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2001/11/03

JESUS JONES『LONDON』(2001)

この現実を受け入れるまでに、一体どれだけの日数を要したのだろう? まさか、本当にあのJESUS JONESが戻ってくるとは、この2001年に‥‥!! 2年前、何げにオフィシャルサイトを覗いていたら、どうやら「BREAK UP」したようだとの話で‥‥ああやっぱり、と妙に納得したもんだった。まぁマイク・エドワーズは元々ソロ気質の人みたいだから、今後はいろんなとこに顔突っ込んで活躍してくれるに違いない。そう思い込んでいた‥‥

しかし、実際にはどうだろう?

YOSHIというバンドを結成(マイクはギターのみで、ボーカルには女性が当たっているという話)だとか、MANCHILDというテクノユニットのプロデュースを手掛けたとか、「ツール・ド・フランス」のテーマ曲をマイク・エドワーズ名義でネット上で発表したりだとか‥‥そういう話だけは伝わってくるものの、正式な音源はここ日本でひとつも発表されていなかった。MANCHILDは日本盤が出たものの、帯にもマイクの名前はなく、ゲスト参加したSTEREOPHONICSやTHERAPY?のメンバーがプッシュされているだけだ。考えてみりゃ、JESUS JONESとして最後に来日したのは‥‥いつだっけ? ああ、布袋寅泰と武道館で一緒にやったやつが最後か‥‥6~7年以上来てないってことになるのかな? そりゃ忘れられるわな、普通。しかも4作目「ALREADY」の時もここ日本では殆ど取り上げられること、なかったし。

'90年前後のUKロック、とりわけ「マッドチェスター」やら「シューゲーザー」「ハウス/レイヴ・シーン」をリアルタイムで通過してきた方ならご存じの通り、JESUS JONESやEMFといったバンドは上のどのシーンにも属さない、いわば「時代の徒花」的存在だったと言っていいだろう。そして、そういった「徒花」達がアメリカで最も成功を収めてしまったのだ。STONE ROSESやHAPPY MONDAYSが成し得なかった全米チャートのトップ3入りを、JESUS JONESとEMFは成し遂げたのだ(特にEMFは全米第1位を記録)。

そして時代は流れ、2001年。我々の記憶に残っているのはどのバンドだろうか? 歴史的にも重要だと言われているSTONE ROSESだったりRIDEといったバンドは、最近編集盤もリリースされたばかりだ。が、ここ1~2年の間に、地下で「徒花」達は復活の準備をしていたのだった。

映画「コヨーテ・アグリ」のサントラにEMFの全米ナンバー1ヒット "Unbelievable" が起用され、今更ベスト盤がリリースされたり、そのEMFのプロデューサーだったラルフ・ジェザードが元THE WiLDHEARTSのリッチと結成したバンド、GRAND THEFT AUDIOがイギリスよりも先にアメリカでデビューを飾ったり、その音がモロにEMFやJESUS JONESを彷彿とさせるものだったりと‥‥周辺では少しずつだが、賑やかになり始めていた。

そこにきて、満を持してのJESUS JONES復活である。残念ながらオリジナルメンバーではないものの、あくまで「5人のロックバンド」として、マイク・エドワーズは我々の前に戻ってきたのだ。勿論、YOSHIはまだ諦めていない。ソロとしての活動もあるようだ。JESUS JONESはアメリカのインディーレーベル「MI-5 RECORDS」と契約、アメリカインディーでも比較的大手の「KOCH」から配給されることとなった(ここからは最近、STABBING WESTWARDも新作をリリースしていて、全米チャートのトップ50入りを果たした)。何故イギリスからではなくアメリカのレーベルから? しかもアルバムタイトルが「LONDON」って‥‥皮肉か?

アメリカでも大ヒットを記録したセカンドアルバム「DOUBT」から既に10年経っている。まさかマイクが「アメリカでの成功よ、もう一度‥‥!」と願ってこういう契約を結んだわけではあるまい。「PERVERSE」はアメリカでコケたわけだし、続く「ALREADY」だって日本やイギリスよりも1年以上遅れて発表している。どう考えたってニーズがあるとは思えない。しかし、マイクは何かを思ってアメリカから再出発をした。当然、ここ最近はイギリス国内でもツアーをしている。日本でも本国でもなく、何故アメリカ‥‥正直なところ、俺には判らない。上のような憶測ならいくらでも浮かぶ。日本でのリリース予定がないので、雑誌等で取り上げられることも今のところないし。けど、来春EMIからリリースされるというグレイテスト・ヒッツアルバムに伴って、何かしらのプロモーション活動があるはずだ。その時に、真実が我々に告げられることだろう。

この「LONDON」というアルバムは「ALREADY」から4年以上も経っている。「PERVERSE」~「ALREADY」という流れは納得いく流れだ。しかし、「ALREADY」~「LONDON」という自然な流れはあまり感じられない。むしろこの新作は「第2のスタート」として受け取った方がいいようだ。勿論、ここには良くも悪くも「あのJESUS JONES」が詰め込まれている。いきなり「BON JOVIかよっ!?」と思わせるマイナーロックチューン "Message" に多少度肝を抜かれるものの、続く "Stranger" はネット上でもMP3音源が配布されていたので安心する(けどこの曲、ちょっとHOTEI色が強くない? COMPLEX辺りの)。その後も過去のマイクの小技が飛び出したり、中には「何でこれを2001年に‥‥??」というような曲も登場する。そして、我々が想像する「JESUS JONESの売り」ともいえるサンプリングや打ち込み/テクノ色を取り入れた『人工着色』されたサウンドが、ここでは思った以上に希薄だという事実。そう、新生JESUS JONESはこれまでよりも‥‥ファーストアルバム「LIQUIDIZER」以上にロック然としているのだ。確かに楽曲やちょっとした味付けは「マイク・エドワーズ率いるJESUS JONES」そのものなのだが、何かが違うのだ。

まさかこれがマイクからの「ロックバンド宣言!」ではなかろう、今更。'80年代のアイドルのロック宣言じゃあるまいし。マイクというとどうしてもクラブシーンの人というイメージがあるのだが(ライヴもアルバムを再現するといった感じで、そこまでラフなロックンロールという感じでもなかったし)、ここには「早すぎたビッグビート」とか「時代の徒花」と呼ばれていた頃のマイクはいない。改めて、マイクは「第2章」に突入したのだな、と。いや、もしかしたらそれぞれのユニット(YOSHIやソロ)とは別の色を強調したものを、この新生JESUS JONESで作りだそうとしているのかもしれない。だって、これまでみたいな「テクノ/ダンスにロックの味付け」から明らかに逆の「ロックにテクノ/ダンスの味付け」にシフトチェンジしているのだから。



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投稿: 2001 11 03 03:11 午前 [2001年の作品, Jesus Jones] | 固定リンク