EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000)
さて、2001年のフジロックを目前にして、いよいよ「とみ宮」でも問題児・EMINEMを取り上げようと思う。実は昨年からずっと、やろう/やりたいとは思っていたのだけど‥‥意外とうちでは話題に上ることが少ないじゃない? 確かにこのアルバム「THE MARSHALL MATHERS LP」を昨年(2000年)のベストアルバムに挙げてくれた方もいたんだけど‥‥これだけ売れても騒がれもしない。まぁ管理人がヒップホップに弱いから、掲示板等でも話題にする機会もなかったし。
EMINEMとの出会いは、確か一昨年のクラブKで、当時ヒットし出していた"My Name Is"を聴いたのが最初。まぁその頃はそれ程ヒップホップに惹かれることもなかったので、何なる「踊りやすい」1曲として流していた。その後、LIMP BIZKIT等のヒップホップ・メタルを通過することによって、ヒップホップはより身近な存在となっていき、そんな中昨年リリースされたこのアルバムが大ヒットを記録し、EMINEMは一躍時の人となる。今年のグラミー賞でも何か受賞してたしね?(よくこんなお下劣なアルバムが受賞したもんだ/笑)
このアルバムは、まぁヒットしてたってこともあって何となく手を出したんだけど‥‥買ってから暫くは封すら開けず手付かず状態が続いて‥‥2ヶ月程経ってから?(笑)やっと聴いてないことに気づいて。そこからはもう、頻繁に聴いてた。昨年自分が参加してた地元のDJイベントでもよく回されてたし、このアルバムからのシングル"Stan"も大ヒットを記録したから、自分から進んで聴こうとしなくても、どこからともなく耳に入ってくるって感じだった。で、ここ数ヶ月は、フジロック出演/初来日が決まったこともあって、改めて自分の意志で聴いている。
ロックファンと公言する人の中には、ヒップホップが苦手だとか、ヒップホップとロックを別モノとして語ったりする人が多い。俺は何度も言うけど、「ヒップホップやテクノも、ロックの中のいちジャンルにすぎない」と思っている。十代前半でRUN DMCやBEASTIE BOYSと出会ってからずっと、ヒップホップはロックに含まれると思い続けてきた(RUN DMCがAEROSMITHと共演した"Walk This Way"やBEASTIESの"Fight For Your Right"といった曲はロックそのものと言っても過言ではない)。その後、ヒップホップは確立したひとつのジャンルとして成長していったが、俺は今でも「ストリートレベルのロックンロール」だと信じている。
このEMINEMには、そういう「ストリートレベル」のいい意味でのくだらなさを感じる。お下劣で暴力的で俺様節全開のライム(歌詞)から受ける印象は、例えば'70年代前半のストーンズやピストルズ、ビッグになる過程のGUNS N'ROSESと同様なものだと言える(アクセル・ローズがカミさんの鼻をへし折ってやる程度だったのが、このEMINEMさんは殺しちゃいますから/苦笑)。さしずめ最近のアーティストで言えば、そのEMINEMが大いに嫌う(笑)LIMP BIZKIT辺りと共通するものさえある。但し、ここでいうLIMPはセカンドでの大ブレイク前夜まで。LIMPは最新作でそれまでストリートレベルだった視点が、完全にエンターテイメントの方向へ向いている。一方EMINEMの方もライヴでは完全にエンターテイメント路線のようだ。つまり、このEMINEMのセカンドアルバムとLIMPのセカンドは、ある意味同じ方向性だと言える。と同時に、実は全く正反対な性質を持ってるとも言えるのだが‥‥どっちつかずだって? ほっとけ(笑)。
全く正反対な性質‥‥つまり、LIMPが「外へ、外へ」‥‥オーディエンス側へ向けてライムを放っていたのに対し、ここで放たれるEMINEMのライムは私小説的‥‥「内へ」と向いているように受け取れるのだ。いや、その内を通り越して一周して、実は外を向いていたりするのだが(って実際どっち向いてるんだよ!?/苦笑)。何故EMINEMがフレッド・ダースト(LIMP BIZKITのVo/MC)のことをボロカスに言うのかが、何となく理解してもらえたのではないだろうか?
EMINEMは言いたい放題言って「攻め」続けた結果、勝ち組の仲間入りをした。今では大嫌いなLIMP BIZKITと同じ土場で戦うことを強いられている。LIMPは最新作で、前作を踏まえた上でのエンターテイメント路線を展開した。さて、EMINEMはどうだろう‥‥とりあえず現時点(2001年7月)では、D12という6人のMCから成り立つユニットとして活動を平行している。どっちがどうで、という違いはあまり感じられないのだが、自身のバランス感覚を保つためにも必要なユニットなのだろうと俺は考えている。まぁ音楽的に言えば、EMINEMソロの方がよりロックテイスト(バックトラックが多彩で、ギターの音も効いている)を強く感じさせるが、攻撃性だけみたら甲乙付けがたい。まぁパンチが効いてるのがD12で、色とりどりなのがソロだと言えるかもしれない。
今後、EMINEMがどういう方向性のアルバムを作るのかは本人にしか判らない。彼も日和ってLIMPのサードのような作品を作るのかもしれないし、あるいはここまで売れてしまっても尚、内面にえぐり込むような攻撃を仕掛けてくるかもしれない。その結果はすぐには出ないだろうが、とりあえず今は、数日後に控えたフジロック3日目大トリという「歴史的瞬間」に備えて、意味もなく腕立て伏せなどをしてみたりして‥‥体力使いそうだもんな、何かライヴは(苦笑)。
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