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2001年9月 8日 (土)

OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』(1995)

“HM/HR界の『サージェント・ペパーズ』”という大袈裟な表現が似合う程、これまでのオジー・オズボーンのイメージとは異なる楽曲が多く、幅広く収録された1995年発表のソロとしては7枚目のオリジナルアルバム(ライヴやベストを除く)であり、現時点(2001年9月)に於いての最新作。この10月にはいよいよ6年振りにオリジナルの新作が発表されるそうだから‥‥もうそんな前の作品になるのか。考えてみれば、この6年の間には『OZZFEST』開始もあったし、初のベスト盤リリースもあったし、BLACK SABBATHとしての復活もあった。ソロでのバンドメンバーも度々変わり、一体現在誰が在籍してるのか判らなくなる時期もあったが、結局この6年はサバスを中心に回っていた感もあるので、気にしないこととしよう。

この『OZZMOSIS』は1991年秋に発表された『NO MORE TEARS』から4年振りに発表されたオリジナル新作。だが、ちょっとこのアルバムリリースにはいろんな意味が隠されている。まずオジーは1991年に一度、ステージからの引退を発表しているのだ。よって『NO MORE TEARS』でのツアーが最後のツアーということで、世間を騒がした。アルバムリリース1ヶ月後にここ日本からスタートしたワールドツアー(勿論、俺も武道館に足を運んだ。2階席のかなり後方だったがいい想い出だ)は約1年続き、最終日には幻のオリジナルサバス再結成も含まれていた。それらの音源を含んだ、集大成的内容のライヴアルバム『LIVE & LOUD』を1993年に発表し、オジーはそのまま隠居するのかと思われた。

翌年にはBLACK SABBATHトリビュートアルバムに(トリビュートされる側にも関わらず)ゲスト参加し、同時にこの頃から「アルバム制作開始」の噂が広がる。しかも、そのパートナーとしてスティーヴ・ヴァイの名前が挙がる‥‥オイオイ(苦笑)。ヴァイはメタル向きの人間ではない。アバンギャルドなそのプレイからミュージシャン受けが良く、グラハム・ボネットデイヴ・リー・ロスデヴィッド・カヴァーデイルといったシンガー達と活動を共にした経験を持つが、やはりメタルの人とは言い難いプレイなのだ。そのヴァイとオジーは曲作りをしたそうだ。結局、アルバム参加にまでは到らず(当然のように周囲が猛反発したと聞く)、レコーディングには旧知の仲であるザック・ワイルド(Gt)、そしてサバスでの盟友であるギーザー・バトラー(Ba)、そしてヴァイから薦められた現JOURNEYのディーン・カストロノヴォ(Dr)が参加。プロデュースにはRED HOT CHILI PEPPERSSOUNDGARDENでお馴染みのマイケル・ベインホーン、ミックスにはALICE IN CHAINSCATHEDRALを手掛けるデヴィッド・ビアンコという、昨今のヘヴィ/ラウド・ロックには欠かせないエンジニア陣を起用。このメンツからして、どれだけヘヴィな音になるのかワクワクしたものだ。

さて、アルバムだが‥‥ヘヴィロック一辺倒という内容ではない。確かに1曲目「Perry Mason」がスタートすると「これぞオジー流モダン・ヘヴィネス!」なんて唸ったりもしたが、アルバムが進むにつれいろんなタイプの曲が登場する。確かにヘヴィな音像をしており、ザックのギターもこれまでで一番ヘヴィだし、ギーザー&ディーンのリズム隊もモダンで重心の低い音を出す。けど、メロディーは相変わらずポップだし、サバスのヘヴィネスと比べるとどこか違う。よりモダンというのもあるが‥‥バックの演奏は確かに'95年当時のヘヴィロックなのだが、歌はいつものオジー。この絶妙な組み合わせが独特な味わいを出しているのだ。

このメンツじゃなきゃ作れなかったであろう超ヘヴィネスな「Thunder Underground」や「My Jekyll Doesn't Hide」のような曲もあれば、バラード「See You On The Other Side」「Old L.A. Tonight」もある。サイケな「Ghost Behind My Eyes」や「Denial」、スティーヴ・ヴァイとの共作でやはりサイケテイストな「My Little Man」、歌モノポップスとしても通用しそうな(それでいてバックはHMな)「I Just Want You」‥‥これまでもHM/HR一辺倒というわけではなかったが、ここまでカラフルなアルバムは初めての事だ。前作『NO MORE TEARS』の時点でその前兆は見え隠れしていたが、ここまで本格的にやるとは‥‥本来はライヴなんて想定していなかったはずで、あくまで「スタジオ作品」として作られたはずなのだ。しかし、いつの間にか「ライヴからの引退、撤回」発言まで飛び出し、当然のようにこのアルバムでツアーにも出るわけだ(苦笑)。残念ながらというかやはりというか、ライヴではこのアルバムからの曲は数曲しか披露されなかったようだ。オジーのライヴは、基本的にはグレイテスト・ヒッツ的内容となっていて、新作からは2~3曲という事が多い。サバス時代~ソロまでの全作品から選ばれるわけだから、仕方ないと言われればそれまでだが‥‥個人的にはこのアルバムの楽曲の完全再現ライヴを観たかった。

オジーという人がビートルズを好きだという事はファンの間では周知の事実で、実際これまでもそういう要素は所々に見受けられた。しかし、このアルバムのように本来は「ライヴを想定せずに作られた、スタジオワークの結集的」作品でその才能が開花するとは思ってもみなかっただろう、ファンも本人も。けど、やっぱりヘヴィメタルの人というか、その音像はメタル以外の何ものでもなく、バンドサウンドに拘っている。いや、もしかしたら楽曲作りの段階で、既にライヴを想定していたのかもしれない。ザック・ワイルドという類い希なるプレイヤー/コンポーザー/パフォーマーと共に曲作りを進め、そこに旧友ギーザー・バトラーが加わった時点で。個人的には、このメンツは最強だと思っていた、が‥‥ツアーに出れるのか出れないのかをザックに問いただすと、当時GUNS N' ROSESにも声をかけられていた彼は結局両天秤にかけ、それをオジーが激怒し、結局他のギタリスト(ジョー・ホルムズ)を起用する。そしていざツアーを開始すると、ディーンのドラムがうるさすぎるとの事でクビ(笑)、代わりに旧知のランディ・カスティロ(後にMOTLEY CRUEに加入するも2002年5月、癌で死去)を起用することとなる。その後サバス復活の件もあってギーザーも抜け、ベスト盤(1997年)に伴う日本ツアーでは何故かザック、ランディ、そして現ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズという、『NO MORE TEARS』ツアーのメンツでの来日となった。結局その後、再びジョーが復帰し、ドラムは元FAITH NO MOREのマイク・ボーディン、ベースには元SUICIDAL TENDENCIESのロバート・トゥルージロを起用する事となる。

そういえば、このアルバムはオジーの歴史上、最も高順位に位置したアルバムである(米・ビルボード紙のアルバムチャートで初登場4位)。これまでもトップ10入りは何度か果たしていたが、4年のブランク後にこの結果‥‥しかも時代はヘヴィ/ラウド・ロック全盛時代。如何にオジーがメタル界だけでなく、多くのロックファンに復活を願われていたかが伺える象徴のひとつかもしれない。そしてオジーは、このアルバムを引っ提げて翌年、オズ・フェストを開催するのである。

最初に書いたように、このアルバムはビートルズにおける『サージェント・ペパーズ~』のような内容にしたかった、とオジー自身も当時のインタビューで確か発言している。同じ頃、AEROSMITHスティーヴン・タイラーも「エアロ版『サージェント・ペパーズ~』」と『GET A GRIP』を比喩している。ロック界では90年代前半、こういうサイケで楽曲の振り幅が大きい内容のアルバムが流行だったのか‥‥そう考えてみると、そうかもしれない。80年代末にTEARS FOR FEARSがおもむろにビートルズをコピーした『SEEDS OF LOVE』というアルバムからスタートし、その後のOASISに到るまで‥‥そして最後には当のビートルズの、音源上での復活。世紀末に向かうに当たり、もしかしたらロック界は再びスタート地点に戻ろうとしていたのか、それともグランジといったシンプルな演奏スタイルを目の当たりにして、ロック自体が再びシンプルなものへと戻ろうとする反動として、『サージェント・ペパーズ~』を持ち出したのか。その答えは今も判らないが、時同じくしてエアロとオジーが同じような事を考えていた事実が非常に興味深い。

今年初め、オジーが久し振りにソロアルバムを作っているという噂が広がり、三度ザック・ワイルドと曲作りを進めているとの情報が伝わってくる。そして‥‥結局噂でしかなかったが‥‥ドラムにトミー・リー(元MOTLEY CRUE、当時はMETHODS OF MAYHEM。現在は再びMOTLEYに復帰という話)、ベースにギーザー・バトラー、ギターにザックという布陣でアルバムのレコーディングに入るという噂が広がる。結局ザック、マイク・ボーディン、ロバート・トゥルージロというメンバーでレコーディングされたという。既に1曲聴いているが、かなり「復活サバス」を意識した、デッドなサウンド感を持ったヘヴィロックという印象を受けた。この『OZZMOSIS』と全く違った音になる事は間違いない。非常に楽しみだ。

 


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