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2001年9月16日 (日)

よく解るBLACK SABBATH:その3 ~トニー・アイオミ~

初回はオジー在籍時BLACK SABBATHが凄いと言われる理由、そして前回はそのオジーのソロ活動についてレクチャー(ってモンでもないか?/苦笑)してきたが、今回はサバスの30年以上に渡る歴史の中で、唯一脱退を経験していない(メジャーデビュー後という意味。実はデビュー前の1969年に一時脱退している)メンバー、いわばサバスの「大黒柱」であるギタリスト、トニー・アイオミについて、その魅力を紹介していきたいと思う。

トニーの特徴と言えば左利きだという点。そしてギブソンのSG(ソリッド・ギターって意味だったんだね?)黒をメインに使っている。首からぶら下げた十字架のペンダント、等々‥‥色々挙げられるが、ここはやはりそのギタープレイについて言及したい。

リフメイカーとして有名なトニーだが、例えば同時期に名を馳せたLED ZEPPELINと比べてみよう。和音を多用し、ブルーズやロカビリー、ロックンロールを基調とした3コードがメインとなることが多かったZEPと比べ、和音よりも短音リフが目立ち、尚かつポジショニング移動も極力少なく、ブルーズからの影響以外ではジャズの色が濃く、音と音の隙間をわざと埋めないでそのままにする。これがトニー・アイオミの特徴だろう。ジミー・ペイジが「ガッガッガッガッ」って刻むようなプレイが多いのに対し、トニーは「ガァ~ン、ガァ~ン、ガァ~ン」と一音を延ばす傾向にある。ジミーの初期の名リフ「Communication Breakdown」「Whole Lotta Love」、そして「Immgrant Song」を、トニーの名リフ「Black Sabbath」「Iron Man」「Sweet Leaf」と比べてみるといいだろう。

また、トニーはトリル(プリングやハンマリングという、ピッキングしないで左手指で弦を指盤に叩きつける奏法。エディ・ヴァン・ヘイレンのソロプレイを思い浮かべてみるといいだろう)を多用する点も特徴と挙げられるだろう。リフのオカズとしても多用するし、ソロプレイにも登場することが多い。特に80年代以降はトリル+ワウワウ・ペダルという複合技も多用するようになる。ディストーションとクリーントーンとのハーフトーンを使ってジャズっぽいメロディープレイをする点も特徴だろうか。「Sabbath Bloody Sabbath」のBメロに登場するフレーズがその代表と言えるだろう。

サバスの楽曲は、殆どの作者クレジットが“BLACK SABBATH(OSBOURNE, IOMMI, BUTLER, WARD)”となっていることから、どの曲を誰が作曲したかという詳細は不明である。しかし、ギターリフを元に作曲されているのは明白で、そういう意味ではトニーが中心となって、ジャムセッションしながら肉付けしていったというのが、もっとも正解に近いのかも知れない。ギーザーも作曲するだろうが、作詞のほとんどがギーザーと言われているようだ。

余談だが、ギーザー自身も80年代サバス空中分解後、GEEZER BUTLER BANDというのを結成しているし(音源はなし)、1995年にはg//z/r(後にGEEZERと改名)という現代的ラウドロックバンドを結成している。メンバーはFEAR FACTORYのボーカル、バートン・C・ベルにオジーの『OZZMOSIS』に参加したドラマー、ディーン・カストロノヴォ、そしてGEEZER BUTLER BANDのギタリスト、ペドロ・ハウスとギーザーの4人。後にボーカルがギーザーの息子と交代している。オジーのアルバムでもギーザーが作曲に絡んだ曲はかなりモダン・ヘヴィネス的アプローチをしているので、元々ヘヴィミュージックを心底愛している人なのかもしれない。そういう意味では、サバスのヘヴィネスは何もトニーのリフ作りだけによるものではない事がご理解いただけるだろう。

実際にトニー・アイオミのプレイを聴いてもらって理解していただくのが一番だろう。初回に紹介した1998年のサバスのライヴ盤『REUNION』は70年代オリジナル・サバスのベスト盤的内容となっているので、初期の曲を今のトニーのプレイで聴ける、格好のサンプルとなるだろう。それ以外では、サバス以外の仕事となるが、初のソロアルバムである「IOMMI」がオススメだ。このアルバムはソロアルバムとはいうものの、作曲とギター以外はすべて他のアーティストが参加という、いわばプロジェクト・アルバムのようなものだ。

そうえいば、ジミー・ペイジは時代時代によってメインギターを変えている。初期はレスポール一色だったが、後期にいくとストラトやテレキャスターなんかも使っていた。レコーディングでもいろんなギターを使っていたようだ。ところがトニー・アイオミとなると、黒のSGというイメージしかない。その頑固一徹な拘りに「漢」を感じるのだが。いざ、作曲となると、こだわりをあまり感じさせない(苦笑)。オジー在籍時の初期4作は作風的にも流れ的にも統一感を感じさせるものの、5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』以降の数作には実験的要素等の迷いを感じさせる。更にロニー・ジェイムズ・ディオ加入後の『HEAVEN AND HELL』ではRAINBOW的様式美要素も取り入れ、その後再びディオが再加入するまでは様式美路線を突き進む。勿論、それでもヘヴィさに重点を置いているのだが……。

ディオ再加入後の『DEHUMANIZER』はモダンヘヴィネスの要素を取り入れた意欲作だが、ディオ再加入で再びコアな様式美路線を期待した多くのファンからは駄作と切り捨てられる。さらに再び従来の路線に戻った『CROSS PURPOSES』を経て、何故かラッパーのアイス・T率いるBODY COUNTのギタリスト、アーニー・Cがプロデュースした『FORBIDDEN』では再び初期サバス色を前面に打ち出している。こだわりはあるんだろうけど、こと音楽面に関して言うと、オジーほど見えてこない。アーティストというよりはミュージシャンなんだろう、この人は。オジーのようにキャラクターで勝負する人では絶対にないが、そのオジーとステージでは対等に渡り歩いてきたという事実。この辺をもっと理解するには、やはりアルバムやビデオを聴いたり観たりするだけではなく、しっかりとライヴに足を運んで確認すべきなのだろう。残念ながら俺は、1989年と1994年の来日公演には足を運んでいない。ディオやオジーがいた頃のサバスには興味があるものの、トニー・マーティンというシンガーには全く思い入れがないから。彼が歌う「War Pigs」や「Die Young」を聴きたいと思わなかったのだ。

けど、もし次に……シンガーが誰であろうと……来日の機会があったら、絶対に足を運ぼうと思っている。オジーやギーザーは実際に生で観たことがあるが、トニーだけは未だに未体験なのだから。

リフメイカーとして語られる事の多い彼だが、いちギタリストとして語られる機会は意外と少ない。どうしてもオジーに目がいってしまうから。これを機に、特にギターを弾く方々に再注目してもらいたい。どのアルバムにも触れるべきポイントが沢山詰まっているので、ここに挙げた以外の作品にも、興味があったら是非手を出してもらいたい。

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