GiNGER『GRIEVOUS ACOUSTIC BEHAVIOUR』(2000)
ジンジャー初のソロシングルとほぼ同時期にいきなり発表された、'98年8月24日にイギリスのクラブにて録音された、アコースティックライヴの模様を収めた2枚組ライヴ盤。SILVER GINGER 5やWiLDHEARTSとしても順調に活動していたように見えたジンジャー、何故にこの時期にこんな代物を発表しようと思ったのだろうか?
当時('98年夏)WiLDHEARTSは前年秋の無期限活動休止(事実上の解散)状態で、その2ヶ月後にここ日本でワイハーとして最後の日本公演を行うこととなっていた。そう、ご存じの通り、ジンジャーはそのワイハー来日公演終了翌日、ここ日本でもソロ・アコースティックライヴをこのアルバム同様、元HONEYCRACKのウィリーと共に行っている(その模様は断片としてライヴ盤「TOKYO SUITS ME」ボーナスディスクに収録されている)。この「GRIEVOUS ACOUSTIC BEHAVIOUR」の内容は、その日本でのソロライヴの前哨戦といったところだろうか?
ハッキリ言ってしまえば、ただの「酒飲みの宴会芸」だ。名ライヴアルバムとか「ジンジャーが放つ初のソロアコースティックアルバム!」なんて太鼓判の押せるような代物ではない。が、何故か憎めないんだよな‥‥単に自分がファンだからかもしれないけど(苦笑)。ジンジャーの歌は普段のライヴ以上にヘロヘロだ。轟音がない分、その「酔っぱらいの声」が前面に出る。そしてその歌を補うかのような、MCの完全収録‥‥殆ど聞き取れませんが(苦笑)オーディエンスの笑い声からすれば、きっとオモロイこと言ってるんだろうけどさ(ん、今エルヴィス・コステロが何とかって言って客が笑ってるぞ‥‥)。
楽曲はワイハーが7割、当時未発表でその後SILVER GINGER 5名義で発表された曲や、ワイハー時代の未発表曲の他にKISSの"Hard Luck Woman"も収録されている。更に、その曲名こそ所々で名前が挙がるものの、その後正式には発表されることのなかった未発表曲"Re-inventing The Wheel"や"If I Had You"も収録されている。ワイハー時代の未発表曲も「LANDMINES & PANTOMIMES」に収録された"Tom, Take The Money"はともかく、その後発表されることのなかった"Where Did Everyone Go?"はかなり貴重かも。考えてみりゃ、その後SILVER GINGER 5で発表されることとなる"Church Of The Broken Hearted"だって、初期ワイハーの未発表曲だしな。
アコースティックとなると、大切になるのは(勿論演奏力もそうだが)核となる楽曲だろう。装飾のなくなった形で、如何にメロディーが引っ掛かるか‥‥そういう意味では、この企画は大成功だろう。ジンジャーのソングライターとしての才能は、ギターだけになろうがやはり素晴らしい。これはファンだからとか、そういった次元の話ではない。CLAM ABUSEのような変態ユニットだろうが、アリーナロック全開のSILVER GINGER 5だろうが、ソロやワイハーだろうが、結局ジンジャーという男の書くメロディーはスウィートでポップなのだ。
ジンジャー初心者は、いきなりこの作品からジンジャーに入ることだけはお薦めしない。まずワイハーであり、SS5だ。そこで引っ掛かりがあったなら、これを聴けばいい。そうすると、また新たな発見があるだろうから。更に深みにハマることうけあいの1枚だ。

▼GiNGER『GRIEVOUS ACOUSTIC BEHAVIOUR』
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