」や「クロスビート」等といった、HM/HR以外をメインに扱う洋楽専門誌で紹介されていたなら‥‥時代は変わっていたかもしれない。

「BURRN!」系バンドの中では、彼らは革新的バンドだったかもしれない。しかし、その他の洋楽専門誌では「メタル」と切り捨てられ、日の目を見ることはなかった。その風貌からも、それは仕方ない結果なのかもしれない。けど、もし彼らがWEEZERやGREEN DAYあたりと同列で語られていたら‥‥「アメリカン・パンクに対する、イギリスからの回答」と呼ばれていたかもしれない。そう思うと、悔しくてたまらない。

幸い、この「とみぃの宮殿」には彼らのファンが多かったし、俺やそういった方々の熱の入った絶賛に後押しされ、お気に入りのひとつとなったという話も聞く。けど、まだまだだ。この再結成を切っ掛けに、もっと多くの人間に支持されてもいいのではないだろうか? 先に挙げた2バンドに興味がある方、そしてそれらの音が好きなパワーポップ・ファン。確かに毛色は多少違うとは思うが、許容範囲には入っていると思うのだ。是非「聴かず嫌い」はやめて、彼らの世界に飛び込んで欲しい。一度ハマッたら、二度と戻ってこれない世界ではあるけれど‥‥(笑)



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投稿: 2001 06 05 06:06 午後 [1993年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク