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2001/09/16

IOMMI『IOMMI』(2000)

BLACK SABBATHのアックスマン、トニー・アイオミの事実上初のソロアルバム。'80年代前半、イアン・ギラン(DEEP PURPLE)を迎えたサバスが失敗し、サバスとしてではなくトニーのソロとして最初は制作された「SEVENTH STAR」というアルバムがあるが、あれはレコード会社の圧力により『BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI』という訳の判らない名義でリリースされいる。あのアルバムはボーカルにグレン・ヒューズ(元DEEP PURPLE)、ドラムにエリック・シンガー(現KISS)、ベースにデイヴ・スピッツ(元WHITE LION。元ANTHRAXのダン・スピッツの実兄)他を迎えたバンド編成での作品となっていたが、この2000年秋にリリースされた本格的なソロアルバムは、楽曲毎にリズム隊やシンガーを取っ替え引っ替えして、単純に全てのギターとソングライティングにトニーが絡むのみという、非常に面白い作りとなっている。最初このアルバムがリリースされた時、てっきりサバスとしての活動が終了したからのソロアルバムだと思っていたのだが‥‥

プロデュースには復活サバスでのライヴ盤「REUNION」を手掛けたボブ・マーレットを起用。彼は'90年代後半のアリス・クーパーの作品や元JUDAS PRIESTのロブ・ハルフォードが一時期やってたバンド、TWO(NINE INCH NAILSのトレント・レズナーのレーベルからアルバムを発表している)を手掛けたりしている。どちらかというと、伝統的なメタル愛好者というよりは昨今のラウド系やインダストリアル系の人ってイメージなのだが‥‥さて、その「伝統継承者」と「今時のプロデューサー」とのコンビネーションはどんなもんなのだろうか??

以下に各楽曲毎の参加メンバー及び簡単な感想を紹介することとするので、ご参考までに。

M-1. Laughing Man (In The Devil Mask)
シンガーにROLLINS BANDのヘンリー・ロリンズ、ベースにテリー・フィリップス(この人、知りません。スタジオミュージシャン?)、ドラムにジム・コプリー(再結成MONKEESやPRETENDERSに参加)。リズムがサバスというよりも、昨今のラウド系っぽい跳ね気味なので、アイオミっぽくないかな?なんて思ったりして。ボーカルがロリンズってこともあって、独特な雰囲気を醸し出している。かなりのダウンチューニング(1音下げ?)の為、サバスよりも重い。リフとリフの隙間に効果音のように入るハーモニクス音がまた雰囲気を盛り上げる。ギターソロも暴れまくってるし‥‥でもよく聴くと、やっぱり(特にディオ期サバス以降の)トニーが弾くソロって感じかな? 非常に'90年代後半のラウド系を研究してるかなって感じ。

M-2. Meat
ボーカルに先頃解散したSKUNK ANANSIEのスキン、ベースはこのアルバムのプロデューサーであるボブ・マーレット、ドラムは元TESTAMENT~WHITE ZOMBIE~現ロブ・ゾンビのドラマー、ジョン・テンペスタ。一部ギターでそのSKUNK ANANSIEのギタリスト、エースが参加。ということもあってか、まんまSKUNK ANANSIEの曲として通用する内容となってる。確かにリフはトニーっぽいんだけど、スキンのような個性的なシンガーが唄うと、どの曲もSKUNK ANANSIEのようになってしまうという‥‥ってこれは、どのシンガーの曲にも言えるんだけど、このアルバムに参加したシンガーはどれも個性が強い人ばかりなので、どの曲もサバスというよりはそのシンガーが在籍するバンドの曲のようになってしまってる点が面白い。個人的にはアルバム中で好きな部類の曲。つうかマジ残念、解散は‥‥

M-3. Goodbye Lament
ボーカル&ドラムに元NIRVANA~現FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、ベースにはサバス「SEVENTH STAR」でも弾いてたローレンス・コットル(フュージョン系のアルバムにも参加してることから、どうやらスタジオミュージシャンのよう)、一部ギターにQUEENのブライアン・メイが参加。って聴けば判るよね、あのギターオーケストレーション(笑)。FOO FIGHTERSとブライアン・メイの共演は過去にも何度かあるので、その流れからかなぁと思うのだけど、実はトニーとブライアンは旧知の仲で、以前にもサバスの'89年のアルバム「HEADLESS CROSS」で1曲("When Death Calls")、ブライアンはギターソロを披露しているし、逆にトニーは'92年4月のフレディ・マーキュリー追悼ライヴにゲスト参加している。さて肝心の曲だが‥‥FOO FIGHTERSともサバスとも違う、別物‥‥サビでのギターオーケストレーションのせいでQUEENみたいっつうか(笑)。まぁグロールが叫ぶ箇所になると、あぁフーファイかなぁって感じがして。特にアルバム中、印象に残るタイプの曲でもないかな‥‥最もポップではあるけど。異色作ってとこかな?

M-4. Time Is Mine
ボーカルにPANTERAのフィル・アンセルモ、ベースにローレンス・コットル、ドラムに元SOUNDGARDEN~現PEARL JAMのマット・キャメロン。まんまサバス(笑)。フィル・アンセルモのサバス好きはご承知の通り。自身でDOWNなんていう、まんまサバスなストーナーロックバンドをソロでやってた程だから。このアルバム中、最もサバス及びトニーに敬意を表した曲では? ボーカルはPANTERA以外の何ものでもなく、それでいてバックはサバス以外の何ものでもない。普通の出来と言ってしまえばそれまでだが、個人的には「やるべき人間がやるべき仕事をやった」って感じで好感が持てる。

M-5. Patterns
ボーカルにSYSTEM OF A DOWNのサージ・タンキアン、ベースにローレンス・コットル、ドラムにジミー・コプリー。何かサバスの"Electric Funeral"と"Iron Man"をくっつけたみたい(笑)。サージのあの独特な唄い方はここでは希薄で、どっちかっていうとありがちな出来。もっとハードコアでSYSTEM OF A DOWNも真っ青な曲を期待したんだけど、残念。まともなヘヴィロックかストーナーロックといったところだろうか?

M-6. Black Oblivion
アルバムのハイライトとなる1曲。ボーカル、ベース、そしてギターの一部を元SMASHING PUMPKINSのビリー・コーガン、ドラムにはジョン・メレンキャンプ・バンドの一員としてだけでなく、多くのセッションでお馴染みのケニー・アロノフ。8分以上もある大作で、ある意味で末期スマパン的アプローチとも取れる内容。つうか、「MACHINA」でのスマパンがサバス的アプローチを取り入れていたとも言えるが。途中何度も曲調が変わる展開が入る点が非常に初期サバスっぽいというか。まぁビリーの声質のせいもあって、トニーの色が希薄かなぁ、と。スマパンの未発表曲と言われたらそのまま信じてしまいそうな1曲(つうか以前、この曲をスマパン好きの友人に聴かせたら「何、未発表曲?」と言ってたし)。アルバム中最も好きな曲。

M-7. Flame On
ボーカルにTHE CULTのイアン・アストベリー、ベースにローレンス・コットル、ドラムにマット・キャメロン、一部ギターにブライアン・メイが参加。これも曲調&イアンの歌唱のせいあって、非常にTHE CULTっぽくなっている(特にサビの掛け合いっぽいとこなんて、モロCULTだし)。確かにリフ等はサバスのそれっぽいとも言えるのだが、いざイアンが加わると‥‥世界観が一気に変わるという‥‥けど、まぁ‥‥普通の曲だな、これも。インダストリアル的S.E.が所々に組み込まれているが、それも空回りかな?って気も。つうかブライアン・メイ、どこに参加してるの?(苦笑)もしかして、ギターソロ!? とにかくイアンのカラーのみが色濃く表れた、中途半端な出来。

M-8. Just Say No To Love
ボーカルとベースにTYPE O NEGATIVEのピーター・スティール、一部ベースでローレンス・コットル、ドラムにマット・キャメロン。歌に入った途端に別世界へと導かれてしまう‥‥好きです、ピーター・スティールの歌声(笑)。TYPE O NEGATIVEとはまた違った世界観なんだけど、非常にサバスとマッチしてるような気がする。サバス・トリビュートアルバムでもTYPE O NEGATIVEがカヴァーした"Black Sabbath"は最も異様な色を醸し出してたしなぁ。サバスでもTYPE O NEGATIVEでもない世界を新たに作り出してるよ、これ。これもかなり好きな部類の曲。

M-9. Who's Fooling Who
サバスの新曲です、ハイ(笑)。ボーカルにオジー・オズボーン、ドラムにビル・ワードという現サバス組。ベースもローレンス・コットルということで元サバス組なので‥‥サバス新曲と言い切っても間違いではないでしょう。まぁギーザー・バトラーのあのベキベキ・ランニングベースがなくちゃ今のサバスとは言い難いけど‥‥イントロの鐘の音の時点でもう雰囲気バッチリ。ただ、思いっきりダウンチューニングで尚かつキーが低いことから、オジーが持ち味を発揮し切ってないかなぁ‥‥と。オジーは中~高音域が特徴なわけで、低音で凄まれても、ちょっと‥‥(笑)このメンツ、プロデューサーも復活サバスと一緒ということもあり、かなり再結成後の新曲に近い作風なのだけど‥‥まぁ普通の曲かなぁ、と。オジーとトニーが組むんだから、かなりハイレベルな楽曲を勝手に期待してしまってるのだよ、こっちは。中盤の"Children Of The Grave"みたいな展開は好きだけどね。それよりも、もっとかっこいいリフ&メロディーに期待(もしかしたらこの曲、ノーマルチューニングで演奏したらカッコイイのかも‥‥)。

M-10. Into The Night
ボーカルにビリー・アイドル、ベースに元SOUNDGARDENのベン・シェパード、ドラムにマット・キャメロン、って‥‥リズム隊、SOUNDGARDENかよ!!(笑)それにギターがトニーって‥‥これこそまんま、サバスじゃんか! どうせなら、ボーカルにクリス・コーネルを‥‥レイジと一緒にやってる場合じゃねぇってば(苦笑)。この曲も必要以上にキーが低いせいで、ビリー・アイドルの持ち味を生かし切れてないかなぁ、と。ビリー・アイドルは'80年代、大好きなシンガーのひとりだったので、この声の枯れ具合にちょっと悲しくなったりして‥‥途中途中、無駄に入る「ア゛~ォ!」っていうシャウトに彼の拘りを感じた(笑)。勝手に「もしこの曲でクリス・コーネルが唄ってたらなぁ‥‥」とか思ってら、途中でアップテンポに展開して、もろビリー・アイドルな曲調に(笑)。好きです、やっぱりこれでも。あと、7曲目にブライアン・メイってクレジットされてて、どこに参加してるのか不明だったんだけど‥‥こっちの曲には、如何にもブライアンなギターオーケストレーションのパートがあるんですが‥‥(苦笑)手違いでしょうか? まぁ何はともあれ、最近‥‥映画「スピード」以来‥‥全く音沙汰のなかったビリー・アイドルの生存が確認できただけでも、ヨシとしよう(苦笑)。


つうわけで、以上が全曲。ビリー・アイドルやイアン・アストベリー(THE CULT)といった、ヘヴィロックとは言い難いジャンルの人達も含まれているが(ある意味、現在のデイヴ・グロールもこっち側の人かな? OZZ FEST出演経験者とはいえ)、基本的には最近のアメリカン・ラウド系を代表するシンガーを中心に置いて作られた感がある。ただ、ラウド一本というわけでもなく、そのビリー・アイドルやイアン・アストベリー、そしてスキンといった異色を混入することで、トニー・アイオミのソングライター/リフメイカーとしての才能を改めて伺い知る事ができる。サバスではどちらかというと一本調子なイメージがあるが、こうやっていろんな曲調/作風の曲に対応出来ることからも、その事実は歴然としている。

今後、オジーと活動することで、初期サバスのような作風を求められるだろう。そうなれば、更に限定された音楽性での活動を強いられる。そのガス抜きとして、またこういうソロアルバムが作られることと思う。個人的には固定のバンド編成ではなく、こういうアプローチでまた作って欲しいと切に願う。面白かったよ、マジで。メタルにちょっと興味があるって人、ドンズバのラウド系が好みの人、普段メタルしか聴かない人、どの層にもアピールする内容じゃないかな? オムニバス・アルバムを聴くような手軽な1枚。昨今のラウド系オムニバスとしても機能する出来となってるので、サバス云々抜きで語られてもいいと思うよ?



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投稿: 2001 09 16 11:44 午後 [2000年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク